○
田中一君 それは、経済的に使いものにならぬところが残っているのであって、経済的に有利な
地帯は、全部いま君が言っているように蚕食されているはずだと思うのですよ。
目的は何か。
グリーン・
ベルトをつくった
目的は何かというと、
終戦後の将来の
過大化を防止するための措置であって、それが一万八千ヘクタールから半分に減り、半分が一体実情はどのくらいになっておりますか。経済的な価値のないところは、いつまでいったって
開発——開発というか、そのまま残されるのはあたりまえのことなんですよ、この
自由経済の世の中じゃね。だから、私いまでは一これ建設大臣来たら聞きますけれども、もう
緑地地帯、
グリーン・
ベルトという
構想は捨てているのじゃないですか。私は、
首都圏の
皆さん方に、これだけ広範になって
行政区域の問題を
一つ一つ取り上げて
質問するのは非常に酷だと思うから聞きかねる点がたくさんあるのですけれども、しかし、実際にあなた方が、こういう
青写真を持ち出して、これを実際四十年度
予算の上においてやるのでございます、これを実行するのでございます、ということを言われてくると、やはりそれに対する
質疑をしなきゃならなくなってくるわけなんですよ。で、ことに言いたいのは、
首都圏がこのように
各省に、
各省の
行政部門に分かれている
予算をここに拾い上げて、魂ありませんよ。魂も、意思もなけりゃ何もないですよ。ただ拾い上げているのですよ。それが正しいか、正しくないかは、これは論外です。ただ、
数字を拾い上げて、これを
説明されて、われわれはその
数字によって
首都圏の
青写真を頭に描いているわけなんです。だから、ぼくはあまりこまかい問題についての
質問は酷だと言うんですけれども、このままの形でもって各
行政部門ごとに、
権限の違う
地方公共団体等がそれぞれ行なおうとしている意図というものは、その
区域だけのことをするにとどまるのであって、決して
埼玉県は茨城県のことまで考えておらぬわけです。
埼玉県は
埼玉県の
方針で進んでおります。それを調整するのは
首都圏の役目であろうと思うのですが、
首都圏そのものが
予算に対するチェックをするというような権能がない限り、これはもういまのような魂の入らない
数字の羅列になってくるわけなんですよ。これじゃ、
首都圏というものは
ほんとうに国民のための、その
地域住民のための
プランということにならなくなってくるんですよ。これは
首都圏という全体を言っているんです。だから、こいつはまあまあおやんなさいよと言って済ませれば一番いいんです、おやんなさいよと。どうなるかしらぬ、まあまあひとつの試みだ、実際としてやるならやってごらんなさいということにならざるを得ないのですよ。私は、まあ
近畿圏の
——近畿圏という
一つの大きな
行政面の
構想がこの国会の当初に提案されるんではなかろうかというようなことを期待しておったのですが、これはまあ
東京都はじめ各
——自治省がおそらく反対したんでしょう、これは実現しなかった。ということになると、はなはだどうも
質問をするのに、のれんに
腕押しのような形でもって答えがないわけなんですよ。
近畿圏整備法の出るときにも、これも同じことですから、ずいぶんしつこく聞いております。また、衆議院におけるところの
審議を見ても、各
委員は
自分の選挙区の問題については、
近畿圏という全体のことよりもその
部門に対してだけは猛烈な
質問をして、これはしてくれなくちゃ困る、こういうようなことを言って
質疑をかわしているのを
議事録で見ております。幸い参議院の
建設委員会では、そうした個人的なプレーがないから全体の問題に対して私がこういう
質問をするわけなんですけれども、何かこれは方法を考えなければ、一体どんなものができ上がるのか、だれもこれを的確に把握するものはないと思うんです。この間も言っているように、専任の
担当国務大臣などができて、これが
内閣がどう変わろうと、これに取っ組んで十年でも十五年でも
ほんとうにこの
完成を目ざしていくというような、あらゆる
権限を持つ部署ができなければ、これは
完成するものじゃないです。また、われわれはそれを望んでおるんです。まあ、ぼくばかり
自分の意見を言ったんじゃ困るけれども、
人口問題をどう考えているかということですね。私は、厚生省が三十八年に発表した
人口問題研究所の
統計を拝見しました。これは、大体
昭和七十四年ごろには
人口増の
ピークになるだろうと、現在の
社会保障制度、
医療関係その他の、全部
社会保障制度というものをファクターとして考えてみると、大体その辺が
ピークなんです。
あとは漸減するんじゃなかろうかというような
統計を発表しております。私は、各
産業構造の
配置あるいは
増減等を考慮する
行政というものを考えるならば、この
人口問題というものを考えずには、
首都圏なんということも考えられないんですよ。これは人間が
配置するんです。そしてその時期には
労働人口というものが極減するんです。幼児の
死亡率、老齢の
死亡率というものは減ってきて、
労働人口というものはうんと減ってくるんです。その場合、一体どうするかということも、
首都圏としては考えなければなるぬと思うんですよ。
近畿圏がやたらに開発すればいいというものではない。
近畿圏にしても、
首都圏にしても、まあ
首都圏の場合は
近畿圏と違って
後進地域が入っていませんからまだいいと思いますけれども、
人口の推移とか
産業の再
配置とかいう問題以前の
労働人口というものをどう把握しているかということです。主として
東京都の
既成市街地にある八百万からの
人口というものは、これは
生産者以外の者のほうが多いんではないかと思うんです。
生産人口じゃないと思うんです。これを考えますと、そういう根本的な
首都圏における十年、二十年
あとの
青写真を
——まあ五十年でもいいです、
青写真というものが想定されて、的確な
配置の
プランがなくちゃならぬと思うんです。かつては五十キロ円の中が
首都圏であると言った。今日ではもはや百キロを目途として考える。あるいは今日の
自由経済の
社会において、
工業団地に対してこういう
工場が誘致されているというけれども、これはもうかるであろうという想定のもとに入ってくる
人たちなんです。もうからなければすぐにつぶれていくんです。また、
一つの大
企業の下に
下請企業というものが付随してきているという現象であって、
工場団地の
造成についても、この表だけではどうもはっきりしないんですがね。私は、いまいろいろ申し上げたいことがたくさんあるんだけれども、この
工業団地の中の四百六十七
工場というものは、これは
資本金別、あるいは
資本金五十億以上の
会社が幾つあるか、百億以上の
会社が幾つあるか、それからこまかくいえば一億円以下あるいは一千万以下の
工場がどのくらいあるかということが的確にならぬと、これはもうわれわれは何にも頭に描けない。ただ
造成された
工場団地に対して、これだけ残っているが少ししかございませんという
説明をしたいんだと思うけれども、私は、いま
土地を買ったって一千坪の
土地に百坪の
工場だけつくって
あと遊ばせておくという
工場もあるんです。これは
先行投資でなくて宇地の値上がりを待っている。何年かたてば必ずこれが解除される時期がくる。こういう
工場団地の、
住宅公団等がやっているものは最高二年だと思ったが、一年内に
工場を建てろ、三年か五年……、一年たてばもう売ってもよろしいとなっていくんだから、これはいい投資物だ。これも結局仮の需要であり、仮の充足であるわけなんですね。だから、それなら問題を
法律上かちっと押えることができるかどうかという問題、せめて
——資金の面で押えられない
首都圏整備委員会だから、そうした意味の規制という立場でもって、もっと強い意思が織り込まれるものがなくちゃならぬと思うんです。私は、まああまりしゃべってもしょうがないから、この
法律案について二、三伺っておきますが、この
法律の二二ページの「低開発地域
工業開発促進法第五条の規定」という点でありますが、このうちの
——いま言ったのは
あとに回します。
七ページの近郊
整備地帯の
指定ですがね、いままでは関係市町村が、こういう問題を
最後的に
指定の申請をした。今度これが関係都県知事に変わるわけですね。これはどういうところから来ているのですか。むろん、これには関係市町村の意見を聞かなければならないということになっておりますけれども、これはどういう意図から、市町村というものを排除して知事の
権限にまかしたかということです。これは前進であるという考え方なのか、あるいは実際の実情がこのような悪い事例があるからこうするのだということがあるならば、それを
説明していただきたい。