○
木村禧八郎君 ちょっと関連して。ただいま
野溝委員から、この
証券業法の
改正案に関連しまして、
銀行の経営の
健全化の問題、また
金融正常化の立場からの質問があったのです。私も前に塩谷財
務調査官に対しまして、
金融正常化の立場、あるいはまた
銀行の経営の
健全化の立場から、この
法律案の
改正について質問したわけですが、事務当局として答弁し切れない面があったわけです。で、
大蔵大臣に質問するということで保留してあったわけです。ですから、この際
大蔵大臣にお伺いいたしたいと思うのです。
先ほど野溝委員も申されましたが、最近の
銀行の経営が非常に不健全である、吹原廃業の問題あるいは
山陽特殊鋼の問題等起こっていますが、この根本の原因は一体どこにあるか。で、
大蔵省はこの間、
大蔵大臣が通達を出しましたですね、
銀行に対しまして。しかし、さらにさかのぼって、この根本の原因に対してやはり手を打たなければ
——もちろんこの間
大蔵大臣が出しました技術的な通達は必要であります。しかし、さらに政策的に
銀行の経営が不健全になる
基本的な原因に対して手を打ちメスを入れなければ、私は問題は解決しないと思うのです。で、一番根本の原因はどこにあるかといえば、要するに
金融が非常に非
正常化の
状態にあるということだと思うのです、根本はね。非
正常化の原因としては、一体どういう点にあるかといえば、ただ
銀行の預貸率を見てもわかりますし、また特に短期
資金をもって長期
資金をまかなっておるという点にあると思うのですよ。それで、
高度成長のための
資金を短期
資金でまかなう、そうして預金競争をやり、そうしてまた貸し出し競争をやる、そうして短期
資金で融通しておりますから、
金融が引き締まると
山陽特殊鋼のような問題が起こり、預金競争をやるために吹原廃業のような問題が起こってくる。そこで、
金融正常化ということを
大蔵大臣はもう当然のことであると言われましたが、しかし、これは抽象的に言うだけではなく、具体的にやはり手を打たなければならぬと思うのです。
そこで、この
金融正常化の具体的な突破口として何が必要であるか、この点についてこの間、塩谷財
務調査官に質問したわけですけれども、事務当局の立場としてはよう答弁し切れない点があったのです。それで
大蔵大臣に伺うわけですが、これは結局いまの金利の不均衡ですよね。貸し出し金利と公社債金利、そういうものとの不均衡、これが
一つ。これを是正すれば突破口になるのじゃないかと思うのですね。しかし、
金融界あるいは興銀等に相当反対があるというふうに聞いておるのです。公社債
市場を
正常化する、その発行条件を引き上げると、今度は
銀行の貸し出しのほうの、短期貸し出しのほうの金がそういう公社債
市場に流れてくる。そうなると、
銀行は、いままで高い金利で貸しておったものが高い金利をかせげなくなる、そういう採算の点から渋る点もある。そこで、
金融機関は依然としていままでのような安易な貸し出し、短期
資金をもって長期
資金をまかなう、貸し出しするような安易な、そうして高利の利潤を得ようとする、そういうような安易な
態度を変えていないのではないか。そういうことが直らなければ、
金融正常化といっても、これは私は具体的に解決されないと思うのです。ですから、具体的にこの際何か、もう吹原
産業の問題、
山陽特殊鋼の問題が起こったのですから、この際
正常化に踏み切らなければ踏み切るチャンスが私はないと思うのですよ。そこで、具体的に公社債
市場、これを私はここで、何といいますか、
育成していく。それには、現実の問題としていまの発行条件を変えなければだめだと思うのです。これに対して具体的な手を打たなければ、幾らもう抽象的に言ったって、具体的に突破口がちっとも出てこないと思うのです。ですから、私はこういう点について具体的に、
金融正常化の具体的な突破口の
一つとして公社債発行条件についてどう
考えられるか。これは引き上げなければ問題が解決しないと思うのです。
ところが、もう
一つ、
大蔵省の
考えとして、貸し出し金利と公社債の発行条件とのギャップですね、開きを直す方法として、公社債の発行条件を引き上げるのじゃなくて、今度は逆にいままでやってきた低金利政策、金利を下げて、そうして金利を下げることによっていまの公社債の発行条件との開きを縮める、こういう
考え方があるのではないか。二つの
考え方があるわけです。そのどっちを選ぶのか。
どうもこの間、運用領かりの規制を強化すると一これは質問したのでありますが、そうなると、
証券業者が運用預かりによってコールを取っていたのですが、コールの取り高が少なくなる、
金融がゆるんでくる、そういう形で金利を下げることによって
正常化していく、そういう方法もほかにあるのではないか。それともう
一つは、今後公債を
政府が発行する場合のいわゆる条件を有利にしたいというところから、そういうことからいまの公社債の発行条件を引き上げることを渋っておるのではないか。その点をはっきりまず伺いたいと思う。
私、時間がございませんから、要点だけ申し上げますが、その点が
一つと、それから、公債の発行につきまして、これは最近財界で減税公債の発行が非常に要望が強いし、宇佐美日銀総裁も、日銀引き受けでなければ公債発行は弾力的に
考えてもいいんではないかと言っております。しかし、
佐藤総理大臣は、昭和四十三年まで公債発行をしない、こう言っているんです。その四十三年まで発行をしないのかするのか。これ、やはり全体の
金融の
正常化の問題と関連する重要な問題です。この点が第二。
それから、第三は、直接この法案とも
関係があるのですが、われわれの手元に
証券に従事している労働組合から非常にいろいろな陣情があるわけです。この
法律の
改正案を実施することによりまして中小
証券あるいは
証券業者の整理を促進することになるのではないか。この中小
証券に従事している労働者は非常に不安を
感じているようなんですね。ですから、この中小
証券の整理によって失業その他の不安がないようにこれはもう指導をしなければならないと思うのですが、そういう点について不安がないように措置するにはどういうことを
考えていられるかどうか。
それから、最後にもう
一つ、これは直接
関係ありませんが、しかし、全体の
金融正常化から見れば関連があるわけですけれども、最近の円安の問題ですね。円が非常に安くなっている、為替相場が。これは今後の重大な問題です。
大蔵大臣、この原因をどう
考えられるか。特に、私の見方としては、ドル防衛につきまして、
大蔵大臣は、アメリカの利子平衡税について一億ドルのワク内においてはこの適用を免除するというので、非常に喜んで帰られた経過があるのですよ。ところが、その後の情勢を見ると、そんな一億ドルのワク内の特別的な優遇措置を講じてもらって喜んでいるような事態ではないのですね。御承知のように、ジョンソンの
国際収支に関する教書によりましてアメリカのドル防衛
態度が非常に強くなりまして、連邦準備
銀行のアメリカの市中
銀行に対する融資規制が非常に強化されているわけですね。昨年の実績の大体五%増にこれを規制する、こういう非常にきつい、アメリカの市中
銀行の対外貸し付けに対する規制が非常に強化されているんでしょう。ですから、私はインパクトローンが非常に困難になってくると思う。それから、ユーザンスのリファイナンスについても非常に規制があるように聞いているんです。これは私は重大な問題で、一般に十分まだ知らされていないと思うのです。これはちょっとなまやさしい問題じゃないと思うのですよ。アメリカのドル防衛
態度としてのアメリカの市中
銀行の融資規制ですよ。いま貿易が好調であるのに、円がどんどん安くなる。これは、ユーロダラーの引き揚げもしておりますが、もっと根本的には、私は貿易外につきましてアメリカからのインパクトローンの借り入れ等、これは非常に困難になってくる。あるいはそういう長期の借り入れだけでなく、短期的にもユーザンスのリファイナンスも非常に窮屈になってくるというようなことになると、たいへんなことになる。それで、
日本はアメリカに対して非常にドル預金をたくさんしているんですから、こういうことに対してもっと強力にアメリカに対して要請する必要があると思うのですよ。たくさんのドル預金をアメリカにしておるにもかかわらず、このようなアメリカの市中
銀行の融資規制ですね、それが非常に強化され、それから貿易のユーザンスについても非常に制限を受けているんですから、こんなばかな話はないと思うのですよ。こういう点についてどうお
考えになっておりますか、お伺いいたしたいわけです。