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1965-04-15 第48回国会 参議院 運輸委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年四月十五日(木曜日)    午後二時十三分開会     —————————————    委員異動  四月十五日     辞任         補欠選任      井野 碩哉君     近藤 鶴代君      河野 謙三君     山本 利壽君      野上  進君     後藤 義隆君      上林 忠次君     紅露 みつ君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         松平 勇雄君     理 事                 江藤  智君                 前田佳都男君     委 員                 後藤 義隆君                 紅露 みつ君                 近藤 鶴代君                 平島 敏夫君                 山本 利壽君                 小酒井義男君                 浅井  亨君    政府委員        運輸政務次官   大久保武雄君        運輸省海運局長  若狭 得治君        運輸省船舶局長  芥川 輝孝君        運輸省鉄道監督        局長       佐藤 光夫君        運輸省鉄道監督        局国有鉄道部長  深草 克巳君        海上保安庁長官  今井 栄文君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田善次郎君    説明員        運輸省海運局参        事官       高林 康一君        日本国有鉄道常        務理事      豊原廉次郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○海上運送法の一部を改正する法律案内閣提  出) ○日本国有鉄道法の一部を改正する法律案内閣  提出、衆議院送付)     —————————————
  2. 松平勇雄

    委員長松平勇雄君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  初めに、委員異動について御報告いたします。  本日付をもって、委員上林忠次君、野上進君、河野謙三君及び井野碩哉君が辞任され、その補欠として紅露みつ君、後藤義隆君、近藤鶴代君及び山本利壽君が選任されました。     —————————————
  3. 松平勇雄

    委員長松平勇雄君) 海上運送法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、運輸省当局から補足説明を聴取いたします。高林参事官
  4. 高林康一

    説明員高林康一君) 海上運送法の一部を改正する法律案提案理由につきまして、若干補足して御説明申し上げます。  第一の自動車航送に関する規制の整備は、自動車航送をする船舶運航事業を的確に規制しようとするものでありまして、まず、第二条において「自動車航送」の定義を新たに設け、自動車航送とは、自動車とその運転者乗客または積載貨物を合わせて運送することであると規定いたしまして、このような人車一体運送海上運送法上、自動車航送として規制を受けることを明らかにいたしました。  次に、旅客定期航路事業者の行なう自動車航送につきましては、旅客運送と同様な規制を加えて利用者の保護と事業の健全な発達をはかることといたしました。すなわち、第八条の運賃及び料金認可に関する規定を改めまして、自動車航送にかかわる運賃及び料金認可制といたしました。同様に、第九条の運送約款認可に関する規定も改めまして、自動車航送にかかわる運送約款認可制といたしました。また、旅客定期航路事業者は、第十二条において一定の場合を除き旅客運送を拒絶してはならないとされ、第十三条において旅客運送の申し込みの順序により運送しなければならない等の義務を課せられておりますが、自動車航送についても同様の義務を課することといたしました。それとともに、第十一条の運航計画変更認可事業計画変更認可と改めておりますが、これは、旅客定期航路事業者の中に、自動車航送をするものとしないものがありますため、従来運航計画として規制しておりました事項のほか、自動車航送をするかいなかの別を事業計画として記載させ、その変更認可にかからせることによって、的確にこれを把握しようとするものであります。  次に、貨物定期航路事業者の行なう自動車航送につきましては、旅客定期航路事業薪の行なう自動車航送との間に輸送秩序を維持し、自動車航送をする船舶運航事業の健全な発達をはかりますため、これを許可制とし、その規制は、従来から許可制であります旅客不定期航路事業に対するものとほぼ同様にすることといたしました。そのため、第二十一条から第二十三条の四までを改正いたしまして、これらの条項において、旅客不定期航路事業に対する規定と並んで、自動車航送をする貨物定期航路事業に対する規定を設けることといたしました。  第二の運送秩序に関する勧告は、第三十二条に定められておりますが、従来は、定期航路事業者と他の定期航路事業者との間の過当競争についての規定でありましたのを、定期航路事業者と他の定期航路事業者または不定期航路事業者との間の過当競争についての規定とすることにいたしまして、定期航路事業の健全な発達を阻害する行為を防止することといたしました。定期航路事業者不定期航路事業者をあわせたものは、船舶運航事業者と定義されておりますため、第三十二条の表現としましては、「定期航路事業者と他の船舶運航事業者との間」というように規定いたしております。  以上、簡単でございますが、この法律案を提出いたします理由を補足して御説明申し上げました。
  5. 松平勇雄

    委員長松平勇雄君) 引き続き質疑を行ないます。御質疑のおありの方は、順次御発言願います。
  6. 江藤智

    江藤智君 それでは、ただいま議題になっております海上運送法の一部を改正する法律案につきまして若干御質問いたしたいと思います。  大体、道路輸送が逐年非常に盛んになってまいりまして、またわが国のように非常に島国でございますから、この自動車航送というのが増加をしてくるということは当然でございます。特に、われわれといたしましては、この自動車航送というのは海上に設けられた一つ道路だというような気持ちを持っておるわけでございます。そこで、最近の陸上交通に伴って日本自動車航送というものがどういうふうに行なわれておるか、その概貌を御説明願いたいと思います。
  7. 若狭得治

    政府委員若狭得治君) 自動車航送船の状況でございますけれども、まず、現在の航路がどの程度あるかという問題でございますが、これは定期航路が三十六航路、それから不定期が二航路、それから旅客を運ばない、自動車だけを運びますものが三十二航路でございます。合計日本全国に現在七十航路あるわけでございます。これによりまして運んでおります自動車状況でございますが、三十九年の統計で申し上げますと、昭和三十九年の一月から六月までに、平均いたしまして月間輸送実績といたしまして二十一万八千両を運んでいるわけでございます。バス、乗用車、トラックその他でございますが、ほとんどトラック、それからトラック以外の自動車というものが多いわけでございますが、月間二十一万八千両平均運んでおるというのが実情でございます。
  8. 前田佳都男

    前田佳都男君 関連。いま海運局長の御説明で大体わかったのですが、この自動車航送というのは、距離的に幾ら長くてもいいものですか、あるいは距離的に制限があるか、あるいは航送時間、時間的に制限があるか、あるいは内海航路だけであるか、その点はどうなんですか。
  9. 若狭得治

    政府委員若狭得治君) 距離的な問題でございますけれども、現在行なわれているものは、大体時間的に一時間程度というのが経営限度と申しますか、そういうような状態で行なわれているわけでございます。と申しますのは、航海時間が非常に長くなります場合には、もちろん船舶回転数が非常に少なくなってくる。したがいまして、一船当たり輸送車両数というものも減ってくるわけでございます。そういう点で、非常に運賃を高くしないとペイしないというような問題があるわけでございます。それから、荷物を自動車に載せたまま運ぶわけでございますので、非常に時間が長い場合には、他のものに積みかえて普通の貨物船で運んだほうが経済的に得であるというような問題があるわけでございます。現在のところは大体一時間程度というところが限度になっておるのではないかというように考えております。
  10. 前田佳都男

    前田佳都男君 海運局長お話を聞きますと、経済的な原則というか、それによって自動的に距離並びに時間が制限せられるであろうという考えですが、あるいはある考えでは、別府航路も大阪から自動車航送もできる、別府まで行ける、幾らでも距離的にもやろうと思えば長くやって差しつかえないのですか、法律的には制限がないのですか。
  11. 若狭得治

    政府委員若狭得治君) 法律的には全く制限はございません。ただ、新しい経営のしかたとしては、たとえば運転手を休ませまして、からの自動車だけ——からと申しますか、運転手のいない自動車海上で運びまして、そして到着いたしました港で新しい運転手を乗せるというような計画もあるようでございます。そういう場合には、航海距離が相当長くても十分採算的にもやっていけるというような問題もあるようでございます。
  12. 前田佳都男

    前田佳都男君 こうして自動車航送というものを今度の法律改正で認めて法的根拠を与えて規制しようとする以上は、あるいは運賃のきめ方にもよると思うのですが、運賃を相当高くきめて採算が合えば相当長距離自動車航送ということもあり得るような事態になるのではないかと思うのですね。そのことを少しく考えておく必要があるんじゃないかと思うのですが、どうですか。
  13. 若狭得治

    政府委員若狭得治君) そういう状態は当然今後われわれとしても考えておりまして、現在のところはまあ大体一時間ないし一時間半程度限度のようでございますけれども、今後船舶が大型化する、あるいはスピードが速くなるというようなこともございますし、また先ほど申し上げましたような新たな運送形態ということも当然考えられますので、そういう点についても十分今後とも準備をいたしておきたい、かように考えております。
  14. 前田佳都男

    前田佳都男君 ちょっと関連質問で長くなって申しわけないのですが、私はしろうとでわからないのですが、現在船客名簿を登録するというのは、何かこれは航海距離によるのですか、時間によるのですか。
  15. 若狭得治

    政府委員若狭得治君) これは船員法規定がございまして、いま至急調べておりますから、ちょっと御猶予願いたいと思います。
  16. 前田佳都男

    前田佳都男君 待っておりますから、ちょっと教えてください。
  17. 高林康一

    説明員高林康一君) 船員法規定によりまして、船員法施行規則でございますが、十二条で「遠洋区域近海区域又は沿海区域航行区域とする旅客船以外の船舶においては、旅客名簿を備え置くことを要しない。」ということでございまして、逆にそういう遠洋近海沿海区域航行区域とする旅客船については船客名節を備えつけておくを要する、こういうことになるわけでございます。
  18. 前田佳都男

    前田佳都男君 それでは、将来自動車航送の距離が長くなる場合は、船客名簿を備えつけなくちゃならぬということもあるわけですね。ところが、今度の法律では、自動車航送というものが人車一体運送である。おそらくは車は登録すると思いますけれども、どういう人が乗っておるかということは船客名簿に載らないのじゃないか。その点、こういうことはわれわれは希望したくはありませんが、何か事故の場合非常に困るのじゃないか。まああと私は江藤先生質問関連してさらにいろいろお伺いしたい点があるのですが、人車一体輸送ということに関連して、そのいま申しあげました船客名簿の登録ということは関連してどういうふうにお考えか、これをちょっと。
  19. 若狭得治

    政府委員若狭得治君) 御承知のように、非常に近距離の間を多数の旅客を運ぶわけでございます。特に、いま御指摘のように、バス等旅客輸送するわけでございます。旅客の乗ったままのバス輸送をするわけでございます。これはかって洞爺丸事件に、青函連絡船の中で汽車に乗ったまま多数の人間が死亡なさったというような事故がございまして、その後われわれは行政指導によりまして、フェリに乗った場合にはバス旅客は一応船外に出られまして航海していただいたというように指導はいたしております。しかし、なかなか多数の旅客のことでございますから、それが実行できないで悩んでいるというのが実情でございます。そういうような面もございますので、旅客の安全という面については今後とも十分気をつけていかなければならないと考えております。なお、船客名簿につきましては、きわめて近距離のものでございますので、そういうものについてはやはり省略するというようなことを考えざるを得ない実情でございます。
  20. 前田佳都男

    前田佳都男君 それは、大体その自動車航送を許可する場合ですね、経済原則というか、大体経済的にこうであろうというようなことを考えるほかに、もうちょっと具体的な何かはっきりと規則規制しておいたほうがよりベターではないか。これは私の私見ですが、思うのですが、その点が、自動車航送というものをこういうふうに認めますと、だんだんこれが流行してきて、また流行しなくちゃいかぬと思うわけですが、その点はどうです。
  21. 若狭得治

    政府委員若狭得治君) 御指摘のとおりでございます。まあこういうふうな形態のものが急激にふえてまいりますので、われわれとしても早急に明確な基準を設けまして措置いたしたいと考えております。
  22. 前田佳都男

    前田佳都男君 関連質問ですから、一応終わります。
  23. 後藤義隆

    後藤義隆君 ちょっと関連してお伺いしますが、自動車航送の経営者ですね、こういう形態が現在ありますか。
  24. 若狭得治

    政府委員若狭得治君) 先ほど、旅客自動車航送船の航路数が七十航路と、こう申し上げましたが、この七十の経営につきまして、会社個人地方団体、それから公団というように、四種類の経営形態があるわけでございますが、会社経営によるものは四十九、それから個人が五、地方公共団体が十三、それから公団——これは日本道路公団でございますけれども、三航路ということになっております。
  25. 後藤義隆

    後藤義隆君 道路公団がやっておるのは、現在どの線ですか。
  26. 若狭得治

    政府委員若狭得治君) 兵庫県の明石−岩屋間、それから同じく福良−鳴門間ですね、それから北海道厚岸−真竜、この三航路でございます。
  27. 後藤義隆

    後藤義隆君 ああそうですか。それは道路公団が単独でやっておりますか、民間と共同経営ですか。
  28. 若狭得治

    政府委員若狭得治君) 現在はいずれも、この公団の航送船組合というのを関係事業者がつくりまして、実際上の事務はその航送船組合に行なわせる。ただ、その船舶の建造、それから採算というふうなのは、全部公団に帰属するということになっております。
  29. 後藤義隆

    後藤義隆君 わかりました。
  30. 江藤智

    江藤智君 いろいろ関連質問お話を承りましたが、またもとに戻りまして、大体航路の数は七十で、また月間輸送量、あるいはその航路の長きは一時間程度というようなお話は聞きましたが、大体、日本の島の分布から考えて、瀬戸内関係が非常に多いのじゃないかと思うのですけれども航路分布関係は大まかにどういうふうになっておりますか。
  31. 高林康一

    説明員高林康一君) 航路分布につきましては、全体の七十航路について申し上げますれば、北海道沿岸一つ、それから北海道本州間が二航路関東東海沿岸が二航路、それから本州日本海側が一航路、それから本州四国間が十八航路、それから瀬戸内海沿岸が三十一航路四国九州間が一航路四国沿岸が二航路九州北西沿岸が三航路、それから有明海・天草地区に百航路南九州沿岸が二航路、計百十航路。主として本州四国間、瀬戸内海沿岸が大部分でございます。
  32. 江藤智

    江藤智君 北海道本州間の航送というのはどこどこ間ですか。
  33. 高林康一

    説明員高林康一君) 北海道本州間は、函館下北の間が一つ、それからもう一つ青森室蘭の間が一つ、この二つでございまいす。
  34. 江藤智

    江藤智君 そうしますと、いまの御説明で、北海道本州間一つだというお話だったのですが、二つあるのですか。
  35. 高林康一

    説明員高林康一君) 北海道沿岸一つと、北海道i本州間が二つでございます。
  36. 江藤智

    江藤智君 私は、北海道沿岸というのは、先ほどの厚岸のところだと思ったのですよ。そうして本州北海道間が一航路、こう言われますから、本州北海道間は一航路かと思ったら、いまのお話函館下北。もう一つはどこですか。
  37. 高林康一

    説明員高林康一君) 青森室蘭間でございます。
  38. 江藤智

    江藤智君 青森室蘭間でしょう。そうすると、明らかに本州北海道との間に二つあるじゃないですか。
  39. 高林康一

    説明員高林康一君) 北海道本州間は二つと申し上げたつもりでございます。
  40. 江藤智

    江藤智君 二つと言った……、それではそれでわかりました。一つだと思ったもんですから、そうすると、一方は貨物ですか。
  41. 高林康一

    説明員高林康一君) 青森室蘭間は貨物でございます。
  42. 江藤智

    江藤智君 私は、自動車航送というものについて先ほどから御質問するのは、この自動車航送というものの安全性というものを主体で御質問を進めたいと思っているのです。いまのお話のように、北海道本州を結ぶのでも、これは津軽海峡を横断する、非常に潮流も速いし、大事な航路を横切るわけですね。それから瀬戸内海航路のごときも、四国本州間というのは、あの大切な瀬戸内の重要な航路を盛んに横切って運航しておるわけです。でございますから、そこで海難事故というような問題でも起こったら、非常な大きな犠牲が…てくることになるのじゃないか。そこで、海上保安庁長官も見えておるようですけれども、こういう航送船がどんどんふえてきまして、しかも先ほどのように短時間のところを盛んに、ヒストン輸送する形態になると思うのですが、こういう航送船についての事故というようなことについて、特に関心を持っておられるか、あるいはそういう統計のようなものが福あるか、そういう点について伺いたいと思います。
  43. 今井栄文

    政府委員今井栄文君) 航送船の事故につきましては、件数としては非常に少のうございまして、それからまた事故自体性質も比較的軽微なものが多いように思われます。統計的に申し上げますと、昭和三十九年に、これは伊勢湾自動車航送船株式会社フェリーですが、鳥羽から伊良湖にルートを持っておる会社の船でございますが、伊良湖丸鳥羽付近でいかだと接触した事故がございまして、これは原因は機関故障ということになっておりますが、それからまた、岸壁に一回接触して、乗客方々が軽傷を負ったケ−スもございます。それから伊予丸——これは所属会社ははっきりいたしませんが、広島県の竹原突堤付近で機帆船に接触いたしました事故がございます。したがいまして、昭和三十九年には伊良潮丸が二回事故を起こしておりまして、それからまた伊予丸というのが広島県に一件ということで、三件事故が起きておりますが、いずれもたいした死傷者はございません。死者はございません。傷者もたいした傷ではなかったように思います。それから、昭和四十年に入りましてから現在までに二件記録されておりまして、一つ宇高国道フェリー株式会社の宇野−高松航路でございますが、これが高松の燈台に衝突して、乗客の八名の方々が打撲傷を負われたというケースがございます。それからさらに、第二弘丸という、長崎の平戸の船でございますが、これは平戸瀬戸の付近トラックを積んでおったんでございますが、このトラックがプルワークに当たりまして、積み荷が傾斜して、浸水して沈没したというケースがございます。この場合も、いずれも死傷者はございませんでした。現在までのところ、昭和三十九年に三件、それから昭和四十年に入って二件記録されておると、こういう状況でございます。
  44. 前田佳都男

    前田佳都男君 ちょっと関連して保安庁長官にお伺いしたいのですが、これはフェリーボート自動車航送というのじゃないでしょうけれども、現在、紀伊水道ですね、徳島和歌山の間に南海汽船の、フェリーボートというのですか、連絡船が動いておりますね。あれはこういう自動車航送の部類じゃないですか。
  45. 若狭得治

    政府委員若狭得治君) 普通の旅客船——いわゆるフェリーボートと、自動車航送船との、両方が現在運航いたしております。
  46. 前田佳都男

    前田佳都男君 それに関連しまして、この自動車航送というか、いままで事故がなかったというのじゃなくして、かつて何年でしたか、私は忘れましたけれども沈没事故がありましたね。徳島和歌山間の非常に大きな事故なんです。これはあるいは自動車航送という部類に入るか入らないかわからないけれども、これはもう当然自動車航送をすべき地域なんですね、今後。これをわれわれは非常に心配しているのです。特に、これが法律化されてきますと、あの辺の自動車航送が非常にふえてくるだろう。現在でも自動車に乗って和歌山から四国にということがスローガンになっている。これが非常に流行してくるだろうと思いまして、特にその辺、海上保安庁として、この点については、いま江藤先生も御指摘のように、安全性という点から十分検討を加えていただきたいと思うんですが、どうでしょう。
  47. 今井栄文

    政府委員今井栄文君) いま前田先生のおっしゃいました事故は、たしか私の記憶では、南海丸遭難——あの徳島付近の沼島の沖合いで沈没して乗客が全部死亡されたという非常に悲惨な大事故がございました。これは通常の旅客船でございまして、南海汽船運航しておった船でございます。この記憶は私ども十分承知いたしております。  それから事故対策といたしましては、私どもとしては、現地の管区本部並びに保安部署を中心といたしまして、特にこの旅客輸送あるいはフェリーというふうなものにつきましては、重点的に安全のための講習会を開催する、あるいは常時臨検する、それから乗客のたとえば定員がはたして法定の定員を乗せているかどうかというような面の監査をやる、それからまた天候その他の関係で可及的安全な運航を行なうように指導しておる、こういう状況でございます。
  48. 前田佳都男

    前田佳都男君 それでは、その可及的安全なという、何かそれは基準でもつくられて、何名以上は乗せて出航してはいけないとか、何か一般の船舶の場合とは違った、そういうフェリーボートというのですか、自動車航送の場合には、何か技術的な航法についての基準というようなものがあるんでしょうか。
  49. 今井栄文

    政府委員今井栄文君) 現在のところそういうものはございません。というのは、やはり船舶運航につきましては船長が最終的な判断を下すという責任を持っておるということと、それから運航自体が非常に経済的な問題でもございますので、風速あるいは風向あるいは波浪の高さというふうな観点から一定の規格をきめてわれわれが指示するということは、現在のたてまえ上はできないという状況でございます。
  50. 前田佳都男

    前田佳都男君 とにかく今後、この自動車航送というものは、おそらく内海においては非常に流行してくるだろうと思う。また非常に便利のいい、先ほど江藤先生のおっしゃったように、道路の延長でありますから、現にこの四国和歌山間のごとくにとんとん流行してくるだろう——流行してくるではない、もう現に利用されておりますが、実際そのときにわれわれ一番心配なのは、非常に風の吹きぐあいからいいましても、非常な風で、これははたして安全であるかどうか、その点を非常に心配している。事故が起こらないからいいようなもんでありますが、今後これは海上保安庁として特に十分御留意をいただきたい、その希望を申し上げて、けっこうです、私の質問は一応終わります。
  51. 江藤智

    江藤智君 ただいま今井長官お話では、われわれが心配しておったように、海上での衝突事故というようなものはあまりないようですけれども、しかしこの点は私は非常に心配しております。大事な重要航路を横切るような場合が非常に多い性質のものですから、今後とも十分気をつけていただきたいと思います。  そこで、自動車船舶の構造上からやはり相当の配慮をする必要があるのじゃないか。と申しますことは、大体車両をそのまま載っけるのですから、普通の積み荷のように船の底に積み込むわけにいかぬ。どうしても甲板に車を載っける。その車の上にまた荷物が載ったままですから、どうしても特級、ヘビー級にもなるでしょうし、先ほど前田委員から風速幾らになったときにはどうかというお話があったのですが、そういう面で、普通の旅客船貨物船に比べてやはり安全性というものに特に気をつけなければいかぬと思うのですが、そういう面において、船舶局長、どういうふうないま監督をやっておられるわけですか。
  52. 芥川輝孝

    政府委員(芥川輝孝君) 自動車の渡船につきましては、一般の船舶に加えまして特殊基準というものを出しまして、そうしてただいま先先の御指摘のような点に符に重点を置きまして船舶の施設の検査をいたしております。簡単に内容を申し上げますと、一つは、船体構造といたしましては、貨物船ではやっておりませんが、客船で特にやかましく言っております区画規定と申しますか、一面が破れても船が簡単に沈まないというふうな区画規定の準用をはかっております。それから、自動車はガソリンを積んでそのまま載っていくという場合が多いものですから、したがいまして、それに対して左右へ移動をとめるようなしばりつける緊縛装置等について規定をしております。同時に、火災の原因となることも考えれますので、消火設備もまた増しております。それから復原性の点につきましても、一般の船舶よりはよけいな——よけいなと申しますか、復原性を十分持つようにというふうに規定を与えておるわけでございまして、結局区画規定、それから消火、復原性、そこらに重点を瞬いた特殊基準というものをもうすでに出しまして、これで実は安全をはかっている次第でございます。
  53. 江藤智

    江藤智君 そうしますと、そういう基準を出しまして、そうしてでき上がってから検査する、こういうやり方でございますか。
  54. 芥川輝孝

    政府委員(芥川輝孝君) その検査のやり方につきましては、新造船にございましては、一般船舶と同様に製造中に検査する、それからさらに最終検査する。今度は運航に入りましてからは、定期検査を定められた間隔をもちましてやっております。
  55. 江藤智

    江藤智君 最近、航送船も相当できてきて、自動車航送の経験を積んできたから、だいぶよくなったのだろうと思うのですけれども、先ほどの話が出ました兵庫県の明石−岩屋あるいは鳴門−福良というところの開業式のときに、たまたましけにぶつかって、たいへんな目にあった経験があるでしょう。船舶局長、御存じですか。
  56. 芥川輝孝

    政府委員(芥川輝孝君) ただいま江藤先生のおっしゃった例は、ちょっと正確に記憶しておらないのでありますが……。
  57. 江藤智

    江藤智君 それでは簡単に申しますと、とにかく道路公団が大々的に宣伝をして開業式をやったわけですよ。たくさんのお客さんを乗せまして出発をしたところが、たまたま波が出てきた。波に対する配慮が十分されてないものですから、とにかくどんどん波が入ってきまして、そうしてもう運航不能になって、命からがら帰ってきたわけです。非常にぼくは、その話を聞いたときに、これは危険だ、よほどそういう航送船についての技術的な面の指導をやらないとえらいことになるんじゃないかということで、私は非常に記憶に強く残っておるのです。で、最近でもとにかく、御承知のように、航送船というのは甲板に積む関係で、うしろから積むかどうか知りませんけれども、まあうしろか前から積む。そこのところの波よけその他について十分な配慮をしないと、そういうしけにあったようなときに、普通の船に比べて非常に弱い、あるいは浸水もしやすい。そういう点で、もし事故でも起こしたら、たいへんなことだ。だから、よほど船舶の構造の面におきましても配慮を運輸省あたりが持つ必要がある、かように考えるのですが、いま局長が御説明になった程度で十分かどうかですね、その点の御意見を承りたい。
  58. 芥川輝孝

    政府委員(芥川輝孝君) ただいま御指摘の波よけの点につきましては、これは特にそういうふうな規定はいたしておらないと思いますが、ただ通常の状態におきまして——通常といいましても、まあ相当の海が荒れておる状況でも波が入らないようにいたしますことは、当然これは設計上から考えなければならない問題だと思います。なお、先先の御指摘のような例は、短時間の航海をいたしまして、そして皆さんに見ていただくというふうな場合につきましては、これは船の運航の責任者でございますほうの問題が多いと存じます。安全法では、そこまでやれるかどうか若干疑問がございます。おそらく、安全法は施設の安全を規定いたしております関係上、いかなる場合でもというわけにはまいりません。やはり、大ぜい人を集めて、ことにそれによっていわゆるデモンストレーションなりエキジビションなりやろうという場合には、運航される側におきまして十分注意していただきませんと、安全法だけで全部完ぺきを期するということはちょっと不可能かと存ずる次第でございます。
  59. 江藤智

    江藤智君 まだ航送船については、そうたくさん種類もありませんし、まあ場所によって異なるでしょうけれども。私は、自動車輸送ではないけれども、貨車輸送のほうの航送については相当の経験を持っている。で、いろんな問題がありますから、そういう点について船舶局長の御説明を聞いたのですけれども、今後ひとつこの航送船の船舶上の安全という面において、さらに十分注意を払って万全の措置を講じていただきたい、これは要望いたしておきます。  次に、また海運局のほうにお伺いいたしますけれども、大体この船の規模といいますか、たとえば旅客貨物——バスも載せる、乗用車も載せる、トラックも載せる、まあおもなフェリーの場所だったらば、とにかく旅客関係だけだ、あるいは貨物関係だけだというふうに区別しないで、来れば大体載せるというようなやり方なんですか。それともはっきり、乗用車なら乗用車だけだ、バスならバスだけだというふうに分けてやっているんですか、どうなんですか。
  60. 若狭得治

    政府委員若狭得治君) 現在の規定は、御承知のように、十三名以上の旅客定員を有するものについては免許制になっているわけでございます。そういう船舶でございますと、そこへ乗船しようとする旅客、ばらの客でありましょうと、普通の自動車の場合、たとえば乗用車でございましょうと、トラックであろうと、何でも載せておるということでございます。それから、そういう免許のないものにつきましては、十三名以下という定員に左右される関係から、乗用車も、旅客を乗せた乗用者等については当然制限が出てくるわけでございます。トラックにつきましても、運転手を一名というふうに考えますと、十二台以下しか載せられないというような制限があるわけでございます。自動車の種類によって特別の制限はございません。ただ、観光バス等非常に多数の人間が乗っかってくるというものについてのいろいろな制限をつけておるものはございます。
  61. 江藤智

    江藤智君 まあ今度の法律のたてまえは、結局、人間が十三人乗るか十三人以下かということで免許と許可の区別をしておるわけでしょう。ちょっとこの点が非常におかしいと思えるのですよ。ということは、トラックばかり運ぶところでも、トラックがたとえば十三台載れば、運転手はどうしても一人としても十三人乗るわけです。そうすると旅客船に準ずる免許になってしまう。先ほど規模を聞いたのは、もし助手を乗せまして二人乗っかると、今度は六台しか運べないというようなことになるわけでしょう。ですから、航送という面から考えますと、そこに非常におかしなところが起こってくるとぼくは思うのですが、その点はどういうふうに考えておられますか。
  62. 若狭得治

    政府委員若狭得治君) 現在の旅客船というものは、船舶安全法に、十三名以上の旅客定員を有するものを旅客船規定いたしておりますので、それによって海上運送法旅客定期の免許というものの最低限というものを十三名というふうに規定をいたしておるわけでございます。いま御指摘のように、たとえば助手が二人乗っている場合は六台でもうすでに一ぱいになってしまうというような、そういう不合理が出てまいりますので、今度法律改正をしていただきまして、やはりそういう小さいものにつきましても免許制にしていこう。と申しますのは、現在、貨物輸送というものについては海上運送法上は全く自由になっているわけでございます。そういう面から見まして、非常な不均衡が出てくる。しかも、そういう小さい自動車航送船につきましては、やはり人間が乗っているわけでございますので、しかもそれを非常に不自然に十三名ということで限定するということについて本問題がございますし、また安全の面についても問題があるという考え方で、一応、船舶安全法上の十三名の定員以上のものは旅客定期としての免許を取ってもらう、それ以下のものにつきましては自動車航送船の許可としていただくというような法律改正をしようといたしておるわけでございます。
  63. 江藤智

    江藤智君 この貨物の航送——貨物専用の航送船というのは、大体どういう規模のものですか。
  64. 高林康一

    説明員高林康一君) 貨物航送船の船の規模は、大体の総トン数から見ますと、これもいろいろ千差万別でございますけれども、一番小さい船は十五トン程度のものでございます。それから一番大きい船になりますと、貨物の場合でございますと、大体二百五十トン程度のものが、いまのところ、貨物専用といいますか、それが一番大きい形態でございます。
  65. 江藤智

    江藤智君 トン数は、そういうお話でもわかりやすく、十五トンだったら、これは貨物専用ですから、トラックが何台くらい積めるか、二百五十トンくらいならキャパシティはどれくらいか、御説明を願いたいのです。
  66. 高林康一

    説明員高林康一君) 大体十五トンの船で、現在積載能力といたしましては、大型トラック一両、小型四輪車一両というようなものが一番小さい形になっておるわけでございます。一番大きいものになりますと、これはトラック、乗用車のコンバインがいろいろございますけれども、大体、二百五十トンくらいの船でございますと、トラックが十二台とか十四台とかいうようなことになっております。また、一番大きいものでございますと、トラック十四台に普通乗用車四十台という積載能力を持っている船もございます。
  67. 江藤智

    江藤智君 そうしますと、今度の法律によりますと、そういうのが当然今度の免許になるわけですね。もう十三人以上みな乗っかるわけですから、運転手だけでも。
  68. 高林康一

    説明員高林康一君) この場合二通りあると思いますけれども旅客定員といたしまして十三人以上とっているものがもちろんあるわけでございます。この旅客定員十三人以上をとっているものについては、当然免許が要るわけです。ただ、旅客定員が十二名——十三名以下と申しますか、十二名以下をとっているところの船もございまして、これはやはり許可制の範疇に入ってくるということになります。
  69. 江藤智

    江藤智君 ちょっとわかりにくいのですが、いままでは、二百五十トンというような大きい貨物の航送船でも、やはり貨物輸送ということで、貨物の定期輸送ということで、登録制なんでしょう。しかも、乗用車四十台も積めるということですと、運転手とお容さんも多少乗るでしょうから、たちまち四十人、五十人の旅客が乗っているにかかわらず、登録制の貨物輸送で現在はやっている。そういうのが、非常に不合理なといいますか、危険もあるのだから、こういう今度の法律によってちゃんと規制をしようと、こういうわけなんでしょう。ただ、その十三人以上の旅客輸送の許可をとっているかとっていないかで違うといういまお話があったのですけれども、その点ちょっとよくわからないのですがね。
  70. 高林康一

    説明員高林康一君) 現在、今回の改正法に該当するような貨物自動車航送事業に該当するような現在の事業形態におきましては、大部分二百トン程度が最大のものでございまして、大体において、乗用車ないしはトラックというものは、平均的に見ますと、十二台以下、六台ないし八台というようなものが非常に多いのでございます。これについては、おそらく今後も、旅客定員は十二名以下ということになりますので、これは許可制になっていくわけです。ただ、非常にたくさんな積載能力を持っておって、しかも旅客定員は十二名以下というふうに押えているところの事業が一、二ございます。積載能力といたしましては、たとえば乗用車が二十台とか三十台とかいうような積載能力を持ちながら、旅客定員は十二名しか乗っていないというようなところがございます。これは、従来旅客定期航路事業として、免許として扱ってきたわけでございますが、これが今後におきまして十三名以上の旅客定員を取ろうというふうになれば、当然これは免許を要するということになってくるわけでございます。
  71. 江藤智

    江藤智君 そこでお伺いしたいのは、たとえばバスを航送するような場合ですね。そのバスのお客さんというのは、その船に乗っかるとこれはみなおろす規定になっておりますか、あるいはバスの中に乗っかったままになっておりますか、どうなんです。
  72. 高林康一

    説明員高林康一君) これはおろすことにしております。
  73. 前田佳都男

    前田佳都男君 それに関連してちょっとお伺いしたいのは、まあちょっと飛躍するかもしれませんが、そのバスからおろすと、それに関連して伺いたいのですが、自動車航送というのは、とにかく人車一体輸送ということですね。一体ということは、そのまま、つまりバスに乗っておると、人馬一体と、馬の上に乗っておると、それと同じように私は簡単に解釈する。それで、問題は、その場合における運賃ですね。運賃認可基準というか、これは一体、人も車もひっくるめてやっちまうのか、それとも人は人、車は車で別でやるのか、運賃認可基準というのは、これはこれでおやりになるのだろうと思いますが、それは一体どうなっておりますか。
  74. 高林康一

    説明員高林康一君) 現在までの状況をまず先に申しますが、現在までの自動車航送についての運賃につきましては、現在の海上運送法の体系が、旅客運賃については認可だと、それから貨物運賃については届け出というふうになっております。そういう関係でございますので、バス、大型トラック、乗用車、小型トラック等の車種別にきめておりますけれどもバスについては実車運賃と空車運賃とそれぞれ分けてきめておる。そうして、結局その場合に旅客として扱って、旅客運賃として認可をしておるということで、いわばそこで車というものが離れて規定されておるというのが現在までの海上運送法の体系の中で認可処理をやっておりました場合のやり方でございます。今度の改正法におきましては、そのようないわば人車一体という姿になっておる実態にかんがみまして、これを人も車もそれぞれひっくるめましたところの、いうならば自動車航送運賃という一本立てというふうにしてこれをやっていきたいということを考えておる次第でございます。
  75. 前田佳都男

    前田佳都男君 それではそのつど、車に定員の何割乗っているか、あるいは何名乗っているか、そういうことは考えずにその運賃認可というものをきめる、認可をするのですか。それとも、やはりその消席率というか、人数によってそのつど変えていくのですか。これは、そのバス一台定員何名のものは幾らと、そういう式で認可をしていくのか。その点、えらいこまかいようですが、ちょっとお答え願いたいと思います。
  76. 高林康一

    説明員高林康一君) 実際問題の認可基準といたしましては、大体、たとえば従来旅客運賃を一般的にきめます場合に、その旅客運賃旅客船によりましてどれぐらいの旅客がそれに乗るかというような一応採算ベースといたしまして算定して、おるわけでございます。そういうような観点から、今後の自動車航送運賃というものにつきましても、まあトラックの場合、あるいは乗用車の場合、あるいはバスの場合、いろいろ違うと思いますし、またその組み合わせをいうこともいろいろ変化があると思います。そこで、結局その場合に、当該船について大体どれぐらいの旅客が、全体として、バス運転手乗客を含めまして、どれくらいの旅客というものがそこに乗るかという先ほどのおことばによりますと、一種の消席率と申しますか、そういうようなものをやはり基準にして、採算というものを一応考えていく、というふうに説明してはどうかというふうに考えております。
  77. 前田佳都男

    前田佳都男君 それではもう一ぺん復唱しますと、まあ今度は人車一体なんです。したがって、お客さんはお客さんとして別に取るのじゃございません。固めてとにかくバス運賃を課する、それには間違いございませんね。それで、ただ、私は、ここで新しい法律改正によってこれを規制するということは非常にけっこうだけれども自動車航送というものがこれからの流行ですから、これは当然だと思うのですが、ただ、こういうふうに規定する結果、バス運賃、というものが、あるいはまたはね上がってくるんじゃないか。その場合バスに乗ったお客さんは、これは本来の陸上の道を走る運賃でありますと、これの部分は航送の運賃でありますと言って、内訳を、たとえば有料道路のときのように——有料道路のとき必ずしもそうやっておりませんけれども、それを一体どうするのか。まあ、えらい芸はこまかい話でありますが、結局、こういうふうに規定することによって、バス運賃が上がっていく。現在までは適当にまあやっておった。ところが、こういう規制をすることによって、バス会社も、姿勢というか、態勢を固めていかなければならぬ。しっかりやらなければならぬという意味において、消席率とか、いや何だかんだとかいって、結論的に規制されることはけっこうだけれども、現実の問題として、バス運賃というか、とにかく利用料金が、特に自動車航送というものが規制される結果、上がっていくおそれはないか、その点ちょっと伺いたい。
  78. 若狭得治

    政府委員若狭得治君) 現在、自動車航送船に路線バスが載っているというような例はないわけでございます。路線バスを載せて、たとえばここから阪神までの路線バスをやりたいという免許申請が出たことはございますけれども、当時の状況では、まだ、海上の安全の面から見まして、バスの定時運行の確保という面についてなお問題があるということで、免許になっておらないという状態でございます。しかし、その後の最近の状況を見ておりますと、やはり定期バスもその路線に載せるという状況に漸次近づいてきておるのじゃないかというようにわれわれは考えておるのでございますが、そういうものが載ってまいります場合には、航送料金バス運賃との関係をまたどうするかというようなことは、われわれとしても十分検討しなければならぬ問題であります。いまバスが載っておりますのは、すべて観光バスでございまして、これは観光料金の中で適宜負担させられておるという状況でございます。  なお、先ほどの人車一体の問題でございますけれども、航送料金にきましては、自動車一台、車両一両幾らというような料金を定めておるわけでございますが、こういう考え方と、それから船舶安全の面は、先ほど申しましたように、船に乗ったら、できるだけ自動車の外へ出てもらいたい、そのために、船舶としては、必要なたとえば救命胴具等のものは、バスの人間を全部おろしましても十分収容できるだけのものを持たなければいかぬという行政指導をやっておるわけであります。そういう点につきましては、海上運送法のたてまえといたしましては、人車一体という考え方でまいりますけれども船舶安全の面につきましては、やはり個々の人間というものを対象として考えておるという状態になっておるわけでございます。
  79. 前田佳都男

    前田佳都男君 それは、人車一体ということは言っておりますけれども、船に乗ると人車一体ですか、安全性の点から、えらい人車一体にこだわるようですけれども
  80. 若狭得治

    政府委員若狭得治君) さようでございます。
  81. 前田佳都男

    前田佳都男君 わかりました。
  82. 江藤智

    江藤智君 そこで安全の上からいって、私は、やはり考え方は有料道路みたいに、人車一体は賛成だけれども、安全という面からいくと、やはりこれは船客なんだという思想は正しいと思うのです。したがって、バスからおろすと、そうして、それだけの、だから船室が要ることになるわけでしょう、船室が要る。そうして船客名簿にも載せなければいかぬ、それから救命胴具もそれだけの数は当然そろえなければいけない、これは行政指導じゃなくて、そういうふうな規則になっているのじゃないですか。
  83. 若狭得治

    政府委員若狭得治君) 救命綱具等につきましては、明確な規則になっております。ただ、車から出なければいかぬというような問題は、行政指導として通達を出しまして実施いたしております。
  84. 江藤智

    江藤智君 なぜ聞くかといいますと、たとえば鉄道の連絡船のような場合も、これはかって寝台車を航送した場合もあるけれども洞爺丸事件以後、一応やめました。しかし、また最近復活したかどうか、それは私はっきり知りませんけれども、とにかく、人車一体もけっこうだけれども、しかし、バスに乗っかったままで運航しておって、そうして、かりに衝突するとか、転覆をした場合には、もうバスの中に詰め込まれたままでみんなおぼれてしまうという大事故になるわけですね。だからして、やはり船客としての取り扱いをするのかどうか、その点が非常にはっきりしないのですよね。その点はどうなんですか。
  85. 若狭得治

    政府委員若狭得治君) 船舶安全法上は、明確に個々の船客として規定いたしておるのでございます。
  86. 江藤智

    江藤智君 そうしますと、遊覧バスでも、あるいは将来、私は路線バスの航送もやらなければ意味ないと思うのですよ。これはもう遊覧客だけではなくて、四国のあるところから、たとえば本州のあるところまで直通で行けるというところに値打ちがあるのですから、航送の。そういう場合もやはりすべて船客名簿をとるかっこうになるのですか。
  87. 若狭得治

    政府委員若狭得治君) 法律上は、そういうことになっております。
  88. 江藤智

    江藤智君 法律上はという、法律は実施するのじゃないですか。
  89. 若狭得治

    政府委員若狭得治君) もちろん実施しておるわけでございますけれども、非常に距離の短いところで、たとえば三十分程度で到着するというようなところで多数の人員を収容する場合には、なかなかそれが励行されないということは、われわれとしては非常に心配いたしておるわけでございます。そういう点についてやはり明確な基準を設けていく必要があるのではないかということを考えておるわけでございます。
  90. 江藤智

    江藤智君 非常に抽象的だからわかりませんが、たとえば本州四国間ですね、まあ宇高をとってもいいですが、宇高の連絡のような場合は当然とるわけですね。
  91. 高林康一

    説明員高林康一君) 宇高連絡の場合はとっておると思います。と申しますのは、先ほど申しましたように、平水区域については、法律上の要件にはなっておりません。宇高の間はおそらく平水ではないと思いますので、これはとっておるはずだというふうに理解しておりますが、問題の点につきましては、なお、宇高の間につきましては……失礼いたしました。宇高間でございましたら、おそらく平水だと思いますので、その場合には法律上の要件にはなっておりませんものですから、とっておらないというふうに考えます。
  92. 江藤智

    江藤智君 これは私は終始一貫、安全という面で質問しておるのですが、これはまあ要望になるかもしれませんが、一朝事があったときがたいへんなんですよ、こういう航送は。これは私も非常な経験を持っているのです、紫雲丸事件という。責任者でしてね。いかにそういう事故のときに、やはり船客名簿というものが必要であるかという面から言っておるので、こういう自動車を簡便に航送をやるというようになった場合、やはり海の上ですからね、道路というたてまえであるけれども、海の上であるということは間違いない。だから、先ほど来船舶局長海上保安庁長官を呼んでいるのはそこにあるので、そういう面については、ひとつ十分慎重に旅客の取り扱いというものを考えていただきたい。普通の離島航路であるとか、普通の旅客船の場合とだいぶ違いますからね。どうしても自動車旅客という頭が強く働き過ぎると、非常に事故を起こすおそれがまあないとは言えないという気がしますから、その点十分私、要望しておきます。  そこで最後に、国鉄も待っておられるようですから、将来のことを承りたいのですが、今度の二十一条によりますと、これはまあ前からの関連で入れておられると思うのですけれども、本邦の港と本邦以外の地域の港との間のそういう自動車航送というものは除く、この規定じゃないと、こういうことを言っておられるのですが、これを逆に解すと、将来、本邦と本邦以外とをやるような場合もあるかもしらぬ、そのときにはまた別の規定をやるんだと、こういうようにも読めるのですが、現在、そういう本邦と本邦以外とをやるというような事柄は考えられておるのですか。
  93. 高林康一

    説明員高林康一君) 現在まで私どもが聞いております範囲においては、本邦外との自動車航送、ここの法律考えておるような自動車航送、すなわち、人車一体と申しますか、そういう形でやる自動車航送については、いまのところ、計画を具体的には聞いておらないわけでございます。それで、そういうような具体的な形態を、現在まで、どのように律していくかということについても、はっきりいたしませんものですから、今回の改正案については、これについて特別な規定は設けなかったということでございます。
  94. 小酒井義男

    小酒井義男君 きょうは、私は質問はしませんが、資料を要求しておきたいのですが、本法の四十四条にあります湖、沼、河川の準用から除外をされる二十トン以下の船舶と、あるいは櫓かいを主として運航しておる船ですね、こういうものが仕事をしておる個所は、全国に何カ所くらいあるか、船の数がどのくらいあるか、それによってどのくらいの乗客輸送しておるのかというようなことがわかれば、ひとつそこまで資料として出していただきたい。
  95. 高林康一

    説明員高林康一君) 二十トン以下で旅客船の場合でございますね。
  96. 小酒井義男

    小酒井義男君 そうです。
  97. 高林康一

    説明員高林康一君) そこで、その場合につきましての旅客船に該当するものについての資料は、次回に提出いたします。櫓かいにつきましては、全然法律から除外しておるものでございますから、現在、報告がないわけでございまして、数字の調整に若干時間を要するのではないかというふうに考えますけれども、わかる範囲におきまして至急調べたいと思います。
  98. 小酒井義男

    小酒井義男君 この前ちょっと時間を急いでおったので、参事官が来られたときにちょっとそのことに触れたのですが、それじゃ十分意味が徹底しなかったのじゃないかと思って、いま重ねて要求しておるのですが、相当数の旅客を櫓かいの船で輸送をしておるのですね、各所で。   〔委員長退席、理事前田佳都男君着席〕 そういうのが、いまお話しのような状態で放任されておるということでいいのかどうか、私は疑問を持っておりますから、ちょうどこの海上運送法の審議と関連が非常にありますから、その資料をお願いしておるので、少し時間はかかっても、やはり関係のない仕事じゃないと思いますから、お調べを願って、ひとつ資料を出していただきたいと思うのです。
  99. 高林康一

    説明員高林康一君) 先般来先生からお話がございましたので、私ども現在、その問題についてどのように——これはまあ海上運送法規定ということだけでございませんで、安全という面で、港則法と申しますか、その点、安全航行の問題、そういうもの、みなから見ますものですから、そういうような点において、現在、海上航行安全審議会に、河川、湖沼というような面におきますところの取り締まりと申しますか、安全体制の確立というような問題について、御検討をお願いしておるわけでございます。そういうような点で、逐次資料を整備いたしまして、御趣旨の線に沿って、いろいろ検討を進めてまいりたいと思います。資料につきましては、できる限りいろいろ収集いたしまして、提出いたしたいと考えます。
  100. 前田佳都男

    ○理事(前田佳都男君) 速記とめて。   〔速記中止〕
  101. 前田佳都男

    ○理事(前田佳都男君) 速記再開。  本案に対する質疑は、本日は一応この程度にいたします。     —————————————
  102. 前田佳都男

    ○理事(前田佳都男君) 次に、日本国有鉄道法の一部を改正する法律案議題といたします。  御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  103. 江藤智

    江藤智君 日本国有鉄道法の一部改正福の法律案につきまして御質問いたしますが、この改正案は大体三点あるようでございますから、順次この点について御質問したいと思います。  まず第一は、志免鉱業所を廃止することによって実際仕事がなくなった、そこで日国法の第三条の規定の中からこれを削除したい、こういうことになっておりますが、志免鉱業所の廃止後、大体今日までどういう経過をたどっておるか、御説明願いたいと思います。
  104. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) 志免鉱業所は御承知のように、昨年、昭和三十九年六月三十日に閉山をいたしまして、当時、職員が約千五日名ばかりおりました。その職員につきましては、いろいろな閉山後の処理に必要な人員を残しまして、鉄道側に配置転換をいたしたわけでございます。残務整理のためには、志免炭鉱整理事務所というのを設けまして、鉱害補償であるとか、施設の管理、財産の処理等の業務に当たらせておるわけでございまして、その土地、建物の処理につきましては、政府の産炭地振興対策という線に沿いまして、なるべく産炭地が振興されるような方法を地元と協議をして仕事をやっておるわけでございます。で、そのほかにつきましては、残りました租鉱権の問題がございましたが、これも解決を見ておりますし、合理化事業団の買い上げについての折衝は、いま進行中でございます。
  105. 江藤智

    江藤智君 そうしますと、約千五百人の従業員の方は、もうほとんどといいますか、全部それぞれ配置転換は終わったわけですか。
  106. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) 配置転換を行なうべきものにつきましては、行なったわけであります。ただ、いまの残務をやっておる者につきましては、これを終わりましてから配置転換をする。
  107. 江藤智

    江藤智君 大体数字的にいって、千五百人のうちで何人は配置転換やったと、それから何人は残務整理に当たると、またやめる人もいるでしょうがどういうふうな内訳になっておりますか。   〔理事前田佳都男君退席、委員長着席〕
  108. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) 閉山当時千四百九十八名職員がおりまして、志免には高齢者もおりましたが、五十五歳未満で鉄道部門に配置転換を希望する者六百八十二名につきまして、本人の希望を尊重いたしまして、それぞれ行き先を決定いたしますと同時に、必要な教育を施しまして配置転換を行なったわけでございます。それから退職を希望する者が六百九十一名。これにつきましては、再就職の準備期間を設けまして、その間休職扱いに、それから残務整理員といたしまして百六名を残しております。その他特別退職で退職いたしましたのが十名、それから休職中の者が九名、こういう内訳でございます。
  109. 江藤智

    江藤智君 ただいまのお話で、非常に順調に国鉄としては志免鉱業所の閉鎖を行なっておられるようで、まあ私もいろいろ産炭地の問題については話を聞いておりますが、志免の問題については、非常に困ったというような話を聞いておりません。しかし、新しい職場にみな移っていくわけでございますから、今後とも配転の諸君、あるいは退職した人ら、そういう人らの事柄をひとつ忘れないように十分配慮をしていただきたいという点を要望いたしておきます。  次に、第二点の鉄道債券の問題ですが、これについて先取り特権といいますか、その条項を入れてもらいたいと、こういう事柄なんです。ところが、運輸省の関係公団を見ましても、建設公団にしろ、またただいま国会に提案されておる新東京国際空港の公団につきましても、みな先取り特権の条項が入っておる。なぜ国鉄だけ落ちておるのか。これは当然公団、公社同じ扱いであるべきなものが、どうしてこういう片手落ちになっておったか。これはいままでの経過があると思うのですが、どういう経過でこれが落ちておったのでしょうか。
  110. 佐藤光夫

    政府委員(佐藤光夫君) 御指摘のように、他の例には一般担保の規定がございますし、国鉄法にはいままでなかったわけでございますが、従来、公募債につきましては二十八年度以降に発行されておるわけでございますが、政府保証がついておりますので、担保の問題が実際的になかったわけでございます。それから利用債については、御承知のように昭和二十九年度初めて利用債を発行いたしたわけでございますが、政府出資の公社としての国鉄が、みずからの債務のために担保を供するのは実益が少ないということと、受益者が負担する利用債のたてまえから、担保を付さなくても発行の問題はなかったというような実際上の事情から、積極的に法律を改めるというようなことをしなかったという経過が、御承知のようにあるわけでございます。しかしながら、御指摘のように、電電公社をはじめ他の公社、公団債いずれも一般担保が付せられておりますし、国鉄が民間資金を活用して長期資金の調達をはかるため、御承知のように四十年度の御承認いただきました予算等では、さらに鉄道債券の発行規模を拡大するというような事情になってきたために、現在においては、もし、一般担保の条項がなければ、他の公団債に比較して発行条件等で不利な立場に置かれるというようなことがございまして、今回、実体的に改正をお願いするような事情になったのであります。なお御参考までに、電電公社につきましても、やはり国鉄と同じように公社法制定の当時には、そういう問題があったわけでありますが、参議院の修正でこれが取り入れられたというようないきさつがあるわけでございます。
  111. 江藤智

    江藤智君 いまお話しのとおりだと私も思います。もともと日国法ができた当時は、みな政府保証債あるいは財政資金でまかなうつもりであったのでしょうけれども、予算の都合で相当に鉄道債券の幅と申しますか、種類もふえてきたので、この際他の公社、公団並みに入れるということについては、これは当然だと、かように私も考えます。  次に、第六条の投資条項についての改正が出ておるわけでございますが、これはこれまでも相当現物出資以外にいろいろ投資ができるようになっておった。ついては、これまで具体的にどういうものにどの程度の投資をやったか、営団につきましては、これは法律できまっているのですから御説明要りませんが、その他のものについての実績をまず御説明願いたいと思います。
  112. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) ただいままでのところ、京葉臨海鉄道株式会社に三億五千万円、それから神奈川臨海鉄道株式会社に二億円、それから名古屋臨海鉄道株式会社に四億円、株式会社日本交通公社に三億円、それから株式会社福岡交通センターに五千万円、株式会社広島バスセンターに二千五百万円、以上でございます。
  113. 江藤智

    江藤智君 そこで今度、現物出資をすることができるように特にしたのは、名古屋の臨港鉄道についてそういうことをやりたい、道を開きたいというふうに聞いておりますが、ほんとうにどういう理由から現物出資を要望しておられるのか、その点の御説明を願います。
  114. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) いま先生おっしゃいましたように、現物出資の条項を設けます直接の必要は、名古屋臨海鉄道株式会社に現物出資をいたしたい、こういうことでございます。御承知のように名古屋の港湾地帯は、特に東南部のほう、工業地帯でございますが、非常に発展をいたしまして、この貨物輸送をどうするかということが、非常な問題になったわけでございます。これを円滑に輸送いたしますために、名古屋港の管理組合、それからそこに出ておりますいろいろな企業がございますが、この企業——進出企業者とこう言っております東海製鉄以下大きな産業が多数進出しております。それと国鉄の三者が相はかりまして、ここにこの輸送を効率的に果たす臨海鉄道株式会社を創設したいということになりまして、本年の一月二十三日に名古屋臨海鉄道株式会社という会社を創設いたしまして、本年の九月を開業の目途として準備を進めておるところでございます。で、この会社の線と東海道本線の笠寺の駅から名古屋の東港、ここまでの間は、国鉄が名古屋港の貨物輸送を円滑にするために、三十六年の二月以来この間三・八キロメートルでございますが、鉄道を建設いたしておりまして、これは俗に東港線と申しておりますが、そういう線路を敷きまして、名古屋港の東南地帯の貨物輸送をする考えでおったわけでございますが、その後先ほど来申し上げますように、企業の進出もめざましく、ただ国鉄だけでやるということでは、なかなかむずかしいことがわかってまいりましたので、先ほどの三者が相はかりまして鉄道会社ができたわけでございます。ここに至る笠寺と東港との間の線を別個に国鉄が運営いたすといたしますと、臨海地帯の貨物輸送がどうしても二元的になりまして、円滑な輸送が期せられないということでもございますし、また同会社の設立の趣旨からいいましても、その地帯の貨物を一元的に混乱なく送り出すということでございますので、先ほど申しましたいわゆる東港線という三・八キロの線路をこの会社に現物出資をいたせば、これが一元的に運営されて、貨物輸送の上に貢献するのではないか、こういう考え方から現物出資を行なったわけでございます。
  115. 江藤智

    江藤智君 そこで、名古屋臨港よりも前に、最初に京葉臨港ができ、それから現在神奈川の臨港線ができ、今度名古屋をやるわけですが、京葉や神奈川ですね、こういう臨港鉄道のその後の経営状態は、どういうぐあいになっておりますか。
  116. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) 京葉臨港と神奈川臨港につきましては、まだそれぞれ創設後数年を経ておりますが、京葉のほうにつきましては、当初予定しましたような輸送量というものはあるわけでございますけれども、創設後日が浅いために、まだ全体といたしましては赤字を出している状態でございまして、配当には至っておりません。しかし、これも計画と大きな違いがあるというわけではございませんから、時を追って経営も黒字を出すことになろうかと考えております。また、バスターミナルの事業につきましては、広島バスターミナルは三十六年度以降六分の配当をしているわけでございます。
  117. 江藤智

    江藤智君 そうしますと、臨港鉄道につきましても、これを鉄道だけでやると相当の資金が必要だ、ところが株式会社にして、それに出資をすれば、出資金程度で同じ目的が達せられる。しかも将来は黒字になって、多少配当も入る、大体こういうふうに、この三つの臨港線とも考えていいわけですか。
  118. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) さようでございます。
  119. 江藤智

    江藤智君 それから、いまバスセンターの話が出ましたですが、広島バスセンターは黒字になっておる。このバスセンターの会社は、いろいろないわゆるバスセンターの何と申しますか、バスの運行そのものと同時に、やはりいろいろの売店や何かも出して、総合的なこれは利益として六%の配当を出しているのではないですか。
  120. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) 広島バスセンターにつきましては、先生おっしゃいましたように、バスターミナル施設の運営管理のほかに、旅行あっせんであるとか、いまの売店その他の付帯事業をやっておりまして、それらからの総合の利益である、さように考えます。
  121. 江藤智

    江藤智君 それから交通公社ですね、国鉄にかわっての代売に対して出資ができるということで、これも特に出資を認められたものだと記憶しておりますけれども、交通公社についてはその後どうでございますか。
  122. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) 交通公社は、やはり国鉄の旅客輸送の伸び、その他いわゆるレジャーブームの影響を受けまして、業績はあがっておりまして、三十八年、三十九年ともに利益を生じておるわけでございます。
  123. 江藤智

    江藤智君 何パーセントぐらいの配当を受けておりますか。
  124. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) 国鉄が投資いたしまして、まだそれに対する配当は受けておりません。
  125. 江藤智

    江藤智君 これは特別にですね、特殊の政府出資のときのように、一般民間のほうが優先配当を受けると、国鉄はそのあとだというような、そういう条項はありましたかね。
  126. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) 一般の株主と同等でございます。
  127. 江藤智

    江藤智君 次にお伺いしますが、もう一つ投資条項で認められております国鉄の貨物に直接関連のある倉庫業ですね。これにも投資条項が認められておるのでございますが、これについてはどういう進み方になっておるのですか。
  128. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) 倉庫につきましては、当面問題になっておりますのは梅田駅構内の倉庫でございますが、これも長年倉庫業界との間に調整を行なってまいりまして、最近におきましては、原則的な了解がほぼつきまして、近く会社の設立というような段階に入ろうとしておるところでございます。
  129. 江藤智

    江藤智君 そこで、運輸省のほうにむしろ伺いたいのですが、これはこの場所ですぐ即答を受けようとは思いません。むしろ検討をしていただく問題じゃないかと思うのは、このバスターミナルに、博多、広島ともに、国鉄バスも入るというわけで投資条項を認めておるわけです、政令で。ところが、もっと関連の深いのが、いわゆる主要都市におけるまあ民衆駅といっておりますけれども、民衆駅という方式で駅改築をし、あるいは駅の上のほうの非常に利用価値の高いところを一体的に考えまして、そうして旅客あるいは地方の利便なり発展に資しようというわけでやっておるわけでございますけれども、私、公平に考えまして場所によってはむしろ国鉄がバスターミナルにおけるがごとく投資をして、そして適正な運営をはかるようにしたほうがいいんじゃないか、こういうような意見もあるわけなんです。そういう面について、運輸省として検討されたことがあるかないか。あるいは、検討をする必要があるというふうに考えておられるのか。そういう点をひとつ伺いたいと思います。
  130. 佐藤光夫

    政府委員(佐藤光夫君) 日本国有鉄道法第六条の投資条項のあり方については、すでに本委員会で相当長い間いろいろ御審議をいただいたいきさつがあるわけでございます。実体的にどういうものをこの投資の対象にするかというようなことにつきましても、御承知のように、現行の第六条の規定に基づいて政令の規定があるわけでございます。江藤出先のお話がございますように、この第六条の規定は、先生のいまのお話に直接触れてきますのは、この中にあります「日本国有鉄道及び他の運送事業者がともに使用する輸送施設の運営を行なう事業、」、これでバスターミナルの運営という問題が出てきておるわけでございまして、これと実は同じような形で、たとえば他の鉄道事業者が入ってくる施設の運営というような問題もあるかと思いますし、したがいまして、その場合には、第六条の規定から具体的に政令をどういうふうに書くかというような問題があるかと思いますが、先生の御指摘は、なおそれよりも、かりに別な範囲であるというようなお話でございますならば、これはむしろ実体的の問題でもあるかと思いますので、将来われわれとしても十分検討をしてまいりたい。現行法の範囲では、やはり「他の運送事業者がともに使用する輸送施設」というような範囲に限られるのではないかというふうに、われわれいま考えておるところでございます。
  131. 江藤智

    江藤智君 法律論は、きょうここでやりましてもこれは理屈のこね合いになるわけです。しかし実際問題として、それじゃそこに私鉄が入ってきておる、そうした場合には非常に楽にできる。ところが、それよりももっともっと大切な国鉄の施設であって、しかも、非常に利用価値が高い。しかし、そこには私鉄は入っておらぬ。しかし、ほかのバスなんかがたくさん入ってきておるわけですね。ですからして、一がいにそういうことでもうこれはだめだと言えるかどうか。もともとこの法案をいまあなたがおっしゃったような法案にしたのは、バスターミナルに出資ができるためにつくったわけなんですが、実体的に見て、広島バスターミナルの現状、現在これは建設中ですけれども、博多のバスターミナルというようなところに国鉄が出資しておる。そして、もっと大切な民衆駅その他に出資が全然できないものかどうか。そういう点はひとつ十分検討していただきたいと思います。そこにむしろアンバランスが起こっておるのじゃないか。ただ、国鉄の投資ということは非常に慎重に考えなければいけないことでありまして、むしろ全般的な空気としては、非常に大きな事業である国鉄が現物を出資する、あるいはその金を、予算の範囲内といえども、そういうものをとにかく出資をして出てこられたんじゃ民業圧迫になるのじゃないかという心配のほうが、むしろそういう声が大きいと思うのですけれども、しかし、出資条項を認める以上は、やはり実体に合った、アンバランスがないような投資はできるような道を開いておく必要があるのではないか。私はそういうふうに考えますから、これはきょう御返答をいただくわけではありませんが、ただいま鉄監局長が言われたように、十分にひとつ検討していただきたい。こういう点を要望しておきまして、きょうは四時になりましたから、この程度で終わります。
  132. 松平勇雄

    委員長松平勇雄君) 本案に対する質疑は、本日は一応この程度といたします。  次回は、四月二十日午後一時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十八分散会