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政府委員(
大津英男君) いま、
鈴木先生からお話しのように、
拳銃を正規に
暴力団が持てるはずはないわけでございまいまして、すべて違法のものでございます。この
取り締まりにつきましては、私
どもも非常に力を入れておるのでございますが、特に
昭和三十八年の数字を申し上げますると
拳銃は
不法所持は五百八十三件、五百八十二名、押収の
拳銃が四百三丁、こういうことになっております。また昨年三十九年の上半期では四百二十九件の四百二十四人、四百十九丁の押収、こういうような数字もあるわけでございます。しかも四百三丁の押収
拳銃の約八割三百三十丁が
暴力団から押収されておるというようなこともございまして、
暴力団の
取り締まりを強化いたしましてからは、特にこういうものがたくさん押収されるようになってきておるわけでございます。三十九年の全部の数字がまだ正確にまとまっておりませんけれでも、一昨年の三百三十丁をさらにこえる押収の数字がもちろん出てくるということになるわけでございます。
なお、
拳銃が一体彼らの手にどれぐらいあるんだろうかということにつきましては、これはもう推定以外にないわけでございまして、まあ暗数で計算をしてみる以外にはないわけでございますが、まあ過去五年間に警察が押収したものの平均が年間大体八百ぐらいということになりますので、警察官の
取り締まりがその一割しかやってないとするならば、日本の国内に八千丁ぐらいはまだあるんじゃないかという計算もできるわけでございますが、こういうのはみな推定以外にないということでございます。
私
ども、
拳銃がどこから入ってくるかということで、
拳銃の
取り締まりをしまして、押収する、事件を検挙するといった場合には、その出所は一体どういうところから出てきたかという出所の究明に力を入れているわけでございますが、いままでのそういう押収した
拳銃の出所を調べてまいりますと、
昭和三十八年、九年の上半期で申し上げますと、駐留軍の
関係から出ておるものが、三十八年で申しますと十一、三十九年の上半期では五、それから
輸入ということで出てまいりましたのは、三十八年では八でございますが、これが三十九年の上半期では百七十六というふうに非常にふえている。それから旧軍人の
関係が、三十八年が十三、三十九年の上半期が八、それから自己
所持が、三十八年が七十三、三十九年上半期が三十九、それから拾得、発見がいずれも五、手製のものが、三十八年が三十五、三十九年上半期が四十五等のことでございまして、いずれにしても、昨年の上半期がすでに三十八年を上回るという数字が出ておるわけでございます。こういうことで、しかもそれが相当全国的に広まってきておるような状況も見えるのでございますが、
輸入のふえておりますものを見てまいりますと、やはり外国から外国のものが船員あるいは航空機をもちまして入れられておる。しかも、
新聞等で御承知のとおり、フィリピンからの、CRSという私
ども名前をつけておるわけでございますが、そういうCRSというフィリピンで密造いたしておりましたものを、船員が向こうへトランジスター・ラジオ等を持ってまいりまして、それと引き換えに持って帰る、そしてこれを国内に持ってまいりましてこれを横流しする、そうして数万円の価格でこれの取り引きをするということで、相当ぼろいもうけがあるということで、フィリピンでも非常に多くの
拳銃がつくられ、これが日本に流れ込んでおった、これを木材運搬等の船で働いております船員がこの間にあって
密輸入をしておったという事案が非常に多い、しかもその
拳銃の渡っていく先が
暴力団に非常に多くあるというようなことが出ておりまして、各府県ともにそういう数字がだんだんに多くなりつつあるということ。それからさらに、先般もございましたが、エール・フランスの機長がやはりアラスカのアンカレッジ等で手に入れた
拳銃を日本の国内に持ってきて、こういうものをやはり日本の国内で売りさばいておったというようなことも出ておりまするが、
拳銃の
不法所持の
取り締まりをやってまいりますと、
暴力団の
関係に結びついていること、あるいは一度に相当大量の
拳銃が
取り締まりをやっていくと出てくるようになっているというようなこと、そういう密売の組織と思われるものも出てきているということで、やはりこういうものをただ取り締まるということだけでは、国内に入ったものを
不法所持だけで取り締まるということでは、なかなか
取り締まりが徹底を期しがたいということでございまして、やはり昨年もフィリピンに私のほうから係官が参りまして、向こうでその情勢を視察をしまして、フィリピンの協力を得まして向こうでも
取り締まりを強力にやっていただく措置も講じているということで、
拳銃の
取り締まりにつきましては、数字もあがってきておりますが、あらゆる面から
取り締まりに努力をいたしている。今後も一そう努力をしてまいりたい。それにしましても、法的措置をもっとしっかりやっていかなければならない。かように
考えているわけでございます。