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1965-03-18 第48回国会 参議院 大蔵委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年三月十八日(木曜日)    午前十時二十七分開会     —————————————    委員異動  三月十七日     辞任         補欠選任      加賀山之雄君     佐野  廣君      岩沢 忠恭君     日高 広為君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         西田 信一君     理 事                 佐野  廣君                 西川甚五郎君                 田畑 金光君     委 員                 大竹平八郎君                 津島 壽一君                 日高 広為君                 堀  末治君                 木村禧八郎君                 佐野 芳雄君                 柴谷  要君                 野溝  勝君                 鈴木 市藏君    国務大臣        大 蔵 大 臣  田中 角榮君    政府委員        大蔵政務次官   鍋島 直紹君        大蔵大臣官房財        務調査官     吉國 二郎君        大蔵省主計局次        長        鳩山威一郎君        大蔵省主税局長  泉 美之松君        大蔵省関税局長  佐々木庸一君        大蔵省理財局長  佐竹  浩君        大蔵省国有財産        局長       江守堅太郎君        大蔵省銀行局長  高橋 俊英君    事務局側        常任委員会専門        員        坂入長太郎君    説明員        大蔵省主計局法        規課長      赤羽  桂君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選の件 ○財政法の一部を改正する法律案内閣送付、予  備審査) ○交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改  正する法律案内閣送付予備審査) ○国際復興開発銀行等からの外資受入に関する  特別措置に関する法律の一部を改正する法律案  (内閣送付予備審査) ○石油ガス税法案内閣送付予備審査) ○関税定率法等の一部を改正する法律案(内閣送  付、予備審査) ○地方自治法第百五十六条第六項の規定基づ  き、税務署の設置に関し承認を求めるの件(内  閣提出、衆議院送付) ○国立学校特別会計法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○物品税法の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○相続税法の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付)     —————————————
  2. 西田信一

    委員長西田信一君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨十七日、加賀山之雄君及び岩沢忠恭君が辞任され、その補欠として佐野庸君、日高広為君が委員に選任されました。
  3. 西田信一

    委員長西田信一君) 理事補欠互選についておはかりいたします。  委員異動に伴い、理事が一名欠けておりますので、この際、補欠互選を行ないます。互選方法委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 西田信一

    委員長西田信一君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事佐野庸君を指名いたします。
  5. 西田信一

    委員長西田信一君) 財政法の一部を改正する法律案石油ガス税法案関税定率法等の一部を改正する法律案交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改正する法律案国際復興開発銀行等からの外資受入に関する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  これらの五案につきましては、すでに提案理由説明は聴取いたしております。  それでは、各案につきまして順次補足説明を聴取いたします。赤羽法規課長
  6. 赤羽桂

    説明員赤羽桂君) 財政法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を補足して御説明申し上げます。  現在、国債償還財源といたしまして、国債整理基金特別会計繰り入れます金額は、国債整理基金に充てるべき資金の繰入れの特例に関する法律、これは昭和三十六年の法律でございますが、この法律によりまして、当分の間、財政法第六条一項の規定によりますところの歳入歳出決算上の剰余金の二分の一に相当する金額及びその他特別の法律規定によりますところの繰り入れ額合計額となっておりますが、この全額の決定につきましては、国債整理基金状況等を勘案して、国債償還に支障を生じないように毎年度予算の定めるところによるとされておるわけでございます。なお、国債整理基金特別会計法第二条第二項の規定によりますところの前年度期首国際総額の万分の百十六を入れろ、こういう規定が昔からあったわけでございますが、この規定相当する金額繰り入れは停止されております。なお、この万分の百十六という数字は、昭和年度以降万分の百十六の三分の一と、さらに下げられております。  しかしながら、提案理由でも申し述べましたとおり、現在、国債残高が相対的に大きく減少いたしておりまして、一般会計歳出決算額に対する年度末の国債総額、これは借り入れ金などを含めました一番大きな概念でございます。国債総額と申しますときには、いろいろのとり方があるわけでございますが、一般会計負担の分、あるいは一般会計特別会計を入れた負担の分、あるいは一般会計特別会計並びに借り入れ金を入れた一番大きな概念、その大きな概念で申し上げますと、その割合は、財政法制定直後の昭和二十二年度の約一・四六倍が昭和三十八年度にまいりますと〇・二一倍というぐあいに、非常に相対的に下がっておるわけであります。並びに、国債整理基金状況を見てまいりますと、剰余金の二分の一の繰り入れは当面直ちに必要とは考えられず、また一方、一般会計立場といたしましては、財政法六条によりますところの現行剰余金処理基本原則につきましては、かねてより、年々波動の大きい剰余金一定率を機械的に一般会計経常財源に入れてしまう、こういったことは理論的にどうか、むしろ積み立て金的なものといたしまして、財政平準化資金でございますとか、あるいは特定事業公共事業といったようなもの)に、あるいはまた減税積み立て金といったようなものに充ててはどうかという、制度面的な議論もあったところでございますが、今回は昭和四十年度予算編成の際のごとく、財源弾力性に対する需要が非常に強かったわけでございまして、現行制度のままでまいりますと、財源の偏在が生ずるという事態に直面してまいったわけでございます。  右に申し上げました諸事情のもとに、戦前の前年度期首国債残高に対する償還財源への繰り入れ額割合などをも勘案いたしまして、とりあえず、今回財政法六条に規定いたしておりますところの「二分の一」というのを「五分の一」に変更いたしまして、財政運営全般効率化をはかることといたしたものでございます。これによりまして、昭和四十年度予算におきましては、現行のままでまいりますと三百二十五億円の繰り入れが必要でございますが、この措置によりまして、百三十億円の繰り入れを計上いたしております。差し引き百九十五億円というものが一般会計財、源の増となったわけでございます。  この繰り入れ率の五分の一と申します根拠でございますが、これは数字的な確たる根拠があるわけではございませんが、国債整理基金特別会計収支の見通しに関しまして、十分安全性を見込みまして——この安全性というところをちょっと御説明申し上げますと、冒頭に申し上げましたとおり、現在国債残高が相対的に大きく減少しておるわけでございます。にもかかわらず、剰余金の二分の一の繰り入れ額国債残高に対するところの実額でとりました割合は、万分の百十六の三分の一の繰り入れを先ほど申し上げましたように停止をいたしておりますが、それでありましても、戦前のそれに比較いたしましてきわめて高率になってきておりまして、かりに現行規定のまま昭和四十年度繰り入れ額を計嫌いたしますと、前年度首一般会計負担国債総額に対する割合が約八%をこえるわけでございます。八・三九%くらいになるわけでございます。これは戦前繰り入れ額割合に比較いたしますと、きわめて高率でございます。昭和元年以後の戦前最高率で申し上げますと、昭和年度の二・九五%というのが最高でございます。この昭和二年と申しますのは、ちょうど大震災復興等国債償還を特に促進するため、従来の万分の百十六の繰り入れに合わせまして、一般会計剰余金の四分の一を繰り入れるという制度が初めて発足した年でございます。今回繰り入れ率をきめるにあたりましては、一応暫定的にこの戦前最高の二・九五%を参考にしまして、安全率を見込んで、これを下回らないというものにいたしたものでございます。剰余金の五分の一で約三・三六%ということになるわけでございます。  で、この措置は、国債整理基金収支なども見まして、暫定的に二カ年度間のみの特例といたしたものでございまして、恒久的な剰余金処理原則及び国債償還繰り入れ制度の確立につきましては、できるだけ当該期間内に財政制度審議会にもはかって、今後十分に検討を行なってまいる所存でございます。  次に、改正の第二点でございますが、財政制度審議会改正でございます。この財政制度審議会につきましては、ただいま申し上げましたように、このような剰余金処理問題、国債償還繰り入れ制度をはじめといたしまして、臨時行政調査会答申にも述べられてございます予算会計の改革に関する意見の諾問題等財政会計制度全般にわたりまして、今後本格的な検討を進めてまいりますために、委員現行十二人から二十五人に増員をいたしますとともに、ただいま財政制度審議会には臨時委員というものが置かれることになっておりますが、この臨時委員名称を、専門的な分野における特別事項調査審議をすることとなります関係上、臨時委員専門委員とをあわせて一本にする趣旨のもとに、特別委員と改めることといたし——名称だけでございますが、特別委員と改めることといたします。また、他の審議会の例に徴しまして、いままで大臣が会長になっておったわけでございますが、これを委員のうちから互選をするということに改正をいたすことにいたしております。  以上、この法律提案理由を補足して御説明申し上げました。何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。  続きまして、交付税及び譲与配付金特別会計法の一部を改正する法律案提案理由を補足して御説明申し上げます。  わが国経済高度成長及び財政健全化のための語施策の推進によって、地方団体財政基盤はここ数年来著しく強化されてきたところでございますが、最近、租税収入増の鈍化、義務的経費増加等傾向が見られるようになり、地方団体におきます歳入の確保、経費使用重点化効率化等について、なお一そうの努力が望まれておる次第でございます。  政府といたしましては、このような情勢に即応いたしまして、地方行財政制度の合理的な運用につとめてまいったのでございますが、明年度地方財政においては、さらに公共事業費の増大、生活保護その他の社会保障制度の拡充、給与改定の平年度化等によりまして、財政需要増高が見込まれる事情にあるので、これら地方財政の諸般の状況を勘案いたしまして、このたび、昭和四十年度以降の地方交付税総額を、所得税法人税及び酒税収入額のそれぞれ百分の二十八・九から百分の二十九・五に引き上げることによりまして、地方財政健全性を堅持しつつ地方行政水準の一そうの向上をはかることとし、別途、地方交付税法の一部を改正する法律案を今国会に提出し、御審議願っている次第でございます。なお、この交付税率引き上げによりますところの増額分は百四十五億円でございますが、この百四十五億円を含めまして、昭和四十年度地方交付税総額は七千百三十二億円になるわけでございまして、前年度は六千二百五十一億円で、差し引き七百八十一億円の増、パーセンテージで申し上げますと、一二・三%の増ということになっておるわけでございます。  地方交付税は、御承知のとおり、すべて交付税及び譲与税配付金特別会計を通じて地方団体に交付されるわけでございますが、このため、この特別会計法第四条におきまして、政府は毎会計年度当該年度における所得税法人税及び酒税収入見込み額のそれぞれ一定割合相当する額の合算額過年度決算差額を加算あるいは減算をいたしまた金額一般会計から本特別会計繰り入れているところでございますが、このたび、さきに申し上げましたとおり、地方交付税総額が引上きげられることに伴いまして、本特別会計法第四条を改正いたしまして、一般会計から本特別会計繰り入れ金額算定割合を「百分の二十八・九」から「百分の二十九・五」に引き上げようとするものでございます。  以上、交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げた次第でございます。何とぞよろしく御審議のほどをお願いいたします。
  7. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) 石油ガス税法案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。  まず第一は、今回石油ガス税法を制定しようとする理由についてでございますが、これはすでに御承知のとおり、従来から自動車燃料使用されます揮発油軽油につきましては、揮発油税地方道路税あるいは軽油引取税等消費税が課せられているのでございますが、同じく自動車用燃料として使用されております石油ガスにつきましては、自動車用燃料として代林関係にあるにもかかわりませず、その課税が行なわれておりません。そのため、揮発油に比較いたしまして安価な石油ガス使用される傾向が最近特に目立ってまいったのでございます。そのために、自動車用燃料として使用される石油ガスに対する課税について問題が生じたのでありますが、政府といたしましては、税制調査会にはかりました結果、揮発油についてすでに道路財源として相当高率な税負担が課せられており、石油ガスはその揮発油代替関係にあるということ、それから揮発油から石油ガスへの急激な燃料転換が行なわれておりますために、最近揮発油税収入が伸び悩みになっております。このまま放置すれば道路整備財源に不足を来たすおそれがあるということ、及び諸外国におきましても自動車用石油ガスに対して相当課税が行なわれておるということ、これらの諸点を勘案いたしまして、今回石油ガス税法を制定いたしまして、石油ガスに対する課税を行なおうとするものでございます。  石油ガス税課税内容について申し上げますと、まず第一は課税物件でございますが、これは申すまでもなく、自動車用石油ガス容器に充てんされている石油ガス課税物件にいたすことにいたしております。その旨を第三条に規定いたしております。  なお、石油ガスと申しますのは、炭化水素のうち常温常圧で気状を呈するブタン、プロパン等炭素数三以上のものに限っております。メタン、エタンなどの炭素数二以下の炭化水素は除くことといたしております。この点は第二条に定義でそのようにいたしております。  次に、納税義務者でありますが、これは石油ガス充てん場から移出された石油ガスについては、その石油ガス充てん者納税義務者とすることにいたします。また、例はかなり少ないと思いますけれども、保税地域から引き取る石油ガスにつきましては、その引き取り者を納税義務者とする旨第四条に規定いたしておるのでございます。  次に、納税地でございますが、これは石油ガス充てん場から移出された石油ガスにかかわるものにつきましては、その石油ガス充てん場所在地納税地とすることとします。また、保税地域から引き取られる石油ガスにつきましては、その保税地域所在地納税地にすることにいたしております。この旨を第八条に規定いたしております。  次に、課税標準でございますが、これは石油ガス充てん場から移出され、あるいは保税地域から引き取られる石油ガスについての重量課税標準といたしております。これは考え方によりましては容量によって計算することもできるわけでございますが、その課税標準の正確さ、税負担の公平という点から見て、重量課税標準といたしているのであります。しかしながら、実際におきましては、容量によって取引される傾向がございますので、別途、その重量から容量への換算方法について規定をいたすことにいたしております。その旨を第九条に規定いたしているのでございます。  次に、税率につきましては、石油ガス税は本来、揮発油税との権衡上課税するものでありますから、この税率揮発油税などとのバランスのとれたものでなければならないわけでありますが、この点からいたしますと、揮発油税並み税率とするということになりますと、かなり高い。御承知のとおり、現在は揮発油及び地方道路税合わせますと、揮発油に対しましては一リットル当たり二十八円余りの課税となっておるわけでございますが、しかし、石油ガス税は今回新しく設けるものであるということ、それから揮発油との税負担比較がそのように一挙に高まることについていろいろ問題があるということ、それから揮発油使用する場合と石油ガス使用する場合との自動革運行上のいろんなメリット、デメリットの関係がございますので、それらを勘案いたしまして、一リットルにつきまして約十円を課税することを目途といたしまして、税率といたしましては、重量により一キログラムにつきまして十七円五十銭を課税することにいたしておるのであります。その旨を第十条に規定いたしております。  次に、免税制度でありますが、これは他の間接国税の例にならいまして、石油ガスが輸出される場合、それから工業用その他特定目的に消費される場合には免税いたすことにいたしておりまして、その旨を、輸出の場合は十一条に、工業目的の場合は十二条に規定いたしております。  次に戻し入れの場合の控除でございますが、これも他の間接国税の例と同様に、石油ガス充てん場に戻し入れられあるいは移入されるというような場合におきましては、その後に移出しました石油ガスに対する税額から控除し、あるいは控除し得ないときには還付するということに、第十五条で規定いたしております。  次に、不沈ガス税につきましても、他の間接国税の例にならいまして、石油ガス充てん者につきましては、移出した月の翌月末日までに申告納付することにいたします。また、保税地域から引き取ろうとする者につきましては、引き取りの際徴収することといたしております。  なお、石油ガスの取引の状況から考えまして、石油ガス充てん者あるいは石油ガス保税地域から引き取ろうとする者につきましては、申告書をその提出期限までに提出して、相当担保を提供いたしました場合におきましては、その担保額相当する石油ガス税は、一ヵ月以内、納期限を延長することができるという制度を設けております。これは第二十条でございます。  そのほか、保全担保、開廃業した場合の申告記帳義務、職員の検査権限などにつきましては、他の間接国税の例に従っております。  次に、この法律施行期日でございますが、本来、揮発油税との関係から見ました場合には、できるだけ早急に施行することが必要であると思われるのでございますが、何ぶん新しい課税であるということ、それから最近急激に揮発油から石油ガスへの使用転換が行なわれて、また、スタンド等の新設が急激に行なわれているといったような状況を考慮いたしまして、施行期日昭和四十一年一月一日といたしております。  次に、石油ガス税は、先ほど申し上げましたような揮発油税などと同一趣旨のもとに課税するものでございますので、この収入額相当する額はすべて道路整備財源に充当することといたしておるのでございまして、この収入額相当する額の二分の一は、道路整備緊急措置法規定基づきまして国の道路整備財源とし、他の二分の一は、別途審議される予定になっておりまする石油ガス譲与税法規定によりまして地方団体道路整備財源として地方団体に譲与することになっております。なお、昭和四十年度石油ガス収入見込みは、昭和四十一年一月一日から施行いたしました場合には七億八千八百万円でありますので、その二分の一の三億九千四百万円は国の一般会計歳入とし、他の二分の一の三億九千四百万円は、地方に譲与するため、交付税及び譲与税配付金竹別会計歳入とすることにいたしております。  次に、関係法令改正でございますが、石油ガス税が新税であることに伴いまして、先ほど申し上げましたような道路整備緊急措置法改正を行ない道路整備財源に充てることを明確にすることとともに、国税通則法その他の関係法律につきまして所要の改正を行なうことといたしております。  何とぞ十分御審議の上、すみやかに御可決いただくようお願い申し上げる次第でございます。
  8. 佐々木庸一

    政府委員佐々木庸一君) 関税定率法等の一部を改正する法律案提案理由について、補足して説明を申し上げます。  第一に、この法律案の主要な目的は、関税定率法関税暫定措置法で定められております関税率改正であります。  その内容は、御参考までに提出いたしました関税率改正一覧表に整理してございますが、今回の改正によりまして、実際に適用される実行税率の変わってまいりますものが二十品目ございます。それと、本年三月三十一日に暫定税率適用期限が到来いたしますものの適用期限の延長をお願いしておるものが九十一品目合計百十一品目となっておる次第でございます。  これらの関税率改正につきましては、大蔵大臣の諮問によりまして関税率審議会におきまして慎重な検討が行なわれました上、立案されたものでございまして、今回の改正は、同審議会が昨年の十二月二十五日に行なった答申を基礎としておる次第でございます。わが国関税率は、昭和三十六年に貿易自由化産業構造変化等に対応するためにその全面改正を行なっておりますが、その後、三回にわたる部分改正を経て今日に至っております。  ところで、現在の関税政策上の大きな問題といたしまして、ガットにおける関税一括引き下げ交渉、またガット国連等におきます後進国産品についての関税障壁軽減除去の問題というのがございますが、これらは現在のところ、ようやく実質的な進展の緒についたと申し上げる状況にあるものと見ておるところでございます。このような状況を考慮いたしまして、大幅な改正は今回は避けておりまして、最近の情勢に対処しますために必要欠くべからざるものにつきまして、最小限度品目に限りまして関税率の実質的な調整をお願いすることにいたしました。  次に、主要な品目について、若干御説明を申し上げます。  今回、実質関税引き上げとなります唯一の品目は、計数型電子計算機でございます。従来は、使用者立場を考慮いたしまして、大型電子計算機及びこれとともに輸入される付属機械につきましては暫定無税、その他のものつきましては暫定一五%の関税を課してまいりましたが、最近、国産技術開発に伴いまして、大型機の製作も可能になりましたので、国産化のおくれている高性能の付属機械の一部についてだけ従来の暫定一五%の関税適用を残しますが、その他のものにのきましては、基本税率二五%に戻ることをお願いしておる次第でございます。もっとも、そのうち計算機本体につきましては、一五%のガット税率がございますので、実際はこのガット税率適用されることになるわけでございます。  基本税率を引き下げますことになりますものに二輪自動車がございますが、これは現在三〇%の関税が定められておりますが、わが国の自動自転車、オートバイの年産は二百万台に達する世界第一位の生産国でありまして、国産二輪自動車には十分な競争力がありますので、この際一〇%に引き下げようとするものであります。  また、新たに暫定減税を行なうものといたしましては、コークス、二酸化ゲルマニウム、イソフタル酸等がございます。このうち、コークスにつきましては、来年度におきまして国内供給量が需要量に不足いたしまして、海外からコークスを輸入しなければならぬということが見込まれておりますので、暫定的に一年間関税を無税にしようとするものでございます。また、現行暫定税率を引き下げようとするものといたしましては、アルミニウム製錬用アルミナ、アルミニウム圧延品等がございます。  次に、現行暫定税率適用期限を延長します品目のうち、バナナ及び原重油について申し上げたいと思います。  バナナにつきましては、現行の七〇%の暫定税率がかなり高水準にありますので、消費者の立場等を考慮いたしまして、できるだけ基本税率三〇%に近づけるべきであると考えておる次第でございますが、三十八年四月の自由化以来バナナの輸入が急激に増加しまして、この傾向は来会計年度も続くと思われますので、七〇%の現行関税率をさらに一年間据え置きまして、バナナの輸入動向、その国産果実に対する影響等を慎重に見守ることにした次第でございます。  次に、原油及び重油の関税につきましては、石炭対策上やむを得ない措置といたしまして、昭和三十八年度より二年間従価二%相当暫定増税を行なってまいりました。その後、石炭鉱業の状況は必ずしも好転いたしません。昨年末の第二次石炭鉱業調査団の答申においても明らかにされましたように、当面なお相当の国の援助等が必要であると判断されておりますので、石炭と原重油との価格差を縮小しますとともに、石炭対策財源に充てるため、なお二年間この暫定増税の継続をお願いしておる次第でございます。  次に、関税特定措置法におきましては、国民経済の健全な発展に資する見地から、関税を減免しまたは還付する制度を、暫定的にいろいろ設けておりますが、これらの制度のうち、本年三月三十一日に適用期限が到来するもののすべてにつきまして、さらに一年間の延長をお願いすることにいたしております。  これらの制度のうちには、わが国の産業設備の近代化に資するため、国産困難な重要機械類の関税を免除する制度、電力業及び鉄鋼製造業におきまする国産石炭の引き取りを確保するため、これらの事業を憎む者の石炭の増加引き取りに伴う負担の増加額を限度として、これら事業者の使用する重油が負担していると認められる関税をこれら事業者に還付する制度等がございます。  なお、農林漁業用の重油の暫定免税制度につきましては、適用期限の延長をお願いいたしておりますほか、適用対象となる重油の範囲を、最近の需要の推移にかんがみまして、若干調整することをお願いいたしております。  このほか、現在、アンモニア系窒素肥料の原料としまして使用される原油につきまして、暫定関税の免除制度を採用しまして、肥料の価格の低下と輸出の振興とをはかっておりますが、最近、原油と並びまして揮発油を肥料の原料として使用するような方法がとられるようになりましたので、その原料揮発油負担していると認められる原油関税を還付する制度を新設することといたしております。  なお、現在、外国貿易船が自由に出入りできる開港を指定しておりますが、最近における港湾施設の整備状況、船の入出港状況、輸出入貿易額等を考慮して、兵庫県の相生港と大分県の大分港とを新たに開港に追加するようにお願いいたしております。  以上のほか、身体障害者用に特に製作された器具及び教育用の視聴覚資材についての関税免除規定の新設、輸入の許可を受けた貨物が保税地域内において災害等により滅失、損傷等をしました場合における関税の払い戻しの規定の整備等をお願いしている次第でございます。  以上、この法律案について補足して御説明申し上げました。よろしくお願いいたします。
  9. 西田信一

    委員長西田信一君) 国際復興開発銀行等からの外資受入に関する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案補足説明は後刻にいたします。  以上で全案の補足説明は終わりました。     —————————————
  10. 西田信一

    委員長西田信一君) 地方自治法第百五十六条第六項の規定基づき、税務署の設置に関し承認を求めるの件、物品税法の一部を改正する法律案相続税法の一部を改正する法律案国立学校特別会計法の一部を改正する法律案、以上四件をあわせて議題とし、右案件を一括して質疑を行ないます。  御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  11. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ただいま上程されております法律案に関連してのやや共通的な質問をいたしたいと思います。  まず第一に、これは予算委員会でも質問したのですが、時間の制約もあって十分政府の見解を明らかに聞くことができませんでしたので、この際、大蔵大臣にもう一度はっきり伺いたいのですが、三十九年度の税収の見込みなんです。それで、二月の実績は大体わかってまいりましたですか、税の収入実績。見当はどうです。いままでのたとえば一月末ですと、三十九年度予算額に対し収入歩合は七七・八%、三十八年度の対決算収入歩合は八〇・五%、三十七年度の対決算収入歩合は八〇・三%。収入歩合が非常に落ちておりまして、そうして一月末では歳入不足が八百六十六億七千四百万円になっておる。それで、補正以来ずうっともう傾向的に歳入不足がふえてきているんですよ。この傾向が二月にどうなっているか。もう三月一カ月しかありませんし、特にこの中では法人税が問題でしょうけれども、法人も大体三月決算は来年度になりますから、大体もう目安がつくはずですよ。大体の見当がついていなければならぬはずです。
  12. 泉美之松

  13. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 いや、それじゃ大蔵大臣に来てもらったかいがない。
  14. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) 数字の問題でございますから、私から申し上げておいたほうがいいと思います。
  15. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それじゃ、時間がないから大まかに、だいじょうぶかどうか。
  16. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) 申し上げますと、前年の二月末の収入割合は八九・四%になっておりますが、本年はまだ正確にわかりませんけれども、この一月末が前年同期に対して二・七%収入割合が落ちておりますが、その落ち方があまり変わらないで、二・六か七の辺になるのではないか。まあ日銀のいまの日報ベースから見ますと、そのように考えられます。  それで、やはり収入上問題になりますのは、いまお話しの法人税と、それから先般参議院の予算委員会で申し上げましたが、揮発油税、物品税などのような消費税、これが予算に対して不足するのではないかと思われます。ただ、問題は、申告所得税のほうで、御承知のとおり補正予算で二百五十億の自然増収を見込んでおります。これがどうなるかは三月末の収入を見ないとはっきりいたしません。それから、増収になる見込みのものが酒税その他でございますが、これらの状況も三月末に至りませんとまだ正確に見通しできませんので、まだ正確に申し上げかねますけれども、まあ六百五十億の自然増収にあるいはやや欠けることになるかもしれないという心配はいたしておりますが、まだ正確にどの程度になるかということを申し上げかねる段階でございます。
  17. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ただいまの御答弁ですと、前年同期の二月ですね、昨年の二月の収入歩合が八九・四です。そうしますと、ことしの一月末が七七・八でしょう。非常な違いですよ。七七・八がかりに少し上昇するとしましても、とても私は八九・四にはならぬのじゃないかと思うのですよ。ずいぶん大きな開きがあります。ですから、どうにかとんとんに、何とか補正くらいの、六百五十億くらいの自然増収は期待できるかもしれない、あるいは多少欠けるかもしれないというお話ですが、しかし、こういうような例はいままでなかったでしょう。これは戦後初めてじゃないですか、こういうような状態は。過去にそういうことはございましたか。
  18. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) 昭和三十二年の御承知のあの景気調整のとき、あのときに予算額に対しまして不足いたした場合がございます。それ以外におきましては、まあたいてい予算の見積もり額よりも収入が多かったのでございます。本年は御承知のような景気の情勢でございますので、この九月決算の法人税収入が予定より少なかったこと以降が、だんだんと反映しまして、いま申し上げましたように、前年の収入実績に対しまして二・七%ないしそれに近い不足になっております。しかし、申告所得税のほうで三月に収入が入ってきます。  それから、先ほどこの二月末と一月末とを比較になられましたが、これはとんでもない違いがございまして、二月は九月決算の法人税の延納分とそれから十二月決算の法人分の既納分と、その収入が相当多額でございますので、前年におきましても二千二百五十一億円入っております。本年も日銀の日報ベースで見ますと、おそらく二千五百億を上回る収入が入っておると思われますので、したがって、前年の八九・四%に対しまして八八%をこえるくらいの数字になるのではないかというふうに期待いたしております。まだ正確につかめませんので、正確になった段階でまた申し上げたいと思います。
  19. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、前年の一月末はどのくらいですか。
  20. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) 前年一月末は八〇・五%であったわけであります。
  21. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これは決算ですね。
  22. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) ええ。決算に対する割合でございます。予算に対しましては八一・一%であったわけです。百八十億ほど歳入超過を来たしましたので、そういうことになります。問題は、だから、決算に対する収入歩合と比較してみればいいことになります。
  23. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、一月末での比較が、これは二月末の比較にやはり大体対応し得るでしょう。その一月末の今年の収入歩合と、それから昨年の決算のですね、前年度の三十八年度の決算の収入歩合との比較が二・七%開いていますよね。これが、じゃあ二月でこの二・七%がどれだけ縮まるかということが問題なんでしょう。それが今度三月にはどうなるかということなんですよ。ですから、これは三十三年以来の大きな変化でございますから、そこでわれわれとしては非常に着目しなければならぬわけですよ。ことに歳入面についてはもっと十分に、われわれ予算委員としても大蔵委員としても、この点はもっと洗ってみなければいけないのじゃないか。  というのは、今度この四十年度歳入を見積もる場合、これは非常に大きな影響が出てくると思います。そこで過大見積もりかどうかという問題が出てきますし、それから特に大蔵大臣にこまかい問題ではなく、大臣らしい御答弁を伺いたいのですが、この中で一番問題なのは、やはり法人税ですよ。法人税が一番中心だと思うのです。そこで、法人税のうち、特に中小企業が悪いのですね。中小企業が倒産なんか見まして、法人税は大法人も増収減益などで問題なんですけれども、特に中小企業が非常に悪いということも大きな影響をしておると思うのですよ。そこで、今後の景気の見通しなんですが、特にこの法人につきまして、それがこういうような傾向がずっと続くとなると、これは三十九年度歳入欠陥が出てくるばかりでなく、今度四十年度も非常に過大見積もりの問題も出てくるわけです。ですから、われわれとしてはその心配なければいいですよ。しかし、われわれ責任があるわけです、委員として。十分検討しておく必要があるわけです。  そこで、一月九日に日銀の公定歩合を一厘下げた。市中銀行も下げた。しかし、並み手形は下げてないのですね。並み手形のほうは下げてないのです。それから、今度また四月ごろ公定歩合を一厘下げるやに新聞に報道されております。そういう場合、並み手形については、大蔵大臣、どういうふうにお考えか。いわゆるこれは中小企業の手形ばかりじゃないのでしょうけれども、ところが、やはり中小企業は並み手形といわれていますね。公定歩合を下げたから金融は多少緩和の方向に向かっているといっても、いわゆる中小企業、零細企業のほうには実際ほとんど恩典が浸透しないのじゃないか、いまの金融緩和で。ですから、依然として倒産はなくならないし、またふえる。そうなると、これは税収のほうに、税収の面からいっているのですがね、非常に問題が出てくるのじゃないかと思うのですよ。そういう点について、大蔵大臣、今後の金融政策としまして、これは税収にはね返ってきますから、特に中小企業の問題、それから公定歩合の引き下げ、それから市中銀行の利下げ等の問題、いわゆる中小企業のほうに浸透するようないわゆる金融政策をやっていかないといけないのじゃないかという気がするのですが、その点、どういうふうにお考えになっておりますか。
  24. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) 税収見通しは、三十九年度の分は、補正の六百五十億を含めて、何とか収納できるだろうということでございます。多少欠陥が出るかもわかりません。しかし、まあいまの状態で、出ても何百億というようなものではないだろう、まあせいぜい出ても五十億か百億、こういう見方でございます。こういう、これはまあ私がいままで主税局や国税庁のいろいろなものを聞いて、みずから、政治ベースでということでございますから、政治的に判断をして、欠陥が生ずるかもしれぬ、しかしその場合でもそう大きなものではない、こういうものに対して雑収入等でまかない得るだろうということが大体の見通しでございます。  四十年度の税収に対しては、これは確かに法人税等にのいてはいろいろな問題があると思いますが、しかし、給与所得はふえておりますから、こういう面で所得税中心には取れるという数字が出るわけであります。でありますので、四十年度の当初予算額に対して、いま補正というような要因がこれからどう出るかという場合のものを想定いたしますと、いろいろ問題があると思いますが、現在御審議を願っております四十年度の当初予算の税収確保ということが不可能であるという考え方は持っておりません。これは過大でもなし、過小でもなく、大体いいところだということ、こういうふうにお考えいただいていいと思います。  ただ、いままでのように相当大きな自然増収を見込むというわけにはまいらないと思います。今年度三十九年度が七%の実質経済成長率が九・四%にもなっておるということであります。本年度は七五%と、こういう当初の見通しでありますが、中期経済計画の八・一%をこすような状態にならないということは、産業の伸びから見て大体そういう見通しはつくわけであります。だから、当初見積もりの税収確保に事を欠くということはございません。補正要因等が出た場合にどういう財源が確保できるかということは、いままでの安易な考え方で対処できないということは事実だと思います。  それから、公定歩合のあと一厘引き下げがどうなるかということは、まださだかに申し上げるわけにはまいりませんが、金融緩和の方向にあることはそのとおりでございます。並み手を、一厘引き下げたときは据え置いたという問題については、金融の自由化、弾力化というような問題に対して次に公定歩合が引き下げられるというときに問題になると思いますが、総体的な問題の見方をすれば、下げる方向でやはり指導していくべきだろうと思います。中小企業の金利負担という問題で、公定歩合の問題とあわせていつでも議論されるわけでありますが、日本の産業の、特に倒産をしておるような産業の実態を見ますると、まあ総体的に考えれば、金利負担という問題も相当問題になりますが、そうではなく、もう金融量の問題でまあいろいろ問題を起こしておるということでございます。いままでも公定歩合の引き上げに際しましても、中小企業の金利負担という問題に対して、できるだけ据え置くものに対しては据え置く、もちろん公定歩合が引き下げられるような場合に中小企業の金利負担に対しては十分に配慮するようにということは、金融機関に対しても強く行政指導を行なっておるわけでございます。とにかく中小企業を中心にしていろいろな関連倒産等の問題もありますので、これからの金融政策を考えます場合に、中小企業に対して、特に黒字倒産、連鎖倒産というようなものがないように、格段の配慮をしなければならないと思います。昨年の十一月ごろ、ざっくばらんに申しますと、金融機関に金がありますが、どうも内容を調べて洗い直しをしなければ次の金融はちょっと待とうと、こういう大きな問題があるようであります。そういう態勢が倒産等に拍車をかけないように格段の措置を考えなければならないと、このような姿勢であります。
  25. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 三十九年度の成長率はどのくらいになる見込みですか。実質成長率、ことしの三十九年度です。これはあります。九・四%ですね。そうすると来年の四十年が・七・五でしょう。それで、名目が三十九年一二・九の成長率で、四十年が二%の成長率、これから見ると、成長率がダウンするわけですね。ダウンするわけです。しかも、三十九年は四十年度よりも高い成長率のもとで、こういう収入歩合がどうも落ちてきておるということですよね。そうすると、これは今後もし中期計画を八・一%でいくということに、安定成長にいくと、これから歳入問題が私は重大な問題になってくるんじゃないかと思うのですね。いままでの財政と今度非常に大きな違いが出てくる。三十三年以来このように収入歩合の実績が予算よりも非常に低下してきておるということで、いま大蔵大臣の話ですと、政治的ベースですからまだはっきりした計数は出ていないと思いますけれども、五十億、百億くらい歳入欠陥が生ずるかもしれない。それは雑収入によってカバーできるとしましても、これは非常に大きな変化ですね。それはどうやって今後処理していくか。ことに補正なんか出てきた場合ですよ、これは非常に問題になってくるのじゃないかと思いますね、こういう点。これからかなり財政問題、財政政策を立てる場合、収入の問題、歳入の問題が非常に重大化してくるのじゃないかと思いますが、そういう点、さっき大蔵大臣も五十億ないし百億くらいのあるいは歳入欠陥になるかもしれないというお話でございますが、当然いろいろ議論もされ検討されているのじゃないかと思いますが、そういう点、ひとつ、ざっくばらんにお伺いしたい、今後のわれわれの研究のために。
  26. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) 昨年の税収見通しが非常に大きいじゃないか、こういうことを言われたのであります。六千八百二十六億。しかし、それは三十八年度の分が二千億余ございましたので、四十年度の当初の財源というものと比較をする場合には、二千億引けば四千八百二十六億、二千三百億引きますと四千五百二十六億、こういうことになるわけであります。この三十九年度の三十八年度分の二千億余を引いた分と、当四十年度の当初の財源見通しと比較をいたしますと、二千三百億を六千八百二十六億から引きますと四千五百二十六億、四千五百二十六億と四十年度の当初の見積もり四千六百四十七億と比べますと、大体とんとんという数字でございます。これは減税前の自然増収の税額を四千六百四十七億、こう見積もったわけでございますから、税収自体の数字を見ますと、三十九年の当初七%の見通しのときの収入金額とおおむね同金額を前提にいたして予算を編成いたしておりますので、四十年度の数字が大きいものではない、こういうことを申し上げられると思います。  しかし、同時に、三十九年度が大き過ぎた、こういう点もあるわけであります。ですから、大き過ぎたという面から見ますと、歳入欠陥を幾らか生ずるかもしれないということを先ほど申し上げたわけであります。主税局としては一ぱい一ぱいだと思います、こういう見通しでございますが、まあ一ぱい一ぱいでという見通しで、清算をすれば五十億か百億くらいは足らなくなるかもしらぬなど、こういう判断を私がすることは、これはやむを得ないわけであります。そういうものを他の財源、国有財産の売り払い収入とか、いろいろなもので、雑収入でもってカバーできないかというと、まあ大体カバーできないということはない。大体カバーできるだろう。カバーできる限度においての、歳入欠陥が起こるとしても、その程度であろう、こういうことを申し上げておるわけであります。非常にざっくばらんな話でありますが、百億以内の数字であれば十分調達できると思いますと、こう申し上げておったわけでありますが、ざっくばらんに申し上げると、かような状態だと思います。  そうすれば、四十年度は当初の七・〇よりも〇・五%成長率は上がっておるわけであります。でありますから、それで四千五百二十六億、四千六百四十七億、約百億しか差がない、こういう税収見積もりでありますので、四十年度の状態で過大であるということはないわけであります。  ただ、あなたが最後に申されたとおり、これから災害があったとか人事院勧告でももしあったというような場合に、一体財源確保できるかこういうことになりますと、これはたいへんなことだと思います。まあたいへんなことだというのは、ほんとうのことを申し上げておるわけです。政治的に申し上げれば、出たときに十分検討いたします、こういうことになりますが、いままでのように、人事院勧告が出ましたら直ちにこれを何とかいたします、などと言えるほど甘い状態ではないということは、これはほんとうのところを申し上げておるわけであります。
  27. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私は別に大蔵大臣を責めるとかなんとかという意味で質問しているのではないのですがね、いわゆる実態をはっきり知りたいわけですよ。それで、非常に疑問に思いますのは、そういう状態であるのに、どうして——税制調査会答申どおりにやれば、大体初年度で四百億くらい、平年度で六百億くらいそこで余裕が出るわけですよ。だから、私は三十九年の歳入不足の傾向を見まして、そこでおそらくこんなに、こういう状況になるとは、おそらく想像されなかったと思うんですよ。これは中小企業とか法人の決算について、かなり楽観的に見ておられて、こうなったと思うのですけれども、いまになってみますれば、やはり税制調査会答申どおりに税制改正をやったらば、四百億は余裕できるのですから、もっとも、そうなると、歳出のほうがふえちゃうかもしれませんけれどもね。しかし、そこが何か私はもっと余裕を残しておけたのではないかと思うのです。  で、今後公債は発行しないと言うけれども、そうすると、この間どうも大蔵大臣は間接税のほうをどうも考えておるのではないか、こういうような邪推というのですか、そうしなければつじつまが合わないのですが、その点はどうなんです。
  28. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) 減税はしなければならないということで、減税に対しては重点を置くということでございます。財源を残しておるといっても、残していれば当然歳出要求もありますから、なかなかそれを保留していくというようなこともむずかしいと思います。超健全的な状態から、まあ比較的健全な状態にだんだん移行してきた、こういう考え方を持っているわけであります。  三十九年度の収入に対しては、これは主税局や国税庁が非常にかたい見積もり、非常に厳密だということを、私もいまさらながら驚いております。百億か五十億もし歳入欠陥になるとしたら、ちょうど最後に主税局とつめて、なかなか財源の問題で白熱しましたときに、最後に私が、きっと差額が五十億か百億あろう、とにかく主税局の案に積んでくれ、こういうことでもって予算組もう、こう言った分が大体問題になるわけでありまして、主税局や国税庁が見積もった数字というものは非常に正確だと、こういうことは私もいまさらながら驚いておるわけでございます。  これから、その意味で財源がなくなるということは予想されるわけであります。これが先進国経済に早くなっていきたいとか、また社会保障やその他の施策に対しましても急速に伸ばしていかなければならぬということで、歳出要求は確かに強いのでありますが、やはり財政が経済を刺激しない、こういう基本的な、健全財政の基本的な姿勢は貫いていかなければなりませんので、やはりいままで対前年度二〇%も伸びるということは問題があると思います。でありますから、三十六年、七年、八年、九年と、二四%、二四%、一七%、一四%と、こうなってきたわけでありますから、予算のペースが大きくなっているだけに、やはりこれからの予算は編成はむずかしいと思いますが、やはり対前年度比一〇%ないし一二%くらいの増加にとどめていくことが合理的だと思います。そうして重点的に投入を必要とする場合には、いまのワクの中から合理化を行なって、そうしてやはり政策の重点に対しては多く予算をつける、こういう方面を考えていくことが合理的じゃないかと思います。財源がたくさんあるから歳出を大きく見積もるということは、これからの予算の姿勢としても避けていくべきだ、こう思います。ですから、なるべくしてなるようになった、こういうことで、まあ八%近い成長率そのものが大きいのでありますから、安定成長を求めていけば、自然増収も限られたものになる。その限られた税収の中で、合理的な予算を組み、重点的に予算を配分する、こういう木村さんがいつも指摘をせられておるような正常な姿にだんだん戻りつつある、こういうことも言い得るわけであります。
  29. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 歳入問題につきましては、今後事務当局からも計数的にいろいろまたこまかく質問いたしたいと思います。大蔵大臣にはそういうような計数的なことでなく質問いたしたいので、この点はあとでまた事務当局のほうから十分にそこのところを伺いたいと思います。各税目別にまた伺いたいと思います。  それから、もう一つ、中小企業の問題ですが、一月九日の公定歩合の引き下げのときは市中銀行の並み手形は下げませんでしたが、今度の場合は、今度公定歩合を下げるとすれば、やはり市中銀行の並み手形のほうも下げなければ私はほんとうに金融緩和の点が滲透しませんから、そういう場合には大蔵大臣はどうお考えですか。
  30. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) 先ほどもちょっと申し上げましたが、金利の自由化、弾力化という面からいろいろ議論がございますが、しかし、公定歩合が再度引き下げられるという場合には、やはり並み手形を下げていくという方向で指導すべきである、こういうことを申し上げたわけであります。
  31. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それから、株価対策の問題ですが、今度は租税特別措置によりまして、配当控除ですね、配当の分離課税を導入することになったわけですが、あれも有力な株価対策の一つであると思うのですよ、ねらいが。それにもかかわらず、株は千二百円台を割って、またもとよりも、前よりもさらに悪くなっているわけですね。今後これに対して——共同証券で千五百億か二千億ですか、証券の融資をしたり、あるいは株式保有組合をつくったりしてやっておるにもかかわらず、さらに低落している。こういう状態はもう放置しておくのか、あるいは前に千二百円というのは非常に維持したようですけれども、今後どういうふうにされるのか。この結果から見て、分離課税というものは実際にそういうものに役立たないのじゃないか、また資本蓄積にも役立たない、その一つの証拠になるのじゃないかと思うのですが、この株の問題は一体どうされるのか。これは今後全体の経済の動向とも関連して、かなりやはり重要な一つのめどだと思いますので、この点についてお伺いいたします。
  32. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) 株式市場があまりぱっとしないということは御指摘のとおりでございますが、しかし、千二百円を維持しておったということ、これは千二百円を維持させたということではなく、共同証券その他が買うのですから結果的に千二百円は維持された、こういうことでございます。その後いろんな施策を行なっておるのでありますが、証券対策として、また市場対策としていま考えておりますものは、証券金融に対して恒久的なものを考える必要があるということが一つございます。もう一つは、やはり御審議をいただくと思いますが、証券業者の体質改善というようなものを中心にした証券取引法の改正、また第二段、第三段には証券取引所の機能の強化というようなもの、またいま問題になっております企業の経理内容というようなものをどういうふうにしてこれを確保するか、確認をするか、また粉飾決算等がないようにするためにはどうするかというような措置をだんだんととっていくことによって、資本市場対策はだんだんと進められていくわけであります。  いま旧ダウ平均千二百円を割ったといいますけれども、これは内容的に見て非常に悪い傾向というものではないようであります。いままでは、例を一つあげますと、仮定の議論でありますが、日本の代表的な産業、日立とか東芝とか、また東電とか、それから日本鋼管とか八幡とか富士とか、こういうような基礎産業であって、つぶれない、しかも一割配当以上をしておる、こういうものが額面すれすれであって、その子会社の販売部門だけを持っておるものが三百円も四百円もする、こういう特異な事態があったわけでありますが、このごろはどういう傾向をたどっておるかというと、非常に高い水準にある株が、三百円のものが二百円、二百円のものが百五十円になる。しかし、いままで額.面すれすれであったようなものが、御承知のとおり五十円の株が六十円になり、七十円になり、八十円になっておる。ですから、内容的に見ますと、株式市場が非常に悪い状況に進んでおるということはないのであります。ですから、単純平均で一円も下がると、確かに旧ダウ平均では非常に大幅な下げをいたしますが、銘柄別に内容を見てまいりますと、落ちつくべきところへ落ちつきつつある、こういう見方でございます。でありますから、証券市場が非常に悪い面に向かっておるということではなく、親会社が五十円のものが七十円になり、子会社が三百円だったものが百五十円、二百円、二百五十円と、だんだんと安定的にすわりのいい状態になりつつあるということは、これは銘柄別にごらんになれば御専門の方は十分わかるわけであります。不安の状況は全然感じておらないわけであります。  それから、今度の税制改正はあまり株式市場の、いわゆる資本市場の対策にならぬということでありますが、これはなりますと私は考えておるのです。これはいま取引高が非常に少ない。売りもないし、買いもない。ですから、ちょっとしたものを売ると旧ダウ平均がうんと下がっていく、こういうことであります。ですから、国民大衆は、下がったけれども、じっとこれを持っている。また買いに出てきておらぬ。金は一体どこへ行っているかというと、二千七百億を年間見ておりました郵便貯金がもう二千八百億に今年度でなります。今年度財政投融資の原資として三千八百億郵便貯金で見込んでおったわけでありますが、もう二月の末に二千八百億をこすと、こういう状態で非常に堅実な方向に国民がやはり貯蓄をする。三割も四割ももうかるようなものでも元も子もなくしてはいかぬといって、落ちついてきておる。正常な段階に入りつつあると、こういうことはいえると思います。特に私には知った人が、株式に投資をしたいのですが、税法は通るでしょうなと、こういうことを言っているわけであります。まだ通るか通らぬかわからぬというところに不安なところがあると思います。早く通していただければ、これはもう非常にそういう意味では対策になる。私は経験の上にそうお願いいたすのであります。
  33. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 まだ非常に質問がございますが、柴谷さんがあと質問されるそうですから、一点だけ質問いたしまして終わります。  それは教育費控除の問題ですね、税制の中での。愛知文部大臣にもこの点は質問したのですが、大蔵大臣はどういうふうにお考えですか。これは来年度あたり考慮されますかどうか、この点だけひとつ。
  34. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) 教育費控除の問題は、まあ前から問題になっておりまして、今度文部省も非常に強いので、とにかくこの結論に対しては税制調査会の意見を聞こうということで税制調査会の意見を聞いたわけでありますが、文部省が要求しておるような結論が出なかったことは御承知のとおりであります。これはなぜ出ないかというと、教育費控除ということはよくわかるが、しかし、学校に行けないで実社会に出て働いておる人があるので、これらの人との権衡もありますので、やはり一般的な基礎控除を上げていく、こういう面で解決すべきだ、こういう答申をいただいたわけであります。私もいろいろ御批判もある減税政策もやったのですから、この半面にこういう教育費のようなものをやってと思ったのですけれども、特に税制調査会の問題もありましたので、もう一年見送った、こういうことであります。  来年やれるかと、こういうことになりますと、文部大臣も来年はひとつうんとがんばりますと、こういう御答弁もしておりますが、学校に行ける人と行けない人との権衡、こういういろいろの問題がございまして、慎重に検討すべきだと思っております。
  35. 柴谷要

    ○柴谷要君 私、すわって質問しますから、政府側もすわって御答弁いただきたいと思います。  時間がありませんので、ごく簡単に伺いたいと思うのですが、三月九日の新聞に、学校に払い下げたのに国有地がマンションに変わっておるということで、地方自治体である目黒区議会がこの国有地の追及を行なうと、こういうような見出しの新聞が出ておるわけであります。私も目黒に在住をしておりまして、この問題については相当関心を持ってながめてきたのであります。  しかも、学校といっても特殊学校で、どもりの学校を建設をする。その申請は、社会福祉法人で楽石社というのが当時申請をいたしまして、大蔵省がこれに許可を与えた。しかし、その後、楽石社なるものがこの事業を行なわずして、時日もたってきたので、関東財務局はこれに向かって注意を行なっておる。そのような結果、自力でできないのかどうか、実は、その楽石社が日本ベル福祉協会というところに権利を譲渡した。この日本ベル福祉協会が権利譲渡受けるや、直ちに豪華なマンションをつくりあげたというのが今日までの経緯になっておるわけです。  そこで、お尋ねしたいことは、国有財産法の第二十九条の用途指定の売り払いを行なっているわけですね。この場合、単に社会福祉事業に供するという名目だけで用途指定になっておりますので、内容については、どういうことをやるのかという詳しいことは大蔵省は把握をしていないのじゃないか、こう思うのですが、このようなことで国有財産が将来も払い下げられていくものであるかどうか。この財産法について、大臣、あるいは国有財産局長のほうでもけっこうですが、御答弁をひとついただきたいと思います。
  36. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) この問題は新聞にも出ておりますので、これを機会にひとつ内容を申し上げたいと思います。  この問題になりました土地は、相続人がなかったということで国有地となったわけであります。この土地の総坪数は千五百五十五坪、こういうものが目黒にあったものでございます。これの払い下げに対して、目黒区役所や楽石社その他からたくさんの申請があったわけであります。たくさんな申請がございましたが、財務局としましては、その千五百五十五坪のうち一千坪だけを目黒の区役所に払い下げました。それから、残りの四百八十五坪を昭和三十五年の一月二十日に社会福祉法人楽石社というところへ払い下げた、こういうことであります。  これは払い下げの条件は一体どうかということでありますが、これは特に、まあ非常に古い歴史を持つものでありますし、ろうあ者の収容、職業訓練というような施設を営んでおるというものでありますので、時価の五割、一部については四割というものを減額をしまして、九百八十万七千円という価格で払い下げたわけであります。これは半分くらいで払い下げた、こういうことであります。これはもちろん用途指定をして売り払いをしたわけでありますから、大蔵省としては適法な売り払いをいたしたわけであります。しかも、これを払い下げるというときに、この楽石社の事情もございますので、地元の区にも了解を得た上でこのような処分をいたしたわけであります。この楽石社が金がないということで、ベル福祉協会というところに転売をした。また、ベル福祉協会はそこに、自分で金ができないので、第三者にビルをつくらして、上の半分を売り払って、その価格でもって下をただにして社会福祉事業をやろうと、なかなか考えたことでございます。  その事情を簡単に申し上げますと、楽石社はその後この土地に木造施設を建築をしまして、事業をやっておったわけでありますが、資金難のために、計画の六〇%程度、半ばでもって立ちぐされの状態ということになったわけであります。そのころ、昭和三十八年の一月ごろだそうでありますが、社会福祉法人ベル福祉協会、これは理事長は参議院議員山下春江氏であります、このベル福祉協会というのはどうかというと、ろうあ者の収容、授産、相談施設を営んでおりまして、この楽石社と大体同じような仕事をしておるわけであります。この理事長山下さんから、ろうあ者の福祉施設の適地がないということで、同じ事業を行なっておるのですから、楽石社の土地を転用させてもらいたい、こういうことで、楽石社に払い下げたときには用途指定をしておりますから、この用途指定の一部を解除してくれ、こういうことを当局に申し入れてきたわけであります。当局というのは国有財産局だと思いますが、そういう状態がございますし、そういう社会福祉の内容でありますので、その半分だけの用途指定の解除を行なって、そうして楽石社ができなかった同じ仕事をベル福祉協会がやるならば、二分の一を解除してやろう、こういうことをやったわけでございますが、その解除に伴いまして、さきに売り払ったときに減額をしてありますから、その減額をした額を楽石社が代金を払えば、追加をして払えば、ベル福祉協会に半分転売することを許す、こういう条件をつけたのであります。  それで、ここまでは私は適法と、ずっと非常にうまくやってきたと思うのです。ところが、ここからが問題がございます。その転売時における時価を求めて、その差額を徴収するために評価作業をもたもたやっておったのでしょう。まあこれを早くやればそんなことはないと思いますが、それに時日をかけておるうちに、当局の関知しない間にと、こういうことを言っておりますが、まあもたもたやっておるうちに、当該財産の全部について楽石社からそのベル福祉協会というところへ全部移転登記をやってしまった。それで、三十九年の二月から、昨年の二月からビルが建設をされたということでございます。このビルが建ち始めてから初めて大蔵省としてはこの事態に驚きまして、両福祉協会の責任者を呼んで事情を聴取して、善後処置をいたしたわけでございます。  そういう状態でございまして、まあ結果としては、国有財産処分上の一般原則に照らしまして、楽石社の用途指定違反として、契約条項の定める違約金五百五十四万三千円と、転売の差額金、これは時価転売価格と国の売却価格との差額、こういうものを徴収する方針で目下相手方と折衝をしておるということが、いままでの全貌でございます。  まあ楽石社というものが非常に歴史の古いものであり、金詰まりでもってできないで立ちぐされになっておる、そこへ、時あたかも同じ内容を持つベル福祉協会から、これに対して転用をして、自分でその事業を引き継ごう、こういうことになった。まあそこまでは認めたわけであります。ところが、そのあとが問題であります。そのあとが、今度はまた、このベル協会も金がないということで、今度は知恵を出して、ビルを建てたわけであります。しかも、自分で建てないで、どこかのだれかに建てさせたと思いますが、それで、その空間利用といいますか、非常に高い建物を建てて、上のほうを分譲マンションとして分譲して、そして私のところだけはただにしてくれ、こういうことをやったわけであります。でありますから、建物を、自分で金がないので、地上権を提供して、そして分譲マンションを建てさせて、そしてその建物の半分を売っ払って自分の建築費をただにする、こういう苦肉の策をやったわけでございます。そこが問題になっているところでございまして、先ほど申し上げたように、この両福祉協会の責任者を呼んで、差額徴収というようなことでいま折衝をいたしております。  これは、つくったものは、今度は一体どういうものかということでございますが、鉄筋コンクリートづくり地下一階、地上六階、延べ坪千五百六十六坪余でございます。地下一階と地上二階まで延べ五百七十坪余をベル協会が使用して、地上三階から六階までの九百九十六坪をマンションとして分譲する。そうしてその分譲の金で地階と一階、二階はただにしてもらう、こういうことが真相でございます。
  37. 柴谷要

    ○柴谷要君 実はいま大臣から克明に御説明ございましたように、確かにそれが事実でございますね。まあそれまで聞いてくるというと、当面やむを得ないじゃないか、できてしまったんだから。こういう結論が出てくるのではないかと思う。ところが、それまでの、今日の状態になるまでの、目黒区議会あるいは目黒区長以下の関東財務局に足を運んだこと、大蔵省に足を運んだこと、こまかい経緯をずっと調べてまいりますと、この楽石社なるものが最初申請をして払い下げてもらいましたときに、その事業を行なう意思がないのですね。なかった。というのは、古材を持って来ましてその土地に建築を始めた。始めたんですけれども、完成をしないで、草ぼうぼうにして、そうしてその家が、古材を持って来たもんですから、立ちぐされの姿になってきた。そこで、目黒区としては千五百坪のうち千坪払い下げをしていただいたので、保健所とセンターをつくったわけですね。そうしてこのような草ぼうぼうにしておる残りの五百坪については、ぜひ目黒区としては出張所をつくりたいということで、区長以下が関東財務局に再三足を運んでお願いをした。ところが、その当時、その楽石社に対して関東財務局がどういう手を打ったかというと、たいした手を打っておらない。  そこで、その関東財務局は御承知であったかどうかしらぬが、とにかく楽石社は九百八十万七千円でこの土地を入手しておきながら、ベル福祉協会には四千六百五十万円で転売をしておる。そうするというと、ぬれ手でアワですよ。こういうこと、姿がけしからぬことが一つ。  それから、できあがったマンションが、まあ今日の住宅事情が非常に悪いときに住宅政策として建てたんだからいいじゃないかという御意見もあろうと思う。ところが、一戸三部屋の豪華なものであって、八百万円から千二百万円、こういうマンションなんですね。一体これはだれが手をつけられるか。いかに今日住宅難で困っていても、それじゃすぐ手を出して買えるかというと、買えるような価格のものではない。それだけに、この付近の住民の中から非常にたいへんな声があがっておる。そうしてこの代表が、目黒の区長以下目黒区の区議会も黙っていられないので問題にしてきた、こういう事実だと思う。  こういうことが、まあ使用目的をきちっと出して、そうして権利を取って、もうけて転売をして、その転売先がまた利益のためにこういうマンションをつくっていいのかどうかということで、いまたいへんな区民の声があがっているわけなんです。こういうことを大蔵省は御存じでやらしておるのか。それとも、特に理事長である山下春江さんという名前が出ているものですから、国会議員が一枚加わると何でもできるんじゃないか、こういう悪い印象を区民に与えているということも事実ですね。これだけは何とか打ち消してもらいたい、こう思うわけなんです。別に山下さんの今日まで行なってきております事業なりあるいは楽石社が行なってきている事業に対してけちをつけるわけじゃありません。これは確かに福祉協会としてそれ相応の事業をやってきたことは認めます。しかし、この国有地払い下げの、利用の問題については、遺憾ながらこれでよろしいという結論にはならぬと思う。  そこで、大蔵省としては、今後、違約金だけでこの問題を処理していこうとして考えておられるのか、また別な方法をお考えになっておられるのか、これだけひとつお聞かせいただきたいと思う。
  38. 江守堅太郎

    政府委員江守堅太郎君) 違約金を取ると同時に、転売差益金を全部取るということを考えております。それ以上に、たとえばベルに売りました土地を取り戻すということは、法律上できかねる、残念ながらそれはできませんが、少なくとも楽石社がもうけた額、これは全部国で取り戻すということで、いま話を進めております。
  39. 柴谷要

    ○柴谷要君 最後ですから、ちょっと申し上げますが、この土地が従来の国有地であるのではなくして、角田マサさんがなくなったが、継承者がいないので国有地になったものなんですね。それだけに角田マサさんという人と日常交際の深かった周囲の人たちが、たいへんなりきみ方なんです。一体こういうことを国がやらせていいのかどうかということで、たいへんなりきみ方をいたしておりますので、この機会に大臣の御見解を承っておきたいということで、私は質問したわけですから、かかる問題が二度と起こらぬように、かつまた、この問題の処理を区民の、都民の気持ちに沿った解決をしていただくように御努力願いたい、こういうことをいま申し上げて私の質問を終わります。
  40. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) 楽石社は明治三十六年から五十年間このようなことをやっておるということで、文部省や東京都からその証明があった、文部省、厚生省、東京都から事業の証明があった、こういうことからやったわけでありますが、この実行過程というものをよく監査しなかったというところに、こういう問題が起こったわけであります。いずれにしても、国有地ではありますが、しかし、いまあなたが述べられたとおりの経緯を持つ土地でありますから、こういうものも故人の遺志が尊重されて公けのものに使われるということに対しては、もっと深い配慮も必要だったと思います。こういうことに対して四角定規であったということに対しては、はなはだ遺憾であります。こういう問題がございますので、国有財産法の改正もしていただいたわけでありまして、かかることがないように将来十分気をつけてまいりたいと思います。
  41. 野溝勝

    ○野溝勝君 私は簡単でございますが、五分ばかり大臣にお聞します。  さっそくでございますが、私は二月の十八日に農林委員会で砂糖行政に関する質問をしました。その際いろいろ質疑をしたところ、農林大臣から慎重に考慮して善処する旨答弁がありました。昨年甘味資源二法案が出ましたが、その際の法案の精神からいうと、自給度の向上、生活の安定といいましょうか、そういうようなことがうたい文句でした。まあ、自由化を一昨年実施し、おくればせながら国内産糖の保護体制をとったわけです。ところが、御承知のとおり、最近の糖価不安で、精糖業界も清さん農民も消費者大衆もこんとんとしている状態であります。このことについては赤城農林大臣も、全くそのとおりです、よわったものです、昨年資源法を制定したが、どうもそのとおりいきません、こういうような答弁をされております。  それで、今後一体どうするのだということなんですね。大臣、砂糖問題は単に、糖価安定というだけの問題じゃなく、これは一つの国民食糧ですから、国民生活全体の問題なんですね。ですから、私は非常に重大に考えているわけです。御承知のとおり、農民は農民で非常に不満です。沖繩の農民も八割がやっぱりサトウキビの農民ですから。その問題も、その際に臼井君も政府委員席に来てもらいまして、私は申し上げた。ところが、臼井氏は最近沖繩に行きまして、サトウキビ買い上げを増すという努力をする。私どもの質問の要旨にこたえてくれて努力をされているわけです。ところで、最近砂糖価安定法というものを考えておる。しかし、これには事業団を設立して、これに対応しようというような考えもあるようです。しかし、大蔵大臣、やはりこれが予算関係してくるというと、あなたのほうの意見というものが入るわけですから、この際、私は参考に申し上げておきます。これは単に粗糖の問題、原糖輸入の問題だけじゃないのです。いま言うとおり、国内糖との関係ですね。甘味資源法案をつくってみても、国内産糖はわずかしかできないのですからね。ですから、これは原糖に依存するところが非常に多いのでございます。その間をどういうふうに調和していくかということが問題なんでして、結論から先にいえば、私は事業団くらいのものではとてもだめだと思うのです。いろいろ沿革はあるが、いま英国では砂糖の管理をやっておるわけですよ。こういうことは農林大臣だけではなかなかやりにくいことと思う。大蔵大臣がひとつ特に赤城さんと相談をされたい。新聞報道のような状況であるなら、その総理の裁断を得る前に、やはりあなたのところに意見はどうかということで聞きに来ると思うから、その際に、何々法をつくって失敗だったと、これだけじゃ目的は達せられないのだということを、後になってからまた言うことのないようにしてもらいたい。  この際、私は意見を提示しておきますが、ある程度、やはり国家管理性を帯びた——あなたたちのほうは国家管理という名がどうもおもしろくなければ、公社でもよろしいから、そういう方向の考えをもって、この際全体をにらんで法案をつくることにしないと、自由化の失敗の上塗りになりますから、この際十分考えてもらいたい。やはり砂糖の自由化は失敗でしたよ、ざっくばらんにいえば。農林省が告白しておるのだ、こんなことになるとは想像しなかったということを言っています。この政府の失敗には重大な責任がありますよ。しかし、失敗は失敗で、いまさらしょうがないという面もあります。だから、次にはそういう失敗を繰り返さぬように特に考えてもらいたい。だから、私は最後に一言ここで言うのですが、私はこういうふうに考えておるのですね。大臣政府がアルコールを専売化したときがありますね。あの結果は非常に成功していますわね。これは前の話ですけれども、やったことがありますね。だから、今日の砂糖問題に対処する場合、非常に参考になると思うのです。砂糖は、御承知のごとく、相場商品、銘柄商品でもないわけです。付価価値も少ない単純血産ですね、こういう関係から、そういうことができると私は思うのです。そこで、原糖は統制し、輸入糖、国内糖についての差益は、これは生産農民や国内産糖や澱粉業者にも還元する。そして生産面は全国のメーカーに委託加工をさせる、それで賠償額を払う、こういうことを考えておるのでございます。これは今日大臣からその答弁を聞くというのじゃない。日本の財政にも非常に影響します。関税消費税関係の問題もありますから、非常に影響が大きいわけですから。きょうの新聞を見ると、例の砂糖類問題懇談会の答申に華づき法案をきめるについて佐藤総理の裁断を仰ぐようだと言っておるが、この際、やたらに佐藤総理が裁断に応じちゃ困るので、あなたが十分そういう意見をひとつ佐藤総理に進言して、将来誤りなきを期してもらいたいということを要望しておきます。  ですから、あなたの具体的な答弁はよろしいが、その考え、ぼくの構想を大体了承できるのか。批判してみよう、検討してみようという気持ちがあるのか、そういう点をひとつお答えを願いたい。
  42. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) 砂糖は国際的な商品でございますので、非常に上がり下がり、変動が多かったわけでございます。しかし、将来の見通しを考えますと、やはり砂糖生産というものに対しては、需要に追いつかないということで、国際糖価というものは上がる方向にあるという考え方を持っております。国民には安い砂糖を差し上げなければならない。しかし、同時に、国内糖の生産業者に対しては、やはりその価格を安定せしめなければいかぬと、こういう二律背反といいますか、むずかしい問題を含んでおるわけでございます。でありますので、大蔵省側といたしましては、糖価が下がっていくという考え方になると、相当な財政負担になるわけでございますし、糖価が国際的に上がっていくということになればまあ国内糖も維持できるということになりまして、いま農林省と大蔵省の間で検討中でございます。なかなかむずかしい問題でございまして、自由化の精神からは、また割り当て制度をとるというようなことになりますと、相当問題がございますし、しかし、国内生産者のことを考えると、何らかの措置が必要であるということでございます。いろいろなことをいま考えておりますので、あなたのいま御発言もございましたが、大蔵省と農林省の事務当局で相当検討いたしております。そうして、総理の裁断を得るという前に、私と農林大臣でひとつ話をしようと、そこでうまくいかなかったら総理のほうへ持ち込もうと、こういう話になっておるわけでありまして、むずかしい問題でありますが、慎重に検討いたしておるということを申し上げておきます。
  43. 野溝勝

    ○野溝勝君 答弁はよろしゅうございますがね、大臣、現実問題はいまてんやわんやの騒ぎですよ、あなた御承知のとおり。すなわち、精製糖業界などは全くむちゃですよ。台糖とか、名古屋精糖、横浜精糖などは、何と理くつをつけようと、いまの過剰設備に拍車をかけるような工場の新増設をやっている。粗糖は一年分もの百七十万トンも輸入契約している。何らの規制もせず、これを放任しておく手はない。これは過剰投資だ。そしてはなはだしい過当競争で、でたらめだと思うのだ。こういうようなことをやっていけば、どうなるんですか。山陽特殊鋼のようなことが精製糖業界に来ますよ。一方、砂糖の小売り値を見れば、キロ百三十円前後だね。合うとか合わぬとか言ってみたって、これは消費者から見れば、世界一高いものを買わされているのですよ。じゃあ農民はどうかというと、農民は、これまた安いものを出しておる。北海道のてん菜農家の経営と生活を見ればわかる。だから、この際私は、国がやるということなら、これはたいてい承知できるんですよ。だから、あまり国家管理と麗々しくは言いませんがね、やはり何とか国で、アルコール専売をやったようなやり方で——そのほうが実際、業者も喜ぶ。メーカーも実際のところ腹の中では、これじゃとても不安定でたまらぬ、みなとも倒れになると思っているはずです。だから、そこら辺は、大蔵大臣はひとつ農林大臣とよく話をされて、また同じような、つくった法律がまた一年足らずでだめだったというようなことのないように、りこうな大蔵大臣、大いに赤城さんと相談、協力して、ひとつ成案を得ることを希望しておきます。
  44. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 時間が来ておるのですが、一言大臣にお尋ねしておきたい。私は、委員会の名前はよく知らないのですが、たしか金融調査会だと思うのですが、前の勧銀の頭取の堀さんが会長をしている金融調査会で、何か投融資の資金割りについて、相当あそこに権限といいますか、大蔵省がある程度の委託をするというように聞いておるんですが、これが市中金融にとっては大きなセンセーションを起こしておるのですが、その実質というのはどういうのでしょう。
  45. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) 金融制度調査会につきましては、金融政策そのものをおまかせしておるということではございません。ここで、日銀法の問題に対して御検討を願ったり、また、財政投融資のワクをきめまして、局間資金をどの程度活用するかという場合に、このようなものが適切であるかどうかということを考えていただいたり、今度は融資ルールというような問題がございまして、こういうものを官製でやろうという気はございません、銀行協会でも自主的にこういうことを検討するのだが、やはり大蔵省の考え方とか金融制度調査会の考え方とか、こういうものも参考にしながらやらなければいかぬ、こういう問題がございまして、こういう問題に対して諮問を申し上げて御相談を申し上げる、そうして御意見を拝聴する、それで金融政策の誤りのないようにいたしたい、こういうことでございまして、どこの銀行とか、また民間金融機関に対してどういうふうに資金の流れをきめようとか、こういう大蔵省の権限を金融制度調査会におまかせをしておるということではございません。
  46. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 十分大臣もお含みだと思いますけれども、なかなか銀行協会としては、何かあそこの諮問を特に大蔵省が尊重をして、そうして何か諮問に応じてやられるような、まあこれは杞憂であればけっこうですがね、そういう空気がだいぶあるようですから、これはむろんお聞きと思いますけれどもどうぞひとつそのつもりで御指示をしていただきたい。
  47. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) わかりました。
  48. 田畑金光

    ○田畑金光君 ちょっと、これは資料の要求ですが、さっきの国有財産のあの問題、ひとつ経過と現在問題になっている内容等について詳しく資料を出してくれませんか。ああいう問題は私は相当ころがっているように見ますので、また別の機会にひとつこれは質問したいと思っていますから、そのほかにも問題になっている国有財産払い下げのいろいろな問題があると思いますので、そういうのがあれば、ひとつついでに出してください。
  49. 西田信一

    委員長西田信一君) ただいまの田畑委員の要求せられました資料は御提出願えますか。
  50. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) はい。
  51. 西田信一

    委員長西田信一君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止〕
  52. 西田信一

    委員長西田信一君) 速記つけてください。     —————————————
  53. 西田信一

    委員長西田信一君) それでは、先ほどあと回しにいたしました国際復興開発銀行等からの外資受入に関する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、補足説明を願います。佐竹理財局長
  54. 佐竹浩

    政府委員(佐竹浩君) ただいま議題となりました国際復興開発銀行等からの外資受入に関する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案につきましては、先般鍋島政務次官から提案理由の御説明を申し上げたところでありますが、若干補足説明を申し上げたいと思います。  従来、社会資本を充実し、国際収支を補強する等の観点から、財政投融資計画の原資の一部を世銀借款及び外貨債の発行によりまかなってまいったのでございますが、この両者につきまして、予算編成の時期までに、具体的な借り入れ機関別の割り振りや、銘柄別の金額を決定することが困難な事情があったのでございます。  すなわち、昭和三十九年度におきましては、予算編成時には世銀借款のプロジェクトについての世銀との交渉が完了しておりませんために、当方の希望内容予算に計上することといたしたのでございますが、その後、世銀との折衝は難航いたしまして、それまでに実績のございました日本道路公団への借款につきましては昨年四月に調印ができたのでございますが、それ以外の機関に対する借款につきましては、結局首都高速道路公団へのものが昨年十二月、電源開発株式会社へのものが本年一月に至りまして調印を了したという状況でございます。  また、外貨債につきましても、その発行条件、発行額等は、調印直前の外債市場の状況によりまして左右されるものでございまして、これを事前に確定することはなかなか困難な事情にございます。たとえば、昨年四月に発行されました東京都債の場合について見まするに、当初二千万ドルの発行を予定いたしたわけでございますが、市場の状況がよくて二千万ドル以上の発行が可能と見込まれるに至りましたので、昭和三十九年度政府保証限度額は二千万ドルであったのでございますが、実際には二千二百五十万ドル発行することといたしました。で、これは、昭和三十八年度において未実行に終わりそれが三十九年度に繰り越されましたところの保証限度額が二千万ドルありましたために、すなわち合計四千万ドルのワクがございましたのを使用することによって可能になったのでございます。この場合におきましても、もし繰り越しワクがなければ、実際には二千万ドル以上の発行ができる状況であったにもかかわらず、発行額を二千万ドルに押えざるを得ないというところであったのでございます。  昭和四十年度におきましても、世界借款につきましては、昨年のIMF世銀東京総会の際、田中大蔵大臣とウッズ世銀総裁との会談の結果、総額一億五千万ドルの借款を受けることの了解は成立したのでございますが、その機関別の割り振りにつきましては、当方からは日本道路公団、阪神高速道路公団等を候補として申し入れておりますのに対し、世銀側は慎重審査の上決定したいとのことで、まだ最終決定を見るに至っておりません。また、外貨債の発行につきましても、従来、国債のほか、政府保証債といたしましては日本電信電話公社、日本開発銀行、東京都及び大阪府市の外債の発行を行なってきたのでございますが、昭和四十年度につきましては、国際金融情勢の推移が予断を許さないこと等のため、外債市場の動向も予測いたしがたく、具体的な発行銘柄を確定し得ない状況にございます。以上のような事態は今後におきましても発生することが十分予想されるのでございます。  このような情勢にかんがみまして、外貨債務についての政府保証の限度額を総額で定めることができることとして、そのときどきの情勢に即して円滑に事務を遂行することができることといたしますとともに、これに伴う所要の規定を整備する必要がございますので、この法律案を国会に提出することといたした次第でございます。  何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  55. 西田信一

    委員長西田信一君) 以上で補足説明は終わりました。  それでは、これら九件の質疑は、本日はこの程度にいたします。  次回は、明十九日午後一時開会の予定でございます。  本日はこれをもって散会いたします。    午後零時二十一分散会      —————・—————