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田中一君 おおむね
契約書も何もなしでやっているのが多いんですね。しかし、
契約書が明らかにあって、二十年なら二十年、三十年なら三十年というものの
契約があり、存続
期間が
あと二十年残っているという場合には、
地主の承諾を得る必要は何もないんです。そういう場合はどうですか。はっきりと承諾書というものを改めて1地代の値上げをしているときに、その地代の値上げをしているという
一つのトラブルを理由に
融資ができないなんということはおかしな話であって、それは
地主と借地人との関係であって、借地権として
契約がある以上、これは
地主の承諾書がなくたっていいということにならなければ、借地権というものをここに乗っけて、借地権というものを担保にするというようなことは大それた話なんです。借地権にすれば、はっきりと
地主の承諾を得るものということになるんです。鉄筋のアパートができた、アパートができたからといって、その借地権というものが、私
契約上の
——借地権に、私
契約上の借地権と登記上の借地権とある。その私
契約上の借地権を、担保力があるかないかといった問題で、ないかもわからない。これは民法上の問題は残っています。そういう安全を得ようという面、そうした安全性のないものがあるわけなんですね。それからまた今度は、借りている側にすれば、ちゃんと三十年なら三十年の
契約書がある。耐用
年限からアパートをつくれば何十年かそれは守れる。おまえのところは
あと十五年しかないから鉄筋の家はつくらせませんよ、そういう意思表示をするのは、
住宅公庫がするのかどうかということですよ。そんなことは大それた問題なんです。言うべきものじゃないですよ。たとえば、一年間しかない、
あとの借地権が。それでも建ててやればいいじゃないですか。必然的に
——それは
地主と借地人との問題は、それは別の問題なんですよ。おそらく延長するでしょう。そういうことを一々
地主の承諾を得なければならないと言うことはできないということなんです。そういう別の理由があって、トラブルがあって地代を値上げをしておる最中とか、もう
あと十年しか
契約がない、それにもかかわらずつくったものは十年では撤去できないようなものになった場合には、これは承諾しませんというならば、借地権がありながら
建築物はできないということになる。これはもう私
契約上の問題にまで介入して、そうしたトラブルまでも介入して判断するなんということは、これは行き過ぎですよ。やはり
契約上の書類があり、それが確認されれば
融資をするという方式をとらなければいかぬと思う。また、そんなものを担保にしたところが効果はないだろう、おそらく。
公庫は、この建物は三十年なら三十年の耐用
年限があると見るならば、三十年きちっとたってもよろしいという
地主の承諾書を持ってこいということになるんだが、今日の社会の慣行というものにはそういうものはないんです。あらためて
地主の承諾がなければならぬ借地権なんというものは空なものですよ。そういうものを担保に取ればいいんだということは、これは
実態にそぐわない条文です。それならば、はっきりと
あと五年なり権利が残っているという場合にも貸してやりなさいよ。そうすれば必然的に、
地主と借地人との関係というものは、通例民法上の二十年とか三十年とかいっておるけれ
ども、これは永代というか、お互いに何かの故障がない限り、それは継続するものだという前提をもってやっているのが通例なんですよ。一々
地主の承諾を得なければならぬということになると、鉄筋なんか建てられませんよ。そういう点はどうも不十分な条文で、これは何とか考え直してひとついい答弁をしてくれなければ
——これはこの次やろうと思ったんですが、いま関連して申し上げておくんですが、この点はもう少し
実態に即した、社会の慣行、現在も持たれておる慣行も含め、また慣行は度外視しても、書類上の証明があればいいんだというならば、
契約書がちゃんとあれば、それでもって
地主の承諾を得なくても建てられるということにすればいいんです。それは大体そうですよ。いまの慣行では、
地主の承諾を得に行けば、必ずそれじゃいまあらためて権利金を一坪十万円下さいとか、あるいは三十万下さいとかいうことになるのですよ、これは。そうすれば、そういう空地に家を建てよう、
住宅をたくさんつくろうという
住宅金融公庫の使命と相反するわけなんです。
地主の権益擁護のために存在する条文になってくる。どの場合でも必ず
地主は更改
契約を
要求します。これは師岡さんは自分の家に長い間住んでいるから、そういうことはないでしょうけれ
ども、ぼくらのような
借地権者は、常にそういう問題に悩まされる。二年ごとに地代を上げると、こういうことになる。そういうトラブルがあるからといって、それを
融資の
対象にしません、そんなことを介入するのは
住宅金融公庫の使命じゃないのですよ。家を建てりゃいいんです、あなたのところは。金を
回収してもらえばいいんです。そしてまた、その
回収金で新しい家をたくさんつくっていくことが使命なんであって、
個人間のトラブルなんかに介入するとか、あるいは
地主を擁護するなんていう考え方が、これは
地上権の担保なんていうことになると、当然
地主の擁護にならざるを得ない。眠っている子を起こすようなことになる。これはひとつ、いま答弁しないでよろしいから、
実態に即した研究をして答弁してください。