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杉山善太郎君 まあこれは
大臣からも答えがいただきたいと思いますが、そもそもこの
法案は、その発想の歴史的経緯からしても、その歴史的経緯というのは先ほど申し上げた経緯でありまするが、少なくとも、開放経済体制下における
港湾作業の位置づけからいっても、また、別な側面から言うなら、今日、
港湾は組織暴力の温床地帯ともいわれておるわけであります。もちろんわれわれは、確かにかくかくこうじゃないかということを指摘する多くの材料を掌握しておるわけでありまするが、さらに、その限りにおいて、
港湾では
労働基準法も
職業安定法も、治外法権的な立場に追い込められておる今日でありまして、まあすでに
衆議院においても参議院においても
港湾労働法案は提案になっておられるわけでありまするから、時間をかけてこれは
審議をするということが常識でありましょう。また、
法案そのものの面からいくならば、おそまきでありまするけれ
ども、日本のこの労働立法史上、その限りにおいては歴史的であり、画期的な
法案だというふうに 私自体は
港湾労働者出身であり、また、
港湾労働者の組合に組織の根っこを持っております
関係上、こういう表現を申し上げるのも、むしろ歯にきぬ着せず、ざっくばらんだと思うのでありまするけれ
ども、そういう点からいきまして、この公布の期日は、いま
法案の中にうたってあるものは目を通しておりまするけれ
ども、やはり「二年をこえない
範囲内」ということでありまするから、そのことは、何も二年ということに期間が借金があるわけでありませんので、十分これはいっときも早く施行、
実施するべきである。なぜならば、確かに神戸でも横浜でも関門でも、あなたのほうがやはり
職安行政なり
労働基準法の元締めでありまするけれ
ども、いろいろおれたちは認可を受けているじゃないか、運輸
大臣から鑑札をもらっているのじゃないか、何が暴力だといったような形で、いろいろとやはり
港湾運送事業法によって認可を得て、大っぴらで仕事をやっておりますけれ
ども、その中身に入ってみまするというと、私が申し上げまするとおり、今日
港湾においては、確かに
労働基準法あるいは
職業安定法も、治外法権的な方向にとにかく追い込められておるんだ、
港湾労働の組織面からいきましても、そういう暴力と対決をして、それを説得するだけの姿勢と力がなければ、どんな民主的な労働組合もなかなか発展をしないという、そういう素地があるということが今日の実態であるわけであります。そこで、私は、
大臣はこういう事実を知っておられるかどうかということであります。これは
昭和四十年の二月二十六日、社団法人経済
団体連合会から出ておる。これはおそらく
衆議院、参議院の社会労働
委員会、運輸
委員会、そういうほうの
委員の方に例外なく
港湾合理化
対策に関する要望
意見という形で出ておる文書だと思いまするけれ
ども、中にこういうことがうたわれておるわけであります。見出しは「
港湾合理化
対策にかんする要望
意見」でありますが、中身は、重要なところだけを摘出して御披露申し上げますが、「今国会に
提出された
港湾労働法案についても、われわれは
基本的に賛意を表するものである。しかしながら
港湾問題はその
内容が広汎にわたる上に、内外におよぼす影響も大きいので、
政府が
港湾対策を具体化するにあたっては、当面とくに次の諸点に十分な配慮を加えられんことを要望する。」「(1)、
港湾総合
対策の推進、(2)、
港湾労働法案について、(3)、
港湾調整審議会について」という三本の柱が立っておりまして、で、これはいまここで
内容をくどくどしく申し上げることは、まありっぱな署名があって、いわゆる経団連から出ている文書でありまするから、
内容は披露することは差し控えまするけれ
ども、要するに、私が先ほど申し上げましたとおり、この公布の日と施行期日の問題が、私
どもはこの
法案の中身については十分
慎重審議をして、歴史的であり、画期的であるからということでこの
法案に取り組んでいくのでありまするけれ
ども、それが日の目を見ても、これが施行にあたってはブレーキをかけるというような、三・三
答申の趣旨については賛成であるけれ
ども、これを施行をするにあたっては、いろいろな点がありまするけれ
ども、要約して、
港湾産業というものが、海陸の接点において、文化の面においても
貿易の交流の面においてもそうであるとするならば、当然その三・三
答申の趣旨から言っても、これはできる面から拙速的にやっていく、
港湾労働の主体的な
条件は諸外国のそれに比して非常に立ちおくれておるから、なるべくできるものからやりなさい、こう言っておるわけでありまして、今日、まあ佐藤
内閣のもとにおける各種
審議会の
答申に対する受けとめ方の問題がどういうふうにあるということについては、
内閣自体の
責任の問題でありましょうけれ
ども、かりそめにもかくのごとき、つまり十数年に及んでおる歴史的な背景の中から出てきておるこの
港湾労働法案ができたならば、一日も早くできなければいかぬ。だから、この
時点で権威ある経団連がこういう文書を出されること自体は、その
団体に属する私見の問題でありましょうけれ
ども、非常に問題があるのではないか。要約して、どの企業でも、人的な要素と物的な要素と財力がからみ合って生産というものが生まれてくるというならば、今日の
時点において、これこれは賛成だけれ
ども、これこれということについては、たとえば
港湾労働の問題、
港湾運送事業の問題、
港湾の管理
運営の問題がみんなそろわなければ、この問題は
港湾労働の問題だけをやっても片ちんばになるのじゃないかということを
理由にしてブレーキをかけることがほんとうの日本の、つまりこの
港湾産業のおくれておるという問題や、前段申し上げましたような暴力の温床地帯である。具体的には
労働基準法や
職業安定法が治外法権的な立場にあるのだといったような今日的な市もあれば、
法律で制限されておる少年、つまり高校の生徒、中学の生徒がこの
港湾の
荷役に動員されて、そして労働下宿に入れられて、そうして死んでおるというような、そういう事例もあるわけでありまして、こういう問題について非常に問題だと思うのでありまするが、この点についての
大臣の見解を承っておきたい、こう思います。