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1965-05-11 第48回国会 参議院 外務委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年五月十一日(火曜日)    午前十時三十七分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         小柳 牧衞君     理 事                 草葉 隆圓君                 長谷川 仁君                 森 元治郎君     委 員                 木内 四郎君                 黒川 武雄君                 杉原 荒太君                 山本 利壽君                 和田 鶴一君                 加藤シヅエ君                 佐多 忠隆君                 羽生 三七君                 佐藤 尚武君                 野坂 参三君    国務大臣        外 務 大 臣  椎名悦三郎君    政府委員        外務政務次官   永田 亮一君        外務省アジア局        長        後宮 虎郎君        外務省北米局長  安川  壯君        外務省条約局長  藤崎 萬里君        郵政省郵務局長  長田 裕二君        郵政省貯金局長  武田  功君    事務局側        常任委員会専門        員        結城司郎次君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○千九百六十四年七月十日にウィーンで作成され  た万国郵便連合憲章万国郵便連合一般規則、  万国郵便条約及び関係約定締結について承  認を求めるの件(内閣提出衆議院送付) ○日本国グレートブリテン及び北部アイルラ  ンド連合王国との間の郵便為替交換に関する  約定締結について承認を求めるの件(内閣提  出、衆議院送付) ○日本国インドとの間の国際郵便為替交換に  関する約定締結について承認を求めるの件  (内閣提出衆議院送付) ○国際情勢等に関する調査  (国際情勢に関する件)     —————————————
  2. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  千九百六十四年七月十日にウィーンで作成された万国郵便連合憲章万国郵便連合一般規則万国郵便条約及び関係約定締結について承認を求めるの件、及び、日本国グレートブリテン及び北部アイルランド連合王国との間の郵便為替交換に関する約定締結について承認を求めるの件、及び、日本国インドとの間の国際郵便為替交換に関する約定締結について承認を求めるの件の三件を便宜一括して議題といたします。  まず、提案理由説明を聴取いたします。椎名外務大臣
  3. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) ただいま議題となりました、万国郵便連合憲章万国郵便連合一般規則万国郵便条約及び関係約定締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  わが国が一八七七年以来加盟国となっている万国郵便連合基本文書である万国郵便条約及び関係約定は、通常、五年ごとに開催される連合会議において改正されることになっております。現行条約及び関係約定は一九五七年一〇月にオタワで作成されたものでありますが、これら文書改正するために昨年五月から七月にかけてウィーンで開催された連合会議においては、郵便業務に関する規定に今日の事態に適応した改善を加えたほか、万国郵便連合組織恒久性を与えるため、従来万国郵便条約の中で規定していた連合組織規定のうち、基本的なものを憲章とし、手続に関する規定一般規則として万国郵便条約から切り離して、それぞれ別個の条約とする措置をとりました。したがって、新しい万国郵便条約においては、国際郵便業務に適用する共通規則通常郵便物に関する規則等のみを規定しております。また、諸約定は、価格表記の書状及び箱物小包郵便物郵便為替郵便振替代金引きかえ及び国際貯金の六つの特別郵便業務を規律する規定内容とするものであります。  国家間における人的及び物的交流緊密化に伴ってわが国と諸外国との郵便物交換が日々増加している現在、これらの文書締結し、改善された国際郵便制度に加わることは、わが国にとり必要かつ有意義であると考えられます。  よって、ここにこの協定の締結について御承認を求める次第であります。  次に、日本国グレートブリテン及び北部アイルランド連合王国との間の郵便為替交換に関する約定締結について承認を求めるの件、及び、日本国インドとの間の国際郵便為替交換に関する約定締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を一括して御説明いたします。  英国万国郵便連合郵便為替約定に参加していないため、現在わが国英国との間の郵便為替業務明治四十一年の日英郵便為替約定及び大正二年の追加条款により行なわれていますが、この現行日英約定締結後五十年余りもたっておりますので、今日の郵便為替業務の実情に適合しない点が少なくありません。また、インド万国郵便連合郵便為替約定に参加しておらず、しかも、わが国との間に二国間郵便為替約定もありませんので、わが国インドとの間の郵便為替業務英国仲介により行なわれておりますが、このように他国の仲介にたよることは、為替の送達に日数がかかること、料金が高くなること等種々の不便があります。よって、政府は、かねてより、英国政府とは現行日英約定にかわる新約定締結するため、また、インド政府とは郵便為替の直接交換のための約定締結するため交渉を進めておりましたが、このほど両約定の案文について合憲が成立し、それぞれの政府との間で署名を了しました。  これらの二約定は、いずれも、郵便為替交換経路為替表示通貨料金等双方郵政庁郵便為替交換業務を行なうために必要な基本的事項を定めたものでありまして、インドとの間では通常為替のみを取り扱うのに対し、英国との間では電信為替も取り扱い得る点を除いては、両約定内容的にほとんど違いはありません。  これらの約定締結されますと、わが国英国及びインドとの間の郵便為替業務はきわめて円滑に行なわれることになり、公衆の利便が増大することが期待されます。  よって、ここに両約定締結について御承認を求める次第であります。以上三件何とぞ、御審議の上すみやかに御承認あらんことを希望いたします。
  4. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 次に、補足説明を聴取いたします。長田郵務局長
  5. 長田裕二

    政府委員長田裕二君) ただいまの御説明のうち、千九百六十四年七月十日にウィーンで作成された万国郵便連合憲章万国郵便連合一般規則万国郵便条約及び関係約定締結について承認を求めるの件につきまして補足説明を申し上げます。  万国郵便条約基本文書とする万国郵便連合は、一八七四年−明治七年にスイスのベルヌにおいて創設されたものでありまして、わが国は、この創設の三年後、すなわち一八七七年−明治十年にこれに加盟しております。万国郵便連合加盟国は、現在百二十六カ国でありまして、国際機関としては、国際電気通信連合とともに、最も古く最も多数の参加国を有する機関一つであります。また、万国郵便連合は、一九四七年−昭和二十二年以来、国際連合専門機関一つとなっております。  万国郵便連合条約関係約定等で国際的な郵便為替等業務を運行してきていたわけでございますが、昨年の五月二十九日から七月十日までウィーンで開催されました万国郵便連合会議におきまして新たな条約類を作成しました。大会議はいつもは五年ごとに開催することになっておりますが、実は前回、一九五七年カナダのオタワで開かれまして以後七年たっているわけでございます。これは、開催国に予定されておりましたブラジル、インドがそれぞれの事情から五年目あるいはその次の六年目に開催することが不可能になりましたために、三番目のオーストリアがウィーンで大会議を引き受けてやることになりましたため、七年目におくれた次第でございますが、五年目ごと基本的な条約その他の約定を全部改定するたてまえで従来やってまいっているのでございます。連合は一八七四年以来続いており、その仕事の性質も恒久的な国際関係業務内容としておりますのに、五年目ごとに変わりますことは、その実態にそぐわないという点がございまして、そのような観点から、昨年の大会議におきましては、従来の万国郵便条約のうち、連合組織に関する部分基本的な組織に関する部分を抜き出しまして、万国郵便連合憲章というふうに名づけ、これを五年目ごとの大会議では変わらない、恒久的に続くものということとし、それの一般規則万国郵便条約及び関係約定は、従来どおり改正することとしました。新しくこのたび御審議を願っております万国郵便条約は、従来と変わりまして、連合組織規定を含まない郵便及び為替業務に関する共通事項、並びに国際通常郵便物に関する事項内容とすることになりました。万国郵便条約その他の約定等がいろいろな観点から改正され、署名をされたわけでございます。  そのうち特に主要な改正点だけを申し上げますと、万国郵便連合憲章につきましては、ただいま申し上げたとおりでございます。それから、万国郵便連合一般規則につきましては、執行理事会あるいは郵便研究諮問委員会のメンバーをふやすとか、経常費最高限を新しく定め、その額も改定するとか、あるいは用語の問題での若干の改正がなされたというような点がございます。  万国郵便条約につきましては、種類をある程度簡素化、合理化いたしました。郵便物種別体系簡素化、合理化いたしましたこと、それから、印刷物、商品見本小形包装物等料金引き上げがございました。  あるいは、放射性物質が従来郵送されませんでしたのが、この今回の改正によりまして、一定の条件のもとに郵送できるようにしたこと、その他、書留料通関料、あるいは継越料等引き上げがその内容となっているわけでございます。  小包郵便物に関する約定につきましては、やはり輸出税関手続料を新しく定め、保管料最高限引き上げ、あるいは例外的な割当料金の若干の引き上げを可能とする規定追加、そういうようなことが主たる内容になっているわけでございます。  その他の約定につきましては大体が更新され、若干技術的な改正が行なわれています。  改正内容には料金引き上げがございますが、これは世界の大勢上やむを得ないものと考えられ、その他の業務上の改正につきましては、日本といたしましても大体好ましい内容改正をされているものというように考えております。
  6. 小柳牧衞

  7. 武田功

    政府委員武田功君) 日本国グレートブリテン及び北部アイルランド連合王国との間の郵便為替交換に関する約定締結について承認を求めるの件、及び、日本国インドとの間の国際郵便為替交換に関する約定締結について承認を求めるの件につきまして二、三補足説明を申し上げます。  この二約定は、いずれも双方郵政庁為替交換を行なうための必要な基本的事項のみをきめたものでございます。大体内容的には二約定ともほぼ同様でございますので、一括して大体主要点を五つばかり申し上げます。  第一は、郵便為替交換は、英国との間には通常為替及び電信為替の両方の交換業務を行ない、インドとの間には通常為替のみを行なうということ。  それから第二は、為替表示貨幣でございますが、これは原則として払渡国の通貨で表示するという点でございます。なお、現在におけるような外国為替事情におきましては、両郵政庁が必要と認めるときに、その合意によって他の通貨によってでも表示できるという点でございます。  第三点は、為替一口の最高額をきめます場合は、その表示貨幣為替取扱高に応じて定めることができますように、これも両郵政庁間の合意によるということにいたしました。  第四点は、手数料の支払い関係をきめたものでございます。  それから第五点は、決済その他業務実施上の必要な細目手続は、両郵政庁間の合意によって定めることができるというような基本的な事項を取りまとめたものでございます。
  8. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 以上で説明は終了いたしました。本件の質疑は後日に譲ることといたします。     —————————————
  9. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 国際情勢等に関する調査議題とし、当面の国際情勢について質疑を行ないます。質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  10. 羽生三七

    羽生三七君 べトナム問題の本質はきょうはさておきまして、私のきょうお尋ねしたいことは、主として事前協議に関連する問題であります。  まず第一に、在日米軍作戦行動を行なう場合、日本発進して一たん沖繩移動して、これを中継基地として戦闘目的地に行くことは、これは事前協議対象にならないと、この前本会議外務大臣お答えになりましたが、これは対照になるのではないかと思いますが、いかがでございますか。
  11. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 直接、作戦行動発進地として施設区域を使う場合には事前協議対象となるのでありますが、しからざる限りは、他に移動してそうしてそこを根拠地として作戦行動に出るというような場合には、事前協議対象にはならないのであります。
  12. 羽生三七

    羽生三七君 この事前協議という問題は、私の考えでは、米軍が他の地域に一たん移動すれば対象にならないということではなくて、たとえ一たん移動して他の地域を中継しようとも、戦闘行動目的として日本基地発進した場合には、これはもう当然明白に事前協議対象になる。だから、問題は行動目的にかかっている、そう理解すべきではないかと思います。いかがでありますか。
  13. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) そういう予定を立てておるというようなことについては、これはそういう目的を持っておるかどうかというようなことは、これは全然問題外でございまして、とにかく、客観的に日本施設区域を直接作戦行動のために使用する、そういう場合には事前協議対象になりますが、他に移動するという場合には事前協議対象にはならない。どういう目的を持って移動したかというようなことはこれは問わない、さように解釈いたしております。
  14. 羽生三七

    羽生三七君 これは順次お尋ねしていきますが、それは根本的にわれわれと見解を異にするので、やはりその目的が一番重大なウエートを占めるべきだと思います。そこで、安保条約基本は、あくまでわれわれは、事前協議に関する限りは、戦闘目的を持って日本基地発進するかどうかにあるのではないかと私は思うのであります。中継地を経由するかどうかは大体副次的な問題であります。そういう要素は副次的な要素だと思います。したがって、事前協議対象になるかならないかは、あくまで米軍行動目的にかかっておることは明白ではないかと思うのであります。いかがですか。
  15. 安川壯

    政府委員安川壯君) ただいまの御意見でございますけれども、若干私どもの解釈は違うのでございまして、いまのは目的によってきまるとおっしゃいましたけれども、御承知のように、交換公文には、「日本国から行なわれる戦闘作戦行動」、こうはっきり書いてあるのでありまして、目的ということではなくして、戦闘作戦行動自体日本から行なわれるということにかかってくるわけでございますから、目的というよりも、戦闘作戦行動が直接日本から行なわれるかどうかということによってきまると思います。
  16. 羽生三七

    羽生三七君 それは理屈でありまして、続いてこの問題もう少し考えてみたいと思いますが、安保条約審議の際、当時の赤城防衛庁長官はこう言っております。だれの質問でしたか、質問者の名前は見当たりませんが、「途中寄り道してもその目的戦闘作戦行動に出て行くことであれば事前協議対象になる」、こう答弁しております。これは安保条約審議のときの答弁といまの答弁とは根本的に違いますが、それでいいのですか。
  17. 安川壯

    政府委員安川壯君) それはこういう趣旨に私どもは解しております。もちろん具体的に申し上げたほうがはっきりすると思いますが、たとえば、日本にあります米軍の航空機が日本基地発進するときに、たとえば特定の、この土地を爆撃しろという命令をもらって、直接その目的地に飛んでいって爆撃をするというような場合には、これは当然事前協議対象になるわけでありまして、もしその場合に、日本を出ますときに、すでに具体的に、この敵のたとえばある目標を爆撃しろという命令をもらいまして飛び立ちまして、それでたとえばその途中で単なる燃料補給目的沖繩に降りて、さらに目的地に進んだというような場合には、日本を出ますときに特定目的を持って爆撃しろという命令をもらっておりますから、たとえば燃料補給のために途中に寄った場合には、単なる移動ではありませんから、そういう場合には事前協議対象になると解すべきだと思います。当時の赤城大臣が御答弁になったのも、そういう趣旨であると解釈しております。
  18. 羽生三七

    羽生三七君 そこでちょっと横にそれますが、先日佐藤総理は、七日の自民党青年部の大会でこう述べております。「日米安保条約ベトナム問題とは無関係である」、こういう見解を披瀝しておりますが、外相も同様の考えでございますか。
  19. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) それはことばが少し足りないのではないかと私は考えます。北ベトナム爆撃のために日本施設区域を使用するというようなことは、絶対にいまの状況においてはないのであります。したがって、その意味における米国軍事行動というものは、日米安保条約で定められている直接作戦行動日本基地を使うというような場合ではない、こういう意味説明するためにつかったことばであると考えておるのでありまして、広く日米安保条約体制というものに何らの関係がない、こういう意味ではなくて、北爆のその作戦行動というものは、安保条約における日本地域施設区域を使っておるのではないから関係はない、こういうことを言ったものと私どもは解釈しておるのでございます。
  20. 羽生三七

    羽生三七君 かりに一歩譲って、現状はそうだとしても、これは問題があります。——そこで、これはやはり安保条約審議の際に、当時の岸総理は、こう質問に答えております。「政府事前協議において米軍の出動が日本関係のないような場合はこれを拒否し得る」、こう言っているのです。それといまの、「安保条約とは何も関係がない」、こういう佐藤総理の七日の演説とを考え合わせるならば、ベトナム問題は安保条約と無関係というならば、今後日本地域施設区域等の使用、そこからの発進米国日本に求めた場合、当然拒否し得ると思うが、いかがでありますか。
  21. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) でありますから、安保条約ワク内の行動ではあるけれども、しかし、直接の戦闘作戦行動発進地として使っているわけではないから、それは事前協議であるとか、そういったような問題は起こらないという意味に私どもは解釈しておるのでございまして、たとえ間接でも、あるいは輸送、補給目的で使うというような場合に、安保条約のたてまえからそれを拒絶するということにはならない、やはり極東の平和と安全のために行動しようという点に着目して、これを拒否することは条約のたてまえから適当ではない、こう考えております。
  22. 羽生三七

    羽生三七君 しかし、それは非常に重大ですよ。いま、事前協議のことなら事前協議の場合にどうするかということはありますし、また、その問題は次の段で聞きますが、いまのお答えでは、アメリカから求められれば、施設区域を使用して、直接発進することは拒否することはできない、安保条約に当然制約されるということは重大な問題ではないですか。
  23. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 補給目的等施設区域を使用する場合には、ベトナムの問題といたしましては、これは安保条約のたてまえ上これを拒絶することはできない、こう申し上げたのであります。
  24. 羽生三七

    羽生三七君 これは補給ということを明白にしてください。たとえばLSTのことを言っているのですか。米軍日本から直接発進する場合の、その場合の補給のことを言っているのですか、どういうことですか。
  25. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 補給の場合には、直接戦闘行為作戦行動発進地ではないのでありまして、事前協議対象にはならないけれども、しかし、補給のために施設区域を使う、あるいは軍隊移動のために施設区域を使うといったような場合には、これは安保条約ワク内における行動である限りは、これを拒否することはできない、こう考えております。
  26. 羽生三七

    羽生三七君 その根本問題はもうちょっとあとにして、そこで先ほどの問題にもう一度関連してですが、たとえば米軍日本基地を出動したあと、長期にわたって沖繩に駐留しておるような場合は、これはしばらく別として、もし短時間あるいは短時日の駐留ですぐ目的地に向かうという場合に、これも事前協議対象外と言うなら、一体安保条約というものは何ですか。これは全く条約は空文化されてくるし、その一たん沖繩移動というのは、それを合理化するために移動するだけで、本来の目的は、ストレートで作戦目的地へ行きたいわけですね。そうすると日本がうるさいので、条約を合理化するために一たん沖繩移動するという形をとるだけで、実質日本から発進すると同じ性格のものではないか、いかがですか。
  27. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 軍事行動の詳細にわたっては、適当な機会にまたそれぞれの専門家からお答えすることにいたしまして、少なくとも日本施設区域を出発する場合には、作戦行動上の指示を受けていない。とにかく、おまえは沖繩なら沖繩移動すべし、こういうような場合は、たとえその間、向こうに移ってから時間が短くても長くても、それは作戦行動としての発進ではない、こうわれわれは考えておるのであります。ここに、沖繩に滞留する時間の長短にかかわらず本質的な違いがある、こう考えます。
  28. 羽生三七

    羽生三七君 そうすると、一体安保条約というものは何かということになってくるわけですね。事前協議で拒否する場合もあるんでしょう、当然。そうすると、いまのような抜け道を持っておれば、事前協議を行なうということはないんじゃないですか。実質上できなくなる。どんな場合でもアメリカが一たん沖繩移動していけば、どんな目的を持とうとも全然事前協議対象にならぬということになれば、安保条約というのは一体何なのでしょう。全く空文化して、しかも、アメリカ上院における安保条約審議の際の速記録——聴聞会等を見ますと、アメリカにおいてすら、いま私が述べたような意見が述べられておるんですよ、かなり。それなのに当の日本がそんなことでいいのかどうか。まあ、それももうちょっとあとにします。  そこで、たとえばこの前、北朝鮮とアメリカ空軍との接触がありました。それがいいか悪いか、何度線に入ったか入らぬかという議論はいたしません。かりにそういうような場合、急な反撃が北鮮から起こってきた、大規模に。米軍も出動しなければならぬというようなことが起こった場合に、地上部隊なら一たん沖繩移動するということがありますが、空軍の場合はすぐ日本基地から飛び立っていく。その場合に一体相談しておれるんですか。そういうようなときはどうなんです。そのときでも向こうは一々日本に相談して、これはどうしたらよろしゅうございましょうかと協議をするんですか。
  29. 安川壯

    政府委員安川壯君) それは当然事前協議対象になります。
  30. 羽生三七

    羽生三七君 実際問題としてそんなゆうちょうなことがしておられますか。私は北鮮機米機との接触問題を聞いたときに、すぐその問題を思い浮かべました。幸いにしてあれは一機か二機ですから問題がないようですが——問題がないことはない、小規模で済んだけれども、もし大規模なことになったときには一体どうするか。これは日本としたってまじめに考えなければならぬ問題だと思う。
  31. 安川壯

    政府委員安川壯君) ちょっといま御質問趣旨が、もしああいう事態がもっと大規模に起こって、かりに北鮮側の飛行機が反撃するために日本在日米軍基地爆撃したというような場合には、この安保条約の第五条が働くわけでございますから、その場合には交換公文は除外されるわけでございますから、もし日本が直接北鮮から攻撃を加えられたという場合には、これは事前協議対象にならないことは明らかでございます。
  32. 羽生三七

    羽生三七君 私の言っているのはそうじゃないのです。北鮮日本爆撃に来るということではなしに、どこかで接触して、そこで大規模な空中戦闘が行なわれた場合に、アメリカ機が日本から出動していく場合ですね。そのことを言っているわけです。
  33. 安川壯

    政府委員安川壯君) その場合には、当然事前協議対象になります。
  34. 羽生三七

    羽生三七君 なるが、実際問題としてそんなことをやっておれますか。空軍で、しかも、最近のものすごいスピードで接触して戦闘をやるという場合、事前協議のそんなものは五分や十分で片づくものじゃないでしょう。大臣、関係者が一体どこにいるかわからない場合もあるし、旅行をしている場合もあるし、実質上できやしないじゃないですか。
  35. 安川壯

    政府委員安川壯君) それは軍事行動のいろんな条件ということになりますが、私も軍事専門家でございませんから、軍事専門家としての御答弁はできませんけれども、まあ、常識的に考えまして、アメリカの作戦基地というものは何も日本に限るものではございません。韓国にも航空部隊がおりますし、沖繩にもおりますし、日本事前協議をして、どうしても日本から是が非でも発進しなければならないという軍事的な理由は必ずしもあるとは私は考えられないと思います。
  36. 羽生三七

    羽生三七君 いままで米軍ベトナム戦闘について日本基地から発進したことはない、こうまあ政府はそのつど答弁されておるわけです。それを政府の言うとおりに一応信用するとしても、まあ、沖繩移動して出ていくことはしばしばあるわけです。そういう場合に、一体作戦の行動目的とかあるいは装備の変更とか、そういう問題はだれが認定しておるのですか。日本はそう簡単に、何も日本にはそんなことは安保条約関係ない、事前協議対象にならない、何もならないとみんな否定をしている。その認定はだれがやるんですか。アメリカがやっているんでしょう。それについて日本が何らかの協議を受けたとか、あるいは日本自身が自主的な判断をしてしたとか、そういうことはあるんですか。向こうから何か通告があれは——あるいは通告がない場合が多いでしょう——あればそのときに、ああそうですかと言うだけで、何も協議というものはない。そうだとすると、日本から出たことが一度もない、発進したことはないと言っておられますが、それは全部アメリカが認定して言っておることで、日本自身が自主的に何も判断する材料というのはないんじゃないですか。
  37. 安川壯

    政府委員安川壯君) まあ、これはベトナムの場合だけ限定して考えますと、これも私、軍事専門家でございませんけれども、第一、いま日本におりますアメリカの飛行機が日本から直接発進してベトナムを、たとえば北ベトナム爆撃するというようなことは、ちょっと常識的にも考えられませんので、そういうことはあり得ないと思います。認定とかなんとかいうことよりも、これは常識的にそういうことはあり得ないと考えるのがむしろ常識じゃないかと思います。それから一般論として申し上げます場合に、それはアメリカが隠れてやり得るという前提に立てば、しかも隠れてやるというアメリカに意思があるということを前提にして考えますならば、そういうことも起こり得るかと思いますけれども、しかし、いやしくも日本基地として直接の戦闘作戦行動をやるという場合に、これは認定とかなんとかいうことよりも、これはいずれにしても客観的に明らかになることでありまして、隠すとか隠さぬという問題は起こり得ないのじゃないかというふうに考えます。
  38. 羽生三七

    羽生三七君 私は直接日本からベトナムへ行くことをさしておるわけじゃないんです。沖繩移動する、一たん移動する場合でもそういう目的を持って行く場合ですね。戦闘作戦目的を持って行く場合です。だから、沖繩移動ということは、単なる口実といいますか、安保条約を合理化するためのやり方にすぎなくなる。そういう場合の認定。だから、先ほどの外務大臣の御答弁のように、何でもかんでも日本から直接行かなければ全部事前協議対象にならぬというようなことになれば、これは先ほどから私が申し上げておるように、全部アメリカが一たん沖繩移動して、それから五分でもいいから、五分でも十分でもいいから、そして沖繩中継基地として出て行けば、何一つ事前協議対象にもならないし、安保条約というものはあってもなくても同じだ。こういうことになるんじゃないですか。  それからもう一つ、それと関連をして、今日までも私はずいぶん協議すべきようなケースがあったと思うのです。もちろん行なわれておらない。だから、事前協議は別としても、随時協議もないわけです。全然やったことありません。ないでしょう。あるんですか。あるかないか、随時協議を行なったのは。
  39. 安川壯

    政府委員安川壯君) 随時協議と申しますのは、第四条の協議のことをおっしゃっておると思いますが、これは何も形式がきまっているわけではございませんので、外交チャンネル、あるいは両方の、防衛庁当局と向こうの軍当局と協議ということは随時行なわれておるわけでございまして、たとえば米軍移動にしましても、これは実際はいわゆる第六条の実施に関する交換公文に関する事前協議ではございませんけれども、たとえば従来しばしば米軍移動というものは起こっております。御承知のように、二年前でございますが、米軍の航空部隊が板付から撤収しましてそれが横田基地に移る、あるいは三沢の部隊が撤収するというような一連の動きがございましたけれども、これらについては事実上先方から協議を受けて、その上でそういう決定がなされておるわけでございまして、決して米軍移動に関しては何らの相談も通告もないというのは事実に反するのでございまして、必要に応じて随時協議をいたしております。
  40. 羽生三七

    羽生三七君 それで、そうしていくというと、先ほど来私が申し上げますように、もういまの質疑応答で判断する限りにおいては、一体安保条約とはそもそも何かという根本問題にぶつかるような感じがするのです。だから、もしかりに、それじゃ日本から直接出動するような場合、これは事前協議対象になるかもわからぬ。その場合には、これは何回もあらゆるところから質疑がかわされたことで、外相の答弁も大体わかっておるけれども、さらに念のためにお尋ねしますが、そういう日本から直接発進するような場合に、事前協議を求められた場合、これはもう明らかにいまの日本としては、たとえば日本に対する直接の攻撃が行なわれたような場合は別ですよ、これはわれわれとしても考えなければならぬ問題です。直接攻撃が行なわれたような場合、へ理屈を言っているわけにもいかない。しかし、いまのベトナムのような情勢下において協議を求められた場合に、これを拒否するということは、これは私、この前ちょうど椎名外務大臣が韓国へ行かれて、本会議佐藤総理にだけお尋ねをしました。私はその場合、事前協議がなくともいまの随時協議でもよろしいし、日米安保協議委員会でもいい、いずれかの機会を利用してやはり日本の態度を事前に米国に通告するぐらいな気がまえがあっていいのではないかということを申し上げておる。それですから、日本から直接発進する場合には、米軍のその行動を、少なくとも日本に対する直接攻撃のない限り拒否するだけの考えをお持ちかどうか。それも考えがないと言う。事前協議沖繩移動すればあり得ないと言う。それじゃどういうことになるんですか、安保条約というのは。何も意味がないじゃないですか。どんなことでもできることになるじゃないですか、アメリカが。
  41. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 御質問の要点がよくはっきりいたしませんが、しかし、単なる移動というものと、それから直接作戦行動の任務を帯びて、そしていわゆる作戦司令部の指令というものに従って基地発進する、こういう場合は非常な、本質的に性格が違う。いまベトナムの戦争で一応日本に飛行機が何台かはある。これはいわばたまりにたまっておるようなものだ。一応、作戦上の基地に集まっている。そしてそこから具体的な任務、指令というものを仰いで、そしてある軍事行動というものを担当して出かける、こういう場合と非常に本質的に違うのでありまして、ベトナムの場合は、日本が直接作戦行動の中心の司令部になるなんということは、いかなる場合にも、われわれはしろうとでありますけれども、そんなことは考えられない、こう思っておるのでありまして、ベトナムの戦争に関する限りにおいては、事前協議対象に全然なり得ない、こう考えております。
  42. 羽生三七

    羽生三七君 かりにベトナムでなくてもよろしい。ベトナムでなくても、将来この種の問題がアジアの地域に起こった場合、これは台湾と中国本土との関係、あるいは北鮮との関係で、どういうことが起こってくるかもわかない。その場合の基本的な心がまえとしてのことを私は言っておるわけです。
  43. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) それは、直接具体的な問題に当面して、日本基地を使用されては困るという場合があれば、これは断固拒絶をいたします。
  44. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 関連。現在日本からベトナム、あるいはその周辺の地域に飛行機による哨戒活動が行なわれる。これは一体作戦行動考えておられるのかどうか。その点はどうですか。
  45. 安川壯

    政府委員安川壯君) 日本から立ってベトナムの周辺を哨戒しておるという事実について私存じません。そういうことはないのじゃないかと思いますけれども、単なる周辺地域を哨戒することは、私はここに言う戦闘作戦行動ではないと解釈すべきものだと思います。
  46. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 伝えられるところによると、ベトナムの戦況が現在のように非常に激化しはじめてから、初めて日本の岩国の基地からあの周辺の哨戒活動が始まって、現にひんぱんに行なわれておる。こう言われておるのですが、何かさりげなく、そんなことはないと思いますというようなことですが、これはもっと正確にひとつ調べて御答弁を願いたい。  それから、もしそういうことがあっても、それは戦闘活動ではないとおっしゃるが、いま申し上げたように、現在のような戦闘行為が始まってから、初めて哨戒活動が起こったのですから、それに付随して起こっている哨戒活動だとすれば、作戦行動の一部だと見ることが妥当なんじゃないかと思いますが、その点はどうですか。
  47. 安川壯

    政府委員安川壯君) 事実については、なお調べた上でお答えをいたします。ただ、これはことばじりをとらえる意味じゃございませんけれども、正確に申しますと、戦闘作戦行動でございますが、単なる哨戒は、いわゆる戦闘作戦行動には入らないと解釈すべきだと思います。
  48. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それからもう一つ。先の第四条の随時協議の問題ですが、現在のベトナムの状況は、あの第四条に言う「日本国の安全又は極東における国際の平和及び安全に対する脅威が生じたとき」、こういう場合だと判定をしているのかどうか。この点はどういうふうにお考えですか。
  49. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 御指摘のとおりだと思います、現在の状態は。
  50. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうすると、現在の状態がそうであるとすれば、先ほど羽生委員からもお話があったように、むしろこちらから協議を提議をして、そして日本基地作戦行動その他には絶対に使わせない。したがって、日本はこの戦争に巻き込まれることは絶対にない。そのためには、補給活動その他についてもいわゆる協力というようなことはやらないということを、むしろ協議の場において明確に宣言をすることがこの場合必要じゃないか。国民もこの点を非常に危惧いたしておると思いますので、それに対して外務大臣どうお考えですか。
  51. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 安保条約に言われる極東における平和と安全が脅威されておるというただいま状況だと思うのです。それでその平和と安全が脅威されておるその事実をできるだけすみやかにこれを取り除くという目的を持ってアメリカ軍事行動が行なわれておる。こういう解釈に立っておるのでございますから、いま御指摘のように、よけいなことをやっておって、そうしてそのためにこちらも安保条約上の義務を遂行する、そうして、そのあげくの果てには戦争に巻き込まれるというような認識は、ただいまの状況では全くあべこべでございまして、われわれといたしましては、あくまで極東の安全、平和というものが脅威されておるその脅威の原因を、できるだけすみやかに排除するという行動に出ておる。こう考えておりまするので、第四条の随時協議はいろいろな意味において行なわれておりますが、いまお申し出のような意思を表明する考え方はいたしておらないのでございます。
  52. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そのアメリカの現在の行動、活動が平和保持のためであるということは、なるほどジョンソンあるいは国務省等アメリカの当局はそういうふうに考えているかもしれないけれども、いろいろ伝えられるところによれば、アメリカの良識は必ずしもそう考えていない。さらには、議会の中においてもそう考えていない。むしろあれは一種の平和を乱す戦闘行為である、したがって、あれを即時やめるべきであるという意見が非常に強いと思うのです。こういう考え方、感じは日本の国内においてはもっと強いし、むしろそのほうが支配的で、あなたのようなお考えはごく一部の当局に限られているという状態だと思うのです。ということは、現在のアメリカ行動安保条約の第一条の平和目的に違反をしているとしか思えない活動が行なわれているというふうに考えるのですが、そう考えれば、そういう立場に立って、いま私が申し上げたような、協議の場合に日本の立場を明瞭にすることが真に平和を保持する態度と思うのですが、その点はどういうふうにお考えですか。
  53. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) まあ、アメリカのとっておる軍事行動そのものに対する批判と、それから、アメリカの南ベトナムに協力して軍事行動をとっておるという基本的な問題と、これは区別して考えてみなければならぬと思うのであります。私はその基本的なアメリカ目的なり方針というものについてはこれはもう問題がないのではないか、結局、外からの強制によって政治的な自由と独立が侵されるということを守ってやる、こういうことについては私はあまり批判はないのではないか、ただ、そういう基本的な目的のもとにやっておる個々の軍事行動というものがどうも適当ではない、適当な限界を越えておる、こういうところに批判というものが、いまアメリカ国内においても、あるいは日本の国内においても、その方法論の問題についてあるのではないかと思うのであります。しかし、われわれといたしましては、基本的な方針、目的、それがよければやることは何でもいいんだというわけでもございませんけれども、今日の北ベトナムからの継続的な浸透というものが南越の政治的独立、政治的な独立と自由に非常な支障を与えておるという限りにおいては、私は今日の軍事行動もまたやむを得ざるものである、こういうように考えておる次第でございます。
  54. 羽生三七

    羽生三七君 いまの極東の平和と安全の問題はあとにします。  そこで、先ほどの問題に戻りますが、日本から直接米軍発進する場合には事前協議対象になる。これはぜひ事前にでも日本が態度を明白にして、その拒否の態度を相手側に伝えるべきであるというこのこととともに、先ほど、沖繩に一たん移動して出ていく場合です。そうすると、明らかに目的がはっきりしている場合でもそれは拒否できないのですか。事前協議対象にならぬのですか。どんな場合でも沖繩移動すれば、それはもう事前協議対象にならないということになれば、これは全く、私は、安保条約の空文化と言うか、骨抜きと言うか、これは何を審議しても全然意味のないことになるし、将来アメリカとしても、日本にどんなことでもなし得る。一たん沖繩移動すれば、それで事が済むのですから。それを軽々に、作戦行動目的には問題がないという形でこれを容認しておれば、私は将来重大なことにこれはなると思う。この点は明らかに作戦目的を持って、つまり直接向こうに行くことが安保条約の制約を受けるので、それを合理化するために一たん沖繩移動するというようなケースの場合は、明白にこれは事前協議対象になるというような理解をしなければ、全然問題にならないと思う。しかも、外務大臣の現状認識では、ベトナム問題はそうたいしたことのないように言われておりますが、これは長期化する様相を示しております。それから、アメリカの今後の出方によっては、これは今日ソ連をはじめとする関係諸国がどういう態度に出るかわからない。それあるがゆえに、昨日もソビエトが核兵器の全面使用禁止、それからその宣言を保有国が行なうことを提唱しておるわけですね。これもそういうことを心配してだと思うのです。まあ、そのことはあとにしまして、いまの問題、明らかにそういう目的を持って沖繩移動するような場合でもこれは事前協議対象にならぬ。それじゃ全然問題にならぬじゃないですか。その点は十分外務大臣としても慎重に御判断を願わなければならぬと思うのです。はっきりした場合にですね。
  55. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 先ほども申したように、とにかく沖繩に集まれ、こういう場合には、集まってすぐ三十分か一時間の後に現実の作戦指令を受けて、そうしてある目的地に進発する、こういう場合もあると思います。そういう場合には、うすうすどうもあっちのほうにやられるのじゃないかという気持ちを持っておっても、いわゆる作戦行動としての目的を、具体的に任務を授かっているわけではない、ただ集まれ、こういうことなんですから。集まって、五分か十分たって行く場合もあるだろう。とにかく、具体的な作戦行動の指令を受けて、そうしてそれだけの準備、用意をして、そうしてそこから出かけるのと、ただ、ここに集まれというのでは、本質的に違うのです。でありますから、ただ、そういったような目的についてうすうす感じておるとか、あるいは内々そういう話を耳にしたというような場合といえども、具体的に作戦上の司令部から任務を授かって、そうして発進するのとは基本的に違う。もしそういうことがありますれば、日本といたしましては、これはもう事前協議対象としてあくまでこの問題に対して突き詰めて是非の判断をしなければならぬ、こう考えておりますけれども、ただいまの情勢においてはそういうことはないと、こう判断しております。
  56. 羽生三七

    羽生三七君 まあ、ただいまの情勢はとにかくとして、そういう明白な場合には事前の協議対象となると、こういう御答弁をしたものと理解いたしますが、でありますから、そこで、先ほど私が言った、一体だれがその認定をするかという主体が非常に問題になってくるわけですね。米軍の言うことだけを聞いておれば、いま外相が御指摘のように、どういう理屈でも、一たん集まれと号令かけるだけ、あとはそれからだということになるので、それはしかし日本に言うとうるさいから、いまお話のようなことで、まあ一たん沖繩に集まれというようなことに形式上しておく。内容は実際他の目的地に飛ぶ場合の中継基地にすぎない。でありますから、それを認定する何もないのですね、あれが——何と言うか、基準と言うか、力と言うか。全部米軍の判断にまかしておる。が、まあその点は別として、時間がだんだんもうあと少ししかありませんから、まあその点は……。  そこで、その次の問題は、私いまお尋ねしようと思った点、若干佐多委員から触れられましたので、もう一度念を押しておきたいと思いますが、一体極東の平和と安全とはそもそも何かという問題。で、この場合日本に対して直接の攻撃、侵略がある場合、これは非常に単純明快であります。これはわかっております。そうでなしに、この日本国以外の極東地域に起こった極東の平和と安全とは一体何かということ、これは、たとえば南北ベトナムとも直接日本に対する攻撃意思は全然ない。これは当然そう理解できます。これは明快であります。これは、この場合、アメリカが極東の平和と安全ということで日本に協力を求めるような場合、それがいま問題になったわけです。で、これはいまの、このアメリカの言っておる、安保条約の言う極東の平和と安全というのを、自由陣営が脅やかされた場合、これがアメリカの言う、いつでも、どの場合でもこれが極東の平和と安全を脅やかすことになる。自由陣営が脅やかされた場合。だから、私たちはそうではなしに、やはりそこに直接の攻撃や侵略があったかどうかということ、そういうことから判断をしないと、自由陣営という一種のイデオロギー的な立場で問題を、その立場で平和と安全ということを考える場合には、民族独立運動が起こるところは至るところ自由が脅やかされるということになる。ドミニカの例もあるのです。一つの、まああれは内応的にはベトナムと若干違いますけれども、これも新しく起こった問題です。でありますから、明らかに不当に侵略や攻撃が行なわれた場合の平和と安全という問題、いまのような民族独立運動というような場合を自由陣営が脅やかされたというようなことで、これを極東の平和と安全に結びつけて米軍が出動するとか、日本の協力を求める場合とか、こういう場合は非常に私は問題だと思う。その意味で、私は安保条約で言っておる極東の平和と安全という問題をもう一度ここで再検討すべき時期に来ておるのではないか。ここからすべてが出発するわけです。それと先ほどの抜け穴ですね。だから、これは前々から安保条約審議の際からわかっておったことではあるけれどもですね、実際上審議が不十分だったというのか、まあ事態がそこまで発展しておらなかったので、問題が深刻化していなかったわけですが、それにしても、いまの安保条約で言う極東の平和と安全という問題は、いま申し上げたような理解をすべきではないのですか。民族独立運動は全部自由を脅やかすということになるならば、これはもう問題だと思う。
  57. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 民族主義の台頭と申しますか、勃興というのは、それ自身は大勢でございまして、何ぴともこれに対して異議を唱えるべきではないし、かえってこれを大いに助長すべきであると考えます。しかし、民族主義の名をかりて侵略が行なわれる、こういう場合には、これはやはり区別してこれに対処しなければならぬものと考えております。
  58. 羽生三七

    羽生三七君 まあこの論議は非常な長い時間がかかる。私は、実際問題として、ベトコンということばが適当かどうか知らぬけれども、ベトコンが北ベトナムから派遣されたものとは思っておりませんから。それから、あの中におる組織そのものが輸入組織でないことは当然だし、また、共産主義者が全部だとは思っておらない。少しふえつつあることは事実ですが、大多数は純然たる民族独立運動だと思う。まあその議論は別として、まじめに極東の平和と安全という問題をもう一度考える時期に来ているんじゃないかということをこの場は申し上げるだけでとどめておきます。  次の問題、これは簡単です。昨日、先ほど申し上げましたように、ソビエトで核兵器の使用禁止、それから、全保有国がこれについての禁示の宣言をする、こういう提唱をしておるわけです。日本は核保有国ではないからそういう宣言は別でありますが、しかし、この際核非武装の宣言を日本がやったらどうかと思う。これは数年前私は本会議岸総理のときにこれを提唱したことがあります。ですから、日本政府なりあるいは国会なり——国会がしばしばやろうとしても、自民党の同調がないためにできない。そこで、この種のことは日本はあくまでも核兵器の持ち込みは許さない、認めない、絶対今後も扱わないと言っておるのですから、この非常ないい機会に日本自身が明白に全世界に向かって核非武装宣言を行なってはどうか。これは別にほんとうに持つ意思がなかったら、政府の立場からいったって、対米関係をそこなうわけでないから何も問題ないと思う。なぜそれができないか。やるべきだと思うんです。この際外相のひとつ決意をお伺いしたい。
  59. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 御趣旨においては全く何ら異議を差しはさむべきものがないと考えます。しかし、この事態においてかような重大な政治的宣言をするということは、いろいろな点を十分よく考えてみる必要があると思うのであります。御趣旨はありがたく承っておきたいと思います。
  60. 羽生三七

    羽生三七君 委員長、私この質問で終わります。  この事態だから必要なんですよ。  それからもう一つ、これは注文になります。これで終わりますから。  たとえば佐藤総理の場合でも、あなたも——あなたはちょっと違うが、佐藤総理の場合は、世界がそういうふうに動いてくれば日本も何かしようというこういう——あまり背伸びをした外交というのは問題かもしれない。しかし、重要な時期に日本自身がどういう姿勢をもって世界に呼びかけるか、あるいはこの解決のためにどういう役割りを果たすか、どういう寄与をするか。それがずっと埋没しておって、非常な悪い表現でありますが、世界じゅうがそういうことになってくれば日本も一口乗ろう、そういうことじゃないのですか。日本のいまの政府の立場は、平和問題について、ですから、全部の条件がそろって、大体これでよかろうということになれば、日本だけが黙っておるわけにいかぬから、日本も一口乗りましょう——日本が積極的にイニシアチブをとって役割りを果たすという、そういう気魄というのがほとんどない。もちろん私は、そんな力以上の無理なことをやっても成功しない場合があるということをよく知っております。しかし、今度のようなこの種の重大な時期には、ときには失敗したっていいじゃないですか。勇気を持ってやはりやる必要がある。特にいまの宣言のごときは、一番私は時期的にも適していると思う。特に世界最初の被爆国である日本がそれを全世界に宣言したって、だれ一人笑う者もなければ、当然だと思うだけで、そういうことがひとつ外交の手始めになるのじゃないですか。まあ、これは注文みたいなことでありますが、もう一度外相の見解を承っておきたいと思います。
  61. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 十分に承って研究してみます。
  62. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 ちょっと関連。いまの非核武装宣言の問題ですが、これは外相によると、趣旨としては賛成である、しかし、ただ、いまこの時期にやることはどうかと思うという点で、かなり消極的になっておられる。それならば、なぜこの時期にはそういうふうに消極的に考えなければならないのか。この時期にそれをやればどういうマイナスがあるというふうにお考えになっているのか。どうもそういうことが前提になっているからそういう消極的な態度が出てくると思うのであります。そのマイナスの点をもっと具体的にはっきりお示しを願いたい。
  63. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) どの点にマイナスがあって、どの点がプラスであるか、そういう点のはっきりした判断がつかないから、御意見は承っておく、こう申し上げているわけであります。
  64. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 趣旨として賛成であるならば、そうして、マイナスというものが具体的に考えられないならば、残るのはプラスだけだから、この際大いにやられたらいいし、特にまたこの際であるから、やらなければならないのじゃないですか。どうですか。
  65. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) よく吟味してみたいと思います。
  66. 森元治郎

    ○森元治郎君 それに関連して、短かく五分ぐらいで片づけますが、非核武装の問題についてはよく検討するという大臣のお話ですが、二、三年前の国連の政治委員会だったと思うのだが、岡崎代表が、南米の諸国から合同して出した非核武装地帯宣言の案に対して、日本政府の態度を発表しているのですね。だから、その輪郭はできているのですよ。内容はきわめてずさんな、もうどなたが、お読みになってもネガティブが多くてどこが本文だかわからないような文章ですが、あるのですよ。それをお知りにならないのですか。——いいです。それでいじめたって……。文章持って来てもしかたがない、長いから。  そこで、よくお考えになると言うが、私がいまあなたに教えますよ、手を。きのうソビエトから核不使用——使わない宣言と非武装地帯設置の提案がなされました。これは誘い水なんですよ。ぼやぼや読んでいてはだめですよ、新聞を。このベトナム問題に対処して、ソ連として何とか局面を展開したいというのを、私はあそこが誘い水だと見るのですね。そういうふうに新聞お読みにならぬと、外務大臣はつとまらないのですね。そうして、それじゃどうやってやるか。これは単に非武装地帯をどうこうという直接のことではなくて、いわゆる問題があるのですよ。それは、結びっ放しでうっちゃってある一昨年の核実験停止条約、あれはそれぞれ参加国が、持たない国まで引きずり込んで、ワシントンとモスコーにそれぞれ批准書を寄託させたままでうっちゃられているのですね。この会議をやれということが、この際世界をしてその平和のほうへ向ける絶好のチャンスなんですよ。あれは米ソが、中国でも頭の中にあったのです。その他の国を糾合して、そうして非核武装条約に参加させ、結んで寄託したばかりなんですよ。その会議をやらない。条約内容を見れば、地下実験も早く禁止しようじゃないかということをうたってある。使わないようにしようという精神も入っている。これをすみやかにあなたは世界に呼びかけて、その中で非核武装地帯もよかろうし、地下実験の禁止もよいだろうし、あるいは核武器を使わない宣言もいいだろうし、どうです、これを提唱しては。結んだままでうっちゃっておく条約なんてありませんよ。これは米ソの利己主義からこうなっているのですから、これは日本としても絶好の打つ手なんですね。何を考えているんです、大臣。
  67. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) よく承りました。
  68. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。  これをもって散会いたします。    午前十一時五十二分散会      —————・—————