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1965-02-26 第48回国会 参議院 産業公害対策特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年二月二十六日(金曜日)    午後二時五分開会     —————————————    委員の異動  二月二十六日     辞任         補欠選任      赤間 文三君     白井  勇君      井野 碩哉君     源田  実君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         紅露 みつ君     理 事                 大谷藤之助君                 中野 文門君                 北村  暢君                 小平 芳平君     委 員                 木島 義夫君                 岸田 幸雄君                 源田  実君                 白井  勇君                 二木 謙吾君                 藤原 道子君                 柳岡 秋夫君                 向井 長年君    政府委員        内閣官房内閣審        議室長      松永  勇君        行政管理庁行政        監察局長     山口 一夫君        科学技術庁研究        調整局長     高橋 正春君        科学技術庁資源        局長       橘  恭一君        法務省人権擁護        局長       鈴木信次郎君        大蔵省主計局次        長        鳩山威一郎君        労働省労働基準        局長       村上 茂利君        自治大臣官房長  松島 五郎君    事務局側        常任委員会専門        員        中原 武夫君        常任委員会専門        員        小田橋貞寿君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○産業公害対策樹立に関する調査  (産業公害現状及び対策に関する件)     —————————————
  2. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) それでは、ただいまから産業公害対策特別委員会を開会いたします。  産業公害対策樹立に関する調査を議題といたします。  前回に引き続きまして、産業公害現状及び対策について、労働省科学技術庁、総理府、大蔵省、自治省、法務省及び行政管理庁から、それぞれ説明を求めます。  まず初めに、労働省労働基準局長村上茂利君。
  3. 村上茂利

    政府委員村上茂利君) それでは、お許しをいただきまして、産業公害対策に関連する労働省関係事項について御説明申し上げます。  労働省所管いたしております労働災害防止対策そのものは、建設物設備原材料等により、または作業行動によって、労働者がこうむる危害防止することが直接の目的でございます。しかし、その労働災害発生原因は、しばしば産業公害発生原因と密接な関係を有するものでありまして、いわば、大河も山奥の細流より始まるというたとえがございますけれども工場内におけるところの労働災害発生原因を正すことによりまして、かなりの防止ができるのではないか、そういう点におきまして、労働省といたしましても、責任の重大性を痛感いたしている次第でございます。  今日いわれております産業公害対策に関連する現行法制体制はどうなっているかという点につきましては、前にお配りいたしました印刷物に書いてあるとおりでございます。基本法労働基準法の第四十二条でございますが、その規定を受けまして、安全衛生規則その他の幾多の特別規則によりまして規制を行なっております。時間の関係上、こまかい説明は省かしていただきますが、公害関係する問題としては五項目があろうと存じます。  第一の排気排液関係でございますが、これは、労働安全衛生規則とか、あるいは四エチル鉛等危害防止規則電離放射線障害防止規則等幾つかの規則がございまして、その関係規制がございます。  騒音関係につきましては、労働安全衛生規則に定めがございます。  以上の有害ガス騒音につきましては、一方におきましては職業病発生の重大な原因になりますので、一般の安全問題と関連いたしまして、労働衛生観点から、私ども重大な注意を払っておるところでございます。  第三に関係がございますのは、火災防止爆発防止関係事項でございます。御承知のように、消防法とか、あるいは高圧ガス取締法とか、幾つかの法規がございますが、労働基準法のベースにおきましても、労働安全衛生規則等によりまして、これらの防止基準がございます。  第四といたしましては、破裂または倒壊の危険のある設備関係等につきまして、安全衛生規則のほか、ボイラ及び圧力容器クレーン等に関する特別規則がございます。  第五の問題といたしましては、有害物関係でございます。これも、労働安全衛生規則その他の特別規則、たとえば有機溶剤中毒予防規則であるとか、あるいは四エチル鉛等危害防止規則等がございまして、特別な規制をいたしております。これが現状でございます。  これらの関係業務につきましては、主として安全衛生という観点から、監督という機能を用いまして業務を実施しておるわけでございますが、全国二千四百人の労働基準監督官のうち、約千五百名がこの関係業務に従事いたしております。しかしながら、現状においては不十分でございますので、労働災害防止対策の画期的な前進をはかりたいという念願から、行政体制といたしましては、来年度予算におきまして、労働基準局の中に労災防止対策部という部を新設いたす予定でございます。また、監督機構整備をはかりますために、二百名の監督官を増員いたすという予定にいたしております。  なお、以上申しました法令関係の空白につきましては、目下、その整備を行ないますために、中央労働基準審議会労働災害防止部という特別の部を常置の機関として設けまして、法令検討を行なっているような次第でございます。  また、特に研究面におきましても、御承知のように、労働衛生研究所産業安全研究所がございますが、両研究所が提携いたしまして、いろいろな研究をいたしておるわけでございます。  また、直接法規に基づくもの、あるいは指導によるもの等といたしまして、本日幾つかの事例手元に持って来ておりますが、あまり時間がないようでございますので、アイデアを一言で申しますと、いままで工場内部労働者に直接危害が及ばないように、局所排気装置であるとか、いろいろな有害ガス排気装置、あるいは粉じん排気装置整備いたしておりますが、労働者だけが有害でなくて、ただ外に出せばいいのだという思想でこれを処理いたしますと、工場外にその有毒ガスが拡散されましたときに付近住民影響を及ぼす、こういうことになるわけでございまして、単に有害ガスをそのまま施設外に排除するのではなくして、排除する場合には無害にして排除してもらいたい、こういう観点から、単に有害ガス施設外に排除するという単純な考えではなくして、施設外に排除をいたしますときは、空気浄化装置であるとか、いろいろな施設、沈でん、清浄、ろ過、その他いろいろな施設整備をいま行っているところでございます。幾つかの事例がございますが、事企業の秘密に関連する問題がございまして、私ども監督上いろいろやっておりますけれども、あまり部外には出さない、こういう関係もございまして、一般にPRが足らぬと思いますけれども、じみな監督機能を通じまして、いろいろそういった空気浄化装置等整備を心がけておるような次第でございます。事例として幾つかございますが、御要求がございますれば、後ほど委員部に提出いたしまして、説明を省略させていただきたいと思います。  そのようなことでございまして、労働監督を通じましていろいろな施策を講じておりますが、予算といたしましては、三十九年度労働災害関係予算は五億九千万円でございました。なお、三十八年度は三億六千万でございましたが、三十九年が五億九千、四十年度は七億九千万円というように、三八%程度予算の増加を行なって、目下国会検討をお願いいたしておるわけでございますが、もとよりこれで十分とするものではございませんけれども、先ほども申しましたように、行政体制整備、必要な法令整備と相まちまして鋭意努力してまいりたい、大川をよごす細流をあまり出さないように、私どもとしては鋭意努力してまいりたいと考えております。  はなはだ簡単でございますが、以上でお許しをいただきたいと思います。
  4. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) あまり公開の席でお話しがしにくいというような問題については、いまはっきり受け取りにくかったのでございますが、書類を出すということについては同じような意味になると思いますので、機会がありましたら、委員のみで説明を伺う機会を得たいと思いますから、そのおつもりで御用意置きを願います。  それから政府委員の方に申し上げますが、説明のお済みになりました方は、御都合もございましょうから、どうぞ黙ってお引き取り願って差しつかえございません。御苦労さまでした。
  5. 白井勇

    白井勇君 ちょっと、簡単ですけれども、いまの千五百人で一体何カ所くらいを担当しておるという計算なんですか。いろいろ該当事項がありますね。その中の一体一人で何カ所くらい持っているのですか、千五百人で。
  6. 村上茂利

    政府委員村上茂利君) ちょっと、いま手元資料がございませんので、全体の基準法適用事業の中でこういった関係事業場が何件ございますか、いま調べておりますが、適用事業総数といたしましては約二百万、三十九年度で百九十九万四千という数字に相なっておりますが、特に公害関係事業といたしまして、化学工業関係は一万七千百二十七、それから粉じんを発散するものとして、窯業二万一千八百三十一、金属工業六万一千百九十二、それから食品製造業も多少あると思いますが、食料品製造業は七万七千九百四、そういった数字に相なっております。
  7. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) それでは、いろいろ御質疑の点もあろうと存じますけれども、時間の関係がございまして、御質疑はまたあとで願うといたしまして、労働者のほうは、それで打ち切っていただきたいと思います。  次に、行政管理庁でございますが、行政監察局長山口一夫君。
  8. 山口一夫

    政府委員山口一夫君) 行政管理庁におきましては、公害防止重要性にかんがみまして、昭和三十八年の後半期に、行政管察局、並びに行政管理庁付属機関でございます行政審議会の全委員に委嘱をいたしまして、公害防止に関する行政監察を実施いたしたのでございます。その結果の概要につきまして申し上げたいと存じます。  時間の関係もございますので、ごく要点のみを御説明申し上げたいと存じまするが、お手元にお配りいたしました「公害防止に関する行政監察について」という資料の二ページから三ページにわたりまして、監察をいたしました結果の十九項目が列記してございます。この十九項目のうち、第一から第六に至ります六項目は、各種の公害に共通する全般的な問題でございます。続いて第七項目から十一項目に至ります。五項目大気汚染に関する問題でございます。十二項目から十七項目に至りますまでが水質汚濁に関する問題でございます。十八項目が一項目ございますが、騒音に関する問題、十九項目がその他ということになっておりまして、この十九項目についての監察の結果を、右側にございます関係の十省庁に対しまして勧告をいたした次第でございます。  以下、各項目につきまして簡単に申し上げたいと思います。  第一項目は、公害防止対策推進体制についての問題でございます。公害防止対策を一そう積極的に講ずるとともに、これを総合的に行ないますためには、関係省庁が協力して強力な推進体制を整える必要があるということが勧告骨子でございまして、現在、たとえば大気汚染防止に関する行政厚生省通産省が共管をいたしており、水質保全工場排水関係指導は、経済企画庁大蔵省厚生省、農林省、通産省、運輸省の各省庁所管をいたすというようなぐあいでございまして、公害防止行政が、その性質上多岐にわたって省庁所管をされている現状でございます。したがって、これらの中心となって強力に公害防止全体を推進していく機能に欠けておる点が認められますので、公害防止対策を実施いたしますためには、これらの各省庁間が協力して推進体制を整える必要があるというのが、この勧告骨子でございます。  第二点は、公害防止のための啓蒙についての問題でございますが、公害防止に対する一般国民並びに公害発生源である企業側の認識が現在の段階において必ずしも十分でないという点が痛感されたのであります。公害防止について、国民並びに企業の自覚を促すために、その啓蒙につとめる必要があるというのが第二点でございます。  第三点は、基礎的調査研究推進についての問題でございますが、公害防止に関する基礎的な研究公害に対する実態調査等は、現在国の機関あるいは地方公共団体、その他民間の機関等でそれぞれ行なわれておりますが、必ずしもその間に統一性総合性がなく、また未開拓の分野もかなり多いように見受けたのでございます。たとえば、ばい煙について申し上げますと、煙突の中のばい煙測定方法につきましては、JISによって定められた形があるのでございますが、煙突から出た後の環境測定については定型化されたものがないのであります。また、ばい煙の人体に対する影響等につきましても、現在の段階では決定的な結論が出ていないような状態でございますので、これらの基礎的な研究調査をかためることが、まず公害防止対策推進していく上の前提として必要ではないかというのが第三点でございます。  次に、第四点といたしまして、都市計画工場誘致計画等における防止対策でございますが、都市建設開発、あるいは工場誘致等計画策定にあたりまして、公害防止に対する配慮を欠いたために、工場が来てから後に、いろいろ施策を追っかけて講じていくというような事例が非常に多いのでございます。今後、大都市のみならず、地方の新産業都市等建設が進みますに従いまして、これらの計画に対しまして、あらかじめ対策を講じておくことが、公害防止する上にきわめて必要があるというのが第四点の勧告でございます。  次に、第五点といたしまして、中小企業に対する助成指導の強化の問題でございます。現在、中小企業工場公害発生源の一つになっておることは、おおうべくもない事実でございますので、この面の対策を強化してまいる必要があるのであります。しかしながら、中小企業でございますので、その施設助成あるいは企業主に対する指導等につきましては、一そうこれを強化していく必要がある、かように考えております。現在も、中小企業防除施設につきましては、中小企業近代化資金助成法によりまして、若干の助成措置も講じられておりますが、決して十分とは認められないのでございます。  次に、第六点といたしまして、研究助成と発明の奨励についてでございます。公害防止のための施設あるいは装置開発は著しくおくれている現状でございます。国といたしましては、これらの面につきまして積極的にこれを促進していく必要があるし、また、奨励助成等の手段を強力に講じてまいる必要があるというのが第六点の勧告でございます。  以上、六項目が全体に共通する問題でございますが、次に、大気汚染関係につきましては、第一に、第七項目にございます特定有害物質に対する規制の問題がございます。  監察をいたしました昭和三十八年の後半期におきましては、当時特定有害物質として指定をされておりましたものは三種類でありまして、しかも、その規制方法は、事故の発生したときにのみ、その事故の回復を、復旧をすみやかに講ずる点とか、あるいは事故のために工場の周辺に人の健康をそこなうような危険が及ぶ場合に知事勧告をするという程度の、事後的の規制しかないのでありますが、監察の結果は、特定有害物質指定をさらに追加するとともに、その規制方法についても検討する必要があるという結論に達したのでございます。  次に、八といたしまして、大気汚染許容限度の問題でございます。現在、ばい煙規制法によりまして、都道府県知事大気汚染の常時監視の義務が規定されてございますが、大気汚染許容限度がきめられておりませんために、適切な措置をとることができないという状況であります。したがって、指定地域におきましては、大気汚染許容限度を設ける必要があるというのが勧告の第八点でございます。  次に、第九点といたしまして、気象観測体制整備等についてでございます。大気汚染気象との関係は、たとえばスモッグの事例等を見ましても、きわめて密接なものであることがわかるのであります。大気汚染防止行政に対する気象庁の役割りは、したがって、きわめて大きいのでありますが、その任務が法律の上で明確にされておりませんし、また、現在の気象観測体制も、大気汚染防止の点から見ますと、必ずしも十分ではないのであります。気象観測天気予報をおもな目的といたしておりますために、工業都市等には必ずしも観測点が十分に配置されておりませんし、また、大気汚染に最も密接な関係のある地上二千メートルまでの気象観測等は、ほとんど行なわれていないという状況でございますので、気象観測体制整備をはかる必要があるというのが第九点の勧告でございます。  次に、第十点といたしまして、自動車排気ガス規制の問題でございます。現在、自動車から発生いたします排気ガス規制をいたしておりますのは、道路運送車両法道路交通法規定でございます。これらの規定が、公害防止という観点から見ますと、きわめて不十分でございまして、たとえば、道路運送車両法による保安基準内容等を見ましても、はなはだしく具体性を欠いておる、あるいは現在の車体検査方法は、黒煙排気状況を目で見て、それによって測定をするというような程度でございますので、排気ガスから発生する一酸化炭素等公害防止いたしますためには、自動車排気ガスにつきまして、さらに適切な方法を講ずる必要があるというのが第十項目骨子でございます。  次に、第十一項目といたしまして、ばい煙規制法に基づく地域指定促進でございます。御承知のとおり、ばい煙排出規制等に関する法律におきましては、政令によりまして規制地域をきめまして、そのきめられた地域におけるばい煙排出基準量を定めて、それによって公害防止に資しておるのでございますが、監察をいたしました当時におきましては、指定地域といたしまして、京浜、阪神、北九州の三地域の中の主要都市指定をされていただけでございまして、当時もう必要と考えられましたそれ以外の地域につきまして指定がなかったのであります。この点は、後ほども申し上げますが、監察の後、若干の追加がされ、さらに将来追加予定の個所も相当ふえてきております。監察当時におきましては三地域しか指定がなかったというのでございます。したがって、地域指定促進することを勧告をいたしたのでございます。  第十二点といたしまして、公共用水域流水水質基準についての勧告をいたしたのでございます。水質汚濁防止行政につきましては、わが国は、アメリカ、イギリス等に比べまして、半世紀以上のおくれを示しておるのでございます。わが国において、水質汚濁に関するいわゆる水質法——水質保全法工場排水規制法ができましたのは昭和三十三年でございまして、それ以後、この二法に基づきまして水質汚濁防止がはかられてまいっておるのでございますが、一応この水質二法の規制する規制方法に、さらにさかのぼって、根本的な問題といたしまして、現在の水質基準は各施設ごと排水汚濁許容限度を定めておるのでございますが、流れてきた水が川となって流れる、その流水につきましての水質基準は定められていないのであります。公害防止という見地からいたしますならば、流水水質基準を定める必要があるのではないかというのが勧告要点でございます。それによりまして公害防止目的を達成いたしますと同時に、下水道整備事業あるいは河川浄化対策事業等関連事業の目標がはっきりするというふうに私どもは考えております。  第十三項目は、下水道整備事業促進でございます。下水道につきましても、わが国は、欧米に比べまして著しくおくれておるのでございまして、わずかに全人口の一〇%程度下水道施設を現在利用しておるにすぎないのであります。したがって、公害防止という見地からいたしましても、下水道整備事業を一そう促進する必要があるというのが第十三項目勧告でございます。  次に、第十四項目といたしまして。公共用水域水質保全に関する法律施行につきまして、昭和三十三年に施行されました水質保全法の、監察当時に至りますまでの施行状況から見まして、まず、調査基本計画に基づく調査促進をはかる必要があるという勧告をいたしたのであります。これは、経済企画庁におきまして、昭和三十四年度から四十五年度までの十二年間に、全国百二十一水域調査予定されているのでございますが、監察当時におきまして、調査進行状況がややおくれている感じがいたしましたので、法律施行の一番前提になります基本計画に基づく調査をさらに促進していただきたいという勧告をいたしたのであります。  同じく水質保全関係いたしましては、水域指定水質基準設定促進する必要があるという勧告をいたしましたが、監察当時、水域指定並びに水質基準設定を見ましたものが全国水域のみでございました。すなわち、石狩川上流、江戸川、木曾川、淀川、この四水域指定をされていたのでございますが、水質保全の必要上、さらに調査に基づいて指定をふやしていく必要があるという勧告をいたしたのであります。この点につきましても後ほど申し上げますが、その後相当の追加がなされております。  それから工場排水規制につきまして、水質保全と表裏をなす工場排水等規制に関する法律実施状況につきまして、廃水処理施設計画促進指導工場排水規制法に基づく届け出の励行をはかりまして、この法律をさらに活用する必要があるという勧告をいたしたのであります。  第十六点といたしまして、油による海水汚濁防止のための国際条約について勧告をいたしました。一九五四年に、油による海水汚濁防止のための国際条約が結ばれまして、世界の主要海運国を含む二十カ国によって、すでに批准がなされているのであります。わが国におきましては、まだこの条約批准されていないのであります。批准にあたりましては、当然、それに先立ちまして、関係国内法整備、あるいは廃油処理施設設置等についての措置を講ずる必要があるのでありますが、すみやかにこれらの措置を講じまして、この条約を早期批准する体制を整える必要があるという勧告をいたしたのであります。  第十七項目といたしまして、公共下水道設計標準等につきまして、技術上の基礎についての政令がまだ施行されておりませんので、すみやかに施行するようにという勧告をいたしたのであります。  以上が水質汚濁に関する数項目勧告でございます。  第十八項目といたしまして、騒音防止について勧告をいたしたのであります。私どもの役所で行政苦情のあっせんをいたしておりますが、行政苦情に寄せられてまいります苦情のうち、騒音に関する問題がきわめて多いのであります。したがって、これにつきまして、すみやかに法的措置を講ずるとともに、交通業者建設業者等に対する騒音防止指導を強化する必要があるという勧告をいたしたのであります。  第十九項目に、「その他」といたしまして、毒物及び劇物取締法の改正あるいは税法上の優遇措置の徹底、水産資源保護法の積極的活用等について勧告をいたしました。  以上十九項目にわたる勧告をいたしまして、それぞれ、この勧告を受けました省庁から、勧告に対する回答が参っているのであります。警察庁が昭和三十九年十二月に回答を寄せられましたのを最後にいたしまして、関係省庁からその回答が参りまして、その回答の要約を、お配りいたしました資料の二十六ページからあとに載せてございます。非常にこまかいたくさんの事項にわたりますので、そのうちのごくおもなものだけを拾って申し上げたいと思います。  まず初めの共通事項につきましては、公害防止対策を強力に推進するための機構といたしまして、昭和三十九年三月に、総理府の中に公害対策推進連絡会議が設けられました。開設以来現在に至りますまで、引き続き関係省庁が集まりまして公害対策の連絡推進に当たっております。現在におきましては、騒音、振動等の問題を審議をいたしております。これが共通事項の第一項目に対する回答でございます。  それから各種の機構といたしまして、たとえば厚生省公害課、通産省の大阪並びに東京の通産局に用水公害課等が新設されまして、公害防止の積極的な推進が現在はかられております。なお四十年度におきましても、関係の機構がそれぞれ各省庁において計画をされております。  新産都市建設にあたって、その基本方針に公害防止を織り込むことにつきまして、関係各省においても十分指導に当たっておるという回答が参っております。  それから大気汚染防止関係につきましては、ばい煙規制法による特定有害物質に、勧告に従いまして塩化水素その他の追加がなされております。同じく、ばい煙規制法による指定地域につきましては、三地域のほかに、四日市、千葉、名古屋、大牟田等の地区が指定をされて現在に至っております。  水質汚濁防止関係につきましては、水質保全法に基づく水域指定並びに水質基準設定が、石狩川、常呂川、隅田川等について監察の後に行なわれております。  なお、工場排水規制法による工場排水水質測定に関する記録義務に関する省令が同じく三十九年の七月から施行をされております。  公共用下水道整備等につきましては、厚生省建設省等におきまして、それぞれ生活環境施設整備緊急措置法に基づく五カ年計画によって推進がはかられております。  騒音防止につきましては、騒音防止の立法措置につきまして、先ほど申し上げました公害対策推進連絡会議によって検討が現在進められております。  以上申し上げました点を中心にいたしまして、各省庁からの勧告に対する回答が参っております。詳細はお配りいたしました資料によりまして御承知をいただきたいと思います。  以上が、監察の結果並びにその結果に対する回答の概要でございますが、最後に、この監察を通じまして感じましたことは、私ども監察の対象といたしました公害は三つ、大気汚染水質汚濁騒音の三種類であったのでございます。公害としては、このほかに、なお震動であるとか、あるいは地盤降下、悪臭、放射能等、各種の公害がありますし、また、それらの公害が今後ますます量も数もふえてまいることが予想されるのであります。監察におきましては、これらの問題に対しまして一石を投じたという感じは持っておりますが、決して私どもはこの監察の効果を過大評価してはいないのでありまして、各省庁対策もようやく緒についたという感じでございます。さらに、勧告にも触れておりますが、一般公害に対する認識がきわめて低調でありますし、また、現実の状態としてはやむを得ないのでありますが、公害の発生をある程度前提にして、対策が、法律的にも、あるいは制度的にも、実際的にも講ぜられておるのでありまして、公害そのものを絶滅するという考え方に必ずしも一般が立っていないのであります。現在の各種の公害立法におきましても、大体私法的な感じで法律が立てられており、公害の発生を仲介によって解決するというような考えが法律の底に流れておるのであります。理想を申しますれば、公害そのものをなくすということが必要ではないかと考えておるのであります。今後ますます公害がふえてまいることが予想されますので、私どもといたしましても、この監察の結果に満足せず、さらに抜本的な対策が講ぜられることを期待いたしておる次第でございます。  以上、非常に急ぎましたが、行政管理庁において行ないました公害防止に関する行政監察の概要について申し上げました。     —————————————
  9. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) ここで委員の異動について報告いたします。  本日、井野碩哉君及び赤間文三君が委員を辞任され、その補欠として、源田実君及び白井勇君が選任されました。     —————————————
  10. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) それでは科学技術庁に移ります。科学技術庁研究調整局長、高橋正春君。
  11. 高橋正春

    政府委員(高橋正春君) 公害に関します科学技術庁資料につきまして御説明申し上げたいと思います。  御承知おきのとおり、科学技術庁は、科学技術に関します総合的な官庁といたしまして、もっぱら科学技術的な側面から各省と共同いたしまして、公害原因の究明あるいは防止、技術の開発ということにつきまして推進を行なっております。  第一に、公害対策の基本となります科学技術の試験研究につきましては、先ほど行政管理庁からの御説明もございましたとおり、きわめて重要な要素を占めるものでございますにもかかわらず、なお総合的、統一的な研究が行なわれていないという現状がございますが、公害防止に関しますような、きわめて要素並びに態様の種々でございますこういう研究法律的に行ないます上には、どういたしましても、これを総合的な見地から推進していく必要があるわけでございまして、したがいまして、科学技術庁といたしましては、公害に対しますところの研究を、環境科学技術の中におきますところのきわめて重要な総合研究分野と規定いたしまして、種々の各省間の研究連絡会議等を開催いたしまして、総合的な企画立案並びにその推進に当たっておるわけでございます。  なお、各省庁が、これらの公害に関します試験研究に必要な経費を確保いたし、かつ、これの効率的な配分をはかることが必要でございますので、各省庁予算を作成いたします場合に、これらに関しますところの経費の見積もりが行なわれるに際しましても、当庁といたしましては、それらの見積もり方針の調整を行なっております。  この見積もり方針の調整に基づきますところの結果につきましては、お手元資料の別表に記してございますけれども、時間がございませんので簡単に御説明申し上げますが、うしろのほうをおあけいただきますと、この研究費と申しますのは、なお「注」に記してございますように、各省の試験研究機関におきますところの特別研究費と、それから委託費、補助金並びに後ほど御説明申し上げます科学技術庁の特別研究促進調整費を含めたものでございまして、一般的な経常研究におきますところの支出は盛られておりませんけれども、三十九年度におきましては一億七千万、四十年度につきましては三億四千六百万と、このような数字になっております。  なお次に、私どものとっております措置といたしましては、公害に対しますところの研究というものは、先ほど申し上げましたとおりに、きわめて種々の要素を含んでおりますので、これを総合的に行なっていくということが必要でございますが、したがいまして、関係省庁が試験研究を行ないます場合に、これを促進しかつ調整いたしますために、当庁に一括計上されておりますところの特別研究促進調整費というものがございますけれども、これの配分に際しましては、公害関係というものにつきまして、これを重点に指向いたしまして配付をいたしておるわけでございます。  なお、先ほどお示し申し上げました別表の資料の中でカッコ書きをもって示してございますのが、これが特別研究促進調整費でございます。三十九年度には三千八百万円、四十年度には六千万円を予定いたしております。  なお、このほか、さらに公害関係の試験研究の中で、基本的な、かつ各試験に共通いたしますところの試験研究につきましては、別途委託研究を行なっております。  なお、ただいま申し上げましたような特別研究促進調整費並びに委託費によりまして、三十八年度までに一応試験研究段階におきまして開発の成果いたしましたものにつきましては、その下欄に書いてございますように、水質汚濁防止研究につきましては、水質測定法の確立、測定器の改善、浄化作用の解明。なお、その次には、過去におきますところの四日市におきますところの異臭魚の問題がございますけれども、この際にも、特別研究促進調整費をもちまして調査研究を行ないまして、異臭魚の原因、分布等の解明を行ないました。さらに、大気汚染防止研究につきましては、浮遊粉じんでございますとか、あるいは種々の亜硫酸ガスその他につきまして自動の測定器を開発いたしております。なお、騒音、振動防止研究につきましては、そこに記してございますように、種々の自動測定器を目下開発をいたしております。  以上、簡単でございますけれども、当庁関係資料について申し上げました。
  12. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) では、内閣官房に移ります。内閣官房内閣審議室長、松永勇君。
  13. 松永勇

    政府委員(松永勇君) 総理府の所掌事務について御説明いたします。  総理府は連絡調整を行なうということを主たる任務といたしておりますので、先ほど行管からの説明にありましたように、この公害対策について各省が行なっております実施を連絡調整して推進するという趣旨のもとに、行政管理庁勧告にもありましたように、それに基づきまして連絡会議をつくるということにいたしたわけでございます。お手元に配ってございます三十九年三月二十七日閣議決定による公害対策推進連絡会議の設置がそれでございます。そういう趣旨でつくられたものでございまして、会長は総務長官、委員は、総理府総務副長官ほか、企画庁、行政管理庁科学技術庁法務省大蔵省厚生省、農林省、通産省、運輸省、労働省建設省及び自治省の事務次官が委員となっております。その庶務は、総理府審議室及び経済企画庁で行なっているわけでございます。先ほどの行管からの説明にもありましたので、特につけ加えるほどのこともございませんが、そういう趣旨で、各省の全体を、この公害対策というものが各省にわたっておりますので、全体として連絡調整をし、総合的に推進して効果あらしめるようにしようという趣旨でございます。この会議は、そういうことで担当者の会議をしばしば聞いてまいっております。  この公害につきまして、これを取り扱う連絡会議では、まず、ばい煙というものにつきましては、現在、ばい煙排出規制に関する法律、それから水質につきましては公共用水域水質保全に関する法律、あるいは工場排水等規制に関する法律下水道法というようなものがございます。それから地盤沈下につきましては、工業用水法、建築物用地下水の採取の規制に関する法律というようなものがございまして、すでに法的規制がそれぞれ行なわれている状況でございます。が、必ずしもそれが十分でないというところに問題があるわけでございます。ところが、騒音とか自動車排気ガスというようなものについては、まだ十分なる法律規制が行なわれているとは言えないというような状況にある。そういう状況でございますので、この公害対策というものが非常に多岐にわたっておりますので、連絡会議としては、いま申し上げました、すでに法的規制の相当行なわれている分野につきましては、それぞれの実施の状況等を相互に連絡し、報告して、それぞれの省がそれぞれの省の立場から今後行なおうとする対策というようなものを検討し合うというふうに進めております。  ところが、いまの騒音とか振動というような面につきましては、十分なる対策が行なわれていないという部分が非常に多い。しかも、人権擁護局に申し出てくるこういうものに対する不満不平というようなものは、振動とか騒音とかいうものの件数が圧倒的に多いという実情から見まして、当面、この分野にこの連絡会議で重点的な話し合いを進めたらどうかということになりまして、現在では、騒音とか振動そのものの人体に及ぼす影響の解明、騒音問題に関する実態の把握、防止技術に関する検討、基本的な調査研究の面がおくれているので、これを進めていこうという話し合いで連絡会議がいま進められている状況でございます。今後この問題の進め方としましては、先ほど科学技術庁からもお話がございましたように、基礎的な調査研究推進が必要である、許容限度に関する基準の確立を検討する必要があろうというような点。第二点は、助成措置の今後の進め方、第三点は、防止に関するPR活動の活発化、第四点としては、都市改造等の面からこれをどう取り上げていくかというような点を検討の方向として目下進めている状況でございます。  以上、連絡会議の状況について申し上げました。
  14. 紅露みつ

  15. 鳩山威一郎

    政府委員鳩山威一郎君) 大蔵省として、私どもは、この予算関係のことを、各省の予算を取りまとめまして、提出資料としてお手元にお配りしてあるわけでございます。これにつきまして簡単に御説明させていただきます。  公害対策の経費につきましては、今回の予算編成におきましても、編成方針に、こういった問題につきまして十分措置をとろうという考え方で予算を編成いたしてございますが、そのトータルにつきましては、一番最後の六ページでありますが、一番最後に合計と書いてあります。ここに三十九年度当初予算におきまして百十五億二千七百万円、これが補正で若干節約がありまして百十二億八千万円というのが三十九年度の補正後の予算額でございますが、四十年度におきましては百五十五億三千万円、四十二億四千九百万円の増加となっております。ただこれは、のちほど中身を見ていただきますと、すぐおわかりになることでありますが、これの中には下水道関係事業費が加わっております。それから下水道に連結いたしました終末処理施設というものが計上されておりまして、この両者で相当多額の、この四十二億の増加のうち、約三十九億という増加がございます。その他の約三億程度の経費が各省の事務費、調査費あるいは研究費、こういったものになっておるわけでございます。  それでは各省の予算を、第一ページに戻りましてずっと見てみます。  最初にありますのが総理府所管でございます。  一番の公害対策推進連絡会議、これはただいま審議室長が御説明になりました関係行政機関相互間の事務連絡会議の経費でございます。主として今後まだ規制をしていない部面、排気ガスとか騒音とか、こういった問題につきましてどういう対策を講ずるかということを総理府のほうで対策検討してもらっているわけです。  二番目の地盤沈下対策審議会費、これは地盤沈下の対策につきまして、どういった基本的な対策を立てるかという審議会の経費であります。これは経済企画庁所管になっておるわけであります。  三番目の公共用水域水質保全という項目でございます。これは経済企画庁の水資源局のほうでいろいろ審議会をお持ちになり、調査をされる、こういった経費でありまして、(1)から(4)までがそうであります。これは(1)の水質審議会というところでは、まず調査基本計画を定められるのでありますが、これは百二十一の水域について調査しようという決定がなされておるわけであります。その決定によりまして水質調査が行なわれるものですから、この調査費は(3)に書いてあります水質調査費でございます。これが千八百万、補正後で申しますと千七百四十八万一千円、これが千九百五十二万三千円、これは毎年おおむね七水域程度水質調査をいたしまして、基準の作成をしているわけでありますが、この調査が終わりますとこの調査結果に基づきましてその調査の分析をいたしまして、この水質審議会にかけまして、そこでどういった規制をするのかという水質基準設定の案を審議いたすわけであります。そういった経費が(1)から(3)まででございまして、(4)の紛争仲介費というのは、水質につきまして、工場ができたりして汚れが出る、いろいろなクレームが出るわけでありますが、そういったクレームに対しまして、常時仲介員となる候補者を準備いたしておきまして、その中から五名を指名いたして、そういった紛争の仲介に当たらせるわけであります。これは前年に対して減少をいたしておりますが、そういった紛争の事例が本年あたり非常にわずかで、現在までわずかに一件ということになっておりますので、一応そういった実績に応じまして減少いたしております。なお、相当そういったクレームがたくさん出るようであれば、その措置をいたさなければならないと思います。  (5)の試験研究費は、これは科学技術庁研究費でございます。わずかに減っておりますが、おおむね前年度程度の相模川における水質基準作成のための基本的な調査ということで、社団法人である自然科学研究所に委託をいたしておるわけであります。  次に、厚生省所管に移りますが、この一番の公害審議会は、今般、厚生省の設置法の改正案を提出してありますが、そこで審議会を新たに設置をいたしまして、大気汚染騒音水質汚濁というような各部会を設けて審議をする。なお前年の経費が載っておりますが、前年はこれに相当する各省の打ち合わせ会の経費が計上してありましたので、まあそれが前年の欄にも金額が入れてございますが、法制的には本年から正規の審議会になるというふうに御了承願いたいと思います。  二番の水質汚濁対策費でありますが、これも(1)の調査費は、これは水道の水源としての各省の側に立った水質汚濁防止調査をするというのでございます。  (2)の工場排水につきましても、厚生省所管しております製薬工場等の汚水処理の方法についての協力をするという経費であります。  (3)の大気汚染対策費、これは主として厚生省のやっておりますばい煙規制法施行関係の経費。このばい煙規制につきましては、大体、毎年地区指定をしておりまして調査をしておりますが、前年約三カ所の調査をいたしました。本年は四カ所の調査予定いたしております。  大体、各省の御説明と重複をいたすかと思いますので、金額の点を主として申し上げてまいります。  (4)のばい煙影響調査というのは、これは大気のばい煙が主として人体に非常な影響を及ぼすということにつきまして、そういった観点から影響調査をするというのでございます。これは前年に対して九百十三万四千円の減少をいたしておりますが、これは前年は千八百万円で検査器具を積んだ車を購入いたしまして、その車によりまして各地の調査に当たっておるわけでありますが、本年はそれが不要になって落ちますので、実質的には約一千万円程度の増加をいたしております。調査対象も前年のほぼ倍程度のものができるというふうに考えております。  それから(5)の大気汚染測定整備費というのは、主要都市大気汚染状況につきまして常時継続的な測定ができるように機械化をした無人の観測施設をつくろうというので、本年は三カ所のそういった施設をつくるという経費を計上いたしております。  (6)は、上の施設調査をいたしました資料の結果につきまして分析をする経費でございます。本年は主として器材の整備のために、こういった経費を計上いたしております。  (7)の大気汚染測定研究費、これは国立衛生試験所における上記の測定記録を分析研究いたします経費でございます。  次に、四番目の規則公害実態調査費と申しますのは、先ほどお話の出ました自動車排気ガスとか騒音とかいったものの人体に及ぼす影響等につきまして、基礎的な調査をしようというので、新規に計上された経費でございます。  五番目の新産、工特開発地域調査費、これは通産省にも同様な経費が出てまいりますが、新産都市建設あるいは工業地域整備におきまして新たな工場街あるいは住宅街、こういったものを計画してまいるわけでありますが、そういったときに事前に通産省と協同して調査をいたしまして、公害が最も少なくなるように配置するには、どうしたらいいかというようなことを調査し、指導するというための経費でございます。  六番目の公害衛生研究費、これは本年新規でございますが、公害測定とか分析、人体等への影響等研究ということにつきまして、大学等の研究機関に対しまして、特定のテーマにつきまして委託研究をする経費でございます。  七番目の公害防止事業団事務費交付金、これは御承知のように厚生年金の還元融資と、それから一般財投とで二十億円の資金をもちまして、公害防止事業団を設立いたす考えでございますが、これに対します事務費の交付金でございます。  八番目の下水道終末処理施設整備、これは生活環境施設整備につきまして五カ年計画整備をしようというために、事業量につきましては本年の一月二十日に閣議できまっておりますが、それによりまして下水道終末処理施設整備を行なうわけでございます。  次に、農林省所管におきましては、工場排水施行費、これは農林省関係の農薬工場とかあるいは砂糖工場等の排水処理につきまして、調査をいたす経費でございます。  (2)の経費は、県の水産試験場でその水質保護水域につきまして調査をいたす委託費でございます。  次に、通産省関係を申し上げます。  一番目の水質汚濁対策費、これは通産省所管の対象の工場が非常に増加をいたしまして、その工場排水の処理施設等の調査を行なうというので、増額をいたしております。  二番目の大気汚染対策費、これは厚生省と並びまして通産省が、工場からばい煙を出す側の立場として通産省のほうがいろいろ行政指導をいたす経費でございます。  こまかいものが並んでおりますが、そういった行政指導に要する経費とお考えくださればいいと思います。  三番目の規則公害実態調査費、これは先ほどから話が出ました騒音とか悪臭等、従来まだ規制されていない、そういった公害の実態調査をしようという経費でございます。  それから四番目の新産、工特開発地域調査費、これは先ほど厚生省で申し上げたと同様に、新産、工特地域におきます公害調査及び行政指導というようなことでございます。  五番目の産業公害発生要因分析調査、これは公害発生要因の分析及び公害防止に要する経費が企業経営に及ぼす影響ということで、これは通産省でこういった調査をする事務費を計上いたしておるわけであります。  六番目は公害防止事業団の監督費でございます。これは厚生省と共管という形になっておりまして、両省で監督をするということになっております。  七番目の公害防止対策研究費でございます。これは一億四千五百万円の増加をいたしておりますが、これは主として資源技術研究所におきまして新たに部を設置いたします公害防止技術開発研究部というような名前になると思いますが、こういった部を設けまして、公害対策研究をするというのが大部分でありますが、そのほかに現在各試験所でやっております研究費につきましても、それぞれ増額をいたしております。たとえば東京工業試験所あるいは大阪工業試験所その他の試験所等でやっております、そういう研究所研究費の増額をいたします。  次に、運輸省の所管といたしまして、水質汚濁対策費、これも各省と同じように所管の造船業、車両製造工業の汚水処理施設等の調査費でございます。  建設省にまいりますと、一、水質汚濁対策費、(1)は水路水質汚濁調査費でございますが、これは十水系の九十地点の調査というので、それぞれ基準が守られているかどうか、経常的に調査をしていくための経費でございます。(2)は下水道事業補助でございます。三十一億一千万円の増加でございます。  二番目の広域公害対策調査費という新規の二百万というものが計上してございますが、近ごろの公害が非常に一地域のみじゃなくて、相当広い地域においていろいろ害を与えておるというようなことから、広域的な調査をしなければならぬという趣旨で、こういった経費を計上いたしておるわけでございます。  以上申し上げましたのが、そこの計に出ております四十年度百五十五億三千万円、四十二億四千九百万円の増加でございます。  ほかに治水特別会計で河川事業費を計上いたしておりますが、その中で東京、大阪、名古屋の都市河川が非常にまあよごれているというので、どぶさらいをしようという経費がございますので、参考のために掲げてございます。六千二百万円でございます。  以上簡単でございますが、説明を終わります。
  16. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 主計局次長には、あとから御出席でございましたのであらためて申し上げますが、きょうは説明を聴取いたしますにとどめますので、どうぞお引き揚げいただいてけっこうでございます。  それでは、次へ移ります。自治大臣官房長松島五郎君。
  17. 松島五郎

    政府委員(松島五郎君) 最近公害の発生状況にかんがみまして、地方公共団体におきましても、条例の制定あるいは機構の整備、さらには予算の増額というような措置を講じてまいっております。その概況につきまして、お手元にお配りしてございます資料によって、御説明をさしていただきます。  第一ページ、第二ページに、条例関係の制定状況調査がございます。公害防止条例というような名前で、総合的な公害防止に関します条例を制定しております府県は、埼玉県ほか六県でございます。市におきましては二県にございます。川崎市と、岡山県の総社市が公害防止条例という形の条例を制定いたしております。  次に、工場事業場等につきまして公害防止条例を制定しております地方公共団体が、府県におきましては東京、大阪の二都府、並びに町村におきましては、茨城県の大洗町が制定をいたしております。  次に、騒音防止条例という形の条例を制定しております地方公共団体が、最も数が多いのでございますけれども、都道府県では東京ほか四県、市では京都市ほか十九市、町では七つございます。  さらに、ばい煙防止条例を制定しております地方公共団体は、都道府県で一、市で一でございます。  その他の条例ということで、環境衛生条例という名前で例条を制定いたしておりますものが、市で一つございます。  なお、この表にはございませんが、ただいま公害防止条例について準備中であるという団体が、宮城県、兵庫県、北海道でございます。これが条例の制定状況でございます。  次に、公害問題を処理いたしますための、地方公共団体の機構の関係がどうなっておるかについて、御説明を申し上げます。  資料では、三ページから一〇ページまでに掲げてございます。一つ、一つ御説明申し上げるのも繁雑でございますので、全体について傾向を申し上げますと、都道府県につきましては企画部というような部がございますが、そういう企画部的なところで取り扱っておりますのが、二十六県ございます。それから衛生部で所管をいたしております県が、十二県ございます。商工部で所管をいたしておりますのが四県、総務部で所管しておりますのが四県ございます。  なお、指定都市と申しますか、大阪、横浜、神戸というような、いわゆる六大市では、総合計画をやっております部局で担当しておりますのが一つ、衛生局の系統で担当しておりますのが五つ、ということになっております。それから公害問題に関して、これを専管いたします、たとえば公害課でありますとか、あるいは公害部でありますとかいうものを設けてやっておりますものが、都道府県では八つございます。お手元にございます資料の三ページの一番上の北海道の公害課というふうに、一つの独立の課を設けておりますのが、いま申し上げましたように、都道府県では八つございまして、六大都市では、名古屋、神戸、大阪の三市ということになっております。その他の県におきます公害問題の処理機構につきましては、この表をごらんいただきますと、おわかりいただけますように、それぞれ衛生部のあるところでは環境衛生課で取り扱う、あるところは商工部の商工課で取り扱うというような形になっております。  次に、公害関係に関します地方公共団体予算状況について申し上げます。  一一ページ以下でございます。先ほども申し上げましたように、最近、公害問題の重要性にかんがみまして、地方公共団体におきましても、それぞれ予算措置を講じてまいっておりますが、その内容はここにございますように、公害対策費というような形で水質の問題でありますとか、あるいは廃水処理の問題でありますとか、大気汚染の問題でありますとか、煙害の問題でありますとか、いろいろの形で、それぞれ予算を計上し、対策を講じてまいっておるわけでございますが、予算の全体は、都道府県では五億四千四百万円余でございます。それから六大都市と申しますか、指定都市では一億九千五百万円ばかりになっております。その他で約三億でございますので、全体では約十億と推定をいたしております。  この予算措置のうちで、特に注目すべきものと申しますか、一般の事務費的な対策費ないしは調査費のようなものを除きましたものとしまして注目されますのは、一三ページの一番下の欄にございます東京都の公害防止設備改善資金貸し付け金一億四十万円というものでございます。これは、そういった施設をいたします場合の融資でございます。同じようなものが、次の一四ページの神奈川県の欄の下のところに、負担金補助及び交付金千八百九十四万五千円とございますが、そのうち千二百二十五万円は中小企業に対しまする公害除去資金助成といたしております。さらに、一五ページの一番下の行に、大阪府で中小企業公害防止設備資金貸し付け金事務費というものがございますが、その六千六百六十九万五千円のうち六千二百万円は、中小企業公害防止設備資金に対する特別融資ということになっております。同じようなものは、二〇ページの横浜市の欄の右の下のところに、公害防止施設助成金五百万円というものがございます。こういったものが施設関係に対します県市の手当としてのおもなものであろうかと思います。  以上申し上げましたように、最近の公害状況にかんがみまして、地方公共団体におきましてもいろいろと努力をいたしてまいっておりますが、ただ、今日の公害対策の問題につきましては、法律がありますものも、ないものも、いろいろございます。また法律のありますものにつきましても、その所管がいろいろな省にまたがっておるという関係で、地方公共団体にとりましても、なかなかこの仕事を統一的に進めていくということにいろいろ困難がございます。そこで自治省といたしましては、各省とできるだけ緊密な連絡をとりつつ、地方公共団体との間に立って、この公害問題の円滑な対策が講ぜられるように努力をしてまいるつもりでございます。  なお、このほかに、先ほど大蔵省等の説明にもございましたように、公害対策の一環として下水道整備でありますとか、あるいは地盤沈下対策の一環として工業用水の整備というような問題がございますが、これらにつきましては、私どものほうといたしましても、地方債の増額等の努力をいたしまして、地方団体の要望にこたえるべくつとめておるところでございます。以上、簡単でございますが、自治省の関係を申し上げました。
  18. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) それでは最後に、法務省人権擁護局長鈴木信次郎君。
  19. 鈴木信次郎

    政府委員鈴木信次郎君) 資料説明に入ります前に、ごく簡単に法務省の人権擁護局の機構と、それから人権侵犯事件処理手続の概要を御説明いたしますのが好都合かと存じます。  お手元に配付いたしました人権擁護機関系統図という半ページの資料がございますが、これをごらん願いたいと思います。その図面にあらわしましたとおり、中央機関といたしましては、法務省の一部局として人権擁護局があり、地方機関といたしましては全国八カ所の法務局内に人権擁護部、それから四十一カ所の地方法務局に人権擁護課というのがございます。またそれらの法務局、地方法務局の支局、これは全国で二百三十八カ所ございます。この支局には人権擁護事務を取り扱う係が配置されております。そうしてこれらの人権擁護機関の専従職員は、地方法務局以上に置かれておりまして、合計百七十八名というふうになっております。これとは別に、全国の各市町村に、市町村長の推薦によりまして、一定の手続を経て法務大臣から委嘱されました人権擁護委員が本年二月一日現在で九千二百十一名ございまして、主として所在地区における人権擁護の活動に従事しております。そうしてその組織体といたしましては、これまた、そこに書きましたように、全国三百カ所の地区に人権擁護委員協議会、それから各都道府県、それから北海道はちょっとふえますが、四十九カ所に都道府県人権擁護委員連合会、さらにそれを一丸といたします全国人権擁護委員連合会が結成され、人権擁護局及びその下部機関と提携いたしまして人権擁護の活動をいたしております。  次に、人権侵犯事件の調査、処理について一般的な手続を申し上げます。人権侵犯事件の調査、処理は、人権侵犯事件処理規程、これは昭和三十六年法務省訓令第一号ということになっておりますが、この人権侵犯事件処理規程に基づきまして行なわれております。この人権侵犯事件には、特別事件と一般事件がございまして、そのうち特別事件は比較的重要な人権侵犯事件でございます。その受理及び処理につきまして本省人権擁護局、すなわち私どものほうに報告を命じておるものであります。そうして、この処理規程は、具体的にその類型を定めております。特別事件以外の事件が一般事件ということになっておるわけでございます。いわゆる公害事件につきましては、すでに早く昭和二十六年以来取り扱っておりますが、昭和三十四年以降その取り扱い件数が毎年百件をこえるに至りましたので、昭和三十六年、右の処理規程の改正に当たりまして、新たに騒音ばい煙その他による公害という人権侵犯事件の類型を設けまして、しかも公害事件を原則として特別事件として取り扱っておるのであります。なお人権擁護機関が受理しております公害事件の大部分は、ただいまここで御指摘の産業公害に関するもの、すなわち近代産業と結びついたものでありまして、産業公害以外の公害といたしましては、たとえば交通機関によるもの、あるいは農村地帯におきまして家畜の飼育に伴うもの等がありますが、その数は年間わずか数件をこえるに過ぎないのであります。  事件の調査は、主として被害者その他の申告によって開始いたしますが、新聞、ラジオ、テレビ等の情報、あるいは先ほど御説明いたしました人権擁護委員の通報によって開始することもあります。調査の結果、人権侵犯の事実が認められる場合には、右の処理規程によりまして、勧告、通告、説示、援助、排除措置、処置猶予等の措置をとることになっておりますが、これらの措置には何ら法的な強制力がないということに御留意を願いたいと思います。  次に、前にお手元に配付いたしました「産業公害に関する資料」についての説明に移りたいと思います。  まず、事件の手続に従いまして、受理状況から御説明いたしますと、この資料の第二ページをごらん願いたいと思います。第二ページに「産業公害に関する人権侵犯事件受理、処理件数表」というのがございます。その左側の欄が受理のほうでございます。昭和三十七年、八年、九年、最近三年間の事件数をあげたわけでありますが、その受理の原因となりますのは、やはり発生源となる企業体等の付近の住民からの申告によるものが最も多くなっております。次いで、新聞、テレビ、雑誌等による情報、それから人権擁護委員の通報というのが、これに次いでおります。次にその内容でありますが、昭和三十九年度の総計は、まだここには——現在その全体の数字がやっと出たところでありまして、個々の詳細の数字が出ておりませんので、三十八年度の、しかも先ほど御説明いたしました、私どものほうに報告のあった特別事件のみについて申し上げます。その特別事件の全事件、目録、これは資料の三ページと四ページになっております。昭和三十八年度の事件につきまして、これを種類別に分けてみますと、第五ページ以下の表になります。この表につきましてちょっと御注意願いたいのは、五ページの第二というところに書きましたように、同一の事件が数種の公害を含む場合——たとえば、建設業が騒音と振動の源となる場合など——及び同一事件において相手方が数種の処置をとった場合、たとえば操業時間を調整するとともに工場の一部を移転させる場合等が多いので、この以下の数字は必ずしも事件数とは一致しない。事件数よりも多くなっているということを御注意願いたいと思います。  この五ページの一番下の「産業公害の種別件数表」というところにございますように、一番多いのは騒音によるものでございまして、三十九件、四一・六%となっておりまして、次いで振動十五件、一六・一%、悪臭七件、七・五%、以下、廃液、汚水、ばい煙粉じん有毒ガス、その他、こういう順序になっております。それから、そのおのおのにつきまして、八ページ以下にさらに詳細な分析表をつくっております。すなわち、騒音につきましては、八ページに掲げましたように、よって生ずる被害といたしましては、安眠の支障、会話・ラジオ等の聴取不能、勉学にも支障を来たす、病人の安静に障害を与える、精神に不安定を与える、幼児保育に障害を受ける、家畜に被害をこうむる、営業に障害を及ぼす、平穏な生活に支障を来たす、頭痛を感ずる被害。それから戸数、それはそこに記載されているとおりでございます。業種、そこに書いたとおりでございまして、大部分は工場の機械から発するものでありますか、採石作業、ビルの建築作業に伴うものも若干受理されております。振動によるものにつきましては九ページ、やはり同様に、被害、戸数、業種というふうに記載しております。それから悪臭につきましては十ページ、廃液・汚水につきましても、やはり十ページの下のほう、それからばい煙につきましては十一ページの上のほう、粉じんにつきましては十一ページの下のほう、有毒ガスにつきましては十二ページの上のほう、その他が十二ページの下のほう、というふうになっております。  そこで、これらの事件を調査いたしまして、そり事実が認められました場合の処理をどうするかといいますと、またもとへ返っていただきまして、第二ページをごらん願いたいと思います。  第二ページの右のほうの欄に「処理」として、最近三年間の総計が記載してあります。この処理のうち、排除措置というのが三年とも一番多くなっております。この排除措置と申しますのは、事件調査の結果、人権侵害の事実が認められました揚言、関係者に人権を尊重すべきことの意義を認識させるための説得を行ないますとともに、問題解体のための勧奨、あっせん等を行ない、相手方に自主的に、侵害の停止、回復その他必要の措置をとってもらうものであります。  具体的にどういう措置をとってもらうかといいますと、その総計が七ページに出ております。すなわち、七ページの一番上のほうの事項といたしまして、設備、技術改善によりほとんど被害がなくなるというのが、件数にいたしまして四十件、四五・五%、工場を他に移転いたしましたものが十件、一一・四%、和解が成立したもの、損害の補償をして和解が成立したというものが十件、一一・四%、以下、そこに記載したような状況になっております。先ほども説明いたしましたように、人件侵犯事件の調査処理には何らの強制権限もないのでありますけれども、それでも、この資料が示しますように、相当の効果をあげることができたと私どもは信じておるのでございます。  次に多いのは処置猶予となっております。また第二ページの総計をごらんになると便利かと思います。この処置猶予と申しますのは、侵犯の事実は一応認められますが、侵犯者の性格、年齢及び境遇、侵犯の軽重及び情状、侵犯後の状況並びに被害の程度、被害者の状況等によりまして処置を猶予するのが相当と思われる件であります。それから左側のほうにいきまして援助というのがございますが、これは、被害者を救済いたしますために司法的あるいは行政的救済の手続によるのが相当と認められます場合、関係官公署その他へ連絡したり、あるいはいわゆる法律扶助機関へのあっせん、法律上の助言等を行なう措置をいうのでございます。  なお、このほかに、勧告、通告等の措置をとることもできるわけでありますけれども産業公害事件につきまして勧告、通告等をいたしました例はあまりないのでございます。そこで最後に、私どもの将来の対策といたしまして、以上のように、一般的に申しまして公害による人権侵犯の救済につきまして相当の効果をあげているものと私どもは思っておりますが、しかし、近時、産業の発達に伴いまして、その公害程度、範囲はますます増大する傾向にあり、しかも、法的規制も不十分な分野の多い事件と、しかもわれわれは強制力もなく取り組んでいるものでありまして、これは容易なことでは、その目的を達することができないということを痛感しておるのであります。また、その調査処理にあたりましては、科学的な技術と専門的な知識を要することが多く、ますますその困難を感じているのであります。また、公害事件はこれを強制的に解決するためには、現在のところでは、どうしても裁判手続に乗せなければならないと思われるのでありますけれども、裁判手続に乗せたといたしましても、まず第一に、その立証に相当の困難がある。それから、結論を得るまでには相当の日時を要する実情から見ましても、どうしても、やはりこれは先ほど来しばしば他の官庁の方から御説明があったわけでありますが、全般的に行政上の予防あるいは排除措置をとることができるような法制を整備する必要があろうと考えるのであります。われわれ人権擁護局といたしましては、機構の整備充実をはかることはもとより、一般住民に対する人権尊重の啓蒙活動を、より一そう徹底させるとともに、関係官公署等と連絡協調をさらに緊密にいたしまして、公害の排除と、その発生の予防に、さらに一そうの努力を重ねたいと、このように存じておる次第でございます。
  20. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 法務省、たいへんお待たせいたしまして、最後になりまして御苦労さまでございました。  それでは、以上をもって、産業公害現状及び対策について関係省庁からの説明は一応終了いたした。  それでは、これで散会をいたします。    午後三時四十六分散会