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1965-02-12 第48回国会 参議院 産業公害対策特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年二月十二日(金曜日)    午前十時三十七分開会     —————————————    委員異動  一月三十日     辞任         補欠選任      井川 伊平君     井野 碩哉君      阿部 竹松君     柳岡 秋夫君      杉山善太郎君     藤原 道子君      近藤 信一君     椿  繁夫君  二月十二日     辞任         補欠選任      高橋進太郎君     大谷藤之助君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         紅露 みつ君     理 事                 中野 文門君                 北村  暢君                 小平 芳平君     委 員                 大谷藤之助君                 二木 謙吾君                 安井  謙君                 田中  一君                 椿  繁夫君                 藤原 道子君                 柳岡 秋夫君                 向井 長年君    政府委員        経済企画庁水資        源局長      鈴木 善治君        厚生省環境衛生        局長       舘林 宣夫君        工業技術院長   馬場 有政君    事務局側        常任委員会専門        員        中原 武夫君        常任委員会専門        員        小田橋貞寿君    説明員        経済企画庁長官        官房参事官    矢野 智雄君        通商産業省企業        局産業立地部長  馬郡  巌君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○産業公害対策樹立に関する調査  (産業公害現状及び対策に関する件)     —————————————
  2. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) それではただいまから開会をいたします。  まず、委員異動について報告いたします。  去る一月三十日に、井川伊平君、阿部竹松君、杉山善太郎君及び近藤信一君が委員辞任され、その補欠として井野碩哉君柳岡秋夫君、藤原道子君及び椿繁夫君がお入りになられました。  また本日、高橋進太郎君が委員辞任されましたので、その補欠として大谷藤之助君がそれぞれ選任されることになりました。     —————————————
  3. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) この際、委員長から御報告を申し上げておきたいことがございます。  それは、前回の本特別委員会におきまして、阿部委員から本特別委員会担当する事務局職員の問題につきましての御要望がありました。その後、理事会におきましても、この問題を重視いたしまして、委員部並び関係調査室長から、それぞれの体制につきまして説明を聴取いたし、協議をいたしましたが、理事会といたしましては、一応この体制を了としたのでございますが、なお、事務繁忙等を考慮いたし、これらの体制充実方について、事務総長に申し入れをいたしておいたほうがいい、こういうことで、委員長におきましては、去る四日、事務総長に面談いたしまして、この旨を申し入れたわけでございます。その際、事務総長からは、おおむね次のような意見が述べられたわけでございます。  それは、現在設けられております五個の特別委員会所管する事項は、従来いずれも関係常任委員会所管に包含されている事柄でありまして、産業公害対策特別委員会所管する産業公害について見ても、これは、おおむね社会労働商工委員会所管に含まれる事項で、社会労働委員会調査室においては公衆衛生環境衛生の部門として、また商工委員会調査室においては産業公害に関する事項科学技術工業立地に関する事項として、つとに両委員会調査室においてもそれぞれ担当調査員を定め、調査を分担させ、検討を加えていたものであります。しかしながら、実際には特別委員会が設けられたことに伴って、当該調査問題が取り上げられる頻度も多くなるので、事務量が増加することは事実であります。で、現段階におきましては、調査員間における事務分担合理化関係調査室間の事務量の調整、連絡緊密化等に一そうの努力をはらうとともに、経費の面においても適切なる措置を講じて、調査が十分に行ない得るようにすること等によって、特別委員会調査に支障なからしめることができると考えている。  なお、調査室の人員の充実、機構の拡充につきましては、常任委員会及び特別委員会を通じての問題として議案審議の実情、各般の調査活動動勢等を勘案して、必要があるということがあれば十分に考慮し、実現方についても努力したいとのことでございました。  また、委員部担当職員につきましては、常任委員会と同様、それぞれ三人の担当者を配置し、運営面においても万遺漏なきを期しているとのことでございました。  以上申し上げましたところが、この問題に対する事務総長のお考えの概要でございますので、ちょっと御報告をしておく次第でございます。御了承願います。     —————————————
  4. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) それでは、産業公害対策樹立に関する調査を議題といたします。  本件に関する資料関係各省庁から提出されておりますが、本日は、そのうちの通商産業省厚生省及び経済企画庁について各担当官から説明を求めます。  まず、通商産業省企業局産業立地部長馬郡巌さんにひとつ御説明を願うことにいたします。
  5. 馬郡巌

    説明員馬郡巌君) 通産省から配付してございます資料は、「産業公害現状対策」という資料と、「昭和四〇年度産業公害対策について」という資料、それから「産業公害対策技術について」という横に長い資料、三つございますが、初めの産業公害現状対策につきまして、資料に基づきまして御説明をいたしたいと思います。  産業公害の定義につきましては、学者の中ではいろんな御意見がございますが、まだはっきりした定説もございませんし、法律用語としてもまだ確定はいたしておりませんが、現象的に見ますと、工場排水による河川水海水汚濁工場排気ガスによる大気汚染工場操業に伴う騒音、振動、悪臭、工業用水のくみ上げによります地盤沈下というようなものが現象的にあげられるというふうに考えます。ただ、これらの産業公害と申しましても、実際にあらわれてまいりますのはもっと複合的なものでございまして、たとえば都市河川汚濁代表例としてあげられております隅田川につきましても、工場排水のみならず、家庭排水家庭下水も入っておりまして、大体工場排水が六三の家庭排水が三七というふうにいわれておりますように、工場排水産業公害とその他の公害というものは、いろいろまざった形で出ております。これは都市騒音にいたしましても、その他の問題にいたしましても、同じような事柄が言い得るかと思います。  で、産業公害が出てまいりました原因というものは、もちろん発生源におきまする問題が原因でございますが、その問題が発展いたしました背景と申しますか、バック・グランドは次のようなものがあげられるというふうに考えられます。産業と人口の集中がいわゆる四大工業地帯——京浜、中京、阪神北九州の四大工業地帯ないしはその周辺部に密集をいたしております。  で、三ページの表にございますとおり、大体産業地方分散が言われながらも、大体昭和の初めごろから六五%から七〇%の、最近は七〇%前後というような数字集中化傾向を見せております。資料は三十五年までしかございませんが、三十七年度も七〇・七%でございまして、集中度というものは依然として変わっていないわけでございまして、この地域での高水準の工業生産というものが一つの大きな原因をなしているということを申し上げることができると思います。  それから二番目に、都市計画の不備があげられるのではなかろうかと思います。日本の地形は、御承知のように六〇%以上が山岳地帯でございまして、平野は二〇%程度でございます。しかもその多くは——平野地帯と申しますのは、ほとんど海岸部に位置している。しかも海岸は比較的遠浅のところがございまして、そのところには埋め立ても容易でございます。したがいまして、その埋め立てしたところに大規模な工場建設され、その手前と申しますか、それよりも陸のほうには従来の工業地帯あるいは住宅地帯がございます。その背後には山がございますというようなのが、大体の日本都市の形かと存じます。この場合におきまして、工場住宅というものが画然と分かれているというような都市計画ができておりますならば、公害問題の発生というのも相当違った形になろうかと思いますが、遺憾ながら現在までの都市計画というものが、現在のような公害問題をあまり考えなかったという状態で作成されているということで、公害問題が非常にむずかしい問題として起こってきたということもあろうかと思います。たとえば四日市公害問題に見られますとおり、四日市におきましては、工場住宅が混在していると申しますよりも、工場工場の間に住宅地がございまして、たまたまそれが気象条件によりまして、かなり局地的な大気汚染を生じているというようなのが現状でございます。  それから第三番目に、公共投資不足でございますが、隅田川を例にとりますと、沿岸工場群約九〇%が中小企業でございまして、それもやはりこの近所に立地いたしました一つ原因と申しますか、やはり排水型の工場——排水型の工場と申しますか、比較的水を使います皮とか、メッキとか食品、あるいは染色加工というようなものがかなりございまして、こういうものがかなり汚濁一つ原因をなしていると考えられます。ところが、排水処理施設と申しますものは、実を申しますと、かなり用地を必要とする施設でございます。隅田川周辺は御存じのとおりの混雑ぶりでございまして、この工場が一軒一軒処理施設を持つということは、現在の状態におきましては現実的にはかなり用地的にも無理だという状態でございます、理想的に申しますと、家庭排水工場排水とを共同処理いたします下水道が整備されますと、この問題は非常に合理的に解決されるというふうに考えられます。諸外国におきましてはかなり下水道発達しておるにもかかわらず、日本におきます下水道発達——今日たとえば東京で申しますと、下水道普及率は三十八年度現在で二四%程度でございまして、これをさらに整備していくためには八年以上、所要資金は三千億以上を要するといわれております。これらの公共投資社会資本不足というものが一つ原因をつくっているかと考えられます。  それから第四番目には、技術開発研究の立ちおくれでございます。四日市で問題になりましたような亜硫酸ガスにつきましては、近年のエネルギー革命の結果、石炭系から石油系へと燃料転換が行なわれておりますが、実はこの原油の中に含まれております硫黄分ないしは重油の中に含まれております硫黄分、これを除く技術というものは世界的にも現在未開発状態でございます。また、煙になって出てまいりました中にございます亜硫酸ガスを除く技術も、まだこれも世界的に確固たる技術はないというような現状でございます。  それから、たとえば中小企業に多いメッキ処理工場メッキ排液処理方法といたしましても、現在のところは稀釈中和する以外には方法がございません。これは担当用地資金を要するようなことでございまして、現実的にはなかなか過密地帯ではとりにくい方法になっておりまして、これをもっとコンパクトに、簡単に取り除く技術というものが、至急開発される必要があるのではなかろうかというふうに考えております。  次に七ページに「産業公害現状」といたしまして、先ほど申し上げましたものを分類的にあげておりますが、水質汚濁は、一番初めには農業なり、水産業影響を与える場合、それからあるいは上水道源影響を与える場合、都市環境影響を与える場合、それから海水汚濁を生じているような場合、この四つケースに分けられると思います。この四つケースそれぞれによりまして、水質基準と申しますのは違ってまいります。また、したがって対策もそれぞれ違ってくることと思います。  それから大気汚染原因別に分けますと、すす粉じん主体といたしますもの、亜硫酸ガス主体といたしますもの、自動車排気ガスによるもの、この三つに大きく分けますと分かれるかと思います。すす粉じんにつきましては、最近の集じん発達ないしは石炭系燃料から石油系燃料への転換、それからばい煙規制法徹底等によりまして、最近は、すす粉じんによる汚染度はやや低下の傾向にあろうかと思いますが、その次にございます亜硫酸ガス主体とするものにつきましては、先ほど申しましたような技術的な未開発あるいは石油系燃料の増大というような点から、この亜硫酸ガスの濃度というものは順次遺憾ながら増加の傾向にございます。それから自動車排気ガス、これも実はまだ技術的には未開発という状態にございます。一部いろいろな研究も行なわれ、あるいは外国においては一部実施されておるものもございますが、まだ完全と申し上げる段階には至っていないような状態でございます。  それから騒音は、大きく四つに分かれると思います。工場騒音建築騒音交通騒音広告騒音四つに分かれておりますが、実は公害苦情件数の中で最も苦情の多いものでございますが、実はこれもまた、技術的には非常にむずかしい問題を持っておるものでございまして、現在この対策については非常に苦心をしておるところでございます。  十ページにまいりまして「産業公害対策」でございますが、これまでの対策としまして、法令による規制は、工場排水につきましては水質保全法という基本法と、それからそれに基づきまして工場排水法という実施法がございます。それから大気汚染につきましては、ばい煙規制法——これは厚生、通産両省所管いたしておりますばい煙規制法がございます。地盤沈下につきましては、工業用水法と、それからビル用水規制に関する法律がございます。  まず工場排水につきましては、これは基本法になります水質保全法経済企画庁でお取り扱いになっておりまして、私どものほうは、それによってきまりました水質基準を、私たちの所管いたしております工場規制実施をしておる、その取り締まりをやっておるというのでございますので、この関係につきましてはむしろ経済企画庁から統一的に御説明願ったほうがよいかと思いますので、説明を省略さしていただきます。  第二番目のばい煙排出規制につきましては、厚生省と私のほうで共管——両方で一緒に御相談して実施しておる法律でございますが、一二ページの縦の表をごらんいただいたほうがおわかりやすいかと思いますが、ばい煙の特に発生しております地域をまず指定いたします。その指定しております地域は、その次の長い地図に書き入れてございますが、すでに指定しております地域は、京浜地区千葉地区、それから名古屋地区四日市地区阪神地区北九州地区大牟田地区でございます。四十年度におきましては、北から申し上げまして室蘭、釜石、姫路、徳山、宇部小野田、この五地区を指定する予定で、現在調査を進めてまいっておるところでございます。  そういうふうにして、まず地域を指定いたしまして、それと同時に、ばい煙発生施設——ばい煙を特に発生いたしております施設、たとえばボイラーあるいは溶鉱炉とか、転炉とかいうものを指定いたします。それからそれと同時に、その施設ごと排出基準——この施設ならばこれくらいの煙が限度でございますという排出基準を設定いたします。この排出基準に従って今後その取り締まりをやっていくという形になるわけでございます。取り締まり事務は全部都道府県知事に委任いたしておりますが、その規制やり方は、各工場におきましてばい煙発生施設として指定しております施設をつくります場合におきましては全部届け出を願う、もちろん現在ございます施設にも届け出を願うことは当然でございます。そうしてその届け出に基づきまして、その届け出られました設備ではばい煙排出基準が守られないというような場合におきましては、その施設の使用方法なり、あるいはばい煙処理方法について変更してくださいという命令、あるいはそのばい煙発生施設構造に関します計画を変更してください、あるいは設置自体をやめていただきたいというような命令、そのほか現在ございます設備につきましては、構造改善命令、あるいは一時停止命令というようなものを出すことができるようになっております。ただこの法律は、その施設はかなりの時間を要しますので、地域を指定しました以後、二年間は猶予期間ということで、その間には行政指導によりまして、そういう基準を守らせるような行政指導を行なうということにいたしまして、そういう命令を出しますのは、二年たちましたあとでやっていくというような形になっておるわけでございます。  それから、そのほか緊急時の措置といたしまして、スモッグ等が起こるというような場合、一つ基準を設けまして、その状態が起きました場合におきましては、主としてばい煙をたくさん発生している工場緊急連絡をいたしまして、そのばい煙発生につきまして、協力を願うというような立て方になっております。  それから和解仲介という制度がございまして、これは排水と同様でございますが、この公害問題というものは、一つ工場一つ企業から出た煙か、あるいはどこから出た煙かということは非常に複雑でございます。その原因につきましても非常に専門的な知識を要するわけでございますので、これらのことによりまして、損害賠償、その他の民事上の紛糾が起こる場合におきましては、和解仲介都道府県知事に申し出ることができるというような制度をつくっておる次第でございます。  それから一五ページにまいりまして、地盤沈下対策でございますが、ここにございますような川崎市以下十一の地区を指定いたしまして、工業用水としまして、井戸水をくみ上げるということを原則として禁止している次第でございます。ただ現在、すでに工場生産を行なっておりますので、これに見返る水がどうしても必要でございますので、そのために工業用水道施設いたしておる次第でございまして、昭和三十一年以来、すでに八十数億円の補助金を出しまして、工業用水道建設を急いでおる次第でございますが、漸次完成してまいりまして、すでに尼崎大阪地区におきましては、井戸水を現実にすでに完全に停止いたしまして、この結果、尼崎大阪におきます地盤沈下は、漸次沈下率が少なくなっているという現状でございます。  それから、その次の「技術指導」とございますのは、ばい煙規制法なり、工場排水法によって取り締まりを行ないます都道府県なり市なりの担当官にいたしましても、あるいはこれを受けております各企業担当者にいたしましても、公害問題につきましては、まだ比較的日が浅うごごいますのと、かつ、その事柄にかなりいろいろな専門的な知識が要求されますので、都道府県の方々には技術研修会を設けるというようなこと、あるいは各企業担当者に対しても技術講習会を設けまして、法律趣旨徹底なり指導なりを行なっているはか、また規制基準に適合させるためには、どのような施設をつくればよろしいかというようなこと、特に中小企業につきましては、具体的にどういうようなやり方をするかというような「技術指導書」なり「施設基準書」というものを作成いたしまして——これは業種別に作成いたしておるわけでございますが、業種別にそういうものをつくりまして、かなりきめこまかく指導してまいっているような次第でございます。  ただ、その次の「助成措置」でございますが、これは中小企業に対しましては、中小企業金融公庫によります融資、あるいは中小企業設備近代化資金によります無利子の貸し付けというものをすでに実行をいたしております。その他中小企業以外の企業に対しましては、日本開発銀行によります融資というような助成措置を行なっております。また税制措置といたしましては、固定資産税非課税対象ということにいたしております。非課税対象になっておりますのは、ばい煙発生施設なり、排水処理施設というものでございます。それから減価償却制度についても特例措置を設けております。そのほか、一部の地方公共団体におきましては、ある程度助成措置が行なわれておるような次第でございます。  その次の「技術開発」でございますが、公害防止の一番の中心は、発生源におきまして、そのガスなり、あるいは悪水が出ないようにするということが最もいい方法であろうかと思います。そのためには、通産省におきましても三十五年以降三十九年までにすでに四億近くの特別研究費を投入いたしまして、各種の研究をいたしておりますが、これにつきましては、後ほど工業技術院院長から詳細説明いたすことにいたします。  それから「これからの対策」でございますが、これからの対策につきましては、別刷りの「昭和四〇年度産業公害対策について」という資料によりまして、少し説明を申し上げたいと思います。  一ページにございますように、公害防止事業団の新設、技術開発促進新産都市等に関する公害事前防止対策開銀融資等助成措置強化公害関係法令の運用の強化、この五本の柱を中心として運用して、対策を拡充強化してまいりたいと思っておりますが、四十年度予算にしましては、一般会計では九億八千三百万円、これは実を申しますと、中小企業設備近代化資金を大体三億と予定いたしました数字でございますが、三十九年度に比しまして約三倍弱の数字でございます。それから財政投融資につきましては四十億でございまして、三十九年度に比しまして四倍というふうな、大幅に増額をしてまいっておる次第でございます。  第一番目の「公害防止事業団」につきましては、厚生省に私ども御相談申し上げまして、現在所要法令の作成に当たっておる次第でございますが、東京大阪四日市等公害が著しく発生した地域中心にしまして、その早急な改善をはかるため、総合的な緊急対策というものを実施してまいる予定でございまして、財政投融資二十億円の資金をもちまして共同公害防止施設設置公害関係工場地方移転、あるいは集約化によります工場アパート建設等事業実施してまいる計画でございます。いずれ法案ができました暁におきましては、当委員会におきまして御審議をお願いいたしたいと考えております。  その次の「産業公害防止技術開発研究大幅促進」につきましては、後ほど工業技術院院長のほうから説明を申し上げます。  七ページの「新産業都市等に関する公害事前防止対策」、三千五百万円でございます。この趣旨は、既成の工業地帯におきましては、もうすでに起きている公害を、これから至急に取り締まっていかなければならぬということでございますが、これからできます工業都市におきまして、既存都市のような事態を再び招くことは絶対に避けなければならないというふうに考えまして、今後の地域開発をいたします場合におきましては、その公害問題については万端の措置を講じていきたいというふうな考え方で、すでに新産都市ないしは工特地域におきます開発基本方針におきましては、その点を特に留意して開発するようにという基本方針を立てている次第でございますが、その具体的対策といたしまして、四十年度におきまして、今後急速に工業化の見込まれる地域(三地域)と、その地域内の主要河川(一水域)につきまして、産業公害を未然に防止するための総合的で科学的な調査をやってまいりたい。で、この調査に基づきまして、今後の都市計画あるいは工場の立地計画なり、あるいは工場の配置計画なりというものを考えまして、今後再びこれらの地域におきまして公害が起こることのないような措置を講じてまいりたいという趣旨でございます。  その次の「開銀等助成措置強化」でございますが、開銀からの融資は二十億でございまして、本年度十億に対しまして約倍でございます。なお、現在開発銀行からの融資は年利九分でございますが、これにつきましては特利をもって安い金利でできるように、目下鋭意関係方面と折衝中でございます。それから中小企業近代化資金の貸付でございますが、六億を予定いたしております。実は、これは国から三億を都道府県補助金として渡しまして、都道府県が同額の三億をつけまして、六億の金にいたしまして、中小企業に無利子の貸し付けをいたすような制度でございます。中小企業金融公庫につきましても、額につきましてはまだ未定でございますが、同様の措置を行なってまいりたい。特にこの場合におきましては、金利につきましては現在九分でございますが、これをさらに安くするというようなことにつきましては、関係方面と現在鋭意折衝中でございます。  その次の一〇ページでございますが、「公害関係法令の運用の強化等」といたしまして、先ほど申しましたようなばい煙規制法なり工場排水法水質保全法の指定地域、指定水域をさらに追加してまいりたい。さらに、先ほども申しました技術指導書なり施設基準の作成につきましてはさらに業種をふやしてまいりたい。それから技術研修会、講習会をさらに引き続き実施してまいりたいと考えております。  それから「騒音、振動対策」でございますが、これはまだ法令による規制を受けておりませんが、実を申し上げますと、これも非常にむずかしい問題でございまして、ここ一年ばかり音響の先生方を中心にいたしまして、いろいろな御相談をいたしておりますが、なかなかまだ、これというきめ手になる対策も出てまいりませんが、発生源においていかにして騒音を防止するか。あるいは建築構造的に申しますと、壁をつくったり、防音壁をつくるというようなことによって騒音を防止できないか。あるいは工場立地的にみた防止の方法というような問題につきまして、いままで御審議を願っておりますが、さしあたり騒音発生施設の配列なり使用方法等につきまして技術指導書を作成いたしまして、具体的な指導実施を手初めとして実施してまいりたいというふうに考えております。  最後に、昨年来私どもの省にございます産業構造審議会の中に産業公害部会を設けまして、産業公害の今後の基本的方針につきまして御審議を願っております。大体この六、七月ごろには結論を得るのではなかろうかと思っておりますが、この結論に基づきまして、今後の産業公害行政の前進をはかってまいる次第でございます。  簡単でございますが、一応御説明を終わります。
  6. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 次は、工業技術院院長よりお願いいたします。
  7. 馬場有政

    政府委員(馬場有政君) 引き続きまして、産業公害の防止に関する技術の問題について御説明を申し上げます。  資料は、ただいまの資料でございますが、特に横長の「産業公害対策技術について」というものを主として御説明を申し上げたいと思います。ただいまの説明にございましたとおりに、公害を防止いたしますには、その発生源においてこれを抑圧するのが最も基本的な問題でございます。そこで、この資料の第一枚目をごらん願いたいと思いますが、その一つの例によって御説明申し上げますと、たとえばいまのお話の亜硫酸ガスの問題でございますが、これはちょうどまん中のところの図でございます。亜硫酸ガスが煙突から出ます。その煙突から出ないようにするということが一番基本的な問題であるわけでございます。この亜硫酸ガスのもとは重油の中にございます硫黄分でございます。そこでまず、重油の中の硫黄分を燃焼する前に取ってしまうということが一つのテーマでございます。それから次に、硫黄分を含みました油を燃焼いたしますときに、脱硫剤を加えまして、そうして、これを出ないようにするという考えがあるわけでございます。たとえば石灰などを含んでおりますものを一緒に燃焼いたしますと、硫黄分は石灰と結合いたしまして、煙突から亜硫酸ガスが出ないようになるというわけでございます。その次にさらに、燃焼によりまして亜硫酸ガスが出てまいりますが、その途中で、煙突までまいります前にこれを取ってしまう。たとえば特殊なもので洗い落とすとか、あるいは活性炭その他で吸着するというようなことによって除去いたしまして、煙突から出ないようにする。こういうことも考えられるわけでございます。  さらに、これが煙突から出ましたときに、地形あるいは周囲の建物の関係、あるいは天然の風その他によりましてこれが集中的に、あるいは地面、あるいは人間のおります所まで近接してくるというようなことがあるわけでございまして、この模様を知るためにいわゆる拡散実験をやるわけでございますが、これは後ほど御説明申し上げます風洞によって試験するわけでございます。こういったようなことが考えられるわけでございます。  第二枚目のほうは、水の関係でございます。これはただいまのような表現をしておりませんので、少しおわかりにくい表かと思いますが、これもまん中のところに、紙パルプとか選炭、でん粉、ビート糖というようなことが書いてございますが、これが発生源になるわけで、これらに関係いたします産業発生源になるわけでございます。この左側にワクで囲んでおりますのは、それが与えます影響の例示でございます。これは先ほどの資料にもございましたので、省略させていただきます。そして右側のほうにいろいろなことが書いてございますが、これが技術的な対策でございます。  第三枚目でございますが、これは、この技術研究ということから、技術開発研究が非常に大事であるわけでございますが、どういう項目があるか、また、これを解決するためには、どういうふうな基本的技術開発によってこれが解決されるかという表でございます。で、一番左の四角いワクで囲んでおりますのが公害の種類でございまして、御承知のとおり、大気汚染水質汚濁騒音・振動というようなものがございまして、それに関連いたしましてどういうふうな研究項目があるかということを羅列したわけでございます。右側はこれを解決するための基礎的に関連いたします技術及び科学でございます。で、これでごらんになりますとおりに、技術的には電気工学、あるいは化学工学、装置工学、あるいは機械工学、燃焼工学、プロセス工学、微生物工学といったような各般の技術問題が、これに関連しておるわけでございまして、さらに公害亜硫酸ガスの濃度でございますとか、その他いろいろな気体の流れとか、そういうふうなことに関しましては物理学あるいは化学というようなサイエンス全般を、これに適用しなければならないというわけでございます。公害に関する技術というものは非常に広範なものでございますし、また、これに関連いたします科学のほうも非常に広い範囲の応用をやらなければならぬということでございます。  そこで現在、私どもはどういうことをこの研究に関しましてやっておるかということが、四ページの表でございます。工業技術院はこの傘下に十三の研究機関を持っております。研究員の数は二千数百名おるわけでございまして、この工学あるいはサイエンスに関します各般のことを専門に行なっております。で、その中でこれの解決——公害の防止のための技術に関しましては、三十九年度におきましては、ここに書いてございますような仕事をやっておるわけでございます。で、それぞれ専門の試験所がこれに関連をいたしておりまして、その三十九年度の特別研究費の総額は七千五百万円余でございます。で、実は研究費には特別研究費と経常研究費というのがございますが、この特別研究費というものは、特定の問題に対しまして集中的に金を投入しておるものでございます。経常研究費と申しますのは、小規模に基礎的な研究をやっているものでございますが、このうち公害関係いたしますものについて、経常研究費としては三千五百万円を現在の年度で使っておるわけでございます。で、工業技術院は、このほかに民間の技術研究に対しまして、鉱工業技術研究試験補助金というものを出しておりますが、これの公害関係は三十八年度に六件、千五百五十万円を出しております。それから三十九年度には四件、千五百六十万円の補助金を交付いたしております。さらに公設の試験研究機関——都道府県にございます公設試験研究機関に対しまして、各般の技術的な指導を行なっております。また、これらの研究に対しまして特に有害物質あるいはその他のものに対しまする測定の方法でございますが、これらのものの研究が全般的に完成いたしまして、さらに民間の方でもそれに対して、この確認を得ましたものにつきましては、その方法につきまして標準化を行なっております。いわゆるGISでございますが、方法その他についてGIS化をやっている次第でございます。以上が現状でございます。  そこで、四十年度はどういうことを考えているかということでございますが、これにつきましては先ほどの縦書きの「昭和四〇年度産業公害対策について」という資料がございます。この縦書きの資料の先ほどの説明で、あとで説明をすると申し上げましたが、この四ページをお開き願いたいと思います。  で、この産業公害防止技術開発研究につきましては、今年度は七千九百万円という額でございますが、総額にいたしまして来年度はその三倍弱になります二億二千七百万円というような額で考えているわけでございます。その内訳は、五ページにございます産業公害特別研究費の大幅増額——これが先ほどの七千九百万円を、四十年度は一億九千三百万円という額を考えている次第でございます。さらに工業技術院傘下の研究機関に産業公害研究開発部というものをつくりまして、そこに人員も拡充いたしまして、そうしてこの六ページにございます産業廃水総合処理のためのデモンストレーション・プラント、それから先ほど御説明申し上げました拡散に関する実験をやりますために、相当な規模の風洞をつくりまして、そこで自然の条件あるいは環境に類似いたしました形態をつくりまして、そこで現場と類似した実験ができるようにいたしたい、こういうわけでございます。  それから先ほど御説明申し上げましたとおりに、この公害に関する研究は、広範な技術の総合的な応用によって解決されるものでございます。したがって、この当院の傘下の研究機関のそれぞれのところでやっておりますものを総合的に調整し、さらにこの研究の推進に関して各方面との連絡をよくし、これを調整するというために、研究調整官というものを設けまして、これによって調整推進をはかりたい、こういうふうに考えている次第でございます。以上でございます。
  8. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) では、次に厚生省から。
  9. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 「昭和四十年度公害対策について」——この資料の二ページをお開き願いたい。  厚生省公害に対しまする任務は、国民の立場から保健衛生、あるいは国民の福祉、生活環境、こういう立場から公害現状調査いたしまして、その原因を確かめ、また厚生省関係する諸施設公害防止装置を考える、このような部分でございます。  二ページの大気汚染の降下ばいじんの現状をかいつまんで申し上げますと、これは通俗用語でいえば、いわゆるすすでございます。で、非常にこまかいものは浮遊粉じん——三ページに書いてございます。やや大型のものが降下ばいじんで、この降下ばいじんは、例を煙突からとりますと、煙突からそう遠くない距離へ落下いたします。この降下ばいじんは、厚生省が全国各地で測定した数値を集めたものによりますと、おもなる都市の年間の平均値で、一カ月、一平方キロ当たり二十トンないし三十トン、はなはだしいものは七十五トンに達しております。これは必ずしも工業都市が多いわけではございませんで、家庭ばい煙が多い札幌のようなところがかなり高い数値を示しております。そのほか釜石、東京大阪等もかなり多い地区でございますが、このわが国の降下ばいじん量を外国と比べてみますと、西独の工業地帯とほぼ同じで、イギリス、アメリカはわが国より少ない状況でございます。ただ最近、石炭が石油に切りかえられておりますので、だんだんこのばいじん量は減る傾向にございます。また、ばいじんそのものは人体にそれほど大きな——他の原因に比べまして、それほど大きな原因に現在のところなっておるような調査は行なわれておらぬわけでございます。  次の三ページへまいりまして、浮遊粉じんでございますが、これは非常に微細な、顕微鏡で見なければわからないような小さいほこりでございます。この内容は各種各様でございまして、あらゆるものが、たとえば毛糸のくずから、金属の粉から、非常にこまかいものが空気中に浮遊いたしておりまして、これはかなり範囲が遠くまで到達いたしまして、人体にある程度影響があるということがいわれておるわけでございます。これを厚生省が都内で調べたところによりますと、イギリス、アメリカの大都市の測定結果よりははるかに多いという数字が出ております。これは先ほどのばいじんが減る傾向に対しまして、ふえる傾向を示しております。いわゆる都市がきたない。あらゆるところから、こまかいほこりが出てまいるわけでございます。  次はガスでございますが、ガスは非常に多種類ございます。また、その中にはきわめて有毒なものもあるわけでございますが、量的に申しまして一番問題となりますのは亜硫酸ガスでございます。この亜硫酸ガスが非常に多くなりますと、心臓及び肺をおかしまして、非常にはなはだしいときには死亡者を出す。往年ロンドンにおきまして多数の死者がスモッグのために起こったというようなときの死亡原因も、もちろん各種公害の総合的影響ではございますが、その主役をなすものがこの亜硫酸系統のものでございます。で、この亜硫酸は最近ふえる傾向にございます。ことに石油産業地区で非常に多いわけでございまして、最も亜硫酸ガスを多く出します産業は火力発電所でございます。ことに最近大型の火力発電所ができましたので、かなり多量に亜硫酸ガスが空気中へ放出される。しかも、わが国の使っております石油の性質から申しまして、よけい亜硫酸ガスが出る傾向にあるわけでございます。そのほか石油精製、石油化学産業等もこの亜硫酸ガスを出す原因となりますが、これはしかし、ただにこれらの産業にとどまらず、各種燃料から出てまいるものでございます。  次は自動車の排ガスでございます。わが国の自動車の排ガスの害というものは、自動車の非常に多い外国の都会よりははるかにまだ少ないものでございますが、最近の調査によりますと、自動車がかなりひんぱんに通る場所では相当の濃度を示しておる。たとえば宮城前、あるいは五反田の近所、大阪の自動車の非常に通る場所というようなところでの自動車の排ガスの、しかもこれは一番問題になりますのは一酸化炭素でございますが、一酸化炭素量は相当量に上っておりまして、その自動車のまん中に立っております交通巡査の血液の中の一酸化炭素の量は、普通の外勤の巡査に比べて数倍の一酸化炭素の量である、こういう実情でございます。現実にはかなり時間交代制をとっておりますけれども、非常にからだがだるいというような障害が起こっております。いま一つ、この自動車の排ガスの問題で、しばしばディーゼル自動車が問題にされやすいのでございますが、実際に一酸化炭素を最も多く出しますのは普通のガソリン車であります。ディーゼル車のほうはばい煙を見た目に黒々と出しますけれども、どちらかというと一酸化炭素を排出する量は少ないわけであります。そのほか自動車の排ガスの中にはかなり有毒なガスがありまして、窒素酸化物NO2というかなり有毒なものもあります。それから炭化水素、三、四ベンツピレンというガンの原因になるのではなかろうかというようなものも、量は多くございませんが、含まれているおそれがあるわけでございまして、今後大きな問題となってくるものと思われます。  ばい煙規制法関係は、すでに通産省からお話がありましたし、水質汚濁関係経済企画庁のほうからお話がございますので、詳細は省略いたしますが、水質汚濁も非常に進みますと、たとえば隅田川のごとくになりますと、これは環境衛生上非常に有害となっておりまして、頭痛、食欲不振等、衛生上の問題を起こし、同時に発生いたします有毒ガスで周辺の金属が腐食する。しんちゅう類はまっ黒になるというような現状でございます。ただに見た目に墨黒々となっているとか、魚が住まないという問題でなくて、やはり衛生上、生活環境上の問題を惹起いたすわけであります。それから発生源でありますが、発生源は各種各様の工場から出てまいりますわけで、ことにメッキ工場とか、パルプ工場とか、でん粉工場というような工場が相当汚物を出すということのほかに、し尿が大きな原因でございます。家庭汚水がかなり大きな原因でございまして、例をとりますと、多摩川のごときは、むしろ工場排水の害というよりは家庭汚水、し尿等に注目せざるを得ない、こういう現状でございます。また地域によりますと、豚等を大量飼育いたしておりますと、そのふん尿が川へ流れ込んで、下流をひどくよごすという事例もございます。  それから騒音でございますが、公害の実態を調べてみまして、何を公害というかという話が通産省の方からございましたけれども、要するに公害として非常に困るという苦情の多いのは、むしろいま申したような大気汚染とか河川よりは騒音であります。直接個々の国民にひどく影響いたしているわけでありまして、大気汚染のほうはむしろ知らず知らずの間に肉体がそこなわれるということで、直接なクレームになってくることは非常に濃いばい煙寺の場合以外はあまり多くない。まあ特別悪臭でもあれば別でありますが、そういうことで実際問題としては局地的に発生する騒音、あるいはジェット機によるかなり広範囲に及ぼす騒音というようなものでございます。ことに、最近飛行場周辺は、ジェット機が、しかもだんだん大型になってまいりまして、騒音程度もきわめて高い、頻度も多いということで、大きな社会問題となっておるわけであります。  次に、悪臭でございますが、これも御承知のように、ときおり出てまいるわけであります。通常の場合でございますと、腐敗した魚介類、肉類、はらわたというようなものの処理、ごみ堆積場等の悪臭というようなものが局地的には大きな問題でございますが、広範にこの悪臭問題が起こりますのは、先般ございました川崎地区とか、あるいは名古屋の南のほうの地域というようなことで、具体的に起こってまいりました。その原因となりますものは、石油化学工業に起因するものと思われるわけであります。  厚生省が四十年度の重点施策として考えておりますのは、八ページ、九ページにございますように、事業団は、すでに通産省の方から御説明がございましたが、第二が「公害衛生の研究体制の確立」、そのうちの(1)でございますが、公害の実態の測定、人体への影響等の調査を、全国の大学、研究所あるいは専門団体等に二千万円で委託をいたして推進いたしたいというようなことでございます。  次に、公害の、ことに大気汚染の実情測定という意味で、測定網を枢要な地域にはりめぐらすということで、明年度さしあたって三カ所ステーションをつくりたい、こういうわけであります。主としてこれは自動測定機でございますが、そこで測定せられました結果を中央に集めまして、環境衛生センターで分析をいたしたい、かように考えております。  一〇ページにまいりまして、ばい煙並びに大気汚染が人体にどのような影響を与えるかということを、本年度もやっておりますが、明年度も引き続き実施をいたします。また、従来私どもは少し手のつけ方がおそかった自動車の排気ガスとか騒音というものの実態を、明年から本腰を入れて調べてまいります。  それから一〇ページの四番でございますが、新産都市、工業特別都市、これからこういう地域には公害を起こさせないという事前的な措置を、企業側にも市町村側にもとってもらいたいということで、計画の中に織り込んでいくために、あらかじめ予備調査をするということで、これは通産省と共同で、このような調査をするつもりでおります。  なお、従来の既定行政の強化のために、資料にございますような予算を組んでまいりました。  以上でございます。
  10. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) それでは次に、経済企画庁鈴木水資源局長
  11. 鈴木善治

    政府委員(鈴木善治君) 「水質保全行政について」という横書きの資料がございますが、これをもとにして御説明いたします。  公害一般につきましては、通産、厚生等から御説明がございましたが、その中の水質汚濁関係、これにつきましては、政府としまして、比較的早く、三十三年に水質保全法以下の法体系ができたわけでございます。したがいまして、若干その内容を御説明したいと思います。  明治二十九年の河川法以来、いろいろ水質汚濁防止の法規はあったわけでございますが、具体的に水質の基準をつくって、それに基づいて規制するというのが水質保全法の主眼でございます。先ほど通産省から御説明がありましたばい煙規制等も、大体その法規に従っておるわけでありますが、水質汚濁に関しましては、いままでの御説明にもありましたとおり、公害全般に共通する問題が多いわけでございますが、若干特殊な面もあるわけでございまして、これは、それの汚濁源が工場事業場あるいは鉱山、あるいは下水道、こういうことでございまして、それの被害のほうは——現在まで企画庁か調査しました四十五の河川水域を分類してみますと、これはもちろん被害も重複しておるわけでございますが、おもなものにつきまして分類してみますと、水産、農地、上水道、それからその他の一般環境衛生、こういう順になっております。したがいまして、水質汚濁の問題につきましては、若干の都市河川——これは、もちろん社会的には隅田川その他非常に重要な問題が多いわけでございますが、若干の都市河川を除きますと、全国的に見ますと、水の利用に関しまして産業間の利害が衝突する、こういうケースが多いわけでございます。したがいまして、環境衛生面も同様に、この法律でうたっておるわけでございますが、いわば産業間の水の利用配分に関します規制と申しますか、そういう点が一つの柱になっておるわけでございます。それと同時に、水質紛争につきましては、先ほど通産省から御説明がありましたように、一般の民事裁判にはなかなか乗せにくい、因果関係の究明あるいは被害額の究明等がむずかしいので、そういうことから、和解仲介制度というものも、三十四年以来やっておるわけでございます。  この資料の一ページに書いてありますが、水質保全の対策につきましては、大体重複いたしますので、次へ参ります。ただ、この中で若干、一般公害と違いますのは当然のことでございますが、河川のしゅんせつ、浄化用水の導入等、たとえば隅田川におきまして、荒川の取水せきから新河岸川を通じて、荒川の余剰水を入れておる、そういうような点が入ってくるわけでございます。その他は大体共通いたしますので、省きます。  二ページの「水質保全法の概要」に入りますが、この法体系は、いわば水質保全法水質汚濁防止のための基本法となりまして、この基本法で指定水域を指定しまして、その指定した水域に水質の基準をつくります。これは工場事業場等から排出します排水汚濁の許容限度をきめるわけでございます。それがこの水質保全法一つの柱でございますが、それのためにこの(2)に書いてございます「調査基本計画の策定」、これによりまして三十六年に基本計画ができておりますが、これも別に資料をお配りしてございます。百二十一の水域を調査することになっております。後ほど御説明しますように、本年度までに四十五の水域を調査しております。  三番目が、この法律中心でございまして、経済企画庁長官は、水質の汚濁原因となって関係産業に相当の損害が生じ、もしくは公衆衛生上看過しがたい影響が生じているもの、またはそれらのおそれのある水域を、指定水域として指定すると同時に、その排水水質基準をきめるわけでございます。その水質基準がきまったときには、それを順守する義務が一般的に生じまして、これを具体的に規定しておりますのが、工場事業場等の排水規制法その他鉱山保安法、下水道法、これらがいわば水質保全法実施法というような二段階の法体系になっております。これらの水域の指定あるいは水質基準の決定には、水質審議会の議を経る、こういうことになっております。  それから先ほども御説明しましたように、保全法においては、具体的な水質紛争について和解仲介制度を設けておるわけでございます。これが(6)に書いてある点でございます。  なお、いまの実施法であります工排法の規定のおもな点を参考までに申します。これは通産省その他の官庁が所管でございますが、水質保全法とあわせて一本でございますので、簡単に御説明しますと、四ページにございますように、監督大臣は、通産、厚生、大蔵、農林、運輸と五省にまたがっておるわけでございますが、政令で具体的に排水施設を特定施設としまして五十二の項目がきめられております。これらの実施監督は大部分出先機関または都道府県知事に委任されておるわけでございます。で、その内容としましては、届け出あるいは水質測定義務と、いろいろございまが、中心になりますのが、五ページの五番目の汚水等の処理方法改善等の命令でございまして、工場事業場等の排水水質基準に違反している場合には、その排出している者に対して期限を定めて処理方法改善、あるいは場合によりますと特定施設の使用の一時停止命令というようなものを出すように、具体的に規制ができるようになっております。  その他、国の援助あるいは罰則等が規定してあるわけでございます。これらの関係を図解しましたのが六ページでございます。六ページに、経済企画庁水質保全法関係担当しているわけでございますが、それの(1)というところでございまして、百二十一の水域が調査基本計画に基づいて指定されておりまして、それを毎年調査しておるわけでございますが、御承知のように河川は年間いろいろ流量が変化する等のこともございまして、少なくとも一年以上の調査をやっておるわけでございます。それに基づきまして、次の段階としまして、それの整理、解析を行ないまして、水質審議会に諮問し、その答申を得て告示になるわけでございます。告示の際には、指定水域の範囲を限定してそれを指定しますと同時に、具体的に一般的には業種別に水質の基準を設定しておるわけでございます。その水質基準が告示になりますと、今度は(2)に移るわけでございますが、それぞれの実施法に基づきまして、ここに書いてでございますように、工排法に基づきますと五省が関係あるわけでございます。その他鉱山保安法、水洗炭業法等につきましては通産大臣、それから下水道法につきましては厚生大臣、建設大臣、それぞれが実施監督を行なうわけでございますが、これらは先ほども御説明しましたように、それの具体的な実施は、それぞれの出先機関なり都道府県知事に委任してあるわけでございます。  それから次に移りまして予算でございますが、これは企画庁は単に調査して、基準をつくるわけでございますので、調査費を中心にしまして、その他和解仲介の交付金等、四十年度におきまして三千万円を要求しているわけでございます。  それから次の八ページでございますが、現在までの進行状況でございます。これは三十四年に法が施行になって以来、現在までに九水域の水質基準が設定済みでございます。まことに遅々として進まなかったわけでございますが、これらはいずれも非常に科学的、技術的な面がございまして、最近になってようやく解析技術その他がだいぶなれてきた、こういうことでございまして、現在、水質審議会に審議付託中の水域は五水域でございます。その他少なくも本年度中くらいに水質審議会に審議の付託をする予定のものが七水域ございます。その他、調査の結果、解析中のものが七水域、また調査はいたしましたが、漁業権が消滅、あるいはいろいろな除害施設の工事が進行中でございまして、それらの様子を見た上で水質基準を設定したほうがいいということで当面見合わせているものが九つ。三十八年度までに三十七水域を調査した内容は以上のとおりになっております。それから三十九年度は、現在、八水域を調査中でございます。  それから次の一一ページでございますが、水質保全法に基づくもう一つの柱でございます和解仲介制度実施の概況でございますが、三十四年度以来、これは加害者、被害者、いずれからでもよしろいのでございますが、申請に基づいて、あらかじめ都道府県知事が用意しております仲介員の候補者の中から仲介員を指定いたしまして、仲介調停を行なうわけでございますが、二十五件のうち十九件が解決しております。それの概要はその次のページに書いてございます。  時間の関係ではしょりましたが、何か御質問があればお答えいたします。
  12. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 矢野参事官からの補足はよろしいんですか。——それでは矢野参事官。
  13. 矢野智雄

    説明員(矢野智雄君) それではお手元に「国民生活局の設置」という非常に薄い資料がございますが、これを参照していただきたいと思います。  私は、公害防止行政の総合調整という点につきまして簡単に所見を述べさしていただきます。経済企画庁では本国会に経済企画庁設置法の一部を改正する法律案を提出いたしておりますが、その中心になりますのがこの国民生活局の設置であります。国民生活局の設置それ自体の問題につきましては、本日の主題ではございませんので、省略させていただきますが、お手元の資料の一ページにも書いてございますように、近年の日本経済の著しい発展は、それに伴いまして国民の所得あるいは生活の水準も、全般的には向上してまいったわけでありますが、ややもしますと、国民生活の質的な面がおろそかにされがちになっておるとか、さらには、その向上を阻害するような諸事情も見られるようになっておる。こう指摘しておりますが、これはまさに公害の問題であります。経済が発展いたします場合に、当然これは国民の生活を引き上げます重要な前提になるわけでありますが、一部にはかえって国民の生活を阻害するような要因もないではない。これを防止することによって、国民生活を順調に、豊かなものに発展さしていきたいということが、国民生活局の設置のねらいであるわけでありますが、社会開発と経済開発を調和をとって推し進めていく、あるいは経済発展の成果が十分に国民生活の向上に発展していく。そういうふうにいたしますためには、当然この公害防止ということは非常に重要な課題になってまいるわけであります。  ところで、先ほど来、種々御説明がありましたように、公害の問題はその発生という面からみましても、また、その影響を受ける側からみましても、非常に多岐にわたっております。したがってまた、公害防止行政は直接、間接に多くの省庁にまたがってまいりますので、当然その総合調整ということが今後ますます大きな課題になってくるかと思います。  ところで、この公害防止行政の総合調整につきましては、昨年の秋発表されました臨時行政調査会の答申では、当面は内閣府に調整機関を設けて、そこで調整することが望ましい、しかし恒久的な機関については別途考えるということで、結論は出しておりません。しかし、いずれにしましても、国民生活の向上という面からは、これが非常に重要な課題になりますので、そうした立場から、公害防止行政につきましての総合的な政策の企画立案、あるいはそれに基づきます総合調整といいますことは、当然今後、国民生活局が設置されました場合に取り上げざるを得ない問題かと存じます。この国民生活局の設置の問題は、現在国会で審議中のものでありまして、すぐいま当面どうということじゃございませんが、あらかじめ所見を述べさせていただいた次第でございます。
  14. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) これで予定審議は終わりましたので、今日はこの程度にとどめまして散会をいたします。    午前十二時散会      —————・—————