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政府委員(中野正一君) いま公取の
委員長からも御答弁がありましたとおりでございまして、下請企業の健全な発展をはかるためには、そういう面で取り締まり体制を強化していくということがどうしても必要でございます。まずわれわれのほうとしては、公取の陣容をもう少ししっかり陣容をふやしてもらって、そうして手足をもう少し充実させていただいて、取り締まりを十分にやっていただきたい。また中小企業庁自身も、御
承知のように、昨年から全国で約八千の工場につきまして、これは簡単な書面
調査でございますが、主として支払い状況を中心として書面
調査をやって、そうしてそのうちで
法律違反の疑いの濃いものについては、それをさらに責任者を呼び出して、その地方の通産局で調べる、あるいはなかなか改善の道の簡単に見出だせないものについては、立ち入り検査をする、さらに
法律違反の疑いの相当濃いものについては、
公正取引委員会に
審査を請求するというような体制を、公取とも連絡をとりまして体制をつくってまいりました。ところが、これも非常に既存の通産局の陣容を動員してやっておりまして、これがなかなかうまくまいりません。それでも最近は非常に各通産局とも、ない陣容の中からこの立ち入り検査のほうへ相当陣容を向けております。しかしこれもぜひ定員をふやしていただきたいということを、今年度要求したのでありますが、一般の
行政職員については、一切増員を認めないという
内閣の大方針に従って、
公正取引委員会はいま法案を出しておりますが、これは特別の機関でございますので認められたのであります。そんなことでございまして、できるだけ通産局の現在の陣容の中でできるだけ取り締まり体制をやっていこう、こういうふうに
考えております。しかし、それとあわせて積極的な育成策も必要でありまして、一応いま
向井先生から御
指摘ありましたような問題以外に、一応われわれいまやりつつあり、また
考えておりますことは、まず第一が業種別の下請
関係の協議会等をつくりまして、そうして下請企業の近代化を推進するというようなことで、自動車
関係については御
承知かと思いますが、非常に順調に、いま自動車産業と部品工業、これについては取りきめがうまくいっております。ほかのおもな業種につきましても、そういうような形で親企業と今度は下請企業というものが業種別に
一つの協議会的なものをつくって、役所も中へ入ってこれの近代化を促進してまいりたい。それからできれば合理的な根拠に基づく標準的な約款を具体的につくるというふうなことにまで進めたいということを
考えております。
それから次は、これもいま御
指摘がありましたが、下請協同組合というようなものができているところとできていないところがありますが、全国相当ありますが、これが非常に弱体なものと、それから相当強力なものとございます。しかし山陽特殊製鋼の場合も、ごらんになりましたならばわかりますように、下請の組合がないために、たとえば商工中金あたりからすぐ融資を受けられないとか、それから親企業のほうと交渉する場合にも、なかなかそれがうまくいかない、あるいは山陽特殊製鋼だけにたよっておったのでは、もう仕事は減っておりますからだめなんで、ほかに受注先を転換せればいかぬというような場合に、役所なり県なりが、いま非常にあっせんに乗り出しておりますが、やはり組合等でやったほうがうまくいくというようなこともございまして、下請協同組合を積極的につくらしてその
組織化を推進しよう、こういうこともやっております。
それから、その際に、ちょっと御
指摘があったと思いますが、現在の組合法で団体協約制度というものがあるわけでございますが、なかなかこれが十分活用されておりませんので、こういうものも活用するように指導してまいりたい、これが第二番目でございます。
それから第三番目は、下請企業に対する資金繰りの円滑化を促進する、これは当然のことでございます。
それからその次に、系列診断、こういうことで、これは従来下請企業について、親との関連において集団診断というものを相当力を入れて御
承知のようにやっておりますが、診断等を通じて下請
関係を近代化させる、このときに必要があれば、技術的な指導というようなこともあわせて
考えたい。
次に、五番目には、下請企業の団地造成というようなことも、積極的にいま指導してやっております。それからさらに、先ほ
どもちょっと触れましたが、下請工業の技術向上のための指導、それからその次に、下請あっせん事業をひとつもう少し推進しようということで、これは御
承知のように、ことし全国で二カ所も
予算を取りまして、そうして現在名古屋に財団法人名古屋下請企業振興協会というものが五月十四日に、これは知事が会長になられまして、すでに財団法人として県が出資をして、これに国と県が補助金を出すという形で、下請あっせん機関をつくりたいという
予算がありまして、大阪でもすでに四月に財団法人大阪下請企業振興協会というものができております。これはまだ発足したばかりでありまして、これから仕事を始めるおけでございますが、地元でも非常に御熱心で、ほかの地方でもつくらしてくれという話がございますが、こういうものを積極的に今後育てていきたい、こういうふうなことを
考えておりまして、ただ先ほど御
指摘のありました団体協約制度の活用あるいは団体交渉、あるいはそれが親企業とうまくいかなかった場合の第三者的な調整機関といいますか、こういうものまで必要なのかどうか、そういう点も今後の下請小
委員会、例の中小企業政策
審議会の中にできておりますので、そういうところで十分検討していきたい。