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1965-02-27 第48回国会 衆議院 予算委員会第五分科会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年二月二十七日(土曜日)    午前十時九分開議  出席分科員    主査 今松 治郎君       上林山榮吉君    正示啓次郎君       二階堂 進君    水田三喜男君       久保 三郎君    泊谷 裕夫君       中井徳次郎君    野間千代三君       肥田 次郎君    山花 秀雄君    兼務 大原  亨君 兼務 帆足  計君    兼務 玉置 一徳君 兼務 加藤 清二君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 松浦周太郎君         建 設 大 臣 小山 長規君  出席政府委員         総理府事務官         (近畿圏整備本         部次長)    町田  充君         総理府事務官         (北海道開発庁         総務監理官)  小熊  清君         総理府事務官         (北海道開発庁         主幹)     荒巻与四郎君         運輸事務官         (大臣官房長) 堀  武夫君         運輸事務官         (大臣官房会計         課長)     須賀良之助君         運 輸 技 官         (船舶局長)  芥川 輝孝君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      佐藤 光夫君         運輸事務官         (自動車局長) 坪井 為次君         運輸事務官         (航空局長)  栃内 一彦君         建設事務官         (大臣官房長) 鶴海良一郎君         建設事務官         (計画局長)  志村 清一君         建設事務官         (都市局長)  鮎川 幸雄君         建 設 技 官         (河川局長)  上田  稔君         建 設 技 官         (道路局長) 尾之内由紀夫君         建 設 技 官         (住宅局長)  尚   明君  分科員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   嶋崎  均君         大蔵事務官         (主計官)   長岡  実君         運輸事務官         (海運局次長) 沢  雄次君         運輸事務官         (海運局参事         官)      高林 康一君         日本国有鉄道総         裁       石田 礼助君         日本国有鉄道副         総裁      磯崎  叡君         日本国有鉄道常         務理事     豊原廉次郎君         日本国有鉄道常         務理事     今村 義夫君     ————————————— 二月二十七日  分科員片島港君、中井徳次郎君及び山花秀雄君  委員辞任につき、その補欠として松井誠君、野  間千代三君及び泊谷裕夫君が委員長指名で分  科員に選任された。 同日  分科員泊谷裕夫君、野間千代三君及び松井誠君  委員辞任につき、その補欠として山花秀雄君、  肥田次郎君及び片島港君が委員長指名分科  員に選任された。 同日  分科員肥田次郎委員辞任につき、その補欠と  して久保三郎君が委員長指名分科員に選任  された。 同日  分科員久保三郎委員辞任につき、その補欠と  して中井徳次郎君が委員長指名分科員に選  任された。 同日  第三分科員大原亨君、帆足計君、加藤清二君及  び第四分科員玉置一徳君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十年度一般会計予算運輸省郵政省及  び建設省所管  昭和四十年度特別会計予算運輸省郵政省及  び建設省所管  昭和四十年度政府関係機関予算運輸省及び郵  政省所管      ————◇—————
  2. 今松治郎

    ○今松主査 これより会議を開きます。  昭和四十年度一般会計予算及び昭和四十年度特別会計予算中、建設省所管を議題といたします。  質疑に先立ち、念のために申し上げます。本日は質疑者が非常に多数ございますので、質疑の持ち時間は、本務員は一時間、兼務員もしくは委員交代分科員となられました方は三十分にとどめていただきたいと思います。  なお、政府当局も、質疑者が時間が限られておられますので、答弁は簡単明瞭にお願いいたします。  前回に引き続き質疑を行ないます。加藤清二君。
  3. 加藤清二

    加藤(清)分科員 私は、委員長の仰せに従いまして、国会運営円滑化をはかるために、きわめて簡単明瞭に御質問をいたしますので、答弁者側におかれましても、白か黒か、やるかやらないか、簡単にひとつお答えを願いたいと存じます。  まず第一番にお尋ねいたしますのは、今日の日本住宅不足に対して、建設省はどのような計画で臨んでいらっしゃいますのか、本年度予算における住宅予算並びに予定戸数、これをお願いいたします。
  4. 尚明

    ○尚政府委員 御承知のように、政府住宅基本施策としまして、昭和四十五年までに一世帯住宅を実現するために、昭和三十九年から七カ年の間に七百八十万戸の住宅建設をする、そのうち、政府は三百万戸以上の住宅建設するという計画に基づきまして、毎年住宅建設戸数をふやしているわけでございますが、昭和四十年の住宅建設戸数計画は、公営住宅六万五千五百五十五戸、改良住宅四千五百戸、公庫住宅十三万七千戸、公団住宅四万戸、合計二十四万七千戸、以上が建設省所管住宅でございます。そのほかに、厚生年金住宅あるいは雇用促進住宅等、他の政府施策住宅が九万三千九百四十五戸計画されておりまして、政府施策住宅はすべてで三十四万一千戸となっております。なお、昭和四十年度に建設されると推計される民間自立建設は五十八万戸でございまして、政府施策住宅と合わせて九十二万一千戸になっているわけでございます。
  5. 加藤清二

    加藤(清)分科員 全体で九十二万必要なところを、政府自体としては一体何%ほど御予定になっていらっしゃいますか。また、九十二万戸の全体で、はたして今日の住宅不足というものが解消されるとお考えでございましょうか。
  6. 尚明

    ○尚政府委員 九十二万一千戸のうち、政府施策住宅三十四万一千戸でございますので、三割五分強の割合になっております。  なお、これは前年に比べまして、おおよそ政府民間とも八ないし九%の増加でございまして、この程度ずつのカーブで毎年上昇していくものといたしますれば、先ほどの七カ年七百八十万戸は達成されると考えております。
  7. 加藤清二

    加藤(清)分科員 火事、風水害、天災その他で消滅していく戸数はどの程度に踏んでいるか。それから、日本木造家屋の悲しさは耐久年度が非常に短い。したがって、せっかくあるものも、西欧の建物とは違いまして寿命が短い。そういう点で消滅していくものをどの程度踏んでいらっしゃるか。九十二万何がしからそれを差し引きまして、ほんとうに実質増加するものをどの程度と見ていらっしゃいますか。
  8. 尚明

    ○尚政府委員 毎年滅失する住宅もしくは建てかえられる住宅は、一年一年の推計をとっておりませんで、この七百八十万戸計画をつくりましたときの推算といたしましては、おおよそ年間平均十八万戸程度滅失もしくは建てかえられるという推計にいたしております。
  9. 加藤清二

    加藤(清)分科員 そうしますと、差し引きどれだけ増加の見込みですか。
  10. 尚明

    ○尚政府委員 したがいまして、九十二万戸から十八万戸引きますから、七十四万戸と推計されるわけであります。
  11. 加藤清二

    加藤(清)分科員 かつて学校急増対策とか新制中学急増対策とか、こういわれまして、あたかも人口が急にふえたかのごときことばでもって、学校建設の足らなさを補ってみえたことがございます。ただいまでは、これが大学急増対策、それが政府みずからの施策の拙劣さは、やがて慶応大学のストにまで及んでいるわけでございます。戦後急に増加いたしました子供は、小学校中学校大学を終えますと、やがてこれが住宅必要性に迫られるわけでございます。これは急増するのではございませんので、生まれた子供が六年たてば小学校に入るのにきまっておるのです。九年たてば中学校に入るにきまったことでございます。その先の見通しなく、単年度予算だからというので、一年こっきりその場のがれの計画は、やがて数年の後にたいへん国民が迷惑をする、難渋をする、親が難儀をする、こういうことに相なるわけでございまして、わが党の政調会調査によりますと、ただいま政府予定していらっしゃいますところの三十四万戸あたり、全体需要の三割と見ておられますが、この戦争直後に生まれた子供独立家屋を必要とするということを加算してみますと、政府予定は二割にも満たない、こういうことに相なるわけでございます。その結果、地方自治団体、これがそのしわ寄せを受けまして難儀をする。県営住宅をつくらなければならない。市営住宅をつくらなければならない。町営住宅をつくらなければならない。特に工場誘致、あるいは人口自然増のみならず、移住増の行なわれます地区の町村は、それを引き受けなければならないために、起債あるいは補助等々が少なきがゆえに、市中銀行から高利な金を借りましてこれを建てなければならない。その結果、金利に追われまして赤字財政が続く。学校住宅への投資額年間町の予算の二倍、三倍を要する。それを市中銀行に求めた結果は、金利に追われて赤字財政が続き、ついには再建整備を願い出なければならない。その結果、町長は腹を切らなければならない。町議会は辞表を提出しなければならない。こういうことがあちらにもこちらにも散見されているのでございます。したがって、これは決して町の間違いであるとか、あるいは市の間違いであるということは言えない。押し迫られてやむなく建てなければならないわけなんです。その際に、もしそれ国営の住宅がたくさんにできさえすれば、さようなことはなかったはずなんです。したがいまして、責任は決して、町議会町営住宅を審議し、町立の学校を審議して建てた側ではなくして、これに対する先見の明と長期計画のなかった国家もこれについて反省すると同時に、援助の手を伸べなければならぬと思うのでございます。  ただ、時間がございませんので、わが党政調会積算数と、あなたのほうの数とここで比較対照する時間のないことをまことに遺憾に思いまするけれども、この点につきまして、大臣としてはどのようにお考えでございましょうか。特に、戦後の子供がやがて家庭を持たなければならぬ。住宅の必要に迫られる。それがもう目前に迫っているわけでございます。文部省は、小学校中学校、いまや大学急増ということで、常に後手後手を打っているようでございます。せめてその後手後手を受けたあとにおいて、建設省は、住宅くらいは先手先手を打っていただきたいと思いまするが、三十四万何がしの戸数では、これはもう後手後手はおろか、全需要の二割にも満たない、こういうことに相なると存じます。この点について大臣の御所見を承りたいと存じます。
  12. 小山長規

    小山国務大臣 私どもが七百八十万戸というもので住宅難を充足できると考えましたのは、やっぱり一つの数字に基づいておるわけでございます。念のためそれを申し上げてみますると、昭和三十六年度の企画庁の調査によりまして不足すると思われまする数字が三百六万戸、それで、十カ年間世帯増、これはいまおっしゃった終戦後の人口増を見込んでの世帯増でありますが、その世帯増は四百二十七万戸と見ているわけであります。それから建てかえに要する——いまおっしゃいましたように木造建物でありまするから、わりあいに腐朽が早い。その建てかえに要するそれを百八十一万戸と見、それから人口の移動が伴いますから、当然ある程度のあき家がなければ十分な家を充足するということはできませんので、その数を八十六万戸、あわせて一千万戸と見たわけでございます。その一千万戸のうちで昭和三十六年と七年、八年、三カ年間政府及び民間でできた数字が二百二十万戸、そこで三十九年から四十五年で七百八十万戸と見ていけばまあ充足できる、こういう前提で計画を立てまして、そしていま局長が申しましたような比率でいきますと、四十五年までには、この新しい世帯、あるいは建てかえを要するものを含めまして七百八十万戸というものが充足されていくであろう、こういう計画を立ててやっておるわけでございますので、まずおっしゃるようなことにはなるまい、こう思うわけでございます。
  13. 加藤清二

    加藤(清)分科員 それで十分であるか不十分であるかの詰めをいたしたいのでございまするけれども主査理事諸公の時間制限に協力しなければなりませんので、私はそれをいずれ他日に譲りまして、次に話を進めたいと存じまするが、が公団住宅をつくらせる。ところが、この公団住宅というものの所在が、過去におきましては、大都市周辺とか、あるいは大都市の中とかというところに分散して建てられておったのでございます。したがいまして、これらの住宅から発生してくる必要案件、総合的に言えば、いわゆる社会開発的な事業は、これは全部既成市町村設備の中へ吸収されていったんでございます。ところが、団地が大きくなりますると吸収されないという問題が起きてまいります。たとえば、人口三万程度町村大都市の隣にある衛星市町村、その山とか丘に大きな団地ができます。二千戸、三千戸程度でもなお小学校中学校独立校の必要がございます。いわんや、一万戸、三万戸という計画になりますると、その周辺にある既成都市よりは大きな都市がこつ然と出現するということに相なります。その結果、公団住宅内部設備、それを既存市町村で持たなければならぬ。周辺公共施設既存の小さな都市でしょわなければならない。とてもしょい切れないという問題が発生してきております。これについて、建設省としては、一体公団に対してどのような指導とどのような予算の裏づけをしていらっしゃるか。たとえば、ことしの予算面から見て、そのような補助あるいは融資等の措置はどうなっているか、この点についてお伺いいたしたい。
  14. 尚明

    ○尚政府委員 公団住宅が大規模建設されるに従いまして、これに関連する公共施設、そのうち特に地元地方公共団体が従来負担して建設している学校その他のものについては種々問題が起きつつございます。そこで、まず住宅公団としましては、できるだけこれらの大開発が円満にいくようにするために、まず、従来から、小学校中学校等につきましては、その用地造成、及び学校、校舎とも公団であらかじめ建てまして、これを地元公共団体に三年ないし五年のうちに引き取っていただくという制度をすでにやっております。これにつきましては、自治省、大蔵省、建設省文部省の四省ですでに次官による協議ができておりまして、公団が立てかえてつくったものは、将来必ず文部省のほうで補助がいき、自治省起債のめんどうを見ていただいてこれを買い取る。そういうような制度が設けられております。  なお、そのほか、団地内の排水施設とか、あるいは取りつけ道路とか、いろいろ問題がございます。これらにつきましては、正直のところ、いまだ十分、全部住宅公団で負担するというところまでは参っておりませんけれども住宅公団のほうも、敷地造成の一端として、これらの費用を負担して行なうということをやっております。なお、いま御指摘のような問題が特に最近非常に問題になってまいりましたので、建設省といたしましても、なるべく円滑に、しかも地方の負担がきつくならないような方法として、学校以外のものにつきましても、なるべくこれを、たとえば都市計画事業による補助によってまわり道路をつけるとか、あるいはこの部分については公団が立てかえるとか、あるいは公団が負担するとか、そういうふうな制度を逐次整備してまいりたい、こういうふうに考えております。  なおまた、団地の出現によりまして急に必要になります問題につきましては、たとえば自治省等にも特別交付税のところで配慮していただくとか、実は正直申しまして、まだ十分これらがルール化して行なわれておるとは申し上げられませんけれども、各省ともこれからこれをルール化して、懸案の問題を解決いたしたいという態度でございまして、公団に対しましてもさような方向で勘案するように指示をいたしております。
  15. 加藤清二

    加藤(清)分科員 正直な御答弁でございますから、私も好感をもって承りまするが、しかしその答弁が正直であるからこれでよろしいというわけにはまいりませんので、これについて項目別にちょっとお尋ねしたいと思いますが、公団というのは、利益事業団体でございましょうか、それとも公共企業体と解釈してよろしゅうございますか、いずれでございますか。
  16. 尚明

    ○尚政府委員 公団は一応公共企業体の形をとっておりますが、非営利機関でございます。
  17. 加藤清二

    加藤(清)分科員 ごもっともでございます。営利団体ではないはずでございます。  私、自分のことを申し上げてまことに失礼でございまするけれども、いまから十年ばかり前でございまするが、私が公団ができるというので協力をしてもらいたいというので、自分土地を手放した。坪三百六十円でございました。ところが、これにブルドーザーを入れまして団地造成されまして、いよいよ今度売り出すということになりますと、坪最低一万円にはね上がったのでございます。しばらくたちまするとこれが五、六万円になりました。今日この周辺土地を求めようとすると、道路つきでは四十万円出すのでございます。一体これは何倍増でございますか、ちょっと計算してみてください。——その計算は時間が食いますからあとでやっていただきましょう。  一例を申し上げただけなんです。私はこれをよう忘れない。とにかく私のところに入ったのは三百六十円、税金を差し引きますと三百円ちょっとしか手に入らなかったのです。それがいま四十万円になっている。どうしてそうなるか。これは公団が協力しているような気がする。どうしてかと申しますと、どう考えてみたって——お百姓さんや地主が千円以下で手放したものが、公団ブルドーザーを入れただけで、一年かからないうちに、どうして一万円、十倍にもはね上がるだろうか。そこで周辺に残った人は土地値上がりがきたからたいへん喜んでいるわけです。が、そういうことが繰り返されますると、やがて大きい団地をつくろうとなさいまするときに、ここへ土地を提供する人がなくなってくるわけです。おれは残りたい、残って高く売りたい、こういう欲が出るのは無理からぬことだと存じます。  そこで東京周辺大阪周辺では、すでにできてしまった団地土地の問題が裁判ざたになっていることを御存じでございましょう。まだ愛知県周辺では、お上のなさることなら協力しましょう、協力しましょうで、スムーズにいっておるのでございまするが、しかし東京周辺大阪周辺のことは決してそれだけでとどまるものではございません。これは流行となって、今後団地造成をなさいます場合に非常な難渋をする原因になるであろう。いま起こってはおりませんけれども名古屋周辺だって、それがないとは保証しがたいのでございます。こういう問題に対する指導、あるいはあなたのおっしゃいましたルール化、これについては、どうお考えでございましょうか。三百四十円が四十万円になると何倍だか、手のすいている人で一ぺん計算をやってみてください。
  18. 尚明

    ○尚政府委員 住宅団地建設に伴いまして、その周辺が非常に値上がりするということは事実でございまして、これは一般に、大都市周辺土地は、そこに公共住宅がつきますとさらに値上げをあおるというような傾向があることは事実でございます。  そこで、私どものいまやっております指導の方針といたしましては、住宅地開発するときは、できるだけ、むしろ大規模に百万坪とか五百万坪とか、そういうふうな大きな範囲でやり、かつ、その団地周辺にはなるべく影響を及ぼさないように、グリーンのベルトをとって、幾らかでもその影響を緩和する、そういうような方式でもって設計をするという方式をとらせるようにいたしております。たとえば大阪の千里山というのは、四百万坪ばかりの開発をいたしておりますが、これも周辺は、ほとんど公園もしくは森をつくりまして、家並みが続いていかないようにして、少しでも影響を弱めようとしておりますし、また、東京の、このたび三多摩のほうに計画しております九百万坪の多摩丘陵の設計においても同様の手法を取り入れております。しかしながら、周辺はそうはいたしましても、やはり引きずられて上がってくるということ自体につきましては、この団地開発のほうだけからでは片づくことができませんで、この団地開発によりまして周辺が上がるという問題については、土地制度そのもののほうからも、たとえば開発影響による値上がりをどう押えるか、あるいはどう国が利益をおさめるかとかいうような制度として考えないとできないと考えておる次第でございます。団地建設という立場からは、こまごましたものはやめて、なるべく大規模開発して、しかもまわりとの影響を遮断するようにするという方式指導いたしております。
  19. 加藤清二

    加藤(清)分科員 それはあなたのことばをかりて言えばルール化ですね。立法はできておりますか。
  20. 尚明

    ○尚政府委員 御承知のように、一昨年そのような大規模開発がやりよくできるために、新住宅市街地開発法という法律の成案を得ました。この法律は、御承知かとも思いますけれども都市計画事業といたしまして何百万坪かの住宅地を指定をいたします。そういたしますと、これの事業主体地方公共団体及び日本住宅公団が行なうわけでございますが、その指定された地域内においては、土地先買い権及び収用権が働くというふうになっております。以上のようにして、一応制度としては、計画的に数百万坪を全面的に買収することのできる法律をつくったわけでございます。
  21. 加藤清二

    加藤(清)分科員 大臣にお尋ねしたいのですが、団地ができるという声だけで、ここへ土地あっせん業の連中や町の投資家、これが、銀行へ預けておっても金利が薄い、証券に投資すれば元本が割れる、二倍にもふやすと言ったところの投資証券は半分以下の価値しか戻ってこない、こういう状況。三品市場におきましては、一時もうけられても、とたんにがらがらと値くずれをする、こういう経済の激動期にあたりまして、最も固定して利潤を追求できるのは土地であるというので、ここに土地あっせん業者たちがたくさんに入り込みまして、土地の買いあさり、値上げのあおりをいたすわけでございます。ところで、これを一体どうセーブするかの問題が第一。  第二は、最初に買い取られるときに安く土地を提供しますね。これはどちらかというと善意な人なんです。犠牲者と言ってもいい。ところで、この善意人たち——その団地の中にどうしても地方自治体がつくらなければならないところの学校その他がございます。いまの御答弁によりまするというと、用地造成、建築は公団が引き受けて行ないます。こう言うておられるのです。しかし、これは造成だけなんです。造成をするだけで資金は持たないんです。そこでどうなるかというと、一たん地主が売ったものをもう一度買い取らなければならないかっこうが出てくる。数百円で売ったもの、坪三、四百円、とにかく千円以下なんです。ところが一年たって学校用地造成されて、今度これを町が買わなければならないときに一体どのくらいになっておるとお考えですか。あなたの推定だったら、何倍くらいならばよろしいか。建設省試算計画からいって、いまのベルト地滞をつくるとか、道路をつくるとか、いろいろございます。ございますから、坪の目減りがするとお考えでございましょうけれども、山の土地は、なわ延びのほうが多いのでございます。それをそうでないと言う人があったら、それは承りたい。町の中とか、たんぼにつくれば別です。しかし、いなかの土地というものは、徳川時代の苛斂誅求をのがれるために、広い面積を小さく登記している。そのことをだれよりもよく知っているのは、先祖代々そこに住まっておる人たちです。それが安く取り上げられて、今度は学校のために買うときには、何倍になればいいですか、あなたが学校をつくるとしたら。これは大切なことなんです。これでトラブルが起きるんです。
  22. 尚明

    ○尚政府委員 大体団地をつくりまして、これに道路、水道、下水等をつけ、またガスを布設し、公共のし尿処理場等をつけます。それからさらに必要な環境を保持するため公園等をつけて、目減り、歩減りというものも考えます。それはある程度相殺するといたしましても、大体造成費はただいまのところ坪当たり七、八千円かかります。したがいまして、もとの原価がもし三百円とかで安いと、それに足す。八千円になって、その倍率は大きくなります。ところが、もとの土地が七、八千円して、それに七、八千円加えると二倍でございます。したがいまして、これは倍率ではお話ししにくい問題でございまして、要は、買収したものよりも七、八千円かかって、すべての環境が維持できる施設が設けられて、その値段で売られる、こういうふうになるわけでございます。  なお、学校につきましては、日本住宅公団もできるだけその値段を安くするようにして、私の聞いておりますところでは三割引きくらいをして売るようにつとめているようでございます。
  23. 加藤清二

    加藤(清)分科員 私は、大臣に聞いておるのです。
  24. 小山長規

    小山国務大臣 いま申し上げましたようなことで、住宅公団は、非営利団体ですから、買い上げた値段に使った費用を加えて、それを分割して売るわけであります。ですから、いま申し上げましたように、造成費が七、八千円かかっておる。それからいまの買い上げの値段が、たとえば千円とか、二千円とかなっておる。加えた数字で全部割りまして、そうして販売しておるわけで、したがって、たとえば学校なら学校の敷地に三割なら三割引けば、一般のところが割り増しになってくる、こういうことで、自動的にそうなるわけで、その点が一般営利団体とは違う。したがって価格は非常に公正に形成される。こういうふうな仕組みになっているわけであります。
  25. 加藤清二

    加藤(清)分科員 大体、たとえば平均四百円で買い取られたといたします。これを今度町や村が学校建設用地として買い取りまする値段は、いまいみじくもおっしゃられましたが、七、八千円プラスされます。したがって、何倍になるかといえば、これだけで一度に二十倍に相なる。かりに坪当たり一万二千円と設定されたものを三割引きで買い取っても、なお二倍の余になるわけでございます。どうしてそうなるか。土地の目減りは、山につくりました場合には考えられないのです。そんなことを言われましたならば、買い取るときに新坪で買い取ってくれということになる。旧坪でなく、新坪で買いますか、目減りがあるというならば。  その次に申し上げなければならぬことは、設備費にそれだけ要った。ガス、水道付ならば土地は高くなる、家賃も高くなる。これは当然です。当然ですが、国家がこういうものをつくりまする場合に、そのガス、水道の減価償却費を原価に割り込まなくてもいいようにする。補助金あるいは政府資金でつくれば、そのような倍率にはならないわけでございます。いかにガス、水道を入れたからやむを得ぬというても、もともとの地主はこれは承服しないのでございます。団地の中が一万五、六千円するようになれば、その周辺の値段は上がっていくのでございます。だから土地値上がり政府が援助していらっしゃるじゃないかと申し上げたのは、ここのところでございます。  そこで、大臣にお尋ねいたしまするが、大臣は、このような状態、つまり政府政府機関の一部、非営利団体をして営ましめるこの仕事でさえも、一年たつやたたずで二十倍、三十倍に相なるということがよろしいとお考えでございまするのか。それとも、他の省のこれらに類似したものと比較をいたしまして、建設省は、これで事足れりとしていらっしゃるのか。この点について……。
  26. 小山長規

    小山国務大臣 一方においては、住宅をふやしてくれという要求があり、しかも民間ではできない。そこで公団という方式を使ってやるわけでありますが、この公団は、買い上げのときには、その周辺の時価で買うわけであります。その周辺の時価で買うということは、その時点においては公正な値段であったろうと思うのであります。その周辺は………。(加藤(清)分科員「安い」と呼ぶ)安ければ売らないはずなんです。とにかく合意された価格で売っているわけですから、その時点においては、両方が合意した価格である。そこへ造成費を加えるわけでありますから、その造成費にはインチキも何もない。みんなが公平に分担すべき造成費を使って、そうして造成には公正な造成費が加えられて、それを按分するわけでありますから、この仕組みには問題はないと思うのであります。  おっしゃるのは、ガスや水道は公団の費用の中に加えないで、一部は公共施設として補助金の対象にしたらというお話でございますが、これはもっともな話でありまして、いま大団地についてはだんだんそういうことで考えつつあるわけです。いまおっしゃったようにルール化されておりませんが、考えつつある。そしてもう一つは、一番頭の痛いのは、おっしゃるように非常な大団地、三百万坪、五百万坪になりますと、一ぺんに買うわけではありませんから、最初に買った人と最後に買った人との間に相当の値開きが、地価の高騰によって出てくる。そこでこれを何とか防ぐ方法はないかということでいま考えつつありますのが、この国会に何とかして間に合わせたいと思ってやっておりますのが一括方式で、つまり買収を決定した時点において、所有権を地方公共団体もしくは日本住宅公団に移してしまって、そして造成された費用と提供された土地を按分して現物で地主に返す。そうすれば値上がり利益が半々でありますか、あるいは六、四になるか知りませんが、要するにいままでよりはよほど、提供した地主については、最初の人と最後の人とのアンバランスは全くなくなりますので、そういう方式をひとつ考えたらどうかということを宅地審議会にも諮問をいたしまして、おおよそ案が出てきたわけであります。これをいま法制化するためにいろいろ検討している最中なんであります。
  27. 加藤清二

    加藤(清)分科員 それはあなたの計画、お考えとしてはよろしゅうございますが、それは一体いつの日に実施に移されますか。団地はいまもブルドーザーが入ってつくっているんですよ。
  28. 小山長規

    小山国務大臣 むろんいまやっておるものは、法律は遡及しませんから、法律ができた実施後のものにしかその方式はできないのでありますけれども、改むるにはばかることなかれということばがありますから、ひとつそういう方式考えて、そしてそれがいろいろな方面に、いろいろな注文があったり、意見もあったりしますので、いま意見の調整中だ、こういうことです。
  29. 加藤清二

    加藤(清)分科員 ルール化、立法化の必要はだれしも思うところです。すでにおそきに失している。今国会に提出されますか。
  30. 小山長規

    小山国務大臣 今国会に提出するつもりで準備を進めているわけであります。
  31. 加藤清二

    加藤(清)分科員 それはけっこうなことなんです。そういうことになれば、これは与野党一致して、この法律は歓迎すべきものである。いや、与野党ではなくして、このことあるがゆえに苦しんでおりまする地方自治団体、ここが一そう喜ぶことだと存じます。  ところで、その内容でございまするが、補助金を与える。つまり政府資金を投入する、融資措置をするという問題、これは他の新産都市あるいは他の省の政府が力こぶを入れて造成しまするところの工場団地等々と比較して、あなたのほうはそれで御満足ですかと聞いておるのです。さっきの質問で、その点が抜けておりますから……。
  32. 鮎川幸雄

    ○鮎川政府委員 大規模団地をつくります場合に、水道、下水道、あるいは街路、学校等の施設が必要になってくるわけでございますが、それに伴う地方公共団体の負担の増加に対してどういうふうにすべきかという点の質問かと思いますが、先ほど来話がございますように、公団自体に対するそういうものに対する補助金の制度等につきましては、現在検討されておるわけでありますが、現在までにもすでに、関係の地方公共団体に対しましては、そういう公団団地造成に伴いまして、街路事業、下水道事業等についての補助金を出しておるわけでございます。特にそういう大規模団地造成という点を考慮して補助金を出しておりまして、三十九年度におきましてもそういうことを実施いたしておるわけであります。ただいまお尋ねのそれを新産業都市その他における財政援助と同様な考えでやったらどうかというお話でございますが、その点は、新産業都市は新産業都市に関する法律に基づき、またそれぞれの関係の法律に基づいて実施いたしておるわけでありますので、それと同等に与えるということは申し上げかねるわけでございますが、私どもは、そういう団地開発に関連しまして、できるだけ関係の公共団体に対する補助は優先的にと申しますか、できるだけそういう方向で考えたいというふうに思っておるわけでございます。
  33. 加藤清二

    加藤(清)分科員 これは大臣に答えていただきたいのですが、なぜ私がそういうことを言わなければならぬかと申しますと、たとえば工業用水法によって水道をつくりますと、水道の料金は四円につく、最高にいって五円六十銭どまりでございます。それは工場の生産品を安くしたいがためだと大蔵大臣は答えております。しかし、そういう設備をしてやっても、工場の生産性は上昇した、向上したけれども、工場からの出てくる品物の値段は一向に下がらないのでございます。ここにいわゆる価格の下方硬直性の問題が発生しております。ところが、同じその水を飲みながら、設備費を自己負担、町村負担にいたしますと、この水は四十二、三円、ちょいと遠くへ行きまして五十五円、すなわちこれ愛知用水悩みの種でございます。多目的ダムでつくられますこれは、全部こういう調子になっている。工場ならば安くしてやる。住民ならばその十倍以上の値にして売ってやる。どこがいけないか、設備の費用を国家が持つか、個人が持つか、これだけの違いであります。しかも、なおその個人負担は十年も二十年も三十年も、これは半永久的な耐久性のあるもので、その減価償却の面を見ますと、これが七、八年から十年で償却しなければならぬことになっておる。すなわちつくった当時のものだけがこれを負担して、それ以後のものは負担せぬでもいいというかっこうになっている。ところが十年たち、十五年たって、いよいよ減価償却が終わっちゃったあとは、水道料がただになるかというと、そうではない。そんな例は日本に見たことがない。なぜそれを短くしなければならないかといえば、世銀借款をしておるからこれは早く返さなければならないというので、世銀借款のルールに従って、日本の投資したもの、公共企業体が投資したものまでもクレジットを短く小刻みにしている。ここに基本的な間違いがあるわけなのです。  そこで、例を他にもう一つとってみますると、たとえば新産業都市の問題とは比較にならぬとおっしゃったが、新産業都市よりももっといいものがあるのです。いわゆる工場団地法、二割は補助金で、八割は全額融資です。そうやって工場はつくっている。その工場へ勤める人の住宅はというたら、補助金もルール化されていなければ、あるいは融資の点においてさえもなおそれが行なわれていない。どうして人間尊重と言えるでしょう。生産尊重、生産第一主義。それできょうの疲れをいやすために家へ帰ってみれば、女房から銭っこのことで文句をつけられなければならない。そこで家庭不和が出てこなければならないという住宅のあり方で、はたしてよろしいでございましょうか。予算があるとかないとかの問題ではない。首を振ったって出てこない。これはあなたの努力が問題なんだ。すでにそういうルールが工場を設営するときには実現化されている。ところが、生産のもとである働く人たちの住まう家はというたら、これは全然顧みられていない。これでバランスがとれておりますか。これで人間尊重ということが言えますか。
  34. 小山長規

    小山国務大臣 いまあなたのおっしゃった範囲に限って議論を出されますと、そういういかにもおかしいことに見えるわけであります。ところが、たとえば工場でもそれでは全国の工場が全部そうやっているかというと、そうじゃないと思います。つまり、本来は原価でやるべきものを、特に政策目標に従ったものに対して補助金を出しておるからそういうことになっておるのであって、したがってその政策目標がいいか悪いか。つまりそういう工場団地というようなものをつくってそれを優遇することがいいのか悪いのか。ほったらかしておいたほうがいいかどうかという議論になるのであって、私どもは、やはりいま中小企業がばらばらになっておることは原価を高くするし、中小企業の育成にもならない。中小企業は一つの団地に持ってこようじゃないか、そして能率化をし、原価を安くしようじゃないか、こういう政策目標があって、そこでそういう法律がつくられたんだと思うのです。そのためにアンバランスが起こっているじゃないか。日本全国そうしたらいいじゃないかという議論には賛成いたしますが、まだそこまで国家財政は十分ではありませんから、そこでそういうふうなアンバランスが起こってくることはやむを得ないことと思うわけでございます。
  35. 今松治郎

    ○今松主査 加藤君、結論を急いでください。実は本務員は一時間です。
  36. 加藤清二

    加藤(清)分科員 それでは結論を急ぎます。それでは議論は避けて、ずばりずばりと具体的に聞いていきましょう。  片や大蔵省、通産省のやっていることは政策目標。それでは建設省のやっているこの公団住宅は政策目標じゃないのですか。政策目標という立場から言えば同じ政策目標のはずだ。ただ、私の言いたいのは、生産向上に対してはていねいかつ親切が厚い。しかし住宅については薄い。片や進んでいるけれども、片やおくれている、こういうことを言うておる。だからこのことは急いでもらいたい。いまの工業用水が安いことが決して悪いと言っているのじゃない。それは理想像である。目標である。だから、住宅の水も団地の水も四円で飲めるようにするというのが理想像である。すでに国内で行なわれている具体的事実である。だからそれに向かって急いで前進してもらいたいということを言うておる。  そのために具体的にお尋ねいたしますが、実は春日井団地——御存じでございましょうか。ここの小学校中学校、幼稚園、これだけも試算してみます。それで春日井市の負担が、小学校で十八億、中学校で十二億、幼稚園で二・五億。学校数に対して小中学校合わせて二十一校か二、これはどうしても必要でございます。こうなってまいりますと、三二・二億、年間経常予算が七億や八億の市で、はたしてこれが負担できるかという問題。できっこないのです。それじゃこれを県が持つかというと、県はその責めに応ずる用意がない。したがってこれを完成させるには——小学校だけでこうなのです。中学校だけでこうなのです。上下水道いわんや周辺道路の取りつけその他を試算してみますと、何と市が終戦後いままで春日井市に投入したところのオール予算額よりは、今度つくる春日井のベッドタウンに投入しなければならない費用のほうがはるかに上回るのでございます。なおかつこれは短時間に行なわなければならぬ。二十カ年計画とか三十カ年計画ではない。せいぜいどうころんでも五、六年計画でやらぬと、それあなたのおっしゃったあと土地値上がりがきて、計画はここからくずれていくわけなのです。したがって、建設省公団計画どおり短時日に実行に移す。そうしなければあなたの計画であります九十二万戸計画もできないわけであります。さすればこの計画を絶対実行に移すとするならば、市がこれを背負えるようにしてやらなければならぬ。補助金にしても融資措置にしても、そのまた補助金の率、融資の金利、これなどはあなたの専門でございましょうけれども、特段の留意をしなければならないはずなのです。市そのものがいま持っている力でもって減価償却できる。あとから取り上げる住民税でペイできる。これをしておかないと、そこの住民税がはね上がって、団地ができたおかげで先祖代々住まっている人がたいへんな高額な税金を納めなければならない。こういう結果に相なるわけなのです。  そこでどうなるか。いまや東京周辺大阪周辺では団地ごめんでござると、こういう団地返納の運動が起きていることをあなたはよく御存じでしょう。政府計画して行なうことが住民の不幸になる。したがって返納が起きつつあるこの具体的事実にかんがみ、補助金、融資措置、これに対してどのような計画で臨まれまするのか、大臣の覚悟のほどを、同時にあなたの発言のいかんによっては追ってまた質問しなければならない。お答えさえ十分であれば質問をこれで打ち切ります。これであとは留保します。
  37. 小山長規

    小山国務大臣 この大団地についていろいろな苦情が起こっております。そこで県なり市町村地方公共団体計画に十分沿ったものにしたいという方針のもとに、四十年度からその方針でいくわけでありまして、春日井団地の具体的な問題についても、おそらく資金は一体だれがどういうふうにして捻出するかという具体的な計画があって始まったことと思いますが、詳細は局長から答弁させます。
  38. 尚明

    ○尚政府委員 いまおっしゃられましたように、大団地につきましては非常にたくさんの施設が要ります。いまお話しの高藏寺のニュータウン計画では、私どもの試算でも、学校は先ほどお話しのように小学校で十校、中学校で五校、高等学校その他で三校、計十八校要るわけであります。そのほか幼稚園を加えますれば二十をさらにこえるというふうに試算いたしております。これにつきましては、一応住宅公団は、このうち小学校中学校につきましてはその敷地を造成し、建物建設するだけの用意はございます。そのやり方は、住宅建設に合わせながら、地元に御迷惑をかけないように、毎年二校とか三校とかいう建て方をしていくつもりでございます。問題は、それを引き受けてからの起債とか、もともとその引き受けますときの地元負担の軽減になるわけでございます。これは究極のところ、先ほどお話しありましたように、学校はもちろんのこと、その他関連の都市計画的施設その他についての補助を、在来より、補助対象を増す、あるいは補助の率を増す、あるいは公団地元売却するときの値段のところに、在来よりずっと配慮を加えるというようなことが一つと、それから引き受けました地方公共団体に対して長期の起債を用意する、そういうことによって長い期間において、究極は、ニュータウンができますことによって、長い目で見れば地元としては一つの繁栄ができるわけでございます。それを持ちこたえるだけの長さによって財政のつなぎをつけることが重要な問題なんです。この問題につきましては、私どもとしてはまだ十分にここでお示しする措置を持っておりませんが、この問題はすでに財政当局も重要な関心を持っていただいておりまして、この問題について早くいろいろな角度から煮結めよう、すなわち、すべて学校建設が、公団が負担しないでも、都市計画事業補助金のほうで、在来より幅を広げて補助の対象として取り上げるというのも一つの方法でございますし、それから自治省として、これに関連するものについての起債あるいは特別交付税のほうでできるだけ考えるという問題も、一つの問題でございます。そういうものを総合的に今後至急検討しようというふうに、正直言いまして、関係各省間でいま話し合いを始めたところでございます。
  39. 加藤清二

    加藤(清)分科員 これで質問を終わりまするが、さっきあなたのおっしゃたルール化、法制化、これを至急とおっしゃいまするが、いつの日に実行に移すかを承りたい。と申しますのは、ここであなたがそのようにお答えになっておりましても、立法化されていない悲しさは、団地中学校をつくることができない。あなたのほうでは、小学校までは公団の費用でつくるという時期があったが、中学校ができない。そういう前例がないからつくられません。そのおかげで何べんも公団と交渉しなければならぬ。ところが、いまや中学校は、大阪の枚方で前例が開かれ、愛知県の鳴海で前例が開かれましたので、それで公団の費用で持てるようになりました。ところが、高等学校の前例はありません。だから、そんなことはできません。私のほうでは引き受けられません。国会の仕事です。議員さんの仕事ですよ。それは、こういうことなんです。だから、確かにそのとおりだ。それじゃ立法化しましょうということになって、私は建設大臣に要請しなければならぬことになる。こんなことは別に言わなくても、事務当局ではわかっておるはずなんです。当然のこととして、いつの時期に実行に移すか、これを聞きたい。  それから最後に、先ほど大臣がおっしゃいましたように、あれもこれもと、これだけに集中というようなことも、言うはやすくとうてい行なえないことでしょう。そこで私がひとついい案を提供いたします。その案がよろしかったら引き受けますか、どうですか。  時間ですから簡単に言いましょう。国有地、県有地が各地にございます。これが投機の対象となって、ゴルフ場とか大企業に渡されますときにはたいへんに安く、しかも、なお、宮内庁所管の旧土地が、五万坪も蒸発して帳簿から消えてなくなってしまっておるというような事件もある。当然旧地主に返さなければならぬ。その土地が某々企業家に払い下げられたとたんに、右から左に移転されて、ここに企業家の投資意欲と利潤追求を満足させたけれども周辺の旧地主が非常に憤慨しているという問題が、いま特別調査委員会が設けられて、この国会で調査されようとしております。そういうやさきに、国有地や県有地——もともとは戦時統制令で赤紙一枚で召し上げられた土地なんです。これを市ないしは公共企業体に無償で払い下げる。もともと召し上げたのだから、はがき一枚よりもっと安い値段で、とうふ一丁よりもっと安い値段で召し上げたのですから、これを旧価格で、召し上げたときの値段で払い下げる。さすれば、ここに要る費用、ここに建て学校小学校等々の土地の値段もぐっと安くなるでしょう。ないしは地方公共企業体に払い下げることがいけなかったら、いっそのこと公団に払い下げる。そうしてこれを値上がりの相殺材料にするということも考えられるわけでございます。少なくとも公団の地内にできる公共建物用地等は、これをもって充足すれば、資金難の解除の一助となる、こう思いまするが、大臣の御見解と、これに対するお覚悟のほどを承りたい。
  40. 小山長規

    小山国務大臣 無償で譲渡するというのは、いまの会計法にないと思いますが、そこでこういう公団などの予定地内に国有地や県有地があれば、当然それは買い上げの対象になるわけでありまして、その買い上げ価格は会計法の示すところによって時価でやる、こういうことになるものと思うのですが、その時価たるや、投機的な価格の入ったものでないと思いますので、相当安くなると思うのであります。
  41. 今松治郎

    ○今松主査 大原亨君。
  42. 大原亨

    大原分科員 私は、これから所定の時間の中で、できるだけいままでの質問と重複を避けまして、簡単にお尋ねをいたしたいと思います。  二つあるのですが、一つは国土縦貫道に関する問題です。それからもう一つは、住宅政策の中でいままで触れられなかった点につきまして若干お尋ねいたしたい。  国土縦貫道につきましては、いろいろと関係都道府県や市町村が大きな関心を持っておるところでございますが、昭和四十年度から着工その他どういうふうな進捗状況で仕事を始めていくか、こういう問題について簡潔にひとつ最初にお答えいただきたい。
  43. 小山長規

    小山国務大臣 国土開発縦貫自動車道につきましては、四十年度に二十億の予算が計上されております。これが通りましたならば、四十年度から着工に入りたい。その着工というのはどういうことかというと、いま法律上認められておる路線が五つありますから、その五つの路線は一緒にやりたい。まあこう考えております。むろん、建設事務所をつくって、用地の買収を始めるということなのでありますが、それじゃ着工の区間はどうするのかというようなことは、これから基本整備計画をつくりまして、その区間を定めて、その区間というのは、むろんわずかな区間じゃなくて、相当長距離の区間を定めて、発表をして、年次的にやっていこう、こういう考え方で進んでおるわけであります。
  44. 大原亨

    大原分科員 国土縦貫道は大体どのくらいの年次でやるという現在の段階における見通しを立てておられますか。
  45. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 国土開発縦貫自動車道並びにその他でやる予定をいたしております高速自動車道路建設計画でございますが、現在の五カ年計画、すなわち三十九年から四十三年までの間には、おおむね五千億くらいの建設費をもちまして、供用延長は六百三十キロくらいと考えております。それから次の五カ年間、四十四年から四十八年までにおきましては、おおむね八千三百億くらいの建設費をもちまして約千七十キロ、合計いたしまして、四十八年には千七百キロくらいできるようにしたい。それから四十九年から五十五年に至ります七カ年に、金額といたしまして一兆一千三百億くらいを投じまして約二千キロ、累計延長三千七百キロくらいに到達するようにいたしたい、こういうようなプランを持っております。
  46. 大原亨

    大原分科員 昭和五十五年で、大体いまお話しになりましたところで、いまの五つの国土縦貫自動車道の何%ができ上がることになりますか。全部でき上がりますか。
  47. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 この五カ年計画で着工するものは、五十五年までには完了しておる、かように考えております。
  48. 大原亨

    大原分科員 たとえば地価の値上がりその他については、これはどういうふうに見ておられますか。
  49. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 地価の値上がりと申しますものは、大体私どもは経済計画を基本にいたしまして、予想される通常の値上がりというものは、当初建設の際に考えておるわけでございますが、そのほか異常な値上がり要素があれば、当然そういうものはまた改正しなければなりませんから、ただいま申しました数字というものは、もちろん現時点において考え数字でございます。それから地価の値上がりといいますよりは、実際は建設の方法、構造等によるキロ当たり建設単価というものの差のほうが非常に大きいと思いますので、むしろ構造的に建設単価を安くするというような努力を今後十分研究したい、かように考えております。
  50. 大原亨

    大原分科員 大臣にお尋ねするのですが、国土縦貫自動車道は、国土開発という、あるいはひずみ是正とか地域開発という観点に重点を置いて計画を進めますか、それとも経済性を重視して、臨海工業地帯やあるいはそういう工業団地等を念頭に置く、そういう経済性を重点に置いてやるのですか。
  51. 小山長規

    小山国務大臣 これは、着工の優先度のお話だと思いますが、全部でき上がりましたときには、当然にもう地域開発も何も一切がっさい含めてまいりますけれども、優先、つまり四十年度から着工するものはどう考えるかというお話だろうと思います。これは、経済性も考え開発性も考える、こういう混合方式でひとつ考えてみたい、こう考えております。
  52. 大原亨

    大原分科員 これはあと具体的に質問いたすわけですが、やはり国土開発縦貫自動車道は、法律の趣旨からいいまして——法律の趣旨あるいは現時点における格差の是正やひずみの是正という観点からいいまして、国土全体を有効に使うという観点からいいまして、やはり国土開発に重点を置きながら、日本の全体を部分部分で直していくというのでなしに、全体を念頭に置いて開発をしていく、こういうことが、私は、基本線でなければならぬと思うのですが、いかがですか。
  53. 小山長規

    小山国務大臣 大体私の考え方も同じであります。ただ、これについての年限をとって考えます場合には、若干経済性を入れておきませんと、償還の問題が出てまいりますので、そういう面を考えながら開発効果をねらっていこう、こう考えておるわけです。
  54. 大原亨

    大原分科員 国土縦貫自動車道の中の五つの場合におきまして、それぞれ若干の問題はあるようですが、路線の決定については、一番問題となっているのは中国の自動車縦貫道であることは御承知のとおりであります。このことにつきましては、関係都道府県、広島県、島根県、山口県、その他非常に大きな関心を持っておるわけでございますが、この路線決定につきましてすみやかに態度を決定することが、陳情政治というか、皆さんが余分な努力をする、むだ使いをするということがなくて済む一つの大きな問題になっているのではないか、これを合理的にすみやかに決定すべきではないか、私はそう思いますが、その点につきましてはどういうふうに思っておられますか。
  55. 小山長規

    小山国務大臣 中国自動車縦貫道には問題があるのは承知いたしております。特に三次市の西のルートについて、南に回るのか北に回るのかという意見がありますけれども、これは私どもとしましては、いわゆる開発的な効果という点を考えて、北のルートが望ましい、こういうふうに考えているわけです。
  56. 大原亨

    大原分科員 北のルートが望ましいという大臣の見解の発表は、公式にはいままであまりなされていなかった。一応はなされていましても、経済性を考えながら南のことが常にあったわけであります。したがって、私はその点をさらに明確にしてもらいたいということは、距離からいっても、地域開発、後進地の開発という観点からも、総合開発——観光を含めてそういう観点からも、あるいは用地費等から考えてみても、国土全体の総合開発ということになれば、北線を早く決定すべきじゃないか。そうすることが広島県、山口県や島根県その他関係町村がむだなことをしないで、すみやかにこれを推進する体制を確立する意味においてやはり必要なのじゃないか。この点を重ねて、この機会にはっきり、大臣のほうで北にきめる、そういう方針でいくのだ、こういう方針を明確にしていただきたいと思います。
  57. 小山長規

    小山国務大臣 近く基本計画や整備計画を定めることになっていますが、その際はただいまのような考え方で進めていきたい、こう思っております。
  58. 大原亨

    大原分科員 北のほうを中心にしてやる、こういうふうな話ですが……。  それから、もう一つのこれに関する質問は、用地を買収する際に、私もいろいろな国道用地の買収の例を方々で聞くのですが、毎年毎年小間切れに決定しては用地を買収していきますと、いままで売ったところのものは、地価が変動しておるから——特に都市においてはそうですか、国鉄の新幹線もそういう問題で大きなミスをしておるわけですけれども、いままで決定したところは、次には地価が上がっておりますから、また文句が出る。そうすると、新しいところは思惑でさらにつり上げていく。こういうことで路線決定ができない。この場合は相当地域住民が熱望いたしておりますから、協力の度合いは違うと思うのですが、用地の買収費は全体のウエートから見るとどれだけ——五十五年度までに完了するように、これを早くやってもらいたいということを私は強く要望するのですが、その中で占める用地買収費というものは、私は非常な大きなウエートを占めると思う。そのやり方いかんは、大きな財政負担になってくると私は思うのです。そういう点で、路線を早く決定して計画に着手したならば、路線については相当大幅に決定をして、先に用地を確保しながら条件をつくっていく、こういうことが必要じゃないか、私はこう考えますが、いかがですか。
  59. 小山長規

    小山国務大臣 大体その考え方で、路線を決定しましたら、年度の予算は、少なくとも最初の間は用地買収費に充てていきたい、こう思っているわけです。
  60. 大原亨

    大原分科員 つまり、何カ年計画かを立てる際には、五カ年のうちでしたら、五カ年と切ってありますけれども、それを切る中において、やはり計画線は初年度、あるいはさらにそれを早目に、十年先を見通したような用地を決定をしていく、こういうことがやはり必要ではないか。そういうことが将来の地域における開発の基礎をつくっていく上からも、私は政治の指導性というか、そういう点で必要ではないか、こう思いますので、重ねてその点に対する所見をひとつ記録にとどめておきたい。  それからもう一つは、こまかなことはたくさんあるわけですが、路線の決定にあたってインターチェンジその他の問題があるわけです。新東海道線の問題では羽島駅というのがたんぼの中へできましたね。これはまたあとで議論すれば議論ができるような問題で、はたしてあそこにできたことがどういう意味を持っているかということは非常に大きな問題です。実際にああいう形になるとやはりおかしいわけです。インターチェンジやその他路線の具体的な——大まかな線については北線だというふうに言われましたが、五つの縦貫道を含めまして、そういうところは、地域住民の意見は別だけれども、政治的な路線を決定したり、インターチェンジを設けて、おれがこうやってやると言って胸を叩いたところが実現するというような、そういうひん曲がったことは私は困ると思う。あくまでも国土総合開発という技術的な見地からこの路線が決定される、こういうことでなければいけないと私は思いますが、いかがですか。
  61. 小山長規

    小山国務大臣 いまの御意見と同じです。ただ用地の買収にあたって、不当にごてごてするところは避けていきたいと思っております。
  62. 大原亨

    大原分科員 そういう政治線の問題と、もう一つの大きな問題は、路面を上に上げて高架式にしていくか、あるいは平面式にしていくかということで、立体交差ということは当然必要だけれども、経費の面その他から、平面にするのか高架方式をとるのか、こういうことは非常に地域住民も関心を持っておるし、それから技術的な見地からも問題があろう。そういう点につきましてはどういうふうなお考えを持っておりますか。
  63. 小山長規

    小山国務大臣 これはまだ決定したわけではありませんが、できるだけ建設費を安くするために、特に郊外地などにおきましては、低い線で入って、同時に農地の区画整理などを伴って、農道その他はできるだけ高速道路の上を通るような方式をとっていきたい、こういうふうな方向でいま検討させているわけであります。
  64. 大原亨

    大原分科員 低いほう、平面方式でいきたいということですが、平面方式でいけばどういう長所があり、経済的な問題は大体どのくらい違うものですか。
  65. 小山長規

    小山国務大臣 まず常識的に考えられますことは、高くしますと、路幅といいますか、道路の一番底面のところが相当広くなりますけれども、低くすればそれよりも路幅が狭くて済むわけですから、そういう面が一つ。それから構造物をつくらなくても済むという点で相当安くなると思うのでありますが、なお詳しくは道路局長からお答えいたします。
  66. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 平面にいたしますとどのくらい数字的に安くなるかということはちょっと申し上げられませんが、ただいま大臣お話しのように、用地において、高速道路に必要な路幅が約二、三十メートル狭くなるという点が一点ございます。それから高くいたしますと、どうしても構造物が多くなる。この構造物の建設費といいますのは非常に高価なものでございますから、それ自体でもう建設費が安くなるということと、高くしたために、両側の部落、人家といったものにつきまして、洪水時の水のはき方、あるいは通風、行き来、こういった点で大きな支障がございますので、そういう点に対する問題がなくなり、いろいろな点から有利になるわけであります。ただいま東海道自動車道路をやっておりますのが、キロ当たり約十億円でございます。私どもの目標といたしましては、少なくともそういう構造を変えることによって三割くらいは安くしたい。この辺の見当でただいまいろいろ研究をいたしております。
  67. 大原亨

    大原分科員 それで平面式で利益となる点は、インターチェンジの間の人も比較的利用できるような方式がとりやすいでしょう。そういうこともありますか。それはないですか。
  68. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 これは高速自動車国道でありますから、両側の者が直ちに利用できるというものではございません。そのかわり高速道路の両側に並行いたしまして側道、脇道をつくりますので、大体沿線の方々はそういう側道を利用していただくということになろうと思います。高速道路そのものにはインターチェンジ以外からは出入りできない、こういうことになっております。
  69. 大原亨

    大原分科員 それで大体全貌は明らかになったのですが、中国縦貫自動車道の場合、これは政府委員から御答弁いただきたいのですが、昭和四十年からどこをいつごろまでにやって、あるいは用地買収その他についてはどういうお考え方でやるのか、具体的なそういう計画についての御説明があれば、ひとつお答えをいただきたい。
  70. 小山長規

    小山国務大臣 その点はこれからきめることであります。つまり基本計画、整備計画をきめる段階できめていきますので、いままだここで言明できないのが残念です。
  71. 大原亨

    大原分科員 それで縦貫道を五十五年くらいまでに大体やろうということですが、五十五年ではずいぶんおくれると思うのですよ。もうそのほうのお百姓さんその他もいなくなってしまうかもしれない。消えていなくなってしまう。これはやはり目標を示して、そうして町づくり、村づくりの一つの目安を立てるようにしなければならぬと思う。一応悩みはありますけれども、すみやかにできるように、そういう努力をさらにしてもらいたいと一緒に、そういう計画については早く策定をして、あまりごたごた策動するようなことのないように、すっきりした形で国土の開発ができるように、特に要望いたしておきます。大臣のこれに対する見解を承りたい。
  72. 小山長規

    小山国務大臣 できるだけ重要区間を早く運転できるようにしなければなりませんので、そのつもりで基本計画、整備計画を定めたいと思っております。
  73. 大原亨

    大原分科員 それでは第二の住宅問題ですが、社会党が出しました一世帯住宅というスローガンを自民党がとりましてずっとやったわけですが、その一世帯住宅というもののうちで、昭和三十五年からの戸数と金額の予算と実績、それからそのズレはどうなっておりますか。
  74. 尚明

    ○尚政府委員 ただいま包括的にまとめた資料はございませんが、三十六年から四十五年まで七百八十万戸建つのには、大体伸び率が九%くらいずついけばいいことになっておりまして、三十六年以来おおむねその線に沿って毎年の建設が行なわれていると考えております。
  75. 大原亨

    大原分科員 私が言うのは、昭和三十五年に計画を策定されてから、三十五、三十六、三十七、三十八年と、三十九年は済んでおりませんが、いうなれば四年間の達成率でもいいです。一世帯住宅というのはスローガンだから、選挙のときにやったら忘れてしまうのだけれども、その四年間の達成率は大体何%くらいでき上がっているのか。
  76. 尚明

    ○尚政府委員 三十六年から十カ年計画が始まったわけでございますが、三十六年に建設されました住宅の総戸数は推定六十八万九千戸でございます。三十七年は七十三万七千戸でございます。三十八年は七十八万七千戸でございます。十カ年計画は、毎年の民間及び政府施策住宅の合計の伸び率が、おおむね九%ずつぐらい伸びていけば、つまり伸び率でもってすべてを合計すれば、七百八十万戸になるという計算にいたしているわけでございます。この間の達成率は、いまお話し申しましたように、六十八万九千戸と七十三万七千戸と七十八万七千戸を足した戸数が、この三年の実績ということになるわけであります。
  77. 大原亨

    大原分科員 計画を立てて計画どおり実行できていないわけです。地価が上がったり単価が上がったりしているから、単価が非常にばらばらで無理だから、予算計画を立てたのと実際に達成したのを比較しての達成率、こういう意味で何%ぐらいの達成率かと、こういうふうに聞きたい、その内訳があるわけですけれども、聞きたいと思う、こういうふうに質問しているのですよ。
  78. 尚明

    ○尚政府委員 実は、毎年の上昇カーブで描いてやったわけで、それに対する達成率として、詳しく計算した資料が手元にはないのでございますけれども、おおむね目的のカーブに沿っていっておりまして、したがいまして、それを達成率というなら、九〇数パーセントの達成率になっているのじゃないかと認識しております。
  79. 大原亨

    大原分科員 それじゃあまり議論しませんが、昭和三十六年には、民間、公営、公庫、公団その他——これはその他というのは公務員住宅でしょう。そういうのを全部入れて、政府計画は一千戸住宅、一千世帯一千戸住宅といっても、やはり民間を入れているわけです。それで、あと時間があれば議論するんだが、時間がありませんから議論しませんが、そうすると、大体予定しておったのが、昭和三十六年をとってみると、六十八万九千戸というふうに予想をしておったけれども、実際には五十三万五千戸しかない、こういうふうなことをずっと三十七年、三十八年でとっていってみると、私のところの数字では、大体八〇%足らず、七九%の達成率になっている、こういうことです。そこで問題は、公営住宅だけをとってみますと、公営住宅昭和三十六年から三十七年、八年ととってしました際に、何戸建てようという目標を予算の上で立てて、そして何戸できたかというのを、達成率でもいいし、戸数でもいいから、大体概数で、その予算と実績との食い違いは大体どのくらいになっておるだろうか。   〔主査退席、正示主査代理着席〕
  80. 尚明

    ○尚政府委員 ちょうど三十六年、三十七年、三十八年は、第四期公営住宅建設三カ年計画の期間でございまして、この三カ年に十七万一千戸の計画をいたしたわけで、これに対しまして、実績、建ちましたのが十六万三千戸でございまして、おおむね九四%か五%の達成率になるかと記憶しております。
  81. 大原亨

    大原分科員 私の手元の数字はうんと違いまして、私は三十五年からですが、修正すればいいんですが、四年間の達成率は、公営においては二五・五六%しかないというふうになっておる。これを戸数予算金額で申し上げてもよろしいが、そういうふうになっておるわけです。しかしこれはあとでひとつ資料を検討して、私の手元に出してもらいたい。三十六年から、予算は幾らで実績は幾らで、どれだけ予算どおり建たなかったかということを、三十六年、三十七年、三十八年、それを公庫の場合、公団の場合、その他の公務員住宅の場合、これをやってもらいたい、これを予算資料としてお願いしておきます。  それから私がこのことを言うのは何かというと、公営住宅は、市町村と都道府県等がやっておるわけですが、実際に単価が無理であって、用地買収その他住宅単価等が実情に沿わないから、いままで議論になっておったと思うのだが、地元の負担が非常に多くて、そうして起債もワクを締めておるものだから、なかなか自治体は四苦八苦で消化しがたい、そういうところにやはり住宅政策の一つの問題点があるんだ、そうして地方の自治体に大きな財政負担を課しておるのだ、こういう問題があるわけです。したがって、私は時間がないから結論だけ質問するのだが、住宅については、実行予算を念頭に置きながら、そうしてたとえば起債のワクなども十分にしてやるようにしないと、都道府県や公営住宅というものがうまく計画どおり前進はしない。そしてすべてそういうところがしわ寄せになって、やれ民間にどうのこうのということになって、民間住宅は、一般の傾向として世帯が細分化しておる。これは人権尊重のたてまえから、夫婦単位に住むようになるわけだから、世帯が細分化しておる。そうして民間のほうは部屋が小さくなって、たとえば四畳半にぎしぎしと人間が詰まっておって、全くこれが社会問題、道徳問題、不良化問題、生活安定の一つの大きな問題点をつくっておる。起債の問題一つとってみても、そういう問題がある。そういう点を、建設省は大蔵省や自治省とよく連絡をとった上で、これを善処しなければ、住宅を幾ら口に言ったって、予算を締められたら、単価を締めていって、起債のワクをまた締められて、そうして地方の都道府県や市町村の負担を増大するということではいけないではないか。私はこういう点をひとつ指摘いたしまして、大臣の見解を聞きたい。
  82. 小山長規

    小山国務大臣 従来お話しのような点がありまして、建設戸数はたぶん予算戸数と合っておると思うのでありますが、実際問題としては、予算できまった建設戸数を、市町村あるいは府県がやるために、相当府県や市町村の自己負担をふやしておるという傾向がありましたことは、そのとおりであります。そこで毎年幾らかずつやっておりますが、特に四十年度からはその点を是正したいというので、建築単価で工事費のほうを四・三ないし五・二ふやしまして、それから用地費で一三・八%ふやしまして、そのほかに基礎工事費の補助金を二億円ばかり計上するというようなことをしました。それからまた、起債の充当率につきましても、従来三十八年度予算で三四でありましたのを、三十九年度からは四五に起債の充当率をふやしまして、この点を緩和した。なお、しかし、これでも足りませんから、また来年度以降さらに努力を続けていきたい、こう思っております。
  83. 大原亨

    大原分科員 ドイツの住宅政策を見てみますと、組合住宅というのが半分ぐらいです。地域住民が住宅の協同組合をつくって、そうしてそれが自主的な計画を立てながら、国が助成をしていく、こういう自主的な形の住宅をつくる運動、持ち家の運動もそれに入っております。最近の住宅供給政策で、政府がスローガンとなさっておる持ち家も入っておる。政府の政策住宅公営住宅等ももちろん進めておる。だから、フランスでもどこでも、大体私が聞いてみますと、住宅問題については、戦後最大の力を入れて、戦争が済んでから、これを政策の重点にしてやったために、問題はあるけれども、やや見通しがついたという段階です。日本は問題が累積して、これからだ。いままで加藤委員や同僚委員から議論があったように、これからだということであります。それが悪循環いたします。  労住協の問題ですけれども、労住協というのは、御承知のとおり、住宅生活協同組合を含めて、労働金庫の資金も活用しながら、政府住宅資金を回しながら、協同組合方式で自主的な形でやっておるわけであります。が、労住協について、どういうふうに皆さん方は実績を御判断になっているのか。政府公営住宅公団住宅公庫住宅等の実績に比較いたしまして、私は、労住協は非常に困難な中で、労働者が出し合った金を結合して活用しながら、相当大きな成果を収めていると思うのです。労住協につきましての成果をどのようにお考えですか。どのくらい大体いままでやっておるのか、最近のことでよろしいです。これは政府委員でよろしいです。答弁していただきたい。
  84. 尚明

    ○尚政府委員 労住協は、労働者の方がお集まりになりまして、組合を中心にいたしまして実施しておりまして、一部の資金を労働金庫に仰ぎ、また住宅建設費の大部分につきまして、住宅金融公庫からの融資を行ないまして、毎年二千二百戸程度、最近は建設いたしておられます。これは数年前からずっと引き続き、その程度建設をしておられる。いわば労働者のある程度自主的な制度として、政府からの援助を受けつつ、また自分たちのお金である労働金庫からのお金を引き出しつつやっている住宅供給である、こういうふうに見ております。
  85. 正示啓次郎

    ○正示主査代理 大原委員、結論にお入りください。
  86. 大原亨

    大原分科員 それでは結論を急ぎますが、労住協は分譲住宅事業——分譲住宅というのは、私は必ずしも住宅政策ではないと思っておる。それは政府の見解とは若干違う点を私は持っておるのです。やはり公営住宅等だけを中心として、住宅政策の大きな点はこれで立っていく。政府のほうは低家賃住宅、低所得者住宅を対象にしておる。ただし、おかしなことがあるわけです。公務員だけは上のほうから入っていくわけです。同じ政府政策住宅だといって入れておきながら、政府施策住宅——公営住宅や公務員住宅は、上のほうの局長や課長からどんどん入っていって、下級公務員で、二、三万円もらっていて一万円くらい家賃を払っている人はたくさんあるのだが、その生活は安定しない。これはおかしいのだ。公営住宅は、低所得階層を二万円から三万六千円というふうに区切ってやっているわけです。これはおかしいのです。てめえが入る場合は上のほうから入っていって、一般国民の住宅政策では下のほうから下のほうから、こういうことをしておりますから、これはおかしいわけです。これは公務員は弱い者いじめをしている。てめえがつくっててめえが入る、こういうようなかっこうになっているのはおかしい。こういうことはあるけれども、いろいろ議論すればきりがない。しかし分譲住宅、持ち家というのも一つの魅力だし、一定の所得に達したものは関心を持っているものです。しかし、これは相当のくふうをして、相当の所得がないと、中の上以上でなければ対象にならぬわけです。そこに住宅政策が零細化している問題があると思うが、しかし、労住協は、公庫やその他の皆さん方がだんだん理解されて、そうしてみずからの労金等の金を使って、分譲住宅は、三十三年から三十九年までは約一万戸、年金住宅事業は、労住協の地域生協がやっておるのが、三十六年から三十九年までは約一千戸、労住協関係で労金が融資したのが約二百億円です。労働者が集めたばく大な金を住宅にやって、政府施策のかわりをやっておるわけです。それから労働者個人増改築分を含めて百十三万戸、七百億円の金をここに投入しておるわけです。政府住宅政策の弱点がございますし、欠陥があるところへ、それだけ自分の力で住宅を持ちたいということになっておると思うのです。そういう金を、労働者がみずから預金しながら、地方公共団体に委託しながら、立ち上がってやっておるわけです。持ち家の制度住宅供給公社については法案が出ておりますが、これはずいぶんインチキなところもあるし、トンネルみたようなところもあるし、無から有を生ずるようなこともあるし、住宅全体の政策をばらばらさせることもあるのですが、労住協やその他の自主的な運動を促進するようなかっこうもあるわけです。大体内容は同じようですが、効果としましては、労住協のほうが自主的な、実情に沿うた形で、長所も持っておるのではないか。そういう点で、労生協のそういう政策については、労働金庫がどうの、労働者が政治的にどうのというようなことでなしに、自主的な住宅を持つということが、自分自分でばらばらやるんでなしに、協同化して、組合をつくって、そうして住宅を確保する政策を進める政策ですから、これは十分の理解と援助をしてもらいたい。この点につきまして、はっきりした大臣の言明をいただきたいと思います。
  87. 小山長規

    小山国務大臣 住宅はあらゆるくふうをしてつくらなきゃなりませんので、いま労働金庫がそういう面に貢献していることは非常にけっこうなことだと思います。われわれの住宅金融公庫からの融資も、したがって、労働金庫、労生協がつくろうとする住宅の融資は、たとえ住宅供給公社ができましても、ちっとも変わりありませんから、その点は御安心を願いたいと思います。
  88. 正示啓次郎

    ○正示主査代理 次に泊谷裕夫君。
  89. 泊谷裕夫

    泊谷分科員 私も、国土縦貫自動車道路建設についてお尋ねをしたいと思います。いま、先輩の大原議員から、この建設の基礎的な考え方、事務のあり方について明らかにされましたので、それを避けまして、具体的な問題でお尋ねをしたいと思います。  東北地方昭和四十年度着工ときまりまして、北海道と四国だけが残ったわけであります。そこで、北海道の自動車道の着工の見通しはいつなのか、同縦貫道路の経由地点は、函館——札幌——稚内——釧路の四地点だけが明らかにされておりますけれども、具体的通過地点について構想がまとまっていたら、まずこの点について、建設大臣、並びに関係がありますから、北海道開発庁、あわせてお答えをいただきたいと思います。
  90. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 北海道自動車道の路線の計画につきましては、三十九年一千万円、来年は千五百万円予定しておりますが、目下調査中でございまして、まだその計画につきまして、予定路線を出すところまでに至っておりません。
  91. 小熊清

    ○小熊政府委員 北海道の縦貫自動車道につきましては、ただいま建設省のほうからお答え申し上げましたような状態でございます。
  92. 泊谷裕夫

    泊谷分科員 二月二十二日の現地の新聞を見ますと、四十一年度に用地買収に着手する、四十二年からは本格的な建設工事にかかるということが出されておるのですが、これは建設省でも開発庁でも公表したことはないのですか。
  93. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 建設省としては、さような公表をしたことはございません。
  94. 小熊清

    ○小熊政府委員 同じでございます。
  95. 泊谷裕夫

    泊谷分科員 ニュースの出どころを追究するのが目的でありませんので、要は、この道路開発がすみやかに行なわれることが目的でありますから、先ほども申し上げましたように、残るところが北海道と四国のみということになってまいりましたので、いまのお話では調査中というお答えでありますが、一応考えられるこの手順ですね、着工したいと考えておられる面について明らかにしていただけるものならば、この際明らかにしていただきたいと思います。
  96. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 調査といたしましては、先ほど申しましたように、まだ一次調査の段階でございまして、他の縦貫道と同じように、ある程度一次調査の段階を終わりますと、予定路線の計画を出す、こういう手順になるかと思います。私ども考えでは、なお四十年度は一次調査の段階であろう、かように考えます。
  97. 泊谷裕夫

    泊谷分科員 四十一年になれば、進展がありますか。
  98. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 先ほど御指摘がございましたように、北海道の自動車道の経過地点は、札幌を中心といたしまして、その周辺に、比較される路線の数が非常に多いかと思います。したがいまして、四十年の調査で、他に路線上の大きな問題がなければ、そういう手はずにもなろうかと思いますけれども、そのように、経過地につきまして非常に変化が多い地点だけに、一応四十年度の調査を待ってから判断したい、こういうふうに思います。
  99. 泊谷裕夫

    泊谷分科員 それでは、この調査に際して、道路規模は二車線に考えられておるのか、四車線に考えられておるのか、明らかにしてほしいと思います。
  100. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 高速自動車道路建設する予定でございますので、すべて最小限四車線を考えております。
  101. 泊谷裕夫

    泊谷分科員 北海道開発公共投資は、開発局からもすでに連絡で、御承知と思うのでありますが、地域重点開発方式をとっておりまして、四割五分、道路が主体に導入されております。したがって、札幌を中心にする交通網というものがたいへん問題になってきておるわけでありますが、特に札幌市を中心にする急激な人口増は説明の要がないと思いますが、これから出ております放射線状の国道三十六号、十二号、五号、これらの問題が、ほとんど交通ができないという事態に立ち至りつつあるのでありますが、これに関連いたしまして、この三本の国道の強化線を考えられておるか。あわせて、札幌−小樽間の国道第二・五号線の新設が強く要請されておりますが、これに対する建設省考え方。なお聞くところによりますと、道路公団開発局が現地視察をされたということでありますが、その結果はどうなっておるのか。これに関係いたしまして、バイパス計画ができているはずでありますが、これもあわせて、その構想を明らかにしていただきたいと思います。
  102. 小熊清

    ○小熊政府委員 お話のように、札幌周辺、特に札幌市街地の交通量というものは相当の増加を見ております。したがって、このような交通の混雑を緩和するために、市内の国道の拡幅とか舗装とかいうものを早急に進めてまいることはもちろんでございますが、それだけでは、今後増加を見込まれる交通量を消化するには必ずしも十分ではないという見通しもございますので、あわせて、札幌市内を通らない、札幌の北のほうを回りまして、お話の五号線、それから札幌−留萌線、道道線の札幌−沼田線、それから十二号線、こういう各路線をそれぞれ結んで、国道三十六号線に接続する、かようなバイパスが必要になってくるであろうということで、そういう構想を持っているわけでございます。それで、小樽−札幌間についても同じような問題があるわけでございます。これもあわせて検討しておるわけでございます。かような一連のバイパスにつきましては、開発局のほうですでに調査をやっておりまして、なるべく早い機会に結論を出したいと思っているわけでございます。
  103. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 道路公団考えておりますバイパス計画につきましては、御承知のように、昭和三十四年度から小樽の北の周辺のバイパスを調査いたしておりますが、採算上いろいろ問題がありまして、その区間だけでは、バイパスとして必ずしも適当じゃない。また札幌線からいきましてもそういう点がございますし、ただいまのような事情もございますので、私どもといたしましては、さらに千歳のほうに延ばす大規模なバイパス計画考えてみたいということで、四十年度から、できましたら有料道路としての調査を開始したい、こういうように考えております。
  104. 泊谷裕夫

    泊谷分科員 小熊さんから道路の説明がありましたけれども、三十六号線に触れられないのでありますが、三十六号は——大蔵省でもスーパー・ソニックの購入を許可しましたね。日本航空が音速機を七機導入するのが四十五年です。一時間十分の航空所要時間。千歳に着いてから札幌に入るわずか五十キロ足らずのところが、一時間半もかかっておるのがいまの実態ですね。このままでまいりますと、せっかくスーパー・ソニックが入っても、この道路事情では何の価値もない。いま建設省のお話によりますと、これを有料道路によって解消しようというお話であります。一般的に、十二号、五号あるいは札幌——留萌線が北寄りになるということになりますと、三十六号と札幌の結び目の利用価値が少なくなってくるわけですね。こういう関連で、航空機の導入にあわせて、三十六号の強化はどういうふうになっておりましょうか。
  105. 小熊清

    ○小熊政府委員 札幌バイパスが三十六号線に接続をいたすわけですが、さらに延ばしまして、千歳−札幌間のバイパスというものが考えられるわけでありますが、まだ具体的な接続地点とか、あるいは路線の確定は、もちろんいたしてないわけであります。おっしゃいますように、千歳、札幌、小樽、それから市街交通、それら全部がある程度接続できるような計画調査を進めておるわけであります。
  106. 泊谷裕夫

    泊谷分科員 それでは、これは札幌の市の高架線を含めて抜本的な検討をされる問題でありましょうから、いますぐお答えをいただくことも少少御無理かと思います。しかし、十分ひとつ御検討いただくことにいたしまして、次に別の問題に入りたいと思います。  この問題は、予算分科会で皆さんからお答えをいただきますけれども、それが具体的に実施されないことに不満を持ってお尋ねしたいのであります。それは、開発道路になっております神恵内入舸・古平線について、神恵内、大森、珊内は、直轄工事としてすでに着工はしていただいておりますが、珊内から積丹、沼前に至る十三キロの改良工事でありますけれども、これは一昨年のこの委員会で建設省のほうから、昭和四十年で終了するという返事がなされておるのです。実際その約束どおり実施されておるのかどうか。いまさら説明するまでもなく、この路線は、北海道の沿岸漁業として、もうたった一つしかない豊富なところ。しかし、実際は陸の孤島であり、交通の便がない。しかも、当該地方には五つの部落と戸数が二百五十戸、人口一千三百、こういう小規模ではありますけれども小学校が四つと中学校二つで、ほかの出先官庁があるというようなことで、どうしてもいまのように海上輸送で交通をささえておるということではたいへんなことだと思いまして、一昨年の本委員会における答弁とあわせて、その進捗状態、さらに今後の見通し、これをお聞かせいただきたいと思います。
  107. 小熊清

    ○小熊政府委員 お尋ねの神恵内・入舸・古平線は、御承知のように積丹半島の先端を一周するようなかっこうの道路で道道でありますが、開発道路ということで採択をいたしまして、開発局のほうで改良工事を実施しておるわけでございます。その半島の先端部、これが非常に海に迫った断崖のような地形のところでありまして、そこに道路を開通するというのは非常な難工事で、相当な資金を要するわけでありまして、難工事であるということでおくれておるわけでございます。ただ、お話しのように相当沿線に部落もあるわけでございまして、とにかく神恵内側からは珊内まで、それから古平側からは沼前までは馬力をかけていきたいというふうに考えて、四十三年度までの新長期計画で資金の投入を一応見込んでおるわけでございます。現在すでに開通はしておりますが、未改良の起点、両側の起点部にもある程度の資金を投入して改良していかなければならないというような関係もございますので、とりあえず珊内まで、また沼前までということで工事を進めておるわけでございます。
  108. 泊谷裕夫

    泊谷分科員 難工事であることはよく承知しておるんですけれども、この前、四十年までにやっていただくという話になっておったんですが、珊内までというのですか。川白の漁港改良とあわせて、これに出入りする漁船は相当な数になっておるわけです。川白の問題についてせめて考慮されないものかどうか、これをもう一度お答えいただきたい。
  109. 小熊清

    ○小熊政府委員 一番難工事の区間がその珊内と沼前の間でございます。資金面からいっても相当膨大な資金を要するわけでございますけれども、とりあえずはその両方の手前までということでやっておるわけでございますが、もちろん今後工法等も検討は続けていかなければならないとは思っておりますが、その一番むずかしいところ、これを何年までに必ず開通するというめどはただいまついておりません。
  110. 泊谷裕夫

    泊谷分科員 それでは運輸省の方がみえておりませんが、当面民生安定上、少し雪でもありますと、どうしても海上運送にたよらなければならないわけでありますが、これに対する開発庁から運輸省に対して、航路助成についてはどういう要請をされておりますか。この点は明らかにしていただきたいと思います。
  111. 小熊清

    ○小熊政府委員 北海道の航路、特に離島航路が赤字の累積に悩んでおる。これに対して運輸省のほうでいろいろ御心配をいただいておるわけでありまするが、なお現在の制度ではなかなか思うような操業ができないというふうな事情ではございます。したがって、開発庁としましても、何ぶん北海道においては、離島と本土を結ぶ航路というものが非常に重要な役割りになっておりますので、この航路の営業が——営業と申しますか、航路が今後も円滑に運営できまするよう、各種の面で運輸省にお願いをいたしていきたいと思っております。
  112. 泊谷裕夫

    泊谷分科員 時間がございませんので——小熊さん、その、運輸省に要請しているというのは話としてはわかるのですが、どうも具体的になるほどと思うように聞かせていただけないですね。いままで二十六万にしていたものを三十万にしてもらうように折衝中だとか、三十五万にしてもらうとか、そういうことでお話をいただきたいと思うのですが、それは最後の御答弁とあわせて追加していただきたいと思います。  これと似たもので、先ほどお話のありました札幌−留萌線、ここはたいした人口ですね。七万三千もいて、しかもこの沿線についてはいまさら説明の要がないと思うのですが、特にこの全般の工事を進めてもらうということよりも浜益−尻苗、厚田−安瀬間の九キロ、わずか九キロのところはリヤカーも通れない。これが抜けることによって海上運送のほうもだいぶ軽減されるはずです。ことによっては船の世話にならなくても済むのではないかと思われるのですが、ここの部分についてどういうふうに処理されようとしているのかお伺いしたいと思うのです。  それとあわせて、いまやはり小樽から浜益に向かって海上運送をやっておりますが、これと、先ほどの岩内−神恵内間、この運輸省に対する開発庁の働きかけの具体的な内容を聞かしてください。
  113. 小熊清

    ○小熊政府委員 運輸省のほうに海運関係で具体的にどういう要請をしているかということは、ただいまちょっと資料がございませんので申し上げかねます。  もう一つのお尋ねの札幌−留萌線の不通区間でございますが、二級国道の不通区間は、先ほどの小樽−江差線、それから札幌−留萌線、この二路線だけ残っているわけであります。ことに、札幌−留萌間は、各種の水産物その他相当の産業的な要請も高いわけであります。  御指摘の厚田−浜益間は、これは四十三年度までにはぜひとも開通をいたすという心組みで工事をやっているわけでございます。
  114. 泊谷裕夫

    泊谷分科員 これでおしまいにいたしますが、先ほどの九キロ、リヤカーが通れないというのは私の間違いで、これは自動車道路にしてほしいわけなんですが、リヤカーの抜けない十四キロないし十五キロですね、ここの部分はどうでしょう。
  115. 小熊清

    ○小熊政府委員 同じ札幌−留萌線の中で、厚田−浜益間についてはただいま申し上げたようなわけでございますが、もう一カ所、通称雄冬という、浜益−増毛の間のやはり不通個所がございますが、これのほうは、率直に申し上げまして、厚田−浜益間ほど自信をもって抜けるというには、ただいまのところでは申し上げる段階に至っておりません。
  116. 泊谷裕夫

    泊谷分科員 見通しはどうですか。
  117. 小熊清

    ○小熊政府委員 ちょっと何年までというふうに申し上げるまでに至っておりません。
  118. 泊谷裕夫

    泊谷分科員 時間ですから終わります。
  119. 正示啓次郎

    ○正示主査代理 それでは続きまして帆足計君。
  120. 帆足計

    帆足分科員 予算分科会も終わりに近づきまして、予算を審議するにあたりましては天下国家の大局のことも必要ですけれども、私ども庶民として痛感しております小さな問題もまた必要なことでございますから、予算委員会の分科会で問題になりました点、それは党派を越えて、だれが考えてももっともな点を指摘されたという点が多々あることと思いますが、予算委員会が済みましたあとで、やはりそういう要点だけを摘記されまして、そして官房長のところでおまとめになりまして、大臣の座右に置かれまして、今後の改善の参考にし、施行運営上の参考にしていただく、こういうお心がまえでお聞きいただきたいと思うのでございます。  とかく民主政治の基礎が不安定なのは、言うてもしかたがないじゃないかというような気持ちがありまして、そして御答弁はじょうずに答弁してその場のことさえしのげばよろしい、あとは忘れてしまう、こういうことのために貴重な人生を費やすのは、私は意義のないことであると思うのでございます。また、新聞の取り扱いにおきましても、いずれ国会対策委員会で御相談願いたいと思っておりますが、ロンドンタイムズなどにはパーラメント、国会という欄がありまして、英国は年中国会を開いておりますから、スポーツ欄と同じ大きさを大まかな国会の質疑応答のために充てておるのでございます。したがいまして私は、適当な政治経済関係の雑誌などで予算委員会分科会で問題になった点の質疑応答の一覧表ぐらいはおつくりになって、そして議会ではもうこういうことが十分論ぜられておる、一カ月以内に直ちに実行しなくても、この次のまた一年後の通常国会までの期間に政府はこれを研究し、実施すべきは実施される、こういうことになって初めて国会の権威は上がるものと思うのでございます。保守といい革新といい、政治の碁の打ち方には二つあることは当然のことでありますから、責任を持っておられる与党の方においてそのような誠実な御配慮があってこそ民主政治の実が上がるのではあるまいか、こう思う次第でございます。これは予算委員会の共通の問題でありますから、総理に質問し、総理から注意をしていただきたいことと思いますが、たとえ二、三十分にしろ、せっかく御質問申し上げるわけでありますから、ただ茶話で御質問するだけでは意味のないことでありますから、所管大臣としては、私どもの質問に対してどのような心がけでおられるか、伺っておきたいと思います。
  121. 小山長規

    小山国務大臣 ここで応答しましたことは、私どもは、責任をもって、イエスと言ったことは実行しますし、検討すると言っていることは検討するつもりであります。それをどういうふうに発表するかということについてはまだ十分な考え方を持っておりませんが、これは政府全体あるいは党の問題として取り上げてみたい、こう思っております。
  122. 帆足計

    帆足分科員 私は、事、外交上の問題などの大きな問題については、与党、野党の議論が分かれるときには、党の政策を明らかにするために党勢の拡張にそれを使うこともけっこうだと思いますけれども、保健衛生の問題とか、住宅をつくりたいという問題とか、水道の出をよくしたいというような問題とか、そういうようなことは、互いに助け合って世論を喚起し、所管大臣を助けて、そういう隘路を打開していくことが望ましいと思うのです。そうして結局よい国になるし、私ども子供たちは、与党、野党の区別なく同じ小学校で仲よく勉強しておるわけでありますから、その子供たちの前途を考えましても、そういう心組みでいきたいということを痛感しております。  国会では、ほとんどすべてのことが論議し尽くされておりますけれども、二つの欠陥があると思います。一つは、国民にそれが知られていないこと、したがいまして国民は、国会議員の挙動の末梢的なことのみを知って、またそういうことに興味を感じて、やれ歳費が上がったとか、議員会館がりっぱだなあとか、大野伴睦先生は浪花節がうまいとか、そういうようなことに興味を持ちまして——これは政治部の記者諸君にも責任があると思いますが、各予算分科会に順々にわれわれが出ておりますと、みなよく勉強して国民の言わんとするところのものを政府にるる述べておるのであります。政府答弁は新聞に伝えられますけれども、国民の側においてどういう要望があったかということは、質問という名に隠れて、要望ということは、ほとんど新聞もお取り上げにならない。官尊民卑の伝統がジャーナリズムの中にあるが、それも歴史の一こまと思ってがまんしております。  第二の問題は、国民の要望が伝えられないだけではなくて、政府側におきましても、いいことを聞いたというだけで一服の清涼剤として忘れてしまっておる。与党の言うたことも野党の言うたことも、予算委員会の各分科会において述べられたことは記録にとどめて、それが理あることであるならば、できるだけそれに近い程度まで実行しようという熱意がすみずみにまで浸透して初めて、議会というものはけっこうなものだ、議会を通じて日本をよくしようじゃないかということになるのではないかと思うのでございます。どうもその二つの点が不十分である。経済政治関係の雑誌などが分科会における各党の人たちが要望した問題の一覧表をつくって発表するくらいであれば、国民はなるほど自分たちの言わんと欲するところのものはほぼ論じ尽くされており、政府もまたこれを取り上げて、よいことは実施するであろう、こういうことになって初めて価値があるように思うのでございます。  昨日の分科会におきましても、たとえば、小さなことですけれども、テレビの幕間に有効な広告を入れるのは商品経済の知識を国民に知らせ、日進月歩の商品の性質を知らせるためによいことであるけれども、演劇の最中にコマーシャルをみだりに投入して、悲劇ハムレットの荘厳な場面が展開するところに突如としてインスタントラーメンとはこれいかに。(笑声)こういう質問もあった。薬などというものは、どういう点を注意すべきか、万能ではないし、こういう欠点があるけれども、よくきくようになったと発明した人がきちっとした説明でも入れて広告してこそ健康を守るのに役に立つのに、ただ「いいと思うよ」などと言って叫ぶ、わめく。それと一体薬と何の関係があるのか。国民は侮辱を受けながら薬九層倍の薬を買っておる。しかもそれが、映画を見、劇を見ている最中にしばしばあらわれて叫ぶ。これはテレビの暴力であるまいか。以後こういうことを続けるならば、郵政大臣、文部大臣並びに薬関係の厚生大臣の応接間に私はへたり込んで、こういうようなことを繰り返すならばテレビをたたき割ってやるからとまで言うたのでございます。三大臣とも、それはひとつ相談して善処しますということでした。善処されるか、されないか、私は一カ月間様子を見ておりまして、されないとすれば、それぞれの大臣の応接間にお伺いしたい、こう思っておる次第です。私は、そうしてこそ、国民が、議会政治というものは過去の封建政治よりもいいし、軍事ファッショ政権よりもいいということを確信を持つに至るわけでございますから、どうかそのようなお心組みでやっていただきたい。  むしろ私の質問は簡単なことですから、他の質問者の諸君の意見のうち、とるべきものをひとつ勇敢にとって、大臣施策の中に生かしていただきたい、こう思う次第でございます。こういうことは、私はいかに強調しても強調し過ぎることのないことと平素から痛感しておりますから、各分科会においてこのことを述べておる次第であります。  とりあえず限られた時間でお伺いしたい点は、不燃化住宅の問題であります。戦いに破れて東京の町が廃墟になったときに、せめて一人後藤新平伯のような方がおって、都市計画をちゃんとつくって、一条通り、二条通りとつくっていたならば、今日の東京はいにしえの奈良の都のように美しい町になり、東京の町全体が原宿通り、神宮外苑近くのようになっていたであろうと、時期を失したことを、政治に互いに先見の明と責任感が十分でなかったことを残念に思う次第でございます。しかし、終戦直後に社会党内閣も一時連合内閣をつくりまして、そしてその無能を暴露したわけでありますから、いたずらに与党のみを私は責めるわけにいかない。与党も野党も知恵の足らないことは、どうも政治家というものは一般の技術者に比べて一オクターブおくれておるのでないかと、相ともに励まし合わねばならぬ、反省せねばならぬと私は思う次第でございます。  そこで二十年時期がおくれて、いま東京都の改造の必要を痛感しておりますが、名古屋の町は、市長さん、助役さんにすぐれた人物がいて、りっぱな町になりましたが、われわれはまことにこの点ざんきにたえぬと思っておる次第でございます。しかし、これを直すためには、どうしても高層建築、不燃化に進まねばならぬ。都内をもし四階建てにすれば、約半分の土地があくわけです。ワシントンの道路率は三割をこえておると聞いておりますが、ワシントンのような町に、四階建てにすればなし得るわけです。今日の木造建築を私は仮建築とまず考えて、そしてやがて四階建て以上にしていく。そして四十代まではアパートに住むほうが経済的でもあるし、簡素である。ただし、あき地がたくさんあり、母子公園があり、プールがある。子供たちの遊び場がある。とするならば、アパートもまた悪くない。四十四、五になって、土のかおりのある郊外に移り、六十をこえて自家用車を持つようになって、今度はもっと郊外の広々としたところで自然を楽しんで、やがて人生の夕焼けを迎える。こういうような構想があれば、いまでも私はおそくないと思うのです。往年の建築を見ますとたいしたものではありません。こわして惜しいほどの家は幾らもありません。したがいまして、これを仮建築とお考えになって、そしてやがて本建築にぽつぽつ直していく。しかしその直す仕事のためには、どうしても計画性が必要です。しかし計画だけ立てられては、住んでいる人は、どうしていいかわからないで困っているところが多いのですから、その次には事業実施計画を早くおつくりになり、そして住民の過半数の人に納得してもらって、そしてその上は、それが合理的であるという一定の審議会を経たあとは、それを強行する強制力が必要である。  私は、自由ということを尊重することにおいては、自民党の皆さんに、人後に落ちません。自由民主党が、時としては不自由非民主党になることがあり得ることは、これは権力を持っておるためかもしれませんが、社会党もまた非社会政党であってはならぬ。したがいまして、自由党は放らつではありませんから、権利を主張する人は義務を守らねばならぬ。したがいまして、時としては、都市計画断行のためには、進歩的弾圧も必要であろう、こう思うわけでございます。しかし強制力を持つ以上は、同時にそれに対する義務が伴なわなければならぬ。すなわち買収値段が適切であること、計画が適切であり、迅速に実施に移されること、税務上の措置が行なわれなければならぬ。特にこの税務上の措置につきましては、物が金にかわったばかりであるのに、インフレーションのために錯覚を抱かせまして、おまえの家が八百万円で売れた、もうかったな、そうして税金を取り上げようとする衝動に大蔵当局はかられる。ところが八百万円の家は八百万円でありまして、別にもうかったわけではありません。買いかえようとすると、手数料が引かれますから、今度は逆に八百万円の金で六百万円の家しか買えないわけでございます。すなわち強制的に金にかえられたということは、損をしたのであるにかかわらず、おつむの弱いせいか、もうかったような錯覚を官民ともに抱いて、これに重税を課する。私は、こういうことについては、特に強制立ちのき、また都市計画の趣旨に沿うて、みずから改築をしようとする者に対しては、一時的に入手をしたお金をもうかったと考えることは、原則としては錯覚である。物の形態から通貨の形態に変わったものである、こう見ることのほうが正しかろうと思うのでございます。  さらに、都市計画を進めますために、今度はかわりの家をつくらなければならぬ。不燃化建築になりますと、木造建築に比べて二倍ないし三倍のコストがかかる。むべなるかな古代からわれわれの今日に至るまで紙と木の家に住んで、ネズミの巣のような家に住んでおりましたゆえんのものは、これは結局安いからであります。これは、木造建築は実に安いのでございまして、アパートをつくりましても、木造ならば一部屋一万五千円で貸せる。しかるにこれを鉄骨コンクリートにするならば、三万円で貸さなければ引き合わない。これを引き合う値段にするためには、どうしても長期低利資金を提供する以外に道はないのでございます。実に木造建築が鉄筋鉄骨に変わるというのは、生活の民主革命でありまして、木造から鉄筋鉄骨の家に移る者は、非合理的なバーなどで非合理的な飲み方をすべきでなくて、大体すし屋さんでもバーでも値段の書いていないのがざらにあります。かくのごときは一体——これは厚生省の所管か警視庁の所管か知りませんけれども、貧乏なくせに言語道断のみえっ張りでありまして、一個百円くらいもするようなすしはざらにありまして、二十円か十円かと思ってつい入っていきまして、ひょっと上を見上げると値段が書いてない。白木のかおりかぐわしく、これはいいすし屋だなと思いついたときには、時すでにおそし、すし五個食べて七百円も取られた。友だち三人連れていけば二千四、五百円も取られて、すごすごとわが家に帰る。わが家の家内はどうかといえば、大根一本五円安いか、三円安いかということで胸を痛めておる。かくのごとき心がけでは、鉄骨コンクリートづくりに住む値打ちはないのでありまして、飲むときもちゃんとそういうふうに気持ちよく飲んで、切り上げるときはさっぱり切り上げる。そしてその余力をもって木造建築から鉄筋鉄骨コンクリート建築に移らなければならぬ。生活全体の刷新なくして、都市計画を進めるということは、私はできないと思うのです。したがいまして鉄筋鉄骨コンクリートに移るということは、庶民にとっては生活の民主革命でございます。この民主革命を推進するためには、長期の資金が必要でございます。  これらのことについての哲学というか、方法論というか、土性骨が建設省当局においても、都の当局においてもはっきりしておりませんから、薄志弱行の徒輩が都市計画をやっておるのと同じでありまして、色男金と力はなかりけり、こういう手合いが、この時期おくれになった都市の改造をやるのでありますから、百年河清を待つべし、まことにむべなるかなと歎かわしく思う次第でございます。したがいまして私は、河野さんのおるとき、気骨蛮々たるあの人がこのときこそ蛮勇をふるってくれるかと期待しておりましたが、多少は軌道を敷いてくれたものと思いますが、そのあとを受け継がれた新建設大臣におきまして、河野さん以上の蛮勇をふるう意気込みを持たれることを切望するものでございます。そのくらいの意気込みなくしてはこの外科手術をすることはできない。外科手術をしようとする以上は、まず患者をつかまえて納得させて、おかゆを飲ませて、ウイスキーが飲みたいなど言えばどなりつけて、そのかわり輸血の準備もし、ブドウ糖の準備もし、そしてスマートな切開の手術の方法をとる。必要ならばちょっとの麻酔さえも加え。しかるに血の準備もなく、強制力もなく、そして手術している最中に相手がどぶろくを飲むのを取り締まる方法もないようなことで、どうして東京都の手術ができるでしょうか。  いろいろな事例を見るにつけまして、私はただいま申し上げましたようなことを体しまして、いわば都市計画断行戒厳令というぐらいのつもりでなければやれることではありません。自衛隊などという敗戦のエキスパート、卑怯、臆病の、武士の風下にも置けないような連中が、三矢サイダー研究などをつくっても、そんなエネルギーがあるならば、東京都市改造の、クーデターでは困りますけれども東京都市改造のために、ひとつ蛮勇をふるい起こすというようなところへ民族のエネルギーを振り向けていただきたい。三矢サイーダー暗黒グループなどは直ちに任免ちっちょくいたしまして、そして建設省のほうに雇いまして、土木事業にでもそのエネルギーを発揮させたらいかがであろうか、こう思う次第でございます。一国の防衛と戦略を立てるのに、頭の悪い人間を使うことは祖国のために危険でございますが、土木の仕事ならば、よき設計家が監督をすれば、頭の悪い人間でも相当能率をあげさせることはできるわけでございますから、むしろ建設省のほうにお引き取り願って、そして民族のエネルギーを十分発揮させたほうがよかろうなどと思われるような昨今の状況でございます。  さて、こういうことで、お願いいたしたいことは、たとえば一つの例をげたばきアパートにとります。げたばき住宅は、私はよい構想の一つだと思います。たくさんの店がごちゃごちゃしておりますよりは、げたばきアパートをつくりまして、一階には商店をずっと入れる。地階は飲み屋さんなど入れ、二階には料亭などを入れる。ほぼそれで解決つきまして、約倍のまわりにあき地ができるのでございます。そしてその上にアパートをつくる。大体諸外国の状況を見ますと、月給の安い、そして働き盛りの若い人は会社の近所に住んでおりまして、高級生活者は自動車で郊外から通う。日本はその逆になっておりまして、麻布とか青山とかといういいところには、むしろ高級生活者が住みまして、赤貧洗うがごとき、そして朝八時にタイムレコーダーをめざして突進しなければならぬ人たちは、一時間も一時間半も離れたところから押し合いへし合い通勤して、着いたときは、息もほとほとの体になっておる。これもひとつおかしな現象であると思います。したがいまして、げたばきアパートをつくりまして、そうして朝早く出勤せねばならぬような人たちは、会社、工場に近いところに住み、そして若いころはアパートに住み、年をとってから土の香に親しむところに住む。若いときは土の香に親しまなくとも、若いときには女性の香に親しむこともできますから、それも私は悪くないと思うのであります。  したがいまして、そのときに、しからば今日どうなっておるかというと、まことに建設省指導はけちでありまして、アパートのほうの部分は最高十三万五千円ぐらいの建築費になっておるでしょう。そして九階建て、最近はそれ以上許すようになりつつあることはいいことですけれども、九階建てをつくりますと、下のほうの商店の諸君が、まず三階までを商店街で占める。そうしますと三階ないし四階ならば坪十四、五万でできる商店街が、上にげたばきアパートをつくりますために、坪当たりの単価は、今日では十七万円ぐらいになると思います。その差額の二、三万円というものは、上にアパートを背負ったために、それだけ余分に、いわゆる上をささえるために、頑強な建築にせねばならぬために、コストが上がるのでございます。しかるに建設省当局の考えでは、公団に命じて、とにかく十三万五千円ぎりぎりの線がございます。上は台所もつき、ふすまもつき、畳もつき、床の間もついて十三万五千円、下は自動車の車庫のようにがらんとしたままで十七万円かかる、こういう不合理ができるのでございます。そこで、下に対しては権利金を通常若干払っておりますが、それは地主に対する権利金でございます。下部の支柱が、非常に重くなりますためにおそらく坪二万円ぐらい余分にかかるであろうと思いますが、それに対する分担をする余地がありません。私は大衆のアパートをコストを高くしないために十三万何千円で押えている事情は了といたしますけれども、それならばそれで、下に対する助成金——権利金でないものを権利金といって払っているわけであります。すなわち、下部のコスト高分担金に当たるものを含めて権利金とかを払っている。それならば下部に一千万円かかったとするならば、そのうちの七百万円は下部の分担金である、三百万円が純粋の、税理上からいえば純粋の土地に対する権利金である。少ないけれどもがまんしてくれというならば話はわかるのでありますけれども、どうも筋の通らぬことが行なわれている。したがいまして、下に与える一千万円は権利金でありますから、税務署はこれに仮借なく税金をかけてくる、三分の一は税金に取られてしまう、こういう状況でございます。したがいまして、私は、過渡期の措置といたしましても、これは税務署にも話したのですが、これは権利金でなくて、少なくとも半分は下部分担金として税務上取り扱ってくれ、政府としては十三万何がしというアパート部分のコストを高くすることは法規上できないから、権利金というなまえで払っておるけれども、その実態は今日ではすでに下部分担金という部分もあるのでありますから、もらうほうの側で、税務署と相談して、緩急よろしきを調節し得るようにして、そうして相談あられたいという親心があってしかるべきなのに、実際はそのような状況でして、そこで公団、公社などによく融資をしてやるといいますけれども、融資をしてやるのではなくして、融資をわずかながらいたしますが、その融資もまるがかえではなくて、ほんのガールフレンドにおこるぐらいの融資でありまして、そしてあなたのほうにおろさせていただきますから、ありがとうございます。建てさせていただきますというべきものを、建ててやるかというような態度で、法規上一方的に上に乗っかるようになっております。公団の総裁は達識のある方でありますから、常識豊かで、近ごろは非常に親切にしてくださっているという声が高いことは満足でありますけれども、しかしそういう法規上の無理がありまして、偽わりのことが行なわれておる。すなわち金を貸しますにあたりましても、六、七割の金を貸すだけでございます。六、七割の低利資金を借りたいばかりに、げたばきアパートなどをつくりましたときは、上に九階建てのものを背負い、そのために坪当たりコストは二万円ぐらい高くなり、権利金というお仕着せがましいことを言うて金をもらったと思うと、実際は下部分担金に当たらぬくらいの金額をもらっている、こういう事情をひとつお含みくださいまして、さっそく税務署と交渉して税務上の取り扱いに対して無理はないかということを検討願いたいと思うのでございます。
  123. 正示啓次郎

    ○正示主査代理 帆足委員、結論にお入りください。
  124. 帆足計

    帆足分科員 ちょっとそのことだけ答えていただきましょう。
  125. 尚明

    ○尚政府委員 私も実は不勉強で、その権利金等で支払うということのできるようにはしてございますが、それが税との関係でどうなっているかということにつきましては、詳細によくわかりませんので、調べまして、もしそういうことがございましたら、おっしゃられるように、確かに下の工事費は実用を越えて上に住宅が乗るために、いろいろ柱等が太くなり、経費がかかることはよく承知しておりますので、そういう点に不合理な点がありましたら、いまお話がございましたような措置の方向に解決をはかりたいと思います。
  126. 帆足計

    帆足分科員 まことに善意にあふるる御答弁をいただきまして、それはげたばきアパートの数はたいへんな数で、この点が解決すればアパートも喜び、公団も喜び、税務署も別に嘆き悲しむほどの数量ではありません。ただ、これしものことも御存じなかったというのは、外科医としては不行き届きだと思うのです。輸血するにいたしましても、血液の種類にはA型、AB型、B型、いろいろある。白血病の患者の血液でも注射したらたいへんなことになる。ちょうどそれと同じような、これはやはり手術に伴う細心の考慮、手術をするときは血圧をはかったり脈をはかったりするわけです。げたばきアパートをつくろうとする商人たちの血圧をはかったり脈をはかったりするくらいの親切は私は望ましいと思う。大事を行なわんとする者は、小事に対して慎重でなければ大きなことはできないわけでございますから、小さなことに心配りを願うということを切にお願いいたします。ただいまの御答弁をもってこの質問は大成功と思いまして、かりに新聞に載らずとも、いま全国何百というアパートを進めておる人たちにとっては一大朗報であると確信して感謝する次第です。  次に、病院の質問ですけれども、病院に対しては建設省が直接の指導をしていないように伺っておりますが、しかし近ごろ必要に迫られてあちらこちらに病院ができます。改築、新築が行なわれます。しかし行ってみますと、冷暖房のある病院というのはごくわずかでございます。特に郊外のお百姓さん相手の病院、勤労者相手の病院などは実に粗末なバラック、規模は大きいけれども粗末な状況でございます。今日の健康保険の制度に縛られまして、病院をつくりますと、病院をつくったときの借金を払う、その借金も多少の免除はありますけれども利益金処分となっておるかのように聞いておりますので、その病院が自分の病院の完全な所有になりますまでは、看護婦さん、病院の従業員は低賃金に甘んじねばならぬ。病院の祝賀会の日は白衣のナイチンゲールが涙をこぼすなどというようなことでは困るのでございます。同時に、金がないために粗末な病院をつくっている。ごく恵まれた場所は厚生年金などをもらっておりますが、その返済期間も私はそれほど、鉄筋、鉄骨、コンクリートにふさわしいほど長期でないように聞いております。どうしても今後の病院は鉄骨、コンクリート建てで、冷暖房は必要であると思います。そうだとすれば、どうしても三十年ないし五十年年賦の資金を出してあげることが必要である。しかもそれは必ず戻る金でございますから、危険性のない金でございます。できました病院は院長さんの昼寝の場所ではなくて、患者さんみなが使う、今日ではすべての病院は赤十字病院と同じでございますから、これに対して長期の資金が必要であろう。でないと、せっかく病院が建ちましても、またバラックで、そして燃えやすい建物だ、そういう病院については再考慮しなければならぬ気がしますから、ひとつ病院その他社会福祉関係の建築につきまして、建設省は厚生省と相談して、注意を向けていただきたいということをお願いいたします。これは今後の研究課題でございましょうから、至急研究に着手していただきたいということです。ちょっと御答弁をいただきたい。
  127. 小山長規

    小山国務大臣 おっしゃるとおりのことがあると思いますが、問題はそういう完備した病院を一つつくるのか、あるいはたくさんの要求のある中をできるだけ充足するようにいまの制度でいくのか、こういうジレンマがあるわけであります。そういう意味で、いま医療公庫の資金もわずかなことでありますので、よりよい設備をつくろうとする人は自己資金を少しよけい利用してもらいたいという趣旨で、ああいうふうになっていると思いますが、なお、これは国の財政資金の総量とそれから病院ばかりでなく、住宅もしかりでありますけれども、それに対する需要の総量、その場合に、よいものを少なくつくったほうがよいのか、あるいは多少まずくてもたくさんつくって需要を充足したほうがいいのかというジレンマの解決の問題でありますので、これを総合的に考えなければならぬと思います。
  128. 正示啓次郎

    ○正示主査代理 帆足君、時間が経過いたしましたから、お急ぎください。
  129. 帆足計

    帆足分科員 金融に対して若干の統制が現在行なわれておることは御承知のとおりです。統制は望ましいことではありませんけれども、国民が困っておるときには必要にして、不可欠なことでしょう。だとすれば、キャバレーだとかその他つまらないほうにたいへんな金が流れておりますが、そういうようなことを節約されて、病院だけは大小なく、長期の資金で建て直していけるような病院にしてもらいたい。先般も私人間ドックで第一国立病院に入りましたけれども、戦争の末期に、われわれは戦争を早く終結するということを希望して刑務所に入れられておりました。その刑務所の病院に入ったときのことを思い出して、たいへんなつかしかったのですけれども、二十五年前の刑務所を思い出すような国立病院ではまことに心寒いことだと思いますから、ぜひ総合的に検討していただきたい。これをひとつ書きとめておいてください。これは厚生省と相談いたしまして、もう少し長期にして、そして時勢に即応した病院ができるようにしてもらいたい。というのは、自己資金ということを大臣はおっしゃられましたけれども、いま病院は健康保険に縛られて大騒動で、自己資金どころではない。看護婦さんに払う金がなくて、看護婦さんが払底している状況です。今後お医者さんが個人的に生活が楽になるということはない。だとすたば、病院をつくるときには良心的病院ができるように、病院には長期資金を提供するということを建設省としては厚生省と相談していただきたい。  最後に、公団アパートがたくさんできますが、建築は非常にへたくそです。趣味が劣悪です。貧しい人、働く低所得者相手であるから趣味が悪くてよいということにはならないでしょう。低所得者であり、コストが安くても、よい趣味の住宅をつくることができます。住宅公団の九段の建物はすばらしくよくできております。自分建物だけりっぱなものにして、そして公団などの一般の庶民の入る住宅はどうでもよろしいということではなかろうと思います。  私はキューバに行きましたが、キューバのアパートの美しいのに驚きました。画一的でなくて、あるものは向こうを向き、あるものはまたそれと美的な対角線をなして、ほかの方向を向いておる間に適当に公園がある、カフェテリア、音楽堂がある、さらに適当な機会に集会室、読書室などの風雅なものをつくるために、あき地がまだ残してありますが、それは将来財政が豊かになってから美観を添えるための建築にしたいということでした。そのアパートを見ましたソビエトのミコヤンがびっくりしまして、君たちはこんなにぜいたくをしているなら、われわれもあまり経済援助をするわけにいかぬということを言ったとか言わぬとか、そういう茶飲み話を聞きました。それに対してフィデル・カストロは、キューバ国民は名古屋コーチンではありません、白色レグホンでもありません、したがって、バッテリー式の鶏小屋のような建物はわれわれの好まざるところ、たとえ半年おくれても、われわれはあたたかい血が通っている、そしてそこで愛の営みの行なわれる巣をつくりたい、したがって、ミコヤンさんのお気に召さぬかもしれぬけれども、われわれキューバの人民はエレガントな人民であって、人生の生きがいというものを感ずる国民でありますから、モスクワのドライなアパートとはちょっと違う風雅なアパートをつくりました。こういうふうに答えたそうです。これはエピソードでありますから、そのとおりであったかどうかは存じませんけれども、私はキューバの美しい風景を見ながら、さもありなん、キューバ音楽のパチャンガ、マンボ、チャ・チャ・チャを聞きながら、かくてこそと思って聞いた次第でございます。  さて敷島の大和の国といわれる日本のこの国の現状で、家はブタ小屋のようなものを建てさえすればよいというものではないでしょう。東京都民は、貧しきものは白色レグホンとでもいうのでしょうか。そこで卵を二つ産めばよいとでもいうのでしょうか。私はそうではないと思うのです。だとするならば、乏しいさいふの間からでも、卓越した若い建築家がおるわけですから、もう少し創意くふうしていただいて、ふすまの色から床の間に至るまで心を注いでもらいたい。先日、ある公団を見ましたら、床の間が何とビニールでできているのです。ビニールの床の間なんというものはあまり感心しません。しかし今日ビニール製品でも、木目の入った、ほとんど木材と変わりはなく、風雅な新民芸ともいうべき製品もできておりますから、そういうもので値段の高くない方法を考えることも可能であろう。色彩などは、安いペンキでも、色次第ですから、これは結局センスと頭の問題です。庶民を軽べつしないでいただきたいと思います。これはコストもたいしてかかっていない、確かに安い建物だ、しかしよく心は配ってある、こう建設大臣がほめられるような、あなたが御満足なさるような建物にすく、現在のドライな公団をもう少し風雅にするために、敷島の大和の国にふさわしいものにするために、再検討願いたい。  それからあき地です。あき地は、建てっぱなしだけじゃなくて、多少の指導をしておることは聞いておりますけれども、ほとんど指導しておりません。キューバでは、あき地は家の一部と心得よということで、あき地には相当の経費をかけております。そしてまた、入った人から若干の金もとっております。というのは、公団一つ当選して入ると、大体換算すると百万円の富くじに当たったと同じです。百万円ですよ。ですから入った人からも月に五十円でも百円でもとって、協同組合をつくって庭をよくするように、個々ばらばらにかってなものをしろうとが植えるのでなくて、やはりそこの区役所なり適切な機関指導して、そして種を安く分配するなら、種はネズミ算でふえますから、あっせんされれば、公団同士の交換だけでも、たとえばフヨウの花などは、苗は買わなくとも、三年で大きくなる、一本のフヨウから数千の種がこぼれ落ちます。もう終わりますから……。
  130. 正示啓次郎

    ○正示主査代理 どうぞお願いいたします。時間をひとつお守りください。
  131. 帆足計

    帆足分科員 委員長、もう終わったらよさそうにという表情をなさらなくてもけっこうです。(笑声)  たとえばヤマブキでも、実の一つだになきぞ悲しきといいますけれども、白ヤマブキには実がたくさんなりまして、もう庭一ぱい苗がはえます。ですから品種の選び方によって、ある公団は一面にコスモスを植え、コスモスの公団、ある公団にはオシロイバナを植える。ある公団には何千本というフヨウを植える。ある公団には何万本というヤマブキの花を植える。子供のときから情操を養い、そしてあの幾つから幾つまで住んだ公団は楽しかった、そういうような公団にするために、庭にもっと力を注いでいただいて、同時にある特定の場所にはあき地をつくって、そして簡易図書館をつくるなり、何か少し変わった趣向のことも考え得るぐらいの余地を残していただきたい。  われわれはもはや敗戦国ではありません。もはや世界有数の独立国、鉄鋼四千トン、世界第三位の鉄鋼生産国です。戦前の最高の鉄の産額は七百万トン、   〔正示主査代理退席、主査着席〕 しかるにいまは四千万トンです。四千万トンの鉄をつくっておるこの国が、どうしてこのように貧弱なきたない町に住まねばならぬ理由があるでしょうか。これはわれわれも含めて政治家の共同責任でないでしょうか。だとするならば、公団をつくられる課長さん、局長さんはどなたか知りませんけれども、もう少し芸術に関する、また民芸に関する本でもお読みくださって、風雅な心でもう一ぺんこの設計をごらんになって、そしてペンキの色一つに至るまで心を注いでもらいたい。同時に庭に対して心を注いでいただきたい。また住む人に対しても若干の義務を課していただきたい。これを聞かないやつがあるなら、社会党も応援しますよ。進歩的弾圧を加えてもいいくらいだと思っております。もちろんこれは形容詞でありまして、人民に弾圧などみだりに加えるべきものではありませんけれども、そのくらいの覚悟で、そういうよいことであるならば超党派的にやれると思うのです。  きょうの分科会における私どもの発言を契機として公団のあり方というものを——金はないけれども、美しい生活をすることは可能なはずです。どうぞひとつお心にとめていただくことをお願いいたします。  時間が超過いたしまして…………。
  132. 小山長規

    小山国務大臣 いま帆足さんは非常にいいことを言っていただいたと思います。公団に入る者は百万円の値打ちがある、確かに私ども見て歩きまして、民間の借家住まいをしている人と比べてはるかに恵まれているという感じがするわけであります。そういう意味では入る人もやはり自分たちは恵まれておるんだという認識を持っていただきたいとかねがね思っておりましたが、帆足さんから非常に激励のことばをいただいて、私も勇気を得たわけであります。  それから、そのもののつくり方、これもおっしゃるとおりでございまして、創意くふうをすれば、住みよい、あるいは見た目によろしいきれいなものが同じ経費でできるはずでありますから、公団当局にも住宅当局にも命じまして、そういう方向に進めたいと思います。  特に花のごときはおっしゃるとおりで、情操の面からいいましても大事なことであります。ところが最近公団では、そういう花壇をつくろうといいますと、それを自動車の車庫にしろという動きがありますから、これまた与野党の御協力で、自動車の車庫をつくるよりもひとつ花壇をつくろうじゃないか、こういう運動に進めていただきたいものだ、こう思う次第であります。
  133. 今松治郎

    ○今松主査 たいへんおそくなりまして、御質問の方にも当局にもお気の毒でありますが、引き続いてもう一人だけやりたいと思います。玉置一徳君。
  134. 玉置一徳

    玉置分科員 簡潔にやるために問題を直截簡明にお伺したいと思います。  まず第一点は、河床の低下に伴いまして、在来の農業用水が取り入れ不可能になるという問題について御質問申し上げたいと思うのです。私の近くに淀川の支流と申しますか、木津川があるわけですが、こういった川の状況は全国に十数本あるのではないか、かように思っております。非常に荒れる川でございますので、洪水が参ります場合は上流部から相当の土砂を流してくるわけでありますが、幸いここ近年洪水はございません。大阪の近郊の公共事業をまかなうために土砂を採取しなければならないわけでありまして、日本ではここ二、三本の禁止の河川もできましたけれども、これを禁止することは事実上とうていでき得ないところでございます。  かような意味におきまして、近来一メートル五〇近く低下いたしましたのですから、在来自然の取り入れ口でもって水をまかなっておりました三万数千町歩の田畑が、樋管が干上がりまして全然取り入れることができないわけであります。これの河床の安定という問題につきまして、近畿地建並びに淀川工事事務所に私はここ数年来再三お願いに参っておったのでありますが、いずれにいたしましても技術班が技術的に考えなければならない問題でございますので、一挙に幾らという答えは出ませんですから、お願いを申し上げたまま、またその責任者がどんどんおかわりになるものでございますので、そのままになっておったような次第でございます。最近いよいよ農家の方々が水の取り入れができませんので、農業系統の国庫補助五割五分ないし六割ぐらいで、はるかな上流部から堰堤をつくりまして持ってくる、十七、八億、ないし、いまだったら事実上は二十億くらいかかるんじゃないか。いずれにいたしましても、四割は地方公共団体及び農家自体にかかってくるわけで、現在の想定では二割は農家にかかるんじゃないか。二割ないし二割五分といたしますと、十五年年賦で、低利資金と申しましても、それは四割ないし五割に事実上なるわけでございます。  そこで、私が質問を申し上げたいと思いますのは、農家の方々が田畑に土盛りをしたのではなく河床が下がったのだから、農家にしてみればこれほど迷惑な話はないと思います。ただ府県庁もしくは近畿農政局なんかで、対策上これは案を立てて土地改良を申し上げ、お百姓に説明をしておるというようなぐあいでございまして、おそらく愛知用水の二の舞いを演ずるんじゃないか。つまりっくることはつくりましたけれども、農家は払うことができないんじゃないかというふうに考えております。これは例を木津川にとっただけでございまして、実は全国的に、私一回建設省調査をお願いしましたところ、十数本たしかあったと記憶いたしております。  さきに私は木津川、宇治川というような大河川の堤防に囲まれております内水の問題につきましてずいぶんお願いを申し上げ、当時の河川局次長でございました鮎川さん、その他建設省の皆さんの非常な御配慮によりまして、昭和三十七年度からああいう排水を公共事業でも扱うという道を開いていただいたわけでありますが、農家に喜んでもらえるかと思っておりましたが、それからは干ばつばかり続いておりまして、今度は河床がぐんぐん下がるものですから、そんなことよりも、水を入れるほうを考えてくれぬと何にもならぬとおしかりを受けておるわけであります。  それでいよいよ結論に入ってまいりますと、こういった河床低下のために、自然の取り入れ口であった樋管が上がり、農家の方々が大被害を受けておるという場合には、砂利採取費用も入っておることだから、京都府の問題もありましょうけれども、どちらにいたしましても不特定多数の方々だということにいたしまして、管理者がやはり床どめをする必要があるんじゃないか、こう思うわけでございますが、建設省といたしましては、こういった被害に対しましてどのような、責任ということばは非常に強うございましてちょっと語弊がございますけれども、そういうものがあるかどうか、こういう問題につきましてお答えをいただきたいと思います。
  135. 上田稔

    ○上田政府委員 お答えを申し上げます。  先生はいま木津川を例におとりになりましたので、木津川のような川について申し上げたいと思います。  木津川は御承知のように非常に荒れておりまして、上流の山岳地帯から土砂が非常に出てきておる。したがいまして、上流のほうに砂防を非常に多くやりまして、そうして山を治めていったわけでございます。そして河状を見ますと、木津川の河状は、何といいますか、高水敷低水路敷というような整々とした河状をいたしておりませんで、全川にわたっていままでのところは砂原になっておりまして、高いところも低いところもなく、一つの平面的河床を呈しておったわけでございます。こういうような川でございますと、さらに上流から砂が出てきて、河床というものはだんだんむしろ上がっていって、そうして天井川になる。しかもそれは平面的になっておりますが、幾ぶん低いところ、これが低水路になりまして、夏には低水流量がそこを流れるわけでございますが、それが堤防に寄っておりますところ、その堤防はもちろん下のほうはいま言いました堆積した土砂から——土砂といいますか、砂利と砂からほとんどなっておりますので、水が浸透して、そうしてちょっと水位が上がりますと、堤内地のほうへ水をふいてくる、そして非常に住民が不安を感ずる、こういうような形に木津川はあったわけでございます。これが幸いにして最近あまり大きな出水がないということ、それから砂防の進捗があるということ、そのほか砂利もとっておられますが、そういったようなことから、どれが原因だということははっきり申し上げませんが、そういうものがかたまって、だんだんと高水敷低水路敷のものが現在形成されつつあります。そうして先ほど言いましたような浸透水によって堤内地に水がふいておりましたことを心配いたしまして、洪水のときにそこからぽこんと大きな穴があきますとたいへんなことになりますので、それを防ぐために、護岸に非常に力を入れておりまして、特に浸透水を防ぐために鉄矢板を根深く入れているわけでございます。したがいまして、いまの高水敷と低水路敷の高かったものが一・五メートルくらい下がって低水路敷になった。こういうことで、いまのところは一応護岸が非常にやられるという心配が幾ぶんないわけでございます。また橋梁の根入れはどうかということでございますが、橋梁の根入れはそんなに深くまで入れてありませんので、こういう点がやはり心配がございます。したがいまして、幾らでも掘れたら掘っていいのじゃないかというわけにはいかないと思います。したがいまして先生がいまおっしゃいましたような河床をある程度維持するという考え方を出さなければいけないということで、現在調査をいたしておるわけでございますが、この木津川の河床をどういうふうに維持していくか、高さの点についても、また床どめをつくる位置とそれから深さ、そういったものをいま研究をしておるところでございます。それで非常に農民の方々は水が取りにくくなって困っておられるわけでございますが、一面からいいますと、洪水の点では幾ぶん楽になっておるということでございます。それで床どめは全川にわたるか、あるいはどこかに少し高いものをつくってそれでとめるか、その辺はいまのところ決定はいたしておりません。
  136. 玉置一徳

    玉置分科員 私もしばしばお願いに参りましたときも、川の容積が大きくなるのであるからといわれる。そのこと自体はけっこうでございますけれども、数万町歩に及ぶ農家の方々が水が一切取り入れられない。こういうことで、ことにいま上田局長もお話しになりましたとおり、底でツーツーに水が行き来しておるものですから、いままでは非常にふいたところが多かったのが、今度は河床が低下したものですから、からからになりまして、少々水をポンプで入れたくらいでは、みそこしのように水がしみ通ってしまってたまらない。それだけに被害も大きいように思うのです。ことに木津川の低下いたしますにつきましては、川の水だけではなしに、たんぼの水だけでなしに、井戸水その他も相当著しいあれをきたしておりまして、簡易水道の布設にとりあえずあわてているというのが現状でございます。そこで調査をお命じになり、やっていただいておるように伺いましたので、それは早くやっていただかなければならぬわけですが、次と関連して御質問申し上げたいと思うのです。  農家の方々は、一メートル五十くらい平均してずっとおしなべて低下したものですから、しかも河床勾配がそうあるわけじゃございませんから、近くで、どこかで水をとってくることができません。そういうような川になっておるものですから、やむを得ず農林省の系統で、先ほど申しましたような代替工事をやろうということでありますが、この代替工事の場合に、六割の上へ地元負担分四割を建設省がつけられるかどうかということなんです。こういう研究をしましたが、事実上日本の財政の方式で、他省の上につけ加えるということは、いままでやったことはございませんでしょうから、おそらく不可能に近い、こう思うのですが、いずれにいたしましても、農家は大被害をこうむっておることは事実でございます。私は先日も農林大臣にお願いしておったのですけれども建設省に合議していることは事実なんです。京都府が三十一日までは河川管理者であるかわかりませんが、その他の関連で、まず枚方工事事務所には合議をし、近畿地建に合議をしてきょうまで調査をしておるわけでございます。その場合、やはり建設省としては、私のほうも考えなければならぬ問題だというので、床どめ堰堤をどこどこにしようと思っているのだというようなことがあれば、上田局長も御存じのとおり三本ほど樋管がございますが、その一番上流部のところで堰堤を掘り込むことが可能であり、しかも非常にいいことだということになれば、それから後の水路の引っぱりは、農家のほうの負担でやっていいのじゃないか。農林省には、農林大臣にお願いしておったのは、その際すら、こういう農家がこれから何かやろうというのじゃなしに、こちらの管理上の関係で、これは私は農林省にも言っておったのですが、不作為の罪であって、作為の罪じゃないのですから、責任といったってそういう点にお考えいただきたいのですが、農林省の補助率を上げるというように考えなければいかぬ。ましていわんや建設省では、堰堤を掘り込んであげるというようなことを考えなければ、建設省も悪くないのだ、だれも悪くないのだといったら、この点は農家だけがどえらい目にあっておるということは事実だと思うのです。そういう点で、先ほど申しました農林省の六割補助の上に、四割建設省が土持ちするということは、事実上できぬと思いますけれども、堰堤の土持ちが可能であれば、調査の上、向こうも調査中でございますので、一緒に考えてあげる、木津川だけの問題じゃなしに、各河川が同じだと思います。少なくともそういう数万町歩に及ぶような、木津川沿岸全体に及ぶような場合には、建設省も何らかの手を加えていくのがほんとうじゃないか、こう思うのですが、どうでございましょうか。
  137. 上田稔

    ○上田政府委員 ただいま申し上げました床どめを計画いたしました位置が、ちょうど農業のほうで取水をされるせきの位置と一致をするというような場合におきましては、合併施行するということは可能でございます。
  138. 玉置一徳

    玉置分科員 先般分科会におきまして農林大臣に、将来ともこういう問題が相当起こるはずなんだから、建設省と合議をされて、すみやかにこういった問題の処置をしてもらいたいということを善処を要望しておりました。その際おいでいただいた各議員は、主査をはじめ、ほんとうのことだからこれはひとつ農林大臣建設大臣にお願いして、すみやかにそういう問題について相ともに、原因者でない、被害者は農家でありますので、被害者を救済するために、両方で考えられる方法を考えてやってほしいということをお願いしましたところ、大臣も、建設大臣のほうへなるべく早く御相談を申し上げることにいたします。こういうようにおっしゃっていただいておったわけでありますが、建設大臣のほうでも農林大臣と御合議いただきまして、そういった問題の救済のために善処方をお願いを申し上げたい、かように思います。
  139. 小山長規

    小山国務大臣 その点、あちらこちらで同じような問題がありますから、農林省と十分打ち合わせをしまして、合併施行できるところはできるだけ合併施行する、こういうようにいたしたいと思います。
  140. 玉置一徳

    玉置分科員 それから、風致地区の景観をいかにして保存するかという問題でございますが、先般京都の駅前のタワー、奈良の県庁、鎌倉の問題その他で、このごろ風致保存の気風が一般に非常に高まってきたわけでございます。京都の古都あるいは奈良あるいは鎌倉、こういったゆかしい文化の歴史をそのまま保存をしたい、こういうことでありますが、御承知の産業開発その他住宅開発等で、こういうものがどんどんこわされてまいっております。これにつきまして法律としては、文部省関係の文化財保護法の委員会でも私お願いしておったのですが、建設省関係としまして都市計画法、都市公園法、建築基準法、屋外広告物法、土地収用法、土地区画整理法、都市の樹木保存法、こういうようにたくさんの法律がございます。このほかに、大臣の御所管の関係になります首都圏及び近畿圏の整備法があるわけであります。これとまた関連いたしまして京都国際文化観光都市建設法、奈良国際文化観光都市建設法、こういうように幾らもございますけれども、文化財保護法その他はいずれも点と線でございまして、文化財そのものをどうするという法律であり、その他の問題は、財政が伴わないために事実上実施が困難なものもたくさんあるわけです。  そこで、都市計画法第十条第二項でございますが、「都市計画区域内二於テハ建築基準法二依ル地域及地区ノ外土地ノ状況二依リ必要ト認ムルトキハ風致又は風紀ノ維持ノ為特二地区ヲ指定スルコトヲ得」こういうようになっておりますが、私の伺っておるのには、あまりに指定した事実がないわけです。こういう指定された事実があるか、もしくはあったとすれば、効果はどうなのか、なかなか指定ができ得ないとすれば、でき得なかったのはどんな理由か、こういうことにつきまして当局からの御説明をいただきたいと思います。
  141. 鮎川幸雄

    ○鮎川政府委員 ただいまお話がございましたように、都市計画法の十条によりまして、風致地区を指定することができることになっておりますが、この風致地区は現在百七十八都市において指定いたしておりまして、十一万四千五百ヘクタールの地区について指定をしております。これにつきまして、ただいまお話がございましたように、この保存の状況はどうかという御指摘かと思いますが、最近におきまして特に大都市周辺におきましては風致地区によりますいろいろな規制がございますが、規制に対する許認可の申請の件数等も相当出てきておりますし、またその一部におきましては、規制外の行為というか、違反行為も若干出てきておるような状況でございます。これにつきましては、各県とかあるいは市で規則を設けておるわけでございますが、その規則によって十分取り締まりをいたしておるわけでございます。特に現在のところは、運用面において十分その規制を強化するというようなことで考えておるわけでございます。
  142. 玉置一徳

    玉置分科員 各府県の規則でございますが、何か罰則は二千円というのがこの規則でございましょう。
  143. 鮎川幸雄

    ○鮎川政府委員 風致地区に対する規則は、都市計画法関係では規則に対する罰則はないわけでございまして、都市計画法に基づきまして、規則を設けることができることになっております。これに対しましての罰則は、地方自治法の規則に対する行政罰として二千円の過料を取ることができるようになっておるわけでございます。
  144. 玉置一徳

    玉置分科員 これも事実上わずかに二千円ぐらいしか——なかなか上げることが法体系上でき得ないように伺っておるわけでありまして、今日二千円ということであります。風致地区が坪当たり単価が非常に上がっていることでありましょうし、事実上むちゃをされた場合に押しまくられてしまうというような点も非常に多いらしいというように聞いておるのですが、なお、京都国際文化観光都市建設法第三条に、「京都国際文化観光都市の区域内において、文化観光資源又は文化観光施設の維持保存のために、文化観光保存地区を指定することができる。」こういうのがございます。その第三項には、「京都市は、条例の定めるところにより文化観光保存地区の区域内における工作物の新築、改築、増築若しくは除却、土地の形質の変更、竹木土石の類の採取その他文化観光資源又は文化観光施設の維持保存に著しい影響を及ぼす虞のある行為を禁止し、又は制限することができる。この場合において、その禁止又は制限によって損害を受けた者に対しては、京都市は、通常生ずべき損害を補償しなければならない。」こういうようになっておるわけでして、ほんとうにやる気だったら、かなり実効をあげるような規定にはなっておるのですが、補償ができ得ない。金の関係、財政の関係で、この規制の指定をいまだ行なっていないというのが実情だと思います。結局鎌倉の市長の申し出によって、京都市長もあるいは奈良市長も、全国的に国で買い取ってもらうようなところへ持っていかなければ、地方でこういうものをつくるようには定めていただいておるけれども、遺憾ながら財政の関係でどうとも手につかないというのが実情だから、ぜひともお願いを申し上げたいというのがこの三都市の皆さんのお考えであり、そこで、そうなりますと近畿圏整備法でございますが、大臣近畿圏整備本部長をやっていただいておるわけでございますが、第十四条の「内閣総理大臣は、近畿圏の地域内において文化財を保存し、緑地を保全し、又は観光資源を保全し、若しくは開発する必要があると認める区域を保全区域として指定することができる。」その第三項に、「保全区域の整備に関し特別の措置を要するときは、別に法律で定める」こういうようになっておるわけですが、この法律の「別に定める。」とありますが、おつくりになる御決意があるかどうか、あるいはそれはいつごろか、そして、その内容は、これは当局のほうでけっこうでありますが、ほぼどういうようなことを意図されておるのか、前段を大臣にお願いし、後段を次長にお願いしたいと思います。
  145. 小山長規

    小山国務大臣 この法律では、別に法律で定めるということになっておるわけでありますが、問題はどの程度計画予算というものを見ればいいかという問題がございますので、財政当局の意向などもありましょうし、いま事務当局でその検討を進めておる最中で、まだ十分な成案はございません。
  146. 町田充

    ○町田政府委員 近畿圏整備法に基づきまして、私どもの手元で現在保全区域の指定を準備中でございます。これは観光資源あるいは文化財、こういうものを保全するための必要な区域あるいは国立公園、国定公園に現在指定されておりますような地域、こういうところを中心にして指定をするように準備をいたしております。ただ、区域がなかなか広うございますので、こういった全域にわたって適切な手を加えることはなかなかむずかしいかと思いますので、その中でも特に重点を置きまして保全しなければならぬ地域、こういうところに対しましては、現在あります諸法律を積極的に活用してまいることが先決問題かと思いますが、なお、現在の法制では足らない点、特に、文化財そのものの保全というよりも、文化財を取り巻く環境の保全の措置が十全でないように思われますので、そういった問題について特に研究を進めておりますが、地元の御苦労を伺いますと、その周辺土地を買い上げてほしいという要望が圧倒的に強いのでございますけれども、そういった土地を一括買い上げることにつきましては財政上の問題もございますので、われわれ事務当局で考えます案といたしましては、せいぜい私人間で売買が行われようというような場合に、先買い制度を活用して国なり地方公共団体先買い権を行使するとか、あるいは所有権を取得するまでもないという場合には、一定の行為を制限をして使用権を設定する、そういった権利制限を加えていく。しかし、これにいたしましても何ほどかの損失補償というような問題も関連してまいりますので、そこら財政的な措置との関連ということで鋭意検討をいたしておる段階でございます。
  147. 玉置一徳

    玉置分科員 それは近畿圏整備法の関係で保全区域の条項でおやりになるか、あるいはその他特別立法でおやりになるつもりか。それから近畿圏整備法でおやりになる場合には、鎌倉は首都圏整備法の改正の場合に、保全地区として、近畿圏と同じような形のものを新しくおつくりになるかどうか。この点を当局からひとつ。
  148. 町田充

    ○町田政府委員 近畿圏整備法で規定いたしておりますのは、近畿圏の中におきます保全区域にわたる必要な措置を別に法律で定める、こうなっておりますが、鎌倉というふうな問題は当然出てまいりますので、単に近畿圏だけではなしに全国的な問題でもございますので、どういう扱いにするか、そこらも関係方面と十分検討いたしたい、こう考えております。
  149. 玉置一徳

    玉置分科員 これはひとつなるべく、これだけの声があがってまいったときでございますので、すみやかに法制的な措置も財政措置も講じていただくように、大臣の特に御奮起を要望しておきたいと思うのです。  そこでもう一点内容に入っておきますが、京都市のような、奈良市のような風致地区だけの問題でなしに、家屋の一つの景観と申しますか、それまで保存をしてもらいたい、ローマ市が、あの古都が、まるっきり昔のままで置かれておるような姿にやってもらいたいという希望も多いと思うわけですが、これは非常にむずかしい問題がたくさんございます。けれどもここまでやらなければ——たとえば京都市のある地区だけは、せめていまのような景観、これは建築基準法の問題もありましょうし、補償の問題もありましょうし、あるいは税利の問題もたくさんございますが、こういう問題についてはどこまでお考えになっておるか。この点、文化人の諸君の御希望はここにあるのではないか。京都市の東山のちょうど前のほうの鴨川を越えました向こうに鉄筋ビルができましても、どうも似つかわしくないと思うのですが、しかし都市開発と並行しまして非常にむずかしい問題を包蔵しております。こういう問題について、審議会でもつくって十分な御検討をいただくような日がなるべく早く来たほうがいいのではないか、こう思うのですが、審議会的なものでなくとも、せめて大臣の、これは各省にまたがりますが、文化人その他の方々の御意見も聞かれて、懇談会的にでもお進めをいただくことが非常に重要だと思うのですが、どういうふうにお考えになっておりますか。
  150. 小山長規

    小山国務大臣 新しい建築物をつくろうという場合には、現在の法律でできるわけでありますが、古い家をそのまま保存していくということになりますと、一体地域をどうするのか、あるいはそれに対する補償をどうするのか、これはなかなか大問題で、一朝一夕にやりますとか、検討しますとかいうふうな答えができるなまやさしい問題ではないと思いますので、しばらく答えを留保させていただきたいと思います。
  151. 玉置一徳

    玉置分科員 最後に、私たちがヨーロッパその他へ参りまして、日本に来た方々に会いましても、必ず京都、奈良、鎌倉と言います。その他のところをあまり言わない。京都は御承知のように一千四、五百万、毎年日本の国内からも遊覧の客が絶えないわけであります。こういうような意味で、この古い都をどうして残すか、日本人の一つの心のふるさとだと思うのです。ただいま申しましたように、都市開発の問題もあれば、住民は住民で生きておるわけでありますので、なかなかむずかしい問題が非常にたくさんございますけれども、私は農地補償の例を見ましても、片一方ではやはり相当思い切った費用のことも政府はお考えになるのでありますから、文化財保護について、わずかな、微々たる金しかないという現状では、日本の歴史を守っていく方法がこれでは足らないのではないか、非常に恥ずかしい話じゃないか、ソビエトを見ましてもあるいは中共を見ましても、それぞれ民族の文化というものは実にりっぱに保存しておるのが現状でございます。こういう点につきまして、これは建築基準法の問題でもあり、都市開発の問題でもあり、都市計画法の問題でもある、いろいろな問題がありましようけれども、ひとつ将来にわたりまして十分の御検討をいただきまして、ことに近畿圏の保全地域、その指定あるいはそれによります法律、規則というようなものにつきましては、財政措置とともにすみやかに立案していただきたい、かように思うわけでございますが、その点を特にお願いをいたしまして私の質問を終わることにいたします。
  152. 今松治郎

    ○今松主査 これにて建設所管に対する質疑を終了いたしました。  午後は二時三十分より再開し、運輸省所管について質疑を行なうこととし、暫時休憩いたします。    午後一時四十三分休憩      ————◇—————    午後二時三十三分開議
  153. 正示啓次郎

    ○正示主査代理 休憩前に引き続いて会議を開きます。  昭和四十年度一般会計予算及び昭和四十年度特別会計予算中、運輸省所管並びに昭和四十年度政府関係機関予算中、日本国有鉄道関係を議題といたします。  前回に引き続いて質疑を行ないます。中井徳次郎君。
  154. 中井徳次郎

    ○中井分科員 きょうは三時二十分にちょっと所用がございますので、それまででございますが、途中にまた国対委員長会談などございましたら中断させていただきます。  それまでお尋ねをいたしますが、まず第一に運輸大臣に伺いますが、航空路の問題、昨年、実は訪ソ使節団の一員といたしまして、私モスクワに参りました。その節議題になりましたのでございますが、東京−モスクワ間の航空路につきましては、日本側といたされましてはハバロフスク経由でモスクワまで直通に入れろと言いまするし、向こうのほうは、何でも東京−ハバロフスクですか、あとはソ連の国内航空といいますか、国内路線といいますか、それでやれというふうなことで、話がなかなかまとまり、にくいということを伺っておるのでございます。いずれにしましても、私はあまり詳しくはないのでございますが、何でもいま国際慣行としては相互の首都間相互乗り入れというふうなことが大原則になっているということでありますから、日本政府の主張も非常にもっともな主張であるというふうにも伺っておる。しかしながら、ソ連側からいえば、シベリアの空はまだだれにも開放してないのだ、そういう意味から、ぜひ自分たちの考えを入れてくれ、こういうことであろうかと思うのであります。その節に議論になりましたのですが、相互乗り入れけっこうであるならば、日米の関係におきまして、はたしてそれじゃどういうふうになっておるかということになると、なかなか日本としても強く押せない事情もあるのじゃないかというふうに考えられるのであります。したがいまして、この辺のことにつきましての、いまの段階における運輸省のお考えを一応聞かしていただきたい、かように思います。
  155. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 ただいまの日ソの問題に対しましては、仰せになりましたように首都間の乗り入れ、すなわち東京−モスクワ間の乗り入れを、どこの国と契約するにいたしましても、かような方針でやっておるのでありまして、二、三年前からある人が中に入りまして、ハバロフスク間なら認められるような書類が来ておりますけれども東京−ハバロフスク間で、ハバロフスク−モスクワは向こうの飛行機に乗りかえていくという行き方では、われわれも満足する方法でありませんから、その話し合いに乗っておりません。あなたの仰せになりますように、シベリアの空はどこの国にも開放しないというのがソ連の方針のようでございますから、この考え方が変わらない以上は困難であると思いますけれども、コスイギン首相と佐藤総理との間に親書がかわされまして、その中に航空協定の問題があるようでございますから、今後は、話し方によってはどういうふうに変化していくかわかりませんが、現在までの状況は、ただいま申し上げましたような方針で進んでおるのであります。日米の問題に対しましては、昨年来いろいろ努力を続けてまいりました。御存じのように、西海岸、すなわちサンフランシスコ、ロスアンゼルス、シャトルの西海岸だけは許されるけれども、東海岸のほうには行けない。それで、ニューヨークまでやるのならば、ロスアンゼルスだけにしてニューヨークまでというような返事をしたのでございますが、それはわれわれのいれるところではございません。われわれは、ニューヨーク及びニューヨーク以遠、大西洋を渡って世界一周を目ざしておりますから、それが貫徹されなければ、この日米航空協定は成立させないつもりでありますが、いままでの情報は、今度は成功するのではないかというような方向にいろいろな線から情報は入っております。
  156. 中井徳次郎

    ○中井分科員 国対委員長会談が始まりますそうですから、これだけで二十分ほど失礼いたしますが、いまの問題でありますが、私は相互乗り入れけっこうだと思います。原則けっこう。しかしながら、日米の間においてはそれは行なわれておらぬ。したがいまして、例外的な規定はたくさんあるということなんです。最も重要な路線においてそれが行なわれておらぬ。これが第一の理由。第二に、日本からヨーロッパへ参りますのに、ハバロフスクを経由し、モスクワ経由で行きましたら、時間的にも、しかも経費的にも非常に安い。この間乗りましたが、モスクワ−ハバロフスク間七時間で、そうしてソ連は、ああいう広い国でありますので、鉄道で旅行すれば一週間もかかりますから、いまや航空が、日本における鉄道と同じような扱いである。非常に大勢の人が、ほとんど満員で乗っておる。しかも、モスクワ−ハバロフスク間わずか四万円です。でありますから、この経由が開かれましたならば、われわれはヨーロッパへ行くのに半額で行けます。私はこういう問題について、原則はもとより、日本政府が主張されることについて別に反対をいたしませんが、例外がたくさんある限りは、やはり国民的立場から東京−ハバロフスクは、もうハバロフスクで乗り継いでいくということぐらいの、何というか幅を持って——実は前の予算委員会におきましても、領事館の相互乗り入れの問題につきまして政府に聞きましたところが、一向そんなことを考えていない。あにはからんや、日ソ間の国交回復の協定の中にちゃんとその文句がありましたので、私はそれをとらえまして、総理大臣の佐藤さんに再質問いたしましたら、十分考えてみましょうと言う。それがすぐ、アメリカに行きまして、今度はソ連のほうから、ぜひ領事を置こうじゃないかと、去年の暮れに文書になってきております。私は、このいわゆる政治形態の相違、そういうものについてはよくわかっております。わかっておりますが、そういうことにあまりこだわらずに、この際、ぜひ前向きで政府がこの問題は解決してもらいたい。私ども少年のころの、後藤新平氏とカラハン氏との交渉を思い出します。あるいは北京における芳澤大使とソ連大使との交渉を思い出します。こういうことについてはあまりこだわらないように、ぜひとも前向きでやってもらいたい。日本人は、これによってずいぶん外貨の節約になるのじゃないか、かように思うのです。  いま、アンカレッジからコペンハーゲンを通る、あるいはカラチで行く——どもカラチ経由で参りましたが、カラチまでは八時間かかりますが、直通でモスクワに行っても八時間。カラチからさらに八時間でモスクワに入ります。戦後二十年たって、このこと一つ解決できないというのは、あまりふがいないように思いますので、ぜひとも——どものほうにも、某々会社からいろいろなことを言って資料を送ってきているのを、去年か見たことがありますが、そんなことにこだわっておるのじゃありません。どの会社がどうやってどうするか、そんなことはどうでもよろしい。それよりも、日本といたしまして、ヨーロッパとの交通路をもっと大胆に解きほどいていくという形を、ぜひとも政府としてとるべきであるということを強く要請をいたしまして、私、ちょっと質問を中断さしていただきます。
  157. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 ニューヨーク及びワシントンの首都乗り入れがなされていないではないかという、われわれは不平等条約に対する強い要望をいたして、交渉を続けておるのであります。また、御指摘のモスクワとの関係に対しまして、いまハバロフスクまでの話があって、乗ったらいいじゃないかというお話でございますが、これに対しましては、いろいろの状況がありまして、目下いろいろ検討中でありまして、いま直ちにそれをやると答えることができないわけであります。
  158. 中井徳次郎

    ○中井分科員 そういう御答弁でしたら、さらに申し上げたいんだが、私はハバロフスクに行きまして、持っていったラジオをちょっとひねりましたところが、あなたの故郷の札幌の放送がすぐに入ってまいりました。きょう巨人の王選手が五十二号のホームランを打ちました——すぐに聞えてくるのが日本の放送です。すぐそこです。だから、あまりこだわり過ぎるじゃないか、もっと大胆にそんなことを考えていったらどうだというように、私は強く感じます。非常に近いところで、ハバロフスク−東京間といったって、半分ぐらい日本海を通っている。すぐです。だから私は、こういうことについてこだわらずにやってもらいたいということを重ねて強く要望いたしまして、ちょっと中座さしていただきます。
  159. 正示啓次郎

    ○正示主査代理 次に泊谷裕夫君。
  160. 泊谷裕夫

    泊谷分科員 お尋ねする前に、松浦運輸大臣並びに石田国鉄総裁、国民の強い要請であります輸送増強について、たいへん御努力をいただいておるということについて、一番最初に感謝しておきたいと思います。  ところで、きょうは国鉄の予算を中心にお尋ねをしたいのでありますが、大臣並びに総裁にたいへん努力をいただいたのでありますが、一面、ことし政府の提案されました予算書を見まして、私としてはたいへん心配になる。しかも国鉄としては、大きな問題が解決されておらないわけであります。この問題について、これから運輸大臣にお尋ねをしたいと思うのです。  大臣もすでに御承知のことでありまして、北海道の新聞の座談会においてこの点を指摘されておりますが、本年の利子及び債務取り扱い諸費は二百四十二億増の六百四十一億になりました。これ自体は、新幹線建設のための借金の利子も含まれたことであって、それなりにふえてきたと思うのであります。借り入れ金の返済額は四百七十八億になりまして、考え合わせますと、金利と元金返済で一千百十九億ということになります。この一千百十九億という金は、四十五万の従業員がまつ黒になって働いた運輸収入六千六百五十一億の約一割七分に当たるものです。総裁初め全従業員が精魂傾けて働きあげたその二割が、借り入れ金の元金と利子を支払うということになりますと、国有鉄道としてはゆゆしき問題になってくると思うのです。さらに、本年の借り入れ金総額は二千五百十八億円に達しまして、昭和四十年度末における借金の総額を推算いたしますと、昭和三十九年末借金推算額八千五十三億、昨年の補正予算借金額は二百億、昭和四十年度予算の借金額は二千五百十八億で、合計一兆七百七十一億ということになります。ことし四百七十八億を返しましても一兆二百九十三億、実に一兆を突破する数字を示しておるわけでありますが、同じように、昭和四十六年末の七カ年計画が完了するときを考えてみますと、工事費二兆七千億の半分が、かりに借り入れ金を内輪に見積もってみましても優に二兆をこえる額となりまして、平均六分五厘の利子としてみましても、昭和四十六年には、金利のみで千三百億を支払わなければならぬという事情に相なっております。したがって、今後の国鉄は、おおよそこの借金を返すためにさらに金を借りなければならぬという悪循環を繰り返すのみだと思うのであります。  ところで、国鉄自体のいままでの歴史は、大臣、いまさら申し上げるまでもなく御承知のところと思うのでありますが、明治三年以降、東京−横浜に初めて工事が開始されましてから今日まで、あるときはその工事資金を全額自己資金でまかない、なお昭和十一年から十八年までは、年間三千万円ないし二億五千万円、総計にして七億六千四百万円もの臨時軍事費として一般会計に繰り入れてきたことは御承知のところでありますが、さらに、資金の大部分は公債など外部の資金によって収支を合わせてまいりました。いずれにしても、その借り入れ金利払い及び返済は国鉄の収益でまかなっていることは御承知のとおりでありまして、特に問題となりますものは、戦前国鉄の輸送力は弾力性があり、常に経済の発展に先行しておったといわれておるのでありますが、戦時中、戦後の酷使、長年の投資不足の累積によって疲弊し果てた。こういうことで公社に移行されてきたわけでありまして、この点は強く、昨年出されました運輸白書でも指摘をされまして、年々増大する輸送需要が鉄道車両など可動施設の増強でまかなわれ、鉄道線路など基礎施設投資不足を指摘していることは運輸白書でも明らかにされておるところであります。そこで、同じような国の産業の育成を主たる目標にしております企業として、この国有鉄道をほかの国に対してみますと、国内におきますこれらの問題の打開策については、数回鉄道諮問委員会の答申がなされておりまして、その柱は、どれも公共負担を政府が保証し、かつ国鉄の適正な金額の資本金を与えるために、政府としてのしかるべき措置をとりなさいということを明記されております。特に一昨年の三十八年五月十日の国鉄経営のあり方についての答申書は、当面応急措置として少なくとも次の数項を至急実施に移つされたい。  一、通勤通学定期の割引率をとりあえず法定の限度にとどめること。その結果として起こる通勤者通学者の負担増をもし政府は避けたいと思うなら、その分を国鉄に補償すること。  国鉄に資本金を与える第一歩として、とりあえず目下の国鉄の借り入れ金のうち、政府がその債権者たる三千数百億円についてこれを政府出資とすること。  こういうことが指摘されております。今回の、政府が中心になってつくりまして鉄道基本問題懇談会の中でも、少々言い方はぼけてまいりましたが、この資金調達の方法については、財政投融資の増加政府出資を明らかにしておるところであります。これらのことを考えてみまして、諸外国の例は、イギリスをはじめ、アメリカあるいはフランスなど、ほとんどの国が、これら公営企業に携わる鉄道事業については、大きい額はイギリスの国庫借り入れ金の封鎖、一九六二年に行ないました七千五十六億、あるいは立体交差を設営するために、平面交差踏切における保守費などの政府補助、西ドイツで一九六二年九億、それから通行税のたな上げ、あるいは戦災復興費に対する政府出資三百十八億、オランダ——数えあげるのに苦労するほど、ほかの国は、国の基幹産業としての国有鉄道の経営に対して、助成を、そうして出資をしておるところでありますが、そこで、国内の海運におきましても、集約輸送のために三百八十五億の出資がなされたりしておるのに、ただ陸上の国有鉄道がなぜ冷遇されなければならぬのか。昭和二十五年出資四十億のみでございます。あとはほとんど国民から徴収した運賃によって今日の国鉄を経営し、国鉄の規模を拡大するというのに、さらにそれを運賃値上げのみにその道を求めるということは、誤りではないかと思うのであります。このことは、大臣は、すでに前段で申し上げました北海道における新聞の座談会において次のような発言をなされております。  昭和三十九年までの国からの借金は八千億で、この利子だけでも五百二十億になる、だから、国会でぼくは、汽車は脱線させないけれども、財政が脱線してしまうと言ったんだ、こういうふうに言われております。大臣のお気持ちとしてはこれからくみ取れるようでありますが、昨年国有鉄道が政府にお願いいたしました出資も拒まれるという現状において、大臣はせめて、この答申にありますように、政府の債権となっております問題について、当面出資に切りかえて、どうしても経営の困難なものについて、残余のものについては、利用者の国民に、受益者負担ということで運賃値上げの部分を持ってもらえないかと出るのが運輸大臣として正しい姿勢だと思うのであります。このことについて、大臣としてお骨折りいただけるかどうか、まず最初にこれをお伺いいたしたいと思うのであります。
  161. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 泊谷委員の御指摘になりましたように、国有鉄道の財政状態が非常にアンバランスになっておりますことは御指摘のとおりであります。したがいまして、これを鉄道を利用する受益者のみに負担さすべきか、あるいは税のほうに負担さすべきかという問題については、私は、ここまでアンバランスになってくれば、これはある程度税の負担もやむを得ないじゃないかと思うのでありますが、国の財政経済上、どうしてもできない問題でありますから、意あって至らずということになっているのではないかと思うのであります。  したがいまして、今後の七年計画というものの財源は、やはり大部分受益者の運賃値上げによって行なっていく、そうして、どうしても足らないところはやはり公債なり借り入れなりをもってやっていくということでありますが、国庫財政になりますれば、せめてこの際国家からも多少出してもらうように努力したい、かように思っております。
  162. 泊谷裕夫

    泊谷分科員 運輸大臣に、逆に運輸大臣が国鉄の総裁なり従業員という立場で考えていただきたいと思うのですが、もう、時間の関係がありまして、資料を提示することは避けますが、貨物の運賃は、国鉄開設以来いままで原価を割ることで輸送してまいりました。ほとんどが国の産業を育成するという形で、幾ら物を運んでも利益というものを得られない。ほとんど旅客運賃によってこれを補助し、一面には公共負担が七百七十一億に達し、さらには、地域格差を解消するということで赤字路線を経営しなければならぬ数字は全体の七二%を占めております。こういう体制の中で、国鉄自体の企業だけでその採算を合わせるということは至って困難であろうということは全面的に御理解いただけると思うのであります。主管大臣として、諮問委員会が持たれて、二十一回にわたる討議の中で出ました国鉄経営のあり方の答申にあるように、国鉄に資本金を与える第一歩として、とりあえず目下の国鉄の借り入れ金のうち、政府が債権者たる三千数百億について政府出資することというふうに指摘しているのですが、これ自体誤りだと思いますか。この点について大臣考え方を明らかにしていただきたいと思います。
  163. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 二兆九千七百二十億のうちの三千二百億という要求でありますが、これは要求する側のほうに誤りはないと思います。けれども、どうしても財政経済上できないものですから、そういう現状になっております。  なお、公共性があるからといって、何でも割引、割引ということになっておりますが、割引にも私は限度があると思うのです。しかも独立採算制である、そうして公共事業体である、この二つを割り切っていかなければならない。でありますから、私は自分も小さな企業を経営しておりますが、直接費、いわゆる人件費であるとかあるいは燃料、エネルギー費用であるとか、あるいは資材、車体の費用であるとか、あるいは路線の費用であるとかいうようなものは直接費なんですから、直接費の割引まではできない、それ以上のサービスの部分だけを割引するということがほんとうでないかと思うのです。しかるに、ものによっては九割一分とか九割二分というような学割があります。あるいは通勤割引でも七割五分というようなものもあります。学割の九割二分というものについては、非常にお困りになる御家庭等もありますので、これは大いに検討する必要があると思いますが、通勤の割引については、日本を代表する政府とか会社とかいうものでございますから、これは割引を取っても、結局いままで通勤手当を出しているんですから、所得税が多少ふえるかもしれませんけれども、結局同じことじゃないか。そうすると国鉄だけが損することになりまするし、通勤割引というものは考える余地があるんではないか。学割についてはある程度考えなければならぬとは思いますが、これについても、いま申し上げました五割以上の分は、ほんとうは社会保障で見るべきものとさえ私は考えるのであります。そういう点をいろいろ考えてきますならば、相当まだ利子を払うぐらいのものは出てくるんではないかというように考えます。
  164. 泊谷裕夫

    泊谷分科員 松浦大臣は北海道で大先輩ですが、この間新聞を見まして、国鉄につとめた私としては、どうしてもこの対談で大臣にもう少し検討してほしいと思うのです。大臣と道北商工会会長の中保さんとがお話をなさいましたが、この中保さんのお話は、いま大臣のお話があったようなものである。通学、通勤に触れて、この割引は高いからおかしいとおっしゃられるのです。だが国鉄は、いま山手線では営業係数五二です。百円の収入を得るのに五十二円で済むのです。むしろ大臣承知のとおり、大臣が直接関連をされました木材特別割引など、これらをかりにないものとして通常貨物と旅客の問題を見ますと、貨物は、国鉄ができてから今日まで原価以上の運賃を設定したのがない。もちろん等級は十等級、特別割引四等級ありますから、利潤のあるものもありますけれども、十等級のうちもうかるのは五等級以上です。石炭やセメントは幾ら運んでも利潤がありません。むしろ木材や米などは運べば運ぶだけ国鉄は赤字をしょい込むのです。だから一般の人は、国の産業を育成するということで貨物輸送を原価を割ってやることについては何ら承知をしてもらえない。旅客輸送についてもし通勤の割引率が高いというならば、これまた西ドイツと同じように、これに対する工員の割引のように、通勤、通学輸送の赤字に対する補償として百五十六億を出してくれたり、あるいはカナダのように一週間の切符でありますが、これに対する補助を行なうなりするならわかるのでありますが、その部分を隠しておいて——まず隠さなくてもよろしいでございましょう。どうすれば国鉄の経営が持てるのか、どんな人がどういう方式でやれば国鉄の経営が持てるのか、これを監督すべき運輸大臣として、どうすれば国鉄の経営はうまくやっていけるかということについて考えてしかるべきであります。  くどいようでありますが、国民の声も聞いて、諮問委員会は政府に出資することが好ましいときめたのですが、これに対しましてはいかがお考えですか。具体的には大蔵大臣との折衝もありましょう。閣僚のお一人でありますから、ここではっきり言えないという事情はわかりますが、少なくとも国有鉄道を監督する運輸大臣としては、政府は出資をすべきだとお考えであるかどうかということについて、もう一度お答えをいただきたいと思うのです。
  165. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 基本問題懇談会のほうで今度きめてくれました二兆九千七百二十億の中には、確かに政府出資の三千二百何ぼが入っております。それをことしの予算は一つも大蔵省では組んでくれなかったのです。しかし今後、まだ始まったばかりですから、毎年要求していって幾らかでもできるだけ多く出させたいと私は思っております。
  166. 泊谷裕夫

    泊谷分科員 大臣、事情は知っています。ことしはだめになった、だからいまはだめなんですが、運輸大臣として、これは当然国として出資の方向をとるべきだというお考えを主管大臣としてお持ちであるかどうか。今後いろいろと大蔵省なり、あるいは閣内で努力をいただかなければなりません。いままで国鉄の輸送増強にお骨折りいただきました大臣に、もう一骨折りを願いたい。この点について気持ちを率直に述べていただきたいと思うのです。
  167. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 三千二百億を全部持てということは、その数字については、はっきり言うことはできません。しかし四十一億ではあまりにも少ないと思います。だから今後まだ六回交渉があるから、そのつど多少ずつでも国家資金を投下させるように努力すべきである。かように思います。
  168. 泊谷裕夫

    泊谷分科員 大臣、あまりこだわらないでください。二十五年に出た四十億のことをおっしゃるのでしょう。しかしながら実施したのはたった一回、昭和二十五年に公共企業体になった翌年は四十億出してくれたのですよ。ぼくはいまここではあまり言わないけれども、ここまで国鉄に愛情を持ってきた大臣としては、国が出資の姿勢をとるべきが好ましい、私もがんばるという気持ちをほしいわけなんです。記録に残してもらいたいのです。
  169. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 がんばります。
  170. 泊谷裕夫

    泊谷分科員 これは欲の深い話でありますが、それが実現しなければ、当然利子の補給について、さらに大臣に荷物を背負わせて恐縮でございますが、あわせ御努力いただきたいと思いますが、いかがなものでしょうか。
  171. 佐藤光夫

    ○佐藤(光)政府委員 ただいまの大臣の御説明をちょっと補足させていただきますが、諮問委員会等にそういう意見があったことはお話しのとおりであります。ただ、この問題につきましては、政府部内で根本的に検討しようということで、御承知のように、日本国有鉄道基本問題懇談会が開催されまして、その意見として、政府出資につきましては、日本国有鉄道法第五条第二項によれば、政府は、必要があると認めるときは、国鉄に追加して出資することができると定められておる、ただいま国鉄の要望するような出資は困難であるとしても、今後の問題として、出資または個々の負担金等について検討することが必要である、こういう結論が出ておるわけでございます。政府としては、この線に沿って、いまのお話しの問題を含めてさらに検討を進めるということになると考えております。
  172. 泊谷裕夫

    泊谷分科員 鉄監局長からいまその話が出まして、これは長い歴史をもって二十一回もやりましたが、諮問委員会では、先ほど申されたようなきつい表現が使われておる。三千二百億円については政府出資にすることとなっておる。これが懇談会ということで、政府の直接事務を担当される人が集まって書いた文章が、いま鉄監局長の読まれたようになったが、根本的な姿勢は、先ほど大臣が言われたように、とにかく国鉄は出資の対象にしなければ経営が持たぬということは明らかでありますから、さらに御努力をいただきまして、いまお尋ねしました利子の点について、ひとつお答えをいただきたいと思うのです。
  173. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 ものによりますが、いまあまり高い利子をやっていくということはできませんが、今度の分も利子補給の分が多少あるでしょう。今後検討していきたいと思います。
  174. 泊谷裕夫

    泊谷分科員 今後検討ではなくて、それこそ一生懸命精根を傾けると言っていただけませんか。
  175. 佐藤光夫

    ○佐藤(光)政府委員 いま大臣より申しましたように、御承知のように、一般会計から、四十年度は九億九千二百万円の繰り入れをお願いしておるわけでございます。その中には、新線建設の利子補給の利子の一部に該当する八億九千七百万円というものがあるわけでございます。お話しの、全般的に利子補給、利子負担の大きいものに対する利子補給を考えたらどうかというような点につきましては、先ほど触れましたように、政府出資の問題を含めて今後さらに検討していくということに相なると思います。
  176. 泊谷裕夫

    泊谷分科員 いや、鉄監局長のほうは寿命が長いようなんだけれども、うちの先輩の松浦大臣は期間がきめられているものですからね。これについてぼくは印刷を持ってきたのですが、海運でも造船でも、出資されたり、それから利子補給、これは大臣、御承知でしょう、今度もずいぶん力を入れられたですから。この問題について時間の関係で読み上げませんけれども、やはり出資がどうしてもいかないという場合には、せめて利子補給について、大臣の政治力で何とか努力していただくという、この答えがほしいわけです。
  177. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 利子補給についても努力します。
  178. 泊谷裕夫

    泊谷分科員 ありがとうございました。  それでは少し国鉄にお尋ねしたいと思うのですが、副総裁、国庫債務負担行為として予算の前借三百億が認められましたね。これは昭和四十一年一月から三月まで月百億の計算で逆算してみますと、運賃値上げ二割、これが考慮されているということですか。
  179. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 ことしの予算の編成にあたりまして、運賃の問題は、一切運賃値上げしないということで三千億プラス三百億という債務負担行為がついたわけでございますが、その三百億と、先生のおっしゃった一、二、三月の運賃値上げをしたらどうなるということとは直接の関係はないというふうに考えております。
  180. 泊谷裕夫

    泊谷分科員 副総裁がそうお答えになりましたが、そうしますと、三千億の工事費は政府で認められました。しかし政府の財投は千六百億ですね。利用債、それから縁故債を入れまして、おおよそ五百億が自力でまかなわなければならないことになると思うのですが、これについて、約五百億の捻出に自信おありですか。
  181. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 ただいまのお話は六百八十八億の特別縁故債のことと思いますが……。
  182. 泊谷裕夫

    泊谷分科員 そうでなくて、六百八十八億については先日先輩の久保さんから話がされました。そこで、三千億の工事が認められましたね。政府で金を貸してくれるのは千六百億でしょう。それから縁故債が二百三十億でしょう。それから特別債が六百八十八億でしょう。そうしますと、約五百億は自力でまかなわなければならぬわけですね。三千億、三千億と政府は鳴りもの入りで宣伝するのだが、実態はそうなんだ。ことしはそうでなくても収入見込み、水増し見込みを多くしておりますね。五百億捻出できるだろうかどうか、この見通しについてです。
  183. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 失礼いたしました。その点につきましては、結局運輸収入がどこまで伸びるか、またどこまで伸ばすかということになります。もちろん不確定ないろいろな要素がございますが、私どもといたしましては、ことに新幹線の旅客収入の増加を相当大幅に実は見ております。大体新幹線だけで五百億くらいの増収、もちろん経費の増がございますので、差し引きはそうなりませんが、新幹線の増収その他を見積もりますとともに、極力十月一日からのダイヤを改正いたしまして、いままでの第二次五カ年計画でできました複線、電化区間について、過密ダイヤにならないような列車増発をいたしまして収入増加をはかりたい、このように考えております。
  184. 泊谷裕夫

    泊谷分科員 収入見積もりについては避けます。ぼくは心配なんです。今度料金収入を多く見まして、東京大阪間の超特急を四月一日から実施する予定が、路盤の関係で十月になりました。約四十億ないし五十億の見込み違いが出てくるのじゃないか。運輸省が中心になりまして下期景気の上昇を踏んだとき——経済企画庁の談話を見ますとそうならない。貨物収入による約五十億程度の収入減と合わせて、むしろ収入が百億くらい減るのじゃないか。こういうように考えるが、時間の関係で、それはあとで先輩議員のほうに譲ることにいたします。  そこで総裁にひとつお尋ねしますが、重要な問題ですが、二兆九千億でとにかく混雑を解消しよう、基幹路線の増強ですね。そこで、いま松浦運輸大臣が精一ぱい努力して、政府出資の問題、利子補給の問題を話してくれましたが、これを七年間でやるとすれば、年間四千億が必要でありましょう。ことしは三千億、かりに来年——運賃値上げのことはきょうちょいちょい出ますが、四千億と合わせてみましても後半五千億になりますね。これが資金操作上必要になってくると思うのですが、いまのような政府のかまえでは、この七年の間に運賃値上げを二度やらなければならないと思うのですが、どうでしょう。
  185. 石田礼助

    ○石田説明員 どうも先のことはわかりませんが、いずれにしても二兆九千七百二十億というものに対しては、これは政府はちゃんと認めてくれたことであるし、かつ、この財政の裏づけというものに対しても、経済閣僚懇談会でちゃんと了解を得たことでありますので、それに対してはあるいは運賃の値上げをやるだろうとか、公共負担の犠牲であるとか、あるいは政府の出資であるとかいうようなことで、何とか政府はしてくれるものであるということに私は確信しております。
  186. 正示啓次郎

    ○正示主査代理 泊谷委員、到着時間が近づいてきましたので……。
  187. 泊谷裕夫

    泊谷分科員 運賃値上げはしてほしくないわけですから、あまりきわ立った返事はいただこうと思いませんけれども、それを打開するには、やはり松浦大臣に一ふんばりふんばってもらわなければどうにもならぬですね。いまの問題はそろばんが何としても合わない。いやみな言い方をすれば、投げやりな感じの予算で、予算に対する確信を持った長期展望がないということが言われる危険性もあると思うのです。それで、その部分は運賃値上げがことしの十月ごろまたはなばなしく議論されるでしょう。そのときには貨物関係を総ざらえに出してやらしていただこうと思いますから、そのときに譲ります。しかし、独占企業でなくなりましたから、営業運賃もありまして……。この苦悩する問題を政府はどう受けとめるかというのが重要な問題だと私は思います。しかし、それは議論は抜きにいたしまして、事務的なことで副総裁にお尋ねをいたします。  財投は一千六百億。これは国鉄は年間大体一〇%程度やられておりますから、ことしも特に多いとは思われませんが、ともあれ大臣と総裁に御努力いただいたことは承知しております。そこで、この資金運用部からの借り入れと鉄道債券の政府引き受け額との具体的数字がきまりましたか。もしきまってないとすれば、これは利子が違うはずですね。国鉄をいい金融地盤にして政府は利子ばかりかせぐのじゃないかと思うのですが、その点もあわせて御答弁いただきたいと思うのです。
  188. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 その点はこまかくなりますので予算書には出ておりませんが、現在政府との話し合いでは、千六百億の内訳は、資金運用部からの借り入れが六百五億です。それから鉄道債券の、これは公募、非公募合わせまして九百九十五億、合計千六百億でございます。利子は御承知のとおり鉄道債券の公募債は七分、それから政府引き受け債が同じく七分、資金運用部は多少種類がございますが、六分五厘、こういうことになっております。
  189. 泊谷裕夫

    泊谷分科員 時間がまいりました。それで松浦運輸大臣、最後にお願いをしておきます。  いままで国鉄の企業は、昭和十九年、旅客一人当たりの運賃一銭六厘三毛、これに対する原価は四厘九毛でありました。これは七〇%の黒字であります。貨物は一トンキロ当たり一銭一厘の運賃に対して原価は二銭四厘二毛、一二〇%の赤字です。昭和三十八年に至りましても、旅客収入のほうは運賃に対して七七%の原価でいいのですけれども、貨物はまだ一〇三%で一〇〇%を割ることができません。こういうことで独占して輸送しておったときと違いまして、一面、トラックあるいはバスは利潤の高い路線だけもらって、そこで働けばいいのですから、これは利潤を上げる経営としては苦労はあるでしょうけれども、簡単に答えは出ます。だから国鉄は先ほども言いましたように、公共負担、赤字になります新線の開発、あるいはいま申し上げましたように、最も大きなものに、産業育成ということで地方へ工場を誘致する場合には、固定資産税が免除されておりますのに、国鉄は約百億近い税金が取り上げられておるという事態にあります。したがってこの税金の問題については、諸外国でも国鉄に税金を賦課することを排除しております。あるいは、排除していない場合は、国で助成しておるのでありますが、これについては、先ほどの問題よりも、案外理もあり、話も通ると思うのでありますが、これについて御努力をいただきたいと思うのですが、いかがなものでしょう。  最後に申し上げておきたいことは、副総裁からもお話がありましたように、国鉄の予算は総じて貨物、旅客の収入増を見込んで、収入を水増しして、一般経費を詰めて、公共企業体に移行したときには、数多い人の首を切って経理を合わしてきたものです。もう借金で回らなくなりました。そこで一つは税金の問題と先ほどの出資の問題と、利子補給について最善の努力をしてほしいと思うのでありますが、最後に私のすとんと落ちる気分のよい返事をいただきたいとこういとを希望いたしまして、質問を終わりたいと思います。
  190. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 利子補給につきましては、他の造船、海運等にも相当行なっておりますから、こういう非常な経営困難な状況でありすまから、大いに努力して御期待に沿うようにしたいと思います。
  191. 泊谷裕夫

    泊谷分科員 それから税金の問題、地方から言わせれば、地方はたいへんなんでしょう。特別交付金が少ないからというのでしょうけれども、鉄道として、通行税なり国税はもちろんのこと、これは西ドイツあたりでは一九五三年から六〇年にかけて、千八百七十億の通行税をたな上げした、こういう例があるのですけれども、固定資産税の負担分、これはガソリン税も何もいっぱいありますけれども、産業を育成するという工場誘致した場合には、大臣承知のとおり、大臣の郷里でも、ほとんど軒並み市町村は免税しておるでしょう。三年間税金を負けてやる。個定資産税さえ取らない。こういう措置をしているのです。さらに公共性の強い鉄道であってみれば、国が本来地方の財政を見てやらなければならぬものを、それを肩がわりして苦悩しなければならぬでしょう。これは理屈が合わない。これは早いとこ税金を取らないようにする。もし税体系として取らなければならないものであるならば、国としてそれに手を打つ、こういうことはぴったりしたものだと思いますけれども、いかがなものでありましょうか。
  192. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 大体九十八億ぐらいあると思いますが、できるだけひとつ大蔵省と交渉して、免除するようにしたいと思います。
  193. 泊谷裕夫

    泊谷分科員 とにかくがんばってください。五月までに道産子大臣らしく、何とか正しいものは正しいということを言ってもらうよう道産子議員として特にお願いしておきます。終わります。
  194. 正示啓次郎

    ○正示主査代理 野間千代三君。
  195. 野間千代三

    ○野間分科員 いま泊谷議員のほうからお金の問題はだいぶ出ましたので、要員の問題で少しお尋ねしたいと思うのですが、その前に副総裁にちょっとお尋ねをします。  いま言いましたように三千億円で四十年度の新計画の基礎が始まるわけです。その中にいろいろ問題があるでしょうけれども、ひとつ三十九年度の貨物収入の決算見込みは大体どういうふうになりそうですか。
  196. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 三十九年度の貨物収入は、実はことしになりましてからもあまり貨物の伸びがはかばかしくございませんで、予定収入に対しまして約五十億ぐらい減収になるというふうに考えております。
  197. 野間千代三

    ○野間分科員 五十億ぐらいというお答えですが、これは私ども副総裁ほどは詳しくはありませんけれども、いまのような状態でまいりますと、収入見込みから見ると二、三百億円ぐらいの赤字になりそうではないかというふうに考えられるのですが、どうなんですか。
  198. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 その点はまだ三月一ぱいございますが、非常に苦しい立場でございまして、もうしばらく増収の努力を重ねてまいりたい。あまり減収いたしましてもいろいろ影響がございますので、極力増収に努力してまいりたいと思います。
  199. 野間千代三

    ○野間分科員 お答えとしてはわかりますけれども、これは私どもの見方としては、五十億どころではなくて、二、三億円の貨物収入の減収が、もうすでに二月も終わりですから、見込まれるというふうに考えられる。そうしますと、四十年度に三百億円ということになるのですが、貨物収入を御承知のように二千二百五十二億、今年と同じように見込んでいるわけですね。そうすると、今年はまだ経済情勢、高度経済成長政策ということで進んでおりますから、収入見込みとしては何とかなるかもしれないが、四十年度がもし今度と同じような状態になってきたとすると、その分だけは確実に三千億円の資金が不足をするということになると思う。これは他の財投その他の問題よりも、収入の問題で三千億円の基礎になっている問題ですから、むしろ三千億円という問題の出発点としては非常に危険になると思うのです。それに対する措置はどういうふうになりますか。これはいま直ちにそういう決算で措置を考えさせるのは無理かもわかりませんが、とにかく一応長期計画の出発になるのですから、こういうあらゆる事態を想定しながら収入と支出を考える、こうなると思うのですが、いかがですか。
  200. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 その点ごもっとものお話でございまして、私どもといたしましても、四十年度の貨物収入の算定につきましては非常に苦心をいたしまして、結論的に申しますと、大体三十九年度の国会予算、三千億円のほとんど横ばいという結論を出したわけでございます。それにいたしましても、結局問題は経済界のほうが問題でございますけれども、同時に、やはり私どもといたしましては、高級貨物についてもっといいサービスをして、鉄道で輸送をせしめる、あるいは時間の速達をはかって、一たん鉄道から逃げた荷主にいま一ぺん戻ってきてもらう、こういういろいろな貨物営業上の施策を講じました上で、これを横ばい程度にとどめていきたい、こういうふうに思っております。やはり全体的に申しますと、石炭の減産ということが一番大きな問題でございまして、まだいまこの石炭の減産が来年度の収入にどこまで響いてくるかということが実は不確定なんでございますが、何とかその面は、輸送上の努力といいますか、営業上の努力でもって補わざるを得ないというふうに考えております。
  201. 野間千代三

    ○野間分科員 この問題は、また別の機会があると思いますが、運輸大臣にちょっとお尋ねしておきたいのですが、いま言われるように副総裁の答弁は、想定ですから、仮定の問題には違いないけれども、実際の問題として貨物の減収ということが三十九年度の実績として考えられると思うのです。そうするとこれは松浦運輸大臣の就任から始められた第三次七カ年計画の出発点として重要な部分になるのですが、もしそういうふうになった場合に、運輸大臣としてはどういうふうに考えられるか。
  202. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 七カ年計画の中に盛られておりますのは、いま副総裁の述べられたようなことも含まれておりまして、また二級国道までが全部鉄道平行線になっておる場合、これはトラックに荷物をとられるということは免れないことでありますから、今度の改良において能率を上げてコストを下げ、そしてこれらと競争して勝ち抜くだけの改良をしなければ、とうてい経済の原則に反するものと、かように思っております。
  203. 野間千代三

    ○野間分科員 それはいま副総裁が答えられた答えと同じなんです。努力をしようと言う。ただ、努力はもちろんするんだけれども、お客さんの問題ですからね。ですからそういう減収などということになった場合に、第三次七カ年計画計画された責任にある大臣として、やはりそれに対して政府としてどう考え、どう処置をすべきかということは、やはり考えておく必要があるんじゃないかということです。どうですか。
  204. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 できるだけ赤字の出ないように、できるだけその目標の収入を得られるように鞭撻いたします。
  205. 野間千代三

    ○野間分科員 それは大臣ことばとしては幾ら総裁、副総裁を鞭撻をしても——総裁、副総裁を鞭撻するのでなくて、鞭撻するだけのまた鞭撻を、して、それが収入をしてなり、あるいは三次計画を実行をしていってそして収入がふえるというふうになるように、鞭撻の方法としてはやはり——これは私が申すのでなくて、国のほうで三次計画がスムーズにいくように措置をするように考えるべきじゃないかと思うのですが、どうですか。
  206. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 おっしゃるように、これだけあげなくて、まあことし三百億足りない、あるいは二百八十億足りない、足りなければ国が見てくれるのだというような安易な経営ではいけないのです。だから私は、やはり助けるときには大いに助ける、また鞭撻するときにはやはりむちも必要である、かように考えます。
  207. 正示啓次郎

    ○正示主査代理 関連質問の申し出があります。これを許します。久保君。
  208. 久保三郎

    久保分科員 大臣、この間もあなたは予算委員会でお答えになったのだが、政府として七カ年計画というか、これを承認して、しかもこの資金についても責任を持って措置する、こういうのが政府の責任のあり個所だ、こういうお話がありました。そのとおりだと思います。そこでいま野間委員からお話しをしているのは、さっき国鉄当局からも説明があったように、実際の貨物収入では決算見込みは減収だ、景気の関係は、くどいことを申し上げる必要はないほど悪いというのが、これが大体いまの見方でしょう。これが半年後によくなるかどうか、これは神さま以外にわからぬかもしれぬ。しかし大体において先ほど副総裁が減収見込みを非常に内輪に述べられたんじゃないかと私は見ている。そんな少ない数字ではないと私は見ている。そうなると、もちろんあなたもおっしゃるように、国鉄当局も、運輸大臣も、鞭撻督励というか、努力することはあたりまえです。あたりまえだけれども、そうやってもなおかつ予算編成の過程において赤字であるという見込みがあるからには、やってあげることはけっこうですよ、しかし最悪の場合どうするかということは、やはり心がまえとして政府は持たなければいかぬと思う。  それでは結論として聞きますが、それでは改良計画の三千億の資金というか、そういうものは絶対に確保しますか。
  209. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 この間も、大蔵大臣を中に置いて、総裁と両方、あなたがお問いになりまして、もうすでにきまっているのですから、それ以上お聞きになるのは無理だと思いますが、私が大蔵大臣と話し合いをしたときは六百八十八億が問題になったのです。それで六百八十八億というものについては、日銀の担保適格債等をまじえて他の銀行その他金融機関から必ずあっせんしてやるという言質をとっているのです。でありますから、それを信頼していく以外に道はないのであります。そのことは直ちに鉄監局長を経て総裁のほうに伝えてありますから、総裁も同様にお考えになっておられると思います。この三千億は確保するという私は確信があります。
  210. 正示啓次郎

    ○正示主査代理 久保委員に申し上げますが、野間委員の持ち時間の範囲で御発言を願います。
  211. 久保三郎

    久保分科員 六百八十八億の問題は、この間の予算委員会で質問して、決はあとでとります。私が言っているのは、全体の三千億を責任を持って確保されるなら、貨物収入の減収があった場合も、これは三千億とるという言質というかお答えがあってしかるべきだろう、こういう質問です。大臣、どうですか、そのとおりですね。
  212. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 そうです。
  213. 野間千代三

    ○野間分科員 大体行き着くところに行ったようですから、この件は以上で終わります。  それで要員の問題なんですが、大臣運輸省の関係でいろいろな問題がありますけれども、要員の問題は特に国鉄関係と航空の関係等に顕著に人員の不足あるいは将来に対する要員計画というのが十分でないと私は思うのです。  初めに国鉄御当局にお伺いしたいのですが、この前のたしか臨時国会のときに、臨時人夫の職員化、それから業務増、工事増等によって約八千四百四十人ふやすというふうにして、四十六万三千四百四十一人というふうに予算書に職員計画が出されておりますが、これは実際に実要員としてそういうふうになると考えていいですね。
  214. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 その点は、いまのお話のいわゆる職員代用で使っておりました人夫を職員にする、これが四千四百、これはいままで臨時人夫として入っておりましたものが職員になりますので、もちろんある程度の能率の増進は考えられると思いますが、これはいわゆる置きかえでございます。そのほかに二千人の損益勘定における純増、それから工事勘定におきましては工事量の増に伴う純増が二千、こういうことでございます。
  215. 野間千代三

    ○野間分科員 そうしますと、この四千人は昭和四十年から純然たる新しい採用として行なわれるというふうに考えてよろしいですか。
  216. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 さようでございます。そのほかに減耗の補充がございますけれども、これは出入りございませんので、純増は四千、そのほかにいままでの志免炭鉱の千六百、これは国鉄法を直していただきまして志免炭鉱を完全に閉鎖いたしまして、国鉄の業務から削ります。この人間約千七百人、これがいわゆる純増になってあらわれてまいります。これは部内の配置転換でありますが、しかし、炭鉱がなくなりますので、鉄道としてはやはり純増になるわけでございます。
  217. 野間千代三

    ○野間分科員 わかりました。そうしますと、昨年の十月のダイヤ改正のときに相当な車両増、輸送増があったので、その際にある程度の人員の配置があったというふうに伺っておったのですが、それはこの四千人の中には含んでいないというふうに考えていいですね。
  218. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 昨年の時刻改正に伴う所要人員は、昨年の部内の合理化その他によって捻出いたしたわけでございまして、これに入っておりません。
  219. 野間千代三

    ○野間分科員 そうすると、昭和四十年度つまり第三次長期計画の最初の年度は四十六万三千四百四十一人で始まる、そして四十一年にまた工事費が三千何百億にふえるというふうになりますが、その分は逐次そういうふうにふえていくと見てよろしいですか。
  220. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 工事量の増加に伴う工事関係の人間の増加は、もう少し実際に工事が進んでみないとわかりませんが、むしろ現在ではことしふやしました二千人の実人員の充員も相当問題があると思います。充実そのものに問題があると思います。したがいまして、その充実いかんによりましては、工事経費のほうは必ずしも計数的に人間がふえるわけじゃございませんが、場合によりましては、部内の仕事のやり方を変えるとか、あるいは損益勘定等の仕事のやり方を変える、いろいろな方法によりましてまいりますが、ある程度工事量がふえますれば、ある程度の工事要員はふえざるを得ないと考えております。
  221. 野間千代三

    ○野間分科員 それでお伺いしたいのは、四十年、四十一年というふうに言われてまいりますと、実際の人員としては、いま四十年に四千人ふやす、そうして四十一年には工事の関係の分がふえていくということなんで、そこで第三次七カ年計画として、これは国鉄の近代化あるいは安全輸送、通勤輸送というふうに、たいへん大きな問題として出発をするわけですけれども、第三次長期計画の全体としての要員計画はどうなんですか。
  222. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 その点につきましては、実は政府部内の基本問題懇談会におきましても非常に論議されたところでございまして、その答申と申しますか、意見書と申しますか、その中では現在の人員をふやさないでやれという相当強い意見が出て、それが結論になっております。しかしながら、私どもといたしましては、昭和二十五年以来約十五年間ほとんど増員なしでやってまいりまして、ぎりぎりであるということで、初年度とにかくこれだけふやしてやってくれということでございますが、その後の問題につきましては、一応現段階におきましては、たとえば新しい線路がふえた、通勤のための一線がふえたとか、あるいは幹線輸送力増強によりまして非常に輸送の客貨がふえた、こういう問題に対しましては考えますが、原則として四十一年、四十年度にふやしました人員で極力やっていくというたてまえをとってまいりたいと思います。しかし、これは将来のことでございますから、いまはっきり申し上げられませんが、たてまえといたしましては、極力部内の作業の合理化その他によって人員を捻出するという方法を堅持してまいりたいと思いますが、どうしても、全然物理的に新しい線路が一本ふえたというような場合には、別に考えざるを得ないというふうに考えております。
  223. 野間千代三

    ○野間分科員 実はこの第三次長期計画考えられた基本になっている問題は、もちろん安全輸送が一つの根幹として当然あると思うので、これは前の国会から引き続いた問題です。それと急激にふえてくる経済の開発、地域の開発等で、都市の分散とか、いまの過密都市を解消していくいろいろな施策が行なわれると思うのですが、そういう意味で、国鉄が負担をする輸送増が、非常に、しかも大量に、その大量のものが定期的にふえていって、恒常化していくということが考えられたのが、今度の長期計画であろうと思うのです。これは事実運輸省なり国鉄でも推算をして出されているわけです。そうなってまいりますと、それに相応する要員をきちんと計画をして進めておく必要があると思うのです。その辺は、線増なりあるいは車両の増なり、そういうものは的確に計算をされて、そうして予算を組んでおりますが、人員の問題は四十年ぽっきりなんだということでは、計画の裏づけとしてはきわめて間違っていはしないかというふうに思うのです。  いま副総裁のお答えは、いわば不足があれば、一言にいえば合理化によって補っていきたいということですが、実際に、いま、はたして国鉄の部内で合理化が進められて、それによって人員がはじき出せる余地があるのかどうか。私ども政治の部面から見ておりましても、実際の状況を見たって、これ以上の合理化によって人員をはじき出すことは非常に困難だと思います。ですから、これは大臣に少し伺っておきたいのですが、これは国鉄が今日までいまの輸送量を消化していくのに、要員的には非常に困難をしている、無理をしているというふうに見ておるのです。卑近なことを申し上げますと、いま町では国電のラッシュはインスタントラーメンで輸送されているというのです。これは仕業交番が非常に無理をしてあるから、昼食の時間に昼食がとれない、朝食の時間に朝食の休憩がないという状態なんです。たとえば、七時に仕業が始まりますと、朝飯を食っていきますが、十一時ころに昼食の時間があるのです。そこでは食べられませんから、昼食の時間は大体二時ごろになって初めて二、三十分の時間が得られる。そこで、昼食を食べる。したがって、朝も昼も大体インスタントラーメンを食べて、おなかを幾らかもたしておきながら運転をするというようになっておる。これが運転の実態です。そういう実態の中で、これからの大きな計画をしようというのですから、これは非常に無理なんです。ですから、いま副総裁は、懇談会等でそういうふうになっておるらしいので、国鉄当局としては非常に無理があるでしょうが、運輸省として監督官庁として、やはり国鉄の安全輸送は、設備ばかりではなくて、人員の面において十分に措置するということが必要だと思うのですが、いかがですか。
  224. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 いままでは三、四年の間、不増の原則をもってやってまいりまして、おおむね四十五万の方々の一人当たりの能率は非常に上がってまいりました。それで直接大蔵大臣に閣議で交渉いたしまして、先ほど御指摘の臨時要員になっておる者が八千八百人ありましたが、この八千八百人を二年でそれではやろうという、こまかい折衝は副総裁がやりましたが、とにかく半分認めようということを閣議で認めさしたのであります。それとても、いまおっしゃるように、仕事が著しくふえたのですから、皆さんに非常な労働過重の面のあることは同情いたしております。今後もその面に対しましては、重ねて努力をいたしていくつもりでございます。
  225. 野間千代三

    ○野間分科員 これは、国鉄の問題はいま出ましたけれども、私がよく言っております航空の問題でもあるのです。消防車の問題はたびたび出ますから省略いたしますが、たとえば大阪の空港などでは、一人一カ月百五時間の超過勤務をしておる。百十一時間の超過勤務をしておる者がございます。これが運輸省管轄下の大阪空港の空港職員の実態です。これといまの国鉄の問題で、やはり超過勤務時間は、これは国威の場合にはそう超過はできない業務なので、しておりませんけれども、実際には超過労働をしておるわけです。ですから、これは運輸省として、いま言われるように、努力していただいておりますことはわかりますけれども、たとえば四十年度の問題も、これは実際のたまは、四千四百人の臨時人夫を置きかえたものはふえない。ですから、私が特に言いたいのは、運輸省の管轄している現場機関全体として要員計画をもっときちっと立てる必要があるということと、一つの重要な問題として、第三次七カ年計画の国鉄の今度の問題については、資金計画その他はでき上がっておりますから、これに見合う要員の措置を計画的にやる必要があると思いますから、この件について大臣にもう一回正確にお答え願いたい。これは計画としてきちんと要員計画をいたすということが一つ、もう一つは、これは副総裁にもう一度お尋ねしますけれども、技術の断層ができていると思うのです。これはいまの日本の工場全体に相当あるのでありますが、特に国鉄の例の要員対策委員会で出ました四十年四十歳の問題がございますが、四十年四十歳で中ぶくれが最高になる。これから減耗していく。ところが人員の補充がしてない。したがって、技術の断層ができて、この断層をどうしていくのかという問題がございます。したがって、これは毎年毎年計画的に養成定員をつくって、技術断層の防止をはかる必要があるのですが、この件についてはどういう計画をしておるのか、副総裁にお尋ねしたい。
  226. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 ものに金がついていくという、経済が大きくなれば物の輸送が大きくなる、だから物が動かなければ金が動かぬということになります。その間物を動かすのは人が動かします。日本の経済がここまで大きくなったのでございますが、その貨物の半分は国鉄によって運ばれておりますから、これはどうしても増員をしなければならないことは、根本問題であると思います。したがって、技術の革新、人間の増員ということは、絶えず輸送陣においては考えなければならぬかと思っておりますから、総裁とよく相談いたしまして、大蔵省に要求いたしたいと思っております。
  227. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 ただいまの技術者の養成の問題でございますが、さしあたりの一番の問題は、やはり今後の長期計画に伴いまして、主として動力の転換が行なわれますので、動力の転換に一番必要な乗務員あるいは検査、修繕の人間の技術転換が一番必要になってきます。これについては、極力と申しますか、もう技術者がおらなければ現実の問題として汽車が動きませんので、これは最優先でやってまいります。そのほかに根本問題として、先生のおっしゃるとおり、現在の国鉄の人員構成が、何と申しますか、非常に形が適正でない、いわゆる中ぶくれのちょうちん型、そのちょうちんの下のほうのくびれのところが一番大きな問題だと思います。その点につきましては、やはりくびれていればいるだけ技術者が少ないということになりますので、当然これは若い層の技術者を充実するという以外にないと思います。これにつきましては、やはり外から求めることだけに限ってもとても間に合いませんので、たとえば部内の鉄道学園あるいは教習所あるいは現在地方にございます養成所等を拡充いたしまして、これらの諸機関によって技術者を養成する、この根本的な問題が今後の長期計画遂行上の一番大きな問題じゃないかというふうに考えております。
  228. 野間千代三

    ○野間分科員 大臣にそうたびたび答弁を要求をしませんが、申し上げておきたいのは、今度の長期計画で、大臣の言われる人が物を運ぶのですから、したがって、第三次長期計画の裏づけになる要員の計画、資金計画とあわせた要員の計画を何年はどうすべきであるという意味の、これは昭和何年に終わりますか、その終わるまでの要員の計画をきちっと立てるということについて配慮をしてもらいたい、配慮すべきだということなんですから、そういうふうにお願いをいたします。  それからもう一つは、これも大臣にお願いしたいのですが、たとえばいま国鉄が募集をいたします。そうすると東京なり神奈川等では応募をしてくる人がいない。これは私が実際に職場で経験をしている。したがって、極端なことばでいえば人買いですけれども、北海道なり方々へ行って農業学校を出た人を連れてきて、それで東京で、いま副総裁の言う訓練をして車に乗せる、これが私は実態だと思うのですが、副総裁いかがですか。——そう言われております。したがって、これはいま言うように、計画はするのだけれども、実際に採用できない。募集しても来ない。これはどこに原因があるかといえば、作業の環境であり、あるいは賃金の実態であり、労働作業量であるというふうになるわけです。  もう一つは、航空局長が見えておりますから申し上げますが、たとえば空港の管制官、ああいうきわめて高度な能力が必要な管制官などでも労働環境が非常に悪い。給与はそうよくない。そうして激しい仕事をしている。したがって、ある時期には、せっかく有能な技術を持っていながら転換をしてしまうということが相当あるというふうに私は見ておるのです。したがって、運輸省全体として、これは国の経済におけるきわめて重要な任務を持っておるわけですから、そういう面について十分に採用をしたいときに、有能な人材が応募される体制が必要じゃないかというふうに思うのですが、それぞれの立場において一応お答えをいただきたいと思います。
  229. 栃内一彦

    ○栃内政府委員 航空関係の要員につきましては、いま仰せになりましたように、非常に高度の技術を要する面がある。管制官もその重要な仕事でございますが、そのほかにも非常に高度の技術を要する職員を多数要します。この人たちの待遇の問題がいろいろ問題になりますので、私どもとしましては、できるだけ待遇をよくしていただきたいということで、人事院等にお願いしまして、ささやかではございますが、若干の待遇改善は認めていただきました。今後もこういう点はさらに努力を続ける必要があると思っております。技術者を獲得することにつきまして、私どもいろいろ苦労しておりますが、今後さらに努力すべきであると考えております。
  230. 正示啓次郎

    ○正示主査代理 野間委員、時間が参りましたので、結論にお入りくださいますようにお願いいたします。
  231. 野間千代三

    ○野間分科員 これは総裁にお答えをいただきたいのですが、いまの要員計画の問題です。運輸大臣も輸送という業務が持っている要員の必要性、これを力説をされておりますから、総裁としても第三次長期計画の完遂とそれに基づく輸送面の万全を期するために、正確な要員計画を、これは懇談会の意見はございますけれども、それは意見として、やはり実際に国鉄をになう総裁として確実な実施計画を立てることと、もう一つは、いま言いましたように、採用の問題です。一つの極端な例ですが、研修所の先生から、運転科の生徒が運転規程が読めないという者があったということを私は聞いたことがあるのです。こういう実態は、安全輸送をたてまえとする国鉄としては大きな問題ではないかと思いますから、先ほどの技術断層の問題と、第三次計画に対する要員の計画的な措置、それと新規採用する場合の十分に応じられる体制、そういうものについての総裁の見解といいますか、考え方を述べていただきたいと思います。
  232. 石田礼助

    ○石田説明員 申し上げます。  御承知のとおり国鉄が経費の面において人件費が総収入の五〇%以上を占めておるというようなことで、経費というものは非常に大きな問題であるということで、できるだけ合理化して人間をふやさないようにしよう、こういうことでやってきたんですが、御承知のとおり新幹線ができた。そしてその後ダイヤの改正によって列車の数がふえました。それで一方には人に対する需要というものが非常にふえてきたというようなことで、まず国鉄が一番困ってきたのは技術者の点です。大学卒業生はなかなか来はせぬ。そこで自分でやらなければならぬということで、二、三年前から約一年に二、三百人の大学課程の養成をやっております。これに対しては一年に一億二、三千万使っていると思います。そのほかに高等学校卒業生の問題ですが、これがなかなかない。東京あたりではさっきあなたがおっしゃったとおり実に困難である。それでどこに余裕があるかというと、やはり東北だとか九州あたりとかいうところにわりあいにあるということで、中学卒業生を採用して、それを国鉄が養成する、こういうようなことでやっております。要するに、経費の関係からできるだけ少ない人間で合理化によってやっていくということはいいのですが、できないものはできない。できるようにするよりか方法はないのです。これはたとえ懇談会で何と言おうが、かんと言おうが、やはりできるようにする。これは必要の法則上やむを得ないと思っております。これは運輸大臣にもよく御了解を得、政府の御了解も得て、できるだけ合理化はするが、必要やむを得ざるものはこれをふやしてもらう、私こういうことにする以外に方法はないと思います。
  233. 正示啓次郎

    ○正示主査代理 続いて肥田次郎君。
  234. 肥田次郎

    肥田分科員 まず要点的にお伺いをいたしたいのは、これはここ数年来絶えず一応当初の予算の中では要求されながら、そのたびごとにオミットになっておるところの都市鉄道高架化公団、こういう名称になっておりますが、実際には地方鉄道の大都市の都心へ乗り入れるものに対する高架化あるいは地下化、こういうものに対して事業団的なものに資金を与えて、そしてこれをすみやかに高架化、地下化の実現をはかっていく、こういう精神のものであったと思うのであります。したがって、これは運輸省の省議であるから必ず実現をする、こういうことをたびたび聞いてまいったのですが、本年も結局これは流産、こういうことになってしまいました。これは少し前口上が長くなりますが、実際にこの予算化をやって具体的にこれに手をつけないと、今日のいわゆる都心をターミナルに持つところの地方鉄道、これがまだまだ路面を走っておるところが多いのでありまして、これらが結局は都市におけるところの交通困難のもとになる、交通の渋滞のもとになる、こういうことになっておると思うのでありまして、どうしてこれが毎年要求されながらも結オミットされてしまうのか、この点についてお聞かせを願いたいと思います。
  235. 佐藤光夫

    ○佐藤(光)政府委員 大都市及びその周辺における踏切道の抜本的改良をはかるために、お説のようにここ三回にわたって都市鉄道高架化公団の要求を出したことはお話のとおりであります。ただその内容といたしまして具体的に経費の負担その他の問題がございますので、十分にこれらについての折衝が完了いたしませんで、そのような公団の要求が実現しなかったということもお話のとおりでございます。ただこの踏切道の抜本的改良というのは、おっしゃるように十分必要なことでありますので、今後いろいろの方法を考えまして、この目的を達するようになおわれわれとしては努力をしていきたい、こういう考えでございます。   〔正示主査代理退席、主査着席〕
  236. 肥田次郎

    肥田分科員 これはやはりどうしてもこの責任者であるところの大臣の所信を聞いておかなければならないわけですが、いわゆる省議できまったどうしても必要やむを得ざる方針という、この範囲に属するものがなぜこうして二年も三年も流産をしてしまうのか、次のいわゆる予算準備の際にこれに対してどういうような処置をおとりになるのか、これは大臣にひとつお考えを承っておきたいと思います。
  237. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 御質問の都市鉄道高架化公団は、三回にわたって予算要求が行なわれたが、遺憾ながらまだ成立を見るに至っておりません。しかしながら、都市鉄道の高架化はぜひとも促進すべきものであるというので、その実現については今後検討を続けておりますが、これは今度の七カ年計画の中にも乗り入れ問題について相当研究されているようでございますから、これと並行してこの問題もひとつ善処していきたい、かように考えております。
  238. 肥田次郎

    肥田分科員 これは、私はいままでたびたびこの問題に対する考え方を承ったのですが、先ほども申し上げましたように、これは省議で決定したどうしても必要なことなんだ、こういうことなんです。そういう重大な省の決定に基づくものが、三年間もそのまま予算の上では黙殺されてしまう、こういうことになってまいりますと、それはなるほど金を出し渋る大蔵省が悪いということにはなりますけれども、この必要性に対する政府の認識の度合いということが問題になるのじゃないかと思うのです。ですから、どうかひとつ大臣、この問題についてはもう三年目ですから、これをもう最後にして、この次の予算には必ずこれが計上され、実際に着手されてくる。もちろん私は、これが公団かどうかという、その名称についてこだわるものではありません。要は、そういうことに必要な一つの事業計画というものが省の方針として実現せなければならぬ、こう思いますので、これに対してはぜひ次年度にはこれが実現するように御努力を願いたいと思うのであります。  それからその次に、今度は自動車関係の予算についてお伺いしたいと思いますが、年間の自動車の増車率、こういうものは今年度はどういうふうに計算されておりますか。
  239. 坪井為次

    ○坪井政府委員 四十年の三月の推定で七百十八万一千、四十一年三月現在の推定としまして八百五十四万七千、大体そういった推定をいたしております。
  240. 肥田次郎

    肥田分科員 そうすると、大体今年度は百二、三十万台の増、こういうふうに見ておられるわけですね。そこで私疑問に思うのは、この自動車関係の予算で特別会計で要求せられたところの人員ですが、これは聞くところによると二百五十名の要求をされた。これらの所要人員というのは、いまお答えになったようなことしのいわゆる自動車の増車率百二、三十万台、こういうものを含め、その他の車検一切のものを含めて、それがために二百五十名程度の増員がどうしても必要だということで要求された、こういうふうに承っておったところが、実際査定ではこれは百五名になっておりますね。これで仕事ができますか。二百五十名要求をして、そうして百五名の査定をもらって、それで納得する。そうすると、皮肉を言うわけじゃないですが、二百五十名というのはサバ読みだ、こういうふうにとられることになる。それがそうじゃなしに、実際にどうしてもほんとうは三百名も三百五十名もほしいんだけれども、内輪に要求したのが二百五十名、それをさらに削られて百五名になった、こういうことになるのですか、いかがですか。
  241. 坪井為次

    ○坪井政府委員 車検特別会計で二百五十名要求しまして、百五名の査定を受けたわけであります。この要員関係につきましては、例年相当な大幅な要求を出しておりまして、たとえば三十八年では五十人の増員、三十九年では七十五人の増員、こういった数字でございまして、四十年としては相当大幅な百五名の増員をいただいたということでございます。まあ、これで完全に果たせるかという問題は残っておりまするけれども、この要員でできる限り完全な検査を行なっていきたい、そういうふうに思っております。
  242. 肥田次郎

    肥田分科員 二百五十名要求して、そして百五名で完全にやれるという自信がおありですかと聞いたのですが、あなたのほうは、努力という、努力範囲というお答えと聞いていいのですか。それとも、二百五十名でなければどうしてもやれないという、掛け値のない、百五名ではどうにもならないということには、これはならないんでしょうか、どうでしょう。
  243. 坪井為次

    ○坪井政府委員 三十八年、三十九年、いずれも同じような車両増があったわけでございまして、四十年もその推定から、一応要求としては二百五十名という数字が出たわけでございますが、実績関係におきましては、三十八年、三十九年、いずれも五十人、七十五人と消化をしてきた。必ずしも十分とは言えませんけれども、消化をしてきた。ですから、今年度百五人というのは、われわれとしては相当めんどうをみていただいたというふうに考えております。
  244. 肥田次郎

    肥田分科員 運輸白書を見ても、最近の自動車の増車率というものは、ここしばらくはまだこの状態を上回りつつ、変わらないだろう、こういうふうにいわれておるんです。われわれは車検場その他をときどき見るのですが、実際にこれはたいへんな仕事なんですね。それで、あなたのほうでは当然この二百五十名というのは最少限必要だというので要求された。それを百五名に削られた。私は、この百五名に削られたということは、もう当初の作業能率というものに対して非常な低下を来たすだろう、これはこの時間内でどれだけの作業密度になるかというようなことを、いまここで言うわけじゃないのですが、とにかく支障を来たすことは間違いないと思う。ですから、そういう範囲において査定がやむを得ないというようなことなら、あなた方の要求というのは無責任なことになってくる、そういうことになると私は思うんですよ。そうでしょう。ですから、二百五十名要求して百五名しかとれない、こういうことなら、次年度に対するいわゆるかまえというものは、どういうおつもりでおやりになるのですか。
  245. 坪井為次

    ○坪井政府委員 二百五十名の中には、われわれとしましては、特別会計の管理要員というようなものも含めて要求いたしておりまして、そういった部門につきましては相当やり繰りをしましてまかなっていきたい。そしてほんとうの現場の第一線事務だけについて百五名を全部充当していきたい。それによってこなしていきたい、そういうふうに思っているわけです。
  246. 肥田次郎

    肥田分科員 これは、自動車局長、結局あなたの責任の範囲になりますから、大臣の御協力も当然あることと思うのですが、次年度の要求には二百五十名要求して、そして百五名という、そういうような削られ方で満足することのないように願いたい。そうしなければ、実際に最近の増車率を見ても、実際に検車の場で立ち合っている要員の仕事の量から見ても、これは無理ですよ。私は、その人たちがどういう仕事をしているか、どんな苦労をしているかということを一つ一つは取り上げて申しませんけれども、これはよほど重大な決心を持って、来年度の予算の中には、この要員の確保ということについては、ぜひ確保するという心がまえというものをお持ちになりませんと、積もり積もってたいへんなことになると思いますから、特にその点について、来年度のかまえというものを、これは大臣にひとつお伺いしておきたいと思います。
  247. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 いま、その仕事に対してふさわしい人が要ることは言うまでもないことでありまして、いまの自動車の激増は、いま自動車局長の言いましたとおりでございまして、これに正比例した検査官なり、あるいは指導員なり、あるいは監督官なりが必要でなければなりませんから、局長のほうから増員要求をせられました人員に対しまして、確保するように極力努力いたします。
  248. 肥田次郎

    肥田分科員 その次に、これは重要な問題でございますので、これもひとつ予算上のことしのことを——これは予算委員会の関係では専門の人が言うてくれると思いますから私は簡単に申しますが、同じく自動車の関係の要求の中に自動車事故対策というのがあります。この自動車事故対策では、やっと二千百万円。これで何をおやりになるのかということで伺ったところ、高速道路の事故防止だ、あるいはいろいろな事故防止、こういうことについて調査研究をやっていく、こういうふうにお考えのようでありまして、これはもう全く必要なことです。われわれがよく耳にするのは、事故の大半は、たとえば踏切線路上におけるところのエンジンストップや、あるいはブレーキ故障、こういうことで列車と自動車とが衝突する、ダンプカーが衝突する、トラックが衝突する、こういう事故が大きな事故の原因になっている。それから高速道路においても、やはりほとんど自動車の整備不十分ということが事故の原因になっておりますから、これらを調査されることはまことにけっこうなことだと思う。ところが、二千万円程度のもので一体どれだけの調査や実験というものがおやりになれるか、疑問を持つのですね。ですから私は、予算をお取りになる際に、もちろん最善の努力をされるとは思うのですが、必要な予算を取る際に、その必要なもののいわゆる理解というものが相手方に十分でなければ、これはただ単に要求をして、査定が終わればそれで泣き寝入り、こういうことになると思うのでありまして、これらに対しても、次年度に対する考え方をいまからおきめになっておく必要があるだろう、こういうことが一つ。  それからもう一つは、この同じ作業の中に、自動車損害保険の加入漏れを防いでいくという項目がうたわれておりますが、現在この加入漏れはどの程度ありますか。
  249. 坪井為次

    ○坪井政府委員 自動車損害賠償責任保険の加入率の問題でございますが、これは三十一年に発足しまして、保険加入率が大体七四%から七七%くらい、非常に低下しておったわけでございますが、その後ステッカーの制度によりまして、車検と保険とを一緒にしなければ車検を受けられないというような制度に切りかえまして、加入率は、三十七年が八七%、三十八年度には九六%、非常に向上いたしておりまして、最近ではほとんど一〇〇%近くなっていると思います。
  250. 肥田次郎

    肥田分科員 九六%という率は非常によくなったと思います。そこで局長、特に私はこれは希望として申し上げておきますが、こういうことを今日でもなお聞くのです。それはどういうことかというと、自動車の事故を起こす、そうすると、加害者側の自動車が、そういうものに限って自動車損害保険に入っておらない、こういうのがあります。いろいろ賠償について話し合いを進めていっても、相手方が支払い能力がない。話をしている間にどっかに飛んで消えてしまう。こういういわば種類としてはもうろう運転手に近いような者がおるのです。これは車を持っておる者にも責任がある。だけれども、結局そこらがあいまいにされてしまう。これが一番悲惨なんですね。被害者側が損害を要求しても、相手方には能力がない、そして補償をもらおうと思っても、これは未加入の不法な車の所有者である。こういう事故をまだ今日でもよく耳にいたします。ですから、先ほどの二千万円程度のもので、こういういろいろな仕事をおやりになろうということはたいへんなことですから、もっと予算なら予算を出すように要求されて、そうしてほんとうに必要な当面の仕事を十分おやりになる、こういうことが必要であろうと思うのであります。来年の対策について、局長の決心、それから大臣も当然これは御協力いただけると思うので、この点もはっきりしておいていただきたいと思います。
  251. 坪井為次

    ○坪井政府委員 ただいまの保険に加入してない車が事故を起こした場合、あるいはひき逃げのような場合には、国が被害者に対して補償することになっておりますので、被害者については一応保険がかかってなくても救済できるという措置がとられております。  それから事故防止一般につきましては、自動車局として本年度重点施策としていろいろ予算折衝にも臨んだのでございますが、われわれの期待どおりのものは得られませんでしたが、なおこういった情勢下でわれわれとしては最重点の項目として今後も臨んでいきたいと思います。
  252. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 この自動車事故防止の問題に対しましては、今年の初閣議において、人命尊重に対する問題について人命尊重国民会議というようなものをつくりまして、各省ともそれぞれの観点から協力するということになっておりますが、特に自動車のほうは、一万三千人も自動車事故でなくなるのでございますから、おっしゃるように、これを厳重にわれわれのほうはわれわれの担当している面について努力を続けていきたいと思っております。
  253. 肥田次郎

    肥田分科員 先立つものは金ですから、ぜひこの必要な予算だけは責任を持って確保する、こういう態度で臨んでいただきたいと思います。  それから、これはいろいろな関係で聞いておるのですが、どうしてもなかなかはっきりいたしませんので、特にこの際、運輸大臣それから鉄監局長から、これらに対する基本的な考え方というものを承っておきたいのですが、それは、いわゆる鉄道建設公団というものができました。ところが、この公団という形はできたのですが、これにまだ魂が入らぬ。したがって、いろいろな計画が不十分なままで今日にきておる、こういうのが実情であろうと思います。そういうような問題の中で、新線建設の関係から、いわゆる地方鉄道とのいろいろな問題が起こってまいります。たとえばこの例を一つとってみましても、これは十号線ですか、時間がかかりますから、その点は省略しますが、今市から会津滝ノ原、ここに新線の工事線がきまりました。この今市から会津滝ノ原間で、東武鉄道のいわゆる鬼怒川線、これとの関係がありまして、これについて、これを併用するのか、あるいは別に線路をつくるのかというようなことについては、これは折衝事項、検討事項、こういうふうになっておるようであります。それから塩津から浜大津、これには江若線というのがございまして、この江若線がやはり同じような問題点になってきておる。それからもう一つは、宮澤から河守、いわゆる宮守線というのが、これはまだそこまで行かないで、宮澤から河守まで行って、そうして河守から今度北丹につないで——これは私の考えですが、北丹につないで、そして福知山まで行く、こういう関係になっております。ただしこの線路については、宮澤から河守までの関係を明らかにされておるけれども、河守から、しからば福知山まではどのような関係をとるのかということが明らかにされておらない。  それからもう一つは、高知県にあります後免から牟岐というところまで、これも着工線ということにきまっておりますが、これは土佐電鉄の並行という問題が出てまいりました。ここで私がこの考え方をお聞きしたいというのは、たとえば土佐電の関係を見ましても、こういうことがわれわれの耳に入りました。それは、土佐電の関係で、現在あるところの既設の鉄道についてのいろいろな補修、それから施設の関係、こういうものについて予算を会社のほうから出しておる、それらの計画について組合のほうでいろいろただしてみると、結局計画は出してみたけれども、それらはいつの間にやらすぱっとそのまま打ち切ってしまっておる、こういうことが言われておる。この組合の申しますのには、会社のほうでは、後免から牟岐までの国鉄の新線というものに対して、土佐電を売ってしまうつもりなのかどうなのか、その点がはっきりしない。したがって、施設の関係では、これはきわめてあいまいな経営をしておる、こういうことで一度その真意を確かめてくれないか、こういう問題がございました。  それから宮澤——河守間の建設については、北丹というものとどのような関係でこれが運営されるのか、あるいはさらにこれを新線建設、いわゆる予定線として、鉄道敷設上の手続を正規にとつて、そうしてこれらのあとの問題については、いわゆる方針どおりいくということになるのかというような問題、それから塩津から浜大津間におきましても、組合のほうでは、身分の問題あるいはその他の待遇の問題、こういうふうなものについていろいろと心配をしておるけれども、会社のほうは、きわめて冷淡だ、こういうのであります。結局これを要約いたしますと、私鉄と併合し、あるいは当然私鉄の終点までつなぐのだから、あとはそれを併用するのだろう、あるいは国鉄が買収するのか、こういうふうなことを思いながら、いつも不安にかられて、いわゆる鉄道輸送に従事しておる、こういうことであります。これはいわゆる運転保安上まことに重大な問題でありまして、これらに対しては、すみやかに明確な方向を示してやる必要があるのではないか、こういうふうに思うのであります。補償の問題、あるいは買収するなら買収する、買収した場合には身分はどうなるか、こういうふうなことについて、少なくとも現在の従業員が安心をして乗務できるように、こういうことが行なわれなければ、私は、非常に不安定なままで運転をしておるので、いつ事故がこういうところで起きるかわからぬ。そういう懸念があります。その他にもあると思うのですが、当面こういう四つの関係がありまして、それぞれの訴えを聞いておりますので、こうしたような既設の地方鉄道と、それから新しく建設するところの新線建設との将来の関係について、その基本的なものを、ただ文書で、そういう際にはどうします。こうしますということじゃなしに、少なくとも現在の従業員が不安を感じないように、買収するなら買収するとして、将来が保障されるような、そういうことを私は考えてもらわなければならぬと思うのでありますが、これらについて、時間もだいぶ迫ってきましたから、ひとつ簡単に明確なお答えをいただきたいと思います。
  254. 佐藤光夫

    ○佐藤(光)政府委員 お話のように、建設公団建設する工事線が六十二線ございますが、それと関係ある私鉄が十六線ございます。御指摘のように、二つの大きな形に分けられると思います。一つは、比較的並行して計画されておる場合、もう一つは宮守線のお話のように、建設線に接続して私鉄がある場合の二つでございます。前者につきましては、建設審議会の答申にも十分調整をとってやれという趣旨の答申がございますし、具体的建設のしかたについても、たとえばお話の野岩線につきましては、東武鉄道と十分調整をとってやるということに方針として相なっているわけでございます。他の線につきましても、お話のように、具体的の建設工事が進む段階において、十分打ち合わせをいたしまして、場合によっては、新線建設のために運営ができなくなった場合には廃止補償、あるいは利益の減じた場合には減益補償という問題もございましょうし、いずれにしても円満に工事ができるように、十分関係の私鉄と打ち合わせをして、特に御指摘の、要員の処理等についても不安がないようにやらせるように、われわれとしても公団指導したいと考えております。宮守線につきましては若干事情が違いますが、これも一貫輸送という観点から、どういうふうに具体的にするかという問題につきましては、なお今後十分われわれとしても検討していきたいと考えている次第でございます。
  255. 肥田次郎

    肥田分科員 大体お考えはわかりましたが、一番問題になるのは、こういううわさがそれぞれから出るのです。たとえば、おまえのところの関係は二、三億で買収してしまってやる、こういう話が耳に入る、こういうのです。実際に、常識的にそういうことがないような話が耳に入ります。どこから出るのか知りませんけれども。そういういわゆる風説が流れるのではなしに、たとえば宮守線にいたしましても、宮澤から河守までいくということがきまった。ところがそれから先の計画というものが明示されないのですね。ですから、当然これは買収してくれ、いやいやおまえのところのぼろ鉄道は買収ではないのだ、あるいは二束三文で補償金をもらったら終わりになるのだ、こんな二つの情報が流れてくる。これが問題だ。ですからこれを監督局であるところの運輸省の方針がはっきりしさえすれば、これらの不安というものは一掃されるのでありまして、少なくとも今日まで営々として経営をし、それに従事してきた労働者、こういうものが、その新線が建設されるために、失業したりあるいは従来よりも待遇が悪くなっていろいろなうき目を見る、こういうことがないように、厳重に戒めてもらいたい。この方針を立てられるのは、これは運輸省だけだろうと思う。国鉄あるいは鉄道建設公団なんかにいたしましては、そこまで考え方の及ばない場合が生まれてくると思う。これは運輸省の方針として、これらに対しては少なくとも現状を破壊するようなことはない、従業員の身分については現状より悪くなるようなことはない、こういう点は保障されなければならないし、それからさらに一歩を進めて、企業の将来についても、乗客の利便ということが中心になって、結局その企業が新しく新線が建設されたために死んでしまう、こういうことがあっても、これはやはり片手落ちになると思いますので、この点は特にひとつはっきりした、いわゆるそういう範囲の考え方をもって臨んでいいあかどうか、これは大臣のお答えをいただいておきたいと思います。
  256. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 ただいまお話しになりました国鉄との関連のある十六線に対しましては、それはもし買収するようなものがありましたならば、それは相当な評価機関において評価をし、また賃借りをするような場合もあります。一部分できて、一部分私設鉄道を賃借りする、たとえば北海道の場合でも、従来の私設鉄道を賃借りしておりますが、それも両方で査定をいたしまして、借り賃をきめてやっているというように、公平に扱っておりまして、二束三文にたたいて安く買うような、そんな不公平なことは、国家の機関でございますから、いたさないつもりでございます。特に先ほどお話しになりました野岩線のごときは、東武鉄道との関係の競合がありますが、これは長年の間の問題でありまして、福島県と栃木県とをつなぐ国鉄のほうが欠けておるのでありますから、これは貫通いたしまして、両方のダイヤをきめる場合に、譲り合ってダイヤをきめれば、お互いに客を取り合わなくてもいけるというようなこともありますので、その辺は円満に、また厳格にやっていきたいと思っております。
  257. 肥田次郎

    肥田分科員 そういうお考えで進んでいただけるということで、また問題があればそのときに、その問題についてお聞きしたいことがあればお聞きいたします。  問題点は、やはり私もいろいろとこの訴えを聞いてみますと、この新線建設ということによって、いろいろと混乱を生じておる面がありますので、要は最近の一つの新しい傾向として、国鉄も民間鉄道へ乗り入れ、それから民間鉄道も国鉄のほうへ乗り入れていく、こういう形が逐次とられております。これはもちろん、それぞれの線路基準というものが国鉄に合致するようなものに格上げされなければ実現しないことでありますが、そういう方向に進むことがこれからのいわゆる交通形態であろうと思いますので、特にその点について、運輸省の強力な指導をお願いいたしたいと思います。
  258. 今松治郎

    ○今松主査 肥田君、急いでください。
  259. 肥田次郎

    肥田分科員 それから、時間を超過いたしましてまことに恐縮ですが、どうしてもお聞きしたいことがありますので、簡単にお聞きしたいと思います。それは、運輸省の中の自動車と鉄道におけるところの監督上の問題であります。これを簡単に申し上げますと、一畑電鉄と石見交通の問題であります。これはすでに御承知のように、四十年二月一日に両社が合併するということで運輸省の認可をもらった、そして合併準備を進めておりました。ところが、その準備を進めておるのに根本的な手抜かりがあった。その手抜かりとは一体どういうことかと申しますと、石見と一畑との労働条件に相当の相違があった。たとえば車掌は四千円、運転手は八千円くらいの収入減になるということが表面に出ないままに、会社のほうでいろいろと打ち合わせをやっておったようでありますが、最後にこれが紛争の争点になって、結局これが解決できないので、一畑の会社側から一方的に石見の会社に対して、合併については解約の通告をした、こういうことがいわれておりまして、私の手元へその解約の通告文というのが届いてまいりました。これは私は、いろいろと合併条件ということに問題があったとしても、とにかく合併をするということで政府の認可をもらった、そして合併に準備を進めていった。それを聞いてみると、事前に当局のほうに連絡することなしに、一方的にいわゆる合併中止、合併はもうやめた、中止というのははっきりいうとやめた、もうおまえのところとは合併しないぞ、こういう通告をしたというのであります。これではいかにも運輸省指導というものを軽視したといいますか、無視したといいますか、まことに言語道断の処置だと思います。こういうことが一件あります。  それからもう一つは、これは井笠鉄道、これも鉄道という名前でありますけれども、ここでもバスが主体であります。昨年から労働条件に端を発した紛争が続いておりました。これは争議上の問題でありますからよいといたしましょう。ところが、争議が行なわれておらないのに、長時日にわたって、バスの運行時間表を、通告しないで、かってにいわゆる欠行した。御承知のように、バスの停留所には何時と何時にバスが動くという時間表がありますが、それに対して半分程度のものしか車を動かしておらない、こういうことがございまして、そのために利用者からまことにけしからぬという不満の声が出ておるという事実がありました。それから、同じく争議中でありますが、無経験者を臨時雇用して、そして鉄道の事掌として乗務させた。当人からも、私はこういうことで鉄道の車掌になりましたというふうな書類が一々届いておりますが、これを見てみると、会社が一つの争議の手段として、いままで会社をやめていった者、あるいは無経験な者を雇ってきて、そして臨時にこれを車に乗せて——あれは気動車ですから、気動車に乗せて、車掌をやらせたり運転をやらせたりしておる、こういうことがありました。それから、ワンマン・カーというのは、それぞれ免許をもらってワンマン運転をやっておりますが、これも争議手段の中で、会社のほうでかってに運転手だけで車の運転をやって、乗客を輸送しておった、こういう事実。それからもう一つは、これはよくありますように、いわゆる正統な組合と正統でない組合、正しくは第一組合と第二組合、こういう関係で、第一組合が五百名、第二組合が大体二百名ということになっておるのでありますが、その中で、五百名からおるこの第一組合に対しては時間外をやらせない。そうして、二百名程度の第二組合については時間外をやらしておる。二百時間近く——正確には百八十時間以上のオーバータイムをやっておる。これでは運転上の保安を期しがたいじゃないか、こういう訴えがありました。同時に、この偏重した取り扱いというものはいろいろな問題を起こすからというので、われわれのもとにこれの陳情がございました。  要するに、先ほどの一畑電鉄と石見交通、それから井笠鉄道、これはいずれも運輸省のそれぞれにおける輸送上の法規を全く無視した行為だ、こういうふうに考えるのであります。私は、時間がありませんので、はしょって簡単に申し上げましたが、要するに、これを結論的に申しますと、こういう無秩序な経営行為というものは、交通保安上放っておくわけにはまいらぬのじゃないか、こういう気がいたします。したがいまして、これについては、これらの三つの会社それぞれについて、運転保安上の観点からして、特別監査をやられる必要があるのではないか、こういうふうに思います。事故が起これば、よく特別監査をやられますけれども、こういう関係の中で、一人で百八十時間以上も欲ばって時間外をやっておる。くたくたになっておるに違いない。片方五百人からおるほうの人には時間外をやらせない、お前らはあぶないからと時間外をやらせない、こういう会社の不当な扱いのもとに交通輸送というものをまかしておったということには、非常に懸念が生じてきますので、これらについては、すみやかに業務上の特別監査をしてもらう必要があるのではないかと思います。  私は、これについて岡山県の基準監督局長に会いましたけれども、この局長も、どうも理解が不十分でありまして、したがって、当時、参議院の社会労働委員長の藤田藤太郎君が、これについては、国会においてその真相と問題点をはっきりさせたい、こう言っておりました。  それから、もう一つ驚いたのは、岡山県の労政課長——これは名前を秘しますが、たいへんな男がおりました。あの岡山県は三木さんというりっぱな知事がおって、職員はみなりっぱな方だと思って、われわれも、これなら話になるだろう。こういう紛争を労政課長が知らないわけはないから、すみやかに円満に解決されるようにあなたのほうで何とか手を打てないかと聞きましたところが、この労政課長は、第一組合は、このままではもうしばらくすれば消えてしまいますよ、こういうことを言っている。この会社はいわゆる同族資本ではありませんから、株主間で争いをやっております。したがってそういういろいろなことが関係をして、そして会社のほうでは、いま第二組合をつくるのに力を入れている、このままでいくと四、五カ月すると、第一組合は、いまは五百名だけれども、消えてしまいますよ、こういうことを言う労政課長。私は実にこの労政課長のことばには驚いたのです。そしてたばこを吸う手を見ましたら、高々、指に大豆ぐらいのマージャンだこをつくっている。これはたいへんな労政課長だなと思ったのですが、そういう話を聞きました。中労委も現地へ行って、とてもこの地域では調停の能力はないだろう、こういうことで、これは中労委に吸い上げて職権調停をすることになったように聞いております。いずれにいたしましても、紛争の問題を、私は皆さん方に対して問題にしておるのではありません。そういうような経営状態の中で、運輸省指導方針を全く無視したような経営をやっているということについては、これは運転保安上許しておけないから、すみやかに業務監査をやられる必要がある、こういうふうに考えますので、特に申し上げて、これについては実施していただきたいと思います。
  260. 佐藤光夫

    ○佐藤(光)政府委員 お話のように、法令を厳守させることに将来大いに努力しなければいけないと思いますが、ただ若干説明をさせていただきますと、一畑と石見の合併の問題は、申請に基づいて合併の認可をしたわけでございます。ただ、その後いろいろ問題があって、認可の実施に至らない。合併の認可は、いわゆる補完的行為でありまして、その基礎である商法上の合併契約の補完をするものでありますので、認可をしたからといって、合併を強制できる性質のものではありません。お話のように、労働条件の問題でございますので、われわれもいろいろ情勢を聞いておりますが、しばらく事態の推移を見守るよりほかはないというように考えております。  それから井笠につきましては、御指摘の具体的な法令違反の事実があるかどうか、ということが問題でございますので、現地の陸運局長に、私のほうの所管で、現実に動力車操縦の資格がなくて操縦をしたかどうかということを調査させましたが、その答えは、そういう事実はないということを一応答えております。ただ、しかし先生のお話のように、まだほかに具体的事実の御指摘がございますならば、その点は十分調査をいたしまして、法令違反のないように、将来とも注意をしてまいりたいと考えております。
  261. 肥田次郎

    肥田分科員 問題は、私は事故を起こすおそれがあるということを取り上げているわけです。そういうような経営状態の中では、必ず事故が起きます。なるほど井笠鉄道という名前は、鉄道にはなっております。一畑にしても鉄道ということにはなっておりますが、事業の主体はもうほとんどバスなのです。たとえば、七百名ばかりおる中で、百五十名ほどが井笠の場合には鉄道なのです。あとはみなバスです。一畑電鉄の場合でも、電鉄という名前ですけれども、二千名近い者がバスという状態です。一畑の場合に、鉄監局長のお答えのままでは、私は監督局長として少し人がよ過ぎると思うのですよ。あなたのほうへこの合併について認可を求めに来て、合併したい、お願いします。よろしい、準備完了ということで、あなたのほうは認可されている。ところが問題が起きて、それからの処置がけしからぬと私は言うのです。相手方の会社に対して、一方的に、合併はもう中止だ、延期ではないのです。それから一時中止ではない。合併はもう取りやめたという通告書を会社に送っておるのです。こういうことは、いかにも運輸省当局を全く無視したやり方ではないか。それを、いわゆる合併というものはそこまでの権限がないんだ、こういうふうに言われることと、それから、実際に当局に認可をもらって、当局に何の断わりもなくしてそうして一方的に合併はもうとりやめたと、こういうような態度をとること自体が、運輸省指導方針に従っておらない、いわゆる順法精神が欠けておるということになるのじゃないか、こういうことを申し上げておるのです。これは鉄監局長のほうでも自動車局長のほうでも同じ問題ですから、資料が必要なら、私のほうにございますから、差し上げますが、私は、問題点は労使の争いではなくして、そのような状態の中で運転保安上不安はないか、こういう面について、業務監査をされる必要がある、こういうことを申し上げておるのでありまして、これはぜひやっていただきたい。
  262. 佐藤光夫

    ○佐藤(光)政府委員 先ほど結論を急ぎましたので、そういうふうに申し上げましたが、なお、合併の問題については、われわれとしても、よく事情を聴取して、善処したいと思います。  それから、監査の問題でございますが、御指摘のように、井笠につきましては、地方労働委員会が、実態的な問題について、問題を取り上げておられるところでありますので、その時期等については、なお、われわれのほうにおまかせを願いまして、十分時期を考えて、必要があれば、監査をするということを考えていきたいと思います。
  263. 肥田次郎

  264. 坪井為次

    ○坪井政府委員 鉄監局長と同じ考えでございます。
  265. 今松治郎

    ○今松主査 私のほうから申し上げますが、肥田君は非常に材料を持っておるようでありますから、当局のほうで、必要があれば材料をお借りになりまして、十分検討をされることにして、この辺で打ち切っていただきたいと思います。
  266. 肥田次郎

    肥田分科員 たいへん時間を超過して、申しわけありませんでした。これで私の質問を終わります。
  267. 今松治郎

    ○今松主査 久保三郎君。
  268. 久保三郎

    久保分科員 それでは、まず第一に、航空局所管でありますが、きのうは日航のコンベア880が、脚が出ないで、最後には出て救われたのでありますが、きょうはまた日航の同じ機種であるコンベア880が、壱岐の飛行場で試験飛行に失敗して、炎上したという報道でありますが、たしか去年、このほうの専門家を集めて、航空事故調査委員会というのを専門的にやったと思うのです。そうして、それぞれ技術的な面も含めて、政策的な面も当然含め、その答申が出されているわけです。そこで、毎回のことでありますが、つい最近は、全日空の遭難機がいまだにどこへ行っているかわからぬということで、関係者の努力は多とするものはあるのでありますが、われわれは、いままで、事故あるたびに同じことを質問し、しかも運輸大臣はじめ関係者は同じ答弁をしているわけです。今度も、いま新聞を読みますと、きのうの事故で、実は運輸大臣から関係会社に、何かそれぞれ警告書というか、そういうものを発したそうであります。私は、警告書を発してはいかぬということではありませんが、それでは、いま審議中の予算の中で、航空事故対策というか、事故調査委員会の答申を盛られたものを、いかほど制度化し、予算化しているものがあるのか。ほとんどないと思うのです。しかも、きょう、壱岐の飛行場で事故を起こしたのですが、壱岐の飛行場は完全に使えるようになってないでしょう。来年度の予算を見ると、これは継続で完成ということになっておる。しかも、試験飛行には相当余裕をとった場所でやらせなければいかぬのに、ローカル空港で、滑走路も短い一おそらく千二百かそこらでしょう、そういうところをなぜ使うか。乗員の訓練、そういうものに合わせた施策がちっとも行なわれていない。ところが、この予算要求を見ますと、なるほどいままでの継続分も、もちろん要る、改良部分もあるが、新規の分もあげておる。言うならば、これは食い散らかしですね。十分に予算が取れておるなら、大幅に各ローカル空港の整備は必要でしょう。実際の予算のつけ方を見ると、どの辺かわかりませんが、改良分を入れて全部で、たしか十九億でしょう。その程度で、実は、個所づけは何カ所になっておるかということを数えると、こういうことで、いわゆる事故調査委員会の答申を受けて立った予算とは私は思えない。継続分は、いま、事故のきょうあった壱岐を入れて八、九港だろう。これは、今年度でおそらく完成であります。ところが、改良は十六ある。さらにこれから調査するのが十二ある、こういうことでいいのかどうか。だから、質問の第一点は、まず第一に、去年、権威ある皆さんをお願いして事故調査委員会をやったが、その答申をこの予算の中にどういうふうに具現しておるか。これを聞きたい。
  269. 栃内一彦

    ○栃内政府委員 ただいま仰せになりました日航事故の問題でございますが、予算の問題に入ります前に、私からきょうの事故のいままでわかりましたところを、ちょっと申し上げておきます。  壱岐の飛行場につきまして、離着陸の訓練をやっておったということでございませんので、板付の飛行場をベースにしまして、壱岐の飛行場、これはまだできておりませんが、そこでもって、いわば進入の訓練、こういうものをやっておった。したがって仰せになりましたように、千二百メートルの滑走路を予定しておりますが、ここでもって離発着をやるということではございません。次に、予算の問題でございますが、事故対策でいろいろ専門家の御意見を承りました。事故対策についての予算はかなり計上されております。たとえば、管制の自動化という問題、あるいはフライトチェックの飛行機を買うという問題、あるいは航空保安施設のVORを設置するという問題、いろいろ安全対策の予算が含まれております。それから飛行場につきまして申し上げますと、食い散らかしておるというような御批判でございますが、現在は総花的なことよりも、むしろ、いままである飛行場をできるだけよくしようという考えで、予算は要求しておるつもりでございます。したがいまして、明年度予算で御審議をいただいております飛行場のうち、新規の分は一つでございまして、今年度も、たしか一つだったと思いますが、かつて三カ所なり四カ所を新たに要求したころに比べますと、かなりしぼっておる。それから既存の空港の改良ということにかなり重点を置いております。調査団の報告結果というようなものは、かなり予算に反映しておる。また宮崎の航空大学校の訓練、これも安全につながる問題でございますが、これらにつきましても、かなり大幅な増額を認めていだいておるというようなことでございますので、調査団の結果を無視して予算要求をしたというようなことはないと思っております。
  270. 久保三郎

    久保分科員 まず一つは、壱岐の飛行場では、進入訓練で何かの障害物にひっかかったのではなかったかというのがわれわれの知っている新聞報道なんですね。未完成の飛行場で、万一があったときに安全でなければそんなことはできないのですね。新聞報道だけだからわかりませんけれども、なるほど着陸するのじゃなくて、低空で進入しながら途中から上昇するという訓練をやっておるというのですね、何というかわかりませんが。そうだとするなら、これは実際は完備された空港でやらせなければいかぬです。そういうところに問題があるんじゃないですか。しかも、離着陸しなければ、進入飛行なら未完成のところでもどこでもいうということですか、そういうことはないでしょう。だから、私が聞きたいのは、そういう未完成の飛行場でそういう訓練をやらせるところにまず一つ問題がある。もう一つは、あなたは食い散らしでないと言うが、新規は一つだと言うが、来年度予算要求は二つだ。だから私は新規を増してはいかぬということは決して言いません。だけれども、いま差し迫って改良が十分になされてないで困るというならば、そのほうへ力点を置いて、しかも数の多い、いわゆる離着陸の多い重要な空港を一つ一つつぶしていくというか、完成さしていくというねらいがなくちゃならないじゃないですか。ところがこれを見ると、前広というか何というか、広い範囲でやっておられる。まず第一にお聞きしたいが、きょうの事故は、ああいうところを使ってよろしいかという点。第二点として、いわゆる耐空試験というか、飛行機の機材というか、その整備については、これは二、三年前の航空法の改正で、あなたのほうが直接やらぬでも、指定会社のいわゆる指定の責任者がいればそのライセンスを出す、こう改正されたが、ときどき航空検査官ですか、おたくのほうのそれが行って検査しているのかどうか、まかせっぱなしなのかどうか。なるほど法律的にはまかせっぱなしでいいんだけれども、最近のような事故があると、やはりこの点も点検というか、耐空試験あるいは修理したあとの検査、こういうものが十分手が届いているのかどうか。いかがですか。
  271. 栃内一彦

    ○栃内政府委員 訓練の問題でございますが、訓練をする場合にいろいろな訓練があると思います。その場合に、離着陸訓練、いわゆるタッチ・アンド・ゴーと称しておりますが、この訓練は完成した飛行場でやらなければならないと思います。ただ、進入訓練につきましては、これはいろいろ程度の問題があると思いますが、一つの目標を定めて進入訓練をやる、その場合に、著しく低高度でやるという場合にはいろいろ問題があると思います。ただ、一定の高度でもってやるという場合には、その付近の実際の状況によりますが、状況のいかんによっては未完成の飛行場であっても、ただ単に海の上でやるとかあるいは野原の上でやるというよりも、一定の目標というものを設けてやるということのほうが訓練の効果があがるというような点もあると思います。したがいまして、今回の訓練がどのようなぐあいに実際に行なわれておったかという点を、もう少し、幸いに機長も生存しておるわけでございますから、よく調査をいたしまして、適切な訓練であったか、あるいは無理な訓練であったかという点をよく調べた上で、適当な処置をとりたい、かように考えております。  それからいまの機体の検査の問題につきましては、専門の部長がおりますので、部長から説明させます。
  272. 久保三郎

    久保分科員 きょうは、時間も制限されておるので、長い説明と言ってはたいへん失礼だが、詳細なことは要らない。私が聞きたいのは、それはいまの航空局長の説明だと、壱岐の飛行場のような未完成なところでも、いろいろあなたのおっしゃるこれ式ならばいいということになるのですか。そういうのはやめなさいと言いたいのですよ。どうですか。
  273. 栃内一彦

    ○栃内政府委員 私は、進入というものをどの程度のレベルまでの進入をやるか。単に海の上でやるよりも適当な訓練のやり方もあるいはあるのではないか。したがって、その進入の場合の降下する高度でございますとか、そういうような点、いろいろな点を私は考えなければならない、かように思います。
  274. 久保三郎

    久保分科員 あなたの言うこともわからぬわけではないが、現実に事故が起きておるのですよ。だからこの事故に基づいて私は質問しておるのですよ。きょうの事故は、飛行機が燃えちゃっているのですよ。だからやめたらいいじゃないか、こう言いたいのです。いかがですか。
  275. 栃内一彦

    ○栃内政府委員 壱岐の飛行場、これは飛行場でございませんが、予定地について、非常にあぶないような訓練は、私はやめるべきだと思います。
  276. 久保三郎

    久保分科員 やめるべきでなくて、やめさせなくちゃいかぬですね。運輸大臣航空局長から答弁がありましたが、事故調査委員会の答申を無視して予算は要求したのじゃない——私は、無視したとは言っていない。ちっともあらわれていないようだから、どうなんだ、こう言っておるのです。無視をするなんて、そんな大げさなことは言いませんよ。どうですか。  それでは航空局長に聞きます。事故調査委員会から出たおもなものは何ですか。幾つあがっているのですか。たとえば操縦士の人間の労働衛生学というか、そういう面の心理学というか、そういうような方面のこともやりなさい、あれもやりなさい。それはどうですか。そういうものはこの中になくてもできますか。
  277. 栃内一彦

    ○栃内政府委員 事故調査の答申について出たものにつきまして、いろいろなものがございます。項目としては、重要であっても金額的に少ないというようなものにつきましては、いわゆる重要な項目にはあがっておりません。いまのお尋ねの点につきましては、謝金でもって見ておるということでございます。
  278. 久保三郎

    久保分科員 運輸大臣、結論的なことをこの問題で聞きますが、とにかく事故調査委員会の答申をもう一ぺん見直して、それで足りないものは、先ほど肥田委員から質問がありましたが、人命尊重国民会議という、あれは交通安全国民会議のことらしいが、あなたのほうがヒューマニストらしくて、人命尊重国民会議ですか、これはそのとおりだと思いますが、そんな意味から言っても、事故が起きてから一々騒ぐというのじゃなくて——運輸委員会のメンバーは、いつもそういうことばかり言っておる。だからそういうことではなくて、事故調査委員会でもう一ぺん取り上げてみる。そして今度の予算要求で足りないものはどうするか。これもまず第一に、国民会議を開く前にそういう態度をきめるのが私は先決だと思うのです。だから関係会社に対しても、これはもう少し、整備の状況あるいは乗員の状態、こういうものは、一片の注意しなさいという通牒じゃなくて、やはりこの際航空局を動員して、一ぺん根底から洗うと言ってはおかしいが検査をする必要がある、指導監督をする必要がある、こう思うのですが、いかがですか。
  279. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 ただいままでの御質問、頭が下がるのであります。きのうも日中、航空局長が顔色を変えて飛んで行った。何か起こったなと思って、帰って聞いたところ、どうも足が出なくて千歳から帰ってきた、こういうことで、非常に青ざめておりまして、そのうちにニュースが入りまして、羽田へ来たら前の足が出た、こういうことを聞いてほっとしたのです。あれは百人以上乗っておるものですから、あんなことが一ぺんあったら、これはもう大ごとなんです。でございますから、あなたがおっしゃるように、ドイツの医学のことばですが、五ポンドの予防は百ポンドの治療にまさるということがありますが、答申をいただきました。万全の予算は取っておりませんけれども、それぞれ項目につきましては、十分ではありませんが、取れるだけの予算は取っておりますが、これで満足とするものではございません。人命尊重のために十全を尽くす考えでございます。
  280. 久保三郎

    久保分科員 時間もありませんから次の問題に入ります。航空局長よろしゅうございます。  海運局の関係でありますが、国際収支改善というか、いわゆる海運収支の改善というか、そういうことで中期経済計画にのっとってことしの予算も要求されたようでありますが、その数字の内容については別として、いうならば四十三年の目標年次にはせめて海運収支はとんとんにしたい。そのためには七百七十万総トンぐらいつくらなければいかぬ。今年度は二年目というか、そういうかっこうで百五十万総トンつくるということであります。そこで積み取り率どの程度になったらとんとんになるかというと、中期経済計画では、輸出が六六・四%、輸入が七三%まで上がればとんとんになる、こういうことでありますが、これはどうも毎回申し上げるようだが、これはほんとうにそういうふうに思っていらっしゃるのかどうか。それだけの積み取り比率が上がれば海運収支はとんとんになるということであるのかどうか。いかがでしょう。
  281. 沢雄次

    ○沢説明員 中期経済計画におきます海運の目標は、海運収支をとんとんにすることではございませんで、三十八年度の海運の国際収支の赤字をこれ以上増大させないようにというところに目標を置いてございます。これは国際収支のとり方はいろいろございますが、中期経済計画は、御承知のようにIMFで世界的に統一しました形で収支をとっております。このIMFで、三十八年度の国際収支約四億ドルでございますが、貿易量の増加にかかわらず、現状よりこれを悪化させないというところに目標を置いてございまして、四十三年の積み取り比率で、輸出は五五%、輸入は六四%を予定いたしております。
  282. 久保三郎

    久保分科員 そうですか。ぼくがとんとんと言っているのは、とんとんではなくて悪化させないことだな。それはよかった。それじゃ悪化させないにしても、完全に悪化させないためにも、積み取り比率をいまぼくが言うような積み取り比率にする、そういう積み取り比率になりますか。
  283. 沢雄次

    ○沢説明員 先生のおっしゃった数字と積み取り比率と違うのでございますが、中期経済計画の目標は、先ほど申し上げましたように輸出五五%、輸入六四%でございます。七百四十三万トンの船をこの経済計画でつくりましたら、この積み取り比率なり国際収支も現状より悪化しない、こういう見通しを立てたわけでございます。
  284. 久保三郎

    久保分科員 そこで最初はとんとんということでやり出したんだろうがこれは理屈にも合わぬし、とてもかなうもんじゃないということで、いまお話しのように大体悪化させないという答弁ですが、これならばどこからでも突っ込みようがないから、四十三年になったときに、悪化させなかったはずだったが悪化しましたといえばいい。そこで、いわゆるこの海運収支というものは日本の貿易構造、こういう構造的なものからくる。しかも海運という構造的なものからくる赤字で、その赤字からのがれられないという考え方から、三十八年よりは悪くしない、こういうことにしたのですか、どうです。
  285. 沢雄次

    ○沢説明員 おっしゃられますように、日本の貿易構造から見まして、輸出と輸入との物量の差がはなはだしく違いますし、それから輸送距離も伸びておりますので、日本のような現状の貿易構造で、この国際収支をIMFで黒字に転化するということはほぼ不可能に近いことでございます。それで海運企業の体力、国の全体の財政計画その他も勘案いたしまして、海運収支が無理なく増強できる、しかも国際収支を現状より悪化させないというところに、中期計画の目標を置いたわけでございます。
  286. 久保三郎

    久保分科員 先ほどあなたがおっしゃった、その積み取り比率はどういう計算で出たかわかりませんが、いまお述べになったように構造的なものからきているわけです。その積み取り比率をどういう計算でやったかを聞く必要は私はないと思うんです。これは数字に合わせるためにやったんだろうと私は見ている。何ら根拠もありません。実際これははっきりいうと、私はそう思っているんです。間違いがあれば、あとでまた訂正してもらいますが、しかもこの構造的なものをそのままにしておくわけですね。だから海運収支を改善するということならば、構造的なものにメスを入れない限りは、これは拡大はするけれども縮小はしない、こういうふうに私はとっておる。  そこで、なるほどいまの大宗物資である原材料、その中の石炭、鉄鋼あるいは石油、こういうものがありますが、こういうもののいわゆる原料供給地があまりにも遠くなっているということ、これが一つですね。これは近くに転化できないだろうかということです。これは運輸大臣だけの所管ではなくて、通産大臣の所管でもあるし、あるいは外務大臣の所管でもあるけれども運輸省はいままでに転換について関係各省に何らかの席で主張したことはあるかどうか、これが一点。時間がないからずっとやります。  それからもう一つは、いま言ったように船足が長いということでありますから、これを転換することを考えたことがあるかどうか。  もう一つ、赤字の原因はいわゆるFOBあるいはCIFというか、二つの形があるわけだ。ところが全部といっては語弊があるが、大半、特にニューヨークあるいは南米、こういうふうなところ、あるいは石油は特にそうだと思うのだが、結局自国船をかってにといっては語弊があるが、思うように使えないかきねがあるということですね。これはやはり通産大臣の所管にも関係するが、いうなら日本の外交の問題もある、大体この二つですね、赤字の原因は。だから、船をつくれば必ず積めるんだという要素はどこにもないということです。そう思うんですね。だからこういうところに金をかけるのもけっこうだが、そういう政策転換をはからぬ限りは、決定的ないわゆる海運収支の改善はあり得ないと思うんですね。ところが日本の外交は、佐藤内閣になっても同じようだが、どうも自主性、自主性というのは新聞とラジオに出ることばだけであって、実際にはないと思うんですね。われわれはここに血税を使っておりますから、転換可能なものは転換するという努力が先行しなければいけないんですな、銭を使う前に。ところがいままでのやり方は全部そのとおりで、いわゆる先さま相手で追随していく海運政策じゃないのかということです。こういうのはもはや今日では許されないし、しかも七百万というか、ことし百五十万トンだが、今年度二十次分まで入れればもっとになりますね。今年度ぐらいはやや持つが、平均してこれから二百万トン以上つくらなければならぬ、そういうものに、集約した六つのグループの海運会社が財政負担に耐えられるかどうかということです。いまのところ大体海運市況も、いうならば少し上がりぎみというか、そういうかっこうになっておるが、これをもってして将来を展望するわけには、私はいかぬと思うんですね。ところが最近のいろいろな情報を聞いてみると、海運会社の企業整備というか、そういうのも軌道に乗ってきて、計画年次よりはるかに早くなってきた、それはけっこうな話だ。けっこうな話だが、その辺に年間二百万トンずつつくっていくことが可能かどうか、私は非常に疑問があると思うんですね。だからいま申し上げた三点について、どう思われるか。
  287. 沢雄次

    ○沢説明員 第一の、船をつくれば、それだけ積み取り比率が上がるかという問題でございますが、これは海運の集約、それからOECDの加盟に際しまして、日本経済団体連合会の中におきまして、この日本船の有効利用につきまして、船主協会と、それから他の荷主団体が数回にわたって協議いたしました。それから運営の諮問機関でございます海運造船合理化審議会におきましても、この積み取り比率を上げることにつきましていろいろと御審議になりました。それで、その結果荷主側といたしましては、日本船の出します運賃が国際並みであれば、すなわち、外国からオファーしてきます運賃と同じであれば、日本船を必ず使います。特に長期契約のものにつきましては、五年、十年という長期契約のものにつきましては、外国用船が切れた場合は必ず日本船を使う、こういうお話し合いをされたわけでございます。それで、この海運集約につきまして、非常に船会社自身も合理化いたしましたし、それからいろいろ御援助によりまして、海運助成対策も一応軌道に乗りましたので、日本船もおかげさまで外国船と同じレートを出すことができるようになったわけでございます。したがいまして、今後はこの七百四十三万トンをつくりましたら、所定の積み取り比率を上げることができる、このように思っております。  それから第二点は、構造的なもので、海運が荷主についてばかりいるではないか、こういうお話でございますが、これは船会社の性格からいたしまして、やはり荷主の要望に応じて船を配船することになるわけでございますが、われわれ、政府の関係機関の一つとして、なるべく積み取り距離が短いほうが国際収支がよくなるわけでございますが、日本の近辺の鉱石、石炭類はだんだん資源が枯渇してまいりまして、たとえば鉱石につきましても、フィリピン、マレーが主要な鉱石の積み取り地でございましたのが、これが豪州、南米のほうに移っております。これは需要量がふえるほかに、近くのものが少なくなってきているわけでございます。こういう事態に対処いたしますために、われわれも船足を長くしても採算が合うように、船型をどんどん大きくしてまいっておるわけであります。  それから第三点の御質問の、これだけの建造に対して、船会社が、船会社の経営を悪化せずにこれをつくれるかというお尋ねに対しましては、これは海運造船合理化審議会においても、関係者金融機関が集まり、検討いたしまして、これだけの船は、船会社の毎年の償却前利益と申しておりますが、償却をする前のできました利益の範囲内でこれを消化していくことができる。これをつくりましても、それを実施する運賃が採算に合う運賃であるならば、これだけのものをつくっていけば、船会社の経営が悪化しないで、むしろどんどんとよくなっていくという結論を得まして、日本開発銀行はじめその他の銀行関係者が集まりまして、この計画を立てたわけでございます。
  288. 久保三郎

    久保分科員 先ほどの話で、あなたのほうで出している海運の現状では、すなわちわが国の荷主が直接船腹手当てを行なうことができるようなFOB建て輸入、CIF建て輸出の全貿易額に占める比率は、現在それぞれ三二%、六五%ということである。だから、いわゆる輸入で船腹手当ができるものは三二%、輸出が多少多くて六五%、これは残念ながら海運政策だけではいかぬ問題だと思う。そこを聞きたいのです。そういうものをそのままにしておいて船腹を拡充しても、それはちっともメリットはないとは言わぬけれども、メリットは少ないと思うのです。  それからもう一つは、海運会社が七百七十万トンの代替建造にはたえ得られる、こうおっしゃったが、現在の助成制度をそのまま続けていけばという前提条件があるのでしょう。われわれ国民としてはそんな約束はしておりません。政府も一回はしたわけなんです。海運対策は抜本的にこれだけやって、——というのは、その関係がいわゆる集約によるところの、海運二法によるところの助成策、そういう国民的な感情もあることを忘れないでいただきたいということですよ。いまの助成が続くならばという前提をとれば海運会社はやっていけませんぞ。国民大衆も海運会社に対して、これは去年から始まったのですが、その当時の世論も、海運会社が無配で、とてもじゃないがこれは国際海運の中で競争はできない、それじゃしかたがないから、その程度はやむを得ないだろうというのが大体世論の半分ぐらいだった。ところが今度は七百七十万トンつくると、それはいまやっておる助成が前提だということは話が違う。それもこれも、あなたらが言うとおりに、海運収支は悪化しないというか、改善されるというならば、これは比較検討の上でのバランスの問題ですな。だから、いままでの政策、ことし出てきた予算を中心にしての政策は、言うなれば未来永劫にいまの制度が続くものだという前提に立っている中期経済計画。ところが、金を使うほうは、これはたくさんあるのです。海運ばかりではありません。先ほどどなたかの質問にもあったように、運輸全体でもたいへんあるわけですね。そこで、あなたのほうの要求、今年度のいわゆる百五十万総トンの建造の要求は、当初は幾らだったのですか。
  289. 沢雄次

    ○沢説明員 当初は、海運資金について申し上げますと、七百十九億でございます。
  290. 久保三郎

    久保分科員 それは二十次継続分を入れてですね。ところが、当初六百七十七億の要求でしたから——当初と言っては語弊があるが……。
  291. 沢雄次

    ○沢説明員 大蔵省に出しました最終の運輸省の要求は七百十九億でございます。それまでには作業の経緯で数字を変えたこともございますが、最終的には七百十九億でございます。
  292. 久保三郎

    久保分科員 その中で、いわゆる二十一次船は二百五十九億ですね。これは融資のワクとしてはトン数に合っているわけですか。
  293. 沢雄次

    ○沢説明員 これは工程の見方がございますが、それも工程に合わせますと合っているわけでございます。ただし、工程が早くなってまいりますと途中で不足してまいるかと思います。
  294. 久保三郎

    久保分科員 工程の計算は従来どおりですか。
  295. 沢雄次

    ○沢説明員 従来より少し落としてございます。従来は四分の二工程で見ておりましたが、今年度の決定では、いま資料を持っておりませんが、四分の一・七五ぐらいかと思っております。
  296. 久保三郎

    久保分科員 当面する問題は一つはそこにありますね。こういうことではたして計画的に造船ができるかどうかということです。企業計画の問題もありますね。その辺のことを十分考えないでやることはどうかと思います。  そこで、さっきの問題、御答弁がないのですが、いわゆる船足の長いところに行けば——隣の中国は資源もたくさんある。もちろんその資源の品質については相当問題があるが、こういうのは技術改善をすれば多少品質は上がるわけですね。たとえば石炭の灰分にしても、このあたりにもつともっとそういう努力をしない限りは、やはり長いところを運ばなければならぬということである。それは考えたことがあるだろうと思いますね。  もう一つは、さっき言った邦船、いわゆる日本の荷主が手当てできる契約の問題ですね。こういうものの改善についていかなる努力をしているか。
  297. 沢雄次

    ○沢説明員 CIF、FOBの問題につきましては、確かに先生のおっしゃる面もございまして、これは日本の鉄鋼業者、主として鉄鋼関係でございますが、長期契約で鉱石を手当ていたしますのですが、これを契約いたしました当時、日本の船会社の経営の基礎もまだ確定いたしておりませんでした。それから、鉄屋さんが希望するだけの量の船を日本の船会社がはたして配船してくれるかわからないという点、それから鉄鉱はまた売り手市場であったというようなことから、CIF輸入のものが非常に多いのでございますが、これは先ほど申し上げました経済連合会その他の会合で、できる限り輸入はFOBに切りかえていただきたい、輸出はCIEに切りかえていただきたいということで、これは鉄鋼業者も真剣に検討していただいております。それから通産省のほうにもこの旨は数回にわたって申し入れをいたしております。それで現状といたしましては、CIFの輸入でございましても、もし売り手が日本船を使うことを了承する場合には、CIFでも日本船を使うというふうにいま改善をいたしてまいっております。  それから、どこからこういうものを買うかという問題は、これは商売の問題でございまして、非常にむずかしい問題だと思いますが、一つは品質の問題でございます。一つは価格の問題でございます。それからいま一つは高炉に火を入れますと、火を途中で消すことはできませんから、永続性の問題でございます。これらの三つの点を慎重に検討いたしまして、鉄鋼業者はその購入先をきめているのではないか、このように思う次第でございます。
  298. 久保三郎

    久保分科員 これは単に運輸省だけの問題じゃないので、政府全体としてそういう権造的なものを変えていくという努力をしなければ、惰性に流れた助成策で何とかうまくやっていこうというのじゃ限界があるということを言いたいのです。これは運輸大臣いかがですか、そういうふうに私は考えておりますが、そういうふうに御努力願えますか。
  299. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 やはり仰せになりましたように、通産省の商社の第三国間の輸送についても、これは貿易外収入を増すために必要であるということは、商社の働きによるものであると思います。また、船足が長くなるに従って巨船を使わなければならないということは、近くにある資源を使えということでありますが、一つの例を申し上げますと、塘沽から開れき炭あるいは大量の鉄を持ってくるということにいたしましても、あそこからは八千トンくらいの船しか入らない。そういうもので積んでくるよりも、やはりチリから十万トン、十二万トンの船で積んでくるほうが安く上がるのです。そういう点と、最近における選炭が非常に悪くなりまして、これは私が見たのじゃありませんで、それは製鉄屋に話を聞くのですが、悪くなりまして、再選炭をしなければならないといったような状況でございますので、やはりアメリカの海岸から炭を買ってくるというようなことになっておるような状況でございます。しかしながら、これは長期計画と申しますか、いまの中期計画と申しますか、これらの基本的の問題を解決つけなければ、船の輸送というものが経済のバックボーンでありますから、この経済のバックボーンの行き方というものが日本経済の中心になるのでございますので、仰せになりましたように、いろいろな面を検討いたしまして、総合的に改良を加えていかなければならないと思っております。
  300. 久保三郎

    久保分科員 時間がありませんから簡単にあと二、三お尋ねします。いまの大臣の御答弁はちょっとわかりませんけれども、先へ行きましょう。あとでまた……。  次に、太平洋客船に改装する問題でありますが、一点だけ聞きたいのです。こまかいことはあとにしますから、将来性があるのかないのかということです。
  301. 沢雄次

    ○沢説明員 これは現在太平洋に就航いたしております外国の船、アメリカン・プレジデント・ライン、これはアメリカであります。それからイギリスのP・O、これらの消席率が非常に高いのでございます。将来の航空運賃がどうなるかという問題もございましょうが、現状では非常に有望である、このように確信いたしております。
  302. 久保三郎

    久保分科員 そこで将来も運航補助は出すつもりで考えているのですか。
  303. 沢雄次

    ○沢説明員 これは太平洋客船として運航補助をつけたのではございませんで、移住船の運航補助でございます。これは半ば政府の慫慂によりまして一会社に移住船をつくらせまして——一万名余の移住者があるという予定でもってつくらせたのでございますが、その後どんどん減ってまいりまして、最近は二千名割っております。そのために大きな赤字が出ておりますので、その赤字を消すために国会の御同意を得まして補助金を出しておるわけでございますが、いつまで現在のままでやっておっても赤字はますます増大するのではないかということで、この移住船を、一歩従来と変わりますのは、ホノルルに寄せて、そして少しでも一般の客をとって赤字の幅を少なくしてくれという点が従来と変わっただけでございまして、補助金は移住船に対する移住者輸送の補助でございます。
  304. 久保三郎

    久保分科員 そこでこの件でもう一点聞きたいのですが、移住船補助で消席率五〇%見てやる、こういうことのようでありますが、それでは移住計画と大体合っているのですか。
  305. 沢雄次

    ○沢説明員 移住計画二千名の移住者の予算と、四十年度でやりますその移住計画と大体合っております。
  306. 久保三郎

    久保分科員 いままでの外務省が出す移住計画といいますか、それと、これは合ったためしがございますか。
  307. 沢雄次

    ○沢説明員 非常に接近したこともございますが、大体において実際の送出者は下回っております。
  308. 久保三郎

    久保分科員 予算をとるのに二千名というか、これで従来やっているようでありますが、二千名になったためしは今日までないですね。しかも移住政策について、私はよくわかりませんけれども、昔のような農業移民という姿はもうだんだん消えてきていると私は見ているのです。あるなら技術員ですね。これは大量じゃないのです。集団的な移住というものはそうはたくさんない。ところが、この移住計画も、それとうらはらになっている太平洋客船といいますか、そういうのもどうも私はまゆつばものだろうと思うのです。だから、さっきおっしゃるように、アメリカの船が非常に成績がいいというなら、そしてそれを目ざしてやるなら、そこを目ざしてひとつおつくりになるならいいけれども、片足はまだ移住船のほうに乗っけておいて、片足は客船のほうだ。こんなはんぱ政策ではなかなか思い切りつぎませんで、ゆるふんといいますか、ぬるま湯に入った政策だと私は思うのです。自信がない政策ですね。どっちにも自信がない。始末に困ったからこういうふうにやって様子を見ようか、腰だめ立法の政策だと思うので、これはひとつ口は悪いけれども、私らはそう思って実施にあまり賛成しかねます。  次に、内航問題は去年から引き継ぎの問題であります。内航では、前進されたいわゆる予算その他でありますか、見るところあまりかんばしいものはない、こういうふうに思っているのですが、静どうですか。
  309. 高林康一

    ○高林説明員 内航の貨物船の対策につきましては本年度五十一億でございます。昨年の予算に比較いたしまして、昨年は二十五億の戦標船の継続費が残っておりました。したがって昨年の予算が五十億でございます。そのうち二十五億の戦標船の継続費というのがございますので、実質的には昨年の内航海運対策予算に二十五億でございます。それに対しまして本年度は五十一億というふうに、相当伸びたというふうに考えております。旅客船のほうは前年同額でございます。
  310. 久保三郎

    久保分科員 参事官がおっしゃるように、額はなるほどふえていますよ。運炭機帆船の問題もあるし。ところが、いま参事官御承知のように、言うならば機帆船というのが非常に大きい転機にきていると思うのです。その転機に対して十分対応できるかどうかというと、これではやや薄いじゃないか、こういうふうにわれわれは思う。しかもこの企業は全部零細企業で、一ぱい船主です。大きい外航船のようなのは政治的な発言力もあるから、先ほど来少しいや味まじった話をしていましたが、そのくらい積極的に利益がある。ところが内航のほうは、残念ながら政治力もないし、発言権もないということで、落ち込んできている。去年のごときは、内航二法で、言うならば全船整理、過剰船腹の整理というのがまず第一点。整理する前に体質改善をやらなければ整理してはいかぬ、というのがわれわれの意見です。だから今年度こそ、言うならば内航二法を実質的にやれるかどうかのめどがつく予算でなくちゃいかぬ。そしてなるほど、あなたのおっしゃるとおり、額は多くなったが、ではそういう方向に持っていきますか。いかがですか。
  311. 高林康一

    ○高林説明員 御指摘のございましたように、現在の内航の約九〇%は一ぱい船主でございます。これをどのような方向へ持っていくか、いかにこれを強化してまいるかという点に一番問題があるわけでございます。その点、昨年の内航二法、ことに内航海運組合法によりまして、これら零細企業がそれぞれ組合を組織する。この組合の組織については、全国的に大体昨年じゅうにほぼ完了しておりますけれども、なおアウトサイダー等も相当ございます。それらの点については、さらにこのアウトサイダーの加入を組合が自主的に積極的に進めるようにやりたい。それと同時に、企業の体質改善といたしましては、やはり一ぱい船主だけでは、今後の新船を建造することはなかなか困難であるという状況もございます。それらに対応いたしますために、一ぱい船主が協同組合あるいはさらに会社というふうにして合体して、これらの今後の老朽船を解決し、そうして新鋭船を建造するということができるように——若干そういうような傾向が二、三出ておりますけれども、私どもといたしましては、極力そういう方向を伸ばしていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  312. 久保三郎

    久保分科員 時間ももう過ぎておりますので、もう一つだけにしましょう。  一つ資料を要求しておきますが、離島航路についてはちょっと疑問があるのでありますが、離島航路の整備五カ年計画というか、これに乗ったものには補助金をやる、こう書いてあります。この離島航路の整備五カ年計画というのは一体何だ。それから何のためにこれをやるのか。いままでの法律を改正するのがたてまえじゃないかと私は思っている。そのほうが大筋ですよ。ところが離島なんというところは、残念ながら恵まれないし、これまた発言権の少ないところなんですね。そこで事故もあるわけだ。今度は松浦運輸大臣だから、そういうところに多少思いやりがあるのでしょう、五カ年計画をやったやつはつけるというのだから。だけれども、なかなか離島航路なんというのはお目こぼしを食っているわけです。町村、自治体にしてもそうです。だから、これについては五カ年計画を見てからまたお尋ねします。  次に、船舶局長に最後にお尋ねするのですが、OECDの中で、最近、工業委員会でございますが、これがございます。懸案事項は、御案内のとおり、造船不況対策ということで昨年来やっているわけですが、OECDそのものが——そうですね。これについて日本としては、新たな観点から、言うならば防衛措置を講じなければならぬ、これについてどういうふうに対処されておりますか。
  313. 芥川輝孝

    ○芥川政府委員 ただいまお話しのとおり、OECDにおきまして、あそこの工業委員会で、造船問題を取り上げたわけです。そのときに、造船だけの特別作業部会を設けまして、それに対しまして、一つが造船業の現状分析、二つが各国に共通するような基本的対策の利害得失を評価した報告書、この二つの問題を出したわけでございます。そこでこの特別作業部会は非常に回を重ねまして、特に私の前任者であります藤野前船舶局長が、しばしば欧州の作業部会に出席いたしまして、結局御承知のとおり、日本が飛び離れて造船の建造量が多いわけであります。それで、同じOECDのグループの中におりましても、造船としては、競争相手国と共通の対策を出すというのは非常に難航したわけでございます。これは当然御想像していただけることと存じますが、幸い一月の末になりまして、日本も一応満足できる、したがって、若干諸外国には不満足の点があるかと存じますが、一案できまして、それを三月の中旬の工業委員会に報告する、そういう段取りになっております。その内容につきまして、ここで御説明申し上げても、まだ工業委員会が採択したものでないのでありますから、内容の御説明は省略させていただきたいと存じますが、一応いまのところ利害得失の評価という点で、大体われわれ日本側として満足できるような報告になっておると私は信じております。
  314. 久保三郎

    久保分科員 局長のいまのお話ですと、そんなに心配することはないだろう、こういう意味にとれますが、そうかもしれませんが、われわれが一番心配するのは、いままで伸びてきた造船界でありますが、御案内のとおり、造船工業は、関連産業であります下請というか、中小企業まで含めて、影響するところ非常に多いのです。だからいままでOECDを中心にして北欧三国とか、なんかあっちのほうが主体だそうでありますが、少なくとも各国が日本の造船というか、建造量に対して割り当てを押しつけるというようなことが一番心配だったと思うのです。そういう心配がないという意味に解釈してよろしいかどうか。
  315. 芥川輝孝

    ○芥川政府委員 先ほどちょっと申し上げましたように、まだ工業委員会で正式に採択されておるわけでもございませんが、一応特別作業部会でできました報告を、工業委員会に出してもいいと日本が同意いたしましたのは、ただいまおっしゃったような、割り当てのような極端なことはまず起こらないであろう、そういう見通しのもとに、同意しているわけであります。ただOECDの共通の土俵の中の勝負は、一応いまのところ形勢はいいのでございますが、しかしこのOECDをはずれたどこででも、各国ともできるのは御承知のとおりでございます。われわれとしては、むしろそちらのほうの動き、OECDの中の特殊な二、三カ国が、また別の意味で日本の造船業に攻勢をかけてくるのではないか、その点を非常に心配しているわけであります。
  316. 久保三郎

    久保分科員 とにかく、そういうふうに、産業といわれるほど業種というか職種も多いし、中小企業などにも直ちに当たりがくることでありますから、造船界の体質改善も必要だと思います。ただ、どう体質を改善するかは別として、ですがね。  それと、もう一つは、安心していいかどうかの問題が、これはいま局長がおっしゃるとおり、やってみなければわからぬ。そうなってくると、言うならば、造船政策として、それぞれの国が攻勢をかけてくるかもわからぬから、その防衛措置はどうするのかという場合に、何かわれわれのほうも負けずに助成していこうという安易な考えは、この際考えるべきでないと思うのです。前もって申し上げます。だから、われわれフェアでもって競争していくというからは、造船界の体質改善も、かたがた考えていってもらいたい、こう思うのです。  以上です。     —————————————
  317. 今松治郎

    ○今松主査 これにて運輸省所管及び日本国有鉄道関係に対する質疑は終了いたしました。  以上をもちまして、本分科会所属の運輸省所管、郵政省所管び建設省所管に対する質疑は全部終了いたしました。
  318. 今松治郎

    ○今松主査 この際、おはかりいたします。  昭和四十年度一般会計予算及び昭和四十年度特別会計予算中、運輸省郵政省及び建設省所管並びに昭和四十年度政府関係機関予算中、日本国有鉄道及び日本電信電話公社関係に対する討論採決は、先例によりまして、予算委員会に譲ることに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  319. 今松治郎

    ○今松主査 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。  これにて本分科会の議事は全部終了いたしました。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  分科員各位には、連日、長時間にわたり御協力を賜わりまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。(拍手)  これにて第五分科会を散会いたします。    午後五時五十一分散会