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西村(関)
分科員 これはひとつあらためて、きょうは
条約局長もお見えになっておりませんし、
外務委員会でこの点はお
伺いをいたしたいと思いますが、私の与えられております時間がもうございませんから、最後に結論として
大臣にお
伺いをしておきたいと思います。先ほど来いろいろ伺っておりますように、
日本政府が
ベトナム共和国に対して経済的な医療的な
援助を行なうということにつきましてもいろいろ問題がある、また、
南ベトナムに対してだけ
賠償金を払うということ
自体にも問題があるということで、われわれは
反対をしてまいったのでございますが、さらに、その
賠償金の支払いが終わるか終わらないうちにまたこういう
経済援助を行なうということは、一方の北の
ベトナム民主共和国を刺激する、そしてまた、問題を
あとに残すということになると思うのであります。
戦争終結への道に通じない問題が多分に含まれておると思うのでございますが、こういう点に対しまして、先ほど来
大臣は、
ゲリラ戦に困っているところの
人民に対して
救援の手を差し伸べるのは当然の義務だという
考えのもとに御答弁がありましたが、将来、先ほど私が申し上げましたように、困難ではありましょうけれども、全
南ベトナムの
人民に対して、あるいは
国際赤十字社の手を通じて
救援の手を差し伸べるとか、あるいはまた、外交
関係はございませんけれども、北の
ベトナム民主共和国に対しても何らかの交流を行なうとか、そういう事柄を通じて、今日の非常に苛烈をきわめておりますところの
ベトナム戦争の終結に対して
日本政府は創意くふうをはらっていく、前向きの
姿勢で解決に努力していくという
考え方を持っていただきたいと思うのでございます。また、
ベトナムだけではなくて、カンボジアにおきましても、
ラオスにおきましても、いろいろな問題がございます。カンボジアにおきましても、医療センター、農業センター、畜産センター等が
日本の
援助によってなされておる。私もそのうちの医療センターと農業センターを見てまいりました。ああいう僻地で、
日本の技術者の方、
医者、
看護婦の方々が非常に苦労をしてよき奉仕をしておられるという
状態を見てまいりました。特に、カンボジアのごときは中立主義をとっている国でございますから、こういう国に対して
援助を行なうということは問題は何もないと思う。
ラオスに対しましては、
日本の商業べースによっていろいろな事業が行なわれておる。ビエンチャンの水道事業などもいい仕事をしているということも私は見てまいったのであります。そういうようなことで、
日本がいろいろな形で
東南アジアの諸国に対して、インドシナの諸国に対してそういう
援助の手を差し伸べる、あるいは相互協力の手を差し伸べていくということは、私は願わしいと思うのでございます。いまプノンペンにおきまして、インドシナ全体の平和を来たらせるための
人民会議が開かれておる、これも
一つの注目すべき動きであると思うのでございます。こういうインドシナ諸国におけるいろいろな動きの中にあって、
日本政府は独自の
立場に立って、特にアジアの中の
日本としてどういう協力の手を差し伸べていくか、どういう平和への協力をしていくか。ただ
アメリカの言い分だけをそのまま、日米安保
条約の同盟国の相手国として
アメリカを信頼していくのだということだけでなしに、何とかこの非常に悲惨なインドシナ
戦争を一日も早く終結せしめるために、
ジュネーブ協定の条項が守られて一日も早く平和が到来することのために、北のハノイのホー・チミン政権に対しても——あるいは、サイゴンの政権は、いま御
承知のとおりあのようなそれこそ不安定きわまるところの
状態に立ち至っておる。軍
人たちは権力の争奪に日も夜も足りないという
状態で、民心は極度に不安におちいっておる。こういう
状態の中で、
日本は
アメリカに対しても、一日も早く軍事的な行動をやめて、話し合いの中で平和的に
ベトナムの
戦争を終結せしめる手を打つべきであるというくらいのことを言っていいんじゃないかと思う。
戦争によっては、武力によっては絶対にこのインドシナの問題は解決しない、
ベトナムの
戦争は終結しない、これはだれもがそう
考えておるのです。私はサイゴンにおきまして
ベトナム・プレスという新聞社に編集局次長に会いましたが、もう十年も
アメリカが
援助をしてどんどんベトコンをたたけばベトコンはまいるかもしれぬけれども、十年はおろか一日たりとも同胞同士血を流し合うことは私は耐えられぬと言っておりました。
南ベトナムにおける全部の
人たちがもう
戦争は一日も早くやめたいという気持ちになっているときに、
アメリカが武力でもってこれを解決しようというようなことは、問題をいよいよ大きくするだけであって、終結への道をいよいよ遠くせしめるだけで、決して本来の解決の道にはならぬと思うのであります。そういう点に対しまして、
日本政府としては、
アメリカに対しても、また北のハノイのホー・チミン政権に対しても、アジアの平和のために独自の
立場に立ってものを言うという毅然たるかまえ、しかもそれは国連という場があるのでございまして、ウ・タント事務総長も、国連の所掌事項ではないけれども
関係諸国の国際会議を開いて一日も早く事態を収拾すべきであるということを言っているときでありますから、そういう点に対しても
日本政府はもっと目を開いて、もっと真剣なかまえで、私は必ずしも
外務大臣が不真剣だとは言いませんけれども、もう少し前向きの
姿勢で問題の解決に当たっていただきたいと思うのです。最後に
大臣の御所信を承りまして、私の
質問を終わります。