運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1965-05-18 第48回国会 参議院 建設委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年五月十八日(火曜日)    午後二時七分開会     —————————————    委員異動  五月十四日     辞任         補欠選任      丸茂 重貞君     増原 恵吉君  五月十七日     辞任         補欠選任      増原 恵吉君     太田 正孝君      柴谷  要君     大和 与一君  五月十八日     辞任         補欠選任      白木義一郎君     二宮 文造君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         中村 順造君     理 事                 稲浦 鹿藏君                 川野 三暁君                 熊谷太三郎君                 瀬谷 英行君     委 員                 小沢久太郎君                 小山邦太郎君                 高橋文五郎君                 森田 タマ君                 米田 正文君                 武内 五郎君                 二宮 文造君                 田上 松衞君                 村上 義一君    委員以外の議員        発  議  者  田中  一君    衆議院議員        発  議  者  馬場 元治君    国務大臣        建 設 大 臣  小山 長規君    政府委員        建設政務次官   白浜 仁吉君        建設省河川局長  上田  稔君        建設省道路局長 尾之内由紀夫君        建設省住宅局長  尚   明君    事務局側        常任委員会専門        員        中島  博君    法務局長        第 四 部 長  土屋 政三君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○住宅協同組合法案田中一君外六名発議) ○地方住宅供給公社法案内閣提出、衆議院送  付) ○九州横断自動車道建設法案衆議院提出) ○継続調査要求に関する件 ○熊本県大津町バイパス建設に関する請願(第三  四号) ○長野県千曲川分水計画反対に関する請願(第一  一〇号)(第二二一号) ○山形県最上川中流改修事業古口工促進及び国  道四十七号線付替工事に関する請願(第一七一  号) ○発電用水利使用料増額に関する請願(第二七八  号)(第二八八号)(第三六二号) ○発電水利使用料改定に関する請願(第一九九六  号) ○三重県雲出川改修計画変更に関する請願(第一   一一八号) ○岡山吉井川下流直轄河川事業促進に関する請  願(第一五八三号) ○多摩川河川敷の市民への解放に関する請願(第  二四八〇号)(第二四八一号)(第二四八二  号)(第二五五三号) ○東北縦貫自動車道早期建設に関する請願(第  三〇二号) ○東北高速自動車道早期着工等に関する請願  (第三〇三号) ○東北自動車道建設促進に関する請願(第七五二  号) ○関東ローム地域道路整備促進のための財政援  助特別措置立法化等に関する請願(第七五三  号) ○国道飯田豊橋線(一五一号線)池場トンネル開  通に関する請願(第一二八五号) ○備後工業整備特別地域鳥取倉吉地帯を結ぶ  広島、岡山鳥取三県にわたる道路路線国道  に昇格する請願(第一五八二号) ○昭和四十年度公共工事の完遂を期するための適  正単価に基づく工事発注に関する請願(第三九  四号)(第四〇四号)(第四三七号)(第四四  五号)(第四五六号)(第四六八号)(第四八  〇号)(第四八七号)(第五〇二号)(第五二  九号)(第五四四号)(第五七二号)(第五七  三号)(第五七四号)(第五七五号)(第六〇  〇号)(第六二二号)(第六二三号)(第六三  〇号)(第六四一号)(第六四二号)(第六五  四号)(第六五五号)(第六五六号)(第六五  七号)(第六九〇号)(第六九一号)(第七一  九号)(第七二四号)(第七二六号)(第七五  八号)(第一〇三二号)(第一一一二号) ○「不動産鑑定評価に関する法律附則第十四  項改正等に関する請願(第九三三号)(第一七  〇五号) ○下水道事業整備促進に関する請願(第五一八  号) ○公園緑地整備促進に関する請願(第五一九  号) ○三多摩公営住宅払下げに関する請願(第七七〇  号)(第一五八四号) ○民間宅地造成事業等に対する金融に関する請願  (第一九八六号)(第一九八八号)(第二〇四  三号)(第二〇一九号)(第二一四二号)(第  二一七六号)(第二二二一号)(第二七四一  号)     —————————————
  2. 中村順造

    委員長中村順造君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十四日、丸茂重貞君が委員辞任され、その補欠として増原恵吉君が選任されました。また、昨十七日、柴谷要君及び増原恵吉君が委員辞任され、その補欠として大和与一君及び太田正孝君がそれぞれ選圧されました。     —————————————
  3. 中村順造

    委員長中村順造君) 次に、地方住宅供給公社法案及び住宅協同組合法案を一括して議題といたします。  両案については、前回すでに提案理由説明聴取を終えておりますので、これより両案の補足説明をそれぞれ聴取いたします。  まず、地方住宅供給公社法案の御説明を願います。尚住宅局長
  4. 尚明

    政府委員(尚明君) ただいま議題となりました地方住宅供給会社法案について、逐条的に御説明申し上げます。  この法案は、九章五十条と附則二十一項からなっております。  第一章は、地方住宅供給公社目的、名称、出資定款等について規定しております。  第一条は、地方公社目的を定めたものであります。地方公社は、住宅不足の著しい地域において、持ち家を必要とする勤労者から積み立て金受け入れるとともに、この積み立て金と、住宅金融公庫融資、銀行その他の金融機関融資等による資金をあわせ活用して、勤労者のために居住環境の良好な集団住宅及びそのための宅地を供給し、もって地域住民の生活の安定と社会福祉の増進に寄与することを目的としております。  第二条は、地方公社特別法人としての法人格に関して定めたものであります。  第三条は、名称に関して定めたものであります。  第四条は、地方公社出資について定めたものでありまして、第一項においては、地方公共団体のみが出資できることを、第二項においては、後ほど述べます設立団体が二分の一以上を出資しなければならないこととしております。  また、第三項におきましては、地方公社出資する地方公共団体の財政の健全性を確保する見地から、その出資について自治大臣の承認を受けさせることとしております。  第五条は、地方公社定款について定めております。定款は、地方公社の基本となる規則でありまして、その内容は、他の特別法人と大体同様であります。  また、第二項におきまして、定款変更については、建設大臣認可がたければその効力を生じないこととしております。  第六条は、地方公社登記について定めたものであります。  第七条は、民法の必要規定を準用したものであります。すなわち、第四十四条の準用によりまして理事長その他代理人がその職務を行なうにつき他人に損害を加えたときは、地方公社がその責に任ずることとなり、第五十条の準用によりまし  て、地方公社の住所は、その主たる事務所所在地にあることになります。  第二章は、地方公社設立について規定しております。  第八条は、設立団体に関する規定でありまして、地方公社の性格にかんがみまして、都道府県または人口五十万以上の大都市政令で指定するものでなければ設立できないこととしております。  第九条は、地方公社設立手続を定めたものでありまして、地方公社設立するには、それぞれの地方議会の議決を経た上で、定款及び業務方法書を作成して建設大臣認可を受けることとしております。  第十条は、地方公社は、その主たる事務所所在地において設立登記をすることによって成立することと定めたものであります。  第三章は、地方公社役員及び職員の職務権限及び任命等について規定しております。  第十一条は、地方公社役員として、理事長理事及び監事を置くこととしております。なお、役員の定数につきましては、先ほど第五条で申し上げました定款で定めることといたしております。  第十二条は、地方公社役員職務権限を定めたものでありまして、理事長は、地方公社を代表し、その業務を総理いたします。理事は、長を補佐して地方公社業務を掌理し、理事長が欠けたときはその職務を行ないます。  また、監事は、地方公社業務を監査いたしますが、監査の結果、必要あると認めるときは、理事長または地方公社監督者である建設大臣都道府県知事または市長に意見を提出することができることとしております。  第十三条は、地方公社役員任命方法について定めたものであります。すなわち、理事長及び監事は、設立団体の長が任命することとし、は理事長が任命することといたしております。  第十四条は、役員の任期に関する規定でありまして、その期間は、四年をこえることができないこととしております。したがいまして、各地方公社は、その定款におきまして四年以内で役員の任期を定めることになります。また、役員の再任を認めることといたしました。  第十五条は、地方公社役員欠格条項について定めたものでありまして、地方公社と取引上密接な利害関係にある一定の者は、役員になれないこととしております。  第十六条は、役員の解任について定めたものであります。すなわち、設立団体の長または理事長は、それぞれその任命した役員が、前条で申し上げました欠格条項に該当するようになったときは、その役員を解任しなければならないこと、また、役員に心身の故障が生じたり職務上の義務違反があったときは、その役員を解任できることとしております。  第十七条は、地方公社理事長の利益が相反するような場合は、地方公社の利益を守る必要がありますので、理事長代表権がなく、かわりに監事が代表することを定めたものであります。  第十八条は、代理人の選任に関する規定であります。理事長は、その職務の一部について代理人を選任する必要がある場合が考えられますので、この規定を置いた次第であります。  第十九条は、地方公社の職員の任命に関する規定でありまして、すべて理事長が任命することといたしました。  第二十条は、地方公社の行なう業務公益性にかんがみ、役職員は刑法その他の適用については公務員とみなすこととした規定であります。  第四章は、地方公社が行なう業務について規定しております。  第二十一条は、地方公社が行なう業務範囲を定めた規定であります。地方公社が行なう業務は、大別して二つに分けられます。  まず第一に、地方公社はその必須業務として、積み立て方式による住宅分譲を行ないます。すなわち、持ち家を希望する者から一定の期間、一定の金額に達するまで定期に金銭受け入れ、その期間満了後、受け入れた額以上の一定額を代価の一部に充てて住宅及びその敷地を売り渡すこと及びその付帯業務を行ないます。  第二に、地方公社は、次の業務の全部または一部を行なうことができますが、この範囲は、日本住宅公団の場合とほぼ同様であります。  その一つは、先ほど申し上げました積み立て方式による分譲住宅以外の住宅建設賃貸及び譲渡等を行ないます。  次に、宅地造成を行ない、これの賃貸及び譲渡等を行ないます。  次に、市街地において地方公社が行なう住宅建設と一体として商店、事務所等建設することが適当である場合にこれらの施設建設賃貸及び譲渡を行ないます。  次に、住宅用地とあわせて学校、病院、商店等の用地を造成することが適当な場合に、これらの用地の造成賃貸及び譲渡等を行ないます。  次に、地方公社建設した住宅団地居住者利便施設建設賃貨及び譲渡等を行ないます。大規模な住宅団地におきましては、かかる施設を供給することが、移住者の生活上ぜひとも必要であります。この施設としては、児童遊園共同浴場託児所診療所、市場、売店等を考えております。  次に、これらの業務に付帯する業務公有水面埋め立て事業を行ないます。なお、受託業務として以上の業務の遂行に支障のない範囲住宅宅地及び先ほど申し上げましたような諸施設に関する業務を行なうことができることとしております。  第二十二条は、地方公社住宅建設し、宅地造成し、またはこれらを賃貸または譲渡するときの正しいあり方についての努力義務を定めたものであります。  すなわち、第一条の目的にかんがみまして、前条の業務を行なうには、勤労者が健康で文化的な生活を営むに足りる良好な環境の住宅又は宅地が確保されるようつとめるとともに、住宅を必要とする勤労者の適正な利用が確保され、かつ、賃貸料または譲渡価格が適正なものとなるようにつとめなければならないこととしております。これは、地方公社の持つ公益的性格にかんがみ当然のことと考えられます。  第二十三条は、第二十一条で申し上げました住宅積み立て方式による分譲方法について規定したものであります。すなわち、地方公社は、住宅積み立て分譲に関する契約をするときは、契約の相手方の資格及び選定方法並びに契約の内容に関して建設省令で定める基準に従わなければたらないこととしております。また、この契約を解約した場合は、積み立て者を保護するために、積み立て者は、金銭債権について、地方公社の総財産の上に先取特権を有することといたしました。  第二十四条は、第二十二条の規定を受けまして、地方公社業務として行なう住宅宅地及び諸施設建設賃貸及び譲渡等は他の法令による基準のほか、建設省令で定める一定基準に従わなければならないこととしております。したがいまして、地方公社建設する住宅の規模、家賃、分譲価格住宅を必要とする勤労者が利用するにふさわしいものとなります。  なお、ここにいう「他の法令」のうち主要なものは、住宅金融公庫法及びこれに基づく政令、省令でありまして、地方公社が、住宅金融公庫融資を受けて建設する場合は、この住宅金融公庫法及びこれに基づく政令、省令が適用されることにたります。  第二十五条は、地方公社は、住宅積み立て分譲に関する契約による金銭受け入れ業務の一部を銀行その他の金融機関に委託すべきことを定めたものでありまして、委託業務範囲は、いわゆる現金の出納事務とする予定であります。  第二十六条は、地方公社業務方法書に関する規定であります。業務方法書は、地方公社業務執行基準でありまして、その記載事項は、建設省令で定めることとしておりますが、住宅積み立て分譲に関する事項住宅及び宅地賃貸譲渡の条件及びその方法等に関する事項等を定める予定にしております。また、業務方法書変更は、建設大臣認可事項といたしました。  第二十七条は、地方公社の毎事業年度事業計画及び資金計画は、業務公益性及び経営の安定性を確保するため、都道府県知事等承認事項とすることといたしました。  なお、都道府県知事等がこれらの計画を承認しようとするときは、住宅積み立て分譲にかかる部分について、あらかじめ、建設大臣認可を受けなければならないことといたしました。これは地方公社が行なう住宅積み立て分譲に要する資金は、契約者積み立て金のほか、そのほとんどを住宅金融公庫からの融資予定しておりますので、これとの調整を行なう必要があるからであります。したがいまして、建設大臣は、この認可を行なうにあたりましては、大蔵大臣と十分協議して行なうようにしたいと考えております。  第二十八条は、地方公社住宅建設し、または宅地造成しようとするときは、あらかじめ、地元の公共団体の長の意見を聞くべき旨を定めた規定であります。この規定を設けました理由は、各地方公共団体のそれぞれの住宅建設計画等地方公社住宅建設計画等の調整をはかるとともに、地方公社業務が円滑に行なわれるよう地方公共団体の協力を得る必要があるからであります。  第五章は、地方公社財務及び会計について規定しております。  第二十九条は、地方公社事業年度について定めたものであります。  第三十条は、地方公社財務に関する会計区分規定でありますが、地方公社が行なう住宅積み立て分譲に関する契約に基づく金銭受け入れは、金融機関類似業務でありますので、これに関する会計を明らかにするため、他の業務に関する会計と区分して経理させることを定めたものであります。また、第二項におきまして、中途解約に備えて建設省令で定めるところにより、債務支払いに充てるための一定引き当て金を保有すべきことを定めました。この建設省令におきましては、引き当て金の額の算出方法引き当て金流動資産であること等について定める予定であります。  第三十一条は、地方公社決算完結時期について定めたものであります。  第三十二条は、地方公社財務諸表及び業務報告書について定めたものであります。  第三十三条は、地方公社の利益及び損失の処理について定めたものであります。  第三十四条は、地方公社余裕金の運用について定めたものでありまして、地方公社の性格上堅実なものに限定しております。  第三十五条は、地方公社財務及び会計に関しての建設省令への委任規定であります。この省令におきまして、財務諸表及び業務報告書作成方法、その他財務及び会計の細部の手続的な事項について規定する予定であります。  第六章は、地方公社解散事由及び清算について規定しております。  第三十六条は、地方公社解散事山について定めたものであります。  第三十七条は、地方公社解散した場合の清算人に関する規定でありまして、破産による解散以外は理事長及び理事清算人になることとしております。この場合におきまして、その職務及び権限については、第十二条で申し上げました理事長及び理事規定を準用することといたしました。  第三十八条は、清算の結果、地方公社残余財産を生じたときの帰属について定めたものでありまして、出資の額に応じて地方公共団体に分配することといたしました。  第三十九条は、地方公社解散及び清算について民法及び非訟事件手続法の所要の規定を準用することとしたものであります。  第七章は、地方公社に対する建設大臣及び都道府県知事等の監督について規定しております。  第四十条は、建設大臣及び都道府県知事等地方公社に対する報告徴取権及び検査権について定めております。  第四十一条は、建設大臣及び都道府県知事等地方公社に対する監督命令権限規定でありますが、都道府県知事等が第一次的に、建設大臣は第二次的に監督権限を発動すべきものとしております。  第四十二条は、地方公社違法行為があった場合の建設大臣及び都道府県知事等是正措置を定めたものであります。都道府県知事等が第一次的に、建設大臣が第二次的に監督権限を発動すべきものであることは、前条の場合と同様であります。なお、地方公社設立認可取り消し権限建設大臣にのみ属せしめられております。  第八章は、共同設立、書類の都道府県知事等の経由、住宅金融公庫融資非課税措置、他の法令の準用について規定しております。  第四十三条は、二以上の都道府県及び大都市が共同して地方公社設立することができる旨の規定であります。都道府県または政令で指定する人口五十万以上の大都市は、第八条の規定によりそれぞれ単独で地方公社設立することができますが、本条第一項第一号及び第二号の規定は、住宅事情の急迫した地域において、都道府県という行政区画にとらわれないで広域的に住宅問題の解決をはかる必要がある場合を予想して設けたものであります。また、その第三号の規定は、都道府県とその区域内の大都市が共同して地方公社設立したほうがよい場合が考えられますので、設けたものであります。  第二項におきましては、共同設立の場合の監督者について規定しております。すなわち、前項の第一号及び第二号の場合には、都道府県知事等監督権限はなく、建設大臣のみが直接監督いたします。また、第三号の場合には都道府県知事のみが監督し、市長監督権限がたくなります。  第三項におきましては、共同設立の場合に、事業計画及び資金計画の承認をするときは、建設大臣は、設立団体の長である都道府県知事または市長の、都道府県知事は、設立団体の長である市長の意見を聞くこととしております。  第四十四条は、地方公社建設大臣に提出する書類の経由について定めたものであります。  第四十五条は、住宅金融公庫地方公社に対する融資について規定したものであります。地方公社業務が円滑に行なわれるためには、必要な資金について住宅金融公庫からの融資を要することはもちろんでありますが、特に住宅積み立て分譲に関する契約に基づいて地方公社が供給する住宅及びその敷地に要する資金については、積み立て金のほかは、住宅金融公庫融資予定している場合がほとんどでありますので、この融資について住宅金融公庫はできるだけ十分な配慮をすべきものといたしました。  第四十六条は、非課税規定であります。本条のほか、附則におきましても、国税、地方税につきまして所要の免税措置を講じております。  第一項の規定は、地方公社設立のときに現物出資された本来の業務の用に供する不動産についての不動産取得税非課税規定であります。  第二項の規定は、住宅積み立て分譲に関する契約に基づく積み立てを奨励するため、住宅の代価の一部に充てる額のうち、積み立て額を上回る部分についての所得税非課税とする規定であります。  第四十七条は、不動産登記法及び政令で定めるその他の法令適用について、地方公社地方公共団体とみなす規定でありますが、政令におきましては、建築基準法土地収用法宅地建物取引業法宅地造成等規制法住宅地造成事業に関する法律等予定しておりまして、たとえば、宅地建物取引業法宅地造成等規制法及び住宅地造成事業に関する法律の場合は、その適用が除外される等の扱いを受けることになります。  第九章は、罰則の規定でありまして、第四十八条から第五十条までにおいて、地方公社及び地方公社役職員に対する罰則を規定しております。  最後に附則でありますが、二十一項にわたって規定しております。  第一項は、施行期日を定めたものであります。  第二項から第四項までの規定は、民法第三十四条の規定による公益法人地方公社への組織変更に関する規定であります。  第五項は、公益法人事業年度の中途で組織変更して地方公社となった場合における法人税及び事業税適用についての事業年度の区分の規定であります。  第六項及び第七項は、公益法人地方公社組織変更した場合における組織変更に伴う登記等登録税非課税規定であります。  第八項は、名称使用の制限に関する経過措置であります。  第九項は、土地収用法の一部改正でありまして、建築基準法による住居地域内において地方公社が行なう五十戸以上の一団地住宅経営土地を収用しまたは使用することができる事業として、地方公社土地取得を容易にいたしました。  第十項は、新住宅市街地開発法の一部改正でありまして、地方公社が新住宅市街地開発事業施行者となることができることとして、地方公社土地の取得と計画的開発を容易にいたしました。  第十一項から第十九項までは、地方公社に対する登録税、印紙税、所得税法人税事業税及び不動産取得税の減免規定及び地方公社から住宅または敷地を譲り受けた者に対して登録税及び不動産取得税を減免する規定であります。  第二十項及び第二十一項は、この法律の施行に伴って必要とされる建設省設置法の一部改正であります。  以上、地方住宅供給公社法案につきまして、逐条御説明を申し上げた次第でございます。
  5. 中村順造

    委員長中村順造君) 次に、住宅協同組合法案説明を願います。田中君。
  6. 田中一

    委員以外の議員田中一君) 法制局第四部長から説明させます。
  7. 土屋政三

    ○法制局参事(土屋政三君) ただいま議題になりました住宅協同組合法案について、逐条的に御説明申し上げます。  この法案は六章、百十五条と附則十一条からなっております。  第一章は、住宅協同組合の目的名称、地区及び法人格等について規定しております。  第一条は、住宅協同組合の目的を定めたものであります。この法律は、勤労者が相互扶助の精神に基づき共同して住宅供給事業等を行なうために必要な組織について定め、もって健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を確保し、国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与することを目的とするものであります。  第二条は、組合のよるべき基準について定めたものであります。  第三条は、登記について定めたものであります。  第四条は、名称に関して定めたものであります。  第五条は、地区に関して定めたものでありまして、住宅協同組合は、都道府県の区域ごとに一個とし、住宅協同組合中央会は、全国を通じて一個とすることにいたしております。  第六条は、住宅協同組合及び住宅協同組合中央会の法人格に関して定めたものであります。  第七条は、組合及び中央会の住所について定めたものであります。  第八条は、独占禁止法との関係を定めたものでありまして、住宅協同組合は、独占禁止法の適用を除外せられることにいたしております。  第二章は、住宅協同組合の事業、組合員、管理、設立解散及び清算等について規定しております。  第九条は、組合の運営は組合員に最大の奉仕を目的とし、営利を目的として事業を行なうべきでないことを定めております。  第十条は、組合が行なう業務範囲を定めた規定であります。住宅協同組合は、その設立目的に従いまして組合員のための住宅建設または取得住宅用地造成または取得、組合員に対するこれらの住宅または住宅用地賃貸または譲渡、組合員からの貯金の受け入れ、組合員のための住宅または住宅用地の売買、交換または貸借の代理または媒介を行なうことをその主要な業務とすることとしております。  第十一条は、組合員の資格について定めたものでありまして、組合員たる資格を有する者は、第一に、原則として当該組合の地区内に住所または勤務地を有する者でなければなりません。  第二に、組合の地区内に住所または勤務地を有していた者で当該組合から住宅または住宅の用に供する宅地の供給を受けた者は、転勤等の関係で地区外に去る場合は、組合員の資格の一つである地域要件を欠くことになるわけでありますが、再び戻るような人には、組合員の資格を保有し得ることといたしております。  第三に、組合の地区内に住所または勤務地を有していた者で、当該組合から住宅または住宅の用に供する宅地の供給を受けることが適当と認められる者は、組合員たり得ることといたしております。すなわち、組合員であった者で住宅または宅地の供給を受けず、地区外に出るような場合でも、再び地区内に戻るような人には組合員とし得ることといたしておるわけでありまして、前号と同じ趣旨に基づくものであります。  第十二条は、組合員の出資に関する規定であります。  第十三条は、議決権及び選挙権に関する規定でありまして、組合員は、その出資口数の多少にかかわらず各一個の議決権及び選挙権を有するものと定めております。  第十四条から第二十一条までの規定は、加入脱退に関する規定でありまして、組合員の加入脱退は自由であることをたてまえとしております。  第二十二条は、組合の定款について定めております。定款は組合の基本となるものでありまして、その内容は、中小企業協同組合、水産業協同組合等と大体同様であります。  第二十三条は、規約で定めることができる事項について定めております。  第二十四条は、組合の役員に関する規定でありまして、組合の役員は、理事及び監事とし、総会において選挙するものといたしております。  第二十五条は、役員変更に関する規定であります。  第二十六条は、役員任期は三年以内とし、定款で定めることにしております。  第二十七条及び第二十八条は、理事会についての規定でありまして、組合の業務の執行は、理事会が決するものといたしております。  第二十九条は、役員の兼職禁止について定めたものであります。  第三十条は、組合の行なう事業と競業関係にある着は役員に就任はできないこととしております。  第三十一条は、理事は、理事会の承認を得た場合以外は組合と契約できないことを定めたものであります。  第三十二条は、理事の責任に関する規定であります。  第三十三条は、定款その他の書類の備えつけ及び閲覧について。第三十四条は、決算関係書類の提出、備えつけ及び閲覧等について。第三十五条は、会計帳簿等の閲覧等について定めたものであります。  第三十六条は、役員改選の請求、いわゆるリコールについての規定でありまして、一定数以上の組合員は、役員の改選を請求できるものといたしました。第三十七条は、理事及び監事について、商法、民法等の準用に関し定めたものであります。  第三十八条は、顧問について規定したものでありまして、常時組合の重要事項に関し助言を求めるため、学識経験者を顧問として置き得る道を開きました。  第三十九条は、参事及び会計主任等の職員に関する規定であります。  第四十条は、参事及び会計主任に対する解任請求に関する規定であります。  第四十一条は、通常総会は、毎事業年度一回招集したければならないこととしております。  第四十二条は、臨時総会招集に関する規定であります。  第四十三条は、組合の要求による臨時総会招集請求につき理事がその手続をしない場合の救済措置についての規定であります。  第四十四条は、総会招集の手続について定めたものであります。  第四十、五条は、組合が組合員に対して行なう通知または催告の効力発生時期についての規定でありまして、到達主義によることとしております。  第四十六条は、総会の必要的議決事項についての規定でありまして、定款変更、規約の設定、変更、毎事業年度の収支予算及び事業計画の設定、変更等の重要事項は、その付議事項といたしておるわけであります。  第四十七条は、総会の議事についての規定であります。  第四十八条は、特別議決についての規定でありまして、定款変更、組合の解散、組合員の除名については議決要件を重くしております。  第四十九条は、総会について商法の準用を定めたものであります。  第五十条は、総会にかわる総代会の制度を設けることができることとしております。  第五十一条は、準備金及び繰り越し金についての規定でありまして、準備金の積み立てを義務づけております。  第五十二条は、剰余金の割り戻しについて規定しております。  第五十三条は、剰余金の払い込み充当について。第五十四条は、財務基準についての必要なことは政令で定めることにいたしております。  第五十五条は、組合設立の際には、発起人は二十人以上とし、千人以上の組合員がなければならぬこととしております。組合は都道府県ごとに一個に限られておりますので、設立当初の組合員は千人以上でなければならぬこととし、組合の設立規模を大きくいたしておる次第であります。  第、五十六条は、創立総会に関する規定であります。  第五十七条は、設立認可について規定したもので、発起人は、定款事業計画役員の氏名等を記載した書面を行政庁に提出して設立認可を受けることとしております。  第五十八条は、発起人が行政庁から設立認可を受けた後、理事への事務引き継ぎについて定めたものであります。  第五十九条は、出資第一回の払い込みについての規定でありまして、出資一口につき四分の一を下ってはたらないことにいたしております。  第六十条は、組合の成立の時期、第六十一条は、成立の届け出、第六十二条は、組合の設立について商法の準用についての規定であります。  第六十三条から第六十五条までの三カ条は、解放及び清算についての規定でありまして、組合は、総会の決議、組合の破産、存立時期の満了及び行政庁の命令で解散するものとし、清算人には原則として理事が就任し、商法、非訟事件手続法等から必要な規定準用することにしております。  第三章は、住宅協同組合中央会の事業、会員、管理、設立解散及び清算等について規定しております。  第六十六条は、中央会の事業について規定したものでありまして、組合の組織、事業及び経営の指導並びに連絡、組合の監査、組合に関する知識の普及及び情報の提供、組合に関する調査及び研究、組合の健全な発達をはかるために必要な事業等を行ない、また、中央会は、その事業を行なうために必要があるときは、組合の業務または会計の重要事項に関し指示できるものとしております。  第六十七条は、中央会の会員たる資格を有する者は、組合、勤労者の団体等とすることとしております。  第六十八条は、会員は、各一個の議決権及び役員の選挙権を有するものといたしております。  第六十九条は、経費の賦課について規定し、中央会は、会員に対し経費を賦課できるものとしております。  第七十条は、会員に関する規定準用についてでありまして、会員の加入及び脱退は自山といたしております。  第七十一条は、中央会の定款記載事項についての規定であります。  第七十二条は、規約の規定事項について定めたものであります。  第七十三条は、中央会に、役員として会長一人、理当五人以上及び二人以上を置くものとすることとしております。  第七十四条は、役員職務についての規定でありまして、会長は中央会を代表し、理事は会長を補佐し、監事業務及び会計を監査するものとしております。  第七十四条は、役員職務についての規定であります。  第七十五条は、役員である会長、理事及び監事について商法等の規定準用について定めたものであります。  第七十六条は、中央会に学識経験のある者を顧問とし、重要事項について助言を求めることができるようにしたものであります。  第七十七条は、総会についての規定でありまして、通常総会は、毎事業年度一回招集するものとしております。  第七十八条は、中央会の設立について規定したものでありまして、中央会を設立するには、その会員になろうとする八以上の者(その過半数は組合であることを要します)が発起人となることを要するものとし、設立には二十五以上の組合である会員があることを要するものといたしました。すなわち、中央会の会員には組合が常に主体性を持つように配慮いたした次第であります。  第七十九条は、創立総会についての規定であります。  第八十条は、設立認可について定めたものでありまして、発起人は、定款事業計画役員の氏名等を記載した書面な行政庁に提出して設立認可女受けるものといたしました。  第八十一条は、中央会設立についての準用関係を規定したものであります。  第八十二条から第八十七条までの規定は、解散及び清算についての規定でありまして、中央会は、総会の決議、破産及び行政庁の命令によって解放するものとし、中央会が解放したときは、原則として会長が清算人となることにしております。また、清算事務の処理に関しましては、民法等の必要な規定準用いたしております。  第四章は、組合と中央会に関する登記について規定したものでありまして、第八十八条から第百二条までの規定につきましては、登記事項を明確に規定したこと、事務所所在地を管轄する法務局または地方法務局等を管轄登記所としたこと、登記手続に必要な商業登記法の規定準用することにしたこと等がそのおもなるものであります。  第五章雑則、第百三条から第百十条までの規定のうち、おもなるものは、行政庁は、組合または中央会の業務または会計につき報告の徴収または検査ができるものといたしましたこと、また、所管行政庁は、組合については主たる事務所所在地を管轄する都道府県知事とし、中央会については建設大臣といたした次第でございます。  第六章罰則、第百十一条から第百十五条までは、組合及び中央会の役職員等に対し必要な罰則規定を設けたところであります。  最後に附則でありますが、第一条から第十一条までのおもな内容は、まず、施行期日につきましては、公布の日から起算して三カ月をこえない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。  次に、住宅金融公庫法、労働金庫法、建設省設置法等の関係法律所要改正を行なうこととしております。また、登録税法、印紙税法、所得税法及び地方税法に所要改正を行ない、税の減免についての規定を整備いたしました。  以上、簡単ではございますが、住宅協同組合法案について、逐条説明を申し上げた次第であります。
  8. 中村順造

    委員長中村順造君) それでは、これより両案の質疑を行ないます。御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  9. 熊谷太三郎

    熊谷太三郎君 いま御提案のありました住宅協同組合法案の提案者代表の田中先生がたいへんお忙しいことでございますから、田中先生のいらっしゃる間に、この住宅協同組合法案につきまして、若干お伺いをいたしたいと存じます。たいへん博学な田中先生に対しまして、いささかもの足りないかと思われる質問かもしれませんが、若干お伺いさせていただきます。  一つは、住宅協同組合は、住宅の供給主体として事業経営管理能力、対外的信用力等につきまして、この法案では不十分ではないかと思われるのであります。住宅協同組合は、勤労者が相互扶助の精神に基づいて共同して住宅または住宅の用に供する土地を供給する事業を行なうために必要な組織とされているわけでありますが、この組織が円滑かつ安全に活動するためには、組合員の人的結合による連帯意識の確立が前提となるわけであります。この点につきましては、個人個人の社会連帯意識がなお十分成熟しているとは思われないわが国の現状におきましては、遺憾ながらあまり期待が持てないのではないかと考えられます。したがって、住宅建設、管理、債務の弁済等、住宅の供給主体として全うすべき組合をこの組合が十分処理し得るかどうか、疑問があると考えるのでございます。現行の住宅組合や住宅生活協同組合の活動が現在十分でない原因にも通ずるものがあると思うのでございますが、この点につきまして御見解を承りたいと思います。
  10. 田中一

    委員以外の議員田中一君) 大正十年にでき上がった住宅組合法という法律があるわけなんです。これは、ただ単に住宅を求める者が集まって住宅組合をつくっておるということなんです。したがって、住宅協同組合法の個人と何ら違いがないわけなんです。これは法律になっております。そこで住宅金融公庫法融資の対象というものは、この法律によるところの住宅組合にも貸すのだということが明記されておるわけなんです。したがって、これが法律による住宅組合に融資をするのだという前提に立つならば、住宅協同組合の加入者に対するのも一向変わりはございませんから、その信用度とか、あるいは、いろいろな意味の安心感というものは同じものであり、かつまた、単行法によってこれを強化するというようにも見られるものでありますから、住宅組合、住宅協同組合の組合員は、たとえば、心配だとか、資金的にどうとかいうような問題はないわけなんです。どっちみち住宅金融公庫法というものは、金のない者、家を建てる金のない者、家を建てるために銀行等が融資をしてくれない者、これらの者に金を貸すんだというのが住宅金融公庫法の精神であります。これは目的に明らかになっておりますから。金を持たなければ不安心だというならば、住宅金融公庫法そのものがその目的変更しなきゃならぬことになりますから、私は、こういう対象は当然融資を受ける対象であるというように認めております。
  11. 熊谷太三郎

    熊谷太三郎君 それでは次の質問をいたします。  組合の事業内容としまして、組合員の貯金または定期積み金の受け入れができることになっておりますが、その趣旨がどこにあるかという点でございます。また、そういうふうに預金を受け入れるわけですが、この預金者に対する保護の具体的措置がどうかという問題でございます。組合が受け入れる貯金等につきましては、単なる銀行等での預金と同じなのでありますか、または住宅の供給と何らかの結びつきがあるのか、この法文上では明確でたいように思われます。現在、勤労者の自主的組織による住宅の供給主体で、この住宅協同組合に類似したものとしましては、消費生活協同組合法に基づく住宅生活協同組合がございますが、住宅生協では、貯金の受け入れは認められておらないわけであります。もし住宅建設資金に充てるために預金を受け入れるものであるとしますと、預金者保護としては、出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律適用など、金融機関並みの監督規定だけでは不十分でありまして、万一の場合の先取特権等預金債権の担保に関する規定も置く必要があるわけであります。また、住宅の供給と何らかの結びつきを持たせるのであるとしますと、その供給責任が法律上不明確であるばかりでなく、預金者の数等について特にこの法律に制限しでありませんので、事実上住宅の供給が確保できなくなるおそれがあるなど、制度としてこの点不備ではないかと思われますが、これにつきまして御意見をお聞かせいただきたいと思います。
  12. 田中一

    委員以外の議員田中一君) 実はこの法文の中にもありますように、銀行または金融機関等にその業務を委任するつもりでございまして、これは地方住宅供給公社にも見られるとおり、それらに委任をするつもりでございます。  そこで、申し上げておきたいのは、現在昭和二十九年に法律によって設立されました労働金庫というのがございます。これは熊谷君などはとうていこういうものを使う必要はないでございましょうけれども、多くの庶民はこれを利用して住宅建設を行なっております。概算申し上げますと、二十九年度には、住宅資金として融資した額というものが、件数にいたしまして九万六千五百六十一件、金額として十九億九千百万円でございます。それから三十年度には、十五万三千七百三件に対して、三十四億四千百九十五万四千円、毎年毎年増加しておりまして、三十八年をとりますと、五万七千六百五十一件に対して、百三億六千八百九十三万六千円の融資をしております。したがって、この労働金庫が現在自分の手持ち資金住宅資金として融通もしておりますし、これに貯金、それから保管あるいは金融業務等、貯金業務等を代理させて行なわせるつもりでございます。したがって、御承知のような、いま申し上げましたような件数、金額を現在扱っております。したがって、その安全性というものは十分に確保されるというふうに考えております。
  13. 熊谷太三郎

    熊谷太三郎君 それから三番目に、この組合法では、組合員の加入脱退は自由となっておりますが、これが組織としてきわめて不安定なことになりはしないかと考える点であります。組合の設立にあたっては、この法案では、千人以上の組合員であることを要件としておりますが、設立後の加入及び脱退が自由となっておりますために、たとえば組合員数が大幅に増加した場合は、主体になりたその組合員に対して住宅供給の確保が困難となるわけでありますし、また、組合員数が極端に減少した場合では、組合の経営が成り立たなくなるなど、組織として非常に不安定ではないかと思われるのですが、これに対しての御見解をお聞かせ願いたいと思います。
  14. 田中一

    委員以外の議員田中一君) 私どもは、政府が年々建設白書で発表しておりますところの住宅の不足数というものを一応数字として見ております。今日では三百万戸以上の不足があるということをいっております。そこで私どもは、かりに住宅協同組合がある特定府県に設立された場合に、千名以上の組合員をもって設立いたします。これはむろん、行政庁の認可を受けて設立いたしますが、これが年々歳々その会員が減ってくるということは、非常によい傾向の姿でございます。一方においては三百数十万の住宅不足がある。したがって、住宅協同組合を設立して、後において年々減ってくるということは、これは政府の発表するその数字が間違いでなければ、減るはずはございません。そこで、全体として減るという傾向は、勤労者住宅建設されたということになりますから、これは喜ぶべき傾向であって、なるべくそういうものが早く三百数十万戸の供給をして解散に持っていくのが一番正しいのだと思います。ただ私は、提案者といたしましては、政府の数字というものを信用します。三百数十万戸というものが、おのおのが、その住宅の困窮者が集まってつくるものでございますから、これはおそらく五年や十年、二十年等、原資さえ供給してもらえるたらば、これはおのおのがおのおのの住宅をつくるのでありますから、減る条件ではないというふうに認めております。したがって、この点につきましては、場合によったら、政府のほうの三百数十万戸足りないのだということの間違いであるならば、その点はひとつ政府にただしていただいて、私どもは、これだけの困窮者がいるのだから絶対に減るものではないという前提に立ってものを考えております。
  15. 熊谷太三郎

    熊谷太三郎君 それでは次に、この法案に関しまして、この協同組合への加入することと、住宅の供給との関連について、ちょっとお伺いしたいと思います。  この組合の設立趣旨からいいまして、組合になろうとする者の大部分は、この組合から住宅の供給を受けることを期待しているものと考えられるわけでありますが、この点組合に加入すれば、いつどんな住宅を供給されるかというような問題が、この法文上明確でないように思われます。具体的な組合員の募集等にわたっては、どのような措置がそれについてとられるかということになるわけですか、それに対してひとつお伺いしたいと思います。
  16. 田中一

    委員以外の議員田中一君) 御承知のように、住宅金融公庫が個人貸し付けとして発表する戸数、それから融資が受けられて建てられる実態というものとの食い違いというものは大きなものです。十回、二十回と——でき上がってから十五年になりますが、十五年間毎年やっても、まだ当選しないという者もございます。したがって、要は、この千名以上の組合員ができた場合に、これに対する原資によって左右されるものと思います。先般、尚住宅局長からも説明があったこの地方住宅供給公社にかりにとってみましても、それでもって必ずその地方、その県の住宅不足が何年間で解消されるかというような計算は出ておりません。たとえば福井県におきまして住宅供給公社ができた、そして福井県の住宅事情の緩和、住宅建設というものは、何年間でこれが解消されるのだという計画は立っておらないのであります。むろんこれは原資を、われわれもこの法律によって、住宅金融公庫または年金福祉事業団等の資金を原資と仰ぎますけれども、これらが十分回ってくることによってのみ解決されるのでございまして、それに対しましては、同じような、いつ、どういうものが必ず受けられるかということは、これは抽せんその他によって順位をきめて行なわれることは、この地方住宅供給公社または住宅金融公庫と同じような方式をとらざるを得ないのでございまして、その点はひとつ御了解を得たいと思います。
  17. 熊谷太三郎

    熊谷太三郎君 それではもう一つ、この法案におきましては、組合員の議決権及び選挙権は平等となっているわけでありますが、すでに住宅の供給を受けました組合員と、これからその供給を受けようとする組合員との間では、利害がおのずから反する場合が多いと思うわけでございますが、その点でございます。組合員は、総会での議決権及び役員の推薦権は、いま申し上げましたように平等でありますが、これまた、いま申し上げましたように、すでに組合から住宅の供給を受けました組合員と、これから住宅の供給を受けようとする組合員とでは、利害が相反し、したがって、組合の予算、事業計画等具体的な事項の決定にあたりましては、場合によっては相当に紛糾するようなことも予想されるのでありまして、こういう点を考えますと、事業の公正かつ的確な運営を期しがたくなるおそれがありはしないかということを考えるわけですが、これに対する御所見を承りたいと思います。
  18. 田中一

    委員以外の議員田中一君) それは、御承知のように、融資を受けて、その住宅資金住宅金融公庫法に基づく貸し付け条件によって完済した場合には、私どもは喜んでこの組合から脱退していただきたいというのが希望でございます。しかしながら、住宅金融公庫のほうの融資は、分譲と違いまして、必ず現金ですぐ払えというのじゃございませんから、その期間は脱退することは不可能になります。このような業務約款をつくって建設をいたしますから、そういう点は点はございません。ただ、御承知のように、加入した二年目には、甲は供給を受けた、しかし、乙は四年目あるいは五年目にしか来ないのではなかろうかという懸念はございます。これも当然、地方住宅供給公社法にいたしましても、そういう意味の順序の食い違いは多少ございます。協同組合というものの精神から、それは相互扶助でございます。したがって、権力やなんかで割り当てをするのじゃございません。その中で公正なる緩急順序によって配給いたしますから、不平不満等は起こるはずがございません。ただ加入していながら、なかなか、四年も五年もたっても来ないからといって脱退する者があるかと存じますけれども、これはこの法律ができ上がった以上、建設大臣のほうの権限も強いのでございますから、私は、建設大臣は相当大幅な——あるいは時の政府が大幅な融資を行なってくれるものと期待しております。
  19. 熊谷太三郎

    熊谷太三郎君 それからもう一つは、土地の収用権の問題でありますが、現在の住宅問題の最大の隘路は、宅地取得難であります。また良好な還境の住宅をできるだけ安く供給するためには、宅地の大規模開発によります集団住宅建設が最も望ましいわけであります。団地すなわち五十戸以上の住宅経営を行なう場合の土地の収用権——新住宅市街地開発法等において、このような問題に対処するためにこのような制度が設けられているのでありますが、住宅協同組合については、その辺の配慮が何らなされておらないわけであります。したがって、この法案は、勤労者のための住宅の供給主体としてその責務を十分に果たし得るかどうかという疑問が残るわけであります。これについて御見解をお伺いしたいと思います。
  20. 田中一

    委員以外の議員田中一君) 現在、労働金庫は、自分の資金によって宅地造成をやっております。そうしてまた、御承知のように財団法人日本労働者住宅協会は、住宅金融公庫資金を借りまして宅地造成をやっております。したがって、宅地造成土地取得が困難ではないかということは、現在もやっておりますから少しも困難じゃございません。ただ問題は、宅地の値上がりのために、ほんとうに勤労者が求め得る、購入し得る価格で得られるかどうかという問題につきましては、まことに残念ながら、これが安いものであるという保証はできません。これは一面におきまして、たとえば、宅地造成とかあるいは住宅建設に対する窓口が多いために、これは一つの社会悪として、やはり購買者のほうで、あるいは政府のほうで宅地を上げないような施策をとらない限り、自由経済の社会では、当然、これはその時代の経済価値によって左右されるものだと思いますが、宅地取得に対しましては、現在でもそれを行たっておりますから、融資される資金源が豊富ならば、地方住宅供給公社と同じようにやっていく自信がございます。
  21. 熊谷太三郎

    熊谷太三郎君 それから、最後にもう一つお尋ねいたしますが、この法案では、住宅の供給について、特にそういう点から責任を持ち得ない勤労者の団体またはその連合体を、いわゆる中央会の構成メンバーとしているわけでありますが、何のためにまた中央会をつくるかという問題がございます。すなわち、この法案におきます中央会は、組合を指導し、その具体的な事業について必要な指示を与える機関とされておりますが、その中央会の会員には、組合のほかに、住宅の供給について、直接的にはいま申し上げましたように何の責任も持てない勤労者の団体、特に勤労者の団体でおるから住宅に対する具体的な責任が持ち得るわけではないとも思いますが、そういう勤労者の団体またはその連合団体も、この中央会に含めているわけであります。こういうことは、かえって住宅の供給責任の所在を複雑にしまして、場合によっては、逆に組合の円滑な住宅の供給機能を阻害することになりはしないかというような疑問がありますので、その点についての御見解をお伺いしておきたいと思います。
  22. 田中一

    委員以外の議員田中一君) いま、よい質問をしていただいたわけなのですが、これはちょうど今日いう財団法人日本労働者住宅協会ができ上がりましてから約七年ぐらいになりますが、この日本労働者住宅協会をつくった機会は、御承知の労働金庫が、労働省から預金される資金の運用につきまして、過渡的に非常に悩んだ時代がございます。一方においては、投資信託その他が相当はなやかな時代でありまして、これは証券投資をすればうんと利潤があるやのような錯覚におちいった。かつまた、その時代のある層の人は相当な利潤をあげたかもしれません。しかしたから、労働金庫はそのような、証券投資あるいは投資信託等に資金を回して行なうのは本来の姿ではございません。したがって、この資金をどう活用するかという点に対して非常に悩みまして、当時の建設大臣、あまりたくさんあるのでちょっと名前を忘れましたけれども、四代の建設大臣に対しまして、労働金庫の資金を労働金庫に加入する労働組合の労働者に直接融資をする方針を先ほど申し上げたようにとってまいりました。二十九年以来とってまいりました。そうして、この日本労働者住宅協会の設立は、これらの頭金を、住宅金融公庫から貸す以外の頭金というものを、労働金庫がその労働者の加入している労働組合の保証によって頭金を貸し付けるという制度をもちまして、財団法人日本労働者住宅協会が設立されたのでございます。この設立までには四代の建設大臣を経てまいりました。これが二十九年だったか三十二年だったか、ちょっと忘れましたが、七、八年前にこれが設立されたものでございます。したがって労働金庫が融資するにいたしましても、だれがするにいたしましても、やはり労働者がもし上部の金銭を保証する団体があるならば、これはまことにけっこうでございます。いわゆる労働者自身は資金的な金融機関から見る場合の資金安全性、融資の返金の安全性はありませんけれども、その労働組合がこれを保証するたらば、これは大いにあるわけでございます。したがって、それらの団体も指導育成、助成に対して協力するような形で中央にそのような制度を設けたのございます。これはひとえに供給を受ける労働者が、大衆がその返金の資金の裏づけとしての保証を行なわしめるような安全率を考慮しながら、その発展、指導育成等に協力させるために、それらの団体も含めたほうがよろしかろうという判断をしておるわけでございます。この歴史的な経過というものは、先ほど申し上げましたような財団法人日本労働者住宅協会でこれが立証されております。したがって、このほうも幸い建設省のほうの非常な大きな理解のもとに、年々戸数も増大しておりまして、非常にいい成績をあげているものでございます。したがって、今回できますものにも、それらの団体にも保証の役目を果させるためにも、加入さしたほうがいいという判断のもとに行なったのでございまして、かえってこれによって住宅金融機関の安心感が増すものと考えております。
  23. 中村順造

    委員長中村順造君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  24. 中村順造

    委員長中村順造君) 速記をつけて。
  25. 小山邦太郎

    小山邦太郎君 不足を訴えている住宅問題の解決のために、ここだけの研究を進められたということについては敬意を表するんですが、ただ住宅協同組合というものが現在もある。その協同組合は現在どんなようなふうに働いているか。これはひとつ政府でもどこでもいいですが、お尋ねしたい、これに関連しますから。すなわち、この住宅組合は、組合員が千名以上ということになっている。従来のはそういう大きなものでなくて、もろもろの気の合ったような者が数名おればこれができる、このほうが簡単であるが、そのような簡単な組合が法律によって認められている。その組合はどんなように活動しているか。その組合の平均出資額はどんな程度になっているか。それから、その組合で住宅を建てた組合員数と、その住宅を求めて得られた実績はどんな状態になっているか。そのほうを充実させて、そのほうにこの公庫から相当の融資をするならば、やはり今日の不足した住宅問題を解決するには、この組合でも相当に働けるのではないか、こう考えるが、どうなんですか。
  26. 田中一

    委員以外の議員田中一君) それじゃ、私から現在の住宅金融公庫法に基づいて建て売り住宅という形式で特定分譲している実態な、私が承知している範囲をお話し申し上げます。いま小山委員の御質問の住宅協同組合が現在あって、これが建てているんじゃないかという御質問は、これはないのでございます。現在あるのは財団法人日本労働者住宅協会というので、これは従来ともに特定なる公共団体あるいは特定なる電鉄会社等に融資をする道が開かれて、建て売り分譲といいますか、そういう形式のものを行なっているのでございます。それから最近におきましては、厚生年金福祉事業団ですね、これが昨年でしたか、一昨年でしたか、法律が通りまして、厚生年金の還元融資という形で住宅建設融資事業主体にしているわけでございます。これも勤労者持ち家住宅というよりも、企業者に対して社宅建設というものを中心に融資をしておりましたけれども、これも各労働組合その他庶民住宅促進する団体等から大いに働きかけまして、厚生大臣の許可を受けまして、地方に労働金庫が一つの頭金的な資金を貸し出しまして、これに福祉事業団が金を合わせて住宅建設供給をしているところの地方の、広島なら広島県の住宅生活協同組合——生活協同組合方式で住宅生活協同組合というものがつくられておるのです。これがもしもこの法律が通りますと、それらのものがこれに統合して一つになるというような考え方を持っております。そこで一方住宅金融公庫資金を原資とするところの団体では、昨年は二千二百戸、ことしは二千五百戸は融資をするということは、尚住宅局長は個人的に私に言明しております。これは融資し得るものだと思います。したがいまして、この法律ができましても、直ちに財団法人日本労働者住宅協会の本年度二千五百戸といわれている融資戸数は、直ちにこれに合同するというような考えはいまのところ私は持っておりません。ただ相当大きな資金を持っておりますところの厚生年金福祉事業団、このほうの資金が現在経営者にのみ貸されておりますけれども、これも政府の本年度明らかにしました勤労料の持ち家政策というものを取り上げた以上は、このほうの融資を個人を対象とした勤労者持ち家にかえていただきたい。そうしてその保証そのものはだれかと申しますと、これは全額貸し付けじゃございませんから、あれは七割程度の資金を貸してくれるのですが、あとのものは全部労働金庫からこれを出してもらいまして、個人にそれを渡す。したがって、個人ですと、なかなか困難がありますから、そこで、労働組合等の保証もとれば、これは安定します。御承知のように、山陽特殊鋼のように会社がつぶれても労働組合はちゃんと生きております。資金もたくさん持っておりますから、会社に貸すよりも労働組合に貸したほうが資金の回収率がいいわけでございますからして、そういう点を考えまして、このような提案をしているわけであります。
  27. 小山邦太郎

    小山邦太郎君 政府にお尋ねしたいのですが、現に制定せられおる住宅協同組合というものがあって、その協同組合の組合員は、勤労者をもって組織してもそれはいいわけでしょう。住宅を求めている勤労者をもって組織してもよろしい。そうすると、いまおっしゃる田中君の、従来の法律によっても、住宅を求めようとする勤労者が協同組合を組織して、そこに一定の貯蓄をし、一定の時期が来れば住宅金融公庫からの融資もできれば、あるいは厚生福祉年金のほうからもその融資はできるではないか、この一千戸以上のものができなければそれができないという理由はないだろう。そうして現に二千戸もすでに融資しておるというなら、そのしておるのを一県一単位、しかも、千人以上寄らなきゃならないという制約もない。従来の住宅組合でその目的を達することができやしないかと思うが、それにはどういう支障がありますか。支障はないとすれば、それでも、川中君の主張せらるる勤労者に対して住宅を供給するという道はそこにも開けておりはしないかと思うのですが、それはどうですか。
  28. 尚明

    政府委員(尚明君) 先ほどからお話のありました住宅組合の現状をまずご説明申し上げますが、御承知のように、住宅組合は大正十年に、住宅建設しようという個人が地域とか職域とかでまとまってつくりまして、法人化して各人の資金もある程度まとめて使うということで、信用を増大して、そしてまた大部分は国の財政融資資金等から融資を受けて持ち家建設する趣旨で発足したものでございます。で、この住宅組合法ができました大正からしばらくの間は、この組合活動もかなり活発でありまして、一時は三千をこす組合が少なくとも全国にあったわけでありますが、その後いろいろ社会事情が変転してまいるに従いまして、こういう連帯責任を主体とした組合の活動というのは次第に低調になってまいりまして、今日では法人として残っておるものが四百五十に減っておりまして、かつ、そのうち一応活動していると思われるものが約三百でございます。そうしてこれらの活動しているものというものも、いずれも個人のまとまった力だけでたく、その裏に県なり何なりが相当援護的なことをしてどうにか活動しているというのが実情でございます。  これがなぜこうなりましたかという一つの原因は、やはり共同責任体制というものがわが国の社会におきましてはまだ社会的に十分なじまないということで、いまのように個人が集まりましても、事実上の信用力の増強にあまり役立たなかったということが一つでございます。それからいま一つは、その設立されました、住宅組合がつくられましたころは、住宅政策というものは見るべきものがございませんで、大蔵省の資金運用部資金から貸す相手としてそういう法人団体をつくらしたわけでございますが、戦後には住宅金融公庫設立されまして、個人に直接資金を貸す、それから都道府県等が自分で事業主体となって家を建てる、あるいは住宅協会、住宅公社等が発足する、こういうようなふうにして、住宅供給組織が個人の集まりより非常に強固な形でできるようになりまして、その意味からもいまの住宅組合の存在の理由が薄れてまいってきたわけでございます。で、住宅金融公庫法には、一応住宅組合を貸し付け対象といたしまして、昭和二十五年に発足以来、公庫からも百六十九件約百億ばかりの融資をいたしたのでございますが、実はこの組合の貸し付けにつきましては、しばしば事故が起こります。すなわち、中に債務を支払えない者ができましても、それをまた連帯でカバーすることが行なわれませんで、事故が起きがちになりました。そういうことから、法律上は一応貸し付け対象になっておりますが、住宅金融公庫昭和三十三年からは融資を行なっておりませんのが実情でございます。  一方、労働者住宅協会は、ちょうどその三十三年のころ、労働金庫の川損金をもとにして、先ほどお話でもございましたように、各種の労働団体がその機構の中に集まりまして、労働者住宅協会というものが設立されたわけでございます。これは個人の集まりではございませんで、団体の、先ほども申しました全国労働金庫協会の出損金五百万円を母体にして川発したものでございまして、財団法人でございます。そしてその機構としまして、先ほど申しましたように、労働団体あるいはその他の学識経験者等で運併しているというわけでございます。で、これにつきましては、その組織がしっかりしておりますので、住宅金融公庫から逐年融資をふやしつつあるのが脱状でございます。そうして、これはたとえば昭和三十九年には、住宅金融公庫から二千二百戸分の融資をしております。四十年度は二千五百戸分に増加する予定にいたしております。この労働者住宅協会は、支部組織を各地に持っておりまして、その支部において実際上の建設をしている、こういう次第でございます。したがいまして、この部面におきましては、この労働者住宅協会の活動が大きくなりますならば、これに住宅金融公庫が貸し付けて事業を拡大するということは可能でございます。
  29. 小山邦太郎

    小山邦太郎君 なお川中さんにお尋ねしますが……。
  30. 尚明

    政府委員(尚明君) 失礼しました。先ほどけたを間違えました。住宅金融公庫から住宅組合に貸しましたのは約十億でございます。百億と申しましたので訂正いたします。
  31. 小山邦太郎

    小山邦太郎君 田中さんにお尋ねいたしますが、先ほどあなたからお話しのあった、全国的な集まりであるこの労働者住宅協会、そうしてそのほかには労働者の預金による金庫の協力があって、そうしてだんだん具体的に活動を始めて、現に二千二百戸を三十九年は建てた。ことしはさらにそれを増そう、この道をもって一段と拡大していくことは、政府も認めておることであろうし、これは願わしいことだと思いますが、それだけでは何か不足がありますか。
  32. 田中一

    委員以外の議員田中一君) 一昨年、厚生年金の還元融資ですね、これが開かれてから、やはり人格を持たないものですから、住宅生活協同組合というものが設立されまして、これで融資を受けたわけでございます。したがって、住宅金融公庫を原資とする受け入れ態勢の日本労働者住宅協会は、現在業務をやっておりますから、直ちにこれを統合してこれに入れようというつもりはいまのところございません。で、これはむろんこの法律が通った後において、その理事者が考え、かつまた建設大臣が指導してくれるはずでありますから、その指導に待とうという姿でございます。  そこで、先ほど尚住宅局長からもお話のあったように、地方住宅供給公社というものは、現在住宅金融公庫融資の窓口をつとめている団体を、この法律によって法制化し、そうしてなお地方の公共団体監督、あるいは資金等も受け入れて強化し、間違いのないように持っていこうという内容法律案でありますが、私どもが提案しておりますこの住宅協同組合も同じような趣旨であって、現在任意——任意というか、法律によらない任意団体としてでき上がっているようなものを法律によってはっきり規制をし、間違いのないようにしたいというのが希望でございまして、ほかの団体をも吸収する機会が一日も早いことを望んでおるのです。したがって、この提案の理由というものは、政府が地方住宅供給公社を提案する趣旨と何ら違った点はないのでございます。住宅金融公庫が発足して以来、各銀行等——大銀行等にも融資の窓口として委託したものでありますけれども、大銀行等は全部拒否しております。キャンセルして受けたい。そのために現在では、労働者が集まってつくっております労働金庫も現在指定を受けまして、住宅金融公庫融資の窓口をやっております。したがって、その信用度等は、全然信用されるからその窓口の委託を受けているのでありまして、これはもうそれらの諸君が集まって預金をしている労働金庫ならば、これは一番安定件があるわけであります。これは趣旨としては、かつて尚住宅局長もこの趣旨には賛成であるというので、現在の地方住宅供給公社を提案する前には、やはり協同組合方式で行けないであろうかというので、相当建設省部内でも研究したはずでございます。研究した結果、大蔵省並びに自治省等から反対があったので、とうとう現在提案されている公社のような形になったわけでありまして、おそらく建設省部内におきましても、担当部局におきましても、私の提案しております公庫については、腹の中では賛成しているものと私は見ておるのです。ただ、自治省または大蔵省から圧殺されまして、初期の住宅行政としての立案過程における建設省のほうの敗北から、今回、われわれ社会党、民社党、公明党が提案したこの法律案に対しては、どうも賛成しかねるというようなことな、一面私に漏らしたのが最近でございますから、どうかひとつ、小山委員に申し上げますが、私どもは本来ならば厚生大臣を含めた監督官庁、監督者を持つのがほんとうでありますけれども、その点をもっともっと詳しくお話ししますから、次々と質問していただければ十分にお話し申し上げます。
  33. 小山邦太郎

    小山邦太郎君 今度は政府にお尋ねしますが、これは供給公社のほうにお尋ねしてもいいですね。
  34. 中村順造

    委員長中村順造君) どうぞ、いいです。
  35. 小山邦太郎

    小山邦太郎君 この政府提案の法律を見ると、川地とか、それから主として集団的な住宅建設というものに重きを置いている。これも今日、特に都会においては住宅難を訴えておりますから、けっこうなことであります。地方においては、団地とか集団住宅でなくても、三軒、四軒、あるいは一軒でもここにまた住宅の要求があるわけです。この目的を達するには、この法律ではいけない、これはもっぱら公庫がやるということでございますね。公庫がその要望にこたえる。ところが、公庫のこたえるその条件は、一定期間一定の貯蓄という、これと同じ条件でこたえてくれるのかどうか。それができれば、先ほど田中君のおっしゃった、勤労者が集団的な専用住宅を持たずとも、公庫に求めんとすれば、自分の金の足りないときは、労働者であるから労働金庫の金の融通を受けて、そして公庫のほうに訴えれば、それで目的を達するるのではないかと思いますが、この点はどうなんですか。
  36. 尚明

    政府委員(尚明君) まず、集団住宅内容でございますが、この集団住宅といたしましたのは、その供給公社が建設いたしまして供給いたします住宅としては、二つの点で集団的な建設がよろしいわけでございます。一つは、土地の利用につきまして、あまり小さく、三戸、四戸と、お話のございましたようなものをあちらこちらに建てるということでは、土地の利用として不経済であるということが一つあります。いま一つは、住宅環境をよくするということは、単に建築物だけでございませんで、そのまわりの道路、あるいは下水、もちろん電気、ガス等を引いてくるわけでございますこのように考えますと、ある程度数がまとまって、それらに適切な道路が配置され、排水施設がつけられて、家が建設されることが望ましいわけでございます。さように考えますと、三戸や四戸というのでは、あまり小さく不経済で、かつ、二月の建設費が非常に高くつくようになってまいるわけでございます。したがいまして、環境のいい住宅地を比較的安くつくりますためには、集団にし、そうして、この目的であります勤労階層に安く、いい環境であり、いい住宅を供給するということにいたしますために、私どもとしては、その集団について、ある程度経済的であり、かつ、社会的に環境のいい程度ということを考えております。  で、実態としましては、大都市等では土地も高うございますので、なるべく共同住宅といたしまして、いわゆるアパートの三階建て、四階建てというようなことで土地を節約して、かつ、環境のいいところにつくるという方針でまいりたい。しかし、地方の都市等におきましては、そこまでする必要がございませんので、同じ集団ではございますけれども、建ちます家は二戸建ちの家を建てて分譲するということでまいりたいと考えております。したがいまして、また、その集団の大きさも、大都市におきましては、何百戸あるいは何千戸というふうに大きいところを企てるようになると思いますが、地方の都市等におきましては、三十戸とか四十戸とか、そういう程度で建設して供給するというふうになることを思う次第でございます。  それから供給公社をつくりました一つの大きな目的は、在米は、分譲住宅建設につきましては、あらかじめ分譲住宅を、地方公共団体もしくは地方公共団体出資してつくりました民法法人であります在来の住宅協会、住宅公社というものが公庫の融資を受け、みずから頭金を用意して一応建設いたしまして、そこで一般に募集をいたしまして、その当せん者に譲り渡すということをいたしたわけでございます。今回、中堅階層の方が、自分の力に応じて貯蓄を行なって、そうして、その貯蓄を行なうことによって、分譲住宅が将来供給されることを約束を受けるという方式で、貯蓄奨励的な意味をもって事業を行ないたいというのが一つ加わって、そのために、供給公社法案をつくったわけでございます。  そのやり方は、あらかじめ三年なり何年なりの間に建てます家の場所、数等を示しまして、そうして募集をしまして当たった方は、それから一定の額、いわゆる頭金に相当する数十万程度のお金を三年くらいの間にためていただきまして、そうして、ためていただきました暁のころには、住宅金融公庫からあとの建設費の融資を受けまして、そうして家を所定のところへ所定の模様で建てていく。これによりまして、一つは貯蓄、一つは、貯蓄されたお金で土地を先行的に買ったりして、つまり、住宅資金としてすでに建設のために利用されるということ、それからいま一つは、そういうことにおいて貯蓄される方は、三年後なり五年後にわが家がもらえるということで、生活の設計が十分に立つということ、これらのことを目途として供給公社法をつくったわけでございます。  そこで、その裏づけとなります金融公庫の融資でございますが、以上の趣旨でございますので、住宅金融公庫としては、貸す以上は必ず積み立て者に御損をかけないように、十分な建設能力を有すること、それから、三年、五年後のお約束をするのですから、団体として非常に強固な団体であって、永続性のある団体である、このような団体でなければ、公庫としては融資の対象にいたしがたいのでございまして、在来とも公庫は、その積み立てがない場合でも、融資を行ないます場合には、これらの団体の信用力等を十分調査していたわけでございます。そこで、現行のように、地方公共団体あるいは地方公共団体出資いたして設立されました民法による民法法人としての住宅協会、住宅公社等、既存のもの、あるいは一部の団体といたしまして先ほど来お話のありました労働者住宅協会というようなところに融資の対象を置いて実行しておるわけでございます。そこで、住宅組合等について融資がいままでしておりませんのは、やはりどうしても永続件のあること、供給能力が確実であることというような点において欠ける点があるから、これができなかったわけであります。そうして私どもも、先ほど田中先生からお話のございましたように、欧米にありますような住宅協同組合というような方式でそのような信用力をかち得、かつ永続件があって、しかも供給能力が十分な仕組みというのができるかということで研究はいたしたわけでございます。その結果、先ほどちょっと先生は、大蔵省等の意見の相違ということをおっしゃられましたが、実は、私どもがそれを研究しておるうちに、だんだん、やはり個人の集まりを主体とした団体をもってしては、それらの力を付与し、そうして、これに巨額な金を国から融資することは困難であるという判断に基づきまして、やはりどうしても中核となる大きな力のあるものを背景としてでたければならぬ、こういうふうに考えた結果、ただいま御提案申し上げてありますように、地方住宅供給公社地方公共団体設立いたしまして、これが全責任を持ってみずから出資するとともに監督する、かつ、その上に建設大臣監督する、このように強化いたしまして、初めて貯蓄業務もでき、かつまた供給を必ず約束する、そうして公庫の融資相手になるというふうに仕組んでいったわけであります。勉強過程に、確かに欧米流の個人の集まりである協同組合というもので勉強の発足をいたしたことは事実でございますが、どうしてもこれに——いま申しましたように、住宅供給主体として、今日のわが国の事情におきまして、これに十分なる力をつけるという形がとれませんでしたために、途中で私どもはだんだんにそれを修正していって、今日提案してありますような形にしたわけでございます。  一応経過を御説明申し上げました。
  37. 田中一

    委員以外の議員田中一君) ちょっとぼくから小山さんに……。いま尚住宅局長が言ったことはそのとおりだと思うのです。そこで、現在、労働金庫は幾らの預金を持って幾ら住宅資金に貸し付けておるかということを申し上げますが、三十八年度の住宅貸し出しの残高の推計をいたしますと、その当時、預金が八百八億八千二百七十二万七千円ございます。そのうちの貸し出し金は、五百四十五億余貸しております。そのうち、住宅または宅地等を担保として貸しておるものは百六十七億八千四百五十七万という巨大なる数字になっております。そこで、全国労働金庫協会の今井一男理事長からは、この法律が成立した暁には、このような方法を労働金庫としてはとろうというのが一札私どもの手元にまいっております。読み上げますと、   住宅協同組合法が成立した場合、労働金庫は住宅協同組合に対し、次の通り支援・協力いたします。   1、労働金庫の資金をもって、自力住宅建設のため、住宅協同組合に対し、全面的資金協力を行なう。   住宅金融公庫と同様の長期返済期間により、労働金庫のもつ資金住宅協同組合に融資する。   2、政府資金導入による住宅建設についても、同様に資金協力を行なう。   (1)政府資金が導入されるまでの繋ぎ資金融資   (2)予定宅地取得資金融資   (3)頭金の融資   3、住宅協同組合の代理業務のほか、その資金の管理についても、責任をもって行なう。   (1)貯金ならびに定期積金の受入れおよびその管理。個人別内訳明細の把握、利息計算なども行なう。   (2)資金の貸付および返済金受入れに関する業務。返済状況の把握、債権保全についても協力する。   (4)住宅協同組合の余裕金運用は、労働金庫において、安全・確実に行なう。  このような一札が出ておりまして、先ほど、住宅協同組合方式ではその信用度が足りないということを住宅局長言っておりましたけれども、このように八百億からの資金を持っている金融機関が、全部あらゆる援助を惜しまないと言っているのですから、資金的な不安が全然ないというように認めても差しつかえないんではないかというように私は考えております。
  38. 小山邦太郎

    小山邦太郎君 田中さんにお尋ねします。  そのいまのような資金援助は、従来の住宅組合にはやらないんですか、やれないんですか。
  39. 田中一

    委員以外の議員田中一君) 現在でも行なっております。しかし、この一般労働者大衆はより多く住宅がほしいという要望が強いのでございます。労働金庫の資金だけをもってしては、何といっても、これは労働者が預金している資金でございますから、一般市中銀行よりも金利を高くしなければならぬ。そうなると、原資のコストが非常に高いのでございます。住宅金融公庫資金を借りますと、御承知のように、五分五厘で借りられます。そうしますと、一般労働者に対する融資の金利が安くなる。同時にまた、預金部資金資金を借りましても、これまた六分五厘でございますから、現在の一般金融機関よりも非常に安い金利をつけでありますから、したがって、それだけに、労働者はよりよく要求しているということでございます。
  40. 小山邦太郎

    小山邦太郎君 そこで、その豊富な金庫が、従来の組合法による住宅組合、そのほうにもどんどんやればもっと、かつては三千組合もあったものがいま三百組合になってしまったということではなしに、ふえてきゃしないか。ふえれば、もよりもよりにつながっていって組合を組織するから、何も全県一つの一千人いなければならぬ、その連帯責任ということよりも、このほうが少し伸びはしないかと思うが、そのことと、それは伸びないという理由があれば、伸びないという理由をお述べ願います。  それからいま一つ政府のほうにお聞きしたいのは、これは都会集中でもけっこうだと思うんです。それは都会でもよろしいが、大都会でないところのほうには、さっきの説明のように、大都会には何百戸ということが、中都会では何十戸でもよかろう、さらに小都会では三戸でも四戸でもいい。これはやむを得ないが、公庫でやる以上は、公庫は同じ条件でやらないと、金利やその他の点、これで供給すると同じような状態でやってもらえるかどうか。  それからいま一つ、ここでは、土地が簡単に手に入れることは相当困難だから、宅地造成に力を入れる、宅地造成をしたその上に住宅をつくる。その住宅は買えるけれども宅地まで買えないというときには、宅地は団地がどこからどこまで持っていて、住宅だけは個人に持たせる、家賃を取るかわりに地代をめんどう見てくれる。そうすれば、相当地代の高いところでも、土地は自分が持つ力はとうてい自分の収入ではないが、家だけは自分のものにするということが、私は思想的にも非常によろしいし、また、家を保護し清潔にする上にもよい、こう思うんですが、その道はあるのか。  それからいま一つは、ここにこういうことがございます。供給公社が行なう住宅建設と付帯して商店事務所等建設することが適当と思われる場合には、これも心配してやる、これはおよそ何軒ぐらい寄ったときにやるのか。また、その規模が十軒とか二十軒で容易でない地方には、公庫に一三軒でも四軒でもそういう集団的なものがあれば、公庫にやらせるという道が開かれるかどうか。供給公社は今日の住宅問題を解決する一つであって全部でない。その他のものはこのほうでまかなうという道を開かれておればいいのではないか、それをお聞かせ願いたい。
  41. 田中一

    委員以外の議員田中一君) 三十八年度現在でも百六十七億の融資をしております。したがって、それはもし住宅金融公庫融資が行なわれるならばこれは二割五分——七割五分の貸し付けですから二割五分、したがって、七割五分というものは融資がふえるわけです。ですから、たいへんな資金になるわけです。住宅戸数がふえるわけです。これはもうお説のとおり、この道が開かれれば、かつての法律による住宅組合にいう不特定多数の人間がお互いに共同精神でかたまるよりも、今日の住宅協同組合は資金的な裏づけがございますから安全である。したがって、もしも政府として住宅組合という方式を三十三年以来とらないとするならば、それにかわるべき施策として、当然住宅協同組合——提案されている住宅協同組合中心の施策をとってくれることが当然正しいことであり、国民の要望にこたえるものであるというような考えでありまして、よりよい施策であるということを考えておりますから、どうかひとつ御協力をお願い申し上げます。
  42. 尚明

    政府委員(尚明君) ただいまお尋ねがございました、まず個人住宅融資のことでございますが、先ほど申し上げましたように、地方住宅供給公社は、集団としておおむね三十戸程度以上のものを地方都市等の場合におきましても扱います。これは建てて分譲するという方式をとるわけでございますが、三戸、四戸あるいは一戸、自分の敷地をお持ちの方というものは、在来からの方式による個人融資という道がございます。これが条件は、坪当たりの建設費等は同様な扱い、公社と同様な扱いでございます。面積の融資対象の中に、たとえば木造にいたしますと、個人融資として十三坪以下というのと、十六坪というのと、二種類に分かれております。坪当たり単価は同じでございますが、当せん率が若干違うわけでございます。十六坪の分ですと、ちょうど供給公社が建てるものと同じでございますし、貸すお金も同じということになるわけでございます。  次に、住宅のみを分譲し、開発した土地は地代で賃貸していって安い家を持たせる方法はいかがかというお話でございますが、もちろん、そういう方法は一応安い持ち家を持たせるということで考えられるわけでございますが、実は、個人の持ち家となりますと、それが事情に応じて個人の意思で売買も行なわれるわけでございますが、通常、そうした場合に、一定土地の上に建っておりますれば、借地権利金というようなものも伴って売買されるようなことにたるわけでございます。したがって、借地というよう次場合に、その借地権利金というものを取らないと、不当な利益が起きるというような、いろいろな法律上のむずかしい問題がございます。したがいまして、今日では、一般的には土地もともに買っていただく、そのかわり、その土地も長期の割賦方式をとる、家と同じようにして十八年とか何かのような長い割賦方式をとって、やはり土地も買い取っていただくという方法でやっておる次第でございます。  それから、集団住宅をつくりますために必要となります店舖、事務所について住宅金融公庫融資するのは、法案にも示されているとおりで、公庫法にもあるわけでございますが、これはやはり集団が百戸、二百戸、あるいは千戸と大きくなるのにつれて、それに必要な商店等ができるわけでございまして、その団地と関連なく、店舗が必要だからというような意味で店舗のみに公庫から融資するという道は開かれておりません。ただし、店舖つき住宅の往宅部分融資というのは、これは住宅でございますから融資を受けられる。商店部分は公庫から融資が受けられないというわけでございます。  それから、これはちょっと話が違いますけれども、地方都市等におきましても、町の中の店舖等が上に住宅を持って、いわゆる鉄筋コンクリートの三階建て、四階建て等に建てかえる際には、いわゆるげたばきでございますが、その下の店舖には住宅金融公庫融資が伴って、上の住宅とともに伴って融資される制度があるわけでございまして、商店だけをぽつりとつくることにつきましては、住宅金融公庫のたてまえからは融資の対象になりません。
  43. 小山邦太郎

    小山邦太郎君 この間新聞を見ると、ある御婦人の声に、せめて子供のために何とか土地住宅ぐらい建てたいと思って貯蓄をするが、その貯蓄のふえる割合よりは宅地の値段のほうが上がっちゃって、とっても追っつかないということが書いてあった。なるほどそうだなあと思ったんです。それで私はいまの質問をして、土地だけはせめて国家保有にしておいて、家はと、こう思ったんですが、それはまあいろいろな関係があるから、なるだけ含めておきたい。そこで、それじゃあ地代はどういうふうにしてやるんだ。地代がだんだん上がっていく。上がっていくのに、特定な人に特定な利益を与えちゃいけないということになると、ばかに高くなっちゃう。大都会じゃ買いたくも買えなくなっちゃう。これらはどういうふうにやるのか。国ではそうたいして利益を受けなくてもいいんだから、相当利子を安くしてもよさそうに思うが、また一方から見ると、買って売ればまた利益が出るというのでは、これも困った話だ。それらはどういうふうに調節するんですかね。
  44. 尚明

    政府委員(尚明君) 地価が所得よりも上がってしまう。特に大都市においてはそういう現象があるということは、今日としてはある程度肯定せざるを得ない点がございます。そこで、土地そのものに対する対策といたしましては、これは建設省全般として、単に住宅のみならず、道路事業その他につきましても重要な問題でございますので、これの地価の安定策ということにつきまして、いろいろの研究をいたしております。それは一つは、制度的に地価を安定させる方法ということで、これはいろいろまだ議論の段階でございますが、空閑地税とか、あるいは土地価格の表示とか、いろいろの制度で、何とかして地価の高騰を幾らかでも押えていくという方法を研究しているわけでございますが、一方、現実に焦眉の急の住宅建設する等の事業をやっている段階のほうといたしましては、土地の価格の上がることをなるべく影響を少なくするということといたしまして、一つは土地の先行取得、つまり、数年後に使う土地というものをなるべく今日、土地資金を用意して早く買うということと、それから一般的な個人等におきましては、環境のよい土地造成できたい山林あるいは原野等につきまして、これを公共の力でもって大規模の開発をし、道路、下水その他の諸施設を整備した宅地を供給する、すなわち、宅地の大量供給ということを公共の力でやる、この二点で事業を進めるようにいたしているわけでございます。  で、そのほかに、大都市といたしましては、そうやりましても、やはり地価が相当上がって、国民所得と折り合った住宅取得がかなり困難になるという問題がございますので、最近私どもとしてとっております方針は、地価が相当に高くたるところにおきましては、なるべくその土地の使う量を減らす、すなわち、鉄筋コンクリートの四階建て等の中層アパート等をつくりまして、これは在来は、こういう中層アパートというのはもっぱら貸し家として考えておったわけでございますが、これを持ち家としても利用する。こういたしますと、たとえば中層アパートの四隅建ての、いわゆる皆さまが団地等でごらんにたっておりますあの一戸は、一軒につきまして土地がおおむね三十坪くらいしか使っておらないわけでございます。在米の一戸建てを町の中でやりますと、どうしても相当の環境を得るためには六十坪、八十坪、これが三万円、五万円ししいうことになりますと、御指摘のように、それだけで数百万円になって、とても中堅階層の取得するにはむずかしい問題がある。そこで、土地の価格の影響をたるべく少なくして、かつ環境をよくするということで、大都市等におきましては、中層アパートによる、あるいは場合によっては高層アパートによる分譲住宅建設するという方向で考えているわけでございます。
  45. 中村順造

    委員長中村順造君) 両案に対する質疑は、本日はこの程度にいたし、都合により暫時休憩いたします。    午後四時七分休憩      —————・—————    午後五時五分開会
  46. 中村順造

    委員長中村順造君) 委員会を再開いたします。  この際、委員異動について御報告いたします。  本日、白木義一郎君が委員辞任され、その補欠として二宮文造君が委員選任されました。     —————————————
  47. 中村順造

    委員長中村順造君) 九州横断自動車道建設法案議題といたします。  本案は、すでに提案理由説明を聴取しておりますので、これより質疑を行ないます。御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  48. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 この道路が長崎から佐賀を経由をして大分へ抜けるようになっておりますが、この地域は、一体、観光資源の開発ということに着眼をしておられるものか、あるいは新業産都市としての大分と長崎とを短距離をもって接続するというところに重点を置いておられるのかどうか、両方相まっておるということにもなるかと思いますが、重点はどちらに置かれ、どちらがこの新しい連絡路線を構成をする動機となっておられるのかということも、参考までにお伺いをしたいと思います。  それから、その次に、特にこの鳥栖近辺から大分へ抜ける区間でありますが、これは地図で見ますと、相当山の中を通るようになっております。この間の地質であるとか、あるいは工事の難易の度合いであるとか、あるいは関係地域の協力の度合いであるとか、そういう点は一体どの程度のものであるか、以上の点についてもお伺いをしたいと思います。
  49. 馬場元治

    衆議院議員(馬場元治君) 御審議を願っております道路の性格については、御承知の、大分から久住を経まして熊本へ出ておりますかつての二級国道基準といたしました道路は、主として観光あるいは畜産、そういう方面を開発の主たる目的としてまいった次第であります。今度開発をしていただきたいと思っておりまする新横断道路は、いわゆる内陸工業地帯を連結をいたしたい、そういった意味の経済的な目的を主たる目的といたしております。ただいま御指摘のありましたように、双方とも重複いたす点もなきにしもあらずでありますけれども、主たる眼目は、どこまでもさような点に置いていることを御了承願いたいと思います。  それから日田から大分に至る間は山岳重畳で、いわゆる難工事であろうと、こういう御心配をいただいたのでありますけれども、まことにごもっとも千万な御意見なのでございます。これらの点につきましては、これを提案するにあたりまして、あらゆる角度から調査をいたしたのでありますが、さらに具体的にこれの路線の指定、工事のやり方、そういうことにつきましては、国土開発縦貫自動車道の審議会を経まして十分な御検討を願いたい、かように考えております。これは規格も、九州縦断の自動車道と全く同一の規格を持つものでありまして、さきに大分−熊本間を結んでおりまする旧二級国道を有料道路、公団並びに公共事業として開発をいたしましたあれとは全く趣を異にいたしております。  いま一つ、地元の協力の度合いはどうであろうか、こういう御意見でありますが、これはもう申し上げるまでもなく、非常な熱望でありまして、実は、九州縦断道路の路線を決定いたしまする場合にも、むしろ今度日田から大分のほうに抜けまするあの山岳地帯を縦走してもらいたい、こういうような希望がありましたような実情でございまして、多年のこの地方の熱望であるということを御了承を得たいと存じます。
  50. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 現行高速自動車道法の一部改正を行なって、同法に準拠する本自動車道の整備計画を作成するということをうたっでありますが、このことは、現行高速自動車道法に追加をするという意味をもって書かれておるものでありましょうか。それとも、このことばは、道路の幅であるとか、いわゆる高速自動車道としての規模のことをいっておられるものなのでありましょうか。どっちなのでしょうか。
  51. 馬場元治

    衆議院議員(馬場元治君) 道路の規模につきましては、先ほど申し上げましたとおりに、九州縦貫自動車道と同一の規模でまいっております。幅員にいたしましても、その他の工法にいたしましても、これを基準としてまいっております。さような意味でございます。
  52. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 幅はどのくらいになりますか。
  53. 馬場元治

    衆議院議員(馬場元治君) これは場所によって必ずしも同一でございません。それぞれ専門的な知識を動員をいたしまして審議会でおきめを願い、さらに検討するということになるかと思います。必ずしも一定をいたしていないわけでございます。
  54. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 予算はどのくらいを見込まれておるのでございましょうか。
  55. 馬場元治

    衆議院議員(馬場元治君) 大体一キロの所要総工費が六億八百万程度を見込んでおりまして、この延長がおおよそ二百五十キロございます。したがいまして、長崎一大分間で、これも大体の数字でございますが、千五百五十億ぐらいに相なるかと思います。
  56. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 総予算で千五百五十億、こういうわけですね。農地報償ぐらいの金額になるわけですね。で、私、ちょっとここのところが疑問に思ったんですけれども、この鳥栖近辺から長崎へ抜ける道路というのはわかるんです。これは、鉄道の場合も鹿児島本線と長崎本線とありますから、こういう縦貫自動車道に対して、こういう道路ができるということは大体わかりますが、この鳥栖、久留米から大分へ抜けるというルートですね、これはここまで来ると、湯布院の近所まで来ると、別府と熊本を結ぶ去年の秋にできたこの道路とここで接触しているわけですね。だから、そうすると、ここまで接続をすれば、この別府−大分間の在来の道路と、これはあわせて利用できるのじゃないかなという気がしたのですが、これは別線でこういうふうにつながっているのですが、これはやはり地域開発とか、あるいは観光的な意味をもって、こういう大分から鳥栖近辺までの新しいルートが開設されたものでしょうか、その点はどうなのでしょうか。
  57. 馬場元治

    衆議院議員(馬場元治君) 御指摘のように、交差をいたした点がございます。ところで、冒頭申し上げて御了解を得ましたとおりに、道路の性格が全然違っておりまして、したがって、規格もまた同一でございませんので、もっぱら、この横断道路の目的といたしまするところは、経済的な目的、これを主たる目的としておりまして、この二級国道をそのまま併用するということは、目的におきましても、使用上の価値におきましても、全然違いまするので、別途な道路にするということを決定いたしたものであります。そして、申し上げるまでもありませんが、現在できておりまする昔の二級国道は、別府が終点なのであります。一方は御承知のとおり、大分までなのであります。そういうような意味で、あらゆる点から考慮をいたしまして、交差はいたしておりますが、別な道路にすることが、真の道路としての経済効率なり交通上の価値なりを増大せしめるゆえんではなかろうか、かように考えてこういうふうにいたした次第でございます。
  58. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 まあ順序から言うと、鳥栖周辺から長崎へ抜ける道路というのはわかりますが、あとはやはり大分の工業地帯、まあ新産都市といいますか、この地域と結ぶ場合には、これはすでに現在国道が整備されているから、これで間に合うといえば間に合うかもしれませんけれども、北九州から大分、さらに宮崎を経由して鹿児島へ抜ける、こういうルートのほうが、順序からいうとどうも先に必要なのではないかというふうな感じを抱くのでありますけれども、あえて、このコースをとらず、横断をして長崎−大分を結ぶと、こういうコースをとられたことは、一体、北九州から宮崎、鹿児島へ抜けるいわゆる東海岸沿いの道路に比べて、より緊急件を持っておる、こういう判断に立っておいでになったのでしょうか。私、九州のことはよくわかりませんので、あわせてこの点もお聞きしたいと思います。
  59. 馬場元治

    衆議院議員(馬場元治君) この道路も、究極の目的は、九州の西陲でありまする長崎から佐賀、鳥栖、日田を通りまして大分に出る、さらに四国のほうに連結をいたしたい、四国の道路を束のほうに突っ走りまして、それが京阪神に至り、さらに東部、東京に至る、こういうことを目安にいたしておったのであります。いわゆる縦走の路線を通すことはもちろんでございますが、九州といたしましては、他地方との連絡、特に中央並びに京阪神地方あるいは瀬戸内地方の各地方との連結を急ぐことは、開発のための最も緊要な問題である、かように考えたわけでございます。のみならず、主たる目的とは申し上げかねるかもしれませんが、長崎という古い都の、欧米諸国に対する一種の郷愁と申しますか、そういった古い歴史を持っておりまするだけに、今後、東南アジアあるいは大陸、そういった方面との交通がますます開けんといたしておりまする今日ただいまの場合、この長崎と東九州を結び、さらに京阪、東京のほうと相結ぶということが、観光的に申しましても非常に貢献をするものである、かように考えまして、この道路を大分まで延長し、さらに行く行くは、先ほど申しましたように、四国、京阪神とを結びたいと、かような考えを持っておる次第でございます。
  60. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 四国と結びたいというお話がいまございましたけれども、これは四国とフェリボート等でもって接続をするという意味でございますか。それとも、トンネルを掘るとか橋をかけるとか、そういうことで、そういう構想もあるわけなんですか、どっちなんでしょう。
  61. 馬場元治

    衆議院議員(馬場元治君) ただいまのところ、フェリで連絡しよう、こういうふうに考えております。
  62. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 わかりました。
  63. 熊谷太三郎

    熊谷太三郎君 参考までに簡単にお伺いしますが、この案が成立いたしますと、いずれ調査ということになるわけでございましょうが、そういう調査費の関係は何かお考えになっておられますか。いつから調査に着手するとか、そういう問題については……。
  64. 馬場元治

    衆議院議員(馬場元治君) これは、実は予算がついておりませんので、申し上げることはなかなか困難なのでございますが、願わくは、建設省に御相談をいたしてみたいと、かように考えております。
  65. 中村順造

    委員長中村順造君) ほかに御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  66. 中村順造

    委員長中村順造君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  67. 中村順造

    委員長中村順造君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  九州横断自動車道建設法案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  68. 中村順造

    委員長中村順造君) 全会一致と認めます。よって本案は、全会一致をもって衆議院送付案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  69. 中村順造

    委員長中村順造君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  70. 中村順造

    委員長中村順造君) 次に、継続調査要求についておはかりいたします。  建設事業並びに建設計画に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本院規則第五十三条により、継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  71. 中村順造

    委員長中村順造君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成及び提出の時期等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  72. 中村順造

    委員長中村順造君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
  73. 中村順造

    委員長中村順造君) 次に、請願第三四号、熊本県大津町バイパス建設に関する請願外六十六件を一括して問題に供します。  まず、専門員から説明を聴取いたします。  速記をとめて。   〔午後五時二十七分速記中止〕   〔午後五時五十五分速記開始〕
  74. 中村順造

    委員長中村順造君) 速記つけて。  それでは、請願第三四号外六十二件は、議院の会議に付するを要するものにして、内閣に送付するを要するものとし、請願第三〇三号外三件は、保留することにいたしまして御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  75. 中村順造

    委員長中村順造君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたしました。  なお、報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  76. 中村順造

    委員長中村順造君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十六分散会      —————・—————