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説明員(原田明君) ただいまの
岡田先生の
質問まことに重大な問題でございまして、御
指摘のとおり、
開発途上の国、特に軽工業並びに繊維産業の
競争力が次第に増してきてまいっております。これに対しまして、
わが国の軽工業並びに繊維産業の部門におきまして、全面的にではございませんが、部分的に次第に激しい競争に直面するという事態になりつつございます。一番問題になっておりますのは綿製品でございまして、数年前、たとえば
アメリカ市場に出しておりました
わが国綿製品は、
アメリカの
市場で
アメリカの
輸入の中で非常に高いウエートを持っておりましたが、最近は
香港、インド、パキスタンその他の
諸国に次第にシェアを少しずつ奪われてまいりました。そのシェアは低下しつつあるというような状態にございます。それから、その他の、たとえば造花みたいな製品につきましてもほぼ同様の事態が起こりつつございます。また、合板につきましても、当初は
日本の
輸出が非常に盛んでございましたが、フィリピン、台湾等、特にラワン材の原産地であります
国々が工場をつくりまして
競争力を
増大してまいっておりますので、その
関係で
わが国のシェアが第三国
市場において奪われつつあるという状態でございます。このような商品は雑貨の中にも非常にたくさん出てまいる傾向がございます。一々品目をあげるいとまはございませんが、非常にたくさん出てまいると思います。こういう傾向に対しまして私どもといたしましては、一方では
開発途上国の
産品の
輸出が
増大をしなければならないという要請と、それから、第三国
市場で
日本の
輸出との競争において、
日本が著しく不利な
立場に陥らないようにしなければならないという要請を勘案いたしまして、
対策を講じたいと思っております。その第一の
対策は、それぞれの産業の
競争力を強めてまいって、
向こうがつくってまいりますものよりも、よりよい品質のものをより安くつくるという
努力でございます。たとえばトランジスタ・ラジオ等の分野におきましては、
向こうは二石くらいのラジオに主力を置くといたしますならば、こちらは八石以上の高級品に主力を置くといったような
努力でございます。
それから第二の
努力は、なるべくそういう摩擦がスムーズに行われるようにという
努力でございまして、たとえば綿製品につきましては、国際取りきめといったような取りきめに基づきまして、どの国も
輸出が漸増することが可能になるようなというような措置を講じて
日本も参加をいたす。
第三番目は、やや構造的な
対策でございまして、
日本の産業構造をなるべく重化学工業化いたしまして、
開発途上国の軽工業並びに繊維産業にその余地を与えるという方向に進みたいというように考えております。