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1965-04-22 第48回国会 参議院 石炭対策特別委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年四月二十二日(木曜日)    午後二時五十九分開会     —————————————    委員異動  四月十四日     辞任         補欠選任      大谷藤之助君     岸田 幸雄君      堀本 宜実君     吉武 恵市君  四月二十二日     辞任         補欠選任      石原幹市郎君     佐藤 芳男君      川上 為治君     斎藤  昇君      吉武 恵市君     田中 啓一君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         小柳  勇君     理 事                 亀井  光君                 堀  末治君                 阿部 竹松君                 大矢  正君                 鬼木 勝利君     委 員                 斎藤  昇君                 佐藤 芳男君                 田中 啓一君                 野田 俊作君                 二木 謙吾君                 山下 春江君                 阿具根 登君                 大河原一次君                 石田 次男君                 田畑 金光君    国務大臣        通商産業大臣   櫻内 義雄君    政府委員        通商産業政務次        官        岡崎 英城君        通商産業省石炭        局長       井上  亮君        通商産業省鉱山        保安局長     川原 英之君    事務局側        常任委員会専門        員        小田橋貞壽君    説明員        通商産業省鉱山        保安局石炭課長  佐伯 博蔵君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○当面の石炭対策樹立に関する調査  (日鉄鉱業株式会社伊王島鉱業所爆発事故に関  する件) ○臨時石炭鉱害復旧法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○石炭鉱害賠償担保等臨時措置法の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 小柳勇

    委員長小柳勇君) ただいまから石炭対策特別委員会開会いたします。  委員異動について報告いたします。四月十四日、大谷藤之助君及び堀本宜実君が委員辞任され、その補欠として岸田幸雄君及び吉武恵市君が選任されました。また、本日、川上為治君、石原幹市郎君、吉武恵京君が委員辞任され、その補欠として斎藤昇君、佐藤芳男君、田中啓一君が選任されました。     —————————————
  3. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 当面の石炭対策樹立に関する調査として、日鉄鉱業株式会社伊王島鉱業所爆発事故に関する件を議題といたします。  まず、櫻内通産大臣からその後の経過について御報告願います。
  4. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 伊王島炭鉱爆発事故につきましては、先般本会議場で御報告を申し上げ、監督の立場にあります私として、その不行き届きをおわびしたわけでございますが、今回の事故後におきまして各種の施策を講じてまいりましたが、ただいま保安局長からその詳細について御報告させたいと思いますので、御聴取のほどをお願いいたしたいと思います。
  5. 川原英之

    政府委員川原英之君) 先般の夕張炭鉱におきます災害に引き続きまして、相次いで伊王島におきまして爆発が起こりました。まことに遺憾に存じます。災害につきましては、発生の当日一応の御報告を申し上げておきましたけれども、その後の経過並びにその後いろいろ判明いたしました点につきまして御報告を申し上げます。  災害の概況といたしましては、御承知のごとく、当鉱は日鉄鉱業の経営にかかりまして、発生の起こりましたのは、すでにこれも御承知のごとく、四月九日の六時十分ごろと推定いたしております。発生いたしました個所は、これは場合によりましては図面をもって御説明いたしますが、三区のD八号ホーベル払いと思われます。当鉱は、鉱山労働者約千三百七十名で、三万七千五百トンを月産出炭いたしております甲種炭鉱でございます。災害発生いたしました区域にありますD八号ホーベル払いは、本年二月十二日から採炭を開始いたしたものでございまして、払い面長約百四十メートル、二方採炭で一日約九百トン程度出炭いたしております。  災害発生いたしました作業方につきましては、百七十三名が入坑、就業しておりましたが、当払い関係といたしましては四十四名が就業いたしておりました。発生いたしましたのは、ちょうど三番方の作業が終了いたしますころに当たります。災害発生いたしました後に、自力脱出者十三名を含む計十八名が坑外に救出されました。残り七名は、災害直後編成されました救護隊員によりまして九日の二十三時を最後に収容をされたのでございますが、なお、先に収容されました十八名の中で、三名が坑外におきまして収容後死亡いたした次第であります。この結果といたしまして罹災者内訳を申し上げますと、死亡が三十名、うち、採炭十六、掘進八、仕繰り二、修理工一、電工一、職員二という内訳でございます。重傷三名、軽傷が十一名ということに相なります。  その後、事故発生いたしますと同時に、現地に福岡の鉱山監督局及び佐世保の鉱山監督署より監督官を急行いたさせますと同時に、私も現地に参りまして事故究明に当たったわけでございます。  事故原因調査進捗状況について申し上げますと、発生直後、遺体収容にその当日は全力を注ぎました。十一時に遺体収容を終わりましたので、その晩から十日の朝にかけまして坑内ガス排除を行なったわけであります。十日の午前六時に現場ガス排除が終わりましたので、それから直ちに鉱務監督官入坑をいたしまして災害現場調査に当たっておる次第でございます。現在までいろいろと坑内倒ワク状況その他の状況から見まして、九号ゲート坑道付近を最も重点を置いて調査をいたしております。  なお、このガス発生原因及び停滞原因並びに火源につきましては、いろいろとその後ガス停滞試験等を行ない、かつ、昨日までに坑内に埋没しておりました電気関係の機器、電線その他を坑外に引き上げまして、これらの必要なテストを現在行なっておる次第であります。それらの調査試験を待ちまして的確な原因を一日も早くきわめたい、かように存じておりますが、たいへん恐縮でございますが、今日のところ、まだ確定的にこれであるという決定的な原因をつかむに至っておりません。爆発であろうと当初推定のとおり、現在でもガス爆発であろうということを考えております。  なお、災害発生いたしました直後、現地におきましていろいろと各方面の、特に組合及び会社側、それから病院その他の方々にお会いをいたしまして、一番急ぐ問題は、やはり原因究明と、それから医療を完ぺきにするような措置をすること、それから、なお、その後の問題といたしまして遺家族援護対策、この三点に最も重点があると、かように存じましたので、それぞれ現地の県その他労働基準局長崎大学等と緊密に連絡をとりましてこれらに当たった次第でございます。  まず、医療関係でございますが、これは現地病院ベッド数も四十数床ありまして、余裕がございます。なお、いろいろと特に心配をいたしましたCoガス中毒問題等も非常に気になりましたので、九大の黒岩教授に来診を願いまして診断を願ったのでありますが、その当初におきましては、まず、多くの入院患者が大体火傷、骨折、脱臼、打撲傷というような、つまりガス爆発による圧風によって罹災をしたという症状が非常に顕著でございます。なお、Co中毒可能性のある者につきましても黒岩教授診断所見をただしたのでありますが、二、三の方に軽度の神経症状があるが、いまのところ特に心配はなさそうだという所見でございます。したがいまして、そういうふうな当面の治療を急ぎます関係上、長崎大学から後藤医学部長ほか、内科、外科整形外科麻酔精神神経科等、各分野にわたります教授専門医師看護婦等応援を求めますと同時に、日赤、嘉穂鉱、三菱の端島等炭鉱病院よりそれぞれ専門医師及び看護婦応援を求めまして、その治療に当たりますと同時に、医療器材等につきましても、やはり長崎大学の非常な協力によりまして、バード式循環麻酔器等を搬入いたしますと同時に、薬品類もそれぞれの各方面からの寄贈もありまして、不足のない状況で今日まで推移いたしてまいっておるわけであります。  なお、遺家族援護対策につきましては、未亡人が三十名、子供さんが七十名、両親が五名、計百五名の同居家族でありますが、今回の災害が主として払いに起こったものである関係上、比較的死亡された方が壮年の方が多うございます。すべて妻帯者でございますことと、未亡人は二十歳代が七名、三十歳代が十八名、四十歳代が五名となっておりまして、比較的年齢層が若うございます。子供さんも、したがいまして非常に幼い、一番年長者が十八歳未満というような、これが一人おられるだけで、あとは大体十五歳未満というような家族構成でございます。今後の未亡人の就職その他につきまして、後ほど申し上げますように、現地対策協議会を設けまして、これによって具体的に処理をする。ただいますぐはいろいろまだ気持ちも定まりませんので、だんだん気持ちが定まってからその措置をとるように現地協議会を置きまして、そこで主として県と通産局が主体になりまして措置をしていくというようなことにいたしてまいったわけであります。なお、労災保険金につきましては、十七日に三十名分の支払いを終了いたしております。総計四千四百九十四万九千三百円の遺族補償料を支払ったということを伺っております。その後のいろいろな問題につきましては、なお現在会社組合の間で交渉を続けられておりまして、すみやかにまとまりますことをわれわれとしては希望いたしておる次第であります。  事故発生いたしましてから、各省の担当官をもって構成いたします調査団現地に四月十日に派遣いたしました。同時に、長崎現地臨時伊王島災害対策協議会を設置いたしまして、この調査団におきまして、一応のただいま申し上げましたような項目について路線を出し、これを四月十一日の対策協議会の初会合におきまして、それぞれの分担を現地の各機関に渡しまして、現在その推移を待っておる次第であります。  なお、先ほど大臣から報告申し上げましたように、その後、事の非常に重大さにかんがみまして、われわれといたしましては、わが国の石炭鉱山保安緊急対策を実施いたすことにいたしますと同時に、現地におきましては長崎医大と九州大学の応援を得まして、医療顧問団を結成し、今後の医療対策、特に健康診断であるとか、あるいはccの経過を見守る上のいろいろな医療上のアドバイスを得るために医療顧問団を結成いたしております。われわれとしましては、夕張に引き続く災害でございまして、まことに私自身監督責任にありまして、責任を痛感いたしております。なお、今後このようなことが起こりませんように、この緊急対策を通じまして、種々の対策をさらに強く行なってまいりたいと、かように存じます。  御報告申し上げます。
  6. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  7. 大矢正

    大矢正君 ただいま通産大臣並びに保安局長から、先般の伊王島炭鉱爆発事故にからむ経過について、また、その後の措置について説明がありましたが、その説明に対して質問をする前に、私は、ぜひ委員長にお願いしておきたいことがあります。  それは、先ほど委員会開会前に、日鉄鉱業社長からおわびことばがありましたが、そのことばの中で、私としてはとうてい納得できないことが一カ所ありました。それは、社長発言によりますと、保安確保のためにある程度のことはやってきたつもりでありますということばがあります。私は、まず、このことばが問題だと思うのであります。石炭企業というのは石炭を掘ることを目的としているのでありますからして、石炭が一トンも出なくても、保安さえ確保されればよいなどということでは石炭鉱業が立ち行かないことはあたりまえの話でありますから、私どももそういうやぼなことは申しません。申しませんがある程度のことをやったというような表現を、正式な委員会でないにしろ、おわびことばとして述べる社長ことばとしては、とてもこれは納得できない。したがって、私は、ぜひ最も近い日に、会社社長保安責任者、また、現地責任者等を呼んでいただいて、何を一体今日までやられたのか、ある程度とは一体どういうことなのかということを私はただしたいと思うのです。委員長におかれましては、十分御判断願って、繰り返し申し上げますが、最も近い日に、ぜひ参考人として社長以下を呼んでもらいたい、これをまずお願いをしておきたいと思います。  そこで、まず第一に保安局長にお尋ねをいたしますが、先般の委員会で、小柳委員長以下、それぞれの方々が各会派を代表されて伊王島炭鉱調査におもむかれておりますが、その調査報告を読みますと、こういう内容のものが報告されております。「今回のガス爆発の直接の原因は徹底的に究明されなければならないことはもちろんでありますが、重要なことは、このガス爆発は、当時坑内ガスが規制以上にあったから爆発したという事実であります。」と、こういうふうに述べられているのであります。調査報告がこういうふうに述べられ、しかも、社長みずからが、ある程度のことはやったというような話を聞きますと、これは明らかに会社側みずからが保安対策を行なっていない、こういうことの私は裏づけになると思うのであります。したがって、この際、局長からこまかい分野にわたって説明することはできないと思いますから、課長からでもけっこうでありますが、こういう調査報告があることに関連をして、ガスが一体なぜ爆発を起こすほどあったのかどうか、当時の坑内状況はどうなのか、監督官の過去における監督経過というものはどういうものなのか、これをこの際承っておきたいと、こう思います。
  8. 川原英之

    政府委員川原英之君) 技術的な問題につきましては石炭課長からお答え申し上げますが、先ほど申し上げましたように、本鉱に対しましては二月一日から調査をいたしております。現在問題になっております場合が二月七日の場合でございまして、監督の当時のガス状況というものは、これはその場に関しましてはわかりませんのですが、ただ、その後の坑道の伸びその他につきまして、いろいろと石炭課長から申し上げたいと存じます。
  9. 佐伯博蔵

    説明員佐伯博蔵君) 図面説明してよろしゅうございますか。
  10. 小柳勇

    委員長小柳勇君) どうぞ。
  11. 佐伯博蔵

    説明員佐伯博蔵君) じゃ御説明いたします。図面を張りますのに手間取りまして申しわけございません。先ほど保安局長から申し上げましたことと若干重複するかもわかりませんが、あそこの右の上のほうにございますのが坑口でございまして、ずっと坑道が展開いたしておりまして、その坑口から約四千メートルのところに第四幹線区域のD八号払いというのがあるわけでございます。で、爆発が起こりましたのはこの区内のD八号払いとD九号払い準備坑道の掘進個所を含めた範囲でございます。詳細な団面はここにございますが、これはちょっと見にくうございますので、かえってこちらのほうがよろしいかと思いますが、採炭作業場のD八号ID八号と申しますのはこの払いでございます。これは先ほど局長から申し上げましたように、二月の十七日に始めまして、以後九十メートルくらい進んでおる採炭作業場でございます。それからもう一つこちらにD九号の採炭作業場をつくりますために、ここにD九号の肩風道の沿層掘進が一つございます。それから、もう一つは、こちらのほうに同じくD九号の採炭作業場準備のためにゲート坑道の掘進をしております。この掘進個所二カ所と、それから採炭個所一カ所というのがこの辺の作業個所でございます。図面が見にくうございまして、ほんとうに恐縮でございますが、いまの図面を九十度動かしましたのがこの図面でございます。採炭作業場はこれでございます。それからD九号の肩風道はこれでございます。D九号のゲート坑道はこちらのほうでございます。それで、先ほど局長から申し上げましたように、爆発の方向から見まして、大体D九号のゲート坑道付近からこちらのほうに向かっております。それから沿層坑道を通りまして、一部は払いを通りまして肩風道のほうに抜けておるようでございます。もう一つ払いゲート坑道のところを通りまして、こちらに向かっておるというのが爆発状況でございまして、それから推定いたしまして、やはり九号ゲート坑道のあたりが問題点ではなかろうかというふうに考えられます。  それから、この九号ゲートのことを若干詳しく御説明申し上げますと、ここから約二百メートルを掘進をいたしておりますが、現在はこのままここはやめております。この九号ゲート付近から七、八十メートルのところに第一目抜きというものをつくりまして、現在ここを掘進いたしておるわけでございます。この第一目抜きと申しますのは四月七日に始めたもので、四月九日に災害が起こりましたので、約二日間くらい進んでおるものでございます。  それで、先ほど大矢先生からお話がございましたように、爆発が起こったわけでございますので当然爆発限界ガスがたまっておったわけでございます。なぜと申しますか、どのようにたまるか、というような点でございすので、実は、ここは御承知のように、鉄砲延びでございますので、ここから風管通気をいたしておるわけでございますが、この場合、作業中は一目抜きのほうに風管をつないでおりまして、作業が終わりますとこちらが少なくなりますので、こちらのほうにつなぎかえるというようになっております。災害が起こりましたのは四月九日午前六時十分ごろでございますので、炭鉱作業時間のほうで申しますと、四月八日の甲、乙、丙の丙方作業の一番終わりかけでございます。したがいまして、こちらの風管通気を切りかえて相当時間がたっているという時間でございますので、この区内ガスがたまったものというふうに考えられます。これも先ほど局長からお話し申し上げましたように、その後爆発が起こりました後に、同じような状態を再現するというようなことをやって見ましたが、それでもこの区内にはガスがたまることが確認されたわけでございます。そういうところで、一方、電気品等もございましたので、その辺のところについて、しぼった形で、現在調査をいたしておるわけでございます。  それから、もう一つ大矢先生のほうからお話がございました監督状況でございますが、この伊王島につきましては、本年の二月一日から二月五日まで調査をいたしております。そのときには、この八号払いはここから始めたわけでございますが、先ほど局長から御説明申し上げましたように、二月十七日からここを始めましたので、この採炭作業場はございませんわけでございます。それから、掘進につきましても、ごく一部のほうからだけ掘進をいたしております。きわめてわずかでございましたので、その点については問題はなかったというふうに監督状況を伝えております。  以上でございます。
  12. 大矢正

    大矢正君 ガスが幾らあっても、火元がなければ爆発をしないわけなんですね。そこで、およそ爆発地点と目されるところがいま課長説明をしたとおりであるといたしますれば、その付近において火元となったものは何と何があったのか、その点をお答えいただきたい。
  13. 佐伯博蔵

    説明員佐伯博蔵君) そこで考えられますのは、電気品はモーター、ポンプがございますので、ポンプ電動機、それから炭車を動かすためのホイストがございますが、ホイスト電動機及びそれに供給する動力用ケーブル、これは四百四十ボルトでございます。それから信号線、これは五十ボルトでございます。それらの電気品がございます。それから、一目抜きのところはハッパをいたしております。災害の当日もその付近ハッパをいたしておりますので、それらのハッパということの二つが——ほかにもまあキャップ・ランプ等も持っておりますので、それらということも考えられますけれども、まずその二つが一番大きな火元ではなかろうかというふうに考えております。
  14. 大矢正

    大矢正君 私がいまさら申し上げるまでもなく、爆発にはガス適量停滞火元が必要であります。そこで、坑内で絶対に火元をなくするといいましても、これは私はおそらく不可能なことだと思うのであります。いま申しておりまするように、電気系統がありまするし、また、それ以外にも金属金属の接触ということも考えられまするし、したがって、坑内から一切の火元を取り除くといいましても、このこと自身は、私は非常に技術的にもできないということはないでしょうが、むずかしいことだと思うのです。したがって、そのことだけを私は追及する考えはありませんが、ガスだけは努力をすれば排除されないことはないわけで、突出スガが出る、たまたまそこに偶然的に火元があったという場合ならばまだ話もわかるのでありますが、そういう突出ガスではなしに、停滞ガスがあったということは、明らかに保安対策上重大な手抜かりがあったということが言えると思うのであります。そこで、いま課長説明された地域のガス測定というものは現実にやられておったのかどうか、それから、また、そういうことが会社保安日誌なり係員の報告なりというものの中で指摘をされていたのかどうかという問題、それから、いま課長火元一つとしてハッパの問題を取り上げておられるようでしたが、私は、常識的に考えてみて、午前五時、六時に掘進のハッパをかけるわけはないじゃないかという気がするのです。三番方がもう帰るまぎわでありますから、帰るまぎわにハッパをかけるということはおそらくない。といたしますれば、電気系統火元だということも考えられますが、その火元がいずれであるかは別としても、こういう停滞ガス適量にあったということは、将来重大な問題を残すわけでありまして、どういう理由でガスがここに停滞をしておったのか、それを知っていたのか知らなかったのか。また、ハッパをかけるといたしましても、ハッパをかける前には、必ずガス測定は当然やらなければならない。これは義務でありますから、ガスのあるところにハッパをかけるはずはないのでありまして、そういう意味で、私は、そのガス停滞していた根本的な原因、それから、それに対して会社は一体何をやっておったのか。先ほど社長ことばである程度のことはやったと、こう言うが、万全を尽くしたがこういう事態になったというのならば話はわかるが、ある程度のことはやったつもりでございますというようなことを言われて、私どもは、はいそうですかと言って引き下がるわけにはいかない。私は別に責め立てているわけではない。あなたが坑内保安責任者じゃないし、会社責任者ではないのですから、別にあなたを責め立てておるわけではなしに、監督官庁として、おそらくこれだけのガス停滞していたということが調査団報告によって指摘されている限りにおいては、かなり以前から察知されておったと思われるのでありますけれども、そういう面に対する監督行政というものはどうなさっておったのか、御説明を願いたいと思います。
  15. 佐伯博蔵

    説明員佐伯博蔵君) 先に簡単なことですが、ハッパの点でございますが、その個所は、一号目抜きのところは下のほうが石炭でございます。上部のところは岩石でございますが、下部の石炭のところはハッパをいたして、その炭を積んで、ある程度運搬途中にあったのじゃなかろうかというふうに思われる点がございます。と申しますのは、一号目抜きから手前のほうに石炭を満載した炭車が一つあったわけであります。それから、その上部の岩石の部分には一部火薬を装てんしておったままになっておったわけでありますが、その個所罹災されておる方もおられますので、結論的に申し上げるのはどうかと思いますが、今回の災害の直接の原因ハッパではないのではないかというふうに私ども思っております。  それから、その辺にガスがどの程度たまっておったかということにつきましては、一応乙方の保安日誌によりますと、〇・六%程度のガスがあったというふうに記載をされておるようでありますが、当日は、先ほど申し上げましたように、八日の丙方の一番最後でございまして、そこの関係の方が罹災されておりますので、相当に乙方のもので判断をすることはむずかしいかと思いますが、いずれにしても、相当濃いガスがあったから爆発したわけであります。その後、先ほど申し上げましたように、ガス停滞試験をいたしましても、同様にガスがたまりますことからしまして、九号のゲート坑道の奥部のところに爆発限界ガスがその当時もたまっておったのじゃなかろうかというふうに推定をいたします。
  16. 大矢正

    大矢正君 いま課長説明によると、保安日誌には〇・六%のガスしかなかったという御説明でありますが、〇・六%のガス爆発するなんということは考えられないことでありまして、どこをはかったのか、これは私はわかりませんが、おそらく爆発地点と目されるところではないのではないか。〇・六%という数字がもしそうならば、それでガス爆発が起こるのだったら、鉱山保安法も保安規則も大改正をしなければとんでもないことになってしまう、炭鉱はみな爆発してしまう。ですから、それは〇・六%でなしに、かなりのガスがあったというふうに想定できるわけであります。そこで、会社保安日誌にそういうようなことを書いておるといたしますれば、先般調査団が、先ほど私が読み上げましたとおり、「今回のガス爆発の直接の原因は徹底的に究明されなければならないことはもちろんでありますが、重要なことは、このガス爆発は、当時坑内ガスが規制以上にあったから爆発したという事実であります。」ということを指摘しておることに対して、調査団の団長である小柳委員長に、一体これはどこを見てきて報告したのかということを聞かなければならない。あなたのほうでガスが〇・六%しかないと言うが、調査団はあったから爆発した、こういうことを具体的に指摘をしたということになれば、団長の小柳委員長に私は質問しなければならない、どっちの言うことが正しいのか。そこで、まさか小柳委員長に私は質問するわけにいきませんから、質問いたしませんが、いずれにしても、そういう会社保安日誌に書かれておること以外に、何らかの問題点が指摘されておるから調査団はこういうことを書いたのだろうと私は思うのであります。課長、直接あなたが行かれたかどうかは存じませんが、こういう調査団報告にからんであなたが考えてみた場合に、この爆発の以前の状態というものはどういうものであったかということのおよそのあなたの判断はできると思う。もしあなたが何らか考えておったら、この際、説明してもらいたいと思う。
  17. 佐伯博蔵

    説明員佐伯博蔵君) 先ほど申し上げましたように、会社の日誌によりますと、〇・六%程度——災害が起きましたのは丙方の一番終わりごろでございますが、その前の乙方のところで、当然奥のほうではございませんで、手前のほうのところではかったようでございます。先ほど申し上げましたように、災害後に同じような状況を再現いたしましても、爆発限界ガスが十分たまるということがはっきりいたしておりますので、災害当日も、一目抜きより奥の部分は風管通気がいたしておりませんので、当然爆発限界ガスがたまっておっただろうというふうに考えます。
  18. 大矢正

    大矢正君 従来、所轄官庁である通産省、特に担当でありまする鉱山保安局は、みずからが監督しなければならぬ立場にあるということも理解できないわけではないのだが、私どもが感ずることは、国会の場において私どもが質問すれば、どうも会社をかばって、みずからに責任があるような言い方をなされる向きがある。私は、保安局長石炭課長が幾ら口をすっぱくして言ってみたって、東京で対策を立ててみたっても、経営者がやる気にならなければ、いつまでたってもこれは事故はもう防止することができないわけです。だから、あなた方も会社をかばうような発言をしないで、会社のこういうところとこういうところがけしからぬと、堂々と国会で私は言うべきだと思う。それをやらないで、ひた隠しに隠して、原因がわかりません、ある場合には、会社だけの責任じゃないというようなものの言い方をすれば、結局会社というのは図に乗って、事故が起きても何でもないという気持ちになってしまう。会社の最高責任者がそういう気持ちになったら、現場の係員がその気になるのは当然だ。ですから、私は、そういうけじめをつける意味においても、あなた方はやはり言うべきことは言うべきだ、なぜガスがたまったのかという原因がわからないわけがないのだし、それだけのガスがあれば、電気系統があったら必ずガス爆発するということはわかり切っていることだから、あなた方が、責任は私のほうにあるというようなものの言い方をしないで、もちろんあなた方監督官庁として責任がないことはない。それはわかるが、すべて自分でしょって立つということじゃなしに、この際、堂々と言うべきことは私は言ってもらいたい、こう思うのであります。  そこで、もう一つお尋ねをしたいことは、爆発以降、現在の爆発地点と目されるところはどうなっておるのか、それから、その地点をこれからいつどんな形で再開をしようとするのか、めどがあったらお伺いをしておきたいと思います。
  19. 川原英之

    政府委員川原英之君) 先ほど来申しましたように、現在その坑内の崩壊個所その他を取り明けをいたしまして、電気機器、電線その他、先ほど来申し上げておりますような火源となり得る物件を坑外にあげまして、現在テストをいたしております。したがいまして、この九号ゲートその他につきましては、まだ現状がそれほど変更いたしていないままで捜査をいたしておるわけであります。もちろん私どもの考えといたしましては、そういった原因究明上、変更を加えても、もうあと捜査に支障がないというような段階になりました場合には、もちろんこれについての再開という問題は起こってくるかもしれませんが、ただ、こういう災害を起こしました場所でありますだけに、今後の安全な体制、安全な坑内状況を確保するということにつきましては、その確信を持てるまでは、もちろんその整備計画がきろんといっているかどうかということについての確認検査は十分にいたしました上でありませんと、保安上問題が少しでもあれば再開ということにはまいらぬかもしれませんけれども、その点さえ確保できます限りには、当然そういう問題も出てまいるかと思います。
  20. 大矢正

    大矢正君 先般の夕張炭鉱爆発の際には、自然発火ということが一つの重大な爆発の要因であったというこを技術調査団も指摘しているところであります。なお、爆発以降、自然発火を起こしておりますために水没をさせ、今日に至っているわけであります。おそらく夕張の先般の爆発起点では、再び石炭の採掘は困難であろうということは私どもも看取をしているわけであります。ところが、今回の場合はそういうことがありませんから、取り明けをして、通気が完了して停滞ガスがなくなり、規則や保安法に基づく措置がとられたら、直ちに再開ということができることになる。結局会社にしみてれば、半月か二十日ぐらい出炭をとめただけで、また再び前に戻って石炭を出せるような、非常に軽微な損害で済む。再び戻らないのは人間の命だけであります。したがって、私は、この種の災害について、会社も社会的にも道義的な責任を感ずるべきですし、法律上経営者が制裁を受けなければならんという問題を私は持ち出す気はありませんけれども、もしこの個所が再び原形に複帰して再開をされるというような場合には、国会のある程度の了承を得るというくらいの気持ちを持っておらなければ、私は、これからの経営者を押さえつけていく方法はないと思う。もちろん法律的には、たとい爆発個所であっても、法律と規則に触れない体制ができたら出炭の再開を認めないわけにはいかないでしょう。しかし、そういう規則や法律は法律としても、社会に対する道義的な問題があるのですから、保安局長が、よろしゅうございます、再開けっこうであります一あなたが全責任があるのですから、そういうことを言える立場にはあるでしょうけれども、少なくとも、道義的なことを考えたら、この種の災害については、国会の同意を得なければ再開をさせないのだというくらいの強い態度がなければ、これからの経営者にきちっとした方向で保安対策をさせることは、私は困難だと思う。したがって、そういう点について十分ひとつ局長としてお考えをいただきたい、こう思います。
  21. 小柳勇

    委員長小柳勇君) ほかに御質問ありますか。
  22. 阿具根登

    ○阿具根登君 同僚大矢委員の質問に対する答弁の中で、非常に重要な問題をお聞きしたと私は思うのです。それは、私ども調査団に加わりまして、実際爆発現場はD九号の掘進の個所だというようなことも聞いてまいりましたが、そのあと調査された範囲内で、同じ状態を再現したところが、許容範囲外のガスがたまる、こういうことを言われたわけです。確かにそれは、私たちは推定として、そのガスがなかったら爆発しないのだから、あっただろう。それはおそらく五馬力の局部扇風機というものがほんとに役目を果たしておったのか、あるいは仕事後にどういうふうに移動したのかという問題があると思ったのですけれども、それを実際にやってみて、現に爆発するだけのガスがたまっているとするならば、そのときの保安係員の日誌が〇・六%であったというのは、これは正しいかどうかということになってまいります。そうすると、これがうそであったという場合には、一体その責任はどうなるのか。それでなくてさえも、私ども心配するのは、いままで三池はじめ、ガス爆発しているけれども、そのときの保安日誌で、ここは許容量以上のガスがありますというのを見たことがないし、聞いたことがない。ぼくら見せられないから見たことがありません。爆発した後に、保安日誌は直ちにみな押さえられておる。そのときに、その保安日誌に、これは五%以上のガスがあったと書いてあった保安日誌があったかどうか、それを一ぺんお聞きしたい〇おそらくないと思う。そうすると、あっても書かないということがあったら、これはたいへんなことです。これは殺人ですね、もしもそうであったとするならば、四千数百万円の労災補償を払ったとおっしゃるけれども、それは払うことはできない、それは会社の落ち度で、これは会社のやったことで、それは払うことができない、こういうことになってくるわけですね。だから、非常にこれは重大な問題だと思う。いままでのやつは現場が破壊されてしまったり、あるいは夕張の場合は水没したからもうわからない。しかし、今度の場合は、爆発以前の状態を再現することができる。再現してみたら五%以上のガスが出ておったということをはっきり言っておられる。そうすると、これは非常に大きな問題で、どうお考えになるか、これは私はたいへんな問題だと思う。
  23. 佐伯博蔵

    説明員佐伯博蔵君) その点につきましては、いろいろ調査をいたしておる段階でございますので、全部は私どものほうでも承知しておりませんが、ガスをはかりましたのは、図面で御説明いたしますが、とても見にくい図面で恐縮でございますが、この一目抜きの所が採炭といいますか、掘進作業場でございます。ここに風管通気をいたしておるわけでございます。ここの奥の長いところは、先ほど申し上げましたが、作業時間中はこちらに風管をやる。それから、作業が終わったときにはこちらにつなぎかえるというふうになっているわけでございます。そのガスをはかった位置を正確には存じておりませんが、それはおそらくこの掘進個所またはその付近ではなかろうかと思います。それから、先ほど停滞試験をいたしましてガスがたまったと申し上げましたのは、この辺までたまるわけではありませんで、この奥のほうにそういうガスがたまってまいるわけでございます。したがって、この辺の奥のところに濃いガスがたまる、また、当然この辺でたまったものではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。
  24. 阿具根登

    ○阿具根登君 それは当然なんですよ。それは常識で考えてもそれはつめでしょう、つめだからそこはたまるでしょう、それを指摘したわけです。それはあたりまえのことです。しかも、ビニール管を使って、そうして作業中は途中まで五馬力の扇風機で換気をやっておる、五馬力の扇風機でやっておる。それを今度はビニール管でつめのほうに直しておる。そうすると、つめのほうにガスがたまっておっただろうということは調査団の一致した意見です。だから、そこにたまっておったことは事実であろうと思う。だから、そこは保安日誌に何%あったかということなんです。そこにあったガスがこれは引火すれば爆発してどうにもならない、三十人から死ぬような大きな爆発をするんだから。だから、そこにあったからどこにあったからというのではない、当然常識で私ども坑内を考え、常識で考えた場合に、ガスはここにたまるじゃありませんかということを私どもも指摘しているわけです。ここにあったはずだ、しかも、局部扇風機だ、こういう事態で、私たちも全部そう考えているわけです。しかし、保安日誌にはおそらくそういうことはついておらないし、私たちが現場におったわけでもないし、あるいは現場の人がいるわけでもないし、われわれが断定することはできない。ということは、今度あとからその状態をひとつ再現してみて、一体どうであろうかということを見る以外ないわけです。それをされた場合に、そこにガスがあったということになれば、爆発許容量以上のガス停滞しておったということになれば、私たちの考えておったのがそのまま当てはまるということになるわけなんですよ。そうすると、これは何も不可抗力でも何でもない、会社の手落ちじゃないか、こういうことになりゃしませんか。爆発があってからこういうことを言うということは結果論になりますけれども、しかし、おそらく会社の人でもだれでも、炭鉱に少し経験のある人ならば、この状態をお聞きになるならば、ここにガスはなかったでしょうか、ここではなかったでしょうかというのが常識じゃないでしょうか。だから、その場合、その保安日誌のそのつめのガスが〇・六であったかどうかですね。そうすると、その時間は一体いつであったのかという問題——何もその人が殺人とか故意とか、そういう意味で言っておるわけじゃないんですよ。爆発前のどのくらいの時間にはかられたら〇・六であったか。その場合の扇風機というのは、おそらく作業中でしょうから、そうして、しかも、この爆発作業が済んで上がるときなんです。だから、おそらくビニールパイプにつながれたその直後か何かだと思うんですが、しかし、あるいはその前であったかもしれない。つながっておったならばその直後だと思うのです。そうすると、その前にはかられておったならば、もっとガスがあったという判断が成り立つわけです。つめのほうには五馬力の扇風機が延びていっていないんですから、作業のところでとめておりますから。したがって、その直後の爆発だとするならば、私は、非常にここにたまっておったんじゃなかろうか、こう思うのです。そうすると、これは非常に重大な問題になってくる、こう思うわけです。その点をはっきりしてもらいたいというのと、あのD八号の払いが始まってから九十メートル進んでおるわけですね、その間、一回も保安検査をしておられない、これは一体どういうことなのかということなんです。あれだけの払いを始められた、これを許可されて、そうして九十メートルも進むまで全然監督官坑内に入っておられないということは一体どういうことなのか。もちろん島でもありますし、交通不便でもありますし、あるいは人員が足りなかったかもしれない。そうなると、通産大臣は六名しか増員もなさらぬですから、そんなことでどうなるかという問題に発展しますけれども、一体どういう理由であったか、その点もお聞きしたいと思います。
  25. 川原英之

    政府委員川原英之君) まず、第一の、ガスをはかりました時期でございますが、これは先ほど佐伯課長から申し上げましたように、前の方ではかったわけです。したがいまして、そのときの風管がどういうふうなぐあいになっておったか、これはなお佐伯課長から御説明申し上げたいと思います。  第二の、監督の度数が、二月一日に行って四月まで行ってなかったということにつきましては、まことにその御指摘の点、私どもも恐縮に存ずるわけでありますが、この炭鉱につきましては、大体二カ月に一ぺんの割合で巡回検査をいたしております。これも事故が起こりましてからいろいろ申し上げましても申しわけになるのでありますが、当然四月には行く予定であったかと存じます。
  26. 佐伯博蔵

    説明員佐伯博蔵君) 先ほどの保安日誌の件は、八日の乙方の保安日誌というふうに聞いておりますけれども、それは何時にはかったのかという点については、私のほうではよくまだ承知いたしておりません。それから、はかった場所につきましては、当然奥のほうではございませんで、一目抜き付近またはその近くのところで、当然奥ではかったものではないというふうに聞いております。
  27. 阿具根登

    ○阿具根登君 そうすると、乙方の人がはかったとするならば、はかった人はおられるわけですね、丙方の人だったらあるいは犠牲になられたかもしれないが、乙方の人ならおられるはずだから、それははっきりわかるはずですね。そういう場合、保安係員が、私らが常識的に考えて、このつめがガスがあぶないんじゃなかろうか、出るのじゃなかろうかと、しかも、作業中はそこには風を送っておられないということになれば、当然それは考えなければいかぬ。どうしてそこをはかっておられなかったかですね。現在おるところもそれははかるのは当然ですが、そこは扇風機が回っておる、扇風機の風がいっておる。そうするならば、作業はしておらなくても、そのつめは、これは掘進が入っておるのですね、このゲートは掘進が入っておるのでしょう。
  28. 佐伯博蔵

    説明員佐伯博蔵君) 入っておりません。
  29. 阿具根登

    ○阿具根登君 そこはどうして掘進が入っていなかったのですか。掘進をやっておるのでしょう、九号の払いをつくるために上と下と掘進をやっておるのでしょう。
  30. 佐伯博蔵

    説明員佐伯博蔵君) つめのほうを掘っておったわけでございますが、計画を一部変えまして、四月七日から、掘進は、九号ゲートにつきましては一目抜きのほうの掘進をいたしておったということでございます。
  31. 阿具根登

    ○阿具根登君 そうすると、そのほうは人が入っておらなかった、だから風も送っておらなかった、こういうことですな。そうすると、あなた、抗内の常識で、そういうところは一番危険じゃないの、古洞とかそういうところはですね、どうしてそういうところをガス検定されなかったか。当然そこにはガスがたまるんだということを、しかも、保安の係員やらこの専門家の方がたくさんおられるのに、なぜそんなところをはからなかったんだろうかですね。これは常識で考えられますか。ただ本人らがおるところだけはかっておけば安全だということになりますか、私はそうならないと思う。どういうことでしょう、そこは。
  32. 佐伯博蔵

    説明員佐伯博蔵君) その点につきましては、よく現地のほうでも目下担当の係員その他の人について聞き取り調査をいたしておる最中でございますが、この辺のところは、おっしゃられるように、はかるべきというふうに言ったほうがよいと思いますが、はかるべきところではなかったかというふうに私も存じますが、その辺については、なぜそうだったかという点につきましては、目下聞き取り調査をいたしておる最中でございます。
  33. 石田次男

    ○石田次男君 関連して一つ。いまの問題ですが、そこのところは常時作業に入っていないのですね、そんなら袋になっておるわけですよ。そこのところへガスの検定機、測定機みたいなものを一つ置いて、それを時間をおいて見に行くというようなシステムはとっていなかったのですか、それもしてなかったのですか。
  34. 佐伯博蔵

    説明員佐伯博蔵君) そのような形になっておらなかったわけであります。
  35. 阿具根登

    ○阿具根登君 これは非常に重要な問題ですから、まあたくさんの方がなくなったし、あるいはけがもされておるし、今後の問題もありますので、慎重にひとつ調査してもらいたいと思うのです。これは先ほどから申し上げましたように、これだけひんぱんにガス爆発があるけれども、ここには五%以上のガスがありますという保安日誌があったかどうか、一ぺんでもありましたかどうかですね、そういうことがあれば私はけっこうだと思うのです。しかし、おそらくどの日誌にも〇・五%か六%ぐらいの記入しかしてないと思うのだ。いままでの爆発した場合の、その前の保安日誌は五%以上あるというようなことがあったかどうか、一ぺん聞かしていただきたいと思うのです。
  36. 川原英之

    政府委員川原英之君) ただいま阿具根先生より御指摘の点につきまして、現在現地でそれぞれその担当の係員その他から聞き取りをいたしておる段階でございます。なお、その保安日誌にありましたガス量その他につきましてのいま御指摘の点につきましては、私も個々にまだ詳細聞いておりませんので、至急帰りまして詳しく調べるようにいたしたいと存じます。
  37. 阿具根登

    ○阿具根登君 まあこういう点でだれかの責任を追及するというようなことになると、かえってまずいのですが、私が言いたいのは、実際その現場で働いておる人は何にも知らないのです。あるところではガスが何%ありますということは書いてあります。しかし、実際に検定機を持っておらぬ人たちは、それを信用する以外にない。自分の周囲にどれだけガスがあるかどうかわからない。だから、今度本会議で質問いたしましたときに、通産大臣は、警報機をつけると、こうおっしゃいましたから、甲種炭鉱全部におつけになるのであるか、どういうお考えなのか、その点をひとつお聞きしておきます。そうすると、警報機があれば電気がつくなりブザーが鳴るなりして、だれでも、ここはあぶないと全部の人が気づくわけなんです。ただ一人か二人の人が検定機を持っておったのでは、こういう問題があればみんな疑いが生じてくる。そうすると、保安の任に任じておられる係員の方にも気の毒です。そういう目で、私たちが現場から遠く離れて、こういうところでそういう疑いの質問をしなければならぬとか、それに対する答弁をしなきゃならぬというようになると、まじめな保安係の人はとてもいやだろうと私は思うのです。しかし、人間の生命に関することでございすから、こういう質問もしております。だから、これがだれの目にもわかる、どれだけガスがあったならば電気がつくのだ、赤ランプがつくのだ、警報が鳴るのだということならば、これはだれも疑うところがない。だから、当然これはつけにゃならぬ。ところが、大臣はこれをつけるとおっしゃったから、全甲種炭鉱におつけになるだろうと思うのですが、いかがでしょうか。
  38. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 先般、大手十七社及び石炭鉱業連合会の専務理事等を招きまして、そうして保安管理組織の整備、保安教育の徹底、保安技術の開発及び導入、坑内施設の充実整備、重大災害の防止対策の徹底等につきまして詳細指示を与えました。その中で、特にガス自動警報機等の新規保安機器の積極的導入につきましては、政府としても、現在、これは阿具根委員承知のように、保安融資が四十年度分大体八億の用意がございますので、これを積極的に利用してもらいますとともに、もしかりにこの融資の範囲でガス警報機がつけにくいような鉱山があってもいけないと思いまして、私としては閣議の席上、総理並びに大蔵大臣に、特にわれわれのほうから至急に立案いたしますから、保安に関する助成処置も講じてもらいたいというようにお願いをしておるわけであります。で、この十七社の代表の方々と、こういう点について相当突っ込んだ論議をいたしました。ただ、この場合、きわめて遺憾でありましたのは、現在のこの自動警報機の生産能力が、十分いま御指摘の、かりに甲種炭鉱の、それも特に切り羽その他一番警戒しなきゃならないそういうところへ装置するにいたしましても、生産が追いつくのかどうかというような点、また、数種あるそうでございまして、必ずしも、全部が全部十分能力を持っているかどうかという点についての疑問もあったわけでございますが、しかし、それはそれとして、これは私のほうとしても生産会社にひとつ督励をするから、常識的に自動でガス測定ができるというにもかかわらず、それがされてなくて起きたというのであれば、これは国民感情が許さぬという、まあ私のそういう率直な意見も申しまして、十七社及び協会に対して積極的に要請をしております。また、政府としてやり得ることはいたしたい、こういう考えでございまます。
  39. 阿具根登

    ○阿具根登君 大臣のお気持ちはわかるのですけれども、私たちは、このあと、まだ法案を三つ審議しなければならないわけです。その法案には、新鉱開発に対しても無利子の金を長期に貸すようになっている法律案があるわけなんですよ。そんなものに無利子で長期の金を貸す、それだけの親心があるなら、こういうやつにこそ、なぜ無利子で早くこれをやれといってやりませんか。やらなかったらだめだと何ぼ注意してもだめですよ。だから、こういうガス警報機をつけなければだめだ、そのかわり、これに対する金は無利子で長期で貸してやるから直ちにつけろと、新鉱開発だのこういう問題もたいへんな問題だけれども、そういうものもやらなければいかんけれども、その前に、まず人間の生命を守らなければいかんじゃないですか。生命を守るのに、まず無利子でもいいじゃないですか、ただでもいいじゃないですか。そのかわり、責任はおまえたちに負わせるぞ、もしもそういうことがあったらたいへんなことだし、そのくらいの意気込みがなくてどうして保安が守れますか。できないですか、そういうことは。
  40. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 御趣旨の点は私も十分了解できます。したがって、この保安施設の整備強化につきましては、大蔵当局との間に私ども積極的に交渉いたすと、また、その前提として、閣議の席上で今回の緊急対策の了承を求める際に、特に私が発言をいたしておるのであります。その成果をすみやかに期したいと思うのであります。ただ、きわめて遺憾なことで、そういう警報機の製造能力のほうに欠くるところがございまして、この点についても督励をする考えでございます。
  41. 阿具根登

    ○阿具根登君 製造能力が間に合わぬということになれば、諸外国ではどうでしょう。何かとなれば貿易の自由化で、非常に外国から何でも入れることは通産省一番お好きな省なんですが、こういう人命尊重のそういうやつこそ、ひとつドイツでもいいしアメリカでもいいし、社会主義の諸国でもいいでしょう。そういうところには日本ほどガス爆発がないのだから、そういうやつがあるに違いない。そういうやつこそ、ひとつどこからでも早く入れてもらっちゃいかんでしょうか。
  42. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) この輸入の点につきましては、まことに申しわけありませんが、十分検討しておりますのでさっそくに、幾らでどの程度のものが買い付けられるか、そういう点は調査をいたしたいと思います。
  43. 阿具根登

    ○阿具根登君 それから、非常にこれは専門家の意見が分かれているようですから、私がここで断言するわけにはいきませんが、北海道のガス爆発のとき、高圧酸素治療器を北大の壁を破ってまで持ってこられて、非常にそれが効果があったということを聞いておりまして、三池の災害を目のあたり見ている私たちは、そういうやつが三池にあったならば、現在六百人から八百人近いといわれておるあの患者が相当助かったのじゃなかろうかと、こういうふうに思っているわけなんです、今度伊王島じゃその必要もないような話まで聞きましたが、少なくとも、私たちは現場へ行ってこの高圧酸素治療器を前にして、中の人が治療しておるのを見ながらこの専門家の医者に尋ねましたところが、三時間入っていれば全然違ってくる、特にやけど等には非常にいいといって、専門家の方が非常に喜んでおられるし、推奨されておられるし、患者の方々も、早くそこに入ってなおしたいという空気があるわけなんです。そうしますと、この種の爆発があっては困るのですけれども、皆無ということは考えられんならば、それを五台なり六台なりを九、北の大学なり、あるいは要所に手配をしておくということはできないでしょうか。ガス爆発だけでなくて、あるいはそういう火傷もあるし、あるいはこれで治療するほうが非常にいい労災の方々も多少あると思うので、そういう据え付けをするお考えはあるかどうか、聞いておきたいと思います。
  44. 川原英之

    政府委員川原英之君) ただいま阿貝根先生から御指摘いただきました高圧酸素室でございますが、私どもも、基本的には先生と同じような意向でございます。ただ、これをそういう方向に進めますために、現在各省寄りまして、どういうふうな進め方をいたそうかということで、至急に科学技術庁の調査費等も考慮いたしまして、現在検討いたしておるちょうど最中でございます。なお、その結果を待ちまして至急に結論に進みたいと思いますが、ただいま先生からおっしゃいましたように、これは私の聞きますところでは、ベルギー等におきまして、火傷を対象にした、つまりやけどの療法として新しく最近開発されたいわば治療技術であると聞いておりますが、今回の夕張におきましても、非常に私どもが見ます限りでは効果があがったというふうに思っておりますが、なお、それぞれの専門の分野におけるいろいろな意見もまだ若干はあるようでありますので、そういった点も調整して、結論におきましては、できるだけ先生の御指摘のような方向へ進めたいと思いまして、現在寄り寄り検討を進めておる段階でございます。
  45. 阿具根登

    ○阿具根登君 それから、これは毎々問題になるのですが、おそらく保安局としても通産大臣としても、そういうことは万ないように注意するということを言われると思うのですが、監督官が行かれる場合は、依然としてまだ事前通告ですね、だから坑内をきれいに清掃する、そうすると、これは監督官が見えるのだとすぐわかるというわけです。そうすれば、これは私はほんとうの保安監督ができないと、との前も抜き打ち検査ということをあれだけ私も叫びましたし、通産省としても抜き打ち検査をやるべきだという意見を私ははっきり申された思うのですけれども、まだそれはやっておられない。そうして会社に通告をされておって、会社は、監督官が通る坑道はきれいに掃除される、岩粉もまかれる、これも一つ保安対策かもしれません。しかし、そうでなくて、実際の姿を見るためには、やはり抜き打ちでなければならぬというのが一点と、それから、検査をしたならば、直ちにそれを会社に勧告される場合は、その写しを必ず同時刻に組合にもやってください、こういうことをこの前お願いしたわけなんです。ところが、今度伊王島では全然そういうことはなくて、組合は何にも知らなかった、こういうことなんです。だから、事前通告をせずに、抜き打ちに検査をするということと、それから、会社に対する勧告は必ず組合にもやる、組合保安の問題に対して逃げてはならぬと私は思うのです。それを知った以上、組合にも責任はある。それだけお互いが責任を感じなければ、この種の災害は私はなおらないと思う。だから抜き打ち検査を行なう、それが普通だ。それを行なうということと、勧告した場合は、必ず写しを組合にやる、それから、検査に行かれる場合は、それは保安会社責任でありますけれども会社保安責任者の案内だけでなくて、組合のやはり責任者も一緒に現場を見て回ってもらう、こういうことを実施してもらいたいと思うが、それについてはどうですかという問題と、こういう問題が起これば、自然ここでそういう監督官が事前通告をしたとか、あるいは会社の寮でどうだったとか、あるいはどうだこうだで、いまわしいうわさを聞きます。私はそれが全部だとは思わない。しかし、確かにそういう事実もある。炭鉱だけでなくて、鉱山も調べてみるとあります。しかし、それだけを取り上げて全部がそういうことをやっておるというようなきめつけ方を私はしたくない。それよりも、非常に真剣に危険な場所に行って保安の検査をされ、率直にこれを会社に忠告その他をされたような方、そして未然に災害を防いだ、あるいはそれを忠告したにもかかわらず、それができなかったというような方に対しては、会社保安優良炭鉱と表彰するのもいいでしょうけれども、そういうまじめな監督官に対しては、これはまじめな人に対してはまじめなだけの思いやりを持たなければならぬ。こういう事故が起きれば、いつもおこられるのは監督官、まじめにやっておってあたりまえ、こういうことでなくて、まじめな監督官はまじめな監督官として優遇すべきであるし、大臣としてそういう人たちを表彰してもらいたい、私はこう思うのです。そこにほんとうに人間が働く基盤ができてくる、かように思うわけですが、その問題について通産大臣にお伺いしておきます。
  46. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 従来、抜き打ち検査はやっておるのでございますが、それが十分でない、こういうことだと思います。この点については、なお局長より詳細申し上げます。  また、この保安についての結果を組合のほうに通告をするようにという御意見については、これはすでに本会議でも、衆議院であったか参議院であったか、私ちょっとはっきりいたしませんが、そういう処置を講ずることが現在でもできるようになっております。これは励行をいたしたいと思います。  なお、まじめな監督官に対する表彰もしくは優遇措置の件についての御意見については、これを尊重いたしまして、具体化いたしたいと思います。
  47. 川原英之

    政府委員川原英之君) ただいま大臣からお答え申しました点につきまして、若干事務的な補足をさせていただきたいと思います。  最初の抜き打ち検査の問題でございますが、これは私どもとしましても、昨年来、抜き打ちを原則とする。もちろん落成検査その他の特殊な検査につきましては、これは事前に通告して、操作する人がおるように通告をいたしますけれども、一般の検査につきましては抜き打ちを原則といたしておりまして、私ども報告を受けております限りでは、ほとんどが抜き打ちという形をとっておるという報告であります。ただ、その点、抜き打ちの意味につきまして、私どもがこれは山に着く直前に、いまから行くということで出かけるのを、これはだれもいないような場合もございますので、いろいろ操作をやる時間を与えずして、一時間前とか三十分前に山に着くころを見はからって通告をするというようなことはやっておるかと思いますが、大体そういうようなやり方で、ほとんど坑内の操作をする時間を与えないような検査をするように打ち合わせをいたしてまいっておるわけでございます。なお、先ほどそれは十分でないというような御指摘もございましたので、その点につきましては、さらに私どもとしてはその方向を強く励行さしたい、かように考えます。  それから、なお、一般の鉱山労働者全般に監督の結果を通知し、周知してもらうというようなことにつきましては、先ほどもお答えがございましたが、われわれとしましても、この具体的なやり方その他等につきまして、現地とも十分話し合いをして、前向きにいま検討を進めております段階で、これは逐次その方向に強く進めてまいる、私としてはそういう感じを持っております。
  48. 大矢正

    大矢正君 ただいまの阿具根委員の御質問に対する答弁に関連して、一点だけ。これは質問というよりは、私の意見を申し上げて、はたしてこういうことが保安対策上とられるものかどうか、とることができるかどうかということをお答え願いたい、こう思います。石炭課長に質問するというのも、ちょっとこれは国会の対政府委員との関係もあって、おかしいことになると思いますが、これは非常に技術的な問題なので、この際、石炭課長はどういう考えかということをお尋ねしておきたいと思います。  それは、申すまでもなく、坑口から始まって切り羽、さらに新しい切り羽をつくるための準備の最先端まで、どこの個所爆発が起こっても坑内は完全にガスが充満するし、おる人のほとんどはなくなってしまうという、こういう坑内の構造上の問題からいって、坑口から切り羽の準備の掘進の現場まで全部ガス測定するということは、なかなかこれはできることじゃないと私は思うのであります。したがって、その面はその面としても、およそどこにガスが一番停滞しやすいか、それから、また、ガス排除につとめなければならないかということはどの現場でも私は指摘できるのじゃないか、こう思うのであります。したがって、しばしば保安日誌の問題が爆発の際に論争点になるわけです。そこで、かりに今度のような事故の場合には、掘進の目抜き現場はかりにここいらで、あるいはまた切り羽はどこいらでというように、ガスが比較的停滞すると目される地点については、必ず一、二番、三番方、全部ガス測定をして、それを記録に残し、その記録を監督官庁である監督署なり局なりに提出をするという経営者の義務づけを私はやることによって、経営者はかなり保安の確保に積極的になるのではないかという気がいたします。現状の状態だと、経営者の保安確保の自主的な判断だけでガス測定されて保安日誌に残るだけであります。しかも、その保安日誌というのは、必ずしも最終的には責任の持てるものでもないと私は思う。したがって、法律にするか規則にするかは別としても、ここの坑内はこういう個所について監督官から指摘を受けたという場合には、必ず保安係員はガス測定をして、まとめてこれを報告しなければならぬというようにすれば、監督官といえども、毎日一、二番、三番方が坑内に入ってガス測定するわけにはいかぬと思うから、結局のところ、保安係員というものが忠実にガス測定をしているかどうか、そうしてそれをどう記録にとどめているか、その記録が、かりに事故が起きた場合にはどういう意義と効果を持つのかということを十分考えられて、そういった方向をとることができないかどうか。もし私は現存の法律や規則をもってしてはそこまで経営者にガス測定の義務づけをすることがむずかしいとすれば、法律の改正をしてでも、私は、それをやることによって、経営者は、従来よりも増してガス測定について慎重に、かつ、真剣にならざるを得なくなるのではないかと、こう思うのであります。その点について実務屋としての石炭課長は、私のただいま申し上げたような考え方についてどうお考えになっておられるか、お答えをいただきたい、こう思うのです。
  49. 佐伯博蔵

    説明員佐伯博蔵君) ガス測定につきましては、当然国家試験を受けました保安技術職員が検査をいたしておるわけでございまして、先生御指摘のように、どういうところが一番あぶないんだ、一番たまりやすいんだというのはおおよそ見当はつきますので、そういう点を特に注意をして現在測定をいたしておるはずでございます。  それから、それらの保安日誌につきましては、上級の係員または保安管理者というふうに、上級の方がそれを検閲をいたしておるわけでございます。それから、一方、保安監督員制度もございまして、保安監督員がまたサイド・チェックをいたしておるわけでございますので、私といたしましては、現在の体制が悪いということではなくて、それを忠実に実行すればいいんじゃなかろうかというふうな感じはいたしておりますが、それらをあわせまして、何と申しますか、その体制を十分に活用していくということでいいのではなかろうかというふうに考えます。  それから、保安日誌を全部監督局ないし監督署のほうにということになりますと、一つ炭鉱でも、御承知のように、採炭、掘進、仕繰りと、坑内保安係員がずいぶんたくさんおられるわけでございまして、それらの日誌が全部集まってまいりますときには、なかなかそれを現場におらない場合の監督官としては審査がむずかしいのではなかろうかというふうな感じがいたすわけでございます。
  50. 大矢正

    大矢正君 いま石炭課長が言われるとおり、技術的にはなるほどむずかしいところは私はあると思う。私もそのことは認めないわけではないのでありまするが、しかし、かりにAの炭鉱はこことこことここというように規定して、十カ所とか二十カ所とか、特定のところを規定する。しかし、掘進をやり、採炭をやれば、当然切り羽なり坑道が進んでいくわけでありまするから、十日なり半月なりたつことによって、坑内状況というものは、局部的にはかなりの変化を示すわけです。したがって、その面はどう取り扱うかという問題は残りますけれども、やはり私は、経営者の自覚と申しますか、経営者といいましても、かりに社長が幾ら号令をかけてみたところで、現場保安係員というものがほんとうに人命尊重の立場、保安確保の立場の考え方がなければ、幾らこれは経営者が叫んでみてもしようがない話でありまして、私は、この際、炭鉱の経営者もさることながら、現場の直接の責任者というものに強い責任と自覚を持たせる意味においても、いま私が申し上げたようなことをこれからやるぞと、こういうことになれば、私は、考え方の上において現場の職員というものはかなり違ってくると、こう思うのであります。したがって、現状のままでけっこうであるというようなことではなしに、私がいま申し上げたことも十分考えてこれから措置をしていただきたいということを強く——これは石炭課長に申し上げてもしようがありませんから、大臣、そして保安局長に申し上げておきたいと、こう思います。
  51. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 御趣旨につきましては、徹底をするようにいたしたいと思います。私は、実はふしぎに思っておることがあります。これはもう申し上げては、かえって失礼なのでありますが、保安法によって労使双方による保安委員会があって、そうして監督官の巡回検査の結果に基づく監督局部の通達書はこの委員会に通知されると、そうすると、ここの委員会でほんとうに真剣にやってくれればこれが一つの効果があるのじゃないかと、おそらくこういうことが現実には等閑視されているのじゃないかというふうにいま御質問を聞いておって思うのであります。また、先般の法改正によって保安監督員の補佐員制度ができて、そうしてこの鉱山労働者の意見を反映させようと、こういうことに三池の災害後になったことを、私もこの間うちからのこういう災害がございまして調べて承知をしておるのでありますが、こういうような点がなお不十分なのじゃないかと思います。それで、ただいまの御指摘の点は十分私として尊重をいたしまして、なおこの法律の上で、あるいは政令や省令の上でいまの御意見を反映して十分な措置がとれるといたしますならば、これは私として改善をするにやぶさかでございません。
  52. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  53. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 速記を起こして
  54. 阿具根登

    ○阿具根登君 それでは、委員長のおことばもありますので、もう一点だけ御質問をしておきます。  これは質問というよりも、要望にもなりますが、遺家族対策でございますが、先ほど局長お話では、現地対策協議会もつくっておられる、まあかように聞きましたが、三十歳代の若いしかも、小さな子供を連れた未亡人が大部分でございます。労災保険を見てみますと、大体平均百五十万ぐらいの補償がされておるようでございますが、現在の物価高でいまから育ち盛りの子供を育てていくということは、並みたいていのことじゃない。日鉄さんだから相当なことはやっていただく、また、やっていただかなければならぬと、こう思うのですが、会社は国に甘えるということじゃなくて、自分でできるだけのことをやらなければ、あれだけの小さい島です、あの小さい島で三十人の未亡人がどういう生活をされるかと思う場合に、おそらくなれた島を出て行かねばならないというようなことも起きてくると思うのです。だから、十分今後の生計が立っていけるように、ひとつ会社に対しても十分責任を持っていただくし、また、それができない場合は、国としても、今後の未亡人対策については、十分保証していただきますように、特にお願いなり意見を申し上げて私の質問を終わります。
  55. 石田次男

    ○石田次男君 また次の機会にこの問題をやるということですから、二、三問だけお伺いしておきたいのですが、一番先に巡回指導監督の問題です。鬼木委員が本会議でもって聞いたのですが、現在のところ、四半期に一問ぐらいずつ巡回検査をやっている、こういうことですね。   〔委員長退席、理事大矢正君着席〕  これは現在の監督官の人員その他から見て手一ぱいなのか、それ以上現在の人員でどれくらいまでこの検査を強化すればできるのか、その辺をお伺いしたいのです。
  56. 川原英之

    政府委員川原英之君) 巡回につきまして、これはいろいろ甲種炭坑、乙種炭坑によって若干の相違はございますが、大体二カ月に一回、多い炭坑につきましては毎月というふうな頻度で巡回をいたしております。なお、これを強化いたしますために、四十年度の予算におきまして検査旅費その他を相当増額いたしまして、今後は多いものはもちろん毎月、それから、少なくとも三カ月に二回は行けるような頻度で巡回計画を立て得るような体制を現在とっておる次第であります。なお、現在の人員をもちましてさらに若干の頻度を増加することも、旅費その他の関係が本年度認められましたので、この新しい予算をもちましてさらに頻度を高めた検査をやる、かように存じております。  なお、これに並行いたしまして、今年度からは従来の一名ないし二名の監督をもっていたします方法でなしに、数名のそれぞれ電気、採鉱などの専門の監督官をもって構成しますチームで総合的な総合監督を強化いたしてまいるつもりであります。   〔理事大矢正君退席、委員長着席〕 今回の伊王島災害にかんがみまして、その直後、緊急対策としまして、全国の鉱山について、特に最初は大手の甲種炭鉱につきまして、五月までにこれを全部総ざらいをするという考え方で、現在その方向に向かって進んでおる次第であります。
  57. 石田次男

    ○石田次男君 時間がないから端的に伺いますから、長い答弁は要らぬですから、ひとつ端的に答えてもらいたいのです。  現在、二百七十五名に七名増でやっておりますね。これで二月に一ぺんといいますが、最低月二回巡回検査をがっちりやるとしたら何人要りますか。
  58. 川原英之

    政府委員川原英之君) いろいろ具体的には場所等の関係を計算いたさなければなりませんので、いま直ちに御即答いたしかねるのでありますが、月二回全鉱山ということになりますと、おそらくあと百名くらいは要るのではないかと思います。
  59. 石田次男

    ○石田次男君 いまの答弁によると、あと百人くらい増員すれば月二川総合的にがっちり検査できるということですね。それは、間違いありませんね。  そこで、大臣に伺うんですが、いまの答弁が間違いないとすれば、百人くらい増員して徹底的に訓練したとしてもたいした時間がかかるものじゃなし、思い切ってそういう、抜き打ちだとか、いや通告だとか、わずらわしいことを言っていないで、もう常時検査、月二回は最低行くのがあたりまえだ、常時だからというふうに会社側でも観念するくらいに徹底的にやったらどうですか。これは人員増加でもって別に予算が膨大化するという問題でもなし、やる気になればできると思うのです。
  60. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 百名の増員でいまおっしゃるようにやり得るかどうか、やりようにもよるのでございましょうが、私としてにわかに判断をしかねますが、しかし、人員の増加に伴う予算というものはそう多額のものでございませんから、保安強化のために極力人数をふやすということにつきましては、私としても今後の予算折衝に十分努力をいたしいと思います。
  61. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 関連。  いまの問題ですが、これは大臣も御記憶があると思うのですが、私は予算委員会で、この保安官の増員ということに対してあなたに御質問を申し上げたところ、本年度は七名増だ、それだけで保安の完ぺきを期することができるか。ところが、あなたは、それは人員の多いのにこしたことはないけれども、現在のままで十分完ぺきを期するつもりだ、御安心願いたい、こういうことで、間もなくこの伊王島の不祥事が起こった。今度また私が本会議で緊急質問を申し上げたところ、これに対しても、すこぶる事務的に、大臣は木で鼻をくくったような答弁をなさったが、ただいまでは百名増に対しては、そうたいして予算も要らぬ、十分努力する、趣旨に沿うようにやりたい——保安に対するあなたのお考え自体が、非常に私は信念がないのではないか。心境がにわかに変わったのだとあなたが仰せになればそうかもわからぬけれども、もう少し責任者として大臣の確固たるお考えを、われわれがこういうことを申し上げなくても、あなたから、こういうような自分は対策を講ずるつもりだ、そういうおことばをむしろわれわれはほしかった、その大臣の御見解をはっきりひとつ。そうして百名くらいでできるかできないかということも研究していないというようなふうな御答弁で、いつまでたっても結論も出ないし、対策が樹立できないのではないですか、その点、大臣ひとつはっきりおっしゃってくださいよ。
  62. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 結論は、いまも石田委員に申し上げたとおりに、私は十分な努力をするというのが、これが結論でございます。しかし、確かに私は記憶しております。鬼木委員の御質問の際の答弁は、これはたいへん恐縮ですが、私もここで率直に申し上げたいと思うのであります。当時予算の御審議を願っておって、かりに私がもう折衝の済んだものをここで不十分だと言えば、それじゃもう一つ予算を考えろ、こういうことになる。すでに私が大蔵当局と話し合って結論のついたものについて責任を持って答える立場にございまして、そういう立場からの私の表現というものは御了承願えないとしても、私の気持ちはひとつおくみ取り願いたい。  なお、いまの百名の問題は局長がお答えしておるので、その百名の数というものが適当なのか、また、保安監督のやり方というものもある。しかし、私としては、今後の予算折衝で十分保安官を増員すべく努力をいたしたい、これが私の結論でございまして、できるだけこれは増員をするように努力をいたしたいと思います。
  63. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 いや、そういうふうにあなたがおっしゃれば私もわかる。それをあなたが予算委員会でも本会議でも、すこぶる事務的に、多いにこしたことはないけれども、現段階でやるのだというような御説明です。いや、それはまことにあなたのおっしゃるとおりで、私も現段階ではこれでは満足できない。しかし、一生懸命予算の折衡もしたけれども、遺憾ながらこういう状態になったのだから、将来は大いにこれを増す考えであるとか、補正予算でもまたお願いするつもりであるから、ひとつよろしくと、そういういまのようにあなたがお話になれば、私も大いににっこり笑って、大臣もなかなかわかっているわい。それをあなたが木で鼻をくくったような答弁をされるから、私は徹底的に追及しようとする、おわかりでしょう。
  64. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 私のことばが不十分でございましたことは申しわけないと思います。ただいま申し上げたとおり、私として最善の努力を払って保安行政の完ぺきを期したいと思います。
  65. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 速記をやめて。   〔速記中止〕
  66. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 速記を起こして。
  67. 石田次男

    ○石田次男君 私がいま聞いているのは、大臣は正確に御理解いただいていないような気がするので、たいへん失礼ですけれども、いま事務局に聞いて百人くらいという答弁をいただいたのですけれども、百人だから、百十人だから、百五十人だから、そういう意味で申し上げているのじゃない。極端にいえば、いまの二百七十五人を五百人にしようと千人にしようと、もう抜き打ちでああだこうだというようなことではなくて、最低月二回はもうぎりぎりの限度としてがっちりと常時検査をするだけの人員というものでこれは調べればめどがつくと思うのですよ。そういうふうに検査体制の頭と政策を切りかえる考えはないかということを伺っているわけです。その点いかがですか。たとい千人かかっても……。
  68. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 考え方について私は一つも異論はございません。完ぺきを期すほどいいのであります。しかし、急速にそういう人員増というものが——私としては先ほども結論は申し上げたわけでございますが、最善の努力を払う、しかし、そのように実現できるのかどうか、また、その人員についても、ただ十分な根拠なくして大蔵省との折衝もできないのでありますから、それらの点については、十分われわれとしては折衝の上に抜かりのないような用意をして折衝をいたしたい。保安の完ぺきを期することには一つも異論はない、そういうことでございます。
  69. 石田次男

    ○石田次男君 その点は了解するとして、それは必ず今度の補正予算ないし来年の新規予算のときまでに大臣の決意というものが具体的な形で実を結んでくるものと期待してよろしいでしょうね。これが一つ。  それから、あと時間がないといいますから、もう一つだけ伺いますが、やはり本会議で鬼木委員から、こういう大災害を起こした炭鉱経営者の責任を明らかにすべきじゃないかという質問をしたわけです。それに対して総理大臣は、単に道義的な責任を主体として質問なさっているのじゃないかと、こんなふうな答弁をされておりましたですが、道義的な責任という問題は、これはあたりまえだと思うのです。国会で論議する段階の以前の問題だと思うのです。われわれが考えるのは、むしろそこから一歩進んで、これは個人に対しては酷になるような考えではありますけれども、事、人命に関する問題でありますから、こういうある程度以上の大災害が起こった場合には、経営の責任者である経営の首脳陣ですね、これらに対して法的なある程度の責任をとらせるという政治姿勢が私は必要だと思うのです。具体的に退陣を要求するとか、あるいは何らかの形で責任を実際に背負うという、そういう一つの行政上の処置、こういうものをお考えになる気はないか、こういうつもりで本会議の質問は設定したわけでありますから、大臣からこの点についての御答弁をお願いしたいと思います。きょうはこれでやめておきます。
  70. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 炭鉱経営者の責任については、政府の最高責任者である総理から御答弁がございまして、私としてはその御答弁を順守していくべき立場であろうかと思いますが、しかしながら、いまの御意見につきまして、私がさらに総理に対して献策をするということについてはやぶさかでございません。  なお、鉱山保安行政の完ぺきを期するための今後の積極的な姿勢については、先ほど来申し上げますとおりでございまして、私のそういう心がまえと予算措置、金融措置くその他の、面については、必ず成果をあげたいと思います。
  71. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 もう時間がないから、私はもう本会議で緊急質問をやっておりますから、やりませんけれども、一問だけ。保安局長のさっきの御説明で月に二回とおっしゃっておったけれども、その点ちょっと私ことばじりをとらえるわけじゃないが、われわれ現地に視察に行ったときのあなたの説明では、四半期に一回というふうに記憶しておる、四半期に一回とおっしゃっておるが、一回以上というのかどうか。
  72. 川原英之

    政府委員川原英之君) 先ほど御説明を申し上げましたように、一般的には鉱山によって多少相違がございますが、大体二ヵ月に一回が多いのでありますが、伊王島の場合にも四半期ということもあるいは現地で申し上げたとすれば、四半期よりは多く回っております。あの場合は二ヵ月に一回ないし三ヵ月に一回くらいの割合になっておるかと思います。なお、その間に総合検査等が入りますので、一般の巡回検査はそのような回数でありましても、その間における総合検査等を入れますと、回数はさらにふえてまいります。なお、非常に多い鉱山につきましては二ヵ月に一回以上回っております。
  73. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 他に御質疑もございませんようですから、本件につきましてはこの程度にとどめます。     —————————————
  74. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 臨時石炭鉱害復旧法の一部を改正する法律案石炭鉱害賠償担保等臨時措置法の一部を改正する法律案及び石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案、以上三案が一括して議題とし、質疑を行ないます。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  75. 田畑金光

    ○田畑金光君 私はたくさん質問もありますが、時間もこういう時間であるし、先ほどの理事会の申し合わせを尊重して、二つの点だけお尋ねしておきたいと思います。  第一の質問といたしまして、問題点だけを申し上げますから、ひとつ大臣なり局長からお答え願いたいと思います。  第二次答申の趣旨は、企業経理の改善ということを強く取り上げております。そのためには炭価の引き上げ、利子補給措置、鉱害賠償の補助率の引き上げ、あるいは無利子の融資のワクの拡大、設備投資などについて、特に政府に勧告措置を講じておるわけです。そこでお尋ねしたいことは、いろいろ今度の予算措置を見ましても、政府は、この答申に基づきまして各種の措置を講じておりますが、たとえば炭価の引き上げ等については、一般炭価が三百円であるとか、あるいは原料炭については二百円であるとか等々、そのほかに、先ほど申し上げたように、利子補給の措置などを講じておりますが、これらを総合して見た場合、トン当たりどの程度の引き上げ措置になるのか、これを端的にお答え願いたいと思います。これが第一でございます。  次にお尋ねしたいことは、この利子補給措置の期間でございますが、これは調査団の答申を見ましても、いついつまでだという期限を付しておりませんが、利子補給措置についてはどれくらいの期間を政府としてはめどとして今後施策を進めていかれようとするのか、これも明確にお答えをいただきたいと思います。  さらに、次の問題としてお尋ねしたいのは、三十九年度から四十二年度の間というようなことで一応調査団の答申となって出ておるわけであります。この間の賃金の引き上げ率等については七・五%というようなことが一応めどになっておるようでありますが、物価の推移などについてはどのようになっておるのか。賃金、物価の推移などについて一つの前提が狂ってまいりますと、調査団全体の答申が当然狂ってくるわけでありまするが、賃金については、先ほど申し上げたように、一応七・五%という基準が前提想定となっておるようです。物価についてはどうなのか。ことに、また、賃金につきましても、現在炭労でも全炭鉱でも、それぞれ賃金引き上げを要求し、これが重大ないま段階にきておるやに聞いておるわけであります。七・五%ということになってくると、一方当たり一体幾らぐらいになるのであろうか、こういうようなことも、当然計画全体から出た場合に、われわれとしては正確な数字面について把握をしたいわけでありますが、この点についてお答えをいただきたいと思います。  次に、これに関連してまたお尋ねしたいのは、利子補給措置というのが、申すまでもなく、開銀の資金であるとか合理化事業団の資金であるとか、あるいは、また、中小企業金融公庫の資金であるとか、こういうところに限定して、市中銀行の貸し出し金利などについては何らの顧慮も払っていないわけです。もっとも、調査団の答申を見ますと、政府関係金融機関についてのみ利子補給措置を講ずべしと、こう書いてありますので、それにのっとって政府としては施策を進められたと考えますけれども、しかし、せっかく利子補給措置を講ぜられるならば、今日までの借り受け残高を見ても、当然市中銀行の借り入れ等についても措置をすべきでなかったかどうか、これをまた私は疑問に思っておるわけです。ことに、また、炭鉱関係の一方としては、この際、経理改善のためにはトン当たり少なくとも五百円引き上げてもらいたいという要請等もあったやに聞いておるわけでありますが、そういう点等をみたときに、金利負担などについて考慮するならば、市中銀行の貸し出し等についても考えてみてもよかったんじゃなかろうかと、こう思っておるわけでありますが、この点について考え方を承ります。  さらに、中小炭鉱の経営改善資金として債務保証制度などを考慮されておるようでありまするが、ほんとうに中小炭鉱の金融措置を一歩前進させたというこの施策についてはけっこうでありまするが、実際中小炭鉱に金が借りられるような保証措置と申しますか、これについては政府として行政指導その他について強くやってもらわなくちゃ困ると思います。ほんとうに中小炭鉱も金が借り受けられるように、単に予算でこうしたということじゃなくして、現実の問題としてその確保措置を講じてもらわなくちゃならぬと思いますが、こういう点についてはどのようにお考えになっておられるのか。まず、第一問としてこれだけお尋ねしておきたいと思います。
  76. 井上亮

    政府委員(井上亮君) お答えを申し上げます。たくさん御質問がございましたので、順を追うてお答えを申し上げたいと思います。  まず、第一点は、今回石炭鉱業調査団におきまして、いろいろ経理の改善策につきまして政府に答申を出しておるわけでございますが、政府といたしましては、先般も大臣からお答え申し上げたと思いますが、この答申の線に沿いましてこれを実行すべく、現在きめるものはきめ、なお努力すべき点は努力しておる段階でございます。経理改善策としましては、御指摘のように、やはりこの主力をなしまするものは、まず、国におきましてできる限りの助成策を講ずる。しかし、やはり需要部門におきましても御協力をいただく、同時に、金融機関においても御協力をいただきたいというような基本的な考え方でおるわけでございます。特に政府におきましては、従来の近代化資金とか、あるいは開銀資金の融資とかというような点だけでなしに、特に今回、本年度より利子補給制度を実施いたしたわけでございます。この利子補給は、御承知のように、政府関係金融機関について、その旧債について利子補給するという制度でございます。それから、この点につきまして、第四問に、市中の金融、これについての利子補給は考うべきではないかというような御質問がございましたが、ただいまのところ、私どもは、まず、政府関係の旧債について利子補給をしたい。市中の問題については今後の検討問題であるというふうに考えておるわけでございます。  なお、そのほかに、ただいま御審議いただいております鉱害賠償の問題につきましては、石炭の、特に九州地方における炭鉱の経理の状況を見ますと、鉱害賠償のための負担、これが相当重荷になってまいっております。そういった意味で、ただいま御審議いただいておりますように、鉱害賠償、鉱害復旧いたします際の国の補助率を三割程度本年度から引き上げていく。その反面、鉱業権者の負担を軽減する措置を講じておるわけでございます。  それから、最後に、需要部門の協力といたしまして、炭価の引き上げを、現在電力部門とは大体基本方針がきまり、鉄鋼、ガス等につきましても基本ラインについての了承をいただいておるわけでございますが、御指摘のようなこういった措置によりまして、今後のなお具体的にきめる問題はまだ残された点がございますが、これが順調にいきますれば、少なくとも二百五十円程度の経理の改善が見込まれるのじゃないかというふうに私どもは想定いたしております。ただ、しかし、御承知のように、電力向けの価格につきましては、必ずしも答申どおりの結論にはなっておりません。したがいまして、当初二百五十円程度の経理の改善が予想されるというふうに考えておったわけでございます。これらは若干下回るおそれがあると思います。その点は、はなはだ遺憾でございますが、なお、今後低品位炭等についての話し合いが残っておりますので、こういった点についてもさらに努力してまいりたいというふうに考えております。  それから、第二点といたしまして、利子補給の期間はいつごろまでかという御質問でございますが、これは私ども一応昭和四十二年度までというふうに考えております。もちろん昭和四十二年度でそれでは事実安定できるかと言われますれば、私は若干疑問がありまして、やはりもうしばらく石炭鉱業自体にも努力していただかなければならぬと思いますけれども、国においての助成も、もうしばらく相当手厚い助成が必要ではないかというふうに、私は個人的に考えております。しかし、現在の制度は一応四十二年度までというふうに考えております。  それから、第三点でございますが、この調査団の答申に際しましてのいろいろな作業に際して、賃金、物価についてどういうふうに考えておったかという御質問でございますが、御質問の中に、賃金は七・%五アップというおことばがあったわけでございますが、実は、この答申をつくります際のいろいろな作業におきましては、先ほど申しましたようなもろもろの国の助成策、あるいは需要部門の協力というようなものを前提といたしますれば、同時に、炭鉱労働者の今日の状況、それから、炭鉱労働の労働条件の現状というような点から見まして、あれこれ考えて七%程度で一応試算してみようということに相なっております。ただ、これは七%が妥当だとかという性質のものではございません。一応試算としてその程度のことで試算してみようという考え方でございます。もとより賃金の決定は労使が自主的に交渉してきめるべき性質のものでございますので、経営者はまたこれは一つの考え方と思いますけれども、別個に労使できめるべき性質のものだ、こういうふうに考えております。それから、物価につきましては一%アップという前提で計算いたしました。これも同じく先ほど来申し上げますような計算単位として採用したわけでございます。  それから、次に第四問でございますが、中小炭鉱についての信用保証制度、この点につきましては、やはり同じくただいま御審議いただいております法律の中で、この合理化法の改正案が通りますれば、私どもといたしましては、中小炭鉱につきまして従来にはない制度でございますので、経営改善のために必要な資金、つまり別な表現でいいますれば、運転資金につきましても信用保証をする制度をつくってまいりたいというふうに考えております。まあ経営改善ということですから、単に設備資金だけでなく考えていきたい。それから、同時に、中小炭鉱の金融問題につきましては、現在でも、もちろん中小炭鉱のうちの大きい山につきましては開銀資金の融資をやっておりますが、小さい山につきましては中小企業金融公庫、あるいは商工中金というようなところからいろいろ金融のあっせんをいたしてめんどうみているわけでございますが、今後とも、私ども行政指導を十分いたしまして、中小炭鉱の金融対策をしっかりやってまいりたいというふうに考えております。
  77. 田畑金光

    ○田畑金光君 大臣にお尋ねいたしますが、いまの局長からの御答弁で、大体今回の経理改善措置炭鉱経理にもたらす影響、あるいは改善策の実体というものがよくわかりましたが、大体かれこれ総合してみまと、トン当たり、二百五十円程度が経営改善に資するというわけです。ただ、しかし、いまお話がありましたように、労働者の賃金を見ましても、七%という前提で作業をされているわけです。今日の炭鉱労働者の人手不足という面から見た場合、その他の一般産業の賃金の今後の上昇率から比較したときに、はたしてこれで労働力の確保ができるかどうかという問題も考えられますし、物価の推移などについては、物価の値上がりを一%という想定などということは、全く現実と遊離しているわけです。そういうことを考えてみたときに、この程度の経理改善措置で四十二年度には三分の二前後の炭鉱はよくなるという計算を立てておられるが、はたして期待どおりにいくかどうかということを深く私は疑問に感ずるわけです。調査団の答申を見ましても、三十九年度から四十二年度までに設備投資資金として千三百億を想定しているわけです。ところが、いま局長お話のように、今回の利子補給措置が旧債務についてのみの保証措置であって、今後の新規の設備投資などについては、何ら考慮されていないわけです。さらに、また、いまの答弁の中にありましたように、利子補給措置も政府関係金融機関についてのみの措置であって、市中金融機関については想定されていない。さらに、また、期限等についても、局長個人の意見としても、昭和四十二年度までの利子補給措置でいいかどうかということは疑問に感じておられる、こういうわけでありますが、こういうことを見ますと、私、大臣として、もっと経理改善措置としては、恒久的にあるいはもっと掘り下げて検討してみる必要があると考えますが、今回の合理化措置法その他の法律改正に基づく改善措置そのものについてはわれわれも了承いたしますが、今後の石炭産業の自立安定の上から見ました場合に、さらに掘り下げて前向きの施策を進めていただきたい、また、進めるべきだ、こう考えますが、大臣の見解を承っておきます。
  78. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) ただいま四十二年を目標にした場合の、その目標どおりにいきかねるのではないかということで各種の条件をおあげになりました。私としても、それらの御指摘については十分検討を要する点があろうかと思います。したがって、今後におきましても、まあ私として現実的に申し上げれば、ことしでいえば、明年度の予算折衝の場合にさらに検討すべき点について考慮すべきだ、また、続いて四十二年度の分についても同じように考えていく、やはり情勢は刻々と変わっているのでありますから、いま四十年度の措置が行なわれて、これで四十二年までは何も施策を変えなくてそのままでいけるのだというような見地には立っておりません。そのつど考慮すべきことについては十分考慮いたしたいと思います。
  79. 田畑金光

    ○田畑金光君 最後に、これも大臣にお尋ねしたほうがいいと思いますが、この間も電力用炭販売株式会社の法律に関連してお尋ねしたわけですが、あの法律は成立をみたわけです。法律が成立したわけでありますから、今後この新しい会社設立については、石炭局長の御答弁で、できるだけ早く設立する、こういうようなことで了承いたしましたが、問題は、できるだけ早くといっても、一カ月後にできるのか三カ月後にできるのか、こういうことは問題だと思います。一体どの程度をめどにしてこの会社設立を考えておられるのか、これが第一点。  第二点として、それに関連してお尋ねしたいことは、この間も若干触れましたけれども、植村石炭鉱業審議会会長のあっせんによって四つの点が了解されたわけでありますが、私たちの理解といたしましては、この新しい会社ができるまでの暫定的な措置として揚げ地電力会社の場合、一率トン当たり三百円程度の引き上げ、こう理解していたわけです。したがって、積み地の電力会社への納入炭は現在のところ据え置きでありますが、この電力用炭販売株式会社が発足すると同時に、暫定措置というものは一応そこで終わって、当然今度は揚げ地電力用炭についても積み地電力用炭についても、新しい値段で告示がなされるものだ、こう私は理解しておりまするが、そういうようなことで理解してよろしいのかどうか。暫定措置というものは、電力用炭販売株式会社ができても、なお相当の間その暫定措置でいくのかどうか、そうなってきますと、私は、調査団の答申というものは炭鉱企業経理の改善措置ということを重点に置いて出ておるのだが、それが先に行けば行くほど答申の精神というものから遊離していく、これをおそれるわけです。大臣は、電力行政についても石炭行政についても総括しておられる主管大臣でありますので、大臣の腹がまえいかん、こういうことになってくるわけでありますが、大臣としては、石炭調査団の答申に基づいて、どこまでも今回の電力用炭販売株式会社発足と同時に答申の趣旨を生かしていくと、こういう決意であるのかどうか、この辺を承っておきたいと、こう思うのです。
  80. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 新会社として発足をいたしますのは六月一日からにきめました。  それから、お尋ねの暫定措置につきましては、したがって、五月末日で終わります。   〔委員、長退席、理事堀末治君着席〕
  81. 阿具根登

    ○阿具根登君 大臣にお尋ねいたしますが、この法案を見るまでもなく、新鉱開発するといえば国が無利子の金を出してやる、今度はやっていけなくなったといえば国が買い上げてやる、合理化するといえば資金を出してやる、鉱害が起こったといえば百分の六十五国が持ちましょう、そうなってくると、業者は一体何をするのですか。これはそれで私企業と言えますか、それは私は私企業じゃないと思うのです。一切がっさい、炭鉱を開くといえば、金は政府が無利子で貸してあげますというわけです。鉱害が起こったら国が百分の六十五、そのほかに、また地方自治体が払ってやる、やっていけなくなったら買い上げてやる、一体そうなると私企業じゃないじゃないですか。それを私企業で何でこんなことをやっていかなければならぬか、見通しありますか。こうやってもやっていけないと私は思うのです。なぜこうなったかということをお考えになったことがあるか、こうやっても油と太刀打ちできないのですね。一体このまま私企業でやっていかれるつもりか、これで御自信があるのかどうか、まず、その一点お聞きしておきます。
  82. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) お尋ねの点がきわめて石炭政策上重要な点でございますので、再度にわたって学識経験者等による石炭調査団による調査をお願いし、その答申を受けたわけでございまして、おっしゃられるまでもなく、私どもとしても、私企業に対してこれほど手厚い施策をすべきであるかどうか、ある程度の疑問はございます。しかしながら、国内の貴重なるエネルギー資源を確保する上におきまして、政府としても踏み切っておるわけでございますが、幸いにして調査団の答申どおりまいりますならば、昭和四十二年におきましては、おおむね石炭鉱業の自立が達成できる、こういう目標のもとに行なわれておるやむを得ない措置である、やはり調査団も私企業を前提としてのお考えでございまして、私どももそれを受けて対策を講じていく、こういうわけでございます。ただ、見通しとして、四十二年にそのようにいくかどうか、こういう点につきましては、今後の経済情勢いかんにもかかわるかと思いますが、私どもとしては、この理想に向かっての過渡的な施策として、しかし、非常に手厚い施策であるということについては間違いございません。
  83. 阿具根登

    ○阿具根登君 この第一次調査団の答申の場合に、私が有沢調査団長に質問して、それにお答えになったのは私企業の限界であります。私は、サンキース委員会のような私企業でやるべきか国でやるべきかという諮問は受けておりません。現在の自由経済の中で私企業でやる限界はどこかということで諮問を受けたので、その私企業の限界としてこの答申を行ないました。これができなかった場合には私企業でやれませんということをおっしゃっておられるわけなんです。これが第二回の答申でこういうふうな形に変わってきたということは、調査団長みずからが、もう私企業でやっていけないということを考えておられると私は思う。また、調査団の中でも、おそらくこれだけ手厚いことをやってもやっていけぬのだから、これはひとつ何か国の政策を変えなければならぬという意見も相当出ておったと聞いておる。しかし、通産省は、あくまでも私企業でやるべきだという一貫した考えでおられたと、こう思うのですよ。だから、私は、第一次答申案で私企業の限界はもうきておる、それをあえて第二次答申案に踏み切らねばならなかった、しかも、この第二次答申案で実際やっていけるかどうか、油とこれ以上太刀打ちできるかどうかという問題を考える場合、日本のエネルギー政策というのが私は間違っていろと思う。ここまでやって、今度は出炭に対して非常な大きな期待を政府は寄せておられる。そのしわ寄せが今日生産第一になって、私が先ほどいろいろお尋ねしました爆発原因一つになっておると、私はこう思うのです。そういう見地から質問していくのですが、それではこの新鉱開発でどれだけの石炭をお考えになっているか、どこどこの場所を考えておられるか、その点をひとつお聞きしておきます。
  84. 井上亮

    政府委員(井上亮君) 新鉱開発につきましては、これは従来もそういう考え方でやっておるわけでございます。これは先生御承知のように、石炭産業の、何といいますか、常道といいますか、宿命といいますか、山はやはり何十年も掘っていけば枯渇してまいります。しかし、その反面、やはり新鉱を開発してやっていくということになるわけでございます。しかし、最近の石炭産業の現状を見ますと、なかなかこの常道である新鉱開発という問題が、必ずしもいまの炭鉱の経営の中からは十分にできがたい経営状態にございます。そこで、今回特にこの合理化法の改正をお願いしまして、合理化事業団にこれについての政府資金の融資をしようという考え方になっているわけであります。そこで、そういった考え方につきまして、いまこの新鉱開発について各社ともにいろいろ計画を立てております。私どものいまの計画によりますると、従来新鉱開発に着手している有明とか、これは別といたしまして、今年度からスタートする新鉱開発についての見通しは、大体昭和四十五年くらいに相当花が開くというふうに考えております。新鉱開発につきましては、私ども原料炭を中心に特に政府の助成を考えていきたいというふうに考えておるわけでございまして、そういった意味で数量を申し上げますと、大体四十五年、度には二百万トン程度の新鉱開発をいたしたい、四十七年度には三百三十万トン程度の出炭まで生産を高めていきたいというふうに考えております。  それから、地点的に申しますと、何と申しましても、やはり原料炭につきましては北海道が非常に新しいフィールドでございますので、三菱鉱業の大夕張、南大夕張、北炭の清水沢、これがまあ北海道における原料炭の今後の新鉱開発の第一次着手になろうかと思います。北海道におきましては、さらに一般炭につきましても上茶路等の開発が予定されております。それから、なお、九州におきましては、これは今後の新鉱ではありませんが、日鉄鉱業の有明の開発が現在続行されております。この出炭は、ただいま申しました二百万トン、三百三十万トンに入れておりません。これはもうすでに既着手という意味で入れておりません。しかし、これも昭和四十四、五年になりますと、五年ごろには、またいずれ百万トン程度の規模になるのではないかというふうに考えております。それから、北松におきましても、これは日鉄関係の山ですが、これは一般炭につきましての開発をいま検討しております。大体新鉱開発につきましての今後の見通しはそのような状況に相なっております。
  85. 阿具根登

    ○阿具根登君 日鉄の有明の開発も進めておりますが、聞くところによりますと、数百億の金を投じて開発をしても、これはとてもその金を完済するまでには相当な年月もかかるし、いまのままでは魅力がないんだというようなことまで聞いておるのです。実際先ほども論議のありましたように、坑内で働いて生命をすり減らしておる人たちが、いまの賃金で喜んで働くと思ったら大間違いです。物価は上がってくる。賃金も、いまでは炭鉱でおそらく喜んで働いておる人はほとんどあり得ないと思うのです。ないと思うのです。そういう場合に、いまの計画がそのとおりいくかどうか、私は非常に疑問があると思うのです。そうすると、政府も無利子で長期で貸してやるということになっておるけれども、だんだんそれの返済ということは非常に困難になってくる、私はそう思うのです。それから、その次にいけば、今度はまたスクラップ・アンド・ビルドで、スクラップのワクを拡大する、スクラップということは山をつぶすことでしょう。一方、今度は山をつぶし、そうして二十円のトン当たりのやつを三十円やれ、こういうことをいっておられるので、これは中小炭鉱を助けるためだとおっしゃるけれども、中小炭鉱をつぶすためです。中小炭鉱が現在二百十四だったと思うのですが、全国であるのは。そのうちの幾つが助かって、幾つがスクラップですか、それをお尋ねしたいと思います。
  86. 井上亮

    政府委員(井上亮君) まず、最初の、新鉱開発の今後の見通しと申しますか、企業がやれるかという御質でございますが、私どもは、ただいま提出いたしております法案、これは長期の二十年にわたる返済条件の政府資金の融資をいま考えているわけですが、この程度の措置をいたしますれば、大体個別に当たりまして、先ほど申しましたような南大夕張とか清水沢とか、その他の山につきまして、大体開発は可能であるというふうに見ているわけでございます。ただ、一番最初に私申し上げましたように、現在の政府の答申に基づく助成策も、これはややこの答申の線に比べまして欠くる点がございます。こういった点は、率直に申しまして、私は、さらに次年度以降補強いたしてまいりたい、こういうふうに考えているわけでございますが、こういった措置を講じていきますれば、一応先ほど申しましたような新鉱からの生産の確保といいますか、新鉱開発は一応可能ではないかというふうに考えております。特に原料炭につきましては、需要が非常に旺盛でございます。もし国内で原料炭の出炭ができませんような状況になりますれば、やはり海外の原料炭の山を積極的に開発しなければいかぬというようなことにもなるわけで、このことは、やはり需要部門である鉄鋼、ガス部門についても不安定な一つの事実になるわけでございますし、それから、同時に、国内にまだそういった優良な炭層が残っているのに、あえて外貨を使ってまでそういう海外の鉱山を開発する必要は、私はないと思います。そういった意味でも、ぜひ助成を続けまして新鉱開発をやらしてまいりたいというふうに考えております。  それから、次に、中小炭鉱のスクラップの見通しでございますが、お説のように、今後も、やはり一面において流動政策ないしは新鉱開発を行ないますと同時に、やはりこれは石炭産業の宿命と申しますか、やはり何十年も掘っていけば石炭は枯渇するわけでございますので、そういった面からスクラップの山が不幸にして出ることは事実でございます。しかし、現状におきまして私ども各山を個別に見通しましたときに、今後出ますスクラップの山は、この数年に比べてみまして、やはり中小炭鉱の山が多いのではないかというふうに考えております。大手の山についても今後でございます。でございますが、量的に申し上げますれば、やはり中小炭鉱のスクラップ山が多いという状況でございます。しかし、私どもは四十二年度くらいになりますと、大体何といいますか、石炭産業全体としてのそういったスクラップ・アンド・ビルド政策という見地からの一応の安定が見込まれるのじゃないか。中小炭鉱につきましても、昭和四十年度くらいまでは、やはり依然としてスクラップの問題が相当出ると思いますけれども、少なくとも四十二年度くらいになりますと、あとはそう簡単にスクラップし得ない山が非常に支配的になってくる、多くなってくるというふうな見込みでおるわけでございます。
  87. 阿具根登

    ○阿具根登君 そうすると、前段の質問の中で、これはやっていけるということですが、それでは個人能力を幾らに踏んでおられるか、個人能力をどのくらいに踏んでおられるか。それから、労働者の賃金をどのくらいに計算されて三百万トンなり二百万トンのこの計画が立てられておるのか。それから、スクラップのワクを、いままで相当なスクラップをやられて、二十円でやられたのを今度十円引き上げるということは、より多くやるということなのか、あるいは今日までやってきたのよりも、いろいろな物価が上がってきたので十円引き上げるというのか。それから、第二会社は中小炭鉱なのか大炭鉱なのか。その第二会社の問題について、ひとつ櫻内通産大臣、とっくり御説明を願いたいと思うのですが、三井なり三菱なり北炭なりという大会社がこれをやれずに、第二会社に落としてやれるというのは一体何なのか。この前も聞いたことはありますけれども、どうも納得するほど聞かれないのです。そういう第二会社を、これは資金あるいは技術等の不足のためにやっていけないから親会社がやっていきましょうというならわかるのです。逆だったらわかるのです。第二会社では資金がなかなか困難、技術陣がなかなか少ないのですね。そういう面から親会社がやりましょうというならわかるのです。親会社がやっていけないのをどうして子会社がやっていけるか、なぜ第二会社をつくるか、その第二会社になった場合には、おそらく中小炭鉱の範疇に入ると思います。五十万トン以下の中小炭鉱に入ると思います。そうすると、今度はもうかるだけ親会社はもうかって、もうけが少なくなってくると第二会社に落とし、第二会社がいけるだけいって、そのあとは政府がお買い上げください、こういう結果になってくると思うのです。これは一体どういうことなのか、私はどうしてもわからないのですが、その点をひとつ御説明願います。   〔理事堀末治君退席、委員長着席〕
  88. 井上亮

    政府委員(井上亮君) 最初に、私から御質問についてのお答えを申し上げたいと思いますが、今後の能率の推移につきましては、本年度におきましては、先生御承知のように、大体全国平均で三八・六トンぐらいの見込みでございます。それが逐年上昇いたしまして、昭和四十二年ぐらいには大体能率は四十五トン程度と私ども想定いたしております。  それから、なお、先ほど新鉱開発のお話が出ましたが、今後行ないます大規模な新鉱開発につきましては、これは、先ほどちょっと例示いたしましたような山につきましては、大体能率が七十トン程度ということで、ただいまいろいろ計画を進めておる次第でございます。  それから、次のスクラップに関連いたしまして、今回納付金を十円よけいとる計画をつくっておるわけでございますが、この十円よけいにしますのは、単にこれはスクラップ量をふやすという意味合いだけではございませんで、むしろ端的に申し上げますれば、現在の納付金制度のままでいきますと、これは今日までの経理状態、それに、御承知のように、合理化事業団は納付金の前借りといいますか、納付金が何年には幾ら入る、何年には幾ら入るからということで、ただいま財投の資金でつないでおるわけでございます。それにはまた金利がかかります。そういうふうな意味合いで、現在では、昭和五十一年くらいまでを見込んで財投から金を借りているというような状況でございますので、そういった点から今回十円引き上げまして、そういった資金繰りを改善してまいりたいという趣旨でございます。  最後に、第二会社の問題でございます。大臣に御質問でございますが、一斉私も申し上げますと、この第二会社の問題は、もう前から政府部内におきまして方針をきめておるわけでございまして、本来これは好ましいものでございません。私どもも行政指導にあたりまして、できるだけこういう姿にならないように努力してまいってきているつもりでございますし、今後もそういう方針で強く臨まなければならないというふうに考えております。しかし、現状は、遺憾ながら、どうしても会社を分離しないとなかなか経営ができないというようなことは、なかなか第三者から見られまして理解がつかないような問題でございますが、というような実情もございまして、まあ労使の話し合いによってそういう姿になる場合があるわけでございますが、私ども行政指導の姿勢といたしましては、今後ともに、そういう安易に第二会社化していくという姿は極力避けるような指導で臨んでまいりたいというふうに考えております。
  89. 阿具根登

    ○阿具根登君 第二会社の場合ですね、労使の話し合いによってということを言われたのですが、確かにこれは答申が第一次に出ましたときに、これは当然労働者側の意見を聞かなければならぬというようなことになっているのですが、その場合、対等な話し合いでなくて、これはもうできなければ閉山するんだという、こういうかまえで会社に迫られるわけなんです。だから、山がなくなるよりもと、泣く泣く自分たちの賃金まで切り下げて第二会社に移行しているのが私は現実だと思うのです。そうすると、一番みじめなのは労働者である、こういうことになるわけですよ。そうした場合に、今度はここで保証制度も拡充して保証に立つということになっているのですが、たとえば大正炭鉱の場合はそれじゃどうであったかということですね。これは石炭局も、あるいは銀行筋も、あるいは労使とも、これはやっていける会社で、つぶす山じゃないということでやってあれだけみんなで協力したにもかかわらず、これは経営者のずさんきわまるやり方で、ついに閉山になってしまった。そうした場合に、銀行その他はなかなか損をしないようになっているけれども、労働者は、最後まで山を食いとめようとした労働者の退職金もないというのは一体どういうことなのか。そういう場合に、保証に立ったこの事業団ですか、これは一体どういう態度をとるのか。一番最後にみじめなのは労働者じゃないですか。そういう危険な目にさらされ、閉山というおどしにおびえながら働いて、そのあとは退職金もない、こういうことが一体許されていいかどうか。  それから、もう一つ、これは本会議で質問しておったのですけれども通産大臣から答弁がなかったから、ここでもう一回質問しておきますが、一番重労働であり、一番危険な作業をしておる人がなぜお役人さんよりも長い時間働かなければいかぬかという問題です。私にはそれもわからない。そういうように、一番みじめなところに追いやられておりながら、半ドンもない、祭日もないのです。そうして危険の少ないところで、空気のいいところで働く人は半ドンだ祭日だといって金をもらっているじゃないですか。一体こういことをどういうようにお考えになっておるのか。炭鉱の労働者は人間じゃないのかどうか、通産大臣炭鉱の労働者は人間扱いにしないのかどうかということを聞いておるわけなんです。私は逆だと思うのです。そういう人たちは労働時間も短縮しなければならぬ、半ドンもやるべきだ、祭日も休むべきだと思うのですよ。机の上で仕事をしている人こそ、そういうことをしんぼうしてもらって、そういう人たちにサービスするのが私はあたりまえじゃないかと思うのですが、それに四十五トンから七十トンの能率を考えてやられるということは、そういうことは一切考えておらない。半ドンや祭日を休ませたらそういうことに絶対ならない。そうすると、全然労働者のことは考えなくて、ただ出炭と能率と生産ベースだけを考えて計画を練られている、私はこう思うのですが、それはいかがでしょうか。
  90. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) いろいろな角度から御批判をされたわけでありますが、私もその御批判について尊重すべき御意見だと思う点が多々ございます。確かに最も悪い環境のもとに、そうして長時間働くことを余儀なくされるというような、そういうようなことが認められておっていいかどうかということになりますれば、これはもう論議はない点でございます。ただ、石炭産業の実情というものがいかにも悪条件に満ちておりまして、そのために、これは卒直に申し上げれば、労働者の方々にも協力を得ている形ではないかと思うのであります。こういう姿が好ましいとは思いません。でき得る限り改善をすべきことだと思うのであります。なお、具体的な点については局長から……。
  91. 井上亮

    政府委員(井上亮君) 大臣のおことばに尽きているかと思いますが、私も一言意見を申し上げさせていただきます。  先生御指摘のような点が多々ございますし、これは根本的に掘り下げて私ども考えますと、やはり炭鉱の経営がきわめて悪化しているというところにすべての問題が起因しているのではないか。たとえば御指摘になりました労働条件の悪いというような問題もその一つでございますし、あるいは閉山した場合に退職金も出ないというような問題もそこに起因しているというふうに考えますし、それから、やはり経営が悪化しておりますので、労使ともにあせりがある。そこから保安上の問題も出てくるというふうにも考えますし、したがいまして、私どもは、今後ともにそういった認識のもとに、炭鉱の自立ができるような施策をさらに深く検討してまいりたいというふうに考えております。
  92. 阿具根登

    ○阿具根登君 時間がありませんので先に進みますが、鉱害量が、現在百七十億も復旧したけれども、まだ数百億残っておる。そうして毎年十数億円にのぼっておる、こういうことがいわれておるわけなんです。一体数百億というのはどのくらいなのか、そうしてこの法律改正によってそれが復旧できるかどうかという問題。それから、炭鉱が買い上げになり、あるいは閉山になった場合に、上水道等がもうほとんど地方自治体のこれは責任になってくる。ところが、非常に老朽化しておる。そういうところで非常に上水道の問題が問題になってくる。こういう問題は一体どうお考えになっておるのか、これで何か復旧される考えがあるのかどうか、その点についてお尋ねいたします。
  93. 井上亮

    政府委員(井上亮君) ただいま御指摘になられましたように、現在鉱害の残存量につきましてはいろいろな意見がありますけれども、私どもが従来調査しております数字で申し上げますと、三十八年度末の有資力の既発生鉱害量といたしましては、大手が三百三十五億、中小が百四十四億、合計四百八十億程度と考えております。そのほかに無資力鉱害があるのでございますが、これは三十八年度末八十六億程度、なお二十数億程度の将来発生鉱害が年々予想されております。私ども今後八年間に、残存鉱害といたしましては大体七百六十億くらいの鉱害量にのぼるのではないかというふうに考えております。したがいまして、私どもはこの調査をさらに本年度もう一ぺん根本的に全一国調査をいたしたいというふうに考えております。本年度中に大体鉱害量の調査を完了いたしまして、自後、毎年計画的な復旧計画を実施するような体制をつくってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  それから、なお、上水道のお話が出ましたが、上水道につきましても、御指摘のように、閉山等に伴いましていろいろ絶えず問題になる問題でございますが、この問題につきましては、やはり私どもとしましては、鉱害復旧事業団を通じまして、できるだけの復旧を急いでまいりたい。なお、これについての補助、助成についても、さらに手厚く国から善処してまいりたいというふうに考えております。
  94. 阿具根登

    ○阿具根登君 さっきちょっと聞き間違えたかもしれないのですが、百年というふうに言われたというふうに聞いたのですが。
  95. 井上亮

    政府委員(井上亮君) 八年でございます。
  96. 阿具根登

    ○阿具根登君 八年でならどうも納得できないのです。十二年間に百七十億円の鉱害復旧が行なわれたわけです、いままで十二年間かかって。それに、いま説明を聞きますと、四百八十億のこれは赤字なんです。四百八十億の赤字を、百分の十五上げたからといって、こんなに物価はまだ上がっておるわけなんです。八年間で五百億の金を、百分の十五上げて、何でこれで復旧できますか。できますか、八年間で。百年と聞いたから、百年ならできるかもしらぬと思ったけれども、八年ならできないと私は思うのですがね。
  97. 井上亮

    政府委員(井上亮君) ただいまのお話にありましたように、鉱害賠償額の評価が年々変わっております。これはいままでに復旧しました実績を見ましても、逐年非常に上昇いたしております。これはもちろん国がそれだけ年々復旧に力を入れて、予算措置も増額しておるという点もございますが、そのほかに、いわゆる評価額が変化するというような点が一つ問題点であろうと思います。先ほど申し上げました、本年度あらためて全国的な鉱害調査をいたしたいということを申し上げましたのも、やはりそういった最近の実態におきまして鉱害量を把握したいという趣旨でございまして、まあ大体年間の復旧計画でいきますと、最近には大体四十億程度の復旧をいたしておりますが、これが逐年倍増いたしております。大体におきまして非常にふえております、ごく近年におきましては。したがいまして、先ほど私は、今後八年間の累積を考えると、七百六十億程度の累積鉱害が予想される、今後出る全体の量としまして。これをやはり計画的に年度別に計画を立てまして、必ず復旧させるというつもりでございます。
  98. 阿具根登

    ○阿具根登君 では、局長のその意気盛んな考え方はいいのですけれども、毎年二十数億の赤字、それを累積すると相当なものになりますね。そうすると、四百八十億——まあ五百億とみて、八年間に六百億くらいになりますね。六百億を八年間でこれを直すということになりますと、これは局長の言ようにはいきませんね、なかなかそれは困難だろうと思うのですがね。
  99. 井上亮

    政府委員(井上亮君) ちょっと私の説明に語弊があったと思いますが、八年間の今後の累積鉱害が全体として七百六十億、もちろんこれは八年間の累積でございまして、この間、年々鉱害復旧してまいりますから、実際に八年目に残りますのは七百六十億ではなくて、もっと減った数字になろうと思います。それから、復旧は、これは八年間の一応の私どもの推定でございまして、これを八年間で完了するというのは、先生御指摘のように、無理かと思います。で、これは年々積み重なっていった総トータルを申し上げたわけでございまして、それをもう少し年度別に計画を立てまして、あまりおくれない期間にできるだけ復旧するというような計画にいたしたいという趣旨でございます。八年間で累積されたのはこれだけで、その累積されたものを八年間できれいさっぱりにするとというのは、ちょっと実行問題として無理かと思いますので、そういう意味でございますの  で、その点を訂正させていただきたいと思います。
  100. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 関連。鉱害復旧の四十年度の予算は三十七億何ぼですか、それをちょっとはっきり。
  101. 井上亮

    政府委員(井上亮君) ただいまの鬼木先生から御指摘の昭和四十年度の復旧計画といたしましては、三十七億七千八百万円でございます。
  102. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 あなた、毎年倍になっていくというんだろう。
  103. 井上亮

    政府委員(井上亮君) 三十九年度は、大体これは復旧量としては三十億ですが、その前年を見ていただきますと二十億でございます。
  104. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 だからそれを聞いているんだ、倍になっていないよ。ぼくの計算では二五・何%しか上がっていない。
  105. 井上亮

    政府委員(井上亮君) これは予算ではなくて、復旧量でございます。
  106. 阿具根登

    ○阿具根登君 では、約束の時間がきたようですから、最後に、無資力の百四十四億というのは、私は置きざりになるんじゃなかろうか、こういう心配をするわけです。無資力の鉱害に対してどういうお考えをお持ちになっておるかという問題と、お話を聞いておりますれば、確かに今日まで出ておる鉱害と今後出てくる鉱害に対する考え方が出てはおりますけれども、非常に計画的じゃない。これを一貫した計画的なものに乗せなければ、私は実際の実効はあがらない、こう思うのですが、この二つの点につきまして御答弁をいただきたいと思います。  時間がまいりましたので、私の質問はこれで終わります。
  107. 井上亮

    政府委員(井上亮君) 御指摘のように、最近は無資力鉱害の量が非常に激増してまいっております。これはやはりスクラップに伴いまして有資力者が減り、その反面、無資力者が増大してきたためでございますが、先生も御承知のように、無資力鉱害の復旧につきましては、これは資力がないわけでございますから、主として国、それから地方公共団体の負担でこの復旧をするということになっておりまして、その面で、先ほど鬼木先生から御指摘もありましたが、私が申しました先ほどのこの数字は、これは鉱害復旧量でございまして、予算としましては、この無資力鉱害について毎年約倍にふえておるわけでございます。その反面、それは言いかえますと、それだけ無資力鉱害がふえておるというような実態でございまして、今後ともに、特に資力のない、無資力になった鉱害復旧に重点を置いて政府としては予算の獲得等について努力してまいりたいというふうに考えております。なお、計画的な復旧という点につきましては、御指摘のとおり、やはり今後の鉱害賠償については一番問題の点だと思います。やはり被害者の方に、いつごろになれば鉱害復旧ができるというような目安を与えてやりますことが、やはり人心の安定のために一番必要なことだと思いますので、そういった線で努力してまいりたいというふうに考えております。
  108. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  109. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 速記起こして。  大臣に質問いたしますが、臨鉱法の国、県及び市町村の負担率が今度変わりますが、国の負担がふえることは地方公共団体も非常に喜んでおりますし、鉱業者も喜んでおりますが、県の負担がふえたので、県の財源としては困っておる。したがって、県の財政について、いままでの負担一一・一%が一四・四%にふえるのですね。したがって、このふえた分については特別の配慮をいただきたい、この点について大臣の御見解を聞きたいと思います。
  110. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) きょう自治大臣もおられませんのに、私が独走したようなことではいけませんが、実は衆議院のほうにおきまして、私と自治大臣と一緒に、この種の御質疑がございまして、そのときに私も自治大臣も、ともにお答えをいたしたところでございますので、自治大臣不在でございますので、私責任を持ってお答えしたいと思います。  今回の法改正により、県の負担増になる分につきましては、交付税でこれは善処をいたします。
  111. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  112. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようですから、討論はないものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  113. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  臨時石炭鉱害復旧法の一部を改正する法律案を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  114. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 全会一致と認めます。よって本案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、石炭鉱害賠償担保等臨時措置法の一部を改正する法律案を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  115. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 全会一致と認めます。よって本案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  116. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 全会一致と認めます。よって本案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  117. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時十二分散会