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政府委員(堀田政孝君)
お答え申し上げます。
天田先生のお尋ねの、十三個師団の編成が完結をしておっても、三万名に近い欠員があった場合には、三ないし四個師団の兵力がないということになるんじゃないかというお尋ねにつきましては、いま
防衛局長から
お答え申し上げたとおりでありますが、それではその三万名の人員は充足できないものであるかという点につきましての、人事局としての見解を申し上げますと、私どもは充足できないとは考えておりません。と申しますのは、これも数字で
お答え申し上げますと、陸上
自衛隊を志願いたしました志願者と、入隊をいたしました隊員との数の比率を調べてまいりますと、
昭和三十五年ごろは大体十八万人ぐらい志願をいたしました。二万五千人採用されております。約七倍応募者があるわけでございます。三十六年が六・二倍、三十七年が四・三倍、三十八年が約四倍という
状況でございまして、志願者と入隊者の
関係は、志願者の絶対数が全然足らないからそれで採れないんだということではないというふうに私どもは考えております。ただ、御承知のように、試験の基準と申しますか、採点の基準をある一定の基準で押えませんと、やはり入ってまいりました者が適当でない、能力的に落ちる、あるいは入ってからすぐ脱落してしまうというようなことがございますので、やはりある程度は基準というものをはっきりいたしまして、それ以下の者は入れないということをやらざるを得ませんので、この四倍の人間をそのまま採ってしまうということはいたすことはできませんし、また、していないわけでございます。
そこで、それではその四倍の人間をふやす
方法があるかどうかという問題でございますが、これは私は、最近の募集の
状況、応募の
状況を数字で見てまいりますと、この十月以降非常に成績がよくなっております。理由は、経済界のいろいろな
状況が変化をしたということも一つはあるかと存じますけれども、やはりオリンピックで
自衛隊が一生懸命に仕事をした、これが国民の皆さん方に理解をしていただけた、やはり
自衛隊はなかなかいいという印象を若い青年諸君が抱いてくれたんじゃないか、
自衛隊に対する関心が深まって応募していこう、あるいは応募しようという人たちがふえたのではないか、そういうことも一つの理由ではないだろうかというふうに考えますので、やはり質のいい応募者をもっと多く獲得をする
方法があるのではないか、つまり、
自衛隊を国民大衆の中に深く知らしめる、宣伝をする、正確な宣伝をして
自衛隊を理解させるという努力をもっとしていくならば、先ほど申し上げた四倍の応募者が五倍になり、六倍になるのではないか、そういうふうに私どもは考えます。
なおまた、今度は、応募して採用され、入りました隊員が、雨漏りがしたときにかさをさして隊舎の中を歩くといったひどい状態の中で生活をしておりましたのでは、これはやはり魅力が薄れてしまいますし、飛び出してしまうということになるので、入りました隊員が中で定着を
——非常に快適であるという生活ではないまでも、少なくとも普通の会社、
工場に入って働いておる勤労青年とあまり程度が違わない居住条件を与えてやる、生活環境を与えてやるということで定着性がつくのではないか。
それから、先生がやはり御
指摘になりました、二年間おれば、あとは任期か来るんだから去らねばならない。確かに去りますと町に放り出されるわけであります。そのときに、たとえば
航空とか、あるいは海上の自衛官でございますと、それぞれ海技の資格を得る、あるいはパイロット、整備の能力を持って外に出るわけでございますけれども、特に陸上の普通科、片のいわゆる歩兵の
部隊に入っておりました若い隊員諸君は、ほとんど何らの資格も得ないで出るわけでございます。この隊員諸君に自動車の運転免許あるいは整備、通信、いま先生が御
指摘になりました通信士の資格等を得られるような条件を与えてやりますれば、二年たって除隊をして帰っていきます人たちは、新しい職場にすぐそのまま復帰することができるわけでございます。そういうような定着し得るような生活環境を与えてやる、また同時に、出てまいりますときに、
自衛隊の組織を利用いたしまして、就職援護についても強力なバックアップをしていくといったような、入ってから出るまでの全体にわたっての行き届いた配慮をさらに重ねてまいりましたならば、私は四倍の応募者が五倍になり、六倍になり、もっと良質な隊員が採用できるようになるのではないか。そういたしますと、先ほど御
指摘のございました三〇%の欠員というような問題も解決いたしていくのではないかというふうに考えまして、募集の問題、生活環境の整備の問題、就職援護の問題等につきましては、個個にくふうをいたしまして改善を重ね、御
指摘のような欠点をなくしてまいりたいというふうに考えております。
それから第二の、腕に職をつけるという点について、どういうことを考えておるかという御
指摘でございましたが、これは公資格を容易に獲得ができまするように、たとえば
部隊の中に運転免許をとるための試験場の施設等をつくりまして、運転の練習が容易にできるとか、あるいは整備の
工場等で容易に整備の仕事が覚えられるような施設をするとかというようなことを予算でお願いをいたしまして
措置いたしております。しかし、これは非常に限られた職種しか現在では行なわれておりません。たとえば就職をいたしました人たちの分布を見てみますと、やはり自動車の運転手が一番多い。そのほかはやはりあまりないわけであります。これではいけませんので、労働省と
相談をいたしまして、新たに職業訓練の
措置を考えていくということを、具体的に今年度からは打ち出しております。たとえば特技訓練場に派遣をいたしまして、退職をする前に特定の訓練をいたすとか、あるいは勤務をしております勤務時間外に、訓練場にあって勉強をするというようなことを考えて、
関係者省と御
相談を申し上げておりますが、そこにはやはり訓練と職業訓練のための
——訓練と申しますのは
部隊本来の訓練でありますが、訓練と、職業訓練を与えるための自分の勉強との間の時間の調整というようなことに若干問題がございます。それから労働省で御
指摘になっております職業訓練の期間、時間数、こういったようなものが、やはり
部隊の隊員としての実際上の
日常生活との間で時間的にもう少し調整をしなければならないというような問題がございますので、そういうような法制的な問題も、ある程度詰めて解決をいたしませんと、大幅にこの点は解決ができないわけでございますが、逐次、特技訓練の拡充の問題、あるいは、先ほど申しました公資格を与えてやる施策等はこまかく具体化いたしていくように努力をいたしております。
なお、第三点の、地方公共団体に交付しておる金について、スズメの涙のようなものではないかという御
指摘でございますが、まことにそのとおりでございます。いま、数年前からの各府県別の配賦の数字を持っておりませんので、後刻、
資料で御
提出申し上げようと思いますが、先ほど御
指摘がございましたように、今年度は四千一百万円でございます。これは四十六都道府県並びに二千五百数市町村に配賦をいたしますので、結局、非常に少ないところは、年間数千円というような
状況でございます。数千円の費用をお渡しして、いろいろ研修をしていただいたり、あるいは告知板をつくっていただいたり、あるいは募集に必要な看板の作成をお願いしたりというようなことは、まことに虫のいい話でありまして、府県あるいは
関係市町村等が非常に御不満であるということは、全く御
指摘のとおりでございます。私どもはこの際、四十年度の予算
要求としては、一応五千万円ふやしまして九千一百万円お願いするように、大蔵省に請求をいたしておるという
状況でございます。