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吉田忠三郎君 建設大臣が何か時間の
関係でお帰りを急いでおるようでございますから、渡辺
委員の質問に若干関連いたしまして一言だけ、
北海道のいわゆる
高波に
関係いたします
漁港の問題で伺っておきます。ただいままでの渡辺
委員に対する大臣の答弁では、公共土木
災害、とりわけ
漁港等の
災害復旧についての幅のあるような御答弁がなされました。私ども、もとより原形
復旧じゃなくて、
復旧する場合にはむしろ原則として改良
復旧をしなければならないのではないか、こう考えておりますから、その考え方にやや近い御答弁ですから、この点は了承いたしますけれども、具体的に例を出して伺っておきます。
いま渡辺
委員が申しましたように、
漁港の場合は
直轄の
漁港と、それから
地方に対して
補助をして、いわゆる
補助事業の
漁港、さらには
漁港などということではない、小規模の船だまり程度のものがかなり建設されておりますることは、御承知のとおりだと思います。今度の
高波の
状況は、さいぜんから
関係のそれぞれの省庁から御
報告ございましたが、まことに今日まで予測もできなかった異常低
気圧によるものだ、こう言われております。ですけれども、最近のたとえば一昨々年の
台風十九号、二十号等々の経緯を見ても、波の状態というものは、かなり前から見ますと異常なほど高いものになってきている、こういうことが言い得ると思います。これは統計上見ても明らかであります。ところが、実際
建設省で
計画をしたり、あるいは
北海道の場合開発庁が所管しておりますけれども、こうしたところで
計画をするものは、依然として明治何年か知りませんが、そうしたような統計等を参考として技術的に計数をはじいてそれぞれ
計画を施行している。ここらあたりが、私は非常に今度の
高波の状態を見て問題があるように思うんです。幸い、三陸のほうの
関係は別でございますが、
北海道の場合は
気象庁の予報がかなり早い時期に出されておった
関係上、イカの最盛期ではありましたけれども、沖合いにおける漁労中の
被害というものはあまりなかった。ほとんど
漁港に
避難をし係留をしておった。ところが、いま言ったように従前の常識的な考え方ですと、防波堤を越えることはない。ところが、今度はもうはるかに当初
建設省なりいま申し上げた開発庁なりが
計画した防波堤をオーバーする
高波に押し寄せられた。港の中におって船が沈没したり大破したりした等々のことがあって、非常に大きな
被害になって
北海道の場合は出ました。具体的に尻内町の場合もそうであります。それから白糖の場合も
幌泉町の場合も、さらには
様似の場合もそういうものが出ている。ですから今度の
災害の特徴というものはそういうところにある。そこで問題のありますのは、原形
復旧の場合には、防波堤を
損壊した場合に、原形
復旧する場合に、依然としていま申し上げた前からの考え方を貫かれることになる。ですから、これをあらためて、最近の特徴たる、あまりいい傾向じゃありませんけれども、
高波なり
高潮というものを想定をして、やはり私は改良
復旧していくべきものではないか。なお
補助事業の
関係については、先ほど渡辺
委員も申し上げたように、
建設省とそれからあるいは
地方との
関係、特に
地方港湾等になりますと、運輸省も入っております。その中には
漁港というものが付帯されておりますから、その間役所の連繋の不十分といいますか、あるいはなわ張り争い的なこと等がありまして、
復旧作業あるいは
復旧工事が、非常に漁民あるいは
地域住民の期待に反するような実態が随所に起きております。ですから、こういう点はひとつこの際は抜本的に改めて、すみやかに施策が浸透するように私はやっていただきたい、これが
一つ。
それからもう
一つは、船だまりの
関係でございますけれども、これはもともと船だまり程度の施設をするということですから、漁民も少い、あるいは
漁船も少い、こういうことで結果そうなったと思う。ところが、最近これは
農林省の統計、あるいは発表したものによっても、漸次
沿岸漁民は漁族が枯渇している
関係と、もう
一つは海区調整から出てまいりました海区の
関係から、最近いやおうなしにかなり沖合いで漁労しなければならない状態が出てきている。したがいまして、一トン未満の
漁船は動力を必要としなかった。ところが、最近一トン未満でも動力を設備をして、いま申し上げたように沖合いで漁労しなければならぬ、こういう実態が出てきている。ですから前従の
計画をして施行した船だまりなどというものは、まさにもう狭隘などという
ことばで表現でき得ないようになっている。こうした事情の中で、今回のような
高波が押し寄せた場合に結果どうなるか。全部これは全滅している、こういう実態等出ています。でありまするから、私は今度の
災害をこうむるこうむらないにかかわらず船だまりの施行などについて私は再検討を加える必要があるのではないか。既設のものはもとよりありますけれども、ただいま継続工事をいたして施行しておるものがございます。こういうもの等については、
地域住民は非常に今度の経験から強い要望を持っています。ですからその要望を十分くみ入れるような方向で
建設省が指導する考えがあるかないか、この点を伺っておきたいと思います。