○曾祢益君 私はこの間
予算委員会で
総理大臣に対して日韓問題の基本的な問題の
質問をいたしましたので、またその際に、日韓交渉にあたっては、特に詰めの際であるから、あくまでも安易な妥協を排して拙速を避け、懸案の一括かつ合理的な解決に努力されたいということを申したのであります。その点についてはもうきょうは
質問を展開するつもりはございません。ただ
予算委員会のこの間の同僚田畑
委員の
日本側の韓国に貫いてきた財産の請求権問題に関しまして、
大臣の御
答弁がちょっと簡単に過ぎて誤解を招きはしないかという点があったので、その点を関連
質問で伺ったんですが、関連
質問であったために、私ももう少し私の
質問の真意を
了解していただきたかったんですが、できておらないので、何かすれ違いの
質疑になってしまったので、この問題、しかし重要ですから、もう一ぺん
質問したいと思います。
これはこの間の
予算委員会で田畑
委員から、いま申し上げましたように、
日本人の韓国に残した財産、これは法人の場合もあるし、自然人の場合もあるが、その請求権についてはどうなっていますかという
質問に対して
大臣は、請求権等は一切ないと、こういう状態であります、こういう
答弁をされたわけです。それに私は関連いたしまして、つまり、
大臣の御
答弁は
アメリカの解釈に従って
日本の請求権を放棄している。サンフランシスコ平和
条約第四条の解釈として、
アメリカの
戦争中にやってしまった没収行為を合法的に認めるというだけじゃなくて、同時に、請求権は捨てるということを
アメリカとも合意している。その点を言われたと思うのです。その点は確かにそうなった、ただ問題は、これは無償で放棄したということでない。
アメリカのいわゆる、何といいますか、平和
条約第四条の解釈に関する口上書にも書いてございますように、「
日本国が平和
条約第四条(b)において効力を
承認したこれらの資産」
——というのは、
日本国及び
日本人の韓国における資産ですね、この「処理は、」「平
条約第四条(a)に定められている取極を考慮するに当たって関連があるものである。」、こう言って、さらにその
意味として、「関連がある」ということは、結局、韓国と
日本とが取りきめする場合に、「韓
国内の
日本資産を韓国
政府が引き取ったことにより
日本国に対する韓国の請求権が」どの「
程度まで消滅され、又は満たされたと認めるかについての決定を含む」であろう。まあ、俗にいうならば、確かに
大臣の言ったことそれ自身は間違ってない。請求権という形では放棄した、残念ながら。ただ、そのことが韓国側の
日本に対する請求権の際に考慮されるということは、まあ
日本の最大の要求としては、少なくともそれを、その分だけ、
日本が評価した分を韓国の請求権から差し引く、相殺する、こういうことが
日本側の従来の主張であったと思うのです。その点は、いまや
政府としては、大平・金
了解によって、両方の請求権の問題は、まあ、目的の有償、無償の、援助の随伴的結果として消滅したものとみなそうじゃないかという大まかなどんぶり勘定方式をとっちまったから、どうでもいいようにも見えるけれども、しかし、いまの、同僚森
委員に対する御
答弁にもあったように、大平・金
了解なるものは、事のよしあしは別として、まだそのイニシアルすらしてないわけですね。いわんや韓国にわいては、野党側より、請求権の大平・金メモなるものは根本的にやり直して白紙にして、つまり三億ドル、五億ドルでも足りぬぞという国粋的な要求すらある。したがって、そうなると、
日本側の財産権に対する
政府の見解、
外務大臣の見解を議会で伺ったときには、韓国がどうその点できておるかということも十分に考慮しながらやる必要がありはせぬか。これはたいへん老婆心で、失礼かもしれませんが、思うわけです。私は、
国民が
日本政府に対して、在外財産をどうしてくれという問題に触れて、あるいに関連させて
考えているのではなくして、あくまで、
日本としては、まだ韓国との間に請求権の問題は解決しておらないのですから、おらない時点で
考えるならば、
日本が無理な主張をしてはいけませんけれども、従来主張しておった
程度の主張を、内閣が変わったから
日本が渋ったんだというようなインプレッションを与えるのは、
日本のためにならないのではないか、こういう
意味において伺いたかったわけです。
したがって、もう一ぺん申し上げましょう。確かに
大臣の言われたように、前段は正しいので、結局、
日本側は公的財産も、私的財産も、平和
条約第四条によって韓国側にも結局主張しなくなった。
アメリカのあっせんもあって、これは認めざるを得ない。しかし、それが無償でやったのでなくて、そういう
日本が捨てたということは、両方の請求権の問題を解決される場合にですね、考慮されるべきである、
日本側の主張としては。それだけ、その分をどういうふうに評価するかは別として、それだけ韓国側の対日請求権から差っ引かれるという、この解釈だけは従来と変わっておらないのじゃないかというふうに私は
考えるのですけれども、もう一ぺんその点に対する御見解をはっきりと伺っておきたいのであります。