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1965-03-23 第48回国会 衆議院 予算委員会防衛図上研究問題等に関する予算小委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年三月二十三日(火曜日)    午前十時二十四分開議  出席小委員    小委員長 松野 頼三君       川崎 秀二君    小坂善太郎君       重政 誠之君    西村 直己君       石橋 政嗣君    高田 富之君       中井徳次郎君    永末 英一君  出席国務大臣         国 務 大 臣 小泉 純也君  小出席政府委員         国防会議事務局         長       北村  隆君         防衛庁参事官  麻生  茂君         防衛庁参事官         (長官官房長) 小幡 久男君         防衛庁参事官         (防衛局長)  海原  治君         防衛庁参事官         (教育局長)  島田  豊君         防衛庁参事官         (人事局長)  堀田 政孝君     ————————————— 本日の会議に付した案件  防衛図上研究問題等に関する件      ————◇—————
  2. 松野頼三

    松野委員長 これより小委員会を開会いたします。  防衛図上研究問題等に関する件について調査を進めます。  前会に引き続き質疑を続行いたします。石橋政嗣君
  3. 石橋政嗣

    石橋委員 先日お尋ねした分について引き続き質問を続けたいと思いますが、この間申し上げたのは核兵器持ち込みについてでございます。政府としては、従来、核兵器持ち込みは絶対に許さない、事前協議によって必ずチェックするのだということを言い続けておったわけでございますけれども、この三矢研究によりますと、核兵器持ち込みは承認するというたてまえをとっておるわけでございます。その理由として、即時報復優勢の堅持というものを列挙しておるわけですが、こういう見地から考えた場合にどうしても核兵器を持ち込むことのほうが有利である、こういう判断を下しておるわけですけれども、この考え方について長官から最初見解を聞いておきたいと思います。
  4. 小泉純也

    小泉国務大臣 核兵器の問題につきましては、政府既定方針にいささかの変更はないわけでございまして、私どももそれを堅持いたしておるわけでございます。また自衛官といえども、その点においては何らこの方針に背反する考え方を持っておる者があろうとは私は考えません。この三矢図上研究においていろいろな想定や解答がなされておりますが、これも、結論においてはいま石橋委員が言われたようなことが断定されるようなものではなく、高度の政治判断に待つというようなことを最後には書いてある部面もありますので、これが、そういう考え方核兵器政府既定方針をおかしたというようなことは私どもは決して考えておらないのでございます。  なお、詳細にわたりましては政府委員から答弁をいたさせます。
  5. 海原治

    海原政府委員 先日石橋委員から御指摘がございました即時報復態勢堅持という見地からしますと、核兵器国内に持ち込んでおくことが有利な条件である、このことについては論を待たない、こういうふうな御指摘があったのでございます。しかし私どもは、実はこういうような考え方については根本的に違った考え方を持っております。と申しますことは、従来大臣から御説明がございましたように、いろいろと未熟なことばがあり、あるいは用語の選択等においても適当でないということの例がその一つでございます。一がいに核兵器と申しましても、これはいろいろなものがあるわけであります。それで有事の場合に、日本国内核兵器を持ち込むという場合に一体それは何を考えておるのかということが大きな問題でございます。そこでこのことは、私どもといたしましては、先般お述べになりましたように、核兵器を持ち込むということが日本防衛のためには絶対に必要なことである、したがって平時からその腹を固めておくのだということにつきましては、そういうことではないという実は考えを持っております。  具体的に申しますと、たとえば戦略的核兵器持ち込みということになりますと、これは論外でございます。そういう能力がございません。そうしますと、戦術的核兵器ということになりますと、これは地対空兵器、あるいは地対地のいわゆる戦術的兵器ということに限定されると思いますが、そのいずれもが日本国内に持ち込むことが絶対に有利かということになりますと、私どもはそう考えておりません。ほかの委員会におきましても御指摘がございましたときにお答えしておりますが、たとえば地対空防御兵器ナイキハーキュリーズにつきましては、普通弾頭核弾頭と両方併用できるわけでございますが、少数機が来襲します場合には、普通弾頭のもので十分間に合うわけでございます。何も核弾頭のものを使う必要はございません。さらに地対地兵器でございますと、たとえばその射距離ということを考えてみますと、わが領域内において戦術的核兵器を使うということは、同時にわが方に対する被害があるわけであります。ないしは国内住民に対する被害考えなければなりません。   〔小委員長退席重政委員長代理着席〕 したがいまして、ほかの例で申しますと、たとえばフランス統合参謀本部議長が言っておりますが、ヨーロッパでもし戦争が起こった場合でも、わが領域内においては戦術的核兵器は使えない、と申しますことは、侵入してきた敵の兵隊が、たとえば一キロ平方当たりかりに十二人おるとする。しかし、そこに一キロ平方当たりに住んでおる住民が、これはフランスドイツ等によって違いますけれども、百人から二百人という人口が住んでいる。そういうことになってまいりますと、十二人の敵兵を殺すために百人、二百人の住民のことも考えなければならないということになりますと、戦術的核兵器というものは自国内領域においては使えないものだ、こういうことを言っております。したがいまして、私は、戦術的核兵器というものが日本国内において用いられるということはきわめてまれな場合、しかも、そういうことは非常に大きな、御存じのような連鎖反応的に大規模な核戦争に発展するということも考えますと、日本国内核兵器を持ち込むということの必要性はないもの、こういうふうに判断いたします。先般御指摘になりましたように、またきょう御指摘になりましたように、私どもとしましては、別に、核兵器日本に持ち込むことが即時報復態勢を立てるために必要だというふうには考えておりません。
  6. 石橋政嗣

    石橋委員 ただいまのお話によりますと、主としてナイキハーキュリーズの場合を引用されておるわけですが、核兵器という場合に何もナイキハーキュリーズに限らないわけです。具体的な例をあげるならば、現在日本国内には、原水爆搭載可能のF105も配置されておるわけです。それから、当面非常に問題になっております原子力潜水艦の場合を考えてみましても、ポラリス潜水艦は一応おくにしても、攻撃型の潜水艦の場合にはサブロックというものが装備される。これはお認めになっておるわけです。混載という問題も出ているわけです。こういうものの受け入れまでも全部持ち込みの中に入ってくるわけです。ただいまの防衛局長のお答えによりますと、日本政府としての見解として持ち込まない、こう言っておりますが、それを合理化するためにいろいろと理由を述べておられるわけですけれども、問題は、持ち込むか持ち込まないか、まず最初にこれの必要性判断を下すものは米軍なんで、アメリカのほうで持ち込みの必要があり、たとえば原子力潜水艦の寄港の場合に、核弾頭サブロックを装備して入る必要がある、こういう場合だってあり得るわけなんです。現にこの三矢研究の中でも、「状況下研究No11」「米軍極東戦略構想」として、「状況真にやむを得ず他に手段がないと判断した場合は、これを使用する」こういう想定が書かれておるわけです。アメリカがこういう考えを持っておるという前提に立って出発しなければならないわけです。日本政府がどうあろうと、アメリカ持ち込みの必要がある。どういう種類の核兵器を持ってくるかはアメリカ判断です。その場合に、日本が断わるかどうかという問題になるわけです。あくまでも断わりますと言っておりますけれどもアメリカが必要があると言ってきたときに、断われるのかという問題なんです。そういう角度考えたほうがわかりやすいのじゃないかと思うのです。現に、この間佐藤総理アメリカに行きまして、ジョンソンとの間にいろいろと話し合いが行なわれた共同声明の中でも、いかなる武力攻撃に対しても日本防衛するという約束を取りつけたと誇らしげに報告されておる。このいかなる武力攻撃の中には、当然核攻撃も入る、こういう御説明もあるわけなんです。そうしますと、核攻撃に対してでも日本防衛のためにアメリカは大いにやります、こういう約束を取りつけておる。そうすると、アメリカの側で、われわれとしてはあなた方に約束した手前もあるから、この際こういう核兵器を入れる必要があると判断すると言ってきたときに、これを断わる理由が成り立たないのじゃないですか、こうお尋ねしているわけなんです。だから、制服諸君が、何度あなた方が核兵器を持ち込まない、持ち込ませないとおっしゃっても、こういうことをしょっちゅう言ったり書いたりしておる。先日も私例示したわけですけれども、同じ昭和三十八年の八月に航空幕僚監部から、これは試案だというお話でしたが、「防衛力整備に関する基本的見解」というものを出されて、この中でも、「わが国に核攻撃が加えられた場合は必ず米国核報復能力が発動されるよう明確な取り極めを行って中外にその意図を明らかにしておく必要があり、また、それは日本防衛努力如何によっては、米国をそこまで踏切らせ得るものと信ずる。」積極的にどんどんもっと日本国内において防衛努力をして、とにかくそういう場合にはお願いしますということを逆に取りつけろという見解すら述べられている。もうあらゆる場合にこういうことばが出てくる。現に今度の三矢研究の中でも、はっきりと、持ち込みは承認する予定である、あるいはこれを認める腹は固めておく必要がある、こういうことが繰り返し述べられておる。ここであなた方が持ち込ませないといっていることが一般国民の感情を考慮してなされておるということは理解できますけれども、純軍事的にものを考え連中説得するだけの力がないんじゃないか、こういう感じがどうしてもするわけなんです。この点を、責任者である大臣としては説得する力をお待ちになっておるならばここで言明していただきたいのです。何はともあれ拒否するんだというんじゃだめなんです。アメリカが、必要がある、現段階において核兵器日本の中にどういう形であろうと持ち込む必要があるといった場合に——現に、そういう約束佐藤総理との間にもやっているんだから、この約束を果たすためにはどうしても持ち込まなければならぬのだと言ってきたときに、なおかつそれを拒否できる、しかも、制服連中を納得させるに足る理由というものがなくちゃならぬ。その点をお伺いしているわけなんです。それがなければ、これは説得が伴わないのですから承服しないのですよ、制服連中は。それではほんとうに緊急事態というものに立ち至ったときに、表面化してきたときに押えるだけの力がないんじゃないかという疑問を持たざるを得ないと思うのですが、いかがでしょう。
  7. 小泉純也

    小泉国務大臣 石橋委員の立論の根拠というものがどうしても私どもには納得がいきませんので、これは、あくまでもいわゆる幕僚想定に基づく研究でございまして、幕僚の一人がそういうことを考えた者があるかもしれませんけれども、それが防衛庁正式見解でもないし、もちろん政府見解でもございませんので、私は、それが直ちに高度の政治的判断となってあらわれるとか、アメリカとの交渉にどういうふうに影響するとかと、さようなことに私どもは全く考えておらないのでございまして、これが正式見解となってまいりましたときに、いわゆるシビリアンコントロールが働いて、こういうものは考うべきものでないとか、こういうものは取るべきものではないとかというところにいわゆる政治判断が下されるわけでございますので、私どもは、これを説得ができるとかできないとかいうような問題まではまだきていない。全く一幕僚がそう考えた者があったというだけでございます。もちろんわがほうの正式見解といたしましては、先ほど来申し上げますとおり、既定方針として、核兵器持ち込みは許さない、この点においては依然として変わりはないのでございまして、われわれは、説得するとかしないとかどころじゃない、こういうことを正式の見解として自衛官諸君に決定させるというようなこともあり得ないというふうに考えておるわけでございます。
  8. 石橋政嗣

    石橋委員 それでは、ちょっと角度を変えてお尋ねしてみましょう。  核による核攻撃の抑止、核報復の措置、そういうものは日本政府としてはあくまでも米軍に依存する、こういう考え方は間違いありませんね。
  9. 小泉純也

    小泉国務大臣 もちろんそのとおりでございます。
  10. 石橋政嗣

    石橋委員 そうしますと、アメリカの側としてみれば、日本政府から期待を持たれている、この期待に沿うようにするためには、この段階において核兵器日本領域内に持ち込んでおくなり、あるいは安保条約認められておる権限に基づいて日本施設区域を使用する艦船、主として軍艦、潜水艦ということになると思うのですが、そういうものに核装備をこの際しておく必要がある、こういう判断を下したときに、どう言って断わるのですか。
  11. 海原治

    海原政府委員 事実関係でございますので、私からお答えすることをお許し願います。  先ほど大臣からはっきりと申されましたように、私どもは、日本防衛の場合に、アメリカ期待する核の報復力というものは何も日本国内に持ち込まれるものが唯一絶対のものとは考えておりません。むしろそういうものなしに行なわれる。すなわち、先ほど石橋先生も申されました、アメリカ側期待する核の報復力というものは、これはアメリカの第七艦隊飛行機もございます。沖繩におきます攻撃力もございます。さらには太平洋に配しますポラリスミサイルもございます。こういうものがあります以上は、日本国内にわざわざいわゆる戦術的な核兵器を持ち込むことの実は意義がわれわれにはわからないわけでございます。ただ、この三矢研究におきましては、石橋先生指摘のように、状況が悪くなってくるというとアメリカ核兵器、いわゆる戦術的核兵器を持ち込まれるだろうという想定をとっておることは事実でございますが、そういう想定をとること自体、実は私どもとしてはその必要はないじゃないか、こういうように考えるわけであります。先ほどそのための理由を御説明したわけでございますが、さらにもう一度御説明いたします。たとえば先般ホークにつきまして、これは核弾頭ホークが開発されておるのじゃないかというような御質問がございました。しかし実際問題としまして、ホークというものは、配置されましてから目標をつかまえまして発射をしますときには、大体配置されている位置から四十キロ程度のところで捕捉するのがせいぜいでございます。そうしますと、そこで核弾頭が破裂いたしますと、当然にわが方はその核の被害をこうむるわけでございます。そうしますと、わざわざ核弾頭を使って敵の飛行機を落とすかわりに、今度はわがほうの被害をどうするかという大きな問題が出てまいりますので、結局アメリカとしましては、このホーク核弾頭を装備することは現在中止しております。このように、核兵器というものはちょっと考えると非常に有効のようにとれますけれども、実際問題としては非常に使いにくいものでございます。したがいまして、先ほど私から、日本国防衛のためにアメリカ核兵器日本に持ち込まれるということはないであろうということを私ども判断として申し上げたわけであります。したがいまして、この想定にございますように、アメリカ側日本持ち込みたいというようなことを言うことは私はまずないと思います。そういうことを持ち込む必要を余儀なくするというような事情というものはどう考えても出てまいりません。したがいまして、くどくなりますが、先ほど申しますように、日本アメリカ核報復力期待しますけれども、その核報復力は、何も日本国内に持ち込まれる米軍兵器とは限らないというよりは、むしろそれ以外のものである、こういうふうに私ども判断するわけでございます。なおこのことを申し上げますためには、私自身の私一人の考えではございません。昨年十月中共が核実験をいたしまして、そのあと陸海空責任者といろいろ将来の日本防衛について話したこともございます。こういうことも織り込みまして、現在の防衛庁の私ども判断といたしましては、先般石橋先生がお述べになりましたように、即時報復態勢堅持という見地からアメリカ核兵器国内に持ち込ますことは論をまたないという表現については、全然違った考えを持っておるということを申し上げたわけでございます。ひとつこの点はぜひこのように御了承を願いたいと思います。
  12. 石橋政嗣

    石橋委員 私は、防衛局長がナイキハーキューリーズを主として引用されますから、F105の場合とか、あるいは第七艦隊核装備の問題とか、あるいは原子力潜水艦サブロックの問題とかいうものを引用しているわけです。いまおっしゃっているような理屈は、特に第七艦隊核装備につきましては全然あてはまらないはずです。核報復力主体として第七艦隊が相当の位置を占めていることはお認めになる。核兵器を現に装備していることもお認めになるはずなんです。こういうものを取りはずしてしか日本に来れないということは、アメリカ立場から言うと非常に不便です。いつでも核兵器を積載したまま日本の港に自由に入ってこられるようにしてもらいたいことは、これは、何も遠い将来を考えなくても、時局の変化によってはさしあたっての問題として出てくる可能性があるわけです。こういうものもすべて持ち込むということばの中に含まれているわけです。私たち協議としておる場合に、事前協議でチェックするという対象になっているわけです。そういう角度でそれじゃ考えてみてください。現に報復力主体になっておる第七艦隊核兵器をはずしてしか日本に来れない。これは、任務完遂の上からいっても非常に不便だ、困る、何としても認めてもらいたいという場合は、これはあり得ます。あり得る。そのほうが常識的ですよ。そういった場合になおかつ困るというからには、それ相応の説得力が必要だと私は思う。この点についての説得力に欠けるものがあるので、政府諸君がなかなかわかろうとしないが、そういう疑問は当然出てくるんじゃないでしょうか、いかがですか。
  13. 海原治

    海原政府委員 ただいまの点は御意見でございますので、あるいは質疑応答範囲外になるかと思いますが、私どもといたしましては、有事の場合の米軍行動についての判断でございますが、そのためには第七艦隊の船が有事即応態勢、いわゆる戦闘行動、すなわち原爆水爆等を搭載した形のままで横須賀佐世保に来なくてはならぬ理由一つもないと思うわけであります。先ほど申しましたように、沖繩という基地もございます。第七艦隊基地というものはそれ以外にもございます。この有事の場合にわざわざ日本横須賀佐世保にそういう戦闘状態の船が入ってくるということは、逆に申しますと、敵に対して非常にいい目標を与えることでございます。やはり船は、洋上を遠く航行しているときのほうがいわゆる襲撃される可能性というものが少ないわけでございます。日本佐世保に入ってくる、横須賀に入ってくるということになりますと、これに対しましては最も攻撃されやすい状態を現出するわけでございますから、私どもは、有事の場合にこの第七艦隊日本横須賀佐世保に寄港する、寄港しなければならない、そういう必要性はないと判断するわけでございます。しかし、それが絶対であるかということになりますと、これは、私ども判断が絶対であるということは申し上げることはできません。しかし、普通考えました場合に、私がかりにアメリカ側作戦考えました場合に、そういう第七艦隊が持っております核報復力、あるいはその他の核報復力を使用するような状況が切迫しました場合には、ことさらに日本のようなところには近寄らない。その艦隊行動を秘匿して相手を攻撃することができるわけでございますから、日本には近寄らないという方策をとることのほうがむしろいわゆる蓋然性にしても多いのではないか、こういうふうに判断するわけでございます。しかし、絶対に横須賀に来ないか、佐世保に来ないかということになりますと、これは、そのときの状況にもよりましょうが、絶対に来ないということは申し上げられませんけれども、普通に考えます場合には私がいま申しましたようなことであって、特に日本のいろいろの状況につきましては米軍当局も十分知っておるわけでございますから、ことさらに横須賀佐世保原爆水爆を搭載した飛行機を積んだままで、あるいは原爆水爆弾頭を持ったままで入ってくるということは私はないと思う。したがいまして、アメリカ政府がそのような要求を日本政府にすることはまずないというのが私ども判断でありますことを申し上げておきます。
  14. 石橋政嗣

    石橋委員 まあ防衛問題というのは本来仮定の論議なんです。それを、一方的にそういうことはないだろうというふうにきめておいて対策を講じておるというんじゃ、これは話にならないわけでございます。そういう要請があった場合にどう言ってこれを断わるか、いまのところではこれは全然論拠なしということだろう、ないだろうということでとどまっているわけです。こういうことでは絶対に米軍を納得させることができないだけではなく、ユニフォームの人たちを納得させることもできないと思う。そういうところに非常に弱さがあると思う。しかし、この問題だけをやっておりますと時間がなくなりますから、次に移りたいと思うのですが、もっと重要な問題があるのです。これは日本基地を使用して米軍戦闘作戦行動に出る場合、われわれかねがねからこの点指摘しておるわけです、御承知のとおり、日米安保条約の第六条によってアメリカ日本基地を使って発進する、行動を起こすというようなことになると、報復攻撃を受けるおそれがある、そのことによって本来日本関係のないアメリカとどこかの国との紛争というものに自動的に巻き込まれていくおそれがあるじゃないか。だから、安保条約日本防衛のためにプラスプラスだと言うけれども極東における国際の平和と安全の維持のために米軍日本基地を使用して出動することを許しておる以上、あなた方の立場で言えばプラスの面があるかもしれぬ、しかし、紛争に自動的に巻き込まれていくという大きなマイナスがあるじゃないかと言い続けてきました。これに対して、事前協議という制度が確立しているから、その場合には日本基地を使用して戦闘作戦行動に出ることをチェックするからだいじょうぶだと、これまた言い続けてきました。ところが、この三矢研究の中身を読んで見ますると、あらゆるところで包括承認ということが打ち出されております。状況下研究No12、別紙第2、外交及び安保条約運営に関する事項の中でも、「全面的に包括承認を与える。」と書いてあります。それから、同じく状況下研究No12の答解説明資料の中でも、「要請を受けいれたほうが防衛目的達成のためには、より有利であろう。またその都度、事前協議を行なうことは作戦行動のタイミング上好ましくないので包括承認の形をとった。」、こう書いてあります。まだありますよ。No11、第2情勢判断、2情勢、ハの朝鮮半島の情勢、ここでも、「この場合米軍日本基地から戦闘作戦行動を行う場合は、日本への波及を促進し、また波及を免れ得ないものとするであろう。」、こういうことも認めておるのです、われわれが主張していることを。それから、同じくNo11、日本間接防衛作戦という条項で、米国側と日本側との応答が出ておりますが、ここでも「全面的に包括承認を与えたい。」というふうに答えております。一貫していますよ。一研究員が書いたというものではない。どの文を見ても、事前協議については包括承認、こういうことがぴしゃりと打ち出されております。これは非常に問題だと思うのですよ。ほとんどすべての幕僚が、事前協議なんてばかばかしい、そんなことをしよったらタイミングを誤る、時期を失すると、私たちが言ってきたことと同じことを言っておるわけなんです。そのことが朝鮮半島における紛争日本波及させる原因になるかもしれぬけれども、やむを得ぬ、そんなことは割り切ってしまえという思想で一貫しているじゃありませんか。これなどはほんとうにたいへんな問題の最たるものだと私は思いますが、大臣は、ここの文についてはどういうようにお考えですか。
  15. 小泉純也

    小泉国務大臣 先ほど来申し上げますとおり、やはり一幕僚想定研究でありまして、われわれは絶対かようなものをば正式の見解として取り上げようということを考えておりませんし、また、さような決定をいたし、取捨選択をいたしたわけでもないのでございまして、わがほうの方針としては、こういう問題については、依然としていままでの政府方針堅持して進んでおるわけでございます。
  16. 石橋政嗣

    石橋委員 いま申し上げたように、一幕僚研究とかなんとかいう問題じゃない。この部分については一貫しています。どこに事前協議でチェックするという思想が出ていますか。片言でも出ていますか。この部分については一貫しているはずです。しかも、日本の安全防衛というものを考え立場から言ったときに、一番心配しなければならぬ問題ですよ。アメリカが他国と紛争を起こしておる、日本基地から米軍が出撃する、そのことによって自動的に日本がその紛争に巻き込まれる、そういうことをこの人たちは全部是認しているのですよ。波及はやむを得ないと言っている。しかも、あなた方は、一面において事前協議でチェックすると言っておるが、最近の日韓会談などの場合には何と言っていますか。私も幾たびか討論をしたことがございますけれども、異口同音に与党の諸君が言っていることは、韓国の防衛は即日本防衛だ、こう言っていますよ。これは制服諸君が言っていることと全く同じです。これは状況下研究No11に書いてありますが、「米軍日本からの戦闘作戦行動の実施は、これを契機として共産側の日本に対する航空攻撃を誘発し、もしくは促進するであろう。」、先ほどはもう少し具体的なものを読みましたですね。「この場合米軍日本基地から戦闘作戦行動を行なう場合は、日本への波及を促進し、また波及を免れ得ないものとするであろう。」、こういうことをちゃんとわきまえながら、「然しながら、」として、「米軍日本基地としての戦闘作戦行動は朝鮮における武力戦を有利に、かつ迅速に進展させるための一つの重大なポイントであり、また日本としても朝鮮の戦勢を極力早期に自由陣営の勝利によって終息させることが波及を小規模にとどめる最良の方策であろうと判断される。」、いいですか、朝鮮半島で紛争が起きたときに、日本基地を使用して米軍が出撃すれば、波及は促進され、絶対に免れぬだろう、航空攻撃を誘発し、もしくはこれを促進するだろう、しかし、それでもなおかつ許したほうが有利なんだ、こういう判断なんです。これはあなた方が日韓会談促進の理由としておあげになっていることと平仄が合います。かかる重大な問題について、一幕僚研究だからといって許されてよい問題でしょうか。もう一度思い起こしていただきたいのです。この事前協議というものは本来どういう形で行なわれますか、事前協議の当事者はだれですか、もう一回思い出してください。
  17. 小泉純也

    小泉国務大臣 いろいろな意見は、先ほど石橋委員指摘されたとおり、国会議員の間にもありましょうし、また国民の中にもありましょうし、三矢図上研究の中にも一部あらわれておるような、いま御指摘のような考え方をする幕僚もあったでありましょうが、これは、あくまでも高度な政治判断によって最後は決せらるる問題でありまするので、一幕僚がそういう考え方をしておるから、政府考え方と同じではないか、防衛庁と同じような考え方をしておるのではないかというように一方的にお考えになることは、これは私は、先ほど来、正式の見解でないのであるから全然根本の立論の根拠が違うではないかということを申し上げておるわけでございまして、この事前協議の問題につきましても、やはり最後は日本の安全という問題でそのときの情勢によって高度の判断が下されるわけであります。また、先ほど来の最後の事前協議の問題については、これは外交ルートによって最後は決せらるる問題であることは、石橋委員御承知のとおりでございます。
  18. 石橋政嗣

    石橋委員 いえ、私は一幕僚が軽々に議論するような問題じゃありませんということを指摘しているのです。その裏づけとして、この事前協議日本側の当事者はどなたかということをお聞きしているのです。これは、ずいぶん安保条約のときに論議された問題ですから、思い起こしていただきたいという意味でお尋ねをしているわけです。事前協議日本側の当事者はだれか。
  19. 小泉純也

    小泉国務大臣 先ほども申し上げましたとおり、当事者は、あくまでも外交ルートで、最後は閣議の決定というような取り扱いになるのでございます。
  20. 石橋政嗣

    石橋委員 閣議の決定であり、日本の場合にはいかなるときにおいても総理大臣が当事者だ、アメリカの場合は大統領だ、ただ、大統領の場合は、地理的な関係からも駐日大使というようなものが委任を受けることもあり得る、しかし、日本の場合はあくまでも内閣総理大臣でございますと、安保特別委員会において岸総理は言い抜いているのですよ。このことを思い出していただきたいのです。事前協議日本側の当事者は常に内閣総理大臣でございます。しかも、あなたがいまおっしゃったとおり、閣議の承認をいただきます、そして、もう一つあるのですよ。国会に報告して了承をいただきます、ここまで言っておりますよ。覚えておられますか。違うなら答えてください。
  21. 小泉純也

    小泉国務大臣 もちろん、石橋委員指摘されたとおりの手続を踏むものでごさいますが、この三矢研究の文書の中にそういうものがあらわれておるからといって、これは、従来申し上げますとおり、全くわれわれのほうで取捨選択、結論に到達したものでもございません。また、従来もしばしば申し上げておりますとおり、研究の課題や用語等については不適当な部分もあるから、今後は十分慎重な注意をしなければならぬということも申し上げておるようなわけでございます。   〔重政委員長代理退席、小委員長着席〕
  22. 石橋政嗣

    石橋委員 私が聞いていることに一つずつ答えていただきたいのです。事前協議日本側の当事者は常に総理大臣である、このことをまずお認めになるか。閣議にかけて決定をするということはお認めになりました。この決定については国会に報告をして了承を求める、この基本的な態度についてもお認めになりますか。
  23. 小泉純也

    小泉国務大臣 いま石橋委員の言われるとおり従来総理大臣からも答弁をいたしておりますから、そのとおりでございます。
  24. 石橋政嗣

    石橋委員 それほど慎重を期さなければならない重要な問題なんです。総理大臣がみずから当時者となり、閣議にかけて決定をし、しかも国会に報告をして了承してもらう、これだけ厳重な手続をとろうという制度なんです。しかも、その前提の中には、日本紛争に自動的に巻き込まれるようなことを絶対に避けたいというその気持ちが正しければ、なるべくチェックしようという思想が裏づけとしてなくちゃならぬはずです。これほど高度に政治性を持った、国民の生命、財産、国の安全に重大な影響をもたらす問題について、一幕僚が、かりに私見であろうとも事もなげに包括承認を平然と打ち出すような態度が許されてよいのかということなんです。しかも、どの条項を読んでみましても、この点については包括承認という思想が一貫している。あたりまえのことだ、論議の余地はないのだと言わんばかりに各所に出てきているのです。そんなことをしておったのではもう時期を失してしまう、これが一番大きな原因であろうと思う、理事的な立場で見たときに。だから、事前に全部承認していつでも自由にお使いください、出撃してください、こういう考え方幕僚人たちはみんな持っているようです。なぜこれをコントロールできないのですか。これが第二の問題です。  時間の関係がありますから、もう一つ二つ聞いておきたいと思いますが、さらに、日米共同作戦の問題が出てきております。これはNo12、別紙第1、用兵の基本に関する事項、「防衛出動を下令された部隊は、日米安全保障条約第五条の適用を受けない事態においても、わが国防衛上必要と認めた場合は、前号による日米共同作戦を実施することができる。」、そしてこれの解説的な部分として、No12の答解説明資料の中に、「この要綱においては、防御出動を下令された部隊は、安全保障条約第五条の適用をうけない事態においても、防衛上必要な場合は日米共同作戦を実施することができると定めたが、これに対しては次の考え方がある。イ、安保条約第五条が発動されなければ実施できない。ロ、防衛出動待機下令から実施してもよい。ハ、防衛出動待機下令前において実施してもよい。」、そうして最後に、「イ項は条約の解釈等からすれば正論であろうが、あまりに融通性のないものというべきであろう。従って、日米共同の基本線に則り要綱のように決した。」、いいですか、条約の解釈等からすれば安保条約第五条が発動されて初めて日米共同作戦というものが実施されるのが筋だと認めているのですよ。認めておいて直ちに否定している。こんな考えは融通性がない、だから要綱のようにきめた、何ですかこの態度は。正当な解釈をちゃんと知っておりながら、それでは融通性がない、こういう全く法令無視、条約無視の態度をすら打ち出しております。こんなのが一体表現がまずいとかことばが足りなかったとかいう範疇に属するのですか。これから私もまだやりますし、他の議員さんもみんなやられますから、事例はたくさんございますが、きょうはこれ以上列挙することは控えますけれども、この一つ一つを検討していった場合に、決してことばが足りなかったとか表現がまずかったとかいうような問題じゃないのです。先日も申し上げたように、公然たる政府の基本政策に対する挑戦と思われる節もあるし、あるいはまた、法令を無視しているということをもちゃんとわきまえながら、非常事態において一々そんな法令にかまっておられるかという思想も入っているのです。事は非常に重大だと思います。こういうものをあなた方が弁護し擁護する立場をとられたならば、これはたいへんな問題になりますよと何回も申し上げているのです。  そこで、少し具体的にお尋ねをしてみたいのですけれども、このような高度に政治性を持った研究がなされておる。しかも、これらの資料によりますと、当然新たな立法措置を講じなければならない部分、他の省庁との連絡、合意をはからなくちゃならぬ部分、全部出てきております。そういう研究をする場合に、内局はいかなる任務を果たしているのかという疑問です。シビリアンコントロールの中心としての任務を課せられておる内局の諸君はこういう研究をしているときに一体何をしているのかという疑問が出てくるのです。いままでのお答えによりますと、何人かの内局の課長以下部員が何回か出席をしましたというお答えです。そんなことで許されるのか。少なくとも統幕議長から長官に対して研究の報告があり、了承を求めてスタートした以上、内容についても内局が知らないはずはありません。しかも、ときどきであろうと顔を出していることは間違いない。私があげたような重大な問題だけでも、議論されておる段階においてこれをチェックする能力も権限も内局にはないのでありますか。そしてまた、なぜ常時出席できないのでありますか。私はここからお伺いをしたいのです。これは、このような幕僚諸君と肩を並べて議論するだけの能力がないという問題なのですか、それとも、何か内局から出かけていって常時顔を出していると気まずくなるような、ユニホームとの間に何ものかがあるというのですか。こういったところをここで十分に考えて今後の道を見出していかなければ私はたいへんだと思いますからお伺いしますが、この点、大臣はどういうふうに把握しておられるのですか。
  25. 小泉純也

    小泉国務大臣 問題になっております三矢図上研究につきましては、従来もしばしば申し上げておりますとおり、内局からは二、三の者がときおりオブザーバーとして出席をした程度でございまして、長官も簡単な報告を受けただけであると私は承っておるのでございますが、詳細については内容も検討をしておらなかった、また、事後についての詳細の報告も受けておらなかったと思うのであります。この研究そのものについては、もう従来しばしば繰り返しておるとおりでございまして、幕僚の未熟なものもあるし、用語の不適当なものもある。そういうことであるので、これが最後には、いわゆるシビリアンコントロールが働いて、そこに取捨選択が行なわれるのでありまして、それでこそ私はシビリアンコントロールの必要があると考えておるのでございます。この三矢図上研究については、シビリアンコントロールが行なわれるずっと以前の問題、その下の下の問題であったわけでございます。しかしながら、本問題が起きまして、いろいろといまの石橋委員はじめ他の方々から御指摘を受けておりまして、私どもも大いに考えなければならぬということは、これはもうたびたび率直に申し上げておるわけでございまして、今後は、やはりこういう研究の内容についても十分長官はじめ内局が承知をして指示をする、また研究の課題等についても十分慎重な配慮をいたさなければならないということは考えておるのでございますが、この問題についてシビリアンコントロールが働かなかったとか、あるいは制服がかってに独走をしたというような御批判は私は当たらないと考えておるわけでございまして、今後は、長官自身、内局の者がやはり内容についても十分検討し、表現や設問、研究の問題というようなことについても慎重な配慮をいたさなければならぬということを感じておるようなわけでございます。
  26. 石橋政嗣

    石橋委員 私先日も申し上げたように、いわばこれは一種の災いです。この災いを転じて福となすように努力しなければならぬ。そのためには、シビリアンコントロールというものが一体確立しておるのか、十分に確立されておらないとするならば今後どうしていくべきか、ここに焦点を置いて議論を進めてみたいと思っているのです。これは、わが党の立場から言うと非常に誤解をされる向きもあります。しかし、とにかく憲法違反の自衛隊として認めておらないのですけれども、現実に二十万をこえる実力部隊がここに現存しておる。現存しておる限りにおいては、やはりこれをコントロールすることについて国会議員としての一半の責任を持っておると思うのです。だから、その辺を割り切って、ぜひこの小委員会で実を結ばせたい、私は、そういうふうな気持ちを持っております。そのためには、大臣のおっしゃるような、シビリアンコントロールは確立しているのだ確立しているのだというので反省がないですよ。その中から何の進歩が出てまいりますか。だから、ここに欠けるところがあるのではないか、ここに欠陥があるのではないか、ここが不十分だったのではないかということを一つ一つここで洗いざらい明らかにしつつ、それを克服するためにはどうしていくべきか、こういうことを与党の諸君も真剣に考えてもらいたいと実は思っておるのです。そういう考えがないならば、小委員会をここに持った意義は私はないと思う。そこで、これからの長い時間、私は少なくともそういう立場から一つ一つ掘り下げてみたいと思っておるのです。いま一番シビリアンコントロールの最先端の役割りをになわされておる内局の諸君の問題についてお伺いしておるのですよ。ここから始まって、長官なり、あるいは閣議や国防会議なり、国会なり、こういうものがどうあらねばならぬかというところに議論を進めていきたいと思っておるのです。そういう意味でひとつお答えを願いたいと思うのです。  あなたがおっしゃっておることは矛盾をしています。いまでも十分に内局はチェックできるんだ、コントロールしておるんだとおっしゃることと、これから改めていかなければならぬということとは矛盾を来たしております。私は、コントロールする力を持っておらないのではないかという疑問があるのです。そうすると、理由は何だろう。先ほど言ったように、内局の人たちがユニホームの幕僚と堂々と肩を並べて議論するだけの識見、能力を持たないのではなかろうか、こういう疑問が一つ出てまいります。もしそうであるならば、これを克服するためにはどうしなければならぬかという問題が出てくるのですよ。それから、もう一つは、内局からこういう研究をやっておるところに常時出ていっていろいろ発言でもするということをユニホームの諸君が徹底的にきらう、そういうユニホームと文官との間の何かどす黒い対立というようなものがすでに芽ばえておるのではなかろうかという疑問が出てまいります。もしそれが事実だとするならば、それをどうして克服するか、こう発展させなければならぬ。私は、思いついたところを二つ述べたのです。これはあるのかないのか、ないとするならばほかにどういう要因があるのか、ここから始まらなければいけないのじゃないですか。私がいまお聞きをしております部分についてはどうなんですか、ないのですか。
  27. 小幡久男

    ○小幡政府委員 制服職員と内局職員とのどす黒い対立というようなものはないと考えております。現に、いろいろの部隊の研究等におきましても、大きな研究とか、あるいは学校の卒業式、いずれを見ましても、そのつど内部部局に出席を求めてきております。ただ、忙しくて出ない場合もございますし、そういった関係でこちらが行けない場合がありましても、向こうからは非常にきちょうめんに案内が来ておりますし、また、行けば喜んでいろいろな討議をやるというふうな雰囲気でございまして、もちろん、正しい意味の予算・制度に対する意見の対立はございますけれども、そういった以外にどす黒い対立というものはございません。
  28. 石橋政嗣

    石橋委員 いま官房長はちょっと忙しいからというようなことを言いましたが、これはちょいと使命感がなさ過ぎますね。単に忙しいからだろうかと、疑わざるを得ません。私が最初にあげたほうにちょっとウエートを置いてものを見なければならぬのじゃないかと、こういう気がし始めるのです。常時出かけていってユニホームの幕僚連中と堂々と意見を戦わす識見、能力というものに何か自信がないのじゃなかろうか、こういう疑問が今度先行してまいります。それを裏づけるかのごとく、巷間とかく言われておるのが出向制なんです。単に参事官たる局長の皆さん方だけでなく、課長においても部員においても、他局からの出向者が圧倒的に多い。その出向官吏が、帰巣本能といいますか、そういうものばかり先走って、ほんとうにじっくりと防衛問題に取り組む意欲を持たないのではないか、これも何度も言われているのです。ここに帰着してくるのですよ。もしそこに帰着するとするならば、それをどう克服していくかという問題に発展させなければならぬ。現在私が調べているところ、昨年の四月現在で、局長級三八%、課長級四六%、部員級二八%の出向官吏があるということを聞いております。この点、大体の数字をまずお示し願いたい。
  29. 小幡久男

    ○小幡政府委員 現在、参事官クラスで五名、書記官クラスで十二名、部員クラスで四十名、計五十七名が他省庁からの出向者であります。内局の職員は、事務官も含めまして定員は五百二十四名で、現在員は四百九十六名であります。
  30. 石橋政嗣

    石橋委員 参議院のほうから防衛庁長官を渡してくれという連絡がありましたから、きょうもまた中途はんぱで終わらざるを得ません、まことに残念です。しかし、とにかく私はいま言ったような立場一つ一つこれから掘り下げた議論をしていきたいと思っております。皆さん方もそういう立場でまともな答え方をしていただきたいし、与党の皆さんも、一人しか出てこないというような不勉強ではなくて、(「二人おる」と呼ぶ者あり)やはりこの小委員会を設けた意義というものをほんとうに考えていただきたい。この姿がやはりシビリアンコントロールというものを形骸化しておる象徴だと私は思うのです。無関心なんですよ。こういうことじゃいけないと思います。しかし、これは一番あとでやるのです。一番最初に、先ほど申し上げたように、最先端の任務を課せられておる内局、そこから始めているのです。とにかく、防衛庁の内局の皆さん方、使命感に燃えて一生懸命仕事をしておられる方がいることも知っております。しかし、大勢として、ユニホームの諸君に、何といいますか、内心軽い扱いをされるというふうな、あるいは軽い扱いをされてもやむを得ないような、そういう弱みを持っておる向きも私はあると思う。いま言った出向制度の問題、それだけが私はすべてではないと思います。防衛庁は他の官庁に比べて人材が集まらない、そういう問題もありましょう。しかし、これは、これからの質疑の中で一つ一つお尋ねをしていきたいと思いますし、皆さん方とともに探っていきたいと思うわけです。これはもう約束ですから、私もしようがありません。あらためて質問を継続することを申し上げて、きょうのところは終わりたいと思います。
  31. 小泉純也

    小泉国務大臣 ただいまの石橋委員の、問題の所在を明らかにしてそれを克服改善をしていかなければならないというきわめて建設的な御意見に対しましては、私も敬服するものでございまして、また感謝もいたしております。そうでなければならない。私どもも十分の反省を持っております。ことに、いま内局と制服との関係のあり方の点について突っ込んだ御意見がございましたが、御意見のとおり、他の役所と違いまして、防衛庁は、創設日浅いというような関係もありましてか、出向者も多いし、そういう人事の面等におきましても、私は率直に申し上げまするが、完全無欠であるとは私自身考えておりません。今後十分に改善をしていかなければならない。そうしてまた、内局と制服との間も、もちろんどす黒い対立等はございませんけれども、これも、今後さらに、石橋委員が御心配をいただいております点もわれわれ十分反省をいたしまして、内局と制服諸君の間の緊密な連絡をはかっていかなければならないという必要を痛感をいたしておる次第であります。
  32. 松野頼三

    松野委員長 防衛庁長官に対し参議院の予算委員会から出席の要求がございますので、小委員会はこれをもって散会いたします。    午前十一時二十六分散会