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1965-02-02 第48回国会 参議院 社会労働委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年二月二日(火曜日)    午前十時二十四分開会     —————————————    委員異動  一月二十一日     辞任         補欠選任      柳岡 秋夫君     小柳  勇君  一月二十九日     辞任         補欠選任      山下 春江君     館  哲二君  一月三十日     辞任         補欠選任      竹中 恒夫君     重政 庸徳君  二月一日     辞任         補欠選任      重政 庸徳君     竹中 恒夫君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         藤田藤太郎君     理 事                 鹿島 俊雄君                 丸茂 重貞君                 藤原 道子君     委 員                 亀井  光君                 紅露 みつ君                 横山 フク君                 小柳  勇君                 杉山善太郎君                 小平 芳平君                 村尾 重雄君                 林   塩君    政府委員        厚生大臣官房長  梅本 純正君    事務局側        常任委員会専門        員        中原 武夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○派遣委員報告     —————————————
  2. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) ただいまより開会いたします。  委員異動についてお知らせいたします。一月二十一日、柳岡秋夫君が委員辞任され、その補欠として小柳勇君が選任されました。一月二十九日、山下春江君が委員辞任され、その補欠として館哲二君が選任されました。     —————————————
  3. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 派遣委員報告に関する件を議題といたします。  先般の当委員会の行ないました厚生及び労働行政実施状況調査のための委員派遣について、派遣委員から御報告をお願いいたします。藤原道子君。
  4. 藤原道子

    藤原道子君 竹中委員林委員及び私の三名は、去る一月十一日から十四日までの四日間、児童福祉対策公害対策看護職員充足状況労働条件地方における労働力確保状況及び労働災害の実態と労災保険収支状況等の諸問題について岡山兵庫の両県を視察いたしました。  まず、岡山県におきましては、県庁県立児童館水島臨海工業地帯及び水島協同病院を、また、兵庫県においては姫路市立御立病院富士製鉄広畑製鉄所県庁及び労働基準局をそれぞれ訪問して、右の事項を中心に調査をいたしたのであります。  以下、項目ごとにその結果の概要を報告します。なお、要望事項につきましては、お手元に配付いたしましたので御承知を願います。  最初に、児童福祉について申し上げます。  まず、一般児童問題でありますが、昭和三十八年度兵庫県下児童相談所相談件数のうち、性向、しつけ、適性、長欠、不就学等のいわゆる健全育成相談が五四%を占めている事実に見られるように、最近各家庭においても児童の健全育成問題の重要性が認識されてきており、兵庫県では、対策の一環として、相談所並びにその分室の増設等相談機能充実強化をはかっております。  一方岡山県では、一昨年、県に青少年総合対策本部を、また、市町村に青少年問題協議会設置することによって関係機関の協力と地域における指導体制拡充をはかっております。また、地域子供会も、現在二千百、将来は全県一万部落に普及させる計画を推進するとのことであります。われわれ一行の視察した県立児童館は、県下児童健全育成対策の拠点として、児童委員子供会リーダー等の研修、養成を行なっている施設であります。  次に、要保護児童対策でありますが、岡山県では保育所保母さんが必要数の一五%も不足しておりまして、特に保母養成に心がけ、その確保につとめております。  兵庫県の場合は、保育所不足し、未設置または不足市町が十二市二十八町もあり、県はこれら市町に対して設置指導を行なっておりますが、保母保育所不足を解消するためには、保母の給与、労働条件改善するとともに、国の補助金措置費引き上げが要請されました。  このほか、精薄児対策として、重度精薄児収容施設軽度精薄児通園施設設置の推進が強く訴えられておりました。  次に、公害発生とその対策について申し上げます。  岡山県においては、現在発生している公害の多くは、零細企業防除設備の不完全、不始末に原因するものでありますが、すでに操業中の大企業も含めて、将来県南部水島地区には石油コンビナートをはじめ、数多く企業が進出いたしますので、これがフル運転を行なうことによって生ずる事態に処するために、逆天層調査ベルト地帯設定等措置が必要と思われます。  岡山県では、すでに発生し、または将来企業誘致などによって生ずる公害に対処するために、県機構整備をはかり、工業地域住居地域分離計画を立て、大気や水質の汚染過程科学的調査を実施するとともに、公害防止条例制定検討中とのことでありました。  一方、兵庫県は、神戸尼崎姫路等工業地帯を持ち、ために、ばいじんガス測定量は、平均値で東京、名古屋、大阪に次ぐ地区であり、公害被害人口の約四割がばい煙被害を受けております。神戸尼崎、西宮、芦屋、伊丹の五市では、すでにばい煙規制法指定を受け、近く姫路市も指定される予定でありますが、県としては、公害参事室設置して、公害対策総合調整に当たらせ、さらに公害防止条例制定作業を急いでいる現状であります。両県とも、公害防除には、国の財政援助強化統一的規制必要性を強調するとともに、企業誘致に伴う背後地整備に対する先行投資困難性を訴えておるので、これに対する何らかの措置が望まれるのであります。  なお、富士製鉄広畑製鉄所事業所において、集じん廃液処理等に要した設備投資額は約三十八億円にも達するとのことでありますが、今後の企業誘致にも関連し、何らかの措置を考慮する必要があるのではないかと思われます。  次に、看護職員充足状況労働条件について申し上げます。  岡山県における県下医療機関必要看護職員数に対する充足率は七六%、兵庫県の病院における充足率は、公立についてはほぼ一〇〇%でありますが、私立は四四%、精神病院は六五%と、低率状態であります。また、岡山県における看護学生県内就職率は、卒業一年後で約七〇%、他は県外への流出や離職、転職となっております。このような看護要員不足現象は、最近における経済成長に伴い、他産業女子職員賃金が上昇したのにもかかわらず、看護職員賃金が依然として低額であること、看護職員勤務条件が悪いこと等に原因があることは両県とも共通しております。ちなみに、岡山県におけるアンケートによりますと、現職希望者はわずか四〇%にすぎず、その理由として、勤務時間が長い、人手不足による労働過重、雑用、社会的地位の低さ、休憩時間がない、深夜勤務が多い、時間外手当が少ない等をあげております。これらを打開するためには、病院管理並びに看護業務内容検討医療体系の中での地位の向上、労働条件改善教育制度改善看護職員に対する社会的理解と評価の高揚等、総合的な対策がぜひ必要であると考えます。  次に、労働力確保状況について申し上げます。  両県とも、雇用状況は、一般的には求人難の進行と就職難の緩和の方向をたどっているといえますが、内容的には若年労働者及び技能労働者の絶対的不足中高年齢者就職難といったさまざまな要因は引き続き解消されず、深刻な問題になっております。すなわち、若年労働者新規学卒者に対する労働需要は、近時の景気調整下にあってもきわめて強く、求人上昇傾向は顕著でありまして、両県とも、中卒者高卒者に対する求人倍率は三倍ないし四倍半と高率を示しております。したがって、その充足率平均三〇%前後という状態で、特に中小企業における悩みはきわめて深刻であります。しかも、両県下とも、県南部に発展しつつある工業地域をかかえていることから、これらの労働力確保には頭を痛めておりまして、とりわけ、岡山県では、水島地区が新産業都市指定を受け、県南の工業化は飛躍的に伸展している実情にもありますので、県政の重要な課題の一つとなっております。一方、中高年齢者就職につきましては、就職促進措置により、幾ぶんの成果をあげてはいるものの、就職率は相変わらず一〇%程度と低位で、今後とも一そうの努力が必要であります。これらの対策のためには、さらに職業訓練拡充強化をはかり、一方、封鎖的雇用形態を改めるよう指導を行ない、中高年齢者就職促進の道を醸成し、あわせて技能労働者不足を解消すること、また、国はもちろん、各企業に対しても、現在の労働力の再配置によって、労働力有効的活用について指導すること、さらに、現在の求人難深刻化に伴う弊害に処するため、求人秩序の確立を期すること等が必要であり、これとともに、国による長期的雇用基本計画を樹立することが重要であると考えます。  次に、労働災害防止施策等実情について申し上げます。  岡山兵庫労働基準同とも、産業災害防止努力が実りつつあり、適用事業所及び労働者が増加しているのにもかかわらず、災害発生件数災害発生率とも漸次減少傾向を示しております。しかしながら、相変わらず小規模事業所災害率が高いこと、また、土石採取建設事業運輸事業等、いわゆる重点産業災害率が相対的に高いことも見のがせない点であります。注目すべきこととして、災害発生原因別で見た場合、従来は作業行動過程での災害発生がほとんどでありましたが、近時、企業機械化自動車等動力車採用増加に伴って、動力運転災害の比率が増大しつつある傾向が顧著でありますので、あわせてこれらの監督指導強化が望まれます。なお、懸案の労働基準局充実につきましては、幸い来年度監督官増員等が行なわれる見込みで、期待が持たれてはおりますが、前に触れましたように、両基準局とも、年々所轄する事業所は増加する傾向にありますので、さらに充実強化をはかることが肝要であります。  最後に、労災保険収支状況についてでありますが、昭和三十九年の保険料収納率については、両基準局とも約九五%との予測を立てておりますが、保険収支率見込みでは、近時の医療費高騰等理由をあげて、八五%前後になろうとの見方をいたしており、予断を許さない状況でありますので、これに対しましても何らかの措置が必要とされるのであります。  以上、簡単ではございますが、報告を終わります。
  5. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) ありがとうございました。ただいまの報告に対しての質疑は後日に譲り、本日は……。
  6. 小柳勇

    小柳勇君 ちょっと急ぐことが……。厚生省看護養成関係の担当官見えているかね。
  7. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 官房長は見えております。
  8. 小柳勇

    小柳勇君 それじゃそのことだけ。いろいろ問題はあるけれども、それは大臣見えてから言うが、けさ新聞見てきたら、岡山名古屋だったと思うけれども、日赤看護婦看護学院募集したら、第一次足らないで第二次募集やっている、そういうようなことがわかった、新聞に載っていました。それで、いま報告を聞いたら、やはり看護婦充足が非常に悪いということで、やはり学生募集、それに対して積極的に県知事や学校厚生省も加勢しなければ、たとえば医師会立看護学院なども、おそらく生徒の募集は困難ではないか、そのことが看護婦充足率が悪いと思うんですが、何か対策立てていますか。
  9. 梅本純正

    政府委員梅本純正君) 看護婦不足の問題は、もう数年来の問題でございまして、根本は、いろいろございますが、やはり人口構造から見まして、女子生産戦線に立つ数というのが非常に総体的に減ってきております。そういう点と、やはり看護婦という職業につきまして、先ほどの視察報告にもございましたように、待遇の問題、それから勤務条件の問題、それにいろいろ問題がございます。その点の根本の問題は、予算その他の点につきまして極力努力をいたしておりますが、先生おっしゃいますように、募集の問題につきましても、もとよりわれわれのほうとしましては、あらゆる手を使いましていろいろやっているつもりでございますけれども、まだ不足の点があろうと思いますので、今後一段と御指摘の点でもやっていきたいと思います。まあ特に新しき卒業生に重点を置くだけでなしに、われわれのほうは、すでにその資格を持っておられて、そうして結婚あるいは別の職場に、あるいは家庭に帰っておられる方までも呼び出しまして、パート・タイムででもやっていただくということまで考えておりますが、結果から見まして十分実効はあがっておりませんので、今後御指摘の点も一そう努力いたしたいと思っております。
  10. 小柳勇

    小柳勇君 あとのほうはいいんですが、そのパートタイマーなどの問題は、またあとでおまかせいたしますが、いま入学試験期を迎えて何か対策を立てたと言われたが、どういうことをやられたのですか。
  11. 梅本純正

    政府委員梅本純正君) 私のほうでも国立病院養成所も持っておりまして、各養成所からおのおの学校に働きかける、そういうことで前からやっております。特別に募集計画としまして具体的なものはございませんけれども、いわゆる先生おっしゃいましたような、学校に働きかける、そういう点につきましては、おのおの養成所におきまして十分やっているつもりでございます。
  12. 小柳勇

    小柳勇君 国立病院などの養成所については、それは万全態勢を立てるでしょうが、私がいま言っているのは、それだけでは足らぬでしょう。だから、その他の看護学院などに対しても当然厚生省は援助すべきであると思う。これは看護婦が足らぬということは、もう数年来の問題であるから、したがって、たとえば各高等学校などに厚生省から特別にPRしたり、何か県、地方団体に対して特別の対策を立てたことがございますか、そういう具体的なことを質問しているのですが、どうですか。
  13. 梅本純正

    政府委員梅本純正君) 所管局長のほうから——私のほうでは、その具体的にはっきりした対策ということにつきましては私のほうの官房で聞いておりませんが、全力をあげまして学校方面、それから、あらゆる方面に働きかけて募集努力しているということだけは事実でございます。また、必要ございましたら所管局長のほうから詳しく御説明いたしたいと思います。
  14. 小柳勇

    小柳勇君 所管局長が見えていないこと自体報告軽視だよ。それで、ちゃんと報告するときは所管局長を並べておいて、委員が質問するかもしれないから、その態勢を立てなければお粗末である。それだから社労委員会というものはなめられてしまう。それと、私が言うのは、各医師会へ行っても看護婦の足らぬことを訴えられるわけだ。それはやはり国の責任ですよ。報告に、看護婦地位が低いからということを堂々と言っているけれども、それは看護婦に対する侮辱だと思う、報告自体が。そんなんじゃないのだ。看護婦だって学校先生だって同じです。そういうものよりも、もう少し女学校などにやはりポスターを出したり、あるいは資料をくばったり、そうしてそのとうとさを宣伝すればちゃんと女子の人はわかると思う。それは先進国のことをいわなくたって皆さん御存じだと思う。そういう点で、担当の局長に早急に手を打ってもらって、この入学期をはずさないようにぼくはすべきだと思う。けさ新聞を見ましてしみじみ思う。こんなに大きく出ているわけです。そういうことをわれわれもいままで考えておったけれども、そういう時期をはずすとこれは手おくれになりますから、それで質問したわけですから、意のあるところをくんでください。何も官房長にいやみを言うつもりはありませんから、早急に手を打って、どういう手を打ったか、したがって、この入学率はこういうふうになりました、こういう報告をこの次にしてください。
  15. 梅本純正

    政府委員梅本純正君) ありがたい御指摘、御注意をいただきましたので、所管局長に伝えまして、先ほどの点は御報告するようにいたしたいと思います。
  16. 藤原道子

    藤原道子君 私は、もう看護婦の問題は毎国会取り上げて、いつも答弁は同じことなんです。聞くのもいやなくらいなんです。私が看護婦地位が低いと言ったのは、あるいは社会的に、あるいは病院において確かに悪い勤務状況にある。それは全看護婦さんたちの不満なんです。したがって、待遇が悪いということ、労働が過重であるということ、深夜業が多過ぎること、こういうことを列挙すれば、それは看護婦になろうとする人が減ってくるのは、あたりまえだと思う。従来のように他産業への女子の進出が少ないころはそれでも済んだ。ところが、いまはそうじゃないんですから。学校へ手を打ってると言うけれども、そういう具体的な例も私は聞きたいと思う。学校へ行くと、看護婦になろうと思っても、先生方が、いつも申し上げるけれども、看護婦保母さんになるのはやめなさい、それよりこういうところへ行ったほうがいいと、先生のほうが押えるような状態なんです。それほど看護婦勤務状況は悪い。いまの世の中に一カ月に十五日から二十日も夜勤をさせて喜んで働く人がありますか。まして若い娘さんですからね。それが夜勤が十五日、まあ平均十三日というんですけれども、ひどいところは二十日ぐらいやらしておる。こういう状況厚生省はわかっていながら、努力いたします、手を打っております、これだけなんです。医療の破壊になります。こういう点は、小柳さんが御指摘になりましたように、私もけさ新聞を見て、困ったなあと思っておったような状況ですから、ほんとう医療を守ろうという気持ちがあるなら、看護職員充足のためにもっと真剣に努力をしてほしい。私も速記録をこの間ずっと見ていて、十二、三年前から看護婦不足問題を取り上げていますけれども、何ら見るべきものがないどころか、だんだん事態が悪化してきている。きょうは医務局長がいませんので、また大臣もいませんので、だから、この報告はこの次にと申し上げたのもそこにあるわけですから、ぜひお考えを願いたい。
  17. 鹿島俊雄

    鹿島俊雄君 そのことで関連で。看護婦充足問題が毎回問題になるが、まずその職業の性質が過重労働である点に問題があるとともに、その待遇に関しては、特に社会保険医療報酬問題が相当強く関連してくるわけだ。今回の緊急是正についても政府は当然考えておくべきであった。広くいって医療従事者待遇改善は、社会保険医療費適正引き上げが伴わなければならない。そこに思いをいたさないと看護婦充足議論も意味がない。医師支払い能力を上げなければ待遇改善はできない。どうだね、一体
  18. 梅本純正

    政府委員梅本純正君) 鹿島先生のおっしゃるとおりでございまして、今回の九・五%の引き上げにおきましてもいろいろ議論がございましたけれども、診療所におきます看護婦勤務時間を四十八時間から四十四時間というふうな積算に変えまして、できるだけ看護婦の問題の解決の一端にしたいというふうな考えを盛り込んだ次第でございます。
  19. 丸茂重貞

    丸茂重貞君 関連藤原先生が御指摘になったように、この問題は悪循環しているんだね、その悪循環をどこで断ち切るかということは非常に問題なんだが、小柳先生も、おそらくその点をはっきりあなたのほうで言われぬものだから、まあこの次ということになると思うんだけれども、それはこういう筋なんですよ。いまの看護婦の七〇%は准看でやっておる。その准看の七〇%はだれが養成しているか、これは純粋の民間開業医がやっておる。その開業医に対して、一体厚生省は一銭でも補助を出しておるか、一銭も出しておらぬ。だから日赤看護婦の人員が不足だ、あたりまえのことなんだ。どうして不足なんだというと、いまあなたが言ったように、一般の雇用情勢からして条件が悪い、条件が悪い原因については二つあると私は思っておる。一つは、いわゆる金銭的な待遇の問題が悪い。もう一つは、やはり何というか、業務内容に比較して社会的な待遇がよくない。そのうち、業務内容に比較して社会的な待遇が悪いという問題に対しては、法律の問題いろいろとあると思う。とりあえずは金銭的な待遇をよくするだけでずいぶん違ってくるだろう。それが悪いものだからなり手がない。それじゃ七〇%の民間がやっておる准看はどういうかっこうで充足しているか、各お医者さんが、たとえば関東のお医者さんが九州、東北まで出張してスカウトしている。雇用安定法か、何か法律に引き合わすといろいろ問題があるかもしれぬが、実際それをやらぬから、今日そういう努力を手弁当で自分費用でやっておるわけですよ。だから、どうやら民間准看養成所だけは定員を確保している。それじゃ民間養成所を出た連中はどうするかというときに、自分費用養成しておいて、卒業するとぱっと官公立に行っちゃう。それは官公立のほうがいろいろな面で厚生設備等がいい。そうすると、表現は悪いかもしれないけれども、民間費用養成しておいて、何にも助成しなかったものが、でき上がったものを官公立病院に吸い上げて使っておる。その官公立病院には補助がいっているわけなんです、養成に対しての。これが筋なんだ。この悪循環をやっておるわけなんだ。だから、いま看護婦待遇をよくせい待遇をよくせいと、ただ抽象的に言ったって、そんなもの役立たない。官公立病院も去年だって九・八くらいの赤字率でしょう。また九・五ふやしたとして〇・三%ぐらいの赤字が残る。おそらく四十八時間を四十四時間にできませんよ。理屈はどうなっておるかわからぬけれども、赤字充足してまだ〇・三%の赤字が残るのだから、それで四時間どうして短縮できるか、私は非常に疑問を持っておるぐらいなんで、そういうふうに、要するにから念仏の待遇をよくします、パートタイマーをしますと言ったって、そのパートタイマーに対する待遇が十分でなきゃこれは来手がない。じゃ一体どこがその待遇をするかというと、これは官公立病院といえども、やはり収入たよらざるを得ない。収入はどこからくる、これは社会保険医療費きりない。社会保険医療費引き上げを押えておけば、どうくめんしたってできようがない。だから、ただ待遇をよくせい待遇をよくせいと言ったって、そんなことはどうにもならない。社会保険医療費を適正にして病院の経営を合理化しなければ看護婦待遇はよくならぬ。ならぬから募集しても来手がない。来手がないから、しょうがないので官公立養成をしておるだけでは不足するから民間のを吸い上げる、そうすると、民間の苦しい中から養成したものを、でき上がったらすぐとられてしまう。そうするとまたスカウトする、これが実に悪循環が十年繰り返されておる。私も十ばかり准看護婦学校をつくってこの事情をよく知っている。私自身もスカウトに行った。これはもう簡単に新聞にぽこんと出たから早急にやれ——、ほんとう藤原先生が言うように、十年来いわれていることなんです。一体民間養成機関に対して厚生省は何か補助をやって、もう少しふやしてやろうというような気があるのかないのか、まずそれをひとつ聞かしてもらいたいのです。
  20. 梅本純正

    政府委員梅本純正君) 結果から見まして実現はいたしませんでしたけれども、養成所に対します運営費補助、そういう問題につきまして、ここ数年来予算要求をいたしております。何とかしておっしゃるような点につきまして、設備費補助運営費補助というふうな問題を解決したいと思っておりまして、特にことしは何とか運営費補助最終段階までがんばりましたけれども、いままで実績がなかったということで、ここでこつ然としてそういうものを認めるわけにいかないという財政当局との争いで、結局実現いたしませんでしたけれども、われわれの感じとしましては、今後とも、少なくとも運営費補助というような点について努力してまいりたいと考えております。
  21. 丸茂重貞

    丸茂重貞君 その実らなかったけれども、苦労したことは私も知らないじゃない。そこで、基本的な問題は、やはり病院の収入をはかって待遇のもとをふやしてやらなければどうにもならぬと思うのです。官公立病院を含めた病院協会の要望は、たしか三〇%の医療費引き上げの要望だったと思うのですね。これに対して九・五%だということになれば、それはもう依然として待遇はよくならぬ。私がいま言ったように、〇・三%の赤字がまだ残るだろう。そうすると、依然として看護婦問題はますますひどい泥沼に入ってくる、私はこう思わざるを得ない。そこで、これはもう制度の上からも医療の面からも、厚生省はこういうPRが足らないのです。きのう衆議院の医療費に関する討論あたりを聞いてみると、非常にこの辺のPRが足らないものだからわかっちゃいない。それだから一・五%ふえたのはけしからぬとか、いろいろな議論が出ているけれども、そういうふうなところまで根ざしておるのだという点に対する説明が非常にぼくは足らぬと思う。これはやはり怠慢のそしりを免れませんよ、私をして言わしめれば。もうつぶれますよ、病院は。病院でも診療所でも、人件費の面から、人の面から、これはもうはっきり認識していかぬと、もう容易なことじゃない。そういう苦しい実情というものを、もう少しきちんとしたデータを出して説明をしないから、医療費の問題と看護婦の問題は別だというような、国民がへんな印象を持っているわけです。これは根は一つなんです。どこだってそうでしょう。会社の収入があがらないで従業員の待遇をよくするわけにいかない、公共企業体の料金をストップしておいて公務員のベースアップをするわけにいかぬと同じ理屈なんです。こういう点が非常にPRが私は足らぬと思うのです。厚生省は不断の努力が、ああいう新聞に出たら、すぐこうなんです、医療費が現実に少ないからこういうことにならざるを得ない、こういうふうなPRをしていけば、国民というものはほんとうの意味の医療費というものを考えてくれる。明治四十二年以来、今日生命がどれだけ延びたか、たしか十二、三年延びているわけでしょう。十二、三年の生命の延びなんというものはたいへんなものなんですよ。少しくらいの金にかえられないですね。そういうPRを厚生省は全然しないのですね。だから安易に、医療費が上がれば困る、負担がふえれば困る、患者の代表まで一銭でも値上がりしては困る、自分の命を切り売りするようなことになる。だから、いま横溢していることは保険者の代表の意見ばかりで、患者の代表の意見というものは全然出てきていない。医療費をちょん切ればいい、それでは患者の命はどうなる、日進月歩する医療医療費について十分考えなければならぬ。看護婦がとれるかどうかという重要な問題の議論というものが一つも出てこないのです。これは私は主務官庁たる厚生省がもう少し徹底的なPRをしないと、医療ほんとうに破壊しますよ、私はそれを非常に心配している。これは看護婦問題も医療費問題も別じゃないのだということで一生懸命やってください。私どもも全力をあげて応援するのにやぶさかでない、これは私の要望です。
  22. 鹿島俊雄

    鹿島俊雄君 いまのことに関連して、結局看護婦はもちろん、その他医療機関の各補助者の充足養成問題は皆共通の性質を持っておると思う。歯科のほうの問題だけが歯科衛生士、これはちょうど看護婦と同じ状態ですね、医師に比べて歯科医師は特に足らない。したがって、今後ともなかなかその充足は問題です。特に制度を生みっぱなしで、その養成には力を入れていないのだな。厚生省は、大体民間の都道府県歯科医師会等が犠牲を払って養成し、充足しておるわけだ。看護婦の場合と同じなんだな。ただ、数的に看護婦さんの場合と違うから、あまり大きく社会的に取り上げられないですが、こういった一連のものが全部欠けておるのですね。予算面において大きな支出は期待されなくても、少なくともその養成に対する意欲ですね、政府はもっと誠意を示さなければならぬと思う。何も看護婦問題、補助者問題を種にして医療費の適正改定を要求するわけじゃないけれども、補助者のことを論ずるだけでもすべて医療費の適正化に関連がある。丸茂委員の言われることはまことに妥当だと思う。こういった事実、実情厚生省としても率直に説明、解明すべきだと思う。九・五%の引き上げなど問題じゃない。こんな現状で医療の完全は期せられない。医療費問題の混乱の解明の一助にも、もっと率直に説明すべきだ。まあ大臣じゃないから、官房長に責任ある答弁を求めるのは無理だけれども、よく大臣に趣旨を伝えておいてください。
  23. 林塩

    ○林塩君 関連ですけれども、他の委員のおっしゃっておることよくわかります。ただ、この看護料金の出る場所がないということです。今回医療費が上がる中で、基準看護料が一応査定としてあがっております。しかし、病院業務診療所業務その他の医療行動の中でただいま算定されておりますところの医療報酬の点数の中に、看護婦に支払うべきものの具体的なものがないためにどこも困っているということです。絶えずそのことについては、厚生省当局にはそれぞれのところから言っているのですけれども、何か厚生省当局が、医療の中における看護というものについての認識というものがほんとうになされていなかったのじゃないかと、私はしみじみ思います。でありますので、料金をどこから支払われているかということについて、よほど検討していただかないと、この問題はもうなかなか解決できないのじゃないかと思います。根本のものがどこかということが一番大事なことです。ただ、これは労働問題だけでなくて、医療の中における医療問題でございますので、労働問題だけとして取り扱わないようにしなければ医療はよくならない。したがって、国民の健康とかいうような問題と関連して福祉につながる問題でありますので、看護婦不足は深刻だということを十数年来言っておりますけれども、なかなか解決ができないというのは、よく検討してみますと、一連の施策が足りていないのじゃないかと、こういうふうに考えます。そのうち何とか看護婦は出てくるのだというふうに、非常に安易な考えで当局はおられたのじゃないかということをしみじみ思うのです。それで、教育の問題から、養成所の問題から、病院の運営の問題からというようなこと、ずっとその中で筋を通して、ぜひ根本的に検討してもらいたいものだと思うわけです。どこを取ってみても看護婦は出てくるわけです。医療の中のどの断面を取ってみましても看護婦が出てきますが、それが真剣には検討されていなかった、教育もそのとおり。今回この報告の中にも書いてございますけれども、看護教育をどこでやっておるかといいますと、医師会でずいぶん努力をされて、それから何といいますか、病院努力しておるししますが、そういう教育費はほんとうに国は出しておらないということ、そういうものは必要であるのに、そういう教育はどこにもなされていないということです。医療費に頼ってそれがなされていたということですが、その足りない医療費でもって教育をすること自体が大きな矛盾なんです。  それから、もう一つ考えられますことは、業務検討ということをしてもらいたいというようにずいぶんやっておりますが、看護婦でなくてもできるであろうという仕事が全部看護婦に押しつけられているという状態がありますので、したがいまして、それが労働過重になっているということは確かなんです。これは明らかに病院管理面の指導が必要じゃないかと考えます。それから、どこの医療の断面を見ましても看護が出てきますのに、何ら施策ができていない。医療点数自体は査定されますが、その査定の中に看護自体はどのくらい査定されるかというと、微々たるもの——ありません。それで入院料金にいたしましても、改定されて千円になりましたですけれども——なるかならないか、これからの論議でございましょうが、しかし、いままでは七百八十円という入院料の中でどうしてそれができたろうか。魔術でもなければできないだろうというふうな状態であります。したがいまして、病院収入が非常に少なければ看護婦——看護婦だけではありません。他のものに支払われるべきものが少なくなるのは当然です。その辺の財源のことを何も考えないで、ただよくしろよくしろといっても無理だと思います。私その点で調べてみましたが、看護婦一体どのくらい働いているだろうかということの査定なんです。査定が、点数から割り出しますと、病院の中で一番働いていないのが看護婦という評価になります。そうしますと、一番働かされて一番つらい条件であるのが、それが看護婦というのと逆になるわけです。ですから、看護婦の働きというものについての正しい査定というのができておりません。このたび医師のほうから出ております再診料の要求とかいうのもございます。看護の技術料というものが何らそこに査定されていないということ自体根本じゃないか、こういうふうに思います。ですから、具体的にいいますと、美容師でありますと、頭を洗って、そうして結うだけであれ三百円とります。看護婦はそれでは何をしているかというと、それよりももっと何といいますか、価値のある仕事をしているはずなんです。それが全然査定されていないというようなことは今後の問題じゃないかと考えますので、一応意見を申し上げておきます。具体的にはまたいろいろ申し上げたいと思いますけれども、そういうことを一貫して考えられませんと出てこないということは確かである。厚生省当局は、そういうことについて、長年なぜ看護婦不足するか、なぜ給料が低いか、なぜそういうふうになるかというようなこと、学校の運営はどうして運営されておるかというようなことについては熱心にしていなかったことは確かです。これはもう一連した施策というのができていなかったというふうに思います。その結果が出てきたのじゃないかと思うわけでございます。一言意見を述べておきまして終わります。
  24. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) いまいろいろ御意見が出て、きょうは専門家の医務局長、責任者の大臣もお見えにならないわけなんですが、まあ官房長がいろいろお聞きになった中からにじみ出ていると思うのですね。だから、たとえば学校制度がこれでいいか、そういう問題はやはり根本に横たわっているのじゃないかと思うのですね。それから出てきた人格が尊重されているかどうかという中における看護婦待遇の問題、勤務時間の問題というものを含めての皆さんの要望ですから、この次は十六日にこの質疑をやりますから、そのときにひとつ厚生省の意見を出していただきたい。それをもってもう少しこの問題を深めていかなければいかぬので、ぜひそうしていただきたいと思います。  それでは、本件に関する質疑は、本日はこの程度にとどめたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 御異議がなければ、さよう決定いたします。  なお、お手元に配付いたしました要望事項は、これを本会議録の末尾に掲載いたしたいと存じますが御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  26. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  他に御発言もなければ、本日はこの程度にとどめたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 御異議なければ、本日はこれにて散会いたします。    午前十一時十分散会      —————・—————