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政府委員(
大津英男君) この問題につきまして警視庁のほうから
報告を取りまして、また、
世田谷の
署長にもいろいろ聞いてみたわけでございますが、
ボロ市は四百年も昔からの、ずいぶん古い伝統で開かれておったのでございますが、終戦後だいぶ乱れてきているというような
状況もあったわけでございますが、
警察としてもできるだけ明朗、健全なものにしていきたいという気持ちをもって今までも臨んできておったわけでございますが、今度の
ボロ市の
廃止を一
たん決議をして、その後再開になったという
状況につきまして、概略、
報告をもとにして申し上げますると、新年になりましてからの
ボロ市の
開催——年末にやっておったわけでございますが
——その
ボロ市の
開催につきまして、いままで
交通上あるいは
衛生上の問題がございまして、
地元の
町内会の一部には、こういうものはやめたほうがいいという空気もありまして、しかし一方には、やはり伝統的なものであるから開くべきものであるという
意見もあったようでございますが、十一月の二十五日に
区役所それから
地元側、
警察、
消防の
関係者が集まりまして
打ち合わせ会を行なったわけでございます。この
打ち合わせ会におきましては、従来の
ボロ市に対しまして若干の
規制を加える案をきめて、さらに
地元側と話し合うというようなことでございまして、その
内容としましては、いままでの
ボロ市での
道路使用はやや野放しに近いということで、
周辺道路も整備されて
交通も激しくなっておることだから、
開催を通称
ボロ市通りに限定するという
方向で
考えたらどうかということ。それから放尿その他の問題で
衛生上の
苦情が非常に多い。悪臭がひどいというような
地元民の
苦情も多いということで、
区役所と
地元とよく話し合って、
仮設便所を設けるようにしてはどうか。それから従来はどうも主催がはっきりしておらないというので、
町会が主催するということをはっきりして、すっきりした
管理体制でやる。また、
町会の一部だけではなくて、よくみんなの
意見を聞いてやるというようなことでやる
考えにしたらどうかというようなことであったわけでございますが、どうも一番問題になりました
大小便の処置について、
仮設便所のことが
町内と
区役所との間におきましての交渉でなかなかうまく進まないというようなことがございまして、十二月の六日に
町会としては
廃止の
決議をするというようなことになったわけでございます。ただ、
地元側にも先ほど申し上げましたように、一部、せめてことしだけでもやるようにしたらどうかというような声もございまして、何べんか
会議を開いたのでございますが、いま申し上げましたような
中止を、十二月の六日に第三回目の
打ち合わせをいたしました結果、そういう
決議、
町会としてはとても責任は負い切れないからやらない、こういう
決議をしたというわけでございます。
警察といたしましては、もし、こういう
中止に伴って妙なことにでもなってはいけないということで、よくその点
PRをやるということ。それから
町会の
幹部等に
暴力等が行なわれるというようなことがあっちゃいけないということで、パトロールを強化するというような活動をしておったのでございますが、十二月の十日か十一日ころになりますけれ
ども、
世田谷の
区長から
署長に電話がございまして、区の
行政の
立場から区の
後援のもとに近代的な感覚にマッチした明朗健全な市としてこれをやっていく。名称も性格、
内容も改めて再開するように
地元の
町会にはかりたいからと、こういうふうな連絡がございましたので、いままでのいきさつから申しましても、
署長としましてもこれに応じるというような
状況がございまして、十三日に
区長それから
消防関係、
警察それから
地元の
町会の
役員等も集まりまして
会議を開きまして、
区長からは「
世田谷何んでも市」というようなことにして新しいスタートをしていきたい、こういう提案がございました。特に
区長から、
後援をして本腰を入れてやるからというので、再考するという
方向を
地元町会のほうも打ち出したわけでございます。その後十八日にも
打ち合わせをいたしまして、
仮設便所の設置、それから
出店区域の
規制の
緩和をする、
地元も出すのでもう少し
緩和をする。それから警備に万全を期する。それから
地元の商店の
希望者は優先的に
出店をさせる。こういうようなことも出まして、こういう点を
区長、
署長は十分考慮してやるからと、こういうことになりまして、一月九日の
会議におきまして、十五、十六の両日「何んでも市」としてこれを開くということを
決議をしておるわけでございます。で、
警察としましては、そういう
地元の
町会の
決議もございましたので、これがうまく行なわれるように、やり方といたしましては、ぽ
ろ市通り一本という
考えが前にあったわけでございますが、
交通の支障がないであろうというので、旧道百二十メートルにつきましてさらに
道路の
使用許可を与えるということで
緩和をする。それから一括しての
申請ではなくて、個々の
申請を
地元町会の
出店承諾書を添付して出してもらって、それに対して
許可を与えるということにいたしまして、地割りも
警察と
地元の者がやっていくというようなこと。それから区のほうは
仮設便所を五カ所、それから広報スピーカーを四カ所つけるというようなことで、あやまちのないようにやっていく。こういう線を打ち出してまいったわけでございます。そういうようなことで、
地元の店も出るようになりましたし、一月十五日と十六日には、相当な人出も見たわけでございますが、スムーズに
ボロ市が開かれまして、ほとんど事故らしい事故もないというようなことで、
地元では好評を得ておった、こういう
報告でございます。この間、何か
暴力団が働きかけたのでああしたとかこうしたとかいうようなことがいわれておるようでございますが、いままで私
ども直接聞き、また
報告を受けた範囲におきましては、絶対そういうようなことはなかった、あくまでも
地元の
町会の意思を重んじて、また
区役所ともよく連絡をとって健全な形でこれが開かれていくように
署長としてはいろいろ配慮してきた、こういうのが実情でございますので、御
報告申し上げる次第でございます。