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1965-04-27 第48回国会 参議院 建設委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年四月二十七日(火曜日)    午前十一時二分開会     —————————————    委員異動  四月十四日     辞任         補欠選任      塩見 俊二君     田中 清一君      古池 信三君     増原 恵吉君      北口 龍徳君     村上 春藏君  四月二十日     辞任         補欠選任      田上 松衞君     向井 長年君  四月二十一日     辞任         補欠選任                 高橋文五郎君      向井 長年君     田上 松衞君  四月二十二日     辞任         補欠選任      高橋文五郎君     河野 謙三君  四月二十四日     辞任         補欠選任      河野 謙三君     高橋文五郎君  四月二十六日     辞任         補欠選任      増原 恵吉君     小林 英三君      村上 春藏君     岸田 幸雄君     —————————————   出席者は左のとおり。     理 事                 稲浦 鹿藏君                 川野 三暁君                 熊谷太三郎君                 瀬谷 英行君     委 員                 小山邦太郎君                 高橋文五郎君                 田中  一君                 白木義一郎君                 田上 松衞君                 村上 義一君    政府委員        首都圏整備委員        会事務局長    小西 則良君        首都圏整備委員        会事務局第一部        長        吉田 伸一君        首都圏整備委員        会事務局第二部        長        富田 龍彦君    事務局側        常任委員会専門        員        中島  博君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○首都圏整備法及び首都圏市街地開発区域整備法  の一部を改正する法律案内閣提出)     —————————————   〔理事瀬谷英行委員長席に着く〕
  2. 瀬谷英行

    理事瀬谷英行君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告をいたします。  去る十四日、塩見俊二君、古池信三君及び北口龍徳君が委員辞任され、その補欠として田中清一君、増原恵吉君及び村上春藏君がそれぞれ選任され、また、昨二十六日、増原恵吉君及び村上春藏君が委員辞任され、その補欠として小林英三君及び岸田幸雄君がそれぞれ選任されました。     —————————————
  3. 瀬谷英行

    理事瀬谷英行君) さきに高橋進太郎君の議員退職に伴い一名欠員となっておりました本委員会委員に、今般新たに高橋文五郎君が選任されました。御紹介いたします。(拍手)     —————————————
  4. 瀬谷英行

    理事瀬谷英行君) 首都圏整備法及び首都圏市街地開発区域整備法の一部を改正する法律案を議題といたします。  前回に引き続き質疑を行ないます。御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  5. 田中一

    田中一君 提出された資料について説明を願います。
  6. 小西則良

    政府委員小西則良君) この前の委員会で御要求いただきました首都圏整備に関する四十年度の事業費提出したわけでございますが、順序を追って大体御説明申し上げます。  一ページ目は、義務教育施設整備事業でございますが、全体の予算としてはここに示した数字のとおりでございますけれども、各県の予算といたしましては、整備をやる施設面積はわかっておりますけれども、まだ予算的にははっきり固まっていないということでございます。  それから公共住宅整備事業でございますが、これも各県に対しまして戸数はきまっておりますけれども、予算的にははっきりまだ固まっていない、こういうことでございます。  それから三番目の公共空地整備事業でございますが、国営公園につきましては、ここに一億四千万円ということで、それから補助につきましては四千七百二十万円、これは一応国営公園補助事業ということできまっておりますが、既成市街地市街地開発区域の各地区ごとにはまだ予算がはっきりいたしておらないのでございます。  それから道路整備事業でございますが、一般道路、これが国道直轄改修費国道改修費補助となっておりますが、これは、在来の一級国道と二級国道との区別でこういうことになっておりますが、そこに、直轄改修費といたしては、主要なものを事業内容に書いております。それから国道改修費補助につきましても、着工いたします線につきましては、そこにあげておるわけでございます。それから地方道改修費補助、これはまだ路線ごとにはっきりしておらないのでございますが、路線としては五十三路線、それから街路事業街路事業も個所的にははっきりあれしておりませんけれども、号線といたしましては、ここに書いてあるとおりな決定を見ておるのでございます。それから土地区画整理事業補助というのも、この三十七個所という予算をここにあげておるのでございます。  それから有料道路といたしましては、日本道路公団のやります東名と中央道路その他京浜、京葉、これらを合わせまして四百五十六億二千七百万円という数字になっております。首都高速道路公団におきましては、これはまあ首都圏内だけの問題でございますので、予算としてははっきりしておる数字でございます。  それから都市改造事業及び市街地改造事業でございますが、この項目は、整備事業としてこういう項目をあげておりますので、特にここに書いてございますが、これは、先ほど申し上げました四ページの街路事業費土地区画整理事業というところに入ってくる数字でございます。  それから河川整備事業でございますが、直轄河川補助河川ということで、中小河川、それに小規模河川と隅田川に対する汚濁、東京湾高潮工事というものも河川ということでやっておりますので、それらの四十年度の予算をここに計上したわけでございます。  それから港湾事業も、整備事業としてあがっておる四十年度の予算を、東京港、千葉港、横須賀港ということでここに計上したわけでございます。  それから地下高速鉄道整備事業でございますが、これは帝都高速度交通営団のやっている仕事と東京都営地下鉄というものに分かれております。それの各建設路線というものを事業内容としてあげてございます。  それから下水道及び清掃施設整備事業でございますが、これも全体のワクとしては四十一億九千万円ということになっておりますが、各既成市街地あるいは東京都区部というふうな、区分けはまだはっきりいたしておらないのでございます。次の清掃施設整備事業についても同じことでございます。  工業用水道事業費補助といたしまして二十一億一千万円、これも事業内容といたしましては四カ所を計画いたしておるのでございます。  それから水資源開発公団事業、これは総額百六十六億八千万円と、事業内容といたしましては、矢木沢下久保ダム、その他合計七項目となりますが、これらのものを計画いたしておるのでございます。  それから日本住宅公団施行事業でございますが、これは、市街地開発区域におきまして、造成計画といたしましては、鹿沼伊勢崎地区に六億三千二百万円と、それから住宅用地造成計画というのは、全国分はわかっておりますが、この中に鹿沼伊勢崎地区が入っておるということになっております。それから継続事業といたしましては、全国分だけわかっておりますが、首都圏区域内におきましては、継続としては、そこの「継続施行地区」というところに書いております川越狭山土浦外西相地区まで八地区首都圏内においては施行することになっております。それから住宅用地造成計画というのは、全国分がわかっておりまして、これも、市街地開発区域というのは、予定しておる地区がございますけれども、市街地開発区域首都圏内だけは、まだ幾らというところまではまいっておりません。  それから「首都圏における工業団地開発について」という表は、三十七年におきます首都圏一都七県の工業出荷額は六兆九千九百八十億円で、全国対比が三四%に達しておりますが、業種別には、機械電気機器輸送機器精密機器金属、化学、食料品が多く、今後とも、こうした内陸型の工場は、首都圏域のような大都市周辺地域に集積するものと考えられると、さらに、首都圏域のうち、比較的既成市街地に近い近郊部分においては、家具、印刷等都市型工業機械金属等工業地帯の関連型の工業立地が多い。首都圏整備計画では、こうした工業立地の趨勢及び業種的特性に着目して、適正な立地の誘導をはかりつつ、所定の人口を定着させるため、工業団地開発事業を進めているわけでございます。なお、近郊部分については、今後本法律の制定を待って、審議会等にはかり、整備計画を策定し、具体的に決定してゆきたい、かように考えておるのでございます。  それから市街地開発区域進捗状況でございますが、これは現在指定されておる地区は十八地区ございますけれども、そのうちの三地区は、昨年の十一月指定したばかりでございまして、現在その整備計画の立案にかかっておるところでございまして、もう二カ月くらいすれば整備計画も大体できるかと思っております。それで、指定十八カ所のうち三カ所は、この中から抜けておるのでございまして、あげてありますのは、十五地区だけの過去の実績をここにあげたわけでございます。  少しこれについて詳しく申し上げますと、その次のページの最後にありまする、この十五地区でいままでに立地いたしました工場の数が四百六十七と、こういうことになっておりまして、全体の工業団地面積といいますか、計画的に考えておる面積は、二ページの最初の欄に工業団地面積という欄がございまして、その計のところに、二千三百六十三万坪という計画を持っておるのでございます。このうち住宅公団なりあるいは地方公共団体等で、団地造成を実施いたすという計画を立てておるのは、千四百七十三万坪ということでございます。その千四百七十三万坪のうち、その次の欄に造成完了面積というのがございますが、この欄の一番下にあります千四十三万坪という数字が完了した面積でございます。このうち、処分済み面積というのがその次の欄にございますが、その処分済み面積が九百四十九万四千坪ということになっておりまして、工場団地造成のうち、次の終わりから二番目の欄の未完了面積というのがございますが、四百三十万坪がまだ工事が完了しておらないということになっております。それででき上がった千四十三万坪のうち、処分せられていない面積が、終わりから三番目の欄にあります、未処分面積九十三万六千坪ということでございます。結局でき上がった面積の千四十三万坪に対して九百四十九万四千坪というのが処分し、工場立地しておるという面積になっておるのでございます。  市街地開発区域に対する進捗状況としてただいま御説明申し上げたのでございますが、総体の工場の数の四百六十七というのを申し上げましたが、その内容が、この最後の表でございます。  それから一番終わりの紙がこの市街地開発区域整備事業進捗状況というものを示しているのでございますが、この市街地開発区域というのが、逐次指定していっておりますために、計画も、三十六年から四十一年までの分、三十八年から四十一年、三十九年から四十五年の分というように分かれておりますので、総体的にという御説明は、まことにしにくいのでございますが、一応現在持っております総事業費、この十五地区につきまして千五百七十億、こういうことになったのでございます。四十五年までの計画の千五百七十億のうち、いままでに、三十九年度までにやりました事業費が四百七十三億という、大体三割という数字になっておるのでございます。  それから終わりから二枚目の紙でございますが、五カ年計画というような話がございましたが、道路につきましても、河川につきましても、また運輸省の問題につきましても、新しい五カ年計画が、いま作成といいますか、基本ができました。詳細につきましては、この七月ないし八月ころまでには、詳細にきまってくることのように見ておりますので、こちらの整備計画もその中に新しく入り込んで、整備計画というものを立て直さなければならない、こういう段階にきております。  それで御参考までに、その趣旨として、重要幹線道路の現況というものと整備の目標ということをここにあげたのでございますが、一般道路といたしましては、元の一級国道、これが現在八七%の進捗率になっておりまして、大体の構想としては、現在四十三年度末までには完成予定、それから元二級国道につきましては、四十五年度完成予定地方道につきましても四十五年度までには大体のところ完了していきたい、こういう大まかな現在方針で、これが七、八月ころまでには、個所的にはっきり計画を立てていく、こういうことになろうかと思います。  それから高速道路につきましては、中央自動車道東名高速道路中央道につきましては、四十二年度完成予定東名高速道路につきましては、四十三年度の完成予定、こういうことで計画を立てておるところでございます。  大体提出資料につきまして御説明申し上げました。
  7. 田中一

    田中一君 この中に公共空地というのがありますが、これは広場ですか、それともどういう性格になっておりますか、この空地というのは。
  8. 小西則良

    政府委員小西則良君) 公共空地と申しますのは、公園緑地というようなことになろうかと思います。
  9. 田中一

    田中一君 終戦直後にきめられた東京都の都市部既成市街地というのですか、この緑地地帯はどういう扱い方をいましておるのですか。これはちょっと小西君に聞くのはぐあいが悪いのだな。君、わからぬだろう。わからぬだろうけれども、わかるはずなんだな。非常に困るんだけれども、だれかいないかな、答弁ができる人。
  10. 小西則良

    政府委員小西則良君) この問題につきましては、都市計画関係を長くやっておりました第一部長が詳しいと思いますので、第一部長から御説明させていただきます。
  11. 吉田伸一

    政府委員吉田伸一君) お答えいたします。終戦直後に特別都市計画法東京都に緑地地域というのを指定いたしましたが、その当時の指定面積は約一万八千ヘクタールございました。で、御承知のように建蔽率一割ということで、ここは極力市街化を抑制すべきところということで指導してまいったのでございます。その緑地地域周辺に、まあ古都圏といたしましては、近郊地帯という構想をもって、緑地地域と同様な考え方のもとに、グリーンベルトを回して、都市既成市街地の無秩序な膨張発展を抑制しようとしてまいったわけでございますが、現在までの状況を申し上げますと、指定されたのが、たしか緑地地域は二十三年だったと思います。その後、非常にまあ都市発展力が強く、そのために逐次後退を重ねております。で、最終的には、一万八千ヘクタールが九千ヘクタールに都市計画を変更いたしまして、変更修正をいたしております。で、現在残っております緑地地域面積は、したがいまして九千ヘクタールでございますが、これもまあなかなか現状を申し上げますと、個々の、個人の住宅建築をする場合に、一割というものが必ずしも守られていないところもあるという状況でございます。
  12. 田中一

    田中一君 だから、守られていないところもあるというのはどこですか。
  13. 吉田伸一

    政府委員吉田伸一君) 実はまあ合法的に破ることができるわけでございます。と申しますのは、建蔽率一割、最初はまあ一割の建蔽率を守って建築出願をして家を建てましても、その後の土地の分譲は禁止することができませんものですから、余った土地を売ると、そこにまたそれを限度として一割建つというようなこともできますもので、そういう面で一割がかなりくずれてきつつあるところもあると、こういう意味でございます。
  14. 田中一

    田中一君 そうすると現在、私なんかの見方では、九千ヘクタールというものがもうないということを言ったほうが当たっているでしょう。
  15. 吉田伸一

    政府委員吉田伸一君) まあしかしながら、ヘリコプターあたりで上空から見ますと、まだかなりやはり緑地地域指定されたところの空地というものは残されておる現状でございます。蚕食はされてはおりますけれども、かなり残っておる状況でございます。
  16. 田中一

    田中一君 それは、経済的に使いものにならぬところが残っているのであって、経済的に有利な地帯は、全部いま君が言っているように蚕食されているはずだと思うのですよ。目的は何か。グリーンベルトをつくった目的は何かというと、終戦後の将来の過大化を防止するための措置であって、それが一万八千ヘクタールから半分に減り、半分が一体実情はどのくらいになっておりますか。経済的な価値のないところは、いつまでいったって開発——開発というか、そのまま残されるのはあたりまえのことなんですよ、この自由経済の世の中じゃね。だから、私いまでは一これ建設大臣来たら聞きますけれども、もう緑地地帯グリーンベルトという構想は捨てているのじゃないですか。私は、首都圏皆さん方に、これだけ広範になって行政区域の問題を一つ一つ取り上げて質問するのは非常に酷だと思うから聞きかねる点がたくさんあるのですけれども、しかし、実際にあなた方が、こういう青写真を持ち出して、これを実際四十年度予算の上においてやるのでございます、これを実行するのでございます、ということを言われてくると、やはりそれに対する質疑をしなきゃならなくなってくるわけなんですよ。で、ことに言いたいのは、首都圏がこのように各省に、各省行政部門に分かれている予算をここに拾い上げて、魂ありませんよ。魂も、意思もなけりゃ何もないですよ。ただ拾い上げているのですよ。それが正しいか、正しくないかは、これは論外です。ただ、数字を拾い上げて、これを説明されて、われわれはその数字によって首都圏青写真を頭に描いているわけなんです。だから、ぼくはあまりこまかい問題についての質問は酷だと言うんですけれども、このままの形でもって各行政部門ごとに、権限の違う地方公共団体等がそれぞれ行なおうとしている意図というものは、その区域だけのことをするにとどまるのであって、決して埼玉県は茨城県のことまで考えておらぬわけです。埼玉県は埼玉県の方針で進んでおります。それを調整するのは首都圏の役目であろうと思うのですが、首都圏そのもの予算に対するチェックをするというような権能がない限り、これはもういまのような魂の入らない数字の羅列になってくるわけなんですよ。これじゃ、首都圏というものはほんとうに国民のための、その地域住民のためのプランということにならなくなってくるんですよ。これは首都圏という全体を言っているんです。だから、こいつはまあまあおやんなさいよと言って済ませれば一番いいんです、おやんなさいよと。どうなるかしらぬ、まあまあひとつの試みだ、実際としてやるならやってごらんなさいということにならざるを得ないのですよ。私は、まあ近畿圏——近畿圏という一つの大きな行政面構想がこの国会の当初に提案されるんではなかろうかというようなことを期待しておったのですが、これはまあ東京都はじめ各——自治省がおそらく反対したんでしょう、これは実現しなかった。ということになると、はなはだどうも質問をするのに、のれんに腕押しのような形でもって答えがないわけなんですよ。近畿圏整備法の出るときにも、これも同じことですから、ずいぶんしつこく聞いております。また、衆議院におけるところの審議を見ても、各委員自分の選挙区の問題については、近畿圏という全体のことよりもその部門に対してだけは猛烈な質問をして、これはしてくれなくちゃ困る、こういうようなことを言って質疑をかわしているのを議事録で見ております。幸い参議院の建設委員会では、そうした個人的なプレーがないから全体の問題に対して私がこういう質問をするわけなんですけれども、何かこれは方法を考えなければ、一体どんなものができ上がるのか、だれもこれを的確に把握するものはないと思うんです。この間も言っているように、専任の担当国務大臣などができて、これが内閣がどう変わろうと、これに取っ組んで十年でも十五年でもほんとうにこの完成を目ざしていくというような、あらゆる権限を持つ部署ができなければ、これは完成するものじゃないです。また、われわれはそれを望んでおるんです。まあ、ぼくばかり自分の意見を言ったんじゃ困るけれども、人口問題をどう考えているかということですね。私は、厚生省が三十八年に発表した人口問題研究所統計を拝見しました。これは、大体昭和七十四年ごろには人口増ピークになるだろうと、現在の社会保障制度医療関係その他の、全部社会保障制度というものをファクターとして考えてみると、大体その辺がピークなんです。あとは漸減するんじゃなかろうかというような統計を発表しております。私は、各産業構造配置あるいは増減等を考慮する行政というものを考えるならば、この人口問題というものを考えずには、首都圏なんということも考えられないんですよ。これは人間が配置するんです。そしてその時期には労働人口というものが極減するんです。幼児の死亡率、老齢の死亡率というものは減ってきて、労働人口というものはうんと減ってくるんです。その場合、一体どうするかということも、首都圏としては考えなければなるぬと思うんですよ。近畿圏がやたらに開発すればいいというものではない。近畿圏にしても、首都圏にしても、まあ首都圏の場合は近畿圏と違って後進地域が入っていませんからまだいいと思いますけれども、人口の推移とか産業の再配置とかいう問題以前の労働人口というものをどう把握しているかということです。主として東京都の既成市街地にある八百万からの人口というものは、これは生産者以外の者のほうが多いんではないかと思うんです。生産人口じゃないと思うんです。これを考えますと、そういう根本的な首都圏における十年、二十年あと青写真——まあ五十年でもいいです、青写真というものが想定されて、的確な配置プランがなくちゃならぬと思うんです。かつては五十キロ円の中が首都圏であると言った。今日ではもはや百キロを目途として考える。あるいは今日の自由経済社会において、工業団地に対してこういう工場が誘致されているというけれども、これはもうかるであろうという想定のもとに入ってくる人たちなんです。もうからなければすぐにつぶれていくんです。また、一つの大企業の下に下請企業というものが付随してきているという現象であって、工場団地造成についても、この表だけではどうもはっきりしないんですがね。私は、いまいろいろ申し上げたいことがたくさんあるんだけれども、この工業団地の中の四百六十七工場というものは、これは資本金別、あるいは資本金五十億以上の会社が幾つあるか、百億以上の会社が幾つあるか、それからこまかくいえば一億円以下あるいは一千万以下の工場がどのくらいあるかということが的確にならぬと、これはもうわれわれは何にも頭に描けない。ただ造成された工場団地に対して、これだけ残っているが少ししかございませんという説明をしたいんだと思うけれども、私は、いま土地を買ったって一千坪の土地に百坪の工場だけつくってあと遊ばせておくという工場もあるんです。これは先行投資でなくて宇地の値上がりを待っている。何年かたてば必ずこれが解除される時期がくる。こういう工場団地の、住宅公団等がやっているものは最高二年だと思ったが、一年内に工場を建てろ、三年か五年……、一年たてばもう売ってもよろしいとなっていくんだから、これはいい投資物だ。これも結局仮の需要であり、仮の充足であるわけなんですね。だから、それなら問題を法律上かちっと押えることができるかどうかという問題、せめて——資金の面で押えられない首都圏整備委員会だから、そうした意味の規制という立場でもって、もっと強い意思が織り込まれるものがなくちゃならぬと思うんです。私は、まああまりしゃべってもしょうがないから、この法律案について二、三伺っておきますが、この法律の二二ページの「低開発地域工業開発促進法第五条の規定」という点でありますが、このうちの——いま言ったのはあとに回します。  七ページの近郊整備地帯指定ですがね、いままでは関係市町村が、こういう問題を最後的に指定の申請をした。今度これが関係都県知事に変わるわけですね。これはどういうところから来ているのですか。むろん、これには関係市町村の意見を聞かなければならないということになっておりますけれども、これはどういう意図から、市町村というものを排除して知事の権限にまかしたかということです。これは前進であるという考え方なのか、あるいは実際の実情がこのような悪い事例があるからこうするのだということがあるならば、それを説明していただきたい。
  17. 小西則良

    政府委員小西則良君) いまの御質問は、地域の都市開発区域とか、近郊整備地帯指定に、知事ということのようですけれども、ここに書いているのは、都市計画として建築基準法の用途地域を指定する場合に、在来が市町村の申し出であったのを知事の申し出にする、こういうことでございます。この都市開発区域とか、この指定というものが、知事の申し出ということではございません。
  18. 吉田伸一

    政府委員吉田伸一君) ちょっと、ただいまの局長の御説明に補足いたしますと、田中先生が御指摘になりましたのは、近郊整備地帯なり、今度の都市開発区域指定されまして、その中で建設大臣が、都市計画法に基づく用途地域を指定する場合に、従来の規定でいきますと、市町村長の申し出に基づいて、建設大臣が指定するわけでございますけれども、今回のその提案の法律によりますと、市町村長の申し出でなくて、都道府県知事の申し出に変えたのはなぜか、こういう御質疑かと思いますので、その点を御説明申し上げたいと思いますが、近郊整備地帯なりあるいは都市開発区域、これが指定されますというと、その地域の土地利用の構想は、当然首都圏整備計画として示されるわけでございます。従来の例で申しますと、都市開発区域の中に包含される市町村は、大体二ないし三でございます。したがいまして、その二ないし三を包含したその広い地域において土地の利用の構想首都圏計画としてきまりました以上は、その下部のおのおのの市町村が、かってに相反する意図に基づいた用途地域を申し出ても困りますし、また、A市町村が用途地域を申し出たにもかかわらず、B市町村はいやだと言われても困るわけでございますので、そういった首都圏整備の執行を確保するためには、当然上位の計画である首都圏整備計画としての土地利用の構想がきまりました場合に、その中における用途地域は、知事が市町村長の申し出に基づいてやるほうが適当ではなかろうか、むしろ知事に原案作成の義務を課したほうがよろしかろうじゃないかというのが、今回の提案の理由でございます。
  19. 田中一

    田中一君 都市計画法でははっきりと関係市町村ということになっておりますね。どういう悪い事例があったんですか、そうしなければならぬという事例が。
  20. 吉田伸一

    政府委員吉田伸一君) 別に悪い事例はございません。ただ、ものの考え方としまして、個々の市町村を包含したより広い地域の土地利用計画というものは、上できまってまいりますので、そのあとのそれを受けて立つところの用途地域の指定については、やはり従来のやり方よりこうしたほうがよかろう、こういうことで変えたわけでございます。
  21. 田中一

    田中一君 こうしたほうがよかろうとかなんとかじゃなくて、実際都市計画法にはっきり市町村の権限というふうになっている。それを権限を取り上げるというならば、先ほど私がるる説明したように、首都圏ほんとう権限を持ちなさいというんです。ただその辺を、修正じゃなくてね、この法律は文字とか、個々の名称とかなんとかいうものを動かしているんですよ。いたずらが過ぎると思うんだ。知事なんかじゃなくて、首都圏自身が計画を持ちなさいと言いたいんですよ。小手先の芸当でもって、都市計画法に基づく市町村の権限というものを知事に持ってくるということだけで済むものじゃないんです。もっと強い国の計画というものがなくちゃならないんですよ。かりに都道府県の関係知事にしたところが、茨城県の人間は決して埼玉県の問題を考慮するはずのものじゃないんですよ。ことに、政党的に自民党と社会党の両派の系統の知事が隣合わせた場合に、えてしてよくならないんです、実際。対立が出てくるわけなんです。さっきからずっと私おしゃべりしているのも、このように市町村の権限を知事にまかしたからといって、その区域の問題は一応解決、調停ができるかもしらぬけれども、さて今度は都県間の、知事間の問題点というのは解決されないわけです。首都圏というこれだけの大きな区域一つの思想のもとにまとめておこうというならば、国が直接持つということにしなさいよ。それくらいの勇気がなくてはこれはだめです。
  22. 小西則良

    政府委員小西則良君) 田中先生の御意見ごもっともでございますが、現在都市計画法によりまして、市町村長の申し出という、その根本の概念といいますか、気持ちというのは、都市計画というのは、一市町村単位ということで実施するというような大体たてまえになってきておりますので、その申し出というものを、市町村長ということにしてあるのだと考えておるのでございます。この際、田中先生のおっしゃいますように、確かに各県間の問題も出てまいりまして、首都圏整備委員会としても、それだけの権限を持ってやれるということは、まことに私たちとしても望むところではございますけれども、一躍なかなかそこまでも行きかねるというようなことから、せめて、都市開発区域ということになりますと、四、五カ町村ということで大体単位ができてまいりますので、知事のところで市町村との調整をとって、各市町村の間を関連づけてもらえば、一応現段階においては相当の前進になるんじゃないかというようなことから、こういう提案をいたした次第でございます。
  23. 田中一

    田中一君 それは小西君わかるのだよ、君の言うことは。せいぜいそんなものだろうと思うのだよ。それじゃだめだと言っているのだ。  それではもう一つ、四条の「近郊整備地帯内において工業市街地として整備することが適当な区域」というのは、どういう考え方で、どういうものを対象に考えているのか。
  24. 小西則良

    政府委員小西則良君) 近郊整備地帯におきましては、ある範囲——相当広い範囲に今度なりますので、できるならば、この前も申し上げましたように、工場というものは避けたいという気持ちはございますけれども、しかし、人間生活をやっていく場合に、十分環境を整備するとは言いながら、やはりそこの住民というものと直接つながりのある工場、たとえば木工、家具類のようなものですとか、印刷というようなものは、その地区状況を見まして適当な地区立地させるということが、むしろ住民の福祉ということに対して寄与していくのではないかというようなことで、この近郊整備地帯においても工場立地を考えようという気持ちでおるのでございます。
  25. 田中一

    田中一君 大体私は、地域社会というもの、その土地の問題、立地の問題ですね、これは自然の環境をそのまま残すということが一番正しいのだという考え方を持っているのです。たとえば都市計画法によるところのいろいろな住宅地だ、何だかんだときめております。そして従来ともに、戦災後の日本の都市計画というものは、大体において自然の環境、いわゆる緑を残そうという思想が貫いてきているのです。私どもはそれには大賛成なんです。ところが今度は、これはだれかの意思によって、それらのものは工業団地として変貌しているのです。これは非常に危険です。これではまるで首都圏内に日本じゅうの人間は集まってこいというような考え方になってきているのです。かつては既成市街地には学校を建ててはいかぬとか、増築してはいかぬとか、工場を建ててはいかぬとかいうような制限が、御承知のように二十三区、川崎、三鷹等にありましたよ。今度は全体の問題になってくると、全部集まってこいと、工場をどんどん建ててよい、これは非常に危険だと思うのです。とにかく整備ということは、積極的に工場団地住宅等を伸ばしていくのが整備というのか。あるいはよい環境、よい首都というものをつくろうとするところに整備のねらいがあるのか。非常に首都圏整備事業の思想的な指導の矛盾があるのです。これはあなた方は、私が、首都圏問題でもって、できてから十五年くらいたっておりますから、これについて法律改正のそのときどきにくどいように質問をし、意見を述べ、審議をしておりますけれども、一つ一つ拾い上げて読んでごらんなさい。私の質問の思想は一貫していると思う。ちょとも狂ってないです。あっちからこんな要求が出る、こっちからこういうものが出たという、それを全部取り上げて首都圏整備事業を考えるのは大きな間違いです。これは一体、適当な区域がどんどん出てきたら首都圏はどうなるんですか。
  26. 小西則良

    政府委員小西則良君) 近郊整備地帯につきましては、緑地の保存というものには最重点を置きまして、この委員会の当初に申し上げましたように、その緑地、現在の近郊地帯を越えて非常に市街化しておるというこの無秩序な形というものがこのまま放置されますと、将来また工業地区その他あとを追って非常にむだな投資をやらなければならないということで、それらの膨張といいますか、市街化すべきところは市街化するということで計画的にやる。また一面、冒頭申し上げましたように、緑地の保存、環境整備ということは、先生のおっしゃるとおり、私らも真剣に考えておるところでございまして、人間がただ集まるということだけでは将来全体が不幸になる、そのためにも、やはり環境整備、自然環境というのはできるだけ保存する、これは先生がおっしゃっておるとおりでございます。私たちも徹底的にその点だけは考えておるところでございます。それで、この法案が御審議願いまして、採決された場合におきましては、私たちといたしましては、至急に整備計画を立てまして、その緑地とか空地、保存区域とか、あるいはまた、どうしても市街化というか、都市化せなければならぬというところについては、その区域をきめるとかいうような形で、できるだけの努力はいたしていきたい、かように考えておるのでございます。
  27. 田中一

    田中一君 過密都市ということばがありますが、こういう考え方は、結局過密都市を新しくつくることなんですよ。私は宅地の造成なんかやめろと言いたいのです。ことに、住宅の宅地などは当分おやめなさい、十年なら十年おやめなさいと言いたいのです。工場についてもしかりですよ。結局、過当競争、自由競争に今日の自由経済社会においてはなってきて、だれかの犠牲が出てつぶれていくのです。山陽特殊鋼の問題にしても、どの会社でもごらんなさい。証券市場の第一部に載っている事業でもって増配しているところが一つでもございますか。全部不当な、過当な設備投資が原因なんです。これは政治として大きな責任があるんです。政治の問題はここでは論じません。しかし、こういう法律ができて、そこにやっぱり集中的に安い土地が手に入るんだ、将来この土地は高く売れるんではないかというので買い占めをする。そうして、会社をつくりはしません。工場をつくりはしません。また、かりにつくったとしても、やはり過当競争というものはふえていく。われわれ国民の消費経済というものは、こういう低賃金の中ではある程度限界があるわけです。テレビにしても、三軒に一台とか五軒に一台とかという普及率になってきておる。一体何をつくらすのか、何をつくらそうとしておるのか、この工業団地造成して。
  28. 小西則良

    政府委員小西則良君) 近郊地帯におきましては、あえてここに工業団地造成するということは言っていないのでございます。全然工業立地というものを締め出すということもできないであろうということを考えまして、ある種の工業というものは最小限度に、いまの工業等制限法というような形において締め出すというものではないという気持ちでここに提案している次第でございます。
  29. 田中一

    田中一君 締め出すんではないという考え方が間違いだと言いたいのですよ。締め出せというのです。国民所得の地域格差が激しくなるからここへ工場を持ってこなければならないんだなんということは、全体の国の政治の面からは非常に部分的なものなんです。それをそうしなければならない要素というものは、やはり消費経済の問題なんです。国民の消費経済はそんなに伸びておらないですよ。さっき言ったように、証券市場の一部に載っているところのことしの配当率、株の値下がりというものを一ぺん読んでごらんなさい。したがって、新しい工業団地とか工業地区とか工業宅地とかいうものの造成をおやめなさいと言うのです。これは非常に極論するわけですよ、私は、やめていただきたい。宅地造成は中止しなさいと言うのですよ。かつては私は、宅地造成しなければならぬ時期じゃないかということを主張したこともございました。いまの段階では、おやめなさいと言うのです。私はこういう考え方が、いわゆるいま小西局長が言っているように、既成市街地において新産その他の都市における制限と同じような制限をするものじゃございません、来るものはいらっしゃい、こう言っている。これはある面からいえば、新産都市等の面から見れば、地域格差をなくするためにということを言っている。しかし、かつてのように、農村労働力というものは工場労働に転換する時期はもう終わったんです。吸収する時期は終わったんです。今日、日本どこでも中学生の労働力吸収なんということは絶無ですよ。五島列島へ行ってごらんなさい。五島列島は人口がだんだん減っております。中学卒業生の九九%は、身体障害者以外の卒業生は全部島から出て既成工場に吸収されておるんです。農業化学薬品が発達したから、もはや農村における余剰人口というものはなくなったはずです。その時期はありました、余った時期が。二男三男対策というものはあった。いまはないんです。枯渇しているんです。いいですか、人間があるいは商品が、一つの、セメントの例をとりますと、高知でできるセメントが東北に流れ込んでいる、東北のセメントが九州に流れ込むという。こうした事態は、いまセメント協会等が中心になって——まあ独禁法にひっかかってくると私は思うんですがね——交流している。これはむだなんです。その地域において消費される生産というものはこれは望ましいのです。そこにやはり地域格差というものが縮まることになるのです、高い商品を買わずに済みますから。ところが、日本の今日の経済の現況というものは何かというと、そうした片身のものじゃなくして、両方バランスをとって運賃をかせぐという運送屋もあれば、中間で消える、剰余金ロスになる個所というものは相当大きいんです。それが国民生活に大きな悪い影響をもたらしているんです。だから何を持ってこようとするのか、こういうものをつくって。やはりこの地区にはかくかくのものを持つんだという思想的な一つの大きな背景を持つなら別に反対するものじゃございません。これなら利益があるだろう、金がもうかるだろうという考え方一つでもってそれらの工場をつくることは、今日の日本の経済力からいって、消費経済の面からいって、余るばかりです、商品が。何をつくるのか。余るばかりです。それはあなた方知っているはずですよ。たとえば電気器具の問題にいたしましても、売れないですよ。そうした面を考えて、そうして首都圏全体の経済というものを考えながら確固たる方針というものが出てくるならいざ知らず、手直し程度のもので閉めたものを広げてみようとかなんとかいうことでは、ほんとう首都圏内におけるところの誇れる整備事業ということにはならないわけですよ。むだな投資です。こんなことを言っているとまたもつと大きな力を持つ首都圏整備委員会になりなさいということに結局なってしまうのですが、私は、こういうことだって、まあやっぱりやってごらんなさいということでもって済ます以外になくなっちまう。小山君ここへも出てきたが——私は小山君に聞くのはいやなんだ。一言も返事できませんよ。ぼくに質問されたら一言も言えないんです。まあ小西君、君はいやな役割りになったけれども、これはひとつよく考えてもらわなけりゃならぬと思うんですよ。  それからもう一つは、さっき言った三十三条の問題です。ちょっとこれ説明してくださいよ。
  30. 吉田伸一

    政府委員吉田伸一君) 御説明申し上げます。三十三条の二の地方税の不均一課税に伴う措置について御説明申し上げます。  この条文は、実は同様な趣旨の条文がすでに近畿圏整備法のほうに、たしかこの前の国会でございましたか、挿入されたものでございまして、首都圏にはいままでなかったものでございます。で、内容は、従来の市街地開発区域、今度の都市開発区域におきまして工業団地造成事業が行なわれ、そこに東京企業が疎開をするわけでございますが、その企業を誘致するために、従来、公業団地造成事業をやりましたところの市町村が、固定資産税なり、それから、その府県が、不動産取得税なりを減免をいたしておるわけでございますが、その減免をいたした場合の補てん措置がなかったわけでございます。それをこの条文によりまして、そういう減免をした場合に、国が地方交付税法の規定によりまして、減収ワクを補てんするという趣旨の改正条文でございます。
  31. 田中一

    田中一君 そこで、ますます低開発地域における工場誘致あるいは開発というものを目途にして助成しているということになる、そういうわけですね。助成しているというわけです。これは、その地方税の面から見て、その部分に対しては、助成という形でもって一応見られておって、よい解決法だと思うかもしらぬけれども、私が先ほどからるる言っている、いたずらに工場等を誘致することのほうが多くの間違いを犯すということを指摘しているのです。したがって、こうした措置が、全国的に見た場合に、どう考えるか。やはり格差を増大することになるのです。その地域はよろしい。しかし、全国的に見た場合には、不均一なものにならざるを得ないわけですね。これなんかも、先ほどから言っている一貫したあなた方の思想なんですね。近畿圏の場合には、これは政府提案であったか、それとも議員の修正できまったものですか、どっちだったかな、これは。
  32. 吉田伸一

    政府委員吉田伸一君) 政府提案でございます。
  33. 田中一

    田中一君 そうすると、いままでそうした減免措置がとられなかった場合の地域の——地域というか、行政庁の損害というものは、どれくらいあったか。損害というか——損害じゃないんだ、自分が好きで呼んだのだから。どれくらいあったか、首都圏では。首都圏ができ上がってから十五年になりますが、十五年間にどれくらい、そういうもので地方庁が負担をしているかという点です。
  34. 吉田伸一

    政府委員吉田伸一君) この法律の条文によりますと、大体、企業は減税措置をしましてから三カ年分の固定資産税の補てんをする、こういう形になっておりますが、従来、指定されております十五の市街地開発区域の中で、相当部分の市町村が減税措置をやっておりまして、すでにもう、三カ年といいますか——大体、企業は、誘致する場合に三カ年くらいの減税をやっております。もう期間が過ぎて、減税措置をやめちゃったところもありますが、まだやっているところもございます。過去の実体の減収額、これはまだ算出をしておりませんけれども、この法案を提出するにあたりまして、かりにこれが適用された場合に、幾ばくの減収になって、国が幾ばくの補てんをするかという一応の試算でございますけれども、大体、国の補てんすべき要補てん額は、年間十六億円程度ということになると思われます。
  35. 田中一

    田中一君 全国的に見た場合には、これはやはり格差が生ずるわけですね。たとえ十六億という、たいした金じゃないにしてもですよ。従来、支払ったものはどれくらいありますか、首都圏内で。この十六億というのは、三年間ですか。
  36. 吉田伸一

    政府委員吉田伸一君) 一年間でございます。
  37. 田中一

    田中一君 従来負担している、補てんしなかった分ですね、それはどのくらいありますか。
  38. 吉田伸一

    政府委員吉田伸一君) 概算でございますが、約三十億程度ございます。
  39. 田中一

    田中一君 そうすると、相当大幅に工場誘致等を行なおうという意図が明らかになっておるわけですね。従来、十五年たって三十億というものが減収になっているのだというならば、四十年度で十六億の金を出すということは、相当大幅に工場誘致をするのだという意図が明らかになったわけなんです。きょうは、もう時間が時間ですから、ひとつこの次までに、どういう工場——先ほど要求した資料と一緒に、この「首都圏における工業団地開発について」という資料の一番おしまいの三ページに、産業別の指定がしてありますが、どの地区にどういうものを想定しているかというものがあるはずです。これをひとつ資料として出していただきたい。
  40. 吉田伸一

    政府委員吉田伸一君) もちろん、いま申し上げた数字は、一応の推定でございまして、団地造成いたしました暁に、どういう企業が来るか、これはまだ現在のところ想定がつきませんものですから、一応過去の実態、実例に徴しまして、たとえば、この総和地区で十八万坪の団地造成しました、そこにどれだけの企業が入った、それの固定資産税の減免額がどうであった、したがって、今後、十八万坪が、何万坪か将来計画造成しました場合には、大体その比率で企業が来ると見た場合に、おおよそどういうことになるかという作業ならできますが、そういう資料を御提出したいと思います。
  41. 田中一

    田中一君 いま、その程度でしょう。けっこうです。そこで、それを出してもらうと同時に、その工場の労働源というものは、どこでどう求めるか、あるいは全部合理化されて機械化されるのだということなのか。その産業によっては、いろいろあると思うのです。この労働力の面、労働源というもの、これは開発の一つのなんですから、遊休労働力がころがっているならば、これは明らかにしてほしい。と同時に、その想定というものがあるはずでありますから、それもひとつ一緒に、想定でけっこうですから、出していただきたいと思います。きょうは、この程度にしておきます。
  42. 瀬谷英行

    理事瀬谷英行君) 他に御発言ございませんか。——じゃ、私のほうからひとつ、田中委員質問に関連して御質問いたしますけれども、先ほどの第四条の工業市街地として整備することが適当な区域とか、あるいは発展させることが適当な市街地開発区域というのがありましたが、これらの決定は、どういう方法で決定をするのか。市街地としての条件というのは、どういう点が条件になるのか。地元の陳情等があれば、それに基づいて指定をしてしまうというようなことになるのかどうか。それから、その工業市街地と指定をした場合の、その周辺における宅地とか、あるいは労働力の問題はどのようにして認定をするのかといったような点について、ちょっとお伺いしたいと思うのですが。
  43. 吉田伸一

    政府委員吉田伸一君) 従来の指定のやり方を御説明いたしますと、まず、工業適地というものを選定いたしますが、その選定の作業は、地元の公共団体がいろいろ作業をしておりまして、また、首都圏としましても、調査費をつけまして調査をし、また通産省も工業立地適地調査をしておりますので、それらを勘案いたしまして工業立地の適地、立地条件が相当よろしい、多少の公共投資をすれば非常に有望であるという地域を選定をいたしまして、そしてその地域の指定につきましては、地元の公共団体の意見を聞き、関係の各省が結局その地域の整備の事業を行ないますものですから、関係各省とも協議を重ね、それから審議会にはかりましてその地域を指定いたします。その指定をいたしますと、今度はその次に、首都圏整備計画を立てるわけでございますが、整備計画の中には、工業団地を核といたしまして、それを含めた市街化区域、それらに行なわれるところの道路、下水、工業用水あるいは河川改修、そういったもろもろの公共事業並びに学校その他の公益的な施設整備計画というものを立てまして、それも同様に、いまの指定と同じ手続を経て、審議会を経て立てるわけでございます。それを首都圏整備計画、国の計画として立てまして、その計画に基づいて、各省が毎年度の事業を行なっていくというたてまえになっております。
  44. 瀬谷英行

    理事瀬谷英行君) 手続上の点は一応わかりますけれども、事実上の問題としては、結局、周辺にまだ土地があいているといったようなところが、指定をする場合、条件になるといったようなことになるのじゃないですか。その点どうでしょう。
  45. 吉田伸一

    政府委員吉田伸一君) まず土地が得られやすいということが第一条件であります。それから、土地が得られても、高い土地では、やはりそれを造成する原価が高くなりますと工場が来にくくなるので、わりに安く手に入るところ、それから水も、工事用水等にも困らない、それから交通も、整備すればいい、そういった観点、それから先ほどちょっと漏らしましたが、地元の労働力もここで相当活用できるという、労働力の供給の面も勘案をいたして採択をするという形になっております。
  46. 瀬谷英行

    理事瀬谷英行君) 本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十三分散会      —————・—————