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1965-05-11 第48回国会 参議院 建設委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年五月十一日(火曜日)    午前十一時四十二分開会     —————————————    委員異動  四月二十七日     辞任         補欠選任      高橋文五郎君     松野 孝一君  四月二十八日     辞任         補欠選任      松野 孝一君     高橋文五郎君  五月十日     辞任         補欠選任      大和 与一君     佐野 芳雄君  五月十一日     辞任         補欠選任      岸田 幸雄君     増原 恵吉君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         安田 敏雄君     理 事                 稲浦 鹿藏君                 川野 三暁君                 熊谷太三郎君                 瀬谷 英行君     委 員                 小山邦太郎君                 高橋文五郎君                 森田 タマ君                 佐野 芳雄君                 田中  一君                 田上 松衞君                 村上 義一君        発  議  者  田中  一君    国務大臣        建 設 大 臣  小山 長規君    政府委員        首都圏整備委員        会事務局長    小西 則良君        首都圏整備委員        会事務局計画第        一部長      吉川 伸一君        建設省住宅局長  尚   明君    事務局側        常任委員会専門        員        中島  博君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方住宅供給公社法案内閣提出、衆議院送  付) ○住宅協同組合法案田中一君外六名発議) ○首都圏整備法及び首都圏市街地開発区域整備法  の一部を改正する法律案内閣提出)     —————————————
  2. 安田敏雄

    委員長安田敏雄君) それでは、ただいまから建設委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨十日、大和与一君が委員辞任せられ、その補欠として佐野芳雄君が選任せられました。また、本日、岸田幸雄君が委員辞任せられ、その補欠として増原恵吉君が選任せられました。     —————————————
  3. 安田敏雄

    委員長安田敏雄君) それでは、地方住宅供給公社法案及び住宅協同組合法案を一括して議題といたします。  両案について、提案理由説明を聴取いたします。  まず、地方住宅供給公社法案説明を願います。小山建設大臣
  4. 小山長規

    国務大臣小山長規君) ただいま議題になりました地方住宅供給公社法案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。  御承知のように、政府は、社会開発の一環として住宅対策を重視し、昭和四十五年度までに「一世帯住宅」を実現して国民のすべてが健全な明るい往生活を営むことができるよう、民間自力建設住宅の促進をはかるとともに、政府施策住宅拡充強化をはかっております。  この施策実施にあたっては、賃貸住宅を希望する者には賃貸住宅が、持ち家住宅を希望する者には持ち家住宅が得られるようにすべきことはもちろんでありますが、最近の宅地価格高騰等により、住宅建設費が増大し、中堅階層勤労者にとっては、持ち家住宅取得が次第に困難となってまいりました。  したがって、持ち家住宅を希望するこれらの人たち住宅取得を容易にし、その生活に健全な目標を与えるため、住宅取得するための資金について国の援助を強化するとともに、これらの人たちにみずから資金積み立てを行なわせることを奨励する必要があります。  この法律案は、以上の観点から、住宅の不足の著しい地域において、住宅を必要とする勤労者に対し、住宅積み立て分譲等方法により居住環境の良好な集団住宅及びその用に供する宅地供給するため、地方住宅供給公社制度を創設しようとするものであります。  次に、その要旨を御説明申し上げます。  まず第一に、地方住宅供給公社の行なう業務としましては、持ち家住宅を希望する勤労者から積み立て金を受け入れ、一定額に達した者に住宅供給するほか、住宅及び利便施設建設賃貸その他の管理及び譲渡並びに宅地造成賃貸その他の管理及び譲渡等を行なわせることとしております。  第二に、この地方公社は、その目的業務の性格にかんがみ、都道府県または人口五十万以上の大都市出資し、建設大臣の認可を受けて設立する特別法人としております。なお、関係市町村もこれにあわせて出資することができることといたしました。  また、必要に応じ、二以上の都道府県または大都市が共同して設立することも認めることといたしました。  第三に、この地方公社は、建設大臣都道府県知事または市長が監督することとし、公社事業計画及び資金計画につきましては、事業公益性を確保し、経営健全化をはかるため、建設大臣都道府県知事または市長の承認を受けさせることといたしました。  第四に、この地方公社に対して土地収用権を認めるとともに、新住宅市街地開発事業事業主体となることができることとして、その宅地取得を容易にいたしました。  また、この地方公社に対して、国税、地方税を通じて税制上の優遇措置を講ずるとともに、この地方公社積み立て者にその積み立て額に応じて還元する金額についても非課税とすることといたしました。  なお、都道府県または大都市が設立した民法上の公益法人で、現に住宅供給に関する事業を行なっているものは、組織変更して地方住宅供給公社となることができることといたしました。  以上がこの法律案提案理由及びその要旨でありますか、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願いいたします。
  5. 安田敏雄

    委員長安田敏雄君) 次に、住宅協同組合法案説明を願います。発議者田中一君。
  6. 田中一

    田中一君 ただいま議題となりました住宅協同組合法案につきまして、提案理由並びに要旨を御説明申し上げます。  今日、経済高度成長は、中小企業倒産、諸物価の著しい騰貴等国民生活に大きなひずみを生じる原因を醸成いたしております。特に住宅問題につきましては、戦後二十年を経て一向に解消されないばかりでなく、高度成長政策に伴う人口大都市集中世帯細分化傾向のために、改善のきざしも見えずかえって深刻化しつつあるのが現状であります。勤労階級、ことに低所得者においては、数十倍にものぼる競争の激しい公営住宅公団住宅には入居する機会が乏しく、やむを得ず民間の粗悪狭小な木造アパート居住を余儀なくされております。  政府は、これらのひずみを是正するため、中期経済計画におきましては、住宅環境施設整備を推進することを第一の目標に掲げておりますが、現在の深刻な大都市問題や住宅問題を早急に解決するための具体的なしかも抜本的な政策は少しも明らかにされておりません。  いまや、地域住民勤労者はみずからの手で住宅難な解決しようとして、住宅組合法に基づく住宅組合、あるいは消費生活協同組合法に基づく住宅生活協同組合組織し、厚生年金還元資金労働金庫資金等を原資として、各地で活躍いたしております。  しかしながら、前者は大正十年に制定された法律でその後所要改正が行なわれたにもかかわらず、社会経済的背景が著しく変革したこと、又後者は生活に必要な消費物資購入販売を主たる目的としたもので、組合員に対する宅地住宅供給事業を行なうについては、実施面において幾多の障害に直面していること、並びにこれら地域住民勤労者の自主的な組織である住宅組合住宅生活協同組合に対して、政府は積極的な助成策を講じないことなどの理由から、これら組合の健全な発達が阻害されてきたのであります。しかしながら、最近とみに、地域住民勤労者の中から大都市問題や住宅問題を解決するために協同組合による住宅共給制度を確立することの要望が強くなってまいりました。  また、最近社会問題となりつつあるわが国の宅地事情を考えますと、地域住民勤労大衆が自主的な認識のもとに協同組合精神に基づく共同住宅建設を推進することは、土地の合理的な高度利用をはかる上にきわめて適切な方策と考えられるのであります。  いまや転換期を迎えつつある住宅対策として、公共賃貸住宅を大量に建設する一方、自主的でかつ協同組合精神に基づく組織による住宅供給制度を確立することは、国民住宅の将来の基礎を確立する上に緊要欠くべからざるものと考えます。  これが本法案を提出する理由であります。  以下その概要を申し上げます。  まず第一に、住宅協同組合は、法人といたしまして、都道府県区域地区として各一個設立されることとしました。組合は、原則として、その組合地区内に住所を有する組合員をもって構成されるものとし、組合への加入脱退は自由とし、組合へ加入するには出資一口以上を有しなければならないことになっております。なお、組合は、千人以上の組合員がなければ設立できないものとし、組合員はその出資口数にかかわらず、各一個の議決権及び選挙権を有することにいたしております。  第二に、組合の役員として、理事及び監事を置くこととし、総会において選出されるものとし、その任期は各二年以内といたしました。通常総会は、毎事業年度回招集しなければならないこととし、定款変更、毎事業年度収支予算及び事業計画の設定又は変更等重要事項総会議決を経なければならないこととしております。なお、組合は、総会にかわるべき総代会を設けることができることとし、組合業務執行理事会において決することとしております。  第三に、組合の行なう業務でありますが、住宅協同組合設立目的に従いまして、組合員のための住宅建設または取得住宅用地造成または取得組合員に対するこれらの住宅または住宅用地賃貸または譲渡組合員からの貯金の受け入れ、組合員のための住宅または住宅用地の売買、交換または賃貸の代理または媒介を行なうことをその主要な業務とすることとしております。  第四に、組合財務でありますが、毎事業年度収支予算総会議決を要するものとし、準備金繰り越し金及び剰余金の割り戻し等について所要の規定を設けまして、組合員利益を保全するためにその財務を適正に処理するための基準を明らかにいたしております。  第五に、都道府県知事は、組合に対し、その業務一般的状況に関する報告徴収業務または会計状況を検査できるものとするほか、所要命令をすることができることといたしまして、組合に関する行政の適正な処理をはかることができることとしております。  第六に、組合組織事業及び経営の指導並びに連絡、また組合に関する知識の普及及び情報の提供等を行なう団体として、各組合勤労者団体等会員とする住宅協同組合中央会全国を通じて一個設けることといたしました。会員加入脱退は自由とし、会員は各一個の議決権及び選挙権を有することとし、中央会定款の定めるところにより、会員に対し、経費を賦課することができることといたしました。なお、中央会に対しては、建設大臣が、報告徴収業務または会計状況を検査し、所要命令をすることができることとしております。  以上がこの法律案提案理由及びおもな内容であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成くださるようお願いいたします。
  7. 安田敏雄

    委員長安田敏雄君) 以上で提案理由説明は終わりました。  両案に対する質疑は後日に譲ります。     —————————————
  8. 安田敏雄

    委員長安田敏雄君) 次に、首都圏整備法及び首都圏市街地開発区域整備法の一部を改正する法律案議題といたします。  本案に対し御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  9. 田中一

    田中一君 前回の委員会委員長が出席しなかったので、きょうは、総括的なこの法律施行にあたるかまえ方を質問しておきたいと思うんです。これはむろん私の意見も入ります。したがって、これに対する御答弁を願いたいと思います。  大都市問題はもはや国民の強い関心の的になっておるのであります。ことに首都東京中心とする首都圏内の帰趨はどうなるのかということを非常に憂え、かつまた、このままうっちゃっておくならば将来ははかり知れない混乱が起こるんではなかろうかという心配多分に持っております。そのうちの一つとして、この第四条のイとして「近郊整備地帯内において工業市街地として整備することが適当な区域」というもの、それから、ロとして「工業都市として発展させることが適当な都市開発区域」というものを設定することになっておりますけれども、今日、現在の社会において、経済的にあるいは文化的にあらゆる面から考えてみますと、私はもはや生産に伴う宅地造成というものは一ぺんストップすることのほうが妥当な政策ではなかろうかというように考えるわけなんです。これは促進し、またはこれに対する助成をしようという形式になっておりますけれども、これはむろん条文の面から見また一般的な思想的な面から見た場合には、適地を利用することは今日非常に大事でありますから、一応前進の形を見せておりますけれども、今日の社会においてはたしてこれらの地域にいかなる炭業、いかなる生産をこの地において行なわせ得るであろうかということを考えますと、非常に危険を感ずる。これは御承知のように、池川内閣高度成長政策から引き続いて起こってまいりました今日の、これからもなお底知れない不景気という形でもってわれわれの目の前に社会不安がもたらされるかもわかりません。また、あるいは政府がよりよい政策をもって、そうして過当競争を押えて、ほんとうに計画的な、われわれの国民生活に必要な消費財生産ということが的確に行なわれるという方途をとるかもわかりません。   〔委員長退席理事瀬谷英行着席〕 その前提がない限り、自由経済に伴って、もうけるためにはいかなる手でも打とうという今日の産業界の中において、どういう方法をもってそれを正しい方向に向かわせようとするのか、非常に心配を感ずるものなんです。私は逆に、逆説として、一応これらの傾向をストップさせることのほうが、このひずみを直し、また安定した都市計画というものを——都市計画というか、首都圏整備計画というものを達成するにはストップさせたほうがよい時期ではなかろうかというふうにも私は考えておるのであります。考え方としてはこれは決して正しくないということは言えないのであります。しかし、これに見合っていかなる産業といかなる区分がその地域に行なわれるかということを考えますと、逆にとめたほうがいいのじゃないかというような気持ちもするわけですけれども、これに対する委員長としての御答弁を願いたいと思います。その見通しについて。
  10. 小山長規

    国務大臣小山長規君) この大都市問題解決のために、大都市周辺人口が集中するのを防ぐために、何か思い切った施策を講じたらどうかという意見は確かにあるのであります。そのために、直接の効果はありませんけれども、そのために新産都市とか開発都市とかいうふうな構想を立てておるわけなんでありますが、しかし、一面、東京とか大阪というところは、自由経済のたてまえをとっております限り、やはり一つ吸引力を持っておることはこれまた否定できません。どうしても都会地に進出したほうが利益があるとかいうような意味吸引力があることは、これは査定できないのであります。  そこで、さてそれを、それでは何か政治の力でとめることができるかとなりますと、自由経済のたてまえをとっておる限り、それはいたずらな混乱を来たすだけじゃないか、こういうふうに思われます。   〔理事瀬谷英行退席委員長着席〕 そこで、誘導政策として、一方においては低開発地域の法制を備え、あるいは新産都市法律制度を設けて、自由企業がそちらのほうに行ったほうが得ですよ、得になりますよ、というかまえをしておるのでありますが、なお、交通の問題あるいは市場の問題などがありまして、一挙にそこまでいきませんけれども、ものの考え方としては、やはり過密地帯人口の集中するのを抑制することが必要であるという前提で、低開発地域あるいは新産都市あるいは開発都市というような制度をつくっておるのであります。さればといって、それではそれを何か行政的なあるいは政策的な方法でとめようとしましても、なかなか自由経済のもとにおいてはとまりません。これが実態でありますが、それをそのままほうっておきますというと、いまみたいにグリーン・ベルトが蚕食されましたような形でいわゆるスプロール現象が起こってくる。ますます混乱を重ねるだけでありますから、そこでまあ必要悪といいますか、ことばは妥当でないかもしれませんけれども、ともかく集まってくる人口を何とかして整理する必要があるのではないだろうかということで、こういったような整備地域とか開発計画というものをつくりまして、そして入ってくるものはこういった整然とした形でひとつ入ってきてもらいたい、こういうかまえをせざるを得ない。これが現実であります。おっしゃるように、何か非常に強い力で都市流入を防いで、しかも、それに混乱が起こらないということであれば別でありますが、いまの制度をとります限り、強い権力を用いれば必ず混乱が起こることは必定でありますから、そこで、過密の弊害はわかっておるのでありますけれども、万やむを得ずこういったような入ってくるものを整然と受け入れる態勢だけでもつくっておこう、こういう考え方で今度の改正案を出した、こういうわけであります。
  11. 田中一

    田中一君 自由経済というものを、大臣はどういうこれは——あなた財界人であり金融人であり、私どもが何にも知らぬ一つのものをお持ちになっておると思いますが、自由経済だからこうだああだということは政治の圏外なんです。自由経済というのは。自由経済はどこまでも自由経済なんです。しかし都市問題というのは、社会主義政策以外には完成できないんです。自由経済の中におきましても、いわゆる計画経済的な政策が持たれなければ、これは自由経済に負けてくるのです。いわゆる資本に負けてくるのです。要求に倒されてくるということです。もう非常に保守系都市問題の学者にいたしましても、どうしても社会生産というもの、計画経済というものをこの地域に及ぼさなければ都市問題は解決されないと言うのです。なるほど、せんだっての新聞を見ると、ドブネズミが、ビニールか何かの管のまわりを切って座敷に上がってきて子供を食い殺したという記事が出ておりました。そのかわり一面、なぜドブネズミか、あるいは屋内のネズミが繁殖するかというと、食糧があるから、食い物があるからですね。当然生存ということを考えますと、非常にドブネズミ的な人口増というものをまず最初に是正しなければならぬと思うのです。これにはかつてこの法律の中におきましても、いわゆる既成市街地開発区域既開発区域工場学校等人口流入、これをとめようとした政策をとっております。しかし今度は、かりに近郊整備地域にこうして集団的な人口集中化をはかろうというかまえ方は、自由経済の立場でものを考えた場合には、これは全然同じ結果をもたらすのです。二十三区並びに近郊三つか四つの市を中心とする既開発区域現状と同じことになるという危険を多分に感ずるわけなんです。ましてや、今日の段階において一体何をつくらすのか。かつて工場学校等首都圏既成市街地からシャットアウトしよう、これ以上ふやすまいとする政策をとった。社会増というものを推定して、これ以上ふやさないのだという政策をとった。しかし、その区域内における消費物資というものをつくって供給するという、それと同じような考え方を今度は五十キロ内、百キロ内に延ばした首都圏内において科学的な——自由経済という考え方を放てきして科学的な地域社会需要供給という問題を考えないと、同じことになる。したがって、ここに工業都市としての建設を行なおうとすることは、どういう生産物をどうつくるかということになるのか、いわゆる産業構造というものは、この地域内においてどういうものを持ってこようとするのか、という大きな計画がないとこれは困るのです。たとえば全国的に配給すべきものはもっと適地があるはずでございます。しかしながら、労働源とかあるいは電力、交通、その他熱源とかいうものを考え、あるいは水利源というものを考えて、やはり集中して大消費地に近いところにものを持ってこようとする形で、これは決してその消費地だけの限定されたものでなくて、日本全国に対する、一億の国民に対する消費財をつくろうというふうにならざるを得ないと思うのです。自由経済の面から考えますと。私はこれは非常に危険を感ずるのです。ことにいま——せんだってのあなたの欠席した委員会でも言ってあるのです。今日の産業界というものは、どの産業を見ても株価が上がっておるものはございません。みんな落ちております。そうして先行投資がむだになっておる。先行投資によるところの過当競争が行なわれ、会社がつぶれておる。失業者が町にあふれるという現象がぽつぽつ見えております。その時期に、構想としてはこれは認められても、委員長としては、これを実施するにあたってのやはりその時代、その年代、その地域の緩急というものはおのずからあるわけでありますから、これをどういうぐあいに調整していこうとするのか。ただ自由経済だからどうにもなりません、ということじゃ困るのです。こういう場合には、とめたっていいと思うのです。実際。現在あるところの生産工場においてこれこれのものを生産し、これこれはふえておるから、これはむだな生産であるからこれはやめろというくらいな強いものがなくては、同じような混乱が生まれてくることを心配するわけなんです。まあ都市問題というものは、私が一がいに、一つの面からそれでいいのだというのじゃございません。そこには流動性がございます。ただこの法律にこういうものを掲げて、こういう地域指定してもらいたいということになって、そうしてやった。ところが、その土地も売れない、工場も来ないということは現在でもあるのです。新産都市構想というものは、それはわれわれの同僚のその地域から出ている議員は、そういうものはこっちに持ってきてくれといってやっておりますが、結果はどうか。結果は過当な設備によるコストダウンじゃなくて倒産になっておるのですよ、今日。政治は動きます。したがって、決してこのような行為が全面的に悪いという否定はできません。しかし現段階においては、ただ単にこの法律をつくり、あらゆる助成策をもって各地域競争させるという形になるのじゃなかろうか。おそらくこの指定をしてくれという陳情が、東京都を中心とする百キロ内の各都市から続々として申請が来ると思うのです。この際に建設大臣は、この指定にあたってどういう態度をとるか、これを一ぺん伺っておきたいと思います。
  12. 小山長規

    国務大臣小山長規君) 先ほどの話は少し舌足らずであったようであります。いま田中さんがおっしゃる意味は、この整備地域内に、かりに誘導すべき産業あるいは禁止すべき産業というものを考えたらどうか、こういうお話のようであります。その点は、やはり考えておかなきゃならぬ点でありまして、われわれのいまの構想では、いわば東京とか大阪というような工場制限地域から出てもらいたい、あるいはそこで工場を拡張してもらっちゃ困るという制限をしておるわけでありますが、それらの人たちが出ていく場所は、開発地域と考えておるわけであります。それから整備地域内においては、この大都市消費につながるようなもの、たとえば印刷業というようなものがあると思いますが、そういったような消費につながるものということも、大体予定はしておるわけです。しかし、そうかといって、それじゃ重工業を禁止しているのかというと、そこまでこの法律は予定していないのです。いま田中さんのおっしゃるのは、そういうある種の工場は禁止する規定を設けたらどうか、こういう趣旨であろうかと思いますが、その辺のところが、まだ決断をしかねる点なんであります。と申しますのは、たとえば整備地帯の中で活動ができて、しかも、いわゆる東京とか大阪とかいうようなところの過密問題には影響はない。つまりそこから中心街に人が通ってくるわけじゃない。逆に中心街から外へ出てそこで働くんだという場合には、あえて禁止する必要があるだろうかという点が、まだ判断しかねておるところなんであります。いまおっしゃるのは、おそらく、むしろそこでは禁止規定を設ければ、開発都市というような遠いところに行ったり、あるいは新産都市に行ったりするじゃないかという御趣旨のようでありますけれども、そこまでの決断もしかねておる、こういう現状であります。
  13. 田中一

    田中一君 私、かつてイギリスのスチーブニジ・ニュータウンへ行ってみたんです。一番大きくいま反省されておるのは、政策生産工湯を中心と考える都市計画はだめだということなんですね。まず第一に、率直に言って、今日あそこで何か原子関係の三千人の労働者がいる。工場中心に考えるのでありますが、これは政治的に、常に政策的に変わっている。それが一つ。それから居住者は、ベッドタウンじゃないのですから、そこからその地域以外に通勤することを認めないのです。ために就職した場合には、そこの町から放逐されるわけです。ということ。少なくとも、その地域社会は過当な競争もなければ、平和な社会がつくられる。で、首都圏の場合は、首都圏という一つ中心がある。マンモス消費地区がある。そのまわりに近郊整備地帯として、むろんこれは工場 私は工場をいま中心において言っているんですが、工場というものをつくる。これはその付帯するところの住宅の問題、道路の問題、その工場経営に対する熱の問題、水の問題、いろいろの問題がある。そういうもので、それが常に整備地域をきめても、自由経済という名のもとにおいては、民有地を買収してそれがふえていくことについても、何も制限いたしません。景気がよければ企業者はどんどん資本も増し、また投資家も生まれ、そうして企業は伸びていく、ということでは、ほんとうの首都圏としての整備ができないんではないか。もっと根本的な日本の産業自体を見守りながら、日本の生産というものと消費というもののバランスを的確に握りながら、その地帯にはこれこれのものを幾ら生産されたらよしということにならなければ、同じような苦しみを、ドブネズミのような存在がどうしても生まれてくるということなんです。これに対する態度が明らかにならぬと、非常に危険を感ずるわけです。将来に対して。ことにこれが、地方公共団体が主として行なう、あるいは住宅公団が行なう、工場造成宅地造成にいたしましても、造成する者の意思そのものと、それから地方におけるその地域の行政面の発言等も、これはやはり一種の指定陳情競争的なものになってきて、過当なものが要求されている。また、政治的にも認めざるを得ないというのが、地域社会に対する政府の選挙対策でもあるわけです。そうなったんでは、とうていこれは百キロ内の大都市という、世界連邦の首都が東京にあるということにならざるを得ないような規模のものになるおそれが多分にあると思うのです。これは何です。その整備委員会委員長としての小山さんは、相当それらのものを、エキスパートでありますから考えておられると思う。そういう危険を感じながらも、現時点においてこの法律が通った暁にどういう現象が起きるかということを考える場合に、私は逆にとめておくほうがいいのではないかという気がするのです。新しい投資が生まれる、これは自転車操業的な投資が生まれた場合には、つぶれちゃいますよ。ばたばたつぶれちゃう、こういう点をいまここであなたから、的確にこれならいいんだということは、今後の問題とし、御答弁をもらわぬでもいいですが、この点は十分に考えてもらわなければ非常に危険を感ずるが、的確にこの問題について、学者でもないから、こうではなかろうかということでもってむずかしい。ことに、いまあなたおっしゃったように、自由経済社会でございますという前提では、とうていこれは実現は不可能であると考えるのです。これは答弁はなくてもけっこうです。これはその点十分考えていただきたいということ。  それから、第二の問題としては、これもせんだって伺っておいたのですが、グリーンベルトの問題です。小西局長は飛行機に乗ってグリーンベルトを見ると、まだ相当緑はございます。と言っている。しかしながら、それは六〇%は蚕食されている。まだ相当ございます。私は撤回なさいと言ったのです。グリーンベルトという思想は撤回なさい。これはかつての大臣の河野さんは、これは再検討しつつございますと、東京都の場合には東京部において再検討しつつございます。政府としてもこれに対してはいろいろ手を打っております、という答弁をしておりますが、グリーンベルトとしてのこの一つのワクが、もはや消滅したと同然なんです。今日。ましてや、五十キロから百キロになると、そうすると、これは撤回なさい、東京都の場合を考えて。そして思想的にもあるいは行政的にも——思想的というと何かというと、この東京砂漠に緑の地帯をたくさん造成なさい。何もグリーンベルトという一つの線を引かないでもけっこうです。至るところに緑の林をつくりなさい。日光の太郎杉の問題につきましても、あなたは、いろいろ経済的に、あるいは切ったらいいのではないかと結論づけるような考え方をこの前も言っておりましたけれども、思想的に緑をふやすという考え方政府自身が持つ、そして行政的に今度はそれを実行することというのを私は要求したいのです。おそらく、ヘリコプターでゆっくりとこの東京近郊を飛んで見ますと、あらゆる所が緑が切られ、赤土になっている所がたくさんでございます。ただ単に、鎌倉の文化人等があそこを守ろうじゃないかというような運動は、これは政府の恥です。日本の民族の恥なのです。その姿勢を今度は積極的に緑を植える、緑化するという、都心においても緑化するのだという方向を強く打ち出さなければならないと思うのです。後手に回ったあと始末としての、たとえば隅田川の廃水のろ過の問題等は、これは後手の問題です。上流にそれらの緑を植えて、積極的な姿勢でもってやらなければならないと思うのです。どうも私権というものを、御承知のように、もうこれは十五年前になりますか、あのグリーンベルトをつくったのは、二十四、五年ごろと記憶しておりますが…。
  14. 吉川伸一

    政府委員(吉川伸一君) 二十三年か四年でございます。
  15. 田中一

    田中一君 そうですか。それを私権を制限しながら行政管理庁自身が、自分がグリーンベルトの地域を破って施設をつくっている、これはもう堂々と。それに自由経済が入り込んできまして、これは半分以上のグリーンベルトは侵されているのです。これは小西局長がせんだってはっきりと答弁をしておりましたから、それならもう一切を廃止をする計画というか、新しい観点から公共用地、これを全部緑化なさい、やたらに土地を売ったりなんかしておりますから、たとえば二十ヘクタールの小さな公共空地があったとしたら、それを全部緑化しなさい。都市公園法によるむずかしい問題は言わないで、まずその場に木を移植して緑のオアシスをつくる。点でけっこうです。点だけでもそれをうんとおつくりなさい。このほうが当然いましなければならないことだと思うのです。私はいま伺うのは、グリーンベルトを廃止しなさい。一日も早く廃止しなさい。しかし、それには、ただ廃止してはいけません。もし廃止する場合には、この地点をどうしても緑化しておかなければならないという場合には買収しなさい。買うのですよ。私権の制限を全部を解除して、その分は買いましよう、時価で買収いたしましょうといって買いなさい。その地点、それを緑地帯として保存していただきたい。同時にまた公共用地等が転在しております。これをやたらに売らないで、これを全部緑化する方向に努力することが、もうほんとうの唯一の当面の施策でなければならぬと思う。それには思想的な背景と、それによるところの具体的な行政面の行動を要求したいと思うのです。これについてひとつ大臣のお考えをお聞かせください。
  16. 小山長規

    国務大臣小山長規君) これだけの大都会にこれだけの人間が集まろうといたしますと、どうしても緑が必要であるし、また住民もほしくなるわけです。そういう意味では、私権を制限してでもやれば緑は残せるでありましょうけれども、いまの社会情勢では、私権をただ制限しただけではだめだったという歴史がありまして、すでに明らかになっているわけでありますから、今後の緑化政策ということになりますと、どうしてもまず公共用地を使う、あるいは私有地を買い上げて残すとか、そういうようなこと以外に方法がないわけでございます。この点よくわかっておりながら、なかなかうまく従来いかなかったのでありますが、だんだん世の中の認識もそうなっておりますし、財政当局もだんだんそういう方向に賛同するような社会的な空気もできたと思っております。ですからそういう方向に、今後は計画を立てましたならば、そういう場合はできるだけ買っていく、こういう方向で計画を遂行していきたい、こう思っております。
  17. 田中一

    田中一君 もう一つ伺っておきますが、首都圏内の地価の問題でございます。土地価の問題です。これは政府には、土地法律はないわけなんです。土地法律というのは、御承知のように、民法上財産だという、財産権的な存在があるにすぎません。私は、この問題についてはずいぶん長い間、五年も六年もかかって一生懸命考え、研究しておりますけれども、これもあなたのおっしゃる自由経済社会においてはという前提が立つものですから、なかなか困難なわけなんです。これは少なくとも自由経済社会におきましても、こうして首都圏並びに近畿圏という二つの大きな地域地域社会整備というものを考えた場合には、当然根本的にこれをその地域だけでも考えなければならぬと思うんです。いたずらに開発ということばを使っちゃいかぬということです。そこには必ず利潤というものが推定されなければ開発しないものなんです。おそらくここにあるところのこの地域開発の問題にいたしましても、近郊における工場開発にいたしましても、これはみな想定する利益というものを考えながら開発するはずであります。決してそれが地域社会のために、日本民族の安定のためにという考えじゃございません。これはかって平塚の工業団地をつくった。今日の公団法の政令では、原価主義というものが用いられておって、買収、整備造成の原価でもって売却する、これが時価主義に変わりました。これを私はずいぶん予算委員会でもってかつて食いついたものでありますけれども、これも今日はもう時価主義になっております。時価主義という考え方は、公共企業体における宅地造成にいたしましても、やはり遠くに利潤というものを、しいていえば不当な利潤というものを描きながらその事業を遂行するわけなんです。したがって、今日の地価の問題から見ましても、大きな資本投下が必要な工場団地等は、まず中止をするということが当面の問題ではなかろうかということを私考えているわけです。当面の問題ですよ、恒久の問題じゃございませんよ。したがって、これらに対する土地価の問題ですね、土地価の問題はどう考えておられるか。まさか小山さんがこうしたものをつくって、そこであなたが土地を買ってしまおうというような考え方は毛頭ないと思います。宮崎県下でも。これはやはりだれかが何かの目的を持ってこれをやろうということになるわけなんです。あなたがおそらく首都圏委員長として就任以来、何回この首都圏内をヘリコプターでお回りになったか知りませすが、この法律が両院を通る前にひとつどうかヘリコプターで、これはゆっくり飛びますからいいです。とっくりと五時間でも、三時間でもいいですから飛んで見ていただきたいと思います。そうして妥当な土地の価格というものを発見していただきたいと思うんです。地上じゃわかりません、やはり飛んで見なきゃ。小山さん、何回委員長として首都圏の中をヘリコプターで御視察なさいましたか。
  18. 小山長規

    国務大臣小山長規君) まだ残念ながらその経験はないのであります。ただ、いまおっしゃった土地価の問題は、これは内閣としても、建設省としても真剣に取り組んでおりますことは御承知と思いますが、いま特に、その新しい市街地を開発する大団地の場合に、現在の土地収用法では十分な成果があがらない、こう考えましたので、市街地開発法という新しい手法による還元譲渡制度を考えまして、いま提案の準備をしておるところなんでありますが、これは何とかして、あと一週間そこそこでありますけれども、早く結論を出してもらいたいということで、いま法制局あるいは法務省と詰めておる最中であります。この内容は、おそらくもうお聞きでありましょうから、詳しく申し上げませんが、要するに、いまの収用法によりまして、裁決のときの時価となっておりますのが、いわゆる市価をつり上げている大きな原因でありますから、計画が立って工事をした場合のその時点における時価ということで土地の価格をきめていこうというのが大きなねらいであります。それで、今後の収用法の問題も、そういうものの考え方でやれないかということで、いま検討を命じておるわけでありますが、幸いに、いま申し上げました新市街地開発法というような法律が国会の御承認を得られるようなことであれば、それをもとにしまして、収用法のほうも時価であることは、これはやむを得ませんと思いますけれども、時価の時点、いつの時価であるかという、なるたけ早いところでつまり時価を押えませんと、いろんな思惑が入ってくる余地がありますから、思惑を防ぐ意味でも早い時点における時価で公共用地の取得については特別な措置を講じたい、こういう考え方で、いま事務当局を督励していろ最中なんであります。これは早晩その結論が出ると思います。そういうことで時価問題は非常にむずかしい問題でありますけれども、一歩一歩ひとつこれを片づけていくという考え方で進んでおりますことを御了承願いたいと思います。
  19. 田中一

    田中一君 大臣も一ぺんも飛んでないということでは、当委員会でヘリコプターを二台か三台建設省で出していただいて、われわれ全部この法律案の採決をする前に見たいと思うのです。これはぜひ委員長、ひとつ考えていただきたいと思います。ぜひ見たい。不幸にして、あるいは幸いにして、会期が延長になれば十分時間がございますから、われわれはどうしてもこのアウトラインだけでも飛行機の上からその実態を見たいと思う。その際にはぜひ大臣にも同乗していただいて、これはひとつ質疑の途中でありますけれども、委員長にお願いしておきます。理事会もひとつ考えていただきたいと思います。これは小山さん、やはり飛ばなくちゃいけませんよ。冗談じゃありませんよ。小西君だってそうです。来てまだ何年もたつわけじゃない。机上のプランではならないものなんです。全体計画は統計というものがあります。しかし、地域社会というものは常に大きく条件が流動しております。これはとてもそれはいけません。いま都市開発の問題をお話がありましたけれども、私はそういう問題はやめろと言いたいのです。この際はやめなさい。一ぺん国全体の国土計画という面から見ても手直し的に、政策的に、政略的に、選挙対策的に何か景気がよくなるんではなかろうか、何か利益があるんではなかろうかというような気分を地域にもたらして、そして結論は、何か格差はますます激しくなる、金持ちはますます金持ちになる、貧乏人はますます貧乏人になるということにならざるを得ないわけですよ。私はこの際、全体の姿勢を直すために、開発をストップさせるということを言いたいのです。そうして日本の産業構造、日本の消費生活、日本のあらゆる生産というものを検討すべき時期、これは決して自由経済だから産業界、金融資本にまかしておけばいいという段階じゃいまございません。一方、いわゆる千五百億もするような農地報償制度なんというものをつくって、全く国民はこのままで行ったならばだれに何を期待していいかということで、その混迷というものはおそろしいものです。一方においては、ベトナム戦争に対して、爆撃に対してはこれを支持し、アジアの平和を乱そうという加担者になって、共犯者になって、うちにおいては理不尽な資金を放出しているという現状から見た場合には、非常に心配です。したがって、どうしても小山さん、一緒にヘリコプターで首都圏を見ましょう。一緒に見ましょう。これは数字や絵ではわからないんです。乗って見ればははあってわかるんです。政府からそういう費用が出なければ、これは委員長、何から参議院のほうに言って、これは自衛隊はそのためにあるのですから、自衛隊の総監部にでも貸してもらえばいいんです。二台も貸してもらえば、整備はいいし、一ぺん乗ればいいんですから、これはひとつ計画してください。その上で、私は今度逓信委員会に移るそうですから、そうすると委員外発言としてこちらに来て総括的な御意見を伺ってこの採決に——採決はできませんけれども、意見を述べたいと思いますから、この辺で総括的な最後の質問を終っておきます。
  20. 安田敏雄

    委員長安田敏雄君) 田中委員にお答えしますが、ヘリコプター要求の件については、後ほど理事会でよく相談して御期待に沿えるように努力したいと思います。  他に御発言もないようでございますから、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  21. 安田敏雄

    委員長安田敏雄君) 御異議ないと認めます。  本案の討論採決は次回に譲ります。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十七分散会      —————・—————