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1965-03-31 第48回国会 参議院 建設委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年三月三十一日(水曜日)    午後一時四十八分開会     —————————————    委員の異動  三月三十日     辞任         補欠選任      田上 松衞君     基  政七君  三月三十一日     辞任         補欠選任      基  政七君     田上 松衞君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         安田 敏雄君     理 事                 稲浦 鹿藏君                 川野 三暁君                 熊谷太三郎君                 瀬谷 英行君     委 員                 小山邦太郎君                 村上 春藏君                 森田 タマ君                 米田 正文君                 田中  一君                 武内 五郎君                 白木義一郎君                 田上 松衞君                 村上 義一君    国務大臣        建 設 大 臣  小山 長規君    政府委員        建設省住宅局長  尚   明君    事務局側        常任委員会専門        員        中島  博君    参考人        住宅金融公庫総        裁        師岡健四郎君        住宅金融公庫理        事        中平 栄利君        住宅金融公庫理        事        建部 仁彦君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○住宅金融公庫法の一部を改正する法律案(内閣  提出、衆議院送付)     —————————————
  2. 安田敏雄

    委員長安田敏雄君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  住宅金融公庫法の一部を改正する法律案を議題といたします。  前回に引き続き、質疑を行ないます。御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  3. 田中一

    田中一君 きのうこの委員会公団並びに政府に、借地権者に対する融資の点について、意見食い違い——意見食い違いというよりも、このような法律改正しても住宅金融公庫としてはこれを全面的に採用できないんではないかという点、これは総裁発言として、従来はかくかくでと、この法律改正後の問題点は明言を避けておりましたので、その点をひとつ、どういう話し合いでどういう了解に達したか。また、事実この法律成立住宅金融公庫はどういう業務方針で臨むかという点を答弁してください。
  4. 師岡健四郎

    参考人師岡健四郎君) お答えいたします。借地権者につきまして、今回貸し付け対象となったわけであります。昨日来、先生のいろいろのお話がありまして、在来の取り扱いを申し上げておったわけでありますが、今回の改正に伴いまして、この借地権者に対する貸し付けについて、公庫の態度と申しますか、貸し付け方針につきまして、住宅局ともよく相談いたしましたのでありまするが、結局借地権者に対しましては、もちろん在来貸しておった借地権者と同じような立場でお貸しする、つまり不必要な制限は設けないということにいたしてまいりたいと思います。したがいまして、昨日来申し上げましたような、地主第三者土地担保提供というような問題は必要条件といたしません。ただし、個々のケースにおきまして、償還力とかあいは全体の事業計画というようなものから見まして、そういうことの必要になる場合もあろうかと思います。そういう場合には、これは個々の問題として特に判断してまいりたい、そうして貸し付けの適正、正確を期したい、かように考えます。たとえば公共団体等借地権者であるというような場合について申しますれば、これはもう完全に償還力について心配する必要のない場合であります。こういう場合は多々あると思います。そういうものにつきまして、在来のように、窮屈な条件といいますか、制約を置くというようなことは、今後いたさない方針でまいりたいと、かように考えております。
  5. 田中一

    田中一君 その点は、じゃそれで了解いたします。  次に伺いたいのは、これも業務方針書というか、方法書で明らかになっておると思いますけれども前回もちょっと伺っておいたのですが、明確な答弁がなかったから再度伺うのですが、このように中高層なり、その他分譲住宅または賃貸住宅をつくる場合に、大型化が最近要求されておるわけです。したがって、今度の改正によっても、大体三百坪以上のものに対して最小限度融資対象にしようというようなことになるようになっておりますが、そこで、三百坪以上というのは原則的なものであって、三百坪未満のものでも、ある特殊な場合には貸し付けをする、融資をするというようなことであるように私どもは理解してよろしいんですか。
  6. 尚明

    政府委員(尚明君) 中高層建築物等融資につきましては、御承知のように、これからの市街地立体化につきまして、これをなるべくいい形で推進していくということから、一般的方針としては大型化方向をとりたいと思います。しかしながら、今日まで続けてまいりましたものを、直ちにある規定のもとに、たとえば三百坪以上というふうに急に引き上げるということは、いろいろ摩擦が多いと思いますので、漸次そちらのほうに指導することといたしまして、本四十年度からは、ある程度の例外の措置は認めつつ、そちらのほうへ誘導いたしたいと考えております。たとえばどういう場合かと申しますと、建物の新築または改築によって中高層建築物とすることが、防火、防災その他から必要な場合でありまして、その周囲が耐火建築物とか、まあすでにあるいは道路、公園、広場等に利用されているというようなことで、必ずしも千平米以上にしなくてもよろしいというような場合、それから地方公共団体住宅金融公庫等指導して、その共同化でなるべく規模の拡大をはかってきたものであるが、その結果まだ千平米までにはまあ共同化でできなかった、五百平米までには共同化できていたというようなものにつきましては、さらにこれを千平米なければならぬというような運用はいたしたくない、というふうに考えております。それから、そのほかに区画整理等でもって、何と申しましても敷地が小さく減歩されてしまっていて、どうにもならないというような問題、以上のようなふうにいたしまして、いろいろ過渡的な理由のあるものは、それ相応の状況に応じて、必ずしも千平米なくても融資をしていく。しかし、全般としてはそういう誘導を二、三年来続けつつ、次第に中高層融資というような、千平米以上ないと融資を受けられないのだということを世の中でも理解し、そのような計画が立案されるように誘導してまいりたい、こういう柔軟的な指導方針でまいりたいと思います。
  7. 田中一

    田中一君 それから中高層の場合ですね、地価算定基準が非常に低くなっている点が多々あるわけなんです。これはまあおそらく政令か何かの基準になっているのかもしらぬけれども、あるいは住宅金融公庫が独自でそういうきめ方をしているのかもしらぬけれども、大体中高層建てるという場合は、地価が相当高いということなんです。下に車庫とかあるいはマーケットとか、商店街を設けるというところは、少なくとも地価一般住宅地とは違って高いはずであります。そこで、そういう地価の高いところに建築する建築費も、あるいは地方の森の中にぽつんと建て建築費も、建築費には変わりないと思う。逆に都心より離れているところのほうが、運賃が高くなるくらいの違いがあるくらいのものだと思うのです。そこで、これは直ちに採算に引っかかってくるのだ。たとえば分譲価額が、都心から往復二時間もかかるという、片道一時間もかかるという場合と、それから徒歩で十五分ないし二十分で自分の職場に行けるという場合には、経済的な負担も非常に違ってくるわけです。そこで、建築費というものはこれは同様だったとして、地価がすべての差を生み出すわけなんであります。大体において最近は、一戸当たり三百万円程度をこえちゃならないように指導されていると思うのでありますけれども、これははなはだ不合理であると思う。また、都心における宅地をいかに利用しようか、いわゆる国民住宅を提供するための施設を持とうかという場合に、地価に対する算定がきびしいもので、非常に過小評価をするものだから、採算上それが当然できないということになるのであって、これはやはり地価に応じたものを、たとえば賃貸の場合には家賃にそれを認めるとか、あるいは分譲の場合には価格を、土地分価格としてそれを認めるとかという実態に即した方法をとらなければ、これはとうてい遊んでいる土地を持っている、あるいは一階、二階建て土地を持っている方々が、自分土地を、空間を提供して住宅をそれに乗せるというような意欲は起こらなくなる、この点はいま現在住宅金融公庫が行なっている貸し付け標準というものは、どういう形でやっているのか、それからその法律的な根拠、それをひとつ明らかにしてほしいと思うのです。これはどっちに聞いていいかわからぬけれども
  8. 師岡健四郎

    参考人師岡健四郎君) 中高層等家賃のきめ方につきましては、省令で定められているわけでございます。公庫に対する償還金、それから、ただいまお話しのありました土地に対する考え方地代相当額、あるいは維持管理費公租公課等を含めて家賃がきめられるわけでございますが、公庫に対する償還金は、それぞれの貸し付け年限貸し付け利率によってきまるわけでありますが、お話しのとおり、土地に対する考え方、これが必ずしも時価算定されておらないわけであります。これは御承知のとおり、最初にできました土地担保賃貸住宅等におきましては、あの当時低家賃政策という立場が堅持されておったわけでありまして、そこで、この地価時価どおりに見ますと、勢い家賃にはね返って高くなると、こういうことから、一定のところに押えてやっておったわけでございます。しかしながら、いまお話のありましたとおり、そういうほうをあまり強調しますと、またそういう土地をせっかく提供しようという意欲も減退すると、こういう問題もございます。そこで、そのかね合いをどうするかという問題でございまして、これは公庫だけではありませんで、住宅公団においても御検討になっておる問題と思いますが、在来について申し上げますれば、土地担保賃貸住宅を一例にとって申し上げますれば、固定資産税評価額に千分の十をかける、こういうようなやり方をしております。したがって、固定資産税評価額は、御承知のとおり、時価に対して、まあいろいろでありますが、五分の一とか、そういうことになってきますから、十分な地代相当額を取れないと、こういうようなことになるわけであります。この辺は最近の地価の非常な上昇を勘案しまして、少し窮屈過ぎはせぬかというので、目下もう少しゆるめる方向検討したいということで、せっかく検討中でありますが、まだ正確に私どもは結論を持っておらぬのであります。
  9. 田中一

    田中一君 今回提案されている法律案は、大体において国民が希望する方向融資その他の条件を緩和しようというところにあるのであって、これはもうわれわれも賛成をするものでありますけれども、しかし、もうこの予算が通れば直ちに融資申し込みを受けるという段階になっておる。それがまだそういうものも検討されておらぬということは、これは困るんです。少なくともただ単に固定資産税評価額だけでもってものを律するのもおかしなもので、社会に流通しているすべての条件を加味した評価というものがその価値をきめるのであって、これはただ千分の十ということだけでも困るし、また全然車を置く道路もない、細い小路へ回っていくような土地では、これまた困るわけなんです。したがって、しいて言うならば、そうした条件住宅金融公庫自身が考えられて、これを独自の見方をしてもいいんではないかと思う。ですからいまの、大体におい三百万程度以上に売ってはならないというようなきめ方をしないで一その三百万円以上で売っちゃならないという規定はどこにあるんですか。これは何ですか。法律ですか、政令ですか。それとも業務方法書ですか。何にあるんです。
  10. 師岡健四郎

    参考人師岡健四郎君) 三百万円という問題になりますると、分譲住宅分譲価格の問題かと思いまするが、これはいわば行政指導でございます。要するに非常に土地の問題もありまして、一戸当たり分譲価格が非常に高くなると、要するにそれは庶民の手の届かないものになってしまうというような問題もありまして、そこで大体三百万円見当、しかし都市部におきましては、大都市におきましては、またそれぞれ地価が違いますから、これは四百万円台まではよろしいというようなことで、これは行政指導でございます。
  11. 田中一

    田中一君 何も行政指導で、おまえは四百万円、おまえは三百万だなんてきめるのはおかしいのであって、たとえば住宅公団の場合には、これは全額出してくれるのだから、相当高くなっている。せんだっても予算委員会で問題になったオリンピックのプレスハウス、あれは六百万、七百万というような価格で売っているのです。同じ政府施策住宅でありながら、片方価格は、全額国が出して売っている。住宅金融公庫の場合には、標準価格が八万円程度に押えて、その七割五分しか貸さない。国民がそれに対して自分投資をしているのです。投資金利も見ない。また土地という投資をして、その土地価格も押えに押えて、かつまた、中高層の場合には、償還期限は十年間なんです。片方は三十五年の長期の償還を認めながら、そうしたバランスがとれない政府施策住宅というものは、せんだっても大臣がこれに対して、まあ住宅金融公庫はそれは妥当でしょう。公団公団として妥当でしょうというような答弁をしている。これは建設大臣としても相当考慮しなければならぬと思うのです。自分の持っている資金なり、自分の持っている土地を提供して、そうして不足な住宅建設に対して奉仕をしようという気持ち、これが自分の頭金も入れ、その金利も全然見てくれない。自分土地建設する、その土地価格行政指導で押えて、それも一千万円以下でなくちゃならないくらいの押え方ならいいけれども——一戸当たりですよ、こっちは坪当たりと言っているのじゃないのですよ。そうして賃貸する場合には、低家賃というが、低家賃の場合には、全額国が出しなさいというのですよ。無利子の金を地主に渡して、利子は取りません、あなたの空間だけ借りるんだから、その分の土地代だけの利益を取ってくださいといって、住宅金融公庫が金を出すならば、それはあなたの言っている低家賃の、国民がほんとうにそれは安いといって飛びつくような家ができるでしょうけれども、個人の財産を投資し、また資金としても十二万、十三万くらいかかるものの中の八万円を標準価格として、そのうちの七割五分しか貸さないで、その投資金利すら見ないで、その地価の妥当な価格すらまるで十分の一程度評価をして、そうして低家賃住宅を提供しろなんということは、これは神わざでもできないのです。私はここに住宅金融公庫根性が、金貸し根性というものはもう徹底していると思うのです。そういうものではないのです。したがって担保にしても、まるで二重、三重の担保をとって安全を期している、こういう施策は、これは今回の法律改正によって、前向きに国民生活に向かい合っているのだから、その点は時価に対する評価というものを、その土地土地によって行なうべきであると思うのです。大体何ですよ。現在国が土地を払い下げるにも、土地を買うにも、買収の補償をするにも、全部時価主義によっていますよ。時価主義に。現にこれは住宅公団の場合でありますけれども工業団地等は原価の倍をもって時価と一応算定して、まああえて利潤とはいいません。言いませんけれども剰余金をとっている。なるほどこの剰余金はそれが配当で使うものでなし、また新しい投資として国民に還元されるのでありますから、一応その考え方も認めるとしても、中高層に対する融資条件というものは非常に過酷です。これはひとつどういう方法でいくか、大幅にゆるめることが必要と思いますが、これはどっちに聞いたらいいのかな、……政府に。
  12. 尚明

    政府委員(尚明君) お説のとおりだと思います。元来、土地担保の全貸し賃貸住宅等公庫として始めましたときには、先ほど総裁からお話し申し上げましたように、なるべく低家賃住宅を提供するということで、これに御協力願う地主さんというものをさがし求めてアパート建設をやったのが実情でございます。しかし、それからかなりの年月がたちまして、今日は市街地の中にできるだけ勤労者住宅建てていく、そしてその空中を利用することによって土地合理的利用もはかるというような利用性土地問題としても非常に強くなったわけでございます。したがいまして、私どもは、今回の改正の中にもいろいろそういう点が、不十分ではありますが、助長されるような趣旨改正をいたしたわけで、これを機会に、ただいま御指摘のございました中高層住宅家賃算定方法等につきまして、土地提供者在来のように単に低家賃に協力するということだけを当てにしてつくるというのでなく、それはあまりもうけていただいても困るわけでありますが、今日の社会情勢として、いまの都市立体化というような要請と相かなえられまして、家賃は多少高くなりましてもこの問題が促進されるように、省令等必要な部分を建設省として改正いたしたいと思って、いま実は個々のそういう数字について検討事務局としてしている最中でございます。したがいまして、来年度実施に至急間に合わせまして、これこれの条件で今後家賃算定等はなるということは、至急予算成立の暁には定めて、ことしの事業実施のところから、いま申しましたような趣旨が盛られるようにいたしたいと考えております。
  13. 田中一

    田中一君 住宅局長ことばじりをとらえるのではないけれども、あまりもうけても困りますがなんていうことばが出るところを見ると、やはりもうけ過ぎておると思っておるのじゃないかという気持ちが残っておる。当然、自分土地を提供するのだから、その土地利用価値に合うような報酬は当然のことなんですよ。そんなに低家賃住宅がほしいなら国が無利子の金を出しなさい。そうすれば喜んで政府望みどおりの低家賃の家を建て自分土地を提供してくれます。これはいままで大体一戸当たり、三百万円とか三百五十万円とかいうものを四百万、五百万にしたからといってそれがかなえられるものじゃないのです。妥当な数字を出せと言っておるのです。ある場合には二百五十万の場合があるかもしれません。それはそれでいいじゃないですか。
  14. 尚明

    政府委員(尚明君) 計算法は、たとえ地主は、地代等については当然正当な地代が入ってくるようにいたしたいと、こういうふうに考えております。なお、いま建設費三百万円、四百万円というお話がございましたが、これはできるだけ安い家がいいのですが、主として三百万円、四百万円で公庫指導いたしました。また、もちろん私たちがその指導に賛成したわけでございますが、それはこういうことでございます。と申しますのは、郊外の住宅地を開発いたしまして、しかし、そういたしますと土地費だけでもすでに坪三万円とかなんとかになります。それを堂々と広々と一戸に百坪とか百何十坪とかつけて一戸建てで売る。そうするとその値段が三百万円とか、五百万円になってしまう。そういうところはもう少し合理的に利用してアパート的な建て方をすれば、それが三百万円に技術的におさまるわけであります。そういうことで在来の手法になれて、土地をつけて、そこに広々とした土地をなるべくつけるようにして、そして一戸建て建てて、そして三百万円、五百万円になる方法は今後は改めて、そういうところはなるべくアパート化して、アパート化すれば土地費自身も半分に減りますので、そういうふうなくふうをせよという指導がおもなものでございます。なお、実際市街地の中で、たとえば坪十万円とか十五万円とかするところにアパート建てますれば、これはいかように考えても三百万円ではアパートにいたしましてもできません。そうしますと、自然四百万円になり四百二十万円になったとしましても、これは特に私どもはこれをいけないことというふうに考える次第ではございません。つまり、三百万円以上云々指導をいたしましたのは、むしろ土地有効利用を推進する意味において公庫指導し、私どもはそれを了承したわけでございます。
  15. 田中一

    田中一君 また住宅局長ことばじりをとらえるわけではないけれども都心を離れた土地へ行けば、アパートにすれば土地も半分で済むとはとんでもない話です。建蔽率で、その地域指定建蔽率、これは三割、四割地区へ行ったら土地はかえって余分にかかるのですよ。だから君のことばじりをとらえるのじゃないが、実態はそうではないのです。地方へ行けば行くほどますます建蔽率が違うから、都心ならば九九%ぐらい建てられるようになっているけれども地方へ行けば二割とか三割地区という指定があれば土地はもっと余分にかかることになる。これは別に弁解は要りませんけれども、そういうことばは使っちゃいかぬよ。決して半分やそれ以下に立体化したからなるとかいうことにはならない。都心においてこそ初めてなるのです。それは何か説明があるなら聞きましょう。
  16. 尚明

    政府委員(尚明君) 建蔽率三割地区二割地区とか、非常に厳重な地区を持っているのは東京だけでございまして、たとえば、先ほど申し上げました三百万円云々というような問題は、大阪の千里丘陵の開発でございますが、あれを開発いたしますと、やっぱり下水その他をつけますと坪当たり三万円くらいにつきます。それを一戸について百坪もつけて売りますと土地だけで三百万円、せっかく下水もつけ、舗装もし、造成した土地は、一世帯に百坪といわずこれを二世帯で使うようにすれば、それが有効であり、かつ、その場合建て方としてはアパート的な、あるいは二階建てアパートというような方式の建て方合理化ができる、そういう意味でございます。なおまた、三割地区等の問題は確かにこれは御指摘のように非常に苦しい問題でございます。そこで東京などで分譲地をつくりますときは、そこでたとえば一団地住宅経営というようなことをいたしますと、三割地区であっても、都市計画指定をいたしますれば、これを四割地区五割地区に引き上げて実行することができる、そういう努力をしてなるべく高くならないようにしたいという指導方針であったわけでございます。
  17. 田中一

    田中一君 そうすると、今度改正によって相当前向きの緩和規定を設けるということになれば、そのように地価が百万とか百五十万とかする場合、それに十階十二階を建てるということになれば、相当投資に対する配当、ということばは不穏当かもしれませんが、事実自分アパートを経営するとなれば配当がほしいわけです。こういうものを大幅に見るということになるでしょうね。したがって、頭から押えたワクでもってこれ以上に貸しちゃいけないとか、これ以上に売ってはいけないとかいうような規制をきびしく、どの線の数字が正しいか知りません、しかし、少なくとも常識的に見て、その価値というものがわかるわけですから、それに順応した分譲価格または賃貸価格というものを算定してもいいでしょう、いいんですね。そうするのだというように認めていいんですね。
  18. 尚明

    政府委員(尚明君) 大体御趣旨のとおりであります。たとえば中高層貸しというような形でアパート建てた場合、十年間お貸しするわけであります。したがって、その間は公庫への十年間の毎月の償還金、それと土地自分がお持ちですから、それに相応する地代を中心にして、そのほか管理費等を取っていただくということにいたします。そうして、むしろ十年間でも、もちろんその間において、地代相当くらいは当然自分のところに入ってくる。そうして十一年目からになりますと、これは公庫に返すお金は要らなくなりますから、これは全部自分のほうの家賃として取得できる、そういうような計算法になると思います。
  19. 田中一

    田中一君 大体七割五分の融資ですから、あとの二割五分は手持ち資金、それからそのほかに、今度は八万円ではできないのだから、結局あとの四、五万円というものを自分が負担しなければならぬ。その四、五万円の金利等は、これをいままでは見ておらない。道楽でアパートをつくるんでしょうという見方をしておる。余分な利益をとるために経営するんでしょうという見方をしているらしく、さっきの局長のことばじりでもうかがえるけれども、そうではないんですよ。したがって、その金利等は幾らくらいに見るのか、新しい投資に対する金利等は。
  20. 尚明

    政府委員(尚明君) 私、いま説明で落としまして恐縮でございましたが、頭金として負担いたしましたお金につきましても、在来金利は一部について見ていたわけでございますが、これを適当な金利、すなわち八分ないし一割くらいの金利として見られる、それから土地につきましては五分ないし六分くらいの利回りとして見られる、そういう計算法に基づいた計算をいたしたいといま案を練っております。
  21. 田中一

    田中一君 師岡総裁に聞きますが、大体あなたのところで貸した金によってつくられているアパート、何十戸以上という相当大きなアパートなどでは、従来ともにあなた方がいわゆる行政指導できめた家賃だけでビルの経営をするという実情はありませんね。議事録に載るからまたうるさくなるか知らぬけれども、実際そうでしょう。それからそのほかには、おれは部屋を借りたんだと、建物全体は当然これは家主の責任ではないか、あるいはおれは部属を買ったのだと、廊下はなるほど共有分になっているけれども、そんなものの管理は、ワンフロアに三十あれば三十人が一緒にやるだろうといってうっちゃっておけば、これは木賃宿になってしまう。やむを得ず建物を経営している者が、あるいは中高層——自分が一階でもって店舗を持って商売をしておれば、その人がすべての管理をしなければならなくなる。エレベーター一つ動かすにも、これに電気屋が一人いなければならないとか、いろいろございます。そういうものも結局だれかが見なければならぬ。私どもは、これは全部、国が経営する住宅であるならば、そこにそれらの維持管理というものは、まあ組合でもつくって、その組合の人間に全部やらせればいいじゃないかという考えを持ちますけれども、何でも私企業的に、まあ売るものは分譲しているけれども、管理をしなければならぬという場合には、管理費を国が行政指導してきめている家賃以上に取っている場合もあるわけなんです。これは合法的です。それだけかかるんだからしようがありません、合法的です。しかしながら、そういう形のもので、自分土地を提供し、アパートの全体を経営している人たちが、やはりつらい思いをしながらアパート建てるという心持ちをなくするように、合理的なものが望ましいと総裁はお考えでしょうね。
  22. 師岡健四郎

    参考人師岡健四郎君) この点につきましては、これは私どもだけの考えではどうもうまくいかないので、住宅局とも常に検討をしておる問題でありますが、先ほど来のように、賃貸住宅分譲住宅で多少違いますけれども、要するに、いわば公庫としましては、庶民住宅の金融をやっておるわけでございます。で、この中高層につきまして言いますれば、お話のとおり、事業者の立場というものも大いに尊重していかなければならぬこともお話のとおりと思います。しかし、同時にそれを買う人、あるいはそこに入る人の立場というものも全然考えないというわけにもまいらぬかと思います。そこで、たとえば分譲住宅についていえば、分譲価格についてやはりそうむやみに高いものになってはいけない。そうしますと、結局どういうことになるかといえば、分譲住宅についていえば、あまり高い土地のところへ建てれば、結局お話のとおりその地価を押える形になるから、これはやれるものではない。ところが、その地価を大体入れてしまえば、非常に高い分譲価格になる。そこで、やはり庶民住宅としての分譲住宅ということになれば、大体このくらいの地価のところでないと結局は購入する力もない、したがって、その借り入れ金に対してもう償還できないというようなことになります。そこで、先ほど来の大都市において四百万円台とか——これは必ずしもまだ確定しているわけでありませんが、もう少し上がったっていいじゃないかと思いますが、しかし、これも先生のお話のありましたとおり、何ぼにしてもいいというものではない。結局、結論的に申しますと、地価との関係で、大体どの辺のところになれば、たとえば分譲住宅やこの中高層貸しつけによる政府の金融によって建つ住宅としては妥当なものかというその辺を求むることが非常に問題でないかと思います。これは多少公庫立場だけではきまらぬ問題でありまして、住宅局の御方針にもよることだと思いまして先ほど来申し上げたわけでございまするが、一例を申し上げますと、分譲住宅について申しますならば、地価十万円のところでやりまして、かりに五百万円で押えようということになりますと、大体一戸当たりの坪数は三十坪ぐらいになります。これが二十五万円のところに家を建てるということになりますれば、同じ五百万円でいけば二十坪の住宅になる。で、二十五かのところでは二十坪で建てて五百万円で売ればいいという考え方になります。しかし、この二十五万のところに今度は三十坪でやれば、とても五百が円ではおさまらない。その五百万円以上のものもお認めいただけるものかどうか、これは住宅局のほうでお与えいただく問題でございます。
  23. 田中一

    田中一君 庶民住宅、庶民住宅というけれども、庶民住宅というものは、これは賃金は別にして、あなたの言っている庶民住宅の定義の対象は、十二坪の家の家賃がどのくらいであればいいのだということになっておるのですか。どうもことばが、いろいろぼくらの感じないことばをあなた方が使うものだから、ちょっと引っかかってくるのですよ。私は、低収入層だからこそ都心に入れろというのです。これは車を持って、三鷹や八王子から通う人は一向差しつかえございませんよ。そのほうが土地が安いのだから安いのだと。——しかし実際にそろばんをはじいてみると、都心のほうが安いのですよ、本人の負担は。たとえば五人家族で計算すれば、子供は中学校に通う、あるいは成長して高等学校とか大学とかになれば、それは都心のほうが安いのです。自分が働きに行くのでもそうです。自分の職場に一番近いところが一番いいのです。こういうふうによごれてない東京都ならばね。しかし何といっても、市街地の再開発ということは、これは遊んでいる土地があるということがやっぱり魅力なんです。総裁の言っている庶民は遠く浦和から通いなさいよ、庶民は所沢から通いなさい、そのほうが家賃は安いですよ、——ところが、金がかかってしょうがない。そうじゃなくても、それは生命力をとても消耗するわけなんです。それではいけない。だから何をもって安いとするか。何をもって高いとするか。所沢でもって自分家賃が一万五千円かかる、一万五千円かかるなら、ぼくは渋谷で三万円のところへ住んだほうが、自分は得ですよという計算も成り立つのです。だから、そういう点は家賃の安いとか高いとかいうことだけで、それを律するものでもなかろうと思う。ところが、住宅金融公庫の役目は、そうでございますというならば別ですよ。私のほうはそうでございますというようなら、これは別でございますよ。私どもは大体住宅公団とか住宅金融公庫というのは、一日も早くつぶしたいのですよ。全部国が直接に財政投資をしている公営住宅というものを、地方公共体の負担を軽くして、全部公営住宅でもっていくのが一番正しい行き方であるというように考えているのです。これは御承知のように、さっきもちょっと住宅局長総裁に聞いてみると、たかだか三百五十億円程度のものしか予算を出しておらぬ。住宅金融公庫には今回一千億以上出しておる。公団に一千億以上出しておる。こうなると、政府自身が安い家賃の奴をつくろうという意欲を持っておらないことが明らかなんです。おそらく住宅公庫総裁でも、早く自分住宅金融公庫などなくなってしまって、そうして全部財政投資でもって国民に規模のゆるやかな、安くよい環境の住宅が、国営住宅または公営住宅として供給されることが、住宅建設の業務を営んでいる住宅金融公庫総裁としては最善の道であって、それが自分の望みでございますという答弁が出るのが、あなたの精神であろうと思うのです。しかし、どこまでも住宅金融公庫という住宅金融業務を営んでおるあなたが、それから一歩でも二歩でも前進する形の住宅建設に向かうという意欲を持っていなきゃならぬと思うのです。したがって、ただ単にあなたのワク内ばかりでなく、全体の住宅供給というか、住宅建設という川から見ますと、やはり住宅金融公庫のあり方というものも、あるいは大胆に献策をする、あるいは自分のほうの案を話し合うということを、前向きな姿で国民生活に対処していくというかまえが必要だと思うのです。ことばじりばかりとらえるわけじゃないのですけれども、あなたはやはり住宅金融公庫総裁なのですから、そのワクから言うのですが、そのワクばかりでなく、もっと大きな視野に立ってひとつ考えていただきたいと思うのです。安い家賃とか庶民とかいうことばがぴんぴん出るものだから、何かそれらの味方のように見られるけれども、味方じゃない。もし味方なら八万円の標準建設費を八万円出すのだということにしなさいよ。頭金は要りませんということが一番望ましいので、現在の段階における住宅金融公庫施策にしても、未開発の都心周辺の宅地を高度に利用して、よい住宅を提供するということに来なきゃならぬと思うのです。家賃が安い高いじゃなくて、それよりも日本の国民の働く賃金が低過ぎるということのほうを追求したほうがもっと妥当です。どうも日本の働いている国民は賃金が安過ぎる。自分はこういって十四坪のいい家を自分で供給するつもりでいるのだけれども、ところが、国民所得をもっと上げてほしいのだ、ふやしてくれ、そうすれば、こういういいものをつくれば安く入れるのだ、自分の一家の収入から見たときに、家計から見たときに、この負担はできるのだという方向に向かわせるようにひとつしてほしいと思う。そしていま言っているような庶民とか、低家賃とかいうことは、もう終戦直後に言うことです。これは十五年たっているから、十五年前のあかがこびりついているんじゃないかと思う。そういうものを捨てて、国民所得も伸びております。労働者の賃金も貯蓄も、多少は、十分ではありませんが伸びております。したがって、よい環境、質のいいものをつくろうということになっておりますから、したがって、多少は公営住宅よりも高いのはあたりまえです。同時にまた都心の場合には、それだけに肉体上の、生命力のロスがなくなって、それから間接的な、金銭的な負担も軽減されるということになると、少しは高くてもそのほうを求めるという傾向が強いのでありますから、その点ひとつ考えてほしいと思うのです。もうこれ以上申しません。ただ往宅政策について、この次に住宅供給公社の問題があるから、大臣にも十分に時間をかけて質疑をいたしますけれども、いま当面の問題として、私が言っているように、不当な低価格、低家賃ということで押えつけるために、自分土地を提供するという意欲を失いつつあるところの経営者、これらに対して、しょせん金融業者でありますから、いま住宅局長も考慮する、総裁も、政府はそう考えてくれるならそう実行しますと言っているんですから、妥当な線で緩和するように、この法案の趣旨を体してしていただきたい。これに対して、大臣の締めくくりのひとつ御意見を承りたい。
  24. 小山長規

    ○国務大臣小山長規君) いま伺っておりますと、私はわが意を得たりという感じがするわけです。ただ、いま問題は、公庫総裁が言いましたが、一体どの程度家賃ならば、勤労者も郊外に住むよりも、このほうが、この程度家賃ならば市街地に住んだほうがいいという、そこを見つけるのが非常にむずかしい問題なんです。いまおっしゃったような趣旨で、その限界点を発見するようにしながら、ひとつ改善したい、こう思っております。
  25. 田中一

    田中一君 その程度じゃ困る。どうもあなたが官僚にがんじがらめに抑えられている。ずばりとおっしゃいよ。実際この場合、いま私初めて知ったのですが、分譲価格の押え方などは、目をつぶって幾ら以外はだめですよ、こういっている。八万円で中高層の家ができるならばこれもいいですよ。八万円でできっこないですよ。それにその八万円の標準建築費に対して七割五分の融資をして、価格はこれでございますよと押えているんです。八万円でできるという自信があるならば八万円の建設費として算定してきめればいいんです。公営住宅自身の家賃というものは、建設費によるところの家賃になっておりますから、算定の出し方が、それと同じようなケースでもって、動かない弾力のない分譲価格とか家賃というものをきめるということは、たいへんな間違いなわけです。これはどうも妙なところに、いままでの住宅行政としては押し込んで、そして公団にしても公庫にしても、やりにくい形にさせている。そして二つも三つも窓口があるものだから、一つの土地を何百人、何万人がねらって宅地をつり上げる。つり上げておるのは公庫公団ですよ。公庫などは、全国的に、これから法律を出そうという住宅供給公社に資金を流すものだから、これまた一緒になってあおり立てて、足らない宅地というものをさがし歩いてつり上げておる。そういう形がおかしいというのですよ。これは一つの姿になれば、窓口が一つになれば、つり上がりゃしませんよ。つり上げているのは政府です。そうしていながら、分譲なり家賃を取る場合には、これ以上取っちゃいけない。何をしろというのです、一体何をさせようというのか。こういう施策は、今回多少緩和するから、われわれはこれに賛成しているわけなんです。大幅にすべき段階が来ておりますよ。応募者が千倍ございました、千二百倍ございました、こう言うから、ぼくも調べてみたら、たった六戸ですよ。青山のあれはたった六戸を募集する。倍数でもってこれには千何百倍来た、たった六戸の家を賃貸するといって。それは一番いい適地ですよ。そのくせに所沢なんといった都心を離れたところは、かんこ鳥が鳴いて、だれも来る者ありませんよ。いまあき家がたくさんありますよ。それで倍率でもって、さもさも政府としてりっぱな住宅供給をやっておるように国民をだましておる。私はびっくりした。千何百倍というので行ってみると、六戸ですよ。六戸で六十人来れば十倍になるでしょう。六百戸あるのなら別だけれども、そういうようなナンセンスなことをやって、国民は、住宅公団なり、住宅金融公庫のやっておる、たとえば東京住宅公社とか、あるいは首都圏不燃公社等が中高層でやっております、そういうもので、倍数でおどかして、さもさもたくさんやっておるようにして、それで困窮者というワクの中にそういうものを入れて統計とっておる。これは仮需要なんです。みんな仮需要。どっちみち六戸じゃ当たりっこないけれども、一点かせいでおこう。そうして今度あき家抽せんのときには頼もうということでやっておるのです。そういう点は、実態を実際に理解しないで、ただ空な夢を追う人たちに迎合するというか、それにやはり住宅政策を、やっておるものは酔っぱらっておるのですよ、そういうものに。実際困っておる者に、いまるる申し上げたように、自分土地を提供し、自分もそれによって生計が営めるのだというような形の協力者が都民の中にたくさんいるのですよ。それがやはり生計できるような形の施策をすることが望ましい。私は、ある例があるのです。四十八戸の全貸しアパートというものを住宅金融公庫にやってもらったらどうだというので、こまかい計算をしてもらった。そうすると、何と四十八戸のアパートを、全部国から貸してもらって、五十年償還ということで計算してみますと、税金から何から一切払うと、月に三万円程度は残るでしょう。その土地は一坪五十万円しておる土地を提供して、三万円、四十八戸だから、自分が掃除ができないから、どうしてもおばあさんと女の子の二人くらい置かなければならぬ、四階建てだから。そうすると、毎月毎月二万円くらい持ち出さなければ、その四十八戸の管理ができない。そうして二万円ずつ持ち出していると、五十年たつと自分のものになりますということになる。五十年たって自分のものになったって、これはだれも住む者がおりませんよ。住む者がいやしない。もっといいものがたくさんできている。私はせんだっても予算委員会で申し上げたように、住宅金融公庫中高層融資住宅というものは、三十五年の耐用年数で計算すべきだ。三十五年でちゃんとそろばんがとれるようにすべきだ。三十五年たったらここで新しく建てる。いまだに五十年、七十年で金をもらいますよ。三十五年にしてもっと合理的な、技術的に見てもこれは可能だと思う。それには三十五年たったらこわします、また政府は新しくあなたの持ち家をつくってあげましょう、金貸し方針なら全貸しでつくってあげましょう、そうしてあなたが坪五十万の土地を百坪提供してくれるならば、それじゃ百坪分そろばんをはじいて、あなたの生計費として家賃からこれだけ入るようにいたしましょう、そうして自分のほうにはこれだけ返してください、そうしてほんとうに前向きに、都民に奉仕する人たちの生活、人たちの心、それからそれを受ける、供給せられる都民のしあわせというものを考えるというのが、真の住宅金融事業なんです。住宅金融事業の本来の姿なんです。いまそういうのはございますか。私は住宅金融公庫総裁に、これこれの中で全貸し、それが融資していないというから、今度は相当その幅が広がりますから、こういうものがどのくらいでできるかということを試算していただきたい。何にもならない。五十年たったらこわすのに金がかかる。これを一つこわすのに二万円かかるというので、スラムが残っちゃってどうにもならない。それでは自分の宅地を提供するとか、低収入者に安い住宅を供給しようという意欲は絶対に起こらないと思う。木造アパートがどんどんできる、これなんか三年で償還できるのです。その寿命が十年、木造は悪い材料を使っても十年もちます。そうすると、三年で元を取ってあとの七年間は利潤になる。こういうものに何も政府住宅資金を貸す必要はちっともない。しかし、それはそれなりにやはり中高層というか、都心の再開発ということを考えた場合には、生涯その奉仕によって本人なり家族なり子弟なりが、五十年後にもしあわせであるということがほんとうの住宅政策、ことに市街地再開発のほんとうのねらいでなくちゃならない。それは否定しないですよ。そういう試算を一ぺんしてみるとわかるのです。
  26. 小山長規

    ○国務大臣小山長規君) 私が申し上げたのも同じような趣旨であったのであります。要するに、こういうふうな土地を所有している人が、公庫から金を借りてやろうという場合に、その貸し付けの限度といいますか、一戸当たり幾らというものを外算する場合において、いま田中さんが言われたような、正当な地代、あるいは自分の持ち出しに対する金利、あるいは管理費、それを含めて計算すべきものである、それは当然先生がおっしゃるとおり、私もそうでなければ、だれも提供する人がいないと思います。ただ、そうは言うものの、それじゃ無限に五十万、百万の土地にも貸すのかというと、そうはいかない。一体仕上がりの結果、家賃がどの程度のところを貸し出しの対象にしようかということを政府としては考えなければならない。無限に百万の土地にも貸しますというわけにはいかない。そこのところの限界点をさがさなければならないということを申し上げたのであります。
  27. 田中一

    田中一君 あなた、やはり銀行マンだから計算だけを中心に考えているけれども、損したっていいですよ、国は。住宅金融公庫は大体気にくわない。ちっとも損をしないところなんですよ。実際、この回収率見たってそうです。平均すれば九九・五%くらいになっている。だから私は、総裁は無能な総裁だと思う。もっと赤字を出す総裁が有能な総裁だ。そこで二十五年にこれができたのはそれなんです。だから、それは有能、無能ということばはまずいからあれだけれども、これは一つのギャグだから。  そこで問題は、いま話にあったけれども住宅金融公庫では、最初三十五年が耐用年限だというような設計をさせなければいかぬという、これは予算委員会でやったんだけれども。三十五年だよ、あるいは三十年です。三十年になれば建てかえるということです。したがって、これは建築基準法の問題が大きく問題になってくる。しかし、基準法が現行のままでやるととしてもその方向で進めなければだめですよ。大体、基準法の問題も、これはこの間も尚君が早急に調査して、調べるとかなんとか、言っておるけれども、これはしなければだめだよ、君。このままじゃしょうがない。そうして鉄骨をたくさん使ってセメントはあまり使うなというのだ。セメント会社にしかられるかもしれないけれども。鉄骨を相当使って取りこわしにも金がかからないようにする。さっきもちょっと雑談したけれども、やはり新潟の引っくり返った県営住宅が、あれがこわすと坪当たり二万円ぐらいかかる、こわすのに二万円ぐらい。起こすと七万円ぐらいかかる。とってもこれは、そしてあのままになっている。住宅行政をつかさどっている建設大臣、どうですか。新潟のあの地震で倒れた家がそのままこれは名所になっているそうです。そういうようなものを今日はつくらないで、もうむろん耐震、耐火であり、かつまた、こわすというときにもあまり金をかけないでもこわれるような、こわれるといって——こわすことのできるような家を建てるように考えたらどうかと思うのです。これは夢じゃないです。できるのです。尚君どうです、この点は。
  28. 尚明

    政府委員(尚明君) おっしゃるとおりでございます。建築物が最も経済的効果を発揮するとするならば、その社会的な使用と物理的な構造使用の耐用がぴったり一致すれば最も経済なわけでございます。しかしながら、なかなかあらゆる技術がそこまでまいりません。たとえば、くつにいたしましても、くつの底に穴があいたときに、上の革が破れで穴があくのが一番経済的なくつなんでありますが、やはりそれも必ずしもうまくいきません。しかし、方向としてそういう方向が出ることは正しい方向だと思います。したがいまして、私ども、いま先生がいみじくも御指摘になりました鉄骨使用による、しかも価格が安くでき上がり、しかも取りこわし等が容易にでき、通常の住宅社会的耐用年数、今後はおそらく三十年ないし四十年となりますが、それに見合うような構造設計を新しくつくりますことが、一番われわれ技術を開発するものたちとして大事なことだと思います。現にフランス等におきまして、鉄骨とコンクリートの板の組み合わせによるプレハブというようなものが数年前から出てまいりました。わが国においてもそういう研究に着手いたしております。したがいまして、遠からず先生のおっしゃるような方向の筋道ができると思います。したがいまして、それを誘導するような建築基準法の改正というものもさっそく研究に取りかかっている次第でございます。
  29. 小山邦太郎

    小山邦太郎君 関連。低家賃を供給されるためには、田中君の各方面からの質問は、これはなかなか聞くに値するものがあると思ったが、そのうち、公庫に対して損してもいいから云々ということがある。これは私はいかぬと、損はしないほうがいい。しかし、損をするなら国が損をするのだと。そうしてそれには私は、もう同時に、この住宅政策は一歩一歩進んでいると思います。今度のも大いに進んだ。しかし、これでも足りないというのは、単価が安過ぎるということ、それに対して土地はもちろん、自分の資金を入れながらまだ七割五分しか借りられないという、この率をなるたけ上げるということと、それから利息を安くする。利息を安くするといっても借りた金を回すのだからそんなに安くできないと。これに対しては、政府があたかも土地に対して、土地構造改善等の場合に利子補給を政府がやるというようなことも、きょうの問題ではありませんが、今後の住宅政策充実の上には御考慮をわずらわしたいと思いまするが、これはいかがでございますか。
  30. 小山長規

    ○国務大臣小山長規君) いまおっしゃいました融資の率を引き上げていくということ、もう一つは、融資対象になる単価を実情に合わせていくようにするということ、これはもう当然に必要なことでございまして、そういう方向でいきたいと思っております。  それからまた、いまの利息を安くするためには、国費を使いまして利子補給的なことをやったり、あるいは国費をそのまま建設資金に回すというような方法もとっているわけですが、これは利息を安くするためにとっているわけであります。それは貸し付け願います場合には、用地費にまで及ぶわけですから、これはまあ全体の利息を安くするということで解決すると思いますが、その方向にだんだん進んでいかなければならぬ、こういうふうに思っております。
  31. 田中一

    田中一君 尚君、利率が、この場合はあの場合はと、非常に利率が違うのだけれども、これは根拠があるの。もしその根拠が、まあ次の段階で質問するが、その根拠はどこにあるの。たとえばいまここに明らかになっているように、これは五年以内七分五厘とか、あるいは十年以内六分とか、あるいは十年以内七分とか、そういうような利率の相違というものは、何か根拠があるのですか。
  32. 尚明

    政府委員(尚明君) 住宅金融公庫の利率につきましては、当初住宅金融公庫が始めましたときには、個人住宅融資とそれから賃貸住宅地方公共団体の出資する公社、協会に融資して賃貸住宅建設させる、この融資が初めに始まったわけでございます。そのときの利率は五分五厘といたしておりまして、今日なお五分五厘でやっております。この五分五厘をきめましたときには、公営住宅の第一種公営住宅が、これは補助金で建設をいたしておりますが、その家賃等を全建設費からの利回りで計算いたますと、第一種公営住宅が、おおむね三分に回っております。したがいまして、住宅金融公庫に個人の持ち家を融資すること、それから公営住宅よりやや上の階層の賃貸往宅を建設することには、五分五厘が適当であろうということで、まず五分五厘をきめました。それからあと、たとえば中高層建築物等融資の場合に、あるいはげたばき住宅というようなものが始まりましたが、これもやはり市街地の中で不燃化するのを促進すると、それからそういった種類のものは必ずしも純粋の住宅経営のみではございませんで、商店の建築等も入っておりますので、これは期間としても十年にいたします。そして利率も七分程度でいいと、よかろうというようなことで、それぞれ、それと比例をとりまして七分にいたしました。また、住宅の改修融資等はすでに家をお持ちの方に対する融資ですから、元来の五分五厘より少し率を上げて六分程度でもよろしかろうと、こういうことで、先生のおっしゃるように厳密に一つ一つがぴったり数字が合うというわけではございませんけれども、おおむね、先ほど申しました五分五厘をもとといたしまして、これにその他の諸条件を考え、かつ、資金の調達方法等も考え合わせまして、おおむね平仄が合うように、その上のほうに幾つかの段階で利率をきめておるわけでございます。
  33. 田中一

    田中一君 厚生年金あるいは簡易保険、それから郵便貯金等の預金者が受ける利子は、年幾らになっておりましたかな。   〔委員長退席、理事瀬谷英行君着席〕
  34. 尚明

    政府委員(尚明君) 定期の長いものでで六分でございます。
  35. 田中一

    田中一君 これは預金者が受ける利子……。
  36. 尚明

    政府委員(尚明君) さようでございます。これが資金源として公庫等に融資される場合は、いわゆる預金部資金となって六分五厘の利回りで融資されております。
  37. 田中一

    田中一君 そうすると、五分五厘というのは、国が利子補給をやっているんだということ。
  38. 尚明

    政府委員(尚明君) 利子補給という形の場合もありますし、在来住宅金融公庫では出資金と申しまして利回り、ゼロのお金を国が出資する形で、それを薄めて六分工匠を五分五厘として運用すると、こういう制度になっております。
  39. 田中一

    田中一君 その出資率はどうなっているかな、四十年度。
  40. 尚明

    政府委員(尚明君) 住宅金融公庫の四十年度の資金の構成を申し上げます。総額一千四十四億二千九百万円になっておりますが、そのうち出資金が四十億、それから低利資金が八百十億、それから公庫自身が回収金等で持っております自己資金が百九十四億二千九百万でございます。そうしてこれのみでは、利子が五分五厘までいろいろの利子がございますが、公庫の運用する各種事業の利率が定まりませんので、昭利四十年度から初めて利子補給金を出しました。その額が昭和四十年度におきまして二億四千七百万円でございます。
  41. 田中一

    田中一君 私は、五分五厘が財政投資、それから融資等によってまかなう一つのもとになっておる、そこからいろいろこの辺でいいであろう、あの辺でいいであろう、こうであろう、ああであろうという何か手盛りだな、あいつは金を持っているからいいだろう、こういう形で五分五厘から全部上がっているのですよ。五分五厘が最初の考え方住宅金融公庫融資というものは五分五厘ということで頭に入っている。これはずいぶんある時期には、とうとう値上げをさせたこともあった。何年だったか、二十七、八年ごろ、だと思うけれども、こういう点。それからもう一つは、償還年限の点ね。これは根拠が何であるか、非常に疑問に思うのですが、たとえば中高層にしても、下の部分は七十年でよろしい、しかし上は当然住宅として賃貸なり分譲しているんだから、上は鉄筋なら三十五年の償還期限を適用したらどうだろうか。そうしてこの分は五分五厘というようなことになるんではないかと思うのですけれども、その点はどうなっていますか。公庫総裁、どうなっていましたかね。たとえば金利中高層の場合には、全部十年償還ということになっている、そうじゃないのですか。
  42. 師岡健四郎

    参考人師岡健四郎君) 中高層貸し付けの場合には、約十年、非住宅部分につきましては七分五厘、住宅部分については七分と相なっております。
  43. 田中一

    田中一君 同じ住宅の供給を受けるものが、この場合には五分五厘だ、この場合には六分だ、七分だ、七分五厘だという区分け、これはわかりますよ。しかし、中高層の場合に、店舖の上に住宅を乗っけるという場合に、下は七分五厘、上に乗った住宅の部分は七分なんということは、これはおかしなもので、ちっとも変わらないのですよ、その実体というものは。これはきっと庶民は五分五厘、庶民じゃないものは六分だ、七分だと言いたいのかもわかりませんけれども総裁の腹の中は。総裁がきめるのじゃなくて建設大臣の認可事項になっておるのでしょう。責任は建設大臣だろうと思うのですけれども……。
  44. 師岡健四郎

    参考人師岡健四郎君) 法律でございます。
  45. 田中一

    田中一君 法律ですか、利率は全部。そうすると、これはこの際法律改正しなければだめだ。これは建設大臣、どう思いますか。これは結局大蔵省のほうから、財政当局のほうからいろいろ議論があり、問題があってこういうことになったと思うのだけれども、これは建設大臣、相当交渉すればできるのですよ。ずいぶんつまらぬ金を出しておりますものね。今度の日韓会談にしてもそうだ。三億から五億の金をやろうといっておるのだから。日本の国民が困っておる問題はさておいて、何も朝鮮にまでこうしょうああしようと思わずに、もう少しあなたはあなたの足元のことを考えてください。抵抗しちゃいかぬですよ。これはそういうものじゃないですか。これはひとつどうです、小山さん。こうした利率を公平なものに持っていく、将来の希望としてやっていこうということも考えておりますか。これはあなたが五月にやめても六月にやめてもいいのですよ。あなた自身がここでもって、そういうようなアンバランスを何とか是正して国民に公平な負担を持たせるように今後指導して努力してまいりますよという答弁をいましてくれると、あなたのあとの大臣はそれを受けて立つわけだから、そうすればいい大臣だ……。
  46. 小山長規

    ○国務大臣小山長規君) これは、公庫融資自体におけるアンバランスというものがあればこれは是正しなければいけません。ただいまの問題は、ほかとのバランスがあるだろうと思います。たとえば農林公庫貸し付けのバランスとか、いろいろなバランスがありまして、それでまず最初の基本になる五分五厘がきまっておって、その五分五厘と今度はほかの六分五厘あるいは七分とのバランスがどうだということになってくるのだと思いますが、その点は十分検討します。検討して、そうしてまたそれが是正されるように努力いたします。
  47. 田中一

    田中一君 それからもう一つ聞いておきたいことがあるのです。それはパーセンテージの問題です。融資の額の問題です。これもさっき小山委員が言っておるように、担保をオーバーしてとっておるものが八割くらい。全部一〇〇%貸すような方法が望ましいのですよ。せんだって建設大臣が、予算委員会に引っぱられたものだからとうとう結論を聞かずに行ってしまったけれども、その方向に向かっておる、九九・四五%の融資の道も開きたいのでございますという提案をしておるのですが、住宅公団とおのずから団体が違う住宅公庫とにことさらに差異をつけておるというように感ぜられるのですよ。公庫はこうだ、公庫はこうだからちょっと〇・四五低めておこうじゃないかというようなお手盛り式なことでやっているのじゃないかと思うのですけれども、そんなものずばりとなにすればいいんだよ。一〇〇%貸すようにすればいいんだよ。その方向に向かわないとおかしいのですよ。こういう点を将来是正する方向に持っていくかどうか、これをひとつ聞いておきたい。
  48. 小山長規

    ○国務大臣小山長規君) この間、私はちょっと勘違いしておったわけですが、公団公庫といいほうに合わせるように今後努力したいと思います。
  49. 田中一

    田中一君 さっさ答弁を受けましたから大体わかりましたが、それは何かというと、例の三百坪以上のものに公庫は持っていきたいということ、これは私はいいと思うのです、そこで今度は、その公営住宅、乗せられないということは、大蔵省が承知しないということで、これは理由は何ですか。
  50. 尚明

    政府委員(尚明君) 公営住宅を乗せられないのではございませんで、この中高層のげたばきの上に住宅を乗せますには、在来その乗せます場合、いかなる住宅であっても下が商店部分の建設費の七五%融資であったわけであります。今回改正いたしましたのは、その上に公共的な住宅が乗る場合は、それを促進するために建設費が八〇%融資で、五%引き上げましょうという法律で、法律は、政令で定めた住宅が乗っかるときは八〇%にするという法律改正になっておるわけであります。そして政令で定める住宅は何かということでござごいまして、そのときに御指摘の議論がございまして、まず公庫融資による賃貸住宅、いわゆる協会、公社等が行なう賃貸住宅、これが乗る場合に、下の店舖部分八〇%融資がよかろうということになっております。公営住宅の場合につきましては、議論が起きたわけでございます。それはまだ若干未解決の部分がある。と申しますのは、公営住宅につきましては、公営住宅の建物の建設費と合わせて土地費の補助金が国から補助されております。しかして、その公営住宅がげたばきの上に乗りますときにも、用地費も合わせて補助をいたしております。そこで、公庫から上の住宅へくるのは建築業のみ、公営住宅については、建築費プラス用地費がついているから、そういう五%ぐらいは公営住宅については上げなくてもいいの、ではないかという議論が未解決のままになっておるわけでございます。なお実態といたしまして、公営住宅在来店舗の上に乗りました場合は、たぶん大体もうほとんど全部が、下を公共団体が土地を所有しまして、そこがあまり場所がいいので下から住宅ではふさわしくないので店舗をつくりまして、その上に公営住宅を乗せているのが九九%なんでございます。したがいまして、実際問題としても、その必要がなかろうと、もちろんその土地を取得し、あるいは前から取得している場合でも、公営住宅には用地費の補助が出ておりますので、その必要がないのではないかと、こういう問題でございます。
  51. 田中一

    田中一君 公共団体が、主として市町村ですね、市町村が全部賃貸住宅をつくるということに対する融資は、いまこれはできなくなっておるというふうに聞いておりますが、それはどういうことですか。
  52. 尚明

    政府委員(尚明君) これはかつて公庫ができましたときに、賃貸住宅融資地方公共団体そのものに向かってできるかということが論議されたわけでございますが、地方公共団体は一方で起債と——自治省からの許可を得て起債をするというような、いろいろ公共団体に対する国の資金援助措置がございます。それで国の機関として別に住宅金融公庫ができて、そこからまた公共団体が住宅融資を借りられるということになりますと、住宅の、いわば大きいことばでいえば、地方から見れば、いずれも住宅起債になって、その起債が合算されて、これが自治行政等のほうから、まあ混乱を招く可能性ありというような議論がございまして、むしろ地方が出資した一つの公益法人をつくって、そこへ向かって融資し、賃貸住宅を経営させるのがよかろう、そういうことが公庫の発足のときに論議されまして、いま申し上げましたような地方公共同体の出資した公益法人が設けられ、そこに向かって公庫賃貸住宅融資が行なわれ、地方公共団体自身に直接は融資しない、こういう制度で発足しているわけなんでございます。
  53. 田中一

    田中一君 建設大臣、これどう思います。いいですか、こういうことなんですよ。さっき申し上げているように、公営住宅は非常に予算も少ない、そこで住宅困窮度の強い市民を持っている市町村では、何とか住宅金融公庫の金を借りて、それで賃貸住宅を経営しよう、こういう希望があるわけなんですよ。ところが、それはいま住宅局長の説明どおり、市町村はもし住宅建てようと、自前で住宅建てようとするならば起債を認めてやるよと、起債を認めて、起債が認められるという道があるにかかわらず、住宅金融公庫から国家資金を流してもらう必要がないではないかということでもってこれは中止になったというわけなんです。しかしながら、同じ市民に住宅を供給する場合、その市町村自体でなくて、市町村が何らかの形で組織し、住宅金融公庫融資をする対象として別の人格ができた場合には、それには融資しましょうと、その協会あるいは公社が、地方の公社が建てれば同じ実効があがるのでではございませんか、こういうことなんです。一体何も自治省のために別の余分な窓口と、余分な手数料を取られる必要は何もないのです。これはまあ申し上げますと、いまの局長が言ってれる公社とか協会とかいうものは、六%以上手数料を取るのです。だから住宅金融公庫から借りる資金全部に対して、六%だと思いましたが、手数料を加味されるのです。それだけ負担が重くなるわけですね。したがって、家賃も高くなるということだ、こういう制度が現在持たれておる。これは建設大臣、あなたじっくりとこれをひとつお調べになって、これはやめなさいよ。公営住宅の量が非常に少ないのですよ、話にならぬのですよ。ことしも国費として三百五、六十億程度ですね。余分な手数がかかる場所に、余分な一つのセクションに手数料を取られるのです。それを経営をすれば出しましょうという制度がある。これはいけませんよ。自治省のためにわれわれ国民はあるんじゃないのです。これは、この問題は今度提案されている住宅供給公社のときにとっくりと質疑をしようと思ったんですが、いまそういう問題出てくるから申し上げるのですがね。これは何とかせにゃいけませんよ。一設国民大衆にも貸すんですよ、これは。ただ単に公共企業体、市町村だけじゃないんです。それ以外のものにも、まあ住宅金融公庫はそんなに、支庫というのかな、支店、出張所を持てないからそれぞれに代行させる、これも一つの道であっていいと思います、現在あるんだから。しかし、公共団体に貸す場合にも、そこから、公共団体が行なうという事業は、それならば融資をいたしますよという制度は、ちょっとこれは、この法律をつくった二十五年ですけれども、その時分からいうと、今日ではだいぶ変わっておりますし、公共団体の場合にはじかにそれに融資をするという道を開くのはどうか。同時にまた、御承知のように、宅地造成につきましては直接に資金を出しておるんです。宅地造成に対しては起債ができるかでできないかは、ちょっと知りませんけれども、宅地造成に対しましては、じかに資金を流しております。この点は、ひとつ、どうお考えになるか。
  54. 小山長規

    ○国務大臣小山長規君) いま宅地については貸しているんだというお話がありましたので、私もちょっと矛盾を感じるわけですが、元来制度としては、国家の機関が他の地方公共団体に貸すことはいいのかどうかという問題があると思います。しかし、宅地に貸しておるのなら住宅貸してもおかしくないじゃないかという気もするわけでして、これは制度全体が、私はそういう制度はほんとうはよくないんじゃないかと思っているのですよ。たとえば、開発銀行が県に金を貸したり、市町村に金を貸したりすることは、おそらく許しておらぬと思うのですが、住宅公庫に限って県なり市町村に金を貸す、政府機関同士が金の貸し借りをするということは、制度自体としてはおかしいんじゃないかと思いますけれども、いまそういう宅地には貸しておるんだという先例があるのなら、これはまた別途、どっちがいいのか考えましょう。
  55. 田中一

    田中一君 師岡総裁、どうですか。公共団体の場合にはじかに融資をいたしますということのほうがいいんじゃないか。もっとも師岡君に聞くのは悪いや。そう法律がきまりましたからというのではしようがない。この制度が、しかし、実際宅地に貸しておるんだから、そういう道を開くべきですよ。一つのセクションをつくって、そこで手数料を取られて、逆に自分が高い家賃の家を借りなきゃならぬということは、これはいかぬと思う。大きいですよ、六%というのは。これはひとつ、大臣も考えるというから考えてください。
  56. 田上松衞

    田上松衞君 私、いろいろあちこちかけ持っておったために、いままでいろいろ質疑されたことについて、同席していなかった関係から開き落としていることもあると思う。そこで、それが重複することをちょっと心配しているものですが、その点お許し願いたい。  この前に田中委員からちょっと話の中に出されておったんだが、いわゆるこの法を適用する対象として借地権者という文字を使っているのです。そのとおりに説明もされているのです。一体ここに書かれておる借地権者とは、着地法に基づく借地権者のことをいうているのか、あるいはそれでない、きわめて軽い意味のことでいっているのか、どっちなんですか。これは局長のほうででいいです。
  57. 尚明

    政府委員(尚明君) これ、今回いっている借地権者というのは、借地法にいう借地権者というつもりにいっております。
  58. 田上松衞

    田上松衞君 借地法にいう借地権の定義というもの、どう理解しておるか。これを申し上げているのは、大きなここにどうも困難な点が起きやしないかと考えるのです。それを前提として申し上げているのです。よく頭に人っているかどうか。
  59. 尚明

    政府委員(尚明君) 借地権、この今回の融資対象となります借地権と申しますのは、借地法にいう建物の所有を目的とする地上権及び賃借権というふうに考えております。
  60. 田上松衞

    田上松衞君 借地権というものの存続期間はどうだと理解されておりますか。
  61. 尚明

    政府委員(尚明君) 借地法にございますように、一般的に壁間な建物にあっては六十年、その他のものにあっては三十年というふうに法に示されている期間だと考えます。
  62. 田上松衞

    田上松衞君 更新請求、これについてはどう考えますか。どう考えておるかといりよりか、どういうぐあいに理解してのみ込んでおられるか、そのほうが適切でしょう。
  63. 尚明

    政府委員(尚明君) ちょっとどの点か私にはわかりませんが、更新の請求というのは、借地権者地主に対して引き続き賃借権なり地上権を継続することを請求したものというふりに思います。
  64. 田上松衞

    田上松衞君 そのことをいうのですが、更新することによって借地権の存続はおのずからそこへ差が出てくるわけですね。その期間をどういうぐあいにのみ込んでおられるかということです。これは建設省が一番、いやしくも宅地、借家を論ずる限りにおいては、骨じゃないですか、一々全書を引っぱらなくても、それをうっかりしておられるとたいへんと思います。
  65. 尚明

    政府委員(尚明君) いまちょっと御質問の趣旨がよく……、済みませんがもう一度お願いしたいのですが。
  66. 田上松衞

    田上松衞君 借地権は一応さっき説明あったように、存続期間というものがあるわけです。ところが、なお、そこに目的にかなう建物が存続する限りにおいては、手続によって更新することができる。その更新が認められた場合における存続の期間はどのようになるか、どう理解されておるかということです。
  67. 尚明

    政府委員(尚明君) これは五条に示されておりますように、「当事者カ契約ヲ更新スル場合ニ於テハ借地権ノ存続期間ハ更新ノ時ヨリ起算シ堅固ノ建物ニ付テハ三十年、其ノ他ノ建物ニ付テハ二十年トス」、こういう規定に従っていると思います。
  68. 田上松衞

    田上松衞君 それだけでは不十分なんですよ。更新しようとしても、当初の第一回目の期間中、六十年あるいは三十年に満つる六カ月以前に請求をしなければ、これは消滅してしまうということになるわけですね。そのとおり間違いないでしょう。——答弁ができなければ建設大臣にお伺いしますがね。私は、土地所有者を対象としていろいろきめられたことについては、これはもうこういう方式で差しつかえないのだと。ところが、土地所有者だけじゃなくして、借地権を有する者を対象にされておる。考え方はいいのです。いいのですけれども、これは、できない相談をしているのじゃないかと、こういう心配をするから、このほうからお聞きしておるわけなんです。建設大臣は、それでもなおかつ、その点心配ないというふうにお考えになっておるかどうか。
  69. 小山長規

    ○国務大臣小山長規君) 御承知のように、借地権者が堅固な建物をつくるとかいうときには、契約に従って地主の承諾を要する場合がありますから、ですから、その地主の承諾にかかっておる部分については、地主の承諾によって左右される面があると思いますが、地主が承諾すればよろしい面があるわけですから、これは法律上は両立するのじゃないかと思います。
  70. 田上松衞

    田上松衞君 その考え方が甘いのですよ。実情に沿わないのです。具体的に出し上げますが、堅牢ならざる建物、いわゆる木造等の場合、この場合においては三十年なんですよ。そうすると、法知識に乏しい多くの国民は、うっかりして更新の申請をしないでやっちまうのですよ。そうすると、三十年間だが、いまから二十五年前に——たとえば実例で申し上げますと、具体的に申し上げますと、二十五年前に契約した。あとは五年しかない。そこへもって今度堅牢な建物をこれは建てるわけですから、その場合に起こり得る問題は、すぐ来てしまうわけなんです、もう建物のそのものが違うわけですから、堅牢と堅牢ならざる建物の間において。ですから、そういう意味で、地主と借地人との間には直ちに大きな争いができてしまうという危険がある。こういう場合がある。それを、どういうぐあいに、これを心配なくやっていけるという自信をお持ちであるか。
  71. 小山長規

    ○国務大臣小山長規君) これはいま田上さんのおっしゃったのは、いますでに建物が建っておるところに中高層アパート建てるという前提でお話しのようですが、ここで想定してあるのは、普通のあき地がある場合を想定しているのじゃないのかと……。
  72. 尚明

    政府委員(尚明君) 両方。
  73. 小山長規

    ○国務大臣小山長規君) やっぱりそうなのか。——それじゃ思い違いをしてました。
  74. 尚明

    政府委員(尚明君) これはいずれもこの公庫融資するに際しましては、地主の承諾を得て、地主と借地人がどういう条件で賃借しているかということを明確にしていただきました暁において、その借地権者融資をするというやり方をやる予定でございます。
  75. 田上松衞

    田上松衞君 それは全く危険なんですよ。個々のものが、地主と借地人との間に、どんな契約をしているかということに基づいてなんというようなことではいけないのです。借地法はそういうものじゃなくて、契約書があろうとなかろうと、何を書いてあろうと、すべてこの法に従わなければならないということなんですよ。これはもう厳格にきめてあるのです。ただ契約が、個々の契約というものが有効であるという場合は、期間を堅牢ならざる建物について二十年をこえ——うっちゃらかして置けば三十年ですけれども、二十年を二カ月でもこえて契約した場合は、そのときで、たとえば具体的にいうと二十年一カ月という契約であれば、それを存続期間とみなすということはあるけれども、その他の場合においてのものは、きめようときめまいと、そんなことじゃなくて、これは法律借地権者のための保護をしている立場なんですね。あるいは裏から、そのかね合いにおいて地主を保護しているのは、更新の手続をしなければ、すなわち、満期になりまする六カ月以前に手続をしなければ、これは消滅してしまう。ややこしいのですよ。さらに、しかしその場合において、ここで地主がみずから使うということが必要である、この点が非常にやっかいになってくるのですけれども、「必要トスル場合」ということを、裁判所がどう認定するか。この場合には、子供が大きくなったからとか、あるいは親を別居させなければならぬとかというような場合ですね。そうでなければ、またこれが非常にむずかしい問題起きてしまうのですけれども、いずれにいたしましても、事ほど借地法はきつくこれをきめてあるわけなんです。ただ、その中に立って、当初、建設大臣が間違えておったと言われたが、あき地について新たにするという場合には、これは問題ない。問題ないけれども、そういう場合には、地主があき地をとって、借地人のために国から金を借りて建てさせるというようなことを、親兄弟か、親戚か、きわめて親しい間柄なら別といたしまして、そんなことが事実上考えられるかということですよ。それは、そういう考えはナンセンスですよ。それは絶無とは言わないけれども、そういう場合はきわめて少ないのでありまして、あき地でないところに、前から存続しておった建物をつくりかえる、これを利用する場合に、この法律が生きてくるわけなんですよ、今度の改正案では。そうでなければ意味がないですよ。ところがそこへ、いまくどくど申し上げているように、そういうような困難な問題があるのだが、これについて私の質問は、要点を申し上げると、その解決は借地人がやるのであるか、あるいはその中に介在する住宅金融公庫が責任を持ってやろうとするのであるか、どうか、これは総裁にもこの点、両方からお聞きしておきたいと思います。
  76. 尚明

    政府委員(尚明君) まず今回の改正をいたしまして、中高層融資につきまして、借地人を入れました、その考え方から御説明申し上げます。これはまず、先生は例は少ないだろうとおっしゃいましたが、そういう例は少ないかもしれませんけれども、借地人が承諾をして、その上に堅固なアパート経営をすることを別の人に許す。借地権を与えてアパートを経営することを許した場合をいっております。それは、たとえば地主が非常に老齢であって、みずから住宅建設し経営する能力がないため、先ほどおっしゃったように親類縁者の方に上のアパートを経営させる。また、所有権も、アパートの所有権は、その親類の人に渡して、みずからは地代を取って老後の生活を行なうというようなケースもあり得る、そういう道を開きました。また、ある場合は、現在の建物がございまして、たとえば商店等を経営している。それの建てかえにつきまして、地主との間でもって、地主がそれを承諾しまして、そこの上にげたばきアパートをつくるということを承認した場合がまたございます。それからもう一つは、地主の方が下の店舗や事務所だけ、たとえば一階の事務所や店舗だけは自分の所有として、自分で店舗を経営するけれども、二階から上はたとえば住宅供給公社に貸してあげよう、そういう場合には、住宅供給公社が一部借地権を取得するというような契約にいたしまして、借地権を取得する。こういうようなケースの場合に、融資を行なわれる。そういうふうにいたしまして、いずれの場合でも、これは借地人が責任を持って地主との間に、上に乗ります建物の種類等について地主の了解を得てきて、そうして初めて住宅金融公庫にその融資を申請するということで、借地人が地主と話し合ってそこを明確化してこなければならない。そういう形で運用いたしたいと考えております。
  77. 師岡健四郎

    参考人師岡健四郎君) 公庫としましては、この改正趣旨につきましては、ただいま住宅局長から御説明のあったとおりに理解しておるのでありまして、したがいまして、この借地権というものについての解釈は、これは民法、借地法によって、その借地権が明確に確立されておるものにつきまして、したがいまして、先ほど住宅局長が言いましたように、地主との間に新しく建物を建設することについての了解をつけて、それに基づいてしっかりとした契約がある、その上に立って建築計画を立てる、それに必要な融資を申請してまいる、それを受けて私どもはその適不適を審査をして融資をする、こういう運用でまいる、かように考えております。
  78. 田上松衞

    田上松衞君 総裁が無理に局長の御答弁に合わせようと苦心されておることはわかるのですが、考えが違ったことは言えないでしょうが。だが、これはここで議論するための議論でなくて、腹の底から心配しているから申し上げているのでありまして、私はいまのような考え方は非常に危険だと思う。少なくとも、そういうような解釈でいかれたならば、あるいはそういう理解の上に立ってお考えになっているのであれば、ほんとうにこれを当てはめて実施をしていくという面はきわめて少ない。悪いことばで言ったならば、非常にいいことを、やったかのように見せかけて、もって今日の住宅事情というものを国がまじめに考えておるような顔をして、実は極言するならば羊頭狗肉なんですよ。   〔理事瀬谷英行君退席、委員長着席〕 ほんとうにこれを借地権を有するものにまともに当てはめようとするならば、結論から言うと、借地法からいじってかからなければ、改正しない限りにおいては、満足なことはできない、こういうことに落ちついてしまうわけなんですよ、遺憾ながら。これは私は、これと並行して、今度の法改正と一緒にこれが出されて、初めて理解ができるのです。ところが、どういうわけだか、こういうものを、借地法をうっちゃらかしておいて、そうして枝葉のところでこれをやっておるところに無理がある。これは別の議論になりますけれども、この点は非常に不満足であります。何とかして今日の不足しておる住宅事情を緩和していくように一段の努力を政府にもあるいは住宅金融公庫にも私どもは熱望しておる立場から見ますと、このことが切り離されてしまって、親元をなします借地法に手をつけないということは、不満足でしょうがないのですよ。まあそういうことを感じつついま申し上げておるわけですが、ここで本論に入りますけれども、裁判所で一君争いの中で困っておるのは、借地権の存続の期間の有無についての争いが一番多いのです。時間の関係で私はこのことの数字の実例を省略いたしますが、お調べになればすぐわかる。たいがいの問題というものは、あそこでやるとはっきりした白か黒かが出るのですよ。民間でわからないことをごちゃごちゃ言うておるよりも、裁判所の解釈をひとつ求めてみようじゃないかということならば、たいがいのことはわかる。借地権があるかないかに関します争いというものは、事実上一番多いのですよ。しかも、これは法的にはどうにもできない非常に難点がまたあるのです、非常に無理な点がありますから。そこで結局は、この法を一応たな上げにしておいて、いわゆる借地借家調停というものにかけてお互いの理解、納得を求めてそこで解決していくというのが大部分なんです。よけいなことを申し上げますけれども、日本の調停制度が一番活用されておる点はそこにあるわけなんです。この大きな役割りがある。ところが、今度の場合、そういうことを考えつつこれをやって、また借地法がいかに困難なものであるか、借地権というものがいかに困難なものであるか。加えて、これも御承知だろうと思うのですけれども、借地権は物権と解すべきか債権と解すべきかが学者間の大きな議論でして、まだ結論を出していないというほどむずかしい問題です。こういうものをぽんとつかんできて、地上と借地権者にこれを当てはめていくのだという考えでは、これは全く甘過ぎるというのですよ。この場合においては、必ずしも佐藤総理のお考えでなくして、小山さんのお考えが主だろうと思うのです。佐藤さんなら、どだいサトーで甘いのだからしかたがないのだけれども、もっと真剣にこの問題は検討してもらわないと、いたずらにこういうものを出してしまっては、紛争をふやすことだけになるのじゃないか。特に考えられることは、この機会に、寝ている地主が、せっかく保護されている借地権者に対して、このときとばかりねらってくるのじゃないかという心配すらあるわけです。と申し上げますことは、法では認められていない、俗にいう権利金というやつが事実上横行しているわけです。これはたぶん御承知でしょう。市街地の中あたりでは、だんだんやって、まさに所有権が二〇%であるとか、借地権が八〇%というのが珍しくないということです。どんないなかに行きましても、五〇%は権利金が金額的に見て思うようにされている時代ですから、非常にやっかいな問題です。あくどい地主はきばをといで、約束した建物が形を変えてつくり直される、その期間を縫って権利金の請求をするわけです。ここに起こる紛争、これを心配するわけなんです。したがって、こういうことについてどういう手を打っていかれようとするのかという決意を聞かないと、不安でしょうがないということなんです。この意味で、建設大臣からこれに対する何か決意を、構想でもいいんですが、お聞かせ願えませんか。
  79. 小山長規

    ○国務大臣小山長規君) 私ども考え方は、いままでは土地の所有者だけにしか貸せないという制度を拡大しまして、借地権の場合でもよろしいというふうに拡大したつもりなのでありますが、仰せのように、借地に対する法の解釈あるいは実際の争いというものは相当多いわけでありますけれども、これはわれわれはこの法律でこれを改正することはできないのでありまして、これはいま法務省あたりで検討しておりますような借地借家法の改正案を待って初めて田上さんが、言われる完全な形になるであろうと思います。私ども立場としては、現在ある民法上の借地権者でも融資対象になるのだ、いままではしなかったものが中高層の場合にはなり得るのだというふうに改正をしたというふうに御了解願いたいと思います。
  80. 田上松衞

    田上松衞君 この問題を論議しておると、これは果てしなくなって、いま建設大臣が言われるように、この改正を待ってこそ初めて……、また、必ずしもこれでなくしても、今日の借地法は時代の実情に合っていないのですから、これはみずから改正する必要があると、こういうぐあいに私は理解しているわけなんですよ。  もう一つ、非常に当面する不安な問題ですが、地主貸し土地に対して先取特権があるのです。これからきまする影響というものを住宅金融公庫のほうでも十分考えておかないといけないわけなんです。これこれに基づいてこれこれの元金、これに対する利息がこれだけ、月幾らずつというぐあいに計算してかかるわけですけれども、不幸にして借地権者が別の意味でいけぬことのために、金でも使った場合に——あり得ることですから、この場合については、法では地主の先取特権が優先的に認められているわけなんです。金融公庫がどう言ってみたって、また住宅局がどういうことを言ってみたところで、これは法の上でしかたないことになってしまうわけです。こういう場合の心配はあらかじめお感じにならなかったかどうか。もしこのことの研究が遂げられていないとするならば、おのずから計画はくずれてしまう。くずれた場合にはどうなるかということが今度は問題だ。たいへんなことになってしまう。わかりやすく申し上げましょう。へたをすると、借地権者のためにやったかのようなことにしてわるけれども、だんだんたってきますると、しまいには自然に地主のものになってしまうという結果が到来してしまう、こういうことなんです。こういうことについてどうですか。この場合は、金融公庫のほうではどういうぐあいにこれらに対処する検討等をなされておるか、これは総裁のほうにお聞きします。
  81. 師岡健四郎

    参考人師岡健四郎君) 借地法関係につきましては、先生のお説のとおり、非常にいろいろな問題を含んでおると思います。で、いまお話のありましたように、先取特権につきましても借地法に規定があるわけでございます。そこで、私どもとしまして、地主と借地人との間で借地権を確立して、そして計画を立てていただいて、それに対して融資をいたしたいと先ほど申し上げましたゆえんも、全く先生の御心配の点もある程度考慮に入れたわけでございまして、やはりそういうような地主と借地人との間に問題が出ますと、建設途上におきまして、さらにできました後におきましても、せっかく借地権者事業を営もうとしても、その事業が安定してまいらない、かようなことも生じ得るのであります。したがいまして、私どもとしましては、そういうことの万々ないように、十分に双方の話し合いも聞き、十分にそういうことのないような指導を加えつつ計画の適正化を期して、そしてその上で融資してまいる、かような取り運びをしてまいりたいと考えております。
  82. 田上松衞

    田上松衞君 地主と借地人とが円満な話し合いを遂げて、いわゆる借地権のゆるぎない体制を整えてからというぐあいに解されるわけですね。ところが、それはできない相談だと私は言っているわけですよ。それができるくらいなら何の心配もないのですけども、なかなかそれができない。さっきよけいなことまで引っぱり出して、日本の調停制度が一番活用しております問題は実にここにあるのだと申し上げた。これほどめんどうな問題だということです。それほど地主のほうが、法的な関係は借地人よりか一歩進んでいるんですよ。このごろはそういう仲であって、対等であっても非常に困難な点があると思います。ただこれでいいからというようなことで、そこからいろいろ引き出される紛争を、そしてそれならやめようということになれば、それででおしまいですけれども、そうでなくて、すでに着手してしまったというもの、その責任も、単に地主や借地人にぶちかけて、金融公庫はお前たちの責任になると言ったって、理屈とは別、それでではおさまりっこないですね。これが非常に心配な点です。したがって、結論から申し上げると、できない相談をぶつけているのじゃないかということです。できるというならば、幾多の問題が出てしまうのだが、それを十分やって、検討し尽くして、万全の体制を整えていないとだめだ。万全の体制を整えていないとすれば、総裁が言われたような、そういう程度ではできないのですよ。それをやろうとするならば、できない、ぶちこわしだ。しかも、その中で、なおかつ鉄筋コンクリートの建物をすぐぶっこわして、すぐこれを建てようというばか者はいないのです。こういう場合は、いずれも木造、半つぶれの家の場合が一番やりやすいのです。また、それをねらうほかないのですよ、私どもの感覚からいって。そのときに初めてこれができるわけなんです。そういうようなことで、そのままじっとしておけば、あとまだ十年残っているんだけれども、そういう場合においては、こういう手を加えたことのために、即座に争いになって、借地権が消滅してしまうという、原因をつくってしまうというようなおそれがあるので、一方では親切な行き方のようであるけれども、他面においてはそういうような思わざる不幸を招いてしまう。この両面を十分考えぬといかぬので、それで心配のあまりお伺いしておるわけです。私は、この法にけちをつけようとか、あるいはこれに反対をするための反対だ、そんなことじゃない。そういうけちなことじゃない。構想としてはいいのだ。だけれども、これではなま煮えだ。食えない。そうすると、だらしないものになる。だんだん、だんだんそういうことがやられてくると、関係せざる他のものが、住宅局のやろことは何だ、この指導は、あるい生住宅金融公庫など一体何だ、こういうことを考えると、これと関係せざる他の面に、幾多の問題について、悪いことばで言うと甘く見られちゃう。こういうことまで、実際は真剣に掘り下げて考えると、そこまで考えざるを得ないのであって、この法の実施の期間がくれば、いやおうなしに、これは、要求があればしなければならぬ立場に立っておるものですから、そこでその点を心配の言あまりお伺いしておるわけなんです。非常にむずかしいことであり、時間がきておるのですから、この場においてはもうこれ以言上質問したって、わかっておるのですよ。どうせ完全な私が満足するような御答弁は、それは無理なんですよ。できもしない。また実際は、失礼です言けれども、あなた方詳しくない。私は思いつきで言っておるのではないのですよ。現実の問題、実例、三十七カ年間なまの問題を扱っておる立場から、みずからの体験を通して、非常に困難な問題だけに、この問題について、これはあなた方が一週間や十日勉強したってできるものじゃない。そういう心配があるから、これについては一そうひとつ御検討を願いたいという希望まで申し上げて、そうして法の権威のある実施ができるようにしてもらわなければいけない、こう考えるわけです。またよけいなことを申し上げますけれども、法治国の国民が、いやしくも政府がもとになって行なっていく仕事の申で、一つでも法と矛盾するような、無益有害なものを国民が感じ取った場合には、大きくこの影響は伸びていってでしまうのでありますから、たった一つの法律であっても、事ほど遺憾の言ないようにひとっさせねばならぬ。これは全般的な立場から申し上げますが、そう考えます。しかし、今度のこれに対しては、率直に一言って、多くの国民が期待しておるのです。熱望しておる国民が多いのです。確かにこの法が住宅緩和の上には役立つということで非常に期待している、だけに、まずこれを有効に生かしてもらいたい、こうこいねがっておる立場から申し上げておることをつけ加えましてで、一そう遺憾なきをしていただきたいと要望して、きょうはとどめることにいたしておきます。この点については、私の要望に対して、建設大臣及び住宅金融公庫総裁のほうから一応御所感だけを伺っておきたいと思います。
  83. 小山長規

    ○国務大臣小山長規君) 田上先生の経験に基づくいろいろな問題で、ありますから言、私ども立場としては、借地借家法の限界を逸脱することはできませんが、主取り扱いその他については大分な配慮を加えていきたい、こう思っておる次第でございます言。
  84. 師岡健四郎

    参考人師岡健四郎君) だんだんと非常に御逓詣の深いお話を承って、また非常に借地権問題につきましては困難な問題があることを承知しておる次第でございますが、いま大臣から言御一答弁ありましたとおり言、この実施につきましては、この法律趣旨に従いまして、できるだけ国民の要望にこたえ得えるよう、さらに私どもとしましても、十分に問題点検討いたしまして、できるだけ、ただいま出しましたように、借地法、借家法等のいろいろな制約がありますけれども、この点につきましては、先生がおっしゃるとおり、いろいろのこれはそのほうの法律改正も要ることと思いますので、その範囲内におきまして、私どものできる箱囲内の最善の努力を尽くしてまいりたい、かように考えております。御了承を願いす。
  85. 田上松衞

    田上松衞君 了承いたしました。
  86. 安田敏雄

    委員長安田敏雄君) その他御発言ございますか。  御発言もないようでありますから、質疑は尽きたものと認めて御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  87. 安田敏雄

    委員長安田敏雄君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
  88. 田中一

    田中一君 私は、日本社会党を代表して、本法案には賛成いたします。  しかしながら、審議の過程におきましていろいろ注文をつけておりますが、これの問題につきましては、折年度の、予算の遂行にあたって、千分一に政府言並びに住宅金、融公庫におかれても検討していただきたい。その点は、たとえば標準建設費の問題とか、融資率、利率、あるいは中高層における土地価の実態の適正な評価、ことに耐火高層建築物の場合の耐用年限の問題等についても十分に短縮された今田理的な、この法律の目的にあるような健康にして文化的な住宅がその期間中守れるような住宅〃供給するという方途に向かって前進していただきたいと思う次第であります。この法律案は、まだこの法律の申−におきまして相変らず地価の抑制を多少とも高騰をはばむというような方途が見出だされておりませんので、この点も十分に他の法律によって規制をすることは政府としての当然の責務でありまして、至らぬことは多々ございます。ございますが、前向きの姿勢で十五年の経験に即した一つの前進として、私はこの言法案に賛成するものであります。
  89. 白木義一郎

    白木義一郎君 私は、公明党を代表いたしまして、ただいま議題となりました住宅金融公庫法案に対して、二、三の要望事項を述べて賛成の言討論をするものであります言。  最近の住宅事情の凶事は、一向に解決の見通しのつかないまま今に至っております。政府は人間尊重をうたい、社会開発をもって基本政策として進んでいるわけでありますが、この住宅問題も社会開発の重、要な。ポイントの言一つだと思います。特に都市においては、住宅難、土地入手難のおりから、木造のアパートが乱立している現状であります。一たん火災にでもなればどうにもならない、という憂うべき様相をしております。住宅金融公庫は、現在までこれら言の問題に対し、住宅需要者に対して資金の融通、をして多くの貢献をしてきたわけでありますが、今回この住宅金融公庫法が改政され、さらに一歩前進への形をとることは、喜ばしいことであります。しかし、内容について…々に見たときに、まだまだ決して満足すべきものではありません。たとえば、個人が建て分譲住宅に対しての融資の道を開いた三反面、個人住宅に対する予算のワクが削減されたり、改修資金、増築資金を統合して改良資金とした結果、従来の増築資金よりも利率、償還年限ともにむしろ現在より不利になっている等の問題点がございます。全体として考えたときには、確かに社会福祉の一端である住宅政策に対しての一歩前進であることを認め、さらに今後とも住宅政策に対しなお一そうの努力をされんことを要望し、本法案に対する賛成の討論といたします。
  90. 田上松衞

    田上松衞君 私は、民社党を代表して、政府原案に賛成の意を表明いたします。  昔から衣食住ということばが人類の生活の中からあったわけですが、今日まさにそれが逆転いたしまして、住食衣、こういうぐあいにウエイトが大きく変わっております。これは子供だってわかっておる理屈です。なればこそ、現代政治に望みます国民の大きな要望というものは、まず住宅政策だ、住宅政策のないところに政治はないとまで極言されておる。これは真理だと考えております。こういう立場から考えまして、いろいろな方法を講じて国民の要望に沿わなければならぬことは、これは政府の責任であるわけでありますが、その中の一環として住宅金融公庫法の一部を改正しようとする意図は、これは時代に適したものであると認めて差しつかえないと考えておるわけであります。  ただし、いままで幾多の質疑の中に見られたとおり、なかなかこれでもって満足することのできないことは言うまでもないことであります。いろいろな方法を御検討願うことも約束されたことであり、質疑の中で私も申し上げましたように、骨をなしまするものが別の法があるんだから、これから直してかからなければならぬというようなタイミングの問題等もあることですが、ぜひそういう点についても御考慮をわずらわしたい。いま社会党及び公明党から言われておりまするようなことは、もう言うまでもないことでございまして、これらの要望された事項等も十分ひとつ本気になっていろいろ御配慮願いたいということを要望申し上げまして、討論を終わっておきます。
  91. 安田敏雄

    委員長安田敏雄君) 他に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  92. 安田敏雄

    委員長安田敏雄君) 異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  住宅金融公庫法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  93. 安田敏雄

    委員長安田敏雄君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により、機長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  94. 安田敏雄

    委員長安田敏雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時十四分散会