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1965-03-25 第48回国会 参議院 社会労働委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年三月二十五日(木曜日)    午前十時十九分開会     —————————————    委員異動  三月二十四日     辞任         補欠選任      久保  等君     鈴木  強君  三月二十五日     辞任        補欠選任      鈴木  強君     久保  等君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         藤田藤太郎君     理 事                 鹿島 俊雄君                 杉山善太郎君     委 員                 亀井  光君                 川野 三暁君                 紅露 みつ君                 阿具根 登君                 小柳  勇君                 村尾 重雄君                 林   塩君    衆議院議員        発  議  者  田口 誠治君    国務大臣        労 働 大 臣  石田 博英君    政府委員        労働政務次官   始関 伊平君        労働大臣官房長  和田 勝美君        労働大臣官房会        計課長      岡部 實夫君        労働大臣官房労        働統計調査部長  大宮 五郎君        労働省労政局長  三治 重信君        労働省労働基準        局長       村上 茂利君        労働省労働基準        局労災補償部長  石黒 拓爾君        労働省婦人少年        局長       谷野 せつ君        労働省職業安定        局長       有馬 元治君        労働省職業安定        局失業対策部長  住  栄作君        労働省職業訓練        局長       松永 正男君    事務局側        常任委員会専門        員        中原 武夫君    説明員        労働省労働基準        局賃金部長    辻  英雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○駐留軍関係離職者等臨時措置法の一部を改正す  る法律案衆議院送付予備審査) ○労働問題に関する調査  (労働行政基本方針に関する件)  (昭和四十年度労働省関係予算に関する件)     —————————————
  2. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) ただいまから開会いたします。  委員異動についてお知らせいたします。三月二十四日、久保等君が委員辞任され、その補欠として鈴木強君が選任されました。     —————————————
  3. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 駐留軍関係離職者等臨時措置法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、発議者衆議院議員田口誠治君より提案理由説明を聴取いたします。
  4. 田口誠治

    衆議院議員田口誠治君) 私は、提案者代表いたしまして、駐留軍関係離職者等臨時措置法の一部を改正する法律案提案理由説明を申し上げます。  御承知のように、駐留軍労働者はきわめて雇用の不安定な立場に置かれております。一昨年、日米共同声明によって、米国のドル防衛戦略変更のために六千人の労働者が解雇されました。このような解雇の状況の中で、政府は、昨年六月二十六日の閣議において、これらの離職者については積極的に再雇用につとめると言明しておりましたが、その後再就職することのできた離職者はこのうちわずかに二千人を数えるにすぎなかったのであります。この例をほかにしましても、いままでの駐留軍離職者の再就職状況を見ますと、きわめて不安定な立場に置かれているのでありますが、その離職後の措置についても多分に不備な点が多いのであります。たとえば炭鉱離職者金属産業関係離職者に与えられている離職対策と比較いたしますと、その対策はきわめて不十分といわざるを得ないのであります。特に駐留軍離職者中高年齢層が多く、その再就職はきわめて困難な状況にありまして、これらの見地に立ちますとき、駐留軍関係離職者等につきましては、その就職対策をさらに積極的にする必要があると思うのであります。こういう理由から考えまして、われわれとしましては、現行法に一部の改正を加え、駐留軍関係離職者等の再就職を積極的にしたいと考えるものであります。  次に、この法律案の概要について説明を申し上げます。  まず、第一に、駐留軍関係離職者等意見代表する者がみずから中央駐留軍関係離職者等対策協議会会議において意見を述べることができることといたしまして、駐留軍関係離職者に対する国の施策の実施駐留軍関係離職者意見がなるべく反映するようはかりました。  次に、第二点としましては、すでに炭鉱離職者に対して行なわれております特別の就職指導と、その就職指導を受ける間に支給される就職促進手当制度駐留軍関係離職者にも実施することといたしまして、離職者の再就職の円滑な促進をはかることといたしました。  第三に、これもすでに炭鉱離職者金属鉱業等離職者に対しましては実施されておるのでございますが、駐留軍関係離職者を雇い入れる事業主に対しても、雇用奨励金の支給を行なうことにいたしまして、離職者の再就職促進をはかったわけでございます。  以上が本改正法案の概略の趣旨でありますが、この際、政府としましても、雇用主たる責任を痛感されまして、これら離職者を健全にして、安定した職場に再就職させるための措置促進し、生活の安定をはかることが肝要であろうと思うのであります。  何とぞ慎重審議の上、本改正案に御賛成くだされんことをお願いする次第であります。
  5. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 本日は、提案理由説明聴取のみにとどめておきます。     —————————————
  6. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 労働問題に関する調査議題といたします。  労働行政基本方針に関する件及び昭和四十年度労働省関係予算に関する件について調査を進めます。  御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  7. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 労働行政基本方針関連いたしまして、労使関係の諸問題について若干の質問をいたします。つきましては、大臣予算委員会とのかね合いもこれありというふうに承っておりますので、今日的な時点でどうしても大臣から承っておきたいということを先に御質問いたします。質問の柱としては、一般論的な労使関係の問題と、それから、中小零細企業における労使関係の問題と、それから、これは三十九年九月三十日の時点新潟地方激甚災害法適用を受けましたという過去の経緯もこれありまして、今日の質問の柱としては、激甚災害法適用地域における労使関係及び災害離職者保護措置について承っておきたいと、こう思うのであります。  そこで、質問の第一点でありまするが、一般論的な労使関係についてであります。これは端的にお尋ねするわけでありまするが、今日、地方自治体理事者と、一般論的ないわゆるその地域における、何と申しましょうか、職員労働組合とのいわゆる労使関係の問題と、それから、教育委員会教職員組合との労使関係あり方その他の問題と、それから、公社公団理事者公共企業体労働組合との関係、たとえば当事者能力ども含めまして、以上三点について一般論的に、社会通念からいって、なぜ私がこういう意味の質問を申し上げまするかというと、たとえば先般労働大臣所信表明と申しますか、あるいは四十年度の労働政策基本といいますか、その中にこういううたい文句がございます。大臣の言っておられることでありまするが、「労使関係の問題につきまして、最近労使の間において徐々に話し合いの空気が生じつつあることはまことに喜ばしいことでありますが、なお一部に相互不信が認められることは遺憾なことであります。」と、私もこの傾向と方向については一応是認いたしますけれども、なお一部には不信感があるんだ、不信感現象面である限りは、なぜそういう不信感があるかという原因にさかのぼって、帰納法的に十分それをお互いが検討していく必要があるんだということで、いま申し上げたような三つの点について、大臣は今日どういうふうな見解を持っておられるか、そういうことをお伺いするわけであります。
  8. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 一般的に申しまして、労使関係、それを数字であらわすといたしますと、労使関係紛争による労働稼働日数喪失という点でとらえてみますと、昭和二十七年ごろを頂点といたしまして、非常に平和的な解決の方向に向かっておることはたいへん喜ばしいことだと思っております。昭和二十七年におきましては、大体労使関係紛争による稼働日数喪失は、雇用労働者一人当たり一・〇六日くらいでありましたが、昭和三十九年には〇・一一日くらいになりまして、十分の一くらいになっているのであります。これはやはり労使の問題が話し合いによって、相互信頼の上で平和裏に解決されているという有力な証左だと思っておるのでありますが、しかしながら、なお先ほどお話のように、相互不信感が残っておって、それが円満な労使関係あり方を妨げておるということも事実であります。これについては、やはり制度的な問題もむろんございます。それから、現在までの経緯の間に生じましたこだわりというようなものもむろんあるだろうと思うのであります。私は、特にこの公務員あるいは公務員に準じる政府関係機関職員理事者との関係につきましては、一般的な民間の労使関係と同一の態度をもって処せられない要素もたくさんございますけれども、しかしながら、労使関係の処理は、労使間の話し合いによって当事者間で処理されるという原則労政のたてまえといたしまして、それとそのそれぞれの理事者との考えられておる条件との調和をはかっていく、制度的にはそういう方向で持っていきたい、そういうように考えておる次第でございます。したがって、政府関係機関当事者能力の問題につきましても、恒久的な対策としては、ILO関係法案に提出いたしております公務員制度審議会で御検討願い、要すれば法改正まで持っていくといたしましても、当面は、現在の法律制度の中で先ほどから申しました趣旨を生かし得るような合理的運営を最大限に考えるということによって処理してまいりたい、こう考えておる次第であります。
  9. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 私、具体的な問題として、たとえば地方自治体理事者職員労働組合との関係だとか、あるいは教育委員会教職員組合との関係だとか、ないしは公社公団理事者公共企業体労働組合との関係は、当事者能力をも含めて云々というお尋ねをしたわけでありまして、いま御回答がありましたが、要するに、これはうまくいっておるとかいないとかいう問題ではなくて、いみじくも大臣が指摘しておられるように、やはり全般の方向はさることながら、なお一部に相互不信が認められることは遺憾である、そういう点の対象になるかならないかということは、今後の労政の問題として、事象にあらわれる推移の中で、過去にはうまくいってなくても、将来はこれは双方が姿勢を正しながら、うまくいくいかぬという問題は今後の問題だと思いまするけれども、私は、氷が解けるごとく、そう簡単には雪解けにならないんだ。で、私の考え方では、たとえばILO九十八号条約に基づくところの団体交渉権というものは今日日本批准しておるはずでありまするけれども、それが名実とも完全実施が消化されてないんじゃないか、そういうことと、もう一つは、労働協約権を含むところの団体交渉権復元です。私は、この労働協約権を含むところの団体交渉権復元とか復活という点につきましては、大臣解承知のとおり、たとえば昭和二十三年の時点においてマッカーサーが書簡を出して、その当時、政令二〇一号によって、やはり従来あったところのこの公務員団体交渉権であるとか、ストライキも含めた団体行動権というものが、その時限でやはり剥奪をされておる、とにかく消されておるということから、自来、やはり政府機関なり、あるいは公共企業体なりの労使関係の中で、やはりこの話し合い労使対等原則の上に立ったある権利というものをお互いが身につけながら、やはりこれを十分確認していくことが必要である。それができない限りにおいては、たとえば団体交渉権であるとかスト権の奪還という問題が、やはり流れの中で起きてくることが必然じゃないか、そういうふうに考えております。しかし、それは昭和二十三年の時限でありまするけれども、それから今日まで動いた情勢の移り変わりの中で、やはり労使ともに十分そういう問題について、民主化方向の中で、民主主義成長発展の中で成長してきておると思います。したがいまして、今日的な時点では、やはりあくまでも労働協約権を含む団体交渉権復元というものが前提になってくることが、いわゆるたとえば政府機関政府関係労働者との労使関係、あるいは地方自治体理事者と、そして地方のたとえば公務員という性格の中にあっても、一般的な職員労働組合、また、教育委員会教職員組合との関係がやはりうまくいっていないという、そういう原因は、いま申し上げたような基本権的な面が十分肯定され、政治の面で消化されないとうまくいかないんじゃないか、そういうふうにとらえておるわけでございますが、これに関連して大臣の御所見を承っておきたいと思うわけであります。
  10. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 一般的なものの考え方として、一つのものの考え方として杉山さんのおっしゃったものの考え方というもの、私は賛成するとか賛成しないとかは別といたしまして、そういう考え方を私十分理解できると思うのでございます。ただ、九十八号条約は、御承知のとおり、公務員を除外しておりまするし、それから、各国の例を見ましても、公務員及び政府関係機関については、その条件その他が法令で保証されている。あるいは、また、それがその自治体あるいは国家なんかの予算的な関連、ひいては国民あるいは市民負担の問題、そういうようなところの関連におきましていろいろな制限、制約があるのが実情でございます。で、わが国におきましても、やはりそういう問題をもあわせ考慮しなければならない点がたくさんあると思うのであります。そういう公務員及び政府関係機関労使関係あり方というものは、そういう問題を含んで、将来の問題として御検討いただかなければならぬものと考えております。
  11. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 時間に限りがありますので、漸次質問を進めてまいりまするが、大臣承知のように、一月二十三日の時点ドライヤー委員長が、いわゆる調停案なるものを、政府並びに総評調停案という形で提示をされたわけであります。その限りにおいて、日本政府は、労働行政責任者である労働大臣も含めて、おおむねこれを了承されるという形でありまするが、その調停案の第三項に、たとえば批准だけではこれは足りず、相互信頼確立が必要である、その確立のためのイニシアチブは政府最高首脳部がまずとらなければならない、こういう項目関連をいたしまして、政府がやはり総評に対して定期会合などについて一つの働きかけといいますか、その呼びかけをしておられた。それに関連をいたしまして、今日的には、たとえば政府総評、また、相対的な問題として政府と同盟と、そういったような相関関係において、これは未来の問題ではありまするけれども、しかし、現象面でそういう今後の定期会合がスムーズに移行するような方向に段取りが運ばれているかどうか、そういったような問題について、ありていにひとつお伺いしたいと思うわけであります。
  12. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 御承知のごとく、一月二十三日のドライヤー提案政府はこれを受諾いたしました。そして、その提案に示された趣旨に沿いまして、政府のと申しますか、佐藤総理大臣発議に基づいて、ドライヤー提案に示されております定期会談開催をまず総評に対して申し入れたのであります。そして、それに対しまして、総評側から、定期会談に応ずるための条件として、数項目をあげて逆提案をいたしました。それに対する政府見解を申し述べ、その政府見解についてただいま総評側で御検討願っておる、こういう段階でございます。で、その段階で問題となっておりまするのは、いわゆる日教組文部大臣との直接の話し合い機会をどうするか。第二は、先ほど御議論になりました公務員労働基本権の問題をどう取り扱うか、こういう問題が明らかにされない限り応ぜられない、そういう強い表現でもないようでありますが、そういう考えが述べられ、それに対する政府考え方との間でいま話し合いが一面において進行しておるとも申せますが、他面においてとどまっておるとも言えるのであります。で、私どもドライヤー提案をこういうように理解しております。第一の問題については、その日教組文部大臣の問題を含めて、労使関係相互信頼を欠いておることを原因として生じておる幾つかの問題がある。その幾つかの問題を処理するためには、まず定期的な会談を開いて、そうしてそれに対して労使間の相互信頼関係を樹立する過程を通じて解決していくべきものだと考えておるのであります。  それから、第二の問題につきましては、これは公務員制度審議会において、近代国家近代工業国家たる日本の状態にふさわしいその国際的水準にあるべき労使関係公務員制度審議会で御検討願う、そういうふうな形で処理されることが望ましい、こういうふうに私どもは考えておるのでありまして、ただいまそういう意思表示を行ないつつ、さらにできるだけ近い機会において、もう一度定期会談開催を呼びかけてまいるつもりでおります。
  13. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 いま大臣の口から、たとえば政府、これは総理大臣政府機関代表でありますが、ドライヤー調停案に基づいて総評一つ定期会合についてサムシングを提案しておる。そういう関連の中で言うならば、総評は二月の九日に逆提案をされておる。まあこれは逆提案と言っていいかどうか、表現はともかくとして、一応五つの項目内容とするものを、官房長官なり労働大臣に、項目に書いてあることについて見解を求めてあるないは別として、渡されておる。その内容の中で一番の関心事焦点は、いま大臣もいみじくも言われたような公務員制度関係の中で、やはり基本権であるところのスト権団交権の問題が十分の時間をかけて、理性と英知をしぼってスムーズにこの問題について討議していく、そういう条件が保証されるかどうかというところにやはり焦点があると思われるのでありますが、やはりそれはひとつの大臣のものの考え方、とらえ方としては正常なとらえ方をしておるというふうに、いまの解明の中で私もよくわかるのであります。  そこで、もう一つお伺いしますし、また、私が、たとえばいまの時限でやはりこの労使関係について、労使関係がうまくいっている面と、それから、しかし、一般的に言って、遺憾ながら、やはりうまくいかぬ面があるのだが、一体そういうような問題について、うまくいかぬ現象がある限りにおいては、帰納弁証法的に、さかのぼってその根っこを、一体どこに原因があるか、どこに一つポイントがあるのかというふうに——私考えまするに、今日このILO条約批准の問題、あるいはそれに関連する国内法改正の問題は、すでに特別委員会が設置せられておりまするから、その内容についてこの委員会でどうこうとやかく申し上げるべき筋合いの問題ではないと思うのでありますけれども、そのあり方について、これは労使基本的な問題でありまするから、そうして、また、この総評提案の中にも、これは四項でありますけれども、こういううたい文句があります。ILO調停がこの話し合いの結果出てくる何らかの処置について国会に報告せられるべきであると言っている点からして、国会に提出されている関係法案については、政府自民党社会党との間で話し合って改正を行なうというふうに書いてあります。これは総評の五項目の中の第四番目に書いてある項目の一部であります。で、私は、このことをここでいま論議のまないたにのせて大臣意見をどうこうというふうに問うのではありませんけれども、要するに、この使用者労働者との二つの人格があって、共通国民経済なら国民経済を土台として話し合う場合に、やはりその人格も、名称が違うごとくに、一つ世界観なり哲学なり、もののとらえ方が違っておるわけです。しかし、共通の場で一つの問題を話し合う場合について、話し合い出発点として話し合う過程の中で、何かどこかで共通一致点とか、あるいはことばのあやで妥協というようなものがあって、一つの結論が得られないという場合について、双方が歩み寄って一つの互助の立場から一つの線が出てくる、いわゆるそれを最大公約数として折り合ったといったような問題が、たとえば双方で不満ではあったけれども、今日的な時点では、やむを得ず話し合いで言うべきことは言ったんだから、この辺で一つ最大公約数というものを妥協ポイント——線を引くべきであろう、こう言って、しかし、まあ政府機関にいたしましても、労働組合、たとえば総評なら総評、そういうものにいたしましても、あるいは政党、たとえば政権の与党である自民党さんにしても社会党にいたしましても、そういう高度の立場で、たとえばILOの問題や関連国内法の問題について、お互いが話し合った一つ妥結案調停案ができたと、そういった場合に、それが双方に常識的な——それが制度的、法律的とかいうこととは別の問題として、常識的に双方が確認をして、互いにとらるべき慣行に基づく形式で代表をすべき責任者一つの文書を取りかわして判を押したということであるならば、それらの背景につながるやはり組織の問題についてはいろいろなとらえ方をしましょうけれども、問題は、そういう約束事が、つまりその約束をされた時限と将来に向かって、時間をかけて段階的に、弾力的にそれが履行されるかどうかという問題が履行された場合については、まあしゃばでは腹八分と思ったとおりにはいかぬのだけれども、ここならここでがまんしていこう、こういうところから歩み寄りというものができて労使間というものはうまくいくのだ。それが逆の場合が出てきて、まあきめたけれどもお互いに家庭の事情があってうまくいかぬのだ、しかも、これはしようがないのだというようなことでやっていくというと、不信感というものは、そこから起こるしこりというものはなかなか抜けないのではないか。いみじくも私も申し上げるけれども、とにかく過去にこのILOの問題に関連して倉石・河野案というようなものがあった。そうしてそれが問題の国内関係法ILO八十七号条約の問題に関連する修正という一つ最大公約数的な意見が出たのだが、しかし、今日的にはそれが死児の年を数えるという立場で私は言うのじゃございませんけれども、その辺から一事が万事で、いわゆる労使関係というものがうまくいかないところの一つ事象が内在をしているのではないか。だから、これはだれがいい悪いということをここで飛躍的にむし返そうとか発展させようというようなことではないわけでありますが、おおむね労使関係に遺憾ながら不信感があるという現象をとらまえる限りにおいては、どこにそういう不信感が生ずる原因があるか、どこにそれをもみほぐしてなくしていく点があるのかということについて、私が言わんとするところ、あるいはお尋ねしているところについては、私の言い回しと私の顔色とを見て、大臣一つ労働行政の、言うならば船のかじとりとして、若干の所信というものをひとつお聞かせいただきたいというぐあいに思うわけであります。
  14. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 私は、いろいろな社会的立場、あるいは経済的立場、その中にはむろんそれぞれの立場対立点があると思うのであります。しかし、同時に、共通立場もあります。全然対立的立場ばかりで処理されるべき問題とは思わないのであります。ところが、どうも円満にいかない、お互いお互いの善意をそのまま受け取らないで、それぞれ裏を取りあい、あるいは力関係の勝敗と申しますか、そういうものにこだわる一番大きな原因は、私は、やっぱり接触が少な過ぎるところにあると思うのであります。それぞれが自分の立っている立場の中だけで暮らしてい過ぎると思うところに欠陥があると思います。そういう意味でドライヤー提案が、政府の最高責任者労働者側の最高責任者との定期的な会談というものを提案されたということも、これは非常なけっこうなことだと思いますし、これは単に政府及び政府関係機関と労組関係ということだけじゃなくて、民間においてもそういうものが定期的に具体的に行なわれることがまず第一に望ましい、こう存じます。  それから、いろいろな歴史的経過がございますので、そういう会合の進行の過程におきましては、初めからお互いが警戒し合ってものを言う、ここでうっかりものを言ったら、あとで責任をしょわされるぞというような姿勢の中でものを言い始めることよりは、もう少し自由な条件のもとから出発することがいいんじゃなかろうかと思います。ただ、それがだんだん進んでまいりまして、ある合意に達する。合意に達した場合においては、その合意に達したことについて、出席者は自分が代表する部分についてそれぞれ責任を持つ、これは先ほど杉山さんのおっしゃったことであります。それがやはり必要であろうと存じます。で、倉石・河野修正案の処理の責任がどこにあったか、あるいはそれがどういう約束であったかというようなことの議論は、これは別といたしまして、やはりああいう形態になったことは私も非常に遺憾だと思っております。今後労使関係話し合いで得られた結論というものは、先ほどからおっしゃいましたように、その会合に出た者が、それぞれ自分が代表して出た背後の団体に対して、内部に対して責任を持つということが前提でなければならないと存じます。  それから、総評の出されました五つの案の中で、国会に報告する云々という条項をとらえて、ILO案件について、事前に政府・与党及び社会党総評の間に話し合いをしてまとめた上で、議会に出すべきじゃないか、あるいは議会で処理すべきじゃないか、こういう御議論がありますが、それは私はむろんそういう話し合いが価値がないということを申し上げるのではなくして、そういう合意点の到達は、やはり議会の論議を通じてやっていただくのがいいんじゃないだろうか。これはまあ忌憚なく申しますと、倉石・河野提案というものがああいう経緯になりました一つ原因というものは、ありますものごとがきまり過ぎておって、議会の議論というものの関与する余地がなくなり過ぎているところに問題があるのじゃないだろうか。やはり合意点は議会の論争を通じ、質疑を通じて見出していくということが、事、法律案に関しては私は必要じゃないだろうかと考えておるのであります。で、定期的会合の運営については、いま申しましたように、始まりはできるだけ自由な雰囲気の中で始めて、拘束や負担を感ずることによって話し合い議題なり方法なりが制約を受けることのないようなところから始めてまいりたい。それが時間がかかるかもしれませんけれども相互不信感を除去する早い道ではなかろうかと私は考えておる次第であります。
  15. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 この点については、この程度で先へ進みますけれども、ただ一点聞いておきまするが、政府総評との定期会合、まあそれはやはり経過はたどっても、いずれそういう方向へいくというふうに私も期待もし、また、見守っておりますが、並行という形ではどうかと思いますが、とにかく同盟とでも、また、同盟のほうでもそのことを欲しておるのじゃないかと思いますが、その関係についてはどうなりまするか、その点についてちょっと。
  16. 石田博英

    国務大臣石田博英君) これはいま一番問題が総評傘下と政府との関係ということになっておりますので、総評との話し合いに重点を置いております。しかし、むろんこれが総評との間の話し合いが行なわれるようになりまするならば、同盟会議その他の政府関係機関との労働問題と関連のある労働団体と同じ席においてやるか別の席においてやるか、方法論は別といたしまして、定期的な会合を行なっていきたい、こう考えておる次第であります。
  17. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 それでは、激甚災害法適用地域における労使関係云々という問題でありますが、質問の柱として先ほどちょっと申し上げましたのでありますが、御承知のように、昨年、精密には三十九年六月十六日の時点で新潟に大地震が発生した。そういうことに関連して、やはり激甚災害法適用された。そういう中で、具体的には、この問題に関連いたしまして、三十九年九月三十日のこの社会労働委員会で、当時大臣もやはり大臣という位置づけにおられましたので、この社会労働委員会の場で具体的な問題として、北越製紙の問題と、それから昭和石油の問題を主として浮き彫りにしたわけでありますが、その後、今日なかなか——その当時急を要したわけでありますけれども、今後それがどういうふうに経過していくかという問題について、たとえば北越製紙は、当時従業員の数が二千五百名であったのであります。地震後の従業員は二千二百三十名ということになっております。したがいまして、その解雇者が百七十四名実は出たわけでありますが、この解雇者をめぐって、非常に当時係争があったわけでありまして、激甚災害法の二十五条の適用ども含めて、労使関係が、これは地震に便乗して、いわゆる四十年度以降における企業合理化というものを繰り上げて、やはり会社それ自体は激甚法の適用によって、融資の面については北海道開発銀行であるとか東北開発金融公庫から、平素ならばなかなか融資の道がつかないのだが、激甚災害法適用によって工場は前向きに再建する方向にあるのだが、しかし、この働いている労働者は、いわゆる合理化の先食いのしわ寄せを受ける、こういうようなことになるのだ。したがって、この地震という災害というものは、つまり天然現象的な災害である。もちろん論議の中では、いや、それは人災だというような論議もありましたけれども、そういうような論議の中で、しからば今日はどうなっているかという問題につきまして、今日やはり百七十四名の解雇の中で会社が下請関係などにあっせんをいたしまして、百七十四名の解雇の中から、八十名というものは今日、日の当たらない系列の中小零細企業でかろうじて職についている、こういうわけであります。それから、やはり今度は日本の企業内組合の一つの典型的な悲しい事実だと思いますけれども、これはわれわれは犠牲のしわ寄せを受けることは反対だ、会社はあの時限においては、とにかく系列なり、あるいは他の紙パルプ産業のほうへ会社の力であっせんをすると言っておきながら、実はなかなかあっせんしてくれないじゃないか。その反面、言うならば、激甚法二十五条のとにかく失業保険の拡大適用というのは、言うならば失業保険の先食いじゃないかといったような形で、失業保険は時間切れになってしまったのだ。なおかつ、おれたちは定職についていないのだ、だから、ひとつ解雇になった者だけで北越製紙解雇反対労働組合というものをつくって、親組合とは別に、やはりこれは組合の数は三十二名でありますけれども、ともあれ、その人たちが自主的に北越製紙解雇反対労働組合というものをつくって、おれたちを復職させよ、復職させなければおれたちの解雇条件というものを十分考えて、もう少し考え直してくれという形でいろいろと問題が係争されている、こういう時点にあるわけであります。なおかつ、一般的なこの春闘という流れの中で、やはり北越製紙労働組合は、紙パ労連傘下のやはり歴史を持つ単位組合でありますが、したがって、定昇のほかに五千円というものを一率要求をするというように要求をしているので、あるいは団体交渉をやっているのでありますけれども、会社は二年間という期限を切って、安定賃金というかっこうで、定昇はとても考えられないし、こたえられないから、千円のとにかく安定賃金で二年をがまんしてくれ、こういう形で、しかし、見えすいている一つの事実は、なかなかこういう形で安定賃金だという要素がないのです。そういったような形は、あの時限で私どもが、労使関係というものが非常に問題があるのだというような事象をとらまえながら心配をしておったわけでありますが、今日、はたせるかな、非常に問題がいま申し上げたような形になっているわけでありまして、引き続き一括——あまりこの点だけで時間を食うのは問題かと思いますが、そういう問題があり得るわけであります。これはむろん労政局長もおられますので、たとえば労働省の出先と連絡をしていただけばわかる問題であります。  次は、昭和石油の問題でありますが、昭和石油は、地震当時の従業員は四百十名でございました。現在はこの四百十名の人たちがどういう形で配置をされておりますかというと、建設要員として、これは技術者であるとか事務者でありますけれども、これらの要員百名はとにかく従来の仕事と類似のような仕事をやっておるわけであります。これはあと片づけ、土方のような焼けあとを片づけておる要員でありますが、これが三百名おるわけであります。ほかに転勤者が二十二名あるわけでありまするが、しかし、この二十二名の転勤者は労働協約の事前協議の対象として話し合いをしながら、これはスムーズにいっておるわけであります。今度昭和石油再建の問題は、あの事件でも、通産省その他の関連、大蔵省との関連で、また、この会社は英国資本のシェルというのが株の五五%を持っているという関係で、会社それ自体はやはり昭和石油株式会社でありまするけれども、主導権はシェルというイギリスの会社が持っておるというふうな関係で、なかなか会社の思いどおり、言うとおりにならないのだといったようなことから、新潟はやめてしまって、太平洋の石油コンビナート地域に移行するということが政治問題として一つあったわけでありますけれども、その問題は、やはり新潟に存置しようと変わったのであります。その変わった関連の中で、やはり四月に通産省から再建を認可しようということになるわけでありまするが、それと、ことしの四月から新しいプラントを入れて、操業は来年の三月、つまり昭和石油は操業が再開されるという今日の見通しでありまするが、その場合には新プラントによって操業するということになりますから、石油の精製量はそれ以上になりまするけれども、要員はいま四百名のうち、これを半分にするということで、そういう展望のもとに、労働協約に基づいて労使協議会から団体交渉の段階に移行しているわけであります。そこで、会社の腹がまえは、やはり昭石は二百名というものをどういうぐあいに配転すべきかといったような問題で双方ともに苦悩をしているというのが、この激甚災害によって、これは会社のせいでもない、労働者のせいでもないけれども、天災と政治の若干よろしきを得ないという形が、一つの激甚災害の適用地域における労使関係、これがたとえば技術革新とか何とかいう問題でなくて、別の問題から派生しておるのであって、この問題についても、やはりどこか、何かでこの問題を十分対処して、激甚災害法適用地域における労使関係の問題も、やはり今後政治の場で調整し、考えていかなければならぬ問題じゃないかと、そういうふうに昭和石油の問題はとらえておるわけであります。  それから、もう一つは、これは非常に特徴的でありまするので、しかも、これは労働基準関係からいいましても労政関係からいいましても、両面にまたがる非常な問題だと思うのでありますが、これは新潟市に都タクシー株式会社というハイヤー、タクシーの会社があるわけであります。これはいなかでありますけれども、車の台数は百台持っております。したがって、従業員の数も二百五十名でありますが、やはりこの組合も第一組合と第二組合に分かれておりまして、第一組合が百八十名、第二組合の数が三十四名、そのほかに労務管理、これは会社の労務管理でありまするけれども、運転手の免状を持っている者を事務用員という形で事務職にしてありますが、いざというときにはいつでもハンドルをとり得るということで、その人たちはその人たちだけで運転者会というのを設けておるのでありますが、その意図する肯景が何であるかということは、ここでは言う場でありませんから申し上げませんけれども、とにかくそういう会社でありますが、そういう内容でありますが、これは六月十六日の地震の中で、新潟には信濃川、阿賀野川というのに長い橋がありますけれども、その橋を渡っている間に橋の一部が落ちて、そうして車もろとも落ちるとか、あるいは車の倉庫がやはり陥没をして破壊されて非常な打撃をその時点で受けたわけであります。したがって、会社の社長は会社の全運転手に向かって、たいへんなことだ、そこで、会社再建のために、諸君は欲しないだろうけれども、給与体系の中の歩合給と本給との関係は、結果から見るとさか立ちして歩くような形になったわけであります。大体新潟は他の都市と比べまして、タクシー、ハイヤーの賃金体系というものは、比較的固定給が高くて歩合給が少なかったのでありますけれども、ところが、その地震を契機として、つまり他の状態が新潟に流れ込んでまいりまして、結局さか立ちのような状態になって、会社の再建の中で、ひとつ歩合給をこれこれ出すんだから、大いに水揚げをかせいでくれという形で、組合はそれに反対したわけでありますけれども、災害による会社再建という形で非常に協力を求められたのでありまするから、これに協力をしたという結果になったわけでありまするが、問題は、そこで相当に水揚げが上がって再建という方向に成果があったわけであります。年末の一時金の問題について、新潟地方の運転手組合の方たちが、大体金額にして七万五千円、大体二・五カ月に匹敵する年末一時金でありまするが、これに対して会社の回答というものは一万三千円であったわけであります。他の会社は大体四万円から五万円の範囲で出しておったわけでありますから、他のもっと水揚げの上がらぬ小さい会社がそれだけ出しておるんだから、世間並みということをいろいろ話し合ったのでありますけれども、その都の会社はどうしても一万三千円以上出せない。理由は、水揚げが相当にあった、そこで歩合給というものの中で分割してすでに諸君にやっているはずなんだから、一万三千円以上を要求するなら、そうしてストを打つというような形に出るならば、この会社を解散をしてしまうというような形になってしまったわけであります。そういうような暴言を吐いて、一切話し合いに応じようとしないのでありまするから、私はときたまいなかに帰っておりましたから、これはやはり認可事業でありますから、運輸省系列の陸運局長に会って、一体そんな行政指導があるか、実際問題として認可事業で、労働組合と協約があって話し合いをしておるのに、つまり前の約束をひるがえして一万三千円、そうしてスト権だとか何とかいうならば、それの別会社をつくって、そうして一応解雇した形でやるというような、そういう好きかってなことをいっておることなど悪いことがあるので、それは陸運行政の面からとにかくひとつ行政指導してくださいといったようなこともあったわけでありますけれども、いずれにいたしましても相手のあることでありますから、がんとしてこれの話し合いの場が求められなかったのであります。そこで、新潟地方労働委員会にとにかくあっせんを組合は依頼したわけでありますけれども、あっせんに対しても会社側は、どうせ地労委のろくなあっせんは出ないんだから、おれのほうは一切耳をかさないというのが会社の言い分で、万策尽きてやむを得ませんから、それが大体時期的には地労委に和解あっせんを申請したのが十二月の十一日であります。これはまだ争議に入っていないわけであります。その地労委も動き始めたのでありますけれども、しかし、地労委のあっせんに耳をかさない、こういうわけでありますからそのままになっちゃったわけであります。そこで、好むと好まざるとによらず、組合は、地労委のあっせん調停にも応じないと会社は言うのでありますから、やむを得ないから十二月の十五日からストライキに突入したわけであります。もちろんストライキそのものは手段でありますから、何とかして話し合いの場を求めようとしたところが、いわゆるストライキは手段であるわけでありますが、幾らストライキやっても話し合いに乗ってこないので、万策尽きて一月の五日に組合から新潟の地方裁判所に、これは異例でありますけれども、団体交渉に応じてほしいという仮処分の申請をやったのです。これは大体前例はあまりないのです。そこでつまり裁判所も困ったわけでありまするけれども、裁判所もとうとう、それはまあすべてけんかは話し合いから始まるわけなんだから、地労委の言い分も聞かぬ、耳もかさぬと親方が言うなら、私のほうで処置して、ひとつ審尋ですか、両方の意見を聞いてひとつ話し合うという仮処分というものを、あまり裁判所としても判例はないけれども、団体交渉に応じてほしいという仮処分の申請がある限りにおいて、ほうっておくわけにはいかぬからという形にして、労使双方を呼んで審尋をやったわけです。さすがに会社側は裁判所の説得と言い分に対しまして、それでは話し合いましょう、こういうことになったわけでございまするが、そこで一月十一日に和解調書というものが出て、そして、ともあれ団体交渉の糸口が設けられたのでありまするけれども、両方が会って話し合いの開口一番に会社が何を言ったかと言うと、いままでは七万五千円の要求に対して一万三千円を出すと言ったのだけれども、今度はもう一文も出さないのだ、ゼロだということを言って、社長はとにかく退陣をしてしまったというような形で、全くはしにも棒にもかからないんだと。自来、やはりこの十二月十五日から入ってつまり八十三日目、ちょうどこの前の労働委員会で、非常にどろ沼になっちゃっているからという話をしようと思ったのですが、これが一昨日解決がついたわけでありまするが、そういうような過去の経緯を経過しているわけでありまして、実は新潟県議会はいま二月県議会を開いているわけでありまするが、その中で、県の産業経済委員会で、地労委は一体何をしておったんだ、幾らそういう会社側が頑迷で応じないといっても、地労委はかりそめにも法的背景の中でつまり説得もし、そしていろいろあの手この手でするところの権威ある時の氏神じゃないか、それが手をこまねいてそういう形でおったというようなことはどうして起こったのかという点で、やはり県会の中でも問題になっているわけであります。そういうような関連の中で、私もやはりこれを指導する新潟県評の顧問という立場におりますので、この間に陸運局長であるとか、あるいは労働基準局長であるとか、あるいは地労委の会長、事務局長、それから商工労働部長、それから商工会議所の会頭について、ひとつこれはどちらがいい悪いでなくて、始まりがあれば終着駅があるはずなんだから、解決する方向に、かりそめにも、公営企業であるなしは別として、新潟のような破壊された都市の中で百台のハイヤーの動きというものは重要な交通機関であるから、誠実をもって、どちらを助けてくれ、どちらがいい悪いということは言わぬが、ただ、解決の方向のムードを関係の機関がつくるべきじゃないかということは言っておいたわけでありまするけれども、結局は、結論的には商工会議所の会頭がこれのあっせんを買って出て妥結をしたというわけでありまするので、そういった点があり得るということでありまするので、問題は、これは出先の労働基準局長あるいは労働基準局は、ハイヤー、タクシーの賃金の体系について、少なくとも本俸と歩合給との関係において、やはり行政指導というものにつきましては最大限努力して、一日も早くこれが解決の方向にいくことを望んで動いておるという点については、確かに私はその事実を認めたのでありまするけれども、問題は、この地労委のあり方とか、そういったようなものについて非常に問題があると思いますし、給与体系、これは氷山の一角でありまして、全国のハイヤー、タクシーの中に起こる労使紛争というものは、非常に実は他のものと異質のケースを持っておる、こういうような関係にありまするので、そういう点について、ここで済んだものについてどうこうというわけでありませんけれども、問題は、どういう結果で妥結したかと申し上げまするというと、やはり給与体系は、本俸は七〇%出す、水揚げが三〇%というような関係で、まあ非常にいい形に——それから、この一時金の問題についても、世間並みなものを今後処置するというふうな、水揚げも、つまり歩合というものを言えば、分割払いというようなことはしない、犠牲者は一人も出さないのだという形で、これが二十二日の日が全車が復元をしておるわけです。こういう結果に終わっておる。そういったようなことで、一応以上申し上げたように、大体この北越製紙、昭和石油、都タクシーも、これは特徴的な異変の問題でありまして、これはおそらく私の小さな経験でとらえたのはこれが初めてでありますけれども、広い世間の中には、こういうきしんだ異質の係争があるのではないかと思いまするので、この辺はやはり十分行政指導して、やはり労使関係という問題について意識してやってもらわないと、一度あったことは二度あっちゃたいへんだと、こう思いますのでお尋ねするわけであります。
  18. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 一般的に申しますと、新潟のような不幸な天災に出会った際においては、労働行政としては、その天災によって勤労者諸君の生活権が脅かされないように、あとう限りの努力をしてまいったつもりでございます。ただ、いま御指摘の個々の事例につきましては、それぞれ関係者からお答えをいたします。  この春期闘争にからんでの賃金問題、これは原則として労使関係話し合いによって解決せられることが望ましいのでありまして、要求が妥当であるとか、あるいは回答がやむを得ないものであるとかというような論評は、私の立場としては避けたいと思っております。  それから、自動車の労使関係でございますが、ちょうど私いまから八年前に初めて労働省へまいりましたときに、いわゆる神風タクシーということが非常に世間の話題になりまして、そして運転手の歩合給、給与のあり方というものについて改善の検討を進めさせ、現在のように固定給を重く見るという給与体系に指導をいたさせたつもりでおりました。現在もその指導方針は変えていないつもりでございますが、労使関係紛争過程において、その認可事業である経営者が第二会社をつくる。つまり現在認可を受けている会社を解散してかわりの会社をつくる。その場合に、当然その認可が第二会社におりる、こういうふうな前提の上に立った議論がよく行なわれるようでありますが、これはもうまるで別の問題であって、その認可に当たった認可権者は、そういう点を十分考慮して処置していただきたいものだと思っておる次第であります。  地方労働委員会の活動、これも実情を詳細に報告を受けているわけではございませんけれども、要は、背景といたしまして、その与えられている任務を考えて、あとう限りの努力を願っておるのは当然であります。そのあとう限りの努力をする過程において、制度上不備があるなら、これはやはり検討をしなければならないと思っておる次第でございます。
  19. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 まあいまこまごま申し上げたことについては、ある面では労政局長さん、それから基準局長さんからまあひとつ見解なりお答えをいただきたいと思いますが、大臣にどうしてもこの関連でお伺いしておきたいことは、先ほど申し上げましたとおり、激甚災害法適用によって、企業経営者はそれなりに、政府も、あるいは法の背景によって、ともあれ、再建という方向でほとんど復旧の緒についておるわけでありまするけれども、そのしわ寄せ——ある法律について、激甚災害法の二十五条による失業保険のいわゆる適用というものについては、結果として、結局はたで考えられるのは、あれは失業保険の言うならば先食いだということに相なっておるわけでありまして、今日的にはみんなもうすでに失業保険がその後においてももらえるものなりと思っておったのですが、その要するに二十五条の適用でもらった分だけは、もうすでに先にいただいてしまっておる勘定になりまするから、本年の一月、二月以降では、もう本来ならばあの適用がなかったならば、そうしたならばあれで会社の方々にはプラスになっても、同時に、当事者としてはそういうややこしいことはわからないけれども、とにかく激甚災害法二十五条に乗っておれたちは雇用の契約を保持しながら、こういうことでありがたがっておったのですけれども、はたで感ずることは、どっこい先食いになっておったというような形に相なっておりますので、そこでひとつ大臣に、これは大臣でなければできない仕事でありまするけれども、また、すぐはできないと思いまするけれども、この災害ですね、激甚災害法適用地域というものは、私も新潟の場合、そういう法律があるにもかかわらず、もっとなぜ右から左に適用されないかと思うのでありますが、適用されぬということは、よほどこの法律がやはり運用され、動き出すには相当な条件がそろわないとこの激甚災害法適用の対象にならないわけでありまするので、ときたま対象になった場合について、この生産の機能が停止をするとか、そういった場合にですね、好むと好まざるとによらず、その企業再建のできる日の当たる大産業はいいですけれども、中小零細産業のものは融資も意のごとくつかず、それを契機に労使ともに倒れてしまったというような場合について、私は、その企業経営者側についてはここでは申しませんが、その災害によっての離職者の保護処置について今後どうすべきかという問題について、私はこう思うのでありまするので、大臣所信なり見解なり決意を承りたいと思います。で、御承知のように、激甚法は企業本位のもので、現実に働く労働者の職場確保、生活保護とは縁遠いものだというふうに私は受けとめております。したがいまして、激甚災害法の二十五条による適用は、失保の先食いという原始的な処置にすぎないんだというふうに理解されます。たとえば新潟地震の場合、二十五条の適用者が三千七百七十九名でありましたが、その後企業がつぶれまして離職した者がほとんどである。本年一月以降には全くのお手あげをしておるというのが実態であります。もちろん若い、いわゆる何ぼあっても足りない労働力はかわいてきますけれども中高年齢層労働者は全くはなもひっかけられないということで非常に苦悩しておる。しかし、新潟は大体非常に全体の産業が比較的恵まれておりまするから、あの程度なら、大災害であっても、比較的こういうもので少なくて済んだわけであります。数が三千七百七十九名程度でありまするけれども、これが伊勢湾台風だとか何とかという類似現象、あるいは、ひいては関東大震災のような影響を受けたならばおそるべきものが出てくると思うのでありまして、それは少なくとも、しかも激甚法の対象になるような大災害の結果だと。したがいまして、労働者のその職場の確保であるとか、生活保障のための激甚災害地に適用される特別な立法というものを必要とするんじゃないか。たとえば激甚災害法によって不本意にもその職場を離れざるを得ない労働者に対し、失保とは別な視点と角度からとらえた離職制度といったようなものを導入するお考えや、そういう意思がないかどうかといった点をひとつ伺いたいと、こう思うわけであります。
  20. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 現在激甚災害法第二十五条の適用を受けた場合は、これは当該企業が再建されるということが前提で初めて生きるのでありまして、それが再建されない場合において御指摘のような事態になっていっていることは事実だと思います。これは御指摘のように、何とか処置をしなければならない問題だと思うのでありまして、再建されないでそのままずっと失業してしまった場合の処置について、いま御発言の趣旨をくるんで検討をいたしたいと思っております。
  21. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 たとえば、これは政府機関大臣のほうがよく勉強しておわかりだと思いまするが、イギリス労働党政府は、急速な技術革新の進歩の中で、みずからのあやまちではなく仕事を失う労働者に保障を与えるために、真の離職者手当法の制定を現在企画しておるというふうに私は聞いております。これは技術革新に伴う非常にすばらしいオートメーション化の導入を考えてのことであろうと思いますが、日本の場合、自然災害が非常に多いのです。災害はないことを欲し、そのためのいろいろなあの手、この手の対策を打つことは必然でありますけれども、それにしても、災害が非常に多いといったようなことにかんがみまして、あれとこれとは違いまするけれども、やはりあり得ることをないという主観に基づいて無策のままではなくて、あり得た場合についてどうだという処置をすることが必要じゃないかという考えで、たとえばいまのイギリス労働党内閣の施策については全然別の問題でありますけれども現象面でとらえた、本人が働く意思を持ち、働く能力があるにもかかわらず、しかも、他の現象によってなったという場合にはそういうふうに思うのでありまするが、こういうような点についての事例を考えつつ、ひとつ御所見を伺いたいと思います。
  22. 石田博英

    国務大臣石田博英君) これはむろん技術革新ばかりでなく、産業界、経済界の進歩発達に伴いまして、企業の消長というものは当然ございます。かつては非常に繁栄をした産業であっても、次の時代にはそれは社会における重要性が非常に失われてくるという産業、そういうことによって生じまする雇用の摩擦的な変動というものに対処する措置というものは、これは十分考えなければいけない。その場合、同じ次元において考えるか考えないかは別といたしまして、御指摘のように、天災その他によって生じた場合も、先ほど申しましたように、御発言の趣旨をくるんで考えてみたいと思っております。
  23. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 私は、大臣お忙しい中としても、大臣からなまでお伺いし、なまでお答えをいただきたい問題は大体そういうことでありますが、小柳先生のほうから大臣関連のある場合には……。それで、労政局長や、その他いまの問題を後刻お答えをいただきたいと思います。
  24. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  25. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 速記を起こして。
  26. 小柳勇

    ○小柳勇君 ただいまの杉山委員の最後の質問、非常にいいと思うのです。私もしようと思っていたのですが、いま一度大臣の御決意を聞いておきたいと思うのです。御存じの炭鉱離職者及び駐留軍離職者については格別の配慮をしていただいておりますが、いま一歩法的な措置が必要と思うのです。自分の意思でなくて、米駐留軍の動向によって、不本意に離職する者、そういう者についてはわが党から法案も出しておりますが、この法案に対しても御所見を聞きたいし、一般的な問題として、いま一度大臣の御見解を聞いておきたいと思います。
  27. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 先ほど杉山さんの御発言にもございましたように、特に近年経済界や産業界の進歩発展というものは目まぐるしいものがあります。技術の革新も同様であります。そういうことに伴って、本人の意思でなく、本人の責任でなく雇用機会を失うという場合が、石炭の場合、駐留軍離職者の場合、いろいろ出てまいります。これはいまに始まったのではなく、昔から、ごく簡単にいえば、橋ができたために渡し船の船頭が職を失うというような場合も生じてまいるのであります。今後そういう種類のことはいよいよ多くなってくるだろう、そういう場合に対しまして、雇用基本法というようなものが必要ではなかろうか、あるいはほかの方法があるだろうか、そういうことについて、御承知のごとく、ただいま雇用審議会に諮問をいたしておるところでございます。この情勢がこれからますます激しくなることが当然予想されますので、政府としても、これに対応する処置を考えていきたいと思っておる次第であります。
  28. 小柳勇

    ○小柳勇君 ただいま大臣から言われましたその雇用基本法なんですが、ことしの夏までくらいに雇用基本法に関する骨子をまとめたいと、そういうようなお話のようでありますが、大臣のひとつ雇用政策に対するビジョン、そういうものをお聞かせ願いたいと思います。
  29. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 労働政策と申しましても、突き詰めてまいりますと、だれが考えても三つくらいしかないと思います。一つは完全雇用の実現、もう一つは労働条件の向上、もう一つは社会保障の充実、それをいかなる方法でいかなる段階を経てそういう目標に到達するかということに結局尽きるだろうと思います。その場合、完全雇用の実現というスローガンのとらえ方でありますが、一面において、先ほどから論議になっておりますとおり、技術の革新や産業界の進歩、社会の需要の変動、そういうものによってやむを得ず雇用の変化というものは生じてまいります。摩擦的変動が生じてまいります。その摩擦的変動の摩擦を少なくする、あるいはなくする、そうしてそういう産業犠牲になった人々に対して次の雇用機会を早く有利につかむということが私は雇用政策の基本だと思うのでありまして、それを制度化していきたい、そして、それを社会なり国家なりの責任において引き受けられる体制を完備したい、これが私の雇用政策というものについての理想でございます。その方向に向かってひとつ雇用審議会の御検討をわずらわして、できるだけ早く結論を得たいと思っておる次第でございます。
  30. 小柳勇

    ○小柳勇君 できるだけ早くということでありますが、たとえば秋、あるいはもう来年は法案が出せるように検討しておられるんですか。
  31. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 問題が非常に広範かつ重要なものでありますので、動かすべからざる期限をつけて要望するという性質のものでもないと思うのでありますが、私どものほうといたしましては、おそくとも秋ごろまでにひとつ御結論を得たいという希望を伝えております。
  32. 小柳勇

    ○小柳勇君 その具体的な問題を一、二大臣からお聞きしておきますが、第一は、若年労働者は不足でありますが、中高年齢層雇用は非常に困難であります。したがって、雇用促進の問題もいろいろ検討されておるようでありますが、その大綱について大臣から見解をお伺いします。
  33. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 御指摘のように、近年幾らかずつは緩和されてきてはおりますけれども、まだ昨年あたりの統計では、五十歳以上になりますと求職者が求人の七倍ぐらいになっております。で、この中高年齢層雇用促進するということには幾つかの課題がございますが、私どもといたしまして、いままずやっておりますることは若年労働でなくても十分間に合う職種、これを指定いたしまして、それについては、まず、政府関係機関は若年労働者を使わないようにする。これは私実は四年ほど前に就任いたしましたときも、政府関係機関を呼んで強く申し入れたのでございますが、単なる申し入れに終わっております。たいへん遺憾に思っております。今度は昨年は職種を指定いたしまして、そして厳重に申し入れました。すでに採用した分についてはどうもしかたがないが、本年採用分からは労働省の方針に協力をするという確約を取っております。同時に、日経連その他に対しましても同様の申し入れをいたしまして、日経連その他でも検討をしていただいておるはずであります。具体的な職種の指定等も、すでに職種の検討等もやっておるように聞いておるのであります。  それから、次の問題は、やはり賃金体系の問題だろうと思うのであります。この賃金体系、いわゆる年功序列型賃金というもののとらえ方でありますが、これはまあいろいろとらえ方があると思います。私はかつて物議も幾らかかもしましたが、これは若年期における低労賃のあと取り、あと払いというふうな性格も帯びておる。しかし、もう一つには、中年、高年になっていわゆる家族負担が増大する、その家族負担に見合うような賃金体系とも言い得るのであります。そういう後段のとらえ方をする場合においては、やはり児童手当その他の社会立法との平衡が必要じゃないか。それからもう一つは、やはり同一労働同一賃金、賃金は労働の量質に見合う賃金でいくと、年功序列じゃない、いわゆる職能給的な賃金体系ということへの移行というものが、これは大きく制度的には背景をなさなきゃならぬものだと思います。だけれど、これはなかなか簡単にいくことではありませんが、行政としてやり得ることは、まず、先ほど申しました職種の選定、指導、それから、第二においては、児童手当その他の制定によって、家族負担というものが賃金の上へ制度的におおいかぶさることを避けていくというようなことを行政的にやることによりまして中高年齢層雇用機会というものを増大していきたいと思っておりますが、もう一つは、わが国の現在の時限におきましては、まだまだ若年労働というものを不足だ不足だといいながら取り上げ、それによって企業が必要労働力をどうやら間に合わせておる、問に合わせられる。しかしながら、日本の現在の人口動態、これをさらに将来にわたって見てまいりますときに、十五歳から六十歳までの年齢を労働可能年齢といたしました場合、かつての多産多死の年齢別人口構造が三角形であった時代と、いまのような少産少死の年齢別人口構造がはしご型になってきた場合とは、労働力のバランスの中に占める、労働力その他の中に占める若年労働の割合が著しく変わってまいります。それから、それがしかも非常な速度で進んでまいります。また、現在大ざっぱに申しまして、労働力の純増というのが年間百五、六十万でありますが、これは昭和五、六十年ころになると九十万を割るのではないかと、こう考えられる。そういうような状態を早く洞察して、そういう動態の中においての企業が、労働力の確保の方法を早く考えてもらうことを誘導していく。つまり将来は中高年労働者も含んで当然考えなければ、ほんとうの意味の、いま私は、若年労働及び技術労働においては不足を見られるけれども日本の労働力全体から見たら、ヨーロッパでいわれるいわゆる労働力の不足とは違う、ある意味においては過剰の中の不足ということも言える。それがしかし将来はそうでなくなる、そういうことを企業経営者によく理解をしてもらうという方法をもあわせとっております。さらに、中高年齢層については雇用奨励金制度、あるいはもっといいますと行政的な指導の方法として検討いたしたいと思いますのは、抱き合わせとでも申しますか、職業あっせん、職業安定行政の中での個々の指導を通じて実績を上げてまいりたい、こう考えておる次第であります。
  34. 小柳勇

    ○小柳勇君 最後の問題はあとでまた関係局長からお伺いしますが、たとえば政府機関に対する協力要請、あるいは日経連など民間団体に対する協力要請などもやっておられるようだが、その実効というものが上がってないような気がしてならぬのです。ここに適用職種七十四種ばかり書いてあります。これはどれでも民間にもあるし、役所にもある仕事ですね。どの程度労働大臣の命令がきいておるのか、なかなか指揮官は元気だけれども、兵隊のほうは聞いておらぬような気がしてならない。たとえばエレベーターなどはどうか、あるいはこれは例にとってはいかぬけれども、道路公団などにはちゃんと切符をとる青年がいる。半数くらいは中高年齢者でもいいのではないか、あるいは身体障害者でもいいのではないかという気がしてならぬのです。そういうものを政府機関、民間団体とどのような約束をしておられるか、もう一回はっきりひとつ聞いておきたい。
  35. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 昨年私就任直後に要請をいたしましたときにすでに採用した分、つまり本年度採用した分についてはごかんべんをいただきたいが、明年度からは御要望に従って採用するという、こういうことを政府関係機関とはっきり約束をとってあります。いま御指摘のような、たとえば道路公団のお金をとる者はどうだ。私から業種を指定して公団総裁に申し上げたのですが、これは非常にむずかしいことであります。実は、まず隗より始めよということで、労働省のエレベーターのエレベーターガール、あれは若いんでなくても十分でありますので、これをかえたらどうだということをさっそく私のほうの係の者に申しましたところが、あれは請負で入れたものなんだそうでありまして、全く別個の企業の請負だ、別個の企業が請け負ったにいたしましても、労働省の中でそういうことをやられては困るということで、請負に通達させましたら、やはり本年はもう採用してしまったのだから、来年度採用のときということで、これも来年度分からは中高年齢に直してくれるという約束をとっております。一年間という期限で見ますと、いま申したようなことが非常に多いのでございますが、本年採用の分からは改善されるものと、強く期待いたしております。  それから、日経連等でもかなり具体的な指導をいたしております。たとえばデパート等に対しまして、デパートの売り子とか玄関に立っている案内ガールというようなものは若し人を使わなくていいじゃないかというようなことまで言って、それがデパート経営者との間に新しい論議を生んでおるというようなことでございますが、政府関係機関につきましては先ほど申しましたようなことをして、本年採用からは実行するという約束をとっておるのであります。
  36. 小柳勇

    ○小柳勇君 デパートなどの売り場ではきれいな人のほうがいいでしょうが、それはあとで関係局長から具体的施策は聞きますが、次は一次産業の産業構造見通しですね、たとえば農業学校を出ましても農業をやらないで出てしまう、そういう就業構造をどういうふうに見通しておるか。これは農林省にまかせるのではなくて、ほんとうに計画的に労働省から考えてやらなければならぬでしょう、労働省で考えてやる。地域別産業別雇用計画試案というものを見てみますと、はっきりそういう面までないのですね。したがって、一次産業の産業構造の見通し、その上に立って一体就業構造というものをどういうふうに考えるか、抜本的に考えておかなければならないと思うのですが、その取り組みについて大臣の御見解を伺います。
  37. 石田博英

    国務大臣石田博英君) これは農業高等学校を出た人が農業に行かない、そしてホワイト、カララーになりたがる。そういうことだけでなく、一般的に教育が非常に進んでまいりました場合、高等学校卒業生の割合が非常に多くなってまいりました場合に、労働力需給関係と教育の進行過程というもののバランスをどうとっていくかということが非常に大きな問題になると思います。すでに企業等におきましても、たとえばいままで中等学校の卒業者だけで当てておりました繊維工場等の女子従業員とそれから事務職員、こういう者の取り扱い等についての検討も必要でありますが、今日のように一般にそうなってまいります場合において、教育と労働との関係、逆に申しますと、労働のとうとさを教えるとでも申しますか、労働の社会的な評価を高めていくというようなことを一般的にやっていかなければならない問題だと思っておるのであります。で、ほんとうに農業にふさわしい教育を受けた人が農村にそのままいつくようにということは、これはこれからの雇用計画その他においても私ども検討しなければならないと思うのでありますが、もう一つ、われわれから将来の雇用構造、特に日本雇用構造を考えてまいりました場合に、非常に注目すべきは一次産業から二次産業に移動しております労働力が二次産業に多く行かないで、三次産業に多く行っておる。近代国家の中で、いわゆる近代国家と言われる国々の中で、二次産業従業者より三次産業従事者が多い国は日本とアメリカだけでありまして、アメリカは高い生産性にささえられておりますが、日本のような状態の上において二次産業従事者より三次産業従事者が多いということは非常に不均衡だ、健康な状態ではないと思います。原因はいろいろあると思いますが、結局ざっくばらんに言えば、三次産業のほうが収益率が高く、高い賃金が払えるというところに原因がある。あるいは、また、税法上その他いろいろ抜け道がある。たとえば第二次産業に入りました女子の従業員が途中で転職する者とかは、ほとんど全部と言っていいくらい第三次産業、純粋の消費的産業にまいります。これに対しては、一見すると非常に労働条件のいいところに移っているように見えますが、実際はそうでない場合が非常に多いので、労働行政の指導、特に基準行政を強化いたしまして、三次産業、具体的に申しますと、パチンコとか何とかいうところにおける労働条件の監督等を通じて、われわれの行政の部面で是正をやっているつもりでありますが、それだけは不十分でありますので、やはり雇用計画全体として、もっとほんとうに国の経済を強健ならしめる方向に必要労働力が向くように努力してまいりたいと考えている次第でございます。
  38. 小柳勇

    ○小柳勇君 いまおっしゃったようなものも雇用基本法に入れられるのかどうか。それから、各省間の、たとえば通産省とか農林省とか、あるいはいろいろありますが、各省間における雇用の計画も労働省のほうでタッチされて、その一貫した雇用計画を持たれるのかどうか、やるのかどうか。
  39. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 雇用基本法というものは、基本的な雇用政策というものをつくりたいというので法三章というわけにはいきますまいけれども、そういう基本的なものでありますが、それをふえんいたしまして、具体的な実効ある行政措置をとります場合、中にはむろんそういうことも含まれていかなければならぬと思っております。それから、政府関係機関雇用計画というのは、積極的に労働省の行政としてつかむつかまぬは別といたしまして、これは相当大きな量であります。したがって、当然全体の計画としてはその中に含まれるものだと考えております。
  40. 小柳勇

    ○小柳勇君 最後の問題はあとで局長に聞きます。雇用問題の最後の質問は、先般秋田の職安で労働省関係官吏の不正事件がございましたが、若年労働力の不足で、これは職安も苦労しておられるようでありますが、こういうことがありませんことを期待しているわけですが、大臣見解、今後の措置をお聞きしておきたい。
  41. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 秋田は私の郷里でもありまして、たいへん恐縮いたしております。秋田だけでなく、熊本、長崎県にもそういう事件が起こりました。たいへん遺憾なことだと存じておりますが、したがってこれに対しては、事件の司法処分の決したものについては厳重な処置をとりまして、同時に、それぞれ監督者についても処分をいたしました。  それから今後の綱紀の粛正、これについては全国職業安定課長会議を招集いたしまして、具体的、かつ、厳重な指示をいたしました。今後こういうことのないようにつとめてまいりたいと思っております。  いま一つは、公務員がむろんこういう行為をいたしますことは不当であり、けしからぬことは言うまでもありません。しかし、公務員はそれによって、場合によっては恩給その他の停止を受け、将来を全く奪われるのでありますが、一方、公務員を誤らしめたものは、一応この司法処分は同じ立場で受けるようではありますけれども、まあ何と申しますか、武士の向こう傷のようなもので、そういう状態がどうも続く限り、誘惑があとを断たないように思いますので、こういう不正な行為をした業者に対しては、職業安定所の安定行政上の配慮は、一定期間、一定区域に限っては今後やらないというような強い方針を採用いたしまして、絶滅を期したいと思っている次第であります。
  42. 小柳勇

    ○小柳勇君 第二の質問は労働市場センターの問題で、電子計算機を使って全国の職安を機械的に中央に集中して、直ちにこれが配置をしようとする計画のようでありますが、それが非常に機械的に割り切ってしまう。人間の意思、たとえばどの仕事をしたいという人間の選択する意思、そういうものを無視されながら強制的に配置されるのではないかという心配と、それから、その事務を扱う人たちの犠牲、また、たとえばいま職安でもう失業保険課がなくなったようでありますが、そういうもので何かこう急速にやるために、強制的に進められておるような印象がしてならぬのですが、その点大臣見解を。
  43. 石田博英

    国務大臣石田博英君) いままで各地の職安からの求人求職の照らし合わせをいままでは手でやっておりまして、かなり長い時間がかかりました。一カ月も二カ月もかかることがあります。そういうことを敏速に整えようというのでございまして、その上に立って判断、処置は従来と同様の処置をとりますから、機械的に流れるようなことはないようにいたしたいと思っております。これはあくまで現在までの制度運営の中でかかったむだな時間を時間的になくしまして、条件を整えていこうということでございます。  それから第二の、その施設によりまして不用になったり、あるいは業務が縮小された部分についての人々の配置転換、これは配置転換で措置いたしておりまして、決して犠牲をしいるようなことはいたしてはおりません。
  44. 小柳勇

    ○小柳勇君 先般、京都でしたか、大臣が言っておられた失業保険の問題ですね、失業保険については、結婚する場合は積み立てた金だけを払って、失業保険はもうやめたらどうかというようなことを言っておられましたが、法を調べてみますというと、まだ失業保険の改正については具体的にはおやりになる意思はないような話ですが、どうなんですか。
  45. 石田博英

    国務大臣石田博英君) あれは私のほうから申したのではなくして、京都の府会で、いままで結婚して退職をすると、もらっておった失業保険金が、機械的にもらっておったのが、就職の世話をされたりなんかして条件のととのうのがむずかしくなっておるが、どうだ、こういう質問があったのであります。それに対して、現在の失業保険制度というのは幾つかの問題がある。その問題の一つは季節労働者の問題、第二は、いわゆる結婚退職の問題、第三には、五人未満の事業所に対する強制適用、いろいろな問題があって、総合的に検討しなきゃならない。保険の理論としては、結婚して退職するという場合は、これは就職の意思、能力のある者と認められぬ場合が多いので、これを失業保険の対象にすることは理論的には間違いだ。しかしながら、一方、保険は強制適用をしておるのです。婦人の従業員といえども保険金を払っておるわけなんです。したがって、婦人にだけある結婚退職という条件のときに、一方で強制適用をしておいて、一方では何も払わぬというのは、これはいささか問題があるから、そういう場合は新しく検討しなければならぬと、こう申したところ、どういうふうに検討するのかと言うから、たとえて言うならばこういうことも一つの方法ではなかろうかということを申し上げたのでありまして、いま全体をからんで検討中でありまして、部分をとらえて結論を得ているわけではございません。
  46. 小柳勇

    ○小柳勇君 昨日、母子保健法案が上程されましたときに質問いたしましたので、もう一回重ねて聞いておきたいのですが、いま内職する婦人もたくさんいますし、最低工賃がない、また、家内労働法もございませんので、非常にひどい条件の中で働いておられる。先般、労働組合で家族調査をいたしましたところが、約八三%のご婦人が内職をしているという統計が出たようです。そうすると、それが絶対だとは申しませんが、労働省でも統計をとっておられると思います。こういう家庭で働く婦人、あるいはこの中にはパート・タイマーの方も入るかもわかりませんが、そういう人たちに対する保護、たとえば最低工賃とか、あるいは家内労働法とか、そういうものに対してもう少し積極的に取り組んでいただきたいと思うのですが、いまは家内労働法については検討するという答弁がありましたが、どのようなものであるか、お伺いいたしたいと思います。
  47. 石田博英

    国務大臣石田博英君) これは実は昭和三十五年に、私が前に労働省におりましたときに家内労働調査会を発足いたさせまして、そこでいろいろ御検討を願っておったのでありますが、これは問題が非常に複雑多岐で、困難な問題が非常に多いのであります。一口に家内労働と申しましても、家の中で働く場合、生活の唯一の根拠にしておるもの、あるいは家庭婦人が副業にしているもの、あるいは農村その他においてひまなときにやっておるもの、いろいろな業態がございます。しかも、その業種も非常に多いのでありまして、とらえ方が非常にむずかしいために、なかなか結論を得ないで今日に至りました。特に昨年は長沼会長が御健康がすぐれない、こういう理由で、調査会自体の活動も活発でなかったのでありますが、実は昨日、私、長沼会長にお目にかかりまして、四月早々から御活動を願い、そしてすみやかに具体的施策を出すということを目標にして検討を願うということをお願いをいたしてまいったところでございます。
  48. 紅露みつ

    紅露みつ君 いま御質問の婦人の内職——内職に移行するのはいいですけれども大臣がちょっとお触れになったように私思ったのでございますが、基幹産業から婦人の方は第三次に移っていくという何でございますが、これはその傾向がいいのか悪いのか、私はちょっと心配になるのでございますが、その現状もいまよりはそれがひどくなっているのか、そしてどんな職種に一番多く行っているのか、その傾向を大臣にまずお伺いしたいのですが、その第三次に移っていくというのはちょっと心配が伴うように思うのですが、どんなものでございましょう。
  49. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 具体的な数字とか資料とかいうのは、あとで事務当局が調査をいたしまして御報告いたしますが、一般的に申しまして、集団就職等で中小企業に就職する、あるいは繊維工業等へ地方から就職する、途中でやめていく婦人は第三次産業へ行くのが非常に多いというのは実情でございます。その三次産業も、全く消費的な部門へ行っている。それは単純に見ますと、表面から見ますと給料もいいし、時間も短い、楽だというようなふうに見えるのでありますが、その実態は、たとえば女子の深夜労働、未成年者の超過労働というようなことがよく見受けられるのであります。ところが、職業選択は自由なんでありますから、法律的にどうこうということは非常に困難であります。ただ、そういうところから年少者のいわゆる不良化というようなことも考えられますので、私どもの行政の中ででき得る限りの処置、たとえばパチンコ屋等におきましては女子の深夜労働を厳重に取り締まるというような、監督を強化することによってそれを防いでいくという努力をいたしておるところであります。
  50. 紅露みつ

    紅露みつ君 大臣はお差しつかえがあるようですから、局長に伺いたいのですが、どんな職種に多くなりますか、そして傾向は多くなりつつあるのですか、いままでよりも。
  51. 谷野せつ

    政府委員(谷野せつ君) 産業別の女子の就業者構成は、年次別に見ますと、第一次産業に従事いたします婦人が、一九五三年から六三年の計におきまして、かなり減っておるのでございますが、第三次産業に就業いたします婦人は増加をいたしております。それから、雇用者につきまして見ますと、サービス業におきまして一九五三年から六三年の計を見ますと、単位を一〇一といたしますと、一九六三年が一九二というぐあいに増加をいたしております。これはサービス業と申しましても、非常に包括的に各種の職業が含まれておりまして、先ほど大臣から御指摘くださいましたような純粋なサービス的なものもございますが、かなり文化的な、高い専門的な知識、技能を持ったような職種もこの中に含まれておるわけでございます。まあ女子の雇用の趨勢といたしましては、低い単純なサービス的な仕事もふえてまいりますが、しかし、教育程度が進んでまいりますにつれて、専門的なサービス的な職業が、日本の文化が高まると同時に、職種として拡大されてくる傾向もございます。
  52. 紅露みつ

    紅露みつ君 この中にはパート・タイマーが入っておりますか。
  53. 谷野せつ

    政府委員(谷野せつ君) パート・タイマーにつきましては、別途婦人少年局で、予備調査でございますが、調査をいたしました結果、やはりサービス産業にパート・タイマーが進出いたしております。
  54. 紅露みつ

    紅露みつ君 時間がないようですから、これで終わります。
  55. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時二分休憩      —————・—————    午後一時十一分開会
  56. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 開会いたします。  委員異動についてお知らせいたします。本日、鈴木強君が委員辞任され、その補欠として久保等君が選任されました。
  57. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 休憩前に引き続き、質疑を続けます。
  58. 小柳勇

    ○小柳勇君 それでは、午前に引き続いて婦人の問題から質問してまいりますが、さっき紅露委員質問で、最近の働く婦人の実態について数字があげられていましたが、現状について御説明願います。いま婦人労働者の一次、二次、三次の産業別の婦人労働者の実態、それから、別に内職している婦人の実態、こういうものの数字ありましたら御発表願います。
  59. 谷野せつ

    政府委員(谷野せつ君) 婦人労働者と申しまして、女子の雇用されて働いておりますものの産業別の趨勢を申し上げますと、製造業に働いております女子の雇用者数は一九五三年に一六四でございますが、一九六三年にこれが三〇一となりまして、約倍数に増加をいたしております。サービス業におきましては、同じ年次におきまして一〇一から一九二と、製造業並びにサービス業に働く女子労働者の数がほぼ同じぐらいの割合で増加をいたしております。内職に従事いたします内職者につきましては、全国的な調査がございませんので、はたして内職者が増加しておるかどうかという点につきましては、はっきりとした数字を申し上げることが困難なのでございますが、内職に従事しておりますところの内職従事世帯につきましては、内職公共職業補導所の調査によりまして、特定の都市について調査されたものがございます。これは全体の世帯の中で内職従事世帯がどれだけあるかという比率なんでございますが、これを申し上げますと、札幌市におきましては三二%でございます。秋田市におきましては三・三%、東京都におきましては二・四%、名古屋市におきまして一〇%、高知市におきまして八%、それから長崎市が二・三%という状態でございます。
  60. 小柳勇

    ○小柳勇君 階層別、あるいは地域別にいろいろあるでしょうが、さっき申しましたように、ある労働組合の家族の調査では、八割ぐらいが内職しておるということでございまして、地域的な数字を見ますと若干少ないようにも思いますけれども、それは統計でしょうからいたし方ございませんが、ここに内職相談施設の充実というのがありますけれども、このあなたのほうの予算書に。この内職相談施設などの利用状況、それから将来に対するお考え、それから、その下に内職工賃の適正化という問題がありますね。その内職工賃についても、適正化というには一つの基準がなければなりませんが、そういう内職工賃の基準について労働省の見解をお伺いいたします。
  61. 谷野せつ

    政府委員(谷野せつ君) 内職公共職業補導所は現在三十六カ所で、昭和四十年度の予算におきまして二カ所増設していただく予定になっております。今日まで内職公共職業補導所で利用していただきました補導所の実績からお話申し上げてみますと、相談のあっせん件数が三十九万七千六百五十件、苦情処理が千三百三件、情報提供が四千八百三十七件、調査が十三万一千七百五十一件、巡回指導が四千三百四十五件となっておりまして、この内職補導施設におきましては、移動施設の姿をもちまして、一県に一カ所でございますが、各地を巡回指導することによりまして、できるだけ内職を求められる方の便宜に供している次第でございます。  なお、将来につきましては、少なくも一県に一カ所の内職公共職業補導施設を置いていただくことを行政上進めていただきたいと存じますし、さらに、この内職公共職業補導所の運営につきまして、その業務実績を上げられますように十分指導し、督励いたしてまいりたいと存じます。  内職工賃につきましては、内職公共職業補導所の調査の結果から申し上げたいと存じますが、昭和三十八年度の内職従事者調査によります、平均の内職によります月収が、札幌市におきまして月に五千三十円、秋田が三千九百八十六円、東京都が四千九百五十八円、名古屋市が四千二百七十八円、高知市が二千三百七円、長崎市が二千九百八十二円となっております。この内職の工賃は、職種とか内職従事者が従事いたしますところの労働時間の長さによりまして月収もたいへん変わってきておりますが、一日の労働時間から申しますと、大体四時間から六時間くらいの範囲におきまして以上のような月収をあげているようでございます。
  62. 小柳勇

    ○小柳勇君 その内職工賃の基準なども補導所で示すのか、もうこれは任意的に雇う人、あるいは品物を頼む人が自由にきめておるのですか。
  63. 谷野せつ

    政府委員(谷野せつ君) 内職公共職業補導所が内職機会につきましてお世話をいたしますような場合におきましては、あらかじめ大体可能な限り、補導所の所長がみずから自分で内職の実施をいたしまして、自分でやってみまして、その上で一時間当たりの大体ノルムを出しまして、そのノルムの結果に基づきまして内職提供事業場と折衝いたしまして、そのノルムから下がることのないように内職工賃について話し合った上で内職を受け渡す、内職者に世話をするように指導をいたしております。なお、その場合におきましても、実験の困難なような場合におきましても、この補導所におきましては常時内職工賃の調査をいたしておりますので、その地域におきます内職の工賃から下がった内職については、内職機会を世話をしないことにいたしております。また、この内職公共職業補導所は、全国の補導施設が設けられているところにおきましては、工賃の調査におきまして相互の連絡をいたしておりますので、地域問におきましてあまりにはなはだしいような低工賃で受けることについては世話をいたさないような方針で指導をいたしております。
  64. 小柳勇

    ○小柳勇君 そうしますと、業者間協定、われわれはこれは最低賃金だとは言っていないのですけれども、最低賃金法との関係は全然なしで、工賃を労働省から——これはあなたは知っているんだから指導していると言っていると思うんだけれども、内職工賃は指導しているのですか。その基準はどこに置いてそれを指導しているのですか。
  65. 谷野せつ

    政府委員(谷野せつ君) この内職公共職業補導所におきましては、工賃の指導の指針を得ますために内職工賃に対しまする調査実施いたしまして、大体の職種——全部の職種にまたがることは今日とうてい不可能でございますが、その地域におきますおもな内職につきまして調査をいたしました結果の標準工賃というものを出しまして、これによって指導指針を与えるようにいたしております。
  66. 小柳勇

    ○小柳勇君 それは全国的に、たとえばブロックでもいいのですが、九州とか北海道とか中国とか、ブロックでもいいんだが、地域別業種別にちゃんと統計がとれますか。
  67. 谷野せつ

    政府委員(谷野せつ君) 全国の共通の職種につきまして、十八職種の標準工賃は調査いたしておりますので、その工賃につきましては、今日持ってまいりませんでしたが、出ております。
  68. 小柳勇

    ○小柳勇君 職種別地域別にはどうですか。
  69. 谷野せつ

    政府委員(谷野せつ君) 地域別職種別な工賃を調査いたしております。
  70. 小柳勇

    ○小柳勇君 そうしますと、最低賃金と関連しながら皆さんのいままでの統計調査をわれわれが見てよろしいですか。
  71. 谷野せつ

    政府委員(谷野せつ君) 内職公共職業補導所において指導指針といたします標準工賃につきましては、最低賃金とは関係なしにいたしております。
  72. 小柳勇

    ○小柳勇君 この労働時間も四時間ないし六時間という大体資料が出ているようです。月収四千円から五千円に出ているわけですね。職種別に十八職種出ます。また、地域別に出てきますと、時間で割れば大体全国的な統計というものを見ることができますね。
  73. 谷野せつ

    政府委員(谷野せつ君) 全国としては無理でございまして、やはり内職公共職業補導所は地域基本といたしまして調査をいたしておりますので、地域の賃金としてお考えいただきたいと思います。
  74. 小柳勇

    ○小柳勇君 さっき労働大臣は、家内労働法についても検討していると言っておりますが、あるいは最低工賃の問題にも関連してまいりますと、将来そういうものが婦人労働の賃金形態の一つの基礎になると、そう考えてもいいですか。
  75. 谷野せつ

    政府委員(谷野せつ君) 内職工賃につきましては、内職の職種によりまして、技術のあるものと簡単なものとではきわめて違いがあるのでございます。したがいまして、そのばらばらな職種によって平均をとるということはたいへん困難でございますので、共通だと見られる職種についての標準工賃というものを私どもは一応指導の指針といたしているのでございますが、ただ、今後におきまして、できるだけ工賃の適正化をはかりますために、この工賃を払う過程に至りますまでの経路なども調査いたしまして、その間に内職者に及ぶ工賃などの実情なども調べました上で、内職がきわめて複雑な事情にございますために、私どものこの内職の機会をお世話いたしますという観点から、工賃を適正化いたします上において、その経路から調査をした上で、工賃がどう影響を受けているかということについても調べた上で指導指針を得たいと思っているのでございます。
  76. 小柳勇

    ○小柳勇君 あとで最低賃金法のときにもう少しお尋ねをしますが、現実にあなた方がちゃんと明らかにして指導しておると、税務署との関係などありまして、内職をやる人がいやがりませんか。
  77. 谷野せつ

    政府委員(谷野せつ君) 内職問題に伴います一つの困難な問題は、従来から内職者がせっかく仕事をしておりながら、内職の出来高ないしは工賃の計算の基礎になるところのものをよくわきまえておらなかったために、内職者の受ける弱さというものもあったわけでございます。したがいまして、この内職公共職業補導所におきましては、内職者に内職を渡す場合に、その工賃単価受け渡し額並びにそれがいつごろの期間においてでき上がり、そしていつ工賃が払われたかというようなことの、いわゆる内職手帳でございますが、これを内職者に持たせるように内職提供事業場を指導いたしているわけでございます。内職公共職業補導所がお世話をする内職につきます限りにおいては、この手帳によりまして従来のあいまいさというものがないように、労働条件を明確にするというように努力をいたしているのでございます。
  78. 小柳勇

    ○小柳勇君 税金との関係は。
  79. 谷野せつ

    政府委員(谷野せつ君) 税金につきましては、そのことによって現在では被害を受けたという苦情を私のほうは受けておりません。
  80. 小柳勇

    ○小柳勇君 婦人問題はまたやりますが、ほかの問題に入っていきましょう。
  81. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) ちょっと私から……。  家内労働調査会が三年ほど前にできて、これがだいぶ進んでいる。いま婦人少年局長が内職のことをおっしゃっておるのですけれども、一般賃金と最低賃金との——小柳さんが最低賃金のことはあとで質問なさると思いますけれども、いまのようなかっこうで内職の問題は婦人少年局に労働行政としてはまかせっきりで、全般の賃金、工賃、内職というものの調査はやっていないのですか、それを一言聞いておきたい。
  82. 辻英雄

    説明員(辻英雄君) 家内労働問題につきましては、ただいまお話が出ました内職のようなものもございますが、同時に、いわゆる専業的家内労働と申しておりますものもあるわけでございます。先ほど谷野局長が申しましたように、いろいろケースが非常に複雑でございます。そこで、これらに対してどういう措置をもって臨むべきかということにつきまして、大臣お答えいたしましたように、昭和三十四年の暮れに臨時家内労働調査会というものができまして今日に及んでおりますが、その中間報告というものがございまして、その中間報告の中では、さしあたり総合的な対策実施するための基盤の整備をすることと、具体的な問題点の把握をして所要の行政措置をとることということが指摘されておるわけでございます。したがいまして、家内労働問題全体についての総合対策は、一方において検討いたすとともに、当面の問題として、ただいま申し上げましたような内職関係につきましては、婦人少年局のほうで内職補導所あっせん、その他いろいろな行政指導をしておられる。私のほうの基準局のほうといたしましては、その仕事の性質上、いわゆる専業的家内労働のほうが当面私どものほうの行政に非常に密接な関係がございますので、その面をとらえましてただいまやっておりますことの概要を申し上げますと、第一が標準工賃制でございます。で、すでに標準工賃の協定を行政指導いたしましてやっておりますものが四十四業種ございます。もちろんこれは地区の業種でございます。それから、第二番目に家内労働手帳制度というものをつくりまして、ただいま内職についてもお話がございましたが、委託条件等の不明確な点を、あらかじめ手帳を交付させまして明確にさせておくということをやっておりますが、これが二十八業種で現在実施をいたしております。なお、家内労働の一部には、当時問題になりましたヘップサンダルのような安全衛生上の問題を伴うものもございますので、そういうものにつきましては特別な安全衛生面の指導をいたしております。  以上のようなところが現在基準局で実施をいたしております行政指導の概要でございます。
  83. 小柳勇

    ○小柳勇君 非常に早いような話ですが、どうですか、家内労働法の見通しは。
  84. 辻英雄

    説明員(辻英雄君) 家内労働調査会の審議の経過の概要についていままでのものを申し上げますと、昭和三十四年、五年、六年、七年、八年と、引き続き四年間にわたりまして各般の問題を一通り御調査になったわけでございます。その間に家内労働の概況の調査もされておりまするし、実態調査もされておるわけです。そこで、一通りの調査の終わりましたところで二度ほど総合討議がございましたけれども、非常に問題の把握そのものが複雑多岐であって、いますぐ答えを出すことはむずかしいので、先ほど申し上げました当面の行政措置措置としておいて、さらに調査を続けようと、そのために当面取りかかるべきこととしましては、抽象的に家内労働ということを論じないで、家内労働の集団的な産地ごとの調査をモデル・ケース的に相当数やってみて、その中から問題点を発見して進めていきたいというのが昨年の春の段階でございます。けさほど大臣も申しましたように、これは会長の個人的な御事情等もございましたが、その間、事務当局としましては、前に会長の御指示のありましたようなことで、たとえばこの近所で申し上げますと、埼玉県の行田、羽生地区の被服の家内工業というような、横浜の輸出スカーフというようなものをみな数十項目とらえまして、ただいまその調査のほうは引き続き実施をしておる段階でございます。先ほど申し上げましたように、最近家内労働の問題が非常に当面の問題として重要にもなってまいりましたし、大臣も申し上げましたように、四月早々から再開をして検討を進めていただくようにお願いをすることにいたしております。
  85. 小柳勇

    ○小柳勇君 次に、最低賃金について質問いたしますが、けさの新聞で、中小炭鉱にも最低賃金を適用ということで一万六千円を答申されるようですが、中央最賃の石炭部会が答申された場合に、当然大臣はそれで決裁されるでしょうが、四月一日ごろから実施されるのではないかということですが、どうなんですか、見通しは。
  86. 辻英雄

    説明員(辻英雄君) 御指摘のように、石炭産業の最低賃金につきましては、昭和三十七年の秋に中央最低賃金審議会から坑内夫一万六千円ということで御答申がございまして、その実施は、大手炭鉱につきましては三十八年の四月一日から、それ以外のいわゆる中小炭鉱につきましては四十年の四月一日から、ただし、その後の推移に問題があるので、必要がある場合には、実態調査の上、さらに一年間を限って延ばすことができると、こういう御答申があったわけでございます。それを受けまして、政府といたしましては、大手炭鉱につきましては御答申のように、三十八年の四月一日からこれを適用してまいったわけでございます。当面、いまの御答申にありますように、四月一日から実施するのか、あるいはさらに一年を限って延長するのかということにつきまして、昨年の八月以来、中央最低賃金審議会の石炭専門部会で御討議を願っておったわけでございますが、昨日専門部会の結論が出まして、専門部会としては、昭和四十年四月一日から中小炭鉱にも適用すべきであるという御結論を得られたわけでございます。手続的に申し上げますと、明日中央最低賃金審議会の総会がございますので、総会において専門部会長から御報告になって、総会として正規に御決定になった上で私どものほうに答申をいただくことになると思います。従来の審議の経過等から考えますと、総会におきましても、昨日の専門部会と同様の結論を出されるものと私どもとしては考えておりまするし、そういう御結論をいただくことを前提としまして、労働省としても四月一日から適用することになるという見通しを立てて仕事をいたしております。
  87. 小柳勇

    ○小柳勇君 内容については、答申を見ませんと、詳しく私聞いておりませんが、審議の過程で、中小炭鉱について一万六千円四月一日から出そうであるという結論が出ました審議の論点の中心は何でしょうか。
  88. 辻英雄

    説明員(辻英雄君) これはいずれも審議会の御審議でございまして、私どもは横で承っておりましたところで理解したところを申し上げたいと思いますが、中小炭鉱、石炭の全体の合理化の進展の度合いなり、あるいは石炭以外の一般の賃金の上昇というものとを総合的に勘案すれば、これは当時よく見通しがつかなかったので、さらに一年間延ばすことが必要であるかどうかということは、実は労使、公益の間で一致しなかった。それで見通しが一致しなかったので三十七年のような御答申があったと思いますけれども、その後の進展等に対する見方は、さして大きな御意見の隔たりがなくて、四月一日に適用することになったと思います。なお、この間、中小炭鉱につきましての賃金の実態調査をやるべきであるということを審議会として、専門部会として御決定になりまして、それがその調査なり実際の結果等からごらんになった上での御判断であるというふうに考えております。
  89. 小柳勇

    ○小柳勇君 その新聞の記事にはこう書いてあるのですが、現在中小炭鉱の坑内夫が三万四千三百十二人であって、そのうち一万六千円に満たない者はわずかに千七百人にすぎない、したがってこういう結論に達したということが新聞には書いてあるわけですが、こういうものも一つの大きな理由ではないかと思うのですが、十六条方式適用のほかの産業に対する今後の見通し、そういうものはどうでしょう。
  90. 辻英雄

    説明員(辻英雄君) 御承知のように、現行最賃法に基づきます、いわゆる職種方式と申しております十六条適用を受けて現にきまっておりますものは、御承知のように、石炭産業だけでございます。したがいまして、他のものの見通しというふうにお話がございましたが、ただいまのところ、労働省としましては、昨年、一昨年と中央最低賃金審議会から最低賃金制全体の進め方についての御答申をいただきまして、その趣旨にのっとりまして行政を展開しておるわけでございますが、その趣旨でございますところは、第一に、中小企業のうち、重点的に対象とすべきもの八十八業種を中賃審で選定いたしまして、これにつきましては、昭和四十一年度末までに最低賃金を全部に適用するということが第一点でございます。  第二点といたしましては、ただ最賃ができればいいということだけではなく、その金額が適正なものでなければならないので、最低賃金審議会としまして金額の目安というものを一応おきめになりまして、新たにつくりますそういうものについてはもちろんでございますが、従来から存続しておるものにつきましても金額を目安に合わせるということが第二点でございます。したがいまして、従来からありますもので目安に満たないものは相当だいぶんあるわけでございますが、これにつきましては、御答申をいただきました昨年の十一月以降、一年以内に全部原則として目安に合わせるということを第二点の方針といたしております。  第三番目には決定様式の問題でございますが、御承知のように、現行の最低賃金法では、他の方式によることが困難または不適当というものについて職権方式によってつくるということになっておるわけでございます。いずれにしましても、必要な業種に目安に適合した最低賃金ができるということが当面の目標でございますので、そういうことを目標として、必要があれば必ずしも九条の業者間協定、十条のその拡張方式だけでなく、その他のたとえば業者間協定の締結改定の勧告でございますとか、御指摘のございました職権方式というようなものも活用してただいま申し上げたような目標を達成するということで現在仕事を進めております。
  91. 小柳勇

    ○小柳勇君 十六条方式のほかの産業に対する適用については、あとで大臣見解を聞きますが、前に戻りまして、この石炭部会の答申が一万六千円最低で出ますその論議の中で、御存じのように、石炭産業の累積赤字約八百億、ビルド鉱の再建費用だけでも四ヵ年のうちに千三百億円くらい必要だと見られておるのですが、この中小炭鉱の現在千七百人にすぎないといわれておりまするが、そういうものに対する配慮なども論議されておりましたでしょうか。
  92. 辻英雄

    説明員(辻英雄君) 当初、ただいまの石炭鉱業の最低賃金が昭和三十七年に答申されます前の段階では、御承知のように、石炭全体の合理化問題につきまして調査団が全面的な御答申を出されるような段階でございました。その際に、基本的な論議は、おおむねそのときに私は中央最低賃金審議会としての論議すべき点は論議されておったと思います。今回問題になりましたのは、そのような全体の石炭のことを考慮してつくられた坑内夫一万六千円という最低賃金を、この際、中小に及ぼすかどうかということだけに問題がしぼられておりましたので、比較的先ほど申しましたように、全体の石炭の合理化の進展なり、全体としての賃金の動向なりというようなものも大局的にも判断になってこういう御答申してあったと思います。なお、論議の過程で一万六千円未満を一万六千円に引き上げました場合に、全体として労務費、賃金にどのくらいはね上がるかというようなことは、もちろん御議論としてはございました。
  93. 小柳勇

    ○小柳勇君 これでも最低一万六千円ということではなかなか希望者もなくなってきつつあるのですから、時期としてはおそいと思うのですが、四月一日から実施されることを私も希望いたしておきます。  関連しまして、昨日石炭離職者に対する緊急就労事業の賃金の問題を質問したのですが、建設省も内定はしておるようですけれども、まだ公表はしていない。この賃金問題に関連をしますから質問するのですが、これはどなたでしょうかね、担当は。この緊急就労事業に対する賃金が、その地域における最低賃金、まあ広い意味の、法的な意味でない最低賃金の目安になるんですが、これに対して労働省としては一体どのくらい発言力があるのか、お聞きしておきます。
  94. 住栄作

    政府委員(住栄作君) 御承知のように、石炭離職者のための緊急就労対策事業は請負で施行をいたしておるわけでございます。で、私どものほうといたしましては、公共事業とか特別失業対策事業に準ずる方法によりまして、公共事業なり特別失業対策事業の労力費積算をどうするかということにつきまして、公共事業の労力費積算の方法に準じまして労力費を計算しまして事業主体に流しております。したがいまして、緊急就労事業の場合は、公共事業がどうなるか、公共事業のきまった線によりまして必要な予算を事業主体に流す、こういうような関係になっております。
  95. 小柳勇

    ○小柳勇君 その点はわかりますが、昨年の事業費単価千五百円が今年は千七百円になる、二百円上がるわけです。そういうときに、これには労力費も入りますから、賃金として見なければならぬわけです、労働者を働かせますから。事業として、たとえば資材費などと同じと見てもらっちゃ困るわけです。それを建設省なり公共事業等から請負に渡しているのですから、これは一つの設計の単価でございますといえばそれまでですけれども、労働省として、その地域における最低生活する人の賃金の目安になるのですから、相当の発言力をもって、この千七百円の中には賃金はこのくらいですよ、そのくらいの発言力がなければならぬと思うわけですが、その点を質問しているわけです。
  96. 住栄作

    政府委員(住栄作君) 御承知のように、公共事業の労力費の積算の基礎につきましては、各地におきます土工の賃金をもとにして労力費をはじいております。したがいまして、緊急就労対策事業につきましても、実施をしております各県の土工の平均賃金、これをもとにいたしまして労力費を千七百円の中で算定をいたしておるわけでございます。
  97. 小柳勇

    ○小柳勇君 まあそのことはよくわかるのですがね。さっきの話にまた返りますが、最低賃金一万六千円が一応認められますと、現在働いている坑内夫は最低一万六千円は保障されるわけですね。それがたまたま閉山によって離職する、そうして緊急就労事業に入った。その場合には、あなたまかせになってしまいまして、公共事業でございますから県がきめている。それだけですと、もっとこれはいろいろな意味でたたかれるでしょうね。したがって、私は、最低賃金をきめる労働大臣は、公共事業の中に働いている労働者に対する賃金についてはみずから決定するくらいの権限を持ってもらいたい、そう考えるわけです。そういう面で建設省などとの折衝はあろうと思うが、どういう程度の折衝をされるのか、建設大臣労働大臣との間にどういうふうな折衝をされるのか、それを聞いておきたい。
  98. 辻英雄

    説明員(辻英雄君) 公共事業の賃金につきましては、かつていわゆるPW方式がございました時代には、P脚を労働大臣が決定したわけでございます。しかしながら、現実にはそういうものをきめますと、きめまして個々の支払い賃金に介入いたしますことは、賃金の原則労使が自主的にきめるということから見てあまり好ましくない。特に最近のように、建設省賃金の上昇が非常に早いときに、ああいう法律の形式で縛るということは望ましくないというふうに考えまして、三年ほど前にこれを廃止させていただいたわけでございます。廃止の際に問題になりましたのは、労力費の単価につきまして各省は資料を持っていないから、廃止は廃止で、そういういま言うような労働省の考え方に賛成していただきましたけれども、それにかわる資料がほしいということでございまして、労働省としましては、その際に資料を提供しましょうということを約束をいたしまして、御承知の屋外労働者の賃金調査に関する資料を建設省その他に提供しているというのが現状でございますが、例年御承知のように、あれは八月現在で調査をいたしております。八月現在の調査によればかくかくであるということを提供しておるだけでございまして、あとは各省がそれぞれ事業施行上の観点からおきめになるということになっております。
  99. 小柳勇

    ○小柳勇君 それを各省おきめになるということを、もう少し積極的に労働者の賃金、特にこの最低賃金と関連のある賃金については、いま少し何らかの方策を立てなければなりませんでしょうが、あとでこれは大臣質問しましょう。結果的にいって、まあ建設省では内定しておるのでありますが、労働省のほうには、そういう場合、ただもう通知がくるのですか、あるいは何か相談がございますか。
  100. 住栄作

    政府委員(住栄作君) 私どものほうでは、先ほど説明申し上げましたように、従来から公共事業の単価を使っておりますので、私どものほうから積標的に建設省と連絡をいたしまして、その決定した数字に基づいて新年度からの事業予算の配賦その他の作業を進めておる次第でございます。
  101. 小柳勇

    ○小柳勇君 次の問題に入りましょう。労働金庫の育成はどの局でございますかね。閉山に伴いまして、炭鉱地帯の労働者が労働金庫に預けました預金が、逆に労働者が労働金庫から借りますと、それが労働金庫に返らないわけです。悪いことですけれども、会社まで労働者の名前で労働者一人々々から労金から借りてもらって、それを使って、しかも、それを返さないで閉山になったという例もたくさんあります。そういうことで北海道あるいは九州の労働金庫が非常な欠損をしておる。したがってそういう欠損については何らかの方向政府がめんどうを見るべきである、労働金庫を育成するという立場からめんどうをみるべきであると考えるが、いままでにとられました施策をお聞きいたします。
  102. 三治重信

    政府委員(三治重信君) 石炭が急速に産業構造上斜陽化しまして、そういう場合におきまして、よく組合の名前で会社が金を借りて、そして各人に支給しているという例はだいぶありました。それから、最近もあるようでございますが、いままでは大体いわゆる共同連帯責任という観念から、われわれのほうでは、だいぶ返されて、最終的には返されているというふうに考えております。具体的にどれくらい欠損があるか、また、それがどういうふうな問題を今日に残して重大な問題になっているかということについては、私まだちょっと勉強足りませんで、承知しておりません。
  103. 小柳勇

    ○小柳勇君 きのうの通知のときに、これを通知してなかったから、数字を持っていられないのも無理ないと思いますから、調べておいていただいて、会社の倒産なり、あるいは閉山によって労働金庫から借りた金が返せないで、どの労金はどのくらいそれで赤字を持っておるということを御調査になって、そして具体的にこれが救済策について検討していただきたいと思います。その問題はそのくらいにしておきます。  さっきの緊急就労事業に関連しまして、落としておりましたから質問します。一日平均緊就人員が、本年度六千四百人から明年度は五千八百人に減ってるんですね。六百人減ったんですが、三十七、三十八、三十九、四十、四十一と、まあ大体の見通しがありましたら、あなた方の見通し、今後の計画のための見通しがありましたらお伺いしたいと思います。
  104. 住栄作

    政府委員(住栄作君) 御指摘のように、本年度の緊就事業の対象者六千四百名でございます。明年度は六百人減少をいたしまして五千八百人で予算を計上いたしております。この六百人の減少を見込みましたのは、今年度におきます緊急就労者の他への就職、その他一部引退等もございますけれども、そういういままでの傾向から判断いたしまして、明年度は五千八百人で、現在の就労者に対しまして二十三方の就労ができる、こういう計画で予算を計上いたしておるのでございます。今後のことにつきましては、御承知のように、緊急就労者の年齢構成等も高くなってきておりますし、それから、その他の広域職業紹介の状況、あるいは県内の他の場所への就職状況、こういうものをよく考えあわせまして適正な人員を計上していきたい、こういうように考えます。
  105. 小柳勇

    ○小柳勇君 今年は六千四百人で、六百人減っているのですが、閉山の方向は、しばしば石炭委員会でも問題になりますように、見通しよりも上回るのではないかということですが、上回った場合の予算措置はどうなりますか。
  106. 住栄作

    政府委員(住栄作君) この問題につきましては、一昨年の炭鉱離職者臨時措置法の改正によりまして、新たに合理化によって出てくる離職者に対しましては手帳を発行いたしまして、手当を支給しながら民間の他の雇用の場合を見つけるとか、こういうことでいろんな方策をとっておるのでございまして、臨時措置法改正後の離職者は対象にはなっていないのでございまして、むしろ臨時措置法改正以前の離職者対策として引き続きやっておるような状況でございます。新たに出てくる離職者に対しましては、改正法の趣旨に従いまして再就職促進をはかっていく、こういうことになっておるのでございます。
  107. 小柳勇

    ○小柳勇君 その問題はそれくらいにいたしまししよう。  午前中に大臣質問いたしましたのを少し深く質問していきますが、地域別産業別雇用計画の策定ということですが、先般予算説明でちょっとありました、たとえば中央雇用計画官一人、地方雇用計画官二十二名云々ということがありましたが、具体的に御説明願います。
  108. 住栄作

    政府委員(住栄作君) 実は昨年の六月、地域別産業別雇用計画の試案を発表いたしたわけでございます。その試案の内容につきましては、まず期間を、最終年度四十三年度を考えまして、現在から四十三年度までに労働力の供給面がどうなる、それから、需要面はどうなるか、こういう観点から、供給面につきましては学校の卒業者、新規労働力の問題でございますが、そういう新規労働力の問題、それから転職者の問題、あるいは非労働力から労働力になる者、そういう観点から労働力の供給がどのようになるであろうか、こういう点でいろいろ作業をしておるわけです。需要の面につきましては、産業経済の活動との関係がございますので、通産省の産業構造審議会で、やはり四十三年度までの各地域別の経済活動の状況がつくられておりますので、それを見まして需要を想定をしておるわけでございます。そういうふうに需要と供給をとらえまして、それが府県別にどうなっておるか、それから第一次、第二次、第三次産業別にどうなっておるか、こういうような観点から、地域別と申しますのは府県別、産業別と申しますのは一次、二次、三次産業別、きわめて大まかな分類ではございますが、そういう観点から試算をしておるのでございます。それで、これはごくラフな数字でもありますので、その後、中期経済計画も策定されておりますし、あるいはこの数字の中には性別等の問題も含まれていないわけでございます。あるいは産業別に見ましても、一次、二次、三次よりもさらにこまかく産業別をどうしたらいいか、こういうような観点から今後作業を続けて、できるだけこれを本物にしていきたい、こういうように考えて、現在作業中でございます。
  109. 小柳勇

    ○小柳勇君 百五十一万円のこの予算なんですが、これで人件費をとりますというと、仕事というのは一体どういうことをやるのか、具体的なもの、それから、その雇用計画をやりましたあとの裏づけ、そういうものについて御説明願います。
  110. 住栄作

    政府委員(住栄作君) まず、地域別産業別の予算でございますが、本年度までは百五十六万三千円でございますが、明年度におきましては二千二百八十五万六千円を計上いたしております。この内容といたしましては、先ほど申し上げましたように、昨年つくりました試案をたたき台にしまして、これを本計画としてつくり上げていきたい、こういうことでございますが、その内容といたしまして、計画作成のための研究会を、本省、それから各府県の段階につくります。本省は五名程度の構成でございますが、地方は三名程度でございます。それから、いろんな資料が不足いたしておりますので、特に主要産業の雇用事情、これは需要面とか供給面の調査実施していきたい、こういうように考えております。そういう研究会の活動費とか調査の費用を合わせまして二千二百八十五万六千円を計上いたしておるのでございます。
  111. 小柳勇

    ○小柳勇君 この雇用といいますのは、需要するものが雇うわけですね。いまおっしゃったような統計的なもの、あるいは調査活動というものでそれがそのまま雇用には結びつかないのではないか。いろいろ実態を把握することは必要です。これは労働市場センターができまして、電子計算機でばりばり毎日やられるというと、労働力の移動、あるいは失業状態、就職状態がわかりましょうが、雇うというのは会社が雇う、あるいは官公署が雇うのですから、雇う方向に何か皆さんが試験官になって立ち会うとか、あるいは各省に通牒を出して、これこれのものがあるから、これこれの仕事に雇ってくれというようなことをやりませんと、統計活動になってしまう、調査活動になってしまうのじゃないか。その調査しましたそれを雇用にどういうふうにして結びつけていくのですか。
  112. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 雇用計画につきましては、住部長から説明がありましたとおりでありますが、これを今年決定版にいたしまするとともに、雇用政策のガイドポストとして役立てていきたい。その現実の雇用政策との結びつきをどうするかということが問題になるわけでございます。私どもも、こういった産業別地域別の雇用計画に基づきまして、学卒の需給の調整、それから中高年の雇用促進、さらには季節労働者の就労体制の確立、こういったことにつきまして、できるだけ地域雇用計画を背景に今後の具体的な雇用政策を展開してまいりたいと、かように考えておるわけでございます。
  113. 小柳勇

    ○小柳勇君 いまのところ、具体的なところをもう少し説明してもらいたいのです。さっき言いました、たとえば政府機関の官公署なり、あるいは会社なりに、その実態がこうだから雇いませんかと、そういうような働きかけはどういうふうにして今後やっていくのですか。
  114. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) この雇用計画は、もちろんわれわれの雇用行政のガイドポストでありますとともに、企業の側、産業の側にもこういった考え方を示しますと、企業、産業も、これにそれぞれの企業における雇用計画、採用計画、こういったものを背景に考えられてくる、そういった反映のしかたが当然考えられるわけでございますが、具体的に労働力の有効活用という観点から、企業、産業に労働力を配置する場合は、これはやはりわれわれの窓口でございます職業安定機関を通じて、具体的な紹介活動、あるいは募集、その他自主的に雇用主が行なう活動に対する規制、こういったことを通じて、この雇用計画に基づく具体的な職業紹介業務を行なっていきたい、かように考えております。
  115. 小柳勇

    ○小柳勇君 具体的に質問いたしますと、この中央雇用計画官というのはどういう仕事をするのですか。
  116. 住栄作

    政府委員(住栄作君) 先ほども申し上げましたように、この計画は地域別に、あるいは産業別に需給のバランスを見ていこう、こういうことになっております。そこで、地域別と申しますのは、いまのところ府県別を考えております。すなわち、各府県におきまして、やはり府県内の雇用計画というものをつくっていただこう、こういうように考えておるわけでございます。したがいまして、地方にもそういう雇用計画を担当する専門家を置いてそういう作業をしていく、こういうことになっております。で、中央雇用計画官は、そういった地方雇用計画担当の者に対する指導、特に地方計画を作成するにあたっての指導、相談、これは各県それぞれの開発計画等もございますので、そういったこととの関連においていろいろ統合勘案すべき問題ができてきますので、そういう面で地方の指導に当たると同時に、それを全国的にまとめたものが地域別産業別の計画になるわけでございますので、そういう作業に当たる、こういうように考えております。   〔委員長退席、理事杉山善太郎君着席〕
  117. 小柳勇

    ○小柳勇君 たとえば甲という県と乙という県がありまして、甲には一万人余っておる、乙には五千人足りないから、それを計画官が調整して移動せしめると、こういうことですか。
  118. 住栄作

    政府委員(住栄作君) 御指摘のような需給バランスは、結局各県によって違うわけでございまして、ある県では一万人余る、その余った一万人に対して、他の県では足りない県があるわけで、ございまして、そういった関係、その県におきます需要との関連におきましてどのように見ていくか、こういうような点について研究し、計画を立てていく、こういうことになると思います。
  119. 小柳勇

    ○小柳勇君 社会党が内閣をとりますと大体これでわかるのですけれども、いまは資本主義社会、しかも自由競争で、若い者、あるいは優秀な者を会社が選んで、選択して採用するわけです。そうしますと、その採用する、雇用するという側に立って考えますと、甲の県に一万人いま過剰労働力があるから、それじゃ、ひとつこれを五千持ってくると、そう簡単にいかないと私は思うのです。したがって、その調整、それにはもちろん労働力の移動には金も伴いましょう、施設も伴いましょう、あるいは職業訓練も必要でしょう、そういうものとの関連はどうですか。
  120. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) もちろん雇用計画に基づいて雇用政策を展開する場合におきましても、就労配置についての強制力を持ち得ることは全然考えられませんので、あくまで誘導政策で、地域問、産業間の需給のバランスをとっていこう、こういうことで、直接的な強制力というものは、そういう手段は全然考えておらないわけでございます。したがいまして、地域別産業別の雇用計画どおりにきちんと当てはめていくという手段が実はないのでございますけれども、それはやはり労卒の府県問の調整、あるいはいままで重要既成工業地帯に農村地帯から相当学卒のみならず、農業の過剰労働力が流入しておったわけでございます。これもだんだん底をついてくる、こういった関係がはっきり計画の中に出てまいりますので、そうしますと、既成工業地帯における労働力の需要に対処いたしましてどういうふうな雇用政策を立てていくか、私どもとしましては、既成工業地帯内における労働力の新たな開発、たとえば四十歳前後の主婦労働力というものをもう少しパート・タイム方式、あるいはその他の雇用方式でもって求職のほうを開拓していくというふうな積極体制をとらなければならぬと思います。そういった非常にきめのこまかいといいますか、具体的な対策を展開しながらこういった青写真を背景に雇用政策を展開していこう、こういう考え方でございます。
  121. 小柳勇

    ○小柳勇君 話を少し進めまして、労働市場センターの将来の構想、そういうものを少し具体的に説明していただきたい。そうしますと、もう少しいまのところが明らかになるのじゃないかと思います。
  122. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 労働市場センターの考え方は、今年度からこの構想に基づきまして、三ヵ年計画でこの労働市場センターを整備するという計画で進んでおりますが、三ヵ年に要する経費が、電子計算機の借料等を除きまして、設備経費といたしまして約四十億を予定しております。初年度が約十億見当でございましたが、今年度は十三億五千万程度でございます。したがいまして、最終年次の再来年度は残りの整備をいたすわけでございますが、この考え方は、全国五百カ所の安定所を市場センターに電信回線でもって直結をする。そうして失業保険と職業紹介の業務をデータによって伝送をしてくる。そういう伝送システムを整備することによって、全国津々浦々の安定所における失業保険業務と職業紹介業務が、センターにデータが伝送されてき、そのセンターによっていろいろと仕分けをされて、職業紹介であれば、鹿児島の求職者に見合う全国的な求人が、一定の条件のもとに電子計算機を駆使することによって適当な求人が選定されてくる、それが即刻鹿児島の求職者に伝達されてくる、その条件の範囲で第一線の安定所の職員が求職者の職業紹介なり職業相談に応じてくる。さらに、移動を伴う場合には、宿舎その他のこまかい条件がいろいろと問題であるのでありますが、それらについても、即刻この伝送システムを通じて求職条件の確認をやっていく、こういうふうな手順になりまして、従来二カ月程度そういった連絡事務にかかっておったものが、ほとんど時間的にはゼロに近いくらいの短時間の間にそういった条件の整備ができてくる、その条件の中で、今度は本格的に職業紹介を担当の職員が行なっていく。したがいまして、われわれ職安機関がやっておりまする仕事の大半といいますか、機械で処理できるところは最大限にこの伝送システムを使って処理していく、そうしてほんとうに人間の結合をはかる紹介の場面、あるいは相談の場面人間でなければできないところを人間が担当する、こういう考え方でこの仕組みを考えておるわけでございます。この仕組みができた暁にどういう機能が出てくるかということでございますが、これはもう全国五百の安定所をこういったシステムに統括いたしますると、名実ともに全国一本の労働市場が形成される。しかも、その市場が従来のような封鎖的な市場じゃなくて、横断的な市場でございますので、市場機能としても近代化ができる、そういった近代的な労働市場のもとに具体的な職業紹介業務が展開される、こういうことを期待いたしておるわけでございます。
  123. 小柳勇

    ○小柳勇君 思想、信条の自由、たとえばそれはもう非常に詳しくデータを送ってくると思うのだが、社会党員何名、共産党員何名、公明党何名というふうに、詳しくすぐわかると思うのですが、これこそ労働者の思想分布まで出てくると思うが、そういうものに対する介入は絶対やらないということを言明を願いたいと思うのですが、いかがですか。
  124. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) この機能は、あくまで安定法に基づいて運営されるわけでございまして、安定法で現在規定されておりまする第三条の均等対遇、こういう原則は、この機能を使う場合においても前提として重視してまいりたい。したがいまして、そういった思想動向等の要件等について、このシステムを使って特に掘り下げて究明をするというふうなことは一切いたしません。また、職安の窓口としましても、そういった求人条件の差別扱いは、求人者に御反省をいただいて、窓口において受け付けないという仕組みになっておりますので、その点の御心配は要らないと思います。
  125. 小柳勇

    ○小柳勇君 一ぺんその現物もまた見せていただきますが、思想統制、あるいは昔の特高的なそういうものは一切この労働市場センターには関係ない、こういうことで確認しておいていいですね。
  126. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) よろしゅうございます。
  127. 小柳勇

    ○小柳勇君 あとでまた現物を一ぺん見せてもらって説明していただきますが、職業安定所に失業保険課がなくなったのはなぜですか。
  128. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) この二月一日から安定所の内部機構を改めまして、事業所課と職業紹介課というふうな編成のしかたに改めたわけでございます。これは従来、失業保険課と職業課というふうな分け方でございましたが、失業保険の受給者が、御承知のように、求職者として安定所の窓口にあらわれるわけでございまして、この失業保険の受給者に対する就職あっせんということが従来非常に軽視されておりまして、ただ、形式的には求職者としてあらわれるのだけれども、実際上は保険金を機械的に支給するというふうな実情になりがちになっておったわけでございますが、これは現在の失業保険制度の根本の趣旨を誤って運用されるという危険性がございますので、私どもとしましては、こういった労働力不足の事態に対処いたしまする関係もございまして、安定所の内部機構を先ほど申しましたような立て方に改めたわけでございます。   〔理事杉山善太郎君退席、委員長着席〕 ちなみに、今後の安定所にあらわれる求職者の傾向を見ますと、現在のところは、大体五〇%程度が一般の求職者で、その他が保険の受給者としての求職者でございまするが、将来、失業保険の適用が完全適用になった暁を考えますと、学校を出て社会に出れば必ず失業保険の適用がある、失職すれば必ず失業保険の受給者として安定所に求職をしてくる、こういうのが原則的な姿に相なると思います。したがいまして、私どもの安定所の内部機構も、そういった事態を予想しながら、本来の制度の運営に万全を期するために内部体制を改めたわけです。
  129. 小柳勇

    ○小柳勇君 ほかに問題がありますけれども杉山委員も時間がほしいそうでありますから、最後に、電気産業に対するスト規制の廃止の問題について質問いたします。  先般のILOの結社の自由委員会の第十二次報告の中にそのことがまた討論されておりますが、一九五三年の二月十日に、電気事業及び石炭鉱業におけるストライキ権の行使が制限されておる。しかも、それは三年の時限立法であった当時の情勢から、これはやむを得ないということであった。しかるに、それからもう十二年もたっておるのに、なお日本政府はこれを規制しておる。労働者の生活の安定などに対する格段の保障もしないままストライキ権を剥奪しておるのだということは、これはもう問題にもならないというようなことで討論をされておるようでありますが、この電気産業に対するストライキ権を剥奪したその法律を廃止するということについていままでどのような措置がとられていたか、お聞かせ願いたいと思います。
  130. 三治重信

    政府委員(三治重信君) 結社の自由委員会の報告にも一部触れられておったところでございますし、また、先年、電気事業法制定の場合にもいろいろ問題になりました。それで、政府としてはいろいろ検討はいたしますけれども、いま現在、直ちにこれを廃止する考えはないということを、総理以下、関係大臣が御答弁なさっているわけでございます。それで、いまのそのスト規制法によるストの規制は、やはりストライキの禁止ということではなくして、ストライキが非常に不法なストライキという部面についてはっきりさすために、スト規制法はストの方法について規制したということ、ただし、それが石炭の保安の関係は、これはやはり設備そのものに直接関連するからということで、非常に何と申しますか、ILOにおいてもそれは当然のことだというふうに結論になっております。ただ、電気事業については、あらゆる部面の電気の供給を禁止するというのは、いかにもまあ何と申しますか、ストの方法の規制といっても、実質的なストライキの禁止ということにも考えられるということでございます。そういうぐあいにしますと、結局電気の供給の部面で、どういう供給の部面のストライキがあっても、それは産業に決定的な打撃を与える、非常にそれによってこうむる損失が、その労使関係の、いわゆる労働三権のストライキという権利を行使することと経済に与える打撃とのあまりにもアンバランスということにならないような回避のしかたがあるかどうかという問題についての非常に技術的な問題になるのじゃないかと思うわけでありますけれども、しかし、われわれ労働省のほうからいきますと、そういう技術的な問題も非常にありますとともに、それから、まあ電気関係の従業員が、その供給についてはなるほど規制されているけれども、そのほかの部面については規制はあまりできないという部面もあるわけです。三公社五現業のように、一律にあらゆる部面においてストライキの禁止という——部分ストとか、その他全部禁止しているということもないわけですし、それによって強制的な代償保障措置、いわゆる公労法の関係みたいな法の規制がそのために電気事業には特別必要かという問題、それについては、いまのところ、私たちは正式に問い合わしたわけでもないけれども関係組合のほう等と内々うちのほうでいろいろ話しているところでは、そういうふうな公労関係みたいなものに入れられるのはかえって迷惑だというふうなことがあるわけでございます。そうすると、強制的な代償保障措置というのは、いまの現在においては関係者は望まないのじゃないだろうかというふうな検討をいまやっておりまして、実際において、政府としては、この電力の供給というものがいっときたりともとめられることがスト規制法によってなくなったということで、非常な安心感を与えている。それを排除するということは、いかにも労使関係が現在のところうまくいっているのだからいいのだというけれども、それが必ずしもそれを全部保障するというふうにはまだ少し早過ぎるのじゃないかというようなことで、現在まだ当面、直ちにこれを電力の関係について廃止するということにはちょっといきませんが、いろいろまたさらに検討していきたいということであります。
  131. 小柳勇

    ○小柳勇君 わが党は、このスト規制法の廃止に関する法案を出しておることでありまするから、その機会にまた詳しく質問をいたしまして、大臣並びに他の問題の質問は明日の予算の分科会に譲りまして、私は質問を終わります。
  132. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 午前中、大蔵大臣に、たとえば激甚災害法適用地における労使関係及び離職者保護措置について大臣の直接見解なり所信なりを聞きたいという点は、この離職者の保護処置についてでありますが、自余の具体的な問題として、たとえば都タクシーであるとか、昭和石油であるとか、北越製紙の労使関係という問題にちなんでは、それぞれ関係局長からひとつ聞いてもらいたいという面で、ひとつ労政局長からまあこれはかりそめの予告質問になっておりますので、労使関係の若干の言っていることの食い違いということはさることながら、このお尋ねせんという趣旨は、過去にあった事実はともかくも、今後行政指導の面で、十分意識して労使関係をうまくやらないと、なかなかいい面の一度あることが二度あることはいいけれども、これは再びないことを保証することが必要だと思うのですが、労使関係は遺憾だ、そういうことに私は質問趣旨をとっているわけでありますから、まあ委員長からは三時ごろまでということになっておりますので、私もそういうような関係で、まだ他に一件中小企業の労使関係についても若干質問したいというふうに考えておりますので、そういうような点でひとつお答えいただきたいと思います。
  133. 三治重信

    政府委員(三治重信君) 午前中、大臣に御質問過程で述べられた労働事情についての先生の御発言は、私たちが調査しております報告と大体一致しておりまして、非常に正確にお述べになったと、私たちもそういうふうに拝聴いたしました。それで、具体的に北越製紙の問題についてまずお話し申し上げます。天災によるのがきっかけになって非常な合理化が行なわれた、これについて、労使関係として、企業連においては会社と相当協力的に、やはり組合のほうも会社とよく折衝されて、特別何と申しますか、両方にどちらが利、不利ということがなく、合理的に解決されてきたと思います。ただ、一部この中でお述べになりましたように、三十二名の解雇反対者が特別の組合をつくった、これも組合内部の問題で分裂したということではないかと思います。この反対者と会社との関係につきましては、これはやはり会社も、当時私も中へ一部入った経験からいきましても、やはり解雇者については、会社側が、あらゆる関係機関の御協力を得て、この解決には努力をしますというふうにはわれわれにも申しておったわけですから、今後とも、こういう離職者の問題につきましては、会社も誠意をもって当たるように指導していきたいと思います。  それから、昭和石油の問題は、再建のめどがこれで大体ついたのじゃないかと思っております。したがって、特別新しく四万バーレルの新工場が完成した後には操業人員は減るわけでございますが、会社のほうも大体配置転換その他ではかっていって、そう強行手段、いわゆる一律会社の指名解雇という、何もそういうふうな意図はないというふうに思っております。いずれにいたしましても、まだ相当の期間があることで、これは労使関係、組合と会社のほうとの話の進行を見たいと思っております。昭和石油の問題は、したがって、まだ時間的に相当余裕があるから、これはもう少し経過を見て、また、実際問題として、そういう何と申しますか、労使関係が悪化するというようなことはないのじゃないかというふうに見ております。  また、都タクシーの問題につきましても、先生の情報の把握とわれわれとほとんど合致しておりまして、三月二十日に解決しております。こういうような非常な何と申しますか、深刻な争いに中小企業がなるということは、組合があまり強いと会社がつぶれる場合もあるし、こういうふうに会社が少し強過ぎると非常な無理なストライキも行なわれるというふうになるわけですから、こういう部面については、あとう限りやはり第三者的な労政機関が若干ずつ双方意見をただしつつ、何と申しますか、感情的対立にならぬように、できる限りそのあっせんの労をとるべきだと思います。しかし、従来、この労使関係については、非常にこじれた場合は別として、特別まあ争いが出たからといって、行政機関があまり入るのを遠慮してきたいきさつがございます。しかし、最近中小企業のこの労使紛争がすぐ感情問題になっておる。ああ言ったからすぐそれじゃこうだというふうな感情問題に入らぬようにするために、あらかじめ双方意見をよく聞いて、何と申しますか、そういう感情問題にいかないような交渉関係が持たれるように指導していくという部面について、いま少し力を入れていきたいというふうに考えております。
  134. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 この北越製紙と昭和石油は、言うなれば大中小零細企業、そういう一つのランクで判断するならば、比較的大きな企業に属するほうであると思うのです。特に労使関係という問題にちなんで、激甚災害法適用地域といったことにつきましては、たとえば北越製紙にいたしましても昭和石油にいたしましても、経営スタッフは激甚災害法の、言うなれば精神というものと、その次元における道義的責任というもの、先ほど午前中に大臣に申し上げましたように、それなりに技術革新も含めて改良復旧をする程度に融資を受けておるなり減税処置も受けておって、とりあえず災害の中から立ち上がれると見るのですが、やはり労使の協力によって一つの生産が上がるという観点からとらえてみると、その下積みになってしまうのがやはり労働者であるという事例が出てきておるのだ。だから、その限りにおいて、やはりいろいろ罹災者の保護処置という問題なども云々するのでありますけれども、問題は、この経営陣がその事実を踏んまえて、道義的責任を今後身につけて労使関係に移行していただかないと、たとえば、なるほどいま労政局長が言われたとおり、昭和石油はとにかく日の当たった産業で、石油産業だから心配あるまい、そうしてまだ一年ある。私もそう思っております。しかし、先ほどちょっと申し上げましたように、これは非常に悲しいことだと思いまするけれども昭和石油株式会社は日本人のスタッフがやっておる、しかし、資本構成から見まするというと、五五%がイギリスの資本から出ておる。しかし、いずれにいたしましても、事その技術革新とか労務管理とかいう問題になると、ほんとうなら金を幾ら出しても、経営の責任はこちら側にあるのだ、遠慮する必要はないと思うのです、実際問題として。そういう問題を労働組合が、労使経営協議会を通してうまくいかなければ、団体交渉権もあるしスト権もあるからやるぞ、こういっているので、その辺をひとつ行政指導の面においても指導性を、労管についても中央機関でさらに身を入れてもらいたいというところに焦点があるということと、それから、いま一つは都タクシーの問題でありますけれども、これはいま労政局長の御見解で、大体そう私はそれに対してどうこう目にかどを立てる必要はないと思いますけれども、たとえば三月の十八日に新潟県議会では、これは経済産業委員会でありまするが、某委員は、都タクシー争議の経過を説明せよということを言っております。そこで、まあ地労委の事務局長が答弁に立っておるわけでありまするけれども、こういうことを言っておるわけです。昨年の十二月、あっせんが会社側の拒否で不調に終わりと言っておりまするけれども、前段申し上げましたとおり、都タクシーの労働組合は、相手が悪いのであるが、しかし、争議はあくまでも手段であるから、話し合いの場を求めようということで、何とかして争議に突入せずしてあっせんを求めたところ、会社側が応じなかった。そこで、しようがないから地労委を突っ込む程度でお手あげをしてしまったから、好むと好まざるとによらず、その後においてストライキに入った、こういうわけです。でも、なおかつ会社は、ストに入れば解散するぞとおどかしをかけるから裁判所に仮処分の申請をしたという経緯があります。自来八十四日間も延々と続いて、ハイヤー、タクシーでありますからいろいろありますけれども、そういうことでありますから手をこまねいて、客観的にはそういう結果になってしまっている。しかも、どうしてそういうぶざまなことを——しかも、そのときに、時の氏神さまになったのが商工会議所の会頭であって、第三者的なそういう人が解決をするようなぶざまなことがあるかというような追及のしかたなんです。それについてこう言っているのです。昨年の十二月、あっせんが会社側の拒否で不調に終わり、再び乗り出すべきかどうかむずかしいことだった。出るからには成算を得た上でと考えていたが、情勢分析に欠けた点は反省をすると、こう言っておる。出る限りは成算あってということは古い労使関係で、親分が子分に情勢をさぐらせて、自分の親分が出てもこれは顔が立つ、こういうような旧時代的な古い時代のものの考え方、思想の中で、少なくとも近代的な説得をして、どちらか強いことを言ったって、法にかなう説得をするだけのねばりをもって対処しなければ、少なくともこの論議の中に、一体地労委のあっせんと権威はどこにあるのかということを言っておって、大体地労委の三者構成の中で、使用者側の委員もみな姿勢を正さなければならないじゃないかということが、これは新聞にも出ておるし、おとといの新潟県議会でも論議されておる問題であります。けじめとしてはこういうことを某議員が言っておるわけです。知事の労働問題に対する理解不足にすべての原因がある、地労委の使用者側の委員の顔ぶれをもっと充実するようにせよ、また、県が企業の振興を望むならば、基礎となる中小企業の労使関係を近代化するように指導すべきだ、こう言っておるのです。申し上げましたように、前段の北越製紙とか昭和石油などは日の当たる大きな企業でありますけれども、都タクシーは、これは典型的な中小企業だと思います。で、そういうような点になっておりますし、さらに申し上げておきまするけれども、この都タクシーという会社は、ほかに日の出タクシーという会社と、それから県都タクシーという会社と、認可はみな別でありますけれども、中身はみな同じであります。さらに自動車の修理工場というものも、別建てで工場を経営しておるわけであります。ほかにマル運建設という、とにかく二千名くらいの従業員を使って、マル運建設という土木建設会社もやっているわけであります。さらにマル運通運といって、新潟では日通に匹敵する、このあたりにも出てきておりますけれども、銀トラと言って非常に大型の——それで、この経営者は非常に努力家でありまして、社長は運転手から上がってきた非常に有能な人だと思います。しかし、そのスタッフの中には、かつて副知事であったり知事の秘書課長であったり、それから陸運事務所の所長であるとか、あるいは往年の治安維持法のころの特高警察等の有能な人たちが大体その経営スタッフに加わっております。しかし、企業の全体としては、なかなかローカル企業としては大企業でありますけれども、この労務管理の問題について一応紆余曲折はありましたけれども、今日八十四日目で済んでおりますから、問題は、今後を意識してだれが悪いこれがいいという論議はここではやらないのですけれども、やはり国民経済の中核的な要素にスポットライトを当ててみれば、今日的には、やはりその労使問題というならば、労使関係というものがはっきりその基調、基底がしっかりしていないと、これはどの場合でも苦労しますけれども、そういう点については十分ひとつ意識してやはりやってもらいたい、こういうふうに考えておるわけでありますので、ことにこれは労働基準局長の部門になるかと思いますが、たとえば出先の労働基準局の賃金関係の問題については、ハイヤー、タクシーの賃金関係は、たとえば港湾関係にちなんで見ても、港湾関係が船の波動性の性質上、常用工となにがしかの臨時工というものの関係を持たなければ状態が効率的にならぬ、理屈上どうとかこうとかいう問題は抜きにして、現実的にそうだと思います。ハイヤー、タクシーの賃金体系というものは、本給と水揚げに対する歩合関係相関関係でありますけれども、やっぱりその関係においていろいろ歩合というものと、それから本給というものの関係を野放しにしていきまするというと、やはり水揚げをかせぐのにくたくたになってしまう。そういう点からいうならば、産業交通事故だとか、そういう事故が起きてまいりますので、しかし、新潟の出先機関はうまくそういう点にやっぱり行政指導が、賃金体系について企業の中に入って、一つの限界があり得るけれども、傾向としては、新潟の場合はおおむねつまり本俸といわゆる歩合給との関係はよかったのだが、地震後いろいろ外の悪い例が流れ込んできて、そこでそれを具体的な事象の上で受けとめたのが新潟の都タクシーの結果になっているので、十分やはり本俸の関係を行政指導しておりますということでありますから、これは労働者でもぼくは、これはいずれいろいろな問題について運輸省にも来てもらって、あるいはいろいろな問題の進展の推移の中では、たとえば社労委員会と運輸委員会との連合審査会などでやはりそういったような問題についても、行政指導の側についても姿勢を正しく十分配慮してもらわないと、非常にその将来が心配になるのだというふうに考えておりますので、ひとつ基準局長のほうからそういう問題についての一応見解を承りたい……。
  135. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) ただいま都タクシーの問題について、それに関連していろいろ御指摘がございました。労働諸条件の中で、特に中心になります賃金につきましては一番問題があるわけでございます。タクシー等の特殊な産業形態をとっておる面におきましては、歩合給制度というものがかなり広範に採用されていることは御承知のとおりであります。しかしながら、出来高払い制につきましてはいろいろ弊害もございますので、労働基準法の二十七条の規定におきましても、「出来高払制その他の請負制で使用する労働者については、」云々と規定しておりまして、一定額の賃金を保障しなければならないという出来高払いにおける保障給の規定もあるわけであります。しかしながら、どのような比率を採用すべきかという点についてはいろいろ問題があるわけでございますが、労働省といたしましては、六〇%の固定給をもって指導の基準といたしまして指導してまいっております。新潟の都タクシーのケースにおきましては、先ほど先生の御指摘では七〇%という、六〇%を上回る賃金支払い方法で協定したというお話がございましたが、労働省の指導といたしましても、六〇%を上回るようにという指導をいたしておるところでございます。これは都タクシーのみならず、タクシー、ハイヤー等につきましては、かねて労働基準監督行政としましても、重点の一つに取り上げて指導をしております。特にいま賃金の関係を申し上げた次第でございます。
  136. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 それでは、いまの激甚災害法というローカル色は一応抜きにしまして、一般論として、今度は中小企業、零細企業における労使関係をお尋ねをしておるわけでありますが、お教えをいただくわけでありますが、「労働政策の新展開」というものを一応見せていただきましたが、その中で、たとえば「総合的中小企業労働対策の推進」という、そういう題目の中でいろいろうたってはございまするけれども、私がやはりお尋ねをしようとする点は、たとえば「中小企業労働条件等の近代化の推進」ということで、イ、ロ、ハ、ニ、とそれぞれうたってございます。柱としては、「対象業種の選定」だとか、「最低賃金額の目安の作成等による最低賃金制の効率的指導その他労働条件の改善のための指導の強化」、あるいは「中小企業退職金共済制度の普及」であるとか、「中小企業労使に対する労働教育の強化」であるとか、それから「中小企業労務管理近代化のための諸施策の充実」と、それから(三)の中では、「総合的中小企業労働対策推進のための中小企業集団に対する統一的指導援助系列企業集団を対象とする労働条件の改善、労務管理の近代化、求人確保等中小企業団体を通じての総合的労働対策の推進及びこれに対する一元的助成」、(四)で、「中小企業労働対策を総合的計画的に実施するための行政体制の確立(都道府県中小企業労働対策協議会等の設置)」と、こういうことがうたわれておりまするが、一々これはごもっともなことだと思います。ただ、私は、まあ短くお尋ねいたしまするが、具体的に、たとえば新潟市の場合について、燕という市は小さな市ではありまするけれども、洋食器を生産するということについては、たとえば欧州に行ってもアメリカに行っても、やはり日本代表的な生産地であるということは御承知のとおりであります。この地域をたとえば点検してみるというと、事業所の数が三千八十五事業所あるわけであります。従業員が二万三百八十名あるわけであります。この中に労働組合と名のつくものは九つしかありません。したがって、もう一つ、これは洋食器の典型的な市でありまするが、さらに視角を変えて、三条という、これはやはり市制のしかれている町でありますが、金物の町であります。たとえば大工道具であるとか、はさみ、かみそり、ほうちょう、その他最近では部分品を生産しているわけでありますけれども、事業所の数が、数にして六百二十四事業所あるわけであります。従業員の数にして三万三千二十四名従業員の数があるわけであります。この中で、やはり組合がつくられておるのが二十四なんです。それから五泉市は有名なメリヤスの生産地でありまするが、事業所の数が千六百八十カ所であります。従業員の数が一万一千三百八十七人であるわけであります。労働組合は六つしかないわけであります。そこで、これらのメリヤスなり、あるいは金物なり洋食器をつくっているところの地域というのは、全体の中小企業、零細企業の一つの部分でありましょうけれども、一体こういう中へ、たとえばいまこの「労働政策の新展開」の中で、前段また労働省で構想しておられる一つ基本構想の線、それに対する年間の予算措置はおのずから裏づけられておりますけれども、どういうふうにしてこれを措置していくつもりかということであります。さらに、内容的に申し上げますならば、もちろん労働組合がありませんから、労働協約もありません。それから就業規則は労働基準法上あってなきがごときもので、やはり形としてあり得ますけれども、ここには労使関係というものは全く無政府的な状態であります。言うなれば、燕の洋食器というものはアメリカその他に輸出されるわけでありますけれども、どこから見ても明らかに低賃金、強労働的な、ダンピング的な温床が現地の中に内蔵している。どんな労働組合——もし労働組合に右左があるとするならば、しかし、右左の区別がない、ここでは皆赤だというような認識しか持っておりません。ただ、私が皆さんに申し上げたい点は、大体三条にいたしましても燕にいたしましても、あるいは五泉にいたしましても、それなりに業者間協定という、最低賃金制に関連する業者間協定というものは、形の上だけでかっこうがついているわけであります。そういうような一つの形式論と実態論を突いて、この中小企業の労使関係というものが、ここにうたわれるがごとく、きれい事というものが、もちろんこれは年間の予算関係というものとうらはらの関係で、これだけの事業——しょせん日本が、やはり産業の二重構造という底辺の中からひずみを直すとか、あるいはどうというきれい事を言っても、非常に問題ではないか。しかも、これははしょって申し上げますけれども、やはり、たとえば現在中小零細企業という事業所は、全国的な規模の中では数にして四万数千から五万に近いと思うわけです。その関係におけるところの賃金関係労働者というものは一千二百万をこえておると思う。しかし、いま総評、同盟会議、中立系を含めても、全部ワクの中にはまっている人数は九百何万をこえているわけでありますから、この広範な対象の労使関係というものを一体どうするかといったような問題について、しかし、この新潟県の代表的なメリヤス、これは確かに日本的な主産地です。それから、三条といえば金物の主産地です。それから燕といえば代表的な洋食器の主産地でありますが、こういうような状態の中へ、もちろん出先機関においては、やはり労働省が、労政事務所なり基準局なり監督署でありましょうけれども、どういうような関係で一体これを行政指導していくかというような問題について、実に憂うべき現状ではないか、そういうふうに考えますので、中小企業の労使関係という問題は、やはり国民経済をふんまえて、非常に重大問題ではないか、こういうふうに考えまして、きょうは時間もありませんから、いずれ他日に譲りますけれども、総括して、やはりこれらの問題についてひとつお答えをいただきたいと思います。見解をいただきたい、こういうふうに思います。
  137. 三治重信

    政府委員(三治重信君) 四十年度におきましては、私たち中小企業の労働関係と申しますか、に対しては、やはり地域的、あるいは産業別に、中小企業集団という名で、ことにその代表的なものは協同組合と考えておりますが、それを四百カ所選んで、そうして府県がこのわれわれの出先機関のいわゆる労政、基準、職安、婦人というものを一体として、そういう集団に対して総合的な指導体制をとろうというふうなことで、一カ所約百万円の事業費で、これに対して国と県と合わせて五十万円の補助金をつけて、そうして労務改善事業というものをやらして、それがいわゆる改善計画をやって、それに対して補助金を出していこう、こういうふうにして、やはり中小企業に対する労務関係の改善計画を押し進めていきたいというふうに考えております。そうして、その中身の事業計画が、いま先生がお読みになりましたいろいろのことを羅列しておりまして、それを全部が全部どの企業集団にもやらすというのではなくして、その各企業集団で、そういう広範囲の中で特に重点を置いてやりたいという幾点かを選び出させまして、それを計画的にやっていくように指導していきたい、そういうふうな、いわゆる自力で業者が団体を組んで改善計画をつくっていく、それに対して労働省の出先機関が一体となって指導していく、さらに、その指導なりそういうものについての、何といいますか、承認関係につきましては、県段階におきまして学識経験者として関係者も入っていただいてこの事業の推進に役立たしていきたいというふうに考えて、目下府県とこういう地区の選定並びにその予算措置を早急にとるように連絡して、大体現在のところで、私たちは四十年度において四百企業集団について実施できるというふうな確証をほぼ得ている段階でございます。
  138. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) ちょっと経過なり、やってまいりましたことを御参考までに申し上げますが、いま労政局長が申されました内容は、昭和四十年度から新しく展開する施策でございます。先生がお持ちの資料もそれに関連するものでございます。しかしながら、この中小企業労務管理近代化の問題は、労働基準行政の立場から、ここ数年来、一つの重点として展開してきたのでありますが、中小企業労務管理近代化指導、それを集団的に行なうという立場から、御指摘の燕の洋食器であるとか五泉のメリヤス、これは労務管理近代化集団指導の対象といたしまして、ここ数年来、労働基準行政の面から積極的な指導を行なってきたのでございます。その過程におきまして、労働者を使用しているもの、専業的家内労働と申すべきもの、いろいろございまして、一方においては最低賃金制度を普及させると同時に、一方においては標準工賃制度をさらに拡大するといったような、実態に即しました指導を行なってまいったその過程におきまして、就業規則は形式的じゃないかというような御指摘もございましたけれども、そういった労働条件の基準になります就業規則等につきましても適切な指導を加えまして、逐次整備させつつあった段階でございます。三条市における場合は一応対象に取り上げたいと考えたこともございましたが、何ぶんにも職種が雑多にわたっておりまして、同職種の集団としてとらえるにはやや困難な面がございましたので、従来検討中であったものでございます。そのような集団化指導を行なってきたのでございますが、ただいま労政局長からお話のように、単に労働基準法の適用というのみならず、人手不足のおりから、労務の充足といったような、いわゆる労働行政全体として中小企業に問題をしぼるべきである、こういう観点に立ちまして、昭和四十年度からは府県に中小企業対策協議会を設置いたしまして、労政局長が申し上げましたような補助も行なって、さらにこれを前進させたいということでございます。従来の私どもの行なってまいりました点につきまして至らない点もございましたが、実は問題が幾つかあるということを意識いたしまして目下指導中であったというのが現状でございます。
  139. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 もう一点だけ。いま基準局長が言われました都道府県中小企業労働対策協議会の構成というものは、大体どういうふうに概念的に考えておられるわけですか。
  140. 三治重信

    政府委員(三治重信君) 県の部長、いわゆる商工関係、それから労働が入ります。それから基準局長、婦人少年室長、それから県のいわゆる経営者団体、あるいはそういう中小企業についての組合の、いわゆる具体的に県評とか同盟関係とか、それから、特に中小企業に経験の深いという適当な人があればそういう方も入っていただく、経験者として三、四名入っていただいて、その県段階局長、部長、そういう第三者と申しますか、学識経験者として入っていただく方とで対策協議会を構成していただいて、その対策協議会でこの企業集団選定、それから選定された企業集団から労務改善計画というものを提出してもらって、その計画の指導、それから実行上の指導というものについて総合的な計画立案をやっていただく、そういうものについて個々具体的にいわゆる基準関係、いわゆる職安関係、また、婦人少年問題、労使関係の問題というような、それぞれの機関がその計画に従って所要のときに出向いて行って総合的に指導する、専門的に指導する、こういうふうな構想にしております。
  141. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 ちょっとそれ確認でという意味じゃありませんけれども、こういう理解のしかたでいいですか。たとえばいまおっしゃったことはわかりますけれども、都道府県中小企業労働対策協議会というものの構成は、通念上むろん労使、しかし、労使ということになるとかどが立つが、いわゆる学識経験者というニュアンスの中で、そういうふうに含みとして理解していいか。それに関係のある官側と、それから企業関係当事者、まあ使用者当事者、それから学識経験者として学者なり、あるいは労働関係の者は学識経験者という形でそういう中に考えられるのだというふうに理解していいのですか。それとも、労働組合はともかく締め出しちゃうということになるのですか、その辺のところはまだなま煮えですか。
  142. 三治重信

    政府委員(三治重信君) ただ、使用者、学識経験者としての選任で、経営側の代表としての学識経験者、労働者側の代表としての学識経験者というふうには考えてなくして、まあ経歴や各その本人その人の能力というもので見て、学識経験者の中に、労働組合の県評なり同盟関係の指導者の中でそういうのにふさわしい人がいるならばそれを入れる。必ずいわゆる学識経験者という名で任命するのだ、その中に必ず割合として経営者側代表を一、二名、組合側の代表者を一、二名として推薦を求めてやるのだというふうには指導しておりません。これは各県事情がありまして、やはりある県では、あるいは労働側、使用者代表として推薦を求めて任命したいがどうかというところもございます。それから、自分のところはそうするというと、企業集団でもまだおそいから、したがって、組合の方が一々口を出されちゃかなわぬというところもあるから、その点は一律に指導しないでほしいという意見はございますが、その点は、あくまで人選につきましては、そういう県内の事情によってその人選のやり方についてはニュアンスがあってもけっこう、しかし、あくまでそれは利益代表者を出すのだという、その利益代表者を任命して、それと役所側との協議でやるのだというふうには考えないで出発したほうがスムーズにいくのではないか。これはあくまでやはり行政機関の指導といいますか、ある程度実際上の行政機関にかわるような協議機関でございますので、その点は審議会と違うたてまえをとりたいというふうに考えております。したがって、労働組合代表が、ただ名前だけ学識経験者として必ず入るのだという保証はない。ただ、労働組合の指導者でも、そういう中小企業の労務改善に深い経験者として人格識見を持って受け入れたいということならばけっこうであるというふうにしておりまして、その点は審議会の三者構成とは違いまして、行政機関の諮問機関でもない、半ば協議機関というふうなかっこう、ただ、それが中小企業の総合的な指導に当たるということで、やはり役人ばかりが集まるよりか、その関係者の代表を学識経験のある人を選任して、そういう人たちの意見や協力を得たほうがなおスムーズにいくのではないかということで、学識経験者を三名ないし五名を入れなさいということにしていきたいと思います。
  143. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 政務次官、大臣代理として受けとめておきますが、お答えいただかなくても——大臣は、どちらにいっても五十歩百歩同じじゃないかと言って下がりましたが、ここのやりとりという問題についても、やはり非常に畑が大きく、どこがつかみどころかわからぬような、これからうまくやろうという、そういう一つの状態だと思いますので、広範な労使関係中小零細企業労使慣行というものにやはり今度前向きで取り組むということについては、どうか大臣にも局長さんからも伝えていただけると思いますが、政務次官がよくこの場のあれをひとつ話していただきたいということを要望しておきます。
  144. 始関伊平

    政府委員始関伊平君) 御趣旨はよくわかりましたので、大臣にも伝えて善処したいと思います。
  145. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 他に御発言もなければ、本件に関する質疑は、本日はこの程度にとどめたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  146. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 御異議なければ、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会します。    午後三時十三分散会      —————・—————