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石橋小
委員 それほど慎重を期さなければならない重要な問題なんです。総理
大臣がみずから当時者となり、閣議にかけて決定をし、しかも国会に報告をして了承してもらう、これだけ厳重な手続をとろうという制度なんです。しかも、その前提の中には、
日本が
紛争に自動的に巻き込まれるようなことを絶対に避けたいというその気持ちが正しければ、なるべくチェックしようという思想が裏づけとしてなくちゃならぬはずです。これほど高度に政治性を持った、国民の生命、財産、国の安全に重大な影響をもたらす問題について、一
幕僚が、かりに私見であろうとも事もなげに
包括承認を平然と打ち出すような態度が許されてよいのかということなんです。しかも、どの条項を読んでみましても、この点については
包括承認という思想が一貫している。あたりまえのことだ、論議の余地はないのだと言わんばかりに各所に出てきているのです。そんなことをしておったのではもう時期を失してしまう、これが一番大きな原因であろうと思う、理事的な
立場で見たときに。だから、事前に全部承認していつでも自由にお使いください、出撃してください、こういう
考え方を
幕僚の
人たちはみんな持っているようです。なぜこれをコントロールできないのですか。これが第二の問題です。
時間の
関係がありますから、もう
一つ二つ聞いておきたいと思いますが、さらに、日米共同
作戦の問題が出てきております。これは
No12、別紙第1、用兵の基本に関する事項、「
防衛出動を下令された部隊は、日米安全保障条約第五条の適用を受けない事態においても、わが国
防衛上必要と
認めた場合は、前号による日米共同
作戦を実施することができる。」、そしてこれの解説的な部分として、
No12の
答解説明資料の中に、「この要綱においては、防御出動を下令された部隊は、安全保障条約第五条の適用をうけない事態においても、
防衛上必要な場合は日米共同
作戦を実施することができると定めたが、これに対しては次の
考え方がある。イ、
安保条約第五条が発動されなければ実施できない。ロ、
防衛出動待機下令から実施してもよい。ハ、
防衛出動待機下令前において実施してもよい。」、そうして最後に、「イ項は条約の解釈等からすれば正論であろうが、あまりに融通性のないものというべきであろう。従って、日米共同の基本線に則り要綱のように決した。」、いいですか、条約の解釈等からすれば
安保条約第五条が発動されて初めて日米共同
作戦というものが実施されるのが筋だと
認めているのですよ。
認めておいて直ちに否定している。こんな
考えは融通性がない、だから要綱のようにきめた、何ですかこの態度は。正当な解釈をちゃんと知っておりながら、それでは融通性がない、こういう全く法令無視、条約無視の態度をすら打ち出しております。こんなのが一体表現がまずいとか
ことばが足りなかったとかいう範疇に属するのですか。これから私もまだやりますし、他の議員さんもみんなやられますから、事例はたくさんございますが、きょうはこれ以上列挙することは控えますけれ
ども、この
一つ一つを検討していった場合に、決して
ことばが足りなかったとか表現がまずかったとかいうような問題じゃないのです。先日も申し上げたように、公然たる
政府の基本政策に対する挑戦と思われる節もあるし、あるいはまた、法令を無視しているということをもちゃんとわきまえながら、非常事態において一々そんな法令にかまっておられるかという思想も入っているのです。事は非常に重大だと思います。こういうものをあなた方が弁護し擁護する
立場をとられたならば、これはたいへんな問題になりますよと何回も申し上げているのです。
そこで、少し具体的にお尋ねをしてみたいのですけれ
ども、このような高度に政治性を持った
研究がなされておる。しかも、これらの資料によりますと、当然新たな立法措置を講じなければならない部分、他の省庁との連絡、合意をはからなくちゃならぬ部分、全部出てきております。そういう
研究をする場合に、内局はいかなる任務を果たしているのかという疑問です。シビリアンコントロールの中心としての任務を課せられておる内局の
諸君はこういう
研究をしているときに一体何をしているのかという疑問が出てくるのです。いままでのお答えによりますと、何人かの内局の課長以下部員が何回か出席をしましたというお答えです。そんなことで許されるのか。少なくとも統幕議長から
長官に対して
研究の報告があり、了承を求めてスタートした以上、内容についても内局が知らないはずはありません。しかも、ときどきであろうと顔を出していることは間違いない。私があげたような重大な問題だけでも、議論されておる
段階においてこれをチェックする
能力も権限も内局にはないのでありますか。そしてまた、なぜ常時出席できないのでありますか。私はここからお伺いをしたいのです。これは、このような
幕僚の
諸君と肩を並べて議論するだけの
能力がないという問題なのですか、それとも、何か内局から出かけていって常時顔を出していると気まずくなるような、ユニホームとの間に何ものかがあるというのですか。こういったところをここで十分に
考えて今後の道を見出していかなければ私はたいへんだと思いますからお伺いしますが、この点、
大臣はどういうふうに把握しておられるのですか。