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藤田進君 きょうは
電力関係の団体である
電気事業連合会としての代表をお招きしておりませんので、
審議を進めますのに私
どもとしても非常に不便な点もあるわけですが、共通の問題につきましては、特にどなたかお三人の中でお答えいただければ幸いだと思うのであります。
今回出されております
答申以来の
石炭政策を見ますと、本来、
自由主義経済を標榜され、これを
基本政策とされる現
内閣における
政策としては、私
どもそのまま受け取ることができない。この点については先ほど御指摘になりましたが、現時点で現
内閣においても、
労働政策——まあ保守党を与党に持っておる
政府ですから、
労働政策として相当抜本的、進歩的なものができないとしても、少なくとも
社会政策として行なうべき分野が、
経済政策の面でこのような
石炭産業については
統制経済の復活になってきている。そこで、私は、そういった
基本的問題をここでとやかくいたそうとは思いませんが、
政府とはやり合いたいと思う。だが、現状、
電力事業対
石炭産業との
関連を考えてみますに、
石炭の窮乏というものはあらゆる面に問題を提起いたしております。これはすでにきょうではなしに、相当以前から
政府の
助成補助政策というものが進められてきたのであります。ことに
当該産業に従事する
労働者への
対策、これも私
ども当然のことだと思うのであります。また、
産炭地域におけるこれが
政策も、これも不可欠の問題であると思うのであります。ところが、近時、世界なり
日本の
エネルギー源というものを考えてみると、
日本の
政府に、そのベースというもの、
基本というものがないことが問題であるけれ
ども、このままでは、
九州電力の
社長が指摘されるように、むしろ
需要と
供給のバランスという面に非常な心配があるように伺います。
石炭が
一体設備に対応する量が出てくるのかどうか、それが
安定性があるのかといったような
諸般の面を考えておりますときに、私は、もう根本的に
石炭産業というものについて確立すべき時期にすでにきている。
そこでお伺いいたすのでありますが、
石炭としてはそのような窮状を持っているので、私は
政策を必要としないというのではない。ところが、一方、これをそのまま
電気事業という
公益性の高い
産業にしわ寄せしていいものだろうかどうだろうか。
電気事業の
実態については、年々
伸び率も高いし、これに対応する水力は
コスト高になるということで、主として
火力に依存されるような趨向であります。その
火力も、現実にはキロワット・アワーに対する
コストから見ても、
重油専焼ということが最近は非常に
産業界においても期待されている。つまり
電気産業界においても期待されている。しかし、これは
重油ボイラー規制法の延長によって自由に選択することはできないということになり、そこで、
石炭火力を
電源開発会社とともにつくることに行政上するという場合になったときに、
石炭の単価が三百円の値上げだということになれば、第一に、私は、
電気産業に及ぼす
影響としては、はたして十二万
従業員が、なるほど
電気事業の
社長会はこのまま受け入れてまことにありがたいことだという
労働意欲がわき出るか、全く逆だと思うのであります。
電気事業の
合理化というものは、皆さんの
社長からの指令でしょうから、御存じだと思う。各
職場における
実態というものは、
合理化に
合理化を重ねてきて、まことに
近代産業といわれる
電気事業の
職場としてはふさわしくない
状態が出てきている。その他の施設の整備なり改良なりについても、まことに不行き届きである。いわんや、
労働条件においては、
合理化だ、
生産性の
向上だ、しかる後にこれに見合う
労働条の
向上であるというかけ声でやってきて、今日
既得権を漸次圧迫放棄させられて、
退職金については、
基本給の一〇〇%であったものがだんだんと九〇%になり、八〇%になり、経理上の
理由から圧縮されてきている。
基準賃金についても、他の
産業に比較して、その
年齢構成の高さ、
勤務年数のしたがって長さ、あるいはその他の
経験、
学歴等から見て相当高位にあるにかかわらず、先般
政府提出の
資料等からこれらを比較してみますと、結局
産業界における
基準労働賃金の順位というものは二十番目ないし二十五、六番目になり下がっている。しかし、いつの日かこれは
企業の
生産性との
関連において是正される、おそらく今回も
格差賃金の是正、他
産業に比べてかつての
状態から見ても、今日的比較においても相当な差額がある、これを何とか是正してもらいたいということは毎年出てきているが、ことしは
中央労働委員会にまでかつてない提訴ということになり、これが両者の協議という
調停案が出て、
会社も受諾なさったと私は聞いているのであります。こういう
産業の
事情を、その
設備あるいは一連の
合理化、あるいは
労働問題等から見て、唯々としてこういうことがなされるということ、
新聞報道によると、
電力業界は
負担増対策を、若干の
条件はついたけれ
ども、まるのみにこれを受諾されたというとこで、私は驚かざるを得ないのであります。これは幾ら
努力しても、これはしょせんどうにもならぬわい、ことに最近
中国電力においては、八億八千万という、
山口県営との
関係において、不当な、いわれもない金をとうとう
県会の圧力で出さざるを得ない、しかも、これは三年何カ月ということになりますと
年間二億、これでも赤字になる。この
石炭関係において
年間二十億くらいいま申し上げた
中国電力だけでも
負担増になることが一応
予想される。ところが、
生産地である
九州、
北海道において
炭価の増ということになれば、当然他社にしわ寄せという、いわば
炭価がかさんでくるでございましょう。こういうふうに考えてくると、
石炭という問題が、今度の
炭価増が大きなウエートになってまいります。そうして、さらに料金三%値下げということを言っておられたわけで、
需用家においては相当これを期待していたように思う。これが下げるほうがまず下げないで済んだということになれば、
需用家に対しては期待を裏切っただけのことでしょうが、いくいくは、この三百円というものが、今度出されている
法律から見ると、臨時
措置法の
通産大臣が
価格基準をきめるということになれば、自主的な皆さんの
努力の余地はない。
時限立法と言われても、そんなふうな声は全然国会内では出ておりませんよ。料金のほうは規定され、多くの原料である
燃料のほうは規定され、結局落ちつくところは、今日資本費が六〇%をこえていると聞きますが、
需要のわずかに二〇%足らずを占めるいわゆる人件費にしわ寄せされてくる。そこで、
労働者はこれに対していかんともしがたい。御承知のようなスト規制法ということで、憲法にかかわるようなここにストライキ制限法を
政府は押しつけている。こういう現状を
電気事業経営者が知らないはずはないと私は思う。
石炭産業の疲弊なり、これが
救済すべきことは当然
救済すべきでありますが、これが直ちにその
政策のしわ寄せというものを、そのまま結論的にいえば
電気産業労働者にこれをしわ寄せするということになることはもう明らかなんです。現在なっているのです。こういうことを経営者としてこれを三十一日にのまれたということは、私は非常に意外に思うわけであります。このままイージーゴーイングでいくと、
石炭鉱
業界は三百円じゃ困る、とりあえず今日の段階で五百円のアップにしてくれということを先般
参考人は言われている。これが一年もつのか二年もつのかという問いに対しては、いずれも明確な問いに対する答えはない。こういうことは
政府の
政策として私
どもはまことにふに落ちないのでありますが、これを受諾された経緯、どうにもならぬ
政府の圧力なら圧力と率直に言ってもらいたいし、その間の
事情をまずお伺いをいたしたいのであります。私が指摘いたしましたように、
電気事業に対しては、当然金は余っているし、将来料金値上げの予定はないという、そういう御
理由があるならば、また、それもお聞かせいただきたい。