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山崎(始)
分科員 どうも
法律というものは便利なもので、いまあなたがおっしゃったように、第一条には国家目的をうたって、民間じゃできないような大目的が書いてあるんですね。ところが第二条では、多少逃げている面があるんですね。
地方が
申請するんだ。そこに逃げる伏線を打ってるようなふうにも解釈できる。あなたがいまおっしゃったとおりなんです。ところが第四条には、たしか区域の
指定の
申請がないときには、各府県から
申請がなかった場合には、これは総理大臣がかってにやる権限があるんですよ。ただし、そのときには知事の同意を要するとは書いてありますけれ
ども、そうじゃないですか。そういう面から見ても、この
法律の全体の目的、それを達成をする、しかも先ほどあなたがおっしゃった、
昭和五十年までには
工業出荷額七兆三千億という
経済企画庁の、日本全体の
出荷額の中において重要な役割りを占めるんだという決定事項を持っていらっしゃる。ところが、反面は
地方にまかすんだ、
地方が盛り上がった力で云々。ところが、その
地方の現状はどうかといえば、先ほど
藤田委員も
岡山県の例を引いておりました。いわゆるなくなった三木氏がお百度を踏んで引っぱってきた川崎造船、いままさに本調印までいっておりませんが、いきましょう、おいでください、それでは漁業補償までやってくださいということで、昨年の年末に十二億余りの漁業補償を漁師の人ときめてしまった。金を払わなければならぬ
段階になって、年が明けてから、もう私はいやでございますというので、ぽんとよそのほうに行っちゃった。現実に払わなければならないのですね。それは
一つの例ですが、このエコノミストにも、朝日ジャーナルにも書いてありますよ。日本全国の
新産都市の優等生である倉敷市は、すでに三十幾社の
工場が来、また内定をしておる。
工場が来る以上は、その契約に基づいて道路の整備、港湾の整備をやらなければならぬ。
地方は義務づけられているわけですね。そういうもののために、金がないもんですから、大会社から前借金をして、約十億金を借りて、借りたものを銀行へ預金をして倍額の二十億を借金をする。理事者は、こんな私生児的な財政というものは全くおかしなことじゃないかといって、たびたび警告を受けております。表面づらは黒字であっても、実質は十億の赤字、これが
昭和四十五年度には倉敷市は二十億の赤字になる、これははっきりしている。それがために、先ほ
ども藤田委員が言うておりましたが、つい四、五日前に
自治省で、再建整備団体の
指定をもう一ぺんまた受ける、こういう実態を見たら、いまのように国が
責任を明らかにしない、国の
責任なんだという
考え方でない以上は、十三
地区の最も模範生である
新産都市の
岡山県ですらそういうふうな悲劇が起こっておるから、あとの
関係府県の十二
地区の皆さんは心配で心配で
先行投資も何もできやしない。私は申し上げたいのでありますが、いまあなたは、
地方の産業の盛り上がる力で云々と言われましたが、大体この
新産都市という
法律ができる過程をちょっと見てみますと、これは各都道府県でもそうだと思うのです。おそらく宮崎県の日向・延岡の例を見ましても、
岡山県の例を見ましても、
昭和二十六、七年のころから、いわゆる
地方財政にとにかく少しのプラスでもあればいいということで、何も
地方産業の
開発であるとか、雇用の安定であるとかいうふうな大目的でもって
工場誘致にかかったものはないのです。
地方財政が不足しておるから、まあダムでもつくって水でも売って金をもうけようじゃないかというような、さしあたりの、いわゆる
地方財政に少しでもお金がふえるように、こういう目的でもってやりかけた。ところが、
昭和三十年ごろから過密
都市解消、あるいはコンビナート方式
企業家は
企業家でもって、いまの機械を新鋭化したほうがいいのだ、それにはコンビナートがいいだろうとか、そうして、政治の面では過密
都市の解消であるとかいう問題が学者の間や、あなた方の間から出てきたのです。言いかれば、
地方の今日の
新産都法の発想というものの根源というものは、その目的がいずれにあろうとも、むしろ
地方が先にやっておる。それに国が乗ってこられた。それで、ついに新
産業都市法という
法律が誕生した。私はそういう経過だと見ているのです。言いかえますならば、この新
産業都市法の今日の状態というものは、過去の
地方財政の
負担といいますか、犠牲の上に立ってでき上がっていると言うても私は過言でないと思うのです。それを、こういう大目的、国家目的をうたっておりながら、この上とも国の
責任というものはあとへあとへ引いてしもうて
地方にまかせるのだというものの
考え方、これは、私はなっておらぬと思うのです。
昭和三十八年のたしか八月だと思いますが、池田総理大臣の時分に、全国の都道府県知事会議で、
関係地区の人が心配したものだから、一体どうしてくれるのかという
質問をしているはずなんです。そうしたら池田総理いわく、事、
新産都市法に関する限り別ワクでもって
地方財政は十分援助いたしますから御安心くださいという
答弁をしておるじゃありませんか。
昭和三十八年の八月です。会議録を読んでごらんなさい、そういう
答弁をしていらっしゃるのです。事、
新産都市に限っては別ワクでもって援助するから安心してくれと言っている。ところが、最近になって、いつの間にかだんだんだんだんしりがつぼんでしまって、あなたのいままでの御
答弁を聞いておりましても、何が何やらさっぱりわけがわからぬ。
法律を生んだものは
経済企画庁なんです。その
責任者がもっと主体性を持って、
関係各省へ持っていってもっと前向きで、これは国の
責任なんだという心がまえでもって今後御処理なさらぬと、あなたのほうでせっかく
昭和五十年度までの
工業出荷額七兆三千億とおきめになっても、これは絵にかいたもちであって幽霊みたいなものだ。いまの調子でいったら、とどのつまりは実現できない。きょう現在のままの
政府のやり方ならば、これは絵にかいたもちであって、幽霊だ、いまから本
分科会で私は予言をいたしておきます。十年たってみたらわかる。どうぞ私がこういうふうな苦口をついたことが実現しないように、大臣はもっと前向きの
姿勢で、その
責任者が主体性を持たなくてはいかぬのだという心がまえでもってこの問題を処理してくださいますことを私は要望いたしまして、もう時間もございませんので、言いたいことは一ぱいございますが、あとはまた別の機会に譲ります。どうぞその点、要望いたしておきます。