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政府委員(井上亮君) お答えを申し上げます。たくさん御質問がございましたので、順を追うてお答えを申し上げたいと思います。
まず、第一点は、今回
石炭鉱業調査団におきまして、いろいろ経理の改善策につきまして政府に答申を出しておるわけでございますが、政府といたしましては、先般も
大臣からお答え申し上げたと思いますが、この答申の線に沿いましてこれを実行すべく、現在きめるものはきめ、なお努力すべき点は努力しておる段階でございます。経理改善策としましては、御指摘のように、やはりこの主力をなしまするものは、まず、国におきましてできる限りの助成策を講ずる。しかし、やはり需要部門におきましても御協力をいただく、同時に、金融機関においても御協力をいただきたいというような基本的な考え方でおるわけでございます。特に政府におきましては、従来の近代化資金とか、あるいは開銀資金の融資とかというような点だけでなしに、特に今回、本年度より利子補給制度を実施いたしたわけでございます。この利子補給は、御
承知のように、政府
関係金融機関について、その旧債について利子補給するという制度でございます。それから、この点につきまして、第四問に、市中の金融、これについての利子補給は考うべきではないかというような御質問がございましたが、ただいまのところ、私
どもは、まず、政府
関係の旧債について利子補給をしたい。市中の問題については今後の検討問題であるというふうに考えておるわけでございます。
なお、そのほかに、ただいま御審議いただいております鉱害賠償の問題につきましては、
石炭の、特に九州地方における
炭鉱の経理の
状況を見ますと、鉱害賠償のための負担、これが相当重荷になってまいっております。そういった意味で、ただいま御審議いただいておりますように、鉱害賠償、鉱害復旧いたします際の国の補助率を三割程度本年度から引き上げていく。その反面、鉱業権者の負担を軽減する
措置を講じておるわけでございます。
それから、最後に、需要部門の協力といたしまして、炭価の引き上げを、現在電力部門とは大体基本方針がきまり、鉄鋼、
ガス等につきましても基本ラインについての了承をいただいておるわけでございますが、御指摘のようなこういった
措置によりまして、今後のなお具体的にきめる問題はまだ残された点がございますが、これが順調にいきますれば、少なくとも二百五十円程度の経理の改善が見込まれるのじゃないかというふうに私
どもは想定いたしております。ただ、しかし、御
承知のように、電力向けの価格につきましては、必ずしも答申どおりの結論にはなっておりません。したがいまして、当初二百五十円程度の経理の改善が予想されるというふうに考えておったわけでございます。これらは若干下回るおそれがあると思います。その点は、はなはだ遺憾でございますが、なお、今後低品位炭等についての話し合いが残っておりますので、こういった点についてもさらに努力してまいりたいというふうに考えております。
それから、第二点といたしまして、利子補給の期間はいつごろまでかという御質問でございますが、これは私
ども一応昭和四十二年度までというふうに考えております。もちろん昭和四十二年度でそれでは事実安定できるかと言われますれば、私は若干疑問がありまして、やはりもうしばらく
石炭鉱業自体にも努力していただかなければならぬと思いますけれ
ども、国においての助成も、もうしばらく相当手厚い助成が必要ではないかというふうに、私は個人的に考えております。しかし、現在の制度は一応四十二年度までというふうに考えております。
それから、第三点でございますが、この
調査団の答申に際しましてのいろいろな
作業に際して、賃金、物価についてどういうふうに考えておったかという御質問でございますが、御質問の中に、賃金は七・%五アップというお
ことばがあったわけでございますが、実は、この答申をつくります際のいろいろな
作業におきましては、先ほど申しましたようなもろもろの国の助成策、あるいは需要部門の協力というようなものを前提といたしますれば、同時に、
炭鉱労働者の今日の
状況、それから、
炭鉱労働の労働条件の現状というような点から見まして、あれこれ考えて七%程度で一応試算してみようということに相なっております。ただ、これは七%が妥当だとかという性質のものではございません。一応試算としてその程度のことで試算してみようという考え方でございます。もとより賃金の決定は労使が自主的に交渉してきめるべき性質のものでございますので、経営者はまたこれは
一つの考え方と思いますけれ
ども、別個に労使できめるべき性質のものだ、こういうふうに考えております。それから、物価につきましては一%アップという前提で計算いたしました。これも同じく先ほど来申し上げますような計算単位として採用したわけでございます。
それから、次に第四問でございますが、中小
炭鉱についての信用保証制度、この点につきましては、やはり同じくただいま御審議いただいております法律の中で、この合理化法の改正案が通りますれば、私
どもといたしましては、中小
炭鉱につきまして従来にはない制度でございますので、経営改善のために必要な資金、つまり別な表現でいいますれば、運転資金につきましても信用保証をする制度をつくってまいりたいというふうに考えております。まあ経営改善ということですから、単に設備資金だけでなく考えていきたい。それから、同時に、中小
炭鉱の金融問題につきましては、現在でも、もちろん中小
炭鉱のうちの大きい山につきましては開銀資金の融資をやっておりますが、小さい山につきましては中小企業金融公庫、あるいは商工中金というようなところからいろいろ金融のあっせんをいたしてめんどうみているわけでございますが、今後とも、私
ども行政指導を十分いたしまして、中小
炭鉱の金融
対策をしっかりやってまいりたいというふうに考えております。