運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1965-05-07 第48回国会 参議院 大蔵委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年五月七日(金曜日)    午前十時五十九分開会     —————————————    委員の異動  五月七日     辞任         補欠選任      鳥畠徳次郎君     増原 恵吉君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         西田 信一君     理 事                 西川甚五郎君                 成瀬 幡治君                 田畑 金光君     委 員                 大竹平八郎君                 岡崎 真一君                 栗原 祐幸君                 鳥畠徳次郎君                 日高 広為君                 堀  末治君                 木村禧八郎君                 柴谷  要君                 鈴木 市藏君    国務大臣        大 蔵 大 臣  田中 角榮君    府政委員        大蔵政務次官   鍋島 直紹君        大蔵省証券局長  松井 直行君    事務局側        常任委員会専門        員        坂入長太郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○証券取引法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付)     —————————————
  2. 西田信一

    委員長西田信一君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  証券取引法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案は、去る四月三十日衆議院から送付せられ本委員会に付託せられました。  それでは、本案に対する質疑を行ないます。御質疑のおありの方は順次御発言願います。
  3. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 大臣はしばらくぶりと言っちゃたいへん失礼かもしれませんけれども、いろいろと大臣はそれ相当のお仕事がございましてあれですが、私のほうもこの証券取引法の法案の審議が先になるわけですけれども、しかし、いま新聞をにぎわしている吹原産業事件は、やはりこれは大蔵省として重大な問題であると思うので、私どもとしても関心を持っておりますし、大臣もいろいろと心痛をされておると思います。そこで、まだこの理事会ではどうしたらいいかということについては話し合いができておりません。しかし、この問題を参議院の大蔵委員会が全然取り上げずにいくということも許されないことだと思います。そこで、別の機会と申しますか、一番近い機会大臣おいでを願うとともに、ほかの委員の方やいろいろな方からこういうような参考人がほしいというような話があればそういうことになるかと思いますが、何にしましても、そういう問題について一度大臣からいろいろな問題についてのお話が承りたい、また私どものほうからもいろいろと意見をまじえた質問をしたいと思いますから、そういう点は大臣としても十分余裕を持って時間的に私はさいていただくような配慮をしていただきたいということをここでお願いを申し上げておきます。そして証券取引法に入りたいと思います。この点は、委員長にもそういう点について御配慮を願いたいと思います。  そこで、証券関係についてですが、第一点としてお伺いしたい点は、株価の維持の問題について共同証券を設立するとかあるいは保有組合等をつくっていろいろと御努力をされておるわけですが、一体どういうふうに株を、証券市場というものを持っていこうとされておるのか。もう共同証券をつくった、保有組合をつくった、これでもう株の対策というものは、一応これが軌道に乗っていけばこれで差しつかえないのだ、こういう解釈で、そうして株価というものは大体ここら辺のところで抑えたらいいんだ、ダウは大体千二百円というものが妥当なんだという解釈に立っておみえになるのか、株価全体、証券市場育成等をからみ合わせてどういうふうに構想を持っておみえになるのか、最初にお伺いしたい。
  4. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 株式市場、いわゆる直接資本市場につきましては、二つの目標を持っております。その一つは、長期的な展望に立ちまして、将来の日本の直接資本市場をどうしなければならぬか、こういうことが一つであります。第二の問題は、現状をどうするか、こういう二つに尽きると思うわけでございます。  現状は、申すまでもなく、昨年行ないました保有組合の問題、共同証券問題等現状において需給バランスが破れておりますので、現状考えるときに、需給バランスがくずれておりますから、保有組合とか共同証券とか、そういうものをつくりまして現状正常化を行なう、こういうことでございます。しかし、株式市場そのもの長期的展望に立ちますと、自己資本比率は非常に下がっておるのでございますから、まだ増資促進、いわゆる自己資本比率上げるためには促進をしなければならない、こういう立場にありながら、増資ストップをしたり、保有組合に持たしたり、共同証券に塩づけさしたり、まことにどうも理想とほど遠いことをやらなければならなくなったわけでございますが、これは現状いかんせん、やむを得ずこういう態度で現状の改善のためにかかる措置をとったわけであります。  それから、究極の問題としては、これは開放経済に向かって現状のような状態日本産業の姿がいいわけありません。戦前六一%の自己資本比率が二三%くらいになっている。これはますます下がる一方にある。だから、一面においてオーバーローン、オーバーボローイングの解消、金融正常化をはからなければならないと同時に、金融正常化をはかるためには自己資本比率をもっと上げていくということが行なわれなければ、日本産業資金計画というものは全きを期せられないわけでありますから、将来的な展望に立っては、自己資本比率をうんと上げて、そしていまよりももっと大きな資本市場をつくって、理想的にいえば、間接資本であるところの金融と直接資本市場である公社債市場とそれから証券市場というものを合わせた場合に、六割四割がいいのか五割五割がいいのか、戦前のように逆に六割四割がいいのか、こういうやはり相当長期的な展望に立つと、株式市場を非常に大きくしなければならぬ。これを現実問題は一つ一つ固めていきながらも、現実には資本市場の拡大、育成強化という考え方基礎にして証券行政を進めておるわけであります。
  5. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 大臣は二点について御答弁になったわけですが、そこで私は現状から、私のほうもよく実情はわかりかねる点がたくさんありますから、現状の点について御説明が願いたいと思うわけですが、はたしてそれでは、共同証券をつくったり保有組合をおつくりになって買いに出されたわけです。それでもダウは下がってきて明るい見通しがないじゃないか。そこでなおこういうことについて、これはまあ自主的に共同証券なら共同証券、あるいは保有組合が自主的にやることになるかと思いますが、相当大蔵当局のほうから指導があり、それについての銀行等の、あるいは日銀金融めどがないとたいへんなことになりはしないかと思っておりますが、こういうことについてはまだ共同証券なりあるいは保有組合が今後、これから先まだ買いに出ることについても相当考えおいでになるのか、もう大体手一ぱい現状で大体いいじゃないだろうか、そしてこれが将来ダウが上がってくればむしろ売りに出てきたほうがいいんじゃないか。たとえば保有組合は三年という期限を予定されているわけですが、その三年の後にこういうものは大体解消してしまうのだというようなことを大体経済全体の中で考えおいでになるのかどうかという点がちょっとわかりかねますから、そういうような点について御説明を願いたいと思います。
  6. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 現状証券保有組合共同証券というものが一体もう買いに出ないでいいのかということでありますが、これはあの当時としてはやむを得ない措置、必要な措置であったと思います。また、大体自由市場であるべき証券市場であのような措置が必要であったということは正常でなかったということが言い得るわけでありまして、そういう意味ではできるだけ早い機会にこういうものが塩づけをしておるという状態をなくするということが望ましいことでありますが、現在すぐ一体共同証券保有組合が売りに出せるかというと、私はそういう時期ではないと思います。また、これからなお買い出動に向かわなければいかぬかという御質問に対しては、そういう必要はないと考えます。私は、まあ保有組合共同証券が合わせて約四千億余の塩づけといいますか、たな上げを行なっておるわけであります。でありますから、まあ株式市場需給というものは非常に不正常な状態からは立ち直っておると、こういうふうに考えていいと思います。  それにしてはダウ千二百円、それがどんどんと下がっておるじゃないかということでありますが、これは現象的に見ますと、確かに千二百円を割っておりますが、内容的に見ますと、基礎産業額面を割っておったというようなものが、まあ力のある日本の代表的な産業というものは大体昨年の十一月、十二月よりも値を戻しておりますし、普通であれで親会社よりも幾らか割り引いて考えなければならない子会社のほうが親会社の何倍も高かった、三百円、四百円というような状態であった市場価格が、三百円のものが二百円になり、二百円のものが百八十円になるということになると、旧ダウ平均の計算からいうと下がる。ですから、私は昨年の十月、十一月、十二月当時と現在の株式市場内容自体をつまびらかに検討いたしますと、株式市場が昨年共同証券に買い上げを必要とした当時よりも悪い状況にあるというふうには認識をいたしておらないわけであります。しかし、低迷の状況はあります。これはあるわけです。サンウェーブというようなものが倒産をしたり、それから山陽特殊鋼のようにあれだけ自動車産業の中枢をなしておる産業が、まさかと思っておったものが粉飾決算の事実が出された。そうすると、まあこういうときは、これは時代の風潮としても、とにかく落ちつきがついたり、相手の正体をよく見きわめるまでは手控えよう、そういうところに経済の鎮静というような客観的な問題も起こってくるわけでありまして、いま株式市場に活気を望むということ自体がこれは無理な考えであって、私は、いまの経済状態から考えて、またいろんな問題が起きたことに合わせて考えますと、証券市場も現実的には安定的な方向に向かいつつある、このような見方でございます。
  7. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 まあ日銀から日証金に、それから日証金から共同証券に金が出ておるわけですが、心配をしますのは、共同証券なら共同証券というものは一体、将来これはもうかるのか、それとも、株が上がってくると、千二百円で買っておるんだから、千三百円になれば、それは売れば当然もうかるんだということになるかもしれませんけれども、これはまた塩づけしておる株を出せば、相当な株が今度は逆に下がるというようなことにもなりますから、売ることについても私は慎重なことを共同証券としてはやらざるを得ないということになると思います。  そこで、共同証券はいまどんなふうになっておるか。これは私の持っておる資料ですから、あるいは違うかもしれませんですけれども、三十九年の九月決算では大体欠損——これは半期です。半期で六億二千五百万の欠損をしておるわけです、平均で。その平均でおかしいことになるけれども年間大体十億から十二億くらいの赤字じゃないか。そうしますと、これがずっといったときに、協調融資をしておる銀行は大体二十二行で、一千億ですか銀行融資しておるようですが、最終的にこういうものも、大臣はいやいやこれはもうかるから心配ないと、こうおっしゃるかもしれぬけれども銀行一体共同証券に対して焦げつきなんていうことは絶対にできないという保証がありますですか。これは欠損をずっと共同証券というものは続けていくんじゃないだろうか。その見通しはどういうふうにお考えでしょうか。
  8. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 共同証券というものは、私企業としての形態はとっておりますけれども、御承知のとおりの情勢において公共的な使命をもってつくられたものでありますし、銀行もそういう立場において、日銀からストレートに出すことよりも都市銀行を通して、都市銀行協調融資をしようという、公共的な使命達成のために出したわけでありますから、これはもう当時としては当然であるというふうに考えておるわけであります。しかし、当然であるといっても、一体初めから赤字が出るのか、これは三年間くらい——塩づけとすればまあ一年以内というようなことはない。大体二、三年、こういうふうに御答弁も申し上げておりますが、必要があって、当時の証券市場の実体の中でたな上げをしなければならぬというのですから、その過程において私は一年、二年の累積赤字が出るということ、これは当然考えられる一つのことだと思います。  ところが、証券市場をよくするためにつくられたものでありますから、二年か三年やっておれば、日本経済がうんと逆転をするようなことを考えれば別でありますが、少なくとも四%、五%六%、七%、一〇%、こういう成長率を続ける、中期経済計画においても八・一%の成長を続けていくということになれば、三年、五年たてば、当然その間における累積赤字というようなものは消して余りある。これは歴史の証明するところであります。これは戦後もそういうことがありました。持ち株会社は大体もうかる。もうかるけれども、そのときに、もうかるから売り払って、また混乱を来たすというようなことはなすべきでない。ですから、これは放出する場合には十分慎重に検討しなければならぬ。  特に共同証券やなにかが買っておりますものは基礎産業的な公共性の高いものを集中的に買ってもおりますし、これが銀行共同証券保有組合に貸して、それが取りっぱぐれるように赤字が出る、こうは原則的に考えておりません。ただ、もうかったものの配当をどうするかとか、これを全部また銀行が取ってしまうというようなことじゃいかぬし、これをうんと値が上がったからといって一挙に売って混乱をさせちゃいかぬ。そういう問題のほうがより重点的に考えられるべきであって、銀行が貸したから共同証券から取りっぱぐれる。共同証券累積赤字がうんと大きくなる、銀行欠損するような、欠損処分をするようなことになったら、これは日本証券市場はたいへんなんです。そういうことをしないためにつくった共同証券ですから、まあうまくいく、こう考えております。
  9. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私も大臣の御答弁がわからぬわけじゃございませんし、その目的のためだと、こうおっしゃればまたいいし。ですが、それじゃもうかったらどうなるかというようなことにもなると思います。まあそういうことは別といたしまして、一体共同証券が買い入れておる銘柄の株を、たとえば一部ではこういう銘柄の株をこれだけ買っているのだというようなこと、あるいは二部のほうはこんなふうになっているというふうなことは、これは発表ができないものですか、できるものですか。
  10. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) それは発表せいといえばできないことありません。大蔵省でも大体何買っているのかということは聞いておりますし、向こうからも聞かなくても持ってきておりますから、わかりますけれども私企業ということになっておりますから、私企業が何を持っているかというようなことを、これはまあお話し申し上げなくても大体御存じだと思いますから、御了解いただきたいと思います。  そうは申し上げましたが、まあ国会でございますから、ひとつできるだけのことを申し上げます。二百二十二銘柄買い付け株式数十六億二千四百万。大きなものは一体どうかというと、日立とか三菱重工、東京芝浦電気、日産自動車、トヨタ、松下電器、八幡製鉄富士製鉄、石川島幡磨重工、こんなものが大体大口だ、こういうことで御理解いただきたいと思います。
  11. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私、一部と二部で差があるとは思いませんですけれども、そういう銘柄の中身の問題は、私企業あるいは公共性がある、どちらがどうか知りませんけれども、相当買い入れておられる株は私はいろんな意味合いでは影響——ここで買ってもらえるのはいいけれども、そうでないのはたいへんだというようなそういうことがあると思いますから、そこでどんな銘柄だと、こういうことをお尋ねするわけなんですけれども、まあこれも聞いて他に影響があったりするとなんですから、私もあまり、このことについては差し控えたいと思いますが、それでは、こういうものを何の銘柄を幾ら買うのだというようなことは、私企業なんですから、一つ思惑といっちゃおかしいわけですが、思惑ということばは適切じゃなくて、ダウを保つためにというそういう立場から検討をして買っておるのだと、こうおっしゃれば私はそれまでだと思いますけれども、その買い入れ銘柄、それからどのくらい買うかというようなことは、だれがどういうところできめてこういうことをおやりになるのか、それに対して相当これは大蔵省のてこ入れがあってこういうことがなされておるわけですから、そういうような問題について大蔵特等も御相談になっておるのか、全然無関係でそういうことが進められておるのか。
  12. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 銘柄選定におきましては、大蔵省は全然関係ございません。これは選定基準というものを会社でつくっておりまして、会社には証券会社関係しておりますし、それから各銀行大口株主でございますから、そういう意味で自主的に判断をして買っておるわけであります。買っておりますが、そうであるならば投機的に銘柄を物色するかというと、そういうことはないという原則に立っておるわけで、それは資本市場で特定なものだけを買うということよりも、日本代表産業でありまた公共性が非常に強い、そういう意味で、株式市場においては多少株が余りぎみであるというようなことで額面を割っておる。しかし実質的な利回りは非常に高い、中には一割、一割一分というようなものもあるということで、大体六%以上の利回りを中心にしたものを大体一般基準としておりまして、しかし配当が二割、三割であって額面五十円の株式が五百円にも三百円にもなっておる、こういうものを対象に買うという考え方ではなく、大体公共的なもの、日本の代表的な国民生活に必要のあるものというような、公共性公益性というものを大体考えて買い入れておる。現在買っておるわけじゃありませんで、もう窓を締めて、大体当時買ったものでいいだろうという考え方に立っております。
  13. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 ちょっと金利の話で伺っておきたいのですが、日銀日証金に貸しておる金利ですね、これはどのくらいでしょうか。大体、額で見ますと二千三百六十四億五千六百万、四十年二月に日銀日証金に貸しておるようですが、金利はどのくらいですか。それと一緒に、たとえば日銀が商工中金であるとかあるいは都市銀行に貸しておる金利はどのくらいでしょうか。これはオーバーローンのそれと一緒に合わしてお答え願いたい。
  14. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 日銀から日証金に対して日歩一銭八厘で出しておるそうであります。日証金はこれに手数料を加えて、一銭八厘五毛で共同証券に貸しておるのです。それから、日銀が他に一体幾らで貸しておるのか。これは商業手形の割引は一銭六厘、輸出貿手割引は一銭一厘、適格担保輸出貿手は一銭二厘、国債等担保貸し付けは一銭七厘、その他の担保貸し付けは一銭八厘ですから、一番高い貸し付けの率ということであります。
  15. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 大体その共同証券赤字になるのは、いま言ったように、そうしますと大体七分一厘かくらい——ちょっと年利になるとどのくらいになるか知りませんけれども、大体七分くらいになるのですね。
  16. 松井直行

    政府委員松井直行君) 悟り入れ金資金コストでございますが、市中銀行からの融資が一千億ございます。大体二銭五毛でございます。それから、日証金からの借り入れ、これは六百六十億余りあると思いますが、これが一銭八厘五毛でありまして、それから資本金ですが、これは自己資本配当がない。配当をしなければならぬのですが、配当が少しできないと考えますれば、三百億の自己資本が使えるといたしますと、大体六分ちょっとという資金コストに相なりまして、受け取り配当が六分ございますから、これで当面の収支じりはつく。先ほどおっしゃいました損が出ておりますのは、買い付け簿価と、それからその日その日の時価と比べますときに、評価損が幾ら出るか、評価益が幾ら出るか、これが損益を決定する一番大きな要素に相なっております。
  17. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私も松井さんのお話を聞けば、資本金三百億については金利をどのくらいに見るかということなんですが、これを全然金利を見なければ、突っ込みで六分くらいになる、そうして片方のほうの配当が六分以上であるから、大体共同証券としてはそう赤字も出ないようにいくというようなこともありますけれども、そういうことは別として、日銀日証金への金利市中銀行金利よりも確かに安いわけなんですね。そこで、将来の姿として、日銀貸し出しをもう少し日証金なら日証金にふやしていって、どっちみち都市銀行のほうからも相当な金を出すんですから、だとするならば、資金コストの安いほうを使ったほうが共同証券としては得なんです。そういうようなことになってしまって、日銀貸し出し残がだんだん将来ふえるというようなことになりはしないだろうか。日銀としては大体、四十年の二月の資料しかございませんので、三月はどのくらいになっているか知りませんけれども、これがだんだんふえるのか、大体ここら辺のところがめどになってあまり変動なしにいくような形になるのか、そこら辺のところはどうなんですか。協調融資をしておりますね。銀行のほうは引き揚げたい、資金が詰まっておるのだから。そういうようなことなしに、大体資金はいままで協調融資として出したものは三年なら三年はある程度返してもらわずにそのままいく、日銀のほうも大体二千三百億見当で、貸し出しをふやしていかない、ということは、共同証券も買いに出ないからこのまま大体いくのだ、こういうことになるのか。いま現に年間約十億から十二億くらいの赤字になりますから、そこでいろいろなことをしなければならぬから、原資のコスト高を減らすために肩がわりをしていくというような、そういうことはございませんか。
  18. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) まあいま共同証券だけを考えますと、市中が千億、先ほど申し上げましたように、日証金から六百七十八億、資本金三百億、ですから、千九百七十八億、こういうものを資金にしてやっておるわけであります。しかも、この市中銀行の千億は日銀からストレートに出た金額であって、そのままの利息で手数料を取らないで出しておるということであります。この共同証券保有組合というものが、一年、二年、三年と、株式市場状況の好転を待つためにつくられたものでありますから、少なくとも早くこれを換金して金を返すということはありません。同時に、金を貸すほうも、そういう意味で公共的な使命考えて貸したわけでありますから、これを引き揚げなければいかぬという考え方はありません。これはもう市中銀行につきましても、これを引き揚げるというようなことで、共同証券が売りに出なければならぬというようなことのないことを前提にして市中銀行からの融資を求めているわけであります。しかも、市中銀行は、日銀から市中銀行に貸して、手数料なしでそのままストレートに出しているので、日銀が引き揚げない以上は市中銀行は貸していることでありますから、まあ引き揚げるということはありません。  一体これからもっと資金が必要なのかというと、共同証券がもう少し買わなければならないような状態証券市場があるかどうかということになりますが、先ほど申し上げたように、まあ共同証券保有組合もこういうことでよかろうということで、一応仮締めといいますか、いずれにしても窓を締めたということでありますから、いまの状態において共同証券保有組合が金が要るというようなことはありません。買いに出るような状態になるかというと、これは先ほど申し上げたように、ならないのであります、こう申し上げているわけでありますから、命は要らないだろうと。  ただ、先ほど申しました二千三百五十億余の日証金の残、これは御承知のように、各証券会社にみな貸しているわけでありますから、これは共同証券を含めて各証券会社にも貸しております。だから、株式担保金融日証金が預かる金額が大きいか少ないか、これが問題であります。私は、将来の間接資本と直接資本というもののバランスが、いまのように二三%対七十何%というようなものが、だんだんと正常な状態になれば、またするためには、ある意味において株式証券金融というものはこれはもっと道を開かなければ、パイプを大きくしなければ株式市場は大きくならぬ、こういう考えであります。いますぐどうなるというものではありませんが、日銀都市銀行に道を開いているから、都市銀行はつぶれないで大きくなったのであります。ですから、そういう意味株式担保金融といいますか、証券金融というものは、いままでの考えではなくて、もっとパイプを大きくしなければならぬという考えは前提として持っておりますが、具体的にいまどうしようという考えはないわけであります。
  19. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 証券保有組合のほうは何か五十六社の組合員が構成団体であるというふうに聞いておりますが、それにしましても、やはり日証金から借り入れたり、あるいは組合員の出資金になっておって、そうして保有組合——この保有組合は約千八百億円くらい持っているわけですか、買いに出ているのは。そうすると、この保有組合一体日証金からどのくらい金を借りているのか、それから組合員の出資金というのはどのくらいになっているのか、わかりますか。
  20. 松井直行

    政府委員松井直行君) 日本証券保有組合資金調達源でございますが、四十年三月末で申しますと、組合員の出資額が百七十三億三千百万円でございます。それから、日証金からの借り入れ金千六百四十六億二千八百万円でございます。
  21. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 これは日証金は両方に金を貸しているわけですが、金利は同じですか、それとも違っておりましょうか。
  22. 松井直行

    政府委員松井直行君) 同一でございます。
  23. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 株の問題ですが、ちょっとその前にもう一つお聞きしたいのは、先ほどは会社の資本が非常に少ないから増資をしなければならないというような、そういうことで、片一方では株の数がふえますと圧迫する、非常に矛盾したことになるけれども、結局はそういうことをしていかなくちゃならぬだろう、こういうお話ですが、増資をする場合の一つの基準がございまして、何かつい最近では四社ほどですが、それが許可になって増資されるというふうに承っておるのですが、この増資調整を行なうというようなことについては、今回の法律とからみ合って、今度この法律がかりに通りますと、増資をするような場合は、会社自身で、いまのままでは不正常な形ですから、片一方では基準を持っていてこれ以上には増資はできませんと、こういうことですが、将来は、元請会社が簡単に会社から、あるいは会社自身がそういうことをきめて、アンダーライターとの話し合いですぐそういうことをやれるようになるのですが、しかし、ずっと見てきますと、そう簡単に自由に、増資をせなくちゃならないという使命がありつつも、そう簡単にできそうもないじゃないかというふうに私はいま見ておるわけです。そこで、こういうふうな形は、今回の法律改正が終わってしまえば、もうこの増資の調整、規制というものは自動的にはずれるのか。この増資調整の、私はこれはどこでそういうふうに、法律でやっちゃおみえになりませんから、何か行政指導でやっておみえになると思うが、そういうことははずれるのか、はずれないのか。
  24. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 増資調整という御質問に対して二つの見方がございます。その一つは、現在行なわれている増資調整とこの法律と関係あるかということでありますが、これは関係ございません。この増資調整というのは、先ほど申し上げたとおり、市場のアンバランスを防ぐために、正常化を進めるために共同証券をつくり、また、一方においては保有組合に保有させ、あわせて増資調整を行なって、市場における証券の需要供給の調整をはかったと、こういうことでありますから、まあ行政指導もやっておらぬというわけじゃありません。行政指導もございますが、官製の統制という意味じゃなくて、これは証券業者や銀行やいろいろな人たちが入って、自主的な増資調整ルールをつくって今日までやってきたわけであります。ただ、いつまでも調整するというわけにもまいりません。これは、増資調整をはずすということが逆戻りするということであれば、これは当然考えなければなりませんけれども日本は、御承知のとおり、採算だけではなく、増資ということが一つの魅力でもあったわけでございまして、いまの株式市場の不振の一つの原因の中に増資ストップというものもある、こういう見方もあります。ですから、市場圧迫要因にならないということを限度にして、十分その採算性もその中心にして、国民の不信をかわないようにということを十分考えて、増資というものの調整を弾力的に一部運用しようということでありますから、この法律と関係ありません。  ただ、この法律と関係ありますのは、増資をしたいというときに、まあ証券取引法において大蔵省の窓口に持ってきます。持ってくると、そのまま届けっぱなし、こういうことでは、あとからタコ配とかいろいろなものが出てきます、粉飾決算とか。こういうものに対して、いまの証券取引法も大蔵大臣の検査権がありますが、すべてのものを全部、何百万件令部大蔵大臣が判こを押すわけにもそれはいかぬわけですから、証券取引法における大蔵省の検査権、公認会計士の持つ職務権限、それから証券取引所の上場会社の内容、経理に対する責任をどうするか、こういうものをあわせて十分検討して、少なくとも増資が表に出た場合には、その会社の公表しているその経理書類というものが第三者から見て信憑性を持てる、こういうことは、この法律改正をしたら何らかのことでいまよりもよくしなければいかぬ、こういう考え方基礎にいたしておりますから、増資は届けっぱなしで、金繰り増資で、あけてみたらとんでもなかったというような増資はだんだんと制限をしたり是正をするということは、結論的には出てまいることであります。
  25. 西田信一

    委員長西田信一君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止〕
  26. 西田信一

    委員長西田信一君) 速記つけて。
  27. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 免許から登録制になり、また今度免許にされるわけですが、その根本的な理由、今回登録制をやってこういう悪いことばかり出ちゃった、だから、どうしても日本の実情としては免許にせねばならなくなったというような点ですね、登録制で悪かった点ですね、そういうふうな点について、一応証券審議会等の経過もあるわけですが、そういうようなところで議論をされた点について御説明願いたい。
  28. 松井直行

    政府委員松井直行君) 御存じのように、現在の証券取引法はアメリカを母法といたしております。自由な経済を前提にいたし、また営業の自由という原則に立ちますときには、ある法定の要件を満たせばだれでも証券業ができる、そのかわりその法的要件を充足しなくなったときにはいつでも免許の登録の取り消しを行なうということでございます。自由主義の経済あるいは民主社会的行き方といたしましては、先進国もそういう道をとっておるわけでございまして、それなりに意義があると思うのでございますが、昭和二十四年証券取引所を再開いたしまして以来今日まで、わが国の登録件数の総合計が千五百件を数えます。現在残っております証券業者が五百件余りということでございまして、非常に浮沈がはなはだしい。この間、投資家に与えました不測の損失というものも相当大きくなってきております。弱小の、あるいは不適格者が相当、雨後のタケノコのように生まれてはまた死んでいくという状態でございました。  一方、この投資層の普及と申しますか、証券の民主化の状況考えてみますときには、アメリカは申すに及ばず、ヨーロッパ等におきましても、相当国民所得の程度は高いし、家計金融資産の蓄積も多いということでございますが、株式を一般の民衆が保有している度合いということでもって証券の民主化をはかるといたしますときには、われわれはアメリカの次に日本が非常に民主化が進んでおるということが言は得ると思います。このように非常に広く国民大衆が自分の国の企業の株を持ってもらっているという、非常に民主化が進んでまいっております現状でございますので、社会的な公共性といいますか、証券取引の安全、公正ということは、そういう面におきまして非常に社会的な要請というものが強いということが言い得ると思います。  一方また、証券界あるいは証券取引というものは大きな金融市場の一環でございますので、そのもの自身も非常に公共性を持っているということも言い得ると思います。こうした公共性、社会性ということから判断いたしますときには、戦後の二十年を振り返ってみまして、もう少し証券市場のにない手としての証券業者の経営の基盤を強化し、投資家に信頼される証券業者になってもらうということが将来の資本市場発展の基本的な要件じゃなかろうかというふうにわれわれも考え証券取引審議会もそういう線に沿って免許制に踏み切るのが適当だと判断されたものだとわれわれ考えております。
  29. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 もう少し私は、いろんな公共性とかなんとかいう問題があると思いますが、そういうようなことは株式という名前からのあたりなえの話であって、だから、そういうようなことは登録制に——占領軍が来て、アメリカが登録制であったからアメリカにならわなきゃならぬというようなことで、民主化ということで、二十二年ですか、二十三年ですか、二十三年ですかに改正をされた。そうしたら、こういう悪い点が出てきたという点をもう少し……。ただ単に民主化のためにやったのだ、やったらそれが悪かった。しかし、民主化のためにはむしろ登録制のほうがいいような気もするわけですが、そうでなくて、免許制にすること、そうした証券の民主化が進んでいくということについてもう少し積極的な御説明を承らぬと、ちょっと納得しかねる点があるのですが。
  30. 松井直行

    政府委員松井直行君) 資本市場にどういう機能を期待するか、そういう機能を期待するためには証券界のにない手としての証券業者がどうあるべきかということに帰着すると思います。本旨はいま私が申し上げたとおりであろうかと思いますが、また繰り返しになるかと思いますが、産業といいますか、企業家にとりましては長期資金を調達する場というのが資本市場だろうと思います。一般の、家計にとりましても、蓄積した金融資歴の投資場所、安全でかつ有利といいますか、信頼して投資できる投資場所を提供するということであろうと思います。  戦前ともう一緒じゃないかというお話でございますが、一部似通ったところもあるかと思いますが、御存じのとおり、日本の企業資本というものは、少数の財閥及び財閥家族がこれを独占しておったという時期とすっかり変わりまして、国民の、民衆の一人一人が全部日本の企業を何かの形で片棒をかついでいるという、いわゆる民衆資本主義と申しますか、そこが戦前とすっかり違うところでございまして、そうした意味におきまして、これは資金を調達する側の企業の事情もあり得ると思うのでございますけれども、健全な資本市場を発達させ、資本市場をして何といいますか、投資家にとっても安心して投資できる場にするというためには、いま言いました、非常に数もふえ、国民全体が株を持っている、国民の非常に多くの部分が株を持っているという状況でありますので、投資家保護という観点は戦前とすっかり場を変えまして、証券取引法の目ざす大きな要素といいますか、目的になってきておるということはおわかり願えるだろうと思います。
  31. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 木村さんの時間の都合もあるそうですから、私は、木村さんに質問していただいて、あと続いて質問したいのですが、いまあなたは民衆資本だとかなんとか言うが、実際の株はだれかが何%しか持ってはおらぬ。国民は何%か、ほんのわずかしか持っておらないということでございますが、それはいいとして、一体証券取引審議会というのは、今後引き続いて証券の発行だとか流通制度、あるいは証券取引所の制度とかあるいは証券金融制度、そういうものまで審議を引き続いてやる審議会ですか、それともこの免許制だけの問題で打ち切りになるのか。
  32. 松井直行

    政府委員松井直行君) おっしゃる問題につきましては、資本市場のあり方、将来の、ビジョンを描いて見てみましても、現状を何としても改革しなければならないという意欲に立っていろいろの法律改正その他を考えますときの第一着手として、証券取引法の中の一部である証券業者に関する業法的な部門の改正ということで今回は提案さしていただいておりますが、証券取引審議会におきましても、あるいはわれわれ事務当局におきましても、将来の資本市場のあり方という観点に立って考えますときには、いま成瀬委員がおっしゃいましたとおり、証券業者のみならず、証券業者が組織いたします団体であり、かつ証券取引の中枢的地位を占めております証券取引所、あるいは証券業者の自律自治機関でございます証券業協会の公的なあり方ということにつきましても、おっつけ検討もし、あるいは必要なら法改正もやるしいう必要が当然起こってくるわけでございまして、今回の提案はその第一歩だとわれわれも考えておりますし、証券取引審議会におきましても、そういう趣旨の答申をいたしておりまして、これでもって全部資本市場の問題は解決したものと思ってもらっちゃ困ると、自分たちもおっつけ証券取り所あるいは証券業協会、証券金融等の問題についても審議を始め、適当な答申をするという決意を答申書の中に示しておられるとろでございます。
  33. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 日本共同証券について、先ほど成瀬委員からも質問ございましたが、これまで日本共同証券については私も何回も質問しておるのですが、それとの関連でこの際質問しておきたいのです。  松井証券局長は、前に、日本共同証券に今後一番問題になるのは、共同証券が利益をあげたときに、これは単なる私企業という性格ですね、公共性ということは定款を見てもないわけですよ。それで、日銀の直接融資が前に問題になったことがあるのですが、日証金等からも借り入れをやって、この利益を今度処分する場合、単なる私企業に対してばく大なる融資をすることについては非常に問題があると、そして巨額な利益を得たときに、その利益を銀行等が分配を受けるわけです。そういう点については問題があって、もっと日本共同証券公共性の強いものにし、はっきりさして、その利益が生じた場合は、ある程度これを納付金等にさせるとか、そういう形にすべきだとかいうことを、私も主張し、松井局長もある程度までそういうことは必要ではないかということをお認めになったわけですよ。その後、一向株価はさえませんし、当時よりも低落して、むしろ欠損が予想されているということになっているわけです。この共同証券の性格につきまして、このままほおかぶりして、いわゆる純然たる私企業という性格で押し通していかれるのかどうか、この点について伺いたいです。
  34. 松井直行

    政府委員松井直行君) 共同証券の性格につきましては、すでに木村委員からもおっしゃったとおりでございますし、この席でも申し上げたと思います。金融機関が中心になりまして、金融界に偏在と申しますか、資本市場に流れてこない金という意味において偏在と申してもいいと思いますが、でもってあり余る株を一応吸収するということが流通市場の機能回復の当面の必要なる措置であるという判断に立ちましてできたものでございますが、先ほど大臣から御答弁申し上げましたとおり、目的はそうした資本市場の、流通市場の機能回復でございますが、企業体自身は私企業でございますので、損益を度外視できない。したがって、いわば機関投資家としてそろばんに乗るものをそのときどきの相場で買っていくという活動でもって終始いたしてきたわけでございます。  で、現在千九百億、これは簿価でございますが、いずれは処分すべきものとわれわれは考えますが、その時期等につきましては、すでにその後できました保有組合等の関連から見てみましても、当面一年や二年でもってこれがそのまま市場に放出される、投資家にかえて持ってもらえるという時期がそう来そうにもないということで、おそらく二年ないし三年くらいはかかるのじゃないかとわれわれ考えております。  しかし、そのときに、いよいよ共同証券というものを解散と申しますか、その機能を十分果たしたという段階におきましては、何らかの形におきまして共同証券の将来のあり方というものが問題になってくることは申すまでもございません。で、現在、町のいろいろな識者がいろいろな案を考えております。資本市場が十分回復し投資家のふところも豊かになれば、自然の形でまた一般投資家のふところに納めて、これが消えていくというのも一つの方法でありましょう。これは全く仮定の問題でありますが、たとえば会社型の投資信託に転換さすということも考えてもいいんじゃないか。いろいろな説といいますか、考え方がいま披露されておりますが、現在におきましては、まだ何がいいか確定する段階ではございませんが、少なくともたとえば三年先に現在の大体ダウ千二百——ダウと直接関連さして申し上げるのは不適当かと思いますが、大体傾向的に動くものと考えまして、ダウ千二百円前後で買り入れしまたのが大体株式簿価でございますが、将来たとえば千二百五十とか、千三百とか、千四百とか、ダウが上がってくる時期に、たとえば三年先にそうなりますと相当に評価益と申しますか、あるいは現実に処分しますときに処分益が出ることはお示しのとおりでございます。その際には、現在三百億という形で投資家といいますか、株主が出資をいたしておりますが、これにつきましては、一応無配という形で進んでおりますから、これらの株主につきましては、一割とかあるいは一割二分と、一般の金利状況等も考え合わせまして、適正な資本利子の支払いはやっぱりやる必要があると思います。それをこえましてさらに利益が出たというときには、これはそういう一部の株主の手に全部帰するということは不適当であろうと思います。何らかの形で資本市場全体のために役立つ方法で処分が行なわれるということであるべきだとわれわれいま考えておりますが、まだそこまで具体的に話をきめる段階ではございませんが、いよいよこれが二年たち三年たちまして市場に放出してもいいという時期が来ますときには、前広にいまおっしゃいましたような問題につきまして、早く方針をきめておくということが必要であるというふうにわれわれも考えております。
  35. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは、最後の結論のところですね、もっと公共的な性格を発揮させるように、前向きで考えていく方針であるというのですけれども、どういうような形を考えておられるのですか。
  36. 松井直行

    政府委員松井直行君) まだ固まった構想があるわけではございませんが、私個人的な考えでありますが、このままの形で公共性を加味して残るとは考えられないと思います。最終的に、全く自由な市場でありますので、ほかの機関投資家あるいは一般投資大衆にはめ込んで、この組織が消えていくか、あるいは脱皮といいますか、衣を変えまして新しい形、たとえば新しい形の投資信託と、たとえばです、そういう形で脱皮していくかということに相なろうかと思いますが、そのときまでにこの共同証券の残余財産の処分の適正なあり方につきまして、将来まあ脱皮、変形ということばがいいかどうか問題でございまするが、何らか形を変えて存続するか、あるいは消えてしまうべきものか、そういう見通しといいますか、方針をきめざるを得ない時期が三年先にはおそらく来るでありましょうから、あらかじめ前広にそうした存在の意義を変えるときにどんな形で、残余財産にもし利益があるならばその利益はどう配分すべきか、そのときに考えるべきであると、こう考えます。そのときにも少数の資本主のみに利益を独占さすべきでないということは、いまからそのことだけは申し上げられるんじゃないかと思います。
  37. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 もう一つ伺いたいんですが、いま証券局長のお話ですと、三年くらいたてば必ず相当利益が出てくるだろうと、こういうお話ですがね、この共同証券をつくった当時と最近では非常に情勢が変わってきていると思うんですよ。それで、今後の見通しについても、利潤率は今後ずっと低下していくと私は思うんです。で、利潤率の低下ということが株価がなかなか回復しない根本の原因だと思うんですよ。それはいろいろその他にも事情があるんですけれども、いまの資本主義の経済機構のもとでは、利潤率低下ということが株価を低落させていく根本の原因だと思うんです。こういう情勢が簡単に直るものではないし、今後長期的に見ましても利潤率が低下せざるを得ないと思うんですよ。その場合に利益が予想されるということは基本的に私は考えられないのですが、しかし、日本共同証券がずっと欠損を続けちゃ困るから、そこでいろいろ市場操作というものをやって、損しないようにするんではないか、こう思うんです。  もっとも、今後損しないようにインフレ政策をとれば、私は株価も上がっていくと思うんです。ですから、結局はインフレ政策がとられて、そして負債過剰の企業をインフレによってその負債を軽減していく、こうさせていくという政策が長期的にはとられると思うんですけれども、しかし、欠損しないようにいろいろ株価操作をすると思うんですが、また、共同証券ばかりでなく株式保有組合も、株価操作の一つの手段で株価を安定させ、あるいはもっと株価を引き上げていきたいということが目的だと思うんです。  それで、私が前から疑問に思っているのは、いまの証券取引法でそういう株価操作は私は許されていないと思うんですよ。これはもっと根本的に考えるべきだと思うんです。いまの証券取引法の百二十五条を改正すれば別ですが、百二十五条の第二項をお読みになってごらんなさい、どう見たって、日本共同証券とか株式保有組合等をつくって株価操作をすることはできないことになって、いるんですよ。やはり株価は自然の需給関係から自然に安定させるということが主であって、そうした相場操縦については禁止されているんですよ。われわれ常識をもってこの第二項を読みますれば、どう見たって、共同証券とか株式保有組合株価を操作する、それから政府が前に大体ダウ千二百円を目標にして安定させるということは、そういうことは許されていないと思うんですが、どうなんですか。  たとえば第二項の「何人も、有価証券市場における有価証券の売買取引を誘引する目的を以て、左に掲げる行為をしてはならない。  一 単独で又は他人と共同して、当該有価証券の売買取引が繁盛であると誤解させ、又はその相場を変動させるべき一連の売買取引又はその委託若しくは受託をすること  二 当該有価証券の相場が自己又は他人の市場操作によって変動するべき旨を流布すること  三 当該有価証券の売買取引をなすにつき、重要な事項について虚偽であり、又は誤解を生ぜしむべき表示を故意になすこと」  こういう点ですね、前に私は主として第三項について質問したのですね。つまり、「何人も、単独で又は他人と共同して、政令で定めるところに違反して、有価証券の相場を釘付け、固定し、又は安定する目的を以て、有価証券市場における一連の売買取引又はその委託若しくは受託をしてはならない。」、この点を前に私は質問しましたが、しかし、前は「政令で定めるところに違反して」とあるから、政令によって違反することにはならないと、こういう答弁だった。しかし、今度は第二項のほうを見てみますと、それよりももっときつい規制になっているわけですよ。  大体、資本主義のいまの経済の自由企業を原則とするたてまえのもとで、こうやっていろいろ市場操作をして株価を左右するということは、これは禁止されているはずなんですよ。それで、異常の事態であるからやむを得ないと。そんなら、私は証券取引法に何かそういう規定がなければならぬですよ。ところが、どこをさがしたってありませんよ。ですから、やりようによっては、これは非常な大きな弊害を生じますよ。大体まあインベストメント−投資であるといいますけれども、投機−スペキュレーションの面がかなりあるわけですよ。そうして、大蔵省の指示によって、また大蔵省の指導によっていろいろ株価が操作される。また最近では、大蔵大臣が公定歩合のことを怪々に発言したりなんかする。そういうことはみんな株価影響するのですから、もし悪意をもって考えますれば、それは大蔵当局株価を操作してもうけようと思えばもうけることはできますよ。証券業者と結託してやればできないことはありませんよ。ですから、そういう点は厳重にここに規制されているわけです。そういうことは、相場操作の禁止についてはこれに非常にきびしい規定があるのですよ。それと、最近の共同証券とかあるいは株式保有組合あるいは大蔵省株価安定に対するいろいろな指導というものは、どうも私はこれに触れると思われますが、これは証券局長、どういうようにお考えになりますか。
  38. 松井直行

    政府委員松井直行君) 非常に長い広範なお話でございますが、最初のほうからお答えしたいと思いますが、三年先に共同証券は必ずもうかると私は申し上げられないと思います。厳格に申せば、もうかる確率半分、損する確率半分というのが正確じゃないかと思います。  それから、もう一つ、現在の株価を決定します要素といたしまして、需給関係はこういう方法で幾ぶん救済と申しますか、安定化の措置はとったが、なお下がっておるじゃないかという成瀬委員の御質問にも関係するのですが、株式の実体価値と申しますか、企業の収益が投資という形で出資した人に返ってまいりますが、資本利子の源泉になります企業の収益力が落ちておるということが、非常に大きな株価を決定する要因になっておるということは、もうおっしゃるとおりであろうと思います。ただ、との企業収益力が一体いつどんな形で回復するかせぬかということは、これは長い口で見た日本経済の運営に関する基本的姿勢の問題であろうと思いまして、私個人ではここでは何とも申し上げられませんが、一応過剰投資後のデフレ的な調整時期が済めば、いつまでもそうした悲観的な状態にあろうとはわれわれは考えておりません。この調整期間はおそらく半年や一年かかるかとも思いますが、こういう苦難の時期を乗り越えるときには、また明るい時期が来ることは間違いないとわれわれ信じております。あわせて、企業家といたしましても、実に変なことではありますけれども、やはり利潤を大事にする必要があるんだという、本来企業家というものはそういうことであるべきなんですが、大いなる反省というものが徹底もいたしておりますし、虚偽の粉飾決算をすることでもって投資家をだますということは、長い目で見て必要な長期の資金を企業に集める方法でないということにつきましても十分反省をいたしてきておりますので、そこはそう悲観的にばかり考えるよりか、ある程度明るい見通しがあると信じております。  それから、最後の株価操作の問題ですが、この共同証券なりあるいは保有組合なりが相当な借金で株式をかかえておる、このことのために、こういう特殊な機関が損をしないために、さらにまた株価操作が行なわれるかもしれないという意味に私解したのでございますが、まあ株価操作一般につきましては、これは何人もやってはいけないということでありますので、当然でございますが、この共同証券とかあるいは保有組合のためにのみ将来また株価操作が行なわれるということは全然考えておりません。で、これは証券市場一般の機能の低下なり破壊なり、さらに一そうの不安をかもし出すおそれがあるということに相なりますれば、去年やりましたような共同証券とかあるいは保有組合とかいうような、あるいはそういうものに類似した措置はまたとられることはあり得るにいたしましても、それは一般的な証券の流通市場の機能の回復ということを目ざしてやるわけでありまして、いまたまたまつくってしまったこういう機関の損失を考えてさらに二重、三重の株価操作をやるということは、われわれ全然考えておりませんし、そうあるべきものとは考えておりません。  それから、第四番目に、この百二十五条の解釈でございますが、第三項は、これは先般もここでもお話ししたかと思いますが、まあ増資とか売り出しだとかあるいは有価証券を一般大衆にはめ込むときの問題である、したがって共同証灘の設立その他とは関係のないことでございます、という説明を申し上げたとおりでございます。それなら、第二項に触れるおそれはないかという問題であろうかと思いますが、御存じのように、この共同証券というものは、先ほども申し上げましたように金融界とか証券界などの協力とその資金によってできました証券業者リーダーでありますから、それは単に一企業の利潤追求ということではなくて、証券市場需給バランスをはかるという目的でもって、一定の投資判断に基づいて買い付けを行なっておるものでありまして、ここにありますように、売買取引を誘引する目的をもってやっておるものとはわれわれ考えておりません。のみならず、ここに申します売買取引誘引の目的と言いますのは、われわれはこういうふうに解釈いたしております。自分の利益をはかるために作為的に相場を形成し、そして一般投資大衆をして売買取引に参加させようとする、そうした意欲的な目的をもってやるというふうに理解しておるわけでありまして、共同証券の活動は、こういう意味におきましては、市場に対する一種の干渉と申しますか、介入というふうに解釈されるおそれもなきにしもあらずでございますが、先ほど申し上げましたような考え方に立ってできた機関でございますし、その買い付けの態様をごらんになってもおわかりになりますとおり、こうした誘引の目的、利益をはかるために操作する機関でもなし、あるいは市場に介入するものでもなし、私は一機関投資家として自由な市場の取引を通じて市場に参加するという形をとって活動しておるものと、こう信じております。
  39. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは最後の答弁答弁になっていないですよ。結論として結局売買取引を誘引するようにしなければ、共同証券だって、あるいは保有組合だって、意味がないじゃないか。それによって株式の低落を防ぐことによってほかの一般の投資家が株を買うようにする、そういうことが目的であるわけですよ。それでまた、単なる個人業者として、証券業者として売買をやっていると言いますけれども、しかし、普通の証券業者とは違うわけですね。いわゆるある政策目的を持って政府もいろいろバックいたしておるわけでしょう。それからまた、いろいろ指導もしているわけですよ。ですから、いろいろ弁明しなければならない立場にあることはわかるのですけれども、もっとすっきり何とか証券取引法を改正して、はっきりそういうことができるようにするか、あるいはそうでなければ、こういうことをさせないで、もっと自由な売買に——暴落してしまったっていいじゃないですか。需給関係から下がるのなら、それはいたし方がない。無理に何か千二百円なら千二百円を維持したいというようないままで指導があったわけですよ。そうして、じゃ一般の投資家は千二百円はもう心配ないだろう、そういうので買った。ところが、その後また下がって損をしたということになるわけです。それだから一般投資家に非常な不安を与えているわけです。政府がそういうことをやらなければ、一般投資家も警戒して株を買わなかったかもしれない。ところが、ダウ千二百円を維持するのじゃないかということも流布され、政府も大体そういう指導をしたようです。このごろはあまり千二百円、千二百円と言わないようになりましたけれども。  それで、何かそこにもっとはっきりと法律的根拠を私は定めなければいけないのじゃないかと思うのですよ。これを率直に読んで、だれだっていまの共同証券なり株式保有組合のやっていることが相場操縦でないとは言えませんです。だから、こうこうこういう場合には、たとえば日本経済の安定を阻害させ混乱させる、そういう場合にはこういうことができるのだという規定でも何かあるなら、それはまた別ですよ。いまのことは、日本銀行の佐々木副総裁が「日本共同証券に対し日銀が直接融資することは、法律上できないことはない。しかし、いままでやっておらない。しかし、それをやるときには非常事態で、恐慌になるおそれがあるような場合は、日銀が直接融資したこともある」ということを答弁されましたが、何かそういう恐慌になるおそれがあるときは何かこういう機関を設けて安定させることができるとかなんとか、そういう規定があるならいいですよ。ところが、そういう規定はないのですから、こういうことを予想しなかったと思うのですよ、これをつくるときには。こういう事態になったら、何かそういう規定でもないと、どう見たってわれわれはこの百二十五条に共同証券でもあるいは株式保有組合の操作でも違反すると考えざるを得ないのですよ。いまいろいろ御説明されたのを聞くと、どうも納得できない。これはもうアブノーマルの状態でしょう、こういう機関があるということ自体がすでに。これは自然の株価の価格形成はできっこない、こういうものがあれば。ずっと長い間こういうものが二年でも三年でもある以上は、これは自然の価格形成はできないんじゃないですか。だから、非常にそこは矛盾していると思います。その点をどういうふうに思いますか。
  40. 松井直行

    政府委員松井直行君) この証券取引法の百二十五条にもありますし、そのほかにもいろいろございますが、およそ一般投資大衆をだますか、あるいはその他の詐欺的な行為でもって利得を得るという行為は、正常な証券取引市場の運営維持に支障があるというわけで、何人もこういうことをやっちゃいけない、証券業者もむろんのこと、だれもこういうことをやっちゃいけないという根本的なノルムといいますかをここでうたっておるということは、まさにおっしゃるとおりであろうと思います。具体的に起こってまいりますのは、私は株価の買い占めをはじめ、ある特定の銘柄につきましてある特定の個人、ある特定の全くの私企業がこういうことをやる、こういう場合のことを予想しておるのだろうと思いますが、今回の共同証券の場合については、その設立の趣旨におきまして、われわれがここで何べんも御説明申し上げましたとおり、この法律が禁止しているような相場操縦を、最初からそのことを目的にしてやろうとしておるのじゃなしに、もっと私利私欲というものを離れまして、資本市場全体の機能回復ということをねらってやっておるわけでありますので、その百二十五条が禁止しておる、百二十五条が守ろうとしておる法益を最初からぶつつぶすということを目ざしてやっておるわけじゃないということを御了解願えると思います。  結果として、共同証券の行為は株価影響を与えているじゃないかということであろうと思います。これは自由な市場におきまして、ある大きな売り手があらわれれば値は下がりますし、ある新しい大きな賢い手があらわれればやはり値は上がるという、一般的な需給関係からきまる現象であろうとわれわれ思うわけでありまして、共同証券につきましては、百二十五条違反という御疑問をお持ちになるのもごもっともと思いますが、当初の趣旨がそうでないという点、できるだけ市場に介入するという形ではなしに、一自由な機関投資家として、ほかの機関投資衣と肩を並べて市場に参加するという形で運用できるようにわれわれ配意をしてきたつもりでありますので、この百二十五条には違反する行為ではないとわれわれはいまでも信じております。  ただ、そういう公共的目的でもって特殊な機関をつくる以上は、法律その他でもって特別法でもつくる、特に百二十五条違反になるかならぬかという疑問を払拭する新しい立法でもしてやればいいんじゃないかというお説に対しましては、われわれ十分考える余地がある問題であろうと思います。ただ、これは諸外国の例を見てみましても、こういう一時的な資本市場需給調節ということのみならず、長い目で見て産業資本の長期資金の調達等につきまして、ある特殊なてこ入れを政府がやるという必要がある場合には、政府が出資いたしておりますまあ持ち株会社ですか、イタリア等におきましてイリをはじめそういう性格の機関がございますが、もしそういうものを当初からねらってやる必要があり、かつ、そうやろうというのでありますならば、おっしゃるとおり最初から明らかに法律でそういう目的を明示し、存在、機能、活動等についてもすべて法律で書きまして、それ以外の一切の法令に触れるおそれのある面をそこで払拭しておくということのほうが誤解を生まない措置であろうと思います。
  41. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 繰り返しになりますからやめますけれども、しかし、いまの株式の相場の実態、またその背景となる日本経済を見ますと、これは一種の恐慌状態ですね。恐慌状態なんですよ。だから、そういう事態においては、共同証券とか株式保有組合等が必要であるというふうに説明すれば、やむを得ないという点が出てくるけれども、政府としては恐慌状態ということを言いたくないと。実際は恐慌状態だと思うのですよ、これに出動しているようなことは。前の特融みたいに、日銀が直接融資をするような一種の特融というのがありましたね。特別融資、恐慌状態、実態はまあそうなんだと思うのですがね。だから、いまの資本主義の経済の波乱を防ぐために、そういう百二十五条に違反してもやらざるを得ないということになってくるが、しかし、恐慌状態であるということは言えない。そういうところから、恐慌状態でないような状態のもとで、一証券会社のような形で出動して株価安定に努力しているけれども、しかし、経済実態がいわゆる地合いが悪いために安定ができないというところにあると思うのですが、それは御答弁要りません、私の解釈で。したがって、いままでの御答弁は、何か一生懸命弁明していますけれども、遺憾ながら納得はできません。これ以上質疑応答しても並行線でむだでございましょうから、私は質問を終わります。
  42. 西田信一

    委員長西田信一君) 速記をとめてください。   〔速記中止〕
  43. 西田信一

    委員長西田信一君) 速記を始めて。
  44. 鈴木市藏

    ○鈴木市藏君 この証券会社の九月末営業状況というものはずっとこれに出ていますけれども、非常に悪いですね。この報告の内容はきわめて悪い。これについて三月期の決算、営業報告も出ただろうと思うのでありますけれども、対照して見たいので、三月期のほうの資料もということを要求したのですけれども、出ませんけれども、われわれの手元には来なくとも、おそらく大蔵省には来ているだろうと思うが、一体この九月期との対照の中で特別に顕著に違いがあるところがあったら、ひとつ示してください。
  45. 松井直行

    政府委員松井直行君) 御存じのとおり、証券会社決算は年一回でございまして、九月が本決算でございます。その報告を資料として御提出申し上げましたけれども、一年決算の場合には、もちろん各会社の内部におきまして自己責任でいろいろ決算をやることもございますが、まあわがほうには正式の書類として本決算と同じような形で来るということはございませんが、何らかの形でわれわれ知ろうと思えば知る余地はございます。
  46. 鈴木市藏

    ○鈴木市藏君 それじゃ、九月期決算資料をもとに二、三質問したいと思うのですけれども、これはきわめて軒並みに悪いですよ。十九社の昭和三十九年九月末営業状況もそうですし、それから、この中でも野村、山一、日興、大和といったような大手四社の状況もきわめて悪いが、これらに対して一体どういう対策を講じようとしているのか。
  47. 松井直行

    政府委員松井直行君) 御存じのとおり、三年間証券界の不況が続いてきております。したがいまして、証券業者が決していい決算を組めるという態勢にないことはおっしゃるとおりでございますが、御存じのとおり三十四年、五年、六年と通じまして非常に大きなブーム期がございまして、証券業者はその期間に雇用人員及び店舗等相当過大な投資をいたしております。これは一般企業の例に漏れず、証券業者自身につきましても非常に大きな投資をやったわけでございます。そのはね返りがいま参りまして、固定費も上がります。したがって、営業経費は高いと。一方、証券の流通市場は沈滞しておりますので、一件当たりの手数料収入も落ちてきている一方、また非常にたくさんの借金をかかえておりますので、この金利負担が重圧になってくるというわけで、営業収支といま言いました金利負担、両方ともが非常に大きな負担になってきているというのがその大きな原因でございます。  したがいまして、証券業者のこれは自己責任による方法でいま進めてもらっておるわけでございますが、企業の合理化をはかることによって、毎月あるいは毎年の経常収支を黒字にもっていくという努力を一日も早くやらねばならないところであります。いま方々の業者がやっておるところをながめてみますと、まず店舗の整理をどんどん進めております。非常に早く進んだところで、店舗といい人員といい、三十八年末が一番のピークだと思いますが、たとえば人員につきましては、証券人口十万人といわれておったものが、いまは七万七千人くらいにまで減っておると思いますが、店舗等につきましても急速に合理化を進めつつありまして、かつ一方、借金でもって手持ちの証券が相当多かったものにつきましては、手持ちの証券を整理する等の方法によりまして借金の返済をはかる。その他不動産投資と申しますか、将来の店舗予定地として地方都市の繁華街等に相当店舗予定地というものを持っておるところもたくさんございます。そういうものを売り急ぎますとむろんえらい損をするということもありますので、適正な値で処分すべくいま鋭意努力しておる。したがいまして、現在の流通市場に大体沿う基礎といたしまして、経常収支に合うところまで過去に行ないました過剰投資を整理していくといいますか、漸次切っていくということにいま全力をあげておるところでございます。
  48. 鈴木市藏

    ○鈴木市藏君 この経理内容の著しく悪いというのは、ひとり証券会社だけの実態ではなくて、これがつまり日本のいわゆる株価というものにあらわされているところのいまの実態の反映だと思うのです。だから、これだけでどうのこうのということはできませんと思いますが、問題点となって一般の投資家がそのことを心配をしているので、この対策について聞くんですけれども、四月十八日の朝日新聞によると、六月に償還が予定されておるところの投資信託の中で、あるいはまた七月に予定されている投資信託の中で、岡三や野村、山一や大証の持っているものが四千五百円ないし四千三百円というような値段を示しているわけですが、この一体償還期限が来たとき、投資信託はずっとそのまま償還しないで継続していくのですか。いまの状態でどういう見通しを持っているか。
  49. 松井直行

    政府委員松井直行君) 現存のユニット型の投資信託は、過去、運用期間が大体二年くらいから出発しまして、いまは五年に相なっておりますが、五年目が来て、いよいよ償還時期というか、解散する時期になりまして、その期中の収益の分配はございましたけれども、いよいよ解散するときの償還金が、解散時の口数で割ってみた一口当たりの償還が五千円を割っているという場合には、投資信託の約款にございまして、投資家のために有利だと考えたときには、投資信託の委託会社がさらに一年延長できるということに相なっております。むろん、一年延長してもなお回復する見込みがないから、いまたとえ損であってもここでおりたほうがいいという投資家につきましては、むろん、そのときに解散してそのユニットから逃げていくということも自由ではありますけれども、一応、五年の運用期間が過ぎましたときには、さらにいまもう一年投資家のためにそのまま続けて運用したほうがいいかどうかということが許されることに約款に相なっておりまして、投資信託に入るときにその点約款を承知してお客さんは入っているわけでございます。  お示しのとおり六月ごろまではまだ元本はあるいは下がろうと思いますし、その後の株式市場の動きがどうなるかによっても相当変わってまいると思いますが、いま申し上げましたように、七月以降の分につきましては、なかなか元本を回復してお返しするということが非常に困難な情勢にあるということはおっしゃるとおりでございますが、そのときに投資信託の委託会社といたしましては、前広にわかっている投資家にアンケートでも出しまして、投資家の意向がどこにあるのか、投資家はおそらくこの半年で市場は回復すると見るか、一年で回復すると見るか、いろいろな見方の違った投資家もあろうかと思いますが、大方の、できるだけ数多くの残っている投資家の意向をくむことによりまして、さらに一年延長するかどうか、投資信託委託会社に決定させたい、こう考えております。
  50. 鈴木市藏

    ○鈴木市藏君 いまそう考えているという、そういう行政指導をやっているわけですね。現実にはどうなんですか。
  51. 松井直行

    政府委員松井直行君) すでに投資家と投資信託委託会社との間の約款においても、一年は延長できるという契約がございますので、少し延長したほうが適当であると委託会社考えたときには、もうすでにお客さんも了解しているところでありますので、われわれといたしましても異存のあるところではありません。投資信託の約款に従って、何が投資家に一番有利か、投資家の期待に沿えるものかどうか、委託会社の判断にまちたいということでございます。
  52. 鈴木市藏

    ○鈴木市藏君 過去にもそういう事実がありましたか。
  53. 松井直行

    政府委員松井直行君) 過去にも、二十九年、あの当時はたしか投資信託のユニットの運用期間は二年か長くて三年であったと思いますが、さらに一年延長し、あるいはもう一年延長するということをもちまして、結局は元木を割らずにお客さんに償還し得たという経験を持っております。
  54. 鈴木市藏

    ○鈴木市藏君 二十九年でしたか、その場合は。その二十九年のときとこの今日のような状況の判断の違いですよ、大衆融資家の。それは先ほど同僚委員からもいろいろ疑問が出ているように、株式がいわば一種の恐慌状態に入っているようなときに、二十九年のときのようなぐあいになかなかいかないのじゃないか。もしそういう場合に償還を迫された場合に、どういう処置をとろうと思われるのか。つまり、あなたの言うとおりに一年間の延長を、約款があるからそれに従ってやるという、そういう一点ばりでいくのか、何かもっとほかの形をとった行政指導が行なわれるのか、この辺のところをみんな聞いているんです。どうするつもりなんだろう。実際、あんた、元本五千円で四千三百円と言ってんですよ、いま。そういうものもあるわけですよ。四月十八日出ていたのを見ると、七月償還のあれは四千三百円。こういうものについて、どういう一体大蔵省行政的な考え方をしているのか、これを聞いてくれというのがずいぶんあるんですよ。それは、あんたが言うように、一年延長するということ一点ばりなのか、それももしその先行きについても見通しがなかなか思わしくない、これを返せというふうな場合が来たときは、どういう処置をとるのかということをみんなが聞いているんです。
  55. 松井直行

    政府委員松井直行君) 先ほども申し上げましたとおり、投資信託委託会社証券投資会社が、一般の大衆から金を預かりまして、これを自己の責任で運営しているわけでございますので、投資会社自身の運用計画その他につきまして、政府がこれに介入するということは不適当であろうと思います。どこまでも一企業としての投資会社の判断なり、あるいはこれに投資をいたしております投資家の自由な責任ある判断でもって行動していただくというのが原則であろうと思います。先ほど申し上げましたとおり、一年延長するといいましても、無理やりにみんな一年引っぱっていくというわけではございません。そのときに、たとえ四千五百円なら四千五百円になっておっても、そのまま償還でおりてしまって、新しい投資先を見つけよう、あるいはいまの株価が非常に低いというんなら、新しく設定される投資信託にまた乗りかえていこうという投資家がありますならば、たとえ一年延長ということに大部分の人がそうきまりましても、投資家の判断で、そこでおりて、新しい投資対象を見つけるということも自由にするという選択の余地を残しておくことによりまして、投資家を不当に拘束しないという措置をとるのが一番適当じゃないかと、こう考えております。
  56. 鈴木市藏

    ○鈴木市藏君 投資信託の問題については大蔵省考え方がわかりましたが、もう一つ運用預かりの問題。運用預かりの状況はそれぞれの会社によってずいぶん違った形が出ておりますけれども、これについての大蔵省は検査をしたんでしょうから、検査の結果、これをひとつ知らしてもらいたい。
  57. 松井直行

    政府委員松井直行君) 昭和四十年二月末の運用預かり有価証券の運用状況について申し上げます。  運用預かりの総額は、地方債、特殊債、社債、合計いたしまして二千七百七十億に相なっております。このうち借り入れ金の担保の差し入れとして使われておりますものが合計二千八十八億、コールマネーに六百三十六億、銀行等に五百五十五億、信連に二十六億、その他に八百六十九億、合計二千八十八億ということに相なっておりまして、担保差し入れとして運用いたしておりますのは、先ほど申し上げました運用預かり総額の七五%でございます。したがいまして、その差額の二五%は、支払い準備として証券業軒がいつでもお客さんの返還に応ぜられる用意として二五%前後の現物を保有いたしておるということでございます。
  58. 鈴木市藏

    ○鈴木市藏君 営業成績に出てくる預かり有価証券というものの中にも入っておりますか、これ。
  59. 松井直行

    政府委員松井直行君) おそらく証券会社バランスシートの預かり有価証券という欄をおっしゃっておることと思いますが、運用預かり証券と、普通の借り入れ証券を合わせております。信用取引その他で入っております証拠金としての代用有価証券は、別の、項目に相なっております。
  60. 鈴木市藏

    ○鈴木市藏君 運用預かりの制度というのは、今回の法改正でもやはりいままでと同じように自由なわけですね。やれるようになっているわけですけれども、この運用預かりというのは一体、将来やはりこういう制度はこのまま存続させていくのか。それとも、これは一般の金融業者とまぎれやすいという面もあって、整理していく方向に向かうのか。この運用預かりの問題についての見解を聞きたい。
  61. 松井直行

    政府委員松井直行君) 二つの面から考えてみる必要があると思います。主として金融債が対象になっておるわけでございますので、金融債を発行いたします長期信用銀行資金調達のあり方、これを消化いたします大衆が金融債を持ちましたときに、さらにそれを品貸しするチャンスがありまして、表面金利以上に有利に回るという形で金融債が消化される、そういう発行着側、それから消化者側の事情もございますので、いま一挙にこういう運用預かりの制度を廃止して何の混乱も起こらないかどうかということは、そういう面からも検討する必要があるのではないか。  もう一つは、証券業者の金融ルールのあり方という観点からでございます。現在は、正規のルールとして取引銀行から借りる。これが一番いい方法でございますが、そのほかにコールをとる。それから、最後に、こういう運用預かりという形で証券寄託を受けまして、証券業者がこれを担保に資金調達ができるというのがこの運用預かりでございますが、いわば投資家から無担保の借り入れ金——借り入れ金じゃありません、借り入れ有価証券ではありますけれども、いつでも有利に借金の担保に使えるという意味におきまして、あたかも一般投資大衆から預金を集めるに近いという、少し法律的にはいろいろ問題がありまして、そう申し上げるのは適当でない面もあります。いわゆる無担保の借り入れ金をするに近いということでありますので、証券市場が非常にわいてまいりまして、証券業者自身が投機的な活動をやろうというときには、こういう道でもって不当な資金証券市場に相当流れ込むというようなおそれも考え合わせますときには、証券業者の正常な金融のあり方としまして大いに検討を要する問題であろうと思います。  将来、いまの証券取引法の改正でお願いいたしております証券業者を免許制に変えるということで証券業者の信用力を一そうつけよう、財産的基礎を強固にしようというのがねらいでありますので、証券業者の自己資本の充実はむろんのこと、外部から借り入れる必要がありますときには、証券業者に信用がついてまいりますと、やはり正規のルールで取引銀行から金を借りる、あるいは短期の金はコールをとるということに将来は集約されるというのが好ましい状況であろうと思います。そういう観点に立って、証券業者の商売のしっぷりともこれは関連してまいるわけでございますし、業容の大きさとも関連してまいるわけでありますが、証券業者の正常の業者金融というものがどうあるべきかという観点の問題は、先ほども申しておりますとおり、おっつけまた検討しようという大きな課題になっておりますので、その中で、証券業者の正常金融のあり方という課題の中でこの問題を解決していきたいといま考えております。
  62. 鈴木市藏

    ○鈴木市藏君 方向としては、やはりこの運用預かり証券のこういう制度は次第につまり整理していくというか、廃止していく方向に向かうと、こう理解してよろしいですね、大蔵省考え方は。
  63. 松井直行

    政府委員松井直行君) 繰り返しますが、いわばお客さんから無担保で預かるという形でございますので、こういう面でもって証券業者が金融の大部分を占めるということは不健全であるということは、おっしゃるとおりであります。したがって、できるだけ正常の証券業者金融ルールに乗っけていくという方向で整理してまいりたい、こう思っております。
  64. 鈴木市藏

    ○鈴木市藏君 そうすれば、具体的に聞かなければならないのです。正常のというのはどういうことなんです。正常のルールというのはどういうことなんです。
  65. 松井直行

    政府委員松井直行君) 消化いたしました金融債をそのまま預かりまして、現在非常にわれわれは禁止いたしておりますが、従来あった悪い例といたしましては、それを売ってしまう。それを担保に提供するならばいいんですが、証券業者が売ってしまうというようなこともございましたのです。いまはそういう面がないように、運用預かりの本来の性格がゆがめられないように、必ず担保にしか使えない、それから支払い準備として二割以上は必ず持っておりなさいと。それから、最終的には、この法律にもございますが、証券業者が外部から借金できる借金の総額を、自己資本の何倍という形で総額を押えるということでもって、最後の歯どめをそこへ置くということでもって、不健全な金融というか、それがまた証券市場に投機的な傾向を及ぼすことにもなるおそれのある資金でもありますので、資金の総額をそこで抑えるということでもって最後の担保を取ることにしておるのですが、その中でも質的にいい金融というのは、やはり正常な取引銀行を相手にしてそこから金を借りるということであろうと思います。
  66. 鈴木市藏

    ○鈴木市藏君 これはあれでしょう。債券は無記名でしょう。無記名。いわば隠し金みたいなものに使われているわけです。ですから、これはかなり、もしこれをこのまま置けば、証券業者にとっても運用上きわめて妙味があるというのが、悪いことばでいうならば、あなた、隠し金的な存在として活用できるわけです。他のものに幾らでも活用できる。そしてその監督のしようが十分に、大蔵省としても所在をつきとめて監督のしようができにくい。言うならば、これはまあ証券業者がやはりやみ的な金融業者と同じようなやり方ができる抜け穴にも使われている。こういうものを存続しておいて証券業の健全な育成発展ということは考えられないじゃないか。だから、今回の法の改正でも、制度的なことを盛んに言っているのだけれども、こういうつまり内部的な問題としてやられている運用預かり、こういうものをこのままにしておいて、証券市場が正常に発展していくということは、これはちょっと考えられないので、これはいまのあなたの答弁では、何か方向としてはわかるような気がするのだけれども、具体的な点になると、やはり正常化というような点でもってぼやかしてしまうので、私なんかの、これは質問の範囲をちょっと越えるかもしれないのだけれども、個人的な意見だけれども、これやめたらいいと、はっきり。やはりこういうつかみどころのないもの、こういうふうなものを残しておくということが、そもそも不健全な要因を積み重ねる幾多のあれにもなるわけだから、この際大蔵省としてはもっとはっきりとこれを改めるという方向に踏み切るべきじゃないかと思うのですよ。
  67. 松井直行

    政府委員松井直行君) 金融債の発行者、まあ消化者の事情もあることは先ほど申し上げました。いまの証券業者の側につきましても、現実にこれを担保にいたしまして営業が回転しておるという状況でございますので、いまにわかに断ち切るというようなことはできないということはよくおわかり願えると思います。基本的方向としては、いまおっしゃるとおり整理すべきものであると私も考えております。いつどんな形でフリクションなしにそれじゃこれにかわる正常な証券業者金融がつくかどうかということともあわせて考えねばならない問題でありますので、先ほどそう申し上げたわけでございます。このもの自体につきましては、やはり不健全になるおそれが多分にあるものでありますので、整理すべき方向のものと私も考えます。
  68. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 この中には政令というのですか、省令というのですか、そういうようなものに譲るというのが多いわけですが、これを一つ一つ聞いて、御答弁願って、そうしていくというのも審議のしかたかもしれませんが、もし、いや、こういうようなものについてはこういう要綱ができておるというようなのがあれば、資料としてお出し願ったほうがいいと思うのですが、どうでしょうか。
  69. 松井直行

    政府委員松井直行君) 政令で何を書くかというねらいはきまっておりますが、どういう方向で、また金額につきましても、金額をきめねばなならないところもありますので、まだきまっていないものもたくさんございますので、できれば、趣旨を尽くす意味におきまして、説明さしていただくのが適当であろうと思いますですが。
  70. 西田信一

    委員長西田信一君) 他に御発言もないようですから、本案につきましては、本日はこの程度にいたします。  これにて散会いたします。    午後零時五十八分散会      —————・—————