○
参考人(
八島忠君) この剰余
鉄筋の
内容につきましては、お手元に差し上げておりますプリントに記載いたしておりますが、まず、今回の汚職事件で起訴されております野辺某の立場から申し上げたいと思いますが、西松建設
工事の
現場を担当いたしております直接の責任者は、三宅坂
出張所の所長でございます。その配下には、最盛期には、五十三名だと記憶しておりますが、職員を配置しております。それからその中に、あのインターチェンジ全体の土木
工事の関係の
監督を
——直接
現場の
監督をいたします職員が二十四名ございます。この二十四名の職員が、毎日
現場を見ているわけでございます。したがいまして、
監督のいないところでごまかして
仕事をされたというものでもございませんし、この二十四名の人間が交代でそれぞれ見ているわけでございまして、必ずしも
一つの目だけで見ているわけではございません。それから
工事の検査の問題でございますが、
工事の検査につきましては、竣工検査、あるいは中間の検査につきましては、
公団の本所に検査担当
調査役というのがございまして、この職員が前後四回にわたって検査をいたしております。したがいまして、第二建設部の野辺某というものが、
現場で直接検査をするという立場ではなかったわけでございます。ただその間に、これは私
どもも
現場へ参りましたが、第二建設部で部長以下五十七回、それから木所の工務部で四十一回というものが、その必要に応じて
現場へ出向いているわけでございます。したがいまして、大きな手抜き
工事というようなことは、私
どもはとうてい考えられないというふうに考えておるわけでございます。たまたま野辺何某というものが、第二建設部の第二
工事課の主査をいたしておりまして、これの
仕事は主としてデスクワークであります。出来形の設計書を検査する、そういったようなものでございまして、そういう立場であるということも御了解いただきたいと思うわけでございます。
それから
残材の
内容でございますが、お手元に差し上げましたプリントによって御
説明申し上げますが、第一の「擁壁構造変更に伴い
鉄筋経の変更」云々という項で、三百二十三トンというものが節約されております。これは隼町のところに半地下の部分、オープンカットになったところがございまして、これはだんだん深くなって、ついに隧道になる部分でございますが、したがいまして、断面が変わってくるわけでございます。この断面が変わってくるところで、深さの少ないところは
鉄筋の数か少なくてもよろしい。それから深いところになりますと、その
鉄筋を密にやらなければならないということになるわけでございますが、実質的にはこういうふうな段階式になるわけでございます。これを再検査いたしましたところ、その境目のところにつきましては、それほど密に
鉄筋を入れる必要はないのじゃないか、倹約できるじゃないかということから
設計変更をいたしたものでございまして、また、その次の「半断面」云々と書いてございますのは、三号線と四号線との分岐点のところに
——おそらくお通りになってごらんになっていると思いますが、柱がかかっております。鋼管の大きい柱か立っておりますが、この鋼管の柱が、初め発注いたしましたときには非常に製作がおくれるということから、このいわゆる半断面として、それがないものとして補強
鉄筋を上のほうに入れなきゃならないという計算でやっておったわけでございますが、幸いにしてその柱が製作が間に合いましたために、その補強
鉄筋が要らなくなった、それだけ節約できたというものでございます。それから「肋筋によるもの」というのは、これは小さい
鉄筋でございまして、大きい
鉄筋を横にこう結ぶ帯状のものでございます。肋骨状になっておるものでございますが、
鉄筋と
鉄筋との
——大きい
鉄筋と
鉄筋との間が八センチしかない。そこへもっていって九センチの長さのものを横に入れるというような設計になっておったわけです。実際問題として、これは入らないわけです。その
鉄筋は。これは不適当だというので
設計変更いたしまして、
鉄筋を切ったような
設計変更をいたしたわけでございます。
それからその次に、中間ぐいその他の埋め殺しによるものでございますが、これは掘さくをいたします場合には、くい、あるいはシートパイルで土どめをいたしまして、それを突っぱりをかうわけでございますが、突っぱりをかったり、あるいは途中でもう一本の柱を立てたりしなければならないわけでございますが、これをコンクリートを打ちます場合に撤去した上でコンクリートが打てる状態ならばけっこうでございましたが、ああいう場所でございまして、埋め殺しせざるを得ないところが随所に出てきたわけです。それを埋め殺しにいたしますと、その部分だけ結局
鉄筋が入らない部分ができてくるわけです。そういうところを埋め殺しにしたために
鉄筋の余りが出てきたということでございます。
それからその次の「
鉄筋の溶接」でございますか、これは
工事を急ぐ関係もございましたし、また
——主として
工事を急ぐ関係でごさいましたが、
鉄筋をつなぎ合わします場合に、ただそのままつなぎ合わしますと、直径の三十倍以上というものは重ねなきゃならない。それだけのものを電気溶接をいたしますと、重なりの分だけが減ってくるわけでございます。たとえば三十ミリの
鉄筋を電気溶接いたしますと、九十センチ
程度のものは
鉄筋が節約できるわけでございます。まあそういうようなことから電気溶接に切りかえたのでございます。
それからその次の「当初設計の違算によるもの」、これはまことにどうも申し訳ない次第でございますが、実は
鉄筋の数が、この三宅坂の西松関係だけで六十八万本でございました。非常に膨大な数字でございます。初めに計画をいたしましたときには、概算設計でやりまして、この次に詳細な設計によってやったわけでございますが、そこになおかつ百六十二トンというものの誤りが、最後の
調査の段階になって出てきたものでございます。
それからその次の最後のところは、設計では
鉄筋をこう二本継ぎ足すということになっておりましたのか、
材料か長尺ものが出てまいりまして、たとえば五メーターものを二本つなぎ合わせるという予定のところが、十メーターものが入ったというような関係で、その重なりの部分だけが節約になったわけでございます。
それからその他のところにつきましては、これは
鉄筋を購入いたします場合に若干の、たとえば十メーターものを注文いたしますと、十メーターものがそのまま入ってくるのではございませんで、大体三センチないし七センチ
程度のものが長く入ってまいります。そうしたようなものを加えますと、それは二百三トンになるわけでございまして、この長いものにつきましては、これは従来普通の場合ですと、コンクリートの中にそのまま埋め込んでしまうのが通例でございますが、この場合は、それもきちっと計画的に溶接その他を利用いたしまして使いました関係で、こうした
材料か出てまいったようなわけであります。
これらの
資料につきましては、
現場監督二十四名のそれぞれ一人だけじゃございません、全部の意見も聞きました。また、写真あるいは
現場日誌あるいは野帳、それから
現場監督員が持っております図面等によりまして精査をいたしましてこうした計算をしたわけでございます。