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政府委員(
渡邊喜久造君)
昭和三十九年中の
公正取引委員会の
業務の概略につきまして、お手元に資料をお届けいたしましたが、そのうちおもな点につきまして御
説明申し上げます。
昭和三十九年の
公正取引委員会の
業務を振り返ってみますと、
物価総合安定
対策の一環としての違法な
価格協定の取り締まりの強化、硬直的
価格動向の
調査、不当な歩積み両建て預金の規制の方策の検討など、当
委員会といたしましては、前年に引き続き相当活発な活動を行なった年であったと
考えております。
まず、
昭和三十九年には、本
委員会におきまして御
審議いただきました私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律の
施行により、事務局に取引部及び札幌
地方事務所が
設置され、定員も十五名の増員となり、
公正取引委員会の活動もより充実したものとなりました。
次に私的独占禁止法の規定に基づく
業務といたしましては、まず国際契約等の届け出は六百三十一件にのぼり、前年に比較するとやや減少しておりますが、依然として届け出件数が多く、自由化の進展に対処するための技術導入が積極的に行なわれたものと見られます。会社の合併、営業譲り受けの届け出は、それぞれ九百二十一件、百七十七件となっており、前年に比較して若干減少しておりますが、私的独占禁止法上特に問題となるような合併等はございませんでした。
不公正な取引方法の指定に関する
業務といたしましては、従来から指定されていた新聞業に関する指定のうち景品の提供に関する
事項を不当景品数及び不当表示防止法の規定に基づく告示に切りかえ、差別対価、押し紙等の禁止を
内容とする指定を新たに行ないました。
また、数年来問題となっております不当な歩積み、両建てにつきましては、
昭和三十九年三月末現在及び同年九月末現在について
中小企業者を対象にその実態を把握するためのアンケート
調査を行ないましたが、必要があればいつでも特殊指定に踏み切れるようその具体案について検討を続けております。
私的独占禁止法の規定に基づく共同行為の認可につきましては、不況に対処するための共同行為として新たに本年六月末を期限としてPCP除草剤の出荷数量の制限に関する共同行為を認可したほか、
企業合理化のための共同行為として、従来認めていた合成染料、麻糸、綿とビスコース・スフとの混紡糸、溶解用鋼くず、ベアリングの各共同行為につきまして、それ、それ
期間延長の認可をいたしましたが、いずれも法定要件を満たすものと認めたものであります。
次に、私的独占禁止法違反被疑事件につきましては、
昭和三十九年中に百六十二件につきまして審査を行ない、そのうら審判手続を開始したものは二件であり、これは、鐘渕紡績ほか九社による再販売
価格協定事件と、日本郵船など外国海運業者を含む十七社による三重運賃制度設定事件であって、いずれも審判係属中であります。また、勧告を行なったものは十九件で、このうち
昭和三十九年中に勧告審決を行なったものは十六件であり、そのおもなものは、セロファン工業会による
価格協定事件、日本電池らによる
価格協定事件、日本水産による不公正取引事件等であります。なお、昭利三十八年に勧告し、
昭和三十九年に勧告審決を行なったものは八件あります。
次に、下請代金支払遅延等防止法の規定に基づく
業務といたしましては、下請代金の支払い
状況を中、心に二千九十二の親事業者を
調査し、支払い
改善の勧告を行なったもの十六件、
行政指導により支払いの
改善をはかったもの百七十五件でありました。
また、不当景品類及び不当表示防止法の規定に基づく
業務といたしましては、「新聞業における景品類の提供に関する
事項の制限」を告示し、また、悪質な表示を行なった宅地建物取引業者七名、精糖業者二名に対して排除命令を行なったほか、日本防虫剤工業会及び新聞発行業者等四百五十二名から申請のあった「防虫剤の表示に関する公正競争規約」及び「新聞業における景品類の提供の禁止に関する公正競争規約」をそれぞれ認定いたしました。
最後に私的独占禁止法の適用除外法に関する
業務のうち、おもなものにつきまして申し上げますと、
輸出入取引法の規定に基づく共同行為等の処理件数は百七十四件、
中小企業団体の組織に関する法律の規定に基づく共同行為等の処理件数は千八十三件、
環境衛生
関係営業の
運営の適正化に関する法律の規定に基づく共同行為の処理件数は十二件となっており、いずれも慎重に検討を加えた上、問題はないものと認められましたので、主務
大臣の協議等に応じました。このほか、
物価問題に関連しまして、硬直的
価格動向の
調査についても引き続き力を注いでおります。当
委員会といたしましては、今後とも私的独占禁止法等の厳正な運用によって、公正な競争秩序の確立をはかるとともに、一般
消費者の利益の保護に万全を期したいと
考えております。
なお、
昭和四十
年度の
予算案でございますが、本
国会に御
審議をお願いいたしております当
委員会関係の
予算は、総額二億五千九百二十五万五千円でありまして、
昭和三十九
年度に比校して三千七百十五万七千円の増額となっており、仙台
地方事務所の新設、定員十一名の増員がそのおもな
内容となっております。
今後当
委員会の
業務は、従来にも増して繁忙の度を加えるとともに、
重要性を増すものと
考えられますが、皆さま方の御支援を得まして、重責を果たしたいと思っておりますので、どうぞよろしく御指導御鞭撻のほどをお願いいたします。
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