運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1965-02-25 第48回国会 衆議院 予算委員会第四分科会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年二月二十五日(木曜日)     午前十時十九分開議  出席分科員    主査 古川 丈吉君       赤澤 正道君    仮谷 忠男君       板川 正吾君    川俣 清音君       中澤 茂一君    永井勝次郎君       藤田 高敏君    山崎 始男君       竹本 孫一君    兼務 石田 宥全君 兼務 岡田 春夫君    兼務 横路 節雄君  出席国務大臣         通商産業大臣  櫻内 義雄君         国 務 大 臣 高橋  衛君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     渡邊喜久造君         総理府事務官         (経済企画庁調         整局長)    高島 節男君         総理府事務官         (経済企画庁総         合開発局長)  鹿野 義夫君         総理府事務官         (経済企画庁水         資源局長)   鈴木 喜治君         総理府技官         (科学技術庁資         源局長)    橘  恭一君         水産庁長官   松岡  亮君         通商産業事務官         (通商局長)  山本 重信君         通商産業事務官         (通商局次長) 今村  昇君         通商産業事務官         (企業局長)  島田 喜仁君         通商産業事務官         (重工業局長) 川出 千速君         通商産業事務官         (鉱山局長)  大慈彌嘉久君         通商産業事務官         (公益事業局長)宮木  惇君         中小企業庁長官 中野 正一君  分科員外出席者         大蔵事務官         (関税局業務課         長)      森   弘君         厚 生 技 官         (環境衛生局公         害課長)    橋本 道夫君         通商産業事務官         (通商局市場第         三課長)    末岡日出徳君     ————————————— 二月二十五日  分科員中澤茂一委員辞任につき、その補欠と  して藤田高敏君が委員長指名分科員選任  された。 同日  分科員藤田高敏委員辞任につき、その補欠と  して山崎始男君が委員長指名分科員選任  された。 同日  分科員山崎始男委員辞任につき、その補欠と  して板川正吾君が委員長指名分科員選任  された。 同日  分科員板川正吾委員辞任につき、その補欠と  して中澤茂一君が委員長指名分科員選任  された。 同日  第二分科員石田宥全君岡田春夫君及び横路節  雄君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十年度一般会計予算経済企画庁及び通  商産業省所管  昭和四十年度特別会計予算通商産業省所管      ————◇—————
  2. 古川丈吉

    古川主査 これより予算委員会第四分科会を開会いたします。  昭和四十年度一般会計予算中、経済企画庁所管を議題といたします。  質疑に入ります前に一言申し上げます。本日は多数の質疑者質疑予定されておりますので、質疑持ち時間は、本務員は一時間、兼務員もしくは交代して分科員となった方は三十分にとどめ、議事進行に御協力願いたいと存じます。  質疑を行ないます。質疑の通告がありますので、順次これを許します。藤田高敏君。
  3. 藤田高敏

    藤田(高)分科員 私は、持ち時間が原則として三十分ということになっておりますので、簡明率直に新産業都市関連する問題を中心として、以下幾つかの点について質問をいたしたいと思います。  先日も、実は第三分科会において、この問題につき若干自治省中心にして質問をしたところでありますが、昨年の暮れ、いわゆる新産業都市基本計画承認にあたって、特に経済企画庁として、地方から出てきた基本計画というものをいわゆる大所高所から国の経済企画を行なう所管省として、どういう点を中心にして検討し、そして内閣総理大臣承認に対して協議をし、要請をしたか、その点をまずお尋ねしたい。
  4. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 御承知のとおり、新産都市指定は、一昨年行なったわけでございますが、その後、昨年の春の段階基本方針を提示して、そして北海道または各県当局においてそれぞれ計画をお進めになりまして、また地方の各関係機関とも連絡調整の上、計画を持って来られたわけでございます。しこうして、基本方針自身政府から示したものでございまするし、その後の基本計画の作成の過程におきましても、常時緊密に連絡をとりながらこの作業を進めてまいったわけでございます。  御承知のとおり、この新産業都市建設促進法という法律の第一条には、地域格差の是正であるとか、または過大都市の防止であるとかいうふうな、つまり国土全体の総合開発的な見地からの目的がここに明示されておる次第でございますので、そういうふうな観点から、いわば開発地域におけるところの一つの拠点的な場所を選んでこれを指定しまして、ここに一つ工業開発中心とした各種の施設と、これに合わせたところの一つ都市建設いたしまして、その波及効果というものをねらい、それによって国土全体の総合的な開発ができるという方向において、相当理想的な将来の見当を描きながら、これを承認してまいったような次第でございます。
  5. 藤田高敏

    藤田(高)分科員 承認に至るまでの経過につきましては、私ども手続き関係として承知をしておるわけですが、私のいま質問をした一番聞きたい点というのは、ちょっと企画庁長官にはその点理解できなかったかと思いますが、端的に言って、いま計画に組まれておる内容を見てみますと、財政的には、非常に多くの財政負担というものを地方財政に押しつけておる形になっておると思うのです。そういう点について、経済企画庁立場から見て、今日の地方財政の実情、なかんずく新産業都市指定を受けておる地方財政事情から見て、こういう過酷な財政負担をさして、はたしてこの新産都市建設というものが可能であるかどうか、その点についてひとつ具体的にお尋ねをしてみたい。
  6. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 御承知のように、昨年末に承認をいたしました計画は、新産業都市全部でもって事業費が四兆三千億というふうに相なっております。この規模は、先般答申を得まして閣議決定をいたしました中期経済計画、これとの見合いも十分に見当をつけて、そして、この程度ならばなし得る事柄であり、またこれだけの理想を持ってなすべきであるという観点からこの承認をいたした次第でございます。しこうして、その場合において地方負担がどうなるかというような問題についても、もちろんこれは十分頭に置きながら検討をいたしたわけでございます。その後、しからば国においてどれだけの負担をし、地方においてどれだけの負担をする、または公団または電電公社国鉄等がどの程度負担をする、またはそこに実際に企業を持って行くところの企業自体がどの程度施設をするというふうな具体的な事柄については、まだ十分内容がコンクリートになっておりませんが、しかし、昭和三十九年度のそれらの地域実績を見ますると、地方負担が道、県で二〇%に相なっております。そのうち、地方債財源によるものが一一%、それから市町村負担が一九%、市町村負担のうち、地方債によるものが一九%の九%、そういうことに相なっておるのであります。その他は国鉄とか電電とか、または企業自体病院等施設をするというふうなことになっておるわけでございます。これが三十九年度の実績でございます。そういうような点からずっと推し進めて将来を考えてまいりますると、この程度までは可能であり、またなさなければならぬというふうな考え方のもとに、あの事業計画承認いたしたような次第であります。  しかし、もちろん、従来のままの措置では地方負担がなかなか困難であろうという観点から、先般国会に提出いたしました地方財政上の特別措置について、道、県については起債利子補給、それから市町村については補助かさ上げというような措置をするための法律を、ただいま御審議になっておる段階でございます。   〔主査退席仮谷主査代理着席
  7. 藤田高敏

    藤田(高)分科員 御説明のありましたように、三十九年度の実績から見ましても、県及び市町村財政負担率というものは約四割に及んでおるわけであります。政府が発表している三十九年から四十五年までの新産都に関連をする公共投資総額は、二兆六千五百億程度になっておりますが、そのうち地方負担が約一兆七百億。これを七年間で割りますと、年間地区当たり百億、こういうことになるわけであります。そうしますと、今日の新産都の指定を受けた県及び市町村財政能力からいって、年間百億からの地方負担というものは、とうてい消化することはできないというふうに私どもは判断をするわけであります。いまの御説明によりますと、なるほど地方財政負担が大きいから、今度ああいった形のかさ上げ法といいますか、財政援助法をつくったんだ、こうおっしゃられるわけでありますけれども、この内容は、起債で四十億、その起債利子補給が、予算に計上されておりますように八千百万、市町村に対するいわゆるかさ上げ援助額というものは、先日の自治大臣説明によりますと、約十五億程度ではなかろうか、こういうふうな説明であったわけであります。この程度のもので、いま私が指摘をしました四十五年までの一兆七百億に及ぶ公共投資財源自治体が全部負担をするという点については、これは、政府計画策定の中でどういうふうに御検討をされたのか知りませんけれども、おそらく四割になんなんとする事業負担というものはよう消化し得ないのではないか、こういうふうに考えるわけです。その点について、将来の見通しの問題ですが、これは、へたをすると、前向きの姿勢で努力をしていったとしても、今日段階におけるような手だてでは、中途でこの新産業都市計画を大幅に変更をするような事態が起きるのではないか、こういうふうに私どもは心配をするわけですが、そういう見通しの問題について、企画庁としてはどういう見解を持っておるか。
  8. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 ただいま各新産都市指定をされた道、県のその地区公共投資について、中期経済計画に見合う期間において大体二兆六千億というお話がございましたが、これは、私どものところの調べによりますと、各道県市町村が希望をしておられる金額でございまして、中期経済計画でいいますならば——中期経済計画で取り上げた金額は五年間で十七兆八千億でございます。ところが、これに対して各省から要望しておられる金額は、これは確たる数字をいま記憶しておりませんが、二十六兆円に近い、二十五兆何千億円という数字に相なっていたかと存じます。したがって、中期経済計画と見合う場合におきましては、私どもは十七兆八千億円というものをベースにしてそれぞれの問題を考えておるということを、まず第一に申し上げておきたいと存じます。  それから……。
  9. 藤田高敏

    藤田(高)分科員 新産都の関係公共投資事業額を言ってください。
  10. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 新産都の関係、これは、確実に各地区ごとに区分して考えることは、中期経済計画においても、各地区に分けて計算はいたしておりませんので、具体的に、たとえば東予地区においてどうなっている、岡山地区においてどうなっておるという数字は、確定はできないわけです。中期経済計画においてもそういうふうな積み上げはやっていないわけでありまして、総体として十七兆八千億円、こういう計算をいたしておるわけでございます。  そういうことで、各道県なり市町村が要望しておられる二兆六千億円がしからば中期経済計画に見合うような数字にすれば一体どれだけになるかという金額は、私どものほうでもなかなか計算がしにくいのでございますが、先ほど御答弁申し上げておりますとおり、相当な理想を持って始めた新産都市建設でございますから、相当大きく見込んでも大体二兆二、三千億円というところではなかろうか、こういうふうに見当をつけております。  それで、なるほどお話しのように、そう容易にできる問題ではございませんが、しかし、政府といたしましては何とかできるような方向に持っていきたいという考えのもとに、先ほど申しましたような地方財政についての起債並びに補助の増額に関するところの法律を提案いたしまするし、また同時に、この新産都市につきましては、昭和五十年までのずいぶん長い計画ではございますが、先行投資を必要とするというふうな面から、どうしても前半のほうにある程度ウエートを置いて考えなければこれの成功が非常に遅延をするというふうな関係もあろうかと存じまして、そういうふうな方向に基づいて計画申請もし、承認もしておるというふうにお答え申し上げておきたいと思います。
  11. 藤田高敏

    藤田(高)分科員 中期経済計画の中に盛られておる公共投資総額は十七兆八千億程度だけれども、その中で新産都に関連をする公共投資事業財源については、必ずしも的確な数字というものははじき出してないのだ、こういう意味の御答弁だったと思うのですが、私は、このこと自体が非常に無責任だと思うのです。少なくとも池田内閣から今日の佐藤内閣に引き継がれた一つの重要な基本政策というものは、池田内閣当時の政策としていわゆる新産業都市政策であり、それを引き継いだ形で社会開発というものが佐藤内閣において打ち出されてきておる。こういう政府の重要な政策関連する事業予算というものが、非常な具体的な手続を踏んで自治体から申請をしてきた計画に対して、政府自身がどの程度公共事業費がかかるのかという点について具体的な積算数字がないということでは、これは、特に経済企画庁としては無責任な態度ではないかと思うのですが、どうでしょう。
  12. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 各地域ごとに区分して具体的に事業費を決定するということは、これは、皆さま専門家でいらっしゃるから御承知と思いますが、各年度ごとにきめるのも非常に困難な問題でございます。いわんや先のほうまで延ばして各地域ごとにあらかじめその金額を決定するということは、非常に困難な仕事でございまして、そのために経済審議会にこの問題を諮問いたしたのでございますが、この答申の中におきましても、各地域開発との関連におきましては、その問題はなおあとに残して、経済審議会地域開発部会をつくって、その地域開発部会においてなおこれを堀り下げていきたい、こういうふうな答申に相なっておる次第でございます。これは、もちろん非常に具体的に推し進めるためにはそのことがどうしても行なわれなければならぬという点については、ただいま御指摘のとおりにわれわれも考えておりますが、なかなかそう早急にきめ得られる問題ではないという点も、ひとつ御了承願いたいと思います。
  13. 藤田高敏

    藤田(高)分科員 それでは、政府としては新産業都市関連をする具体的な公共事業投資額、そういったものは幾らになり、それに対して国が地域別にどの程度事業費をつぎ込んでいく、あるいは財政援助によってどれだけの負担をしていく、そういう具体的な計画案というものは、いつごろまでにつくる予定なんですか。そういう見通しについて伺いたい。
  14. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 御承知のとおり、この新産業都市承認をいたしました基本計画に基づきますと、おおむね昭和五十年度までに総額四兆三千億円という事業費に相なっておるわけでございますが、これはいわば基本計画でございまして、各年度ごとにどの仕事をどういうふうにやるかということについては、これは、やはりその各計画をお立てになっておるところの道または各県において具体的な計画をおつくりになって、そして、それをわれわれのほうでも推進するために助言と御協力を申し上げるというかっこうで、次々と具体化していくということに相なるのが筋道ではなかろうかと存じます。
  15. 藤田高敏

    藤田(高)分科員 これはたいへん抽象的な論議になって、私自身の知りたい、また政府としてこうすべきだという点については、結論が出そうにないような気がするわけでありますが、私は率直に申し上げて、この新産業都市建設促進法というものができたときにおける地方の受けとめ方としては、いわゆる法案の中に盛られた性格ないしは十一項目の附帯決議がつきましたが、少なくとも実施段階に臨んだときには、そういう附帯条件というものは政府責任において十分考慮してもらえる、こういう一つのいわば強い期待感の上に新産業都市指定地域として運動もしたでしょうし、また計画もしてきたと思うのです。ところが、今日段階で、いよいよことしからほんの少しでありますけれども財政援助についても政府は考えていこう、あるいは具体的な新産都の建設についても財政投融資の中でもめんどうを見ていこう、こういういわば建設の初度年にあたって、政府計画というものは、三十七年の法案通過時における附帯決議趣旨というようなものに、私どもをして言わしむれば、ほとんど注意が払われていない。長官のいまの御答弁で言えば、起債を特別に四十億きめた。それに対する八千百万の利子補給をした。片やこの新しいかさ上げ法によって十五億ないし二十億程度財政援助をするのだ、こうおっしゃるかもしれませんけれども起債の四十億ワクのごときは、これは将来に対して地方財政に大きな圧迫を加えるだけであって、現在の段階で見た場合には、起債も、かさ上げ法によって金を出すのも一緒じゃないか、金の面では、いまの断面では何も影響はないじゃないかという主張もあるかもしれませんが、起債は、これはあくまでも自治体においては将来に対する大きな負担になるわけですから、私は性質が違うと思うのです。そうしますと、先ほど来からの御答弁ではありませんが、やはり五十年までの長期計画としてこの新産都市というものが立てられておる。さすれば財政的な面においても、地方財政という立場考慮するなれば、将来十年先に地方財政はどうなるのか、当然政府承認をするにあたってそういう点の考慮というものが十分なされるべきだと思うのですが、それらについてどういう具体的な考慮がなされておるのか、この点をひとつもう一度お聞かせを願いたい。
  16. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 御質問趣旨は、結局地方財政の非常な負担になって、実際上その仕事ができぬじゃないかという御意見のようでございますが、御承知のように、もちろん地方団体起債したものは返さなければいかぬということは言うまでもないことでございますが、その土地の非常な繁栄を将来に期待する次第でございます。たとえば十三地区合計で申しますと、昭和三十五年に一兆一千六百五十億という出荷額でありましたものを、昭和五十年には、この承認された計画に基づきますと、出荷額予定が七兆二千九百七十億円ということに予定をし、人口も九百二十万から千二百三十六万というふうに、そこまで増加するという見通しを立てておる段階でございます。そういうふうな関係から申しまして、これだけつまり出荷額が大きくなり、いわばそこに工業中心としたところの都市建設が行なわれれば、当然に、そのころになれば地方財政においても、地方財政収入が相当増額するものと、こういうふうな考え方のもとに、しかも、こういうふうな新産業都市建設におきましては、どうしても全般における先行投資を必要とする。したがって、その先行投資を必要とする時代においてあまり大きな負担になっては困るという関係から利子補給をいたしまして、一応初年度におきまして四十億程度というものを見たわけでございます。これは、もちろん各年度ごとの具体的な計画が各地元からまたさらに上がってくるのでありましょうから、そういうものを勘案しながら、毎年度具体的にこの理想に向かっていけるような方向政府としてはぜひ推進いたしたい、かように考えておる次第でございます。
  17. 藤田高敏

    藤田(高)分科員 財政負担の問題についてだけ質問をしましても、これは相当時間がかかると思いますので、私は、先日の分科会でも自治大臣に特に要望したわけですが、この程度政府財政援助計画手だてでは、自治体としてはこのような膨大な事業計画をこなすことはできないだろう。したがって、政府はほんとうに新産業都市というものを本腰を入れてやるのであれば、もっと積極的な財政援助についての施策というものを講ずるべきである。この点については、自治省はもちろんのこと、特に経済企画責任省である経済企画庁としては、計画を立てるということだけでなくて、その計画というものをあくまでも財政的見地から見ても自治体財政負担を圧迫しない形で実現できる、こういう可能性のある計画案にすべきである。この点について、ぜひそういう姿勢で、ひとつ今後の大幅な思い切った自治体に対する財政援助についての要望をして、この質問を終わりたいと思います。  先ほど長官答弁の中にもありましたが、先行投資関連をすることについて質問したいと思います。これも先日ちょっと触れたところでありますが、業界筋は、鉄鋼にしても石油精製にしても、あるいは石油化学にしても、四十二年あるいは四十三年というふうに計画を立てております。その計画と、新産業都市建設する地域工場がどういうふうに配置されていくのか、どういうふうに企業進出が行なわれるのか、そういう関係については、昨年この基本計画承認するにあたって、経済企画庁としては、いわゆる新産業都市地域に対してどういう鉄鋼なり石油なり、あるいは石油化学なり、そういうものが配置されるという点についての一つ計画案、そういうものをつくられたか、これは具体的に考えられておるのかどうか、それをお聞かせ願いたいと思います。
  18. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 御承知でもありましょうが、いままでにすでに新産業都市等誘致の決定しました工場数は、ここ二、三年の間に百四十二に相なっておりまして、それはもうごく一部でありますが、これから将来、たとえば、ただいま御指摘のように鉄鋼なり石油化学なりその他いわゆる重化学工業というものが対象として考えられるわけでございますが、これは、もちろん希望する企業もございます。またコンビナートもございます。それらのもののうちできるだけ具体性のあるものを中心として計画地元としてもつくっていただいて、またそれを、経済企画庁としても各省協力を得ながら審査をいたしまして、そうして、十年間の構想として取りまとめたものでございます。したがって、経済は生きものでございますから、将来そのとおりに確実にいくということはなかなか困難かもしれませんが、何とかそういうふうな描かれた理想に向かって企業誘致も誘導もするし、同時にまた、それが可能になるような条件をつくり上げていくという方向で、われわれとしてはぜひ強力な指導をしていきたい、かように考えておる次第でございます。
  19. 藤田高敏

    藤田(高)分科員 そうしますと、具体的に、たとえば岡山県南地区、あるいは四国の徳島とか、あるいは東予新産地域に対して、石油化学なら石油化学が行く、あるいはどこそこの鉄鋼会社がつくられる、こういう具体的な調整までは今日段階ではなされてないということですね。
  20. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 決定したものも一部ございますが、大部分はこれから調整をし、だんだんと決定していかなければならぬ問題であろうかと存じます。
  21. 藤田高敏

    藤田(高)分科員 これから調整をしていくというのですが、いつごろまでにその調整ができるのか。これはたいへん重要な発言だと私は思うのです。少なくともわれわれが新聞その他のいろいろな資料から検討しますと、極端にいうと、業界筋の意向と政府新産計画というものは必ずしもマッチしていない。まあこれは一つ新聞の切り抜きですが、経済同友会の有力者は、こういった新産計画なんというものは、産業界の実情を無視して、いわば総花的に新産計画というものがきまっておるのだということで、鉄鋼なりあるいは石油化学なりというものが昭和四十年度までにこれだけの計画がある、それに対して、今度の新産計画によると、総花的であって、そういう業界が考えておる具体的な計画とはいわゆる密接不可分どころか、具体的な調整、話し合いというものもほとんどないのだ、こういう意味の見解が表明されておるのですが、いまの長官のお話では、何か経済企画庁なり政府が、かなり強力な指導性を発揮して調整をして、そして地区別におまえさん方の工場はここへいきなさい、おまえさん方の工場はここへいくのだというような意味の調整までが可能であるような御答弁であったと思うのですが、この点についてひとつ……。
  22. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 私は、その新聞記事を読んでおりませんけれども、おそらくは新産業都市建設については、昭和五十年までということで、非常に長い期間を予定をし、そして五十年ごろの日本の経済のあり方、また国土全体の総合開発ということを考えてみますときに、どうしても新産都市法律の目的を達成し、また国土の総合的な開発を進めるには、この程度のものが必要であろう、またそれが可能であろうという観点に基づいて計画を立てたわけでございます。しこうして、具体的な各業界筋の要望については、あるいは企業によって、非常に積極的にぜひともここを確保したいという申し出のある場合もございますけれども、それがほんとうに数字になって具体的な計画になって出てくるということには、相当なやはり資金の裏づけも必要でございましょうし、技術面もございましょうし、いろいろございまして、いままで相当期間を要していることが事実問題として実態でございます。そういうような関係から、政府といたしましては、そういうふうな具体的な、どの企業にどこへきてくださいという式の誘導のしかたはいたしておりませんが、どこにどういうふうな希望があるということは十分に調査いたしまして、しかもその地域におけるところの立地条件等については十分に調査をし、そういうふうな立地条件が補完をされ、可能になるというふうな条件がだんだんとできていくような方向に持っていきたい、かように考えておる次第でございます。
  23. 藤田高敏

    藤田(高)分科員 非常に雲をつかむような答弁で、私も理解できないのです。というのは、具体的なことを聞くと、これは五十年までの計画なので、なかなか具体的な策定というか、計画というものはむずかしいのだ、こういう形で逃げられておる。しかし、業界は四十二年なり四十三年まで具体的な計画を立てておるのですからね。そうして、大体その計画を達成するためには、石油化学でいえば、ナフサセンターを幾つつくるということも、これは通産省は通産省としての認可をしていく計画案も持っておるわけですから、だから、いま言うように、五十年までだということで逃げるのではなくて、政府自身が四十五年までの一つの前半期の新産都の計画を立てておるわけですから、少なくとも四十五年だったら四十五年までに各業界と話し合いをして、そうして、こういう新産都市指定をした以上は、少なくとも東予であれば、東予新産都には石油化学というものが入っておるわけです。そうしたら、その石油化学は、住友化学の石油化学をそこへ持っていくのか、昭和石油の石油化学をそこへ持っていくのか、そういう意味の調整というものが政府の指導においてなされないのだったら、もう資本家の意思によって、おれは東予へいくのだ、おれは徳島へいくのだ、おれはかってに青森にいくのだということであれば、私はこんな新産業都市建設促進法なんというものをつくって、夢が夢を追うようなことをやらすこと自体が非常に政治的に責任が大きいと思うのですよ。こういうことをおやりになるから、極端にいえば、川崎重工が岡山にきまっておった、大体誘致されると、こうなっておったのが、香川県の坂出へいく、こういうことになるのでして、そういうことになると、先ほどの長官の御答弁ではないですけれども、川重がここへくるということを前提にして先行投資をやった県は、これはもうたいへんな問題になると思うのですね。そこらの調整というものを、経済企画庁なり通産省あたりが中へ入って、新産業都市建設関連をさしてどういうふうに調整していくか、業界筋と話し合いをつけていくか、この世話役といいますか、そういう行政指導がなされてこそ、私は、新産業都市建設というものが具体的に成果をあげていくと思うのです。私は、そういう観点から、話は非常に飛躍するかもわかりませんが、適正工場配置法といいますか、新産業都市法案の中には雇用問題も入っておるわけですから、そういう雇用問題等を含めて適正工場配置法というようなものをつくって——まあ必ずしも法案にはこだわりませんが、そういった業界筋企業計画的に新産業都市地域に配置をしていく、こういう行政指導が必要であろうと思うのですが、それに対する御見解をお聞かせ願いたい。
  24. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 もちろん相当膨大な先行投資を必要とする問題でございますから、具体的に各年度ごと公共投資をいたします計画を立て、それを実施に移す段階におきましては、具体的にどの工場がどういうふうにくるというある程度のめどをつけなければ——これは、もちろん通産省でもって大体の見当をつけていただき、またその確実性を裏づけてもらうわけでございますが、そういうふうなめどをつけた上において、具体的な先行投資はどんどんやっていくということにいたす考えでございますが、なお、ただいまの構想の工場配置法でございますか、こういうふうなお考え方自体については、私どももやはりむだな投資がなくなるように、十分にそういうふうな心持ちのもとに、政府としても業界に対して指導ができるという状況に持っていくことが好ましい、かように考えております。  なお、自余の点については、局長から御答弁をいたさせます。
  25. 鹿野義夫

    ○鹿野政府委員 新産の要請の時期には、各地域が、非常に石油コンビナートその他臨海工業的なものがくることを要望しておったわけです。ほとんどの地区がそういう要望がありまして、それを具体的に、実際今後製鉄なり石油コンビナートがどの程度のものが四十五年くらいのベースで考えられるかということを内容的に当たってみますと、なかなかそうは各地域にいくものではないということで、結果的には、石油コンビナートのごときは、大分の鶴崎地区と水島ということにほとんど考えてきたわけです。ただ、そこにどういう企業を持っていくかということは、やはり企業の自主性とその地域地元との話し合いが主体になってきめられていくべきものである。その間に最もふさわしい事業がそこに入っていくことを政府側としてももちろん希望するわけです。具体的には、通産省のほうでもいろいろその中に立って調整されて、話し合いを進められているというふうに思っていただいてけっこうじゃないかと考えております。
  26. 藤田高敏

    藤田(高)分科員 私の持ち時間がすでに経過しておりますし、議事進行に御迷惑をかけてはいけませんので、集約に入りたいと思います。  いま私が質問しました点についても、いまの局長の答弁趣旨もわかるわけですけれども、やはり新産業都市建設促進法趣旨というものをすなおに理解すれば、いま少し計画的に、先行投資をやった地域は、その先行投資がむだになるようなことのないように、そうして、いまの倉敷市のように、ああいう準再建団体に転落をして、自治体自身が財政的に参ってしまうというような事態が他の地域にも招来しないように、事前にこれを食いとめながら、工場配置についても、政府地元と業界だけにまかすということだけではなくて——業界と地元だけにまかすということになると、これがまた石油であれば、三地区指定しておる。三地区の中でもまた取り合いになると思うのです。そこらはいま少し経済企画立場から、あるいは通産行政の立場から、業界筋としてはいろいろな言い分があるだろうけれども、おまえさん方はひとつここへ行ってもらえぬだろうか、こういう意味の強力な調整、指導、これは、資本主義社会といえども、今日その程度計画性なり業界筋協力を求める施策というものはあってしかるべきだと思うのです。そういう方向でぜひこれはやってもらいたい。これを強く要望して、私の質問としては中途はんぱになりますが、時間の関係で終わりたいと思います。  最後に見解だけ聞かしてもらいたいのですが、新産業都市建設をする場合に、最も重要な課題の一つとして公害防止の問題が当然考えられなければならない。これは新産都問題だけに限りませんけれども、今日非常に大きな問題として論議をされてきておる。聞くところによりますと、政府も近く公害排除法というか、防止法というか、公害に関する法案を出されるやに聞いておるわけでありますが、どういう性格の公害防止法を政府が考えつつあるのか、この点をお聞かせ願いたい。  時間の関係で、私どもの見解を申し上げておきたいと思うのですが、この公害防止法をつくる以上は、少なくとも公害防止法案の骨子として、第一には、公害排除は企業の義務とすること、第二は、多数不特定の公害排除は国及び地方公共団体の責任にすること、第三は、企業または施設による公害には無過失賠償の責めに任ずること、第四として、公害排除の義務を果たさない企業に対しては一時操業停止処分をする、こういう条件というものは、当然公害防止法の中に考えられるべきじゃないか。そうしないと、今日まで公害防止の一環としてあります水質保全に関する二法、あるいはばい煙の規制法というものは、なるほど公害防止的な要素はありますけれども、産業政策上の観点からつくられておる立法でありまして、地域住民なり国民の人権擁護、あるいは生命、健康の保持ないしは住民の福祉を守るという基本的な立場からの法律ではないと思うのです。そういう点で、いま私が指摘しました幾つかのそういった要素を盛った公害防止法というものがつくられてしかるべきだと思うのですが、政府はいまどう考えておるか、お聞かせを願いたいと思います。
  27. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 公害防止につきましては、御承知かと存じますが各省関連をいたしておりまして、経済企画庁としては、水質保全というふうな面から、水の関係の公害は経済企画庁の主管として、たとえば隅田川について水質の基準を定め、そしてその基準を守り得るような指導と統一的な行政をするということにいたしております。その他順次多摩川であるとかその他の河川についても、これが水質の基準を決定していく作業を進めておる次第であります。  しこうして、公害防止法という法律を今国会に出すかどうかという点については、まだ最終的な決定に至っておらぬようでございますが、主管は厚生省になろうかと存じます。それで、今回、公害防止につきましては、予算としては通産省、それから厚生省、建設省にそれぞれ分けて四千二百万円という経費の調査費を計上いたしております。それで、同時に、厚生省の主管でもって公害防止事業団という一つの事業をするための事業団をつくることに決定をいたしました。これは、法律でもって御審議を願うことに相なっておる次第でございます。しこうして、そういうような公害防止についての立法をし、あるいはまた、それらの措置をするという場合においては、ただいまお示しになりました、まず第一に企業責任にする、または公共団体も一半の責任を負う。要するに人間尊重の見地から十分にその点を配慮する。単純な産業保護という立場じゃなしに配慮しなければならぬという点については、私どもも全く同感でございます。
  28. 橋本道夫

    ○橋本説明員 関係局長が不在でございますので、公害課長からかわってお答え申し上げます。  いま御質問のございました件は、昨年来公害基本法ということで新聞紙上等に出ておりました件のことと存じますが、この件につきましては、厚生省設置法改正で今回国会の御審議をお願いいたしております中に、公害審議会というものがございます。これは、国民の立場から公害の問題を取り上げようということでございますが、経済企画庁長官からお話がございましたように、水質審議会との関係につきましては、この中の審議事項から省いております。この審議会の一年の検討と、そのほか総理府に各省の推進連絡会議がございますし、また未規制の問題についての検討の調査費等、四十年度でかなり大蔵省の査定で認められまして、国会で御審議をお願いいたしておりますので、いたずらに時日を遷延するということではございませんが、審議会及びそれらの結論を持ち、総理府の連絡会議にはかって、この問題についての最終的な検討をいたすべきものであろうというように、厚生省のほうでは考えております。
  29. 藤田高敏

    藤田(高)分科員 もうこれで終わりますが、結局は、それでは公害防止の関係は、この国会に出される御予定なのかどうか。これは、なるほど所管からいえば厚生省だとか、あるいは産業政策的な立場からいえば通産省だとか、こういうふうに出してくる。所管省は最終的にはどこかになるかもわかりませんが、やはり公害問題は、政府全体の問題として取り組まなければいけない今日的課題だと私は思う。そういう点からいって、これは政府としていつごろお出しになるのか。いま経済企画庁長官は、基本的に私ども指摘した人間尊重といいますか、人権尊重というか、出すときにはそういう性格の法案にしなければならないだろうという。そういう基本的な性格はわかったのですが、いつごろお出しになるのか。こういう産業政策というものが先行してどんどん出てくるけれども、公害防止というようなものは非常におくれておるわけなんですね。公害防止については、かなりな沿革もありますけれども、非常におくれておる。新産都問題あたりがここまで具体化する段階では、当然並行して出されなければいけないと思う。それに対しての見解をお聞かせいただいて、私の質問を終わります。
  30. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 新産業都市についての基本計画承認いたします際には、公害の防止についても十分な計画の裏づけをしていただいたような次第でございます。それで、ただいま厚生省のほうからおっしゃいましたように、今回厚生省の設置法でもって公害審議会というものをつくることについて御審議を願っておる次第でございますが、同時に、これは水質審議会との関係または公害全体としての総合的な見地等もいろいろ検討いたしまして、そしてせっかく公害審議会ができる次第でございますので、そういうふうなところで、各関係筋と申しますか、民間の権威の方々の御意見も十分拝聴した上で、ただいま考えている構想を漸次取りまとめて、そして、できるだけ早い機会に政府としては立法の措置に進みたい、かように考えておる次第でございます。
  31. 仮谷忠男

    仮谷主査代理 これにて藤田高敏君の質疑は終了いたしました。  次は山崎始男君。
  32. 山崎始男

    山崎(始)分科員 私が実はきょう御質問申し上げたいのは、同僚の藤田分科員と同じように新産都の問題なんです。きょう実はここへ来てお聞きしたのですが、はからずもきょうの四人の質問者のうちで、三人ともがこの新産都の問題である。そのことは、とりもなおさず、いかにこの新産都問題に対して国民がたくさん知りたがっておるか、特に指定を受けました関係十三地区の府県民は非常な不安感を持っているんじゃないか、そういうことが、今日の分科会におきましてもはからずも三人とも同じ問題になったものだと思うのです。私も聞いて実はびっくりしたのですが、やはりそういうふうな気持ちというものは、大臣、お読みになったかならぬか知りませんが、本年の一月二十六日のエコノミストにも「水島・岡山のこの一年」「前途暗い新産業都市」という大見出しでるる書いてある。また、同じ本年の一月二十四日でございますが、朝日ジャーナルにも「先行投資で破算の財政」「岡山県の倉敷市」という見出しで書いてあるのです。こういうふうな関係をごらんになりましても、この新産業都市法律というものに対する国民の関心というものは非常に深いんじゃないか、かように思うのであります。先ほどの藤田分科員審議過程を聞いておりましても、同分科員も大臣の答弁を聞いておって、一体何が何やら雲をつかむようでさっぱりわからぬということを言っておる。私も、聞いておってもさっぱりわからないのです。はたしてこういうわからないような結果のままでずるずるべったりいってよいものかどうか、これは非常に大きな政治上の責任があると思うのであります。そういう観点で、私も実はきょういろいろ聞きたいのでありますが、三十分か四十分くらいの時間の割り当てだということを聞きまして、実はほんとうを言いますと、私はやりたくないのです。そんな時間では質問がこま切れになってしまうのですが、しかたがありません、立った以上は私はものを言わなければなりませんからお聞きしまするが、いずれ言い残したことは商工委員会なり、あるいは連合審査会が当然あるはずでありますが、そのときに田中大蔵大臣はもとより、自治大臣その他関係者が連合審査に寄られると思いますので、こまかいことはそれに譲るといたしまして、大きな問題だけ、あるいは先ほどの藤田分科員質問と多少ダブる面があるかと思いますが、お聞きいたします。  昭和三十七年のたしか五月の十日にこの新産業都市建設促進法という法律は公布されております。その後、地域指定が非常な政争の具に供されて、非常に時間が延びてしまった、そういう関係があったのが、ようやく地域指定が一年数カ月前にきまり、そして十三地区から各基本計画というものが出されておるのでありますが、私がまず最初に御質問申し上げたいことは、その基本計画というものには、昭和何十何年までには——新産都の指定をする前提となるところは、やはり立地条件に見合う一年間工業出荷額というものが非常に大きな要素になると私は思うのです。そうすると、十三地区から出ておりまする、そしてまた、経済企画庁並びに総理大臣が承認を与えたこの工業出荷額というものの総計というものは、昭和五十年度までに幾らになっておりますか。五十五年なら五十五年でもけっこうなんですよ。
  33. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 先ほどの藤田分科員の御質問に対してお答え申し上げましたように、昭和三十五年には一兆一千六百億円程度でございましたが、これを、昭和五十年には出荷額を大体七兆三千億円程度とすることを見込んで、そういう前提のもとに基本計画承認されておる次第でございます。
  34. 山崎始男

    山崎(始)分科員 七兆三千億の昭和五十年度の工業出荷額、これが総理大臣が承認された数字になるわけでありますが、そういたしますと、これを総理大臣が承認をする。そして同時に、この法律にございますように、地方開発審議会の議に供していらっしゃるはずなんですが、この七兆三千億の工業出荷額をきめられて、そして、それをお出しになるときに、必ずや担当大臣であるあなたは閣議にもいろいろ報告されておるでありましょうし、開発審議会にも報告されておるのでありますが、七兆三千億という工業出荷額を予想する以上は、今後五十年度までにはこういうこともやらなければならない、ああいうこともやらなければならないという、何か大綱がなければ私はいけないと思うのです。まんざら出てきた数字をうのみにされておるわけではないと思います。出てきておる数字は相当大きな数字になっておるのを削られて、そして、相当の見込みを持ってあなたのほうは承認をされておる、こういう経過だということは常識上判断できるのですが、先ほどから大臣のようなお話を聞いておりますと、さっぱりわからないのですが、この七兆三千億をおきめになって閣議で報告をされ、同時に地方産業開発審議会へ報告をされたときに、きょう現在あなたがおっしゃったような説明をつけ加えてやられたのか。もっと経済企画庁には、この数字を実行するためにはこういうふうな将来計画を持ってやらなければならない、こういうふうにやりたいのだ、ああいうふうにやるんだというような、何かある程度の具体的な計画というものがなければ私はいけないのじゃないかと思うのですが、先ほどのお話を聞いておりますと、先ほどの藤田分科員に対するお答えのようなお話そのままをその審議会なり閣議でお言いになったのか、どうですか。そんなことではおそらくだれも承知しないと私は思うのです。どうも国会のほうに経済企画庁一つ基本計画というか、大綱といいますか、そういうものが一つも伝わっておらぬのです。私がこんなことをお尋ねいたしますことは、この法律が通過いたしますときに、昭和三十七年の四月の二十六日に衆議院の商工委員会で通過いたしておりますが、そのときに、わが党の委員が十一の附帯決議をつけております。その附帯決議の提案の説明をいたしましたその最初に、たしかこの附帯決議趣旨に対して、次期通常国会でもって、政府は「次の諸事項に関する」すなわち、十一の附帯条件ですね。「次の諸事項に関する措置等を速やかに実施又は整備し、次期通常国会に提出又は報告すべきである。」と書いてあるのですね。そうして、藤山経済企画庁長官は、十分承知いたしました、こう言っている。ところが、その後、昭和三十七年から地域指定そのものがおくれましたから、私はあえてとがめません。「次期通常国会に提出又は報告すべきである。」それはとがめません。とがめませんがもうすでにほぼまる三年たっているのです。もうぼつぼつあなたのほうとすれば、七兆三千億という工業出荷額を五十年度までおきめになったというのなら、いま少しそれに対する具体的なものがなければならぬと私は思うのです。その具体的なものがいまだかつて国会に提出ざれたこともなければ、詳しく報告をされたように私は聞かない。いまお聞きしておっても、何が何やら雲をつかむようで、わからぬという一言に尽きるのであります。
  35. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 御質問は二点になっておると思います。  第一は、基本計画の中に具体的なことが全部きまっておるかどうかという点でございます。これは、御承知のとおり、たとえば岡山について申しますと、岡山県が基本計画をおつくりになり、もちろん、これは内部でいろいろ御指導は申し上げておりますが、また、通産省、各省関係が全部これに協力いたしまして、そして、そういうふうな企業がはたして来るかどうか、また、そこの立地条件がいいかどうかというふうな点も、現時点において可能な限り検討を十分にいたしまして、その上で、岡山県が出して来られた基本計画を昨年末に承認をいたした次第でございます。したがって、もう非常に膨大なものになっておるのでございまして、これだけのものが承認を求められたものでございます。これに、さらに資料がついておるわけでございます。したがって、相当詳細なものが出ておるわけではございますが、しかし、先ほど藤田委員の御質問に対してお答えいたしましたように、これは、昭和五十年までの長い期間の一つ計画をまとめたものでございます。したがって、具体的に各年度の先行投資と申しますか、事業をどういうふうにやっていくかという点につきましては、どの企業が何年ごろ来るという大体のめどをつけなければ、過剰投資になったりする、またはむだになったりするおそれもございますので、そういう点を各県におかれましても十分に見当をつけなければならぬ。しかしながら、先行投資をやらなければ、こういうふうな諸条件を深めることができないわけでございますから、そういうふうな趣旨でやっていただく。それについては政府としても十分な御協力を申し上げる、こういう考え方でまいっておる次第でございます。  ところで、先ほど十一の附帯決議についてのお話しがございましたが、その附帯決議につきましては、政府といたしましては、昨年の昭和三十九年の三月二十九日付をもって国会に対して詳しい御報告を申し上げております。これは、商工委員長あてに経済企画庁から報告を申し上げておりますので、あるいはごらんになっていないかと思いますが、相当詳しいものを提出いたしておる次第でございます。しかして、その附帯決議の一環として、今回地方財政上の援助についての法律も提案いたしたようなわけでございます。もちろん、これで全部十分だという状態であるとはわれわれも考えておりませんが、今後さらに検討し、努力しなければならぬ点が残っておることは、これはこの報告にも書いてありますとおりでございます。
  36. 山崎始男

    山崎(始)分科員 その点はあとでお尋ねいたしますが、私がもう一点お尋ねいたしておりますのは、七兆三千億という昭和五十年までの工業出荷額をきめて、そして各府県から出ておる基本計画というものを承認された。それを開発審議会にかけていらっしゃるはずですが、二そのときには、経企庁とすればこの目的を達成するためには、こういうふうにやらなければいけない、ああいうふうにやらなければいけないという、十年なら十年計画でもけっこうですが、いま少し具体的な、大きな大綱でもおありにならなければならぬと思うのですが、その点はどういう点ですかということもお尋ねしているわけなんです。   〔仮谷主査代理退席、主査着席〕
  37. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 もとより長い期間にわたるところの計画でございますから、そう具体的に深くはできかねる点はございますが、しかし、大綱につきましては、全部そういうような要点について、各府県でおつくりになりました基本計画関係の省でそれぞれ全部検討いたしまして、それを総合調整をして承認をいたしたような次第でございます。したがって、そういう問題については、すべてあらゆる問題にわたってずっと検討を遂げ、そして、それについての意見を述べているのが現状でございます。しかして地方産業開発審議会に対しては、これらの承認を求めるところの案は、もちろん全部提示いたしておりますし、それについて政府検討いたしました事項についても、それぞれ資料も提出し、説明もいたして、そして御審議を得た後、御答申を願ったような次第でございます。
  38. 山崎始男

    山崎(始)分科員 私が漏れ聞いておりますのには、何か七つかの要点というか、大綱をあなたのほうは持っていらっしゃるということを聞いておるのですが、いかがですか。
  39. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 昨年末に基本計画承認いたします際に、それを閣議に報告をし、御承認を得たわけでございますが、その際に、私から特に、この問題は非常に重要でございますので、閣議で発言をいたしまして、そうして各省協力を求めることはもちろん、その腹がまえと申しますか、そういうことについても発言をいたした次第でございます。相当長くなりますが、(山崎(始)分科員「要点だけ言ってください」と呼ぶ)それでは前文だけ簡単に読みますと、「新産業都市建設および工業整備特別地域の整備は、地元の自主的な態度と民間の積極的な協力のもとに、農林水産業、中小企業等に対する諸施策と有機的な関連を保ちつつ実施されることによってはじめて所期の目的を達成することができるが一政府は、これを促進するため、次の施策を講ずるものとする。」  第一が、企業の立地誘導についての問題。この立地誘導につきましては、企業に対して政府承認しました基本計画を紹介する。それから工業立地についての立地条件がどんなふうになっているかということを具体的に指導する。それから同時に、日本開発銀行とか北海道東北開発公庫等によるところの開発融資を活用するように、そういう方面にも連絡をして、所要の設備資金の確保をはかるという努力をするというようなことを、まず第一に企業の立地誘導という面でうたっておるわけでございます。  それから土地の問題につきましては、これは、御承知のとおり非常にむずかしい問題ではございますが、とにかく土地の問題については前向きに、農林水産業との調整をはかりながら、公害の発生の防止及び地価の高騰の防止をはかるために、具体的な土地利用計画を指導、作成するということをうたっておるわけでございます。  それから施設整備の促進ということにつきましては、施設の整備を促進するために、国の予算及び財政投融資を重点的に投入し、また地方債の活用をはかるとともに、当該地方公共団体の負担能力、事業の内容等を勘案して、国庫による必要な財政措置を講ずるものとする。なお、事業調整費及び地方債等について、所要の改善を行なうとともに、民間資金の活用をはかり、施設整備の促進に資するものとする。これが具体化されたのが、今回の地方財政の援助に関する法律という形でただいま御審議を願っている次第でございます。それから公害の防止について。新産業都市及び工業整備特別地域における公害の発生を事前に防止するため、土地利用計画企業立地の調整をはかるとともに、企業の公害予防設備、工場廃水の処理施設等を充実することにより、積極的に公害の防止につとめるものとする。また、地盤と構造物の基礎との関係、風向と煙害の関係等について、事前に調査を行ない、公害防止に関する指導の強化をはかるものとする。  それから五が労働力の確保について。これは、雇用の安定のための措置でございます。  それから生活環境の改善について。これは、工業中心ではございますけれども都市全体としていわば社会開発的な見地から十分に配慮をしていただきたいという趣旨でございます。  そういうふうな趣旨事柄を私から閣議に報告をいたしまして、閣議の了承を得たような次第でございます。
  40. 山崎始男

    山崎(始)分科員 そういたしますと、閣議に報告された、いまあなたがおっしゃったようなものが、それがきょう現在のあなたが持っていらっしゃる将来の大綱だと考えていいわけですね。そういたしますと、いまお聞きいたしておりまして、大体六つか七つの要点があるように思いましたが、その中に立地誘導について、要するに立地条件の問題ですね。そういうことばがいまあったように思うのですが、そういたしますと、先ほど藤田委員が申しておりました工場配置法というものも将来考えるべきじゃないかというような問題が、私は当然起こってくると思うのです。現に、イギリスあたりには工場配置法というものがたしかあるはずです。そうして昨年でしたか、京浜あるいは阪神地区の過密都市を防除するという意味から、工場制限法という法律がたしかできたはずなんです。ところが、新産業都市法の精神を読んでみると、そして、あなたのほうが立地誘導ということが一つのポイントなんだと言われるんなら、当然将来工場配置法というところまで発展せなければ所期の目的は達せられない。すなわち、先ほどあなたがおっしゃった昭和五十年度までに七兆三千億の工業出荷額を見込んでいるんだという、こういう一つの目標がある以上は、その十年間の過程において、もっとそれに達するような具体的なあらゆる措置をやらなければならない。たまたまいま工場配置法ということばが先に出ておりましたので私は申し上げるのですが、当然そういうところまで発展していかなければならないと思います。  それから同時に、いま土地の問題ということをあなたがおっしゃったのでございますが、この土地問題に関しますと、農地法の問題も起こってくると私は思う。同時に、いわゆる新産業都市地域指定されたとたん、どんどん土地の相場が上がったのでは困るので、地価対策というもので当然将来これに対して何かの立法措置を講ずるとかいうことが考えられるように思うのでありますが、いずれにいたしましても、いまあなたが申された六つか七つかの要点は、この十年間に七兆三千億の工業出荷額を見込んでおる以上は、それをやらなかったらこの七兆三千億の工業出荷額というものは絵にかいたもちになる、これは意味のない数字になってしまう、こういうことが言えると思うのでありますが、そういう点に対して、いつ、どういう方法でもってあなたとすればそれをもっと基本的に、もっと具体的にきめていきたいという御意思があるのかどうか。もしおありになるのならば、その点をひとつお話し願いたいと思います。
  41. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 工場配置法というお話でございますが、その内容法律構成がどうなるかということは、お伺いいたしておりませんので何とも申し上げかねますけれども、私どもがただいま現時点において考えておりますことは、企業の誘導のために承認されました基本計画内容を各企業に十分に知らしてあげる、紹介してあげるということ、それから、その立地条件が一体どうなっているかということを十分に指導するというようなこと、また、いよいよそれではひとつそこへ自分たちがやろうということになりました場合において、開発銀行とか北海道東北開発公庫とかいうような政府関係機関によって資金の確保をはかってもらうというようなあっせんをする、配慮をするというようなこと、そういうふうなことを具体的にさしあたりは考えておるわけでございます。  それから土地の問題について、これは農地の問題を含んでくることは当然でございます。また、地価の問題については、建設省がただいま中心になって鋭意検討を進めておられるわけでございます。政府といたしましては、地価の問題は、これは新産業都市建設の問題としても非常に重要な問題でございますが、同時に物価対策としても、地代、家賃に関係する問題でございまして、いま最も大事な問題の一つであろうかと考えまして、今年の一月二十二日に閣議決定をいたします際に、地価の問題について特にこれを取り上げて閣議決定に加えたような次第でございます。そうして、それをもっぱら建設省が中心になってただいま検討を進めておるわけでございます。これらの土地の問題、地価の問題はいずれもいわゆる憲法上の私権と公共の利益と申しますか、公共の福祉と申しますか、その調和の問題に関連する問題でございまして、非常に長い歴史的な背景もあり、むずかしい問題でございますが、とにかく前向きにこの問題を進めていきたい、政府といたしましては、そういうふうな姿勢のもとにこれを推進いたしておるような次第でございます。  なお、通産省から工業立地関係の専門家が参っておりますので、そのほうからひとつ……。
  42. 山崎始男

    山崎(始)分科員 それは、時間がないからいいです。私も非常に急いで、同僚委員に迷惑をかけたらいかぬと思って大きな問題だけを伺っておるのですが、いずれにいたしましても、あなたが閣議決定をされたときに、御報告をされたあなたのお考え方というものは、大体わかりました。わかりましたが、相変わらずばく然としている。一言に言いましたら、ほんとうに雲をつかむようでわからない。そうして一応昭和五十年度までの目標は持っていらっしゃるんですね。七兆三千億の工業出荷額という目標があって、その十年間の目標をどうやって達成するのかという具体性が、いまの話だけでも「一つの大綱としてのまあ抽象的なことばにすぎない。しかも、あなたは、いまの閣議に報告された施設の整備に対して、地方財政負担をかけぬようにというような御配慮があるやにお話がございました。その例が、今回自治省から出た地方財政援助法なんだ、こう言われたのです。ところが、地方財政の援助法だと言われますが、これは、先ほど藤田委員が言うたように、起債が主体なんですよ。申し上げるまでもございません。私らからいいますと、起債は決して援助とは言いません。これは地方の借金ですよ。実際いいましたら、返さねばならぬです。それでわずか、利子補給だといったところで、昭和四十年度八千一百万円です。こんなばかな数字というものはありっこないですよ。実際考えてみたらおかしいのですよ。この新産業都市法の法律を見ますと、過密都市の解消をやるのだというておきながら、わずかスズメの涙ほどの援助金を出して、これで地方財政の援助をするのだ、助けるのだというていらっしゃる。反面、今日の政治は、オリンピックには一兆円という総金額の投入をして、過密都市の助長政策をやっていらっしゃるのです。反面、十三地区で各関係都道府県並びに市町村は泣きの涙で現在借金に四苦八苦している。そして、大きな国家目標を出されておって、過密都市の解消をやるのだ、地域格差の是正をやるのだ、これが新産都市法の目的なんだという国家目的をうたっていらっしょるのです。その程度ではスズメの涙なんです。こういう政治の矛盾が起こっている。特にこの新産都市法は非常にひどいのです。  そこで、私は、時間がございませんから、最後の要点をお聞きいたしまするが、どうもいまあなたの説明を聞いておりますと、先ほどの藤田委員へのお話の中にも、非常に及び腰な、国の責任を免れようというような表現のことばが多いのであります。地方へ援助をするとか、あるいは助言をする。それはもとより助言も援助も、当然それはあなたの立場とすればそういうことばはあたりまえだと思うのですが、この新産業都市法のこの大目的というものを、法律の精神を読んだときに、そういうことばでは私はもの足らぬと思うのです。特に私は、この新産都市法の通過の過程を知っているのです。といいますことは、当然経済企画庁昭和三十七年に提案されましても、社会党が継続審議を党議で決定しておったのです。ということは、中身がない、お粗末だ、これでは地方財政負担をかける、その他等々、いろいろ内容を見ても中身がない。それよりは、中身をつけるためには、あの国会で通過させるのは無理なんだというので継続審議の党議決定をしておった。それを私たちは、お粗末な法律でもしかたがない、一歩前進なのだというので、党内で党議決定をしておるものをひっくり返して、そうして十一の附帯条件をつけた。その十一の附帯条件というのは、これは要するに中身です。その他数項目の本文の修正を申し入れまして、そして、自民、社会、民社三党共同提案の附帯決議になって、この中身をお読みくださればわかるのですが、その中には、たしか第四項でございまするが、」新産業都市建設による地方財政への圧迫を排除するため道路、河川、港湾、工業用水道、下水道、工場汚水処理施設等の施設に高率補助ができるようにするため、施設の格上げその他の措置が可能となるよう、関係法令の改正又は法令運用の改善を図ること。」というのがこの第四項目にございます。私は、時間があれば、一項目から全部十一やりたいのです、実際言うたら。この四項目に地方財政への圧迫をやらしちゃならぬというので、あえて高率補助ということばを使っているのです。そのときに大蔵省のほうからわれわれのほうへ来て、この高率の補助の「高率」の二字を削ってくれ、これがあったのでは将来困るとお百度を踏まれたが、絶対に削らぬというので「この高率の補助というのが残っている。高率、普通ではこんなことばはあまり私はないと思うのです。それがいま言うふうに、あなたは金科玉条のごとく、今度地方行政へ自治省から出ておる、それがほとんど起債が主体、利子補給というたらわずか八千一百万円、こういうようなお粗末なものを出しておって、何がこれが高率補助なんです。その点に対する大臣の御所見をひとつお聞かせ願いたい。
  43. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 この新産都市は、もちろん北海道なり府県が中心になって計画をおつくりになって、政府がこれを承認した問題でございますけれども、ただいまお話しのように、こういうふうな特別の法律をつくって、しかも国土の総合開発のためにこれが必要だというたてまえで推進しているとごろの事業であり、また同時に、政府がこの基本計画承認している以上は、これは政府にも一半の責任があることはそのとおりであろうと存じます。また同時に、附帯決議の御趣旨も十分にわれわれも了承いたしておる次第でございます。ただ、申し上げておきたいと思いますことは、国だけの責任ではないのだ、やはり地方開発のために、地方がみずからそれに向かって邁進していただくということは、これは当然必要だということは、ひとつぜひそうお考えおき願いたいと思います。  それから、ここに高率補助とお書きになって、どうも高率じゃないじゃないかという御指摘がございます。なるほど、今回提案いたしました地方財政の援助に関する法律は、これはそう高率じゃない。文字の読み方によって意味が違うと思いますけれども、しかし、とにかく起債について金利三分五厘の負担にとどめるということは、これは三分五厘という金利は非常に安い金利でございます。そういう意味で、先ほど藤田委員の御質問に対してもお答えいたしましたように、将来非常に大きく発展する、しかも、それが先行投資として全般に相当そういうふうな負担を生ずるおそれがある、可能性があるという観点から、こういうような措置をいたしましたので、そういうことで、三分五厘程度の非常に安い金利ならば、地方としてもそれで十分やっていけやしないかという考え方を持っておる次第でございます。同時にまた、市町村につきましては、御承知のとおり、これも補助かさ上げをいたしておるような次第でございます。また、ここにお書きになりました点につきましては、この附帯決議に特に書いておられます「施設の格上げ」という文字がございます。これは東予の港、それから新潟、仙台等は港湾の格上げをいたしまして、そうして、いままで四割の補助であったものを五割の補助法案にするというふうな措置もいたしました。それから道路、河川等につきましても、それぞれその重要性に応じて適用区分を変えていくという措置をいたすことにいたしておるような次第でございまして、ただ単にあの法律だけということじゃなしに、いろいろな面からこの問題は配慮していきたい、かように考えております。
  44. 山崎始男

    山崎(始)分科員 時間がありませんから急ぎますが、結論を申し上げますと、どうも実際質問しておっても、大臣、お立場があるからそういう発言だと思うのですけれども、私は、あなた自身の気持ちの中に、どうも少しこの法律の精神を間違えていらっしゃるのじゃないかという気がしてならぬ面があるのです。お話のことばの中に。  私は、最後に一点お尋ねいたしておきますが、一体この法律は、いまあなたの御説明にもありますように、地方がやるんだ、地方がやるんだというふうなことばの受け取り方をせざるを得ぬ御発言が非常に多いんですが、私は逆に考えているんです。もとより国と地方の共同的にやる仕事でございます。でございますが、主体を持つのは国でなければならないと私は見ているんです。言いかえれば、国の責任でやるんだという心の姿勢がなければならない法律だと見ているんです。それが、答弁を聞いておりますと、あらゆる面が、地方がやるんだ、あなたまかせなんだ、国はそれに援助と助言を与えるのだ、こういうふうな、非常に本末があべこべになっているような受け取り方をせざるを得ぬのであります。一体この法律趣旨というのは、国で責任を持って、主体性を持ってやるんだという法律なのか、どうなんです。その点の心がまえ、法律の目的、解釈の心がまえを、あなたのお考えをお聞かせ願いたい。
  45. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 ただいま法律のたてまえについての御質問でございますが、その点は、立法の当時においてもずいぶんと議論され検討された次第でございます。御承知のように、第一条に「この法律は、大都市における人口及び産業の過度の集中を防止し、並びに地域格差の是正を図るとともに、雇用の安定を図るため、産業の立地条件及び都市施設を整備することにより、その地方開発発展の中核となるべき新産業都市建設を促進し、もって国土の均衡ある開発発展及び国民経済の発達に資することを目的とする。」ということで、非常に大きな理想を掲げた法律の第一条になっておるわけでございます。しかしながら、具体的には、それぞれその当時から全国的にほうはいとしてそれぞれ総合開発計画をお立てになって、それを推進しようという盛り上がったところの情勢がございましたので、それをできるだけ援助してやるということが一番すなおな形じゃなかろうか、上から与えるというんじゃなしに、盛り上がったその姿を全国的な見地から調整をいたしまして、そして十分にその資格のあるところを指定していく、そしてそれを助長していく、助成していくという考え方がしかるべきじゃないかという考え方から、第二条以下においては、そういうふうな考え方のもとにおいて、その第一条の目的を達成するというたてまえに相なっておるのでございます。したがって、目的はただいま山崎先生のお話しのとおりの目的でございますが、具体的なこれを実施に移す方法としては、どこまでも地方中心、盛り上がる力を助成していく、国は助長していく、こういうたてまえに相なっておる次第でございます。これは法律にはっきり書いてある事柄をそのまま申し上げておる次第でございます。
  46. 山崎始男

    山崎(始)分科員 どうも法律というものは便利なもので、いまあなたがおっしゃったように、第一条には国家目的をうたって、民間じゃできないような大目的が書いてあるんですね。ところが第二条では、多少逃げている面があるんですね。地方申請するんだ。そこに逃げる伏線を打ってるようなふうにも解釈できる。あなたがいまおっしゃったとおりなんです。ところが第四条には、たしか区域の指定申請がないときには、各府県から申請がなかった場合には、これは総理大臣がかってにやる権限があるんですよ。ただし、そのときには知事の同意を要するとは書いてありますけれども、そうじゃないですか。そういう面から見ても、この法律の全体の目的、それを達成をする、しかも先ほどあなたがおっしゃった、昭和五十年までには工業出荷額七兆三千億という経済企画庁の、日本全体の出荷額の中において重要な役割りを占めるんだという決定事項を持っていらっしゃる。ところが、反面は地方にまかすんだ、地方が盛り上がった力で云々。ところが、その地方の現状はどうかといえば、先ほど藤田委員も岡山県の例を引いておりました。いわゆるなくなった三木氏がお百度を踏んで引っぱってきた川崎造船、いままさに本調印までいっておりませんが、いきましょう、おいでください、それでは漁業補償までやってくださいということで、昨年の年末に十二億余りの漁業補償を漁師の人ときめてしまった。金を払わなければならぬ段階になって、年が明けてから、もう私はいやでございますというので、ぽんとよそのほうに行っちゃった。現実に払わなければならないのですね。それは一つの例ですが、このエコノミストにも、朝日ジャーナルにも書いてありますよ。日本全国の新産都市の優等生である倉敷市は、すでに三十幾社の工場が来、また内定をしておる。工場が来る以上は、その契約に基づいて道路の整備、港湾の整備をやらなければならぬ。地方は義務づけられているわけですね。そういうもののために、金がないもんですから、大会社から前借金をして、約十億金を借りて、借りたものを銀行へ預金をして倍額の二十億を借金をする。理事者は、こんな私生児的な財政というものは全くおかしなことじゃないかといって、たびたび警告を受けております。表面づらは黒字であっても、実質は十億の赤字、これが昭和四十五年度には倉敷市は二十億の赤字になる、これははっきりしている。それがために、先ほども藤田委員が言うておりましたが、つい四、五日前に自治省で、再建整備団体の指定をもう一ぺんまた受ける、こういう実態を見たら、いまのように国が責任を明らかにしない、国の責任なんだという考え方でない以上は、十三地区の最も模範生である新産都市岡山県ですらそういうふうな悲劇が起こっておるから、あとの関係府県の十二地区の皆さんは心配で心配で先行投資も何もできやしない。私は申し上げたいのでありますが、いまあなたは、地方の産業の盛り上がる力で云々と言われましたが、大体この新産都市という法律ができる過程をちょっと見てみますと、これは各都道府県でもそうだと思うのです。おそらく宮崎県の日向・延岡の例を見ましても、岡山県の例を見ましても、昭和二十六、七年のころから、いわゆる地方財政にとにかく少しのプラスでもあればいいということで、何も地方産業の開発であるとか、雇用の安定であるとかいうふうな大目的でもって工場誘致にかかったものはないのです。地方財政が不足しておるから、まあダムでもつくって水でも売って金をもうけようじゃないかというような、さしあたりの、いわゆる地方財政に少しでもお金がふえるように、こういう目的でもってやりかけた。ところが、昭和三十年ごろから過密都市解消、あるいはコンビナート方式企業家は企業家でもって、いまの機械を新鋭化したほうがいいのだ、それにはコンビナートがいいだろうとか、そうして、政治の面では過密都市の解消であるとかいう問題が学者の間や、あなた方の間から出てきたのです。言いかれば、地方の今日の新産都法の発想というものの根源というものは、その目的がいずれにあろうとも、むしろ地方が先にやっておる。それに国が乗ってこられた。それで、ついに新産業都市法という法律が誕生した。私はそういう経過だと見ているのです。言いかえますならば、この新産業都市法の今日の状態というものは、過去の地方財政負担といいますか、犠牲の上に立ってでき上がっていると言うても私は過言でないと思うのです。それを、こういう大目的、国家目的をうたっておりながら、この上とも国の責任というものはあとへあとへ引いてしもうて地方にまかせるのだというものの考え方、これは、私はなっておらぬと思うのです。昭和三十八年のたしか八月だと思いますが、池田総理大臣の時分に、全国の都道府県知事会議で、関係地区の人が心配したものだから、一体どうしてくれるのかという質問をしているはずなんです。そうしたら池田総理いわく、事、新産都市法に関する限り別ワクでもって地方財政は十分援助いたしますから御安心くださいという答弁をしておるじゃありませんか。昭和三十八年の八月です。会議録を読んでごらんなさい、そういう答弁をしていらっしゃるのです。事、新産都市に限っては別ワクでもって援助するから安心してくれと言っている。ところが、最近になって、いつの間にかだんだんだんだんしりがつぼんでしまって、あなたのいままでの御答弁を聞いておりましても、何が何やらさっぱりわけがわからぬ。法律を生んだものは経済企画庁なんです。その責任者がもっと主体性を持って、関係各省へ持っていってもっと前向きで、これは国の責任なんだという心がまえでもって今後御処理なさらぬと、あなたのほうでせっかく昭和五十年度までの工業出荷額七兆三千億とおきめになっても、これは絵にかいたもちであって幽霊みたいなものだ。いまの調子でいったら、とどのつまりは実現できない。きょう現在のままの政府のやり方ならば、これは絵にかいたもちであって、幽霊だ、いまから本分科会で私は予言をいたしておきます。十年たってみたらわかる。どうぞ私がこういうふうな苦口をついたことが実現しないように、大臣はもっと前向きの姿勢で、その責任者が主体性を持たなくてはいかぬのだという心がまえでもってこの問題を処理してくださいますことを私は要望いたしまして、もう時間もございませんので、言いたいことは一ぱいございますが、あとはまた別の機会に譲ります。どうぞその点、要望いたしておきます。
  47. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 先ほどもお答え申し上げましたように、経済企画庁では国土総合開発という仕事をいたしておりますが、国土総合開発という見地から全国を開発地域と整備地域とに分け、そして開発地域についてどういうことをすべきか、また過密都市の問題を取り上げ、これをどうすべきかというふうな見地から、その当時から地方にほうはいとして起こってきたところの総合開発計画、この盛り上がる力というものを基盤といたしまして、そして新産業都市建設促進法をつくり、そして、国土の調和のある発展に邁進いたしたい、こういうふうな非常に大きな理想のもとにこの法律を提案申し上げたことはただいま御指摘のとおりでございます。しこうして、その理想を今日もなお堅持していることは、これははっきりそう申し上げていいかと存じます。ただ問題は、具体的に各年度において各地方団体がどの程度なければ困るかという事柄につきましては、実は昨年の末に基本計画承認いたしましたような状態でございまして、とりあえずこの程度措置を最小限度すべきだという見地から、実は計画承認をいたします際にも、私から特に閣議にそういうふうな点を要望し、閣議の承認を得て、それを具体化していくような方向経済企画庁としては努力いたしておるような次第でございます。  それから、これは先ほどの山崎先生のお話をあえて否定するわけではございませんが、昨年の八月にやはり知事の会議がございまして、その席上、この新産都市の援助について御要望のあったのに対して、その当時の池田総理は、十年後にはこれほどの出荷額になる、非常に大きな産業ができ上がる、発展する地域なんだから、つまり、起債のお世話をいたしましょう、それで十分じゃないかということを、私もその席におりましたが、あの席で答弁しておられたことを申し上げておきます。
  48. 古川丈吉

    古川主査 これにて山崎始男君の質疑は終了いたしました。  次は板川正吾君。
  49. 板川正吾

    板川分科員 私は中部電力の料金値上げ問題について経済企画庁長官に伺いたいと思います。   〔主査退席仮谷主査代理着席〕 物価問題は非常に重要な政策である、真剣な態度でこれと取り組んでいく、こういうことを佐藤内閣の施政方針でも言っておるわけです。また、佐藤さん個人としても、昨年の総裁選挙に際しては、池田君の政治のやり方は生産第一主義だ、人間不在の政治じゃないかという意味の主張をしておって、特に物価問題にも触れて、物価抑制政策を非常な力を入れてやるべきだという趣旨のことも述べておる。そういう佐藤内閣が、本年早々米価やあらゆる値上げ問題と取り組んでおるし、値上げをしておるのですが、その中で、問題の多い公共料金の値上げに対する佐藤内閣の態度は一体どういう態度でございますか、これをまず伺っておきたい。
  50. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 佐藤内閣が成立しましてから、御承知のとおり、また、ただいまは、お話しのとおり物価の安定ということについては非常な強い決意を持ってこれに当たってまいっておることは、御指摘のとおりでございます。しこうして、そのために一番大切なことは、経済の成長を安定的な基調に乗せるということでございます。そういう観点から、一昨年の暮れから、いわゆる金融の引き締めを通じて経済調整過程に入っておったわけでございますが、そういうふうな問題の処理につきましても、非常に慎重な態度で臨んでおりますことは、御承知のとおりだと存じます。ところで、公共料金につきましては、昨年の一月に一年間オールストップという措置をとったわけでございますが、その間ずっと各企業の状態を見てみますと、その前、ずっと長年にわたって料金の引き上げをしてなかったという企業もございまして、そのために当該企業は非常な赤字に悩み、場合によると倒産に追い込まれるというふうなものもちょいちょい出てまいった次第でございます。もとより昨年の一月の閣議決定におきましては、中小企業等については、特に経済閣僚懇談会で例外を認めて措置をすることができるという例外規定をつくっておりました。これは、そう多数にはやっておりたわけではございません。原則は、どこまでも一年間ストップという措置をとってまいったのでございます。ところで、そういうふうにずっと各企業の実態をながめてまいりましたときに、また、こういうふうな公共料金のオールストップという措置はどうしても無理がかかります。そういうところから、これはそう長く続けるべき措置ではない。むしろ、どんどん消費者物価が上がってくるというこの騰勢を思い切って押えて、そうして、この悪循環を断ち切って何とか安定的なムードに持っていきたいという趣旨でとったところの一つの強行手段であった、かように存じておるわけでございますが、さらにこれをずっと永続すべきものではないというような考え方から、一年間の期限後にはこれを続けないということをきめたわけでございます。しかし、それだからといって公共料金を野放しにするという趣旨では全然ございません。公共料金は、御承知のとおり政府がコントロールし得るところの、つまり政府が抑制し得るところの料金でございますが、どこまでも一件一件について最小限度、つまりその企業が成り立ち得る最小限度にとどめて、企業でも合理化を進めていただく。また合理化に必要な政府の施策があるとすれば、たとえば中小企業等について合理化資金または近代化資金等もお世話を申し上げる。そういうふうな事柄も十分一方において配慮しながら、ケース・バイ・ケースに審査をし、そうして最小限度にとどめていく、こういう考え方をとって措置してまいる所存でございます。しこうして、一年間経過を経ました後におきましても、まだそれほど大幅にやっていくというようなことではなしに、やはり相当厳格な態度でもって各企業に対して審査を続けてまいっておるような状況でございます。
  51. 板川正吾

    板川分科員 池田内閣が生産第一主義で国民の生活を第二に置いた、だから、問題があるというのが佐藤さんの政治姿勢であったと思う。だから、佐藤内閣になったならば、池田内閣の当時よりも物価問題にもっときびしい態度をとるのだろう、これがいまの佐藤内閣姿勢でなくちゃならぬと思う。ところが、この公共料金を値上げするについて、経済企画庁では、物価安定のための総合対策として、公共料金の値上げについては経済閣僚懇談会に付議する、こういうことになっておりますが、たとえば中部電力の値上げ問題、これは経済閣僚懇談会に当然付議されて、慎重な検討の上に結論が出るものと思うのですが、この問題は経済閣僚懇談会に付議されますか。
  52. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 公共料金については、すべて経済閣僚懇談会に一件一件かけて処理する、こういうことにいたしておりますので、これは、当然に経済閣僚懇談会に付議いたします。
  53. 板川正吾

    板川分科員 本日の日本経済新聞によりますると、来月三日にも中部電力の値上げを決定をして、そうして、三月の半ばからこれを実施する、こういう決定になるだろうということを通産省が発表しておる。従来電気料金を値上げする場合には、東北電力の場合なんか、一年数カ月慎重な検討をしました。私鉄の運賃でもバスでも、三年間も十分な慎重な検討をしておった。ところが、この中部電力の電気料金の値上げは十月三十日に申請が出されましたから、実際には十一月ですね。そうして、十一月と十二月、一月、まあ一月と十二月の末はほとんどお正月や年末で審議できなかったと思うから、大体二カ月ちょい、三カ月くらいですでに本年の二月の初めの新聞には、中部電力の申請は若干申請よりも低く査定をして三月の三日ごろこれを決定して、三月十五日ごろ実施したいということが新聞に出ておる。これは、どうもあまり早過ぎる審議じゃないか。特にこの中部電力の値上げ問題については、産業界から強い批判もあるし、要望もある。東北の場合なんかは、この前の前のときには経営者がかわったのでやむを得ず値上げをするということもあり、しかも、それは一年数カ月も慎重な審議を待った結果、政府が物価問題をこれほど強力にやるという宣言をしない時代ですら慎重な審議が行なわれておった。ところが、この中部電力は、二、三カ月でもういいんだ、しかも申請を若干下回ればそれでいいんだ、こういうような態度が出ておることは、私は、佐藤内閣が国民に公約した、生産よりも国民生活に直結した物価問題等について重点的な施策を講じていくという方針と反するじゃないか、こう思うのです。そこで、この中部電力の料金値上げの問題について、経済企画庁としてはどういういま検討段階ですか。聞くところによると、大臣、こういうのですよ。二月の末か三月の一日か二日に予算が上がるだろう、予算審議中はうるさいからやめよう、予算が終わったらすぐ閣僚懇談会ですか、これにはかってすぐ決定しよう、そうして三月の半ばから実施するんだ、社会党に多少反対があるが、それはもう問題じゃない、既定方針どおり実施するんだ、こういう言すらはいておるといわれておる。この中部電力の値上げ問題についてどういう検討をしておりますか。この新聞の報道どおり三月の三日の経済閣僚懇談会にかけてうのみにして、それを承認するようなかっこうになりますか。
  54. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 私も、けさの日本経済新聞をいま見せられて驚いておるわけでございます。全然こういうふうな予定は私承知いたしておりません。昨年十月でございますか、こういうふうな内容申請が出されたという報告は詳しく受けております。そのとき、まだ公共料金一年間ストップの期限内でございましたので、それについて何らかの指示を出したことは全然ございませんが、その後どうしてもこれは一年間続けるべきじゃない、先ほどのような方針をさらに閣議決定において昨年の末に経済閣僚懇談会で御報告をして、決定を願った次第でございますが、そういう事態になれば当然に検討しなければいかぬということで、検討する場合においてはそれが必要があるかないか、またその内容について、ただいま御指摘のように国民の生活を脅かさないようにという面から十分な配慮をしなければならぬ、そういうふうな点が十分配慮されているかどうか。それらの点は、これはもちろん原局は通産省でございますから、通産省がそれぞれ審査はしておられるでありましょうが、その通産省の考え方を後になって変えることも非常にむずかしいだろうから、そういう点は事務当局間において経済企画庁の本来の考え方を十分連絡しておくようにという意味は、絶えず連絡をとりながら情勢を見ておきなさいという指示はいたしておりますが、それ以上、私、直接にこの問題についてまだ十分な検討をしておる段階ではございません。
  55. 板川正吾

    板川分科員 たとえば鉄道運賃にしろ、あるいは電気料金にしろ、原局というか、通産省なり運輸省なりということになると、どうしても業者保護というたてまえをとりやすい。だから運輸大臣が国鉄運賃は早急に値上げすべきであるとか、あるいは通産省が電気料金は早急に改正すべきだ、こういうふうな気持ちになりやすいのです。原局だから。だから、これをチェックするのは経済企画庁の任務じゃないかと思う。だから、経済企画庁がそういう点を国民の期待にこたえて真剣な討議をしなくちゃならぬと思う。  そこで、私は幾つか問題を出しておきます。これは昨年十一月に、電気事業連合会というのがございますが、ここで九電力の九月期の決算を発表いたしております。この発表を見ると、比較的収支のいいのが中部電力になっております。総収入が五百四十六億円、これに対して総支出が五百三億円、純利益が四十二億八千万、これは前年の純利益三十二億円から見ると、逆に非常に純利益が多いように発表されておる。こういう発表を見ると、かえって九月決算期では前年より純利益がふえておる。それでありながら、値上げ申請というのはどういう理由か、国民の側からいえば、どうも不可解だということが第一です。  それから今度の電気料金値上げについて、家庭用電力は比較的上げない、わずかしか上げません。しかし、産業界が非常な反対をしておるのですが、ある産業については二割も三割五分も、場合によっては、最初の案ですと四割近くも上がるのがある。いま若干修正するといっておりますが、そこで、日本化学工業協会あるいは日本鉱業協会、日本紡績協会など電力需用産業の十八団体で構成している主要産業団体電力問題連絡会は、中部電力が申請中の平均九・七一%の料金値上げ案に対して、「同電力の経理内容は現在、不況に苦しんでいる一般産業に比べ、はるかにゆとりがあるので、上げ幅は三%以下に押えるべきである」、こういう意見書を出しておる。これによると、一、二、三というふうに問題が出ております。これは、前に調整局長にも十分言っておりますから、この意見書は通産省やあるいは経済企画庁長官にもいっておると思いますから、ひとつこれに対する慎重な配慮をしてもらいたいと思うのですが、ここで、産業界はこう言っておるのです。この料金の内容は、一段料金を五割上げる。そのかわりに二段料金を若干下げる。平均すると、なるべくくっつけようというわけです。これは答申がされているから、そういう方向だというのです。しかし、一段料金というのは、ある産業では電気料金が八割を占めておる。これが五割も上がるのです。この差を少なくするというのは、これは鉄道の場合ならば定期運賃みたいなものです。料金が安いということでその地域に産業が集中した。定期料金が安いということで利用者がふえたのです。ところが、なるほど鉄道の場合には定期料金一は九割も割引しておるんだから、これはたとえばあと五割ぐらい上げても、割引率はまだ八割何分だ、安いじゃないか、こういう議論と同じなんです。この一段料金を五割も値上げするということは、産業界に与える影響が大きいのです。いま電力各社の情勢を見ても、今度の場合には一段料金を三円五銭に引き上げると言っておるのですが、三円五銭の一段料金を取っておるところはあまりない。北海道あるいは中国あるいは四国、こういう比較的効率の低いところです。東京、関西というようなところは、そう高いものを取っておらないのです。ほかから見ても、なるほど中部は安いんだから、値上げしてもいいんだ。こういうことであれば、いまの鉄道も、それからバスも、公営的な事業もすべて値上げしなければいけない。また、この電気料金はそういう面にはね返りますけれども、中部電力だけ結論を早く出して値上げを認めるという態度があるやに伺っておるので、その点に対する大臣の見解を伺っておきたい。
  56. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 この問題は、板川先生のほうが私よりもずっと詳しく知っていらっしゃるようでございます。三点ばかり御質問があったようでございますが、それぞれについてお答え申し上げたいと思います。  まず第一に、公表決算のお話でございますが、これについては、発表された公表決算のみによることなく、実際上、たとえば償却が定率法によっているか、定額法によっているか、またそれが全額行なわれているかどうか、また配当をする場合においても、過去に留保利益をやっておるのか、その期においてどういうふうな状況になっておるか、また傾向がどういうふうになっておるか、そういうような点も掘り下げて私どもとしては十分に審査をいたしたい、かように考えております。したがって、必ずしも公表決算によって判断するということは私どもいたしかねるかと思います。  第二点の産業界との利害の調整の問題でございますが、これは、本来通商産業省の責任の分野でございますが、私どもの問題としては、利用者と供給者、双方の間の意見の調整ができたといたしましても、その電力を利用する方面で、電力料金が上がったから、ひとつおれのほうも料金を上げるのだという便乗的な口実に使われるようでは、国民生活を圧迫するようになりますから、そういう面から私どもは、これについて非常に大きな関心を持っておる次第でございます。したがって、何と申しましても国民生活にそう大きな圧迫にならぬように、私ども立場としては、佐藤内閣としてどこまでも物価を安定的な基調に持っていきたいという考え方のもとに、非常に渋い線でもってこれを審査していく考え方で指示をいたしておるような次第でございます。  それから一段料金の問題でございますが、これは、どうも私よくわかりませんので、御趣旨の点は十分に今後の問題として審査をしていきたい、かように考えます。
  57. 板川正吾

    板川分科員 ある電気事業の専門家が私に話したところによると、中部電力の値上げに対して、通産省の査定というのは甘過ぎる、九・七一の申請に対して、七・九何がしという査定をした、これは甘過ぎるというのです。それに対して、やはり電力業界としてそういう見方をしております。これは、新聞に出ておる記事によると、電力業界では、中部電力値上げの通産省案について、思っていたよりも高い率で通産省案がきまったと見ているのです。私が聞いた電力業界のある人の意見、これは新聞と別の意見ですが、この人も、通産省の査定は甘過ぎると言っています。この人は業界に関係した人ですから、値上げを推進する立場の人でしょうが、この人の意見を聞いたところが、まあ五%も上がれば東電並みの経営水準が維持できるのじゃないかと言うのです。こういう説を言う人もある。そういう専門家の勘といいましょうか、実は私も、その仕事をしておるどきには、料金値上げの書類とか、そういうのは全部つくった経験がある。だから専門家なんですが、官庁をある程度ごまかす数字というものはできるのです。それで、高いか安いかの判断ということになると、これはやはり業界の勘のほうが、専門家の勘のほうが正しいと私は見ている一値上げの書類なんというのは、大体目標をつけて査定されるものとして、それの上に利益をもちゃんと読んでいる。だから、通産省や経済企画庁で出された数字だけを検討すれば、九・七一を七・九三に直したことはいいように思いやすいんですよ。しかし、高いか安いかというのは、業界の判断、勘のほうが正確な評価というのですか、案外考え方が正しい。専門家ですからね。だから、そういう点を考慮して——通産省ではどうしても三月十五日にやると言っておるそうです。社会党が反対しようが、一部に反対があろうがやる、こう言っておるときょうの新聞に発表しておるわけです。だから、そういう点から見ると、経済企画庁もこの点については十分慎重な態度をとってもらいたいということなんです。大体この値上げというのは、だれが見ても高過ぎる。また時期も悪い。説によると、いまのうちやらなければぐあいが悪いからしゃにむにとにかく三月十五日から実施するのだ、してもらうんだ、こういうようなことで各方面に運動しておるそうでありますが、しかし、国民は佐藤内閣の物価政策に非常な批判を持っておりますから、いまの資料から見て、そう値上げをしなくたって済むこともある。それからもう一つは、電気事業の体制ですね。なるほど中部電力は、九分割のときにコストの低い水力をたくさん持ちましたから、安い電力料金で維持していた、こういう事実もあります。しかし、一面逆に関西は、あのときには火力のほうをたくさん持っておったために、高いコストの電力だったために、料金が高くされた。だから、たとえば関西と中部で一社になるならば値上げをしなくても済むのですね。そういうこともあり得る。また中国電力というのは、櫻内通産大臣の兄貴が経営しておりますが、これは値下げしてもいいと言っておるのですよ。値下げしてもいいと言っておるのに値下げもしない。経営内容がよかったら値下げするのかと思ったら、そうじゃないのですね。値下げはしない。だから、そういういいところと悪いところの電気事業の経営形態を一本化しろと社会党は言っておりますが、一本化できなければ、少なくともブロック化ですね。関西、北陸、中部、あるいは東京と東北あるいは四国、九州、中国、こういうような電力をそのブロックで一社化すれば、料金値上げをしなくても済むし、また産業界も安い電気料で使えるという特典もある、経済の発展の基礎にもなる、こう思う。ですから、そういう体制の問題もひとつ料金値上げの際には検討してもらいたい。この前東北電力が安直に値上げしようと言ったときに、経済企画庁長官の宮澤さんですか、彼が、東京と合併すれば値上げをしなくたって済むじゃないか、こういう議論を出しておる。私はまことに正しい議論であったと思うのですが、今度の場合も、そういうブロックが一社化になることによって値上げをしなくたって済む、値上げを回避できることもあると思うのです。そういう点もよくひとつ検討の上に慎重な検討を加えてもらいたいということを要望いたして、私の質問を終わります。大臣の見解を伺います。
  58. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 いろいろお話がございましたが、私どももそう甘い感じでもってものに対処しているつもりではございません。もちろん、第一次の責任官庁は通産省でございますが、通産省はそれぞれ専門家を持っておるわけでありますから、立ち入って検討をしておられると思います。私ども経済企画庁としては、それが国民生活に及ぼす影響という面から、先ほど来申し上げておりますように、もっぱら渋い態度でこれに臨んでいく考えでございます。  なお、ただいま電力会社を一つにしたらというようなお話がございましたが、これは、長い歴史を持ってああいうふうに分割されてきたような経緯でございます。また同時に、その企業力が相互に批判される状態にあることがいいかどうか、または重役陣として、社長の経営として把握し得る範囲というものがどうであるかというふうな問題も、同時に考え合わせながら検討していくことが筋じゃなかろうか、かように存じます。したがって、いまそうすべきだという意見は持っておらないことを申し上げます。
  59. 板川正吾

    板川分科員 最後にひとつ。三月三日に閣僚懇談会を開きますか。そこで、この中部電力の値上げの案件は付議されますか。
  60. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 ただいまのところ何もそういうふうな決定はいたしておりません。
  61. 板川正吾

    板川分科員 決定はしてないだろうけれども、その見通しですか。これは事務当局でもいいです。そういう段取りになっておりますか。
  62. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 そういう段取りになっておりません。
  63. 仮谷忠男

    仮谷主査代理 これに板川正吾君の質疑は終了いたしました。  次は石田宥全君
  64. 石田宥全

    石田(宥)分科員 時間がたいへんおそくなりましたし、かつまた他の委員からも新産都市の問題についてはかなり突っ込んだ御質問があったようでありますから、私は一般論はなるべく触れたくないと思うのでありますけれども、昨年新産都市十三の指定が行なわれました後に、宮澤前長官は、新産都市建設促進法というものはいささかバラ色の夢を与え過ぎたようだということを率直に反省をし、さらにその後の予算委員会では、この指定はあやまちをおかしたものとして反省しておるということを率直に認めておる。ところが、今度は多少のニュアンスの相違はあっても計画案承認されたわけです。経済情勢から見るとむしろ悪化しておるとわれわれは考えておる。そういう事態の中で、あるいはむつ製鉄の問題のようにあとに問題を残す。あるいは岡山その他でも、これはさきの委員が御指摘になったとおりで、いろいろと問題を残しておる。そういう状態のもとにおいて、さらに工業整備特別地区というものを認め、低開発地域開発計画というものがまた地方地方で進められておるが、新産都市建設促進法に基づく地域指定と、工業整備特別地区指定と、低開発地域開発計画との関連性を一体どうお考えになっておるのか、これだけはひとつ原則的に伺っておきたいと思います。
  65. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 御質問の御趣旨がどうもはっきりわからないので、あるいは的確なお答えにならぬかと思いますが、新産業都市建設促進法につきましては、私も党におりますときにその案にある程度参画しておりますので、あるいはバラ色の夢をあまりにはなやかに繰り広げ過ぎたという御非難があるかもしれませんけれども、このバイタリティーに富んでおるところのわれわれ民族としてはある程度のことは考え、そして国土の総合開発を推進することが妥当であるというふうな考え方のもとに、私どもあの必要を痛感しておったような次第でございます。しこうしてその指定が、当時予想されたものよりも相当数が多くなったこと、これは事実でございます。事実でございますが、しかし、いやしくも国において指定され、そして、その基本計画承認された以上は、これをその指定の目的に沿って育てあげていくということはもう当然に必要なことであろう、また当然それが国のあるべき姿であろう、かように存じておる次第でございます。もちろんあの当時の状態よりは、つまり昭和三十五年、六年、七年ごろの非常な高度成長の時代と、今日安定成長を目途とする考え方をとっている時代と相当に差があることは御指摘のとおりでございますが、しかし、何と申しましても長い将来のことを考えて、十年の先まで考えての長期計画でございますから、この程度理想を持ち目標を持つ。そして、地方も国も相ともに協力してこれが実現に邁進するという姿があるべき姿じゃなかろうか、かように考えておるわけであります。  ところで低開発地域工業開発促進法というのは、約二年ほど前にできた法律でございますが、これは、熟度がその程度には至っていないが、しかし、地方においてある程度工業の立地条件が整っておるにかかわらず、その地域の産業が発展しないで、どんどん人口が都市に集中していく。しかも既成の工業地帯に集中していくというふうな情勢がございますので、これは新産業都市建設促進法と一貫した構想の一つでございますけれども、やはりそういった地域について、立地条件を補完することによってそこに工業誘致をし、そして、そこを拠点として、どんどん大都市に集中するところの人口をそこに食いとめ、またはさらにそこに雇用の機会を多く与えて発展をさしていくということが国土全体の調和のある発展をする上において必要であろうという考えのもとに、低開発地域工業開発促進法というのが制定された、かように考えておるわけでございます。  しかして、また工業整備特別地域整備促進法でございますか、これにつきましては、いわば新産業都市建設促進法第一条の目的にも書いてありますように、いわゆる開発地域というものを対象にして、しかも新しく新産業都市建設するにふさわしい地域指定してまいったわけでありますが、すでにある程度工業が成り立っておって、そうして、しかもそれをやはり総合的な観点から、地方でも国でも各般の施設と事業とを総合調整しながら、総合的な計画のもとにやっていく必要のある地域、そういうものを特に取り上げて、これを助成していこうという考え方工業整備特別地域整備促進法ですか、この法ができた、かように存じておる次第でございます。
  66. 石田宥全

    石田(宥)分科員 経済企画庁からいただいた資料によりますと、十三地区のうちほとんどが昨年指定後に工場誘致が決定を見たというところが見当たらないのです。ほとんどその以前にきまっておる。昨年の三月、四月の時点できまっておるのが若干あるけれども、これは、全然ない地域が七地区あるわけですね。これは、その新産業都市建設促進法に基づく指定というものがほとんど無意味であったということを物語っておるものではないかと考えるのですが、どうですか。
  67. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 先ほど石田先生も御指摘になりましたように、経済は一昨年の暮れから調整過程に入りまして、したがって、政府としては、そういうふうな設備投資に対して水をかけてきたわけでございます。そんな関係で幾ぶんスローダウンしておると思いますが、内輪話としては、あっちこっちに相当あるようでございます。正式に決定したものとして御報告申し上げられるものは、ただいま御指摘のようなものでございますが、やはり将来の問題として、いろいろ内輪話はあっちこっちで私ども聞かされておる次第でございます。
  68. 石田宥全

    石田(宥)分科員 時間がありませんから、次に新潟の地区の問題にしぼってお伺いをしたいのでありますが、昨年の委員会でも私は指摘をしたのでありますが、新潟のように地盤沈下をしておる地域は、これを避けるようにということが同法第五条第五項に明示されております。にもかかわらず、これを指定に踏み切ったわけです。ところが、今日工場誘致の決定を見たものは一つもないし、また問い合わせというような段階のものも一つもない。これは、地震等の関係があったと思います。そのことで、昨年地震が起こりました。その地震の被害の実態については、これは長官にも御案内のことであろうと思いますが、新潟の地震は砂上の楼閣だ、そう一般に当時いわれておった。ところが、昨年の十月六日、七日、八日、金沢市で地震に関する学者の会合があった。そのときに、これは中央の新聞がみな書いておりますから御案内だと思いますけれども、新潟の地震は砂上の楼閣であり、被害を大きくしたと言われておるけれども、必ずしもそうではない。すなわち旧市街地のような少し高いところは全く安泰だった。県庁所在地や古町の大きなビルディングなども、デパートなども安泰だった。これはクイックサウンドによるものである、流砂の現象によるものである、こういうことが学会の一致した意見として公表されたわけです。そこで、一たんクイックサウンドという状態が起こった地域が非常な深刻な被害を受けたのでありますが、この被害を受けたクイックサウンドの現象の起こった地域というものは、これは地盤沈下の現象からきておる。地盤沈下というのはガスの採掘からきておる。これは実は明らかなんです。ところが、最近になって、新潟県は再びその水溶性ガスの開発をするということを決定し、近く開かれる県議会にその審議が行なわれることになったのです。そこで、この地盤沈下と地震の被害というものは、これはもうほぼ議論の余地はないと思うのです。ただ問題は、さらに地盤沈下がなお進行しつつあるということと、それからもう一つは、新潟市の地盤沈下というもののために、白根市という、これは四里か五里離れたところにも地盤沈下が起こっておるが、これは、おそらく新潟周辺のガスの採掘の影響であろうという中間報告的なものが出ておるのです。ところが、新潟市はこの勧告でガスの採掘を規制しておるけれども、西蒲原の一部は依然としてじゃんじゃんとっておるわけです。そうすると、今度は西蒲原の大野周辺の水溶性ガスの採掘が、逆に今度は新潟市の地盤沈下をまた誘致する現象が起こるのではないか、こう考えられる。この地盤沈下については、これは長官じゃなくて、資源局長が見えておりますから、局長に伺いますが、最近新潟県知事は、地盤沈下はもうその現象はやんだ、こう広言しておる。しかし、一時それはそうではないかという観察も行なわれましたけれども国土地理院のこの標準点が実は動揺しておったために、それを再検討したところが、その結果としては、依然として沈下はやんでいない、横ばいの状態で沈下は続いておる。   〔仮谷主査代理退席、主査着席〕 こういうことが結論として出ておるようであるが、依然としてその沈下の現象が続いておるのかどうかということと、それから西蒲原の大野周辺の沈下の状況がどの程度であるかということと、将来の見通しについて、これはひとつ資源局長から、この点の事態を明らかにしていただきたいと思います。
  69. 橘恭一

    ○橘政府委員 第一点の地盤沈下が依然として続いておるかどうかという、その点につきましては、山の下の、信濃川の河口でございますが、二等水準点六十六が比較的長期の記録がございます。それによりますと、地盤沈下の現象は依然として続いております。大体昭和三十六年末の第三次と申しますか、第四回目の規制後の沈下速度というものがコンスタントになって、大体一日当たりコンマ一ミリからコンマ二ミリ、五本の観測井が全部その幅に一日の沈下量がおさまって、横ばいということであります。増加分がなくなったことは確かですが、絶対値は依然として継続している。  それから西蒲原でございますが、西蒲原のほうも、白根地区は依然として地盤沈下は継続しております。たとえば新潟市黒崎辺のところも、やはり年間沈下量が、ここはひどいところでございますが、これは大体三十六年から七年、七年から八年、八年から九年、さらに十五、六センチばかり、ほぼ横ばいでございます。  それから、今後の見通しにつきましては、これは非常にむずかしい問題でございますが、従来の観測データから見ますと、沈下原因と申しますか、天然ガス類の水の汲み上げによりまする地下水の汲み上げそのものの状況いかんということで、大体それと相関関係をもった実績にはなっておりますので、それの見通しいかんということではないかと思います。
  70. 石田宥全

    石田(宥)分科員 資源局長、この前の災害対策特別委員会で水溶性ガスの採掘、その水量のくみ上げ量イコール地盤沈下だという答弁をされております。この点、間違いないですか。
  71. 橘恭一

    ○橘政府委員 イコールという意味は、ちょっと不正確かと存じますが、地盤沈下速度あるいは一年間の沈下量というものが全体で、そういうものが地下水のくみ上げと相関関係を持っている。片方がふえればふえる、減れば減る。イコールという意味はそういう意味に解釈願いたいと思います。要するに相関関係を持っている。数値が同じというのは、地下水のくみ上げが何十立方メートルということでありますし、それから片方は何、ミリですから、イコールというよりも、全く相関関係を持つということであります。
  72. 石田宥全

    石田(宥)分科員 そこで、先ほど申し上げたように、長官、地盤沈下というもののもたらす影響というものは非常に深刻なんですね。また、新潟は御案内のとおりで、地盤沈下がなければ、あのような深刻な被害は起こらないのです。同時に、あの昭和石油の災害も起こらないのです。あの火災も起こらないのです。これはもうきわめて明瞭なんです。にもかかわらず、県がさらにまた水溶性ガスの採掘のためにかなり大幅な予算をいま計上をしておるのでありますが、これは昭和三十五年に、いまの総理大臣の佐藤さんが、第四回規制としてガスの採掘の規制勧告をしておる。まだ幾らかは採掘をしておるのですけれども、われわれはこれはやはり全面的に禁止すべきだ。単なる勧告というようなことではなくて、禁止すべきだという意見を持っておりましたが、まあ、新潟市周辺ではかなり強力な規制が行なわれておる。しかし御報告のように、部分的に新潟市周辺ではわずかずつの沈下はあるけれども、それほど憂うべきものはない。しかし、西蒲原の大野周辺の沈下は、いま御報告になったように、かなり大幅に沈下現象が起こると、下のほうの地盤が続いておるものだから、それに引かれるおそれがあって、再び沈下現象が起こるのではないかということが考えられる。また一部の学者もそういう説をなす人もあるのです。そういうときにあたって、新産都市計画承認されたのですが、私は、これは本来からいえば、新潟の新産都市というものは実施の時点をもっとずっと繰り下げて計画を再検討すべきであって、現時点においては、地震の災害対策に全力を集中すべき段階ではないかと思うのですが、長官の御意見を承っておきたい。
  73. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 昨年の秋、地震のあとに私も新潟に参りまして、ただいまのような問題がございますので、現地も見せていただきました。また災害の状況も聞きまして、ほんとうに非常な大災害でございまして、心を暗くしたような次第でございます。  そこで、その当時、ただいまお話しのように新産都市計画を繰り下げてもう一度再検討すべきじゃないかという意見が、また少なくともしろうととしての疑問を私ども持っておりましたので、その点もその際に現地の人といろいろお話を申し上げたことはございます。ところで、先ほど石田先生からもお話がございましたように、地震学会の詳しい報告は、私専門じゃございませんからお聞きいたしておりませんが、旧新潟におきましても地盤の岩盤の高い地域はほとんど被害がなんということで、これは要するにもとの河川敷地であった、沼地であったというふうな、岩盤に達するのに百何十メートルもあるという地域が非常に被害をこうむったということでございまして、そういうふうな地盤の状態をよく調査してやればその点の心配はないということは、その当時はっきり検討することができたわけでございます。しこうして、新産業都市として予定された地域はずっと北のほうでございまして、その地域一帯は、調査したところによりますと、地盤は相当堅固な地域であって、そういうふうな、つまりもとの河川のあとであったとか、または非常に沼地であったとかいうふうな地域は、あの中心部には少なくともないということを私どもお聞きいたしたような次第でございます。そして、港湾の建設そのものもわりあいに順調に進行いたしております。そういう関係で、その点について御心配のような点を私どもも考えましたので、十分にその点を検討いたしたのでございます。ことに先ほどもお話のございましたとおり、一昨年の暮れから日本の経済全体が調整に入ったそのやさき、新潟で地震があったというふうなことのために、企業自体的にはあそこにすぐくるのだという見通しのものがなかなかできにくいということも、その当時の状態として十分察せられることでもあり、また実情がそうなっておったと思うのでございます。しかし、同時に、立地条件としていろいろな条件を考えてみますと、それは、地震によってそれほど大きな影響を受けたとは考えられない。もちろん動力資源として地下のガスを当てにするということがある程度あるとすれば、これは一つ条件になるわけでございます。ことにただいまお話しのように、規制をさらにすべきだ、禁止すべきだという御意見なれば、これは、その面において多少の問題は生じてくる可能性はあるかと存じますが、しかし、地盤の問題については、先ほどお答え申し上げましたような状況であり、また工事自体も相当長年を要する港湾の工事ということでございますので、これをこの際中断をして、そしてあらためて考え直すということをすることはいかがか。むしろ、やはりその計画はそれを先行投資として進めて、そして、立地条件そのものについては、条件がそう変わったものとは考えられないから、むしろ長期的な観点から将来の計画を前向きに希望を持って進めていくということのほうが正しいあり方じゃなかろうかというふうな考え方のもとに、その後基本計画も相当検討していただきまして、そして、政府としても各省の意見をとって計画内容を十分検討した上で承認をいたしたような次第でございます。
  74. 石田宥全

    石田(宥)分科員 しかし、この計画を見ますと、必ずしも従来の地盤沈下をしておる地域工場が除かれておるとか、地域的に中心からはずれておるというような、そういうものではないのです。そういうふうに県の当局が説明をしたかもしれないけれども、あなたのほうで承認をされた文書の中にはそう書いてないのです。だから、この点はすなおに——いま県民も市民も要望しておることは、現状の新潟をごらんになるとすぐわかるのですが、何といっても地震のあと始末の災害対策に全力を傾注すべきであって、その他のことに手が及ぶはずがないですよ。だから、むしろあなたのほうから災害復旧に重点を置くべしという勧告くらいはすべきだと私は思うし、それからいま申し上げたように、直ちに地盤沈下と関連があるということを資源局長がちゃんと言っておる。また事実、それはそのとおりです。それをさらに水溶性ガスの開発のためにかなり大幅な予算をいま計上して審議に付そうとしておる。これは、一体何のことかというのです。これは、県市民の納得のいかない問題です。そう思いませんか。少なくとも地盤沈下を招来するような水溶性ガスの採掘というものについては、慎重にやるべしという長官として警告を発する必要があると私は思うのですが、どうですか。
  75. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 私も現地に臨みまして、あの地震の惨害のはなはだしさを十分身をもって痛感をいたしました。したがって、私のほうの所管の北海道東北開発公庫からは、あのために四十億円の融資を直ちにいたしたような次第でございます。それで、お話しのように、まず地震のあと始末と申しますか、復興の仕事が最先順位であるということについては、私も石田先生と同じような感じを持ったような次第でございますが、さればといって、新産業都市建設についてあれだけの理想を持って計画をお立てになり、そして、これを推進しようというこの希望の灯を消していいかどうかということになると、それは少し違うのじゃなかろうか。ことに基本的な条件になるものがそう変わっておるか、これでもって地盤沈下ができてきて、もうこの計画は全部くずれるのだということになるかどうかという点を考えてみますと、そうではないという考え方のもとに、その希望の灯は消さない。しかしながら、具体的には、先ほどもお話のございましたように、たとえばむつ製鉄等の前例もございますので、そういうふうなあやまちを繰り返さないように慎重な態度をとりながら、具体的には各年ごとにそれぞれ先行投資仕事がきまっていくわけでございますから、そういうふうな仕事のやり方については、いまお話しのような点を十分注意しながらものごとを進めていきたい、かように存ずる次第でございます。  なお、水溶性ガスの開発の問題は、私全然承知いたしておりませんし、主管でもございませんので、そういうふうな前提のもとでは、何かお答え申し上げるにしましても、あらかじめ政府としての見解を十分まだ聞いておりませんので、この際は留保させていただきたいと思います。いずれ所管の通産省のほうからでもお答え申し上げることにいたしたいと思います。
  76. 石田宥全

    石田(宥)分科員 これは、地方新聞ですけれども、ガスは構造性ガスよりも水溶性ガスのほうが質がいいのですね。そこで、量より質としての開発を考える。本年度のざっと三倍の八千三百九十五万円に増額をして、そうして水溶性ガスの利用によって開発を進める。予算にちゃんともう組んであるのです。これだけの予算が。そうして、水溶性ガスの採掘と地盤沈下というものは相関関係にあるということは、これはもう昭和三十年ごろからの議論で、定説なんですよ。それまではっきりした答弁はできないという話はないでしょう。やはり地盤沈下を招来するおそれのあるものについては慎重にやるべしという態度をとらなければ、そんなあなた、長官、だめですよ。それくらい明瞭なものはないんだから、そんなことをはぐらかしたらだめですよ。もう十年近くも議論をして、そして大臣が勧告をしている問題じゃないですか。あいまいにするとは何です。一体。
  77. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 別段あいまいにするとかなんとかという意思は毛頭ございません。私だけが承知しないのかもしれませんけれども、これは所管が通産省の所管だと存じますので、やはり所管庁のほうから責任のあるお返事を申し上げることが妥当ではなかろうか、こういう趣旨で申し上げている次第でございます。
  78. 石田宥全

    石田(宥)分科員 もう時間がありませんから、もう一問だけにしておきますが、これは、通産省を呼んであるのですけれども、大体局長はわかるのじゃないかと思うのですが、いやしくもこれだけの大計画を全国的にやる上において、私は非常に疑問に思うことは、地域格差の是正と称して新産都市建設についての立法措置が行なわれた。ところが、たとえば郡山地区のごときは坪五万円もになって、それが周辺農地にまでみんなそれぞれ影響を及ぼすのですね。農地などが値上がりすれば、農業経営はもうこれは行なわれなくなる。岡山地区だって、いままで蚊の一匹もいなかったところが草ぼうぼうで蚊が出ているということがちゃんとNHKテレビにまで出ているのです。こういうふうになっておるだけでなくて、県や関係市町村民の負担というものが非常に大きいことは、もう前の委員が指摘されたから私はここで指摘いたしません。ただ一つだけ伺いたいことは、新潟市を中心とする水溶性のガスの採掘による利益は一体どの程度なのか。これは、私は通産省から資料をとってみたけれども、あまり明確なものは出ていないが、推定でもよろしいから、新潟市を中心とする水溶性ガスの採掘による利益というものはどの程度お見込みであるか、これをひとつ承りたい。
  79. 大慈彌嘉久

    ○大慈彌政府委員 ただいま計算しておりますから、後ほど……。
  80. 石田宥全

    石田(宥)分科員 長官、新産業都市建設促進法というものは、地域格差の是正をするということが一本の大きな柱であったはずですね。しかし、現実にはむしろ地域格差を拡大する結果となっておると考えられるのだが、どうですか。
  81. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 先ほどもお答えいたしましたように、過大都市の防止、地域格差の是正、雇用の促進、そういうことがこの法律の目的でござ・います。したがって、結果としてただいま御指摘のようなことが起こることがないように、どこまでも慎重な態度で進んでいきたいというのが私ども立場でございます。ことに新潟の場合におきましては、ただいま御指摘のようないろいろな問題があると私ども承知をいたしております。したがって、そういう場合に、それが逆の方向に結果としてなるというようなことが絶対ないような前向きの姿勢建設を進める、こういうふうにいたしたい、かように考えます。
  82. 石田宥全

    石田(宥)分科員 新潟については、特別な御配慮をしてくださるということであるけれども、何といっても新潟市を中心とする開発のために、県民並びに、たとえば農地の値上がりによって被害を受けるところの周辺の農業というようなものは、これは被害者になるわけですね。そうすると、県や市町村民の負担というものも、これは軽からざるものであることは、先ほどの議論の中に出たようでありますが、そういう点から見ると、私は地域格差の拡大というものは避けられないのではないか、こう考える。その一つの問題として私は通産省にいま質問をしておるのですが、そういうことのないような配慮をすると言われても、先般法律一つ衆議院を通過して特別法が出たわけですけれども、本会議でも質問がありましたように、あの法案が出て全国で十五億くらいしか国が支出をしないというようなことだとすれば、これは全くスズメの涙というほかはないですね。十三地区に十五億出てみたところで、どうにもならないでしょう。だから、そういう配慮をするとおっしゃるけれども、これは、いままでのようなこんなちっぽけな立法措置などが行なわれても、結果においては、やはり地域住民の負担が過重になって、地域格差を拡大する結果になるということだけは、どうも避けられないのではないかと考えるのです。そうお考えになりませんか。
  83. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 ただいまお話のありましたように、ことしの地方市町村に対する助成は十五億ということでございます。起債は四十億円でございますが、そのほかに各省所管の港湾、河川、道路その他において、具体的なこれの配分は各省がそれぞれきめる問題でございまして、まだ確たる数字ができておりませんけれども、しかし、新産都市指定いたしまして、しかも基本計画を決定、承認いたしました次第でございますから、その線に沿って各省がその精神のもとに配分をやっていただくということをわれわれは期待しておる次第でございます。したがって、それらの金額は、ただいま御指摘のような金額とは全然違ったオーダーの数字になろうかと思います。同時に、金額としてはわずかでありますけれども経済企画庁としては、その間、各公共事業の間のバランスがとれぬというような場合に、特に調整費として四十五億円程度金額予算に計上しておりますことも御承知かと存じますが、そういうふうないろんな面から配慮をして、そうして育てていきたい。そして地方負担が重くなって、そのために逆に地域格差が拡大するというふうな結果にならぬようにということをぜひいたしたいという考え方のもとにこれを進めておるのでございます。もしも御指摘のような結果になったとすれば、これはやり方が間違っているので、そういうような結果になったんじゃ、この法律の目的は全然達成できないわけでございます。そういう考え方で、こまかい配慮をしながら慎重に事を運んでいきたい、かように考えます。
  84. 石田宥全

    石田(宥)分科員 長官の善意に期待をいたしまして、ひとつ十分調整役をやっていただきたいと思うのですが、通産省のほうはどうですか。
  85. 大慈彌嘉久

    ○大慈彌政府委員 おくれましてはなはだ申しわけございませんでしたが、新潟の水溶性ガスでどのくらい利益があるかという問題でございますが、新潟の地区におきましての水溶性ガスの生産は、一日当たり約三十七万立方メートルでございます。年間に直しますと約一億五千万立米ということになります。非常に概算で、ただいま計算しましたところでございますので正確ではございませんが、売り値に換算いたしますと、十億五千万程度になろうかと思います。それで、化学工業の原料、それからその他の燃料等に供給されておるわけであります。
  86. 石田宥全

    石田(宥)分科員 そこで、実はそういうことを聞いておるのじゃないのです。私は、これは新産都市建設という段階で考えなければならない問題点としては、過去十五年間における新潟市を中心とする水溶性ガスの採掘によって、そのガスの単価と、さらに二次加工を加えての利益というものがおおよそ三十億ないし三十五億ではないかと私は考えておる。三十億ないし三十五億という、これは私のいろいろな推定数字ですが、もし間違っておるなら間違っておると指摘してもらいたい。この三十億ないし三十五億というものは、地盤沈下を招来したが、しかしそれだけの利益はあった。この利益はガス資本の資本家のふところへ入る利益です。ことに化学産業で労働者をあまり使っておりません。新潟交通の労働者の賃金のごときは新潟市内でも非常に低賃金のほうです。御案内のように、あそこはガスでバスを動かしておりますけれども、労働者の賃金は高くしておらない。そうすると、そのガスの採掘によって地盤沈下を招来しながら、ガスの採掘によって得た利益が三十億ないし三十五億は資本家のふところに入るが、地盤沈下を招来したために防潮堤、防波堤、その他農地の地盤沈下に対する被害、そうして、それに対する対策の経費というものは、やはりおおよそ三十億ないし三十五億に相当すると私は推定する、大体そういう見当です。かなり広範な農地まで被害を及ぼして、農民の負担も大きいという数字になります。そうすると、利益のほうは資本家のふところへ入るが、いま申し上げたような公共事業に対しては、県または市町村と土地改良区を通じて農民の負担になる。国ももちろん一部負担するけれども、一体この関係が、今後の新潟の新産都市建設を促進する上において、同じようなことを繰り返してはならないということを私は最後にはっきり申し上げておく。もし私の推定数字が間違いであるならば、ひとつどなたからでもいいから間違っておるということを指摘していただきたい。どうでしょう。
  87. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 これは、経済企画庁の主管ではございませんけれども、ただいまのお話のような点は、まさに十分検討して決定すべき非常に大事な点であろうかと存じます。しこうして、新産業都市建設立場から申しますれば、エネルギー源としてそれにどの程度期待するかという問題に関連する次第でございますので、その点も十分われわれ関心を持って検討するようにいたしたい、かように考えます。
  88. 石田宥全

    石田(宥)分科員 それでけっこうですが、ただ、長官、御承知だと思うけれども、水溶性ガスは地盤沈下を招来するけれども、構造性ガスは地盤沈下には影響がございません。ですから、構造性ガスの採掘については、政府から積極的におやりを願い、建設当局もまた積極的に、これはやはり地下資源の利用をすべきであるという点も御配慮を願って、たいへんおそくなって恐縮でしたが、私の質問を終わらせていただきます。
  89. 古川丈吉

    古川主査 これにて石田宥全君質疑は終了いたしました。  午後は二時半から再開し、通商産業省所管について質疑を続行することにいたします。  暫時休憩いたします。    午後一時二十七分休憩      ————◇—————    午後二時四十四分開議
  90. 古川丈吉

    古川主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  昭和四十年度一般会計予算及び特別会計予算中通商産業行所管を議題とし、質疑を続行いたします。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。横路節雄君。
  91. 横路節雄

    横路分科員 きょうは通産大臣、それから公取の委員長、それから水産庁の長官、本来ならば企画庁長官にも来ていただきたいところですが、企画庁からはどなたか局長がおいでだと思うのですが、きょうこれから私が質問しますのは、去る二月一日に私が総括質問で触れました管理価格の問題のうちの具体的な事例について、そのうちの最も特殊な問題についてお尋ねをしていきたい、こういうふうに思うわけです。  きょうは問題をブリキの価格にしぼって質問をしたいと思います。  ブリキの原板となる薄板の建て値は、昭和三十年以降現在までの間に十四回に及んで改定が行なわれております。ところが、ブリキの建て値は、電気メッキブリキが昭和三十四年度に一回です。それからどぶづけブリキは三十一年と三十四年の二回、両者それぞれ五%から六%程度の引き下げが行なわれたのにすぎませんで、三十四年の改定以来そのままであるわけです。これは、公取のほうから私に出した資料にもその点は明らかになっておるわけです。この間に生産性の規模は三倍以上に拡大し、新しい連続式電気メッキ設備の新増設が行なわれ、労働生産性が著しく上昇しているわけです。しかし、ブリキ価格の硬直性は明らかであるわけです。そこでまず私は、比較として亜鉛鉄板、亜鉛メッキについて申し上げますと、これは、やはり薄板にメッキ加工をプラスしたものですが、亜鉛鉄板はこの薄板——もちろん鉄鋼の薄板ですが——の価格が変化をすれば、それに伴って変化をしているわけです。だから亜鉛鉄板の価格を見れば、薄板鉄板のカーブと同じカーブを描いて変化をしているわけです。ところがブリキについては、薄板の価格変動とは全く無関係に硬直しているわけです。  そこで、私は第一番目に、生産の規模が三倍にも拡大し、そうして労働生産性は顕著に上昇している。そして、先ほど私が申し上げたように、三十四年に一度、わずか五%程度の引き下げが行なわれたきり改定をしていない。硬直していることは明らかです。しかし、その原板になる薄板については逐年その価格が変化してきている。このブリキの価格の硬直というのは一体なぜこういうような事態を生じているのか、この点についてまず最初に通産大臣に聞いて、それから公取委員長と、こう聞いていきますからね。それから企画庁長官がいれば聞いていかなくちゃならぬが、企画庁長官がいなければ、かわりの局長に聞くが、まず最初に通産大臣に、なぜこの価格が硬直しているのか、この点についてお尋ねします。
  92. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 私、詳しいことはわからないのでありますが、私の聞いておるところでは、ブリキの生産について外国からの高度の技術の導入をしておる。そして、その技術料あるいはコストの計算の上におきまして、なかなか機密に属する点もあって、調査することは困難な点がある。こういうようなことを聞いておるわけでございます。しかし、現実における価格の状況というものは、横路委員の御指摘のとおりでございまして、現在通産省の企業調査課におきましても、硬直的価格品目一覧表の中の十分な検討をする必要があると思われる品目二十八の中にブリキを入っておるわけでございまして、通産省としても常時注目しておるような次第でございます。
  93. 横路節雄

    横路分科員 公取委員長にお尋ねしますが、池田前総理は、明らかにこれは管理価格である、こういう点を明らかにされておる。この点は私もここにこの間引用しましたが、当面行なうべき物価安定のための具体策、去年の一月十七日の経済企画庁、あるいは私がこの前指摘をしました、一昨年総選挙解散前における衆議院本会議のいわゆる価格安定対策の中でも引用している。公取委員長は、いま通産大臣から、この点は注目していると言ったって、そういうことではとにかく国民は納得しないわけですね。私は、資料がありますから一つ一つこれからお尋ねしていきますが、公取委員長は、これはどうして価格が硬直しているとお思いですか。
  94. 渡邊喜久造

    ○渡邊(喜)政府委員 私のほうから一応お手元に出ていると思いますが、その数字はおそらくそのとき私のほうから一応備考的に申し上げてあったと思いますが、われわれのほうで一応そうした価格動向をつかまえます場合におきまして、まず取っかかりとしましては、それは日銀の卸売り物価指数のもとになっている価格、それをまず調べてみよう。その限りにおきましては、いわばそれは一種の建て値を日銀はとっているのでありまして、それは、お話のように三十四年から現在まで動いておらぬ、こういう数字が出ております。ただ、日銀の卸売り物価指数のとり方それ自身をわれわれはすぐそれがいいとか悪いとかという意味の批判をするつもりはありませんが、実際の値段と日銀の卸売り物価指数にとられている数字とがはたして同じであるかどうかという点は、これはまた別問題でございまして、したがいまして、特にブリキのような非常に百が百ずっとつながっているものがはたして実際の取引価格においても同じような傾向にあるかどうかということについては、われわれも特に注目しまして、いろいろ資料を集めて調べております。それで、実際の取引価格においてあらわれておりますところでは、われわれの調査によりますと、内需、輸出の動きは違いますが、一応トータルしたところでは、三十四年を一〇〇とすると現在は九四・二、こういう数字が出ております。したがいまして、日銀の卸売り物価指数に出ておる一〇〇という数字が必ずしも実際の取引価格をそのままあらわしているということにはならないように私は見ております。ただ一〇〇が九四・二になったとしても、ほかの商品に比べてある程度の硬直性を持っているというのじゃないかという意味のことは、われわれもブリキというものが持っている特殊性というものが一つやはりそこにあるように考えております。ただ原因は、われわれもだいぶいろいろ探求してみたのですが、大体ブリキの業界といいますか、ブリキは、御承知のように非常に薄い、普通の亜鉛鉄板などに比べるとはるかに薄い鉄板を材料にしている。これは一種の特殊な、やはり高度の技術を必要とするわけでして、この点においては具体的に名前をあげるのはどうかと思いますが、とにかく八幡がまずもって一番先発として進んでいる。最近におきまして、あるいは富士あるいは鋼管あるいは川崎、だんだん後発が出てきておりますが、一応鉄板の関係においては何といっても八幡が相当強く出ている。それからメッキの関係においては、八幡もやり、同時に東洋鋼板がやっておりますが、しかし、まあ大体メッキ関係においての技術というものを相当優秀なものを持っている会社の数というものは比較的少ないといったような一つの寡占的な状態が——同じブリキでありましても、いわゆるどぶづけと称するもっと厚いかなり中小企業的なものがやっているものは、これは動向がだいぶ違うようでございますが、そうした高度の技術を必要とするものにおいては、主としてそうした二つの会社が中心になって少なくとも従来はやってきたということが、やはりこうしていわば価格における硬直性というものを生んでいるゆえんじゃないだろうか。まあ断言し切るのも私ちょっとちゅうちょいたしますが、一応の推測としてはそういうことが考えられるのじゃないか、われわれはそういうふうに見ております。
  95. 横路節雄

    横路分科員 いま公取の委員長から言われましたように、電気メッキについては八幡が全体の四四・三%を生産し、東洋鋼鈑は二五・一%を生産し、富士は全体の一三・六%を生産して、この三社で全体の八三%を生産している。だから、いま公取の委員長が言ったように、まさに寡占的な状態である。いわゆる三社で八三%である。こういうふうに、独占価格ではないけれども、明らかにこの三社に集中をしている。したがって、ここで値をくずしていないということです。この点は亜鉛鉄板になると、第一位が一六・一%、第二位が一二・一%、第三位が九・四%、次は八・二、六・三、五・〇、四・九、四・六、三・六、三・四、こういうようにいわゆる全くブリキの場合と違っている。ここに価格の硬直性というものが見られないで、先ほど私が指摘をしたように、いわゆる原板の価格の変動に伴ってこの亜鉛鉄板については同じカーブを描いてきている。寡占的状態にある寡占的な産業である。しかし、渡邊さん、もう一つこれに関連しているのじゃないですか、明らかにいま製かん業者が関係していませんか。たとえばこの製かんの場合に、東洋製罐は全体の五一・八%を占めている。その次は化海製罐、それから大和製缶、九州製罐、富士、五社で九六・三%を占めて、そうして東洋製罐と北海製罐は東洋銅鉱の系列にある。大和製缶と九州製罐は八幡の系列にある。本州製缶は富士の系列と見られている。電気メッキ、ブリキの生産で寡占の状態にあって、しかも製かん業者をみなその系列におさめて、五社で九六・三%をおさめている。こういうところにこのブリキの価格というものが——まあ私はこれからかん詰めについて、渡邊さんの一番心配している問題を出しますが、そういう点がある。だから私、どうも櫻内さんが注目していると言うても、ただ注目しているだけではだめだ。そこで私は、渡邊さんが心配しているけれども、これはどうもしかたがないから、一体どうしてこういう不合理な状態ができるのかお聞きをしたいのです。もちろん電気メッキの話ですよ。ブリキの厚さの呼称、厚さのミリメートル、それからメッキの量——メッキの量については、たとえば一平方ボックス当たりのメッキ量は〇・五〇ポンドであるとかいろいろありますが、三十四年で価格が変わっていないんだから、三十六年八月の輸出価格七万八千七百八十四円のものは国内価格九万八千円、その差は一万九千二百十六円、輸出価格七万五千二百四十円のものは国内価格九万八千円、その差は二万二千七百六十円、輸出価格七万二百七円のものは国内価格九万一千三百円で、その差は二万一千九十三円、輸出価格六万四千百六十一円のものは国内価格八万九千五百円、その差は二万五千三百三十九円こういうようになっておる。これはメトリックトン当たり何円と、こうなっておる。どうして国内価格と輸出価格とがこんなに違うんでしょう。これは、通産大臣がおわかりにならなければ重工業局長にお答えいただいていいんですよ。ここが問題なんです。輸出価格と国内価格がこんなにべらぼうに、トン当たり二万五千三百三十九円も違う。これはどうしてこういうように違うんでしょうかね。一体輸出価格が正しければ国内価格が高いんだし、国内価格が正しければ輸出価格はダンピングだし、ダンピングであれば、これは国際的に問題になるし、どちらかが問題です。これはどっちをいったって問題ですよ。おわかりですか。もしも輸出価格が正しければ不当な国内価格だし、国内価格が正しければ輸出価格はダンピングで、これは国際的に大問題で、関税及び貿易に関する一般協定の第六条の違反行為になるし、どっちになるのです。こんなに違う。渡邊さんが一番いやなところをいま聞いているわけですね。しかし、これは総括で聞くことなんだが、こういうことだけで一時間も聞くわけにいかぬから、ほんとうは通産大臣です。あなたはあとにしたらいいです。こういう問題は通産大臣が知ってもらわなければならぬ。こういうことがその次にどこに関係してくるかという話もこれからするのですが、どうしてこんなに違うんです。どっちが正しいんでしょうかね。
  96. 川出千速

    ○川出政府委員 ブリキの輸出の価格は、通商白書の研究によりますと、トン当たり七万二、三千円ではないかというように記憶しております。先生の御指摘になりました七万八千円というのは、おそらくその中で質のいい食用かん詰め用のブリキの値段ではなかろうかと存じます。おそらくそういう値段で輸出されておるのではないかと思います。輸出されております場合に、国内と比べて有利な点がございます。それは、貿手等の安い金利を使い、かつ短期間に現金化される、つまり金利の面で相当輸出メリットがあるということが一つございます。それから輸出の場合には、在庫期間が国内の場合よりも短いということや、あるいは工場から直接外国へ持っていくために国内の運賃が少なくて済むというようなことで、輸出のメリットというものがトン当たり相当の額になろうかと思います。  それから国内の建て値の問題でございますが、これは、先生が御指摘なさいましたように、三十四年以来据え置かれておるわけでございますけれども、実際の取引価格は、後発メーカーが出てきたということもございまして、最近相当に下回っておるということを聞いております。  それからもう一つ、輸出用のかん詰めのブリキの価格は、たしか三十六年の秋ごろ以降だと思いますけれども、農林省の御要望もありまして、いわゆる輸出特価ということで、平均いたしましてトン当たり一万二千円程度の値引き特別価格を実施しておるわけでございまして、そういう点を勘案いたしますと、いわゆる価格の上にあらわれているほどの値開きというものは私はないのではないかと存じております。
  97. 横路節雄

    横路分科員 いま重工業局長から、輸出の面で安い金利が借りられるとか、あるいは工場から直接船で運ぶから運賃が少し——運賃といっても遠いところへ運ぶのだから、何も東洋製罐とか北海製罐とか、その他、遠いところにあるわけじゃない。国内にあるのだから、その運賃がどうしてなんといういまの局長のお話は、ちょっと私はふに落ちない。  こんなことを言いたくないですけれども、こういうことを言う人がありますよ。あなたではないですよ。あなたの何代か前の人のところにこの問題で陳情に行った人があるそうだ。そうしたら、われわれはブリキの保護官庁であって、消費者のための官庁ではない。その人たちの言い分は、輸出価格が低くて国内価格が高いのを同じにしてもらえないか、こういう陳情に行ったら、おれたちの立場はブリキの保護官庁で——あなたではないですよ、何代か前の人らしい。あなたであれば、そんな失礼なことは言いませんよ。何代か前の人だけれどもそういうことを言う。私も不届きなことを言うもんだと思う。通産省というのは業者の代弁者なんだ、ブリキの保護官庁であって、消費者の代弁者ではないのだ、こういうことを言っている。いまの局長のお話の金利の点は、それは、政府のほうでも輸出産業について、金利だとか、税制だとかその他をやっていますけれども、しかし、運賃はどうとかこうとかいうのはちょっと話が通らぬ。渡邊さん、これはあまりあなた好きでないだろうけれども、やはり問題で、いまお話しの、平均して実際の取引は値引きしているなんと言うけれども、決して値引きしていないです。これからだんだん一つずつ明らかにしていきますが、あとで水産庁の長官に聞きますけれども、どうしてこんなに違うんですか。最初に公取委員長としての見解をお尋ねしておきます。そういうことをやるのはあなたの仕事だよ。
  98. 渡邊喜久造

    ○渡邊(喜)政府委員 税制の問題、それから金利の問題、いわば日本の輸出振興という問題と結びつきまして、輸出についていろいろ国の政策として打っている手というものがあるわけでございまして、したがいまして、そういったような観点から、いま重工業局長が話されたように、輸出について、いわば国内に比べまして取引の条件からして相当有利な点がある。これは私あると思います。ただ、それ自体が現在の値段の格差をすぐそのまま説明し切れるものかどうかという面になりますと、これは、私としても現在研究段階で、十分説明できるという自信は持っておりません。ただ結局、通産省として御指導していらっしゃるわけですから、業界としてもそのつもりでやっておるわけでしょうが、やはり輸出の場合におきましては、外国の値段が相当安い。したがって、ある程度それに引きずられないと輸出ができない。輸出ができなければそれだけ設備も遊ばせなければならぬというようなこともあって、やむを得ずそうした手段がとられている面もあるのじゃないだろうか。これが一体ジャスティフィケーションになるかならぬかという問題は、これは、見方でかなり議論はあると思いますが、そういったようなこと自体が現在のような現象を出しているのじゃないか。正直にいいまして、われわれとしましても、そうしたような格差というものがはたしてあっていいものか悪いものかという点については、かなり注目して見ておりますが、いまのところ、すぐにこれが一体独禁法のどの条文でどうこうというところまでの結論には至ってはおりません。
  99. 横路節雄

    横路分科員 渡邊さん、国内価格が硬直して海外価格が一致して安いのは、どうもこれは、偶然というのには偶然性がない。何らかの暗黙の共同行為があるのではないか。そうすると、これは私的独占禁止法の三条後段の不当な取引制限の疑い、私も専門家でないが、そういう疑いがあるのではないか。どうもこれは、偶然に一致しておるのではない。何か暗黙の共同行為があるのではないか。私は、これはもっと公取に検討してもらいたい。それから、関税及び貿易に関する一般協定の第六条の「ダンピング防止税及び相殺関税」ここにございますところの「本条の適用上、ある国から他国へ輸出される産品の価格が次のいずれかの価格より低いときは、その産品は、正常の価額より低い価額で輸入国の商業に導入されるものとみなす。(a)輸出国における消費に向けられる同種の産品の通常の商取引における比較可能の価格」明らかにこれはここにかかってくるわけです。私がきょう実は問題にするのは、こういう点を指摘しながら、一体何の問題をここで私は解決をするのかということについてこれからお話をしたいのです。私は、ただ私的独禁法の違反だ、関税及び貿易に関する一般協定の第六条の違反ではないかということだけを言って、問題をそれだけでとどめようというのじゃないのです。先ほど局長からお話がございまして、このごろは実際の輸出取引は値引きされているというようなことを言われていますが、きょう水産庁の長官にきてもらっている一つの理由が私あるわけです。それは、ブリキであきかんをつくるわけですね。さっきも言ったように東洋製罐、北海製罐その他でつくっている。これは、輸出産業としては水産のかん詰めにしても、あるいは果樹のかん詰めにしてもいろいろあるわけです。ところが、水産庁の長官にお尋ねしたいのだが、その前に一つ私は指摘をしておきたいのだが、ここでまことにふしぎな制度がとられている。こういうことですね。八幡製鉄、東洋鋼鈑、富士から北海製罐、東洋製罐その他にブリキが代理店を通してきて、そこであきかんをつくって、それからかん詰め業者に渡って、中身が入って、そこでちゃんと製品になって、そして外国に売られるわけですね。外国に売られると、幾ら売ったかという輸出証明書をもらって、そして今度はどこに行くかというと、ここが問題なんです。製罐協会にその輸出証明の申請書を出して、そしてリベートをもらうんです。私はこういう行為は何だろうと思うのです。これは世にもふかしぎな行為ですね。リベートをもらうんです。渡邊さん、御存じでしたか。そこでリベートをもらう。まず私は最初に長官にお尋ねしておくのですが、申請して製罐協会からトン当たり一万三千円引いてもらうものと六千円引いてもらうものと二つに分けてある。一万三千円引いてもらうものは、サンマ、ミカン、イワシ、サケ、マス、マグロ、アジ、カニ、そこまで、魚介類その他果実、果汁、蔬菜、練乳入りなどは六千円、こうなっている。リベートとして片一方は二万三千円引いてもらう、片一方は六千円引いてもらう。しかも、これは製罐協会からもらうのです。これもおかしなことなんですね。  まずその前に私は水産庁の長官にお尋ねしたいのですが、業者が製罐協会に輸出証明書を出してリベートをもらう、そういうことをやめて、それならば同じなまブリキを輸出する価格で、同じ輸出産業に携わっているなら、やはりその中にものを入れて売るんだから、同じことなんだから、それならば同じ建て値にしたらどうかと思うのです。通産省もあり農林省も水産庁もあってそういうことができないものなんですかね。世にもふしぎなやり方だと私は思うのです。水産庁の長官には何でこんな二段に分けているのかあとで聞きますが、伺いたい。  櫻内さん、こういう話は初めて聞きますか。あまり小さなことといいますけれども、小さなことではないのですよ。輸出産業としては相当大きいものでございまして、日本全体の輸出産業からいけば相当の金額を占めているわけですからね。ですから、そういう意味で私は申し上げているのですが、こういう点は、なぜ一体行政官庁というものがもう少し指導できないのか。それが全く行政官庁としての指導ができないから、業者間で、それではおまえにリベートをやる。さっき実際の取引は値引きしていると言いましたが、値引きではないのです。リベートです。そして、実際にくる金というのは一年あとになっているわけですね。これは水産庁の長官に先に聞きましょうか。あなたはこれは御存じなんでしょう。じゃ、あなたから先にやってください。
  100. 松岡亮

    ○松岡(亮)政府委員 御指摘のとおり、輸出かん詰め用のあきかんにつきまして、リベートが行なわれている。そのやり方につきましても、いまお話がありましたように、かん詰め類をA品目とB品目に分けまして、A品目につきましては一万三千円、B品目につきましては六千円のリベートがございます。A品目と言いますのは、特に輸出品として額も大きくて重要と認められるものでございまして、輸出水産業の振興に関する法律指定された品目でございます。この法律によりましていろいろな規制をやっておるわけであります。A品目につきましては、多いほうの一万三千円のリベートが出ております。これが現状であります。  それから私もあまりつまびらかでございませんが、製かん協会を通じてリベートが払われておるという点でございますが、これは、要するにかん詰めが輸出されたものであるかどうかということを確認した上で、つまり証明されたものに対してリベートを払うという必要からこういう手続がとられているものと理解いたします。
  101. 横路節雄

    横路分科員 水産庁としては、いまのお話の一万三千円と六千円とのこういうはなはだしい違いというのは、どこで区別したのですか。
  102. 松岡亮

    ○松岡(亮)政府委員 一万三千円をもらっているA品目といいますのは、輸出水産業の振興に関する法律で特に重要なものとして指定しております。その輸出につきましても、ある程度の規制を行なっておるものでございます。そういうことでA品目として扱われている、こういうように理解いたしております。
  103. 横路節雄

    横路分科員 それで、長官、どうなんですか、こういうリベートというやり方は。しかも一年後でなければ支払わない。それよりも櫻内さん、一番問題なのはさっきの価格の問題です。たとえばイワシとかサンマとか、こういうものは中身とかんとの割合は五五だそうですよ。だから、私ら何食べているかというと、イワシとサンマを食べているかと思うと、かんと中身を半分ずつ食べているのだそうですよ。半分ずつの値段だそうです。それだけのウエートを占めているのだそうですね。だから、この輸出の価格が正しいものであるならば、国内価格をそこまで下げれば……。きょうは企画庁から局長来ておるでしょう。——どうですか、局長、いまあなたのほうで物価安定のことをやっているのだけれども、イワシやサンマといのうは、中身とかんとは半々なんです。あなた、お聞きになったと思うけれども、大体トン二万円違うわけですよ、輸出と国内とでは。どっちが正しいか問題だと思う。国内のほうが正しければ片方はダンピングだし、それから国際的なほうが、輸出価格が正しければ国内価格は高いのだし、だから、こういうところで下げていくことによって日用品は下がるわけなんだね。こういう点について、企画庁はどういうようにお思いになっておるのですか。
  104. 高島節男

    ○高島政府委員 企画庁といたしましては、個別の物資の価格については関係各省でごらんになっておりますから、具体的な知識を持ちませんが、総合的な物価対策といたしまして、消費者物価に限らず、一般的に卸売り物価が極力下がっていくということを望んでおるわけでございます。それには、生産性が上がってきた場合には、極力値段を下げるほうにも回してもらうという一本の太い筋を今度の物価対策要綱でも一つ打ち出しております。具体的にいかにアプローチするかということはなかなかむずかしいので、関係各省の御意見を聞いて具体的な推進をはかっていきたいという姿勢でございます。
  105. 横路節雄

    横路分科員 櫻内さん、実際になまブリキの輸出とかん詰めの輸出を比べると、なまブリキの輸出はかん詰めの総輸出額の大体一三%くらいなんですね。だから、ブリキによるあきかんをつくって、中身を入れて売ったほうが日本の輸出産業にいかに影響を与えておるかわらない。そこで、問題なのは、水産庁の長官がここではっきり言わないのは、きっと櫻内さんに遠慮して、片方は長官で片方は大臣だから、遠慮して言わないのだろうと思うのですが、このリベートというようなやり方をだれも好きこのんではいないのですよ。国際輸出価格に下げるなら輸出価格に下げてもらいたい。初めから輸出価格に下げて、そうして初めから輸出用のかん詰めをつくっておるところには、輸出価格のなまブリキの価格でやってくれれば、輸出証明書をもらったあとの一年後にリベートをもらうというようなややこしいことをやらなくてもいいのです。それで、私は基本的には、物価安定対策といういまの佐藤内閣の一枚看板からすれば、いわゆる国際価格に下げて、渡邊さんが言うように管理価格なんだから、これは下げて——われわれがふだん何かのときに食べるかん詰めだって、イワシ、サンマとかんとは半々だというのですから、そういう意味で価格を下げていく。一方では、輸出産業を伸ばすというなら、リベートというやり方でなしに、初めから輸出産業に使うかんについてはなまブリキの価格でやる、こういうことの指導が私は行なわるべきだと思うのです。櫻内さん、もう十何年重工業局に日参しても、てんで通産省というのは業界の味方で全然見向きもしないのだ、こういうことを言って非難しておる人もある。だから、先ほど言ったように、なまブリキの業者の保護育成で使用者のためではないなんていうようなことを言い出してしまう。私は、この際、通産省は間々誤解されるのですから、だからそういう意味で、私は一つは国内のそういうかん詰め類の価格を下げる、一つは輸出産業を伸ばすという点からいえば、リベートそのものにだって問題がありますよ。だから、初めからこれは輸出用には輸出用なんだという判こをついて渡してやればいいのだから、それには初めから輸出用のなまブリキの価格で渡してやる。そういうことが私は通産省として当然行なわるべきだと思う。水産庁の長官、そうでしょう。あなたのどまで出ておるのだが、言えないでおると思うから、私、かわって言ってあげておるのですよ。長官、そうでしょう。あなた、実際は言ってもらいたいところなんでしょう。こういうところははっきりあなた言って、そうならそうだと言わなければ……。どうですか。
  106. 松岡亮

    ○松岡(亮)政府委員 確かに遠慮なく申しますけれども、輸出用のブリキとか、かん詰め用のブリキとか、もちろん多少の技術的な差はあるかもしれませんが、同じ合理的な価格で渡されることが一番望ましいと考えております。ただ現実には、輸出された、輸出に向けられるということを確認する必要がある。いまちょっとスタンプを押せばいいじゃないかというお話でございましたが、なかなかそうもまいらないようでございまして、その確認のためにリベート制をとる、こういうようなことに承知しております。
  107. 横路節雄

    横路分科員 長官、一年後にリベートをもらうのではなしに、初めから輸出用のあきかんについては輸出用のなまブリキの価格でやってもらうことが望ましいのでしょう。その点をはっきりさせなさいよ。
  108. 松岡亮

    ○松岡(亮)政府委員 そのとおりでございます。
  109. 横路節雄

    横路分科員 櫻内さん、どうですか。私、局長もごく最近、いつからおかわりになったかわかりませんが、私はあまりこれから時間をとるつもりはございませんが、こういう問題は、私、総括質問のときに管理価格の問題を取り上げたわけです。しかし、時間がございませんでしたから、ブリキとかその他の問題というただそういう名称をあげただけで、具体的な内容にはいれませんでしたから、きょう分科会で、これは顕著な一つの問題として取り上げたわけです。ですから、まずひとつ櫻内さん、あなた通産大臣として、こういうことについては、ただ単に業界が自主的にというか、そういうことをやっていることを放置しておくというのではなくて、同じ輸出産業の振興という立場に立つならば、この問題を、もっとあなたたちがそういう意味で真剣に取り組んでおやりになるべきだと私は思う。私は、何もいますぐここで具体的にあなたに、じゃ、こうします。ああしますということも、あなたもあるいは初めてこういう問題を出されて、ああ、そういうことがあったかなとお思いになったかもしれない。しかし、これからのあなたが通産大臣としてのこの問題に対する取り組み方ですね。なお、お隣に重工業局長もいらっしゃるのですから、この問題はやはり真剣に取り組んでやるべきだと思う。そうして、いまのようなやり方ではなしに——いまあなたが一万三千円と言うけれども、一万三千円でやってみたところで、どれだけ違うかということになると、一万三千円でやってみたって、まだ一万円近く違うわけでしょう。八千円、九千円、一万円近く違うわけなんです。同じ輸出産業に携わっているものにこういうことをやるというのは私は不当だと思う。櫻内さん、どうですか。あまり長く聞き出すつもりもありませんが、あなたの決意を最後に聞いておきたい。
  110. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 実は横路委員が御指摘のように、私詳しくは認識しておりませんでした。ただ、私が一応ここへ参るまでに承知しておったことは、国内価格と輸出用の価格には差がある。しかし、一体国内価格はほんとうに硬直しておるかどうか、この点は先ほど申し上げたように、ここにリストとして注目すべきものという認識はございまして、ブリキはほんとうに硬直しているかという点については、実際は相当競争があって、建て値はそうなっておるが、何というのですか、ある程度割り引いて売り込んでおるという事実もあるようでございます。  それから、輸出用との関係について、これは差があり過ぎるじゃないか、こういうことについては、輸出かん詰め業者については、製かん協会を通じてのリベートがあるから、大体輸出のブリキと、それから輸出をするところのかん詰め業者のブリキの価格にはそう差はない、こういうふうに私はここへ来る際に承知をして出ているわけであります。しかし、いま詳しくいろいろ御指摘をされてみますれば、これは、先ほど申したとおり、さらに一そうの注目をして検討すべき点があろう、こう思います。
  111. 横路節雄

    横路分科員 もう一つ、渡邊さん、リベートの存在というのが問題ですよ。リベートが存在するということ自体が、ブリキ価格の適正というものに疑問があるではありませんか。あなたは、今日は、先ほど何ぼと言いましたかね、大体九四%とか九二%くらいになっているのじゃないかとか言うけれども、あなたのほうから私がもらった資料は、やはり依然として三十四年の二月ないし三月はどぶづけで、これはいろいろ種類が違いますが、十万三千二百円と、それから電気メッキの価格は三十四年の二月から一つも変わっていないわけです。私がきょう指摘したのは、リベートが存在しているということ自体が、そのブリキの価格というものが適正でないということなんです。そこにあなたは公取の委員長としてぼくはメスを入れるべきだと思うのです。その点どうですか。
  112. 渡邊喜久造

    ○渡邊(喜)政府委員 私はこう考えています。リベートといいましても、これはいろいろな形態があると思うのです。それで、たとえば私の知っている酒屋なんかは、よくリベート、リベートと言いますが、これは、何か標準価格から十円引き、十五円引きするやつをリベートと言いまして、そうして、そのときにリベートした残りを要するに払うのです。したがって、要するにリベートということば自身が、われわれのほうは、どっちかといえばリベート自身は、それ自体としてその一つの値引きだと思っているわけです。ただ、その値引きのやり方が、売り値と、要するに仕切りのときに、一応建て値をとっておいて、いまのお話ですと、一年たってから要するに値引きする。こういう形態が一体値引きの形態としてどういう姿か、これはまあかなりの問題のある姿じゃないかというふうにわれわれは思っております。それで、ブリキの点は、実はおそらく私のほうも、あるいは私なんぞはある程度比較的よく知っているほうかもしれません。それで、いま横路さんのお話しになったような点は、大体私も頭に入っております。われわれのほうとしましては、一体独禁法の面から見てこれが好ましい問題——不自然な姿であるから、一体これが法律的に見て違反行為になるかならぬかという点については、かなり検討してみました。しかし、いまのところ、これを違反行為として取り上げるというまでのものとは私は思っておりません、という意味の証拠はわれわれのほうにつかめています。ただ、お話のように、普通の商行為と見てかなり不自然なものがあるということは、私もそれは認めます。したがって、これを監督官庁なり何なりがいろいろお話し合いになり、われわれもある程度の役割りをして、そうして、これをもっと正常な姿に直すということについては、私はやはり検討すべき問題じゃないか、こういうふうに考えています。
  113. 横路節雄

    横路分科員 それじゃ企画庁の局長の方、きょうは長官がおいででありませんから、先ほど通産大臣から御答弁がございましたから、農林大臣と通産大臣と企画庁長官と、それからなお公取の委員長も関与して、これは、いま言ったように不自然なんだから——リベートが存在しているということはブリキの価格の適正性というものを疑わせますよ。しかも、輸出価格と国内価格というものは、物価安定からいっておかしいんですよ。しかも、われわれはかん半分と中身半分食っているんで、あなたも食べているんですよ。だから、そういう意味で、そういうかんを値下げするということは大事なんですね。そういうところに物価安定対策というものがあるのであって、そういうことを忘れてならないと思うのですよ。そういう点をひとつ……。  それでは、私、この程度質問を終えますが、通産大臣、分科会が終わったからもうこれでこの問題は処置をしないなんていうことのないように、ひとつ早急に重工業局長に言うて、水産庁長官企画庁の局長と御相談されて、ひとつ早急にこの問題についてやはり解決の方向にいくように、それから公取の委員長も、不自然であるというのですから、やはり不自然な点は是正するようにひとつしてもらいたい。この点を申し上げて私の質問を終わります。
  114. 古川丈吉

    古川主査 これにて横路節雄君の質疑は終了いたしました。  次は岡田春夫君。
  115. 岡田春夫

    岡田分科員 分科会ですから、いろいろこまかい問題を伺いますので、大臣よりもむしろ局長、担当課長のほうに質問するのが多いかと思いますが、第一点として、そういう問題に入る前提になるわけでございますが、日中貿易の問題について、一般質問その他で櫻内通産大臣の基本方針どもだいぶ出ているようですが、特にビニロンプラントの問題を含めて今後どういうようにされるかという点をまず伺いたいと思います。
  116. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 通産省といたしまして、先般基準外の取引であるということに伴う輸出承認を要望されておった、これは、言うまでもなく許可をしたわけであります。それに伴って代金の決済方法について種々問題があるわけでございますが、通産省の現在の立場からいたしますと、ニチボーにしても、また日立の分にいたしましても、一応頭金等で金融がつけていける、しばらく時間的の余裕があるという判断に立っておるのであります。また言うまでもないことでございますが、これは決して逃げ口上を言うわけではありませんが、金融関係については私どものほうの立場を離れるのでありまして、私の立場から言えばできるだけ前向きで解決をしていきたい、こういう立場で種々私なりの努力をしておるというのが現実でございます。
  117. 岡田春夫

    岡田分科員 前向きということは、輸銀の問題をそういう前向きということで解決する、したがって輸銀を使うという意味でやらせるというのが大臣の方針である、そういうように理解してよろしゅうございますか。
  118. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 いまそういうふうにはっきり申し上げるのがいいのか悪いのか、ちょっと判断に迷うわけであります。ただ、許可を受けた会社側としていろいろ御判断ができるのではないか、こういうふうに思っております。また、この契約に基づいて経営者側の金融関係に対する希望というものもいろいろな形であろうかと思うのであります。それこれ勘案をして前向きで努力をしていきたい、こう申した次第であります。
  119. 岡田春夫

    岡田分科員 私は率直に言うと、ある程度事情を知っているのです。この際、櫻内さん、ここで輸銀の問題を含むと明確に言明されたほうが、政府全体として前向きの解決の意図が出てくるのではないか、そういう意味で、むしろこの際はおっしゃったほうがいいのじゃないかと思うのですが、どうですか。
  120. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 岡田委員からはそういうふうに私が見えるかもしれませんが、しいて私がかりにそういうことを希望しておっても、私の動く範囲というものは別にあるのではないか。私自身がその衝に立っておって、しかも責任を持っておる、こういうことであれば、岡田委員からいろいろ問い詰められた場合に、時にははっきり申さなければならぬこともあろうかと思います。しかし、通産省の所管ではないそういう関係にございます。したがって、私が私のでき得る努力をして、そうして、最終的に期待のできるような方向に持っていく、こういうところにねらいを持っておるので、実はもう再三再四にわたって私に何か一言はっきり(岡田分科員「言ったほうがいいですよ」と呼ぶ)言ったほうがいい、こういうような向きでございますが、しかし、これはまた考えようによっては、越権ということばが当たるかどうか知りませんが、また言い過ぎになってもかえってそのために障害が起きてもいかがかと、こう思っておるのでございます。
  121. 岡田春夫

    岡田分科員 そういうことを言うと、日中関係関係者はえらい失望しますよ。あなたは、日中の通商関係にはあたかも関係がないがごとくお話しになっておりますが、通商問題なり日中貿易というものと金融の問題というものは不可分に結びつくのですから、あなたの立場として当然おっしゃっていいのじゃないか、こういうことは通商政策上当然やるべきである、そういうことで、外務省やその他の抵抗を排除するということは、通商政策の進展じゃありませんか。外務省がそんなことを言うのはおかしいですよ。私は外務委員だから、外務省のことはある程度知っていますが、外務省やその他の役所がそんな要らぬ口を出すのは大体おかしいので、それを口を出させておくような状態に、あなたがあまり慎重だからなってしまうのじゃないか。そういう点では、むしろあなたは大胆にお話しになったほうがいいのじゃないか。  それからもう一つは、そういうあなたの御答弁だけ聞いていると——私は、昨日のテレビを北海道で見たのですが、佐藤さんは、いわゆる台湾政権の大使と日中貿易の問題で、これは台湾との貿易も含めて、自主的にやるということを何か話をされたというようなことが出ていますが、そうすると、自主的なという場合に、あなたの御答弁関連して聞いてまいりますと、自主的という中には、輸銀の問題は除いて自主的にやる、そういう意味だというようにしか理解できないと思うのだが、それはどうです。
  122. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 いま岡田委員もおっしゃったように、私は、日中貿易の促進のために寄与したい、こう思って動いておる。しかし、私がここで言い過ぎれば、そのはね返りは当然あるわけでございます。そのはね返りがむしろ障害になって、さらに事態を悪くしてはいけない。私が現に一生懸命努力しておるということは、これはもうまぎれもない事実であります。日本の貿易の前途を考える場合に、あらゆる努力をしなければならぬ。そのために非常にここに私も苦慮をしておるということをお察しをいただきたいと思うのであります。
  123. 岡田春夫

    岡田分科員 櫻内さん個人は非常にいい人ですから、努力をされているのだろうと私は思います。しかし、むしろここで言明することのほうが、あなたのお考えのような前向きの解決の方向にいくのだと私は思うのです。そういう点では、いまこの席でお話になるのがあれならば、また適当な機会において前向きの態度をはっきり、大胆に発言されることを希望しておきます。  それで、あまり時間がないので簡単に要点だけ触れてまいります。少しこまかい具体的な問題ですけれども、日中貿易の関係で、中国産の人間の髪の毛、人髪の輸入の問題でちょっと……。ずばり言いますと、まことにお役所仕事であって、われわれから言うと官僚的に過ぎるのではないか、そういう一、二の例が実務上出てきておりますので、こういう点を少し御質問をしておきたいと思うのです。  中国産の人髪というのは、長さは二十五・四センチ以上は輸入許可をしていない、こういうことだそうですか、その理由はどういうことですか。
  124. 今村昇

    ○今村政府委員 中国産の人髪につきましては、十インチ、いま先生のおっしゃった寸法と同じだと思いますが、十インチ以上と十インチ以下と分けまして、十インチ以下のものにつきましては、他国の原産のものと同様にこれはA・Aになっております。それから十インチ以上のものにつきましては自動割り当て制度で、その際に、中国原産のものについては、事前の許可を要することになっておりますが、現在はその許可を発給しておりません。
  125. 岡田春夫

    岡田分科員 したがって十インチ、すなわち二十五・四センチ以下のものだけは入る。それ以上のものは輸入を認めておらない。ところが自由圏といいますか、いわゆる共産圏以外の国からの髪の毛はどういう長さのものでも入る、こういうことだそうですか、それも事実でございますか。
  126. 今村昇

    ○今村政府委員 さようでございます。
  127. 岡田春夫

    岡田分科員 何か中国の髪の毛は髪の質が違うのですか。洗脳ということばがあるが、脳に近いから髪の毛のかっこうが違うのですか。
  128. 今村昇

    ○今村政府委員 そういう措置をとっております理由は、実は人毛が日本に入りまして、加工されまして、アメリカその他の国に輸出をされるのでございます。特に対米向けの輸出というのが相当比率が商いわけでございますが、そのアメリカにおきまして、外国資産管理規則というものがございまして、アメリカが敵国というふうにみなしております国からの産品につきましてはこれを入れない。したがいまして、それとおぼしいようなものをアメリカに輸出いたします場合には、原産地証明をつけることを要求されているわけでございます。したがいまして、日本から人髪並びに人髪の加工されたものがアメリカへ出ます場合に、それが中共原産ではない、こういうことを証明しない限り輸出ができない、こういう事情でございます。
  129. 岡田春夫

    岡田分科員 ちょっとおかしいのですが、外国資産管理規則というのはアメリカの法律ですね。アメリカの国内法の適用ですね。そうじゃありませんか。ちょっと答弁をはっきりしてもらいたい。
  130. 今村昇

    ○今村政府委員 そのとおりでございます。
  131. 岡田春夫

    岡田分科員 そうすると、それは日本から輸出するときに、アメリカの国内にいってその適用を受けるわけですね。日本にその原料がくることに適用を受けるわけではないでしょう、どうなんですか。
  132. 今村昇

    ○今村政府委員 もちろんそのとおりでございますが、現実の問題としてアメリカに対して輸出をしております。その輸出を、へたをすると全面的にとめられるおそれがございますので、そういうおそれを未然に防ぎますために、こちらで自衛的にと申しますか、予防的な手段をとることが必要でございます。そのような見地からいま申し上げましたような方法で現在規制をしておるということであります。
  133. 岡田春夫

    岡田分科員 大臣、これはどうですか。向こうの国へ輸出するときにこれを認めるとか認めないとか、それはアメリカの国内法でよろしいでしょう。しかし、その原料を日本に入れるときに、アメリカの国内法の適用に準じてやるということになると、日本の国内の法律の中にアメリカの国内法が入ってきた。これは法律上認めたかどうかということは別として、実質的な法の効果としてそういうことを認めるということは問題じゃありませんか。大臣、どうですか。
  134. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 御説明のしかたが十分でないのじゃないかと思うのであります。あくまでも日本は日本で考えるのでありますが、その日本で考える場合、日本の輸出の振興を阻害するようなことのないようにということから判断をしておると思うのであります。
  135. 岡田春夫

    岡田分科員 しかし、あなた、阻害にならないようにと言うけれども、さっき申し上げたように、中国以外のところからえらい長いものもくるのでしょう。それを切って使うわけです。中国からきたものは十インチが入ってくる。どれが中国のものであるか、中国のものでないか。だから、さっき言ったのです。洗脳しているから髪のかっこうでも違うのかどうか、そうあなたのほうはおっしゃりたいのかどうか、私はそういうことは認めないけれども、輸出するときにこれが中国の髪の毛でございます。これはほかの髪の毛でございますなんて、つくる業者が分けられるはずはないじゃありませんか。そんなことは、結局それを厳格になさるということは、実質的に法の効果として、アメリカの国内法を日本の国内で認めるのだ、こう言われてもしょうがないじゃありませんか、どうですか。
  136. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 これは、最初におっしゃったように、非常にこまかい問題でございますが、アメリカ向けの輸出については毛の長さが長いものを使っておる。その長いものの原料をどうするかというときに、アメリカへの輸出を促進したいという見地から判断を下しておる、こういうことだと思います。
  137. 岡田春夫

    岡田分科員 そこで、中国からくる場合、えらく検査が厳格だそうですね。きょうは大蔵省の関税局の課長さん見えているそうですか、これは、税関というよりも、むしろ通産省がえらくうるさいらしいので、むしろありていにお話しいただいたほうがいいと思うのだが、ちょっとお話しください。
  138. 森弘

    ○森説明員 税関におきましては他法令を確認——為替管理法その他の規制があります場合に、それを書類の上でも、あるいは現物でも確認するわけです。したがって、たとえばいまの長さの点につきましても、実際そういう長さになっておるかどうかというようなことは、原則として見る場合がございます。ただし、中共だからというので特に厳重に見るとか、そういうことではありません。他法令の関係におきまして、合法的であるかどうかということを見るわけでございます。
  139. 岡田春夫

    岡田分科員 これは、大臣、こまかい問題だからあまり御存じないと思うから、私もこの際御説明しておいたほうがいいと思うのですが、税関での検査は非常にうるさいそうですよ。なかなか人間の髪の毛というのは、縛って切断しても、そのときは十インチだと思っても、あとでちょっと伸びるものだそうですよ。十インチが二十インチになるなんということはないけれども、十インチなんて厳格に切れぬものだそうですよ。これは人間の生体のあれで、そこら辺になると医学上のあれだけれども、伸びるものらしいですよ。ところが、通産省の輸入関係課長が見えていると思いますが、通産省がえらく厳格なんだそうです。それが十インチがほんのちょっと、たとえば一割もこれだけの束の中でいやに伸びているということならばこれは問題かもしれぬけれども、ほんとうに五%か三%ぐらい伸びているのでも、税関のほうでなかなか輸入を認めないそうですよ。それで、それを切れと言うのだそうです。今度入れるときには。切れという回答が税関からあなたのところの輸入審査課にくるそうです。そして、その回答をするのには、最も早いので三カ月かかるそうです。三カ月かかってから切れという通達がくるのだそうです。それで、役所の内規にあるんだそうですよ。最も早いのが三カ月、もう少しあとのは、切れという通達が半年かかるのだそうです。最もおそいのは一年かかるそうです。こういう内規があるのだそうです。それで、入れたはいいが、たったその束の五%か三%かほんのちょっと、十インチの中で一インチぐらい長く伸びているやつがある。それのために輸入されないで、最も早い期間で三カ月押えられるが、へたをすると一年押えられるそうですよ、現物が税関に来ておって。これじゃ業界としては困るというわけですよ。だから、ある一定のアローアンスを見て——十インチという制限は私は了承しませんけれども、さっきの次長のお話のように、そういうことがたとえば通産省の行政措置としてあるとしても、ある程度のアローアンスを見て、まあその中で七%や五%ぐらいならそれはいいとか、あるいは十インチのものが十五インチになっているなんというのはだめだけれども、一インチぐらいちょっとぶぞろいであるというような問題は、実際の措置としてこれは認めるとか、何かそういう措置を講じてあげないと、さっきからお聞きのとおり、中国以外のところからは自由に入っているのです。中国だけはだめだということになると、あなたのさっき御答弁のありました通商政策上、日中貿易の上では、これはアメリカの政策に押えられるためにこういうことになる、こういうことになると非常にまずいと思うので、これは行政上の措置としてやれますので、そういうアローアンスの問題も含めて、ひとつ大臣からも御意見を伺いたいし、それから担当の方もいらっしゃいますから、そういう方からも御答弁いただいたらけっこうですが、ひとつこういう点について、あまり私時間がありません、あとにお待ちの方もいらっしゃるので、簡単に要点だけ伺ってまいりますが、ひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  140. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 処理の上でいろいろ御不満があるようでございます。それらの点で改善できるものは改善したいと思います。ただ、承っておると、そんな実情になっておるかと非常に私は疑問を持つのでありますが、よく調べて善処いたします。
  141. 岡田春夫

    岡田分科員 もし何なら次長から……。そういう事実があるはずなんですがね。どうですか。
  142. 今村昇

    ○今村政府委員 ちょっと補足して申し上げます。  先ほど申し上げましたように、中国から入ってまいります場合は、十インチ以下というものに現在は限られておるわけでございます。したがいまして、その基準は相当厳格に実は実施をしておりますが、ただいまのお話のように、一々税関から通産省へそのつど打ち合わせをしなければ問題がわからないというような問題ではないと思いますので、いまの御趣旨の点は、また十分取り調べますけれども、三カ月ないし一年ぐらい時間がかかっているという点につきましては、ちょっとお答えがいたしかねますわけでございます。
  143. 岡田春夫

    岡田分科員 それではお伺いいたしますが、通商政策研究会というのが通産省の通商局通商政策課内にあるそうですね。そこでお出しになったこういう「輸入手続詳解」というのがあります。これはそうでございましょう。
  144. 今村昇

    ○今村政府委員 はい。
  145. 岡田春夫

    岡田分科員 それで、この中にあるのですよ。次長はあまり御存じないけれども、書いてあるのですよ。いいですか、十インチなら十インチをこえたものは、税関で検討依頼というもので通産省の通商局輸入第一課の審査班に提出するのですよ。そうすると、毎週金曜日に一回、審査会を催すわけです。そうすると、十インチをこえたものについては、大体こういう形で処理しているわけです。通商政策上好ましくないものは輸入を認めないといって、認めない場合がある。それ以外は、輸入を認めることは好ましくないが、ペナルティーとして一年間通関に保留の上、始末書を徴することによって便宜輸入を認める。それから、九カ月保留するもの、六カ月保留するもの、三カ月保留するもの、この四種類に分かれているわけです。これに該当するわけですよね。ですから、三カ月置いておくというのは、実は私がいいかげんに言ったとか、あるいは特殊な場合としてあるというのではなくて、これはおたくの内規においてそうなっているのですよ。これは違いますか。違うなら違うとおっしゃっていただきたい。しかし、あなたのほうで出した本が、違うことが書いてあるわけないでしょう。
  146. 今村昇

    ○今村政府委員 ちょっとこちらからお尋ねして失礼ですが、いまのはいつ現在のでございましょうか。
  147. 岡田春夫

    岡田分科員 今日現在です。
  148. 今村昇

    ○今村政府委員 ただいまは輸入第一課という課はないのでございますが……。
  149. 岡田春夫

    岡田分科員 これは昭和三十六年二月のあれですが、しかし、これがいま内規として変わっているわけではないでしょう。現実にそれで苦労していますから。
  150. 今村昇

    ○今村政府委員 しかし、人髪が自動承認制になりましたのは三十八年四月からでござまいすので、それ以前と現在とでは相当変わっていると思います。
  151. 岡田春夫

    岡田分科員 わかりました。それでは、現在ではこれは適用していないという意味ですか。
  152. 今村昇

    ○今村政府委員 現在ではそういう適用にはなっておらないと思います。
  153. 岡田春夫

    岡田分科員 それでは、大臣もお聞きをいただきたいのですが、そういう十インチをこえた場合適用しないということならば、切れという場合には直ちにそういう返事がある、そうでない場合は、それは税関並びに通産省でその措置が間違っている、こういうようにいまの御答弁で理解してもよろしゅうございますか。
  154. 今村昇

    ○今村政府委員 けっこうでございます。
  155. 岡田春夫

    岡田分科員 それでは、十インチ以上の問題ですね、十インチをこえた場合には、いまけっこうでございますとお話しになったが、もしそれが事実——それは国会の速記録で残るのですからね、あとでそういう事実があった場合には、あと具体的に実務上、次長さん、解決してもらわないと困るですよ。いいですね。けっうでございますとおっしゃったのですからね。  それで、十インチ以上の問題、それについては、先ほど大臣が、そういうのは実情に即してできるだけ措置をとる、こういうお話でしたね。それは、十インチというのが全部十二インチであったなんというのは、これは行政措置としてなかなかたいへんかもしらぬが、そういうアローアンスは認めてよろしいということになっておるのでございましょう。アローアンスについては何らかの措置をお考えになる、そういうお考えございますか。
  156. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 いま次長から聞きましたところ、アローアンスの扱いはない、こういうことであります。
  157. 岡田春夫

    岡田分科員 それじゃ、大臣、どうですか。アローアンスを、そういう実態に即して御検討の余地があるんじゃありませんか。たとえばここに人髪があるのですが、この中で、一つの束でここだけ出ていた。そういう場合に、これを切らなければ入れないというのじゃ——これは全部が十二インチであるというなら問題かもしれない。そろわないのだそうですよ。そういう点は、行政の措置として適宜ひとつお考えいただくように、大臣として御考慮いただきたいと思いますが、どうですか。
  158. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 私としてはきょう初めて聞いて、実態をよくつかみにくいので、よく研究さしていただきます。
  159. 岡田春夫

    岡田分科員 研究じゃ困るのだ。さっき申し上げたような状態ですよ。十インチなら十インチがほんの一部分ちょっと伸びておる。そのために通産省の許可を得るまでとめ置かれるということでは困るわけです。そういうことでは、むしろ私ははっきり言うと、通産省がそういうことを一々監督するのじゃなくて、ある一定のアローアンスを通産省は認めて、税関の現地におけるあれによっておやりなさい。こういうような措置をとらせるほろが私はいいと思うのですよ。そういう点で通産省の御意見を……。次長、何か御意見があるようですからぜひ。
  160. 今村昇

    ○今村政府委員 御趣旨はよくわかるのでございますが、これは、米国で不必要な疑惑を持たれることに対する予防的な手段としてやっておりますことは、先ほど申し上げましたとおりでございますので、やはり適用としては、当面厳格にやっていく必要があると思います。ただし、技術的にいろいろこまかい問題になりますと、まだ研究の余地があろうかと思いますので、そういう点は十分これから研究してまいりたいと思います。
  161. 岡田春夫

    岡田分科員 アメリカの云々とおっしゃることがたいへんな問題なんですよ。さっきから申し上げるように、私はあまり詰めていってないのですが、アメリカのあれですからとおっしゃると、アメリカの国内法を日本の役所が認めて、日本国内の適用に使っているということになりますので、これは、法律上そうだということよりも、法の効果としてそういうことをお認めになることは非常に問題です。ですから、そういうさっきのようなやむを得ざる一インチとか二インチというような問題は、アメリカがどういうあれをとっておろうと、日本の通商政策を発展させる意味では、そういう点はアローアンスを認めてやるのが私は当然だと思うのですが、これは、大臣、もう一度伺っておきたいと思います。
  162. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 先ほども申し上げたように、また繰り返しになりますが、いまの次長のお答えの表現は穏当でないと思います。あくまでも日本の輸出振興上の考えに立っておるのであります。なお岡田委員もお気づきのように、実際三カ月とか一年とかいう事実はもうないようでございますし、私いまその規則がここで明確ではございませんが、輸出の振興の上に、十分手続が簡素にいけるんじゃないか、こういうふうに思いますが、問題についてはよく研究させていただきます。
  163. 岡田春夫

    岡田分科員 それじゃもうこれで私終わります。あとお待ちですから終わりますが、やはり通商政策の振興に、こういう官僚主義的なことで阻害にならないように、前向きに解決するとおっしゃっていただきたいわけです。
  164. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 御指摘の官僚的なことがございますれば、それは改めるにやぶさかでございせん。
  165. 岡田春夫

    岡田分科員 それから通産省内の内規というのは、依然として生きているのじゃありませんか。もうないのですか。ないならないでけっこうです。
  166. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 たいへん恐縮でございますが、いまの内規の点につきましては、省のほうに戻りましてよく調査の上、確実なお答えを申し上げることにいたします。いまここでちょっとわかりかねるそうであります。内規は生きているか生きていないかということはわかりかねるそうでございますから、よく調べまして、責任あるお答えをいたします。
  167. 岡田春夫

    岡田分科員 私、これで終わりますが、内規は生きているのです。内規が生きているにもかかわらず、もう一つおもしろい例を申し上げますが、通産省の省内内規だからといって、それを業者にも教えないのです。だから、業者にもわけがわからないのです。ここに官僚主義があるのです。だから、やはり内規などがあれば——これは通商政策を促進するという観点で、こういう内規になっておるのですよ。だから、あなたのは、こうしてくださいということでないとやれないわけですよ。だから、こういう点は、ひとつ櫻内さんが通産大臣にせっかくおなりになっておられるのですから、単にここだけではなくて、あとで私、これは分科会が済んだって大臣のところに行きますよ。あのときはああいう答弁をしたけれども、あれはいいだろうなどと言わないでくださいよ。ひとつ内規の点もお調べいただいて、あまりしゃくし定木のことのないようにお願いをしたいと思います。これを希望申し上げて私は発言を終わります。
  168. 古川丈吉

    古川主査 これにて岡田春夫君の質疑は終了いたしました。  次は竹本孫一君。
  169. 竹本孫一

    ○竹本分科員 最初に櫻内通産大臣にお伺いをいたしたいと思います。  最近自民党におきましても、福祉国家の建設を言われますし、また通産省におきましても、消費経済課というものができて御活動願っておるようでございますが、私は、福祉国家の建設ということは、いまの政治の最大の課題であると思います。その中で比較的にいままで保護せられていない立場に立っておるものは消費者であります。この消費者保護ということは、福祉国家建設への一番大きな課題の一つであるというふうに私考えておるのでございますけれども、まず最初に、その消費者保護のために通産大臣としていかなるお考え、御熱意を持っていらっしゃいますか、その点を簡単にお伺いいたしたいと思います。   〔主査退席仮谷主査代理着席
  170. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 御指摘のように、今後の消費者行政はきわめて重要だと思います。この消費者行政に関しましては、経済企画庁のほうと私のほうと、二省にまたがって行政をやっておることは御承知であろうかと思うのであります。  現在通産省のほうにおきましては、日本消費者協会への事業の補助をするとか、あるいは消費者行政を推進していこうとか、割賦販売法の施行を円滑にやるとか、あるいは家庭用品の品質表示の施行を画一にやっていきたいというような面で、通産者の消費者行政は進められております。しかし、今後におきまして一そうこの消費者行政を拡充していくということについては、省内におきましても、常に検討しておるところでございます。
  171. 竹本孫一

    ○竹本分科員 大臣の御熱意を承って非常に心強く思っておりますが、私は、きょうは、いまお話しのありました前払い式の割賦販売の問題とプロパンガスの問題と二つについてお伺いをいたしたいと思います。  最初にプロパンガスのほうからお伺いをいたしたいと思うのでございますけれども、最近家庭のプロパンガスの消費が非常な勢いで伸びておるようでございますけれども、まず最初に、世帯数、トン数においていまどの程度使われておるものか、特にその伸び率がどの程度のものであるかを、きわめて事務的な数字的なものでございますけれども、伺っておきたい。
  172. 大慈彌嘉久

    ○大慈彌政府委員 お答えいたします。  プロパンガスの需要でございますが、ただいま御指摘いただきましたように、飛躍的な伸びを示しております。特に伸びておりますのが、家庭用と自動車用でございます。ただいまお話のございました家庭用につきましては、三十八年の実績が百八万トンでございますが、今年度は当初百三十四、五万ぐらい伸びるのではあるまいかと見ておりましたが、爆発的という感じの伸びをしまして、最近の見込みでは百四十二万トンぐらい出ていくのではあるまいかと思っております。これを使っております世帯の数は約八百万程度ではないかと考えられます。
  173. 竹本孫一

    ○竹本分科員 私の調べたところでは、一千万をこえた世帯で使われておるようでございますが、いまの局長のお答えはいつごろの数字でございますか。  それからもう一つ、これは、時間がありませんから、倹約して申し上げますが、都市ガスの消費世帯数と比較して、プロパンガスの家庭消費はどのくらいの倍率になっておるか、これもあわせて伺いたいと思います。
  174. 大慈彌嘉久

    ○大慈彌政府委員 世帯数ははっきりしたことはわかりませんが、私たちの推定でございますと、四十年度に入りますと、一千万になるのではないかと計算しておりますが、あるいはすでに一千万に達しているかもわかりません。都市ガスでございますが、大体都市ガスの倍プロパンのほうを使っていると思われます。
  175. 竹本孫一

    ○竹本分科員 いまお聞きのように大体一千万、私の調査では一千万世帯をこえておるようであります。そして、都市ガスの消費世帯数の倍になっております。したがいまして、プロパンガスに関する行政の重大性というものが、それこそ飛躍的に重要性を増してきた、こういうふうに私思うのであります。ところがこれの供給面を考えてみますと、従来プロパンガスというのは、石油の製油過程における副産物である、こういう考え方の上に立っております。ところが石油自身が、大体石油審議会等の立案、調査の過程におきましても、年の平均増加率が一五%前後だということを当初考えていたわけでございますけれども、最近は、自動車の燃料のLPガスへの転換によりまして需要が減った、こういうことで、ことしあたりは一二、三%減産ということになっておると思うのであります。そこで、石油自体がそういうふうに一二、三%減産になっておるということになりますと、その副産物としてのプロパンガスの生産がやはり落ちてくる。こういうことになってくるのが必然的な過程でございます。いまお話のありましたように、プロパンガスの消費は一千万世帯に伸び、都市ガスの消費の二倍になっておる。爆発的な伸長率である。こういう点で、需要の面はどんどん伸びておりますが、供給のほうは逆に、石油のほうの関係においてはむしろ減産である。この食い違いが一体どのくらいになっておるか、その点をお伺いいたします。
  176. 大慈彌嘉久

    ○大慈彌政府委員 供給のほうでございますが、ただいまお話のございましたように、ガソリンの需要は多少落ちまして、当初の見込みより落ちたわけでございます。したがいまして、生産のレベルも落ちましたが、プロパンガスのほうは極力たくさんとるようにということで、得率を上げておりまして、製油所から出ますのは、本年当初百三十八万トンという計画を組んでおりましたが、七%以上生産を上げまして、百四十七万トン程度は見込めるという計画でいま進めております。これは、製油所から出ますプロパンガスでございます。それ以外に輸入等もできるだけふやしまして、家庭用以外に、自動車用とか、工業用とか、全部ひっくるめました需要は、最近の調査では二百十八万トンと見ておりますが、大体それに見合うだけの供給は可能に思います。全体のワクからいいますとそういう状況でございますが、夏場と冬場とで全需要が相当違いますので、現在一番需給が苦しいときであると思います。したがいまして、全体の数字としてはそれほど不足をするというふうには思いませんが、地区により、あるいは用途により相当アンバランスが出ているというような点について十分処置をしたいと考えているところでございます。
  177. 竹本孫一

    ○竹本分科員 ただいまの局長のお話では、まだ数字がはっきりいたしません。百四十七万トン、七%ぐらいふやすことができるようになった、こういうことでございますけれども、もちろん時期的な、あるいは地域的な問題がいろいろありますが、一般的に二割足らないのか、あるいは一割だけしか足らないのか、しかも、それは年間を平均し、全国を平均しての話であるか、あるいは特定の時期、特定の場所においては四割、五割足らないというような具体的な矛盾が出ておるのか、その辺について事実認識の問題としてもう少しはっきり御答弁願いたいと思います。
  178. 大慈彌嘉久

    ○大慈彌政府委員 ちょっと説明が不十分だったと思いますが、三十九年度の需要は、先ほどの家庭用の百四十二万トンを含めまして二百十八万トンというふうに計算をいたしております。この二百十八万トンに見合うだけのものは生産できる見込みであります。したがいまして、これで非常に需給が締まりぎみかどうかといいますと、もちろん相当窮屈だとは思いますが、一時的の摩擦を除きましては、需要量はまかなえるというふうに考えております。
  179. 竹本孫一

    ○竹本分科員 大体生産できる見込みというのですけれども、見込みということばもきわめて不正確でございますが、事実、ことしの初めあたりにもある程度輸入をされたのでしょう。輸入をするということは足らなかったということであるし、また全部をカバーできたかどうかも問題でありますから、全体としての需給のバランスはいま破れているということが問題で、私がこれからお伺いいたしたいことは、そのアンバランスを、需給の均衡を失っているものをどうして消費者保護の立場から守っていくか、カバーしていくかということをお尋ねしたい。前提になる数字でありますから、もう少しはっきりおっしゃっていただきたい。
  180. 大慈彌嘉久

    ○大慈彌政府委員 供給の内訳を申し上げますと、先ほど製油所から百四十七万トンと申し上げま国したが、それ以外に石油化学工場等で出ますので、内で生産されますのが百七十六万トンと計算しております。それから先ほどお話のありました輸入でございますが、輸入は四十三万二千トン見てございます。これは、すでに輸入済みのものでございます。なお、自家消費をするものとか、いろいろ出入りがございますが、それを差し引きしまして、国内の生産と輸入の分を合わせますと、二百十七万四千トンということで、大体需要に見合っているということでございます。
  181. 竹本孫一

    ○竹本分科員 そこで、これからの問題、あるいは当面の問題になりますが、通産行政の問題として、ひとつお伺いをいたしたいのでございますけれども、足らないところはおくればせながら輸入でカバーするというようなことだけで、これからやっていっていいものかどうか。要するに、生産増強ということについて、通産省としてどういうお考えをお持ちであるかということを伺いたいのであります。現状におきましては、プロパンガスの行政というのは通産省がどれだけ熱意を持っておられるか、われわれ部外者としてはむしろ疑問を持っておるのでありまして、たとえば、輸入面につきましては、LPG生産輸入懇話会というのがあるそうでございますけれども、この懇話会というのは、石油の、しかも生産業者の懇話会といったようなものでありまして、プロパンガスの、しかも消費者の立場に立って問題を審議し、調査するというのには、あまり的確性を持たないと思うのでございますけれども、その点は、今後の通産行政のあり方としてどういうふうに考えておられるのか。一体どこを中心にこの需給のバランスをとる努力を傾けていかれるのであるか、そのよりどころをひとつ示していただきたい。
  182. 大慈彌嘉久

    ○大慈彌政府委員 LPGに関連しております業界といたしましては、ただいま御指摘をいただきました生産者と輸入業者、これは輸入の専門業者でございますが、この団体として、生産輸入懇話会というのが御指摘いただきましたようにあります。それから、卸売りの団体としましては、元売りの中央協議会というのがございます。それから、小売りは一般に全商連といっておりますが、全国プロパンガス販売業商業組合連合会というのがございます。生産業者、輸入業者、それから卸売り業者、小売り業者、これが全部LPGの生産、輸入、販売各分野で大切な役割りをしているわけでございますので、それぞれの団体と密接な連絡をして政策をやっていきたい、こう考えます。
  183. 竹本孫一

    ○竹本分科員 LPGの生産輸入懇話会のお話もありましたけれども、その性格というか、あり方が、プロパンガスの需要、消費の非常な伸びと対応して考えた場合に、その性格面において、その機能の面において、はなはだ不十分ではないかと思うのでございますが、その点は、通産省としては全然お認めになっておりませんか。
  184. 大慈彌嘉久

    ○大慈彌政府委員 LPG自体がまだ若い産業といいますか、ここ二、三年、毎年五割も六割も伸びる非常に若い産業でございます。生産輸入懇話会もやはり同様に若いということは言えると思いますが、いろいろ需給計画の策定その他についても十分相談をしていきたいと思います。もちろん、需給計画等は役所のほうでつくるわけでございます。
  185. 竹本孫一

    ○竹本分科員 若い産業である、また懇話会も経験が少ないんだということは一応の理由になりますけれども、先ほどお話のありましたように、爆発的にプロパンガスの家庭消費もふえて、一千万世帯をこしておる、こういう問題が当面の課題でございますから、若いからというのは、情状酌量といってみても、行政の解決にはならないと思うのです。そういう意味で、もう少し行政のあり方に再検討を必要としないかということを、この問題で申し上げたいのでございますが、その前に、一般的に自動車の場合なんかは、プロパンガスを備えつけるということに設備改良費が五万円かかるそうです。大体現在までに五十万台くらいはすでにそれを備えつけておるというふうにわれわれは聞いておるのでございますが、そうしますと、二億五千万円の金は入れておる。そして、プロパンの需給のバランスがうまくとれないので、そういう自動車は運休だということになりますると、まじめな業者はたいへんな問題で、それこそ経済的な犠牲を払わなければなりません。これは自動車の場合だけではなくて、家庭の場合にもやはりそういう矛盾があると思うのです。  そこで、まずこれも事実認識の問題として、プロパンの需給のアンバランスのために、家庭もしくは自動車のそういう関係において非常な矛盾が出てきたということはありませんか。
  186. 大慈彌嘉久

    ○大慈彌政府委員 自動車のほうでありますが、三十九年度は思いのほか転換が進んだという事情はございます。それで、先ほど申し上げました需給計画におきまして、自動車用は当初二十八万九千トンくらいで足りるのではないかと計算をしておりましたが、最近の状況で台数等も計算をいたしますと、三十八万二千トンくらいいくのではないかということで、飛躍的にワクもふやしまして、需給計画の改定をいたしたわけであります。にもかかわらず、この冬場でございますが、LPGが不足のために自動車が休車をしているという話もときどき伺いますが、実際のところは、正確にはわかりかねますし、運転手の不足の問題、両方の原因があるといわれておりますが、いずれにしましても、LPGについても自動車用が十分出回っているのかどうかは疑問でございます。それで、推測でございますが、一割ちょっとは休車をしているというふうなことも聞いております。家庭用のほうでございますが、家庭用のほうは、一番問題になっておりますのは、配達されました場合に十分な数量が入っていないというような形で、したがいまして、一度配給をしましても、その次にまた配給するまでに時間が短くなるという形で、ひんぱんに——従来に比べてのことでありますが、ひんぱんに配給をする必要があるというふうな話も聞いております。しかし、現実に切れているというのは、まあ元売りの系列によっていろいろ状況は違いますが、一応はまかなっておると思います。
  187. 竹本孫一

    ○竹本分科員 きょうは時間がございませんから、あまりこまかい具体的な数字には入ってまいりませんけれども、いまの局長の話でも、自動車の場合でも一割くらい運休があるかもしれない。家庭用につきましても、いろいろと矛盾のあることをお話になりました。これは、地域的にもいろいろ問題がありましょうし、シーズンの関係もありますが、今後のあり方として、やはり需給のバランスがうまくとれないという場合には、緊急対策としては、やはり輸入を考えるということになるのですか。
  188. 大慈彌嘉久

    ○大慈彌政府委員 お説のとおりでありまして、緊急の場合は輸入をしたいわけでございますが、現在のところは、なかなかスポットの船がつかまらない、全くないとは言いませんが、非常に船賃が高いということもありまして、この冬場を、あと一月くらいでございますが、通り過ぎますと、長期の対策といいますか、長い対策としましては、国内における生産設備の増強であるとか、LPG専用のタンカーの建造、いろいろ手も打てるわけでありますが、現在のところは、この冬場だけあと一月は、業界が各系列も協力をいたしまして、計画的な出荷、それから非常に困っている部面には元売りの系列のいかんにかかわらず、ジョイントといいますか回す。そういうことでこの際は何とか切り抜けたい、もうしばらくだ、こういうふうに考えております。
  189. 竹本孫一

    ○竹本分科員 もうしばらくということになりますと、一月たってシーズンが過ぎてしまう。そういう意味で、輸入のほうはタンカーがなくて、どうもうまくいかない。生産増強もうまくいかない。しかも一千万世帯、たくさんの自動車、こういうことになりますと、非常に矛盾ができてまいりますので、これは、あとで根本的な対策についての考えをさらにお聞きいたしたいと思いますが、そうした矛盾が直接的に料金等の問題にも出てくるのではないかと私は思うのですけれども、消費者保護の立場で、料金行政は一体どういうふうになっておるかを伺いたい。これは、流通機構の問題とも関連がありますが、十キロで五百五十円のところもあれば、千三百円のところもあるそうであります。そういうような、二倍もしくは三倍になろうというような矛盾があるようでございますが、その点をお認めになっておるのかどうか、これが一つ。  それから、時間がありませんので、急ぎますが、もう一つは、現在のガス事業法におきましては、御承知のようにその十六条において、ガス事業の供給を義務づけております。同時に、その次の十七条におきましては、料金その他の供給条件については供給規程を定めて、その供給規定については通産大臣の認可を必要といたしております。プロパンガスが一千万世帯で利用されておる。自動車にも非常にたくさん利用されておる。この段階において、ただプロパンガスにつきましては保安行政、保安規定の立場から高圧ガス取締法があるだけだと思いますけれども、この点については大臣から、この大事な、一千万世帯が使っており、将来ますます飛躍的、爆発的ということばがございましたけれども、爆発的にふえていくこのガスを、単に保安規定の立場だけから見ていいのか、あるいは福祉国家の立場から見てどういうふうにお考えになるか、それを伺いたいと思うのです。
  190. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 ただいま竹本委員が御指摘になりましたように、現在プロパンガスはガス事業法の適用を受けておりません。ただ需給の見通しにつきまして、先ほど来局長からお答えをさせておりますが、私も、家庭にもまた交通機関にも影響のあるところで、細心の注意を払っておる次第でございますが、大体手はずができておる。まずこの一番逼迫する時期を乗り越せるのではないか、かように考えております。しかしながら、LPGの普及の現状からいたしまして、これは私としてはいずれ何か行政上の拡充、あるいはお話のように、ガス取り締まりのほうの取り締まり法だけでなくて、何か考えるべき段階が来ているように、これは私の政治的判断でございますが、いずれ近々省内でよく検討させて、次の国会までには対策を十分いたしたい、かように私は考えております。
  191. 竹本孫一

    ○竹本分科員 大臣から非常に心強い御答弁をいただきまして、大いに期待いたしますが、ただその法の制定の場合には、ちょっといまの大臣の御答弁では、生産の面について力を入れておる御答弁でございましたけれども、私先ほど申しましたように、料金の問題についても、やはり料金その他の条件についてこの法の整備のときには当然慎重な配慮をお願いいたしたい、かように考えます。  それから、これは要望で終わりますが、最後に先ほど来輸入の問題もいろいろ出ましたけれども、根本的にはやはり生産を増強するということでなければならぬと思います。そこで、これは私の一個の提案でございますけれども、先ほども申しました石油審議会というようなところでも、実際はこの問題を取り上げていくに適格性はあまり持たない、要するに石油の生産者であって、プロパンガスの消費者を保護するという立場におけるセンスが足らないのだ、そういう意味で、私の考えでは、これは将来石油審議会の中に独自のLPGの部会を設けて、そこでプロパンガスの生産需給計画というものを総合的に再検討されてはどうかと思います。  さらにもう一つ、できれば公益事業局の中にいまガス課がありますけれども、これと並んで、同じようにLPG課を設けるというようなことを考えてもいいのではないか。いずれにいたしましても、消費が全く予想できないような勢いで伸びておりますから、これはよほど気をつけなければ、しかも、いま申しましたように、一千万世帯からの家庭が使っておるし、自動車は五万円かけて設備を改良して、あとへ返すわけにはいかない、こういう事情でございますので、行政を積極的に拡充強化する意味において、LPG課を設けること、並びに生産の問題に真正面から取り組むために、石油審議会の中にLPGの部会を設けるように指導していただいたらどうかと思いますが、この点についてのお考えを伺いたいと思います。
  192. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 現在石油審議会は、部会という制度は一つもございません。総合的にやっておるのでございまして、御要望の点については、審議会のほうの委員の意向もよく聞いて検討してみたいと思います。  それから公益事業局の中における課の問題でございますが、今回鉱山局の中の計画業務を二つに分けたわけでございます。お話の公益事業局のほうについては、別にLPG課を新たに設けようというような構想はございませんが、鉱山局の拡充によって、LPG行政は一段と進むのではないか、かように思っております。
  193. 竹本孫一

    ○竹本分科員 ついでにもう一つ伺っておきたいのでありますが、これは、公共料金の範疇に入れて考えるべきものであるかどうか、またそういうふうにせられる御意思があるかどうか。この料金の問題についての取り扱いの基本的な方針を伺いたいと思います。
  194. 大慈彌嘉久

    ○大慈彌政府委員 ガス料金のほうと違いまして、LPGのほうは、現在のところは料金を法定する考えはとっておりません。
  195. 竹本孫一

    ○竹本分科員 これは要望でございますけれども、先ほど来申しますように、われわれの消費生活に非常に重大な関係を持っておりますので、料金政策には、生産の面とあわせて十分の御配慮を願いたいことを要望いたしておきまして、次の問題に移りたいと思います。  それは、前払い式割賦販売の問題でございます。昨年の二月二十日、ちょうどこの分科会におきまして私がこの問題を取り上げて御質問をいたしました。時の通産大臣の福田さんが非常に熱心に、誠実にこの問題を取り上げていただきまして、この一年間の過程において、業界の実態調査もやられました。またミシン協会におきましては、専門の委員会で十数回検討もしていただいたようであります。さらに割賦販売審議会においての審議も行なわれたということを聞いております。その結果、これは、ミシンだとか手編み機といったものの予約販売の問題でございますけれども、いままでばらばらになっておりました解約手数料の額を統一し、かつ引き下げる。五百円ぐらいは引き下げられたということでございますし、また手数料を明示する、あらかじめちゃんと示しておく。それから、解約になった場合には、お返しするお金はなるべく早く返すといったような問題につきましても、いろいろと行政指導をしてやっていただいておるということも承りました。そういう意味で、私、通産省の御努力に対しましては敬意を表したいと思います。しかしながら、いろいろの御努力にもかかわらず、一年たちました今日の段階において、なお二つの点でもう一押しの御努力を願いたいと私思いますので、その二つの点について、きょうは端的にお伺いをいたしてみたいと思うのであります。  その第一は、解約の場合の問題でございますけれども、そのお金を返さなければならぬということにつきまして、今日の段階においての通産省のお考えでは、これはなるべく早く返すという程度のまだ段階のようであります。しかし、これは私どもの意見から申し上げますと、なるべく早く返すといったようななまぬるいものであってはならないと思うのであります。これは、まず常識論からいってもよくわかりますが、とにかくミシンならミシンを買おうと思って金を積んだ。いろいろの事情がありましてそれをやめたという場合には、この金は当然直ちに返すべきものだと思います。これは、そうむずかしい理屈はありません。ひとつ大臣からも、こういうものは、解約した場合にはもうすべて解消ですから、若干の手続の日数が要ることはそれはわかりますけれども、たてまえはすぐ返すべきものだ、こういうふうに思いますが、大臣のお考えをひとつ伺いたい。
  196. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 解約のときにすみやかに返却をするという、そういうふうに常識的には考えられると思うのでありますが、私実は、現実にどういう契約によってやっておるかということを存じませんが、しかし、いま局長から聞きますと、すみやかに返すように指導はしておる、こういうことでございます。
  197. 竹本孫一

    ○竹本分科員 それでは局長に伺いますが、現実はもう大体満期になるまでは返さないということになっております。そうしますと、なかなかすみやかにどころではなくなる、その間の事情を承りたい思います。
  198. 島田喜仁

    ○島田(喜)政府委員 ただいま大臣から御答弁がありましたように、満期になる前に——契約では、御承知のように満期に返すことになっておるのでありますが、いまお話しのとおり、解約時に同時に返すという方向で行政指導をいたしておりまして、御承知のように、おもなものといたしましてミシン、手編み機、あるいは家庭器具、寝具、楽器等ございますが、率直に申しまして、ミシンにまだ問題が残っておりますが、あとの業種につきましては、おおむね解約時に返す方向にいま実施を進めつつある、こういうふうに考えております。
  199. 竹本孫一

    ○竹本分科員 大臣に、これは一つの方針としてお伺いをいたしたいのでございますけれども、先ほどお話がありましたように、そしてまた、いま局長のお話でおわかりのように、ミシン以外は、大体今度は解約になればすぐお返しをするということになりつつあるようであります。これは、しかし、ミシンについても同様であって、特にミシンの場合には、御承知のように、一つのミシンについて二百万も、あるいはそれ以上の口数があるわけです。その多くはみんな家庭の主婦、あるいは寄宿舎におる女子従業員、こういったようなまことに零細な、いわゆる消費者保護においてまっ先に保護してやらなければならないようなそういう事情の人たちなんです。ところが、これは解約をしてもなかなか返さない。あるいは満期になるまでは返さないということが現実であります。そこで、その点を私がいま問題にしておるわけでございますけれども、ミシンをも含めてすべて、これを解約したならばすみやかにというか、即刻返すということを原則にして指導すべきものであると思いますけれども、重ねて大臣のお考えを承りたいと思います。
  200. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 先ほども申し上げましたように、解約時にすみやかに返すように指導をしておるわけでございますが、しかし、ミシン関係については、いまだ十分徹底しておらないようでございますが、さらに御趣旨に沿うて鋭意そのように努力いたしたいと思います。
  201. 竹本孫一

    ○竹本分科員 大臣は事情を十分把握しておられない点もあるかと思いますが、先ほどの御答弁では、まだちょっと満足できないわけです。と申しますのは、方向で指導しておる、こういうことになるわけでございますけれども、それでは、一体期限を切るわけではありませんけれども、いつごろまでにそういうふうな方向にほんとうに持っていかれるのか。これは、去年から一年たっておるわけです。ちょうどきょうで一年何時間かたっております。そういうわけで、今後また一年かかるのか二年かかるのか、その指導される目安は時期的にどこに置かれるのかということが一つ。もう一つは、内容的な問題がございます。と申しますのは、なるべく即刻返すというのは、もちろん全部返すということだと思うのです。ところが、これは私もむちゃを申しません。会社によっては特定の事情もあるでしょう。そういう意味で、指導される場合に、原則は直ちに返すということであるけれども、特定の場合には若干の例外を認めるということになりましても、またその認め方が漫然たるものではどうにもならない。たとえば、解約をした場合には金を返さなければならない。その金の三分の一は即金で返す、あとは半年のうちに返す、こういうふうな具体的な基準を示さなければ、指導するのもいつまでにそれを指導されるのか、時期がわからない。返すほうもなるべくすみやかにというわけで内容がはっきりしない。これでは問題にならないと思うのです。でありますから、通産省としては、いつまでにそういう体制をつくり上げるという時期的な見通しであるか。またすみやかに返すということの返す場合は、少なくとも三分の一くらいは即金で返すが、あとは半年のうちに返すとか、どういうような方針で指導されるのか、その二つの点を伺いたいと思います。
  202. 島田喜仁

    ○島田(喜)政府委員 ただいまお話しのように、ミシン等になりますと、相当金額が多くなるわけでありまして、現状は、御承知のように、金融引き締め後の問題がまだ残っておりますので、いまお話しのような点を過渡的な問題と原則的な問題とをあわせまして、早急に問題を解決したい、こういうふうに思っております。いつまでと言われますとちょっとあれでございますが、少なくとも二、三カ月の間には問題を解決したいと思っております。
  203. 竹本孫一

    ○竹本分科員 二、三カ月の間には指導して持っていくということでございますが、その場合には、先ほど申しましたように、なるべく早く返すというような指導をされるのか、あるいは半分、三分の一は必ず即金で返すという具体的な指示を与えられる方針であるか、その点、もう一回念を押しておきます。
  204. 島田喜仁

    ○島田(喜)政府委員 具体的に業界と話し合いをして、いま先生もお話しのようにはっきりした形で問題を解決したい、こういうふうに思っております。
  205. 竹本孫一

    ○竹本分科員 これは、まだもう少し掘り下げて吟味したい問題でありますけれども、時間もありませんし、局長さん、通産省の善処を要望して次に進みます。しかしいずれにいたしましても、大臣、これを私どもが問題にするのは、いま金融引き締めのお話が出ましたけれども、預かった金なんですね。しかも、解約になる場合には即刻全部を返すべきがたてまえなんですから、それが返せないというところに問題があるわけです。その問題は、あまり掘り下げますとだいぶデリケートな問題になりますから、きょうはこの辺でおさめますけれども、しかし、本来ならばそれが返せないというところに一番大きな問題があり、そこを私どもは問題としているわけです。この問題点をよく把握して善処していただきたいと思うのです。  その問題に関連して、今度次に移ってまいりますが、善処のほうはよろしくお願いをいたしますとして、今日そういうような形で、予約前払い式の割賦販売で預かっておる預かり金というものが全体としてどのぐらいあるものか、それをひとつ伺いたいと思います。
  206. 島田喜仁

    ○島田(喜)政府委員 三十八年の末で二百六十二億くらいでございます。
  207. 竹本孫一

    ○竹本分科員 ただいまのはミシン、手編み機といったようなものでございますか、それともそのほかのものも含まれておりますか。
  208. 島田喜仁

    ○島田(喜)政府委員 含めましてです。
  209. 竹本孫一

    ○竹本分科員 そこで、ひとつこの問題に入るわけですけれども、二百六十億の金を預かっておる。これはおそらく、大臣、普通の人が考えると想像のできない金なんです。これだけのものをわずか五百円あるいは千円ずつ預ける、それが集まってこれだけの金になっておる。その金について、いろいろ昨年も議論いたしたわけでございますが、一つの例を申し上げます。今日、調べてみますと、相互銀行七十二ありますけれども、その一番小さなものは三十二億円しか持っておりません。多いものは三千億というのもありますが、まん中辺は二百億くらいのものです。だから、一つの相互銀行に匹敵するほどの大きなものを持っておる。信用金庫のごときは、一番小さいものは一億七千万円程度であって、大きいものでも普通の場合には二十億円程度なんです。そこで、これは全くミシン業者なんという考えでは想像のできない内容を持っておる。すなわち、一つの大きな銀行になっておるということであります。いまお話しのように二百六十億の金を預かっておるのだ。そこで、私どもは、これは消費者保護の立場から考えますと、昔保全経済会という忌まわしい事件がございました。今日はミシン関係等においても、いまお話しの二百六十億円がありますけれども、この中にはあるいは旅行会、あるいは殖産住宅とか電建、こういうものが預かっておる金は入っておらぬと思うのです。そこで、これは大蔵省——きょうは金融制度調査会の関係でお見えにならないということで、私、大蔵委員をしておりますから、大蔵委員会でぜひ問題にしたいと思っておるのですけれども、いずれにしましても、二百億円の金を預かっておるということでございますが、われわれはいろいろ忌まわしいうわさも聞いておるわけです。通産省にその点で一つ念を押して聞きたいわけでありますけれども、その預かったお金の運用の面で、あるいはこれで株を買ったとか、あるいはこれでビルを建てたとか、あるいはこれで社長に金を貸して、社長が借りた形で別の不動産会社をつくったとか、そういうあまり望ましくない、好ましくない資金の運用をやっておる例を通産省御存じであるか、伺いたいと思います。
  210. 島田喜仁

    ○島田(喜)政府委員 そういうことは聞いておりません。
  211. 竹本孫一

    ○竹本分科員 これは、聞いていないということは、聞くべき努力をしたけれども聞かないとおっしゃるのか、ただぼんやりしておったから聞かなかったのか、あるいはそのほかの事情があるのか、もう一度念を押して伺っておきます。
  212. 島田喜仁

    ○島田(喜)政府委員 御承知のように、決算報告等財産に関する報告書類を徴取いたしておりますので、それを見ておるわけでございます。したがいまして、その範囲内ではそういう問題があるようには受け取っておりません。実はそれ以上には、そういううわさとか、そういう情報は聞いておりません。
  213. 竹本孫一

    ○竹本分科員 これは、これ以上私がこの問題を追及する意思はありません。ただ、通産省に希望いたしますけれども、その二百六十億の金が必ずしも消費者保護のために使われてはいない、あるいは安全を期して満点であるとは言えないという事実を私も知っております。しかし、そういう暴露演説をやってみても、国家的な意味において何の役にも立ちませんから、私は、やはり資金の運用については十分指導監督をされる必要があるのではないかということを申し上げて、これに関連した次の問題に移ります。  私は、先般来この資金の運用の問題につきまして、いろいろ通産省にも希望を申し上げておりますが、通産省のほうでも、先ほど申し上げましたように、福田大臣以来非常にこれは前向きで御検討をいただいておると思うのです。そこで示されております案は、大体四つですかありまして、一つは、営業保障金を引き上げる問題はどうだろう、一つは、資産上の要件を引き上げてみたらどうだろう、三番目には、資金運用制限の規定を強化してみたらどうだろう、四番目には、立ち入り検査を強化することはどうだろう、こういう問題についても御検討をいただいておるやに承りました。非常に御熱意のところは敬意を表するわけでございますけれども、時間の関係で私の結論を申し上げますが、営業保証金を引き上げるということは問題になりません。なぜかと申しますと、いま百万円の保証金と申しましても、一つの会社で六十億も七十億も預かっておるときに、百万円の保証金を一千万円にしてみても、これは問題にならぬと思うのです。したがいまして、これはたいして議論の対象になりません。  次に、資産上の要件を引き上げて、百分の九十純資産を持たなければならぬというのを九十五にいたしましても、これもたいして役には立ちません。何よりも困ることは、御承知のように、税務署ですでに特定の会社について問題にいたしましたように、メーキャップができます。いろいろごまかしで財務報告が行なわれますから、これもほんとうの意味で消費者の保護をすることにはなりません。立ち入り検査の強化という問題もありますが、これも、やらないよりはやったほうがいいだろうと思いますけれども、これは、問題の根本的解決には私はならぬと思うのです。のみならず、これからの民主政治のあり方から申しますと、国民を被告扱いをして一々立ち入り検査をやるということは、やるほうもやられるほうも決して望ましい姿ではありません。そういう意味で、通産省に御検討をいただいておる問題点についても、私なりに考えてみましたけれども、やはり、私は、資金運用制限を強化するということ以外にはないと思う。単に百万円のものを一千万円の保証金にしてもだめだ、あるいは帳簿の上でごまかしのきくような、資産上の要件を引き上げてみてもだめだ、立ち入り検査を強化してみても問題の解決にはならない。やはり資金運用制限をやる以外には方法はないのじゃないか。しかも、いま言ったように、一人一人からいえば五百円から千円の問題でありますけれども、たまって集まったところは、一社について六十億、七十億になっておる。こういう大きな金でございますから、その運用について、株を買って半分になったりという問題があるとかないとかいうことは別にして、やはり通産省でもう少し積極的な効果的な手を打たなければならぬと思いますが、この点について大臣のお考えを伺いたいと思います。
  214. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 ただいま四点の各項目についてそれぞれ御見解がございまして、私も教えられるところが非常に多うございました。特に運用の制限強化を強調せられておるようでございまして、私、この方面の知識は十分でございませんが、運用の制限強化で効果があがるものでありますれば、まことに好ましいことであります。いまここに局長もおりますから、局長の見解をひとつお聞き取りをいただきたいと思います。
  215. 島田喜仁

    ○島田(喜)政府委員 確かに預かり金の運用制限の問題というのは重要でございますが、ただいま私どもといたしましては、できるだけ確実な有価証券なり定期性預金という形で、その預かり金の安全を確保するための行政指導をいたしておりますが、これをどの程度強化するかにつきましては問題がございますので、この点は慎重に考えねばならぬ、こういうふうに思っております。
  216. 竹本孫一

    ○竹本分科員 どうも局長の答弁は非常に抽象的で、問題はもう一年前から取り上げられておる問題でありますし、現実に六十億なり七十億なりの金を預かっておるのですから、その保護について、これは夕張炭鉱の問題だけではありません。やはりあとから気がつかなかったとか、あるいはいま第一回目の制限を通達したばかりだといっても、いざという場合には問題になりません。そこで、もう少し具体的な内容に入ってお考えを承らないと、慎重に研究してみますといっても、もう一年たっておる。現実に七十億なり六十億の金を預かっておる。しかもその運用について、通産省には先般もいろいろ承りましたけれども、事故がないのだからそう一ぺんに強いことも言えない、こうおっしゃる。しかし、事故があってからでは間に合わぬですね。でありますから、ことに金の問題、金を預けておる問題——おそらく人数にして、予約をやっておる人は五百万くらいあるだろうと思いますが、いかがですか。
  217. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 人数はいま調べておりますが、この運用の制限強化についていま局長が答弁したわけでございますが、私も、なかなかどの程度が最もいいかというところのめどがつきかねると思うのであります。抽象的にお答えするのであれば、それは運用の制限をしたい、こういうふうに申し上げられると思いますが、実態に即して、個々の業者の関係どもございますから、一がいにこの範囲に運用の制限を強化すべきだ、こういうふうに基準のようなものが少し出しにくいのじゃないかと思うのでありますが、何かいいお考えがあれば、お教えいただければけっこうだと思います。
  218. 竹本孫一

    ○竹本分科員 大臣は進歩的な政治家としてひとつよく考えていただきたいと思うのです。五百万人が三百万人でもけっこうですよ。とにかく数百万の人がこの予約をやっておる。割賦販売法というものは、保証金が百万円になっておることからわかりますように、初め終戦後には小さな業者、中小企業がちょっと思いつきでやるんだ、だから保証金は百万円が精一ぱいだ、こういうことで初めはできておるのです。ところが、これは先ほどのプロパンガスと同じように、全く予想しない発展をしたわけですね。そして、人数がいま三百万か五百万——私に言わせると五百万くらいになっておる。金も、そんなに預かり金を持っていなかったものが、何ぞ知らん、もう二百六十二億円預かっておる。でありますから、事実がぐっと進んできておるのですから、十年前か二十年前の古い法律の中でものを考えるということは、根本的に間違っておるのじゃないですか。条件がまるきり変わっておる、事情が変更しておる。百万円の営業保証で十分なくらいの程度にしか、初めはこの予約販売、割賦販売の発展というものを考えなかった。それが今日全く予想以上に発展をしてきたという事実をひとつ真剣に考えていただかなければいかぬと思うのです。そして、二百六十二億の金を預かっておる。万一問題があれば、五百万人の人が迷惑するのだ。消費者保護ということばは、抽象的では困ります。具体的に五百万人の人が月に五百円なら五百円かけているのですから、その人たちに一大不安を与えるということになり、大きな迷惑をかけるということになれば、これは消費者行政、消費経済課もできたというのに、全くもって国民に対して申しわけない事態になるのじゃないか。しかも、預かっているのはお金なんです。ミシンが一つ故障があるとかなんとかいう問題じゃありません。二百六十二億という金の問題なんです。われわれは、前に申しました保全経済会なんという問題もありましたので、お金の問題は特に慎重にやっていただきたいと思うのです。  そこで、私に代案は何かないかとおっしゃいますから、私申し上げます。私は、貯蓄銀行法、信託業法、保険業法、相互銀行法、こういうものを調べてみました。いま対策はこういうふうになっております。契約者を保護するために、一つ、優先弁済の権利を確保する。そのことは貯蓄銀行法第十条、信託業法第八条、保険業法第三十二条、第三十三条に規定しております。これは優先弁済の権利確保。第二番目には、支払い準備を確保するということなんです。預かったお金の支払い準備にについて、相互銀行法第十三条に規定をいたしております。百分の三十はいざどういう場合があっても心配ないという支払い準備金として確保すべしということを法が規定いたしております。これは、相互銀行以上に預かり金を持っておる会社が現実にあるわけです。その場合に、それ以下の相互銀行、しかも大蔵省は、御承知のように、銀行の検査というのはいまの通産省以上にわりにやかましいのです。それでも三〇%までは支払い準備という形で確保して、万一に備えております。第三番目には、資金運用の制限というものがあります。これは貯蓄銀行法の第十一条、無尽業法の第十条、信託業法の第十一条、保険業法施行規則の第十八条、第十九条に書いてあります。第四番目には国債を供託させるというようなことが信託業法の第七条に書いてあります。これは、ミシンの予約預かり金よりも金額が少ない相互銀行やその他の場合にも、金の問題でございますから、大蔵省はそこまで念を入れて、特に相互銀行の場合には三〇%を支払い準備としてちゃんと法で規定している。先ほど申しましたように、割賦販売については十年前十五年前に、法ができたときには想像ができないほどの金額がいま集まっている。二百六十二億であります。でありますから、その現実の事実の上に立って、この二百六十二億の金については、どうしても万一の問題にならないうちに相互銀行がやっているようにか、あるいは貯蓄銀行法や信託業法で考えている程度の配慮があってしかるべきだと思いますが、通産大臣のお考えを承りたい。
  219. 島田喜仁

    ○島田(喜)政府委員 御承知のように、割賦販売につきましては、登録制度を実はしいておりまして、いま申し上げました業種全体を通じまして、大体大企業は一割ちょっとでございまして、あとは大部分がもう中小企業でございます。したがいまして、二百六十二億という中でやはり大企業の取り扱う金額が非常に大きくて、中小企業のは非常に少ない。なお実は割賦販売につきまして、前払い制度を運用するための経費であるとか、あるいは割賦販売等に関連しまして、売り掛け金等の運用も実はやっているわけでございますので、いまどれだけのものを預金として別途確保するかということになりますと、実は経理上の問題も相当出てまいります。それから、御承知のように、銀行関係等についてはそういう面がございますけれども、これは、法律でかりに制限をするというようなことになりますと、まだ相当問題がありますので、その必要性はおっしゃるとおりでございますけれども、慎重に検討をせざるを得ないと考えるわけでございます。
  220. 竹本孫一

    ○竹本分科員 いまおっしゃるように、これは、契約高におきましても、預かり金の金額におきましても、大きな会社は一割、これはおっしゃるとおりです。ところが私が言うのは逆です。九割は中小企業であるがゆえに心配だということを言っている。大企業は大企業、大会社は大会社で何十億のたくさんの金を預かって、かってにとは申しませんが、運用に必ずしも完全を期することができないものがある。それから中小の場合には、まじめにやっておっても、もともと中小ですから、今日のような金融引き締の場合には、いつ黒字倒産をやるかわからない。そうなりますと、相手が中小であるからということで、それではそれにかけた消費者は、家庭の主婦は迷惑を受けてもしようがないじゃないかという論理にはならないと思う。でありますから、大企業の場合にはたくさん預かっておるから当然に監督しなければならぬ、中小の場合には、中小なるがゆえに黒字倒産の危険もあるのだから、特に資金の運用については制限が必要ではないか、こういう意見でございますが、大臣、いかがでございますか。
  221. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 竹本委員のおっしゃる根本の考え方については、私は同感であります。これは二百六十二億円も預かっている、そうして、その数は明確ではございませんが、三百万、五百万の人々の利害に関係するということでございますから、これを厳重に監督をしていく、また運用の面で制肘を加えていく、これは、考え方の方針としては私ははっきりわかります。しかし、割賦販売の業者は業者なりのまた考え方、あるいは運用の上での効果をあげている面もあるのではないか、そこで、一がいに全体を制限するということがはたしていいのか、それとも何がいい方法があるのかというところに私としての迷いがあるわけでございますが、ただいま支払い準備であるとか、優先弁済であるとか、いろいろな場合をお示しいただきましたが、非常に勉強にもなり、こういうことも考えなければならない段階にだんだんなっているのか、こう思うのでありますが、私としては、この割賦販売の業態の実態を十分つかんでおらないものでございますから、ここで私として責任ある回答はできかねるのでありますが、おっしゃる御趣旨を体しまして、迅速に何か具体的な対策を考えてみたいと思います。
  222. 竹本孫一

    ○竹本分科員 大臣は現実の情勢について十分でないというお話でございますから、一つの例を申し上げます。これは、名前を申し上げると、いろいろまた弊害がありますから、申し上げません。大体いままで予約をやっておる会社というのは、片一方でどんどん予約をやる、片一方ではそれを、いままでは、高い解約手数料をとって月賦に切りかえさせる。月賦に切りかえると、御承知のように、物を渡さなければならぬ。そうすると、その物をつくる運転資金の裏づけという問題がすぐ出てくるわけなんです。そこで予約をする。そこで入ってくる金と、月賦に切りかえて、その月賦にするやっとのバランスがとれておれば、資金の問題はないわけです。ところが、みんな別々に行動して、何千人と使っております。大きな会社は三千人ぐらい使っておる。それだけの人がどんどん予約をとって回る。一方ではまた、月賦の販売をやっておる。大体ミシンなんか、現金販売は二割四分でしょう。でありまするから、資金のつじつまが合わなくなるのです。それをいままではどうしておったかというと、増資、増資でやっていく。しかも、その増資をやるにはもうけがなければならぬから、いかにももうけがあるように未実現利益というようなものでごまかしたり、インチキまでやって大蔵省からしかられた会社もあるのです。そういうふうにして増資を持ってくる。その増資の分でやっと息をついて運転ができるというのがいままでの事実だ。ところが不景気になりまして、この経済調整の過程において増資がうまくいかなくなった。そうなりますと、こちらの予約で入る金もあまりふえない。増資のほうもうまくいかない。しかも、一方では月賦で何千人の人が売りさばいておる。それは品物を渡さなければならぬ。品物を渡すについては、二万円の生産原価が一万円であったとしても、その一万円も自分で立てかえなければならぬ。これで黒字倒産をやる危険が非常にある。私は、業界に影響がありますから一々会社の名前を申し上げませんよ。しかし、ことに金融調整の過程なんかにおきましては、よその産業にもありますけれども、黒字倒産の可能性は、いまの資金繰りの関係から、この月賦販売をやっている会社には特に多いのです。いつも予約の範囲において月賦ができる、こういうことになれば、バランスがとれるのですけれども、そうじゃありません。大体において月賦のほうに切りかえさしておるのですから、月賦のほうが多い。しかも、月賦の金は全部自分の運転資金で立てかえるだけの力があればいいのですけれども、その力もない、増資もできないとなれば、お手あげなんです。現に問題を起こした会社がある。通産省は御存じであるかどうか知らないけれども、あるのです。そこで私が心配するのは、それが手をあげた場合には、たとえ黒字倒産であっても、もう何百万の、契約をしておる消費者がすぐ迷惑をするじゃないか。そんな心配はないからとおっしゃるなら、私は例をあげますよ。どうですか、そんな心配は絶対ないと言われるなら、私は会社の名前をあげてもいいですよ。私は、そういう事実を知っておるのです。でありまするから、消費者保護ということは一がいには言えないから、これから研究しますとか、漸次指導しますという、こういうことではいけないのです。現実に資金の運転にまいっちゃって、手をあげようとしておる会社がある。手をあげたらもう間に合わぬでしょう。しかも、これは大混乱を起こしますよ。いま五百万の人がおるのですからね。そういう場合に、大臣、責任をどうされます。まことに重大な問題ですよ。だから、ここで大臣に申し上げたいことは、それは調査しますとか、指導しますということでなくて、やはり資産運用の面については、はっきり通産省が責任を持って制限をするという方針を立てられて、その制限のしかたについては、個々の事業の事情も考えながら、Aの場合、Bの場合というふうに考えていく、こういうことでなければ、原則として資産運用の問題について制限はしないのだ、そういう問題は追って研究しますということでは、問題の解決にならないと思います。大臣、ひとつ……。
  223. 島田喜仁

    ○島田(喜)政府委員 むずかしい問題でございますが、いま先生のおっしゃることもよくわかりますので、十分に検討してまいりたい。ただ、一つ考えられますのは、いま先生の言われるようなことでかりにこれを制限をする場合には、いまお話しのように、金を相当いろいろ運用しておりますから、制限をしますと、また会社として成り立たない問題が出てまいります。そうしますと、ある程度こういう割賦販売が必要であるという場合には、ある程度資金的に、一体それでは制限をすると同時にどうするかという問題に実はなるのではないか、こう思います。  それから割賦販売法が制定された時代といまとは確かに違ってまいりまして、非常に契約金額も多いというようなことになってまいりますと、いまお話しの点を、消費者保護の観点から慎重にまた配慮しなければならぬという事態が起こっておることは事実でございますので、そういう点を考えまして、先ほどから幾つかあげられましたうちの預かり金運用制限の問題については慎重に検討いたしたい、こういうふうに考えます。
  224. 竹本孫一

    ○竹本分科員 重ねて大臣に伺います。  私は、いろいろの方法を先ほど申しましたけれども、また通産省もいろいろの方法を考えておられますけれども、徹底的な方法としては、やはり預けた金、あるいは預かった金一がそこにあるということでなければ問題にならないと思うのですよ。それがビルになっておって、しかも、それが黒字倒産をやったという場合に、消費者はあのビルはわれわれの金で建っておるのだぞということで、ただビルをながめるだけでは問題の解決になりません。でありますから、資産運用については制限をするという原則を大臣の責任において確立されて、その適用については段階をもって考えなければならぬと思うのです。まあ証券業が登録から免許にかわるのでも、やはりいろいろと過渡期には暫定期間を置いて、いろいろの便法を講じますから、それは当然なんです。でありますから、私がいま申し上げているのは、いろいろ通産省が考えられた案は不徹底だ、しかもいまの二百六十二億、しかも黒字倒産の可能性もある、こういうような段階でもありますので、資産の運用については責任を持って制限する以外に、いま申しました、きょうは条文を読みませんでしたけれども、いろいろの銀行、これより少ない預金を預かっている銀行についてさえこれだけきびしい条件があるのですから、それ以上の六十億、七十億の金を預かっているものについて、ただ行政指導していきますといったようなことでは全然問題の解決にならぬ。私は重ねて申しますけれども、資産の運用については制限をするのだという原則を大臣にはっきり認めていただいて、その実行方法についてはA、B、Cの段階によってやらなければならぬし、また実行の時期についても、猶予期間を半年置くとか、あるいは一年置くとか、そういうことはぼくは行政の実際問題として考えられると思うのです。しかし、資産運用についてはいまやる時期でないとか、あるいはそれはゆっくり考えますと言っておられたのでは、問題の解決にならない。これは政治判断の問題で、そういう資産運用の制限の問題についても、それを含めて十分に検討して、しかも近い機会にそれの結論を出すと言われるなら、私は一応納得はできます。しかし、責任ある大臣として、これは問題の重要性に対する認識の問題でございますけれども、現実にそういう差し迫った問題もあるのですから、ひとつこの辺で大臣のお考えを明確にしていただきたいと思うのです。
  225. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 ただいま具体的な例をおあげになって御説明をちょうだいいたしまして、私も大体わかりました。そして、現在二百十七の会社がございますが、その中には資金繰りの上にも、また運用のバランスの上からもなかなか経営がむずかしい面もあろうかと思うのであります。そこで、先ほど来お話しの資金運用の制限について、私はそれをそれなりに承っておるのでありますが、しかし、この二百十七社に対していま直ちにそういうことをやっていくということは相当な影響があるのじゃないか、その影響のためにかえって問題を起こしてはいけないのじゃないかという気が——これはいまお話を聞いておる際に私がそういうふうに感ずるのでございまして、いまここで竹本委員のおっしゃるその方法が一番いいのだ、私も同感で、直ちにやりますと言うだけの勇気が私はちょっといま出かねるのであります。しかし、先ほど来おっしゃっておる根本的なお考えは、私もよくわかります。実際上、これはへたをすれば大きな影響があるのじゃないか、また問題を起こすおそれがあるのじゃないかという気がいたしますので、御趣旨もよく頭に置きまして、さらに万全の策があるのか、またやるべきことについては早急にやっていきたい、この範囲できょうのところはお許しをいただきたいと思います。
  226. 竹本孫一

    ○竹本分科員 これで終わりますが、最後に、大臣のただいまの御答弁のように、ぜひひとつこの問題を前向きに、それこそ真剣に、しかもすみやかに取り上げていただきたい。いま直ちにやれば影響が大きいではないかとおっしゃいます。そこに問題があるんです。やれないと私も思います。だから私は、すぐやれとは申しておりません。その方針をいまきめられて、それの実施には半年なり一年なりの余裕もおかれなければならぬだろう、またやり方もABCと段階をいろいろ設けてやらなければならぬだろうということを、先ほど私申し上げたのです。しかし、そういうことを考えなければならぬほど、また一方においては矛盾が大きいのです。このことをひとつよく認識していただいて善処していただきたい。  なお、私は、先ほどの具体論になりますけれども、御研究を願いたいと思いますのは、相互銀行の場合に、三〇%の支払い準備をしておるというこの問題のあり方、それから退職給与引き当て特定預金というのがございますね。これも、預かった大事なお金を特定預金として別ワクにしているわけです。そういうような例が今日ありますから、とにかく家庭の主婦が月に五百円か千円ためておる、楽しみにしておるそのものが黒字倒産のおかげで巻き添えを食わないように、ひとつ資金の安全確保の面、預かり金の安全確保の面で、特に大臣の御英断をお願いしたい、そのことを要望申し上げまして、私の質問を終わります。
  227. 仮谷忠男

    仮谷主査代理 これにて竹本孫一君の質疑は終了いたしました。  次会は、明二十六日午前十時から開会し、農林省所管について質疑を続行することとし、今日はこれをもって散会いたします。   午後五時三十二分散会