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1965-04-22 第48回国会 参議院 外務委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年四月二十二日(木曜日)    午前十時三十一分開会     —————————————    委員異動  四月十三日     辞任         補欠選任      和田 鶴一君     八木 一郎君      山本 利壽君     三木與吉郎君      草葉 隆圓君     鈴木 一司君  四月十四日     辞任         補欠選任      三木與吉郎君     山本 利壽君      八木 一郎君     和田 鶴一君      鈴木 一司君     草葉 隆圓君  四月十五日     辞任         補欠選任      山本 利壽君     河野 謙三君  四月十六日     辞任         補欠選任      河野 謙三君     山本 利壽君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         小柳 牧衞君     理 事                 井上 清一君                 草葉 隆圓君                 長谷川 仁君     委 員                 木内 四郎君                 黒川 武雄君                 山本 利壽君                 岡田 宗司君                 羽生 三七君                 曾祢  益君     国務大臣        外 務 大 臣  椎名悦三郎君        運 輸 大 臣  松浦周太郎君     政府委員        外務大臣官房長  高野 藤吉君        外務省条約局長  藤崎 萬里君        運輸省航空局長  栃内 一彦君     事務局側        常任委員会専門        委員       結城司郎次君     説明員        外務省条約局外        務参事官     佐藤 正二君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選の件 ○在外公館名称及び位置を定める法律及び在外  公館に勤務する外務公務員給与に関する法律  の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送  付) ○航空業務に関する日本国政府マレイシア政府  との間の協定締結について承認を求めるの件  (内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  この際、理事補欠互選についておはかりいたします。委員異動に伴い、理事が一名欠員となっておりますので、この際、その補欠互選を行ないたいと存じます。互選の方法は、その指名を委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 御異議ないと認めます。  委員長は、理事草葉隆圓君を指名いたします。     —————————————
  4. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 在外公館名称及び位置を定める法律及び在外公館に勤務する外務公務員  の給与に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、提案理由説明を聴取いたします。外務大臣
  5. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 在外公館名称及び位置を定める法律及び在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案提案理由を御説明いたします。  まず、本法律案の第一条におきましては、大使館新設三館、公使館より大使館への昇格一館、総領事館新設二館、領事館より総領事館への昇格二館、領事館新設一館を規定いたしますと毛に、タンガニイカ国名の変更に伴いまして所要改正をいたしております。  大使館新設三館は、いずれも昨年中に独立いたしました地中海のマルタ、アフリカのマラウィ及びザンビアにそれぞれ大使館新設し、近接の大使館をして兼轄せしめるものであります。  公使館より大使館昇格する公館は、現在パナマ大使館が兼轄いたしておりますコスタ・リカ公使館でありまして、コスタ・リカ中米共同市場における重要な地位にもかんがみ、わが国との貿易関係を一そう改善伸長し、かつまた、同国との友好関係を強化するため、同公使館実館としての大使館昇格するものであります。  総領事館新設につきましては、インドマドラススペイン領カナリア諸島ラスパルマス実館新設することといたしております。マドラスはボンベイ、カルカッタとともにインド工業中心地であり、またわが国との貿易経済協力関係において最近とみに緊密度を増しております南部インド中心地でもあります。  また、ラスパルマスは、東部大西洋における漁業基地として重要な地位にあり、わが国からも大手各水産会社をはじめ中小水産会社を合わせて五十五社が同地を基地として利用しており、昨年五月末現在操業漁船約百六十隻、乗り組み員約七千人の多きに達しております。よって、これら乗り組み員の保護、現地官憲との交渉、連絡、漁船船舶安全法上の検査等領事事務を行なうためここに総領事館新設するものであります。  なお、トロント及びヒューストンの各領事館につきましては、それぞれわが国との関係緊密化に伴い今後領事活動の一そうの強化をはかるため、総領事館昇格させることといたしております。  領事館新設一館につきましては、豪州ブリスベンに実感を設置することといたしております。ブリスベンは、クインズランド州の首都として豪州経済の中でも重要な地位を占めており、わが国との貿易関係におきましても食糧、原材料、鉱物資源供給地として、また、わが国からの経済開発企業提携等に伴う資本財輸出先としても大いに期待されております。  次に、昨年タンガニイカがザンジバルと合邦してタンザニアと国名を変更いたしましたので、これに伴いまして所要改正を加えることといたしております。  なお、本法案第二条におきましては、以上の在外公館新設及び昇格に伴い、これらの在外公館町に勤務する外務公務員在勤俸の額を定めております。  以上がこの法律案提案理由及びその概要であります。  何とぞ慎重御審議の上、御賛成あらんことをお願いいたします。
  6. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 以上で説明は終了いたしました。本案の質疑は後日に譲ることといたします。     —————————————
  7. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 次に、航空業務に関する日本国政府マレイシア政府との間の協定締結について承認を求めるの件を議題といたします。  本件の提案理由説明は、去る四月八日に聴取いたしております。  まず、補足説明を聴取いたします。佐藤参事官
  8. 佐藤正二

    説明員佐藤正二君) マレイシアとの航空関係は、まだマレイシア連邦ができる前に、一九五八年に日航シンガポール線運航を開始いたしまして、一九六二年にジャカルタまでこれを延長いたしまして現在に及んでいるわけであります。このシンガポール乗り入れは、当時ございました、九五二年に締結されました日英航空協定に基づいて行なわれておりましたわけでございますが、九六三年にシンガポールマレイシアに併合されましたために、日英航空協定ではそのシンガポールまでの乗り入れの権利というものが確保されないという状態になりましたので、そこで、マレイシア政府との間の協定をつくる必要ができまして、マレイシアとの間の協定交渉を始めたわけでございます。それで、昨年の二月、八月と二回交渉を行ないまして、本年の二月にクアラルンプールでこれの署名を行ないましたわけでございます。この協定の案文に関しましては、いままで日本はちょうど二十でございますが、各国航空協定を結んでいるわけでございますが、その内容とほとんど同様なものでございます。したがって、詳しく御説明する必要もないかと思いますが、一部御説明しなくてはならないと思いますのは、第六条にチェンジ・オブ・ゲージと称する規定が入っております。これはほかにも前例がないわけではないんでございますが、これは途中で航空機が、たとえば東京から航空機が飛び出しましてシンガポールあるいはその前のバンコックというところで小さな飛行機にこれを取りかえる。小さな飛行機に、こういう途中で乗り継ぎするというような場合に、日本に近いほうの飛行機を大きい飛行機にしておかたくちゃいけない。と申しますのは、途中からたくさんお客を乗せてしまうというようなことになるといけないという意味でその締約国——日航であります場合には 日本に近いほうには大きい飛行機を使い、日本から遠いところには小さい飛行機を使わなければならないという規定があるわけでございます。この規定は、他の各国航空協定には間々見受けられる規定でございます。マレイシアとの関係でこれを入れることになりましたので、これはちょっとほかの協定と違っております。それからその次に、第八条に相手国指定航空企業に対して収益の本店に対する送金を認めるという規定がございます。これも新しい規定でございますが、これはむしろこちらの希望で、日本にとってはむしろ利益になる規定でございますので、入れてもらったということになっております。御承知のとおり、航空協定というのは、協定内容はそういうふうな原則規定がずっと書いてございまして、最後附表がついておりまして、この両国指定航空企業が行なう路線規定しておるわけでございます。この路線につきましては、この附表には、単にどの地点どの地点と書いてあるだけでございますので、お手元に差し上げてあります協定説明書の一番最後のページに絵をつけておきましたから、それでごらんになっていただきたいと思います。これは日本の分だけでございますが、破線で書いてありますのが、この協定の中に載っております許可された路線でございます。実線で書いてありますのが、現在日航がやっております路線でございます。したがって、東京香港バンコックシンガポールジャカルタという線をいま日航が動かしているわけでございます。それから一方、これには出ておりませんが、マレイシアのほうは、マレイシア内の一地点——バンコック−サイゴン−香港−マニラ−台北−大阪−東京と出ておりますが、マレイシア指定航空企業と申しますのはMALというのがございますが、実際には東京乗り入れをまだ行なっておりません。したがって、この路線というものは使ってないという関係になります。  以上、あまり補足説明することもないわけでございますが、御質問によってお答えしたいと思います。
  9. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 以上で説明は終了いたしました。  これより質疑に入ります。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  10. 羽生三七

    羽生三七君 このマレイシアとの航空協定審議関連をして、日米航空関係、それから日ソ、それからもう一つ日本パキスタンと、この三つに関連をして二、三お尋ねしたいと思いますが、日米航空協定は三十六年と一二十九年の二回にわたって交渉が行なわれたわけでありますが、その後の経過はどうなっておるのか。われわれが承知しておる範囲では、第一回の交渉当時よりもむしろ現在のアメリカ態度のほうがきびしくなっておると、こういうように承知しておりますが、その後の経過をお聞かせいただきたいと思います。大臣でなくてもよろしゅうございます。
  11. 栃内一彦

    政府委員栃内一彦君) ただいまのお尋ねでございますが、いま大臣来られたばかりでございますので、私から初めにお答えいたします。  日米航空交渉は昨年の夏第二回目を行なったわけでございますが、その後なるべく早く交渉を再開しようということになっております。先般来私の伺っているところによりますと、ワシントンの武内大使が先方と非公式にお話し中であるというふうに伺っております。運輸省といたしましては、できるだけ早く非公式な交渉が進みまして次の正式交渉という時期が早く来ることを期待している次第でございます。
  12. 羽生三七

    羽生三七君 そうやって第三回目の交渉が進むことを希望はいたしますが、実際問題としては、私どもが知っておる範囲では、現状ではこの前進にあまり期待をかけられないのではないかと、そういう小感じがするのでありますが、特に今度は日英日本イギリスとの航空協定が一応話がついた。  ところが、これでは一応アメリカニューヨーク以遠——大西洋からイギリスヘ、ロンドンへ行く路線承認されながらも、実際問題としては、アメリカがこれを認めない限り日英航空協定は実効をあげ得ないという、そういう状態になると思う。でありますから、そうなってくると、いままでよりもさらに問題がアメリカ態度にかかってくると思います。それで、このままではたしてこれを打開する可能性があるかどうか。特に、これは外務大臣なんかちょっと極端な議論だと言われるかもしれませんが、私は、あの日米航空協定を破棄するくらいの、白紙に戻すくらいの気持ちでないとこれは解決しないのじゃないかと、こう思っております。こういう意見は一部にもあるようです、これは極端な議論ですが。実際、こういう例は、フィリピンとアメリカとの航空協定ももう白紙に戻されております。このほかフランスやインドにも前例があります。しかし、そうしても一年間は猶予期間があるので、その間にみんな改定交渉をやっておる。まあそういう前例があるわけでありますね。だから、私はここで日米航空協定を破棄しろと言うわけじゃないけれども、そのくらいの心がまえでやらなければこの問題は解決しないのじゃないか。先ほど申し上げたように、第一回の交渉から見てむしろ最近のほうがアメリカ態度はきびしくなっておる。しかも、日英航空協定が一応妥結を見ても、アメリカが認めなければ、実際上アメリカ経由ロンドンというのは空文にひとしいことになる。したがって、この日米航空協定に取り組まれる政府の基本的な考え方が、いつも一方的に平和条約締結以来アメリカに押しまくられておるという現状から見て非常に困難ではないか。しかも、この日米航空協定の場合は、私ども承知しておる範囲では、かりにそういうようなことになっても、普通の条約協定と違って、そうたいして国際間の問題を起こすものではないらしいので、それくらいなひとつ気がまえでやらないと妥結しないのじゃないかという気がしますが、この点ひとつ運輸大臣からお聞かせいただきたいと思います——具体的な外交交渉はあとから外務大臣にお聞きいたしますが、どうですか、運輸大臣
  13. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) これはちょうど昨年の秋に大統領選挙がはさまりまして、いずれ機会を改めて交渉しようということでもって、今年から、先ほど航空局長からお話し申し上げたようないきさつで、とりあえず駐米大使武内君が非公式交渉をやっておりますが、どうも御指摘のように、なかなかその返事が渋いのでございます。とうに向こうから一応正式会談開始についてのはっきりした返事が来るはずでありましたが、まだ、それがおくれておるというのが現状でございます。わがほうといたしましては、何としても現在の協定内容均衡を失しておるものでございますから、これを合理的に直したいという非常な熱意を持っておることは御承知のとおりであります。まあ、言う言わぬは別問題として、われわれとしては、重大な決意を持ってこの問題に臨みたい、かうよに考えております。
  14. 羽生三七

    羽生三七君 運輸大臣、何か、運輸省のほうでそういうことについてもっと具体的に考えたことはないですか。
  15. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) まあ、大局としては、いま外務大臣仰せになりましたような行き方をとる以外にないと思います。マスコミがこのことを全国民に報道いたすたびに国民考え方は非常に熱してきておりまして、それが国会に反映してきておりまして、国会委員会では、いま委員会やその他の有志間では草案をいろいろつくっておるのであります。その草案も一応見せていただいておりますが、相当強い文章のようであります。いずれ、これはとめようとしてもとまるものではないと思います。国会総意に基づきまして、われわれは国民の意のあるところに向かって進む以外に道はない。そういうことは、国会総意がきまりますれば、外務大臣も善処いたすことと思います。
  16. 羽生三七

    羽生三七君 それでですね、アメリカ航空機の現在太平洋岸から東部海岸への運航は、多いときは週六百便といわれております。そこに日本機が三便くらい——いまのは週ですね——三便くらい入ったところで、アメリカにはたいした影響もないし、しかも、いろいろ採算上の理由アメリカで口にしておったようですが、最近はかなりそういう点では好転しておるようです。ですから、全くいままでの反対していた経済的な根拠というものは少なくなってきておる。そういう意味で、日本がもっと強く押してもいい根拠が十分あると思うのです。大臣でなくとも航空局長でもよろしいですが、その辺どうですか。
  17. 栃内一彦

    政府委員栃内一彦君) ただいま先生の仰せられましたとおりでございまして、前々回交渉のときには、ちょうどジェット機国際航空界に登場いたしまして、 いわばオーバー・キャパスィティーという現象が出始めておったわけで、国際航空会社はいずれも経営状態が悪くなっております。その後旅客の乗りが順調に伸びておりますので、ジェット機投入によるオーバー・キャパスィティーという問題も世界的に次第に解決いたしました。大西洋路線におきましては、各国航空会社とも次第に収益が好転しておる。特にアメリカパンアメリカンというような巨大な会社につきましては、非常な好収益をあげておるというふうに承知しておりますので、前々回アメリカ側日本の案を拒絶した一つ理由というものは解消しておるというふうに考えられますし、昨年の夏の交渉においても、そういう問題については強い抵抗は示すわけにいかなかったと、かように考えております。
  18. 羽生三七

    羽生三七君 で、先ほど運輸大臣からもお話があったように、衆議院のほうでは、これに関連していろいろな決議なんかも考慮されておるようですから、先ほど来申し上げた理由によって、この問題について一段とひとつ思い切った努力をしていただくことを希望いたしますが、特に、先ほども述べたように、日英航空協定がせっかくまとまっても、その中間が切断されておったら、何も意味のないことになるので、なおさらこれを強く要望するわけです。  それから、これと関連をして、日ソ間の——私のほうはみな簡単ですから、どれもこれも——日ソ間の航空協定問題、これはまあ前々からいろいろな案が出て、まあそのままになっておるわけですが、最近では日本が、まあどの航空会社か知らぬけれども、とにかく日本ソ連機を買って、それからパイロットソ連人を使って、日航——まあ日航というか、一応日航として——日航社員として、それで運航してはどうかという意見も出ておるそうで、その社員としておる期間は何年とするかということに問題があるそうですが、これはあるいは政府の耳に入っておることかどうかそれは知りませんが、そういう動きも具体的に一部には出てきておるほどに、これもやはり航空協定前進を望む声が非常に強いわけですね。で、それはとにかくとして、東京−モスコー間の相互乗り入れの問題、それからまた、場合によると、一部には新潟ハバロフスク間という議論も出ております。これは、ここにおる岡田君と私とこの前ソビエトに行って話し合ったときに、その問題がさんざん出まして、けれども政府でもないわれわれがあまり深く立ち入るのはどうかということで、話はしましたけれども、まあ、立ち入ったことはやりませんでしたが、具体的には、日ソ間の航空協定についてはどういう状態になっておるのか。全然前進がないのか、あるいは政府が何か考えておるのか。特に、この前コスイギン首相佐藤総理訪ソを要望して、それに関連をして航空協定なんかにもまあ触れるがごときそういう書簡も来ておるわけですね。で、今度は赤城さんも訪ソされてその問題にもあるいは場合によったら——目的は違うけれども——ことによったら触れぬわけでもないらしいので、この際ひとつ日ソ航空協定——協定はないが、日ソ航空問題についての現状をひとつお聞かせいただきたいと思います。
  19. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) ただいまお話がありましたように、向こう航空機を使い向こうパイロットを使って、それをまあ雇い上げたような形ではどうだとか、あるいはまた、区間を限定して、それから日本飛行機から向こう飛行機に乗り継ぎをするというようないろいろな案が出ておったことも十分承知しておりますが、日米航空協定で見るように、初めに均衡のとれない形でこういう問題を発足いたしますと、それがなかなか是正が困難である、そういう考え方に立ちまして、われわれとしては、当初から全くお互い五分五分の立場でやっていきたいという考え方を依然として持っておるわけでございます。先般のコスイギン首相からの書簡に対する返簡でも述べたとおり、両国航空機によりまして両国首都を経由してヨーロッパとアジアを結ぶ最短の定期航空路を開設したいということを開陳しておるのであります。これは、両国友好関係を増進する上におきまして、あるいはその他、科学、文化の点におきまして、あるいは経済の点におきまして、いろいろの好影響をもたらす問題ですから、ぜひとの問題についてはっきりとした向こうのこれに対する反応をつかみたい、こう考えておりますが、まだその段階に達しておらないのが現状でございます。
  20. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) 外務大臣仰せになりましたとおりでありますが、ちょょと補足いたしておきますが、もう一つお問いのハバロフスク新潟間の問題でありますが、これは石室君という、前に木材を輸入しておった小さな会社ですが、これがまあコスイギンになる前からだということですけれども向こうからお墨付きをもらってきておるのです。それで、われわれは、いま外務大臣が申されましたように、首都間の乗り入れということを条件として交渉いたしておりますが、民間機であるし、日本を代表した日航機ではない民間機であるから、新潟ハバロフスク間だけを認可しろうということをしきりと航空局に申し込んできております。けれども、基本的な考え方は、アメリカとの交渉におきましても、首都間の乗り入れ中心として、ニューヨーク航路交渉いたしております。その他の方向におきましても、いずれも首都間の乗り入れ中心といたしておりますから、ソ連及び中共だけを上海−長崎とか新潟ハバロフスクとかということは、いまちょっと考えないというふうに断わっておる次第でございます。
  21. 羽生三七

    羽生三七君 私の言うのも、ハバロフスク新潟間をすぐやれということを言っているわけではないんです。基本的には首都間相互乗り入れという原則に立ちながらも、その後の進捗状況はどうかということで、野党のわれわれがそういう会談に臨んで立ち入ったことを言っておるのでは決してありません。  これは全く余談になるのですが、外務大臣、何か新聞を見ると、赤城さんが訪ソされるときに、これは二、三日前の新聞に出ているんですが、佐藤総理訪ソを打診するというようなことが出ているんですが、そういうことがあるんですか。
  22. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 一向耳にしておりません。
  23. 羽生三七

    羽生三七君 そういうことで、今度赤城さんが行かれた場合には、当然漁業関係だけのことだろうと思いますけれども、この航空協定についても、できるだけ日ソ航空協定が結ばれるような方向でひとつ努力してもらいたいと思いますが、それは全然今度の赤城さんの訪ソには関係ありませんか、そういう問題に触れるという計画はありませんか。
  24. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 全然、ほかの用事を足してくる時間的余裕があるかどうかと思いますが、全然考えておりません。
  25. 羽生三七

    羽生三七君 なにも赤城さんの訪ソ関連しなくてもよろしいのです。これはできるだけそういう方向へ進めることを希望いたします。  それからもう一点、パキスタンとの関係ですが、パキスタンは現在中共と航空協定を結んで、カラチ−香港東京をカラチ−上海−東京というふうにすることを希望しているようにいわれているのですが、これは何かそういうあれはあったのですか。
  26. 佐藤正二

    説明員佐藤正二君) パキスタンに関しましては一九六二年から航空協定があるわけでございますけれども、一昨年パキスタンのほうから香港乗り入れがなくなったからという理由で、広東あるいは上海から乗り入れたいという申し入れがございました。いろいろ議論はしましたわけでございますけれども、こちらのほうからまだ中共に乗り入れてないような状態でございますので、現状ではまだ時期尚早ということでこれを断わっている経緯がございます。
  27. 羽生三七

    羽生三七君 それはそういうことでしょうが、その場合、パキスタン日本機運航について問題になるようなことは起こりませんか。たとえば、日本パキスタンとの航空協定に何らかの障害が起こって、カラチ経由という問題が一つの障害を受ける。南回りの航空機がみなそこを通るわけですが、そういう懸念は全然ありませんか。
  28. 佐藤正二

    説明員佐藤正二君) 交渉中には、運航交渉のことでございますから、いろいろ向こう日本に対して航空の便数に対してもバーゲンしているようなことでありまして、したがって、お話しのようなことも交渉中には出ております。
  29. 岡田宗司

    岡田宗司君 フランスが中国と国交をつけた。いずれエール・フランスが中国へ乗り入れることになるだろうと思う。エール・フランスは御承知のように、日航と業務協定している。そうすると、やはりパキスタンとの問題のようなものが起こってくるのじゃないかという気がするのですが、いま、そういうことについて具体的な何か話がありますか。
  30. 佐藤正二

    説明員佐藤正二君) 可能性としてはございます。まだ話は来ておりません。
  31. 岡田宗司

    岡田宗司君 しかし、もしフランスがそういうふうな動きをするとすれば、日航が業務協定を結んでいるのですから、パキスタンの場合よりも複雑な問題が起こるのじゃないかと思いますが、どうですか。
  32. 栃内一彦

    政府委員栃内一彦君) ただいまのお話でございますが、確かに日本航空とエール・フランスは南回り及び北回り両者につきまして協定をやっております。非常に両者の間緊密でございます。これは相当の歴史がございますが、今後もおそらく継続していくというのが両者の意思じゃないか。そこで御質問の、フランスが中共経由東京乗り入れたいという場合に日本はどうか、その場合に中共とうまくいかないのじゃないかということですが、プール協定をやっておりますことは営業上あるいは収支上非常に緊密でございます。しかし、二国間の協定問題につきましては、両国のいわばナショナル・キャリアが緊密であるということは、協定を結ぶ場合、あるいは便数その他をきめる場合に、非常に友好的な雰囲気のあることは事実でございますけれども、いわばやや面を異にする、すなわちプールはプール、それから双方の権利は権利というような比較的割り切った考え方もしておるわけでございまして、必ずしも断わったからひびが入るということでもないのじゃないか。その辺は、やはり二国間の政府間の問題とキャリアの問題とは、緊密なようでまたそこに立場の相違があるというふうに考えますので、必ずしも私はプールがそういうことでこわれるというふうには考えておりません。しかし、多少気まずくなるという点はあり得るかもしれませんが、それはいずれにしましても、現実のいまの問題でございませんが、そういうことが起こり得るとすれば、そのときのいろんな客観情勢というものによって最終的にはきまる、かように考えております。
  33. 岡田宗司

    岡田宗司君 これは外務大臣にお伺いしたいのですが、パキスタンが中国へ乗り入れをやる。それからさらに、フランスがそういうことをやる。そうすると、中国と国交を結んでおるヨーロッパ諸国の航空機がさらに中国へ乗り入れをやるという可能性も出てくると思うのです。その場合に、日本がいつまでもいまのような態度でもたもたしていますと、日本はもうそれこそバスの乗りおくれどころじゃない。全く後手後手と回ってずいぶんへたなことになってしまうだろうということが考えられるのです。したがって、中国との関係ということは、台湾を考慮していろいろとあなた方のほうで苦慮されておると思うのですけれども、しかし、航空の問題のごときはやはり前向きに解決するような方向に準備していかなければならぬのじゃないかと思いますが、外務大臣、どうお考えになりますか。
  34. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 航空問題では、ただいまのところは一向前向きに進んではおりません。しかし、情勢がいろいろ変わってまいりますれば、その情勢に従ってやはり考えていかなければならぬということは、これは当然のことでございます。航空問題についても、情勢の変化に応じていろいろこれに対する考え方を研究しなければならない、こう考えております。
  35. 羽生三七

    羽生三七君 ちょっとそれに関連して。  この前、あれは予算委員会で曾祢さんの質問かなにかで、総理が臨時便かなにかを積み上げていってはどうかというような意味のことを言っておったように記憶しておるのですが、つまり、定期航空——正式な協定はちょっとむずかしいが、臨時便というようなものを積み上げていって当面の問題の打開策にしてはという意味にとれる発言をされておったと思うのですが、そういうことは考えておられませんか。
  36. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 特殊な人が日本を訪れるそういう場合の航空機の臨時便を使ったらどうかというようなことがかつてあったように思われまするが、起こり得る問題だと思います。これはケース・バイ・ケースで慎重に対処してまいりたいというのがただいまの方針でございます。
  37. 岡田宗司

    岡田宗司君 パキスタンの場合ですと、中国という、日本がまだ国交を回復していない国を通って日本へ来る、こういうことです。こういうものまで一々日本がそれを拒絶しているということになると、これは全く前向きでないと思います。私はどうも、パキスタン日本承認していない国に立ち寄って日本に来たからといって、そのパキスタン飛行機日本乗り入れるのを拒絶する理由はないと思います。だから、そういうような点について、もう少し、将来前向きにやっていきたいとするならば、考えていったらどんなものでしょう。そういう態度は依然としてかたくなに、中国を通ってくる飛行機はいずれの国の飛行機といえども入れない、こういう何か原則を立てて、それを貫かれようとするのですか。それじゃ、将来そういうヨーロッパの国々がふえてきたら、これは困ったことになるのじゃないですか。どうですか。
  38. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) ただいまの方針は、きわめてかような場合には慎重なひとつ態度をもって措置をしたい、こういう考え方でございます、ただいまのところは。
  39. 岡田宗司

    岡田宗司君 慎重はけっこうかもしれませんけれども、慎重慎重で年じゅう後手後手に回ってしまって取り残されるようになっても、それでもなお慎重を貫いていこうというのですか。
  40. 羽生三七

    羽生三七君 ちょっと疑問な点を一つお聞きするのですが、国交回復のない国を経由する飛行機の場合、協定を結ぶ当事国としてはもちろん国交があることはきまっておるけれども、それが国交を結んでいない国を経由してくる場合は全部拒否しておるということになっておるのですか、国際的にはどうですか。
  41. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) これは承認問題とは関係がなく取り扱われておるようでございます。
  42. 羽生三七

    羽生三七君 だから、この問題はそういうことが原則ではならしいので、十分考える余地があるのじゃないですか。直接の日中間の航空協定ということはさておいて、いまのようなケースの場合はもっと考慮する余地があるのじゃないかと思います。
  43. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 全然考慮する余地もないというものではございませんので、きわめて慎重に取り扱おうと、こういうことであります。
  44. 草葉隆圓

    草葉隆圓君 それに関連して。これはむしろそういう意味でなしに、日本航空業務をある程度保護するという意味が入っていないですか。つまり、現在でもイタリアあたりへとまるけれども、ほとんどお客を乗せることはなかったのです、途中から。ごく日本の航空はへんぱな取り扱いを受けておる。向こうから来たときは中共に入って、上海なりあるいは漢口を通って東京へ来るというかいへん距離が短くなってお客がそれを多く使う。そうすると、日本航空のほうはそのほうに多く取られる。したがって、日本も同時に開始するなら別ですが、日航に大きく影響する。ソビエトの場合も同様だと思いますが、ソビエトも、ハバロフスクまでは日本飛行機を使っても、その先モスコーやコペンハーゲンはソビエトの飛行機を使うこととなるなら、現在の日本の北回りは客の大部分を奪われ、商売にならない。だから、経済的の面を十分検討して考えてもらいたいのであります。
  45. 栃内一彦

    政府委員栃内一彦君) ただいまの御意見、確かに、特にいまの北回り線とシベリア線の問題につきましては全くそのとおりでございます。シベリア線が開かれれば、北回り線は全部なくなるとは思いませんけれども、相当少なくなってくる。またその移るということについては、シベリア線は逆に考えれば重要な意味がある。要するに、東京からモスコーを通ってヨーロッパという路線経済的な意味あるいはその他の意味が非常にあると思います。したがって、いま仰せられましたように、他の国がシベリアの路線を開発したのに日本航空がこれにあずかれないということでは、非常な不利益、むしろ、日本航空の持っている現在のルートというものが影響を受けるのはそのとおりでございます。  パキスタンとの問題につきましても、もちろんそういう問題があると思いますが、やはり、問題は、外務大臣仰せられますように、いろいろないま両国間に問題があるというようなところが問題ではないか。経済的な問題というのももちろんあると思います。
  46. 岡田宗司

    岡田宗司君 いまの草葉君のお話になった北回りとシベリア横断の飛行機経済的な比較の問題ですが、いまのところ、日本からシベリアを通ってヨーロッパに行こうとすると、横浜からナホトカまで船に乗って、ナホトカからハバロフスクまで汽車で行って、ハバロフスクから飛行機でモスコーに行って、そこからヨーロッパに行く、非常にめんどうだし、時間もかかる。しかし、費用は非常に安い。十万何千円かで、たぶん北回りのエコノミー・クラスの半分以下でしょう。で、いまのうちはまだ何ですけれども、おそらくそのうちにナホトカまでハバロフスクから航空路が延びてくると、今度はもっと簡単になってしまうでしょうね。で、時間も短縮されてくる。そうなってくると、やはり北回りというようなものは相当大きな打撃を受けるのじゃないかというふうに感じられるのですが、どうでしょうか。
  47. 栃内一彦

    政府委員栃内一彦君) 確かに、現在ナホトカ−ハバロフスクが、汽車で何時間かかるか、詳細は資料を見ませんとわかりませんが、私の想像でも非常に問題であろうと思います。これがソ連内の国内航空路が開発されるという場合に、いま仰せられますように、ポーラー・ルートというものは、まあ現在のポーラー・ルートがだめになるということはないと思いますが、そういうものがなければさらにふえたであろうポーラー・ルートのお客というものが、それだけ食われるということは当然かと思います。
  48. 岡田宗司

    岡田宗司君 それと同じように、やっぱりパキスタンが中国へ乗り入れる、ほかのヨーロッパ諸国の飛行機も中国へ乗り入れてくるということになってくると、南回りの日航というものもいろいろな意味でその打撃を受けるんじゃないですか。だから、いつまでもそのパキスタン乗り入れを拒否しているような態度というものは、とれなくなるんじゃないですか。そういうふうに考えたら、いまのうちからもっと積極的に考え直していってみたほうが私はいいんじゃないかと思うんですがね。台湾やアメリカに対する気がねであったら、そんなものはやめてもらいたいと思うんですよ。外務大臣どうです。
  49. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) よく研究いたします。
  50. 羽生三七

    羽生三七君 もう一つ。さっきのところへ戻るんですが、日米航空協定の第三回交渉はいつごろやる予定ですか。
  51. 佐藤正二

    説明員佐藤正二君) まだ時日はきまっていたいようでございます。近い将来に行なわれるということでございます。
  52. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 本件の質疑は、この程度で終わります。  本日は、これにて散会いたします。    午前十一時二十五分散会      —————・—————