運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1965-04-08 第48回国会 参議院 大蔵委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年四月八日(木曜日)   午前十一時四十分開会     —————————————   委員異動  四月八日     辞任         補欠選任      中尾 辰義君     浅井  亨君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         西田 信一君     理 事                 西川甚五郎君     委 員                 青木 一男君                 大竹平八郎君                 栗原 祐幸君                 津島 壽一君                 林屋亀次郎君                 日高 広為君                 堀  末治君                 木村禧八郎君                 佐野 芳雄君                 野溝  勝君                 浅井  亨君    国務大臣        大 蔵 大 臣  田中 角榮君    政府委員        大蔵政務次官   鍋島 直紹君        日本専売公社管        理官       半田  剛君        大蔵省主税局長  泉 美之松君        大蔵省理財局長  佐竹  浩君        大蔵省主計局次        長        鳩山威一郎君    事務局側        常任委員会専門        員        坂入長太郎君    説明員        日本専売公社総        裁        阪田 泰二君        日本専売公社販        売部長事務代理  斎藤 欣一君        日本専売公社製        造部長      星子  大君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○財政法の一部を改正する法律案内閣提出、衆  議院送付) ○製造たばこ定価法案内閣提出)     —————————————
  2. 西田信一

    委員長西田信一君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  中尾辰義君が辞任され、その補欠として浅井亨君が選任せられました。     —————————————
  3. 西田信一

    委員長西田信一君) 去る四月一日衆議院から送付せられ本委員会に付託せられました財政法の一部を改正する法律案、及び去る三月二十三日本院先議として提出せられ本委員会に付託せられました製造たばこ定価法案、以上二件を一括議題といたします。  財政法の一部を改正する法律案につきましては、衆議院におきまして修正議決されておりますが、その修正点は、附則の「この法律は、昭和四十年四月一日から施行する。」とあるを、「この法律は、公布の日から施行し、改正後の附則第七条の規定は、昭和四十年度分の予算から適用する。」と改めるものでございます。  それでは、両案を一括審議に入ります。御質疑のおありの方は順次御発言願います。
  4. 日高広為

    日高広為君 製造たばこ定価法改正の問題でございますが、先般提案理由説明をお聞きいたしまして、まことに適切な方法だと考えております。この機会総裁にちょっと質問いたしたいと思いますが、今回の改正によりまして専売納付金というものにどれくらいの影響があるのか、まずこの点をお伺いいたしたいと思います。専売納付金にかかってくるかどうか、どれくらい影響があるのかどうか。
  5. 半田剛

    政府委員半田剛君) 今回の改正によって専売益金には影響はございません。
  6. 日高広為

    日高広為君 私は、ここ数年の専売公社運営を見ておりますと、まあ専売納付金というものはやはり毎年毎年きちっと予算どおり納めておりますが、もうほとんど小売り価格というものは上げておらないという形跡が出ております。きわめてけっこうなことでありますが、やはりこういうような物価労賃値上がり等に関しましては、たばこ原料のほうは相当の値上げがある。それに比較いたしまして、小売りいたしますところの製造たばこのほうはほとんど上げておらない、こういうことですが、そういうようなことはどこで操作しているのか。専売全体の関係ですから、この機会にどなたからでもけっこうでございますが、お答えをいただきたいと思います。
  7. 阪田泰二

    説明員阪田泰二君) 御指摘の点、あるいは専売事業にとりましては一番現在むずかしい問題であるわけであります。結局、御指摘のように、葉たばこ価格あるいはその他諸原材料、あるいはたばこ製造に要しまする労務費、こういったようなものは、物価労賃水準が上がってまいりますと自然上がってくるわけでありますが、製造たばこ定価は据え置いておりますので、その間どうしても利益率といいますか、益金の率が下がってくる、こういう現象はある程度はどうしても出てくるわけでございます。それに対しましては、一方から申しますと、たとえば工場の能率をあげるといったような方法、これで労務費その他諸掛かりの負担の低下をはかるというような努力をいたしておりまするし、また、たとえば原料葉たばこにつきましても、これは葉たばこ価格そのものが上がってまいりますので、できるだけ原料葉組み等につきましてもくふういたしますとか、また歩どまりの向上といったようなことにも配慮いたしまして、この方面でできるだけのことはいたしてまいっておるわけでございます。それ以上どうしても経費率といいますか、原価率として上がってまいります点は、結局、総体売り上げがふえていくということによりまして、総体益金も、利益率としては多少減ってはおりますが、益金の額といたしましては毎年多少ずつでもふえていくように結果としてなるといったように、現在までやってまいってきておるわけであります。  将来の問題といたしましても、大体そういうようなことで専売事業の能率的な経営ということには一そう努力しなければならないと思いますが、やはり売り上げがある程度ふえていくということが益金を確保していくことにはやはりどうしても必要かと考えておる次第でございます。
  8. 日高広為

    日高広為君 ことしの収入面におきましての予算はどれくらいになっておりますか、四十年度は。
  9. 半田剛

    政府委員半田剛君) 千六百四十億でございますが。
  10. 日高広為

    日高広為君 昨年は幾ら
  11. 半田剛

    政府委員半田剛君) 三十九年は、補正後でございますが、千五百八十億でございます。
  12. 日高広為

    日高広為君 先ほどの総裁の答弁でもう一回質問いたしたいのは、現在、製造たばこ値上げはしないでそのまま据え置いて、売り上げ率によってこれをまかなっておるというような話ですが、売り上げ率増加というものは昨年とことしはどれくらいの対比、比率が出るのか、四十年度はどれくらい考えておるのか。
  13. 阪田泰二

    説明員阪田泰二君) 製造たばこ売り上げ増加率につきましては、大体、三十九年度は八年度に比べまして定価額で一割程度増加になっております。大体、来年度におきましてもその程度の率で増加するというふうな見込み計画を立てておるわけであります。
  14. 日高広為

    日高広為君 一〇%という話でしたが、金額にいたしまして、三十九年度、四十年度はどうなりますか。
  15. 阪田泰二

    説明員阪田泰二君) 三十九年度のたばこ売り上げ定価額で申しますと、製造たばこ売り上げ四千六百三十九億でございます。大体、実績におきましてもこれをごくわずかでありますが上回る程度売り上げをあげましたので、四十年度は五千百二十四億という売り上げ見込みを立てております。
  16. 日高広為

    日高広為君 わかりました。私が申し上げておりますのは、一割という金額はどれくらいになりますか。それを計算したのあるでしょう。三十八年、三十九年と四十年見込み
  17. 阪田泰二

    説明員阪田泰二君) 三十八、三十九年度の売り上げ増加は四百二十億でございます。それから、四十年度の増加が五百億くらいでございます。
  18. 日高広為

    日高広為君 そういたしますとね、専売益金から見ますと千六百四十億と千五百八十億、そうすると増加額は。
  19. 半田剛

    政府委員半田剛君) 専売益金関係は、先ほど申しましたとおり、三十九年度は補正後におきまして千五百八十億、四十年度が千六百四十億、その差額が六十億、こういうことでございます。
  20. 日高広為

    日高広為君 そういたしますと、先ほどの売り上げ増というものが大体五百億ということで、一〇%の比率で五百億、専売益金は六十億ということになりますと、あとの四百四十億ですか、これは大体どういうふうに運営される計画ですか。
  21. 阪田泰二

    説明員阪田泰二君) ただいま監理官のほうからお答え申し上げましたのは、納付金増加につきましての数字でありますが、専売益金といいますか、これは実質的には、地方たばこ消費税として地方財政に行きますものと、納付金として国の財政に入ります分と両方あるわけです。両方合計いたしますと、これが三十八年度では二千五百五十五億、三十九年度では二千六百四十二億、四十年度では二千八百二十九億、大体二千八百三十億といったような額になっておりますので、いま御指摘の三十九、四十年度の増加額といたしましては、二百億くらいの増加になっておるわけでございます。
  22. 日高広為

    日高広為君 そういたしますと、先ほどの四百二十億ないし五百億という、一〇%の割合は、これは地方税のやつも含んでですね。
  23. 阪田泰二

    説明員阪田泰二君) それは御指摘のとおり製造たばこ売り上げ定価額でありますが、その中から消費税納付金も払っておる、こういうことでございます。
  24. 日高広為

    日高広為君 そこで、私の質問の要旨からいたしますと、大体納付金を対象にして二百億の伸び率ですから、大体あとの百四十億なんというのは運用の町で、ほかの労賃とかそういう値上がりを見込んでいるわけですか。
  25. 阪田泰二

    説明員阪田泰二君) これはもちろん売り上げ高増加いたしますが、それと同時に売り上げがふえるわけでありますから、それに対する原価がふえてくる。まあ量的にふえてくる面もありまするし、価格水準として上がってくる面もあると思います。そういうようなことでコストがふえるわけでありますが、さらに納付金等納めます場合には、専売公社法にございますように、毎年の設備投資額、その増加額差し引きまして納付金を算定しておりますので、毎年の設備投資額のいかんによりましてまた納付金に多少影響してくる面がございます。製造原価、 コスト増加と、そういった建設費新規投資増加率と、二つの面で総体売り上げ増加額から差し引き分が出てくるわけであります。
  26. 日高広為

    日高広為君 時間がございませんので、次に質問いたしますが、今回の改正によりまして、いままでは各新しくできる品目ごとにこの法律案を出しておったと。今回は一級、二級、三級というこういうような級別にやっておきますと、その範囲内で専売公社で適当にできるということですね。
  27. 半田剛

    政府委員半田剛君) 大体そのような趣旨でございます。
  28. 日高広為

    日高広為君 そこで、お伺いいたしますが、これはそういうことになりますと、私がいまから申し上げますことが非常に問題点が残ってくるわけですが、たとえばここの法案の中に書いてありますが、「公社が、特に上質葉たばこ主原料に用い、精選した他の原料葉たばこと配合して調製した紙巻たばこで、高級銘柄としての特色及び品位を保つものを製造したときは、その最高価格は、前項の規定にかかわらず、十本当たり七十五円とする。」、こういうことになっている。そこで、十本当たり七十五円とすることはけっこうなんですが、ここで問題になりますのは、やはり高級銘柄としての品位を保ち特色を保つためには輸入ということが考えられるのじゃなかろうかと思うのです。したがって、こういうことによって予想される輸入というものはどれくらいになっておるのか、また、それは昨年と対比してどれくらいにふえているのか減っているのか、その点をひとつお伺いいたします。
  29. 半田剛

    政府委員半田剛君) 輸入の増減、これはあとから公社から説明あると思いますが、ただいまの日高先生の御質問の一条二項でございますが、これは項を別にして、表から別格にしてありますとおり、日高先生いまお読みになりましたように、特に上質葉たばこ主原料に用いたものにつきまして十本当たり七十五円というものを、特に最高価格を定めましたのは、これはあくまで例外的な規定という意味なのと、また実際にその趣旨で項を別にしたのでございます。ただいま外国からの製造たばこ輸入が相当の量にのぼってございます。そこで、十本当たり七十五円と申しましたのは、外国から参ります製造たばこのうちの上級的なものが大体二十本入り百五十円でございます。それをめどといたしまして、やはり日本におきましても、公社で鋭意研究中でございますが、これに匹敵するような高級な製造たばこを製造したいという要望もありまして、しかし、それは例外的であるということで、この一条二項に加えたわけであります。したがいまして、ただいま日高先生の御心配の輸入葉たばこがそれによって影響を受けるというのは、ごく微々たる量になるということに思っております。
  30. 日高広為

    日高広為君 現在の輸入葉購入費内地葉購入費金額がわかりましたら、この機会にお知らせ願います。
  31. 半田剛

    政府委員半田剛君) 外国葉たばこ購入費は、三十九年度の予算といたしましては百四十一億八千四百万円でございますが、四十年度に予定してございますのは百九十五億二千七百万円、したがいまして、その差し引きは五十三億四千三百万円の増加と、こういうふうに見込んでおるわけでございます。
  32. 日高広為

    日高広為君 内地葉は……。
  33. 半田剛

    政府委員半田剛君) 同様に内地葉たばこでございますが、内地葉たばこ購入費は、三十九年度の予算では八百四十三億千四百万円でございます。四十年度の予定は九百八十一億九千百万円、したがいまして、その差額は百三十八億七千七百万円の増加と、こういうふうに相なっております。
  34. 日高広為

    日高広為君 そこで、お伺いしますが、現在紙巻きたばこだけに外国葉を使うようにこの改正案に出ておるのですが、ほかのたばこにも外国葉を使っているわけでしょう。したがって、大体どのたばこが一番外国葉を使っているのか。その一番使っているうちの、たとえばピースだろうと思うのですが、ピース外国葉を使っている比率はどれくらいか。それから、内地葉を使っているのは、品種はどういうものを使っているか。
  35. 星子大

    説明員星子大君) 外国葉を一番使っております製造たばこ品種葉巻きでございます。
  36. 日高広為

    日高広為君 葉巻き以外でいって。紙巻きたばこでございますね。
  37. 星子大

    説明員星子大君) 富士でございます。
  38. 日高広為

    日高広為君 富士の次は何ですか。
  39. 星子大

    説明員星子大君) 「とうきよう64」でございます。富士外国葉が五〇%です。
  40. 日高広為

    日高広為君 「とうきよう64」は。
  41. 星子大

    説明員星子大君) これも五〇でございます。
  42. 日高広為

    日高広為君 ピース幾らですか。
  43. 星子大

    説明員星子大君) 三〇でございます。三〇%使っております。ピースです。
  44. 日高広為

    日高広為君 この中で富士、「とうきよう64」、ピース、これが紙巻きたばこで占める率というのはどれくらいですか、総体売り上げ富士、「とうきよう64」、ピース。ということは、富士、「とうきよう64」というのは五〇%くらい使っていますね、ピースは三〇%使っていますね。これは平均いたしますと、数字が違うから平均にならないと思うのですが、大体三〇%ないし五〇%外葉を使っている品種というものが総売り上げのどれくらいの率になるのか。
  45. 斎藤欣一

    説明員斎藤欣一君) お答え申し上げますが、全体を千といたしますと、これは三十九年度の実績いままとまったところでございますが、富士が千分の二でございます。「とうきよう64」が千分の三。ピースはこれが両方ございます。普通のピースフィルターのついたのとございますが、フィルターのついたのは、これは販売期が短かった関係もございますが、千分の二、フィルターのつかない普通のピースが千分の百九ということに相なっております。
  46. 日高広為

    日高広為君 ピースが一番多いわけですよね。三〇%使っておりますけれども、千分の百九ということになりますと、大体一割程度ですね。そこで、これはあとで問題になると思うのですけれども、きょう時間がございませんから、この辺でやめますが、やはり国内葉というものを使っていくということが今後の農政的立場から考えましても、専売公社のほうに考えてもらいたいと思うのですが、現在輸入いたしておりますたばこというものを国内産たばこでまかなわれるような品種はないのかどうか、将来そのような品種を現在研究しつつあるのかどうか、さらに今後それはできるだけ内地葉にかえていって、しかも品質は落とさないような方法はないのかどうか、この点につきましてお伺いいたします。
  47. 星子大

    説明員星子大君) ただいま外国から入れております原料葉たばこ内地産に持っていない香喫味原料を生体として入れておりまして、内地産の葉たばこをもってこれに代替しようという研究は、これはもう十数年前から研究いたしておりますけれども、何かそれに代替するような葉たばこができかねておりますので、外国葉たばこを使っているような現状でございます。しかし、専売公社におきましても、できるだけこの外国葉たばこ輸入を減らしまして、内地製造たばこ自身国内産葉たばこをもってかえたいという努力はいたしておりまして、品種の問題、たばこ耕作法の問題、続けて研究いたしております。
  48. 日高広為

    日高広為君 最後に、現在輸入いたしております外葉平均価格はどのくらいか、一番高い値段で買っている品評、その量、比率でけっこうです。一番安い値段で買っている量、比率でけっこうです。現在輸入している葉たばこの中で。
  49. 斎藤欣一

    説明員斎藤欣一君) 大体の様子を申し上げますと、一番高い葉たばこと申しますのは、これはたとえばアメリカ、それからギリシアトルコローデシア、いろいろございますが、おのおのから輸入いたしますたばこの中でもいろいろグレードがございます。そのグレード平均すればいいわけですけれども、その平均したものが、手元の資料がございませんので、申し上げますと、アメリカから買っております葉たばこで一番高いのがキロ当たり九百九十五円、これは三十八年度の契約でございます。
  50. 日高広為

    日高広為君 品種は何ですか。
  51. 斎藤欣一

    説明員斎藤欣一君) 品種黄色種でございます。それから、オリエントの葉たばこ、これは一般的に高いのでございますが、ギリシアから輸入しております一番高いので八百七円でございます。それから、トルコから輸入しておりますもののうちで一番高いものが六百八十六円、ローデシアで一番高いのが五百十三円、安いのが三百六十五円、それから、ほかにインドでございますとか、タイでございますとか、そこから輸入しておりますのは非常に安くなっておりまして……。
  52. 日高広為

    日高広為君 それはいい。平均幾らになるか。
  53. 斎藤欣一

    説明員斎藤欣一君) 大体三百円足らずの値段タイインドから入っております。
  54. 日高広為

    日高広為君 ぼくが言うのは、全体の輸入葉平均単価幾らですか。外葉平均単価は。
  55. 半田剛

    政府委員半田剛君) こちらからお答えいたします。平均いたしますと、大体一キログラム当たり外葉は六百六十一円となります。
  56. 日高広為

    日高広為君 それじゃ、時間がありませんから、あと機会にいたします。
  57. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この提案理由二つになっているのですがね。定価決定手続簡素化する、それから消費動向に即応して製品多様化をはかる、この二つがこの法案提案理由になっているわけですが、このほかにやはり増収をはかるということも改正の一つの目的になってはいないのですか。ただ手続簡素化したり製品多様化をはかるというだけなんですか。それだけだったら、積極的なあれがないように思うのですが、どうなんですか。
  58. 半田剛

    政府委員半田剛君) いま木村委員の御質問でございますが、提案理由はまさにそのとおりでございまして、簡素化多様化でございます。そこで、販売意欲の問題ですが、結果として、ただいまの定価法のたてまえにおきましては非常に煩瑣で、なかなか試製販売というものも、フレクシビリティーをもって、自由性と申しますか、なかなか屈伸性が出ないという点が、今度は非常によくなるという点におきまして、結果として、皆さんにたばこを吸っていただくということによりまして販売収入増加するということは、もちろん政府といたしましても公社としても期待するものでございます。しかし、あくまでそれは結果でございまして、提案理由とは関係ないのでございます。  そこで、木村委員の御質問の、それでは一体この提案理由はあまり積極的なことじゃないじゃないか、たいしたことじゃないじゃないかと申されますが、公社運営にとっては非常にたいしたことなんでございます。簡素化多様化というこの二つがはかられるということは非常に大きな前進でございまして、財政収入をはかるということは別といたしましても、手続上と申せば手続上ですけれども、非常にこれによって能率的になる、こういうふうに私たち公社のほうも信じておる次第でございます。
  59. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 多様化ということと簡素化ということと矛盾しないのですか。
  60. 半田剛

    政府委員半田剛君) 矛盾いたさないと信じております。と申しますのは、片っ方は手続簡素化でございます。御承知のとおり、現行法では非常に手続が、銘柄ごとに一々法律に載せるということになっておりますので、その点におきまして、今回の法案でごらんのとおり、手続簡素化されるわけです。そうしますと、外国におきましては、これは専売局、それから専売局でないところでいろいろ違いますが、共通していえることは、だんだん国民消費にこたえるために製品多様化と、同時にそれが改善化も含むのでありまして、自由自在にというとちょっと大げさになりますが、製品も多くしていく、それから試製販売テスト販売も非常な段階を経ましていろいろ屈伸性をもってやれるということにいたしますには、この手続簡素化ということがあればこそできるわけでございます。片方は手続簡素化、したがいまして、それによるいろいろな製品多様化と同時に、その試製販売屈伸性をもってできる、こういうふうなことでございまして、私たちは矛盾していない、むしろこの両方が相対応していると考えている次第でございます。
  61. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 手続簡素化、これにも問題がありますけれども、国八八のほうの審議を省略するということも、これは簡素化になりますけれども、しかし、これはわれわれとしては必ずしも賛成じゃないのですけれども、しかし、今度は製品多様化の場合、製品多様化といってもどういうふうに多様化するのか。最近の消費動向に対応して多様化するといいますけれども、それじゃ、これは独占ですから、何を目標にして多様化するのか。たとえば外国品が入ってくるのを、それに対して対抗、外国品に対して品質とかあるいはテーストとか、そういうものを改善するということも多緑化でしょう。しかし、多様化によって、それは限界があると思いますけれども、いたずらにただ多様化することによっていろいろな手続が、ほかの作業上のあれが複雑になりますね、いろいろしていけばいままでよりは。単純化するより多様化していけば、そういう作業上の手続は繁雑化してくるわけですね。それは当然だと思うのですよ。  それで、一体、それが専売収益をふやすという目的でやっているのか。それは提案理由にないことですね。しかし、私はそれによって、たとえばここで最高限度をきめましたね、その範囲内で、いろいろなコンビネーションによって増収をはかるということが目的ではないかと思うのですが、そうじゃなくて——これはいろいろな計画はあるのでしょう。何カ年計画というのはあるのでしょう、大体。その計画を言ってください。そしてこの改正によってどのくらいの増収計画をやるのか、それは何らこれと関係ないのか。やはり多様化とかその他のことは、ある程度増収ということと全然関係なくて、どうして——ただ、国民の嗜好に沿うということだけを目的としているのか。大体、軒先制度というのはある程度財政専売でしょう。財政専売ですよ。ある程度じゃない、大部分は財政専売です。収入を、増収目的とするということは、これには含まれていると思うのですよ。  そうなると、問題で、これはまたあと質問しなければならぬと思うのですけれども、私は、むしろたばこ価格の引き下げが問題にされなければならぬと思っているのですよ。というのは、間接税の中でたばこと入場税が一番逆進性が強いのです。だから、そうやって片っ方で増収をはかり、片っ方でたとえば第三種あたりの価格を引き下げるのですね。そういうことによってかなり合理化されると思うのですけれども、そういうことは全然考えていないわけですね。ただ手続簡素化と、それから多様化、これだけが目的なんですか。
  62. 半田剛

    政府委員半田剛君) この法律が成立いたしました暁におきまする公社多様化その他につきましては、総裁から答弁いたすことにしまして、いまの木村委員の御質問増収をはかる目的があるのじゃないかということに対しては、その目的はございません。これをもうちょっと申し上げますと、なるほどいままでは一銘柄ごとでございました。今度はグループごとに分かれますから、五十円、三十、五円、二十五円ということになっておりますので、純理論的に申せば、いまの第一級品に入る中で現行法における価格とのつまり間はあるわけでございます、ある程度の。それを御指摘されたのだと思います。ところが、このことにつきましては、純法律的には、今度の法律改正によって改定が可能じゃないかとおっしゃるけれども、それは実際上はできないわけであります。できないと申しますか、いま等級を同じくしている他の製造たばこ小売り価格との権衡の問題がございます。そしてこれはまた公社からもお答えすると思いますが、そのようにしておいて、たとえグループ別になったといたしましても、ほかのたばこをその最高限度にまで引き上げるということは、商売としてもそういうことでは売れ行きができてこないわけであります。それから、なお、第二条にここに書きましたとおり、全体にやはり公正妥当と申しますか、そういうふうなものさしがここにある。そういうことから見ましても、そういうことがなかなかできるはずはないわけであります。  そこで、この法律簡素化だけでは非常に簡単じゃないかと言われるけれども、簡素化、能率化ということがいままで非常に現行法に、災いというと極端でございますが、非常に縛られていたわけで、簡素化、流動化だけでも非常に大きな進歩であるわけであります。  それから、なおそれに関係しまして、補足説明のときにも申し上げたのでございますが、木村先生おいでにならなかったかもしれませんが、申し上げたのですが、現在行なわれているたばこは、これはこの法律が成立いたしますれば、発効と同時に、等級別のグループをつけまして、いまのままの値段で新たに告示し直す、公示し直す、公告し直すということを考えております。したがって、いろいろ申し上げましたが、現状において改定するというような気持ちはございません。  それから、この法律目的値上げ……。販売意欲の向上によって収入が多くなるということは、これはもちろんだれでも期待することですけれども、この法律によって増収目的とする気持ちはございません。
  63. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ございませんと言ったって、法律上やろうと思えばできるでしょう。制度的にはできることになるのですよ、今度は。どうですか。いまやる意思がなくたって、やろうと思えばできる。そういうたてまえに法律を変えるわけじゃないのですか。
  64. 半田剛

    政府委員半田剛君) 先ほど申しましたとおり、グループ別に分けたのでございますので、たとえば一級品のグループの五十円に達しないものにつきましては、純理論的な、法律上では可能でございます、先生のおっしゃるとおり。しかし、そういうものは考えていないだけでなくて、たばこというものは、一つだけを売っているわけではないわけです。現在のたばこ最高限度のたとえば富士等は待ったなしに五十円で、このままでございます。法律上におきましても、一級品のグループの最高値段です。先生の御指摘は、きっとそれの幅のあるものだと思います。そういうものは、いまも申し上げましたとおり、一つだけのたばこを売って、それで増収しようといっても、全般の値段の権衡からいって、これはこの法律の第二条の趣旨というだけでなくて、あと総裁から説明があると思いますが、専売上というか、販売上におきましても、そういうことで販売というものができるはずはないわけです。したがって、私たちは、単にこれによって増収をはかるということを考えていないというだけでなく、現実にもそれはできないということを申し上げておるのでございます。
  65. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これが自由価格の商品なら、それで満足しますよ。その答弁でいいでしょう。しかし、これは独占価格でしょう。独占価格ですからね。それはある程度いろいろな種類がありますよ。われわれだって、たとえばハイライトがよければハイライトに集中するということはありますけれども、しかし、結局、独占ですから、専売公社がむしろ一つの商品をきめるのです。これは普通の自由価格商品と違うのです。独占であるということ。  それから、法律をこういうふうに改正すれば、実質的な値上げをやろうとすればできるたてまえになるのです。法律がそう変わるのです。それであるからこそ、われわれはここで十分にこの点を重要視しなければならぬわけですよ。いままでとたてまえが違って、上げようと思えばできるのですから。そうすると、一種のこれは増税になるのです。たばこの場合は、一種の税金と同じような性格を持っているのですよ。それは売買の形をとりますから、税金と違うと言うでしょう。しかし、独占価格について引き上げた場合は、引き上げ分につきましては、これはやはりある程度税金と同じような性格を持つわけです。ですから、独占であるということと、それから今度のこの改正によって、引き上げようとすれば引き上げられる、そういう二つの点で、われわれはこの改正案を重要視するわけです。
  66. 阪田泰二

    説明員阪田泰二君) ちょっと私どものほうから、専売事業、それからたばこ販売の実情に即して申し上げたいと思います。  ただいま、最高の価格範囲内で、これより低いものは値上げできるじゃないかというような御指摘だと思います。実際問題といたしまして、たばこ価格は現在、富士は五十円、ピースは四十円とか、そういうふうになっておりますが、それぞれの品質消費者がそれに対してどういうふうに評価するかということに応じまして、たばこ価格体系といいますか、そういうものがきまっておる。そういう状態のバランスのもとにおいて、それぞれのたばこ売り上げ価格もきまってきておる。こういったようなふうに考えておるわけでありまして、ここで直ちに、たとえば御指摘のようにピースを四十円を五十円に上げるといいますと、これはそういう消費者の評価のバランスが違ってきますので、具体的にいいますれば、上げればピースが売れなくなる、そういったような形が必ず出てくると思います。したがいまして、法律的には可能でありましても、実際的にはできない。  そういう問題につきまして非常に参考になりますと思いますのは、昭和二十八年でありましたか、ピースが四十円でありましたのを、増収をはかるというような趣旨もありまして、四十五円に上げたことがあるわけでございます。そういたしましたところが、当時、昭和二十八年上げました直前の年におきましては百五十三億本年に売れておりましたのが、翌年は七十八億木というふうに、半分くらいに売り上げが低下したわけであります。逆に、新生とかその他の下位のたばこで、値段のわりにはそのほうがいいといったようなものが売れだしまして、公社の製造計画その他に非常に手違いが生じましたような場合がございます。いろいろそういうことがございます。独占価格であるから公社値上げすれば直ちに消費者がその高いものを買うかと申しますと、そうはまいりませんので、たばこは塩のような、何といいますか、必需品でございませんで、趣味嗜好によって吸われるわけでありますから、それによりまして判断されまして、内容、実質、味のわりに高過ぎるということになりますれば、必然的に売り上げが下がってくる。総体として必ずしも増収がはかれる、こういうことにはならぬと私ども考えております。
  67. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは一応の理屈ですけれども、一級、二級、三級に通じて、今度は増収をはかろうとすればできるでしょう。たとえば、いまのお話のように、昭和二十八年ですか、ピースを上げた、そうしたらほかのほうに集中したと。集中したほうを今度は上げればどうですか。そうすると、全体としては上げることはできますよね。専売なんですから、ほかにつくることができないのですからね。ですから、ぼくがこれを重要視しているのは、今度はここで法律を変えるのですね、いまのたてまえが変わってくるので、簡素になるのは明らかなんですよ。明らかなんだけれども、たてまえとして、今度は国会の承認なくして、いわゆる実質的に価格引き上げということが可能になる。それはたてまえ上は可能になると言われたのですが、実際上はそういうことはできないというお話なんだけれども、それは非常に問題だと思うのですよ。そこのところはどうなんですかね。いまは考えていない。しかし、これから……。  なぜ私は重要視しているかというと、あと財政法改正と関連があるのですが、これからの歳入の問題は、それはものすごい深刻になってくると思うのですよ、これからはね。したがって、どうもときどき田中さんは間接税、間接税ということを言うのですけれども、そういう方向にどうも行かざるを得ないような情勢になってきている。それはいいか悪いかは別ですけれどもね。そういう一環として、何か手続簡素化して、今後、いまはやらないやらないと言っているけれども、もう背に腹はかえられなくなって、今度は国会承認なくして、そういう安易に、いろいろなコンビネーションによって、一応これを、ほかの上質たばこをちょっと入れましてね、今度はこれは少しあれが変わったのだとか、そういうことをすれば——これはいま一般商品でもときどきやるわけですよ。銘柄をちょっと変えるということによって、実質的に値上げと同じようなことができないことはないじゃないかと、こういうふうに思っているわけなんですよ。
  68. 阪田泰二

    説明員阪田泰二君) 先ほど、例としてピース値上げしました場合のことを申し上げたのですが、当時、新生が非常に売れたわけでありますが、そのときに新生も値上げしたらどうか、増収になるのじゃないかというお話もあったのでありますが、やはりたばこ消費というものは、国民の所得といいますか、国民消費生活の中で、趣味、嗜好品でありますから、それに回される金額というものもある程度、きまっているわけではございませんが、そのときどきの情勢に応じてある程度限界があると考えますので、全体を値上げすればこれは必然的に消費量の減少という結果が出てきているわけであります。これは欧州の専売等で数年前にたばこ値上げをした例はありますが、そういった場合にはやはり消費の減ということが必然的に起こってきております。同町に、そういうときに非常に危険でありますのは、結局まあ価格と味といいますか、そのものの品質のバランスが問題になってきておりますので、欧州のそういうことをやりました専売などにおきましても、外国たばこ輸入がふえるとかあるいは密輸入がふえるといったような現象を起こしているようなところもございます。やはりそういうような場合は、先ほども申し上げましたように、たばこというものは趣味、嗜好品でありまして、先ほどまあちょっと葉組みなんか変えて高いたばこで売り出せばごまかせるのじゃないかというお話もあったのでございますが、なかなかそういうものではございません。喫煙される方は非常にその点注文が多いといいますか、非常に判断のきびしいものがございます。専売公社にもしょっちゅういろいろ批判はあるわけでありますから、そう簡単には事は運ばないわけであります。  外国専売等においても、そういった場合は結局よそのうまいたばこ価格等の相対的判断において入ってくるということも防ぎとめられない。結局、われわれの専売事業といたしましては、そういった何といいますか、ただ、独占であるから価格を上げるとか、あるいは少し内容を変えて実質的に値上げをするといったような、そういう権道といいますか、そういう方法では増収ははかれないと考ええているわけでありまして、やはり消費者の嗜好を満足させられるようないいたばこをつくって売らなければほんとうの増収ははかれないのじゃないかというふうに考えているわけであります。  それで、先ほど将来の売れ行きの見込み予定はどういうふうに考えているかというお話もちょっとありましたが、専売公社といたしましては、やはり将来の国民生活が上がっていく、喫煙人口もふえていくといったようなことも考えまして、将来においてある程度たばこ売り上げがふえていくということは見込んでいるわけでありますが、そういうふうに見込みを実現していきますためには、やはりいまこういった法律もできまして、消費者の注文動向、これはだんだんと変わってまいりますので、そういうものに応じたいいたばこを敏感につくってまいりまして、売り上げを維持し、また、増収いたしていくということがどうしても必要になってくると思います。こういった法律ができますれば、われわれといたしましても、そういう意味で非常にやりよくなるということは申し上げられると考えているわけでございます。
  69. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この簡素化によって実質的に経費としてどのくらい節約されるのですか。
  70. 阪田泰二

    説明員阪田泰二君) 経費といいますと、たばこの製造経費といったような問題と思いますが、そういう変化ということでございますが、そういう面におきましては、ほとんどこれによりまして変化というようなことはございません。
  71. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ほとんど変わらないというのですね。
  72. 阪田泰二

    説明員阪田泰二君) 経費という面では変わりございません。
  73. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 製造経費において変わりないというのですが、ただ手続といいますが、その手続というのはどういう——ただ国会の一々承諾を得る必要がない、こういう点だけなんですか。
  74. 阪田泰二

    説明員阪田泰二君) これは国会にかける手続がございますので、まあタイミングを失するとか、適時に適切な変更ができないとか、そういう問題はございますわけでございます。これは御承知かと思いますが、先年オリンピック関係でオリンピアスというたばこを発売いたしましたが、売れ行きは必ずしも予期どおりいきませんので、現在の趣味を考えて、フィルターつきオリンピアスを出したいということを考えたわけでございますが、そのときもフィルターつきオリンピアスというものは法律改正しなければできないということで、みすみす、フィルターつきを出せば相当売れるということがわかっておりましたのに、なかなかできなかったわけであります。ちょうど国会のたいへんお忙しいところを特に御審議願いまして、その法案を通していただきまして、まずまずオリンピック資金の責任額を果たしたというようなこともございましたが、そういう場合にこういう法律になっておりますれば適時にそういう施策ができる、こういうことになると思います。一例をあげればそういうことでございます。
  75. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それはプラス面も確かに、私はいまのお話の例なんかで認めることにやぶさかではないわけですよね。だけれども、今度はマイナス面として、そのことによって実質的に価格引き上げということになると、これはわれわれこの法案審議した場合にその責任が出てくるわけですよね。それは法案を通すときには、いつでも、そういうことにならぬと必ず言われますが……。なるということに言うはずはありません、そうすれば反対されますから。いろいろ例があるのです。たとえば継続費などは、前に池田さんが、絶対に防衛費のためではないと言いながら、いま継続費は全部防衛費なんですよ。防衛費以外に継続費は一つもない。こういうような例もあるわけですよ。ですから、手続上ここでこういう大きな変化が生ずる場合、われわれははっきりしておかないと、あとで実質的に値上げできるようになった、そういうことが行なわれたという場合は、われわれがうっかりしておったというわけにもいかないわけです。  そこで、もう一つお伺いしたいのは、たばこの引き下げということは全然考えていないのですか。それは品種にもよりましょうし、ですから、大衆的なものについての引き下げ。
  76. 半田剛

    政府委員半田剛君) たばこは三十一年から据え置きでございまして、そういうこともあるというわけじゃございませんけれども、引き下げという点につきましては考えておりません。
  77. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 全然考えていない。
  78. 半田剛

    政府委員半田剛君) はい。
  79. 西田信一

    委員長西田信一君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  80. 西田信一

    委員長西田信一君) 速記を起こして。
  81. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 大蔵大臣に伺いますが、この財政法六条の改正は、提案理由によりますと、二年間に限ってこれを行なうということですが、この二年後においても、この二分の一繰り入れを五分の一に今度変えるわけですが、二年後においてはそれはやらないわけですか。二年間だけなんですか。
  82. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) さしあたり二年間は五分の一にしていただいても、財源上もだいじょうぶだと、こういう考え方を前提にいたしておりますが、二年後の問題につきましては、いろいろと慎重に検討していただいて、その時点において五分の一のままでいいのか二分の一にしなければならないのかという問題は、それまでに慎重に御検討いただくということだと思います。
  83. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私は、二年後においても、やはり問題というのは、いわゆる五分の一に減らしましたのが、これを二分の一に復帰することを、これは将来のことですけれども、今後の財政収入の問題をかなり長期的に見た場合、そう簡単にもとどおりに返れないんじゃないかと思うんです。  それに関連して伺いたいんですが、この改正は財源難対策の一つだと思うんですね。四十年度は自然増収が四千六百億くらいしかない。三十九年度は六千八百億もあったけれども、自然増収が非常に減ってきておる。剰余金も非常に減ってきておる。六百九十六億くらいですかね。剰余金は三十八年はその倍くらいあったわけですが、非常に減ってきておる。また、歳出が非常にふえてきておりますので、財源対策の一つとしてこれをお考えになっておることは、もう明らかだと思うんですね。これ以外に利子補給の問題とか、あるいは一般会計で出すべきを財投のほうにこれを肩がわりさせるとか、いろいろ財源難対策を講じましたが、その一つだと思うんです。  そこで、今後の財政収入の問題ですが、これは私は非常に重大な段階になってきていると思うんです。きょうの新聞を見ましても、三十九年度の歳入につきまして非常な歳入不足が生じてきておる。そこで国税収入にも粉飾決算をするというような見出しが出ているわけです。大体、これは新聞報道によりますと、きょうの日本経済とか毎日新聞の朝刊ですが、三十九年度の不足は二百億くらいだけれども、実際には六百億くらいになるんじゃないか、こういうことが出ておる。それで、政令を改正しまして、国税収納金整理資金ですかに関する法律施行令を四月一日付で改正して、四月以降に納税される延納分を前会計年度の税収とすることにして、税収不足額を約四百億円減らすことにした、こういうふうに報ぜられておるんですね。この点は事実でしょうか、大蔵大臣にお伺いいたします。
  84. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) 毎日新聞の朝刊の六町でございますか、私も読みました。これは少し、「延納分を先食い」「粉飾決算」と、こういうふうな見出しでセンセーショナルな記事でございますが、そういうものではございません。これはもう当該年度に当然収入されるものが、延納を認められるという場合に、四月中に入るものを当該年度の収入として計算をするということでございますから、まあいままではこういう当該年度の収入でも延納した分についてはその年度の決算の金額に計算をしなかったわけでございますが、これは当該年度に入るべきことでございますから、四月中は会計整理の時期でありますので、この四月以降入るものを全部というのではなく、四月中に入るものを三十九年度の収入として計算をする、こういう事務的なものでございます。
  85. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 しかし、これは政令を改正しなければできないわけなんでしょう。
  86. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) 政令を改正しなくとも、当該年度のものを延納を認めたわけでございまして、三十九年度に入るものであることは事実でございます。ただ、それがしかし四月に延びるということでありますから、政令を改正しなくともいいというようなお話も法制局等にもあったようでございますけれども、こういうものに対しては正して置くべきだという私の考えで、政令を明らかに改正をした、こういうことでございます。
  87. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それはもう変えたわけですか、改正したのですか。
  88. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) 三月三十一日付で改正をいたしました。
  89. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ですから、改正したということは、改正しなければ、いままでの慣例によれば、これは四十年度の歳入になることなんでしょう、いままでは。
  90. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) いままではそういう区分をしておったわけでございます。ございますが、政令の解釈では、当然当該年度の収入でありますから当然できるのだ、こういう法律論でございました、こういうものはより明らかにしておいたほうがいいというような議論が起こるようではいかぬ、いままでとにかくやっておらなかったのだから、こういうものに対しては政令を明らかに改正すべきである、こういうことで省内をまとめまして、政令を改正いたしました。
  91. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ですから、その手続上政令を改めてやったということは、これははっきりさしていいことだと思うのですけれども、しかし、私はその事業を問題にしているわけです。いままでですと、そういうものはいままでの例により四十年度に入るべきものを、今度は三十九年度の歳入とする。そういうことによって、大体二百億くらいの財源不足であるものが、実際はそういうものを入れれば六百億くらいの歳入不足になる、こういう事実関係を明らかにしたいわけなんですよ。そういうことになるでしょう、事実としては。
  92. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) いままでは、三十八年度のときはどうかといいますと、三十八年度のときは、三十九年度の四月中に延納して納入されたものは三十九年度の収入だったわけであります。ところが、こんどは歳入もそう自然増収がふえるという状態ではありませんので、三十九年度に所属する税で四十年度の四月中に整理をされるというものに対しては、三十九年度の決算の数字の中にこれを計上する、こういうことにいたしたわけでございます。金額的にはまださだかに申し上げられるような事態でもないと思いますが、大ざっぱにどういうことになっているのだということであれば、主税局長から答弁いたさせます。
  93. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 もしそういう措置を講じなければ約六百億の歳入不足になると、こういうことですね。
  94. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) 三十八年度のようなやり方をすれば、歳入には不足を生ずるということであります。
  95. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 不足を生ずるということは、前から大蔵大臣から伺っておったわけですね。百億か百五十億くらいと言われておったのですよ。ところが、それが六百億くらいになるということになると、これまで私は歳入不足をずいぶん問題にしてきたのですけれども、これは私は三十九年度だけの問題じゃないと思うのですよ。今後にも、四十年度についてもこれは問題になる可能性があるわけです。ですから、もう少し、これは主税局長でもいいですが、まず事実関係等がどうなるか、大蔵大臣のいま御答弁があったのですが、もう少し補足する点があったら、詳しく御説明願いたいのです。
  96. 泉美之松

    政府委員(泉美之松君) 先ほど大臣からお話がございましたように、四月中収納の整理期間になっているわけでありますが、その際に問題が二つあるわけであります。一つは、法人税、所得税なんかの延納分、それともう一つは、間接税の納期延長の分。  従来から、法人税、所得税の延納分につきましては、会計検査院におきましても、四月中に入るものは前年度収入にすべきではないか、こういうような御指摘があったわけであります。ところが、従来御承知のとおり毎年自然増収が相当多うございますので、従来では自然増収をさらにふくらませてみてもしかたないから、当年度の歳入にするということで、昨年までは、三十九年四月中に入りました法人税、所得税の延納分はこれを三十九年度歳入にいたしたのでございます。しかしながら、これは自然増収が毎年多かったという事情によるものでございまして、理論的に申しますれば、会計検査院からお話がありましたように、四月中に入ったものは前印度の収入にすべきものであるというわけでございます。そこで、今回におきましては、四月中に入ります法人税、所得税の延納分は三十九年度歳入にするということ、これはいままでの解釈でそういうふうにできるわけであります。  問題は、間接税の納期延長の分でございます。これにつきましては、従来の解釈からいたしましても、国税収納金整理資金に関する法律施行令第三条に「納期の一定している受入金は、その納期末日の属する年度」の歳入にする、こういうふうに規定があるわけであります。その点からいきますと、納期の一定している受け入れ金はその納期末日だとすれば、納期限の延長を受ける前の納期が一定している税であれば、納期限の延長を受ける前の納期によるべきものではないかという解釈もございます。したがいまして、この点は解釈でそういうふうにできないかということもあったのでございますが、先ほど大臣がおっしゃいましたように、それは解釈でできないことはないかもしれないけれども、この際明確にしておいたほうがいい。間接税の分で本来の納期限は三十九年度中にあったのだけれども、納税資金の関係等を考慮して一カ月以内延長を認める、間接税の中でも揮発油税と物品税については——揮発油税につきましては五十日延納を認めております。そういう分につきましては、解釈でできないこともないだろうけれども、明確にしたほうがいいということからいたしまして、今回政令を改正いたしたのでございます。  その結果、どれくらいの金額がいままでならば四十年度収入になったものが三十九年度収入になるかということにつきましては、まだ明確に申し上げるほど金額がはっきりいたしませんけれども、およそ所得税、法人税の延納分が二百三十億程度、それから間接税の納期延長分が二百九十億前後と、このように見ておるのでございます。しかし、この分は、今後におきましても、四十一年の四月中にそういうふうにして国庫に入ります金は四十年度の歳入にする、いままでは自然増収が多うございましたので後年度の収入にいたしておったのでございますが、本来の納期限の属する年度の収入にするのが適当であるという考えのもとに、そのような整理をすることに改正をいたしたわけでございます。
  97. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私は、そういう法律上できるかできないかということよりも、この財源の事実問題をはっきりしたいというのが質問趣旨なんですよ。それはいまの御説明も私は決して納得しないわけじゃないのです。解釈のしようによってはできるのだ。しかし、実際問題として、三十九年度でこの予算だけで税収が取れないと、それだけ歳入不足が生じた。その歳入不足の額がわづかであれば問題じゃないのですけれども、それが大体六百億くらいになるのだということになると、これは重大な問題ですし、それを何で埋めるかということも問題になってくるでしょう。もっとも先食いというのは変ですけれども、いままでは翌年度の収入になったのを当年度の収入にする、そういうことをやればつじつまが合うのか、あるいは何かのまたこの歳入欠陥の処置を講じなければならないのか、その点なんです。  それで、いままで大体二月までの税収ははっきりわかったのですか、もう。三月はまだでしょうが、それで年度末で大体どういうことになりましたのですか。大体の予想はどういうことになります、年度末で。
  98. 泉美之松

    政府委員(泉美之松君) 先般申し上げましたかと思いますが、二月末の税収におきましては、前年度の収入割合に比べまして二・六%低下いたしております。ただ、これはその際にも申し上げましたように、本年度の補正予算におきましては、申告所得税で二百五十億と、補正額の約四割近いものを申告所得税に期待いたしております。その税収が御承知のとおり三月十五日までが納期限になっております。その分が幾らになりますかは、三月の税収の実績を見ないとまだわからない状況でございます。日銀の日報べースで見ますと、前年度より百数十億多いようでございます。はたしてそれがどのような金額になっておるかは、いま少し日にちをかしていただかないとわかりません。そしていま申し上げましたように、四月中に入ります税収の一部を三十九年度の歳入とするということによりまして、おそらく三十九年度の税収の赤字としては二百億を少し上回る金額になるのではないか。まだ予測の段階で、まだはっきりしたことを申し上げかねるのでございますが、大体二百億をちょっと上回るくらいの金額になりはしないかと、このように考えております、しかし、これは三月の税収実績が予想よりもいいかどうかということによって動いてまいります。
  99. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、その二百億はどういうふうにして、補てんですか、国有財産を売るとかあるいはその他雑収入の増とかなんとか、どうやってこれを埋めるわけなんですか。
  100. 泉美之松

    政府委員(泉美之松君) この点については私からお答え申し上げるのが適当かどうかわかりませんが、いまのところ予想されておりまするのは、税外収入におきまして百十億程度の歳入超過になっております。それから、歳出予算のほうにおきまして不用額が百数十億ございますので、それでカバーできて、三十九年度歳出歳入全体としては赤字にならない、このような見込みでございます。
  101. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 こういう事態は、いままで、戦後初めてで、前にも多少歳入に不足を生じたことがあることは承りましたが、それは非常に金額が小さかったのです。今回初めてそんなに大きく不足を生じたのですが、これが今度四十年度においても、これは景気の見通しいかんにもよりますけれども、やはりこういう問題が生じてくるのではないか。その点、大蔵大臣、どういうふうにお考えになっておりますか。ずいぶん大きな歳入面における財政上の変化だと思うのですよ。この点いかがですか。
  102. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) 三十九年度はいま主税局長が申し述べたとおりでございますが、四十年度歳入見積もりをいたしますときには、三十九年度の九月の法人決算を大体見まして、十二月の末の三十九年度の実績がわかる一番最後の段階において四十年度の税収をきめたわけでございますから、四十年度の税収に対しては私はそう大きな狂いがないであろうというふうに考えます。まあ三十九年度の税収は六千八百二十六億という非常に大きなものでございまして、三十八年度の年度分が二千二、三百億でございますから、そういう意味から考えまして、三十九年度の税収の総額と四十年度に見積もりました総額を比較いたしますときに、三十九年度の実績をもとにいたしておりますので、まあ四十年度にこのような同じ状態が起こるというふうには考えておりません。
  103. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その点はどうも、三十九年度の予算を編成する場合に、六百億くらい歳入不足が生ずるとは予想はしておらなかったと思うのですよ。ことに法人税がこんなに予算よりも減るということは予想されなかったと思うのです。物品税その他の減収も大きいと思っておられなかったと思うのですよ。ですから、そういう点から見ますと、四十年度も、今後の景気の見通しいかんによりますけれども、大体横ばい程度と見れば、どうも私は四十年度も同じような問題が起こってくるのじゃないか。それで、四十年も三十九年と同じように、その解釈上によって延納分はやはり四十年度の歳入と見る、こういうたてまえを四十年度もとっていくわけですか。
  104. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) 三十九年度が、四十年の四月に入った延納分を三十九年度の決算に入れるということでありますから、四十一年の四月に入る分は四十年度決算に入るということでございます。
  105. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうすると、これからはこの改正、国税収納金整理資金に関する法律の施行令改正は、これはずっと今後もそういうたてまえにしていくたてまえである、こういうふうに理解していいわけですね。
  106. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) 改正をいたしましたそのとおりでございます。
  107. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そのとおりにするわけですね。  それからさらに、私は問題なのは、四十一年度——いまから四十一年度の予算を言うのは少し早いと思うのですけれども、しかし、やはり財政は長期的な観点からも絶えず見ておかなければならないと思います。そうしますと、今度剰余金が、三十九年度ほとんど剰余金がなくなると思うのですね。いかがですか、三十九年度。
  108. 泉美之松

    政府委員(泉美之松君) 技術的な点ですから私からお答えいたしますが、四十年度予算のときには、三十八年度からの剰余金といたしまして六百九十七億円を歳入に入れておりましたが、これが四十一年度編成の際に三十九年度の剰余金ということになるわけでございますが、いま申し上げましたようなことで、三十九年度の剰余金はまあほとんど期待できない。もしあるとしても数億程度のものであろうと思いますので、やはり六百九十億程度の前年度剰余金の繰り入れ額の減少ということになる心配がございます。したがって、その点からいたしますと、四十一年度の予算の編成の際におきましては、そういった点を十分考慮しなければならぬ、このように考えております。
  109. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、四十一年度も——この法律案改正ですね、剰余金の五分の一ということですね、そう変えるわけですね。そうすると、実質的に剰余金はほとんどない、まあ十億程度だということになると、四十一年度の予算編成はこれはたいへんなことになるんじゃないか。そういう際に、公債は四十三年度まで発行しない、公約されましたですね。それから、インベントリーも四十三年度まで取りくずさない、これも公約されましたね。公約されたと思うんです。これはいかがです。公債は発行しない、インベントリーも取りくずさない、剰余金の六百九十億もなくなる……。
  110. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) 公債は発行しないと総理が言われましたが、これはちょうど中期経済計画審議をいただいておるときでございまして、私がそばにおりまして、中期経済計画には四十三年までは公債発行しないと書いてあるんですからと、こう総理に言ったわけであります。総理はオウム返しに、四十三年までは公債発行いたしませんと、こう御答弁申し上げたわけでございます。私も四十三年までは発行しないでいくべきだという考え方でございます。大体そういう基本的な考えでは総理と同じ考えであります。  それから、第二は、インベントリーを取りくずさぬ。これは四十三年まで取りくずさぬと、こうは申し上げておりません。申し上げておりませんから、そろそろ取りくずすんだなと、こういうふうにお考えになると、これはもう健全財政の立場からいってたいへんなことでございますので、インベントリーもなるべく取りくずさないでいきたいと、こういう考えでございます。しかし、インベントリーも国民のために取りくずすほうがよりいいというような状態になれば、これはためておったものは使わないということではなく、いいことであれば使うと、こういうことでございますから、特にきょう私がインベントリー取りくずしの方向に何かしたということではございませんから、これはひとつ十分御承知いただきたいと思います。  剰余金の繰り入れも非常に少ない、それから公債も発行しないと、こういうことになるとたいへんであると。これは確かにたいへんでございます。いままでが少し甘過ぎたという考え方も当たると思います。まあ私は、これから昭和四十年、四十一年、四十二年、四十三年まで考えてまいりますと、平均成長率が八・一%であるということでありますので、やはり一般会計の規模は対前年度一〇%程度、まあ私も今度は一〇%に近くやりたいということで努力をしまして一二・四%になったわけでありますが、やはり一〇%という程度のものを目標として予算を組んでいくことがこれからの財政のたてまえからいっても正しいんじゃないかと、こういう考えでございます。でありますから、一〇%といいますと、二・四%違うわけでございます。三兆円の二・四%でありますから、七、八百億、ちょうど前々年度の繰り入れ金の減を上回る金額と合うわけであります。ですから、まあベースも大きくなっておりますし、予算は対前年度一〇%増しと、まあ二、三年はどうしてもそうだなと、こういう見通しをつければ、予算が組めないという状態ではなく、まあいよいよ本格的な予算になってきたと、こう御理解願いたいと思います。
  111. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 参考のために伺いたいんですが、四十年度でいろいろ新規の予算を計上されましたですね。これは、四十一年度平年度化された場合の歳出増というのはどのくらいなんですか、平年度化された場合。
  112. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) これは当然増というものは、五カ年計画で定められておるようなものとかいろいろございますが、完全に法律で縛られておってどうにもならないというようなものは、まあこれから一体医療費の改定がどうなるかとかいろいろな問題がございますが、まあ四千億から五千億という自然増収の中で、その大体三分の一程度というものがおおむね拘束を受けるというようなものではないか、大ざっぱに申し上げて。まあこの拘束を受ける中で一番大きいのは三税に対する交付税でございますが、交付税は、これは税収が安定すれば交付税もそのとおり下がるわけでありますから、そういうものを除けば、まあ大体千億ないし千五百億という考え方でいいのではないかと、こう考えます。
  113. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうすると、歳出面ではそういうふうに平年度化によって歳出がふえてくる。それから剰余金はなくなる。まあほとんどなくなるですね。十億程度では、ないといってもいいと思うのですがね。そこで、どうも気になるのは、大蔵大臣は間接税ということを言われたでしょう、間接税。どうも、何かそういうことを頭に置いて言われたのじゃないかという、いまになってどうもそういう気がしてならないのですがね。そういういまのようなことが予想されたから、その間接税ということを大蔵大臣は言われたのじゃないかと思うのですが、その点どうなんですか。
  114. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) まあ間接税ということを私が申し上げたのは、学問的に、政治的にひとつ検討してみる、こういうことで申し上げたのでありまして、主税局にも、どうだ、検討してみないかと、こう言ってみたのですが、まあ逆進性が強いといわれておりますということで、なかなか私のペースにも乗ってまいりませんし、これがいまさっそく財源確保の道につながるものだと、こういうふうにはひとつお考えいただかないでけっこうだと思います。
  115. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 まあ、大体この程度で、もう質問を打ち切りますが、そうしますと、結論的に、この六条の改正ですね、六条の改正は、まあ二カ年度間に限るということになっているけれども、これは必ずしも二カ年でもとのとおり二分の一の繰り入れに返ると、こういうふうにはっきりしているわけではなくて、二カ年たったらもう一度考えてみると、さしあたり二カ年、こういう意味なんですか。
  116. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) まあさしあたり二カ年という見方も成り立ちます。成り立ちますが、私たちの考えでは、現在の国債整理基金の残と比較をいたしますときには、まあ四千億の国債に対して約千億の準備金があるわけであります。でありますから、二カ年間二分の一を五分の一にしても、国債の支払いができないというようなものではないという前提がございます。でありますが、これから二年たってみて、二分の一に自動的に一体移るのかどうかという問題になりますと、そのときの国債整理基金の内容の問題が一つございますし、将来一体国債というものを発行するのかどうかという問題も考えなければならない問題でございますし、まあ国債というものを発行するという段階になれば、いままでは剰余金でまかなっておれたかもわかりませんが、今度は一般会計の何%というものを入れなければならないという問題が出てくるかもわかりませんし、こういう問題は、国債整理基金の内容、国債に対する態度というものをここ二年間ひとつ慎重に検討していただいて、特に今度の法律改正では財政制度審議会も拡充することになっておりますので、こういう方々からも十分検討していただいて、二年後には結論を出す、こういうことになると思います。
  117. 野溝勝

    ○野溝勝君 大臣、一、二お伺いしたいのですが、日本財政危機、こういう問題につきましては、私はもとの総理でありました池田さん、大蔵大臣の田中さん等にるる申し上げてきたわけです。まあ私どもの見た角度から警告を発したわけです。これは速記録を見ればごらんのとおりであります。実際心配したとおりになってきておるのですね。あなたが幾ら健全財政と言ってみたところで、実情はそんなものでない。それで、この財政法改正も、これは成長政策がもたらし最も基本的なひずみ−財政の逼迫、硬直という四苦八苦の結果なんだ。何と言っても、言いわけしても、それだけなんです。大体こんなことは最近見たこともない。聞いたこともない。これは苦肉の策なんだね、ざっくばらんにいって。  そこで、いまの質問の中にもありましたように、大体、剰余金が十億内外だという。まことに日本の歴史始まって以来の危機に立ち至っておるわけです。巷間ではおそろしいことを言われておる。最近の産業界はこれは容易なことじゃない。だから、不安が広がっておるんですよ。最も敏感なちまたの金融業者は、上場一部二部の数十社の手形割引を断わっていますよ。企業の経済破綻、倒産続出から、パニックが起こりやせぬかという不安な状態も出ておる。そこで、こういうことは公にすべき問題ではありませんが、特にその点、大臣は長い間財政当局を担当しておりますから、あなたはもう身をもって承知しておると思うんです。で、まあここまで来たらしかたない、これをどうするかということは、これは池田さんの責任だといっていま追及してみたところで始まらぬことだから、これをどういうふうにして手直しするかということがあなたたちに与えられた課題なんですよ。そこで、一朝一夕にぽんとひっくり返すわけにもいかぬし、非常に苦心されていると思う。その点はお察しする。しかし、失政であったことには間違いない。したがって、これを直すことについて根本的に考えてあなたたちも英断をふるってもらわぬと、これは容易なことじゃおさまらないと思う。そこで、まあ対症療法的にこれを乗り越えるためにこの財政法改正も行なうということだと思うのでございますが、そこで、二年とかなんとかいわれておりますが、いまの状態ではとてもそんな見通しは私はつかぬと思う。これからあと産業界がよくなってくるわけじゃない、貿易もよくなるわけじゃない、国際収支もよくなるわけじゃない。世界情勢がそうじゃないですか。  そこで、私が特にお願いすることは、大臣、これからいよいよ新しい予算の執行に入るんですが、この際私はひとつ、金融政策の問題も財政とうらはらになっておりますから、その予算の、配分処理に対して何かひとつ思い切った考え方がありますか。たとえば、具体的に申せば、直接産業経済に必要でないような部面は押える。この際は、その方面の産業経済の必要なこれとこれとこれというようなものをあげて、それで、それに対して大いにやる、いわゆる防衛費、軍事費は少なくする、旧地主補償などはやらない、社会保障はこれを多く計上する、こういうような具体的な話を何か、いわば佐藤内閣における総合参謀本部の田中蔵相あたりは少し考えておることありますか。これは具体的でなくてもよろしゅうございます。そういうことを私はきょうあなたから少し、構想なり考え方なりを総理と話してみたいとか、話したこともあるとか、私はこういうふうに思いますとかいうことがあったら、この際聞いておきたいと思う。  それから、もう一つは、いずれ佐藤内閣が改進をやると思うんだが、そのときに、うわさによるとあなたは幹事長に行くとかいわれておりますが、まあこれはうわさとして聞いておきます。しかし、また大蔵大臣をやるとも思われないのだな。私はそこで、あなたは非常に朝野ともに信頼を持たれている。率直で正直でと、こういわれているのだ。ほんとうに、あなたはいまの佐藤内閣じゃ第一メンバーだ。それだけに大衆は期待しているのだ。あなたがもし大蔵大臣をやめ場合においても、そういう点を特にひとつ考えておりますということがあったら、私はこの際聞いておきたいと思う。私見でよろしい。
  118. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) 経済、財政の問題に対しては、総理大臣とは絶えず連絡もしておりますし将来に対するビジョンも描いているわけであります。いずれにしましても、そのときの現象だけに目を奪われることなく、やはり長期的な展望に立って、日本の産業はどうあるべきか、またどうなるであろうという状態をしっかりつかんで、適切な指導をしなければならないという考えであります。  まあ、原則的に申し上げると、いま経済的にいろいろな問題がございますが、その基本的な立場からいうと、設備投資が行なわれたり、超高度成長が行なわれたりしましたが、その結果、少なくとも国際競争に耐えて、また国内的には一つの整理段階を経ても、十分立ちゆくというだけの基盤ができたということだけは、ひとつ十分認識していくべきだと思います。  もう一つは、今の産業界の実態は、これは池田内閣時代の高度成長の結果出たひずみということよりも、戦後二十年間やはり量的拡大に走ってきた日本、また日本人の特性、こういうものが非常に早いぺ−スで今日まできたわけでありますが、この二十年間という戦後の急速な伸びをここで再整備をして、質の面から再スタートをしなければならない時期に私は遭遇しているのだ、こういう基本的な見方を持っておらなければならない、こう考えております。  それから、将来に対しましては、非常に短い間に今日が築かれましたが、ここでお互いに十分考えながら、また世界の恐勢を的確に把握をしながら産業政策を進めていけば、十分これに対応した状態をつくって、安定成長にこぎつけることができるという見通しでございます。  具体的な問題は、いままで非常に高度の成長をしながら、その反面税収が非常にありましたので、民間がお互いの力でなさなければならないものまで財政に仰いでおったという面がございます。でありますから、財政でやらなければならないものと金融でやらなければならないものとは、やはり区分をしながら、各自の持つ機能というものを十分発揮をして、総合的調和をはかっていくべきだという考え方であります。  でありまするので、四十一年度の予算編成にあたっての基本的な態度は、いまよりもより強く財政と金融との一体化という面をはかりながら、資金の効率的な投資、国民エネルギーの活用というものに対しては、より総合的調整をとった方法を考えていかなければならないということが、財政経済に対する基本的な姿勢でなければならないというふうに考えているわけでございます。まあ、四十一年まではまだ時間もございますから、いま財政の姿勢を申し上げることもむずかしいと思いますが、とにかくここまで来た日本の経済を、できるだけ早く国際的な軌道にのせていかなければならないという考え方をもって、各般の施策を検討いたしているわけでございます。まあ、近く参議院の選挙もございますので、国民の前に新しい政策をひとつ出して、その政策はただ自分だけの考えではなく、こうして皆さんからも御激励をいただいておりますので、そういう考えも十分参照しながら、国民全体でひとつ国民経済のあしたを考えるという姿勢で前進してまいりたいと思います。
  119. 野溝勝

    ○野溝勝君 簡単にもう一つ、私は希望的質問ですがね。私は真剣に考えている。容易なことじゃないと思うのです。大臣もそのとおり身にしみていると思う。そこで、民間投資の資金がほんとうにこう貧弱なものですがね、しかし、どんどんと設備投資はなされていく。で、金融機関は選別融資とかなんとかいっているけれども、前からの関係で、その方面にいま資金をつぎ込んでおる。政府は設備投資に対しては抑制的姿勢は示しているが、実態は思うにまかせない。砂糖の問題だってそうでしょう、この間も話したとおり。砂糖問題で大騒ぎしておる際に、その当事者である精製糖メーカーは、百七十万トンもの輸入契約をし、あえて過当競争をやっているのですね。そして商社金融などで設備、工場の新増設を行なっている。これは一つの例ですよ。その他たくさんあると思うのだが、こういうものに対してはもっと思い切った規制措置が必要だが、それができないものか。それで、いま木村委員質問しました製造たばこ定価法案の国会の承認を得るなんて、品位価格をきめるらしいが、これなども全く値上げだ。何だかんだ言ってみても、要するに、間接税じゃありませんが、こうしなければやっていけぬところへやってきたということじゃないですか。余剰金が十億、どうするのです。自然増収はできる見込みはないし、倒産はますますふえてくるし、どうするのです。銀行だってそんなに金あるわけない。世界銀行からIMFから、盛んに努力されているが、なかなかそうは金は来ない。外為会計のインベントリー・ファイナンスだって、これは必ず取りくずしがくるでしょう。だから、こういう際に、砂糖の場合をあげたが、明らかに過剰投資と見られるようなものを、経済破綻をもたらすことが明らかなものを放置しておくというか、黙っておくという手はないですよ。私は統制経済やれと、こういうのじゃないですよ。けれども、少なくともやはり自民党だって経済の調整をやるくらいは英断持っていてもいい。そういう点について、まあきょうは設備投資に対してどういう考えを持っておるか、この点をひとつ聞いておきましょう。
  120. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) 民間資金を統制しなさいというお気持ちもございます。これは社会党の皆さんそう言われております。自民党としては、民間資金に対してはなるべく自主的に、こういうことでありましたが、どうも自主的に過ぎたという感じはあります。これはもう率直に申し上げます。民主政治の中で自由経済を育てていくということになると、民間の位置をそのまま認めていくということでありますが、いまのように複雑になってきて急速に経済が発展をするということに、やはり自由放任ということでは、先ほども申し上げたとおり、国民のエネルギー、また国民の力、こういうものの効率投資にはならないわけでありますから、やはりその、資金統制を行なうということではありませんが、先ほど申し上げたとおり、財政と金融との一体化という表現で申し上げておるわけであります。同時に、その効率投資をいうことに対しては十分政府も調整権を発動していかなければならぬだろう、こういう考え方を基本にいたしておるわけでございます。  でありますから、まあ私は先ほども申し上げたとおり、基本的には伸び得る日本の経済の基盤ができております。ちょうど佐藤さんが大蔵大臣をやりましたときに、年率対前年度比八%の予算を組みました。それから、その次は一〇%余だったと思います。そういう健全財政、非常に苦しいけれどもそういう姿勢をとったために、その次に大蔵省に参りました水田大蔵大臣のときは対前年度比二四%余の予算を組んでも、なお自然増収があった。しかし、私の代になりましてから、一四・二%、一二・四%と、こうなってまいりました。先ほどから申し上げましたとおり、来年から一〇%余になるでしょう。こういうふうに健全財政を二、三年貫けば、私はやはり日本の経済というものは安定的に活発な活動をしていくという考え方に立っておるわけであります。まあその過程におきまして、財政金融政策につきましては、特に政府もみずから責任をとりながら、効率運用という面に力をいたしてまいりたいというふうに考えております。
  121. 西田信一

    委員長西田信一君) ほかに御発言もないようですから、両案につきましては質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  122. 西田信一

    委員長西田信一君) 御異議ないと認めます。よって、両案の質疑は終了いたしました。  それでは、順次各案につきまして討論採決を行ないます。  まず、財政法の一部を改正する法律案につきまして討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  それでは、これより採決に入ります。財政法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  123. 西田信一

    委員長西田信一君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって可決すべきものと決定いたしました。  次に、製造たばこ定価法案につきまして討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  それでは、これより採決に入ります。製造たばこ定価法案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  124. 西田信一

    委員長西田信一君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって可決すべきものと決定いたしました。  なお、両案につきまして議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  125. 西田信一

    委員長西田信一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時二十七分散会      —————・—————