○
八木(昇)
分科員 あと一つ、二つで終わります。
いまの御
答弁でだい
意味がわかりました。いま
大臣の言われたとおりだと私も思うのです。それで、やはりもう少しこういうような
条件の
労働者を使う側において、通年雇用、完全に通年雇用といかないまでも、そこに雇われることによって何とか暮らしていき得るような
条件で雇う、そういう方向に何とか
条件をつくり上げていくということがきわめて大切だ。やはりそういうもののある
程度の推進、具体的成果というものがあがるのとにらみあわせつつ、
失業保険法の
改正というものは行なわれないと無理である。現在そういう正しくない受給がなされておるとはいいまするものの、完全に正しくないものはやはりもらっておりません、どう考えてもおかしいというものはやはりもらっていないわけです。季節
労働に出て行っておる、帰ってきたならば農業が文字どおり本業だという明らかなのは、現在だってもらっていないはずなんです。その人は三十歳くらいの堂々たる壮年ではあるけれ
ども、その人のおとうさんが、長年すきくわとった人でもう五十幾歳ではあるけれ
ども、お百姓さんとしてまだ十分に一人前の実力がある。その人がやっておる。そのむすこさんというふうな場合であって、そういう人でもらっておる人はあるでしょう。でありますから、現在まさしく正しくない
支給がなされておるというわけのものでもないわけですから、その辺の
実情はひとつ十分御勘案の上、今後対処していただきたいということを要望するわけでございます。
時間がないそうですから、あと
労働災害の問題を二つ伺って終わりたいと思います。それは、今後北炭の夕張であのような惨事が発生をしたわけであります。そこで、この夕張の悲惨事がここで起こったことから、私は一昨年の三池炭鉱の惨事を思い出すわけでございます。三池炭鉱に去年の八月私は
実情を調査に行ったのですが、非常に
実情は悲惨であります。朝日新聞のみならず、ほかの新聞にも載っておりましたが、それによりますと、今度の夕張の災害に対しては三池事故並みの措置をするということが非常に麗々しくうたわれております。ところが三池並みの措置では、私はもう
労働者は救われないと実は思うのです。といいますのは、むろん労災補償法によるところの
各種の
給付やその他を直ちにやってもらわなければならぬ。それから、現在ガス中毒になっておる人の応急対策というものを急いでもらわなければならぬというのは当然でございまするが、三池に例をとってみますると、現在のこの労災補償法による措置では、事故の起こる前三カ月ですかの平均賃金の八〇%掛けの金額が
支給をされるわけです。そうなりますると、坑内夫であのような災害にあって一酸化炭素中毒になって、そうして今後何年間と療養をしなければならない人が月に一万数千円しかもらっていない。はなはだしい人は月に一万二千円です。それでもって妻、子を養い、しかもみずからは療養生活を続けなければならぬ。これではあまりにも悲惨過ぎる。
それから第二の
実情は、これは三池炭鉱に例をとりますると、三池で二百数十名の方が一挙になくなったわけですが、この死亡者に対する遺族
給付金の平均が三池炭鉱の場合六十八万円です。でありますから、今度の夕張炭鉱の爆発でなくなった人、すでに六十名近くはなくなられたようでありますが、そのなくなった人が一体幾ら金がもらえるのかと言うと、労災補償
保険法によってもらえる金の平均は、三池より多いか少ないか知りませんけれ
ども、多かったところで平均七十万円か八十万円くらいしかもらえないのだろうと思います。一瞬にして生命を失い、残された妻と子がこれから一生涯を暮らしていかなければならないのに、わずか七十万円くらいの金ではどうにもならぬ。かりに月三万円の生活費が要るとすれば、七十万円というのは二年分にしか当たらない。本質的に言えば、これは私は年金
制度にしてもらわなければならぬ、こういうふうに思いますが、まあそういうことについては社労
委員会でやりたいと思います。
それから三番目は、ああいう災害で死亡された方の遺族の
就職あっせん等についても、三池の場合満足に行なわれていない。それで先般
予算委員会でも滝井
委員がちょっと問題にしましたように、あそこのアソニット工場等は、ひどいのになると、死亡した人の未亡人が一日働いてもらっておる金が一日にわずか百二十円。これは三池炭鉱の
会社が、
会社のふところから別に三百円ずつそういう人には金を出してくれている。しかもこの百二十円というのは、六カ月間の職業訓練を経て
就職をしておる未亡人が百二十円しかもらっていない。それはまだ技術が未熟だから、ほんとうはこれはまだ仕事にはなっておらぬのだという理屈をつけて、そんなめちゃくちゃな金しか出していない。まだ仕事になるとかならないとかいうことを言うならば、それはもう普通一般の女の子の新制中学を出て
就職した人でも同じでありまして、
就職した当初から存分の仕事はできないのは
あたりまえです。そういう
実情にございますので、端的に申し上げたい点は、三池事故並みというような
考え方ではいかぬのじゃないか。それで、今後もいろいろ災害も発生するわけですから、労災補償法の抜本的
改正をしてもらわなければならぬ。近く
政府が国会に提出を予定されておられると承っております労災補償法の
改正法案によりますると、
給付内容の
改善、すなわち死亡した場合の遺族に対する
給付金額をベースアップするとか、その他
内容の
改善というものに一切触れられていない、そういうふうに感じます。対象範囲を広げるとか、部分的なものはありますけれ
ども。もしそれを考えておられるとするならば、いまのこの三池の実例、今度の夕張の事件の発生等にかんがみて、いま私が
指摘したような事柄についてどういうふうに対処しようと思っておられるか。それから特に船員の場合には、いろいろな点で一般の
労働者と切り離して社会保障措置がありますが、坑内
労働に従事する炭鉱
労働者の場合も今日では船員にまさるとも劣らぬ、むしろ船員以上ですね。そのいろいろな点で、災害にあう率から、それから実際に坑内夫になろうとだれだって希望しないという
事情等からも船員以上でございますから、炭鉱
労働者に関する
各種社会保障政策というものは別途に、一般
労働者と切り離してこの法を設けるなり何なりするという、そういう思い切ったことを考える必要があるのじゃないか、それらについてのお考えというものを承っておきたいと思います。