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1965-03-23 第48回国会 参議院 外務委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年三月二十三日(火曜日)    午前十一時五分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         小柳 牧衞君     理 事                 草葉 隆圓君                 長谷川 仁君                 森 元治郎君     委 員                 木内 四郎君                 杉原 荒太君                 加藤シヅエ君                 佐多 忠隆君                 羽生 三七君                 渋谷 邦彦君                 佐藤 尚武君    政府委員        外務政務次官   永田 亮一君        特許庁長官    倉八  正君    事務局側        常任委員会専門        員        結城司郎次君        外務省条約局外        務参事官     佐藤 正二君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○千九百年十二月十四日にブラッセルで、千九百  十一年六月二日にワシトンで、千九百二十五年  十一月六日にへーグで、千九百三十四年六月二  日にロンドンで、及び千九百五十八年十月三十  一日にリスボンで改正された工業所有権保護  に関する千八百八十三年三月二十日のパリ条約  の締結について承認を求めるの件(内閣提出) ○千九百十一年六月二日にワシントンで、千九百  二十五年十一月六日にへーグで、千九百三十四  年六月二日にロンドンで、及び千九百五十八年  十月三十一日にリスボンで改正された虚偽の又  は誤認を生じさせる原産地表示防止に関する  千八百九十一年四月十四日のマドリッド協定の  締結について承認を求めるの件(内閣提出)     —————————————
  2. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  本日は、千九百年十二月十四日にブラッセルで、千九百十一年六月二日にワシントンで、千九百二十五年十一月六日にへーグで、千九百三十四年六月二日にロンドンで、及び千九百五十八年十月三十一日にリスボンで改正された工業所有権保護に関する千八百八十三年三月二十日のパリ条約締結について承認を求めるの件、及び千九百十一年六月二日にワシントンで、千九百二十五年十一月六日にへーグで、千九百三十四年六月二日にロンドンで、及び千九百五十八年十月三十一日にリスボンで改正された虚偽の又は誤認を生じさせる原産地表示防止に関する千八百九十一年四月十四日のマドリッド協定締結について承認を求めるの件の二件を、便宜一括して議題といたします。  これから質疑に入ります。質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  3. 森元治郎

    森元治郎君 この二つ案件を見てすぐ感ずることは、デザイン盗用というのが、一般庶民のだれにも頭に来る問題だと思うのです。従来は、日本が盗んだ盗んだと言われましたが、最近は日本のものが向うに取られているということが新聞その他ではでに報道をされておるのですが、現状をひとつ特許庁関係の方から総括的に伺いたいと思うわけです。
  4. 倉八正

    政府委員(倉八正君) お答えいたします。  デザイン盗用の問題というのは、特に最近、御指摘のように、非常に顕著になってまいりまして、特に、東南アジア諸国から輸出されておる主として軽工業品についてその著しい傾向が見られるわけでございまして、たとえば玩具だとかそれから食料品、それから繊維品というのがその代表的なものだろうと思います。ちょうど去年その調査をやってみたのでございますが、その調査が全部をカバーしておるということを私は申し上げられませんが、調査をしたところできわめて目につくところでも六十数件ぐらいのデザイン違反というのが見えたわけでございまして、今後この傾向はますます強くなると思いまして、これに対する防止対策というのを、いま各方面といろいろ折衝を重ねて検討しておるところでございます。
  5. 森元治郎

    森元治郎君 その防止対策というのを伺いたいのですが、いつでも紙面ではそういうことが報道されたあとで消えてしまう。たとえば、藤山さんがいつかロンドンに行かれたとき、意地悪い向こう新聞記者が変なものを藤山さんに出していやみを言ったというようなことがありますが、あとは消えてしまうのですが、どういうふうな対策をしてそういうことをなくす方向に努力をしているのだか、実際問題としては非常にむずかしいようなんですね。道義ということだけで縛るのだというようなことを言っておりますが、道義だけじゃとても縛り切れるものじゃないので、各国が話し合うのか、業者間でやるのか、対策のほうのいろいろな道をひとつ教えてもらいたい。
  6. 倉八正

    政府委員(倉八正君) 対策としまして、大まかに言えば、二つあろうかと思います。  一つは、外務省外交ルートを通じまして、こういう違反物件がきわめて多いということを持ち出しまして、そこで政府間において警告を発してもらうという、外交ルートによる解決策一つ。  それからもう一つは、法律的に解決をする道があるわけでございます。と申しますのは、日本では昭和三十五年にデザイン法というのをつくりまして、輸出向きにつきましては、デザイン登録をやっておる。それから、そのもとにはこの工業所有権に其づく意匠法というのがあるわけでございますが、いわゆる法律によりまして、日本が、たとえば台湾なり、あるいは香港なり、あるいはシンガポール、マレーなりに登録をしまして、いわゆる出願をしまして、そこで法的に認められれば、これはもう一番強い対策でございます。ところが、台湾における日本特許庁に当たるものがまだ——こう言ってはなにかと思いますが、さほど工業所有権に対する確立した地歩を得ていないというような問題、あるいは香港なんかにおきましては、その手続をやりましても非常に複雑で長くかかるし、また、その権利の保護対象というのが確定しておりませんから、この問題につきましては、法的にやろうとしましてもなかなか実効があがりませんが、しかし、最近は、たとえば台湾におきましても、向こう特許局というのがだいぶ地についてきたような様子も見られますから、この外交ルートによるお互い警告ということと、それから、法律に基づく現地における登録と、この二つの道を通じてわれわれは進んでいきたい、こう思います。  もちろん、その業者間におきまして、お互いクレームを言い合ったり、あるいはそれに対する損害賠償請求というような、いわゆる民間取引ルートにおける方法もきわめて有効とわれわれは信じておりますから、まあ、この二つなり三つ方策で進んでいきたい、こういうふうに考えております。
  7. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 関連。さっき御説明の中に、東南アジアで六十何件か発見したとおっしゃるのですけれども、それは具体的にどういう品物で、どんなふうに盗用されたかということを、もう少し具体的に御説明いただきたい。  それから、いまの御説明の中でわからないのは、意匠登録とか、デザイン登録とかいう場合に、何か精密な機械か何かで特許を取っているというようなものは、それをもし無断で借用すれば、それはすぐ発見されることだろうと思いますけれども、意匠なんかの場合には、たとえば日本がもと英国なんかから非常にいろいろ言われたときには、英国製の陶器の意匠をそのまま日本で使うというようなことで、非常に盗用したというふうに言われたと思いますけれども、今度は、日本が盗用される場合に、いろいろな意匠、そのつど変わった意匠、それを一つ一つ登録するなんというようなことはとうていできないことで、それをどうやって守ることができるのか。その辺のことを具体的にもう少し説明していただきたいと思います。
  8. 倉八正

    政府委員(倉八正君) いま二点のお尋ねを受けたのでございますが、あとの点からお答えいたしますと、たとえばイギリス——あれは昭和二十六、七年というのがイギリスから一番抗議を受けたときでございますが、そのときのイギリスの陶磁器における意匠というのは、日本には登録してないのでございまして、まあ、法律上言えば、日本人がかってに使いましても法律的な義務はございませんが、しかし、そういうことは国際商道徳上、信義上おかしいものでございますから、通産省としてはそれを、厳重なる警告を発しまして、十数社に対してそれを使わせない措置をとったわけでございますが、この問題につきましては、相手の国におきまして、はっきりした抗議をするような法がございまして、その中の意匠法ですが、意匠法というのがありますと、たとえば日本でこういう型のペンシルを台湾特許庁に出願しまして、そうして台湾特許庁は、これは向こうデザインとして認めるというこの許可を得ますと、台湾の人はそれを使えないわけでございまして、もしも使った場合は、法律に基づきまして正式な損害賠償と、それから差しとめ請求権というものを行使できるわけでございます。したがいまして、いまの意匠というのが何千あろうと何万あろうと、それを向こう登録しておけば、そのものにつきましては非常に安定した保護というのができるわけでございます。  それから、御指摘の第一問の内容というのは、まあ極端な例を申し上げますと、東洋レーヨンの、あそこはナイロンの六号といいますか、東洋レーヨンがつくっておるナイロン六号の生地を、「東洋レーヨン」としてシャツをつくりましてそれを台湾に売られているという例は、非常にまあ極端な例でございます。それから、日本の「味の素」というのは、日本世界の八割ぐらい占めておりますが、いわゆるグルタミン酸ソーダ、その日本の「味の素」というのを、これは五、六年前非常に問題になったのですが、「味の素」の「の」を「之」という字にかえて、だれが見てもこれは日本の「味の素」だというような、そういうケースがありましたし、それから、日本一つの、最近出てきましたのはゴムきものでございますが、ゴムきものというのは、日本は九千五百万ドルぐらい輸出して、世界で一番大きい輸出国でございますが、このゴムきものにつきましても、香港台湾かで、「スリームーン」とかいうデザインを持っている会社がありますが、それを、これは香港であったと思いますが、そのまま使っている。だれが見ましても、「ムーン」の「M」というのがちょっと違っているかっこうでございますが、こういう例が最近非常に見受けられてきたというのが顕著な例ではなかろうかと思います。
  9. 森元治郎

    森元治郎君 これはパリ条約マドリッド条約、ありますが、結んでいる国はみんな法律制度も完備しているような進んだ国ですね。しかし、いま起こりつつある、われわれが痛めつけられそうなのが、企業でいえば中小企業、国でいえばおくれた国と進んだ国との間の紛争。先ほどのお話でも、台湾なんかでも法制が整備されておらないというのですが、そういう場合の対策はどうするのですか。
  10. 倉八正

    政府委員(倉八正君) これは、前半の問題は外務省からお答え願うほうがよかろうと思いますが、この二つ条約というのは、ここに加入している国は、まあこの工業所有権におきましては一流の国と言ってよかろうと思います。したがいまして、その同盟国間については、いまのような問題というのは非常に起こりにくい。ところが、東南アジア諸国との問題につきましては、これは端的に申しますと、かすに時日をもってしなければちょっと無理だろうと思います。と申しますのは、最近独立した国が非常に多いし、そういう国というのは、まず産業の興隆をはかるということが国是の一つとなっておりまして、それに伴う工業所有権確立というまでにはまだ進んでない段階ではなかろうか、またこれが現実だと思いますが、したがいまして、こういう国が時とともに工業所有権制度確立しまして、それに基づいていわゆる違反品なり模造品を防いでいくということにだんだん力を尽していく。それと同時に、日本としましても、できるだけいまの違反物資なんかを取り上げまして、そうして向こう工業所有権に乗せてやる。ということは、結局は、日本の得であると同時に、相手工業所有権確立に外部から資してやる。こういうことになっていくのではなかろうかと思います。
  11. 森元治郎

    森元治郎君 特許庁長官に伺いたいのは、は、かつては、まあ悪いことをする国だとさんざん言われた立場にあった。その際、政府としては、関連産業企業関係者に通告を発し、調査をし、政府間の質問があれば答えておったはずですね。その経験から見て、業者というものは、そういうことを指摘された場合に直ちに直すものか、これを法廷に持ち込んでさんざん争えば、時間も相当かかると思うのですね。一体、過去の経験から見て、政府が取り締まりをする場合、業者間の話し合いでなく、政府企業に向かってそうしてもらっちゃ困ると言った場合に、成功したものなのですか、なかなか思うようには押えられなかった苦い経験があるのか。
  12. 倉八正

    政府委員(倉八正君) 戦前日本貿易は、安かろう悪かろうということであったのでございますが、そのときの問題は、工業所有権の問題というよりも、むしろ、いつも問題になっておりますのは、日本のワイシャツを二回かえたら、ボタンがはずれて困ったとか、あるいはおもちゃを子供が落としたらもう動けないようになったという、非常に品質なり技術が悪かった。それにあわせまして、おもちゃだったら、たとえば、ドイツだとか、それから、繊維だったらランカシャーのものを広い意味まねをして出したというのが戦前日本実態だと思います。ところが、いまのお尋ねの、特に終戦後になりまして外国から違反品なり模造品抗議を受けて、日本ははたして立ち直ったかということについては、ずばり申し上げますと、完全に立ち直ったと思います。と申しますのは、私も通商局でずっとそういう仕事をやっておったのでございますが、イギリスからの申し出、それから、イタリアからの靴の問題、そういう問題につきましては、三つ法律を施行してやって、一つ輸出入取引法に基づく協定、それから、貿易為替管理法に基づく輸出統制令、それから、もう一つ検査法、この三つを取り上げまして、そうして、全部外国からのいわゆるイミテーションあるいは広い意味工業所有権違反という問題については、事輸出については、ほとんど私は解決したと言ってもよかろうと思います。したがいまして、先生方外国をお回りになりましても、従来に比べて日本商品外国まねだという声は非常に減ったと思います。
  13. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 意匠に限らず、そこの国の信用を害するようなことをされることは非常に困るわけで、東洋レーヨンなんかの場合は明らかにそうだと思います。よくこういうことを聞くのでございますが、日本の毛織を香港まで持っていってメイドインイングランドとかなんとかいうふうにずっと判を押して、そしてまたどこかへ英国製だということで売り出す。しかも、それを日本人がやったのじゃなくて、第三国人がやっていて、結局は日本が悪いことをしているのだというふうに日本信用を害せられるというようなことを聞いておるのでございますけれども、そういうようなことはどうやって防ぐのですか。
  14. 倉八正

    政府委員(倉八正君) それはこの法律にも非常に関係がありますが、いわゆる原産地の明らかなる虚偽表示でございまして、それは違反でございますが、どういうことで防ぐかということで、やっておりますのは、いま日本貿易の形態というのが、これは最近非常に減ってまいりましたけれど、数年前までは、日本商品というのがあまり世界的にその評価されていなかったといった場合には、いま先生から御指摘のように無名で出しまして、向こうへいってメイドインUSAですか、あるいはメイドイン・ユナイテッド・キングダムという名をつけるということで、非常にそういうケースが多かったのでございますが、最近はそういうケースが非常に減りました。それで、いまこの防止対策にはどういうことをとっておるかといいますと、そういう場合には、輸出貿易管理令に基づきまして、違反のある物資についてそれを指定しまして、あるいは輸出許可を与えぬ、あるいは税関に指示しまして、税関でチェックをやらせる、こういうことでいま日本ではやっておるわけでございます。ただ、逆なところが非常に多うございまして、たとえば日本でつくりながら、バイヤーがたとえば、メイドインUSAと書いてくれとか、あるいはメイドイン・ホンコンというふうに書いてくれということで、そういう注文がもうないわけではございませんが、しかし、そのたにめ日本声価を落とすという場合には、いまのように法律を働かせて、違反防止あるいは日本声価の維持ということをはかっておるようなことでございます。
  15. 森元治郎

    森元治郎君 特許実用新案意匠とが、たくさん工業所有権がありますが、日本外国に払う金がありますね、使ってて。日本向こうからもらうものもあると思うのだが、最近、経済が大発展をして、国際収支のプラスになるくらい外から入るのか、払う分がどうなのか、その辺を。
  16. 倉八正

    政府委員(倉八正君) いま御指摘の問題は、これは外資法の第八条だったと思いますが、これに基づいて許可しておりますが、日本特許料外国に払うのは大体四百五十億くらいございます。日本外国日本特許を売ってそのロイアルティーで受けるのが十五、六億円でございまして、圧倒的に外国からの技術日本が買っているというのが現状でございます。
  17. 森元治郎

    森元治郎君 非常な差ですな。驚いたものだね。日本人は頭がいいんでは世界でも有名で、アメリカあたりじゃ、日本の頭脳を買いにきちゃうし、月給をよけい食わして帰さないくらい大事にしている。これはやはり政府のほうでももっと育成するというか、努力が足りないのじゃないですがね。頭は悪くないのだから。そして、このごろ勉強する設備や資材も、たとえば会社に例をとってみても、研究所では十分な勉強ができる条件を与えていると思うのですが、どうしてこんなに少ないのですがな。
  18. 倉八正

    政府委員(倉八正君) 技術関係では、通産省がやっているわけでございますが、いまこういう差が出たというのは、何といいましても、戦時中の技術開発のおくれというのがまだ尾を引いているというのが一番大きい問題ではなかろうかと思います。第二が、まず日本人というのは、自国人開発した技術はなかなか買いたがらぬのでございまして、たとえば、日本でも非常に終戦後いい発明が出たわけでございますが、それはどうも日本人一つの、何と申しますか、国民性と申しますか、隣の会社発明した特許を自分に売ってくれというようなことをなかなかしないで、すぐ、たとえばイタリアのモンテカチーニに走ってみたり、あるいはアメリカデュポンに飛び込んで行って売ってくれという国民性の問題が、経済以前の問題があるような気がしてしようがないのでございます。これをしからば今後どうやっていわゆる広い意味国産愛護をやるがということが一番大きな施策ではないかと思います。ところが、片や貿易自由化、あるいは資本取引自由化をやっておりまして、特許だけは日本のものを使え、外国のものは入れるべからずということは、これは非常にむずかしいのでございますから、やるとすれば、やはり積極的に日本のものを使ってくださいという積極策をやるよりほかしかたがないということで、通産省、科学技術庁におきましては、その方面並びにそれに関連する予算も最近非常に増しまして、たとえば通産省鉱工業技術補助金が、ことしたしか十五億円くらいと思います。これの実態は、もちろん発明ばかりではございませんが、国内の技術につきましては優先的にたとえば補助金をやって発明実施化をはかっていく、こういうのが現状でございます。
  19. 森元治郎

    森元治郎君 発明発見奨励関係の費用というのは、各省合わせてどのくらいになりますか。
  20. 倉八正

    政府委員(倉八正君) これは非常にむずかしいのでございまして、発明そのものずばりの予算というのは大体八千万程度でございますが、ただそのほかに、いわゆる国産技術——これはほとんど全部が発明と言ってもよかろうと思いますが、それのいろいろな研究に応援しているという金額は、これは少なくとも私は三十億、四十億にはなろうと思います。実際は計算が非常にできないのでございまして、いま申し上げたように、鉱工業補助金通産省が持っているのがたとえば十五、六億、それから開発銀行による発明開発融資というのが去年だってやはり三十億ぐらい出しましたのですが、そういうものを全部集めると相当な額になることは事実でございますが、ただはっきりした数字は、何十何億かということは非常に申し上げにくいと思います。
  21. 森元治郎

    森元治郎君 まあ農林、文部あるいは通産のほかに研究をしているのはわかっているのですね。うんと金出してそれを育成していい考えを出させる応援などはやっているのですか。
  22. 倉八正

    政府委員(倉八正君) いま国立関係研究機関、それから文部省関係の大学、それから、そのほかに地方自治体が持っているいわゆる県の試験所とが、全国に大体三百ぐらいあると思いますが、そういうものにつきましては予算も毎年非常にふえまして、それから研究促進策もやっております。  それから、なお民間でございますが、日本技術開発に対する比率というのが、大体売り上げの三・二%というのが日本の常識でございます。アメリカが三・六%ぐらいでございますが、その問題につきましては、パーセンテージは同じでございますが、たとえばデュポンなんかは売り上げが年に一兆ぐらいでありまして、その一兆の三・二%と、日本の一番大きい売り上げ高を持っております八幡製鉄のたとえば三千八百億円でございますが、それの三・二というのとは、だいぶ絶対額が違いまして、その研究の単位にならないというのもまたあるわけでございますから、これにつきましては、たとえば特別償却という税の面からも応援いたしまして、国の研究及び民間研究もあわせて推進するという方策を三年ぐらい前からとっております。
  23. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 少しお話戻って恐縮でございますけれども、さっきの森委員が御質問なさったロイアルティーの問題でございますけれども、私は必ずしも特許を国産奨励する必要はないんじゃないかと思うのでございます。それは、日本でいい特許がありながら、お互い日本人同士がそれを使いたがらないで外国のものに飛びつくという一つのおかしな心理状態だと思うのでございますけれども、それが外国でも何がいま日本のものはたいへんいいというような一つの雰囲気が起こりつつあるので、かえって日本のものを高く向こうに買ってもらって、そして、そこで大きな産業を興してもらって、そしてロイアルティーの収入を日本が得るというようなことがあれば、あまり日本日本のものを使うというようなことを奨励する必要がないんじゃないか、こう思うのでございますが、いかがでございましょう。
  24. 倉八正

    政府委員(倉八正君) 筋としては仰せのとおりでございまして、われわれはこういう貿易自由化資本取引自由化の際に、ことさら外国のものに戸を締めて入るべからずということはとるべきではなくて、さっき申し上げましたように、そういう態度じゃなくて、日本のいい特許については、これをお使いになると非常に御便利ですよというまあ助成策をやっていこうというのが政策の基本ではなかろうか。したがいまして、決して外国のものを毛ぎらいするとか、あるいは外国のものに戸を締めるというようなことはしておりません。
  25. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 それからもう一つ、非常にこれは大きな規模だと思いますけれども、たとえば東海道新幹線は、これはまあ私も昨年方々の国に参りましたときに、驚くほど世界の人が興味の眼をもって、また、非常にこれを称賛して見ているわけでございまして、その評価のしかたは、日本人から見ろと、ちょっと過大評価じゃないがと思うくらいたいへんな称賛のしかたで、今度アメリカからもわざわざ研究に来るということを聞いて、たいへんこれは日本としてけっこうなことだと思いますけれども、そういうのは、たとえば東海道新幹線という一つの新しい規模に達したそういうものを、たとえばアメリカがそれを見習いたいというようなときには、工業所有権というようなものがそこに何か発生するものがあるのでございますか。全然ないのでございますが。
  26. 倉八正

    政府委員(倉八正君) 東海道新幹線という、一つの有機的に一体になっているものについては工業所有権はございません、したがいまして、ただいま先生指摘のように、ああいうりっぱなものを向こうに教えるという場合には、それに対する報酬とが、あるいはそれに対する何かの謝礼金というのは出るかと思います。ただ、特許の問題につきましては、私その事例をちょっとここに持ってきておりませんが、東海道新幹線の、たとえば地下構造の研究、地盤の固さとコンクリートをどう合わせるか、そういうものについては特許が幾つかあったと思います。したがいまして、それを売るという場合には、日本アメリカに対しまして堂々とロイアルティー請求して向こうから送金を受ける、こういうことになると思います。
  27. 森元治郎

    森元治郎君 その世界の例で引いてもらいたいのだが、特許料を払ったりもらったりする。日本は、四百五十億外に出して十五億もらうわけですね。一体どこの国が一番大きな額を占めているのが。順番なんかわかりますが。たとえば世界アメリカが一番収入が多いとか、ドイツが一番多いとか。
  28. 倉八正

    政府委員(倉八正君) ちょっと私その資料を持ってきておりませんが、一番ロイアルティーを取って、世界各国にいわゆる技術輸出をしてロイテルティーが多いのは、もちろんアメリカだと思います。それからその数字はちょっと私わかりませんが、アメリカから次がドイツでございますが、それからまあイギリスという順序ではなかろうかと思います。それからあとの国につきましては、まあ最近いろいろ新しい発明が出ておりますが、いま申し上げましたように、ちょっとその資料を持ってきておりませんから、調べましてお届けいたします。
  29. 木内四郎

    ○木内四郎君 ちょっと簡単に。きわめて初歩的な質問でひとつ教えていただきたいのですが、さっき加藤委員に対する御答弁か何かの中に、香港あたりから日本商品を特に無名で製造会社の名前を入れないでよこしてくれというような注文があって、向こうに出す。向こうでしかるべくアメリカとかイギリスとかの名前を入れて売るという問題があるというお話があったのですが、原産地証明ということはあるけれども、個々の商品メイドイン・ジャパンならメイドイン・ジャパンと生産する国の名前を入れるということは義務的でないのですか。入れないで出してもいいのですが。それがもし入れないで出してもいいということになれば、向こうで名前を入れるのを防ぐ道はないと思うのですよ。
  30. 佐藤正二

    説明員(佐藤正二君) 今回御審議願っている原産地虚偽表示の問題に関しては、入れるという義務はございません。したがって、御指摘のように、向こうで入れられればどうにもならないわけでございます。日本側としてはどうにもならないわけでございます。ただ、向こうが入れたところの国が原産地表示違反になるわけでございます。たとえば、香港で入れまして、香港が締約国である場合には、それは香港自体が違反を行なったという形になります。
  31. 木内四郎

    ○木内四郎君 そこで、香港は締約国になっておるのですか、おらないのですか。
  32. 佐藤正二

    説明員(佐藤正二君) 入っておりません、現在。
  33. 木内四郎

    ○木内四郎君 そうすると、香港は最もいろいろなことをやるところだといわれているのだが、それじゃちょっと防ぎようがないということに、条約上だけじゃなく、実際上もなるのじゃないかと思うのですが。
  34. 倉八正

    政府委員(倉八正君) その問題は、結局、そのために香港にでも何億ドルと輸出がありますから、一々調べるのは非常にむずかしいのでございますが、いま先生の御指摘の問題について見ますと、そういう問題が、たとえば香港自体に何か害を与えた、あるいは香港から再輸出された場合に相手国で問題があったという場合には、これは取り上げまして、ある場合には、さっき申し上げましたような輸出管理令の対象にするとか、あるいは検査、あるいは輸出締約国の税関にチェックさせる。こういうことで、いろいろ法規的あるいは行政上の問題としてそこに取り上げましてそれを防いでおるというのが現状でございます。
  35. 木内四郎

    ○木内四郎君 私の知っている国会議員の方が、香港へ行って、イギリス製品——イギリス製の洋服地を非常に喜んで買ってきてみたら、これは日本でこしらえたものであったということを聞いたんですが、一歩進めまして、バイヤーのほうから、服地の端へこういう字を入れてくれという注文を受けて、それを入れて出すことは規制されないのですか。バイヤーがよく注文をするそうじゃないですか。服地の端にどこどこの会社でつくったということを入れてくれと、わけのわからない名前か何か知らぬけれども。
  36. 倉八正

    政府委員(倉八正君) そういう場合につきましては、これが一つの、何と申しますが、商習慣で、私ちょっと商品の名忘れたんですが、そういう商習慣になっている商品も一、二あるかと思いますが、しかし、そういうことよりも、たとえばいま先生指摘のように、日本でこういうものをつくりながら、向こうが、これをメイドインUSAと入れてくれと、こういう場合につきましては、まあ最近減りましたけれども、そういう商品が決してないわけじゃないのでございますが、しかし、それが非常に米国なら米国市場、あるいは当該仕向け先におきまして問題があったという場合につきましては、さっき申し上げましたように、いろいろの法的措置あるいは輸出組合の協定というようなことでそれを防いでおるというのが現状でございます。
  37. 木内四郎

    ○木内四郎君 そうすると、端へそういう字が入っている場合もあるし、いない場合もある。だから、外国に行って買ってくる場合には買う人はよく注意しなければならぬということになるわけですね。取り締まりの対象にはできないということですね。
  38. 佐藤正二

    説明員(佐藤正二君) たとえば、こういうものにメイドインUSA日本で入れるということになりますれば、この原産地虚偽表示に引っかかるわけです。何も書かないで出すものについては、どうにもならないと思います。条約上でございます。
  39. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 いまのことで、もうちょっと伺いたいのでございますけれども、入れてくれと言った——たとえば南米の人がバイヤーであって、その人が入れてくれと言ったら、その人に法律上の責任はかかるのでございますが。それとも、入れた国、たとえば、そういう作業をやった国が香港であれば、香港は締約国でないからどうすることもできない。どっちに責任がかかるのでございます。
  40. 佐藤正二

    説明員(佐藤正二君) 入れた国でございます。入れたと申しますか、その場合には日本でございます。
  41. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 それを命じた。
  42. 佐藤正二

    説明員(佐藤正二君) 命じたのではありません。たとえば、アメリカのバイヤーから日本の製造者に対して、USAと入れてくれと言われたときに、日本の製造者がUSAと入れた、こういうことを仮定いたしますと、日本側に責任があるわけであります。
  43. 木内四郎

    ○木内四郎君 今度は、そうすると、向こうが入れたら向こうの責任で、こっちは責任がないということですね。
  44. 佐藤正二

    説明員(佐藤正二君) そうです。
  45. 森元治郎

    森元治郎君 これは、結局、この条約でカバーする範囲というものは、カバーしたような、しないような、守るつもりがみんなになければ、なかなか動かない条約ではないですが、どうですか、根本は。
  46. 佐藤正二

    説明員(佐藤正二君) 守るつもりがないと……。条約というものはそういうものでございます。ただ、条約違反ということでもちろん抗議はできますし、全体的に国際条約というものはそういうものではないかと思いますが。
  47. 森元治郎

    森元治郎君 この条約は時期が少しおそいように思うのだが、どういうことなんですか。もう少し早く……。
  48. 倉八正

    政府委員(倉八正君) これは、こういうことで通産省に責任があるかもしれませんが、この前これが署名されましたのがたしか昭和三十三年の十月の三十一日だったと思います。当時通産省としましては、工業所有権の大改正をやっておりまして、すでに成案を得て、その年の十二月に国会に提出申し上げたわけでございます。その二カ月ぐらい前にこの条約リスボンで署名されたようなことで、そのときの改正には間に合わなかった。いわゆる三十三年の十二月から三十四年のたしか三月のいまごろ、いまの工業所有権の大改正を通過さしていただきました。したがいまして、その後また工業所有権の情勢が非常に変わりまして、日本世界一の工業所有権の出願国でございまして、われわれはその滞貨の山にいま悩まされておりますから、そういう何か根本的な改正を、日本工業所有権について改正を行なうときにあわせて、マドリッド協定あるいはリスボンにおいて改正された二条約の内容を改正案に盛り込もうと思って、通産省としては考えておったわけでございますが、一方、この国内法の改正案を審議する委員会というのがまだなかなか進まないでおりますから、それを待っておったらば、国際道義上あまりおかしいということで、今度の改正は、国内法もこのリスボン改正に合わせた分だけを改正して、いま国会にお出ししている次第でございまして、署名されてからすでに七年近くなって非常に申しわけなく思っておりますが、そういう国内の情勢で現段階に至ったと御了承願いたいと思います。
  49. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 他に御発言もなければ、本日はこの程度で散会いたします。    午前十一時四十八分散会      —————・—————