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加藤(進)
分科員 そうすると、いま最初に言われたのでは、図上演習、図上
計画とは言うけれ
ども、実兵を指導するに必要な予備的な演習の場合がある、こういうことをおっしゃいましたね。それは事実ですね。——そういうあなたの御
答弁に基づいて、この三矢作戦なるものは決して机上だけに終わるいわゆる夢物語ではない、こういうことを私はあえて
指摘したいと思うのです。図上作戦とか図上
計画というものは、必ず一定の目的があって作成される。これは、いまあなたのおっしゃたように、あるいは勉強のためとか等々ありますけれ
ども、一定の目的に基づいて作成される、そういうのが図上作戦の私は任務だと思います。さらに、そればかりではないのです。それに基づいて実施演習を行ない、実戦に備えるということが、実兵を指導するということの意味でしょう。そこにこの三矢作戦を含めて図上作戦の目的がある、これはもう一般の軍事常識です。こんなことはあなたにくどくどとお聞きしなくても、これは一般常識です。私はそこで聞きたい。もし単にこれが一つの図上作戦である、そういう限りのものである、こういうふうに言われるならば、なぜ一体
政府がこれを高度の秘密文書である——これは佐藤さんがちゃんとおっしゃいましたよ。高度の秘密文書である、またそれが外部に漏洩したことが重大問題だ、こう言っておられる。さらにその上に、こういうことが漏洩するような状態では困るから、機密保護法までつくろうという動きがあったじゃないですか。そして、
防衛庁の内部には、その機密保全のための機密保全委員会を設けるということがきまったじゃありませんか。その発端はどこにあります。単なる机上作戦だと言われる。準備的な演習である、こう言っておられる。しかし、事柄はそれにとどまらないということです。これは重大な高度の機密を要する問題である。
防衛庁の内部でも、それに対する機密保全に十全の配慮を払わなければならぬということをはっきりと言われておるじゃありませんか。まだあります。なぜ
政府は、進んでこのような資料を
国民の前に、
国会の前にみずから出されなかったのですか。そういうことから、三矢作戦なるものには重大な目的が想定され、それに基づいて作成されたということを、私たちは
判断せざるを得ないのです。
現に、この三矢作戦の前文には、そういう目的として書かれておる項目があります。それには、次
年度以降の統合及び各
自衛隊の
年度防衛及び警備の
計画作成に資する。と書いてあるのです。
計画を作成するためにこれを使うということです。第二には、米軍及び国家
施設に対する要請を明らかにして、何々をしてもらいたいという要請を明らかにして、防衛のための諸措置の具体化を
推進する資料とする。と書いてあります。具体化を
推進するのですよ。そういうための資料だ。こういうことが明確に書いてある。そうですね。そのことは、あなたたちがいかにそうでないと言われても、それはもうはっきりしている。
私は次に移ります。この図上作戦は、現実にすでに実行に移されつつある。第一に、日本の
海上自衛隊が対馬海峡を中心に置いて、アメリカ、韓国、日本の合同演習を行なっております。さらに佐世保から沖之島に向けて演習が行なわれておる。岩手演習なるものもやられております。名古屋から進発して静岡海岸に向かった上陸作戦演習が行なわれておる。またF105D水爆搭載機が板付から東京に移された。これにも明らかに軍事的な
内容が含まれていると同時に、この前線援護のためのF101、F104戦闘機を急遽九州に移したという事実があります。また同時に、対空ミサイル、ナイキ部隊をも九州に配置しました。特に私はここに
指摘しておかなければならない重要なことは、
先ほどの対馬海峡における合同演習です。これは、第二の朝鮮戦争が想定されておりますよ。日本の
自衛隊が米・韓国軍と共同して演習したものである。また佐世保から沖之島への演習は、これまた朝鮮戦争を想定して敵前上陸作戦じゃないですか。さらに、いわゆる岩手作戦というものは、明らかに仮想戦場を朝鮮にちゃんと想定しておりますよ。もうこういうことは私はここで追及しない。すでに
国会その他ではっきりとその事実は明らかにされておる。だから、私があえてここで言いたいのは、こういうことが、すなわち、三矢作戦は単なる想定ではなしに、これによって具体的にすでに各種の演習、各種の行動が行なわれているということの明らかな証拠じゃないか。こういう各種の朝鮮を仮想戦場と想定するような演習が三矢作戦と
関係が全くない、こういうことをあえてあなたたちはおっしゃったのかどうか、お聞きしたい。