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1965-04-02 第48回国会 参議院 石炭対策特別委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年四月二日(金曜日)    午前十時二十九分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         小柳  勇君     理 事                 亀井  光君                 岸田 幸雄君                 阿部 竹松君                 大矢  正君     委 員                 剱木 亨弘君                 野田 俊作君                 二木 謙吾君                 堀  末治君                 松平 勇雄君                 山下 春江君                 大河原一次君                 藤田  進君                 向井 長年君    国務大臣        通商産業大臣   櫻内 義雄君    政府委員        通商産業政務次        官        村上 春藏君        通商産業省石炭        局長       井上  亮君        通商産業省公益        事業局長     宮本  惇君    事務局側        常任委員会専門        員        小田橋貞壽君    参考人        九州電力株式会        社社長      赤羽 善治君        関西電力株式会        社社長      芦原 義重君        北海道電力株式        会社社長     岡松成太郎君        日本石炭協会会        長        麻生太賀吉君        日本石炭鉱業連        合会会長     植田  勲君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○電力用炭代金精算株式会社法の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 小柳勇

    委員長小柳勇君) ただいまから石炭対策特別委員会を開会いたします。電力用炭代金精算株式会社法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日は、参考人として、九州電力株式会社社長赤羽善治君、関西電力株式会社社長芦原義重君、北海道電力株式会社社長岡松成太郎君の方々の御出席を願っております。  この際、参考人方々に、委員会を代表いたしまして、一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中のところ、当委員会のためにまげて御出席をいただきまして、心から、感謝いたすものであります。  当委員会は、ただいま電力用炭代金精算株式会社法の一部を改正する法律案審議を行なっておりますが、本法案にそれぞれ関係をお持ちになる参考人方々の御意見を拝聴いたしまして、審査の参考にいたしたいと存じますので、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。こちらのほうの委員会の都合でお待たせいたしまして失礼いたしました。どうぞよろしくお願いいたします。  それでは、参考人方々には、最初に十分以内の御意見をお述べいただきました後、委員方々質疑に応じていただきたいと存じます。  まず、芦原参考人から御意見を伺いたいと存じます。
  3. 芦原義重

    参考人芦原義重君) 私、関西電力社長芦原でございます。本日は、本委員会におかれまして電力用炭販売株式会社法案を御審議されるにあたりまして、参考人として御喚問を受けましたので、本法案につきまして考えておりまするところを述べさせていただきたいと思います。  第一に申し上げたいのは、電力用炭販売株式会社についてでございます。私ども電気事業者は、公益事業といたしまして、豊富、低廉、良質な電気供給いたすことを本来の使命と考えており、このためにあらゆる合理化近代化努力を傾けておりますが、特に発電用燃料確保につきましては、そのコストに及ぼす影響の大きいのにかんがみまして、従来とも、その合理的、かつ、安定した価格で膨大な量の燃料を円滑に入手いたすために格別の努力を払っております。石炭の購入につきましても、石炭産業の置かれておる立場を考慮いたしまして、過去において長期引き取りのお約束をいたし、しかも、取引慣行を著しくそこなわない方法で大量の石炭引き取りを行なってまいり、石炭業界電力業界は円満な協力関係を維持してまいったと判断いたしております。しかるに、今回、本法案のような特別立法政府石炭政策の一環として国会に提出され、御審議を受けることとなりましたが、私どもといたしましては、本法案につき、基本的には次のように考えております。  その一つは、本法案の基礎に流れているものの考え方は、石炭取引流通面価格面の両面から統制を加えることでありますが、このような統制的な考え方商取引の実情に沿わないばかりでなく、一つ統制措置はさらにその一そうの強化と次の統制措置を誘発するおそれがあり、このことは過去の統制経済経験が明らかに立証いたしておるところであります。本来、取引自由の原則に基づき、石炭側電力側協力のもとに円満な取引を行なってまいったにもかかわらず、今回このような強力な統制的方法実施しなければならない理由は、私どもといたしましては首肯できないところであります。  次に、このような統制的な手法実施されるにしましても、何ゆえ電力業界のみがその対象とされるかということであります。もし統制的手法実施しなければ石炭鉱業調査団答申の実行が保証できないというところであれば、なぜこれを電力業界のみに限定されるのか、その理由も理解に苦しむところであります。  第三に、電力用炭について特にこのような特殊会社を設けて統制的な措置実施することが必要な理由一つとして、この会社で積み地、揚げ地の石炭価格プールを行なうことがあげられておりますが、価格プールのために立法が必要であるとすれば、電力用炭以外の石炭需要につきましてもその必要性は全く同様でありまして、電力のみについて価格プールを行なう理論的根拠はないものと考えております。また、需要者の数や規模の違いで、電力以外は事務的に困難であるといたしますならば、これは全く便宜主義考え方でありまして、国の政策決定基本的態度としては了承しかねるところであります。  以上申し述べたように、このような法律は、本来望ましくないものと考えておりますが、諸般事情で、当面の事態解決のため、万やむを得ず実施をせざるを得ないといたしましても、きわめて短期間の時限立法とされることを切望いたすのであります。特に石炭産出量価格は、今後の経済情勢の変化に伴い、まことに予断を許さぬものがあると考えられますので、このような統制的手法が長く継続されることは、石炭電力業界のためにも好しくない結果をもたらすおそれが大きいと存じます。また、本法案実施されますと、従来の自由な取引に制限が加えられることとなりますので、不用意に実施すると無用の混乱を生ずるおそれもあり、実施にあたっては、特に電力石炭業界商慣習を尊重され、十分時間をかけて慎重な準備の上で実施されるように、特に希望いたすものであります。  第二に申し上げたいのは、この石炭負担増問題についてであります。冒頭で申し上げましたように、公益事業に携わっているものの責任として、電力コスト切り下げのために、鋭意経営合理化努力を行なっている私どもにとりまして、このような統制的立法により、石炭流通機構価格を拘束され、そのためばく大な負担増を負わされますことは、まことに耐えがたい苦痛であります。現在、各種企業業績の悪化に苦しんでいるさなかにありまして、電気事業といたしましても、将来の業績の動向には深い関心を払っているのであります。したがいまして、一つ特定産業救済のために電気事業が特別な負担をこうむるということは、まことに筋の通らぬことと存じます。もしこのような考え方が許されるといたしますと、石炭産業以外の産業で、かりに業績が悪化した場合、その救済もまた電気事業が背負わねばならないこととなりかねず、非常に危険な考え方になりはしないかと思われるのであります。それぞれの産業は、本来、自己の体質改善には自主的な経営努力をもって対処すべきであり、ごく特殊な場合にはその補完措置として政府救済策を行なわれるのはけっこうでありますが、これを他の産業に転嫁されることは、経済政策運営基本的なかまえとして、承服しがたいものと考えております。また、政府は、現在物価対策に大いに意を注いでおられるのでありますが、そのたてまえからしても、価格引き上げにより事態解決をはかろうとされるのは、政府政策として一貫性に欠けているのではないかと存ずるのであります。したがって、今回の石炭価格引き上げにつきましては、私どもは根本的には反対でありますが、あくまでこれを拒むことは石炭産業を一そうの混乱におとしいれる一因ともなり、また、政府とされましても、負担増対策を十分に行なう財政措置をとる時間的な余裕がなく、その軽減策にかなり苦慮されたこともよく理解されますので、今回は大局的見地に立って政府石炭政策にできる限りの協力措置をとることといたしたのであります。しかしながら、ここで強調いたしたく存じますのは、当面の四十年度負担増に対する政府措置はまことに不十分で、遺憾なものと考えますので、もし四十一年度以降についても本年度と同じような方式を依然として続けられるのでありますれば、負担増政府が完全に補てんされることが当然であると考えております。  以上申し述べましたような見地に立たれて本法案を十分御審議いただきますよう、お願い申し上げる次第であります。
  4. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 非常に有益な御意見でありますから、政府にも聞いてもらうように通産大臣を呼びましたが、いま衆議院商工委員会法案をあげるためにそちらに列席いたしておりますから、あとで参りますので、政務次官を呼んでおります。  次に、岡松参考人にお願いいたします。
  5. 岡松成太郎

    参考人岡松成太郎君) 北海道電力社長岡松でございます。今日は私ども意見を聞いていただくことになりまして、私として非常に光栄に存じております。  本法案に対する一般的な意見といたしましては、ただいま関西電力社長から大体の点は申し述べられておりますので、それは私どもも同感でございます。この点は重複を避けまして、少しく私どもの地帯に即した意見を若干述べさしていただきます。  大体この共販機関ができました理由は、各地の石炭価格プール制を行なうというところにその基本を発していると考えられるのでございますが、その点一番そのプールが必要となるのは、結局産炭地と揚げ地との石炭価格の差をプールするということになっておるかと思います。そこで、そういうことになりましたのは、結局重油に対する特別還付税という制度を利用してこの負担増対策が行なわれたということになりましたのが原因かと思われるのであります。ところで、北海道九州等産炭地につきましては重油特別還付ということは行なわれておりません。そこで、還付の行なわれておるところと行なわれてないところとの間のプールが必要になったわけでありますが、九州北海道のような産炭地につきましては重油を使わない。北海道はほとんど使いませんし、九州においても非常に少ない。しかも、それに対する特別還付税がございません。ですから、九州北海道負担増対策としては、重油特別還付税によらない別の予算によって負担増対策を講じていただくのが本筋かと考えます。そういうことになりますると、このプールの必要というものはほとんどなくなるのじゃないかということでございます。本年度と申しますか、四十年度措置についてはすでに御決定をみておりますので、いかんともしがたいのでございますけれども、翌年度以降におきましては、九州北海道等産炭地に対する負担増対策にとっては別の措置を講じていただいて、この重油還付制度によるプール制というものは避けていただきたいというような希望を持っております。したがって、芦原社長から申し上げましたこの共販会社というものも、なるべく短期に時限的な立法によって終わらしていただきたいというふうに感じておる次第でございます。  それから、いま一つは、北海道におきましては、石炭の引き取り量というもの、つまり計画量だけ石炭を入れてもらう、納炭をしてもらうということが絶対に必要でございまして、山元に発電所を持っております関係で、重油をたくということは非常にコストが高くなりますので、ぜひ石炭を入れてもらわなければならぬと思っております。石炭の絶対量については北海道には不足はないように思いますが、会社計画しておりますカロリー、あるいは銘柄石炭というものが将来あるいは不足してくるんじゃないかということを心配しております。発電所は、そういう銘柄石炭を目途として、それに必要な、適当なと申しますか、場所に設置をしておりますので、遠くから別の銘柄石炭を運ぶということになりますと、運賃その他において非常にコストが高まる。発電所の設計も、五千カロリーの未洗炭ということを、これは三十三、四年ころから、石炭業者との間の話し合いで、そういう銘柄石炭を使うということでやってきておりますので、こういう性質の銘柄石炭会社計画量だけ納炭をしてもらうということが必要だと思います。この共販会社ができてもそういうことはないと思いますけれども共販会社立場からいえば、北海道九州のような炭価の安いところから石炭をよけい入れるということは損をいたすわけであります。炭鉱のほうからいえば、一律に三百円アップということで、この点は変わらないので、そういうことは起こらないと思いますけれども、特にそういう点を配慮をしていただきたいと思っております。  それから、最後にいま一言、これは芦原社長のおことばの中にもございましたけれども、もう少しふえんして申し上げますと、産炭地電力会社は、特に炭鉱との間でいろいろと持ちつ持たれつと申しますか、血の通った取引をいたしております。精算会社ができましてからそういうことが非常にやりにくくなったのでありますが、その以前においては、炭鉱が非常に困っておるときには石炭代を前払いしてあげるというようなことをやってまいっております。今度の共販会社ができますと、そういうような取引は、あるいは厳重に禁じられておるようなふうに読めるのでございます。そういうところから、この産実地におきましては、特に揚げ地においてもそういうことはあると思いますが、産炭地においては特にこの石炭会社電力会社の間には、非常に相互に依存的な関係で血の通った取引をやってきて、その結果スムーズな取引が行なわれておる。われわれのほうとしましても、いろいろと取引方法石炭側の有利になるように改善をしてきております。大手、中小の値差をなくすとか、あるいは送状面取引であったものを改斤取引に改めるとかいうことで炭鉱側の利益をはかってきております。そういうような関係にございますので、今後ともそうしたこの会社が中に介在しても、炭鉱電力会社の間においては、相互協力的な関係がスムーズに続いていくように運用していただきたいと存じております。  大体以上をもって私の意見を終わらせていただきます。
  6. 小柳勇

    委員長小柳勇君) ありがとうございました。  次に、赤羽参考人にお願いいたします。
  7. 赤羽善治

    参考人赤羽善治君) 九州電力赤羽でございます。本日は、私ども意見を聞いていただくためにお呼び出しにあずかりまして、まことにありがとうございました。先ほど芦原参考人、また、岡松参考人からいろいろ意見が出されましたので、私は、九州地方立場において特に申し上げたいことを述べさせていただきたいと思います。  昨年、第二回の石炭調査団が来られまして現地を視察した結果出された答申案の内容、電気事業用炭を三百円アップして、それに対して政府負担増対策を講ずる。また、産炭地である北海道九州電力には特別な配慮を払うようにという答申がなされたわけでございます。そのときに九州において一番関心を持たれましたことは、負担増対策を行なった結果、産炭地に対する特別の配慮というものがどういった形で行なわれ、電気事業者間の負担の公平がはかられるかという点にあったわけでございます。それが今回この法律案におきまして、積み地電力会社と揚げ地電力会社の間における炭価引き上げの幅の調整をしていただくという法案と見受けまして、この点まことに私どもの望んだところと一致すると考えたわけでございます。  一方、量の供給円滑化と申しますか、そういった面の配慮も本法案に盛られておるわけでございますが、特に九州におきましては、すでに御承知のとおり、炭鉱が非常に老朽化しておりますために、年々予定よりも供給確保されない、供給減をみておる状態でございます。また、今年も予想より幾分減るのではないかという見方ができる現在におきまして、九州電力としましては、精炭におきましても低品位炭におきましても、ほんとうに供給確保をはかっていただくようにしていただきたいというのが九州電力立場としてのお願いでございます。三十九年度におきましても、九州電力といたしましては、もちろん石炭を全部使う計画、ごくわずかの重油混焼を考えておりましたが、石炭の集まりが悪いために重油予想以上に多く使って、しかも、最近非常な渇水であったために非常な集炭難に見舞われておったわけでございます。来年度も同じようなことが予想される現在におきまして、九州電力といたしましては、石炭供給円滑化に対して十分の御配慮をお願いしたいと思うのでございます。  以上をもちまして私の陳述を終わりたいと思います。
  8. 小柳勇

    委員長小柳勇君) ありがとうございました。  それでは、御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  9. 藤田進

    藤田進君 きょうは電力関係の団体である電気事業連合会としての代表をお招きしておりませんので、審議を進めますのに私どもとしても非常に不便な点もあるわけですが、共通の問題につきましては、特にどなたかお三人の中でお答えいただければ幸いだと思うのであります。  今回出されております答申以来の石炭政策を見ますと、本来、自由主義経済を標榜され、これを基本政策とされる現内閣における政策としては、私どもそのまま受け取ることができない。この点については先ほど御指摘になりましたが、現時点で現内閣においても、労働政策——まあ保守党を与党に持っておる政府ですから、労働政策として相当抜本的、進歩的なものができないとしても、少なくとも社会政策として行なうべき分野が、経済政策の面でこのような石炭産業については統制経済の復活になってきている。そこで、私は、そういった基本的問題をここでとやかくいたそうとは思いませんが、政府とはやり合いたいと思う。だが、現状、電力事業石炭産業との関連を考えてみますに、石炭の窮乏というものはあらゆる面に問題を提起いたしております。これはすでにきょうではなしに、相当以前から政府助成補助政策というものが進められてきたのであります。ことに当該産業に従事する労働者への対策、これも私ども当然のことだと思うのであります。また、産炭地域におけるこれが政策も、これも不可欠の問題であると思うのであります。ところが、近時、世界なり日本エネルギー源というものを考えてみると、日本政府に、そのベースというもの、基本というものがないことが問題であるけれども、このままでは、九州電力社長が指摘されるように、むしろ需要供給のバランスという面に非常な心配があるように伺います。石炭一体設備に対応する量が出てくるのかどうか、それが安定性があるのかといったような諸般の面を考えておりますときに、私は、もう根本的に石炭産業というものについて確立すべき時期にすでにきている。  そこでお伺いいたすのでありますが、石炭としてはそのような窮状を持っているので、私は政策を必要としないというのではない。ところが、一方、これをそのまま電気事業という公益性の高い産業にしわ寄せしていいものだろうかどうだろうか。電気事業実態については、年々伸び率も高いし、これに対応する水力はコスト高になるということで、主として火力に依存されるような趨向であります。その火力も、現実にはキロワット・アワーに対するコストから見ても、重油専焼ということが最近は非常に産業界においても期待されている。つまり電気産業界においても期待されている。しかし、これは重油ボイラー規制法の延長によって自由に選択することはできないということになり、そこで、石炭火力電源開発会社とともにつくることに行政上するという場合になったときに、石炭の単価が三百円の値上げだということになれば、第一に、私は、電気産業に及ぼす影響としては、はたして十二万従業員が、なるほど電気事業社長会はこのまま受け入れてまことにありがたいことだという労働意欲がわき出るか、全く逆だと思うのであります。電気事業合理化というものは、皆さんの社長からの指令でしょうから、御存じだと思う。各職場における実態というものは、合理化合理化を重ねてきて、まことに近代産業といわれる電気事業職場としてはふさわしくない状態が出てきている。その他の施設の整備なり改良なりについても、まことに不行き届きである。いわんや、労働条件においては、合理化だ、生産性向上だ、しかる後にこれに見合う労働条の向上であるというかけ声でやってきて、今日既得権を漸次圧迫放棄させられて、退職金については、基本給の一〇〇%であったものがだんだんと九〇%になり、八〇%になり、経理上の理由から圧縮されてきている。基準賃金についても、他の産業に比較して、その年齢構成の高さ、勤務年数のしたがって長さ、あるいはその他の経験学歴等から見て相当高位にあるにかかわらず、先般政府提出資料等からこれらを比較してみますと、結局産業界における基準労働賃金の順位というものは二十番目ないし二十五、六番目になり下がっている。しかし、いつの日かこれは企業生産性との関連において是正される、おそらく今回も格差賃金の是正、他産業に比べてかつての状態から見ても、今日的比較においても相当な差額がある、これを何とか是正してもらいたいということは毎年出てきているが、ことしは中央労働委員会にまでかつてない提訴ということになり、これが両者の協議という調停案が出て、会社も受諾なさったと私は聞いているのであります。こういう産業事情を、その設備あるいは一連の合理化、あるいは労働問題等から見て、唯々としてこういうことがなされるということ、新聞報道によると、電力業界負担増対策を、若干の条件はついたけれども、まるのみにこれを受諾されたというとこで、私は驚かざるを得ないのであります。これは幾ら努力しても、これはしょせんどうにもならぬわい、ことに最近中国電力においては、八億八千万という、山口県営との関係において、不当な、いわれもない金をとうとう県会の圧力で出さざるを得ない、しかも、これは三年何カ月ということになりますと年間二億、これでも赤字になる。この石炭関係において年間二十億くらいいま申し上げた中国電力だけでも負担増になることが一応予想される。ところが、生産地である九州北海道において炭価の増ということになれば、当然他社にしわ寄せという、いわば炭価がかさんでくるでございましょう。こういうふうに考えてくると、石炭という問題が、今度の炭価増が大きなウエートになってまいります。そうして、さらに料金三%値下げということを言っておられたわけで、需用家においては相当これを期待していたように思う。これが下げるほうがまず下げないで済んだということになれば、需用家に対しては期待を裏切っただけのことでしょうが、いくいくは、この三百円というものが、今度出されている法律から見ると、臨時措置法の通産大臣価格基準をきめるということになれば、自主的な皆さんの努力の余地はない。時限立法と言われても、そんなふうな声は全然国会内では出ておりませんよ。料金のほうは規定され、多くの原料である燃料のほうは規定され、結局落ちつくところは、今日資本費が六〇%をこえていると聞きますが、需要のわずかに二〇%足らずを占めるいわゆる人件費にしわ寄せされてくる。そこで、労働者はこれに対していかんともしがたい。御承知のようなスト規制法ということで、憲法にかかわるようなここにストライキ制限法を政府は押しつけている。こういう現状を電気事業経営者が知らないはずはないと私は思う。石炭産業の疲弊なり、これが救済すべきことは当然救済すべきでありますが、これが直ちにその政策のしわ寄せというものを、そのまま結論的にいえば電気産業労働者にこれをしわ寄せするということになることはもう明らかなんです。現在なっているのです。こういうことを経営者としてこれを三十一日にのまれたということは、私は非常に意外に思うわけであります。このままイージーゴーイングでいくと、石炭業界は三百円じゃ困る、とりあえず今日の段階で五百円のアップにしてくれということを先般参考人は言われている。これが一年もつのか二年もつのかという問いに対しては、いずれも明確な問いに対する答えはない。こういうことは政府政策として私どもはまことにふに落ちないのでありますが、これを受諾された経緯、どうにもならぬ政府の圧力なら圧力と率直に言ってもらいたいし、その間の事情をまずお伺いをいたしたいのであります。私が指摘いたしましたように、電気事業に対しては、当然金は余っているし、将来料金値上げの予定はないという、そういう御理由があるならば、また、それもお聞かせいただきたい。
  10. 芦原義重

    参考人芦原義重君) それじゃ私からお答え申し上げます。  実は、きょうは、私、連合会の副会長をいたしておりますが、その立場じゃなくて、関西電力社長としての立場で出頭しろというお話で、さように考えておったのでありますが、いま藤田先生の御質問は、どうも電力業界全体に関係するのであります。その点御回答に十分ならぬかとも思いますが、御了承願いたいと思います。  われわれ電力事業を預かっておるものといたしましては、先ほども申し上げましたように、豊富、良質、低廉という原則のほかに、長期的に安定をすべきだということも考えて経営をいたしておるのであります。でありますから、先ほどちょっと触れましたように、電力事業の将来ということを考えますと、そう安心はできないわけであります。それともう一つは、最近の技術革新といいますか、技術の進歩に伴いまして、われわれ電力業界は、やはり設備近代化していきませんと将来は非常におくれてまいるのであります。そういう技術の近代化を積極的に取り入れるということで経営合理化を懸命に進めておるわけであります。したがいまして、新しい技術を取り入れますと、従業員がやはり新しい技術をこなしてもらわなければいかぬということに相なるのは自然でありますので、かような考え方で経営をいたしておるわけであります。そこへこの石炭業界のことしの対策についていろいろお話がありまして、電力業界も、多年の石炭業界との取引関係並びに将来ともわれわれはエネルギーの燃料確保という立場から、石炭を全然使わないというようなことは考えておりません。これは日本の貿易、外貨の関係等も考えまして、やはり国産の石炭をある数量は使わなければいかぬということを考えております立場上、いろいろ折衝をいたしました結果、今年については、この三十一円に連合会の会長の木川田君が連合会を代表しまして調査団のあっせん案を御承諾申し上げたのであります。それも私の解釈いたしております範囲では、これは四十年度に限ってでありまして、四十一年度以降までを確約したものじゃないと考えております。これによりまして石炭業界が将来安定し、立ち直ることにつきましては、石炭の経営者、石炭業界で懸命に御検討願いたいとわれわれは考えておるわけであります。
  11. 藤田進

    藤田進君 そうおっしゃいましても、御承知だと思いますが、今度いま提案されております電力用炭代金精算株式会社法の一部を改正する法律案が成立いたしますと、もうこれを通さなければ電力業界電力用炭を買うことはできません。これを通さなきゃならないと同時に、この中には価格についても規定されている。これは石炭鉱業合理化臨時措置法、これの一部改正がいま出ているのであります。これの五十八条によって通産大臣炭価基準をきめる審議会は開かれるでございましょうが、ということで、これが大きな山場になっている。簡単にいえば、ついこれを引き受けたために諸君の賃金なりその他もどうもうまくいかなくなったということが徐々に出てくるような気がする。ですから、四十年度は、とりあえずこの場の急場をしのぐ意味で三百円アップは認めたが、四十一年以降は、これはまた白紙の立場でとおっしゃいますが、そういうことができるものでございましょうか。この法律が成立すれば、もうそういう余地はなくなる、通産大臣が基準炭価をきめるでしょう、どう理解されておるのでございましょうか。
  12. 芦原義重

    参考人芦原義重君) この法律は、さっき岡松社長が申し上げましたように、電力用炭価格プールするのを法律的根拠を与えるため、その目的が主の目的だと考えておるのであります。それと、お話のように、価格はもちろんきまりますが、数量はこの法律ではきまっておらないと思っておりますので、全面的にこれが縛られてしまう法律とはわれわれ考えておりません。
  13. 藤田進

    藤田進君 数量は、ここの石炭鉱業合理化臨時措置法を引用して出されておりますのですから、価格の点、生産数量の制限の点、こういったようなところで、おれのほうが重油をコンスタントにたいて、石炭のほうはかげんする。そんなことを押しつけてくるなら、今度は、また来年四十一年度になれば、三百円去年上げたのにまた二百円か三百円上げてくるというのなら、おれのほうは、価格の点はおまえらはきめておるのだろうけれども、それはそれだけの数量を買わないぞという対抗手段があるように私はどうも受け取れるのですが、事実問題として、いまの立法の仕組みからみてそういう安易なふうに思われているとすれば、対抗の武器にはならないと思うのであります。御理解になっている点、どなたでもいいですから、それはそうじゃない、こうこうしかじかという説明がつけばお聞かせいただきたい。
  14. 井上亮

    政府委員(井上亮君) ただいま芦原社長が、数量の点については自由になっているというお話がありましたが、数量につきましては、法律の面からいいますと、これはむしろ法律の面からは規定されておりません。ただ、従来、数量につきましては、電力業界石炭業界の間で長期引き取り契約というものが別途ございまして、法律によらないで、別途これは紳士協定としてありまして、それによって引き取りをお願いをしている。それに対する一種の負担増対策としては、先般ここで御説明申し上げたと思いますが、一般還付制度というのがありまして、特別還付でなくて、こういうような制度がありまして、そういう形でいま運用されているという実情でございます。
  15. 藤田進

    藤田進君 局長にもう一ぺん質問するが、いま参考人が言われるように、炭価に対抗して数量のほうでと言ってみても、これは設備実態にもよる。最近の火力は、ほとんど常時火力になっているのですから、いやが応でも需要の伸びがあり、水力の開発がそれほど進まない、それはコスト的に。ということになれば、数量的に、そんなに高いものなら少ししか買いませんぞということは事実上できない実態です。それと、いまのような紳士協約というか、長期引き取りの契約というものがあるということになれば、その点は数量というものは、まず固定的なものだと見ていいんじゃないですか。
  16. 井上亮

    政府委員(井上亮君) お説のとおりでございます。
  17. 向井長年

    ○向井長年君 関連石炭局長、あるいは参考人でもけっこうなんですが、これは一応受諾されたというのは、四十年度引き上げ価格等ですね、いま参考人が言われましたのは。そうすると、四十年度だけがこういう形で了解はした、しかし、四十一年度以降はこれは別だ、白紙だ、数量も価格も白紙だと、こういうことなんですか。
  18. 井上亮

    政府委員(井上亮君) 私どもは、直接この価格問題について通産大臣の委嘱を受けられて植村さんがあっせんの労をとられたわけであります。植村さんから私聞いております範囲では、本年限りということばは聞いておりません。ただ、しかし、先ほど芦原さんがおっしゃいました意味は、これは私の見解ですが、思いますに、植村あっせん案に際しましていろいろ了解事項があった。その了解事項の中の一つに「炭価引上げに伴なう昭和四十一年以降の負担増に対しては、昭和四十年度の取扱以上に出来得る限りの軽減措置を講ずることに努むること。」というような、努力してくださいという条項が入っております。ですから、おそらく芦原社長がおっしゃいました意味は、こういう条件つきですよというような意味からおっしゃったのではないか。ただ、私、端的には、本年限りということは植村さんからは聞いておりません。
  19. 藤田進

    藤田進君 その辺も一つのポイントですから、その点をお尋ねするのだが、これは一つの気休めだと私は思うのです。いまのように、量的な問題もこれは御承知なんで、どうも商取引上における対抗すべき武器は、この法律の成立後はない、数量といわれても、数量についてはどうしようもない。そこで、植村さんとの——これは電気新聞で私が見るくらいで、まだ政府も出してない。局長も自分の切り抜きみたいなものを見ているが、全く不見識きわまりないわけです。これをいま局長は読んだんだけれども、このように値上がり額を、今後軽減措置を講ずるようにつとめることと言われましても、四十一年度以降の負担増に対しては、昭和四十年度の取り扱い以上に、でき得る限り軽減措置、つまり二十七億の関税還付なり何なりというものは、さらにこれは重油消費量がふえれば、若干その点はふえるかもしれませんが、それをふやすなんていったところで、これは限界線がある。とすれば、そのプロパーに炭価三百円平均値上げは各社間にこれが調整がついたとしても、三百円というものを、四十一年度は二百五十円、つまり昨年度より五十円下げてくれというような期待が持てるものかどうか。私は逆に、この会社のみそは、もう有無を言わせず石炭通産大臣炭価基準で押しまくってきます、それが今度のねらいなんですから。そこで、来年度は上げるのか上げないのか論争してみますと、石炭業者の皆さんは、午後またお呼びするわけですけれども、先般の商工委員会で呼んだときは、実は今回の三百円はまことに不満だ、われわれは是が非でも今回五百円にしてくれ、炭鉱をつぶすのか、こういう論旨であります。石炭局長ほかも、来年あるいは再来年、三百円値上げがいつまで持つかというと、それはいろいろと合理化し、努力しますと言ってすわってしまう。どうなるというようなことは言わない。これさえできれば、今度来年はさらに二百円なり三百円なり上げる、軽減措置を講ずると言われるそこに大きなウエートを持たれて、四十一年度は白紙であり、むしろ石炭購入価格は下がっていくなどと思われると、これは間違いがあると思うのですが、ほんとうに来年度からは重油還付なりプロパーの炭価なり、何でもいいでしょう。公租公課が軽減されてもいいでしょう。今日の税体系から見て、電気事業だけ税金を安くするということはなかなかむずかしいと思う。電気事業がどうだと言っても、これは経営とは無関係でしょう。ですから、それらを、総合的に見たいわば電力用炭コスト、これを下げていくというこの了解事項の第三が実施されるとほんとうに思っていますか、参考人に聞きますが。
  20. 芦原義重

    参考人芦原義重君) 私は、文章に書かれたものが、植村さん外、調査団の方が調停、あっせんをされ、政府、大臣もそれを認めたものでありますから、実行されると思っております。それ以上ちょっといまのときにそれを疑ってまでやることはできないと思っております。  それから、もう一つつけ加えさしていただきたいのですが、先ほど井上石炭局長さんからわれわれの長期契約のことをおっしゃられましたが、長期契約は数量と価格——一般の品物の取引には、数量、価格、あるいはその他の取引条件を含めて契約をすべきもので、その条件一つが今度くずれましたので、あれをあの姿のままで長期取引が残っておるとは私は考えておりません。これは連合会全体の意見じゃないかもしれませんが、私の考えとしてはそう思っております。
  21. 藤田進

    藤田進君 大臣来ているのですか。
  22. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 十二時半に入るそうですから、十二時半まで大臣の質問は残しましょう。
  23. 藤田進

    藤田進君 どうなんです。相当食い違いがあるのですね。石炭局長、あなたはこの了解事項をいま読んだけれども、このように来年度からは現実の電気産業に対して三百円以下——これは金額はいまわからないが、少なくとも四十一年度以降四十二年度にかけて、いまよりは上がるはずは絶対ない、三百円というのは、炭価そのものもあろう、あるいは還付事情もあろうが、とにかく政府としては、期待されておる了解事項でのんだというのであれば、これを履行しなければならぬが、これはそのように軽減措置を講ずることができるのですか。できますか。
  24. 井上亮

    政府委員(井上亮君) お尋ねは二点あると思いますが、最初の第一点は、ただいま芦原さん個人としてのお考えを言われました引き取り義務といいますか、引き取りの紳士協定の問題でございますが、この紳士協定は、電力業界全体と石炭業界の間に立たれまして、同じく今度炭価をあっせんいただきました植村会長が間に立たれましての申し合わせになっておるわけでございまして、これについては、確かに芦原さんがおっしゃいましたように、それは一定の価格が前提になっての話だったのだから、自分としては少し今度事情は変わったのじゃないかと言われますお気持ち、意味はわかりますけれども、しかし、この引き取りを電力業界にお願いするという基本ラインは、第一次石炭鉱業調査団、あるいは第二次石炭鉱業調査団、この答申の線にも明らかなように、やはり電力にお願いする以外にないという、需要の大宗を電力にお願いする以外にないという線が明らかになっておるわけでして、政府におきましても、この答申の内容を今後とも踏襲していくという閣議決定もいたしておるわけでございますから、そういう考え方で私どもおるわけでございます。ただ、先ほど芦原さんがおっしゃいましたようなお気持ちもあろうと思いますが、私は、現段階において、植村さんがその両者の間に立たれての今後の長期引き取りは御破算になったとは了解いたしておりません。そういう話も聞いておりません。しかし、そういうお気持ちが今度の価格改定に伴いまして電力業界におありであれば、それはあらためてやはりもう一ぺん確認を願わなければならない。少なくとも、政府の方針としては、先ほど申しましたように、第二次答申も第一次答申も、それを政府が尊重するという閣議決定をいたしているわけですから、その線に沿って御協力をいただきたい、こういうふうに考えております。  第二の、今度電力業界との間に植村あっせん案、了解事項ができているわけでございますが、特に負担増の問題につきましては、先ほども電力の各社長さんからお話がありましたように、私どもといたしましても、この了解事項を忠実に守りまして、全力をあげてこの実現に努力したいというふうに考えております。
  25. 藤田進

    藤田進君 先の見込みなんですが、努力するかどうかはあたりまえの話だ。軽減の話、了解点の三の話だ、軽減措置を講じていくかどうか、これからだ。
  26. 井上亮

    政府委員(井上亮君) これは、やはり政府としては全力をあげてやるという以外にないと思います。
  27. 藤田進

    藤田進君 努力してみなければわからぬということです。そういうことなんですよ、これは。
  28. 向井長年

    ○向井長年君 石炭局長、この間の質問の中でも、この価格を上げてこれを実施したところで、大手十社の中で、四十二年度までに立ち直れるところは三社程度だ、その他はまだまだ赤字である、あるいは中小炭についてはなおさらたいへんだ、こういうことを答弁されたんですよ、政府は。そうして四十一年度には軽減に努力するというあっせんは出たにしても、これは事実あなたのほうで自信を持って軽減できる見込みがありますか。それと同時に、引き取るほうの電力会社のほうでは、まず、このあっせんが四十年度のものである、したがって、四十一年度はこういう第三項によって何とかこれは考えられるのである、また白紙で交渉し直すのだ、こういうかっこうに理解していいのじゃないのですか。そういう大きなギャップがあるわけです。現在それをやはり政府のほうではどうあっせん案を解釈し、電力会社に理解を得ようとするのか、この点がやはり一番中心になるところだと思いますので、御答弁願います。
  29. 井上亮

    政府委員(井上亮君) 御指摘のとおりでございまして、また、電力会社社長さんの言われまする意味をよく理解しているわけでございますので、四十一年度においては、政府としては全力をあげてこの了解事項をそのまま実現できるように努力します。いますぐ四十一年度の予算問題について、私、できますということも言えませんから、ただ、これはできるように政府は、これは通産大臣以下、もちろん大蔵大臣も理解していただけると思いますけれども、全力をあげて努力するということだと思います。
  30. 藤田進

    藤田進君 だから、努力するということがまあ逃げ場になっているんだ。日本語というのは非常に便利なものだね。通産大臣は、ぼくに対しても、努力するというようなことを文章で書いても、努力したがだめだったと言って目の前で言っている、文章で書いたものを。いま通産大臣を呼ばなければならぬと思っているんだが、そんな手合いを相手にやっているんですからね。努力する、そんな内容証明が——しかし、努力するというのは、くどいようですが、三の軽減の見込みがあるの。
  31. 井上亮

    政府委員(井上亮君) 私どもは、先ほど申しましたように、大臣以下、最大限の努力をいたすつもりでありますから、見込みは、むしろ敗北主義でなくて、あると申し上げていいと思います。
  32. 向井長年

    ○向井長年君 参考人にお聞きしたいのですが、しかし、いま政府はそういう答弁をしておりますけれども、それができなければ、これは四十年度だけの了解事項である、したがって、四十一年度からは白紙で新しく話し合う、こういうことなんですか。
  33. 芦原義重

    参考人芦原義重君) われわれのほうでは、政府でなされました油の関税還付措置というのは四十年度についてであります。四十一年度までは私はきまっていないと思っております。でありますから、あくまで私はこの文章をそのとおり正直に解釈いたしております。
  34. 藤田進

    藤田進君 政府のほうは、あとから引き下げる見込みがあると局長が言うんですから、大臣ともおそらく打ち合わせの上での答弁でしょうから、どの程度か、政府のほうはまた確かめる。  そこで、非常に大きな問題もあるわけで、時間の制限もあり、まことに困るのですが、北海道岡松社長さんにお伺いしますが、北海道電力は、炭価問題を抜きにしても、相当経営の合理化、その他窮屈な経営をしなければ料金問題に波及せざるを得ないような雰囲気が最近強くあったように私は思うのです。それから、他社においても、九州電力も似たり寄ったり。ところが、今度生産地、積み地についてはまあ炭価を上げないでということで難をのがれたようにも見えるけれども、そうだとすれば、他の会社電気事業というものは年間六十ないし七十億がぽこんとやってきてもびくともしない、OKというような、これは一体電気産業の経理、会計というものはそんなに弾力性があるのだろうかということを疑うのであります。配当その他についても一割を下げるというようなことはまだ聞いていない。そこで、北海道についてどうなんですか、料金関係影響なしという限度というものを、石炭についていえばどんなように社長は考えているのですか。
  35. 岡松成太郎

    参考人岡松成太郎君) 非常に先の見通しになりますので、むずかしい点があると思います。会社の経理につきましては、まあ非常に北海道電力という会社は、他社に比較しまして、供給電力量に比較して設備が過大でございます。送電線も非常に長い、火力石炭火力でありますので、設備が非常によけいかかる。まあ発電所における人員も、運炭、灰捨の人を使わなければならぬというようなこと、また、石炭を紛砕するために所内電力も非常に使うというようなことで、非常に負担も多い。いろいろな点から経理面は相当苦しいわけでございます。それで、まあ極力合理化と申しますか、経費の節減につとめておりまして、修繕費なども最低の修繕費で必要な修繕を済ますように極力努力をいたしております。そうしてなるべく社内留保をふやして、金利のかからないお金で新しい設備とかあるいは修繕とかをやっていきたいということ。それから、経費の節減ということにもつながりますけれども、新電気事業法が施行されましてから、非常にサービス面を強化するような指導を受けております。法律の面でもそれが出ております。それで、遅収料金は早収料金に比べて一割ばかりよけいになるようになっておりますが、それを半減するとか、電圧サイクルの調整だとか、そういうサービス面の強化を新電気事業法の施行に伴ってするように指導を受けております。そういう方面にも資金を投じていかなければならぬということから、支店も、実は北海道は小さい会社でありますけれども、非常に地域が広いものですから、従来十支店を設置してやってまいりましたのですが、サービス強化と関連して、営業所を中心にしてそういうサービス面に当たる。で、支店はなるべく統合して大支店制度をとるということで、これも人員の関係から、急に人を減らすわけにもいきません。だんだん定年で退職するに従って十支店を統合していくということで、五年間かかって毎年一支店ずつ整理をして統合していきまして、五支店に統合するというような方策を進めております。そういうような次第で、おっしゃるとおり、会社の経理状況においては非常に苦しい面が出ております。実際償却の率にしましても、三十六年以来、年々償却率が下がってきておるという現状でございます。そこで、ことに燃料は九九%石炭を使っておりますから、その石炭が三百円まるまる上がるということになれば、四十年度においては四億五千万円の値上がりになるというようなことで、これは北海道電力としては会社の経理面に非常に影響するということは事実でございます。で、今回その点は調査団の答申でも、産炭地電力については特別の考慮を払う必要があるというなにがありまして、それに従った措置がとられるようでございますから、四億五千万円というような金額が上がるというようなことはございません。そういうことで、さしあたり、いますぐ料金をどうのこうのということは、これは考えておりませんが、非常に苦しいような状況にあるということはおっしゃるとおりでございます。先のことはちょっとかなり予想がむつかしいと思います。
  36. 小柳勇

    委員長小柳勇君) ただいま参考人として、日本石炭協会会麻生太賀吉君、日本石炭鉱業連合会会長植田勲君が御出席になりました。委員会を代表して、両参考人に心から敬意と感謝をいたします。速記をとめて。   〔速記中止〕
  37. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 速記を起こして。それでは、石炭関係の公述人各位にお願いいたします。おのおの十分程度御意見を拝聴いたしまして、その後各委員質疑をいたします、なお、御存じのように、ただいま電力用炭代金精算株式会社法の一部改正を論議いたしておりますから、これに関連いたしまして、忌憚のない御意見をお聞かせを願いたいと存じます。麻生参考人
  38. 麻生太賀吉

    参考人麻生太賀吉君) いまお呼び出しをいただきました麻生でございます。石炭協会会長とおっしゃいましたが、きのうなりましたばかりで、なり立てのほやほやでございます。きょうはこの委員会にお呼び出しをいただいたわけでございますが、この委員会の皆様方にも、過去何年間石炭のことでいろいろとお世話になっております。この際、お礼申し上げます。同時に、きょうのこの法案審議にあたりまして、私ども協会の代表として、参考人としてお呼び出しいただき、意見を述べさせていただきますことを厚くお礼申し上げます。  この法案につきまして、結論から申し上げますと、全面的に賛成でございます。それだけでなくて、希望を申し述べさしていただきますならば、できるだけ早くこの法案を成立させていただきたいというのが私の希望でございます。その理由を申し上げますと、先ほどからお話も出ておりましたように、伺うところでは、この法案ができますと、プールして揚げ積み地炭価を是正し、われわれ納めるほうのものには三百円を上げていただくというような話も伺っております。たいへんにその点が大事なポイントなんでございまして、現状はどうかと申しますと、昨日から植村さん以下のあっせんで、揚げ地は三百円、積み地はゼロということでいまスタートいたしております。いままでも、これは過去長い歴史がございますが、大体揚げ地と積み地との値差が二百円ぐらい違っております。積み地のほうが安いわけでございます。それでもって、まあ石炭は現状でも北海道九州は集まりにくいという状態があったわけでございますが、この過渡期の扱いで開きが五百円ということになるわけでございまして、これが悪いから納めない、また、公益事業である、こういう一番大きいお得意さまにそろばん勘定だけでわれわれが納めるということは、これはもう道徳的にはいけないことだと思いますが、しかし、現状の石炭業界の苦しさから申しますと、やはりトン当たり五百円というのは大きうございます。私ども業界としては、いままでのまだ契約はできておりませんが、各電力会社がほしいとおっしゃる石炭だけは、その価格いかんにかかわらず、納めるというたてまえはとっておりますが、実際問題としてなかなかむずかしい面が出てくるのじゃないかと思います。そういう意味において、この精算会社法の一部改正というものが早く通って販売会社ができるということが、私は一番そういうものをなくす、問題がなくなる大きなファクターだと思いますので、できるだけ早くこの法案を通していただきたいということでございます。ここに九電の赤羽さんが来ておりますが、私も九州電力の責任者だったことがございますが、私は、電力会社としては、石炭が集まらないのじゃないかという御心配があると思いますが、そういう公述があったのかどうか知りませんが、常識的にいえば、過渡期の間は九州電力北海道電力石炭がいかぬという可能性が相当強いわけでございます。そういう御心配もおありになるのじゃないかと思います。そういうことを考えましても、この法案を早く通していただいて、円滑な石炭の販売の運営ができるようにしていただきたいということがお願いでございます。十分間かかりませんでしたけれども、短かければけっこうだと思いまして……。
  39. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 次に、植田参考人の御意見を拝聴いたします。
  40. 植田勲

    参考人(植田勲君) 連合会の会長をしております植田であります。本日、参考人としてこの法案の改正について意見を申し述べる機会を与えられましたことを深く感謝いたします。  結論から申し上げますと、電力用炭代金精算株式会社法の一部を改正する法律案がすみやかに成立し、電力用炭販売株式会社が一日も早く発足できるようにしていただきたい。その理由としては、炭価引き上げの完全実施、配炭の円滑化にあるのであります。われわれ中小炭鉱は、第二次石炭鉱業調査団に対しまして、石炭鉱業の自立安定のために、さしあたりトン当たり五百円の炭価引き上げを要請したのであります。調査団は、一般炭三百円、原料炭二百円の炭価引き上げを中心とする答申が出されたのであります。去年の十二月十七日、この委員会参考人として呼ばれまして、そのときに私が申し上げたのは、三百円の引き上げではなお不十分でありますが、答申が出された以上は、これが早急に完全に実施してもらいたいということと、大手、中小間の値差の撤廃についてお願い申し上げたのでございます。また、このことは関係御当局にも強く要望しておった次第であります。おそくとも四十年度からは実施せられるものと期待を持っておったのであります。一昨日の石炭鉱業審議会需給部会におきまして、電力用一般炭の基準価格は、積み地の北海道九州電力については、電力用炭の販売会社が発足するまで、暫定的に炭価引き上げは行なわれないと、こうきまったのであります。これはわれわれが期待しておったのを裏切ったことになりまして、非常に遺憾に存じておるものであります。したがいまして、電力用炭販売株式会社が発足しなければ、産炭地電力石炭を送っている炭鉱は、企業収支の改善のためにとられた炭価引き上げ政策のらち外に放置されることになるのであります。その発足がおくれればおくれるだけ、経営はいよいよ苦しくなってくるはずでございます。このために炭価引き上げの完全実施ができるよう、この法案をお通しくださいまして、電力用炭の販売会社が発足が一日でも早いほうがいい、こうお願いをする次第であります。  また、積み地、揚げ地間の炭価プール実施されなければ炭の流れが混乱し、産炭地電力には思うように炭が送られないという心配があるのであります。この点からもこの法案を早く通していただきまして、一日も早くこれがプールができるように実施してもらいたい、こう思うのであります。なお、中小の値差の撤廃については、今後とも格段の御配慮をお願いしたい、こう思うのであります。  以上申し上げましたが、ぜひこの販売会社は五月一日から発足するように御配慮願いたい、こう思うのであります。  以上であります。
  41. 小柳勇

    委員長小柳勇君) ありがとうございました。  では、質疑を続けます。
  42. 藤田進

    藤田進君 そうすると、北海道については非常に苦しいわけなんですが、さしあたり料金改定という考えはないとすれば、この提案されている電力用炭のこの会社が発足するまではということのようですが、その後炭価が、他面三百円上げられるということになった場合、北海道九州についてはどういうお見込みなんでしょうか。いま麻生さんのお話を聞きますと、コストについては積み地と揚げ地では二百円の差があるということなんでしょうが、しかし、それも含んでの炭価契約が従来なされてきていたと思うのです。そこで、それ以上にこの代金精算株式会社というか、電力用炭の販売株式会社が発足したと、これはまあこの法律によりますと、公布後三カ月以内というのでありますが、発足いたしまして、これが作用をするようになった暁は、どうも三十九年度契約どおりと、ゼロというわけにはいかないということは覚悟されていると思うのです。積み地について九州北海道はどの程度のことをいろいろ御協議になり、四十年度ないしそれ以降どれくらい見込んでおられますか。炭価増を引き受けざるを得ないだろう、それにしても限界がある。幾ら見込んでおりますか。
  43. 岡松成太郎

    参考人岡松成太郎君) 暫定期間につきましては、ただいま麻生さんから述べられましたようなあっせん案が出ましたわけで、その期間につきましては、先ほどもちょっと申し上げましたが、よほど石炭側で御協力を願わなければ計画量だけ石炭が集まらないとかいう危険がございますので、その点は石炭側において、官民ともにひとつ御協力をお願いを申し上げたいと思っております。精算会社が発足いたしました後におきましては、各炭鉱について一律三百円アップというのは調査団の示された案でございます。それは各地プールされまして、揚げ地、積み地ともに三百円アップという線が出ましたので、これについてはいろいろ御意見はございましたけれども北海道におきましては大手、中小の値差をなくしております。先ほど申しましたとおり、取引も、送状面取引でなく、改斥取引に改める等の手段を講じて、石炭側に御利益になるように取引条件も改めてきております。この機関が発足いたしますれば、所要の石炭確保していただけるのではないか、それを希望をいたしておる次第でございます。御協力を願うという気持ちでおります。
  44. 芦原義重

    参考人芦原義重君) ちょっといまの岡松社長につけ加えてお答えしますが、この販売会社が成立後の石炭側の代価というのはいま岡松さんが言ったように、調査団の報告できまっておりますが、われわれ九社の間でプールして、北海道が幾ら値上げにし、われわれのほうが幾ら値上げにするというのはこれから協議するわけであります。これは政府のほうからの油の関税還付の入り方、それから、各社の石炭の使い方等の数字を検討の上で確定するわけでありまして、まだきまっておりません。
  45. 藤田進

    藤田進君 いや、それはきまっておりませんが、私がお尋ねしているのは、まず発足するまでを従来どおりゼロと、それから、その他が三百円と、こういうんでしょう。そこで、積み地である北海道九州については、やがて発足すれば、いろいろプールなさるでしょうし、重油還付が約二十七億といわれても、それはある程度動くでしょうから、内部操作はある。それはあとでお伺いしますが、北海道九州としては相当経理的に検討されているはずなんで、今度人件費はどの程度は上げざるを得ないとか、あるいはその他の配当は一応いまのところコンスタントでしょうが、経費等々を見て、まあ何とか引き受けられる限度というのは、内部で操作の問題とは別途に、限界線というものがなきゃならぬはずであります。その点がどの程度の負担増に耐えられるのか。もう耐える余地はない、電力九社でプールして九州北海道について従来よりは炭価を上げなきゃいかんぞと、そうでなきゃ炭はやらんぞというようなことを、そうは言わないけれども、ちょっとほのめかすんですね、よろいがちらちらするんだな。まあそういうようなことを考え合わしてみて、そんな余地があるんだろうか、どうだろうか。発足した後にプールして、分け前はおまえのところは幾らになる、負担増年間それは三億になるか五億になるか知りませんが、そのくらいのことは電気事業の経理としてはたいした問題でないというものなのかどうか、それを聞いておるわけです。
  46. 赤羽善治

    参考人赤羽善治君) 先ほど芦原参考人から申し述べましたとおり、共販会社ができた後に九州電力がどの程度の値上げになるかという線はまだ出ておらないわけであります。
  47. 藤田進

    藤田進君 それはいいんです。
  48. 赤羽善治

    参考人赤羽善治君) 出ておらないから、どのくらいな実質負担増になるかという数字がまだ出ていないわけであります。いずれにしても、負担増になるであろうということは考えております。極力経費の合理化につとめるとともに、どうしてもわれわれには、償却のほうを減らさざるを得ないのではないかと考えるわけでございます。九州電力は最近徐々に償却が増してきております。これの増し方が鈍るという姿が起こるかと思います。
  49. 向井長年

    ○向井長年君 それで、いま藤田君の質問は非常に答弁しにくいように思うのです、ぼくも。それはどうせ負担増がふえるけれども、その数字はどうかと言われると、各社間の配分をしなければ正確なものは出てこないと思うのですよ。それで、電力側が、植村あっせん案がたまたま出て、それをしぶしぶでも了解せざるを得なかった、こういうけれども、本来、この法案を国会でわれわれが通す場合には、少なくともそういう事態が数字の上に各社間であらわれて、その上でなければわれわれはこれを通すべきじゃないという考え方を私は持っているわけであります。ところが、大のみにしてこれは一応了解をして、これは細部の問題だ、こういうことになって、いま石炭側から言うならば、一日も早くこの法案を通してもらって早く実現したい、こういう強い要望を持っているし、電力側の方ではこれに対する配分を早急にきめなければならぬ、そうすれば、そう明日、あさってというわけにいかぬだろう、こういうことなのですが、いま了解事項の中にも、第二点にそういうことが言われておるのです。この問題について、少なくともこれは各社間の中で配分をし、それを決定するためにはどれくらいの日にちがかかるものですか、これはひとつ電力側にお聞きしたい。
  50. 芦原義重

    参考人芦原義重君) ちょっと私、連合会の事務当局の人によく聞いておりませんから、何日かかるかということははっきり御回答は申し上げられませんが、一週間や二週間ではちょっと数字が出ないと思っております。
  51. 向井長年

    ○向井長年君 何月くらいかかるのですか。三カ月くらいかかりますか。
  52. 芦原義重

    参考人芦原義重君) いや、三カ月はかからぬと思いますが、これは各社の来年の電力の需用計画はもうできております。それに基づいて各社やっぱり集めて数字を調整していかなければいかぬわけですから、そう簡単にすぐ三、四日でというわけにはとてもいきません。過去の例を見ましても、こういう例は一カ月以上、去年などは二カ月たしかかかったと思うのです。
  53. 向井長年

    ○向井長年君 じゃ、最低二カ月から三カ月かかるということに了解してよろしいですか。
  54. 芦原義重

    参考人芦原義重君) そこはちょっと確答は申し上げられませんが、昨年は約三カ月くらいかかりました。
  55. 藤田進

    藤田進君 私、お尋ねしておりましたポイントは、どういう配分になるか、それは作業してみなければわからない、けれども、現状の会社負担能力というものは把握されていなければならぬ、社長なんですから。負担のもう余力が全然ないとも言い、また、ふりかかってくればそいつはのもうというような、まことに弾力性、美しく言えば弾力性の幅が大き過ぎるように思うのです。それは償却を減すのだとか何とかおっしゃいますが、どうですか、これが石炭問題が一つ理由になって、電気事業労働者に相当の産業間の格差もあるわけですが、それの是正、あるいはいま言われている春闘とか基準賃金の改定とかいう、いわば会社から見れば負担増、これをやはり理由として、それは上げるわけにいかなくなった、思ったよりは少なくなったという、いわば一連の石炭のしわ寄せというのが社内の皆さんの擁しておられる従業員電気労働者にしわ寄せのこないようにできますか。ある程度はそれはもう覚悟してもらわなければならぬというのでしょうか、どうでしょう。三人は会社が違うわけですから、同じ内容というわけにはいきますまいけれども
  56. 芦原義重

    参考人芦原義重君) 私のほうでちょっと概算してみますと、石炭とか油という私のほうの燃料は、これはフルに電力コストにかかるものであります。それから、電力以外の、一般の企業電力というものは、原料を加工いたしますと生産品にフルにかからぬ。影響は、燃料の値上げがそのままフルに製品コストにはかからない、電力はフルにかかる。そういう不利な特殊の性格を持っております。でありますので、私のほうでこの間のあっせん案で政府があのとおりの還付を出していただくとして、約コストで〇・五くらいは影響すると思います。これはまあ私のほうの会社だけの計算でありますが、〇・五%くらい電力コストがかかるということであります。
  57. 藤田進

    藤田進君 だから、賃上げに影響するのですか、しないのですか。
  58. 芦原義重

    参考人芦原義重君) 賃金は電力コストのいろいろな構成の上でできておるものでありますから、直ちにこれが賃上げに影響するとかせぬとかということは、まあ人件費がコストの中で六〇%も七〇%も持っておられるような企業でありましたら非常に関係があると思いますが、われわれのほうでは、いま現在のところはそこまでは考えておりません。
  59. 藤田進

    藤田進君 北海道はどうです。
  60. 岡松成太郎

    参考人岡松成太郎君) 私のほうの会社の経理と申しますか、状況については先ほど御答弁申し上げましたが、まあいろいろ経費の節減、特に修繕費というものは、修繕費率というものからいいますと、全国で最低のところに押えて、それを社内留保して償却に充てておるという次第でございます。それでも、先ほど申し上げましたが、三十六年においては定額償却において一六五%、三十七年は一五一%、三十八年は一三一%、三十九年上期は一一七%というように、だんだん償却率は下がってきております。しかし、三十九年上期でも一一七%、定額に対してしておりますから、四十年度において定額償却ができないという事態にはならないと考えます。ただ、おっしゃったとおり、いま問題になっております産業格差間の賃金の是正の問題、それから、これからいま出ております春闘による賃金改定の問題等にそれらがどういうふうになってまいりますか、その点の見通しをいまつけるわけにもいきませんので、的確なことはわからないというように申し上げるよりしかたがないのでありますが、まあ四十年に関する限りは何とかやれる。別にそのために賃金をカットするというような——先ほど申し上げましたような合理化はやっておりますけれども、賃金はどうの、そういうことはいま考えておらないと申し上げていいと思います。
  61. 藤田進

    藤田進君 九州は。
  62. 赤羽善治

    参考人赤羽善治君) 九州におきましても、かりに三百円揚げ地も積み地も同じで上げるということ、これは数字がはっきり出てまいりますが、この場合は、九州電力の総経費に対して約一%強の負担増になるわけでございます。そういう負担増になれば、これは非常にたいへんだと考えまして、先ほど申し上げましたように、積みと揚げとの間の調整措置のとれるようなことをやっていただきたいということを、答申案が出たときから考えておったわけでございますが、今回のこの販売会社ができますと、その調整がとられるということに期待を持ちまして、もちろん暫定的に北海道九州はゼロにしておいたからそのままで通るとは思っておりませんが、負担増は減るものと、おそらく〇・何%というところに落ちつくのではないか。〇・何%程度ならば、はっきりここで賃金に響くとか響かないとかはお答えできませんが、どちらかといえば、賃金には響かせずに処理ができる範囲ではないかと考えております。
  63. 藤田進

    藤田進君 副会長である芦原参考人にお伺いしたほうが適当かと思いますが、先ほど希望せられました時限立法ということについて、御期待のほどを承りたいのであります。この時限立法は、諸般事情から見られて、何年ということが希望の期間になるのか、これが一つであります。あわせて、重油ボイラー規制法についての考え方がどうか、これとの関係でどういう考えをお持ちなのか。これはずっと継続すべきだという考えなのか、まずこの二点を伺います。
  64. 芦原義重

    参考人芦原義重君) 最初の時限立法は、私たちは、一昨年できております法律にありますように、「四十六年三月三十一日までに廃止するものとする。」と、かように解釈いたしております。しかし、先ほど石炭側の麻生さんからお話がありましたように、いまのような自由経済の流通を価格の面で抑制するようないまの共販会社のやり方は、これがいい方法とは考えておりませんので、いい方法ができれば、その以内でも早くこの共販会社はやめていただきたい、かようなことを申し上げておるのです。これも法律できまっておりますが、ですから、その以内でも、一日も早くこれは廃止していただきたい、かようなことであります。
  65. 藤田進

    藤田進君 重油ボイラーは。
  66. 芦原義重

    参考人芦原義重君) 四十五年度末ということになっております。われわれの電力会社のほうでは、重油ボイラーの規制法については、これはもう一日も早く廃止していただきたいと思っております。
  67. 藤田進

    藤田進君 どうも大臣に出てもらわなければならないが、石炭局長に伺いますが、いまの時限立法というものは、事実そのときになれば石炭産業は隆々として立ち直ってきて、電力さんありがとうといったようなことになるならば、こんなものは法律で規定しなくとも自然消滅になるだろうとも思われる。あるいは原子力発電所も水力も、今度開発に重点を置くというのだから、石炭会社さんさようならということになるのかも、それもわかりませんが、しかし、それらを勘案して、いま御指摘の期間内で事実上この電力用炭販売会社というものにどういうふうなことを予想していますか。
  68. 井上亮

    政府委員(井上亮君) 電力用炭代金精算株式会社、あるいは今度の販売会社につきましては、一応先ほどお話がありました四十五年度末までというふうな時限立法にいたしているわけでございまして、これは四十五年度と申しますのは、この前の石炭鉱業調査団の答申にもございますように、四十二年度になればもはや安泰だというような考え方はとっておりません。やはり少なくとも四十五年度くらいまで石炭の労使が一生懸命にやはり努力し、国もまた積極的にこれを支援するという体制が必要じゃないかというような考え方で、一応しかし、だからといって、永久にそういう体制を考えているわけではございません。しかし、そういった考え方から、一応四十五年度末でこの法律はやめるというような考え方をとったわけでございます。
  69. 藤田進

    藤田進君 わかりました。まあ結果を見たいです。  それから、了解事項に、共販会社が極力早期に発足するよう協力は惜しまないけれども諸般の準備完了後とすることということがあるわけであります。特にこのことが書かれているという含みなんですけれども、妨害をしないけれども諸般の準備ということになれば、いままあ従来の経験からいうと三カ月ということが言われたわけでございます。で、この諸般の準備の中身なんですが、電力各社においては再三検討を進められたように報じられておりますが、まだ結論は出ていない。しかし、方向性としては、炭価値上げに伴う部内の処理として、これは相当、当該会社個別に言えば、関税の還付の多い中部その他ございましょうし、あるいは北海道九州のように全くゼロといったようなところもありましょうから、そこで、これ操作は——アジャストというものはどういう方向性を持たれているのか、芦原副会長さんにお伺いしてみたいと思う。たとえば、一応この共販会社プールしてもらいたいと、そのプールの際に二十七億当面予想されるとすれば、その還付というものを、全体の炭価値上げ、掛けるの量、そして全体の金額が出る、それから二十七億差し引いて、あとはみんなが同じように負担をしようじゃないかということになるのか、あるいは地元積み地においてはさらに苦しい事情があると、つまり他の経理事情からくることもファクターに入れてこれが操作をなさるのか、その辺の方向性はもうすでにきまっていなきゃならぬと思うんです。それらの方向性をお伺いしたい。
  70. 芦原義重

    参考人芦原義重君) いま藤田先生が御指摘になりましたように、二つあると思うんです。一つは、この関税還付の入り方が各社で石炭の購入量と比例いたしておりません。ですから、それを適正に調整するのが一つと、もう一つは、産炭地北海道九州電力を一律に上げるのは無理だと思っておりますので、それも調整する、その二つを調整するプールだと思っております。
  71. 藤田進

    藤田進君 これは石炭共販会社に今度重役を一人ふやそうというのですね、まあ改正案ですから。それに電力業界からも一人入れるといったような形も出てくるでしょうし、あるいは臨時措置法の炭価基準といったようなところからくるのか、まだ私どもつまびらかに承知いたしておりませんが、この辺のところは電力会社としてはどういう姿を希望せられますか。ぽんと幾ら負担増になるよということを投げかけてもらって、業界ではそれを部内でどう配分するか、しかじかかくかくに部内で負担増配分がきまりましたから、共販会社さんはそれぞれ炭価というものをきめていただきたいと、そしてそれぞれの電気事業会社共販会社の契約を結んでくれという、そういうやり方なのか、共販会社が主導権を持ち、これが主体になって炭価というものを九社についておきめになるという考え方なのか、そのきめる機関についての御希望はいかがでございますか。
  72. 芦原義重

    参考人芦原義重君) この石炭取引は非常に歴史的の事情もありますし、むずかしゅうございまして、御承知のように、昔は各石炭会社ごとじゃありません、その銘柄別に取引をしておった、しかも、それに合わせてわれわれの発電所を建設いたしているのであります。その歴史的の事情はどうしても尊重していただかなければいけないと思っておりますので、大綱はまあ共販会社あるいはお役所の指示を受けまして、われわれの電力会社のほうで自主的に石炭業肴と協議をして案をつくりましたものを尊重していただきたいという希望を持っております。
  73. 藤田進

    藤田進君 了解事項の第四項によりますと、三十九年度実績を基礎にして、これに値上がり分をこう積み上げて加算していくのだという考え方のようでございます。とすれば、いかがなんですか、三百円というものに、関税還付というものが当面ある、とすれば、まるまる三百円ではなくて、関税還付だけは差し引いた残りのものが値上がりというふうに解していいのじゃないだろうか。とすれば、計算すればわかるのでしょうが、およそ実質的炭価値上がりというものは電気事業でどのくらいになるものですか。
  74. 芦原義重

    参考人芦原義重君) 実質的には、いま御指摘になりましたように、各銘柄別に一定の値段じゃございません、各社別に。でありますから、三十九年度の実績に三百円上げますと、われわれ電力会社負担も、取引量に三百円掛けたものが負担増になります。でありますから、それから政府対策をして関税還付をしていただくものを差し引いたものが正味の負担増になります。それは全社の合計がさように出るわけであります。それを各社別にいかように調整するかということは、これは石炭の購入量、重油の購入量、販売の電力のキロワット・アワー等を想定して計算をしなければ出てこないわけであります。
  75. 藤田進

    藤田進君 いや、まあ私は大ざっぱな平均値で言っているわけで、大体四十年度については六十六億でしたか、この前石原参考人も、九電気事業における負担増は六十六億になると言っていました、四十年度について。それは四十一年になればまたふえるだろう。そのうち三十二億くらいだろうと私らも予想しておりましたが、何か二十七億くらいというめどを立てられた。ということになれば、少なくとも約四十億というものが負担増になるわけだ、四十億というものが、石炭銘柄は違っても、量から見ると。一体三百円マイナスの幾らくらいになるものだろうかという点が知りたいのですが、石炭局長でわかれば石炭局長から。
  76. 宮本惇

    政府委員(宮本惇君) 御承知のように、九電力で使います四十年度石炭は千九百万トンでございます。で、一律三百円アップということになりますと五十七億円、それから電発の若松、それから西日本共同火力、あるいは常磐共同火力の使います炭が約三百万トン、したがいまして、これが九億ということで、合わせますと約六十六億の負担増ということになるわけでございます。で、いまお話の二十七億というのがてん補される。という意味は、これは御承知のように、石炭調査団答申が出ましたときはすでに予算折衝の末期でございまして、現在ある制度のままで負担増対策をやるとすれば、いわゆる重油の関税還付という制度しかない。ところが、この制度は、御承知のように、四十年度電力側が使います重油の消費量というものが約千百万キロリットルというようにきまっております。その数字に特別還付が一キロリットル当たり二百三十円返るということで、この約千百万キロリットルにその二百三十円を掛けますと約二十七億という数字が出てくるわけでございます。したがいまして、制度を根本的に直す場合は別といたしまして、政府といたしましては、現在これしかないということで、先ほど申し上げましたように、全体の六十六億に対して二十七億ということになったわけでございます。四十一年度以降は、電力業界は、先般の御要望もございましたけれども、全額負担増ということに対して、できるだけもう少し制度を改めまして、四十一年度以降どうするかという問題はまた別途検討するということで、この間、木川田さんと植村さんの間でお話し合いがついて、電力業界としてもまあしぶしぶかと思いますが、納得をされたと、こういうことでございます。
  77. 藤田進

    藤田進君 いや、トン当たりどう響くかと言っておるのだ。言うたことを答えなければだめじゃないか、いつまでたっても。
  78. 宮本惇

    政府委員(宮本惇君) したがいまして、トン当たりは約百八十円負担増ということになるわけでございます。三百円アップに対し、百八十円の負担増でございます。つまり関税還付負担が軽くなる分を差し引きますと百八十円の負担増、こういうことになるわけでございます。
  79. 藤田進

    藤田進君 これは重油関係は直接的であろう関税還付その他の考慮も払って、自由主義経済を標榜するとすれば、公租公課なり等々の、あるいは重油規制法、あるいは水力の開発をどうするとか、もっと総合的なものが考えられているのかどうか、公益事業局長
  80. 宮本惇

    政府委員(宮本惇君) 総合的と申しますか、現在のこの時点におきます負担増対策というのは、先ほど申し上げましたように、この重油還付ということだけでございますが、たとえば将来といたしましては、われわれとして水力の問題あるいはそういうことをできるだけ考えて電力業界全体の負担をできるだけ軽くしようという気持ちではおります。ただ、現在の段階では、とりあえずはこの関税の還付ということだけしかない、こういうことになるわけであります。
  81. 藤田進

    藤田進君 政府に、あと大臣来てからやりたいと思いますが、当初質疑に入ります前段に申し上げたように、電力関係で多年苦労されている各社社長であるので、部内の実情はよく御承知かと思いますが、これはなかなか期待されているような期間に、時限法の五カ年で事態が好転するかといえば、私は必ずしもそう期待できないと思うのであります。国のエネルギー政策の根本というものがぐらついておりますから、業界自体としてもなかなかむずかしい点もあろうと思いますが、しかし、それぞれの社内における労働者に大きなしわ寄せがくるといったようなことが安易に行なわれるということは、私は問題があろうと思うのです。さなきだに現在非常な格差、低位にあるわけでありますから、十分それぞれの会社、また、副会長におかれては、九社についてもこれらの点を十分考慮された上でこういった問題の処理に当たられるよう強く希望いたして、電気関係につきましては私の質疑をまず終わりたいと思います。ありがとうございました。
  82. 向井長年

    ○向井長年君 私の質問しようとしたやつがほとんど藤田君がされましたので、あまり必要ないのですが、ただ、基本論として、特に冒頭藤田君も触れられましたが、特にこの自由主義社会で統制的な形をやらざるを得ない、こういう形で今回の場合に有沢答申に基づいて統制をし、価格等の決定がされたわけですが、これは本来何と考えても石炭産業はこれはやはり私企業である、基礎産業であっても私企業である、あるいは、また、電気事業はこれまた公営事業であるが、私企業である。私企業の範疇の中で政府が大きく助成をしなければならぬという形で、今回の赤字対策に対しましても一般会計で二百七十億、あるいは財政投融資で百七十億というような助成を政府はいま考えつつあるわけであります。そういう形でやるならば、本来、これはもうそろそろ国家管理的な方向を政府は打ち出しておるということを先般通産大臣にも私は指摘したんですが、したがって、そういう事態で一私企業にしわ寄せをしてくるという方向については、やはり現在の自由主義社会の中で大きな矛盾を起こしておるのでないか、こういう考え方を強く持つわけです。考え方によれば、そこまで政府が助成するとするならば、価格補給も助成をして、他の産業にそれに対してしわ寄せをしなくていいんじゃないか、こういう一つ考え方も成り立つわけなんですが、この点について特に参考人の方にお聞きしたいんですが、政府がみずから価格補給をするということはいけないものであるのかどうかということです。これは一つ芦原社長にお聞きしたいと思います。もう事実上政府は助成をしておるわけです。それが価格補給という形に政府が踏み切るならば、電力に対するしわ寄せがなくなるわけです。こういう点についてひとつどう考えるか、お聞きしたい。
  83. 芦原義重

    参考人芦原義重君) いま向井先生から指名がありましたのですが、これは石炭業界の問題で、お隣に麻生さんがいらっしゃるから、麻生さんから御回答がいいと思うのでありますが、私は、原則的には、やはり自由経済の原則に早く戻るべきだ、こういう変態の姿はあまり長く続けるべきではないと私は思っております。
  84. 向井長年

    ○向井長年君 それはまたあとで石炭のほうでお聞きしようと思っていたんですが、特に先ほどからいろいろ藤田君から質問がございましたが、先般、通産大臣に私がこの価格の値上げについての還付金が二十七億、その差額が三十億あまり、これに対して政府はどういう措置電力側に講じようとしておるのかという質問に対しまして、通産大臣は、これはもう企業努力をしてもらいたい、こういうことを言われておるわけです。その点は先ほど藤田君も触れましたけれども企業努力といってもいろいろなやり方がある。いままで相当電力合理化をし、企業努力をしてきておるように私たちはとっておるわけですが、少なくともこの問題は、今後陰に陽にやはり労働者の賃金その他労働条件にやはりかかってくるんでないかというわれわれ不安を持っておるわけです。この点についてそうではないと、何とか他の冗費節減とかその他でやり得るという考え方があるのかどうか、若干重複するかどうか知りませんが、再度お聞きしたいと思いますが。
  85. 岡松成太郎

    参考人岡松成太郎君) 岡松でございます。まあ一番経理が苦しいように思われる北海道電力について、先ほど藤田先生の御質問に対してはお答えをいたしたような次第でございます。まあ先ほど申しましたような次第で、将来のことはなかなかベースアップがどういうふうになるか、まあべースァップにいたしましても、われわれといたしましては、団体交渉を重ねまして、会社生産性の伸び以上には賃金は伸びないように交渉いたしておる次第でございますけれども、にもかかわらず、年々相当の近ごろは高い賃金改定を行なわれております。そういうような動向を見ませんと何とも言えないのですが、まあ賃金にしわ寄せをすることは、これは実際上組合の力もありまして、まあ可能といっても可能の限度がほんとうに限られておる。そういう苦しい事態になれば、これはやはり料金の改定でもやっていく以外に道はないのだというふうに、まあ率直に申せばそういうことになると思うのです。賃金にしわ寄せして石炭負担増対策をやるというわけにはなかなかいかぬという実情にあると存じておる次第でございます。それ以上のことはちょっと的確には申し上げられません。
  86. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 私から一問芦原参考人と、それから石炭局長に質問したいことは、長期契約は炭価の面で一本抜けたんだから、この契約についばもう御破算になったものと思う、そういうような意見参考人からありましたが、石炭局長からそうではないという話、これと関連して、四十一年度以降の炭価については別途でありますと、植村調停は別個でありますと、こういうように、意見が食い違っておったようでありますが、もう一回それをお聞きしておきたいと思うのですが、芦原参考人いかがでございましょうか。
  87. 芦原義重

    参考人芦原義重君) 私は、法的に考えて、この長期の問題につきましては、これは数量と価格というものが一般の契約取引基本だと思っております。数量もいろいろ変わってきますし、価格も変わってきますと、現在の時点ではこれは法的には義務がないと私は考えます。
  88. 井上亮

    政府委員(井上亮君) ただいま芦原社長が、法的には義務ないとおっしゃったわけですが、その点は私どもも全く同様に考えております。ただ、私先ほど申しましたのは、政府の方針としまして、やはり今後の石炭需要は、これは諸外国でも同じでございますが、やはり一般炭につきましては電力に強く依存せざるを得ないというような立場から、それから、また、同時に、エネルギー供給のセキュリティーの原則というような国の政策からいたしましても、今後ともにいわゆる需要の大宗としての電力に依存せざるを得ないというように考えておるわけでございます。これは先ほども申しましたように、この長期引き取りの約束ごとは、これは業界相互間で植村石炭鉱業審議会会長があっせんの労をとられましての紳士協定でございますから、これは政府がタッチしてというより、むしろ業界相互間のお約束ということになっております。その意味では法的な強制とか何とかという筋合いではもちろんございません。それは私は今後ともそういう姿でお願いしたい。で、芦原社長がおっしゃったように、価格との関係もあるからというお話で、その点では確かに従来の長期取引契約というのは千二百円ラインということでお話があったことは事実でございます。ただ、今回価格値上げに伴いまして、やはり政府もできる限りの負担増対策を講じておるわけでございますし、それから、同時に、従来、植村あっせんで長期取引契約を紳士協定をやっていただいた際にも、政府は、その長期引き取りに見合いまして長期引き取りをしていただくというような見地から、関税還付につきましても、現在行なわれております一般還付制度実施しておるわけでございますから、そういった意味合いからいたしましても、これは了解がちょっと違うようでございますが、そういうことであれば、私は、あらためて両業界のあっせんを、従来の経緯もありますから、植村会長にお願いしてやはりしていただくなり、政府といたしましては、いずれにいたしましても、第一次石炭鉱業調査団の答申、あるいは第二次答申の精神、そういう線からいいましても、これは政府みずから考えましても、やはりエネルギー政策として石炭は、特に一般炭につきましては電力にその供給を主体的にお願いせざるを得ない立場にありますので、御協力をお願いしたいというふうな考え方を持っておるわけでございます。
  89. 芦原義重

    参考人芦原義重君) 先ほど申し上げましたように、将来とも引き取りについて御協力を申し上げるという考えは変わっておりません。
  90. 小柳勇

    委員長小柳勇君) もう一度。さっき麻生さん並びに植田さんは、一日も早くこの法律をあげてもらいたいという話がございましたが、芦原さん並びに電力業界の御意見を聞いておりますと、植村あっせん案が出たが、これは四十年度の分であるという理解の上で、これをまあいやではあるけれども受けざるを得なかったと、こういうような印象を受けるわけです。そう無理して——これがあと四十一年度努力すると書いてありますが、それは藤田委員の質問に対する石炭局長の答弁でも、努力の範囲を出ない。そうしますと、この法律をあげまして、あと電力業界石炭業界の間に相当の考え方のギャップが出るような印象がしてならぬのですが、もう一度芦原参考人から御意見を聞きたいと思います。
  91. 芦原義重

    参考人芦原義重君) もちろん最初に申し上げましたように、この内容についてはわれわれ不満でございます。しかし、大局的見地から、この四十年度につきましては、これはやらざるを得ませんので承諾を申し上げたわけであります。ただ、この法律は早く通していただきましても、実際これの運用に入るまでの間にいろいろむずかしいまあ歴史的の事情がありますので、よくそれを手落ちないように準備万端整えてから発足していただきたいということを申し上げておるわけです。
  92. 藤田進

    藤田進君 いまの点で、宮本公益事業局長は、長期契約についての解釈はどう考えておりますか。
  93. 宮本惇

    政府委員(宮本惇君) まあ法律的に申し上げれば、先ほど芦原参考人、あるいは石炭局長の言われたように、法律的に義務あるなしの問題は私はないと思いますが、しかし、公益事業局の立場からいいますと、やはり通産省の内部部局といたしまして、やはり一般炭の供給は今後ますます電力会社に依存をするということになれば、政府としては最大の負担増対策をやる一方、やはり電力業界も大きな立場から、石炭業界として安心しておられるという意味において長期引き取り協力をしていただきたいという立場でございます。
  94. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 九電の社長さんにお尋ねしますが、十日ほど前に、若松の電源開発の発電所がありますね、あそこでお尋ねしたわけですが、あなたのほうで、電源開発からお買いになる料金と、それから中国電力でお買いになる料金と、コストですね、あなたのほうが高く買っている。値段が高い、キロワット当たりね。なるほど関門海峡はあるけれども、ああいうところはたいした影響ないわけですね、送電において。別に中国電力といっても、広島まで持ってこなければならぬわけはないわけですから、下関ですぐ使うわけですからね。どういうわけであなたのところで高く買っているのか、ふしぎなんです。これは櫻内さんにもお尋ねしたかったわけですが、櫻内さんおいでになっておりませんが、これは宮本さん、あなたにもお聞きしますが、あれはどういうわけで国の金で電源開発をやっていてコストが違うのですか。これはふしぎにたえないわけです。こちらのほうでは高いのです、中国のほうは安いのです、電源開発でお売りになっている料金がですね。ですから、なぜあなたのほうでは高くお買いにならなければならぬか、中国のほうではなぜ安いか、海はあるけれども、送電ロスなど生ずるような距離がないのですよ、私はふしぎでならぬわけです。その差をなぜつけてあなたのほうは高く買っておるかということです。中国電力については宮本さんにお尋ねいたします。
  95. 宮本惇

    政府委員(宮本惇君) 電発の若松火力は、御承知のように、中国と九州にそれぞれ半分ずつ売っているわけでございます。で、その売っている値段が、いま聞きましたところ、九州電力に二円九十九銭、中国電力にたしか十銭高い三円九銭で売っておるわけでございますが、これは御承知のように、引き取り場所の関係で、中国の場合は、電発は若松火力から送る——何と申しますか、普通のことばで輸送代を加味してそれだけの差があるということだと思います。ですから、実質的には同じではないかと考えます。
  96. 赤羽善治

    参考人赤羽善治君) 九州電力が決して原価を高く買っているわけではございません。いま局長さんから御指摘のありましたとおりでございまして、御了解を願いたいと思います。
  97. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 局長、送電費、あなた輸送料ということばを使ったが、下関へ二島から送る距離と博多へ送る距離とどっちが近いと思っているの。博多のほうが遠いでしょう。そういうことになるんですよ。中国電力で広島まで持ってくる筋合いのものでないのですから、もう一度調べて答弁しなさい。そういうのは理屈になりませんよ。
  98. 宮本惇

    政府委員(宮本惇君) ちょっと手元にデータを持っておりませんが、これはたしかそういう費用を計算いたしましてやっているはずでございます。いますぐ調べますが、数量も半々であり、値段もたしか同じ基礎の上に立ってやっておるはずでございます。ちょっといま至急調べさして御答弁申し上げたいと思います。
  99. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 もう一つ尋ねますが、いま申し上げました火力発電所では、石炭で発電するとカロリーに対して四十三銭、油に対してはこれは六十二銭とか三銭で二十銭も油のほうが高くつく。石炭がいま困っているというとき、なぜ石炭を安くたいているのか。
  100. 宮本惇

    政府委員(宮本惇君) これは電発の若松火力ができましたときのいきさつからだと思いますが、当時はいわば低品位炭の利用という形で、確かにカロリー当たり四十二銭という、いまから考えますと非常に安い値段で、そういうことであの電発若松火力はスタートしたわけでございます。したがいまして、今度の炭価値上げの場合に、低品位炭ではございますけれども、ある程度の値上げはしなきゃいけないということはもちろん覚悟はいたしておりますが、しかし、あそこの発電所そのものの、何と申しますか、そういう非常に安い低品位炭を前提として成り立っておるということでございますので、いわば歴史的事情によるものである。御承知のように、確かに九州の場合は重油がその低品位炭に比べれば、はるかに高いわけで、現在の電発の経理、若松火力に関する限りは、かなり赤字的な状態にある、こういうことでございます。
  101. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 できた当時のいきさつがあっても、私は、今日、十日か二週間前の話をしているのです。今度の石炭電力の構想がおとといまとまったというふうに新聞にも出ているし、私も聞きましたが、北海道九州は四月一日から答申案どおり上がるわけですか。
  102. 宮本惇

    政府委員(宮本惇君) これは先般の植村あっせん案の内容にもございますように、会社が発足するまでの間は北海道九州は据え置きということで、現に昨日の石炭鉱業審議会の需給部会でも、会社が発足するまでの間は九州北海道電力は三十九年度価格に据え置きということで、そういう告示が出ておるわけでございます。したがいまして、この会社が発足いたしまして、いわゆるプール計算がスタートするまでの間は据え置きでいくということになったわけでございます。
  103. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 そうすると、あの法律が全国的に一律に発足すれば適用するものと考えておったが、植村甲午郎さんが出てきてあっせんすれば法律がゆがめられて、北海道九州は何月何日から、あるいは青森県から下関までは違うということになるの。おかしいでしょう、あの法律というものは全部規制する法律でしょう。
  104. 宮本惇

    政府委員(宮本惇君) 結局、これはすでに御論議が出たと思いますが、先ほど来申し上げておりますように、今度の三百円アップに伴ういわゆる負担増対策というのは、現在の形ではその関税の還付しかないわけでございます。したがいまして、関税の還付をそのまま適用いたしますと、御承知のように、九州電力北海道電力には還付がございません。したがいまして、この法律ができますことによって、その返るべき二十七億円の金を電力会社の間で適当にプールいたしまして、しかも、その中には現実に重油をたいておらない北海道電力あるいは九州電力負担を軽くするという配慮のもとにこの電力用炭販売会社の構想ができたわけでございます。したがいまして、この法律ができません間は、もし一律三百円アップ、全部三百上げますと、ほかの中央の揚げ地の各社は別といたしまして、返るべき金がないわけでございます。したがいまして、この辺の九州北海道の値上げをしないというのは、これはいろいろな配慮によるものと思いますが、この法律が通ればプールによってある程度返ってくる、関税の金が内部で平均されましていくのですが、それまでの間は、おそらく暫定措置といたしまして、九州北海道は関税の還付がないから、とりあえず上げないでおこう、こういう配慮であると、こういうふうに考えております。
  105. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 御多忙中のところを参考人が来ておりますので、政府にお尋ねする時間はきょうでなく、今度あらためてやりますが、石炭局長、いまの公益事業局長のような話なんですか。
  106. 井上亮

    政府委員(井上亮君) 炭価の値上げにつきましては四月一日から、電力につきましては、揚げ地の電力会社につきまして三百円、九州北海道につきましては、この間御審議いただいております電力用炭販売会社のこの法律が通りまして成立するまでの間は、暫定措置として現行の価格九州北海道は据え置きということに一応植村あっせんによりまして両業界の話がきまったわけでございます。政府におきましてはその線を受けまして、一両日前に石炭鉱業審議会の需給部会を開きまして正式に決定をし、四月一日からそのように実施する告示を出したわけでございます。その九州北海道について四月一日から暫定措置としてしばらくゼロということにいたしたわけですが、これは私率直に申しまして、石炭鉱業第二次調査団の答申を受けまして、政府としましては、鋭意答申の線を尊重しまして、この線に沿って石炭政策実施したいという、私、石炭局長立場から考えまして、はなはだ残念ではございますけれども、しかし、これは電力業界と今後長く円満なおつき合いをし、さらには、今後いろいろ引き取り問題その他についても協力をいただかなければいかぬというような立場からいたしまして、私は、この際としてやむを得ないというふうに判断いたしてさような措置決定いたしたわけでございます。
  107. 向井長年

    ○向井長年君 通産大臣一言お聞きしておきたいのですが、先ほどから電力のほうの参考人からいろいろ御意見を聞きますと、今回のこの植村あっせん案に対しまして、電力側は四十年度という形で一応了解をしておる、したがって、最後のところに、四十一年度においては軽減措置を講ずるように努力をする、つとめる、こういう形で書かれておるようですが、その点、石炭局長に先ほどお聞きしますと、これはあくまでも努力するのだ、見通しはあるのかと言えば、見通しはありますと、こういう答弁をしておりますが、通産大臣として、これは四十一年度以降の問題については、あくまでも軽減するという形の努力だけではなくて、見通しはあるのか、この点が今回の問題として非常に重要になってくると思うのです。先ほど委員長からもそういう質問がございましたが、特に電力側は四十年度という形で了解してこのあっせん案を受けておるようです。四十一年度以降の問題については努力、つとめるというかっこうでしているが、この点について、通産大臣として軽減措置を講ずる一つの見通し、この問題を明確に答弁していただきたい。
  108. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 今回の措置は、申し上げるまでもなく、答申に伴い、炭価引き上げ措置を講じた結果、その負担増をいかにするか、こういうことであったと思うのであります。ただいまも局長が言われるように、石炭局の立場からいうと不満の点もございましたが、いつまでもこれを放置するわけにいかないのでありますから、植村案を、これを通産省としても納得をする、こういう段階を迎えました。その了承する段階で、第三の「炭価引上げに伴なう昭和四十一年度以降の負担増に対しては、」云々ということに相なったのでございまして、このあっせん案が出た上におきましては、できるとかできないとかいうことは別といたしまして、四十一年度以降の負担増に対する軽減措置努力することは当然だと思います。しかして、これは相手がございまして、今回でも大蔵省との間で、もっとわれわれとしては電力会社に対する負担増を軽くしたいという考えもございましたが、何としても、すでに予算案の提案後でもあり、まあとりあえずこの関税還付の形でよかろうということに話が進んだわけでございます。こういうわけで、私としては、このあっせんを受けて四十一年度においては何とか対処していきたい、努力をしたい、こういうことでございます。
  109. 藤田進

    藤田進君 まあ政府とは、あとで阿部さん同様やりたいと思っているのですが、大臣が見えられる前に、石炭局長とのやりとりでは、努力だけか、結局、これが軽減することができるともう言い切っているのです。局長ができると言い切ってやれるものが大臣でやれない、それほどあなたは無力なのですか、どうなんです。努力するということは当場の逃げ口上かといったら、そうじゃないということになって、それは公租公課なり、あるいは水力開発では長期資金とか何とか、それはあり得るでしょうが、これは当場の逃げ口上かと言ったら、そうじゃないと言ってたのだけれども、大臣は、これは下げる見込みがある、四十一年度以降、ということが言えないのですか、まずお伺いしたい。
  110. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) これは私が通産の最高責任者でございまして、いまも率直に申し上げているとおり、これは相手があることでございますから、この際における正直な答弁は努力するというのがほんとうだと思うのであります。相手をしゃにむに押えつけるというわけではないので、これはやはり納得してもらわなければならない。その納得をまだ得てない前に、それは見通しとして、われわれとしては対処できると、こう思っても、相手があることでございますから、正直に申し上げたのでございます。
  111. 藤田進

    藤田進君 相手があることも承知で局長は言ったのだ。局長は取り消すの。ぼくは四十一年以降、石炭のほうが炭価が下げられるような、そんな甘い状態でないと思う。よって、生産、消費の両者の間においてどうにもこうにもならないから、植村さんという者が出てきて、そしてあっせんだの何だのというので了解事項がついた、これは公知のとおりでしょう。これは参考人の発言では、通産大臣も了承せられておるのでということでした。了承しているのでしょう。了承しておる以上は、結局生産者、消費者の間ではいかんともしがたいはけ口が、通産大臣、行政府にやってきておる。これについて、大臣が見えるまでは局長が議会に対しては政府委員であるからということで尋ねたところ、先ほど見込みがありますと、相手のあることは局長知っているはずなんだ。その辺はどうなんですか、通産省の中で意見が違うのですか。
  112. 井上亮

    政府委員(井上亮君) 私は、さっきの答弁を取り消すつもりはございません。ございませんが、私の申し上げました意味は、先ほども明確に申しましたように、あくまでもこれは率直に言えば、これは努力しますというお約束でございます。あくまでも努力しますというお約束。ただ、しかし、お約束、この了解事項のことばはそういうことになっている。これを受けた政府の態度としましては、最大限の努力をして、何とか希望をかなえるようにいたしますという意味で申し上げて、そこへ藤田先生がさらに追いかけて、見込みはどうだ、こうおっしゃいますから、最大限の努力をするからには見込みは持ってやります、そういう意味で申し上げたのであります。
  113. 藤田進

    藤田進君 下げる見込みがあると言わなかったの。休憩して速記を反訳してもらおう。
  114. 井上亮

    政府委員(井上亮君) 重ねて申しますが、あくまでもこれは行政府立場としては、これは大臣が御答弁されたとおりでございまして、やはり予算問題につきまして、翌年度の問題につきましていまできるという答弁はできません。しかし、最大限の努力をする約束を電力業界にいたしておるわけでございます。ですから、そういう意味で最大限の努力をいたします、見込みも、もちろんある見込みでやる、そういう決意でということでございます。
  115. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 議事進行。これは大臣はじめ、各局長さんとのやりとりはあとで委員会でやることにして、参考人の方もそれぞれの責任者ですから、もし参考人の方の問題についてお尋ねすることがなけばお帰りを願うとか、政府とのやりとりはあとでやることにしましよう。
  116. 藤田進

    藤田進君 だけど、言ったことを大臣で否定してしまうようなことでは、これをはっきりしておかなければ次に進めないから、そのあと進むようになったら、それはまたこっちのほうに来るのだ。大臣が来てそう言ったら、局長はそれは知らぬのだと言う。そんなことをごたごたしておいて——ぼくはよもやそんなことないと思っていた。その点だけはっきりしておいていただきたい。見込みはあると言ったんだろう。
  117. 井上亮

    政府委員(井上亮君) 最大限の努力をいたしますから、私はその意味で、これは見通しを持ってやるという趣旨でございます。
  118. 藤田進

    藤田進君 大臣はどうなんです。
  119. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) これはついこの一両日——二日前ですか、まだまる二日にもならぬと思うのです——に出たあっせん案ですから、それをいまここですぐ、ああそれは努力をして、その結果はできるのですと、こういうことを言うのは私は軽々だと思います。しかし、申し上げますと、この見通しということになれば、それは石炭局長なり公益事業局長が折衝するのです。そうして、いままでもこの負担増対策の折衝をしてきたのですから、あるいは見通しを聞かれれば、できますという判断を持っているかもしれない。これはそれぞれの判断があると思うのです。しかし、私が通産省の最高の責任者として、おのずからそこにお答えすべき点に相当な注意を払っていることは御了承願っていいと思うのです。
  120. 藤田進

    藤田進君 でたらめ言いなさんな。ここをどこだと思っている。院外の委員会と違う。国会に対して政府委員を任命しているのはあなた知っていますか、局長政府委員は大臣の方針の範囲内で答えることになっている。違いますか。大臣と局長というものが意思がそんなに違って、そんなことを言うのがおかしいというような、おかしいようなことを言っているのですから。もう一つは、参考人としても、通産大臣が中に入ってこの了解事項が成立したので、これを付して三十一日に受諾したと、いま提示されたばかりで——きのうですか、まだその付帯事項、了解事項というのはこれから検討するというようなあなたの言い方は、いまもらったばかりで、できるとかできぬとかまだ言うのが早いと言っているのでしょう、さっきの発言は。こんなことだから、石炭といい、電力といい、通産行政、エネルギー行政がこんとんとして低迷するのです。  そこで、石炭関係参考人にお伺いいたしますが、石炭のことは、率直に言って、私ども詳しくありません。ただ、現内閣のとっておられること並びに過去の経緯等から見て、麻生さん、石炭はもういつも戦前戦後を通じて赤字ばかりでもなかったと思うのです。こういう段階になって、私に言わしむれば、すべてと言っていいくらい経営の、特に経理面は国に依存せざるを得なくなってきたことはお認めになると思う。自由主義経済であれば、あなた方がどうしても炭価が引き合わなければ、三百円はおろか、五百円でも千円でも上げなければ売らないぞと、電気事業なり鉄鋼なり、あるいは交通機関、ガスにしても、需要のほうでは、いや、そんな高いものならひとつまきをたきますというか、あるいは重油というか原子力というか、これが自由主義なんでしょう。しかし、今日の段階では、基幹産業である石炭なり鉄鋼なり電力なり、公益事業であるガス事業等については、そのような手放しの自由主義が許されなくなってきていることは私も認める。であれば、規制があることも当然なんで、その規制がある以上、一定の限界性があるのです。よって、各国とも、石炭なり電力なり、あるいは鉄鋼については、資本主義の国であっても特別の施策を講じつつあるのが現状なんであります。そこで、石炭については、このように国の施策に、あるいは財政面等に依存しなければならなくなった、生産と消費の関係では話し合いがどうにも直接できない、立法を重ね重ね必要とするようになってきたということであれば、そんなに石炭が私企業、営利企業にしがみついておられるということが私はどうしてもふに落ちない。やがて海路のひよりがある。そこで、国のそういった施策の助成を待っておればやがて近く立ち上がれるという明確なめどがあるのですか。私は、石炭産業は、特にこのままでまいりますと、三百円はおろか、来年、再来年へと、相当困難な事態になるのじゃないか。それが多くの一あの夕張もそうですが、年々炭鉱保安にゆるみが出てくる。一挙にして数百名の命を失うという悲惨な状態を出してきておる。のみならず、現在働いている人たちも、その職場といい、まことに人間らしき環境にない、給料は低い、そんな条件で甘んじなければならぬ。あげくの果て、うまくいかなければ一方的に解雇されていく、ろくろく退職金ももらえない。そういう産業については、もう私企業、営利企業としての限界性はきていると思うのですが、いかがですか。まだ望みがありますか。この際、抜本的にその構造的な問題について検討されるときではないでしょうか、いかがなものですか。
  121. 麻生太賀吉

    参考人麻生太賀吉君) いま藤田さん、石炭のことは詳しくないとおっしゃったのですが、だいぶお詳しいようですが、根本的に考え方立場も違いますから、ここで議論してもしようがないと思いますが、私は、石炭が、いまのお話はどういうところをお考えになっているかわかりませんが、私企業としての限界がきたというお話は、私はそうでない、こう思うのであります、結論だけを申しますと。
  122. 藤田進

    藤田進君 それを説明してください。
  123. 麻生太賀吉

    参考人麻生太賀吉君) 説明は、大体根本的なものの考え方が違うのだからと思いますけれども、私どもやはりやっております石炭がいまのような状態であることは日本のためにも非常に悲しむべきだ、こういうふうに思っております。今度法律で通るでしょう総合エネルギー調査会、そこでこれから日本の総合エネルギーをどうするかということが問題になってくる、そのワク内において石炭の位置づけというものを私は明らかにしたいということに望みを持っているわけです。
  124. 藤田進

    藤田進君 やはり政府の施策に依存するということになるんですか。たとえば結局炭価政策ですね、何に期待されるか。
  125. 麻生太賀吉

    参考人麻生太賀吉君) 炭価政策というよりは、むしろ日本のエネルギーが油に置かれているわけですが、一体こういう状態に置いているところは世界各国にないわけです。そういうことに対して総合エネルギー調査会というものは相当のものを考えられるだろう、もちろん考えていただきたい、こういうふうに思っておりますという意味でございます。
  126. 藤田進

    藤田進君 あなたにはまあ院内ではよく会っていて、前代議士でもあり、おそらく自由主義、資本主義の信奉者というか、まあこれが是なりとされる方だと私は理解する、そうなんでしょう。そうだとすれば、重油でやるのがけしからぬ、それをあなたが言われること、これはけしからぬのです。重油でやったほうがいいと思えば重油でやるだろうし、それが自由主義でしょう、自由主義経済でしょう。あなた自身が矛盾を持っているじゃありませんか。私は、自由主義、資本主義で石炭なり基幹産業というものは無理だ、そう信じております。あなたの立場の違いというのは自由主義経済でしょう、そうなんでしょう。自由主義経済ならば、政府に対して、いまのように重油をたくとかということはけしからぬ、これはやはり政府の力で重油を規制して石炭をたくようにこれに期待しているあなた自身、矛盾を感じませんか。それは自由主義とも違うのじゃないですか、あなたの言っている。
  127. 植田勲

    参考人(植田勲君) 私、飛行機で福岡へどうしても行かけなればならぬ用事がございますので、失礼させていただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  128. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 御苦労さまでございました。ありがとうございました。
  129. 麻生太賀吉

    参考人麻生太賀吉君) いまの藤田委員のお話、私はあれが違うというお話でございますが、何も統制経済を私がいま謳歌しているわけでも決してございませんし、それから、先ほど申し上げるように、総合エネルギー対策の中における油をあげてくれとか、そういう問題とも違うと思います。私は、日本燃料政策からいって、すべて外国からものを買うのじゃなくて、ヨーロッパの例を見ても、国にあるものは何とかそれをもっていこうという考えをみんな持っております。私はそういうことを今度の政策で打ち出されるだろう、また、打ち出していただきたい、こう思っているという意味で申し上げているわけでございます。
  130. 藤田進

    藤田進君 それ自体が、やはりある種のコントロールを要求されているわけですよ。いわゆる純粋な自由主義の域をもうすでにあなた自身のセンスは出ているんです。しかし、自由主義でやはり企業をなさる以上、麻生炭砿が調子が悪ければ、その他の麻生工業でもうかっておれば、それだとどうするというようなことがあってしかるべきであって、われわれから見ると、結局どうも損するやつは国のほうへくる、あるいは他の産業部門へいくというようなこと、それで社内のほうは労働者に対する合理化だとか何だといって押えつける、いや、爆発するようになったり、まことに石炭経営者というのは身がってなものだというふうに思われてなりません。これ以上答弁はいただきませんが、そういう意見のあることは十分御承知おき願いたい。いずれこの法案も、試験的に私はあるいはやってみるのもよかろうと思いますから、まあいずれ遠からず成立することと思いますが、とにかく政界は、あるいはその他の国民は、いつまでもこんなことでついてくると思われないように、ものには限界がさらに明らかになってくるように思うので、会長さんとしても部内において、十分それらの世論も考えながらやっていただきたいことを要望しておきます。
  131. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  132. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 速記を起こして。  他に御発言もなければ、参考人に対する質疑は終了したものと認めます。  参考人方々には、長時間にわたり、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼申し上げます。
  133. 小柳勇

    委員長小柳勇君) それでは、引き続いて質疑を行ないます。質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  134. 藤田進

    藤田進君 通産大臣にお伺いしますが、これはもう統制経済じゃないでしょうか、このあり方というものは。石炭共販会社をつくって、そこで自由価格じゃないんですね、通産大臣炭価基準をきめる、そうしてこれを需要者に売りつけるという、この会社法を含めて、自由民主党の党是とされる自由主義の範疇からおよそ出ていると思う。参考人統制経済だと銘打っておりました。どういう御認識なんですか。
  135. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 参考人の方の御意向は、残念ながら私おらなかったので、どういうふうにおっしゃたのか、どうもわかりませんが、これは自由主義経済考え方だと思うのであります。私どもはこの程度に政府が介入をする、こういうような点につきましては、これは本来のこの自由主義というものとはそれは趣が異なっておると思いますが、これをもってして社会主義へ移行しつつあるとか、あるいは現に統制経済を全般的にやっているのだとかということでなく、やはり現時における必要上行なわれている施策であって、これは私が言うまでもなく、こういうような施策をとりつつ、石炭企業は四十二年には自主、自立の方向に向かっていくという、そういう方向があるわけでございますが、しかし、この現時点におけるいろいろな御見解が出るということは否定はいたしません。
  136. 藤田進

    藤田進君 社会主義はそんな冷たいものじゃないですよ。社会主義というものは、これは計画経済ですからね。ですから、これは統制経済なんですよ。戦時統制そのままなんですよ、これは。資本主義、自由主義の関係とは違うが云々と言われるが、これはこれをどちらに規定することをここできめようとは思いません。こういうやり方で、現通産大臣が将来への見通しというものがどうあるか、石炭産業が今回三百円ないし二百円、参考人によれば五百円はぜひ今回上げてもらいたかったということは、とりもなおさず、三百円では会社経営上むずかしい。まあ一挙に三百円を五百円というわけにいかないから、まあ逐次共販会社もできることだという期待があるに違いないと思う。昭和四十年度は三百円としても、四十一年度以降について、大手、中小を含めて、この炭価で維持していけると言明をいただきたい、できるものなら。できなければしょうがない。
  137. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 非常に専門的な見地に立っておられる方々が慎重に御検討の上で第一次の調査の報告もあり、また、さらに第二次の調査の報告もあったわけでございまして、私どもとしては、その答申に基づきまして、それを信頼しながら施策を進めているわけでございまして、ただいまお尋ねのこの程度の炭価引き上げでやっていけるかどうかということにつきましては、私は、それでやっていきたい、また、やっていかなければならぬ、こう思っています。
  138. 藤田進

    藤田進君 やっていきたい、やっていかなきゃならないが、どうだろうかというんです、結論は。
  139. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) これは言うまでもなく、炭価引き上げだけではなく、その他の施策もあることでございますから、総合的に判断して、やっていけると思います。
  140. 藤田進

    藤田進君 やっていける——その他の施策があればやっていけると私も思うんです。ただ、炭価そのものを押えていくということでは困難じゃないでしょうか、三百円だけで。
  141. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) それはそのとおりでございます。今回の答申でも、利子補給の施策もございますし、また、今後における低利の資金の提供なども、みな施策のうちに入っていると思います。
  142. 藤田進

    藤田進君 この法案審議するポイントはそこにあると思うんで。資本主義の矛盾ですね、いままでの施策の失敗のしわ寄せがこんなことになった。それは櫻内通産大臣は終戦後ずっとじゃないですから、あなただけの責任じゃないけれども、それはそれとして、したがって、今後の施策としては、三百円今回上げた、原料炭については二百円にした、しかし、炭価政策のみならず、利子補給等々、その他の施策を講じて四十一年度以降もこの炭価は維持するようにいたしますと、こういうことでございますか。
  143. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) そのとおりでございます。
  144. 藤田進

    藤田進君 そういうことがはっきりすれば、私はきわめて満足であります。この点はただ結果だけ論じてみても、炭鉱の多くの労働者、これはむしろ年々減員になる可能性があるのじゃないだろうか。それは労働条件において、かりに他産業よりある程度上回っていても、危険性というその他の環境や、子弟の教育等々から見れば、一般的に見てきわめて不利な環境にあるんです。とすれば、石炭労働者へのしわ寄せということがきわめて顕著になってくる。この炭価の据え置きその他の施策が十分伴いませんというと、結局石炭労働者にしわ寄せがくる。そのことは労働者の募集難にもおちいるという悪循環におちいると思う。その点はそのような労働者にしわ寄せのないということの前提の上で炭価維持をはかるということでなければならぬと思います。この点もあわせてお答えいただきたい。
  145. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 藤田委員の御心配になるように、施策のよろしきを得なければ悪循環を来たすことは、私もそういう見通しを持っております。したがいまして、労働者対策などにつきましては十分配慮すべきでございまして、今回の答申に伴う施策ではございますが、まだ欠けておる点もあると思います。年金制度なんかについては今回間に合わなかったような次第でありますから、これらについては次年度において具体化を、これは私のほうから労働省等に要望する点であろうと思いますが、そういう点も補いつつ努力をしなければならないと思います。
  146. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 宮本さん、この次のこの法案審議をする委員会までに二、三の資料をお願いしておきたいんですが、藤田先生の御意見を聞くと、石炭がたいへん国民のお世話になっておるようなお話なんで、私は石炭関係の出身者ですから、たいへん申しわけなく思っているんですが、しかし、その反面、相当安い石炭を電源開発で売りたたきというか、買いたたきというか、安く購入して、そうして電気会社が高く——電源開発では市販ができぬものですから、高く買っておるわけです。北海道とか九州とか、油よりずっと安いコスト石炭を買っておるわけですよ。さっき二島発電所のことなんかを聞いてもわからぬから、十分調べて、石炭の場合は、特に北海道九州、それから中部とかあるいは関西、東京、こういうところの、国の金で水力発電所を起こして安く買って高く市販しておるのですよ。全部の電源開発で幾らで売って、電源開発から買った会社で幾らで市販しておるか、全部の九社の資料をひとつ出していただきたい。
  147. 宮本惇

    政府委員(宮本惇君) 資料を出します。
  148. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 他に御発言もなければ、本日はこの程度にいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時二十一分散会