運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1965-02-25 第48回国会 衆議院 予算委員会第五分科会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年二月二十五日(木曜日)     午前十時十二分開議  出席分科員    主査 今松 治郎君       大竹 太郎君    上林山榮吉君       正示啓次郎君    二階堂 進君       田口 誠治君    田原 春次君       只松 祐治君    中井徳次郎君       帆足  計君    山花 秀雄君    兼務 川俣 清音君 兼務 永井勝次郎君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 松浦周太郎君  出席政府委員         運輸事務官         (大臣官房長) 堀  武夫君         運輸事務官         (大臣官房会計         課長)     須賀貞之助君         運 輸 技 官         (港湾局長)  佐藤  肇君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      佐藤 光夫君         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部長)  深草 克巳君         運輸事務官         (自動車局長) 坪井 為次君  分科員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   嶋崎  均君         気象庁次長   大森 重義君         日本国有鉄道総         裁       石田 礼助君         日本国有鉄道副         総裁      磯崎  叡君         日本国有鉄道常         務理事     豊原廉次郎君         日本国有鉄道常         務理事     今村 義雄君     ————————————— 二月二十五日  分科員水田三喜男君、片島港君、中井徳次郎君  及び山花秀雄委員辞任につき、その補欠とし  て大竹太郎君、只松祐治君、田口誠治君及び帆  足計君が委員長指名分科員に選任された。 同日  分科員大竹太郎君、田口誠治君、只松祐治君及  び帆足計委員辞任につき、その補欠として水  田三喜男君、中井徳次郎君、田原春次君及び山  花秀雄君が委員長指名分科員に選任され  た。 同日  分科員田原春次委員辞任につき、その補欠と  して片島港君が委員長指名分科員に選任さ  れた。 同日  第四分科員川俣清音君及び永井勝次郎君が本分  科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十年度一般会計予算運輸省所管  昭和四十年度特別会計予算運輸省所管  昭和四十年度政府関係機関予算運輸省所管      ————◇—————
  2. 今松治郎

    ○今松主査 これより会議を開きます。  昭和四十年度一般会計予算及び昭和四十年度特別会計予算中、運輸省所管並びに昭和四十年度政府関係機関予算中、日本国有鉄道関係を議題といたします。  質疑に先立ちまして、念のために申し上げます。本日は質疑者が多数おりますので、各質疑者の持ち時間は、本務員は一時間程度兼務員もしくは委員交代分科員になられた方は三十分程度でお願いいたします。当局の側も簡単明瞭に御答弁をお願いしたいと思います。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。大竹太郎君。
  3. 大竹太郎

    大竹分科員 は私主として私鉄関係政府施策について若干お尋ねをいたしたいのでありますが、それに先立ちまして、陸上交通に関する政府の基本的なものの考え方について、まず大臣にお聞きいたしておきたいと思うのであります。  ただばく然と陸上交通に対する基本的なものの考え方と申しても、なんでございますので、たまたま昨年の三月二十七日に陸上交通に関する交通基本問題調査会答申が出されておりますが、この答申の中で、「次のような三原則交通政策交通制度基本方針として確立する必要があると思われる。」といって、「その第一は交通手段運営すなわち建設、改良、維持、管理を、自立的に行なうような企業的経営方式をできうる限り導入すること、」「第二にこれら交通手段の創設及び運営の費用を可能な限り利用者利用の対価として負担するところの利用者負担原則確立すること。第三に各種交通手段相互間に公正な競争を確保することである。」という三つの原則答申しておるのでありますが、これに対する政府の御見解をまずお伺いしておきたいと思います。
  4. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 大体いま御指摘になりましたような基本問題調査会の三原則に基づいて従来もやっておりますが、さらにそれを強化するということでありますが、その中の特に考えなければならぬものは、私は第二と第三の問題であると思います。つまり今度の二兆九千七百二十億の問題であっても、資金の調達については、やはり公共企業体でございますから、政府投資はもちろん必要でございましょう。しかし政府負担というものは国民の税によるものであります。鉄道を多く使う人に負担させるのがほんとうか、国民全体に負担させるのがほんとうかといえば、一部は税に負担させることもいいでありましょうが、根本的には鉄道を多く利用する人に負担させるということが、自由経済下における原則である、こういうふうに思います。同時に、公共企業体であっても、第三の原則による企業問における公正な競争によって最終消費者に最もよくサービスをすることが、私は原則でなければならぬと考えます。
  5. 大竹太郎

    大竹分科員 大体この三原則の線に沿うてお考えになっておるということを前提として、これからの質問をいたしたいと思うのでございます。大体全国で見ますと、私鉄大手十四社を除きますと百二十七あると聞いておるのでありますが、三十八年度の各社の状況を見ますと、半数以上が赤字経営になっておって、その赤字総額が三十億以上に達しておるのでありますが、この点は間違いないでありましょうか。
  6. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 その表はわれわれのほうから出たものであろうと思いますが、われわれのほうから出たものであるとすれば、間違いないと思います。
  7. 大竹太郎

    大竹分科員 それで、この赤字原因でありますが、大体二つ原因があると思うのでありまして、一つは、この基本問題調査会答申にもありますように、経営外の国の社会政策的な面、また経済政策的な面から運賃を低く押えられておるということ、いま一つは、通勤、通学等が主でありますが、非常に輸送力を増強しなければならないという面、また最近非常に問題になっております交通保安の面から、非常に企業としては身分不相応な投資を余儀なくされておるという、この二つの面から赤字が出ておるというふうに考えられるのでありますが、どういうようにお考えですか。
  8. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 大体御指摘のとおりであると思いますが、国鉄がすべて、私鉄及び陸上乗りものの運賃の基準をなしておると思います。でありますから、国鉄運賃というものは相当考慮して考えられなければならぬのでありますが、国会の協賛を経なければならないということになっておりまして、当局からしばしば運賃値上げ要求をいたしますけれども、国会では、あるいは値引きをされたり、あるいは否決をされたりいたしまして、その要求は満たされておりません。したがって、今日の物価指数比較をいたしますと、運賃指数は、昭和十一年を一とすると百六十倍、諸物価購入資材まで平均いたしましても四百倍、あるいは国鉄人件費が六百倍というようなことになっておりますから、だれが経営しても赤字になる。その上に近代的な、人命尊重による保安施設を拡充していかなければならぬ、スピードアップをしなければならぬということでございますから、施設の場合のごときは、特にそれを補っていくものはやはり運賃値上げということになるのでございまして、御指摘のような原因によって赤字ができているものでございますから、この百三十社に対するものの中の最も悪い係数の出ておる、赤字の出ておるものから、なしくずし的に順次値上げをしていきたい、かように思っております。
  9. 大竹太郎

    大竹分科員 ただいま、これに対する政府赤字対策についての一端を述べられたわけでございますが、たとえば昭和四十年度の予算の面から見ましても、わずかに私鉄補助の金額が七千八百万と、前年から見ますとかなりの伸びを示しておるようでございますけれども、この程度ではなかなか赤は抜けないんじゃないかということがいわれておるのであります。ことにこの補助規定地方鉄道軌道整備法の八条三項を見ますと「経営努力がなされたにかかわらず欠損を生じたときは、」云々ということで、欠損金補助することを要すとはなっておらないで、できるとなっておるのであります。この条文は非常にうまく書かれておると思うのでありますけれども、実際の運用の面になりますと、三年間赤字で、しかもこれは、兼業のものも合わせて会社として赤字でなければ補助しないというようなこと、また三年間赤字が続かなければ補助しないというような、一方においては、先ほど申し上げましたような経営外の理由で低運賃で押えられており、しかも投資保安の面その他でさせられておりながら、この国のそれに対する補助の面は、いまの運用規定その他によって非常に弱められておるように思うのでありますが、その点についてのお考えを伺いたい。
  10. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 ただいま御指摘になりました地方鉄道軌道整備法、あるいは新線補助及び欠損補助並びに踏切道改良促進法、あるいは最近きまりました防雪施設補助等の問題について、それぞれ補助を増していかなければならぬのでございますが、三十九年度は千七百万でございましたけれども、四十年度は六千七百万。それから従来は新線二社、欠損二社、今回また四社にいたしましたから、いま八社に補助金を出しておりますが、財政状態がもっと豊かになりますれば、御指摘になりますような点においてもっと増強いたしていきたいと思いますが、御承知のような財政状態でございますので、本年は四社増強いたした程度でございます。
  11. 大竹太郎

    大竹分科員 もちろん、国の補助そのものは、予算関係もあるということでなかなかむずかしいと思うのでありますが、それならば、先ほどおっしゃったように、ことに利用者負担原則からいたしましても、急速にこの運賃の問題を考えていかなければならないと思うのであります。先ほど、ほかの公共料金との比較等のこともおっしゃったようでございますが、この答申の中でも明らかにそれを指摘しておるのでありまして、交通産業の犠牲において他の産業が繁栄するという弊風を一掃しろということが明記してあるのであります。これらの点につきまして、大きな国の経済政策という面から見てどうお考えになっておりますか。
  12. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 大竹さんのおっしゃるのは全く私も同感でございますけれども、先ほど申しましたように、大手十四社を除けば百三十社になるのですが、それを一ぺんにすっきりしたようにすればいいのでありますけれども、昨年来物価抑制のために、公共料金ストップというのを一年やりましたのですが、一年過ぎても、ケース・バイ・ケースで、がまんのできるところはがまんしてもらって、どうしても経営がむずかしくなっておるという方面から、企画庁と相談いたしまして、あまり物価に影響しない面から順に直していきたい、こういうふうに思っておりますが、基本的には、これから施設近代化並びに人命尊重による踏み切りその他保安施設拡充強化、あるいは市中を通る高架鉄道というような問題がそれぞれ迫ってくるものでありますから、これは補助金のみではとてもやっていけませんので、これらをまかなえるような運賃ということもいま検討中でございます。
  13. 大竹太郎

    大竹分科員 それで、この運賃の問題にも関連してくるのでありますが、この原則の第三に各交通企業の間の公正な自由競争をやるようにしろということがあるのでありまして、この面から考えました場合には、御承知のように地方私鉄というのは、できましてから少なくともみんな二、三十年以上たっておるものが多いわけでございまして、自動車交通というものが考えられていない時分唯一交通機関としてできた。最近は御承知のように道路が非常によくなってまいり、同時に自動車というものがむしろ地方交通の主力をなしてきているというときに、この自由な競争——一面においては鉄道運賃もペイするように上げるとか、そしてまた自動車自動車として相当運賃をきめるとしても、どうしても自動車のほうは御承知のように安くなるということからいたしますと、自由な競争をするということになれば、当然地方中小私鉄競争できないという状態になる。現在なりつつあるということが一面この赤字にもつながっているということになるわけでありますが、この点について国としてはどういうようにお考えになり、どういうように今後指導されていくつもりなんですか。
  14. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 それはやはり経営者の創意くふうということも私は必要だと思うのです。自由経済競争というものがなかったら、これは問題にならないですよ。私は、自由経済下における企業というものは企業者のものであると思ったら間違っていると思うのです。それはやはり暴利をむさぼるようなことになってしまいます。自由経済下におけるほんとうに近代的なものの考え方は、消費者のために存在するものである、消費者の便利をはかるために報酬をもらうものであるという考え方の上に立っていかなければならない。そういうためには、お互いに同じような運賃をもらっておっても、経営者がいかにしたならば他の人よりもサービスをよくしてあげられるかということをやるためには、やはり独創力というか創造力というかが必要になってくると思うのです。これはいいことじゃないかもしれませんけれども、自分鉄道付近における土地の買収をしておくとか、これはいままでずいぶんやっておりますが、あるいはその付近におけるお客を集めてくるためにバスを兼営する。それによって他のほうの鉄道に乗ろうとする人を自分のほうの鉄道バスで運んでくるということもあり、あるいは終点にホテルをつくるとかデパートをつくるというようなこともある。いろいろいまもやっておられますが、大体私鉄の七〇%はそういうようなことをやっておられます。だから運賃を上げなくてもいいというのではありません。運賃は公正に上ぐべきである。しかし、最終の目的は、最終消費者のために存在するものであるということを念頭に置いてやっていただくならば、それによっておのずと帰するところがあると思いますが、現行運賃は安いと思います。これは順次改めていく必要があるが、いまの物価にあまり影響しないような方向において善処していきたいと思っております。
  15. 大竹太郎

    大竹分科員 大体ただいまの御答弁で納得をいたしたのでございますが、大臣は、やはり大都市付近大手私鉄あるいは観光地等私鉄実情についての認識を主として、いまの御答弁をなすったのじゃないかと思うのでありまして、御承知かどうか知りませんが、四十年の二月四日の交通新聞を見ますと、三十九年度で鉄軌道——これはもちろん会社ではありませんが、一部分のものでありましょうが、鉄軌道で二十三件の路線を廃止したということが出ております。御承知のように、一面においてはバス路線のようなものは、私いまここにあれは持っておりませんからわかりませんが、相当伸びを示しつつあるということは申し上げるまでもないわけであります。鉄道はそれに引きかえて二十三件も——しかも御承知のように、バス路線をやめるのと違いまして、相当の世論の反対も押し切って、こういうように続々やめていっているというようなことから考えましても、やはり趨勢としては——もちろんいまのような企業者努力あるいは国の助成というものによって、また運賃値上げというものによって、その経営を継続し、そして改良していくことができるものもあるわけでありますが、現にこういうように廃止している鉄道があるということから見ましても、国の私鉄に対する施策というものは、いまのような積極的な面と同時に、一口にいえば先の見込みのないもの、またしたがってバス等で代替できるようなものについては、そうむずかしい目をしないで、廃止するといいますか、やめるといいますか、そういうことも国として御指導になる必要があるのではないかということを考えるわけでございまして、これからの私鉄対策というものは、一面において、どうしても必要なものについては、企業者努力と相まって国が積極的に助成指導される、そして必要のないものといっては語弊があるかもしれませんけれども、いわゆる自由競争のもとにおいて存続の価値のないものについては、やはり国の指導のもとに廃止をするという指導計画を早急にお立てになる必要があるのではないかと考えるわけでありますが、それを最後にお聞かせ願いたい。
  16. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 大竹さんのおっしゃること、われわれも全くそう思って行政をいたしております。大都市におきましては地下鉄が毎年毎年相当伸びておりまして、電車、軌道といったものをだんだんと廃止しております。また地方におきまして地方道路がだんだんと整備されてまいりまして、それと並行しておるようなぼろ鉄道と言っては悪いのですが、あまりよくない私鉄はできるだけバスにかえていくというような結果、昨年二十三線も廃止された。なお、今後地方において二級国道までは全部舗装道路になりますならば、あんながたがた列車よりも舗装道路の上をバスで行くほうがいいと思いますので、そのほうに経営者もかわるでありましょうし、またわれわれも、経営者のほうからバスにかえたいという申請があるならば、喜んでそれを許したい、かように思っております。
  17. 大竹太郎

    大竹分科員 ありがとうございました。終わります。
  18. 今松治郎

    ○今松主査 永井勝次郎君。  永井君に申し上げますが、十一時ちょっと過ぎになりますと、運輸大臣ちょっと中座したいそうでありますから、それまでに運輸大臣に……。
  19. 永井勝次郎

    永井分科員 大臣、所用で外出されるようでありますから、取り急いで大臣関係質問を二、三いたしたいと思います。  大臣が就任にあたりまして、農業気象観測の充実が必要である、こういう立場でいろいろ配慮されましたことは敬意を表する次第であります。ことに北海道の昨年の冷害凶作にあたっては、これが根本的な対策一つとして、農業気象拡充強化が必要であるという立場で、進行中の今年度の予算要求を追加して努力された考え方については、深く敬意を表する次第であります。大臣のこうした考え方で、そうしてまたその努力に対して非常にわれわれは敬意を表するのでありますけれども、その実りがあまりに少ない、ほとんどおしるしだけだという結果になっておるのでありますが、これの経過について、またこうした結果についてどういうふうにお考えになるのか。そうして、このことはすぐれた一つの見識であるし、必要な事項であるから、松浦大臣一人の考え方であって、在任中はこういうことが進められるけれども、やめられたらそれで終わりになってしまう、こういう場当たりであり、しり切れトンボであってはいけない。できなかったことは将来にさらに延ばしていくという腰のすわった計画というものが必要であろうと思うのでございますが、これらについて発想をし、実現に努力された大臣から、熱意のあるところは十分わかっておりますが、明確に経過なり結果なり、今後の対策について明示していただきたいと思います。
  20. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 永井分科員の仰せになりましたことは、むしろ私よりも永井さんのほうが御質問になりましたものにわれわれがこたえたのでございまして、当時網走支庁予算要求していなかったのです。予算要求しておったのは上川、空知、十勝、石狩の四つであります。それで一番問題になった昨年の凶作ばかりではありません。冷害凶作として問題になるのは、いまあなたの御指摘になりました地方であります。これは冷害となれば必ず、一ぺんもはずれたことのない地方であります。その一番肝心なところに農業気象がないということは、あなたの御質問に対してこたえざるを得ないことでございましたから、気象自分のほうの担当でありますけれども、自分が天に向かってつばを吐くような結果ではありますけれども、あなたの質問によって私は反省をして、これはほんとうにやらなければならぬ、こういうことで第一年目のものから予算十勝のものの残りと網走の初めの金とを取ったのであります。これで打ち切ってしまうつもりはないのであります。今後さらに農業気象に必要な地方にそれぞれの施設を設けまして、早くこれの予知対策を講じていきたいと思っております。  私は、永井さんも同様でございますが、道会議員になりましてから三十四年になりますが、その間に八回冷害があったのです。そうすると四年目に一ぺんずつ冷害がある。そういうものに対する国の施策というものはまるきり乏しいのです。その冷害はどこからくるかというと、おおむね北風の多く吹く年にくるということになれば、ひどい年は青森県、岩手県までくる。そうすると、これは結局アリューシャン群島並びにカムチャッカ、オホーツク海における冬の氷の厚さというものが北海道及び東北の農産物を左右するということになりますから、北太平洋及びオホーツク海における氷の厚さというか、寒さというものを十分研究する機関がむしろ陸地における気象台以上に必要ではないかということを最近考えるのでございます。これについて今後研究して、そういう施設機関をもちろん船になるでありましょうが考えたい、かように思っております。
  21. 永井勝次郎

    永井分科員 予算提出後のことでもあり、中間的に割り込んだ予算でもあるから、新規要求の分の予算実りが少なかったということは、ある程度了承せられるわけであります。しかし、それにしても予算に組まれている農業気象事業関係の本もとの予算総額で七千二百八十六万円、こんなわずかな予算では問題になるものではないと思うのです。そして本年度の総額はわずかに八百十九万、こんなことでは実りが多いとか少ないとかではない、少なくとも大臣一つ発想で重要な恒久対策として手を打つのだというにしてはあまりに乏しいのではないか、こう思います。それが一つ。だからそういうふうにしぼられてきた実情をはっきりしていただきたいということ。  それから、大臣もみずから経験されているように、四年に一度の北海道冷害凶作に対して政府がどのように取っ組んでいるかといえば、これは次から次と大臣以下大名行列みたいに自動車を十何台連ねて現地を視察します。現地へ行ったら沈痛な顔をして、お気の毒です、再びこういうことのないように善処する、対処する、必ず皆さんの御苦労はむだにはしない、こういうことを言って、もっぱら同情に訴え、感情に訴える。そうしてセンチメンタルな一つの取っ組み方をして、あとはみんな社会に訴えて義援金を集める、あるいは品物を集めるというような主として社会政策的な方面でもっぱら同情に訴えている。その場限りのことをやる。そうして冷厳な科学的な取っ組み方をちっともしようとしない。なぜこうなったか。大臣のように、細々でも、気象の面で、これは農業気象の体制をきちっと確立しなければいかぬというような取っ組み方をしない。だからこの凶作について農業気象の面でまあ腰のすわった取っ組み方をしてくれたということで、われわれ非常に感謝したわけです。農業の面においても、もっと寒地農業確立なら確立畑作農業確立なら確立、三年に一度、農民が不幸を見ているその中からの自然の教訓というものを、政治の上でもう少しまじめに取り上げることが必要ではないかと思う。それをちっとも取り上げない。その場限りでお気の毒です、お気の毒ですで、過ぎちまったら忘れちまう、こういうことです。農業気象の問題も、せっかく大臣がやったのだから、これはさらに生々発展する火種をここでちゃんとつくっていただきたい。私は、ことしの予算が、多い、少ない、そういうことだけを問題にするのでないのでありますが、いかがでありますか。
  22. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 まあ気象の問題についての数字については、ひとつ年次ごとの表を事務のほうから出させますが、いまの総合的な質問の精神については、これはどうも運輸省として言うんじゃなくて、国務大臣として、ひとつ私の考えを申し上げます。  私は、そういう意味において、水田耕作限界線外に水田をやるということは、これは今後考えなければいかぬ。このことは、私は自分の村が限界線でありますから、そのことをよく味わっております。そうして水田耕作の面積はまあ二十万町歩そこそこで、畑地のほうが六十五万町歩もあるわけでございます。これに対して今度豆類をつくった地方が一番打撃を受けております。あの冷害が起こるとすぐ私は、悲痛な顔をして見に行ったと、いまやじられますけれども、(永井分科員「これは大臣のことを言っているのではないですよ。いままでの冷害のときの実例を言っているんです。」と呼ぶ)私は真剣に同情してお見舞いに行ったのですが、釧路まで参りまして、根室に行こうと言ったところが、根室にはそうたいした、十勝ほどの冷害はないということでございまして、なぜそうかといえば、畜産が多い、その一事ですでにわかっておることであります。でございますから、今後この気象台のこともさることながら、北海道農業というものは、やはり国有林を開放して、草地を現在の耕地以上にふやして、そうして畜産と普通の農業とを大きくコントロールした上の農業構造改善をやらない限り、完全に冷害からのがれることはできない、かように思います。数字のことは……。
  23. 永井勝次郎

    永井分科員 数字はあとで大臣がいなくなってから聞きます。  それで大臣考え方がわかりました。ことしできなかったことは、さらに今後に引き継いで、運輸大臣として、一貫しているわけでありますから、これをやっていただきたいと思います。それについて御答弁いただきます。
  24. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 網走気象台は、手をかけたばかりでございますから、これを完成することは責任を持ちます。
  25. 永井勝次郎

    永井分科員 気象のこと、事務的なことはあとで聞きますから、大臣にだけ、次に港湾の問題についてお尋ねしたいと思うのですが、大臣承知のように、外材の輸入が非常に多くなってきた。したがって、これからの傾向は、木のあるところに製材工場、木材加工所が起こるという方向から、山元ではなくて海岸に出てきて工場を経営する、そして外材を対象にしてやるような工場が今後出てくるのではないか、こう思うのであります。  ことに北海道が産地でありながら、実際はパルプなり合板なり、そういうところに大量の材が食われて、一般材は輸入した外材に待たなければならぬというような傾向がだんだん強まってくるわけです。そういたしますと、北海道の場合、従来ソ連からいかだに組んで輸送してきたわけですが、漸次港湾で本格的な輸入受け入れ体制を確立していかなければ今後いけないと思う。それには、ああいうものでありますから、それぞれの経済圏にねらいをつけて、たとえばオホーツク沿岸なら網走港、日本海側なら留萌なり小樽港、あるいは太平洋津なら室蘭なり苫小牧なり釧路、こういうふうにおのずから経済圏の焦点がしぼられてくると思うのです。そういう方向でソ連材受け入れ体制を港湾の今後の計画の中に急速に加えていかなければならないのではないか、こういうふうに考えるわけでありますが、大臣、専門の問題でもあります。所見を伺いますとともに、新五カ年計画に対する考え方、それからオホーツク海における網走港、港湾としての受け入れ体制を整備する問題等について、所見を伺いたいと思います。
  26. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 御承知のように、木は海から入るということになりまして、来年四十年度は六千五百万石ぐらいになるのではないかと思います。それが大体従来輸出港が輸入港になる。というのは、そこに材木の輸出入に対する商売人がおるものですから、自然そういうことになる。御指摘網走港のごときも、従来輸出港でありましたから、網走に出てきたぐらいのものは網走から入ってくるということになるのでありますから、これはどうしても貯木場というものがなくてはいけない。貯木場も、この前函館のいかだが切れて、あの辺の漁民がたいへん損害を受けた記憶がありますが、そういうことのないように、完全に貯木場の中に入れて、そうしてしかもそれは貯木場が船荷証券を発行して、それで銀行から金の借りられる程度のものまでにしなければならないということが私の理想であります。今度の六千五百億の五カ年計画の中においても、全部貯木場の計画は、それぞれの港に、それぞれ要求によって計画を港湾局に立てさせております。しかし外壁の、貯木場の外回りのものは政府がやりますが、内部は利用者及び木材組合等、あるいは道庁、あるいは県庁等において補助金を出したりいろいろして、中の部分は自まかない的に県においてやる、外のほうは国費で全部やる、こういう制度で一応六千五百億の中には貯木場の関係相当組み入れてあります。
  27. 永井勝次郎

    永井分科員 そうすると、港湾の五カ年計画というのは、前期計画の継続としてこれをやるのだという性格ではなくて、新五カ年計画の樹立時点において、新しい展望を持ち、新しい性格で発足する、こういうふうに理解してよろしいわけですか。
  28. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 船型はもうこれからは五万トン以上十五万トンまでの大型にならなければ、日本は国際貿易に勝てないわけでありますから、そういう大型の船の入る港、あるいはまた一万トン以下の船の出入りする港というものに、いろいろ港の性格は変わっております。しかし、いずれも近代的な、時代に合う港にしなければなりません。その近代的の中にはいろいろあります。その地方に出る産物によっての港のつくり方があります。しかし、お説の貯木場をつくるということについては全国的の要望がありますから、その全国的の要望は、地方の事情等を十分検討いたしまして、その地方の港の呑吐力に即応するようなものを計画する考えでございます。
  29. 永井勝次郎

    永井分科員 では具体的に伺いますが、オホーツク沿岸では、網走港の埠頭用地の買収あるいは貯木場の整備、こういうふうな計画が新しく発足するとすれば、そういうふうに網走港が指定港に入っているかどうか。計画に入っているかどうか。新五カ年計画に入っているわけですか。その点をきちっと。  それから、そういう計画をするとすれば、その年次計画内容がどの程度の整備を持つか、内容について具体的に……。
  30. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 こまかしいところまでは私はわかりませんから、港湾局長からひとつ。
  31. 堀武夫

    ○堀政府委員 港湾局長もいま呼んでおりますので、港湾局長が来てからその具体的な内容についてお答えいたしたいと思います。
  32. 永井勝次郎

    永井分科員 では問題をかえまして、北海道の観光事業の整備の問題についてお伺いしたいと思います。  北海道は、夏などは観光ラッシュであります。汽車もあるいは飛行機も、バスも、ぶっつけ遊行では利用できないというほど非常にラッシュになっているわけでございます。それだけに北海道へ入ってから非常な混乱がある。宿屋において、乗り物において、いろいろ飲み食いの問題で、不整備の状態のままであります。それは、大臣、経験されておるでしょうからよくおわかりと思いますが、こういう現実の上に立って、輸送系統の上から、船と汽車とバスとの関連の問題、またホテルなり飲食なり、そうしたサービス関係というものの総合的な観光事業整備の問題について、今後、北海道の地域としてはどう対処しなければいけないか。運輸省としてどう対処しなければならないかという見解を伺いたいと思います。いろんな形が雑然とできてしまってから、それからこれを何とか整とんしなきゃならぬというのでは手おくれでありまして、そういう問題は、いま筋をきちっと立てる、そしてそこに付属的なものが設けられていくという青写真だけはきちっと立てる必要がある。そういうものがあるかどうか。ないとすれば樹立されるお考えがあるのか。あるとすればその形はどうなのか、これを明確にしていただきたい。
  33. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 御指摘のように、郷土のことを聞かれたのでありますが、これは、お互いに内輪のことですから、あまり長いことばは要りませんが、北海道は、図面で見れば非常に小さく見えますが、実際の広さは日本の二割六分五厘、約二割七分の面積があるのであります。それで人口はわずかに五百三十万というような状態でありますから、約三割のところに人口は五分というようなことですから、北海道利用せずに東京に一千万もおるなんということは私はおかしいと思うのです。  そういうわけですから、北海道の現状は、観光地として見るならば、デンマークとスイスを合わせたようなところでございますから、それにふさわしい設備をする必要があると私は思います。いまのうちにやっぱり一つの大綱を立てて進むべきである。これは事実、そういうお問いがございましたから、北海道開発長官のほうに、私のほうから進言いたしまして御意思のあるところを伝えたいと思います。  ところが、ホテルの問題、設備のそういう問題については、この間もホテルの会議がありまして、これはひとり北海道だけではございません。オリンピック目当てにつくりました東京を中心にする各ホテルは高級的なものが多いのです。高級的なものは、とてもこれだけのベットを全部年じゅう満たすことは困難であります。今後日本に観光客を多く呼び寄せるためには、高級的なものも必要でございますけれども、宿賃ももっと安くして、中小のホテルも、北海道のみならず、内地全体に必要ではないか。それは、日本はアジアにおけるスイスでありますから、アジアには金持ちの人が少い。だから、どうしても中小の人たちが安い金で長く日本にとどまることができるようにする必要があるということを、この間のホテルの会議でも決定いたしまして、そういう方向に進むことにいたしました。北海道の問題については開発関係においてやっていただきます。
  34. 永井勝次郎

    永井分科員 大臣、御用ならもうけっこうです。  それじゃ気象庁のほうにお伺いしますが、本年度の予算の数字が非常に少ないということについての解明。それから、新設の網走地区における観測所の設置個所、それをはっきりさしていただきたい。
  35. 大森重義

    ○大森説明員 お答え申し上げます。  農業気象施設の整備関係予算につきましては、先ほど永井先生が七千二百八十六万という数字をおあげになりましたが、それはおっしゃるとおりでございますが、これは新規のものだけでございます。そのほかに既定経費としてやはり七千二百万くらいついてございます。合計いたしますと一億四千五百万くらいになっているわけでございます。  なお、これは補足でございますが、農業気象は、三十四年度から東北、北海道に展開を始めまして、逐年予算的にも増額されまして、四十年度におきましては、先ほど申したような数字になっておるのでございますが、三十四年展開当初は二千万の予算でございました。これは御参考までに申し上げておきます。  それから、網走地区の農業気象網の展開の場所についてお尋ねがございましたが、これは農業気象観測所とそれから補助農業気象観測所の二つに分かれるのでございまして、これは相当——一々これは地名をあげたほうがよろしゅうございますか。
  36. 永井勝次郎

    永井分科員 ええ、町村別で。
  37. 大森重義

    ○大森説明員 それでは一応現在予定しているところを申し上げます。農業気象観測所は十一カ所でございまして、斜里、小清水、美幌、端野、訓子府、下佐呂間、佐呂間、遠軽、白滝、滝上、それから興部の十一カ所を予定いたしております。それから補助農業気象観測所といたしましては七カ所、すなわち宇登呂、津別、置戸、留辺蘂、丸瀬布、湧別、西興部の七カ所を予定いたしております。  お断わり申し上げておかなければならないのは、われわれが現在においていま申し上げたところを予定いたしておるのでございますけれども、なお現地におきましては、札幌管区気象台が中心となりまして、網走気象台等が現地の地形、あるいは通信の状態、あるいはまた、これらの観測を委託する関係がありまして、観測の受託者の選任の問題等もありますから、それらのことを考慮して多少変更することがあるかもしれないということを御了承願いたいと思います。現在では、以上申したようなところを予定いたしております。
  38. 永井勝次郎

    永井分科員 予算については、全国で総額約一億四千万円。まあ知れたものでしょう。農業気象が重要であるとするならば、その重要性に比例して予算のあまりに少額であるのに驚きます。四年から七年間かかってようやく一億四千万円にたどりついた。こういうようなところを見ても、何か気象庁の農業気象の取っ組み方がおかしいのではないか。陳情の者が来ていろいろ報告するところによると、気象庁であまりこういうのは歓迎してない、荷やっかいに思っているというふうな印象をわれわれのところに来て言うのですが、気象庁では農業気象の重要性というものをお考えになっているのかどうか、それから足手まといだというふうにお考えになっているのかどうか、その取っ組み方をはっきりさしていただきたい。
  39. 大森重義

    ○大森説明員 お答え申し上げます。  いま永井先生から、気象庁においては農業気象業務の展開についてはそう重要に考えていないのではないかというような意味のお話がございましたが、気象庁といたしましては、農業気象の重要性については十分認識しているつもりでございまして、決して足手まとい、荷やっかいというふうには考えてはおりません。  なお、予算が少額ではないか、努力のしかたが足りないではないかというお話がございましたが、今後農業気象の重要性にかんがみまして、できるだけ予算面においても努力いたしたいと考えておる次第でございます。
  40. 永井勝次郎

    永井分科員 国鉄総裁にお尋ねをいたします。  われわれ国会における質疑応答を通し、あるいは新聞等における談話を通し、国鉄総裁が、現在の国有鉄道に取っ組んでおられるかまえについては、非常に敬意を表しております。小理屈を言わないで、企業的に問題の要点をぐっとつかんで、まああたりにそれほど遠慮しないでずばずばものを言っておられる、こういう点については、われわれ敬意を表している。しかし、国鉄総裁が一人でどのように気負い立って、それからまた、いい考えがありましても、組織として問題が動いていかなければ、これは全体としてそのかまえが実現できるものではないと思うのであります。そういうような意味で、料金の問題なり、あるいは国鉄のいろいろな、線路の問題、あるいは貨車、客車等、いろいろな整備の問題——まあ言ってはみるが、実際は一つ——一つもということはなんでありますが、実勢に即したような反応を示した対策が出てこない。踏切の問題一つ考えても、たいへんなんだ、たいへんなんだと言っておるけれども、なかなかそういうものは出てこない。こういうふうにわれわれには見えるわけでありますが、そういうような、国鉄総裁としてお考えになっておるいろいろなビジョン、それからまた希望と実際の、日常の動いておるいまの仕事の状況との間には、総裁はいろいろ抵抗を感じておられるのじゃないかと思われるのでありますが、その抵抗を感じておられる点、それをひとつここでざっくばらんにばらしてもらいたい。そしてそれの抵抗はどこにあるのか。問題の解決はこれをどういうふうに排除していかなければならないかということがわれわれの仕事でありますから、そういう点をひとつこの際ざっくばらんに表明していただきたい。
  41. 石田礼助

    ○石田説明員 お答えいたします。  国鉄の現在の状況は、これは何と言われても弁解の余地なしというような状態であります。たとえば、一番手っとり早い話が、東京、大阪という都市付近の通勤の問題のごときは、まさにこれは交通地獄、それからまた、幹線における輸送にいたしましても、もうにっちもさっちもいかないような何らの余裕のない、弾力性のない状態であります。したがって、国鉄としては、国の中軸の輸送機関として、この任務を尽くすことができないような状態です。一体どうしてこういうふうになったのか。これは御承知のとおり、戦争のために国鉄というものはぶちこわされてしまった。その後アメリカの進駐軍が参って、アメリカ式の頭でもって、鉄道というものは斜陽産業なり、こういうことで一向に重要さを認めてくれぬ。また、国内においては、これからは自動車の時代であって、鉄道の時代じゃないということでもって、いわゆる国鉄というものを愛してくれぬ、その結果はどういうことかというと、終戦後三十一年まではろくすっぽ予算をちょうだいできない。わずかに一部の修理をしてそれでびほうしていくというようなかっこうだった。三十二年からようやく五カ年計画をやって、まず第一に修理をしようということで、一カ年に約千億円の予算をちょうだいしてやったのでありますが、その間に国の経済というものは非常に発展してきて、輸送需要というものはえらい勢いでふえる。国鉄はただ修理に専念して、輸送力の増強というものに対してはとても手を伸ばすわけにはいかなかった。  それからもう一つ申し上げなければならぬことは、国がこれに対して一体どういうことをやったかということです。国は昭和二十五年にわずかに四十億の出資をしただけで、あとは何も出してくれない。そういうような状況で、三十二年に至ってようやく五カ年計画でもってまず修理を完成しようということでやりましたがその修理は、大体においてできたものの、輸送力の増強というところまでいかない。三十六年に至りましてからもとてもそれではいかぬということで、第二次五カ年計画を立てて、それでようやく一年に二千億の補正予算を入れまして、約二千億の計画を立ててまいったのでありますが、それもいつも大蔵省の査定にあって、予算というものはわれわれの要求するがごとくにちょうだいできない。それがために三十二年から始めて三十八年まででようやく四割を完成しておる。三十九年になって私は初めて国鉄総裁に就任しまして、必要とする予算を思い切って、遠慮会釈なく要求したのでありますが、それも千億ぶった切られた。その後泣きついてようやく債務負担というわけのわからぬものをちょうだいして、頭をなでられた。その債務負担も、これはあなた御承知でしょうが、四百億という債務負担。しかも、これも、優先的に補正予算を組むということだったものが、わずかに五十億だけがものになっただけで三百五十億というものはどうなるのかわからぬという状態です。こういうようなことで、どうも国会にしても、政府にしても、国鉄に対する愛というものはないんだな。まず手っとり早く言えば、一向慈愛のないおやじが子供にろくすっぽ滋養もくれないでしりをひっぱたいてやっておるのが国鉄状態ですよ。だから、いまのように、毎年毎年国鉄だけが計画を立てて、そうして大蔵省のきびしい査定のもとにやっておった日には、一体いつにしてわれわれはほんとうの任務を尽くすことができるのか。こういうことを考えた結果、この前私、池田総理に話しまして、これは年々の計画というものは、国鉄計画でなくて政府計画として、ほんとうに継続的にステディに国鉄輸送力をふやすというようにやってもらわなければいかぬ。こういうことで国鉄基本問題懇談会というものができまして、そこでこれは政府の案としてやろうということで七カ年計画を立てまして、二兆九千七百二十億というものに対する予算措置は必ずやってやろう、こういうような保証を得ましたので、これは四十年からひとつ御期待に沿うようなぐあいに計画を持っていきたいと思っているのです。  いまさしむきの大きな問題は何かというと、第一は都市通勤の問題。これはあなたが朝八時から九時の間に新宿なり秋葉原に行ってごらんになればいかに危険な状態にあるかということはよくわかると思う。  その次は、幹線における輸送状態、これは、あなたは北海道の御出身なので北海道を見ればわかりますが、たとえば青函連絡船などを見てごらんなさい、いままで貴重なお客さんを運ぶのに、大部分は戦標船だ、実に危険な状態です。私は物産会社におりまして、船の商売をやっていただけに、戦標船に千人以上のお客さんを積むなんていうのは、一体何を考えているのか。民間なら、戦標船などを使っている気のきいた第一流の船会社はありはせぬ。かりに使うとしても、貨物に使うが、お客さんには使わないというようなことで、まず戦標船というものを排除して、これを優秀な船に直さなければならぬということで、ことしの八、九月ごろまでにはお客さんだけは優秀な客船、八千二百トン級の船に乗せかえようというようなことになったのでございます。  北海道における輸送状態にいたしましても、四十年からかかりまして、札幌を中心とした大動脈を複線にして電化しよう。それからまた、日本内地におきましても、たとえば東北線のごときは盛岡から青森なんというものは明治三十八年か九年に日本鉄道を買収した当時の状態のままである。にっちもさっちもいかぬ。何といっても、いくさをするには食糧と武器が必要なのである。これを出さないでいくさをしろなんてできるはずがない。どうかひとつ議会で七カ年計画ほんとうに遂行できるように、われわに十分の食糧と十分の武器を下さい、こういうことが私の大きな希望であります。そうすると、昭和十一年までの状態に持っていくことはできませんが、まだその途中ぐらいのところには持っていくことができるのではないか。こういうことをきわめて組織的にやっているのでありまして、この点はどうぞ御了承願いたいと思います。
  42. 永井勝次郎

    永井分科員 総裁はまだまだ腹がふくれているでしょうから、二分か三分より吐き出さない、まだ七、八分は腹にたまっているでしょうが、総裁が食糧と武器を与えろ、これは賃金を上げろ、運賃を上げろということに通ずると思うのですが、その問題に入っていますと時間がございませんから、それはまた別の機会に譲るといたしまして、総裁お話しのように、都市周辺は地獄で、いなかのほうはどうかといえば、各支線は総括する管理者が出てきて、そして無人駅にする、貨物を扱わない、採算に重点を置いてそろばんに合わないところはどんどん削っていく。違慮会釈なくサービスを低下している。旅客にしわ寄せしてやっている。都市周辺は地獄、地方サービス切り捨て、こういうどっちにしてもいい方向に動いていないと思うのですが、それに関連して丸通はまた中間の小さな駅のものはどんどん店を廃止するという形になりまして、採算第一主義、外にふくらまして滋養と武器とを取ってくるという、それは運賃値上げの形はどういう形になりますか、需要者にすぐ吹っかけるということは、全体としてなんでしょうが、そういう問題はそういう問題として政府部内で、国有鉄道ですから措置しなければならない問題ですが、そういういなかのほうをぶった切る。青函連絡船なんか、いま総裁のお話を聞くと、ほんとうに薄氷を踏むように、命がけで乗っておるという形になっていると思います。こういうことは何としても忍べないと思うのですが、この点に対する改善策はいかがですか。何年かの後を待て、その間はしんぼうしろ、その間は命がけで船に乗っていろ、こういうように言われたんじゃ、どうにもならぬのですが、即刻われわれの人命が——汽車旅行は命がけで乗る、水杯をして乗るということのないような、そしてまた、いなかにいてなにすれば漸次サービスが改善されていくというような希望の持てるような、前向きの条件というのはどういうふうにしてお立てになり、どのくらいの日程にそれが上るのか、その辺のところをお伺いしておきたい。
  43. 石田礼助

    ○石田説明員 お答えいたします。  これは、もう誤解がだいぶおありになるんじゃないか思いますが、国鉄は決して営利第一主義、したがって営利一点張りでやっておる、こういうようなことでは決してないのであります。国鉄公共企業体なるがゆえに、ただ独立採算制のもとにあるがゆえに、公共精神を発揮しようとしても、いま言ったようなぐあいに食糧、武器がないためになかなかできない。だから、その点は営利第一主義でやっておるということの御認識はひとつ変えていただきたい。  そうして、いま船を非常に心配して乗っておられますが、いま言ったようなぐあいに、青函連絡船は八千二百トンで、これは決して御心配になる必要はない。  ただ踏切の問題でございます。これは輸送量がふえる、自動車がふえる、そしてまた、国鉄は過密ダイヤをやっておるというようなときにあって踏切事故が非常に多かった。ところが、これは最近非常に改善されつつあるのであります。第一、国鉄でやっておる踏切対策というのは、少なくとも複線に関する限り、事故が起こったら、連鎖作用を起こして大きな事故になるという、複線に関する限りは全国で約七千足らずあるのでありますが、そのうちの三千余は警察と当方で通行を禁止しました。そうして、あとのやつに対しては、輸送の安全のために警報機をつけるとか、あるいは遮断機をつけるというようなことでもって、最近における踏切の事故は非常に減っておる。それで、それももうほとんどやってしまった。そしてあとは単線の踏切問題でありますが、これも着々としてやっておりまして、私は四十二年ごろには全部安全なものになるだろうというふうに考えております。これに対しましても、できるだけ自動車の通るところを少なくして、自動車が通るところに対しては、いま言ったような警報機をつけるとか、あるいは遮断機をつける、こういうようなことにやっておるのであります。  さらにひとつあなたに申し上げておかなければならぬことは、国鉄は公共負担というものがある。公共負担というものは何であるかといったら、政府の政策を国鉄の犠牲においてやっておるのが公共負担です。これが三十二年から三十八年までに積もり積もって四千億以上あるのであります。世界にこんなところはありやせぬ。日本だけですよ。しかもこれを独立採算でやらなければならぬ。国鉄としてはこういうものにこういう負担をかけられておるがゆえに、なかなか思うように輸送力の増強はできない。  さらにもう一つ政府がこの二兆以上の国鉄投資に対して、たった四十億しか投資してない。しかもそれは、戦前における四十億ではなくて、戦後における四十億である。そうして結果が、何か知らぬが運賃は非常に安いところに置かれている。国鉄運賃ほど安いところは世界にありゃせぬ。これも来年あたりは運賃値上げをやらざるを得ぬ。これはあなた方御希望にならぬかもしれませんけれども、都市交通の問題というものは非常な安い割引でやっておりましょう。これは借金をもってして、利息のつく金をもってしては、とうてい引き合わぬ。国鉄というものは、借金のために破産しなけれどならぬようなことになっておる。こういうものは、できるだけ利息のつかない金でやらなければならぬ。それで、いま言った公共負担というような、世界に類のないことでもって、国鉄が五千億に近い献金をいままで政府にしておるのだから、政府もひとつ四千億くらいの資本を出したらいいだろう。こういうことで第三次計画の中に織り込みまして、大蔵大臣に申しましたが、がんとしてなかなか……。こうういうことで、なかなかやりたいことは山ほどあるのですが、いま言ったように、食糧もなければ武器もないということで思うにまかせぬ。これは、だいぶ国鉄状態というものは、いなかに対するサービスが非常に悪い、こういうことを言っておりますが、北海道だってどうですか、最近、ディーゼルの準急とかなんとかいうことで、お客さんが非常にふえておる。お客さんがふえておるということは、サービスがよくなっておることだと私は考える。いま国鉄サービスも、そうばかにしたものではない。決していなかをわれわれはなにしておるのではないのだ、こういうことだけはひとつ十分お考えいただきたい。
  44. 永井勝次郎

    永井分科員 総裁とこういう話をしておるとなんですが、大体話の筋はわれわれと同感で、別になんですが、そういうワクの小さくなっている問題を、その中で独立採算制を少しでも確立しようとして、そのしわ寄せをいなかの不採算の線に持ってくるわけです。それがいけない。だからもっとワクを、土俵を広げなさい。そしてその中で地方サービスを低下させないで、もっと採算のとれるように親元のほうでしなければいかぬのじゃないかというのが私の意見なんですが、これは議論になりますし、時間がありませんので、総裁とそう考え方が違っておるわけではありませんから。  そこでお尋ねをするわけですが、北海道と本州との貨物輸送、これはそのときになって、こんなに貨物が出てきたのかという問題ではなくて、毎年季節的にきまっておるものです。きまっておる問題がちっとも改善されてない。これはもう少し、鉄道関係で不十分であれば、臨時に船でそれを緩和するとか何とかしなければならない問題じゃないか。ことに、馬であるとか、豚であるとか、こういう生きもの、魚の輸送も競合してくると十分でない。秋のバレイショとか、こういうものも、競合してくると満足に動かない。こういうことで、北海道のいろいろな仕事が——経済の問題は相場でいろいろ動くものですが、輸送の問題でこれがネックになって取引が十分できない。安心して取引ができない。こういう状態は、これは現状を現状として、将来の理想の問題は別として、現状の中でも解決する方法は幾らでもあるのではないか、もう少し解決方法はないか。この点について総裁と運輸大臣にひとつ伺いたいと思います。
  45. 石田礼助

    ○石田説明員 北海道の輸送問題について御不満のあることは十分承知しておるつもりです。それで、われわれは、まず北海道の主要幹線における複線の問題、それから電化の問題というものは、第三次計画の中には十分織り込んであります。それですからして、かすに相当の時をもってしてくださるなら、これはあなたも十分に御満足できるように、それができるだろうと思う。  まず第一に、札幌を中心として旭川まで複線にする。さらに千歳線を複線にするとか、それから苫小牧に至る輸送力をふやし、これを電化するとかいうようなことにいたしております。現在のところは青函連絡船に関する限りは輸送力は余っておる。ただ両方が輸送力が足らぬ。東北線にしても函館線にしても、これは複線にして電化するということで、来年から取りかかるということになっていて、政府がもしも第三次計画というものに対して約束を守ってくだすって十分な武器をくださるなら、これは御期待に沿うことができるということに私は考えております。
  46. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 ただいま総裁の仰せになりましたように、われわれのほうといたしましては、約束の四十一年度以降における資金を十分調達するように努力いたしまして、予定の計画が遂行できれば、したがって北海道輸送力相当増強されるものと思いますので、問題の四十一年度以降の予算を必ず調達するように、政府努力いたします。
  47. 今松治郎

    ○今松主査 だいぶ時間が超過しましたが、もう倍くらい許しておりますから、適当にお願いします。
  48. 永井勝次郎

    永井分科員 それでは最後に大臣と総裁にお尋ねしますが、観光事業ですか、北海道はまだ荒らされたといってもそれほど手を染められておりません。知床半島とか何とか、こういう新しい国立公園地帯もこれからの問題ですが、これをほうっておきますと、私鉄関係がみんな触手を伸べて、原始林の中に、土地を払い下げてくれとか何とか、もうたいへん景色を荒らして、営利目的のためにだけいろいろなことをするということが起こりかねない。でありますから、やはり鉄道関係と、それに関連する、バスとそれとホテルと——東京から車に乗せて、あとは全部運輸省関係国鉄関係で身柄をお預かりして安全にお帰ししますという、一つの総合的、一貫的観光施設の充実ということが緊急に必要でないか、主として自然の景色というものは、一度こわすと再びかえらないわけですから、そういうものを保存するということが必要ではないか。営利会社なんかに遠慮しないで、需要者に忠実な方法で勇気を持っておやりになる考えがあるかどうか、この点を最後にお尋ねします。  それから、港湾の関係答弁がなされておりませんから、特に網走港の木材輸入港としての諸施設について……。
  49. 石田礼助

    ○石田説明員 御質問の趣旨はよく承知しております。これはたとえばディーゼルの準急を走らせる、それによってお客がふえるというような部分に対しましては、各地に観光施設を充実するように、十分にPRしております。そして、そのほかに北海道に対する遊覧客の増加ということに対しては、特別のサービスを提供いたしておるのでありまして、そのために年々非常にふえているということを申し上げておきます。
  50. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 知床半島に対する新線の問題はまだ決定いたしておりませんが、大雪山を横断して十勝に出る道路はもう両方から進んでおりまして、これは道路でよく考えております。その他、将来国立公園になりそうなところに対しましては、それぞれ現在新線建設の中へ入っておりますので、これをなるだけ早く完成させたい、かように思っております。  いま港湾局長が来ましたから、網走港の問題を……。
  51. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 網走港につきましては、木材を移出するために岸壁をつくっておりますが、四十年度をもっておおむね岸壁が完成される予定でございます。
  52. 永井勝次郎

    永井分科員 船はどのくらいの大きさですか。
  53. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 三千トンくらいでございます。
  54. 今松治郎

    ○今松主査 田口誠治君。——なるべく時間を厳守して御発言を願います。
  55. 田口誠治

    田口(誠)分科員 それでは大臣のおいでになるうちに聞かなければならない点をお聞きをして、順次進めていきたいと思います。  昨年の九月の二十九日に臨時行政調査会から運輸行政全般にわたるところの意見書というものが出されておりますが、その中には小型貨物運送事業に対しては免許制を撤廃してもいいのではないか、こういう意見が出されておりまして、そして省のほうにおいてもやはりこの線に沿っていろいろと検討をされておるようでございます。私は今日までの貨物運送の歴史的な経過から見まして、これは軽率にそうした免許制廃止をとるということはきわめて危険である、こういうように考えておりまして、それには一応反対という考え方において質問を申し上げたいと思います。  大臣は十分に得存じだろうと思いますが、日本の小運送事業の発展過程の歴史を見ますと、当初は無統制な自由営業であったわけなんです。ところが、自由営業であるから、どうにか一台の車を持って、そして車庫を持って仕事をやる。無免許でございますので、そうした仕事をやっておったわけでございますが、しかし実際においては設備とか、あるいは資本が少ないというようなことからいきまして、非常に国民大衆に迷惑をかけたというのが実態であるわけでございます。大正七年ごろには全国で八千くらいの運送業者がそれぞれ事業を行なっておったわけでございます。こうした弱小な事業者が続出いたしましたために、国民大衆はどういうような点において迷惑をかけられたかということをまず一応申し上げたいと思います。  事業を行なうにはすべて利潤を得るということをまず念頭に置きます。したがって利益本位という、こういう考え方において、この貨物輸送の事業がなされておりましたために、しかもそれが免許制でない、無統制なままになされておりましたので、いろいろと国鉄等で計画的な輸送を行なおうといたしましたときにも、大きく支障を来たしておるというのが実態であるわけなのです。先ほど国鉄総裁からもお話がありましたように、何といっても国鉄は日本の経済の発展と国民の福祉の増大に、公共性を非常に高く持っておりますために、その面に対しまして貢献をしてきた功績というものは非常に多いわけなんです。そういうことでありますけれども、ただいま申しましたように、無免許制で自由営業ということから、まず国鉄の大運送の事業をスムーズに行なうことが実際的にできなかった。できなかったということは、すなわち公共的な使命を持っておるそういう重要な基幹産業の実態をほうりぱなしにされて、そして荷主と業者が話し合いをして料金等の契約をしておった。はなはだしいものは金のあるところからはよけい運賃をとり、金のないところかは運賃をとらなかった。そしてなお営利本位でありますので、あまり金のないところ、すなわち運送業者から運送料金を請求されても、請求される料金の払えないところはもう仕事を全然やってくれなかった。こういうことから国民大衆が非常に迷惑を受けたということは事実であるわけなんです。特に有価証券の関係なんかの貨物取引につきましては、微力な資本を持って経営をしておるところは、証券等においては非常に迷惑をかけまして、ときには事故等が発生をいたしましても、誠意はあってもそれを賠償するという能力がなかった。こういうことから非常に迷惑をかけておりまして、このことが問題になりまして、これでは社会的にも運送業務というものが非常に信用が落ちるということで、政府もこのままに放任しておくことはできないので、何とかこの点を解決しようというので、特定の信用ある完全な基準を設けて、その設備を持って行なう者に対して指定免許を与えた。これが今日までの歴史の実態であるわけでございます。ところがそれでもなお自由営業ということが根本から解決されておらなかったために、むしろ公認されておる運送店が続出をして、この運送店が資力がないというようなことから、先ほど申しましたように、国民大衆に対してあらゆる面において迷惑をかけると同時に、無統制なために混乱をいたしてきておるというのが実態であって、それでしびれを切らしてつくりましたのが、昭和十二年に小運送業法等が制定をされまして、営業に対するところの免許制度というものが確立したわけなんでございます。そして戦時中は特に戦争目的ということから運送店の統合を指導されまして、大きく日本通運株式会社に統合させるという方針をとられて、そういうかっこうをまずつくり上げたわけでございますが、しかし実際において戦後集中排除法とかこういう面から、これは大きな業者にひとり免許を与えるということではいけないから、一つの基準を設けて、その他の者に対しても一免許を与えるべきであるというように緩和されておるわけなんです。特に農協の特別免許のときなんかは、既存業者の仕事に大きく支障を来たして、既存業者の経営を侵すのではないかというようなことで、公聴会等では問題になりましたけれども、政治的に解決をいたしまして、そうして農協が輸送するものに対してはこれとこれとこれであるというように限定をいたしておりますけれども、現在その限定をされておるままでなく、やはりそのワクを大きく広げてやっておるというのが実態であって、現在の既存業者というものはそういう点から非常に困っておるというのが事実であるわけなんです。  それと同時に、私のほうから申し上げるついででありますから申し上げますが、先ほど石田総裁のほうからは、独立採算制、独立採算制といわれておるけれども、そういうことに頭を使っておるのではなくして、ほんとう国鉄が公共的な仕事だということで犠牲になっておるのだ、先ほども数字をもってお示しをいただきましたように、非常に多くの借財をして、この事業を遂行されておるわけなんです。  そこで私がこういう段階において特に強調をして答弁をいただきたいと思いますのは、ただいま申しましたように、輸送業務というのは全く国民生活と完全に密着した仕事でありまして、この事業の運営の仕方を誤るなれば、国民大衆に大きく影響を来たし、国民生活の上においても大きな支障を来たすことになるわけでございますので、そういう点から私は次のことをお伺いをいたしたいと思うわけでございます。  そこで最初に申し上げましたとおり、まず運輸大臣に対しましては、臨時行政調査会から、小口貨物の場合には免許制を撤廃してもいいのではないかという意見書が出ておるが、これはそういう方針をとろうとされるのかどうかといことをお聞きをいたしたい。  それから総裁に対しましては、総裁が熱心に気持ちを披瀝されまして、そうして独立採算制はとっておらないのだ、公共性をあくまでも生かすために、国民大衆へのサービスを第一義としてやっておるのだというようにお話しになりましたけども、政府のほうから国鉄に対するところの助成というようなものがあまりにもないということから、一つの例を引きますと、従来は市民大衆が荷物を国鉄に持っていく、それから運送屋が持っていくときには、一番近い駅に持っていくことができたわけです。ところが今度はそれが五つか六つの駅を集約して、そうして甲の駅でななければ取り扱わないのだということになりましたので、乙、丙、丁の駅は直接にそうした仕事ができないということになって、非常に迷惑を受けておるというわけなんです。特にそのために、業者はどうかといえば、運送屋に荷物を持ってこられたときには、すぐ店の前の駅に荷物を持っていって鉄道に託するということができずに、わざわざ車に貨物を乗せて、そうして集約された駅まで持っていく、こういうことになりまして、業者の面からいきましても、非常に経営上困難を来たしておるわけなんです。こういうような実態でございまするので、私は、この免許の撤廃というようなことにつきましては非常に慎重を期せなければならない問題であろうと思うので、まずその点についてお伺いをいたしたいと思います。
  56. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 田口さんのお説に同感であります。臨時行政調査会が昨年の九月に総理大臣に出しました答申の中では、自動車運送事業そのものの中には公共性の比較的少ないものがある。ほとんど一律に厳重な規則は緩和すべきではないかというようなこと、そしてこの問題については運用上緩和する措置をとらるべきではないか、こういうことをいってまいりました。いま検討を十分いたしておりますが、これはその付属説明資料で述べておる区域小型トラック事業の免許制撤廃論についても、いまお説になりましたように、過当競争の結果、適正な事業運営が行なわれなくなった。そして交道事故が頻発したりいたしまして、これは従来のように免許制度をこのままにするほうがいいとわれわれも思っておる次第であります。
  57. 田口誠治

    田口(誠)分科員 総裁、ちょっと私の質問、抽象的でしたけれども、大かたわかったと思いますので、ひとつ御答弁を。
  58. 石田礼助

    ○石田説明員 この問題は少し専門的になりますので、そのほうを見ております今村常務から御説明いたします。
  59. 今村義雄

    ○今村説明員 ただいま総裁が申し上げましたように、国鉄といたしましては、もちろん独立採算制という課題はあるわけでございますが、当然公共性を果たしながら、しかも能率的な運営をやらなきゃならぬという責務があるわけであります。したがいまして、われわれといたしましては、貨物の円滑なる輸送ということについては、できるだけ努力をしておるところでございますが、しかもこれがスピードを速くする、あるいは到着の日時がはっきりするというような、むしろ荷主の皆さんの利益をはかるということに最大の重点を置いて対策をやってきておるところであります。一方、道路の発達に伴いまして、自動車の機能というものは非常に目ざましい発達をしておりますので、国鉄自動車の機能を総合的に結びつけることによって、荷主さんなり、あるいは広くいえば国民生活に寄与できるんじゃないかという観点があるわけでございます。御質問の集約の問題は、確かにその駅、駅にとりましても、荷主さんに若干の御不便を与えていることは事実でございますけれども、大きな集約駅に持っていくことによりまして、スピードは速くなりますし、なお到着の明確化というような利点もございますし、また各駅停車の列車を動かさないことによって線路容量もふえるというような、いろいろな利益がございますので、大局的な観点からそういう施策をとってきたわけでございます。
  60. 田口誠治

    田口(誠)分科員 確かにいま御答弁のありましたように一利一害はございます。集約したことにおいてスピードアップに切りかえられるという点もあろうと思いまするが、ただ、そういうことから、一つの行政を行なわれる場合に犠牲になりました者に対してどう補償をするかという点について、これが現在なされておらないわけです。と申しますのは、現在駅へ行って、荷物を二、三個持って赤帽さんに頼めば、まず三個頼んでも、場合によっては二個頼んでも五十円は置けぬので百円は赤帽さんに渡す。そういうことですけれども、いまの国鉄と下請の契約の内容を見ますというと、三十キロ、四十キロというようなものを二キロ、四キロ、区域によっては二キロ以上もありますのが、そこへ持って行きましても、わずか一個で三十円、四十円というような安い料金であるわけです。したがって、業者はこれではどう考えても絶対に採算がとれない。したがって、私どもの社会党の考え方からいきますれば、とにかく値上げするものは反対という基本方針は持っておりまするが、ただ、一つの事業を行なうために特定の者だけ犠牲になるという政治のやり方は考えなくてはならないわけです。したがって、こういう点について何か変わった考え方をお持ちになっておられるか、それとも従来どおりの考え方で今日までおられるのかどうか、この点をひとつお伺いをいたしたいと思います。
  61. 今村義雄

    ○今村説明員 集配いたします場合に、いままでの集配距離が延びることは確かでございまして、その分につきましては増加集配料を支払っておることは先生御承知のとおりだと思いますが、その増加集配料が高いか安いかという問題であろうと思います。その点については、いろいろな経費の増高もございましょうし、いろいろな全般の問題を考えて検討すべき問題である、こういうふうに考えておりますが、いまここで具体的にすぐどうこうという結論はまだ持っておりませんが、今後検討すべき問題だというふうに考えております。
  62. 田口誠治

    田口(誠)分科員 私は大きな政治の面から考えてですか、先ほども申しましたように、たとえば昨年物価の上昇を抑制するために公共料金一年間ストップ、これは私どもも賛成であったわけなんです。ところが、そのことにおいて、それに関連をする特定の事業所が、結局国民大衆のためにというか、政府の政治の方針によって犠牲になる、こういうことになるんだから、それで、公共料金を一年間ストップされることは私はけっこうだと思いまするけれども、犠牲になりました者に対しての代がえの対策というものを考えてやらなければ全体的な政治を行なうということにはならないと思うわけです。一つの思いつきの考え方を申しますれば、公共料金が一年間ストップした、こういうことになりますれば、貨物運送なり、バスとか、そういう業者を例にとってみますれば、料金を一年間引き上げはストップしたということになれば、これは完全にその業者だけが犠牲になるわけでございまするので、そういう犠牲をカバーするには、ガソリン税を減免してやるとか、物品税を廃止してやるとか、いろいろな方法を講じて、そうして物価の上昇抑制対策としてとられたあの公共料金の一年間のストップ、こういう問題のときには、付随してただいま申しましたようなことも考えていただく必要があろうと思うわけなんです。大きな政治的な面からこういう問題を取り扱う場合に、私は一つ例のとして申し上げたのですが、大臣はどういうようにお考えになりますか。
  63. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 ガソリン税の免税をその分だけするということはなかなか困難であります。でありますから、先ほど大竹さんにお答えいたしましたように、私鉄のほうでは二百三十社ある。またバスあるいはトラック等もありますが、この損益計算書を出させまして、中小企業にして赤字のひどい分から順次運賃を直してやる。そして一ぺんに直せばいろいろに影響が多いものですから、なしくずし的に直していきたい。そうしないと、その分だけをガソリン税でやれば、お説のように理想論ではおもしろいように聞こえるけれども、そのガソリン税がどこへ舞い込んでいくかわからぬものでありますから、なかなか困難でありますから、経営の困難な小口経営者に対しましては料金を直していくというふうにしたいと思います。
  64. 田口誠治

    田口(誠)分科員 大臣は現場の実態をお知りにならないから、そういうような心配をされておるんですけれども、たとえばガソリン税をそうした業者に減免するということになれば、これはガソリンスタンドに自分会社のチケット用の手帳を持っていって、そして現金ではありませんから記入をしてもらうんですね。だからそれはその他のところが来たら絶対にやらせぬ、どことどこどこはそれの該当者だからこれは減免をして、そして金額の徴収をするんだ、こういうようにもっていけば、やればできるわけなんです。物品税の問題なんかでも、これは大蔵省の総体的な予算の面とにらみ合わせなくてはなりませんけれども、やればできるわけなんです。したがって、私は、政治を行なう場合には、国民が平等な福利、利便、利益の得られるような、そういう政治をやらなければならないという考え方から、一つの例としてただいま申し上げたわけなんです。経済成長の失敗で物価がどんどん上がってくる。だからこれを抑制させるために一年間の公共料金のストップ、これは私はよろしいと思うのです。よろしいが、そのことによって犠牲になる人たちはほかの方法でやはり犠牲を緩和してやることが政治の要諦であろうと思うわけです。そういうことが全然なされておらないから、私はただいま申し上げたんですが、十分にそういう点についての配慮がいままで検討されておらないようでございますので、将来の問題として、私は大きな政治をつかさどる者として、やはりこうしたこまかいところまで気をつけて注意を払って行政をやらなければ非常に不公平なものが出てくるのではないか、こういうように考えておるわけなんです。したがって私は、料金が高い安いを言うのではなくして、適正なものとは幾らであるかという、この適正料金というものをどこに置くかということは単なる勘で考えてもらっちゃいけませんし、いままで幾らだったからそれで幾ら上げるんだということだけでもいけないと思うのです。したがって、適正な料金というものはどれが適正か、これを検討していただいて、この料金問題の取り扱いはやっていただかなくてはならないと思うのです。ただ単なる、その企業赤字になっておるから、それじゃここのバス会社に料金の引き上げを認めてやれ、こういう小手先でやっておってはいけないと思うのです。特にこういう公共性を持っている事業は、適正な公共料金とはどういうものであるかということをあらゆる面から科学的にはじき出してもらわなければならないと思うので、そういう点について今後十分に研究をしておいていただきたいと思います。  時間の関係で、これは一つ一つは結論を出していきませんが、いままでの質疑応答で確認できましたことは、臨時行政調査会の答申に基づいて小型貨物は免許制を撤廃したらいいではないか、その点には相当問題があるので、いまのところはそういう考え方は持っておらぬという答弁でございすので、その点に対してのこまかい例を引いての質問は終わりたいと思いますが、特に国鉄当局に申し上げ、また回答をいただかなくてはならないと思いますることは、いま政府の方針でも、低開発地域の開発ということが非常に大きな問題になって大きく取り上げられております。低開発地域の開発ということは、これは道路網という輸送網を完備しなければ完全に困難性を持っておるわけなんです。したがって、現在もいろいろと新設路線要求とか、あるいは審議会等でもいろいろ意見が出されておるのでございまするが、大きな東海道本線とか、こうした本線関係のものは、政府のほうとしては力を入れておられますが、私どもの県で申し上げますと、三十年も前から問題になっておりました越美南北線、これは北線も南線もずっと工事を進ませて、越美南線のほうは北濃まで行っておりますし、今度は北線のほうも順次下がってきておるのですが、ほんのわずかの距離になってから手をかけてもらえぬわけです。したがって、地域開発でも国鉄赤字解消でも、あの越美南北線の開通をしてもらわなくては、そうした問題を解決することはできないと思うのです。この問題は、長い間、該当の市町村なり、それぞれの該当の議員からも要望を申し上げ、質問をしてきたところでございますけれども、今年は調査費すらとっていないわけなんです。私どもが見ました予算では、調査費さえとっていないわけです。したがって、この問題をどうされるのか、今後放置をしておくつもりなのか、それともまだ手が回らなかったので、今年は何とか実行予算等で調査費くらいはまかなって、調査を行なうというくらの気持ちがあるのどうか。これはもう三十年も前からの問題であって、その当時の速記録を見ますと、これは特に日本の経済開発それからあの当時は軍事問題も含んでおりましたが、越美南北線を貫通することは、これは表日本と裏日本を連係されることであって、きわめて重要な路線であるということが、これは国会の論議の中でそうした質疑がかわされ、当局からも御回答があるわけなんです。そのものが三十年たっても三十五年たってもまだ放任されておるということは私はちょっとふに落ちないわけなんです。これも地元民が全然それをほうっておけば、これはあまり気にとめないということもありますけれども、毎年毎年各市町村長あるいは関係団体が国鉄当局あるいは運輸省、こういう方面へ陳情をして今日まできておるわけなんです。それを調査費もとっていないということは、私はあの問題に対してどういうようなお考え方であるかということが最近疑問になってしょうがないわけなんです。どうかこの点についてどうされるかということを総裁から御答弁いただけば非常に幸いですけれども、そうでなかったら説明員の方から答弁をしていただいてもけっこうでございます。
  65. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 国鉄に対するお尋ねでございますが、新線建説につきましては、御承知のように、鉄道建設公団が担当することになっておりますので、便宜私から御説明をさせていただきたいと思います。  最近、先生御承知のように、地域開発あるいは都市交通のための新線建設の要望はたいへん強いわけでございますが、現在鉄道敷設法の規定に基づきまして、工事線に指定されております線が六十二線、四十年度以降の工事費が四千百六十六億円あるわけでございます。したがいまして、これらをどういうふうに消化するかということが今後の大きな問題であるわけでございます。  先生が例にあげられました越美線でございますが、これにつきましては、すでに御承知のように、敷設法別表に掲げられている線でございます。この建設につきましては、現在着工しておりますのがいわゆる越美北線とわれわれ言っておりますが、西勝原−朝日間、これを着工線といたしまして、延長十三キロの工事をやっておるわけでございます。これの完成後、さらに先生おっしゃるような南北線をつなぐ工事というものが次の段階になるわけでございますが、先ほども申し上げましたように、現在の工事規模が四千百六十六億という非常に大きな規模でございますので、われわれとしては現在着工に決定しておりますものの消化の状況を見ながら新しいものをどういうふうに組み込んでいくかということをこの中に織り込んで将来考えていくようにいたしたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  66. 田口誠治

    田口(誠)分科員 質問はこれで終わりますが、答弁を聞いておりますと、北線のほうは計画どおり進められておる。これはずっと前から計画されて作業が進められておるのですけれども、私の申し上げておるのは、その計画以外のもう少し残っておるところを調査もしなければ、これはいつどうなるのかわからないということですから、私は確認しておきますが、現在の計画のところが完成をすれば、これはすぐに南北線をつなぐこの工事を推進していただけるかどうかということを念を押しておきたいと思うのです。
  67. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 先ほど申し上げましたように、現在の工事線六十二線の完成した暁にはさらに新しいものを考えていくというふうなことは当然でございます。ただ、具体的にはどの線が上がってくるかということにつきましては、相当調査等も要しますので、時間をおかし願いませんと具体的にはならないのではないかということでございます。
  68. 田口誠治

    田口(誠)分科員 ことばじりをとらえるわけではありませんけれども、考えておりますということは、これは計画の中に入っておるから、それでいま計画されておるものが完成すれば、次に作業に移るのだというように受け取っておいていいのですか。考えておるということは、だいぶ幅が広いわけなんで、そこらのところをひとつ明快にお聞きしておきたいと思います。三十年も三十五年もかかっておる。
  69. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 ごく一般的なお答えになって恐縮でございますが、われわれとしては、地域開発を促進するという観点から、先生のお話の趣旨を十分含んで将来検討を進めていきたい、かように考えます。
  70. 田口誠治

    田口(誠)分科員 それからもう一、二分間ちょっとお尋ねいたします。  それは樽見線の延長、これはことし調査費がついておると思いますが、それは間違いありませんか。そしてついておるとすれば、調査をしていつごろから着工、それから完成がいつということをお示し願いたいと思います。なければないでよろしいが、あるならお伺いをいたします。
  71. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 樽見線につきましては、今年度もすでに着工線といたしまして測量、設計を進めております。
  72. 田口誠治

    田口(誠)分科員 着工線として進めておるということは、調査を進めているという意味ですが、工事は進めていませんか。
  73. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 測量、設計をいたしておる段階であります。
  74. 田口誠治

    田口(誠)分科員 その設計が大体終わりますれば、着工するということは、もう一度慎重審議をするものか、もう計画段階に入っておるのだから、その調査が終われば、そのあくる年には着工というような予算措置を行なうということなんですか。
  75. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 測量、設計が済みまして、着工する準備ができますれば、次には具体的に着工するという段階になるわけでございまして、ただそれが必ず一年で終わるかどうかということは、その線の性格によって若干事情が違いますが、段取りとしては別にその間に何か時間があるのではなくて、工事線としてまず測量、設計をし、用地買収をし、具体的に工事にかかるという段取りになるわけであります。
  76. 田口誠治

    田口(誠)分科員 わかりました。その点は推進方も強く要望いたして、質問を終わります。
  77. 今松治郎

    ○今松主査 只松林治君。
  78. 只松祐治

    ○只松分科員 短い時間でございますので、首都圏の関係交通対策についてお伺いいたしたいと思います。総裁がおいでになりませんので、まず大臣のほうに予算案その他からお聞きしたいと思います。  交通は、私たち国民にとって何よりも大切なものであることは論をまちませんが、これに対して国家財政というのはほとんど投入をされておらないわけです。したがいまして、独立採算というような形で資金調達が、縁故債であるとかあるいは借り入れ金であるとか、そういういわば変則的な面でまかなわれておるわけでございますが、もっとこういうものには独自に国家財政を投入すべきものではないか、こういうふうに思いますが、ひとつ大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  79. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 首都圏乗り入れ、過密ダイヤの解消等に対しましては、今度の新七カ年計画は、大体において過密ダイヤの解消、おもなる幹線の複線・電化等、重要な輸送力増強に重点を置いております。また踏切その他人命尊重にも重点を置いておりますが、通勤輸送に対して混雑緩和というような今後の問題に対して、六千億ぐらいはそれに充てているのではないかと思っておるような次第であります。
  80. 只松祐治

    ○只松分科員 そういうものにもつと国家財政を直接投入すべきではないか、こういうことをお伺いしておるわけです。と同時に、いま新七カ年計画ということばをお述べになりましたが、いままでも国鉄はたびたび五カ年計画とかなんとかいうことをお立てになっておるわけです。私も全部調べたわけではございませんが、この五カ年計画も途中に至りますと、また次の五カ年計画ということで、二、三年たてば次の五カ年計画が立案されるということで、完全に五カ年計画が遂行されたという話をあまり聞かないわけなんです。過去のことをそう洗い立てようとはいたしませんけれども、そういうことがあったと思うのですが、そういう点と、いまお述べになりましたこの新七カ年計画というのは、完全に遂行する御意思があるかどうか、ひとつ御決意を聞いておきたい。
  81. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 これはほんとうは、第三次計画というのがほんとうでありますが、いままでの第一次、第二次は、ほんとうは一方的にきめて、閣議をとっていなかったのです。でありますから、毎年国鉄のほうから要求される分を、その計画の中における分として要求はしておりますが、大蔵省のほうではさほど責任を痛感しないといったようなうらみがないでもなかったのです。同時に、物価が御存じのように非常に暴騰する、人件費が上がるというようなことで、たとえば東海道新幹線におきましても、最初千九百億で立てたものが、終わりに仕上がってみたら三千九百億かかっていたというようなうらみがありますので、結局五カ年間に物価の変動その他の関係等ありまして、どうしても根本的に直さなければ過密ダイヤその他の問題は解決はできないということで、一昨年の十二月に、いわゆる国鉄基本問題懇談会というものが設けられまして、そこで二兆九千七百二十億というものを——ほんとうは最初は六カ年でやるつもりだったのです。ところが御承知のような内容で一年延びたわけでございますが、今度は前のにこりたものでありますから、まず経済閣僚懇談会の議を経て、それから本閣議を通じまして、今度は政府もともに責任を持つということになったのでございますが、ただ今年度の分は、いろいろな事情によりまして三千三百億という程度にしかならなかったのでありますが、来年度以降は今年度の不足分の四百億を加えて三千七百億にしなければ予定どおりの仕事はできないと思っております。
  82. 只松祐治

    ○只松分科員 初年度からそういうふうになかなか資金不足、さらにこれは大蔵委員会でも問題になりましたが、縁故債その他、国鉄当局は私たちが見ると、たいへん無理な予算を組んである、こういうふうに思っております。これは七カ年計画で、いま御説明がありましたように、当然にいまの佐藤内閣の実態では物価がどんどん上がってくるわけです。これは人件費その他諸物件費、雑費も上がってくるのでありますが、この予算で遂行できる、あるいはそういう物価高もある程度——何%ということは私は時間がありませんから申しませんが、見込んだ上でなされておるものだと思います。そういうように解釈してよろしゅうございますか。そういうことで今度は完全に、いま閣議決定もしてあるということですから、七カ年計画は遂行できる、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  83. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 将来の物価の上がり方まで見込んであるかどうかということは、私、ちょっとここではっきり言いかねる。しかし、七カ年間にこれだけのことをやるということははっきりと閣議で決定いたしました。
  84. 只松祐治

    ○只松分科員 そこで、具体的に問題をお伺いいたしますが、たとえば私の埼玉県に一例をとりましても、年間二十万人前後の人口が、自然増でなくて増加をしてまいってきております。したがいまして、電車あるいは汽車の込みようは、ただ単に大宮、浦和周辺の近郊都市からだけではなくて、熊谷なり、もっと以遠のほうから非常な込み方なんです。通勤ラッシュのときの込みようだけではなくて、昼間でも相当込んでおります。あるいはまた東京に来るだけではなくて、いわば東京から会社が非常に移ってきております。したがって、東京に住居を持った労働者諸君あるいは職員の人々、あるいはいろいろな工場に用件で行くというようなことで、いわば下り列車と申しますか、埼玉に来るほうも込んでおるわけです。朝なんかも相当込んでおります。さらに、ピーク時の込み方は、よく動物的だと言われますが、おそらく犬や豚をあれだけ押し詰めれば死んでしまうのじゃないか。荷物的だと言われますけれども、荷物をあれだけ積めばみんなぶっこわれるだろうと思います。新宿から東京まで非常に込むといったって、せいぜい十分そこそこです。埼玉県の場合は、大体浦和あたりからぎっしりで、川口からなんか相当のものです。川口から最低四十分くらい込むのです。そして東京都内の十分くらいの込み方とはもう全然質が違うのです。十分くらいじっと押されておるのと、三、四十分ぎゅうぎゅう詰めになっておるのは容易じゃないです。これはあなた方何だったら大臣も総裁も一ぺんお乗りになったらいいと思いますが、こういう異常な込み方、これは埼玉だけではなくて、千葉、神奈川その他東京都市近郊に見られる。ただ神奈川の場合には横須賀線があったり近郊私鉄が非常に発達しておって、必ずしもそうではないようでありますが、千葉、埼玉、そういう方面はいま申したような状況でございます。こういう状況に対して皆さん方は御調査になったことがありますか、あるいは当面どういう具体的な方策を持って、こういういわば非人道的ではなく、非動物的、非貨物的な、こういう状態に対処しようとされておるか、ひとつ御説明を願っておきたいと思います。
  85. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 今度の七カ年計画は主としてそういう方面も緩和したいというところに重点がありますから、もちろん国鉄に対する都心乗り入れ、過密ダイヤの解消も、同時にまた私線の都心乗り入れに対する問題についても相当考えておるように思いますが、きょうは常務の方が御出席でございますから、詳しい内容は常務から……。
  86. 今村義雄

    ○今村説明員 ただいまお話しのように、大都市の通勤輸送はいずれのところをとりましても非常な混雑をしておりまして、これを緩和するということでも、一つの大きな柱といたしまして第三次長期計画を組んでおるわけでありますが、問題のお話の京浜東北線につきましては、応急的な対策といたしましては、赤羽−大宮間の線増を、いますでに着手いたしております。大体四十三年度一ぱいぐらいまでにはこれが完成するんではなかろうかというふうに考えておりますが、それができますれば非常に大きく緩和すると思います。それができるまでの当面をどうするかということでございますが、現に三十九年のといいますか、現在三〇〇%以上の混雑率を示しておりますので、これを緩和いたしますために、現在京浜東北線は八両編成で動いておりますが、これを十両編成にいたしたいということで、三十八年度から、その設備改良の工事を実施しておるわけでございます。この設備改良の工事が、これは御承知かと思いますが、編成を長くいたしますためには各駅のホームを延ばさなければなりませんので、その工事は御承知のとおりのああいう高架の上の設備でございますので、非常な難工事でございまして、これがためにこの工事が四十一年の十月、来年の十月ごろまでかかるんじゃなかろうかと思います。四十一年の十月にこれが完成いたしますれば、十月の秋のダイヤ改正に問に合わせまして、八両編成を十両編成にする。これによりまして四十年度は三〇〇%以上の乗車効率を示しておりますが、三一三%ぐらいでございますが、これが二六〇%台に下がるのではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。
  87. 只松祐治

    ○只松分科員 国鉄は、いま御説明になりましたように、いわばそれはそれなりの対策をしておられると思います。しかし、たとえば西川口駅の開設当時は七千人ぐらいですか、乗降客があったわけです。いまはこれがたぶん四万幾らかだと聞いております。それから次の蕨駅が、小さな駅なんですが、乗降客は大体仙台駅と同じだ、こういうふうに聞いております。仙台駅はまことにりっぱな駅で、駅前も広場があって、堂々たるものですが、蕨駅なんかちょっと掘っ立て小屋みたいな駅でして、駅前のタクシーの駐車場もろくにない、こういう状態なんです。ほんとうは、こういう駅の周辺の具体的な舎屋の問題から全部を問題にしないと、あの沿線の交通事情の緩和なり通勤者対策ということにはなっていきません。きょうは運輸委員会でございませんから、そこまでこまかいことは申しませんが、おかえになるときは、資金その他もあるから、当面ホームというようなことだけに限られておるかもしれませんが、ぜひそういう面も全部含んで、階段の昇降口の幅、階段数その他そういうものも全部含んで——四、五年前と現在というのは、先ほど私が増加率が非常に激しいということを言いましたけれども、有権者に例をとりましても、二年そこそこで十万人からふえておりますからね。私の一区だけをとりましても、そのくらい非常に増加しておるのです。いま言われたように、八両編成を十両編成になされて、多少輸送力を増加されても、すぐ一ぱいになってしまうのですね。それから四十三年度に複々線になることも私は存じておるわけです。これで一ぱい一ぱいやれば、約五〇%くらい輸送力が増加するだろう、こういうことでございます。しかし、もうそのときは、いま私は西川口なら西川口に一例をとると、六、七千だったのが四万何千と、こうなって、六、七倍にふえております。五〇%ではないですね。倍増というのは、ものすごい。あなた、いまおいでになるとわかりますが、どんどん家が建っておる。それから、いままで建たなかった、たとえば大宮以北のようなところでも、非常な勢いで家が建っておるわけですよ。こういう急増しておるところに、国鉄といえば、この七カ年計画の抜本的な対策として、なおかつ五〇%の輸送力の増強しかはかられていない。これは四十三年になったときには、もう五〇%になってもまたどうしようもできない。そのあとにどういう計画があるかということを、私たちも国鉄の工事当局に聞きましたら、それ以上は方法はございません。しいて言うならば、第二上野駅をつくるか、それこそもう全然根本的な検討をしないことには、埼玉の輸送力の問題について解決の方法はない、こういうお答えでございます。そういう点であれば、ひとつ抜本的な方策をお聞かせいただきたいと思いますし、あるいはいま一応根本的だというお話があります。四十三年度複々線の完成によって五〇%の輸送増強ということで、いまの急増しておる埼玉あるいは千葉なり、こういう近効都市の輸送対策が完璧であるとお思いであるかどうかということについてひとつ。
  88. 石田礼助

    ○石田説明員 この都市通勤の問題というのは、実は、国鉄としては頭の痛い問題です。御承知でしょうと思いますが、第一次五カ年計画というのは、全く修理に終始して、輸送力の増強はほとんどやっていない。第二次五カ年計画に至りまして、多少その方面にやりましたが、通勤問題に対しては五カ年でわずかに七百七十億の投資しかやらぬ、こういうことです。それでも、大蔵省の査定によってなかなか満足に資金が得られなかった。またこれは、私は、国鉄にも少し考えの間違ったところがあったのではないかと思うのですが、要するに、都市における通勤、通学というものは都市の問題だ、国鉄はつまり幹線のほうの輸送に急にして、それでもうずいぶん四苦八苦しておったものですから、都市の通勤というものに対してはわりあいに力を入れてなかった。その証拠には、三十六年から始まった第二次五カ年計画でも、都市通勤通学に予定した金額というものは七百七十億にすぎない。ところが、私は、総裁になりましてから、さっそく新宿駅とかあるいは赤羽駅あたりへ行ってみますると、全くこれはもう交通地獄ですね。これは都がやるべきものか国鉄がやるべきものか、そんな理屈はわからぬが、いずれにしてもあそこの駅を利用される、国鉄に依頼されるものをそのままにしておくわけにはいかぬ。これは根本的にやらなければならぬと、こういうことで、第三次計画におきましては、第二次計画の七百七十億に加うるに五千百億の予算をもってこの問題を解決しよう、こういうことになりまして、思い切ったことをやろうとしているのですが、これはしかし鉄道だけじゃどうにもならぬ。これはやはり地下鉄との協力も必要であります。問題は、その線路の増強にいたしましても、あるいは一列車の車をふやすというようなことにいたしましても、なかなかちょっくらちょいとはできないのですね。たとえばいま私が一番ひどいと思うのは常磐線だと思いますが、常磐線——総武線なんかも、これはもう一つ帝都高速と協力いたしまして、船橋まで第五号線を持ってくる。船橋以遠のものはあそこで国鉄の線を乗り入れるというのですが、船橋と両国の間の乗客のふえるものに対してはどうするかという問題、これはいまでさえもすでに秋葉原の駅というものは実に危険千万な状態であります。しかもこの秋葉原の乗りかえの力というものは、これはなかなかむずかしい問題がございまして、増強するにしましてもきわめてわずかなものです。それで、要するに地下鉄というものを、中央線を利用し五号線を利用するとかいうようなことをやりましても、これはやはり三、四年かかる。それまでの問題をどうするかということが、これが実に頭の痛いことです。私は、大きな事故が起こりはせぬかと思って、実は心配しております。とにかく、国鉄としてはできるだけの努力をする。そのために五千億以上の予算を七カ年の間に使う、こういうようなことで努力しておるということだけは、どうぞ御了承を願いたいと思います。
  89. 只松祐治

    ○只松分科員 あとで地下鉄問題、東京都の交通関係もお尋ねしようと思ったが、いま総裁のほうから関連して御答弁がありましたが、これは国鉄だけの問題ではないと思うのです。ほんとうはこういう問題は、首都圏問題として、東京都知事も来てもらってよく話を聞かなければならないわけですが、きょうは別に参考人も何も呼んでおるわけではありませんから、ひとつ大臣のほうからもお答えをいただきたいし、また都のほうにもお伝えをいただきたいと思います。たとえば地下鉄を、これもまた埼玉の例をとりますと、赤羽橋まで来て打ち切りになるわけですね。片方は志村まで来て、これは向こうの戸田のほうに来るかと思ったら大和のほうに行く、こういうようなことです。東京都知事としてはそれはいいですよ。しかし日本の政治をやろうとするものが、首都圏とかなんとか、いろいろなそういう機関をつくっておきながら、事業所だけ東京に持っておる。人間は千葉や埼玉や神奈川なんかに住まわせる。都内の交通だけは何とかかんとか、東京都は力もありますからやる。しかし、一方で荒川を渡ると地下鉄は伸ばさない。あるいは千葉のほうにもそういうものはしない。こういうことで、首都圏の交通対策というものは、ぼくは完全に行なわれておらないどころか、きわめて不十分だと思うのですね。だから、もちろんこれは金のかかることではありますけれども、東京都内のそういう地下鉄なりあるいはいろいろな道路網を整備するならば、それは必然的に近県の交通網と連関させて解決していく。特にいま言うように通勤者——ここの中にはおそらく千葉や埼玉から来ておられる方がたくさんあると思いますけれども、とにかく膨大な人間が効外へ効外へ、こういうふうに移動していっておる。これは私がさっき若干、工場やなんかのいわば産業構造の変化だけ言いましたけれども、それだけでなくて、土地の値上がりその他いろいろな社会全般の経済構造の変化に伴って、郊外へ人口が流出していっているわけなんですから、これを、都内の問題だけをやって、都外の問題は全然ほうりっぱなしにしておるということは、私は、政治としては、特に政府としてはたいへん片手落ちの運輸行政の問題だと思う。ひとつ、国鉄当局としてもそうですか、特に運輸省としては、東京都その他と連絡をとられて、ぜひこういう一貫した連絡のある行政をしてもらいたい。あるいはまた巷間伝えられるように、よく私鉄や何かの権力争いがあったり、なわ張り争いがありまして、せっかく乗り入れようとしても、ここのところはおれのバスが入っているからとか、あるいは何とかいうことでなかなか乗り入れをさせない、こういうことを言われておるわけなんですが、こういう全く私的なものは、大乗的な見地からはぜひ強い行政指導をしていただいて、そういうものはやめさせて、やはりほんとうにこの社会構造あるいは産業構造の変化に伴って信じてきておる交通対策というものを十分進めていっていただきたい、こういうふうに思いますが、具体的な対策がございますか。ひとつ大臣、居眠りしないで聞いてください。
  90. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 大臣がお答えする前に、私から具体的な実情についてお話をさせていただきたいと思います。  お話のように、都市交通問題を解決するのには、国鉄だけではなくて、私鉄、地下鉄等が相互に非常に連関をよくする必要があるわけでございまして、運輸省におきましても、都市交通審議会を設けまして、これに長期的な構想を諮問し、その答申をいただいておるわけでございます。それで、御指摘がございましたが、具体的の線の例を一、二申し上げますと、たとえば東上線で参りましたのを都営の六号線に直通をさせるという話がすでにつきまして、これは具体的着手の段階に入っておるわけでございます。それから、すでに東武鉄道の線から営団線に乗り入れまして、これを東横線の中目黒につけるという工事が完成しまして、これは相互に乗り入れをやっております。これの実施につきましてはお話しのように相当抵抗があったわけでございますが、運輸省としては、一貫直通輸送という観点から、こういうものを推進させておるわけでございます。埼玉県に対する都営の地下鉄あるいは営団線等の接続の問題についても、お話のように将来の検討問題であると思いますが、先ほど国鉄総裁も申し上げましたように、国鉄線との相互直通ということも、すでに御承知の、営団の五号線と称しておりますが、中野から東陽町に行く線でございますが、これと国鉄が直通をすることになっております。この線を延長いたしまして、西船橋でやはり国鉄線と相互乗り入れをさせる計画を現在進めておる段階でございます。
  91. 只松祐治

    ○只松分科員 それから、埼玉のことを私がたびたび言うのは、選挙区であるという、そういうことだけでなくて、たとえば今度東北線が複々線になるわけですね。そうすると、あそこは東北線、信越線、その他すべてのいわゆるネックになって大動脈をなしているのですね。だからこのことをよくお考えいただかないと、さっき言いました東北線を複々線になさいましても、これがまた東北線その他あっちが開発されまして、どんどん乗降客なり貨物輸送が増大してくるということになると、ただ単に複々線だけでは、埼玉県の人口増という通勤問題だけではなくて、こういういわゆる東北開発に伴う、特に上野から大宮間の問題というのがあるわけなんです。ひとつこの点もあわせ考えていただいて、ただ単なるあそこの人口増という面からだけでなく、ひとつ根本的な検討をお願いしておきたい。いまからしておかなければ、これは第二上野をつくるか第三上野をつくるかは別として、いまから十分に検討しておかなければ、あと四五年もたつとどうにもできなくなる、こういう状態に私は立ち至ると思います。ひとつぜひお願いしておきます。  それから、時間がございませんから、言っておきますが、そういうものの一つの方便として武蔵野線がいま進められてきておるわけなんですが、東線が大体計画路線ができまして、公団のほうの手に移って測量その他が進められておる。ところが、まあこれはそういう大局的な見地からは急いで進めなければならぬと思いますけれども、ただ武蔵野東線か京浜東北線の複々線か、こういうことになりますと、私たちから見れば、むしろ武蔵野東線の促進を若干押えても、この複々線化を、四十三年度というようなのんびりしたことではなくて、一年でも早くその金があったならば回していくべきじゃないか、こういうことを考えます。しかしまあそれはそれとしまして、この武蔵野東線が具体的に進められておるわけですが、御承知のように、浦和市内の一番どまん中をこの武蔵野東線というものは通るわけです。これはまた御承知のように、ほとんどが貨物輸送が中心になっていくわけです。だからといって、なかなか特別いい方便もないわけですが、ああいうところを通す場合には、いま、若干何カ所か部分的に地下鉄でする、こういう案が出ております。一番最初は、浦和でいえば、高級、低級というのはどうかと思いますけれども、一番いい住宅街を貫いていく、高架で貫く、こういうことだと思います。それで、私たちもいろいろ相談にあずかりまして、陰ながらいろいろ支援をしたわけですが、そうすると、部分的に地下鉄にするわけなんですね。ですから、こういうずさんな計画、あるいは地区民がこういう反対をしてくるだろうから、そのときはその程度で妥協しよう、こういうかけ引きみたいなことはやめて、やはりもっと根本的な対策を立てる。特にたとえばいま地下鉄にしないというところでも、わりと人口が少ないわけなんですが、そういうところでも間もなく人口細密になって家が密集するわけです、あと四、五年もたてば。そうすると、そこいらも当然やはり問題が出てくるわけですから、市街地なら市街地を通すときは、特に人口輸送にあまり関係のない貨物輸送が中心になるというときには、地元民の被害をできるだけ少なくするという面から地下鉄にする、こういうことをすべきだろうと思います。  それから、あるいはまた武蔵野西線でいくわけでございますが、西線と交差するところなんかまるっきり三角地点ができて、そこが高架になりますと、そこのところはちょうど監獄のへいの中におるよりもひどい。東線が通る、西線がある、ちょうどまん中の三角地帯ができるわけです。こういうところに部落が六、七十戸ございます。これは立ちのきもならずどうにもならず、これも私のところに相談に来ておるわけですが、こういう点なんかももっと地域住民なり居住者のことを真剣にお考えになって、地下鉄にするなりあるいはもっと別途の方法を講ずるなり、あるいは先ほどから言いますように、現在は戸数が少なくても、この地域はちょっと先にも南浦和団地という、二千戸くらいのができてまいりますし、家も密集するわけですね。だから、いまだけのいわゆる応急的な形でこういう鉄道問題というのをお考えになるのは私は誤りだろうと思います。やはりあそこは人口稠密にして都会のどまん中になる、こういう観点から、やはり高架にするか地下鉄にするか、いわばこういう国の基本的な交通行政をおやりになる皆さん方としては、もう少し長期的にしかも抜本的な面から検討し対策を立てていく、こういうことが必要になるわけでございます。  ひとつ武蔵野線その他について具体的にお答えをいただくとともに、いま要望いたしましたように、もっと根本的に、その場当たり的な計画でなく、ちょこっと陳情してきた、反対運動してきたからすぐ手を変える、こういうことではなくて、もっと根本的にやはり地下鉄線なら地下鉄線にしていく、あるいはいま言いますように、これはやがて住宅地のどまん中になるのだから、こういう方法にしていく、こういうことを考えるべきだと思いますが、ひとつ御意見を伺いたいと思います。
  92. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 申すまでもなく貴重な国費を三兆円も使って基本的にやり直す、増強するということでございますから、お説のような点は十分に調査の上に調査を重ねて、将来を見越した計画当局は立てておることであろうと思いますから、きょうは常務の方々が御出席でございますので、お尋ねの点は常務から答弁いたさせます。
  93. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 いま御質問の中にありました武蔵野線の建設方法でございますが、大臣から申し上げましたように、慎重にこれは建設公団にやらせるようにしたいと思います。ただお話のございましたように具体的な構造をどうするかということは、一面地元の関係を十分配慮するとともに、他面建設費をできるだけ安く上げて、利用される方々の負担を低くするということを考えねばなりませんので、ここで具体的にどこをどうするということは、はなはだ申し上げにくいわけでございますが、非常に慎重にやるようにいたしたいと思います。
  94. 只松祐治

    ○只松分科員 特に武蔵野東線、西線のことは、ここで時間もなくなりましたので、いずれまた具体的には皆さん方の役所のほうにも参りまして御相談したいと思います。ぜひ地元のそういう——全面反対とかそういうことを言っているわけじゃございませんから、ひとつ十分に納得のいくように御考慮をいただきたいと思いますということをお願いいたしまして、質問を終わりたいと思います。
  95. 今松治郎

    ○今松主査 午後二時から再開することといたしまして、暫時休憩をいたします。    午後一時七分休憩      ————◇—————    午後二時五分開議
  96. 今松治郎

    ○今松主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  運輸省所管及び日本国有鉄道関係について質疑を続行いたします。帆足計君。
  97. 帆足計

    帆足分科員 私は平素は外務委員会に属しておりますが、予算の審議のときには国民を代表して、きわめて重要な問題でございますから、それぞれ専門の御研究をされておる同僚議員諸君とともに、私どもも端的に庶民の気持ちをあらわして施策の中に取り入れていただきたいと思うものでございます。  第一番には、石田総裁には、あえて御老齢の身を挺して国鉄運営の重要な任に当たっていただきまして、私はむしろ気骨りょうりょうたる総裁に対して敬意を表し、また感謝もいたしたいという気持ちでございますが、何ぶんにも二十年間にわたる輸送業務に対する計画性の欠除のためか、国鉄というものが、他産業の設備の飛躍的躍進に比較して冷遇されてまいってきた、そのあと始末を引き受けておられる御苦心のほど、察するにあまりあるものでございます。したがいまして、国鉄総裁の力の及ばざるところは、運輸大臣において国策として強くバックアップしていただきたいということをまず申し上げますが、この問題の責任はやはり運輸大臣のほうにあるのでありまして、国鉄総裁が、その経営能力を十分に発揮し得るような条件をつくることは、大臣の責任であると思います。しかるに、どういうものか、その支援する力が不十分であることを私どもは残念に思っておるということを申し上げまして、運輸大臣の御奮起をお願いしたいというのが私どもの気持ちでございます。しかしこれは根本の問題でございますから、いかに声を大にして叫んでも叫び過ぎることではないと思いますが、まだまだ私は不十分だと思っております。このことについてまず御注意を促しておきたいと思います。
  98. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 いま国鉄と運輸省が唇歯輔車というか、全く一心同体でなければならないのでありまして、むしろ私ども重点的な責任を持たなければならない、国家の上から見ればそういう状況になっております。しかるに国鉄のほうで運賃を上げなければならないといってきても、われわれのほうでは国会を通過さすまでの用意ができない。それならば国の公共企業体でありますから、少くても国費の中をさいて国家投資をある程度いたしまして、そうして今日のような過密ダイヤをしなくてもいいように、もっと早くしなければならないと思っておりますけれども、それをまだ十分にすることができないということについては責任を痛感いたしております。しかし、それらのことを思えばこそ、このたび七カ年計画をここに立てられるのに対しまして、私は非常な決意をもってこれに当たっておるのでありますが、せめても、いままで国鉄に対しまして十分なる国家投資をしなかったことのかわりにでも、この七カ年計画を完成させたい、かように思っておる次第であります。
  99. 石田礼助

    ○石田説明員 ちょっと私から一言申し上げておきたいと思うのだが、いま帆足委員のお話を聞いておると、国鉄は孤軍奮闘しておるような印象を受けておられるようだが、実はそうじゃない。過去のことは私は存じませんが、少なくとも第三次計画の決定、作成、ことにこの第一年である、四十年度の予算の問題は、現運輸大臣国鉄のために尽くされた御努力に対しては、私はほんとうに感謝しておるのであります。その点は、帆足さんの話を聞いておると、何だかいかにも運輸大臣の御努力が足らぬように聞こえますが、どうか誤解のないようにお願いしたいと思います。
  100. 帆足計

    帆足分科員 ただいまの御答弁のように、互いに協力し合って成果をあげつつあるという見通しでございますならば、一そうの御努力をお願いする次第でございますが、私ども庶民のからだに触れております感情は、もちろん国鉄ほどの仕事でありますから、直ちに効果があがるものではありません。何カ年間の計画の結果、徐々に効果があがることを期待するのでありますが、毎日の通勤にいたしましても、旅行いたしますにつきましても、切符を入手するという仕事は非常な苦労でございますから、まだまだ総裁の思うにまかせぬ事情ではあるまいか、二、三年前のことを振り返って御注意を申し上げておるような次第でございます。  また、同時に、昨年来私どもたびたび実情視察に参りまして、たとえば電気機関車の運転士さんなどといえば、私ども子供のときに、おまえ何になると言うと、機関士さんになるとだれしも子供は答える。そのあこがれの熟練工でありますから、相当の給与をとっておると思いましたところが、案外に低い。四千人の乗客を乗せて何秒ごとに連呼しながら走る運転士さんの給与が三万五、六千、四万円にもならないという事情である。車掌さんなどは、私は女の子でやれるというような錯覚を持っておりましたが、改札係ではそれでいいでしょうが、やはり数千人乗っている後部車掌さんなどは、その責任感と注意力次第でけが人も出るわけでございます。しかし、その給与を聞きましたときに驚きました。さらに国鉄でありますから、私は少年時代、朝鮮総督府の関係の父の仕事で、ちょうど宇都宮君たちと同じように朝鮮の中学を出ました。必ず鉄道官舎というものがありまして、鉄道従業員は官舎に住んでおるものと錯覚を持っておりましたところが、いまだに住宅がなくて、多くの家族をかかえて、身は電気機関士の重責にありながら、夜もおちおち眠れないような環境におる従業員の方も数多い。なお、食堂などはどこの駅でも完備しておるかと思いましたら、あります駅もありますし、食堂がなくてぼそぼそと机のところで冷や飯を食っているような駅もございました。したがいまして、他産業に比べて鉄道従業員の給与水準はどうであろうかと思いますと、私は明らかに非常に低いのではあるまいかと思います。もちろんこれも漸を追うて解決せねばならぬ課題でありまして、先立つものは予算でございましょうけれども、そういう点から見まして、庶民の目に映る国鉄というものは、まだ重大な病気をかかえておって、総裁が孤軍奮闘をされておるのではあるまいか、こう思いましたので、ただいまのようなことも申し上げた次第でございます。  他産業に比べまして国鉄熟練工の諸君の待遇は、遺憾ながら総裁の善意にもかかわらず思うにまかせぬ状況ではなかろうかと思いますが、そういう比較表も、もちろん大国鉄ですからあって、彼我勘案しておるものと思いますが、一流の産業に比べてどのくらいの開きがあるものでございまましょうか。私ども平凡な市民に常識的な点をひとつお聞かせ願いたい。
  101. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 給与の格差問題については、私はよくわかりませんから、係のものに説明をさせます。
  102. 石田礼助

    ○石田説明員 帆足さんの御承知のとおり、国鉄というものは、終戦後過小投資の累積で、しかも輸送需要は年々非常な勢いでふえてきた。それに対する輸送力を何とかふやしていかなければならぬ。しかも、戦争のためにこわされたその修理も十分でないというようなことで、そういう是正に急にして、職員に対する宿舎の問題だとかいうようなことについては、手が回りかねるのであります。御承知でしょうが、国鉄の人件費は、総収入に比べて、三十九年度あたりで、修繕費だとかなんとか、ほかのものに入っておるものを入れると、約五四、五%になっておる。しかも、輸送力は大いにふやしていかなければならぬというようなことで、国の中軸輸送機関として責任を国鉄が果たしていくためには、ついつい人件費に対しては余儀なく金をやることができないということでそういうことになったのでありまして、これはどうもかすに時をもってして、おもむろに是正をはかる以外道はない。しかし、われわれとしては、従業員に対するアコモデーションの問題、これを改善しなければならぬということは十分心得ておりますので、しばらく成り行きをごらん願いたいと思っております。
  103. 帆足計

    帆足分科員 いずれ、これは官房のほうから、私の参考のために他の重要産業、一流産業と、国鉄従業員の待遇の比較表をいただくようにお願いしておきたいと思います。そして、勤労者の皆さん、従業員の皆さんの給与に対する要求は、それが国民経済の水準から見て合理的な限りは、総裁ももちろん十分そのお心がまえでありましょうが、運輸大臣も御協力くださって、そういう財源をつくっておくことを平素から心得ておかねばならないと思います。  私ども市民は、つい見過ごしておりまして、きょうは予算分科会ですから、私は、むしろ一般の市民としての平凡な感覚から申し上げたほうがよかろう。だれしも思っておることでありますが、国鉄の従業員というと、相当の収入を得ており、相当の官舎が提供されておる。それなのにまたベースアップなんぞ言うのは、インフレーションの一般のあらしが激しいから言うのであろう、それにしろ、そういうことのためにときどきごたごたが起こって、交通が混乱におちいったり、直接、間接、一般の商人や庶民が迷惑をこうむるのは、まことに遺憾であるというような気持ちがしておるわけです。  ところが、実情を調べてみますと、案外にわれわれが信頼しておる国鉄従業員の生活が、給与が低く、その社会保障の施設が思ったほどではない。たとえば電話などに比べ、また民間の三菱重工とかその他の重工業に比べて案外に低いということを知って、われわれ驚いてしまう。総裁及び御当局も、苦労であるけれども、これは話し合いをしつつ、ひとつできるだけの従業員に対する施設及び待遇の改善をしていただきたいということを、われわれは単に野党という立場でなくて、一人の平凡な市民として痛感する次第です。そして先ほど申し上げましたように、車掌さんなんて女の子でできるくらいに思っておりました。ところが、なかなかの激務であることを知り、特に運転士さんが何秒ごとに連呼しながら進む姿を見て、おったまげてしまいました。かくも責任重大にして、かくも重労働である。それに対して報いられる施設の何と薄きことかということで、実に驚いたのでございます。これが率直な市民の気持ちでございますから、どうか十分にその点御理解くださって、よろしく運営くださることをお願いしたい、こういうことでございます。
  104. 石田礼助

    ○石田説明員 国鉄従業員の給与の問題につきましては、民間との比較は別といたしまして、少なくとも三公社の比較をいたしてみますと、従業員の給与というものは他の二社に比べて劣っているということで、昨年仲裁裁定の場合に、私は少なくとも二千六百五十円は格差がある。これをぜひ是正しなければいかぬということを大いに力説をいたしました結果、昨年の仲裁裁定においては、他の二社が六・五%のベースアップに対して、国鉄に対しては九・五%というような、つまり一年に約千円ぐらいの格差の是正をしてくれました。さらにまた、ことしもこれを是正するということになれば、だんだん国鉄の従業員の給与も、まず他の二社に比べて劣らないようになりつつあるということを帆足さんも十分御理解願いたい。とにかくこの給与の問題に対しては、私は、おそらく国鉄職員の仕事の性質から考えて、よほど考えなければならぬものであることは、国鉄総裁として十分責任を感じておるのでありまして、その方向に進みたいと努力しておるわけでございます。どうぞ御了承願いたいと思います。
  105. 帆足計

    帆足分科員 総裁のお心組みのほどは十分理解できますが、私はただいまの御答弁で、まあ三公社に比べて国鉄は多少高いようになっておるという御答弁かと思って、高いようになっておっても、国鉄は激務であって、非常に危険な作業であるから、それは当然であろう、こういうふうにお答えしょうと思っておりましたが、逆に一時それよりはるかに低くて、それ並みにするのにお骨折りになったということで、御苦労のほどを察するにあまりあるわけでございます。私ども平凡な庶民の目に映る姿としては、郵便配達夫さんと国鉄の第一線の方々だけにはせめてよい待遇を差し上げたいというのは、だれしも感ずるところであるまいかと思うのでございます。したがいまして、そういう国民の理解と支援を背景にいたしまして、せっかく適切なる御努力をお願いする次第でございます。  それから、これもまた平凡な質問で恐縮ですが、原子力潜水艦云々とか、安保とか、そういう国運の運命に触れた論議も重要でありましょうけれども予算委員会におきましては、平凡な、市民のだれしもわかること、だれしも言いたいことが国政に反映されることが、私はよいことであると思っております。駅というものは人生の会うところであり、別れるところである重要な場所でございます。したがいまして、その清潔なこと、できれば一種の風格のあること、一種のムードがあることなども望ましいことでございます。僻村の駅などで、秋に葉ゲイトウなどが色濃く輝き、コスモスの花が咲く、また夏の終わりなどオシロイバナが咲いているような風景を見まして、私は駅長さんや助役さん、また、それを担当している駅員さんたちの心ばえを思うて、ほほえましくいつも感謝の思いで夏の旅行の帰りなどに感ずるのでございますが、そういうよき心ばえの駅、従業員にサービスよく春秋のおり、花でも植えて美しくし、そしてきたない構造の便所であろうとも、よく掃除が行き届き、中には新聞紙を八つ切りにして、そして落とし紙のない人のために用意もしてある。そういう駅を見ましたときは、しみじみと感謝したい気持ちになるわけでございます。こいねがわくは、そういう駅に対しては何らかの表彰制度でも一たぶんあることと思いますけれども、設けられて、寒村の駅であろうと、大きな駅であろうと、よき心ばえの駅長さん、助役さん、従業員の皆さんには報いるような方法があってしかるべきだと思います。駅というのはそういう場所であることを御了承願いたいのでございます。  それから便所につきまして、中には非常に清潔な、まるで豚小屋のような粗末な建物であるけれども、清掃されておって非常に清潔である、そういうところもありますし、近代的な堂々たる建築でありながら、便所にいくと、落花ろうぜき、そうして下のコンクリートの床はびしょぬれになっておるというところもたくさんあるわけであります。それについての御苦労談は、昨年の分科会で承りまして、乗客、一般市民の社会道徳に対する心がけの薄きことを総裁が嘆いておられることばを承って、私どもまことに、そのとおりと、国民の公共施設に対する自覚の足らざることを皆さんとともに嘆き、文部大臣が、人づくりとかなんとかいいかげんなことを言うけれども、大切なものが日本の教育に欠けておって、文部大臣は日教組とけんかすることを年中行事になさるよりも、駅の便所から美しくする、そういうきれいな心がけを、子供たちがどうしたら身につけるか、そういうことを考えることのほうが私は大切でなかろうかと思ったりしておるのです。また議員からこういう注意がありましたときには、ぜひとも総裁がそれを聞きおかれ、部長や課長に気をつけろとおっしゃるだけでなくて、何回か通牒を出していただきたいと思うのでございます。それが私どもの第二の願いでおります。  第三は、冷暖房について感覚が鈍いということを、先日私は新聞に書きました。さっそく広報部から御返答がありまして、それは十分な注意をいたしますということでしたが、冷暖房に対して、空気の汚染に対して、感覚が鈍いことは、日本人のアジア的な通弊でありまして、事務所におきましても、近ごろは自動調節器がついておりますからよほど緩和されましたが、自動調節器が、ない場合は、一定の時間に窓をあけろということを、私がまだ月給取りであったころ主張いたしましたが、耳を傾ける者ごくわずかでありまして、よどんだ空気の中で平気で、せっかくのわずかばかりの一時間の昼の休みにも窓一つあけようとせず、碁か将棋かさしておって、そのくせ五十四、五でころっと早死にしてしまう、こういう姿を見ながら、冷暖房、空気の汚染などに対する感覚の欠除、これは一体人間としてのあたたかい体温を持っておるのか、サンショウウオのような封建的、爬虫類的感覚からきているのか、私は心ひそかに残念に思っておるものであります。  今日冷暖房が列車にだんだん設備されるようになりました。中には自動調節もありましょうけれども、特に御注意を促したいのは、わがせこが旅するわけでありますから、とかく旅行のときには、家族のものが厚着をさせて出す風習が一般にあるのでございます。したがいまして、暖房列車の中の温度というものが、科学的に何度がいいと考えられておるか知りませんけれども、一般に事務所に通うとき以上に多少厚着をしておる傾向があるということもお考えくださいまして、私は多少温度を低目にしたらどうであろうかということも考えておりますが、それはとにかくといたしまして、多くは、非常に過熱状況になり、あるときは突然冷たくなる。友人の多くが旅から参りますと、暑くて汗をかいてかぜを引いちゃったということは、至るところで聞かれることばであります。ましてや、上下二段、上下三段のときの上の段に寝ましたときは、非常な暑さで汗びっしょりになります。一等の場合は、シャツも何もぬいでしまってゆかたを着ますから調節することもできますけれども、二等の場合には、寝巻きがありませんから、シャツを着たまま暑さの中でぐっしょり汗をかいて、そしてやがてかぜをひいてしまう。事は小さいことのようで、私は小さいこととは思わないのでございます。そもそもわれわれは文明の仮面をかぶった野蛮人の気風がありまして、昼はべートーベンのシンフォニーに耳を傾ける友が、夜は黒田節ならまだましでありますけれども、チャンコ節に変わるというような卑俗愚まいな一面がこの民族にはありまして、そして温度の調節、空気の汚染などに対してはきわめて不感症でございます。そして、暑くてしかたがなくてもだれも言う者もなく、車掌さんに相談して一時暖房をとめてくださいとか空気を抜いてくださいとかということを頼めばよいのですけれども、それをも言わず、そして汗をかいて、結局かぜをひいて家内に迷惑をかける。そこで新聞にこのことを書きまして、広報部から御返答いただきましたけれども、その後私どものところへまいります友だちは、いろいろな線から参りますが、やはり暑くて困ったと言ってまいる者が非常に多いのでござざいます。  したがいまして、広報部のほうでせっかくよい御答弁をいただきましても、それが車掌さんの下々、現場にまで徹底していなければ意味がないことでございます。また、暑いという注意を受けましても、列車内の温度を下げるのはすぐには下がらぬのでありまして、そういう技術面もお考えくださることが必要であろうと思います。急ぐときには前のほうのドアをあけてしまって風を入れるということも必要かもしれません。また、ある部分はそれほど暑くないけれども、上のほうは非常に暑くなっておるということもありましょう。また、暖房の場所によって不均衡ということもあろうと思いますが、もう少し心こまかに御研究くださって適切な措置を講ずることが必要であると思います。弾丸列車も必要でありますし、その他大事なことはたくさんありますけれども、人生のしあわせは身近な問題にあるわけでございまして、会社づとめにいたしましても、受付の少女の応対一つ、しつけ一つで、その会社の風格はわかりまするし、また机の配置、室内のお掃除のしかた一つで、またおはようの言い方一つでなごやかにもなり、住みにくくもなるのが人生でございますから、そういうこまかなサービスについて、広報部あたりではもう少しお心をとめて、聞いておくだけではなくて、何回か通牒を出して点検して確かめるというのでなければ無意味であろうと思います。また、総裁が便所をされいにせよと、ツルの一声言われましても、それが末端によく浸透し、そして数カ月後には実行に移されて、再び同じ注意を繰り返さなくてもいいくらいの程度にまで浸透するということが必要であろうと思います。  とかくこの国では、サービスのよい場所は過剰サービスサービスの悪いところはむちゃくちゃ、公園などというものは、公園というよりもやぶといったほうがよいくらいでございます。また、下水などは、下水というよりはどぶといったほうがいいでしょう。そういうものをおいておって、一等国とか何とかいって、そして顧みることを知らない、恥ずべき土性骨を持っておりますから、言うべきことを言わず、この前の大東亜戦争のような分不相応のことをやって失敗に終わったということにもなるのでありまして、私はガダルカナルの断層はわれわれの頭の中にもあるし、日常の生活の中にもある。敗戦から何事かを学ぶとすれば、やはり日常の生活においても合理的生活が行なわれなければならぬ。建築においても室内の調度においても、執務の方法においても、すべて合理的でなくてはならない、こう思います。  大国鉄ほどのものが、そのサービスの分野において、私どもからこういう注意を受けねばならぬということは、私はこれは、総裁の御責任というよりも、やはり日本のアジア的な封建残存の遺風であろうと思います。中国に行って驚きましたのは、そのサービスのいいことです。列車は日本より劣っており、まるで明治三十年代の混合列車のような形でありますけれども、その掃除の行き届いておること、清潔なこと、サービスの行き届いておること、驚くべきでありまして、ぜひ国鉄の管理をされておる方々は一ぺん北京にいらして、新しい中国の鉄道サービスぶりをごらんになったらいいと思います。ハエで埋まっていたあの北京がどんなに美しい町になり、そしてヒマワリの種とスイカの種で足の踏み場もなかった中国の列車が列車そのものは粗末でありますけれども、どんなに清潔になっておるかということをごらんになられたら驚かれると思います。時間の正確なことをもって世界の誇りであった日本の鉄道が、敗戦以来非常な苦難の道をたどりつつ今日までよくなってこられた御努力に心から敬意を表しますが、画竜点睛というか、そういうこまかな行き届いた管理についての神経がまだ不足しておる。大新宿の駅はできましたけれども、その管理がはたして適切に行なわれているかどうか、一度プラットホームから、洗面所から、便所の端に至るまで、一ぺん運輸大臣もお歩きなさったらいかがかと思います。いわんやその他の駅々においては、サービスなんという精神はあんまりたいして発達しておりません。もちろん、乗客側の社会公共的な感覚のないことは、これはまた驚くべきことでありまして、酒を飲むのはけっこうですけれども、飲んだものをプラットホームで吐き出すやつなどは、私はこれは軽犯罪法で直ちに逮捕するのもかわいそうです、武士の情けとして。(笑声)が、即刻罰金を課して、吐いたものくらいは翌日ちゃんとはきに来るか、それか五百円くらい罰金を出さすかして——そういうトラなどというものに対して寛大でありすぎると思うのです。こういうのは進歩的弾圧を加えて私はけっこうであろうと思います。  いまのよき駅を表彰すること、それから便所の清掃その他についての通牒などを徹底させること、冷暖房についてもっとこれが重要な問題であるということ、乗客の一人でも暑過ぎるためにかぜを引かしたりなどしたならば、その責任は重大であること、そういうことを徹底さしていただきたい。事は小さいようでございますけれども、こういう問題こそ分科会にふさわしい要望でなかろうか、こう思って申し上げる次第です。
  106. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 帆足委員のおことばに対しましては心から敬意を表します。近代文化国家といたしまして、一言一言が身に針を刺される感がありまして、われわれ国鉄並びに運輸省、陸海空の輸送に当たっているものは、お心を体しまして、十分注意を喚起し、実践躬行いたしたいと思います。
  107. 石田礼助

    ○石田説明員 駅を清くするというようなこと、それから便所の問題は、前総裁が非常に御努力になりました結果、その後だいぶ改善されたと思いますが、しかし、まだかなり遺憾な点がある。特に御指摘の冷暖房の問題については、よく同じような質問を受けるのです。その点は、よく今後とも車掌その他を訓練いたしまして、御希望に添うようにいたしたいと存じております。
  108. 帆足計

    帆足分科員 時間がありませんから……。  同時に、駅の車掌さんたちは、たとえば寝台車などは非常な激務であるのに非常にサービスがいい方面もひとつ大いに称賛しておきたいと思いますが、悪い面は直していただきたい、こういうことでございます。
  109. 今松治郎

    ○今松主査 川俣清音君。
  110. 川俣清音

    川俣分科員 運輸大臣に、毎国会ごとにお尋ねをするのですが、言うほうがむしろひけ目を感ずるくらいです。私は、国家の公務員法の法律案を出した責任者でもありまするので、かなり注目をして見ておるのであります。すなわち、高級公務員の営利企業へ就職承認を求める案件が、運輸省はかなりいままで多かったのでございますが、昨年の件数は減っておるとはいいながら、依然として好ましくない状態が出ておると思うのです。承認は与えられておりまするけれども、承認の与えられなかった件数もまた出ておるようでございます。これは運輸省として、運輸大臣が運輸行政を監督する上に非常に重大な問題だと思うのです。こういうことをやっておるから、運輸行政がうまくいってなかった、うまくじゃなく、正当に行なわれてなかったんじゃないかという懸念を持つのです。  運輸省というのは、非常に情実とか因縁にかられておるのではないかという懸念がここに出ておるという点なんです。しかしながら、人事院の強い監督によってかなりの目的が達成されてきていることは非常によかったと思うのです。この点は、毎回やかましく言われるので、だいぶん運輸省も頭をしぼりながら苦労しておる点は認めますよ。しかし、承認された中でも、非常に疑問、疑問というより、こういうことが許されてしかるべきかどうかという懸念を持つ点は多々あります。  大臣、これはほかの省にもあるんですよ。だから運輸省ばかり責めるわけじゃないのですが、一番欠陥が出ているのは大蔵省と運輸省なんです。それはなぜかというと、運輸省で非常に権限を持っておる者が、権限を持っておるんですよ。権限のない者が、どこに行って就職しても、これはたいした問題じゃないのです。運輸省というのは、非常に権限を持っておるのです。したがって、バス会社バス会社競争して負けそうになると、運輸省の者を入れてきて強化しようという作用、それにまた乗るんですね。このことが出てきているんですよ。かつては、去年あたりまでは、ひどいのは豊島ですが、バス会社の認可あるいはタクシーの認可がなかなかできないというので、運輸省から入って、入って三月目あるいは半年目に許可になっているなんということ。いままで何年かかっても、七、八年かかって許可になってないものが、運輸省から入ればすぐ許可になるというのはどういうわけなんだ。入ってから間もなく許可になっているんですよ、間もなくといっても、半年かそこらかかっていますけれども。そうすると、おれがいけば許可してもらえるのだということで、それば就職が目的でなくて、許可が目的で運輸省から人をとってきているということになる。これは運輸行政の紊乱のあらわれです。  今度もそういうことがないかというと、大臣、きょう私の質問があるというので、おそらく幾らかお調べになったと思いますが、なしとはしないのですす。同じ運輸省であっても、ホテルの支配人になったとか、あるいは常務になったというのは、これは直接関係ない。お客さんを誘致してくるにしても、あるいは観光局とやってお客さんを連れてくる程度のものでしょうから、たいしたことないのですが、やはり依然として運輸会社関係をしておられるということは、大臣、一体これを何とごらんになりますか。大臣となると、後進に道を開くための就職をあっせんしてやろうということも、大臣の使命のようです。これつとめなければ、あの大臣だめだといって、あとあとまで非難を受けることになりまするから、大臣としては何とか就職させてやりたいということになりましょうが、自分の直接の監督をしなければならない会社にあっせんをするということは、好ましいことではないのじゃないかと思うが、大臣、いかがお考えでございますか。
  111. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 従来どういうことがあったか存じませんが、定年がきてやめる方はやめていかれまして、自分が職を求められることはこれまた自由でありますから、相手とその人が話し合ってきめられることはとめるわけにはいかないと思うのです。でありますから、定年がきてやめられることは自由であり、また、やめてから後に職を求められることも、これまた自由でありますから、これもあえて私どもの力でそこへいってはいかぬと言うわけにはいかぬと思うのであります。
  112. 川俣清音

    川俣分科員 これはけしからぬ答弁です。国家公務員法で、こういう関係を断ち切るために、あえて法律が出ているのですよ。かってにやめても、かってにいってもいいなんという規定になっていませんよ。あなた、そういうことだから、こういう間違いを起こすのです。そのためにあえて法律をつくったと思うのです。これは縛られて困っているという悲鳴はありますよ。だいぶやかましくなったんです。これは私どもも資料を見て、だいぶやかましくなったということはわかりますけれども、かってにやめてかってにつとめたのだから知らないなんということは、大臣みずから国の法律に違反するようなことを慫慂しているということになるじゃありませんか。そうしたら、労働者が違法行為をやったなんて、自分みずからこんな大きな違法行為を放任しておりながら——まだそこまでいってないにしても、それでは人のことは責められないという結果になる。だから私は同情しているのです。各大臣ともなれば、地元の、省内の者の就職を考えてやらなければならない。自分のむすこの就職のように考えてやらなければならないという苦衷は察すると、こう言っておる。あなたがこれをやらなければ、いつまでも普通の代議士に終わる。これはもうほんとうなんです。あなたのほうの総裁といいますか、首相が、運輸省に一大勢力を持っておるといわれるのはなぜかというと、あればみんな後輩というか部下の就職を見てやったので、隠然とした勢力を持っておる。これはそうなんです。(「松浦さんも総裁になるよ」と呼ぶ者あり)いや、いまのままじゃなれない(笑声)だから、その気持ちはわからぬわけではないけれども、権限を持っておるところはよほど慎重に考えていかなければならない。いままでそれが弊害であったのだから、弊害を是正しなければならぬということで、わざわざ法律ができたのですから、その趣旨をどう理解してこれからさせますかということを、まず大臣に具体的にお聞きします。
  113. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 先ほどのは、ちょっと勘違いしたのです。でありますから、いま堀君のほうがそのことをよく知っておりますから、堀君に答えさせます。
  114. 堀武夫

    ○堀政府委員 昨年一カ年で、高級公務員といわれる者で営利企業に就職しました者は十七名ございます。各省見ますと、運輸省よりも多いのが三つばかりありますが、番付から見ますと四位で、中ぐらいのところじゃないかと思われますが、これらの方々はすべて公務員法並びに人事院規則に従いまして、その手続をとって、人事院の承認を後で就職先にいっておられることになっております。
  115. 川俣清音

    川俣分科員 ですから先ほどから、従来よりも——従来は三百件ぐらい申請があったのですね。もう運輸省がほかの省の全体よりも多いくらいな、運輸省だけでも六〇%を占めるくらいな申請があったのが、最近減ってきたのは非常に好ましいことだし、人事院もかなり努力しておることは認めます。その努力は多とするということはちゃんと申し上げてある。少なくなったからいいじゃないかでは済まされないんじゃないかということです。少なくなっただけに、ひどい露骨なものも出てくる。ことしは露骨なものも——ないわけじゃないけれども、そのかわりかなり高級職のものがどういうところにいっておるか。バス会社へいくのが一番問題だと思う。たとえば西武へいっているでしょう。西武とほかの会社とが競争して、このごろ西武が押されぎみだというので、運輸省から連れていこう、これが問題なんですよ。  なぜ運輸省から連れてきたら、ほかの運輸会社と対抗できるようになるのですか。経営が悪くても、運輸省から連れてくれば何とかなるということの間違いを私は指摘したい。これは各バス会社もみんな運輸省からいっておるのです。あそこはコネがあるけれども、おれのほうはコネが足りないから運輸省から連れていくということで、連れていくことが問題だと言うのです。問題はそこなんです。だから人の就職にけちをつけるのではないのです。そういう誘いに応じて、あるいは誘わせて、おまえのところがうまくいってないのは、運輸省との関係が悪いからだということで入り込むということは、綱紀紊乱のもとである、こういう意味で私はこれを指摘しておる。検察庁と違って、すぐ収賄だとかなんとかいう意味じゃない。具体的にそういうことがあったないという問題ではなくて、業者のほうで、業界のほうで、運輸省からこういうくらいな人を、かって自動車局長であったとか陸運局長であったとかいう者を連れていくと、役所にコネがうまくいって、ほかのバス会社競争することができる。そこに問題がある。その人が有能だからじゃない、あるいは技術的にりっぱだからじゃないのです。技術的にりっぱならば、運輸省あたりにいままでまごまごしてはいないはずです。(答声)そうじゃない、運輸省というものはコネがうまくいくということで、誘われていくし、あるいは誘わせるということは、運輸行政を紊乱させるもとではないか、こういうことを大臣にお尋ねしたいのです。それに対しどういうお考えなのか。一方から言えば、自分のかつての部下の就職をやってやらなければならないという苦衷もありましょうが、そこをどう割り切ってあなたは行政をやるか、この点を聞きたいのです。
  116. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 御指摘の点は、法的の手続を十分経てやっております。また、今後もそういうことをなるたけ多くやらないように努力していきたいと思います。
  117. 川俣清音

    川俣分科員 これは私、人の名前をあげるのはいやなんです。そういう意味で指摘しているのでないので、個人にけちをつけるという考え方じゃない。だけれども、大臣があまり抗弁されるのなら、具体的にあげざるを得ないのです。私は避けたいのです。だけれども、あまりそういうものはないのだなんて言うと、具体的な例が出ていますから、認可を与えたけれども、どういうわけで認可したのだ——かなりすれすれの線でもまあやむなく認可したようなにおいがするのがあるのです。そこを言うのです。あまり具体的にあげないほうがいいのじゃないでしょうか。個人の名前をあげるのはほんとうに気の毒なんです。ほかの省にはもっとひどいのがあるのです。大蔵省なんかには実にひどいのがあるのですよ。運輸省が依然として、まだまだこういうことをおやりになるのなら、何としても私は指摘せざるを得ない。なるべく避けようという意思が省内に徹底するなら、私は個人の名前をあげないつもりでありますが、どうですか。
  118. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 できるだけ少なくしたいと思っております。
  119. 川俣清音

    川俣分科員 なかなか就職先を見つけるということはむずかしい。やはり関係したところへ押し込むのが一番安易だ、これは考えられます。なかなかほかへさがしてやるなんていったって、運輸省の役人は使いものにならないという世評の中ですから、非常にむずかしいと思う。やはり関係したところに頼むのが一番頼みやすい、圧力もきく、これは察する余りあるものがある。だけれども、ここでは運輸行政としてこういうことをやられたら紊乱するであろう、自分の子分の行ったところだから、何となくかわいがってやらなければならぬということがついてくる。お嫁さんを世話すると、やはりあとの就職までさがしてやららなければならないということにわれわれも日常なりがちです。なるのがこれは人情です。だけれども、事行政の紊乱になるようなことになったのでは、なかなか大臣でさえ目が届かないのだから、紊乱を起こさないようなことをしなければならないということになると、就職についてもそう安易に賛成できないのじゃないかと思う。これはあなたの省じゃない。通産省で、外国へ官吏として、公務員として肥料の研究に行って、行くときから旅費や何か心配してもらって、帰ってきたらすぐ肥料会社に就職したのがいるのですよ。その肥料会社も前からある肥料会社ではない。八幡経営で新しく肥料会社をやるというのに、なかなかこれが認可してもらえない。通産省あたりがうるさかったのですが、外国に行て新しい研究をしたいということで、役所で大いに所望しておった者を抜いて、肥料会社の許可を得た。これなんかもうひどいですよ。運輸省はそれほどひどいやつはことしはないのですよ。これはあなたのほうの札幌のタクシー会社です。これはあなた方自動車の陳情を受けているのでしょう。あなたは賛成してやりたいけれども、なかなかむずかしいということで、首を振っているということを私は聞いておりますよ。せっかく松浦さんのところに頼みに行ったけれども、なかなかタクシーの増車はむずかしいということを聞いているのです。ところが、おととしは、その歴代の大臣がむずかしいと言っておったタクシー会社が認可になったのですね。陸運事務所の総務部長をした者が入ったらば、六カ月で認可になった。大臣よりももっと権限を持っている。大臣なんか問題にならないです。大臣の顔つきしているだけであって、そんなものは問題になりません。(笑声)実際の権限はこういうところにあるのです。大臣が骨折ってもできないものが、総務部長であった者が入ると認可になるというのだ。これはふしぎですよ。ことしはそういうのがない。これは何だと言ってだいぶんやかましく言われたから、人事院もだいぶん今度は気を使っておるようでございます。その気の使い方に対しては、ほんとう敬意を表する。だいぶん努力した。またやかましい川俣から指摘されるかと思ってだいぶん注意になったことは、私よく認めます。だけれども、かってはあった。人事院どうですか、かつてはあったでしょう。あなたの調査した中にもそういうのがあったのです。ただ形式的に、陸運局の総務部長という役名は、事務の役名であって、認可、許可に直接関係がないから認める。総務部長は書類の審査に直接関係はなくても、取り扱いについては重要な役目をしているというのが総務部長なんですね。それを事務の取り扱い者だから直接関係がなかったと称して認めたんです。それをやかましく、今度人事院はだいぶんうるさくなった。確かにその努力は認めます。各役所とも、人事院がうるさくなったので、軽々に今度は就職できないという恐怖を起こしていることは事実です。恐怖を示すことは非常にけっこうなことだと思う。役所で長い間月給もらって、いろいろ教わって、学校を卒業したらば、今度はもとの役所よりもっといいところに行くなんていうのは、大体心得違いですよ。長い間運輸省でお世話になったのだから、運輸省にもっと役に立つようなことをやってやろうなんというのならまだしも、運輸省をかさに着て、どっかいいところに行ってやろうなんというような、そういう行政をやられたら、国民はたまったものではない。大臣は聞き違いをしたようですが、これはよほどしっかりしてもらわなければならぬ。私読み上げますよ、読むのはほんとうに気の毒なんですが……。
  120. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 御指摘の点につきましては、十分了承いたしましたから、今後そういう悪例の少ないように、一ぺんになくしてしまうということはできないと思いますから、漸次少なくするように努力したいと思います。
  121. 川俣清音

    川俣分科員 漸次よくなりつつあるということは、私は前提で認めたのです。しかし依然としてまだ運輸省はそういう傾向が残っていることを指摘せざるを得ない、こう申し上げているのですよ。ほかのほうはだいぶん自粛してまいりました。まだ自粛の足りないのは大蔵省と運輸省なんです。大蔵省なんか実にひどいのがあるのです。これは運輸行政全体がおかしいじゃないかと思うのです。どんな弁解されても大体こういうことをやっているんじゃないか、これは一、二の例にすぎないのじゃないかという気がする。就職のことばかりでないですよ。すべての運輸行政というものは大体いいかげんにやっているのじゃないか、それだから、私は国鉄などもこういういいかげんなものに監督を受けているものだから、なかなかうまくいかないんじゃないかと思うのです。(笑声)ほんとうなんですよ。国鉄あたりは、運輸省から来るものはこれはお互いの仲間だから、これを受け入れるということはいいでしょうけれども、受け入れが悪いというと、少し国鉄おれが入るまでいじめておこうなんて、いじめられたらこれはたまるもんじゃないと思うのです。そういう感じするでしょう。  まあそれ以上は追究しませんが、そこで運輸省にもう一つお尋ねいたしたい。どうも運輸行政というものは最後までくされがついておるというのですか、においを放さないのが運輸省の特徴かわかりませんけれども、これは国鉄のほうにも関係があるのでしょうか。列車食堂を見てごらんなさい。私は列車食堂に対して毎回投書しておるのです。あんな粗末な食堂はありませんよ。あれが料理人だなんて聞いたら料理人の恥ですよ。なぜかというと、一つの例をあげますと、スープというものは暑いときには冷たくするということはわかりますが、いつです中途はんぱなものを出すのです。(笑声)熱くもなければ冷たくもない、そんなスープが世界中さがしたってありますか。こういうことは料理人というのは恥だとしているのです。こんなものは料理人の風上にも置けないというのが、料理界の、料理人の気質なんです。それを、国鉄の列車食堂になると、それが普通だと思っているのですから、これはおそろしいものだと思う。ときどき指摘しているのです。それでこのごろ、川俣さんが乗ればやかましいからというので、よそよりもおそくスープを持ってくることがある。あなたのやつはよほど手入れをしてこないといけないというので——私にそんなことをしたってだめだ、これはお客にやるべきであって、やかましい人だからなんという考え方が誤っていると思うんだが、この点について……。
  122. 石田礼助

    ○石田説明員 御指摘の点は、これは今後十分注意するようにいたします。実はどうも私はそのスープが冷やっこいとかぬるいとか熱いなんということはあまり注意を払わぬほうでして(笑声)、しかしそれは、あなたのように非常に料理に対してパティキュラーの方から見ると、これはよほど注意しなければならぬと思います。今後係のものに命じて、御希望に沿うようにできるだけ努力をいたします。
  123. 川俣清音

    川俣分科員 そこへいきますと、一番おくれているのは日食なんです。それが問題なんです。日食はなぜ一体そういう態度をとるかというと、これが問題なんです。かつて運輸省におったような人々が全くのしろうとが監督しているから、サービスなんという精神がないから起こっている。そういう人の監督のもとにある。それから見てごらんなさい。私は専門でわかるけれども、一体どこに料理人のごまかしがあるかよく知っているが、仕入れでごまかしをする。ところが、列車食堂は仕入れでごまかすわけにはいかない組織になっている。ところが、料理人というのは、仕入れでごまかすよりほかないんですね、これは使う者と払う人が別だから。そこで仕入れをうまくごまかすのが料理職人の——料理がうまい、へたよりも、どうしてごまかすのがじょうずかというのが料理人として腕のある職人になっているんです。それほどでもないのが日食の料理人なんです、それほど腕もふるえない。なぜかというと、お客のピンはねをするような者がおるということです。これだけの材料が入っているはずのものが、なるべく入れないで、量を少なくして質を低下さして客に提供しようという考え方が、日食の中にはあるということです。うそだと思ったらみんな投書を見てごらんなさい。私、毎回指摘したやつがちゃんと出ておる。ところが、中にはそういう投書をされると困るので、車掌に話して、川俣さんの投書したやつは何とかなだめてもらいというので、だいぶ投書が消えているものがあるはずです。あとでそれを見たところが、どうも指摘が強過ぎて、われわれ首になりそうだから、あれは没にしてもらいたいという手紙が来たのがあります。見せてもいい。私はあえて自分が食いたいとかなんとかいうんじゃない、鉄道サービスを上げていきたい、こういう点から言うんですよ。自分の食うのはたいしたことじゃない。それは弁当を買ってきたっていいのです。なぜかというと、国鉄サービスというものを上げていかなければならないじゃないかという観点から、これを指摘しているのですが、総裁に御答弁願いたい。
  124. 石田礼助

    ○石田説明員 御注意の点は十分よく体しまして、特に日食についてそういう欠点のないように今後とも注意いたします。
  125. 川俣清音

    川俣分科員 十分伝えておくと言うが、総裁だめですよ。伝えてじゃない、人の話じゃない、十分監督して、そういうことをなからしめるという答弁でなければ、よく伝えましてなんという答弁じゃ……。
  126. 石田礼助

    ○石田説明員 十分注意いたします。こういうことです。
  127. 川俣清音

    川俣分科員 線裁、なかなかさむらいだから、私やはり紋切り型に言うといけないので……。そこにいくと、やはり批判の強い東海道線などは、そういう点はわりあいによくいっていると思います。私は東北線と比較してみて特別にそう感じる。私は日食が一番そういう点悪いんじゃないかと思います。実際、これは長い間日食というのは、運輸省あるいは国鉄からいった人が多いために、何とかそういうことはごまかせるんじゃないかという考え方がむしろあるんじゃないか、同じ日食でも、駅の日食などはわりあいにサービスがいいんじゃないでしょうか。なぜ列車に乗るとそう悪くならなければならないか、これが疑問なんですね。駅だとやはり批判の目がきびしくて競争が激しいから、そういうわけにはいかない。列車の食堂になると特権だと考えサービスが低下するという点が私はおそろしい、こう思うのです。駅のやつはみんな競争が激しいですから、そんなことをしたら、おそらく営業にならないでしょうから。ところが、一度汽車に乗ると、なぜそう低下させなければならぬのか、疑問なんです。もう一度、ひとつ総裁、わずらわしいでしょうけれども御答弁願わなければならぬ。駅の食堂と同じ経営をしておる列車食堂がそれほど悪いというのはどういうわけですか、私もわからない。総裁でもお聞きしないとわからない。同じ営業をしておるのに、列車食堂だとが然悪くなる。
  128. 石田礼助

    ○石田説明員 実は私は日食が列車食堂のサービスにおいてさほどに劣悪だということばきょう初めて聞いたのですが、まことにこれは怠慢の至りかもしれません。今後ひとつよく御注意を体しまして、厳重に処していきたいと思います。
  129. 川俣清音

    川俣分科員 総裁の答弁を了といたしますけれども、これはどなたに聞いてみてもわかる。駅の日食はそれほどよそに比べて悪いとは私は思わないが、列車食堂は悪いということは、これは私が言うのじゃないのです。みんな乗客の意見を私はあえて代表して申し上げるということですから、一体どういうわけで悪いかほんとに私はわからないが、よほどこれはあれしてもらわないと、鉄道が今日までサービスしておるのに、こういうところから非難を受けて——鉄道が非難を受けるというようなことは惜しいことだと思うのです。これは、わずかのことで、食い物というのは、これはなかなか恨みを買うものなのですね。ほかのことと違ってなかなかこれは恨みを買うものですから、よほど注意をされてしかるべきだと思いますから、私は言っておきます。  次に、ついでにサービスのことで聞きたいのですが、東京のような大都会の駅では、大体駅が近代化されてきておりますが、依然として上野の駅は雑踏とそれからほこりと不便さに悩まされておるわけです。まずは御承知のとおり、大臣が駅に行かれても駐車場がない。迎えに行っても上野駅には駐車場がないのですね。私、ときどき労働大臣と一緒になりますが、労働大臣が車を動かしてきて、車を置いたのをみんなにしかられているわけです。こんなところに持ってくるやつがあるかといってしかられて、石田君が非常にあやまっているところに私は出っくわしたのですが、それほど駐車する場所がない。迎えに行っても、東北の人たちですから初めてくるような人がある。家族の者がわざわざタクシーなどを求めて迎えに行ってもなかなか駐車する場所がないのです。こういう点も、やはり国鉄サービスとして、駅の浄化をはじめとして、改装等、あるいは付属設備の充実をはかっていかねばならぬ。いま自動車なんというのは、これは駅のサービスとして一番つとめなきゃならぬことになっておる。昔と違って、降りてわらじをはいてその辺へ行くのと違って、タクシーに乗るのが普通になってきたといっていいときに、すぐ乗れないような状態というものは、これはサービスの精神に欠けておる。私はそう思いますが、駅というのは、駅まで列車で運ぶのが国鉄であって、降りたならばあとは知らないんだ、こういうことになっておるようですが、この点どうなんでしょうか。
  130. 石田礼助

    ○石田説明員 御承知のとおり、最近における旅客の激増、これに対する受け入れ対策ということについては、遺憾ながらもう単に上野だけじゃないんです。もうほとんどすべての駅においてしかりでございます。これは、過密ダイヤ、通勤通学時の交通地獄というものと同じように、ひとつ今度の第三次計画において、ほんとうに秩序のあるステディーなものにしていきたいという、これが私どもの念願でありまして、これはひとつ皆さんも国会の力によって十分の食糧と武器をくださり、それによってわれわれは施設を改善する、こういうことにいたしたいと思います。どうぞひとつその点よく御尽力願いたいと思います。  このサービスの改善ということについては、できるだけの努力をいたしてまいりたいと思います。
  131. 川俣清音

    川俣分科員 大蔵省の主計官、うしろでお聞きになっていらっしゃったでしょうけれども、これは分科会ですから、どういうことが出るかということで、必ず大蔵省は来ていなければならぬと思うわけです。総体の予算を仕上げる上からも無関心ではいられないはずですから、お聞きになったと思いますが、いま私がサービスの改善をここで要求したようなことが国鉄から要求になって出ていますか。大蔵省の査定が悪いのか、国鉄予算要求が悪いのか、どっちかはっきりしてもらいたい。そうでなければ、責任を追及する場所がないのです。
  132. 嶋崎均

    ○嶋崎説明員 ただいまの御質問につきましては、国のほうでも損益勘定の予算を組んでおります。非常に盛りだくさんの要求が出てきております。われわれとしましても、本年度は、国鉄当局あるいは国鉄業務懇談会でいろいろ論議があったことでおわかりのように、七カ年約三兆円の投資をする、その初年度でございますので、できる限りその線に沿った予算をつけたいということで努力をしたわけでございます。その収入の原資となるいろいろな財政的な事情、あるいは一部議論になっておった値上げというようなことが見送られたというようなことで、十分意を尽くして、われわれが満足であるというふうな予算でないかとも思っておりますけれども、そういう窮屈の中においては政府の財政投融資というものを相当ふやしておりますし、諸経費の面につきましても、一応国鉄としてもこの程度ならというぐあいの査定になっておると信じております。
  133. 川俣清音

    川俣分科員 なかなか苦しい答弁であることはわからないわけじゃないのですけれども、私が言うまでもなく、運輸業というものはサービス業だと企画庁あたりは答弁しているわけですね。サービス業ですから、——サービスにこと欠かないようにしてやることを予算査定として考えられなければならないと思うのですね。しかも、一般会計にいたしましても、私が言うまでもなく国民の税金ですから、それは大蔵省の金じゃないのです。国民負担をした税金を国民にどういう形で分け与えるかということなんですから、やはり国民サービスをする機関に対しては、そのつもりの考え方がなければならないと思うのです。やはり国民の税金を主体にした予算でありますから、衆議院としては、これは、それが公平に、しかも生活に役立つように使ってほしいという委任ですから、この委任を忘れてはならない。もちろん忘れてはいないはずだと思いますけれども、特にサービス機関ということになると——これはサービスなんですからね。そのサービス機関である、私は、鉄道とかなんとかいうことじゃなく、サービス機関だと考えている。この機関の要請に対しては、運輸省の要求だとか、国鉄要求考えないで、国民の要請という考え方で査定せらるべきものと私は思いまするけれども、査定官はどうお思いになりますか。
  134. 嶋崎均

    ○嶋崎説明員 御意見のとおりであります。
  135. 川俣清音

    川俣分科員 そのとおりだ、こう言うのですね。ところが、どうもそのとおりになっていないようでございます。私は必ずしも国鉄だけを責めるわけではないのです。これはそういう意味ではなくて、あるいは大蔵省だけ責めるという意味じゃございませんけれども、大蔵省としては、これはやはりサービス機関だと企画庁が言うからには、政府が言うからには、そういう考え方で査定せられなければならぬのではないか、営業体だという考え方でなく、サービス機関だという考え方予算を組まなければならぬのではないか、国民大衆に対するサービス、税金を納めてくれた人に対するサービスという考え方をしなければならないのじゃないかと思う。そのことがやがては採算が合うような国鉄になり得るということにはなるかもしれぬけれども、まずサービス精神旺盛にして、しかる後に感謝の念で運賃値上げに応じるという形が出てこなければならないのじゃないですか。どっちがさきに一体折れるかというと、やはり営業者が先に折れて、こうりっぱな国鉄になったのだから、それじゃ運賃値上げに応じようという体制ができてくるのが一番望ましい姿だと私は理解します。そういう意味であえて申します。いま国鉄がどんなに値上げをしようと思いましても、いまのサービスで何するのだという反対が強いということではこの問題は片づかない。これからはサービスがよくなると言うが、いままでもずいぶんこれからサービスをよくするからというので運賃値上げした例があるのです。けれどもなかなか追いついていかれないで低下していくのでありますから、先にサービスを旺盛にして、ここまでやったのだからひとつ認めろということになると、国民運賃を上げることにそれほど反対しないで了承する時代がくると思う。そこへ国鉄を持っていくのが総裁の一段の手腕だ、私はそう期待をしている。総裁ならこれはできるのじゃないかと私は大いに期待しておるのですが、いかがでしょうか。
  136. 石田礼助

    ○石田説明員 川俣さんの御希望は、忌憚なく言えば不可能なんです。サービスをよくして運賃を上げるということは、これは理論としては全くしかり。現在の情勢においてはサービスをよくせんがために運賃を上げにやならぬ、こういうような情勢にきておる。なぜか。第一は、終戦後における過小投資の累積だ。いかに国鉄というものを国会なり政府というものが冷視したか、この経済的の重要性というものに対して正当な認識がなかったと私は思う。その証拠は、いかにわずかな投資をもって国鉄の頭をなでておったかということです。そうしてその次は、運賃を、私から言えば非常に不合理に安く押えた。その結果は、自己資本の累積というものができなかった。投資はしてくれない。そうしてまた運賃は安いところに押えてきている。どうして一体このサービスの改善ができるか。その結果は、結局第一次五カ年計画とか、第二次五カ年計画、これをやったってどうにもうまくいかぬということで、今度は思い切って政府というものの案による第三次計画、こういうことにして大蔵省にお願いしているのですが、いままでの過小投資、安い運賃、ことにあなたなんか御承知でしょうが、世界にまれなる公共負担国鉄の犠牲ですね。世界にこんなところはありゃしません。一年にとにかく三十九年度では九百億くらいの公共負担、こんなものはみんな外国では政府が補償してくれている。これを国鉄の犠牲においてやっているのはわが国だけだ。そういうことを国会なり政府はいままでずっとやってきて、三十二年から三十九年までで五千億くらいになるのです。こういうことが積もり積もって、今日のはなはだしい不満なサービスになった。これを一ぺんに展開するというのはむずかしいですね。そういうことでまた大蔵省に資金をお願いしたところで、国の財政には限度がある。これはむずかしい。これはやはり国会なり何なりが運賃値上げ案というものに対して双手をあげて賛成してくださって、一ぺん煮え湯を飲まにゃいかぬ。そこにおいて初めて国鉄というものはよくなる。いまのように、たとえば通勤の問題なんかにしたって、あの交通地獄を絶対に直さにゃならぬ。しかる後において初めて割引なんというものを是正するということ、これは定石ですが、しかしいままでの過去の罪悪と言っちゃ変ですが、つまりミステークのために、どうしたってサービスを改善して運賃値上げするというのじゃなくて、運賃なりを値上げし、それで自己資金をつくる。しかる後にいわゆるサービスを改善する。こういうことで逆になる。これはしかたがないですね。過去における因縁が事ここに至らしめた。だから、国会なんかその点では責任があると思いますがね。
  137. 川俣清音

    川俣分科員 国会に大いに責任がある。しかも国会でも与党が一番責任がある。一体国鉄を一番利用したりしておるのは佐藤さんだと思う。あれは運輸省にいなければ、いまごろ総理になれないのです。ほんとうです。あれは国鉄赤字のおかげだ——赤字のおかげじゃないけれども、赤字までしてサービスをしたことが総理大臣になる基礎なんですよ。いまでも財界に大きく顔がきくのは、何といっても国鉄というか、運輸省の関係ですよ。陸運事業、海運事業、いずれにしてもかつて佐藤さんというのは一ぺん私鉄から恨まれて、運輸省を首になりかけたのでしょう。ようやく助けられて、大阪の鉄道局長に行ったのです。五島慶太ににらまれて、五島慶太が運輸大臣になるときに、一番最初に辞表をとられた。そういうことなんです。だから私鉄をいじめたということで首になりかけた。そういう因縁なんかはどうでもいいが、やはりサービス業だという精神になると、サービスならば、国会ではサービスについてこれを削ろうというようなことが起こってくるわけがないのです。それでも国民に対するサービスを削ろうなんといえば、大蔵省と断然戦いますよ。いまだって国鉄総裁の言うとおり、私どもは修正案を出してもいいですよ。出せますよ。いま可能かどうかと思って、あなた方に相談をかけておるわけです。この委員会が終わったならば修正案を出そうかと思っておるのです。しかしその前にあなたの決意を聞かなければ、修正するなんということはできないじゃないですか。そこでしつこくあなたに聞いておるわけです。これは、大蔵省は査定の権利はありますけれども、修正の権利は国会にある。あなたのおっしゃるとおりです。私どもは国鉄を守ってやるなんという考えはない。因縁はないわけです。そうでなくて、国民に対するサービスを完ぺきならしめるためには、鉄道はこうあるべきだ、それには予算をもっと出さなければならない、あるいは補助していかなければならないということも出てきていいはずだと思う。その上で運賃を上げることについても、何年後には運賃を上げるという法律を出せないわけでもないわけです。施行期日をずっと延ばしておけばいいのですから、運賃値上げの施行期日を延ばしておけばできないわけではない。それで安心するかというと、そうではなくて、私どもは、やはり国鉄みずからがサービス精神を旺盛にしておかないと、サービスもやらないような国鉄値上げしたって、補助を出したって意味がないじゃないかと言われると、今度は私が責められますから踏み切れないという意味で申し上げておるのですが、国鉄はどういうお考えですか。あなたのおっしゃるとおりどっちが先か、卵か鶏かは別にしても、やはりもっとサービス精神に徹底しなければならない国鉄であるということになると、大蔵省が一番弱いのはやはり税金を納める人に一番弱いのですよ。何といったって国民が殿様だ。大蔵省が殿様だというのは間違いなんです。国民値上げしてもいいのだという状態ができれば、大蔵省はさようでございますかと言わざるを得ません。あるいは補助にいたしましても出してやれるのですから、おれたちの金で出してやれと言われれば、そうですかと言わざるを得ないと思います。いまの段階ではサービス精神なんというものはないと思っておりますから、大蔵省というものは、何も金のほうさえ詰めればりっぱであって、サービス精神なんというものは毛頭あってはならないのだ、こういう考え方をしていますから、そこであえて私は質問せざるを得ない、こういうわけなんです。大蔵省どうですか。
  138. 嶋崎均

    ○嶋崎説明員 それは国鉄サービスにはいろんな種類があるというのです。しかし基本的には、公共輸送機関として十分な輸送力を持ち、しかも安全に運行するというのがサービスの基本であります。またその運用について、先生が御指摘になりましたようなこまかい気配りがあって、りっぱなものに完成するのだと思うのでございます。本年度は、そういう意味からいたしまして、まず基本的には七カ年三兆円の投資計画を実施する初年度としまして、三千億の工事規模をどうして確保するかということで非常に苦心をしたわけでございまして、これを対前年で比べますと、去年の国鉄改良費は千七百五十四億であったものが今度三千億というような数字になっておる。東海道新幹線を入れて、しかも補正後で見ましても二千六百二十二億円という規模のものをとりあえず、三千億ということになっておるわけでございます。国鉄の経理から見ますと、三千億の工事はなかなかたいへんだと私は思うのでございますけれども、いろいろ財政その他の面、特に財政投融資の増額等を考えまして原資を確保し、ともかく相当飛躍的に大きな工事規模を確保できたというふうに思っておるわけでございます。そういう意味合いから申しまして、基本的に本年度の予算は先生の御質問の御趣旨に沿った形でわれわれ努力しておるものだ、こういうぐあいに思っておるわけでございます。
  139. 川俣清音

    川俣分科員 こういう答弁をせざるを得ないですね。なぜかというと、ここで修正されたり、予算が通らなかったりすると、たいへんなことになるから、こういう答弁をせざるを得ないのはよくわかるのです。だけど、この委員会だけでは大蔵省実に答弁が上手だけれども、また国会が終わってしまうと、そうじゃない、大臣だっていつも苦労しているじゃないですか。国会中は大臣の勢いもだいぶ強いですけれども、終わってごらんなさい、大臣だって二束三文より扱われないのです。そこで私は国鉄に資本を充実させることをいまから考えなければいかぬと思うのです。現金を持つばかりじゃなく、せっかく交通機関として将来性のある仕事をしておられるのですから、土地なども、駅の敷地のようなものは将来混雑することが大体予想されるわけですから、もっと広範に、鉄道債券などを発行して、土地を求めておくことが基本財産として必要なんじゃないかと思うのです。そうなると金利以上のものが入ってくるから、国鉄の事業と相まって——いまの私鉄はみんなそうなんです。東急であろうと何であろうと、東急の基礎を築いたのはみんな東急沿線の土地をもってやったのです。五島慶太が事業がうまいのではないのです。土地を買っただけなんです。いまからいうと、土地のブローカーをやっただけのことなんです。運輸業をやったんじゃないんですよ。土地のブローカーであれはできたんですよ。そのことぐらいは私鉄を監督している運輸省が知らないわけでもなし、国鉄が知らないわけでもないはずです。いまごろからまねしてどうだろうかというけれども、企画を持っているのは自分のほうでしょう、この企画に合わして土地を持っているということは、これは必ずしも行き過ぎなものではなくして、基礎を確実にするゆえんだと思う。もうありきたりのことではどうにもならなくなってきたということの説明があったのですから、ありきたりでなくてやられることも、転換されることも一つじゃないかと思うのです。必ずしもそれがいいという意味じゃないですよ。どうして私鉄ならばああいう成績をおさめたか。土地は売るべし、そこに人口をふやして乗客をふやすべし、こういうことでやっていったために今日のような私鉄の基礎ができたと思うわけですから、国鉄だってそれをまねられないわけはない。従来だけのことではなしに考えることができるんじゃないか。こういうことであれば、大蔵省も、ことしの予算だってなかなか渋いのですけれども、将来のことだというとわりあいに渋いばかりでもないようですから、そういう遠大な構想を持たれることも必要なんじゃないか。私、たまたまかって、よほど前ですけれども、後藤新平さんが秋田鉄道をつくるときに、これは輸送でもうけようとしないんだ、この辺を開発してもうけるんだ、こう言っておられた。輸送でもうけるなんということはできるものじゃない、人を運んでおいてそれでもうけてやるなんていうことは、歩いていく人さえあるときに、汽車に乗ってそれでもうけてやるから乗りなさいなんて、そんなものでもうけられるものじゃない、そう言っておった。だからああいう私鉄をつくるのは、もうけるためじゃなくて、自分の仕事をやるのに便利だからつくるんだという考え方だった。鉄道だってそのくらいの遠大な計画を持ってもいいじゃないですか。持って悪いということにはなっていないのですから。逆にいって、国鉄が借りながら、着工を決定しながらこれを使わないでおるなんということは、赤字を重ねるゆえんだと思う。これも予算がないからとおっしゃるだろうけれども、もっと国の土地を有効に使って事業をしていくということも考えていい。それは結局サービスの精神に合うのだという考え方をいたしますれば、両々相なるのではないかと思うのです。だから従来のような国鉄の役人らしい考え方——総裁に大いに期待しているのは、従来の役人の頭というものはりこうだけれども、抜けているのが役人の頭と思えば間違いがない、そういう意味で総裁に期待するところ非常に大きい。従来のような頭から脱しさせるというのが国鉄の生きる使命だ、こう私は理解するから、そういうことについても、いまここで回答を求めませんけれども、考えて、総裁は善処してほしい、こう思います。
  140. 石田礼助

    ○石田説明員 お話のとおり、私鉄鉄道をつくる時分には、まずもって土地を買っておった。そして土地が値上がりする。それによってあとで売ってもうけた金を鉄道のほうに回す、こういうことですが、いまの国鉄としてはこういうことはできない。私は財界から国鉄に入って、別に五島慶太式のことをやるということは考えていない。私はそういうスペキュレーターだとあなた期待したら、期待するにおいては非常に間違いだ。私はほんとうにあの国鉄法の精神にのっとってやりたい、こういうことなんで、ことに、あるところについては、まずもって土地を買っておいて、そして鉄道をあとで敷くというようなこともありますが、これにはやはり相当に危険というものが伴うということなんで、あなたから見ると、実に抜けたやり方かもしれぬ、あまりりこうでないやり方かもしれぬが、これはやはり鉄道の定石に従ってまず必要のところだけを買ってやっていくということに私はいくつもりなんです。どうぞひとつ、私が五島慶太式にやるというようなことは御期待にならぬように、ぜひお願いしたいと思います。  それから大蔵省の査定の問題ですが、やはり大蔵省にもその財政に限度がある。われわれは、やはりおやじのさいふの重さを考えてねだらなければならぬ。どうもそれ以上に期待をすると無理である。ことにこの第三次計画の第一年に対する大蔵省の御努力というものに対しては、私どもは非常に感謝しておる。ただこいねがわくば、この三千三百億というものが、ほんとうに確実に入るようにしてもらいたい、こういうことが唯一の念願だ、それ以上には別に期待もしなければお願いもしない。大蔵省の苦心というものに対しては、十分にお察ししているということが私の偽らざる告白であります。
  141. 川俣清音

    川俣分科員 時間がありませんから、最後の質問をいたしますが、私は必ずしも五島慶太になれということは言わなかった。五島慶太というのは、一ぺん運輸大臣を戦時中にやったことがあるのです。何をやったかというと、何もやっていないのです。国鉄法というものがあって、個人企業のようなぐあいに運輸省を動かせると思ったのが間違いでした。部内で衝突をしてしまって、何にもできなかったのです。玄関に入ったって、五島慶太に、守衛であいさつする者がなかったのです。それで守衛を首にせいといって、やった。せいぜいやった仕事というのは、守衛を首にしたことだけです。記録を見てごらんなさい。あいさつしないというので、守衛を首にしただけが功績になっている。功績かどうかわからぬけれども、残っている仕事というのは、守衛を首にしたくらいなことです。それで運輸大臣になるというのだから、おそろしくお粗末ですよ。だからそんなになりなさいというのではないけれども、役人は、ワクから離れされないでおるから、ワクを脱するような考え方をしなければ、国鉄法に基づいてやると、いつまでたってもあれなんです。国鉄法を順法しょうと思えば、いつまでも打開しないのです。いままでいた国鉄の者を首にするぐらいがせいぜいで、あとは国鉄法を順法しようと思えば、相当やかましく言うくらいのもので、ほかにはないですよ。私はだからそういう意味で、必ずしも五島慶太になれなんというのじゃないのです。私は五島慶太と運輸大臣の部屋でけんかしたことがある。あのときの五島慶太というのは、国会のことも何も知らぬで、そうしてけんかしたことがある。そういうこともありますけれども、そのことはいまここで言う必要はないのですけれども、そんなことになれなんというのじゃないのです。ただ国鉄法というものは確かにあるから、これは何といっても順守しなければならないけれどもそれじゃ改正しなければうまくいかないというならば、国会は改正する意思を持たないわけではございません。したがって、国鉄法が悪いのか、国鉄法に基づいて運営していけばうまくいかないのか、こういう点をはっきりしていただければ、われわれも処置のしようもある、こう思うのです。国鉄法に反してやってくれなんてここでは言えないですよ。だけれど、やりにくいというのならば、改正しなければならぬだろうと思います。そういう意味において、国民の期待するところは大きい。国鉄に対しては国民が異常な、あまり期待が多過ぎるかもしれませんけれども、大きいということは好ましいことなんです。問題にならないなんということよりも、期待をかけられるほど値打ちがあると思って善処願わなければならない。もう国鉄なんというものには期待しないのだということになったらおしまいです。それこそ最悪の事態ですよ。まだまだ何とか国鉄にやってもらおうという熱望があるのは、非常に信頼度が高いわけですから、そのつもりで善処願わなければならぬ。  私の質問はこれで終わります。
  142. 今松治郎

    ○今松主査 田原春次君。
  143. 田原春次

    田原分科員 運輸省関係は、自動車局長それから国鉄総裁にお尋ねいたします。  まず最初に自動車局長にお尋ねしたいのは、タクシー関係です。タクシーの名前は非常に各種類できておるのですけれども、これをたとえば東京の場合、かりに有楽町タクシーとか、品川タクシーとか、駅あるいは電車の終点本位の名前にして、何十台か以上の合同でもさせておいたほうがいいと思うが、そういう方針はとれませんか。たとえばかりに百台以下のものを地域地域で合同させて地名を冠する。いまライオンタクシーとか、はとタクシーとか、さまざま言っておりますけれども、それは業者の好みで言っておるだけであって、乗るほうからいうと、非常に不便だ。品物を忘れてもどこのタクシーかわからぬということになるから、四大社はありますが、それ以外を各駅別かどこか、溜池なら溜池というような代表的な名称をつけて、合同させていかれたらどうかと思いますが、そういう方針はとれないものでしょうか。運輸大臣、それは運輸省の大きな仕事なんでしょう。
  144. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 タクシーの合同その他の問題については、自動車局長から御答弁いたさせます。
  145. 坪井為次

    ○坪井政府委員 タクシーの合同につきましては、現行法では法的に強制することはできません。行政指導として考えられるかどうかということでありますが、非常に数が多過ぎまして、ただいま御指摘のような問題のあることは存じておりますけれども、いまの段階において、そういった行政指導をとるというふうにはわれわれは考えておりません。
  146. 田原春次

    田原分科員 考えてないから、ぼくの聞いておるのはやったらどうですかというのであって、いままでのタクシーの免許の基準なるものを聞きますと、一定の条件がそろっておれば許すのです。どういう名称を使ってもいいし、それから問題は資本と場所か何かの条件で台数等がきまるのですから、無制限に広げますと、東京のごときはおそらく千数百も違った名前があるのではないかと思うのです。アメリカの例をとりますと、たとえばイエロー・キャブとか、そういう代表的なタクシー会社がありまして、全国至るところ同じマークでやっておるわけです。東京は大和とか、日本交通とか四大社がある。これは大阪には同じものはないのです。それから乗る者の便利からぼくは言っておるので、一つは名称を統一する。したがって、資本も合同させて零細企業から中企業、そのくらいにさせたらどうかということです。そのことによって、経営の合理化——経営の合理化というと、普通労働者の首切りになるらしいが、そうじゃなくて、むしろ重役の多過ぎるのを整理できるのじゃないか。車庫その他のあれも二十台ほどのタクシーが五社集まれば百台になりますから、合理的にいくのではないか。あなた方がやっていないことをやらなければならぬという意味で聞いておるのです。それはやりませんかということです。そういう意味なんです。
  147. 坪井為次

    ○坪井政府委員 タクシーの合同という問題につきましては、かつて戦時中にガソリンその他の統制で合同を奨励したことがございますけれども、いまの時点において、乗客の便利のために合同してはどうかというお話でございますけれども、実際問題としてある程度弱体業者が大企業に合同されていくという傾向はございますけれども、これを積極的に促進する法律的な手段がありませんし、われわれとしては望ましいかっこうではあるということは思っておりますけれども、積極的な行政指導をするというころまでは至っておりません。
  148. 田原春次

    田原分科員 それでは運輸大臣に聞きます。要するに、いまの免許方針その他で積極的に合同させる法律的規定がないということです。これは行政当局としてはそうかもしれない。しかしながら、先ほど出たように、サービスということになれば、東京に何千種類かあるタクシーを、せめて何十種類くらいに合同させて受け持たせることは、乗客のためには便利ではないか、これは一つの政治ではないか、大臣の仕事ではないかと思うのですが、どうですか。
  149. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 これはひとつ政策として研究してみる価値は十分あると思いますが、いま直ちにやるということは言明することはできません。
  150. 田原春次

    田原分科員 それではその程度にしておきましょう。研究をしてもらうことにして、またあとでお尋ねすることにいたします。  第二点は、国鉄に関することで、二点あります。石田さんにお答えできるものと列車課長ができるものと二通りあります。  最初に石田さんにお尋ねしたいのは、いま国鉄本社の総裁、副総裁、理事、局長等で、東大、一橋等を出た者とそうでない高等学校程度といいますか、無学歴といいますか、実歴から上がった者と比べてどういう割合が、あるいは実歴者が全然いなくて官学出ばかりですか。
  151. 石田礼助

    ○石田説明員 その点、私はあまり詳しく存じませんので、豊原常務理事からお答えいたさせます。
  152. 豊原廉次郎

    ○豊原説明員 お尋ねの理事という職に限りますと、(田原分科員地方局長まで入れて」と呼ぶ)地方局長まででございますと、そういう大学卒業者でなければなれないということでございませんので、そうでない者もおります。
  153. 田原春次

    田原分科員 おりますか。
  154. 豊原廉次郎

    ○豊原説明員 はい。
  155. 田原春次

    田原分科員 何名、どこどこの局におりますか。人名はどうでもいい。数だけでけっこうです。
  156. 豊原廉次郎

    ○豊原説明員 あとで調べてお答えいたします。
  157. 田原春次

    田原分科員 その間予算審議をストップしますか。——じゃ、私は意見を言いますが、国鉄では私学出や京都大学出というのはほとんど局長になれないのです。それ以外の、地方の終戦後できた大学からもなれないのです。東大と一橋大学だけなんだ。石田さんも一橋じゃなかったかと思うのですが、そういう学閥で推されたかどうか知らぬが、いずれにしてもサービス業が丁寧にいかぬのも、上からの天下り人事だからだ。これは昔で言う高文の行政試験を通って国鉄に入る。入ると、よほどのばかでない限り局長までいくことになっている。だから、何もしなくても、失敗さえしなければ局長までいくし、国鉄一家であるから、やめると今度は日本食堂であるとか、日本通運であるとか、一生涯めしを食えるところにまた下がっていく。その反面、三十数万の労働者がおって、雪の降る北海道でも夜通し運転をやったりあるいは線路工事なんかやっておる。これは無学歴であるがゆえに、本社の局長になったり地方の局長になったりはできないのであります。私は専門的に調べたことはないが、私学の者が一、二名おるかもしれぬ。しかしそれだってなるときは、あと二年もすれば定年というときにやっとお情けでする程度です。サービス問題を離れて、国鉄一家というものは、悪い意味で学閥の根拠地になっており、あらゆる悪事の根拠地になっておる。ところがあなたの先ほどのお話の中で不満足なのは、たとえば金が要るとか、過密人口だとか言うが、過密人口については国鉄が幾ら気ばってみたって解決しないですよ。実業家としてのあなたが過密人口に直面するならば、人口の分散をさせることだと思う。東京を例にとっても、数百万の不要人口が東京にいるのです。東京でなければならない設備と、東京でなくてもいい、地方に置いてもいい設備があるのです。たとえば国立の大学のごときも東京に十三ありますよ。ある外国の大学の博士が来たとき私がそういうことを説明したら、そんなことはインポシブルだ、不可能だと言っておる。東京に官学、私学合わせて百十七あると言ったら、それは高等学校の間違いだろうと言って笑っていた。そういうように、何もかも東京につくるので人口がふえる。いま入学時期だからなお人口がふえておる。ある家庭のごときは大学に子供が入るために、いなかの家を閉じて、私の知っておるのは歯医者ですが、東京に来て歯医者をやる。それから大学を出た者が、今度は浅草や銀座の夜のネオンの誘惑があって、どんなはんぱ仕事をやっても東京におりたいわけだから、したがって、どんどん人口がふえる。人口がふえたことだけをあなたは言って、過密ダイヤ過密ダイヤといっておるけれども、そんなことは末のことなんです。この間の佐藤総理のやられた交通審議会なども私は末のことだと思う。それよりも人口分散対策というものを考えなければいけない。文部省は大学のことばかり心配しておる。厚生省は病院のことばかり考えておる。伝染病研究所や松沢病院がなぜ東京になければならぬのか。はなはだしきは死刑執行の場所までも東京へ持ってこようとしておる。こういうことで年間に百万ずつも東京は人口がふえる。だからいかにあなたが実業家の経験をもって国鉄におっても、過密人口は解決できません。過密ダイヤは解決できない。これは脱線が過ぎたようだけれども、結局は官学本位のおざなりの、先ほど川俣君が言ったように、秀才であるけれどもどこか抜けておるのがぐるぐるぐるぐる回りながら、最後に退職すると、日食や日本通運に入って一生をそこで暮らす。これは人口のことと関係ありません。こういう総合政策が欠けておるところにこの内閣の欠点がある。  それであなたにお聞きしたいのは、ちょっと脱線しましたけれども、無学歴、実力本位で引き上げるような道をあけてくれないかという点です。たとえば国鉄労働組合からも職員局長を出すとか(「そんなことをしたらたいへんだ」と呼ぶ者あり)それはたとえばということで言っているのだが、高等学校を出ただけで前線で働いておる者は一生涯下つばで終わる。たとえば下っぱから上がった者は、上野駅長と東京駅長でおしまいなんだ。これが列車課長になるとかあるいは本省の局長になるということはできない。そういう仕組みになっておるのですね。だからこれだけでも一応直したらどうか。無学歴でよろしい。鉄道教習所もあるし、熟練した者はそれだけの行政的最高の地位につけてやるような、天井のあき窓を一つつくってやる。ベンチレーションをつくってやる。これだけを言おうと思ってほかのことまで言ってしまったんだが、あなたも百までは生きないと思うが、まだ六十代か知らぬけれども、いずれにしても任期があることだろうと思うので、大久保彦左衛門みたいな意見ばかり言っているのでなくて、この問題ぐらいは置きみやげにできないものか。才能に応じて最高の地位までいけるようにあけておいたらどうか。これは人生の最後の場面における置きみやげになると思うが、どうですか。
  158. 石田礼助

    ○石田説明員 お話は一応私は真理であると思います。たとえば国鉄におけるこれまでの人事というものは、上の局長なりあるいは常務理事になるためには、大学を卒業する前に高等文官の試験を受けて合格した者でなければなれない、こういうことが多年の因襲だったのです。私が監査委員長になりましてから、そういう人事というものは間違っておる。これは官僚人事なんです。私がおりました物産関係会社のように、学校を卒業したときの成績でなくて、現在の実力に応じてやることが生きた人事じゃないか、こういうことを時の総裁の十河氏に進言しました結果——あなた御承知か知らぬが、国鉄には岩盤というやつがあるんだ。岩盤というのがあって、ある程度までいくとそれ以上にはいかないのです。そこでストップしてしまう。これは生きた人事じゃない。官僚人事はやめる。だから大学を卒業する前に高等文官試験に合格した者が上にいくばかりでなく、岩盤のうちからある程度引っこ抜いて、局長にし部長にしたらどうか、こういうことを私が進言しました結果、(「田原分科員やりましたか」と呼ぶ)多少やりました。私になりましてからも、これはぜひやらなければいかぬ。やらなければいかぬが、しかし急激にやるということはこれはいかぬ。だから徐々というとはなはだまずいのですが、必ずある程度やっていこう、こういうことで現に——思い切ったことをやろうとしますと、これはやはりどうも秩序を乱すというか、平和を破るような気持ちがしますので、一年のうちに三人か四人は、岩盤から必ず抜てきしてやるということで、現在やっていますよ。それから、まあこれは四十五万の人間ですからね。これを一ぺんにごちゃごちゃやるということは、どうも私としても勇気がないですね。まあしかし徐々にやる、こういうことにいたしておりますので、これはやはり、かすに相当の日をもってしたら、さらにこれが改善されるのだということを私は確信しております。
  159. 田原春次

    田原分科員 非常に答弁としては威勢がいいようだけれども、実際としてはあまりやらないらしいですが、地方の局長くらいまではやらしたらどうですか。
  160. 石田礼助

    ○石田説明員 やっています。
  161. 田原春次

    田原分科員 どこでやっていますか。実例をあげてください。
  162. 今村義雄

    ○今村説明員 全部はあれでございますが、たとえば、ただいまでございますと仙台の鉄道管理局長なんか……。
  163. 田原春次

    田原分科員 それではあなたの在職中にいい成績があがるように期待して、この質問はこれでやめておきます。次は、先ほど川俣君は東北線の話をしたのですが、私は東海道線の、自分がほとんど月に四、五回乗っていますから、こうもしたらどうかという希望なり、列車ダイヤの編成ですね、これはあなたじゃ無理だと思うから、だれか専門家に……。  昔——昔といっても昭和です。終戦直後ぐらいには、東海道線の長距離だけに例をとっていいますと、朝八時熊本行き普通急行があった。それから夜十一時には博多行きか鹿児島行きだったかの急行があった。ところが特急ができ出してから、まず朝の熊本行きが廃止になっているんです。いままでは昼のデータイムに、ちょうど九州に行く便がないのです。夕方になると、が然特急が五本ある。まず四時半の「さくら」、それから六時二十分の「みずは」、十分おいて六時半の「あさかぜ」、それから五時の「はやぶさ」、それから七時五分の「富士」というものができている。これはこの前の運輸大臣の選挙区大分県行きのサービスでつくったらしいのだけれどもね。したがって、七時五分に特急に乗りおくれますと、翌日の十一時まで九州行きの旅客というものはじっと東京駅にすわっていなければならぬ。どんな急病があっても行けないんです。そんなばかなことがありますか。ぼくはしろうとですから、千何百本の非常な過密ダイヤをつくられるという御苦労はわかりますけれども、まず大づかみのところ、特急が九州行き五本ならば、四時間おきくらいに午前六時、午前十時、午後二時というように一応出しちゃう。そしてその間にローカル線その他を入れるようなことができぬものか。東京に来た者は、半日間だけはおまえはくにへ帰ることは許す、これは九州、中国、四国に対してですよ、あとは東京におれというのは、これは世界に冠たる国鉄ですと、総裁だいぶいばっていたけれども、いなか鉄道とちっとも変わらぬ。だから列車ダイヤをイーブンに時間の間隔をおいてやるか、集中しておるいまの方式を変えるか、変えられぬならば、他の方法をやったらどうか。他の方法もまだ幾らもあるのだから。そういうことを専門家に秋の編成までには考えてもらえぬかということなんです。
  164. 今村義雄

    ○今村説明員 列車ダイヤの編成につきましては、発着の時刻が非常にお客様に便利になるようにということを主眼に置いて編成するわけでございます。東京から九州行きでございますと、やはり何といっても夜行を使うお客さんのほうが非常に多いということで、従来からもそういう列車を編成しておるわけでございますが、まあ特にスピードが要りますので、当然特急群が相当多いわけでございます。急行もあるわけでございますが、特急を多く発車する。特に昨年の十月には一往復の特急を増発したというような格好になっておるわけであります。特に夜行時間帯でございますと、やはり東京発の時刻と着の時刻というのが、お客さんの便利になるようにということで編成してございますのでどうしてもやはりかたまらざるを得ない。まあ昼間の列車も、それは御希望の方はあると思いますけれども、どうしてもやはり夜行時間帯を希望される方のほうが多いという実績になっておりますので、そういう編成になっておるわけであります。特に東海道新幹線が開業いたしました去年の十月のダイヤ改正におきましては、昼間のお客さんは新幹線をできるだけ利用していただく。そこでその新幹線と山陽線、山陽線から九州に行く接続をよくするということに重点を置いて編成いたしたような次第であります。  直通の急行列車を東海道線の現在線に残すということにつきましては、せっかく新幹線をつくりましたのは、現在の東海道線が非常に行き詰まっておりまして、これを打開するために新幹線ができたわけでございますので、そういう意味からも、急行の九州行きというものはある程度やめざるを得なかったというような事情に相なっておる次第でございます。
  165. 田原春次

    田原分科員 それは実にぼくはおかしいと思う。午後四時半から七時までにさだめし帰るであろう、それから翌日昼ごろに着くのがいいだろうというのは、国鉄側の一方的考え方です。午後七時五分の「富士」にたとえ一分の違いでもおくれた場合はどうしますか。それは超特急はありますけれども、超特急の連絡というものは昼間だけですよ。午前六時に東京を出たのは、その晩の新大阪乗りかえで「かもめ」か「みどり」で夕方九州に着くようになっておるのです。夜行はそうじゃないです。たとえば午後八時に超特急に乗りますと、十二時に京都に着くわけなんです。一時間半待って東京を六時に出た「あさかぜ」か何かに、そこでもし寝台があれば乗れるというだけで、はっきりしないのです。したがって、夜八時ごろまで用事のあった者は、東京で「あさかぜ」の寝台を買い、それを京都から乗るようにしておかなければ、二重の手続をしなければならない。あなた方はただで出張するし、出張旅費でやっておるから心配はなさらないだろうが、実際の客からいうと、昼間に特急が一本なければならない。半面また深夜に一本ぐらいあってどうか。たとえば、ロスアンゼルスからメキシコまでは午前一時に出る急行の寝台列車があるんですよ。午後の十一時ごろからホームに車が入っておりますから、それに入って寝ておると、夜中の午前一時に出発する。あるいはモスクワからレニングラードは真夜中に出るのです。そして翌日の十二時にレニグラードに着くのです。しかも汽車は、過密でない関係もありますけれども、二時間前にホームに入っておりますから、十二時ごろ行って寝ることができるわけですね。ひとり日本だけは、午後四時半から午後七時までに五本の特急を中国、四国、九州に出しておいて、あとは知らぬということになる。非常に事情に詳しい者は超特急に乗っていくということもありますが、それは荷物があったり、じいちゃん、ばあちゃんが、おったりするとできません。だから、私は対策として、もし可能ならば、いまの夕方五本もあるような、十分置きに出るような特急は、真夜中に一本おくらしてくれたらどうかと思う。大体名前にしてから「あさかぜ」ということなら、午前一時ぐらいにしてくれたらどうか。いやな者は乗らなければいいんだから……。そしてあと博多に着くのは……(「夜中に東京を出たってしょうがないよ」と呼ぶ者あり)いや、それなら言いましょう。たとえば「あさかぜ」に乗った場合、夜中の一時に大阪に着くのです。大阪は夜中に着いていいが、東京発は真夜中を避けなければならぬという根拠はないと思う。なぜ夜中に東京をたつ汽車があっていけないのですか。鹿児島まで行きたい人は「はやぶさ」に乗って、ちゃんとあるんだから……。それを言うんだ。特急というのはあとから出て普通急行を追い越すところに意味があるのですが、そこには連絡するものが何もないのだから、これは単なるマンネリズムで、何か列車編成の有名な課長補佐ですか、この間新聞で見ましたのですが、御苦労であるけれども、秋のダイヤ編成までに、長距離列車を早朝に一回と、深夜に一回ぐらい分けたらどうか。増発せいとは言いません。いま五本あるうちの一本を午前八時、これは午後の十時過ぎに博多に着くのですから……。それから一本を夜中の十二時、そうすると午後四時ごろに博多に着くのですから、そういう方法をやってはどうかというのです。これは研究してもらわぬといかぬだろう。いま討論したってしょうがないんだから、そういう方角に——おそらく官庁の陳情に来た人が帰るのは夕方だろうという想定で、夕方つくっているのかもしれないが、そうじゃないですよ。たくさんの用事があっておそくなる人もありますし、また銀座に出て一ぱい飲んで乗りおくれるものもあるのです。それがむなしく東京駅でオーバーにくるまって寝なければならぬということはないのです。天下の大東京が二十四時間のうちたった八時間しか九州には連絡がない、あとの十六時間は列車がないという偏在は少しおかしいと思うのです。困るのです。深夜発車を一本ぐらい認めなさい。新規に認めなくても一本おくらしたらいいじゃないか。
  166. 今村義雄

    ○今村説明員 深夜特急を繰り下げて走らせたらどうだというお話でございますけれども、深夜には深夜として、いま各方面の旅客列車も相当走っておりますが、さらにそれ以上に貨物列車が大体昼間荷づくりして夕方までに集貨して、それを夜走らせるというたてまえになっておりまして、夜間の筋はできるだけ貨物列車に当てるということにいたしておりますので、特に特急列車のような優等列車を走らせますと、貨物列車の筋が非常に大きく影響を受けるわけでございます。したがいまして、この問題は研究には値するとは思いますけれども、実現はなかなか困難ではないかというふうに考えております。
  167. 田原春次

    田原分科員 実現は困難なことはないですよ、サービスの精神があれば。貨物は三十本以上にわたってサービスしているんだから、一列車だけは何とかしましようということはどうか。それは前にも質問したことがあるから、貨物のあることはわかっています。貨物のあることはわかっているから、そこのあんばいなんです。そこがダイヤをつくる人のあれだと思う。何となしに長い間の習慣で夕方出しておりますというのではしようがない。やはり深夜を研究しなければならぬ。深夜を一本下げなさいよ。大臣の責任でやっちゃどうですか。そうでなければ審議をストップしなければならぬ。(笑声)
  168. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 九州に急行が一本もないということは、あれだけの人口があって一本くらいあってもいいということはだれでもそう考えるのですが、それよりも大事なことは、金に物がついていくか、物に金がついてくるかという問題であります。これだけ日本の経済が大きくなって忙しくなってまいりますと、それは結論は物に金がついてくるということになるのであります。物が動かなければ、その間手形でやるのでありますが、手形は何べんも書きかえしなければならぬということになりまして、結論は物がつかなければ決済がつかぬということになる。でございますから、物を輸送するということも、この日本経済にとっては重大な任務でありますので、そこらを兼ね合わせまして、御意見のことを十分考慮して、できるだけ努力いたします。
  169. 田原春次

    田原分科員 できるだけ考慮しますというのは、もう通り一ぺんのことばで、はっきりしないのですがね。実現に向かって研究する。専門家会議でもやらして研究するというわけにいかぬもんですかね。もう一度御答弁願いたい。
  170. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 国鉄当局とよく研究いたしまして、御期待に沿うように努力いたしたいと思います。
  171. 田原春次

    田原分科員 この件に関する石田総裁の御答弁いかん。深夜発車の一本繰り下げということ。
  172. 石田礼助

    ○石田説明員 御承知のとおり、国鉄のいまの輸送力というものは非常な限度であって、貨物列車というものはもう夜通す以外に昼間通すということはほとんどできない。それだけ旅客の輸送というものに忙しいのでありますからして、やはりこれは国民経済の発展の上から見て、貨物の輸送というものに相当の重点を置かなければならぬということをお考えになってくだされば、これはしいて一本入れろなんて言わぬでもいいんじゃないですか。(笑声)
  173. 田原春次

    田原分科員 貨物のことを言うのは、顧みて他を言っているので、貨物を妨害しようと言っているんじゃないのです。深夜に貨物が東京に着くことはわかりますよ。しかしながら、じゃ大阪に深夜に列車が着きますよ、客車が。広島にも深夜の二時に着くのがありますよ。そのときには貨物との関係はどうなりますか。だから東京も夕方五本あるうちの一本を繰り下げて、貨物との間を五分間置いたっていいじゃないですか。現に特急で七時の「はやぶさ」と七時五分の「富士」とが五分の間隔で東海道を走っているのですから、特急だから五分間の間隔でいい、貨物との交代はできないということはないと思う。夜中の十二時に貨物が出るなら十二時十分に特急を出す、あるいは逆に十二時に特急を出して十二時十分に貨物を出す、そういうことを当局考えてもいいと思う。何も増発せよというんじゃない。いまあるやつを何とか繰り下げて、始終東京は深夜でも遠距離まで行けるということにすべきであって、それをしないというのは、国鉄のダイヤ編成当局が少し熱意が足らぬのじゃないか、サービス精神が足らぬのじゃないかと思うのですが、実現に向かって大臣もせっかくそう言っているのですから、大臣はいずれ内閣改造でおやめになるかもしれないが、石田さんの任期中くらいにひとつ超距離特急の深夜発車を一本繰り下げていくことで——増発ではないのです。ちょっと繰り延べて考えてはどうか。これは同時に東北線においても深夜があってしかるべきだと思います。それは貨物との関係その他を見て、それから現在ある特急列車の五本なら五本をふやさぬ範囲でという条件つきでいいと思うんですけれども、秋のダイヤ編成までに一つくらいそういうサービスがあっていいんじゃないかと思いますが、総裁にもう一度お答えを願いたい。
  174. 石田礼助

    ○石田説明員 お答えいたします。  国鉄の収入というのは、御承知のとおり、たとえば四十年のごときは旅客四千億に対して貨物は二千億というほどに、旅客の輸送というものに対しては非常な重点を置いておるのです。しかしこれは、日本の経済の発展のためには、やはり貨物というものに対しても相当敬意を表さなければいかぬ。その貨物の輸送の一番大事なときは夜なんです。これに特急を一本走らしてパスさせるということは、いかにこれが貨物輸送の上に重大な影響を及ぼすか。要するにさっき運輸大臣が申されたように、やはり物の動きというものに対してはわれわれは考えなければならぬ。これは日本の経済の発展に対してぜひ必要なんですから、そういう両方のウエートを考えて苦心してつくったのが現在のつまりダイヤなんです。これははなはだ申し上げかねることなんだが、こういうことはひとつ専門家に御一任になるようにお願いしたいと思います。
  175. 田原春次

    田原分科員 それはもちろん、ここで会議を開けというわけじゃない。専門家にまかすといことはわかっております。貨物列車が大事なこともよくわかりますけれども、貨物列車のちょっと前ぐらいに出せないかということなんです。それはテクニカルの問題なんです。そういう目標でひとつ討議してみたらどうですか、全然だめだということじゃなく。現に五本あるんだから、その一本を下げたって、下りだったら上りと衝突するわけじゃないでしょう、東海道は複線だから。  次は、それに関連して、いま八時発の「ひかり」が最終の新大阪行きなんですが、これは秋までの間には多少ふえるかもしれぬと思うのですが、午後九時発新大阪行きぐらい一本ふやして、ちょうど一時に大阪に着くのですから、大阪ないし京都から一時半くらいに出る寝台列車を、別に「かもめ」クラスをつくってはどうか。これはつまり一回乗りかえということになるけれども、大阪まで行って大阪で寝台車へ乗る。それは全員が東京からの「ひかり」に乗らぬ場合がありますから、大阪でも相当のお客をとるわけですから、東京から直通のもの二台なら二台をリザーブするというような方法で、そういう全東海道線の直通が不可能なら、半分ぐらいのところで話し合いができないものか。東京——大阪間を一本最終便を増発して、それから京都から今度下り鹿児島行きを出す、それをリンクするというような方法はできないのですか。
  176. 今村義雄

    ○今村説明員 新幹線の午後八時の東京発を少しおそくしろというお話でございますが、この点につきましては、ただいまのところ保守作業の関係で、夜中の時間はやはり保守の前がいいわけでございます。したがって、一時間繰り下げができるかどうかは、現在の保守状態相当よくなるかどうかにかかっているわけでございまして、この点につきましてはいま鋭意努力をいたしておりますので、かなりの程度には改善できると思いますが、その保守状態に応じてこれは当然広げていく問題だと思っております。しかし、今度の時刻改正ですぐ広げるかどうかということにつきましては、若干問題があると思いますが、新大阪から九州行きの夜行寝台列車につきましては、われわれとしてもその必要性を認めて、一往復程度増発いたしたい。ただ時間は、先生のおっしゃった時間にかっきり合うかどうかはまだわかりませんけれども、少し先生のおっしゃった時間よりも早くなるのじゃないかと考えますけれども、一応増発したいということで、目下検討をしておる段階でございます。
  177. 田原春次

    田原分科員 私が言うた時間より早くては困るのですがね。東京からつながるようなことで御検討願うことにして、この質問を打ち切ります。  次は、これは運輸大臣国鉄総裁に関係いたしますが、先ほどあげました夕方から五列車出る特急は、ことごとく山口県では三カ所以上とまるのですね。岩国、徳山、防府、それから小野田、下関と、どれも必ずとまるのです。いつもちょうど夜明けにとまるようになっております。それでお客がほとんどおりません。これはちょうど超特急で岐阜県の羽島ですか、大野伴睦さんがとめろと言ってとまった。あれは、大野さんらしくはでに言ったものだから新聞に出たけれども、山口県の五カ所は岸信介、佐藤榮作の選挙区です。岸信介、佐藤榮作が国に帰るのにちょうどいいようにしてある。これはちょっとおかしい。乗降客がない。モニターを出してごらんなさい。私もあの辺いつも見ておりますが、一人もおりません。そうして、岸信介がおりるとなると、町長なんかが出迎えている、佐藤榮作しかり。お国入りするのに、全然廃止しろとは言わぬが、「あさかぜ」一本ぐらいでいいと思う。五本ともとまるのはあまり卑屈じゃないか。運輸省の大先輩だからということで——大野伴睦式に、おれのところにとめろと言ったかどうか知りませんが、言わないでやったとすれば、ダイヤ編政なんかあまり卑屈過ぎると思う。乗客本位にしたほうがいい。したがって、山口県も一カ所。下関は機関車を取りかえるからのけても、小野田か岩国か一カ所にすべきだと思う。その反面、岡山、倉敷あたりは、その五本の特急列車は一回しかとまらない。どれかが一回とまるだけで、あとの四つは素通り。したがって、倉敷から東京に行く人は、その午後二時なら二時の特急に乗っていくわけです。ところが、山口県は、わが偉大なる政治家佐藤榮作、そういう人のおるところだけは、お客のないのにとまるのはおかしいと思う。どうかそういう点は、ダイヤ編成に際して公平にやってもらいたい。そのためにはモニターをつける。一カ月もつければわかります。何人おりるか、何等客がおりるかわかるのですから一ほんとうですよ。私は、松本清張の「点と線」ばりではないが、現実に調べて持っている、きょうは持ってきておりませんけれども。どうかそういう意味で、列車の停車と政治家の関係をぶち切ってもらう。乗降客の多いところだけ特急をとめるという原則を貫いてもらいたい。石田さんならできると思うんだが、この人も、要領がいいのか、恨まれたらいかぬと思っておるか知らぬが、ひとつやってもらいたい。これは秋のダイヤ編成に対して望んでおきます。お客の少ないところは特急は通過する。時間的にもエキスペンスの上においてもできるのですから、これはひとつ総裁が約束してもらいたい。
  178. 石田礼助

    ○石田説明員 私はこういうことは専門家でありませんから、この際、そういうことをいたしますと御約束はできませんが、当局によく注意はいたしておきます。
  179. 田原春次

    田原分科員 ちっとも要領のいい返事は聞き得ませんでしたけれども、言うだけのことは言いましたから、きょうはこれで終わります。
  180. 今松治郎

    ○今松主査 次会は明二十六日午前十時より開会し、午前中に郵政省、午後は運輸省所管について質疑を行なうこととし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十六分散会