○法制局参事(土屋政三君) ただいま
議題になりました
住宅協同組合法案について、逐条的に御
説明申し上げます。
この
法案は六章、百十五条と
附則十一条からなっております。
第一章は、
住宅協同組合の
目的、
名称、地区及び
法人格等について
規定しております。
第一条は、
住宅協同組合の
目的を定めたものであります。この
法律は、
勤労者が相互扶助の精神に基づき共同して
住宅供給
事業等を行なうために必要な組織について定め、もって健康で文化的な
生活を営むに足りる
住宅を確保し、国民
生活の安定と
社会福祉の増進に寄与することを
目的とするものであります。
第二条は、組合のよるべき
基準について定めたものであります。
第三条は、
登記について定めたものであります。
第四条は、
名称に関して定めたものであります。
第五条は、地区に関して定めたものでありまして、
住宅協同組合は、
都道府県の区域ごとに一個とし、
住宅協同組合中央会は、全国を通じて一個とすることにいたしております。
第六条は、
住宅協同組合及び
住宅協同組合中央会の
法人格に関して定めたものであります。
第七条は、組合及び中央会の住所について定めたものであります。
第八条は、独占禁止法との関係を定めたものでありまして、
住宅協同組合は、独占禁止法の
適用を除外せられることにいたしております。
第二章は、
住宅協同組合の
事業、組合員、管理、
設立、
解散及び
清算等について
規定しております。
第九条は、組合の運営は組合員に最大の奉仕を
目的とし、営利を
目的として
事業を行なうべきでないことを定めております。
第十条は、組合が行なう
業務の
範囲を定めた
規定であります。
住宅協同組合は、その
設立の
目的に従いまして組合員のための
住宅の
建設または
取得、
住宅用地の
造成または
取得、組合員に対するこれらの
住宅または
住宅用地の
賃貸または
譲渡、組合員からの貯金の
受け入れ、組合員のための
住宅または
住宅用地の売買、交換または貸借の代理または媒介を行なうことをその主要な
業務とすることとしております。
第十一条は、組合員の資格について定めたものでありまして、組合員たる資格を有する者は、第一に、原則として当該組合の地区内に住所または勤務地を有する者でなければなりません。
第二に、組合の地区内に住所または勤務地を有していた者で当該組合から
住宅または
住宅の用に供する
宅地の供給を受けた者は、転勤等の関係で地区外に去る場合は、組合員の資格の一つである
地域要件を欠くことになるわけでありますが、再び戻るような人には、組合員の資格を保有し得ることといたしております。
第三に、組合の地区内に住所または勤務地を有していた者で、当該組合から
住宅または
住宅の用に供する
宅地の供給を受けることが適当と認められる者は、組合員たり得ることといたしております。すなわち、組合員であった者で
住宅または
宅地の供給を受けず、地区外に出るような場合でも、再び地区内に戻るような人には組合員とし得ることといたしておるわけでありまして、前号と同じ趣旨に基づくものであります。
第十二条は、組合員の
出資に関する
規定であります。
第十三条は、議決権及び選挙権に関する
規定でありまして、組合員は、その
出資口数の多少にかかわらず各一個の議決権及び選挙権を有するものと定めております。
第十四条から第二十一条までの
規定は、加入脱退に関する
規定でありまして、組合員の加入脱退は自由であることをたてまえとしております。
第二十二条は、組合の
定款について定めております。
定款は組合の基本となるものでありまして、その
内容は、中小企業協同組合、水産業協同組合等と大体同様であります。
第二十三条は、規約で定めることができる
事項について定めております。
第二十四条は、組合の
役員に関する
規定でありまして、組合の
役員は、
理事及び
監事とし、総会において選挙するものといたしております。
第二十五条は、
役員の
変更に関する
規定であります。
第二十六条は、
役員の
任期は三年以内とし、
定款で定めることにしております。
第二十七条及び第二十八条は、
理事会についての
規定でありまして、組合の
業務の執行は、
理事会が決するものといたしております。
第二十九条は、
役員の兼職禁止について定めたものであります。
第三十条は、組合の行なう
事業と競業関係にある着は
役員に就任はできないこととしております。
第三十一条は、
理事は、
理事会の
承認を得た場合以外は組合と
契約できないことを定めたものであります。
第三十二条は、
理事の責任に関する
規定であります。
第三十三条は、
定款その他の
書類の備えつけ及び閲覧について。第三十四条は、決算関係
書類の提出、備えつけ及び閲覧等について。第三十五条は、
会計帳簿等の閲覧等について定めたものであります。
第三十六条は、
役員改選の請求、いわゆるリコールについての
規定でありまして、
一定数以上の組合員は、
役員の改選を請求できるものといたしました。第三十七条は、
理事及び
監事について、商法、
民法等の
準用に関し定めたものであります。
第三十八条は、顧問について
規定したものでありまして、常時組合の重要
事項に関し助言を求めるため、学識経験者を顧問として置き得る道を開きました。
第三十九条は、参事及び
会計主任等の
職員に関する
規定であります。
第四十条は、参事及び
会計主任に対する解任請求に関する
規定であります。
第四十一条は、通常総会は、毎
事業年度一回招集したければならないこととしております。
第四十二条は、臨時総会招集に関する
規定であります。
第四十三条は、組合の要求による臨時総会招集請求につき
理事がその手続をしない場合の救済措置についての
規定であります。
第四十四条は、総会招集の手続について定めたものであります。
第四十、五条は、組合が組合員に対して行なう通知または催告の効力発生時期についての
規定でありまして、到達主義によることとしております。
第四十六条は、総会の必要的議決
事項についての
規定でありまして、
定款の
変更、規約の設定、
変更、毎
事業年度の収支予算及び
事業計画の設定、
変更等の重要
事項は、その付議
事項といたしておるわけであります。
第四十七条は、総会の議事についての
規定であります。
第四十八条は、特別議決についての
規定でありまして、
定款の
変更、組合の
解散、組合員の除名については議決要件を重くしております。
第四十九条は、総会について商法の
準用を定めたものであります。
第五十条は、総会にかわる総代会の制度を設けることができることとしております。
第五十一条は、準備金及び繰り越し金についての
規定でありまして、準備金の
積み立てを義務づけております。
第五十二条は、剰余金の割り戻しについて
規定しております。
第五十三条は、剰余金の払い込み充当について。第五十四条は、
財務基準についての必要なことは
政令で定めることにいたしております。
第五十五条は、組合
設立の際には、発起人は二十人以上とし、千人以上の組合員がなければならぬこととしております。組合は
都道府県ごとに一個に限られておりますので、
設立当初の組合員は千人以上でなければならぬこととし、組合の
設立規模を大きくいたしておる次第であります。
第、五十六条は、創立総会に関する
規定であります。
第五十七条は、
設立の
認可について
規定したもので、発起人は、
定款、
事業計画、
役員の氏名等を記載した書面を行政庁に提出して
設立の
認可を受けることとしております。
第五十八条は、発起人が行政庁から
設立認可を受けた後、
理事への事務引き継ぎについて定めたものであります。
第五十九条は、
出資第一回の払い込みについての
規定でありまして、
出資一口につき四分の一を下ってはたらないことにいたしております。
第六十条は、組合の成立の時期、第六十一条は、成立の届け出、第六十二条は、組合の
設立について商法の
準用についての
規定であります。
第六十三条から第六十五条までの三カ条は、解放及び
清算についての
規定でありまして、組合は、総会の決議、組合の破産、存立時期の満了及び行政庁の命令で
解散するものとし、
清算人には原則として
理事が就任し、商法、非
訟事件手続法等から必要な
規定を
準用することにしております。
第三章は、
住宅協同組合中央会の
事業、会員、管理、
設立、
解散及び
清算等について
規定しております。
第六十六条は、中央会の
事業について
規定したものでありまして、組合の組織、
事業及び
経営の指導並びに連絡、組合の監査、組合に関する知識の普及及び情報の提供、組合に関する調査及び研究、組合の健全な発達をはかるために必要な
事業等を行ない、また、中央会は、その
事業を行なうために必要があるときは、組合の
業務または
会計の重要
事項に関し指示できるものとしております。
第六十七条は、中央会の会員たる資格を有する者は、組合、
勤労者の団体等とすることとしております。
第六十八条は、会員は、各一個の議決権及び
役員の選挙権を有するものといたしております。
第六十九条は、経費の賦課について
規定し、中央会は、会員に対し経費を賦課できるものとしております。
第七十条は、会員に関する
規定の
準用についてでありまして、会員の加入及び脱退は自山といたしております。
第七十一条は、中央会の
定款の
記載事項についての
規定であります。
第七十二条は、規約の
規定事項について定めたものであります。
第七十三条は、中央会に、
役員として会長一人、理当五人以上及び二人以上を置くものとすることとしております。
第七十四条は、
役員の
職務についての
規定でありまして、会長は中央会を代表し、
理事は会長を補佐し、
監事は
業務及び
会計を監査するものとしております。
第七十四条は、
役員の
職務についての
規定であります。
第七十五条は、
役員である会長、
理事及び
監事について商法等の
規定の
準用について定めたものであります。
第七十六条は、中央会に学識経験のある者を顧問とし、重要
事項について助言を求めることができるようにしたものであります。
第七十七条は、総会についての
規定でありまして、通常総会は、毎
事業年度一回招集するものとしております。
第七十八条は、中央会の
設立について
規定したものでありまして、中央会を
設立するには、その会員になろうとする八以上の者(その過半数は組合であることを要します)が発起人となることを要するものとし、
設立には二十五以上の組合である会員があることを要するものといたしました。すなわち、中央会の会員には組合が常に主体性を持つように配慮いたした次第であります。
第七十九条は、創立総会についての
規定であります。
第八十条は、
設立の
認可について定めたものでありまして、発起人は、
定款、
事業計画、
役員の氏名等を記載した書面な行政庁に提出して
設立の
認可女受けるものといたしました。
第八十一条は、中央会
設立についての
準用関係を
規定したものであります。
第八十二条から第八十七条までの
規定は、
解散及び
清算についての
規定でありまして、中央会は、総会の決議、破産及び行政庁の命令によって解放するものとし、中央会が解放したときは、原則として会長が
清算人となることにしております。また、
清算事務の処理に関しましては、
民法等の必要な
規定を
準用いたしております。
第四章は、組合と中央会に関する
登記について
規定したものでありまして、第八十八条から第百二条までの
規定につきましては、
登記事項を明確に
規定したこと、
事務所の
所在地を管轄する法務局または地
方法務局等を管轄
登記所としたこと、
登記手続に必要な商業
登記法の
規定を
準用することにしたこと等がそのおもなるものであります。
第五章雑則、第百三条から第百十条までの
規定のうち、おもなるものは、行政庁は、組合または中央会の
業務または
会計につき報告の徴収または検査ができるものといたしましたこと、また、所管行政庁は、組合については主たる
事務所の
所在地を管轄する
都道府県知事とし、中央会については
建設大臣といたした次第でございます。
第六章
罰則、第百十一条から第百十五条までは、組合及び中央会の
役職員等に対し必要な
罰則規定を設けたところであります。
最後に
附則でありますが、第一条から第十一条までのおもな
内容は、まず、
施行期日につきましては、公布の日から起算して三カ月をこえない
範囲内において
政令で定める日から施行することとしております。
次に、
住宅金融公庫法、労働金庫法、
建設省設置法等の関係
法律に
所要の
改正を行なうこととしております。また、
登録税法、印紙税法、
所得税法及び
地方税法に
所要の
改正を行ない、税の減免についての
規定を整備いたしました。
以上、簡単ではございますが、
住宅協同組合法案について、逐条
説明を申し上げた次第であります。