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1965-02-22 第48回国会 衆議院 予算委員会第二分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科会昭和四十年二月十九日(金曜日)委員会 において設置することに決した。 二月二十日  本分科員委員長指名で次の通り選任され  た。       江崎 真澄君    大平 正芳君       小坂善太郎君    登坂重次郎君       中野 四郎君    西村 直己君       石田 宥全君    岡田 春夫君       横路 節雄君    永末 英一君       加藤  進君 同日  中野四郎君が委員長指名主査選任され  た。 ————————————————————— 昭和四十年二月二十二日(月曜日)    午前十時十四分開議  出席分科員    主査 中野 四郎君       江崎 真澄君    登坂重次郎君       西村 直己君    横路 節雄君       加藤  進君    兼務 加藤 清二君 兼務 川俣 清音君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 田中 角榮君         国 務 大 臣 小泉 純也君  出席政府委員         外務政務次官  永田 亮一君         大蔵政務次官  鍛冶 良作君         大蔵事務官         (国有財産局         長)      江守堅太郎君         農林事務官         (農地局長)  丹羽雅次郎君  分科員外出席者         大蔵事務官         (国有財産局国         有財産第二課         長)      村田  博君         農林技官         (林野庁業務部         長)      若林 正武君         会計検査院事務         総長      上村 照昌君         会計検査院事務         官         (第四局長)  小沢 定司君     ————————————— 二月二十二日  分科員永末英一委員辞任につき、その補欠と  して山下榮二君が委員長指名分科員選任  された。 同日  分科員山下榮二委員辞任につき、その補欠と  して永末英一君が委員長指名分科員選任  された。 同日  第三分科員加藤清二君及び第四分科員川俣清音  君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十年度一般会計予算会計検査院防衛  庁、外務省及び大蔵省所管  昭和四十年度特別会計予算大蔵省所管  昭和四十年度政府関係機関予算大蔵省所管      ————◇—————
  2. 中野四郎

    中野主査 これより予算委員会第二分科会を開会いたします。  私が本分科会主査をつとめることになりましたので、よろしく御協力をお願い申し上げます。  本分科会は、会計検査院防衛庁大蔵省及び外務省所管につきまして審査を行なうことになっております。審査の順序は、お手元に配付いたしました日程により進めたいと存じますので、あらかじめ御了承をお願いいたします。  それでは昭和四十年度一般会計予算中、会計検査院防衛庁大蔵省及び外務省所管昭和四十年度特別会計予算中、大蔵省所管昭和四十年度政府関係機関予算中、大蔵省関係を議題とし、順次関係当局より説明を求めます。  大蔵省所管説明を求めます。田中大蔵大臣
  3. 田中角榮

    田中国務大臣 ただいまから昭和四十年度一般会計歳入予算並びに大蔵省所管一般会計歳出予算、各特別会計歳入歳出予算及び各政府関係機関収入支出予算について、御説明いたします。  まず、一般会計歳入予算額は三兆六千五百八十億八千万円でありまして、これを前年度予算額三兆三千四百四億九千八百万円に比較いたしますと、三千百七十五億八千二百万円の増加となっております。  以下、歳入予算額のうち、おもな事項について内容を御説明いたします。  第一に、租税及印紙収入総額は三兆二千八百七十七億九百万円でありまして、前年度予算額に比較いたしますと、三千百八十三億八千六百万円の増加となっております。  この予算額は、現行の税法によって見積もった場合の租税及び印紙収入見込み額三兆三千六百八十九億九千四百万円から、今次の税制改正に伴う所得税法人税等一般的減税による減収見込み額九百八十八億七千九百万円を差し引き、これに租税特別措置合理化等による増収見込み額百六十四億九千百万円及び石油ガス税の創設による増収見込み額三億九千四百万円並びに関税率改定による増収見込み額七億九百万円を加算したものであります。  次に、各税目別におもなものを申し上げますと、まず、所得税につきましては、今次の税制改正に伴う基礎控除配偶者控除扶養控除給与所得控除専従者控除及び医療費控除引き上げによる減収額八百二億三千八百万円、利子所得配当所得に対する課税特例合理化等による増収額二百三十一億二千八百万円、差し引き減収額五百七十一億千万円を見込み、九千八百九十一億三千四百万円を計上いたしました。  法人税につきましては、今次の税制改正に伴う法人税率の引き下げ、同族会社留保所得課税軽減等による減収額二百七十四億五千三百万円を見込み、一兆三百五十七億二千百万円を計上いたしました。相続税につきましては、今次の税制改正に伴う生命保険金非課税限度引き上げによる減収額一億八千四百万円を見込み、四百九億五千六百万円を計上いたしました。物品税につきましては、今次の税制改正に伴う小型乗用自動車等物品暫定軽減措置の縮小による増収額二十五億二千四百万円を見込み、千六百三十九億四千九百万円を計上いたしました。石油ガス税につきましては、今次の税制改正に伴い、自動車燃料用として消費される石油ガスについて、昭和四十一年一月分から新たに課税することによる四十年度収入見込み額七億八千八百万円のうち、二分の一相当額の三億九千四百万円を一般会計分として計上いたしました。関税につきましては、今次の関税率改定による増収額七億九百万円を見込み、二千四百八十七億二千八百万円を計上いたしました。  以上、申し述べました税目のほか、酒税三千八百八十九億五千九百万円、砂糖消費税二百七十八億七千六百万円、揮発油税二千六百七十九億二千二百万円、及びその他の各税目並びに印紙収入を加え、租税及び印紙収入合計額は、三兆二千八百七十七億九百万円となっております。  第二に、専売納付金は千六百五十五億千九百万円でありまして、前年度予算額に比較いたしますと六十七億二千百万円の増加となっております。これは、日本専売公社納付金において六十二億円、アルコール専売事業特別会計納付金において五億二千百万円、それぞれ増加することによるものであります。  第三に、官業益金及び官業収入は百六十九億九千七百万円で、前年度予算額に比較いたしますと、十六億二千万円の増加となっております。これは、病院収入等において十六億二千万円増加することによるものであります。  第四に、政府資産整理収入は二百三十八億二千万円で、前年度予算額に比較いたしますと、十八億四千四百万円の減少となっております。この収入のうち、おもなものは、国有財産売払収入百二十七億三千七百万円、有償管理換収入十二億九千百万円、地方債証券償還収入九十一億四千五百万円等であります。  第五に、雑収入は九百四十三億六千九百万円で、前年度予算額に比較いたしますと、九億千四百万円の減少となっております。この収入のうち、おもなものは、日本銀行納付金三百五十億九千四百万円、日本中央競馬会納付金六十一億百万円、特別会計受入金五十七億三千三百万円、懲罰及没収金百七十六億千六百万円等であります。  最後に、前年度剰余金受け入れにおきましては、昭和三十八年度決算によって同年度に新たに生じた純剰余金六百九十六億六千四百万円を計上いたした次第であります。  次に、当省所管一般会計歳出予算額は、二千八十八億九千四百万円でありまして、これを前年度予算額二千五百九億八千二百万円に比較いたしますと、四百二十億八千八百万円の減少となっております。これは、政府出資金において二十五億九千九百万円、海運業再建整備日本開発銀行交付金において二十四億六千六百万円、予備費において二百億円を増加いたしましたが、地方国債費において二百三十四億五千四百万円、産業投資特別会計へ繰り入れにおいて四百四十七億円、特殊対外債務処理費において四十七億六百万円の減少を見たこと等によるものであります。  この歳出予算額を、まず組織ごとに分けますと、大蔵本省千四百六十二億四百万円、財務局五十六億八千九百万円、税関五十九億九千七百万円、国税庁五百十億百万円となっております。  以下、この歳出予算額のうち、おもな事項について内容を御説明いたします。  まず、国債費につきましては、二百二十億四千八百万円を計上いたしておりますが、この経費は、一般会計負担に属する国債償還国債利子及び大蔵省証券発行割引料支払い並びにこれらの事務取り扱いに必要な経費でありまして、国債整理基金特別会計へ繰り入れるものであります。なお、財政法第六条に基づく決算上の剰余金のうち、国債または借り入れ金償還財源に充てる部分の金額については、特例を設け、三十八年度決算上の剰余金の五分の一に相当する百三十億八百万円を繰り入れることとし、このため別途財政法の一部を改正する法律案を提出いたしております。  公務員宿舎施設費につきましては、六十四億二千四百万円を計上いたしておりますが、この経費は、国家公務員に貸与する宿舎の設置及び借り上げのため必要な経費でありまして、公務員宿舎充足がなお不十分である現況にかんがみ、前年度に比し十一億八千四百万円を増加し、その充足をはかろうとするものであります。  政府出資金につきましては、国民金融公庫等機関に対し、一般会計から出資するために必要な経費として、百六十三億六千万円を計上いたしておりますが、そのおもなものは、国民金融公庫二十億円、農林漁業金融公庫八億円、中小企業信用保険公庫六十億円、医療金融公庫五億円等であります。  海運業再建整備日本開発銀行交付金につきましては、八十八億六千六百万円を計上いたしておりますが、この経費は、海運業再建整備に関する臨時措置法に基づき、日本開発銀行が、整備計画を実施中の会社に対し、外航船舶建造融資にかかる利子支払いを猶予することに伴い、その猶予利子相当額日本開発銀行に交付するものであります。  特殊対外債務処理費につきましては、二百九億千二百万円を計上いたしておりますが、その内訳は、賠償等特殊債務処理特別会計法第一条に規定する賠償等特殊債務処理に充てるための財源を、同会計へ繰り入れるために必要な経費百六十七億円及び日本国ビルマ連邦との間の経済及び技術協力に関する協定に基づいて負担する特殊な債務処理に必要な経費四十二億千二百万円となっております。  産業投資特別会計へ繰入れにつきましては、百二十五億円を計上いたしておりますが、この経費は、産業投資特別会計において行なう産業投資支出財源に充てるため、一般会計から同特別会計へ繰り入れるものであります。  予備費につきましては、予見しがたい予算の不足に充てるため、五百億円を計上いたしております。  以上が、大蔵本省に計上された歳出予算額のおもなものでありますが、財務局税関及び国税庁につきましては、その歳出予算額の大部分は、これらの機関人件費その他事務処理に必要な経費であります。  次に、当省所管特別会計としては、造幣局特別会計をはじめ十一の特別会計がありますが、そのうちのおもな会計につきまして、その概略を御説明いたします。  まず、造幣局特別会計におきましては、歳入歳出とも九十二億六千四百万円でありまして、前年度予算額に比し、いずれも一億六千四百万円の増加となっております。歳出増加のおもな理由は、補助貨幣製造経費施設整備費増加等によるものであります。  印刷局特別会計におきましては、歳入百四十八億八千三百万円、歳出百四十一億五千五百万円、差し引き七億二千七百万円の歳入超過であります。歳出におきましては、前年度予算額に比し、十二億七千万円の増加となっておりますが、これは、主として日本銀行券製造経費及び工場施設等整備経費増加によるものであります。  資金運用部特別会計におきましては、歳入歳出とも二千九百十八億二千九百万円でありまして、前年度予算額に比し、いずれも五百四十億六百万円の増加となっておりますが、これは主として歳入においては、資金運用に伴う利子収入歳出においては、預託金に対する支払い利子がそれぞれ増加することによるものであります。  国債整理基金特別会計におきましては、歳入歳出とも四千八百五十八億八千九百万円でありまして、前年度予算額に比し、いずれも二百三十二億五百万円の増加となっております。これは、国債償還に必要な経費においては減少いたしましたが、短期証券償還及び借り入れ金返償に必要な経費において増加を見たこと等によるものであります。  産業投資特別会計におきましては、歳入歳出とも九百九十一億四千百万円でありまして、前年度予算額に比し、いずれも百五十四億千百万円の減少となっております。  この会計投資計画のうち、出資金につきましては、住宅金融公庫ほか十一機関に対し総額五百五十七億円の出資を行なうこととし、その出資財源に充てるため一般会計から百二十五億円、この会計に設置されている資金から三百九十八億円を受け入れることといたしております。また、貸し付け金につきましては、本年度六千五百万ドルの外貨債を発行することとし、その手取り金二百二十一億円をもって、日本道路公団及び首都高速道路公団への貸し付けを行なうことといたしております。  以上申し述べました各特別会計のほか、貴金属、外国為替資金経済援助資金余剰農産物資金融通賠償等特殊債務処理及び国有財産特殊整理資金の各特別会計につきましては、お手元予算関係書類によりましてごらんいただきたいと存じます。  最後に、当省関係の各政府関係機関収入支出予算につきまして、簡単に御説明いたします。  まず、日本専売公社におきましては、収入五千四十七億千百万円、支出三千八百三十八億七千五百万円、差し引き千二百八億三千六百万円の収入超過であり、専売納付金は千六百四十二億八千三百万円を見込んでおります。これを前年度予算額に比較いたしますと、収入は四百六十三億四千三百万円、支出は五百七十八億四千百万円の増加であり、専売納付金は、六十二億円の増加を見込んでおります。  なお、専売公社事業のうち、たばこ事業につきましては、本年度製造たばこ国内販売数量は、前年度に比し百十八億本を増加し、千七百七十二億本を見込んでおります。  次に、国民金融公庫住宅金融公庫農林漁業金融公庫中小企業金融公庫北海道東北開発公庫公営企業金融公庫中小企業信用保険公庫医療金融公庫日本開発銀行及び日本輸出入銀行の各機関につきましては、収入支出予算は、主として、これら機関事業の運営に伴う貸し付け金利息収入並びに借り入れ金支払い利息及びこれらに必要な事務費等を計上したものでありますが、前年度に比し、各機関とも事業量増加見込みましたことに伴い、収入支出とも増加いたしております。  これら各機関収入支出予算額及び前年度予算額に対する増減等につきましては、お手元予算関係書類によりまして、ごらんいただきたいと存じます。  以上をもちまして、大蔵省関係予算概略につきまして説明を終わります。     —————————————
  4. 中野四郎

    中野主査 次に、防衛庁予算について説明を求めます。小泉防衛庁長官
  5. 小泉純也

    小泉国務大臣 昭和四十年度防衛庁予算につきまして、その概要を御説明いたします。  まず組織防衛本庁について申し上げます。  一、昭和四十年度防衛本庁歳出予算総額は、二千八百五十二億六千九百九十六万九千円でありまして、これを昭和三十九年度歳出予算額二千六百六十九億五千四百八十八万七千円に比べますと、百八十三億千五百八万二千円の増加となっております。  このほか、国庫債務負担行為として、航空機購入について二百三十二億二千四百四十一万四千円、器材の整備について二百七十六億九千五百八十二万三千円、弾薬購入について三十六億二百六十八万五千円、施設整備について四億九千九百七十三万二千円、艦船建造について十九億五千六十九万六千円、計五百六十九億七千三百三十五万円を計上し、さらに継続費として、昭和三十八年度甲型警備艦建造費について三億九千二十二万八千円、昭和三十八年度甲II型警備艦建造費について五億五百七十二万一千円、昭和三十九年度甲型警備艦建造費について四億千六百九十五万八千円、昭和三十九年度甲II型警備艦建造費について二十一億四百三十八万千円、計三十四億千七百二十八万八千円の追加額を計上するとともに、新らたに昭和四十年度甲型警備艦建造費について三十九億四千六百四十四万千円、昭和四十年度甲II型警備艦建造費について六十六億六千十二万八千円、昭和四十年度潜水艦建造費について三十九億三千六百八十五万三千円、計百四十五億四千三百四十二万二千円の継続費を計上いたしております。  また、職員定数につきましては、防衛本庁昭和四十年度職員定数自衛官二十四万七千五百九十二人、自衛官以外の職員二万七千八十四人、計二十七万四千六百七十六人でありまして、これを昭和三十九年度職員定数に比べますと、自衛官において千四百九十八人、自衛官以外の職員において五十五人、計千五百五十三人の増加となっております。  二、次に、防衛本庁予算案内容について申し上げます。  基本方針といたしましては、昭和四十年度は、第二次防衛力整備計画の第四年目として計画に示された整備内容を基準としつつ、内容充実合理化防衛基盤の育成、後方支援強化等施策を着実に推進することにより、実質的な防衛力整備向上をはかることを主眼とし、特に次の諸点に重点を置いております。  すなわち、(一)、まず、国防意識の高揚をはかり、自衛隊に対する国民一般の理解を深めるとともに、隊員の士気を高揚し、かつ、自衛官充足対策強化をはかるため、広報活動強化募集体制強化拡充老朽隊舎の改築、宿舎の増設、その他隊員の処遇及び生活環境改善整備を強力に推進することとしております。  (二)、次に、第二次防衛力整備計画の線に沿って、自衛隊装備充実近代化を促進することとし、陸上部隊装備充実艦船建造推進F104J三十機の追加生産を含む航空機増強弾薬の確保、ナイキ、ホーク関係部隊整備バッジ建設推進等に必要な経費を計上するとともに一部の装備品について米国から供与される無償援助が期待できなくなったことに伴ない、所要の予算措置を講ずることとしております。  (三)、また、基地問題を円滑に処理するため、前年度に引き続き、騒音防止対策推進するとともに、基地周辺道路整備用地買収及び家屋移転等の民生安定諸施策充実強化をはかることといたしております。  (四)、このほか、研究開発につきましても重点事項の一つとして大幅にその推進をはかることとしております。  三、以下機関別内容を申し上げます。  (一)、陸上自衛隊につきましては、歳出予算におきまして千二百七十六億九千五十万七千円、国庫債務負担行為におきまして八十億九千六百三十四万五千円となっております。  その主要な内容について申し上げますと、ホークの導入に伴う関係部隊の改編を行なうほか、隊舎等施設整備部隊装備品充実更新ヘリコプター購入による機動力増強等により防衛力内容充実を一段と推進することとしております。  職員定数につきましては、昭和四十年度増員はなく、前年度同様自衛官十七万千五百人、自衛官以外の職員一万三千六百三十人、計十八万五千百三十人でありますが予備自衛官につきましては、三千人の増員を予定しておりますので、予備自衛官の総数は二万七千人となります。  次に、航空機につきましては、昭和四十年度において新たに小型ヘリコプター七機、中型ヘリコプター十機、大型ヘリコプター六機の購入を予定しておりますので、これにより陸上自衛隊昭和四十年度末における保有機数は二百八十九機となる見込みであります。  (二)、海上自衛隊につきましては、歳出予算におきまして六百八十一億八千三百一万五千円、国庫債務負担行為におきまして百十二億九千九百十三万五千円、継続費におきましては冒頭に申し上げたとおりであります。  その主要な内容について申し上げますと、まず、職員定数につきましては、昭和四十年度において艦艇及び航空機新規就役等に伴いまして、自衛官五百九十八人、自衛官以外の職員五十五人、計六百五十三人を増員することとし、これにより職員定数は、自衛官三万五千五百六十一人、自衛官以外の職員五千三十五人、計四万五百九十六人となります。  次に、艦船につきましては、新たに甲型警備艦二千トン型一隻、三千トン型一隻、潜水艦千六百トン型一隻、掃海艇三隻、特務艇高速型一隻、支援船十隻、総計十七隻、八千六百四十七トンの建造を予定しております。これにより、昭和四十年度末の保有艦艇は、五百十七隻、約十六万四千二百トンとなる見込みであります。  また航空機につきましては、昭和四十年度において新たに対潜ヘリコプター四機、双発練習機六機、練習用ヘリコプター二機及び輸送機一機の購入を予定しており、これにより海上自衛隊昭和四十年度末の保有機数は二百四十九機となる見込みであります。  日、航空自衛隊につきましては、歳出予算におきまして八百十六億六千百三十七万千円、国庫債務負担行為におきまして三百二十六億七千九百二十六万九千円となっております。  その主要な内容について申し上げますと、第七航空団を改編してF104戦闘機部隊として展開し、また第二高射群を新編する等に伴い、自衛官九百人を増員することとし、これにより職員定数は、自衛官四万四百五十三人、自衛官以外の職員五千三百五十六人、計四万五千八百九人となります。  また、航空機につきましては、F104J戦闘機減耗補充分として三十機の追加生産を行なうこととしているほか、救難用ヘリコプター三機の購入を予定しておりますので、これにより航空自衛隊昭和四十年度保有機数は千百四十二機となる見込みであります。  (四)、内部部局統合幕僚会議及び附属機関につきましては、歳出予算におきまして七十七億三千五百七万六千円、国庫債務負担行為におきまして四十八億九千八百六十万千円となっており、職員定数におきましては、昭和四十五年度増員はなく、前年度同様自衛官七十八人、自衛官以外の職員三千六十三人、計三千百四十一人となっております。  次に組織防衛施設庁について申し上げます。  四、昭和四十年度防衛施設庁歳出予算総額は百六十一億一千六百八十三万三千円で、これを昭和三十九年度歳出予算額百三十七億九千五百四十九万九千円に比べますと、二十三億二千百三十三万四千円の増加となっております。  また、職員定数につきましては、防衛施設庁昭和四十年度職員定数は三千三百八十七人でありまして、これを昭和三十九年度職員定数に比べますと七十人の減少となっております。  五、次に防衛施設庁予算案内容について申し上げます。  昭和四十年度予算案重点といたしましては、  (一)、まず、基地安定的使用を確保するため、前年度に引き続き、騒音対策強化並びに危険防止対策推進等基地対策的経費充実をはかるよう配慮いたしております。  (二)、次に、駐留軍要員の適正な維持、管理をはかるため、離職対策強化健康保険組合財政健全化等措置を講ずることとしております。  六、以下各項ごと内容を申し上げます。  (一)、施設提供等諸費につきましては、基地対策的経費の百億七百三十二万七千円を含めて百十七億八千八百九十一万八千円となっております。  (二)、調達労務管理事務費につきましては、離職対策費八千七百四十九万九千円、及び健康保険組合臨時補助金六千万円を含めて八億六千八百十三万円となっております。  (三)、その他、相互防衛援助協定交付金四億一千五百四十万円、防衛施設庁庁費三十億四千四百三十八万五千円を計上しております。  以上をもちまして防衛本庁及び防衛施設庁予算概略説明を終わります。何とぞ慎重御審議の上御賛成くださるようお願い申し上げます。     —————————————
  6. 中野四郎

    中野主査 次に、外務省所管説明を求めます。永田外務政務次官
  7. 永田亮一

    ○永田政府委員 外務省所管昭和四十年度予算について大要を御説明いたします。  予算総額は二百三十四億一千八百二十四万六千円でこれを主要経費別に区分いたしますと、科学技術振興費六千九百八十万八千円、遺族及び留守家族等援護費六百五十万円、貿易振興及び経済協力費四十億三千百十四万円、その他の事項経費百九十三億一千七十九万八千円、であります。また組織別に大別いたしますと、外務本省百十三億八千八百五十五万一千円在外公館百二十億二千九百六十九万五千円であります。  ただいまその内容について御説明いたします。  組織、外務本省  第一、外務本省一般行政に必要な経費二十二億九千八百五十五万六千円は、外務省設置法に定める本省内部部局及び附属機関である外務省研修所、外務省大阪連絡事務所において所掌する一般事務を処理するため必要な職員一千五百六十一名の人件費及び事務費等であります。  第二、外交運営の充実に必要な経費六億七千万円は、諸外国との外交交渉により幾多の懸案の解決をはかり、また、各種の条約、協定を締結する必要がありますが、これらの交渉をわが国に有利に展開させるため本省において必要な工作費であります。  第三、アジア諸国に関する外交政策の樹立及び賠償実施業務の処理等に必要な経費一千五百十八万五千円は、アジア諸国に関する外交政策の企画立案、及びその実施の総合調整並びに賠償の円滑かつ統一的な実施をはかるため必要な経費であります。  第四、米州諸国に関する外交政策の樹立に必要な経費一億一千四百七十一万五千円は、米州諸国に関する外交政策の企画立案、及びその実施の総合調整等を行なうため必要な経費と、社団法人ラテン・アメリカ協会補助金三千百四十六万円、日秘文化会館建設費補助金三千三百万円、サンパウロ学生寮建築費補助金一千八百万円及びケネディ文化センター寄贈品製作費補助金二千五百万円であります。  第五、欧州諸国に関する外交政策の樹立に必要な経費二千二百三万一千円は、欧州諸国に関する外交政策の企画立案及びその実施の総合調整等を行なうため必要な経費と、千島資料館設置費補助金一千三百二万八千円であります。  第六、中近東、アフリカ諸国に関する外交政策の樹立に必要な経費九百四万六千円は、中近東、アフリカ諸国に関する外交政策の企画立案及びその実施の総合調整等を行なうため必要な経費と、社団法人アフリカ協会補助金四百四十万円、財団法人中東調査会補助金二百万円であります。  第七、国際経済情勢の調査及び通商交渉の準備等に必要な経費三千三百二十万五千円は、国際経済に関する基礎的資料を広範かつ組織的に収集し、これに基づいて国際経済を的確に把握するための調査、及び通商交渉を行なう際の準備等に必要な経費であります。  第八、条約締結及び条約集編集等に必要な経費一千五百三十二万三千円は、国際条約の締結、加入に関する事務処理並びに条約集の編集、条約典型の作成、条約、国際法及び先例法規の調査研究等のため必要な事務費であります。  第九、国際協力に必要な経費三億八千二百五十一万七千円は、国際連合各機関との連絡、その活動の調査研究等に必要な経費及び各種の国際会議にわが国の代表を派遣し、また、本邦で国際会議を開催するため必要な経費及び財団法人日本国際連合協会補助金一千八百六十万五千円、社団法人日本エカフェ協会補助金九百九十四万四千円、財団法人日本ユニセフ協会補助金四百二十一万七千円であります。  第十、情報啓発事業及び国際文化事業実施に必要な経費七億八千七百五十万九千円は、国際情勢に関する国内啓発、海外に対する本邦事情の啓発及び文化交流事業等を通じて国際間の相互理解を深めるため必要な経費、並びに財団法人国際学友会補助金四千七百五十五万九千円、財団法人国際文化振興会補助金一億五千六百七十三万九千円、財団法人国際教育情報センター補助金九百六十三万四千円、社団法人日本新聞協会国際関係事業補助金六百二十四万三千円、及び啓発宣伝事業委託費一億八千二百六十七万一千円であります。  第十一、海外渡航関係事務処理に必要な経費四千八百七十万一千円は旅券法に基づき、旅券の発給等海外渡航事務に必要な経費と、その事務の一部を都道府県に委託するための経費一千七百二万七千円であります。  第十二、海外経済技術協力に必要な経費二十億七千六百九十四万円は、海外との経済技術協力に関する企画立案及びその実施の総合調整を行なうため必要な経費と、コロンボ計画等に基づく技術者の受け入れ、派遣及び日本青年海外協力隊の創設費並びに技術訓練センターの設置費等技術協力の実施に必要な委託費十七億三千五百七万二千円、及び海外技術協力事業団交付金三億二千七百七十八万九千円等であります。前年度に比し三億三千四十八万四千円の増加は、海外技術協力実施委託費及び海外技術協力事業団交付金の増加によるものであります。  第十三、国際分担金等の支払に必要な経費十八億一千七百五十四万一千円は、わが国が加盟している国際連合その他各種国際機関に対する分担金及び拠出金を支払うため必要な経費であります。  第十四、国際原子力機関分担金等の支払いに必要な経費六千九百八十万八千円は、わが国が加盟している国際原子力機関に支払うため必要な分担金及び拠出金であります。  第十五、貿易振興及び経済協力関係国際分担金等の支払いに必要な経費十六億四千六百六十七万円は、わが国が加盟している貿易振興及び経済協力関係各種国際機関に対する分担金及び拠出金を支払うため必要な経費であります。  第十六、移住振興に必要な経費十三億七千三百三十一万九千円は、移住政策の企画立案及び中南米諸国等に移住する者二千名を送出するため必要な事務費及び移住者渡航費貸し付け金一億六千九百三十二万円及び海外移住事業団交付金十一億二千八百九十三万円等であります。  第十七、旧外地関係事務処理に必要な経費九十八万五千円は、朝鮮、台湾、樺太及び関東州等旧外地官署所属職員の給与、恩給等に関する事務を処理するため必要な経費であります。  第十八、旧外地官署引き揚げ職員等の給与支給に必要な経費六百五十万円は、四十年度中の旧外地官署所属の未引き揚げ職員の留守家族及び引き揚げ職員に対し支給する俸給その他の諸給与に必要な経費であります。  組織、在外公館  第一、在外公館事務運営等に必要な経費九十八億一千二百九十三万一千円は、既設公館百十二館三代表部九百八十五名と四十年度新設予定のサコスタ・リカ、在タンザニア各大使館、サマドラス、サラス・パルマス各総領事館、サブリスベン領事館設置のため新たに必要となった職員十六名並びに既設公館の職員増加四十九名計一千五十名の人件費及び事務費等であります。  第二、外交運営の充実に必要な経費八億三千万円は、諸外国との外交交渉をわが国に有利に展開するため在外公館において必要な工作費であります。  第三、輸入制限対策等に必要な経費二億七千四百三十二万五千円は、諸外国におけるわが国商品の輸入制限運動等に対処して啓蒙宣伝運動を実施する等のため必要な経費であります。  第四、対外宣伝及び国際文化事業実施に必要な経費二億一千二百七十六万円は、わが国と諸外国との親善に寄与するため、わが国の政治、経済及び文化等の実情を組織的に諸外国に紹介するとともに、国際文化交流を行なうため必要な経費であります。  第五、在外公館営繕に必要な経費八億九千九百六十七万九千円は、在タイ大使館事務所及び在ケルン日本文化センターの新営、在インド大使館事務所新営第二期工事、在フランス大使館及び経済協力開発機構日本政府代表部合同事務所新営第二期工事、その他公邸、事務所の諸工事に必要な経費とサフアンス大使公邸土地建物・在イタリア大使公邸土地建物購入費並びに在外公館の事務所、館長公邸用建物の補修費等であります。  以上がただいま上程されております外務省所管昭和四十年度予算の大要であります。慎重御審議のほどお願い申し上げます。     —————————————
  8. 中野四郎

    中野主査 次に、会計検査院所管の説明を求めます。上村事務総長。
  9. 上村照昌

    ○上村会計検査院説明員 昭和四十年度会計検査院所管の歳出予算について御説明申し上げます。  昭和四十年度会計検査院所管一般会計歳出予算の要求額は、十三億九千七百一二万円でありまして、これは、会計検査院日本国憲法第九十条及び会計検査院法の規定に基づいて会計検査を行なうために必要な経費であります。  いま、要求額のおもなものについて申し上げますと、職員千二百十二人分の俸給、給与、手当等として九億七千五百五万一千円を計上いたしましたが、これは総額の七〇%に当たっております。職員を現地に派遣し実地について検査するための旅費として八千五百二十七万二千円を計上いたしました。なお、外国旅費として三百十七万三千円を計上いたしましたが、これはイスラエル国エルサレムにおいて開催されます第五回国際最高会計検査機関会議に出席するなどの経費及び沖縄援助費の実地検査に要する経費であります。事務上必要な備品、消耗品、通信運搬、印刷製本、光熱水料等の庁費関係の経費として六千五百四十一万七千円を計上いたしました。庁舎施設関係の経費といたしまして、前年度に引き続き庁舎増築工事費として二億四千七百七十八万二千円を計上したほか、エレベーター改修工事費として八百二十万円及び庁舎屋上漏水改修工事費として六百二十五万五千円を計上いたしました。なお、検査を強化するため、参事官一人、上席審議室調査官一人の振りかえ設置を計上いたしました。  次に、ただいま申し上げました昭和四十年度歳出予算要求額十三億九千七百二万円を前年度予算額十一億三千百三十五万二千円に比較いたしますと、二億六千五百六十六万八千円の増加となっておりますが、その内訳について申し上げますと、職員の俸給、給与、手当等において四千五百八十五万九千円、実地検査の旅費において六百四十三万八千円、庁費関係の経費において一千四百七十四万円、庁舎増築等の施設経費において一億九千七百七十三万四千円、その他の経費において八十九万七千円となっております。  以上、はなはだ簡単でございますが、昭和四十年度会計検査院所管一般会計歳出予算要求額の概要の御説明を終わります。よろしく御審議のほどお願いいたします。
  10. 中野四郎

    中野主査 以上をもちまして、本分科会所管の予算説明は全部終了いたしました。午後は一時より再開し、会計検査院所管について質疑を行なうことといたし、この際暫時休憩をいたします。     午前十時五十七分休憩      ————◇—————     午後一時十三分開議
  11. 中野四郎

    中野主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  昭和四十年度一般会計予算会計検査院所管について質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。川俣清音君。
  12. 川俣清音

    川俣分科員 私は、会計検査院昭和三十八年度決算検査報告を非常に多とするものでございます。毎年国有財産あるいは国の会計について非常に御苦労なすって検査報告をされるその努力に対しては非常に敬意を払うものでございます。  そこで、せっかくの独立した官庁であります会計検査院に対して、一つの逆に指摘したい事項があるわけです。というのは、旅費、超過勤務等の手当を見ますると、これではたして十分な検査ができたのかどうかという点でございます。特に地方でいろいろ検査の実態を見まするときに、調査事項が多いために、夜非常におそくまでかかっておられる場合をときどき見受けるわけです。これらについての旅費もないものですから、検査の対象になる町村の自動車を借り受けたり、あるいはそれらの交通機関を対象になる団体に提供させたりしておる点があるわけです。これでは適正な検査が危ぶまれるのじゃないか。また、その権威を疑われるのじゃないかと思うわけです。これは組織上、会計検査院予算の中に十分でないものがあるためじゃないか。これを逆に指摘されますと、こういう指摘事項が出てくるのじゃないかと思うのです。これは会計検査院が悪いのか、あるいは予算の作成が悪いのか、それは別といたしまして、こういう点を非常に見受けるのですが、これに対してどういうお考えを持っておられますか、それを聞きたいと思います。御努力はいいのですよ。これは非常に熱心にやられる、夜おそくまでやられることについては、別に不当だとも思わない。ただ、そうした場合に、たとえば旅館でも、これは前から約束しておかなければならぬ。そうすると、半泊でなくてやはり一泊の料金を取られる。その差額はどこかに出してもらわなければならぬという事態が現に起こっている。私は二、三指摘してもいいのでありますが、それは悪い意味の指摘をするのではなくて、これは、何らかの処置をしておかなければならぬじゃないか。だんだん民主主義的な傾向が強くなって、権利義務の主張が強くなってまいりますと、こういう指摘が起こってくるのではないかという懸念を持つわけです。そのために、会計検査院決算について疑義を持たれたり、あるいは不当呼ばわりされるようなことになりますと、まことに惜しいことだと存じますので、お尋ねしておるのです。
  13. 上村照昌

    ○上村会計検査院説明員 先生から御理解あることばをいただきましてありがとうございます。  私ども検査する場合に、書面でもいたしますけれども、やはり実地検査というものが主要なことになっております。そういう関係で、先生がいまお話しになりましたように、あるいは自動車とか、そういうものをいろいろ地方に御迷惑をかけておるということは、確かにそういう点があろうと思いますが、やはり予算のたてまえ、そういうふうな関係から、これは一挙に解決していくことは非常に困難じゃないかというふうに考えております。  それから、いま宿泊旅費その他について具体的なお話がありましたが、これは、前々から相手方のほうに御迷惑をかけないということで実はやっておるわけでございますが、最近、昨年あたりもいろいろ批判の声も出ておりますので、去年の暮れからは、部内で相当そういう点をさらに徹底するようにということで配意していまして、旅館等につきましても、地方に出まして旅費が安いという点はございますが、安い範囲内で泊まれる宿をわれわれのほうでさがしていくというような方向で現在やっておりますので、そういう点は、これは全体から見ますと、あるいは交通費といいますか、自動車賃、そういう面から見ると、あるいは微々たるものかもわかりませんけれども、できるだけそういう気持ちでやっていきたい、こういうふうに考えております。
  14. 川俣清音

    川俣分科員 それらは、旅費の範囲内で安い宿で泊まろうということは、これは商人の場合はできないことはないですよ。これは、毎年行くとか、定宿みたいになっておりまして、いろいろなその他のものも提供するようなこともありまするから、御承知のとおり、安宿をさがせるという場合もありますけれども、会計検査院は日程のおきまりになるのもおそいでしょうし、また時間のことも当てにならない時間に宿泊するということになりまするから、予約しておくとどうしても高くならざるを得ないと思うのです。それを半泊の宿泊料より出ない。実際は半泊かもしれないけれども、予約しておくと半泊というものはないのです。確かに食事などは別にいたしましても、半泊なんというものはないのですけれども、半泊料金よりも出ないというようなことが現にあるようでございます。そうなってまいりますと、これは非常な負担をかけることになる。負担をかけるということは、検査実績を上げる上からいって適当でないということになるのではないかと思います。会計検査院の方々は、みんないまお話にありましたように非常に優秀であるし、かたいともいわれる。しかし、かたいのが実際はかたくない形で支払わなければならないということは、まことに遺憾しごくだと存じまするので、これは、特別に会計検査院の旅費等については考えて予算を講ずるということにならなければならぬのじゃないかと私は思うのです。普通の公務員の出張と同一の取り扱いをすることは、どうも妥当でないように感ずるわけです。普通の公務員の出張は、時間内に大体終了するという計画を立てる。あなたのほうは、非常に調査項目が多いし、また陣容が不足だから、行ったついでに、ついででないかもしれませんが、そういう予定を立てて出張されておりまするから、人員の不足からくる無理があるわけです。では、人員を増員したほうがいいのか、旅費を見たほうがいいのか、これはいろいろあると思いますが、少ない人員で多くの検査をしようとすると、そこに無理があるのです。これをどう解決するかということなんです。人員で解決するのか、あるいは旅費とか、そういうことで解決していくのか、これは当然問題だと思うのです。いま交通機関が発達しておるときに、車馬賃なんという計算で会計検査院がやろうとしたってできるわけはないですよ。不可能なことなんです。不可能なことを可能だなんと言うことはうそですよ。そこにうそがあるというと、全部がうそにならざるを得ないのじゃないかと思うのです。そういう意味で私はこれを指摘しているのです。だれが悪いとかいいとか、個人をさすのじゃないのです。せっかくの会計検査院の権威を失墜させるようなことがあったのでは、せっかくの権威をみずからそこなうようなことは遺憾しごくだと思いまするので、予算について十分な考慮があってしかるべきじゃないかと思うのですが、もう一度しつこいようですけれども、私は、会計検査院の権威の上からこの点を強く質問をいたしておるわけです。
  15. 上村照昌

    ○上村会計検査院説明員 私どもの心がけとしましては、検査を受けるほうの方々に迷惑をかけることをできるだけ少なくしたいという心づもりでもちろんやっておりますが、ただいまお話のございました人の問題、あるいは旅費の問題、これはいろいろ関連いたしますが、旅費も現在の人員からいいますれば、もう少しあってもいいのじゃないかという点もございます。さらにまた人の問題も、これはやはり人が少ないので、できるだけふやしたいという考え方ではおりますが、本年はある程度要求もいたしましたが、大蔵省のほうの関係で、国家財政の都合上ことしはどうしてもまずいということで、増員は認められませんので、これは、一応了承しておるわけでありますが、旅費のほうは去年が八千万円近くありましたが、ことしは去年から比べますと、六百万円ほどふえております。これは、当初予算から見ますと六百万円ではございませんけれども、節約がございましたので、節約後の旅費からいいますと六百万円ふえておりますので、そういう点でも多少はよくなるのじゃなかろうか、こういうふうに考えております。これも、相当今後努力していかなければならぬ点は十分あると存じます。
  16. 川俣清音

    川俣分科員 さらにもう一点ですが、会計検査院の指摘によりまして国の財政が正常になってまいりまするならば、それから受ける国の利益は非常に多いと思うのです。それだけの国の財産に対して、または会計に対して大きな仕事をしておられるのですから、国の財政が困難だから、それはもちろんそうでしょう。しかし、プラスしている面が非常に大きいわけです。これは大蔵省の旅費などの予算を見てごらんなさい。徴税のために使う旅費は案外寛大といいますか、融通を持っておるのです。税金をとるほう、収入を上げるほうの千これは大蔵省流だと思いますけれども、収入を上げるほうのことであるならば、少しくらいの旅費を使ってもいいという考え方が大蔵省の考え方の中にあるわけです。調べてごらんなさい、あなたは専門家だから。ところが、会計検査院も、積極的に収入になることにはなりませんけれども、減になることを、あるいは不当なことを指摘して大きなプラスをしていることなんですから、そういう自信を持っておられるでしょう。そうなれば、そのための旅費などについては、もう少し考慮してもらってもいいのではないか。しろうとの私さえこう言うのですからね。あなた方は、そういう決意があってしかるべきじゃないか、こう思うんですよ。旅費の少ないところで御苦労様でございましたと言いたいですけれども、それじゃいつまでたっても改革されないと思うので、この点をあえて指摘をしておるわけです。
  17. 上村照昌

    ○上村会計検査院説明員 四十年度は、先ほど申し上げましたように、人員の増加は一応認められませんので、できるだけおります職員を活用して本年はやっていきたい。旅費のほうは八千万円に対して六百万円、これは、全体からいうともっと多くあってもいいのじゃないかという考え方はもちろん持っておりますが、本年の予算ではこれでやむを得ないということでおりますので、今後の問題として十分考えていきたい、かように考えております。
  18. 川俣清音

    川俣分科員 まあこれ以上責める意味じゃございません。しかし、大体の予算の基礎を見ますと、人員が多ければ旅費も多い、人員が少なければ旅費も少ないというような組み方をしておられるわけですね。あなたのほうは十分御承知でしょう。そういう組み方をしておる。ところが、人員が少ないためにかえって旅費を多く要することがあるわけでしょう。現にあなた方もそうでしょう。人員がふえれば旅費もふえる、こういうたてまえを私は変えてもらわなければならぬのじゃないか。おそらくは、逆でありまするならば、あなた方はそういう指摘をしなければならないかとさえ思うのです。人員が多ければ旅費が多いのはあたりまえで、人員が少ないために、かえってその人を活動させるために旅費が多く出るのはやむを得ないことなんだという考え方を徹底させる必要があるのではないかと思うんです。現にあなたのほうはそうなんでしょう。人員をふやすわけにはいかない、少ない人員で調査をしなければならないということになりますと、どうしてもオーバーワークが出てくるのはあたりまえです。それは、結局旅費や何かになってあらわれてこなければならぬ、交通費になってあらわれてこなければならぬはずですよ。そういう点で、ことし少しふえたからということをいうと、これが結局地方の検査を受けるものにはね返ってくる。何らかの形で負担をしなければならないということが出てくると思うんです。もう少し実態をお調べになってごらんなさい。それは、受け取りは持って帰られるけれども、やはり旅館代は一部は自分が負担しているとか、あるいは総体に負担をかけてくるということはしばしば目に映るところです。会計検査院だと言うと、旅館に行って聞いてごらんなさい、どういうふうにつくりますかと聞かなければ受け取りを出さないでしょう。これは特別扱いです。どこの旅館にでも行って聞いてごらんなさい。会計検査院だと言うと、それじゃどういうふうに書きましょうか、こう言うのです。普通の受け取りじゃないんですよ。普通の受け取りならば、別にだれにも聞かないでも領収書は出せるはずなんです。それを、会計検査院と言うと、どういうふうに書きましょうかと言うというのは普通じゃないということの証拠なんです。そういう意味で、国の与えられたる機関としての使命を果たすためにも、それだけの人員をふやせということを私は必ずしも言いませんけれども、ふえたならふえたでけっこうです。これだけのものを見ますと、ふえなければならぬと思います。しかし、人員をふやすことはいまなかなか困難な状態にありまするし、行政審議会もできておりまするので、いま直ちにふやすべきだという主張を私はあえて繰り返しませんけれども、少ない人員でやるということになりますならば、当然、従来の何割増しかの旅費でいいのだという考え方は不適当じゃないか、こういうふうに思いますので、会計検査院を指摘するところは国会よりはかないのですから、私はあえてこれを指摘しておくということですから、十分御考慮願いたいと思います。
  19. 上村照昌

    ○上村会計検査院説明員 現在の人員でも、旅費がなおありますればけっこうな面がまだ相当あると思います。余地が残っておると思います。そういう意味では、人員がふえなくてもなお増加してもらって、そしてやっていきたい、こういうふうに考えております。ことしは大体六百万の増ということで了承したい、こういうことで予算の査定を受けておるわけでございます。
  20. 川俣清音

    川俣分科員 もっと言いたいところがあるのだろうけれども、控えられておるという気持ちはわかりますから、これ以上追及しませんよ。しかし、私は、そうあるべきが適当じゃないか、会計検査院を指摘するのは国会よりほかないから、あえてこの問題を提起した、こういうことになるわけです。  次に、今度は具体的な問題についてお尋ねをしたいのですが、政府は物価抑制策を大きな政策の目標にしておるということを御承知だと思いますが、この方向がいいと思いますか、どうですか。政府が物価抑制をするということは好ましいことだと思いますか、よけいなことだというふうにごらんになりますか。この点をひとつ会計検査院の立場からお尋ねをしたいと思います。非常に無理な質問ですけれども、御答弁願います。
  21. 上村照昌

    ○上村会計検査院説明員 これは、政府の施策でありますので、私のほうからとやかく言うということはどうだろうかというふうに考えますが、私自身の考えといいますか、これは、政府で物価の抑制といいますか、適正な物価を維持するというためにいろいろの方策をとられておるということで、国民もそのほうを好むというような面もございますし、これは、具体的にどれがいいかということは別といたしまして、全体の方向としては、私どもはいいのじゃないかというふうな感じは持っておるわけでございます。
  22. 川俣清音

    川俣分科員 そこで、お尋ねをいたしたいのですが、国有財産管理する上から、その貸し付けであるとか、あるいは国有財産の処分については、できるだけ国の利益になるように検査をされますることは妥当だと存じますが、ここに実は一番問題があると思うのです。というのは、いまの物価の騰貴の大きな要素になりますのは、土地価格が一番問題であります。土地価格が上昇することによって、すべてのコスト高を来たしておるというのが現状だ、何としても土地価格を抑制しなければならないという考え方はみんな持っておるようですが、どうしたら抑制できるかということについては、まだ案がないようです。少なくともそういう方向にあることは現実だと思うのですけれども、会計検査院の指摘事項によりますると、土地価格は安過ぎるという批難事項がございます。これは一面、国の財産を不当に安く処分するということは厳に戒めなければならぬ点だと思いますけれども、それだからといって、それでは土地価格が上がるようなことを、みずから政府の財産を、国有財産を高く売って、物価を引き上げるようなことをすることは、この際としては大いに考慮しなければならぬのではないかと思うのです。どっちをとるべきかというところにきたと思うのです。確かに指摘事項の中にあるのは、もっともだと思う点がたくさんあります。しかしながら、私、地方を歩いておりますと、農業用地に使っております。農業用地といいましても、これからの酪農振興の上からいって、国有財産を採草地に使っているものがたくさんございます。これらも会計検査院の指摘事項があったということで、一律に国有林野では貸し付け料金を引き上げなければならぬということで引き上げをいたしてきております。こういう点は、必ずしもそういうことを指摘されたわけではないでしょうが、一、二そういう指摘がありますと、全国的に貸し付け料金が上がってきております。一方小作料は、農地法によって押えられているにかかわらず、会計検査院は一もちろん採草地に農地法が適用されるかどうかいろいろ問題がございますけれども、一方民間の小作料は押えているにかかわらず、国のほうは小作料に当たるべきものを上げろという指摘が行なわれているということになるのですが、こうした矛盾についてお考えになったことがございますか。無関心でこれを処理しておられますか、あえてお聞きしたい点でございます。
  23. 上村照昌

    ○上村会計検査院説明員 先生から昨年でしたか、一昨年でしたか御指摘があったかと思います。いまの私のほうで検査しておりますたてまえは、土地価格を上げるという考え方ではもちろんございません。処分なり貸し付けなりを国で行なっているものは、相当の件数にのぼっているはずだと思います。そういうものの均衡を考えました場合に、売り払い代金あるいは貸し付け料というものが各省で大体一つのきまった考え方といいますか、基準で一応計算し、いろいろのことを見られてきめておられるわけでありますが、大部分のものは、われわれが見た場合に、適正な形になっているのが多いかと思うのでありますけれども、その中にある程度価格として不適正なものがあるという場合に、これは、全体から見た場合にむしろ適正にするほうが妥当ではないかというふうな考え方から指摘しているわけでございます。これによって土地価格を全体として上げるとかいうような意図は全然持っておらぬわけでございます。
  24. 川俣清音

    川俣分科員 そういう答弁をされるのではないかと思っておったのですが、それでは適切な指示ではないと思うのです。あなた方の上げなければならないという理由には、近傍類似地の売買実例価格云々ということを必ず指摘されております。この売買実例価格とはどんなものかというと、あるいは財産保持的にこれを所有する人もありましょう。したがって、実例価格の中には、価値ではなしに、財産として保持しようという価格が形成されているわけです。または将来値上がりをするであろうという騰貴を考えて売買価格が形成されていることもありましょう。いわゆる普通の商品の売買価格と違いまして、これを財産保持的に持つという意味の買い取り価格があるわけです。あるいは将来値上がりをするであろうということを見込んだ投機的な価格、これは実例価格といいながら投機性を持った価格です。ここから投機性を持っていいのかどうかという問題も出てくるでしょうし、そういうものを実例価格にとるということは、やはり値上がりムードを起こす大きな要因になるのではないか、こう思うのです。そこで土地価格の値上がりに拍車をかけるような御指示でありますと、安いから高くしろという印象を与えると思う。そういうムードを与えると思う。そこで、あえて別に値上がりすることを望んでいないのだというけれども、こうやって類例をあげるところによると、売買価格よりも安いのだ、近傍の売買価格というのはどういうことかというと、先ほど申し上げたように、財産保持的に買った人もある。それも実例だという。あるいは将来値上がりするだろうということを見込んでの価格というやつもある。ほんとうの価格じゃないのです。使用収益の価格じゃなくて、財産保持的に持っているもの、あるいは値上がりを目的にして買った土地が実例価格になるということになると、値上がりムードを助長するということになるのじゃないか、こう指摘をいたしたいのです。しかし、国の財産管理する上からいって安くては困るという考え方、それは私ども是認するのですよ。決して安い処分がいいのだというのじゃない。指摘でもまだ足りないと思うような逆のやつもありますけれども、しかし、今日物価問題として大きな要素を占める土地価格については、もう少し慎重であってしかるべきじゃないかと思う。別な基準で御指示をいただきたいものだ。近傍の価格であるとか、類似の土地の価格というようなことは、これは非常に問題が多いと思うので、あえて私は指摘しているのですよ。この点はどうですか。
  25. 上村照昌

    ○上村会計検査院説明員 土地の価格は、各省で一応基準を設けておられますが、大体やり方といいますと、固定資産の課税標準価格というのがございます。あるいは相続税課税標準価格、こういうものを基礎としてはじき、それから精通者の意見を聞き、実例がある場合には、実例価格を参考にしてやるというようなかまえでやっておられるわけであります。実例価格と申します場合に、いまお話しのように、実際の売買が将来の値上がりを考えて高く買うとかいうようなことも世の中にはあり得るものだと私も考えております。そこで、実例価格と見ます場合に、どれが適当か、各省でやっていかれます場合には、非常に高いもの、また非常に安いもの、こういうものは除外して計算するというやり方を一応やっておられますので、そういう意味から申しまして、高い価格がそれにすぐ入ってくるというようなことは比較的ないのじゃないか、こういうふうに考えております。
  26. 川俣清音

    川俣分科員 これは、農林省でも大蔵省でもそうですが、適正な土地価格の基準を見出せるならば、土地価格の高騰を押える手段が生まれてくるわけです。どこが適正かということの算出が困難だからして、土地価格の抑制は困難だという説明になっておる。みんなその必要を痛感しておりながら、基準がむずかしいのだ、こういうことになっておるのですね。これは、御承知のとおりです。農林省も一つの基準を持っております。建設省も持っております。けれども、この基準が自信のある基準じゃないために、土地価格の抑制なども困難だという情勢の中にあるのですから、それが適正価格だという判断はできかねるのじゃないかと思うのです。そこに悩みがある。したがって、会計検査院もこの悩みはお持ちだろうと私は思って、あえて質問をしておるわけなんです。ですから、あなた方のほうにけちをつけるという考え方ばかりじゃないのです。あとで指摘されるような事項も、もっともな事項がたくさんあります。むしろ、この指摘の五七ページなどにある佐賀営林署の問題などは、二千四百二十七坪が明治四十四年からそのままになっておるというような事態がありますから、もっと強く指摘されてもいいであろうし、また先国会においても指摘いたしましたが、観光会社であるとか、ゴルフ場などに対する貸し付け料金であるとか、あるいは払い下げ料金は、当然将来の土地価格の高騰を目的にして土地の取得をするのでありますから、そういうものには見込み価格をかけてもいいとさえ私は思っておるのです。土地の高騰をみずから計算に入れた事業なんですから、それにはもっと高い売却価格でもいいし、貸し付け料であってもいい、こう思うのですよ。   〔主査退席、登坂主査代理着席〕 しかし、さっき指摘したように、わずかな農地、これには二十万以下のものは入っていませんから、実に小さな土地ですね。農耕地にするような土地の貸し付け料が上げられておるというのもあるわけです。これは、指摘したのにはないですね。小さ過ぎて出してないのでしょうけれども、わずか三十坪とか四十坪程度のものが、こういう指摘があるために値上げの要因をつくっておるということもある。たとえば、その値上げの通知書を見ますと、先般来会計検査院の指摘もあったので値上げをせざるを得ないから上げる、こういう通達をして、一方的に値上げをしている場合がございます。私、きょう文書を持ってきませんでしたけれども、ある営林署では、会計検査院の指摘があったんだから値上げせざるを得ないということを口実にしている。これは、そこをさしたのではありません。一般にそういう指摘を受けますと、そういう通達をして一方的に値上げをしている。そうすると、その付近にあった小作地が、政府が上げるんだったらおれのところも上げるといって、小作料を上げて、いま問題が起こっている。一方は、農地法によって小作料を押えられているにかかわらず、政府が上げるんなら私のほうも上げますというので、トラブルが起きている。もちろん、政府のほうが安いんですけれども、何割上げたということによって自分も上げよう、こういう問題を起こしている。こういう点については、指摘についても十分ひとつ御考慮願わなければならないと思うわけです。しかし、こういう不当事項が確かにありますから、これはびしびしやってもらわなければならぬと思いますよ。それとこれと混同されては困るんですけれども、片一方の、営業で当然土地の値上がり価格というものを組んで、そういう会社経営をやっておる土地については、そのような査定をしなければならぬだろうと思いますけれども、農耕用地なんて、一体土地を持ったからどれだけの収益があるのかというと、計算にならない土地もあるわけですから、そういう点と、収益があることが明らかな、あるいは値上がりを目的にして、あるいはそれをゴルフ場としながら、将来は宅地にすることを目的にした観光会社もあるわけです。これはゴルフが目的でないのです。土地を確保しておいて、将来そこに宅地造成をやる、その前に安く買っておこうというような計画のものもあるわけですから、それは、それなりの指摘をしなければならぬ。みな厳重にそうしてもらわなければならぬと思います。そうでなくて、農耕用地に対してそういう指摘を受けるような結果になることは、非常に望ましくない。それは、結局、あなた方が指摘されるように、近傍の賃貸地と比較して安い。確かに安いことに間違いない。それから上げるというと、政府が上げたんだからおれのほうも上げますということになってまいります。政府のほうが安いんだけれども、政府が値上げしたからには私のほうも値上げをする。高いのが値上げされるという結果を誘致することになるから、これは厳に戒めてもらわなければならぬ問題でないか、こう思う。会計検査院としては、そういうことを考えてやったわけじゃないけれども、結果としてそういうことが出ますので、私はあえてそういうことを問題にしているわけでございます。この点は了承できますか。
  27. 上村照昌

    ○上村会計検査院説明員 ことし、三十八年度決算で指摘しておりますのは、先ほど先生のおっしゃいましたように、ゴルフ場だとか、建物敷地ということでございます。先生がおっしゃられましたような形でものが運んでおるかどうか、私十分承知いたしておりませんけれども、農耕地とか、そういうものについては、おそらく私のほうで指摘していないんじゃないかというふうに考えておりますが、お話もありますので、今後検査の場合には十分考えてやっていきたい、こういうふうに考えております。
  28. 川俣清音

    川俣分科員 適切な答弁で、それを了承いたしたいと思います。会計検査院の指摘があったということで、そういう文章をつけているのですよ。そういう指摘をつけているから、私はあえてこう言う。これは、会計検査院の誤りであったのだとか、そういうことには及ばないのだということをここで言明していただければ、林野庁も無理な値上げはしない、こう思うので、あえて呼んでおったわけですから、会計検査院の真意を各庁に伝えてほしいと思うのですよ。ゴルフ場であるとか、あるいは観光だとか、ホテルだとか、将来の計画に伴う土地の取得等については厳重にすべきものであるということは、私のほうでも指摘したいくらいなものでございますから申し上げませんが、あるいは大蔵省の指摘事項などについてもそういう点がございます。ことにかつての陸海軍の敷地など、これは、大体都会地に近い、工場地に近いところに存在するのでありますから、土地価格についてこういう指摘をされることは、私は当然過ぎるほど当然のことだと思いますけれども、事農地、採草地というような、これからの農業をやっていく上にわずかに残されたこういう採草地を引き上げるというようなことは、国の政策からいってもとるべきではないのじゃないかと思いますので、あえて指摘したところでございます。  ここで、林野庁の若林業務部長にお尋ねをしたいのですが、いまお聞きのように、会計検査院は、そういう採草地であるとか、放牧地であるとかいう土地の貸し付け料は、無理に上げろという指摘はしていないのだ、こういう答弁でございました。しかし、あなたのほうの値上げの通知を見ますと、会計検査院の指摘があったから上げざるを得ないということで貸し付け料を上げておられます。会計検査院はそういう意味じゃなかったそうですが、これを考慮してもう一ぺん引き下げるような用意がございますか。会計検査院の指摘を誤って判断されたようでございますからお尋ねしたいと思うのです。
  29. 若林正武

    ○若林説明員 お答え申し上げます。国有林野の貸し付け料の点につきましては、管理規程の第二十五条によりまして、契約のときにおきまするその土地の時価の百分の四に相当する価格と定めておるのでございます。この場合における当該土地の時価は、従来その土地の現状、交通の便、周囲の状況、あるいは今後の開発の見通し等を十分勘案いたしまして、近傍類似地の売買実例等を参酌して適正に定めるように指導してまいっておったのでございます。しかしながら、最近におきます観光資源の開発、あるいは宅地事情の逼迫等に基因いたしまして、従来比較的要求度の低かった未開発の国有林野に対します要望というものが非常に最近ふえてまいっておるような現状でもございます。私どもといたしましても、従来ややもすれば評定担当者の個人差というようなものも若干あらわれがちであったというふうなこともございまして、極力今後はこういうものを排除して能率的に処理をする必要を痛感いたしまして、三十八年の四月一日以降の契約にかかわるものにつきましては、林野庁といたしまして、具体的かつ統一的な評価基準というものを策定いたしまして、これによりまして現在貸し付け料の決定をいたしておるのでございます。したがいまして、先ほど先生からいろいろ御指摘のございました、もっと引き下げたらどうかというふうな点につきましては、あくまでもこの基準によりまして適正に処置をしてまいりたいというふうに考えまして、引き下げその他のことは考えておらないのでございます。  なお、お話の中にもございましたように、近傍類似地の売買実例の価格でございますが、これは、検査院のほうからも御答弁がございましたように、非常に高過ぎる、あるいは安過ぎるというふうなものにつきましては、これは除外して考えておるのでございます。  なお、農耕地の貸し付け料につきましては、農地法によります最高小作料の範囲で私どもも押えておるのでございます。
  30. 川俣清音

    川俣分科員 そういたしますと、私の聞きたかった会計検査院の指摘もあったから貸し付け料の値上げをしなければならなかったという値上げの理由はどこから生まれてくるのですか。あの文書は誤りですか。
  31. 若林正武

    ○若林説明員 通達といたしましては、検査院のほうから御指摘があったからどうということではなく、三十九年に林野庁から通達を出しておりますのは、漸増方式によって適正なものに持っていけというものでございます。
  32. 川俣清音

    川俣分科員 新しい貸し付け地についてはそうだろうと思いますけれども、いままでの古い貸し付け地の貸し付け料を引き上げる理由にそういう言い方をしておるわけです。そこで、私はあえて会計検査院にお聞きしたわけです。それがなかったら会計検査院にお聞きするのでなかった。会計検査院の指摘を理由として——その土地に対する指摘じゃないことはもちろんですけれども、値上げの口実と申しますか、理由を会計検査院の指摘があったから上げざるを得ないということでやっておられますので、あえてあなたにお尋ねしているのです。農林関係の分科会でもいいのですけれども、あえてこの場所を選んだのは、会計検査院の指摘があったので上げざるを得ないという上げ方は不適当じゃないか。そういう意味じゃなかったという説明ですから、それじゃ、それを口実にした値上げは不当じゃないかということなんです。
  33. 若林正武

    ○若林説明員 検査院の御指摘があったから値上げをしたということではないのでございまして、検査院の御指摘は確かにあったわけでございますが、われわれといたしましては、それは別として、貸し付け料の適正化をはかるという線で考えておるわけでございます。
  34. 川俣清音

    川俣分科員 林野庁独自の考え方だということになりますと、これは農政上の問題になりますが、農林省としてはどうかという問題が出てまいります。最近の趨勢で、従来ほとんど放任しておりました採草地を開墾いたしましたり、土地造成をいたしまして、水を引いてくるようなことやいろんな施設を講じてきておるのです。これは、従来の粗放な放牧地から改良した草地にいたしておるわけです。これは、農業構造改善のもとに整理をしてきておる、あるいは補助を受けたりして整理をしておる。そうすると、土地がよくなったり収益が上がるであろうというところから上げてくるというようなことは、農業政策からいくとおかしいじゃないですか。これは、ほかの省がやられるならば別ですが、せっかく農業用地として最も合理的な施設をすると値上げの要素になるということはおかしいじゃないですか。これはどうでしょうか。
  35. 若林正武

    ○若林説明員 ただいまのお話の農用地につきましては、先ほど申し上げましたように、農地法できめられております最高小作料の範囲ということで処置いたしております。
  36. 川俣清音

    川俣分科員 国有林野の貸し付け地は農耕地は少ないのですよ。農耕地でありますと、前の自作農法によりまして、たいていは所属がえになっておりますから、これは問題がないのですよ。むしろいまあります貸し付け地は採草地または放牧地、そうした原野に近い形の農業用地なんですね。農業用地というか、農業用というよりも、あるいは酪農用というふうに申し上げたほうが適切かと思います。いわゆる農耕地じゃない。それにいろいろな施設を——昔はそのままの放牧地であったり採草地であったものを、最近は農業構造改善事業に従ってこれに投資が行なわれ、改良が行なわれてきておる。この改良は、かつての土地改良は地主が改良費を負担したのです。そこで小作料の値上がりの要因をなしたわけですが、いま国有林野は、みずからの手で土地改良を行なっておるわけじゃない。使用者が、借りておる者が土地改良を行なっておるわけですから、その受益は当然改良を行なった者に帰すべきものなんです。   〔登坂主査代理退席、主査着席〕 それにもかかわらず、利用度が上がったからということで貸し付け料が上がるということは、農業政策の面からいって不当ではないのですか、こうお尋ねしておるのです。これは、ほかの省なら別ですが、農林省はそういうことを奨励しておる。奨励に従った者は貸し付け料を上げるということになると、貸し付け料を上げるために奨励したのかという疑問が生じてまいりますので、あえてお尋ねしておるわけです。
  37. 若林正武

    ○若林説明員 未墾地を貸し付けいたします場合は、現在は山林の評価でやられております。したがいまして、お話しのように利用度が高まったから上がるということではなかろうと思います。それから、既墾地になりますれば、所属がえのルートに乗せまして行なってまいりたいと考えております。
  38. 川俣清音

    川俣分科員 そこで、もとへ戻りますが、近傍類似地の土地条件ということになりますと、改良されたような土地が類似の土地で、その土地の小作料と申しますか、貸し付け料というものが基準になるわけですから、上げられるということになる。原野のままですと、原野の類似の土地をさがすでしょう。その貸し付け料を基準にする。非常によく整理されて、しかも改良を行なったところを基準にして価格がきめられるということになりますと、これは値上がりせざるを得ないじゃないですか。そうすると、改良した分だけは自分の利益に帰しないで、所有者の利益に帰する、これは不当じゃないか、こういうことなんです。
  39. 若林正武

    ○若林説明員 いま先生の御指摘のように、改良されましたならば既墾地になるという前提でございまして、その場合は所属がえのルートでいくわけであります。
  40. 川俣清音

    川俣分科員 従来でありますと、耕地にする土地改良が行なわれたのでありますけれども、農業基本法に基づいて、最近は酪農の基盤としての土地ということになりますので、耕地とは必ずしも限らないわけなんです。むしろ採草地としての土地改良であるわけですから、昔の表現でいうと、原野の改良ということになるわけです。国有林しとて持っておられるところは、御承知のとおり、いわゆる地目からいうとほとんど原野でございます。山林でもなければ、原野なんですね。いまの地目からいうと原野です。そういうときに、草地の改良が行なわれると、耕地とみなすべきでございますけれども、いまの登記のほうからいいますと、そういう表現の地目がないわけです。依然として原野であります。そういうところに、せっかく日本のような狭い国土を活用するということで土地改良が行なわれたことがすぐにはね返ってくる。自分の利益にはね返らないで、所有者の利益にはね返るということは、いまの経済事情からいいましても、国の政策からいっても、とるべきじゃないんじゃないか。それは何が誤りかというと、類似地帯を参酌してきめるというところに問題があるわけなんです。改良されてないところを基準にしないで、改良されたところが基準になる。その改良はだれが負担したかというと、農民が負担をした。その負担をした農民にはね返らないで、所有者にはね返るということは不当じゃないです。しかも、国がやっている政策に基づいて行なった行為が、国によってかえって制約を受けるのは不当じゃないか、こう申し上げておるわけです。国有林は、地元山村の経済力の弱いところを何とかしていかなければならないという考え方で林業基本法もできておるわけですから、林業基本法の趣旨、農業基本法の趣旨にのっとって、これを活用して農業生産をあげようとする者に対しては、一方において補助しながら、一方においては土地価格を上げていくことは不当じゃないか、政策が一致しないのではないかという指摘でございますから、どらか十分考慮してほしいと思うのです。しかも、会計検査院の指摘が、ああいう指摘ではなかったということがここで明らかになったのですから、会計検査院の指摘だということでおそれないで、そういう必要で指摘をしたのではないということが明らかなんですから、むしろ逆に、これをゴルフ場であるとか、あるいはその他の観光会社等に不当に安く貸しているのは不当だ、こういう指摘だということがここで明らかになったので、農耕用地や何かに対しては、そういう指摘を今後はいたしません、こういうことですから、そういう点では、安心して農業政策の本来に基づいて林野庁が処置すべきだ、こういうふうに思うわけです。この点はどうでしょうか。
  41. 若林正武

    ○若林説明員 私どもといたしましても、先生の御指摘の点につきましては今後十分に検討したいと考えております。
  42. 川俣清音

    川俣分科員 大蔵省も同様な指摘を受けておるわけですが、ことに大蔵省は、大蔵省全体としては、結局御承知のように、みずからのことでしょうが、固定資産税の評価もやっておられまするから、土地価格については大蔵省に一定の見解があるものと認めていいのじゃないか、こう思う。それにもかかわらず、なぜ指摘されるような形で国有財産を処分されたのか、この点がほかの省と違って非常に疑問の多い点じゃないかと私は思う。農林省はまだ農業政策上やったとか、そういう逃げ方もあるでしょう。大蔵省は一つの固定資産税の基準などわざわざつくっておられる。そうすると、土地価格というものについては、いいか悪いかは別にして、一定のものを持っておられるはずなんです。持っておりながら安いということは、非常に問題だと思うのです。特に利権の対象になるようなものの処分については、国有財産管理しておる大蔵省としては、会計検査院の指摘をまたないでも十分警戒しなければならぬことだと思うのですが、これはいかようにお考えですか。
  43. 村田博

    ○村田説明員 大蔵省としましては、先生御承知のように、国有財産を売り払います際には、全国的にこの評価を統一しなければならぬという観点から、国有財産売り払い基準というものをつくりまして、これによってやっているわけであります。この基準の大体の考え方を申し上げますと、相続税課税標準価格を基準とし、それから固定資産税の課税標準価格、それから付近の土地の売買価格、この三本の柱を一本にいたしまして、相互にチェックいたしまして国の価格といたしまして、さらに国の価格だけでは万全を期し得ませんので、民間精通者の意見を求めまして、それを調整いたしまして最終的に価格を出す。こういうことで二段にも三段にもチェックをしてやっておるわけでございますけれども、たまたま今回の会計検査院の指摘を受けましたような事態が出たわけでございます。こういったことに対しましてわれわれかねがね反省いたしておりますけれども、なお私どもの力の足りない点は認めております。こういう点は、評価基準には規定がありましても、これが実際の時価を算定いたします際には、やはり具体的には種々の問題が出るわけでございます。御承知のように、時価といいましても、非常に幅が広いわけでございます。非常に一方的に相手方が買い進みの立場である場合、あるいは相手方が非常に売り惜しみをしておるという価格、あるいは非常に投機的な価格、こういったふうな場合におきましては、それがはたして適当な価格といえるかどうかという問題、逆にまた、その反対の場合もあろうかと思います。ただ、実際に時価を評価いたします評価方式を、われわれはできるだけ精緻なものを整えておりますけれども、それを具体的に適用します場合に、やはり調査が不十分であった、もう少しこの辺の調査を徹底しておけばその適用のしかたにあやまりがなかったのではないかという反省も生まれてくるわけです。そういう点についての御指摘をいただいておるというのが現実の姿でございます。ただ、評価基準のやり方といたしましては、これにつきましては、一応いまある求め方としては、もともとこれは適用します方法につきまして、ややもすると調査能力が十分でなかった、あるいは調査の徹底を欠いたというようなことから、今回の指摘を受けたというような現状でございます。
  44. 川俣清音

    川俣分科員 先ほども指摘したように、固定資産税課税標準価格というようなものが設けられているわけです。これは、よその省がつくったものであればいろいろ疑問があるということもあろうと思うが、大蔵省としてつくっているものでしょう。そうすると、この基準というものは、大蔵省の中の各局も当然認めておるはずだ、私はそう理解しておる。しかも、このときは国に二千四百万円という損害を与えておる。税金のほうだと実にきびしく取り立てていながら、これはあなたの管轄ではないけれども、二千四百万円も穴をあけた、損害を与えたというようなことは、重大なことだと思うのです。  それではここでお尋ねしますが、これだけの損害を受けたならば、当然行政処分が行なわれてよいはずだと思うのです。いま二千四百万円を横領したのなんか、個人の横領ではないのですよ、国に損害を与えたということになると、これはやはり公務員としてその職におられないはずだ、私はそう理解する。どういうふうに処分されたのですか。こういう指摘をされたのに、ほかの省なら別ですよ。大蔵省に長く公務員としておられた人が、自分のところの査定の基準がわからないで局長がつとまるわけはないと思うのです。当然これは自責していいはずだと思います。自責がなければ処分してしかるべきだと思いますが、どういうふうに処分されたか、この点を伺いたい。
  45. 村田博

    ○村田説明員 国のほうでこういった時価をいろいろ算定いたしておりますしかたといたしましては、相続税、これは国税庁が全国的にやっているのでありますが、相続税課税標準価格というもの、これは、先生も御承知のように、必ずしも時価をそのまま反映しているわけではございません。したがいまして、大蔵省国有財産局といたしましては、その相続税課税標準価格をもとにして時価を出します場合に、やはりこれに適当な修正率をかけまして、それによって時価を出すというやり方をやっているのであります。その修正率のかけ方が甘いか安いか、あるいはきつ過ぎるかという問題がいろいろ出まして、それがいろいろ御指摘の原因になろうかと思うのでありますけれども、私どもとしましては、こういった問題につきましては、個別問題といたしまして課税当局の意見も聞きまして、また諸般の売買実例その他のケース等も当たりまして、ほぼこの修正率でよいということで判断をしてそれを使っているわけでありますけれども、その辺のところ必ずしも調査が一〇〇%いっておらなかったという点から、やはり御指摘をいただいたことにもなるわけであります。私どもといたしましては、当時の売買実例、これにつきまして相当調べたわけでありますけれども、なお十分でなかった。また、調べましたが、売買実例が十分なかったということもございまして、実はその修正率の算定方式につきましても、今後に多少問題を残したということになっているわけであります。  なお、お尋ねの関係しました者の処分その他につきましては、目下検討中でございますので、この席からちょっと申し上げかねます。
  46. 川俣清音

    川俣分科員 これは私も調べました。ところが、東洋プライウッド株式会社のほかに、名古屋の市からも希望があったのだそうです。ところが、どういうわけでこの会社に随意契約で売り払われたか、それ自体が疑問である。その上に価格が安いというところに問題が出てきている。公共団体にすら売れないものをどうしてこういう会社に売ったか。しかも、安く売らなければならない、これは、少し利権のにおいが強過ぎるのでないかと思う。それだけに、こういう会計検査院の指摘を受けた以上は、ほかの省なら別ですけれども、大蔵省としては何らかの処分をしなければ相済まないのではないかという気が私としてはしますが、大蔵省としてはこういうのが常識になっておって、これくらいのものはという考え方で処分されないのか、こういうことはありきたりのことであるとして寛大であるのか、私は非常に疑問に思うのでお尋ねしているのです。
  47. 村田博

    ○村田説明員 いまお尋ねのございました名古屋市でございますけれども、当該土地につきましては、名古屋市のほうで浄水場に使いたいという希望が確かにございました。私ども東洋プライウッドに売り払いをします際に、名古屋市からそういう要請がございましたので、地元にその辺について意向を聞いてみましたけれども、地元といたしましては、浄水場というのは、企業誘致という観点からいたしますと、あまり地元を潤すということにはなりませんから反対もございまして、かつまた名古屋市のほうも、その浄水場に対する予算措置、あるいは起債に対する措置につきまして何ら手当てしてございませんし、計画としてもまだ具体化していないので、これを引き下げてもらって、東洋プライウッドに払い下げる方針をきめたわけでございます。かつまた、通産省からも副申がついてまいりましたので、これは、企業としてもおおむね適当ではなかろうか、随意契約の適格性もございましたので、これを売り払ったというような次第であります。
  48. 川俣清音

    川俣分科員 名古屋市では、これを児童遊園地にしたいということだったそうです。児童遊園地にしようということだったそうですが、一方から市会の利権屋がゴルフ場にしようという計画もあったことは、それは市会議員の一部の者がやったことのようで、名古屋市としては、これは遊園にしたいというふうなことであったようです。過去のことですから、どっちがほんとうかわかりませんけれども、ただ問題は、そうした名古屋市にとっても保存しておきたいという土地であったものを、しかも不当に安く処分した。名古屋市へやるならば安く売るから、国有財産として惜しいという考え方ならまだしも、不当に安く、しかも二千四百万円というような損害を国に与えるというような払い下げ方をしたということは、これは、何といっても不当だと思います。そうお考えになりませんか。なるとすれば、大蔵省全体がそうだとするならば、これはみせしめの処分が必ず行なわれなければならぬと思いますが、私の期待はずれになるのでございますか、その点、お伺いいたします。あなたの所管でないかもしれませんが、大蔵省の心がまえとしてお尋ねしておきたいと思います。
  49. 村田博

    ○村田説明員 この評価の問題に関しましては、非常にむずかしい問題もあるようでございます。ただいま問題になっております東洋プライウッドにつきましても、これは当時の調査の能力の限界と、あるいは調査担当者のとりました態度、とりました方法、こういったものを考えてみますと、これはあとから御指摘いただけば、なるほど、きわめてごもっともなこともあるわけでございますが、当時としては、ほんとうにやむを得なかったということも実は考えられるのでございます。したがいまして、この結果によって、先生御指摘のように、二千四百万円損害を与えたという見方もできるでありましょうし、また当時の、私のほうの評価担当者のとりました方法から見ますと、まずこれがそのままあながち全面的にけしからぬことをしたのだということになるかどうか、これはもっと検討さしていただかなければ、私どもとしても何とも申し上げかねると思います。したがって、処分その他のことにつきましても、その辺のところをもう少し追及いたしましてきめたいというのがほんとうのところでございます。
  50. 川俣清音

    川俣分科員 私、質問が残っておりますけれども、時間があることですから、ほかの方に譲ります。農地局長、せっかく見えておりますが、あとに回していただきたい。
  51. 中野四郎

    中野主査 加藤溝二君。
  52. 加藤清二

    加藤(清)分科員 私は、この際、主として会計検査院の方にお尋ねしたいと存じますが、ただいまも先輩川俣分科員からのお尋ねがございましたが、近ごろ国有地が私企業の資本家の利潤追求、投機の場に悪用されていると思われる面が非常に多い。   〔主査退席、登坂主査代理着席〕 それについて、政府が協力をしているのではないかという疑いが濃い。これについて私は事例をあげて質問をしたいと存じますので、正確なお答えを願いたいと存じます。しかも、その土地たるや、実は戦時統制令とか、あるいは国家総動員法によって、赤紙一枚で旧地主から召し上げられた土地でございます。それが、工場用地であるとか、あるいは緑地帯の設定であるとかという美名のもとに、農地、採草地、ため池、沼等が地主に全く無断で設定され、召し上げられている。その土地が、その土地の騰貴につけ込んで、企業家の投資の場と相なっているということは、これは国民として許すことのできない問題である。企業家の、資本家の利益追求の対象になっているという姿を見れば、旧地主あるいは周辺の小作等々から見れば、これは黙視することのできない問題でございます。これについて、このような事例があまたございますが、会計検査院としては、このような案件について、過去においてはどのような態度をもって臨んでおられましたか。まずそこからお尋ねいたします。
  53. 上村照昌

    ○上村会計検査院説明員 私自身十分承知してない面もあろうかと思いますが、戦時中いろいろの関係で地主からとられ、戦後いろいろ問題が起こっておるということは、どこということは必ずしも十分承知いたしておりませんが、あるということは聞いております。その場合に、いろいろ問題になりますのは、所有権が国にあるのか、あるいは旧地主にあるのかというような点がなかなか判然としないで、あるいは訴訟とか、そういうものになっているものもあるのではなかろうかというふうに考えております。したがいまして、そういうものにつきまして、われわれいまこれが適正なものになるということは望ましいということは考えておりますが、そういう基本の問題が不明確であります場合に、われわれが右だ左だということは、実際問題として非常にむずかしいというようなことで、必ずしも私のほうからとやかく言ってないものもあるのではなかろうか、こういうふうに考えております。
  54. 加藤清二

    加藤(清)分科員 所有権が国有地に移転しておる、旧農民の所有権が国に移転しておる、そういう場合に、いよいよ戦争が終わった、工場ももうあとを継続して使わない、こういう場合の払い下げの条件と申しましょうか、使用目的の変更と申しましょうか、というときの第一条件、第二条件、第三条件と、その払い下げの順位がきまっているはずでございます。これについて大蔵省国有財産局長、順番はどうなっておりますか。
  55. 村田博

    ○村田説明員 私ども処分のものといたしましては、数年前から、最近のように土地が非常に逼迫してまいりましたので、またこういったような社会情勢でもございますので、また土地に対する国側の要請、また地元の要望というものも非常に強いわけでございますので、私ども処分の代表的なものといたしましては、公共、公益的なものに供するものに最優先的に考慮する。その次に、国土開発計画であるとか、新産業都市計画であるとか、その他もろもろの地方開発計画がございます。これに相当するものを考え、三番目には、その地元の産業に寄与するものを持ってくる。なお、このほかに、非常に小規模資産でございますが、物納財産でございますとか、たとえば宿舎を改造して住宅に供しておるという面もあるのでございまして、こういった小さいものにつきましても、これは、それぞれ別に大きな国策という問題では、こざいませんが、やはり住宅政策に側面から寄与するという面から、いろいろやはり財産処分をやっております。
  56. 加藤清二

    加藤(清)分科員 これは、もう政令できまっておるはずなんです。——きまっていない……。そうすると、きまっているといってうそをついたね、大蔵省は。私はこれに何べんも関係している。国有財産処理委員長もやっておった。それですから、あの当時はどうなっていたかというと、第一はあなたのおっしゃったとおりなんです。かつて民有地であったものが戦時統制令その他で召し上げられた、赤紙一枚でただの次みたいにして召し上げられた、その召し上げられた値段は、あなたたち若いからそれを知らぬだけの話ですよ。値段は幾らかというと、はがき一枚と一坪とが同じ値段、高いところでとうふ一丁、わかりますか、そのくらいの値段で召し上げられたんです。で、戦後これを処理するに当たって、国有地、官有機、国有機等々の払い下げが順次行なわれましたときの順序は、第一は、いまあなたがおっしゃったとおりです。公共のことに役立てるということが第一なんです。次に、工場が継続して生産を営むときには、以前に使っていた工場に渡す。第三は、もう工場は使わなくなった、国家目的で鉄砲も機関銃もつくらなくなった、そういう土地に対して、工場もまたそこをそれに使わないという場合に、もとの地主に返す、こういうことになっていたわけです。この精神が生きて、日銀の地下室にあった金の茶がまやら白金の延べ棒あたりもみんなもとの所有者に返されたわけなんです。ところが、今日、そのような順序で払い下げが行なわれているかというと、そうではない。完全に大蔵省国有財産局が私企業の連中にひねられておるか、ないしは結託したか、いずれかによって、何らそれには関係のない人のところへ払い下げが行なわれている。会計検査院、その払い下げの個数とかどうとかいうことは直接あなたのほうの任務でありますが、この国有財産法とおたくのほうの会計検査院法によりますと、その払い下げの理由にも、それから今度は所有権の移転にも、いろいろ検査の手を伸ばさなければならぬということに相なっておりますけれども、   〔登坂主査代理退席、主査着席〕 もし一、いま言ったそういう基準から逸脱した、そうして私が申し上げますように、私企業の投機的感情を満足させる、利潤追求を満足させるというようなことに払い下げが行なわれた場合に、この払い下げの方法は是か否か、これをひとつ承りたい。
  57. 上村照昌

    ○上村会計検査院説明員 ただいまの御質問でございますが、われわれ検査していきます場合に、その価格は適当であるかどうか、あるいはその払い下げの場合に非常に不適当であるという場合には、もちろん考えるわけでございますが、ただいまおっしゃいましたような点が、いままで検査したところでは、そういうものがあるという問題を実は私承知しておりませんので、ちょっと……。
  58. 加藤清二

    加藤(清)分科員 そうです。あなたのところにはわからないようにできておる、結託してつくっておる。  それでは、いまの件について、直接払い下げを担当していらっしゃる担当の責任者にお尋ねいたします。
  59. 江守堅太郎

    ○江守政府委員 途中で参りまして、御質問を承っておりませんでしたが、何かいま担当の課長からここで聞きましたところは、昔の地主に払い下げてはどうかというお話のように承りましたが、昔の地主に払い下げるということは、その当時のいろいろな戦争中の事情などから考えますと、おれのほうに返せという御主張は、また私どもとしてもやむを得ないと思われるような節のあるものもたくさんございますが、少なくともすでに登記が移っておりますもの、あるいは登記は移っておりませんが、代金は支払いまして、それを証明するような書面も十分に国のほうにあるという件につきましては、いまとなっては、国有財産の一般原則に基づいて売るというよりほかに法律的に方法がないということで、私どもの事務をいま進めております。
  60. 加藤清二

    加藤(清)分科員 途中からでしたから無理はないと思いますが、もう一度それじゃやむを得ぬから……。これだけの時間を余分にくださいよ。  こういうことなんです、私の質問していることは。戦時統制令とかあるいは国家総動員法とか、いろいろな戦争当時の法律によって、農地あるいは採草地、池、沼等々が赤紙一枚で召し上げられた。それで戦争を継続した。そこまではそれでけっこうなんです。ところで、いよいよ戦争が終わった。終わった場合に、この国有地、特に鉄砲をつくっていたとか機関銃をつくっていたとか、そういうもはや目的を喪失したところの土地、工場、機械等について払い下げが行なわれましたね。特にあなたのところでも、国有機二十四万台、官有機四十八万台、こういう工作機械から工具まで払い下げが完了しておるわけなんです。具体的に実例を申し上げますると、熱田の砲兵工廠であるとか、あるいは豊川の海軍工廠であるとか、これは全部一括して払い下げられた。三菱が使っていた土地は、これは旧地主に返したところもあれば、国家公務員の病院に建て直したところもある。学校に払い下げたところもある。このようにしていろいろ払い下げが行なわれた。そのときの基準の順序は何であったかと聞いておるのです。何も旧地主に全部返せなんということを言っているのじゃない。そういうサゼスチョンのしかたはだめですよ。何か勘違いしている。順序はどうであったかと聞いている。
  61. 江守堅太郎

    ○江守政府委員 払い下げの基準的な考えとして、まず、旧地主を一番に置くというようなことで払い下げをいたしたことは私はなかったと思います。
  62. 加藤清二

    加藤(清)分科員 そんなことを聞いているのじゃないので、順序は、何が一で、二、三とちゃんとあったはずでございます。あなたが覚えていなければ私が申し上げます。
  63. 江守堅太郎

    ○江守政府委員 国有財産を払い下げますこれは一般の考え方でございますが、まず、公共目的に一番合致するようなところに売る。それからさらには、産業の保護育成、あるいは民生の安定というような、最も利用目的がそういうものに沿うておるものに売るというのが、国有財産を処分いたします一般の原則でございます。ただ、具体的の個々の処分の場合に、それをどういう方面にやるのかということは、それは個々の具体的な事情によって判断をしてきめておるということでございます。
  64. 加藤清二

    加藤(清)分科員 そのとおりです。それで、第一がいわゆる公共目的、近ごろのことばで言うと社会開発の目的、公共のために払い下げる。それが官庁であるとか、学校であるとか、それは問わないで、まずそれである。第二は、工場を継続する場合がございますね。戦争中だって、平和産業に従事しているもの、たとえば衣服なんかをつくっておったところは、戦後もまたそれを続けてやろうという場合は、それはそのまま継続する。ところで、もう目的が喪失した。そうして全然鉄砲や機関銃をつくる必要がなくなったところはどうするかといえば、新しく通産省と産業構造をよく研究して、そこの産業構造の中に当てはまったものが申請を出した場合には、よくここと協議の上払い下げが行なわれた。それも行なわれないというような場合は旧地主に返したという実例がたくさんございます。私は、決して旧地主に何でもかんでも、日銀の地下室にあった延べ棒みたいに全部もとの者に返せと言うておるのじゃないのです。はき違えぬでおいてもらいたい。が、順序というものはそういうものであったということですね。  ところで、いま私が承らなければならぬのは、鷹来工廠の払い下げの件でございます。これについて会計検査院では、御調査の結果が新聞にも出、すでに決算委員会でもその調査が緒についているようでございます。したがって、もう会計検査院はよく御存じのことと存じまするが、これは、目下のところ一体どの程度調査が進み、どういう処理方針で臨んでいらっしゃいましょうか、承りたい。
  65. 上村照昌

    ○上村会計検査院説明員 ただいまのことにつきましては、払い下げの価格が安いということで、昨年検査いたしまして、三十八年度の検査報告に掲記しております。先ほど来いろいろ担当者の責任の問題もございましたが、これは、まだ私のほうで検討中で、私のほうで処置をどの程度に要求するかということは、まだきまっておりませんが、事態としましては、一応安過ぎたという判定は下しておるわけでございます。
  66. 加藤清二

    加藤(清)分科員 安過ぎた分について、大体二千数百万円ということになっておるようでございまするが、これは、安過ぎた場合には追徴金を納めさせようということでおさまるものか、それとも追徴金以外のところまで波及するものか、検査院の方針を承りたい。
  67. 上村照昌

    ○上村会計検査院説明員 物をあるいは高く買ったとか安く払い下げたというような場合、契約の条項等によりまして、安過ぎた分を取り返すというような法的の根拠があれば格別でございますが、本件につきましては、安過ぎたとわれわれが認定したものを相手方から法的に取り返すという手段はないように考えております。
  68. 加藤清二

    加藤(清)分科員 それでは、この件について払い下げの理由を承りたいのでございまするが、一体払い下げ許可を申請された人は、何の目的でこの払い下げ許可を申請されたのでしょうか。
  69. 江守堅太郎

    ○江守政府委員 主として輸出用の合板を製造する工場をつくるという目的で払い下げを申請されたのでございます。
  70. 加藤清二

    加藤(清)分科員 ピアノは入っておりましたか、おりませんか。
  71. 江守堅太郎

    ○江守政府委員 直接ピアノは入っておりませんでしたが、そういったものをつくる部品といいますか、そういうものの素材となりますいろいろの合板、これは合板を製造する工場でございますので、当然合板をつくる工場でそういったものも生産されるというふうに私は了解しておりますが、ピアノを製造するというような利用目的は、申請当時はございません。
  72. 加藤清二

    加藤(清)分科員 資本系統はだれとだれでございましたか。
  73. 江守堅太郎

    ○江守政府委員 昭和二十五年に一億円でできまして、その後二億円に増資した会社でございますが、資本系統と申しましても、たとえば三菱系であるとか三井系であるとかいうような、そういった資本の系統はないように私ども考えております。
  74. 加藤清二

    加藤(清)分科員 それはだれで、何という会社であったのですか。
  75. 江守堅太郎

    ○江守政府委員 東洋プライウッドという会社でございまして、社長は阿部広三郎という人でございます。
  76. 加藤清二

    加藤(清)分科員 その会社一社で申請をしておるのですか。合弁とか、あるいは合資とかいうことが申請書にうたわれておりますか、おりませんか。
  77. 江守堅太郎

    ○江守政府委員 東洋プライウッドという一社として申請をいたしております。
  78. 加藤清二

    加藤(清)分科員 その申請書の事業計画のあらましをここで御説明願いたい。——こうしましょう。これが本会議場だったらテレビで立ち往生ということになるわけだけれども、きょうはそういうことが目的じゃない、きょうはスムーズに円満に進めるということが目的ですから、こういうふうに聞きましょう。これは何年計画か、期限だけ聞きましょう。あなたのほうは事業計画を必ず詳細に調べ、通産省ともよく御連絡の上御許可になったはずでございます。しかし、それは局長がかわっていらっしゃるから、おわかりにならぬでも無理はないと思うのです。ですから、決していまの局長の責任だとは問いませんから、ただ事業計画は何年で完了するということをひとつ……。
  79. 江守堅太郎

    ○江守政府委員 事業計画、つまり輸出用の合板をつくる工場をここにつくるわけでございますが、その事業そのものをどのように発展させていくかというようなことについては、私ども実は詳細には承っておりませんが、ここに工場をどのようにして建てていくかという一種の建設計画でございますね、そういうものは、当時会社が出したものがございます。それによりますと、申請をいたしましたのが三十六年の十二月四日でございますが、そのときの申請書では、三十八年中に第一期計画によりまして整地その他宿舎の一部をつくり、一部の事業場をつくりまして、原木の貯木場、製材工場、乾燥場地をつくるという計画をいたしております。三十九年度におきましてチップの工場、単板の工場、木工の工場、塗装工場等をつくる計画をいたしております。四十年度中に接着剤の工場、プリント加工工場等をつくりまして全体を完成するという計画を、三十六年に申請をいたしました当時におきましては出しております。
  80. 加藤清二

    加藤(清)分科員 しますると、その工事計画だけを聞きますが、工事計画の着工から、第一次計画でも第二次計画でもいいです、ある程度生産が可能になるまでの工事の計画の完了日まではどのくらいの期間がございましたか。
  81. 江守堅太郎

    ○江守政府委員 約三年でございます。
  82. 加藤清二

    加藤(清)分科員 そうですね。もう一度お尋ねします。着工は何年でございましたか。
  83. 江守堅太郎

    ○江守政府委員 計画では三十八年度中に着工する計画でございます。ですが、これを売りましたのは三十八年の、第一次が一月、第二次が四月でございます。実際に売りましたのは三十八年になってからでございます。
  84. 加藤清二

    加藤(清)分科員 売ることは問題じゃないのです。契約が成立すれば、大体地目変更その他が必然的についてきますので、行なえるはずになっておるのです。しかも、あなたのほうは売り渡しをしたとおっしゃいましたが、大体国有地の払い下げの基準というもの、特にそれが工場をつくるとか学校をつくるとかいうた場合の払い下げの期限基準というものがあるはずでございます。それをどうあなたのほうは受け取り、どのように行政指導をしていらっしゃるのですか。
  85. 江守堅太郎

    ○江守政府委員 土地の売り渡しをいたします場合に用途指定をつけまして、たとえば二年以内に着工しなければならない、それから五年間はその目的に使わなければならないというような用途指定をつけて売り払う場合がございます。本件については、用途指定をいたしておりません。用途指定をいたしておりません理由は、この会社昭和二十五年に設立されまして以来、昔の軍の工廠でありますところの熱田あるいは高藏等の工廠の払い下げを受けまして、そこで先ほど申しましたような仕事をなさって、全国の合板の製造業界で相当の地位を占められる会社になられたわけであります。その後、その業績がますます伸びまして、さらに拡張をする必要があるということで、この土地を売るという話になってまいったわけであります。そのことが一つと、それから、これは随意契約に基づきますところの時価売り払いでございます。時価売り払いをいたします場合は、当時の私どもの仕事のやり方といたしましては、用途指定をつけないというようなやり方をしておったわけでございます。したがいまして、一方においては当社の従来の業績から申しまして、その目的に必ず使われるのであろうというふうに私どもは信じておったのでありますし、通産省あるいは春日井市等のいろいろこの企業を誘致なされるについての強い御要望などもありまして、用途指定をつけなかったのであります。したがって、事業計画は承っておりますけれども、私どもは、法律的にそれが何年以内に始まらなければこの契約を解除する、あるいは違約金を取るというような措置をとることはできないような形で売り渡したのであります。
  86. 加藤清二

    加藤(清)分科員 そんなふうに答えられておいていいですか。ようこのことばを記録しておいてくださいよ。  それでは承りますが、承る前に、私の立場を申し上げておきます。私は、ここで払い下げせられたことが反対ではないのですよ。けっこうなことだと思っておるのです。ところが、その払い下げの場合に、あなたは基準をつけなかったとおっしゃいました。そうですね。いまそうおっしゃいましたね。基準をつけないというその条件に、過去の実績がりっぱであったからだ、地元からの申請もあったからだ、こうおっしゃられました。そうですね。そうでしょう。そこでお尋ねしますが、それでは国有地を払い下げする場合に、条件なしで払い下げるというものは、一体どういう基準を備えておるものであるか。どこだって条件がつくはずなんです。無条件売り渡しなどというようなものはめったにあってしかるべきではない。国有財産法によれば、ちゃんとそれは書いてある。無条件で払い下げる基準を承りたい。それによって、あなたは今後別なものを払い下げるときにとんでもないことになりますよ。このことは会計検査院でもおわかりでしょう。
  87. 江守堅太郎

    ○江守政府委員 現行の国有財産法では、国が財産を売ります際には、原則としてすべて用途指定をつけるということになっております。(加藤(清)分科員「当然ですよ」と呼ぶ)政令によって列挙いたしました売り払い以外はつけるということになっております。これは、昨年の国有財産法を改正いたしました際に改正した点でございます。それより前は、法律上許されますところの譲与あるいは減額の売り払い等の場合には用途指定をつけることになっておりますが、それ以外の場合におきましては、個々の売り払いの場合に個々のいろいろな事情を判断いたしまして、これは国の国有財産払い下げの目的をそのまま実現するのに用途指定をつけたほうがいいのだという場合に用途指定をつけたわけでございます。
  88. 加藤清二

    加藤(清)分科員 いいとか悪いとか、感情論ではいけませんよ、基準がなければね。どういう基準に到達したときには用途指定を省いて払い下げをするか、その省くときの基準を私は聞いておるのですよ。あなたはつけずに渡したことは違法でないとおっしゃるから、違法でなければ基準があるはずですから、その基準を聞いておるのです。
  89. 江守堅太郎

    ○江守政府委員 まず一般競争入札で売ります場合、これは当然用途指定をつけません。それから予決令で随意契約を認められておる例がたくさんございます。随意契約によって時価売り払いをするという場合には、これは用途指定をつけてもいいのでありますけれども、当時のわれわれの仕事の進め方としては、大体つけていなかったということであります。基準と申しましても、それよりさらに、たとえば産業の保護奨励で時価売り払いをいたしました売り払いについて用途指定をつけるべきかいなかということについては、基準と申しますよりも、個々の売り払いのいろいろの実情によってきめておったということでございます。
  90. 加藤清二

    加藤(清)分科員 実情というと、ケース・バイ・ケースで、そのときの担当官の感情によってそういうことが行なわれるということですか。
  91. 江守堅太郎

    ○江守政府委員 感情ということではございませんけれども……。(加藤分科員「基準がなければ感情ではないか」と呼ぶ)感情というよりも、当該会社のいろいろな状況からいって、これは用途指定をつけたほうが産業の保護奨励、たとえば、鉄の輸出工場をつくるためにこの土地を売ってくれということでございます。これは、予決令上随意契約で売れるわけであります。その際に、用途指定をつけなくても当然その目的が貫徹できると思われるような会社もあるわけでございます。その会社にまで用途指定をつけますことは、その財産が時価売り払いであったという経緯にもかんがみまして、不適当な場合があるのであります。と申しますのは、用途指定をつけますと、つけられた財産の担保価値はどうしても下がらざるを得ない。そうしますと、会社が銀行から借ります際に、その担保力が一般の場合よりも低いわけであります。時価売り払いということをします根拠は、そういった随意契約ということでありまして、予決令上も当然できる相手に対して、そういう一種の必要以上の制限を加えるような結果になりますので、そのようにならなくても目的を達成することが可能だと思われるような場合には用途指定をつけないのであります。
  92. 加藤清二

    加藤(清)分科員 わかりました。時間が限られておるから、私は次に交代せんならぬから、質問にだけ答えてください。  最後に、あなたがおっしゃったことをもう一度復唱してくださらぬか。あなたがいまおっしゃった最後のところ、そこの一点だけ。
  93. 江守堅太郎

    ○江守政府委員 用途指定をつけるのは、その用途指定をつけなければ国の財産を売った目的の実現を達成することが不可能であると考えた場合に用途指定をつけるということでございます。
  94. 加藤清二

    加藤(清)分科員 国の目的が不可能になるということはどういうことかというと、申請したもののいわゆる計画変更、この場合は、いままでは没収でございました。期限内にその目的を達成せざる場合もまた没収でございました。もしあなたがいなとおっしゃるならば、入植者は十五年間も耕作しなければ全部私有権になりませんよ。戦争から帰ってきた兵士の方々が入植しているこの土地は、十五年間耕作しなければ自分の所有権に移らないのです。ちゃんと税金を納めてやっておってもそういうことになっておるでしょう。いわんや、きのうきょう申請して、さあいただいた、いただいたけれども、期限内に着工しなかった、手をつけなかったということになりますると、それで国の目的は達成できたと言うことができますか。いわんや、地元で協力した方々は、土地は取られたけれども、そこへ工場ができて、自分たちの子弟を採用してもらうことができる、それならば協力しましょう、こういうことなんです。それができない状態に相なっているという場合には、これは、いわゆる特約を解除しなければならない、こういう条項に当てはまると思います。当該財産の譲渡を受けた者のする管理が適当でないと認めるときも、なおまたこれは没収ということになるわけでございます。本件は、はたしてあなたのおっしゃるとおり国の設定した目的どおり事が進行しておりますか。
  95. 江守堅太郎

    ○江守政府委員 その後転売されまして、国の売った目的は全然実現されておりません。
  96. 加藤清二

    加藤(清)分科員 転売されたればこそ、またそこへの売り渡し価格があまりにも低過ぎたということを指摘されなければならぬことになりましたね。会計検査院さん、そうですね。ですから、目的を喪失して、工場をつくるという目的を没却して他人に転売して利潤をかせいだ。その払い下げを受けたときの買い値は、あなたが御調査になっても不当に安かった、こういうことを目のあたりに見ますると、地元の人たちはどう考えるでしょう。先祖代々、あの土地は私どものおじいさんやおばあさんたちの額の汗がしみ込んでいる土地である、それを赤紙一枚で召し上げられた、戦争が済んだから、今度は私らに返してもらえると思ったところ、あにはからんや、百姓をやらずに工場をつくって、おまえらを雇ってやるから来いと言われた、そこで賛成した。ところが、それがほかの人に売り飛ばされた、売り飛ばされて、これが翌日から今度は工場の敷地にでもなればいい。ところが、依然として草ぼうぼう、投機の対象にされている。これを見た周辺の人たちがおこるということは間違いでございましょうか。けしからぬと思う感情は間違いでございましょうか。会計検査院さんは数字を検査なさるのですが、ここをひとつ検査してもらいましょう。どうなんでしょう。おこるほうが間違いなのか、それとも今日の百姓、もとの地主は泣き寝入りをしなければならぬのでしょうか。
  97. 上村照昌

    ○上村会計検査院説明員 現地のあれを必ずしも詳細に承知しておりませんが、おそらくいまのようなことであれば、おこるのがあたりまえのことではないかと思います。
  98. 加藤清二

    加藤(清)分科員 これに対して大蔵省担当官としてはどうされますか。
  99. 江守堅太郎

    ○江守政府委員 はなはだ遺憾千万でありまして、私どもも非常におこったのであります。おこったのでありますが、法律的に契約を解除したり、違約金を取るという措置が、先ほどから何度も申しましたように、用途指定をつけなかったというために不可能であったのであります。用途指定をつけなかったということについては、私どもとしては、その当時の仕事のやり方として非常に不十分であったということは十分反省いたしまして、法律改正の際にもその点を入れたのであります。したがいまして、あの当時の売り渡しが、いまにおいて見るときに非常に遺憾千万な国有財産の売り払いであったことは、私はそのとおりと思います。問題は、それの善後措置としていかなることをするかということでありまして、その点については、われわれも契約を解除してあの土地を取り戻したいということを十分考えたのであります。また、そうしたいのでありますが、法律的にそれが遺憾ながらできない。そのために、先ほどから申しましたような措置をとったということであります。
  100. 加藤清二

    加藤(清)分科員 国の目的に合致するであろうと推定したがゆえに、いわゆる当然つけなければならない用途指定の条件を削除して売った。その売ったのはだれですか。それをあえて条件を付さずに売ったのは、あるいはあなたではないかもしれないが、あなたの先輩の局長なり、とにかく大蔵省国有財産局であったことは間違いがない。明らかに誤った結果、思わざる結果が発生したわけです。そのときに一体どのように処置したらいいか。あなたはどう考えていらっしゃるのか。
  101. 江守堅太郎

    ○江守政府委員 私があの当時の売り払いがはなはだ不適当であったと申しますのは、売り払いをきめましたいろいろな手続、あるいは判断において非常に間違っておったということを申したのではないのであります。その後において転売されるような事態が起こったということがはなはだ残念であったということを申したのであります。国有財産の売り払いをいたします際に、相手方がどういうものであるか、あるいは売り払い価格がいかなるものであるかということにつきましては、一方においては国有財産審議会に御諮問をして、検討もしていただいておりますが、現地の財務局におきましては、十分でない点はもちろんございましょうが、とにかく持っておりますすべての力を尽くしまして、契約の相手方あるいは値段のきめ方などについては勉強してやったのでありますが、その後、あの特別な事態のためにああいう結果になったということは、はなはだ残念でありますけれども、かといって、その売り払いをきめた当事者あるいは評価した者、それらが国にはなはだ重大なる損害を与え、役人として非常に不十分な行為をしたということで、そこまで責任を追及すべきやいなや、私どもは十分検討いたさなければならぬと思っております。
  102. 加藤清二

    加藤(清)分科員 あなたは妙なことをおっしゃる。簡単にいうと、払い下げの手続については遺憾はなかった。ところが、その後に発生した事件がはなはだ遺憾であった、こういうことですね。しからば、その後に発生したこととは一体何ぞやといえば、転売されたということですか。それともほかに遺憾なことがあったのでございますか。
  103. 江守堅太郎

    ○江守政府委員 転売されたということであります。
  104. 加藤清二

    加藤(清)分科員 私は、はなはだもって不可解です。なぜかならば、ここに会計検査院が見えておられるが、会計検査院が不当に安く売ったというのは、転売のときの値段ではなくして、国家が最初の第一払い下げ人に売り渡したときの値段が安過ぎるとおっしゃっているのでしょう。そうすると、会計検査院のほうでは、これは第一の払い下げが遺憾であったということなんです。ところが、それを局長は遺憾でないと言っておる。  しからばお尋ねしなければならぬが、あなたのほうは遺憾でないとするならば、会計検査院が検査したその値段が不当であるとあなたは反論されますか。とんでもない話だ。それだったら会計検査院に反駁書を出しなさい。時価が幾らかならこっちで教えてあげます。
  105. 江守堅太郎

    ○江守政府委員 私どもが売り払いました値段は、大体三千百円をちょっと出たところであります。検査院で御指摘を受けました値段は三千九百円を少し出たところであります。それで、検査院の御指摘されました点はたくさんございます。その一つは、私どもは時価を算定いたします際に採用いたしました相続税の路線価の価格を基準にいたしまして、これを時価修正率で還元をして、ある一つのあれを出した、それから固定資産税についても考慮してあるわけでございます。(加藤(清)分科員「反駁されますか、質問に答えてください」と呼ぶ)その点につきましては、私どもといたしましてはこのように考えておるのであります。売り渡し価額の算定にあたりまして、その当時のいろいろな事情から、東海財務局で調査をした範囲が十分でなかったというために、こういった御指摘を受けたのであります。売買実例のとり方が十分でなかった、あるいは相続税の修正率が不十分であったというような御指摘を受けたのであります。これらにつきましては、私どもは当時の財務局のいろいろな事情からいいまして、そういう売買実例のとり方などについては、実情上やむを得なかった点がたくさんあるというふうに考えておるのであります。でありますが、そのことは、決して私どもの評価のやり方が間違っていないとかいうことを申し上げているつもりは全然ないのであります。何ぶん時価というものはいかなるものであるかというふうに把握することは、しかも、それが現在のように非常に時価の変動する要素の多い、土地によっていろいろ上がり方なども違っておる、そういうときに、時価とは一体何かということを確保するのは非常にむずかしいことであります。したがって、私どもは検査院の御指摘については、私どものそういった評価のやり方について十分不十分な点があることを反省いたしております。ただ、時価とは何であるかということにつきまして、融通無碍に考えますと、その当事者がその辺の売買実例その他を考えまして、融通無碍にこれが時価であるときめることが最もその実情を反映するものになるかもしれません。でございますが、国が財産を売り払います立場で考えますと、と同時に、それはまた全国的にある程度バランスのとれたものであらねばならぬということで、私どものほうでいろいろそういった基準的な方法も指導をいたしておるのであります。私どもの指導の足りなかったために、現地での評価が十分でなかったというような面がたくさんあるのであります。この点につきましては、検査院から御指摘をいただいております三つの点を十分検討いたしまして、今後とも御指摘を受けることのないような評価ができるように十分指導してまいりたいというふうに考えております。
  106. 加藤清二

    加藤(清)分科員 私の質問に答えていただけばいいのです。私は、これが払い下げ価額が安過ぎたからけしからぬと言うておるのではないのです。どんなに安くても、安く受けた工場がそのおかげで周辺の人を潤す、そこから生み出された製品のコストが安くつく、というように、これがいわゆる乗数倍数になって民衆を潤し地元を潤していくということであれば何をか言わんや。そのために租税特別措置法その他の工場を優遇する措置は現に出ておる。だから、そういう思想について云々しておるのではない。しかし、現に今日私が質問しておることは、今日ここに起きた問題で、あなたは逃げ口上をしたいために、私のやったことは間違いでない、私らのやったところまでは間違いでない、しかし、そこから先で転売した者が悪いのだ、こうおっしゃる、さっきの言い分ですと。もし、しかくさようであるとするならば、会計検査院の指摘されたのは、転売のところでなくして、あなたのところが払い下げられたときのコストが時価よりも低過ぎるではないかという指摘なのだ。したがって、会計検査院は低過ぎていけない、あなたのほうはこれで妥当だという、そうなると、答弁が不一致でございますね。もしあえてあなたが、会計検査院の言う指摘が間違いである、私らのほうは正しいのだとおっしゃるならば、反駁書を出すべきだ、こう言うのです。だから、そういうことについて答えてくださいよ。
  107. 江守堅太郎

    ○江守政府委員 検査院の御指摘に対しましては、私どもはここに弁明書を出しておるのであります。私どもの評価いたしました金額は、その当時の事情としてはやむを得ない面があると思うけれども、決してそれがそのまま正しく時価を反映しているとは思わない、今後いろいろ検査院の御指摘いただいた点をもとにして十分時価を反映するような評価方法をなるべく早く発見してやるべく努力いたしますということを申しておるのであります。
  108. 加藤清二

    加藤(清)分科員 それだったら、私に対する答弁も、払い下げまでは遺憾でないということは言えないはずです。遺憾の点もあった、コストの点については遺憾であったということになるわけです。だから、改めるということになる。改める以上は遺憾であった。正しければ改める必要はない。そうでしょう。だから、そうなると、あなたは会計検査院に出した答弁書と私にいま答弁したことと食い違う、こういうことです。じゃ、野党の議員に対しては、決して彼らの言うことに従わない、彼らの言うことが間違いだから私は遺憾ではない、こう答えるけれども、会計検査院に対しては、遺憾であった、こう答えられるのですか。
  109. 江守堅太郎

    ○江守政府委員 先生とのお話がもっぱら東洋プライウッドの不当な転売ということをもとにして話しておりましたので、私は、その点が念頭に深くありましたので、そういう意味で申し上げたのであります。あらためて申し上げますが、本件につきましては、国の評価は不十分であった点があるのであります。この点については十分反省をいたしたいと思います。転売されましたあとの措置につきましては、残念ながら法的に取り得る措置がございませんので、今後においてはそういうことのないよう国有財産法を改正いたしまして、原則としてすべて用途指定をつけて、そういうことが絶対に起こらないようにいたします。また起こりました事態に対しましては、違約金を徴収することによりまして、この問題をとにかく早く安定させる、現地において東洋プライウッドに十二万坪の土地を払い下げまして、転売をいたしましたのが四万坪、八万坪残っております。これを早く当初の目的の仕事を始めることのできるように、安定した状態に戻そうということに努力いたしておるのであります。
  110. 加藤清二

    加藤(清)分科員 私は、用途指定をつけなかったというところにそもそものあやまちがあると思います。用途指定をつけなかったというそこに手落ちがあると思います。この件については、まだ進行中でございますので、いずれ私は決算委員会でまた質問をすることにしますが、会計検査院としては、いわゆる過去の実績を信用して、用途指定の売り払い条件を付さずに行なわれた払い下げが、直ちに転売されて利潤追求の目的にこれが使われた、そういうケースについて、検査院としてはどのようにお考えでございましょうか。もし大蔵省の言われるとおり、そういうことは正しいんだ、遺憾の意はないんだ、こうおっしゃるならば、失礼ですが、やってもらいたいことがたくさんある。それは、入植してから十年、十五年たっていまだに私有権に権利が移譲されていない多くの入植者がございます。こういうものに対しては、転売するはずはないのですから、いち早く売り渡すことを許してもらいたい。同時に、それが自分の財産になったとたんに住宅その他に転売したって何にも文句をつけられる筋合いはない、こういうことになる。ところが、大企業が手をつければ、転売は自由である。わずか一町や一町に満たないような土地を預かったものが十五年束縛されるのみならず、その後において、自分の私有権になったとしても、なおこれは転売することは許されない。自分の農業用の建物か、あるいは分家とかいうものを建てるときは許されるけれども、農地転用も許されない、こういうことに相なっているわけでございます。したがいまして、いまのようなケースが、それでよろしいとあくまでもおっしゃるならば、税も法も公平の原則に従って、公平な行政のあり方を私は要望したいと思うのです。ここが私の言いたいところなんです。こういうケースが次から次へと出てきたとしたならば、会計検査院としてはどう対処なさいますか。
  111. 上村照昌

    ○上村会計検査院説明員 この転売のことは、われわれも遺憾だと考えます。それから私のほうでは、転売の事実はもちろんございますが、払い下げたときどうであるかということで判断しました場合に、転売がいかぬからということで取り上げるということは、当時、条件をつけられなかった事情その他特に不当だというふうにわれわれも考えられないので、その点は、一応当局のやられ方をそのままに見ておるわけであります。  それから入植者等につきましての不均衡の点についてお話がございましたが、この点については、先ほど大蔵省のほうから御答弁もございましたように、国有財産法の改正がございまして、それに条件をつけるということになっておるのでいいんじゃないか、こういうふうに考えます。
  112. 加藤清二

    加藤(清)分科員 きわめて不公平、きわめて矛盾に満ちた行政のあり方である。強いものには甘く、弱いものにはきつく、これで人間尊重、これでなお社会開発とおっしゃる、私はそのことがきわめて遺憾だと思います。  次に、お尋ねしたい点がございますが、それは同じようなことが行なわれているんですね。たとえて申しますると、先般、予算総括質問、一般質問において問題になりましたところの九頭竜川の入札事件でございます。これは四十億そこそこの入札総額に対して、六億有余の差がございました。その一番高いところへ入札が行なわれたわけでございます。その高いほうの入札が匿名であればいざ知らず、指名入札であるにもかかわらず、くじ引きで当たったということでそこへ行っているんでございます。しかも、そこが特許権を持つとか、特殊技能を持つとか、そこでなければできないという仕事であればこれまた納得ができる。しかし、そうではない。むしろ経験者のほうが落とされちゃって、一度も経験したことのない会社にそれが行なわれている。だからこそ、本件に関してはたいへんな問題が起きて、新聞はでかでかとこれを取り上げている。ごらんのとおりなんだ。もちろん一般紙は全部これを取り上げております。いま問題になっている。やがて決算委員会田中彰治君が電源開発の総裁を招致する、こう言っておりますけれども、そういうやさきに、片や農家が没収されますところの土地、水底に埋没を余儀なくされるところの土地、これについては最低の値段で、しかも、この賠償までもまだ決定していない。そこで、村は反対決議、県も反対決議ということで、その結果はどうなったか、これは、日本人がけしからぬということだけではない、アメリカから、金を貸すほうの世銀の方までがけしからぬ。だから、これは貸し付け対象から除外になってしまった。まあ新聞にはその原因をセンセーショナルに報道しているのがありますが、私は、あえてそれをここで持ち出そうとは思いませんが、片や農家とか、あるいは中小零細企業の入札の場合、あるいは農家の土地を召し上げる場合は最低で召し上げておいて、大企業が本堤をつくる場合には、四十億に対して六億ですよ。一割五分の金なんです。これを上積みして入札させるという事件が起きて、いま問題をかもしているわけだ。私どもは、ことしの世銀借款でございますから、この問題が解決しなければ黙って予算を見送るわけにはいかない、こういう決意でおりますが、これについて、これは結果じゃございません。事前ですから、まだ行なえないのですから、着工もできないのですから、いまのように、逃げたウナギだからやむを得ない、向こうに渡っちゃったからやむを得ない、こうおっしゃるならば、今日まだこっちにおるのですから、これは逃げていないのですから、いまのうちに手を打ってこれを是正させるべきであると私は思いますが、会計検査院としてはどのようなお考えでございましょうか。
  113. 上村照昌

    ○上村会計検査院説明員 電源開発の問題につきましては、新聞紙上等で拝見して承知しております。行政指導をどうするかという点につきましては、むしろこれは通産省関係じゃないかと思いますが、われわれとして考えますのは、新聞に出ておりますように、最高のものがとにかく入札をとった、最高の入札価格のものが結局契約した、あとの安い価格のものが契約から除外されたということは、確かにお話のようにおかしいことじゃないかということで実は考えております。考えておりますが、三十九年の検査で、検査するほうにも事情をよく聞いて、どういうわけかということを調査するように現在いたしております。現在はまだ検査が済んでおりませんので、詳細申し上げるわけにはまいりません。
  114. 加藤清二

    加藤(清)分科員 とにかく、これについての検査をすでに開始されたのですか、これからやろうとおっしゃるのですか。
  115. 上村照昌

    ○上村会計検査院説明員 三十九年度の検査としてこれからやります。ということは、四月以降ということになります。
  116. 加藤清二

    加藤(清)分科員 もしこれが事実であった、最高価格でくじ引きで入札させた、そのくじは一体だれが引いたかと言ったら、総裁が持っていって引かした、こういう話だ。総裁が取った、そういう事実が判明したとしたら、あなたたちはこれをどうなさろうとなさるのですか。もう一つ、ここで御参考に申し上げておきますが、この質問に対して大蔵大臣は違法であると答えております。通産大臣は合法であると答えております。しかし、同じ席で、同席でそう答えて、だんだん通産大臣、疲れたらどうなったかというと、わかりませんと答えている。きわめてふしぎですと、こう答えておる。監督官庁がふしぎです、わかりません、こういうことを言っておる。しかし、建設省はどう答えておるかと申しますと、そのような入札の様式は多目的ダムにはいまだかつて使用した覚えがございません、こう答えておる。で、こういう前例もなければ、大蔵大臣も世銀の借款の場合に除外されてたいへん苦労した、合法でないと答えている。通産大臣はわからぬと答えている。ふしぎだと答えている。こういう問題が起きた場合に、おたくのはうの調査権発動ということは、時期が到来しなければいけないのか、それとも、警察権のように、発生したら直ちに手をつけることができるのか、私はわかりませんからお教え願いたいと思います。
  117. 上村照昌

    ○上村会計検査院説明員 くじ引きでやったかどうかということは、私の聞いておる範囲では、くじ引きでやったということは知りません。(加藤(清)分科員「いや、通産大臣が答えておる。予算委員会で、くじを引いて当ててもらったと答えておる」と呼ぶ)そこのところはよくわかりませんから、調べてみたいと思いますが、国のほうの会計は、御承知のように、皇太子のお住まいを建てるときに、最低入札価格ということがもとあったわけでございますが、ああいうことで多少論議になりまして、最低入札価格でなくても落札し得るという余地を会計報告で改正したことがございます。その場合には、各省が基準を定めて、きめて、それに合致して、どうしても履行ができないという場合には考えるという規定になっておりますが、電源開発のほうはその適用がございませんので、おそらく電源開発では、何といいますか、最低入札価格で落札するということで定めておられるか、あるいはロー・リミットといいますか、何割以下は落さぬという定め方をしておられますか、ここのところはもう少し私のほうで検討してみませんと、違法かどうかということはいまのところちょっとよくわかりません。それから検査のほうは、いつでももちろんできるわけでございまするが、やはり旅費とか、そういうものの関係もございますし、全体の運用の関係もございますので、すぐいけるかどうかということは、やはりできるだけ早く調べるということはもちろんでございますが、そんな関係もございますので……。
  118. 加藤清二

    加藤(清)委員 それでは、いまわからぬところはあとで研究して調査して、この予算委員会が終わるまでにひとつ提出願いたいと思います。  それから、いまの、大体検査ということはなぜ行なうかといえば、そのような間違った行為が事後行なわれないためにという大きな目的、ファクターがそこにあるだろうと思います。したがって、それ以前にそれが除去できたらもっといいはずでございます。で、旅費の予算があなたのところで幾ら組んであるか、私のところではわかっております。予算上、会計検査院予算は、さっき説明になったばかりだからよくわかりますが、公団というのは東京の都内ですよ。どれだけかかります。自動車賃が何ぼかかります。都内を走ったときに出張旅費がどれだけつくかしらぬが、飛行機賃も要らぬし、汽車賃も要らぬわけですし、要すれば招致することもできるわけです。これはおかしいじゃありませんか。そこで、これも、それじゃ飛行機に乗って行くとか、外国の船に乗ってでも行くというようなことだったら、これは旅費も問題になるでしょう。しかし、九頭竜へ行ってくるのにどれだけの金がかかりましょうか。こういう間違いを、先ほど大蔵省からお答えになっちゃったように、思わざる結果が出てきたというような答弁がここで行なわれないように事前に手を打って、国民の膏血である税金だと総理も言うておられますので、総理もふしぎだと言っておられるのですから、そんなことがあってはけしからぬと言うておられるのですから、そういう問題については、可及的すみやかに手を伸ばして検査をして、そうして、もしそういう悪意があったとするならば、それは事前に除去させることのほうがより会計検査院の設置目的に合うだろうと思います。したがって、これも、どうなっておるかということの概略でもけっこうですから——これくらい新聞でわいわい騒いでいるのに、会計検査院は知らぬ顔の半兵衛をきめておったとすると、一ぱいかまされたのではないか、同じ穴のキツネになったのではないかと邪推をされてもやむを得ぬだろうと思う。したがって、当分科会最後の日までにこれはひとつ御調査を願いたいと思います。なぜかなれば、この問題は、次の終わったところで、一般及び総括のところで必ずまた出ます。必ず出ます。出ることにもう打ち合わせしてありますから、理事会にお預けの問題でございますから、死んだ問題ではございません。したがって、ぜひ御調査を願わないと、やがてまた近いうちに決算委員会でも出る。そのときにまた会計検査院怠慢ではないかと言われなければならぬ。至急これは御調査願いたいと存じます。最終日までにある程度の中間報告でもよろしいから、御報告願いたいと思いますが、この点はいかがでございますか。
  119. 上村照昌

    ○上村会計検査院説明員 ただいま仰せのように、東京都内でありますので——もっとも、これは内容を調べていきまする場合に、予定価格をどういう形で立てていったかということまで入っていくということになりますと、これはちょっとすぐというわけになかなかいかぬ面もありますので、できるだけ調べてお答えすることにいたしたいと思います。
  120. 加藤清二

    加藤(清)分科員 これは、おたくのほうとしては、それをなさることがきわめて合法である。あなたのほうの権限の中にそのことがうたわれていると思うのです。すなわち、国が資本金の二分の一以上を出資している法人の会計、こういうことになりまして、検査対象の範疇の中に入っているわけでございます。したがって、あなたのほうがやられることは決して越権でもなければ何でもないわけです。行政指導している方がわからぬのはふしぎだなんて、言うて立ち往生して、迷っている。だから、おたくのほうからこれを援助なさるということは当然な義務であるし、会計検査院の与えられた任務遂行上これは必要なことだと思いますが、この点はいかがでございますか。
  121. 上村照昌

    ○上村会計検査院説明員 電源開発は、御承知のように、検査対象の中にももちろん入っております。検査は従来からやっております。できる範囲ということで、調べられぬ面がその他にもあるかもしれませんが、できる範囲で調べて答えたいと思います。
  122. 加藤清二

    加藤(清)分科員 時間が来たようでありますから、これで質問を終わりますが、私は最後に申し上げたいと存じます。それは、国の払い下げについては、受ける側にとっては安いほどいいにきまっておるのです。それから今度は、入札をしてもらう側にとっては高いほどこれはいいにきまっているのです。ところが、国家としては、国の財産を、国家有用のために、国家目的を達成するために有効にこれを使わなければならぬと思うのでございます。同時に、会計の関係で入札をさせる場合には、むしろ入札を受ける人よりは、その資金負担する国民の側に立ってこれを考えなければならぬと思うわけで、ございます。この国民の、いわゆる佐藤総理の言った膏血が取れるべきものが取れずに終わる、あるいは渡すべからざる大金が渡されるというようなことは、これはすみやかに改めなければならぬし、もし発見されたとしたら、未然に防ぐべきである。国家的目的、国民のしあわせということから考えたら、これは当然行なってしかるべきだと思います。特に九頭竜の問題は、それこそまた乗数倍数の問題がここから発生いたしまして、設備資金の高額は、やがてそこで発生するところの電力料金に影響いたします。その電力料金は、やがて大衆ないしは工場が負担する電灯料金、電力料金に影響をいたします。現に今日、この国会の中で、某電力会社の電力料金は上げましょうか、下げましょうか、いやどうしても上げてもらわなければならぬ、その理由はと言うたら、設備資金が多いからです、こういうことになっておる。設備資金のより多きは、やがて国民負担をふやすことになります。これは、やがて公共料金の値上げとして物価高を呼ぶもといになる。だから悪が——数字の、予算の倍数じゃなくて、悪が悪を生む倍数、一犬ほえて百犬ほえるということに相なると思うわけでございます。したがって、会計検査院におかれましても、良識と勇気をもって、すみやかにこの問題に対処されんことを要望いたしまして、質問を終わります。
  123. 中野四郎

    中野主査 この際、先刻保留されておりまする川俣分科員の発言を許します。川俣君。
  124. 川俣清音

    川俣分科員 引き続いて質疑を続行したいと思います。  第一にお尋ねしたいのは、大蔵省国有財産局長がおいでになっておりますからお尋ねしたいのですが、並びに会計検査院の見解も聞きたいのですが、国有地の境界の決定者はだれでありましょうか。所管大臣だと思いますけれども……。
  125. 江守堅太郎

    ○江守政府委員 国有地がどこまであるかということをきめますのは、もちろん大蔵大臣でございますが、隣が民有地の場合が多いのでありまして、その際は、隣地の所有者と十分話し合いをしてきめるということになっております。
  126. 川俣清音

    川俣分科員 その境界標の移動の権限はだれにありましょうか。これも主管大臣であると存じますが、行政の所属の局長または長官ではなしに、国有財産の総括者の認可を要するものだと思いますが、この点どうでしょうか。会計検査院並びに大蔵省のほうからひとつ……。
  127. 江守堅太郎

    ○江守政府委員 境界標を移動するのはだれであるかという問題でございますが、国有地であることが確定をいたしておりまして、しかも境界のある場所が違うというような場合、普通財産につきましては、大蔵大臣が隣地の所有者の許可を得て、線というか、境界塔というものを移動しております。行政財産につきましては、それぞれ所管の大臣がやっております。
  128. 川俣清音

    川俣分科員 そうすると、その境界標というものは、大蔵大臣の許可がなければ移動できないものと見てよろしいですか。これは、会計検査院にもひとつお聞きしたい。
  129. 上村照昌

    ○上村会計検査院説明員 大蔵省からお答えになったと同様と考えております。
  130. 江守堅太郎

    ○江守政府委員 移動と申しますのが、つまりどういう場合でございましょうか、その隣の民有地の所有者が、自分の所有権は、国の境界線はここまでだけれども、ここまであるのだ、したがってここまで移したいというような場合のお話だといたしますと、それは、許可をするしないの前に、まず国有財産の面積が幾らであるか、それに隣合うところの民有地の面積はいかなるものであるか、しかも、その境界線はどのようなラインで成り立っておるのかというようなことを、事実的にも法律的にも明確にしなければならないと思います。それが明確になりましたあとにおきまして移すということにつきましては、これは当然のことでございますので、先ほど申しましたように、普通財産につきましては大蔵大臣、行政財産につきましては所管の大臣が事実上それを行なうということでございます。
  131. 川俣清音

    川俣分科員 それでは、私は具体的に言うと、公務員、大蔵省職員が境界標をかってに移動させるとか、あるいは司法官がかってに移動させるとかいうことはできないとこう理解しますけれども、そうでないでしょうか、とこういうことなんです。これは間違っているという判定は、行政財産であれば、管理者である主管大臣でありましょうし、国有財産であれば大蔵大臣だと思うのですね。
  132. 江守堅太郎

    ○江守政府委員 国有地の境界が隣の民有地の上にまで延びるべきか、民有地が国有地の中にはみ込んでおるというような場合に、境界塔をどのようにして移すか、あるいはその境界のさくをどのようにして打つかという問題でございますが、たとえわれわれが公図上国有地だというふうに認定をいたしまして、したがって境界は向こうさんが主張されるよりももっと奥のほうに置くべきだというふうな場合におきましても、民有地の所有者の方とお話し合いをいたしまして、御納得を得られればもちろんできることでございますけれども、隣の方が、それは絶対おれのものだ、そんなことには反対だということを言われる場合には、公権力だということで直ちに執行するのは適当でないというふうに思います。
  133. 川俣清音

    川俣分科員 いま問題がありますので、それを基本的にお尋ねしておったのですが、現にある国有財産の境界敷地というものは、所管大臣の認可といいますか、許可を得ない間は移動ができないものだ、合法的に確定してからこれを執行することはできるでしょうけれども、そうでない限りにおいては、主管大臣の認定がなければ移せないものだ、こう私は理解をしておるからあえてお尋ねをしておるわけであります。  次にお尋ねしたいのは、いま大蔵省は、日本の経済の動向からいたしまして、なるべく物価を引き上げまいとすることに協力をする立場に立っておるわけだと存じますが、それと同時に、先ほど質問いたしておったのですが、国有財産を十分な管理をする上から、その処分等にあたってはできるだけ国に損害を与えないように、有利に処分できるようにすることが望ましいと思うのです。これは原則的に間違いない。ただ、その場合に、いま一番物価の基礎になっておりますものは土地価格です。生産基盤であり、あるいは工場の固定資産の基盤になります土地価格があらゆる物価のコストに非常に影響してくることは申すまでもありません。そこで、一体土地価格をどうして押えていくかということについていろいろ苦労をされておると思うのですけれども、いい方法はないということで放任されておりますが、みずから引き上げるようなことも控えていかなければならぬのじゃないかと思うのです。この点はどうでしょうか。土地価格を引き上げていくような方向をセーブしていかなければならないとお考えになっておりますかどうかをお尋ねしたいと思います。
  134. 江守堅太郎

    ○江守政府委員 そのとおり考えております。
  135. 川俣清音

    川俣分科員 そこで、一方においては国有財産管理する上から、国有財産の価値を高めていかなければならない要請をあなた方が背負わされておる。これを売り払う場合に、なるべく価格が高くなるほうが望ましいという要請と、他の物価政策の上からできるだけ価格が高騰しないようにしなければならないという二方面を背負わされておるわけですが、これを将来どう処理していこうとしておりますか、見解を承っておきたいと思うのです。
  136. 江守堅太郎

    ○江守政府委員 私どもが国有財産を処分いたします際、それを高く売って国の収入をふやそうというようなことを最初に考えてやってはおりません。財政収入ということを考えますならば、競争入札をいたしまして、一番高いところに落とすということが一番目的を達成する方法でもございますし、私どもとしても、仕事はむしろそのほうがやりやすいのであります。ただいまは、国のいろいろな政策に順応いたします目的をもって土地が本来の目的に沿った利用のされかたをするということが一番大事なことであると考えております。したがいまして、そのために随意契約の方法を用いまして、そういった、たとえば産業の保護奨励のために随意契約を認められております面にこれを売りまして、その目的を達成するというふうに考えておるのであります。その場合の売り払いの価格の問題でありますが、随意契約でございますので、あらかじめ国は、この土地は幾らで売るのが最も妥当な価格である、妥当なと申しますのは、財政法にいいます適正な対価という意味でございます。適正な対価と申しますのは、減額譲渡あるいは譲与などは法律上はっきり規定してございます。それ以外の場合の適正な対価とは、すなわち時価であるというふうに思っておるのでございます。その時価と申しますのは、私どもは、あくまでも民間の土地の売り払いの場合のように思惑的な要素の入りました値段というようなものは、時価とは考えていないのでございます。土地のコスト計算ということはもちろんできるはずもございませんが、現在の価格体系の中におきまして中値的と申しますか、そういった公正な時価を求めて、これで売るというふうに考えております。
  137. 川俣清音

    川俣分科員 そこで、時価ということが問題なんです。あるいは会計検査院で使っております近効の類似地の売買実例というようなものが時価を形成するわけですが、時価というのはそういうものでしょう、基準があるわけじゃないのですから。売買実例等が時価の基準になる。売買実例の中には、あなたが御指摘になったように、将来の見込み、投機的な見込みを織り込んだものも時価に入るわけですね。そこで、価格からいうと、値上がりムードの中においては、時価が上がる傾向、それを助成するような傾向が出てくる。そこで、国有財産というのはどう処分したらいいのかという問題が出てこなければならぬはずだと思う。一般の政策とどう合わせて時価を決定するかということが出てこなければならぬ。この時価の算定については、大蔵省といえどもあまり案がないでしょう。たとえば、国民の大きな負担になります固定資産税の評価などについても時価主義をとるというのですが、時価とは何か。時価というものははっきりしないでしょう。いままでの多くの例を見ますと、説明によりますと、近郊において類似地の売買されておる実績を時価に使え、こういう大体の意向のようです。大蔵省もまたそうでしょう。会計検査院もまた同様な見解でいろいろな事項を判定しておられるようですが、一体国有財産局としてこういうものに真剣に取り組んだことがないんじゃないですか。基準というようなものを持っておられないのではないですか。この基準というものがまた経済の動向によっておそらく変化するものでありましょう。大蔵省は一つの基準を持っておられるようだけれども、何か聞けば、固定資産税の評価基準、これが基準だとおっしゃる。その基準はどこからきている、こうなりますと、またもとに戻って、近郊の類似地の売買実例価格だ、こういうことになっておる。すなわち、持っているのではなくて、動かされるものですね。時価というものは常に動かされるもの、経済動向に常に支配されるものということでしょう。そうすると、問題がここに出てくる。国有財産管理としては、処分する場合はなるべく有利に処分しなければならないという使命と、いま申したように、一つの国の大きな政策として立てておる動向と違ったようなことでも、有利に処分しなければならぬかどうかという問題について、国有財産管理者としては当然検討されておると思うのですが、どういう検討をされておりますか、それをお聞きしたい。ないならないで、別に責めるつもりはない。
  138. 江守堅太郎

    ○江守政府委員 仰せのとおり、時価は何であるかということは非常にむずかしい問題であります。と同時に、われわれの仕事の非常に大きな部分を占める問題でもありますし、それから国民の方々のいろいろ御不満を受ける点、あるいは財務局の仕事のやり方が不十分であるというような面も、ほとんど時価が幾らかということに集約されてあらわれておるわけであります。私どもとしては、一方において、時価というのはそのときの値段でありますので、もとより客観的に一つの尺度でもってきめるものではなくて、そのとき、その場所によっておのずからきまるものであります。かといって、その従事者のきわめて主観的なもので恣意的に求めた場合には、それで時価を直ちにきめてしまうというのは、行政のやり方としてきわめて適当でない。そういう意味では、一方において、ある程度まで客観的な基準を求めながら、  一方においては、それを現地の時価、売買実例、あるいは精通者の価格というものによって調整するというような方法を現在とっておるのでありまして、おそらく評価の筋道としては、それ以外の方法はないと思います。ただ、それが実際に具体的に妥当なものであるかどうかという点につきましては、先ほども申し上げましたが、本省の指導のしかたなどにおいてまだまだ不十分な点がある。と申しますのは、客観的なある一つの基準、いまおっしゃいましたとおり、相続税課税標準価格、すなわち、これは、国税局のほうできめますところのいわゆる路線価の価格というものを何か修正してきめるということなんであります。その修正をどのようにしてするかということにつきまして、これまたある程度まで全国一律の方法をとらざるを得ないし、またそれをとると、場所によっては非常に変な面も出てくるというふうな問題もございますので、これは、全く仰せのとおり非常にむずかしい問題であり、完全にやれるという自信はもちろん持ちませんけれども、なるべくあやまちが少ないようにということだけは一生懸命勉強してやっておるのであります。
  139. 川俣清音

    川俣分科員 非常にむずかしい問題であるだけに、会計検査院等も大蔵省の国税局と緊密に研究、研さんを遂げておかないといかぬ問題じゃないかと思うのです。会計検査院は、御承知のとおり純然たる行政から独立した機関ではありますものの、こういう国民生活に関係の深い判定をあえてしなければならぬ任務を持っておりますだけに、その指導を誤らないようにしなければならないと思うのです。単に不当だ、不正だという指摘をするばかりでなく、それが影響するところ非常に大きいわけです。先ほどあなたがおっしゃったと思うけれども、林野庁の原野あたりの貸し付け金の値上げにつきましても、国が上げたからということで、付近の私有地もみな上げるという傾向が出てきて、せっかく農業構造改善事業で、共同で事業が始まる前後になってから、原野の提供者がもとに戻りまして、とにかく価格が安いから応じられないといって騒ぎになっておる例もないわけではございません。したがって、影響するところが非常に大きいわけなんです。国有財産の処分が民有地の処分に一つの基準を与えるものでありますだけに、非常に大きな経済的な影響を持つから、十分国有財産管理者と、そういうものを比較して指摘されなければならない立場にある人とが十分検討しておく必要があるのじゃないか、私はそう思うのです。これは独自であるべきだ、それはそのとおりです。独自でないほうがいいなんて、決して思いません。しかし、それが経済的に非常に影響するような問題は独自に判断をして、不当か不当でないかという判断は独自でされるべきですけれども、その基準となるようなものについては、やはり検討しておく必要があるのじゃないか、こういうふうに私は思うので、会計検査院国有財産局長と両方にお聞きしておきたい、こう思うのです。
  140. 上村照昌

    ○上村会計検査院説明員 国有財産の評価は、ただいまもお話がございますように、非常にむずかしい問題でございますので、今後われわれ十分検討してやっていきたい。また先生から御意見がありました点も、十分参考にして今後はやっていきたい、こういうふうに思います。
  141. 江守堅太郎

    ○江守政府委員 お説のとおり、私どもも一生懸命勉強してやってまいりたいと思います。また、検査院とも、従来ともそうでありましたが、絶えず評価の問題につきましては御相談をいたしまして、適正な基準を求め得るように努力したいと思います。
  142. 川俣清音

    川俣分科員 それで、具体的に先ほどの問題に戻りますが、東海財務局が、元の陸軍用地を会社に非常に安く払い下げまして、二千四百万円ぐらいの欠損を与えたという指摘を受けておる。こういう土地の処分については、財産を本体にする会社でありますから、これこそ厳格な査定をしなければならないのに、しかも地方財務局でありますだけに、経済の動向については察知しなければならない任務を持っておるし、また相続税、固定資産等に対する基準についても、国税局の見解等も十分参酌して、経済の動向を見ておるはずであります。そういう財務局が不当に安く処分するというようなことは考えられないことです。おそらく利権屋に踊らされた、あるいは仲介業者に踊らされた結果じゃないかと私は思う。そこに犯罪があるかないかは別にいたしましても、不当な処分をしたことには間違いないのですが、こういう国有財産管理の立場にある局長として、こういうことをやった者をそのまま放任しておかれるわけはないと存じます。必ずこれは処分がなければならぬはずだと思います。私は処分すべきだ、こう思いますが、局長はどうお考えになりますか、これをはっきり聞いておきたいと思います。
  143. 江守堅太郎

    ○江守政府委員 もしも当事者において国有財産の処分にあたりまして非常に不当な処分のしかたをした、そのために国に重大な損害を与えたというようなことが非常にひどいということが明確になりましたならば、私は処分をすべきであると考えております。ただ、この問題は非常に昔からの沿革のある問題でございまして、私どもがずっとその辺のところをたどって考えてまいりますと、この問題の土地をその会社に売るということをきめました、相手方をそれにしたということにつきましては、いまのところ当時の財務局としてはやむを得ない立場にあったというふうに思っております。  それから評価の問題でございますが、これは、先ほどもお話ししたところでございますが、検査院の御指摘に対しては、われわれ十分御指摘の点を検討して、今後こういうことのないようにいたしたいと存じますが、当時の事情としては、あの評価額を採用したということにつきましては、これまた当時の評価事務従事者におきましては、非常に不当な間違いがあって、相手方と結託して特に安い値段をつくって、それで売るんだというような事情があったとは私ども考えておりませんので、そういう意味で、この評価はすべて不当だということで、その評価従事者を直ちに処分することはいま考えておりません。ただ、この問題は、私ども違約金をとりまして一応これで済んだ、したがって、今後はあのあとに残りました土地に東洋プライウッド会社が当初の目的の事業を一日も早く始めてくれることだと思っておりますが、何ぶんいろいろの問題があることでありますので、あるいは今後そういった厳重に処置しなければならないような問題が起こってくることが絶対にないとは申しませんけれども、いまのところ、私どもは相手方をきめた者、あるいは評価をした者、あるいはそれらの監督責任者であった者を直ちに処分するというようなことは考えておりません。
  144. 川俣清音

    川俣分科員 会計検査院の指摘するのは、二千四百万円不当に安く売ったという指摘、そこなんです。価格の査定はむずかしいじゃないかということを話をするというと、一定の基準がございます、こういうように答弁される。これは不当じゃないかと言うと、いや、あれは不当でなかったんだ、現実にぶつかって問題が出てくると、それは不当じゃないんだ、私どもの見解はこうだ、会計検査院の見解と私の見解は違う、こういうお話なんです。結論を詰めていうと。よその分は別にして、大蔵省、しかも国有財産全体の総括の責任者が大蔵大臣、それが時価をきめるのは非常にむずかしい問題だということは私もあえて指摘したところです。それでもなお不当だということで指摘を受けたんだし、しかも、大きな損害を与えたんだから、これはほかの官庁と違う。行政財産と違うのです。そういう基準をほかの官庁よりも持っておられるのが本質なんです。それが仕事の内容なんです。それにかかわらず、不当だという指摘を受けたのですから、これは何といいましても処置が悪かったということで、処分の対象にならざるを得ないと私は思う。これは、予算の本委員会で問題にしますよ。だから、あらかじめここで問題にしておいて頭に入れておいたほうがいいじゃないか、こう思うのです。局長ができないということになったら、これは大臣の問題ですよ。大臣ばかりでなく、国会としても、その処分がどういうふうに行なわれたかによっては、いたずらに国民の税金を大蔵省に預けるわけにはいきません。この予算をそう軽々しく承認するわけにはいかない。そういう結果になりますから、いまのうちに何らかの考慮をさるべき問題だと思って、あえて指摘したのです。これは、本委員会でやるとなかなか私ども引き下がれないですよ。ここなら分科会ですから、あなたの言う話を了承したというような形で引き下がれますけれども、予算ももう最終の段階に来ておりますから、こういう問題があることだけを念頭に置いていただきたい、答弁ができないならできないで、あとで大蔵大臣から答弁を求めたいと思いますが、ここで答弁できればしていただきたい。
  145. 江守堅太郎

    ○江守政府委員 先ほど申しましたとおり、現段階においてその当事者の責任を追及するということはさしあたり考えておりません。いまお話もありましたので、十分帰りまして検討いたしたいと思います。
  146. 川俣清音

    川俣分科員 次に農地局長にお尋ねいたします。  時間がないから、ひとつ抽象的なやつを先に質問いたしますが、農地局の所管でありまする自作農創設維持資金の所管する国有財産、農地財産は、所期の目的どおり活用されていないという点がたびたび指摘されておるわけでございます。これは、前国会におきましても私も指摘したとおりでございますが、依然としてこの業績があがっていないのはどうしたことだろうと思うのですが、農地局の人員が足りないのか、いま地方農政局をつくってかなり地方的にも活躍するような組織になっておるのですが、この組織はいたずらにつくられた組織であって、つくられた価値を発揮できないままだと、極端なことばで言うと、この地方農政局というのは不必要な存在になると思うのです。これは、私どもにとっては大きな関心事でございます。不必要な行政を拡大するわけにはいかないわけですから、そういう意味で、どうしていつまでもこれは整理がつかないのか、この点をはっきりしていただきたい。しかも、耕地が少なくて規模拡大だというようなことを言われておるにもかかわらず、その整理が行なわれていないという点は、問題が大きいと思うのです。
  147. 丹羽雅次郎

    ○丹羽政府委員 お答えいたします。  自創特別会計で取得いたします土地は、御承知のとおり、農地と未墾地でございまして、現在既墾地は、いわゆる農地でございますが、七千八百町歩、未墾地は三十三万町歩ぐらいありますが、先生十分御承知のとおり、既墾地といいますか、農地のほうは、現在の農地法で持ってはならないことになっておる小作地等を買収したものと、開拓のために買収したもので自創財産として管理されているもの、さらに旧農地改革当時からのものが引き継がれておるという形で残っておるものとがございます。それから未墾地のほうは、終戦後の緊急開拓ということで、大々的に土地を買ったわけでございますが、これをかかえておりまして、これを処分をし整理をする、こういうことで管理が適切を欠いておるということにつきまして、いろいろ御指摘をいただいておるわけでございます。私どもといたしましては、御承知のとおり、この財産の処分は、早くやろうということで取り進めておりまして、現に三十八年度におきましても、開拓財産としては七万町歩ほどのものを処分いたしました。いわゆる農地としては、七千五百町歩程度のものを処分いたしております。三十七年度に四十万あったものが、三十三万くらいに一応なっておるわけでございます。なぜ処分がはかどらぬかという点でございますが、未墾地につきましては、実はこういう問題がございます。一つは、せっかく国が買ったので、農地としてもっと有効に使ったらいいじゃないか、これを処分しようとする場合に、不用地と認定いたしますと、旧所有者に返す法制でございますから、なるべく使えるものは使ってもいいじゃないかという御意見があることは、否定できないところでございます。したがいまして、私どもとしては、この土地が残すべき土地か、不用地認定をして旧所有者に返すべき土地か、この問題をきめるということが一つの微妙な問題でございますが、現在それを相当思い切った形であえてきめていこうという姿勢をとりまして、現在取り進めておるわけでございます。それで、地方農政局等もできました関係がございまして、三十八年以来地方農政局にも増員等をいたしまして、これの実際の管理は県に委託しておりますが、県に対してもいろいろと援助、補助を拡充いたしまして、これを進めるということでやっておりますが、なお十分でございませんので、はっぱをかけましてこの処理を急ぎたい。残すべきものは残す、不用地として旧所有者に返すべきものは精力的に返してまいりたい、さように思っております。
  148. 川俣清音

    川俣分科員 ほかの委員会で呼ばれておりますので、そちらに行かなければなりませんが、開拓財産として不適当なところもありますので、こういうものを整理しなければならないものは整理する、あるいは農地として買収したものであるけれども、将来宅地として利用させなければならぬようなものは、自治団体等に譲り渡して土地造成の用に供するというような、もう少し積極的な活用の道があるはずだと思うのです。元の地主に返しても、これは宅地になるような条件のところもあるわけなんです。すでに経済上市街地になったところもあるわけなんです。それを農地局が持っているということは、日本の経済の動向に対して無関心であるともいわれるわけでございまして、そういうことが農地補償の問題になって、国の財政負担をかけるということにもなる要因になるわけでございます。毎年指摘を受けておるが、まだまだこれは調査対象が少ないから出てきませんけれども、広範にやったらもっと何十倍と出てくるはずだと思うのです。会計検査院、そうでしょう。私の指摘することが誤りですかどうですか。ただ調査がいってないということで対象になっていないだけで……。
  149. 上村照昌

    ○上村会計検査院説明員 まだたくさんあるのではないか、こういうことなんですが、幾分あるのではないかと思いますが、非常に膨大なというふうには考えておりません。
  150. 川俣清音

    川俣分科員 これは、毎年大体同じくらい出てくるのですね。ことしだけ出てきたんじゃないのですから、そうすると、まだたくさんあるということになるのではございませんか。
  151. 丹羽雅次郎

    ○丹羽政府委員 会計検査院からのお答えの前に、未墾地につきましては、先ほど申し上げましたとおりに三十数万ありまして、急激に買いましたもので、御指摘にあるように境界がはっきりしないとか、それから無断で一時使用されておるとか、そういう形で御指摘を受けておるものがある。これは、人手と量との関係でございますから、処分を急ぎまして、少ないようでございますれば適正に管理もできる。その意味で、率直に申しまして、未墾地につきまして相当の御指摘を受けておる。私どもは、これを少なくすることによって今後も御指摘を受けるものを極力少なくする、これが必要であろう。御指摘を受ければまだ相当あり得ると私どもは率直に申して考えます。  既墾地につきましては、御承知のとおりむずかしい問題がございまして、いま先生御指摘の、東京都内で農地改革時代に買って、現在土地を耕しておる、これはほんとうのお百姓とも言えない、その人に売りましても問題である、旧所有者に売りましても問題である、現実に土地は使っておる、こういう土地でございますので、慎重な処理を要する問題だ、かように考えております。
  152. 川俣清音

    川俣分科員 まだ指摘したい事項がございますが、ほかの分科会に参らなければならないからこれで終わりますが、ひとつ農地局長、毎年指摘されておる事項でありまするし、日本のような狭い領土においては、土地をどう活用していくかということが一番重大な問題であると思います。狭い領土の活用の上からも、いわゆる農地法だけについてもいろいろな批判のあるところでございますから、ひとつ大いに活用についてスピードを上げていただきたいということを申上げて、質問を終わっておきたいと思います。もうこれは、質問をしないでも十分わかってなければならぬはずなんです。何のために農地局があるのか、農政局ができたのか、そういうたてまえからいっても明らかなところでございますだけに、しっかりやってほしい。こういうふうに申し上げて、私の質問を終わります。
  153. 中野四郎

    中野主査 これにて昭和四十年度一般会計予算中、会計検査院所管に対する質疑は終了いたしました。  明二十三日は、午前十時より開会し、防衛庁所管について質疑を行なうこととします。  本日はこれにて散会をいたします。     午後四時二十二分散会