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中村順造君 私が先ほど来言っておるのは、何回も同じことですが、要するに
労働者の
保護だとか地位の向上だとか平和的なものごとの解決だとか言われても、その一方でそういうことを国家権力を背景に、またはこれに似たようなことをやられては、やはり
——松浦運輸
大臣は、あなたのほうにもと、こう言われたけれ
ども、またそれは私に言わせれば、それ以前の問題があるわけですよ。たとえば
当事者能力が何にもないのに持ってきて、ただ働け働けと言う、それだけの能力がないという仕組みにも問題がある。しかし、その問題はここでやらなくてもいいと思いますけれ
ども、この
ILO条約批准については、やはり
相互信頼だとか
労働者の地位の向上だとか
保護だとかいうならば、少なくともそういう
相互信頼の前提となる悪い面は、私はのけなければならぬと思うのです。たとえば
一つの例をあげても、いまの警察本部長の問題にしても、これは副
総裁は、各省との人事交流と、こう言われるけれ
ども、ただ、ほかの営業部長だとか電気部長に、人事の交流で、通産省の電気
局長を
国鉄の電気部長に迎えたということとは違うでしょう。直接問題の起きる人、指揮者を、なぜそこへ据えなければならぬかということですよ。先ほど横川
委員も言ったように、やはり
鉄道公安職員の能率をあげるためにそれを迎えたわけでしょう。私に言わせるならば。やはりそういう職務は要らないわけですよ。
国鉄はものを安全に迅速に正確に輸送すればいいわけですから、何も拳銃をぶら下げたり警棒をぶら下げたりする必要はないわけです。これは警察官にまかせればいいことですよ。けれ
ども国鉄は、それをあえてどうしても手放さない。しかもその運用については、鉄かぶとをかぶる。この前、去年でしたか、岡山では警棒を振りかざして
労働組合の休憩しておるところへ飛びかかっていっておるのです。なぜお前たちは警棒を持ったかと、運輸
委員会で私が言ったのは、公安職員に警棒というものがなぜ必要か、あれはスキーのお客が骨が折れたときにその突っかいにしなければならぬから警棒が要るんだなんというばかな
答弁をしたことがある。(笑声)私はきのうも水戸に行ってきました。水戸ではこの四月二十九日に、いわゆる勝田の事件について、一
組合員の、ピケに動員された人を逮捕して、いまもってこれを釈放しない。
組合の役員でも何でもない。もう十何日間これを逮捕しておる。検事正に会ってきのう話したんですが、何の
意図でそういうのを逮捕しておるのか、そうしてその
犯罪の事実というのはどういうことかと言ったら、それは公安官が乗務員の休憩所で、その逮捕した人に三人でかかって足払いをかけた、その人は逃げた、逃げて、助役室の入り口まで逃げたところを公安官が手錠をかけた。これは事実は、水戸の電気部長ですかがその対策
委員長だったというが、それの許可もなしに、これをいきなり駅長室へ連れていって、警察官に渡した。でっち上げもはなはだしい。そういう間違いをしばしば
——これは公安職員というのは
一つのコンプレックスを感じておるわけですよ。本来の輸送業務からはずれて、とんでもない仕事ばっかりをさせておるわけです。そういうのに拳銃を打たせ、警棒を持たして、いま、暗い操車場で走り回らなければいけぬから乱闘服を着ておると副
総裁はおっしゃったけれ
ども、とんでもない話ですよ、これは。いつ操車場で公安職員が平生の
状態のときに乱闘服を着ておりましたか。公安職員が乱闘服を着るときは、必ず
労働組合と対決をするという気がまえのときに、出動したときに着ておるわけです。こういう事実が
——まあそれは警察官は昔から言われておることで、警察官の中立性というものは疑わしいと。国次公安
委員長もよく聞いておってもらわなければならぬですよ。それから
国鉄は、特に三公社の中で
国鉄だけがそういう不必要な私兵を養って、そうしてまあ正当であるとかないとかいうことは別にして、いずれにしても
労働組合と対決をするという
姿勢をとっておるわけですよ、いまもって。そういう情勢の中で
労働大臣の言われた
ILO精神に基づく
相互の信頼だとか平和的なものごとの解決だとかいう、こういうことが
日本の国情から可能であるかどうかということを、私はきょう申し上げておるわけです。少なくともこのやり方なり
考え方は、国家権力の
労使に対する中立性というものは、守ってもらわなければならぬ。ましてや公安職員の争議への介入ということは、厳に慎んでもらわなければならぬのである。こういう面でひとつ時間もきましたから、何か
あとで重要な話があるようですから、私はきょうやめますが、
労働大臣、どうですか、こういう
日本の
現状で、あなた
ILOの総会にも招かれておるようですが、堂々と行って、私がきょう申し上げたようなことを、いずれ
ILOにも知れると思いますけれ
ども、これは
日本の誇りですか。
日本のいまの
労働組合運動の過程の中の
一つとしてこういう事態が、これはいずれ総評からも送ると思いますが、これだけの膨大な者を逮捕し、起訴し、やっておって、
日本に
労使のいわゆる
相互信頼が
——総評の幹部なり
労働大臣なり総理
大臣がお会いになる、けっこうです、そのこともけっこうですけれ
ども、むしろ私はその前提となるいわゆる国家権力の
労働運動に対する介入ということをやめてもらわなければならぬと思う。これについての
考え方を、ひとつ最終的に聞かしていただけるなら私の
質問はきょうは終わります。