○堀
分科員 そこで私がちょっと申し上げておきたいのは、
土地収用法のあり方として、これは非常に公共的の利益のために私権を押えることでありますから、それを公共的な公権力が押えるなら押えるについてだけの十分な手だてというものは、やはり国民の側に保障しておかなければならない。それがここで異議申請であり、訴訟によってもその権利を守ろうという法律のたてまえになっているわけです。ですから、これについては法律をどう書くかは別としても、個々の所有者が持っておる相当広範囲な
土地を
収用する等の場合は、やはりこれは量が質に
変化する問題だと思うのです。たとえば百坪、二百坪のものがずっとあるものを、これを一々認定の申請をして調査をするのは、これは本来ならそうあってしかるべきだと思いますけれども、なかな技術的にも労力の面でも無理があるかと思いますので、そこまでは私も申しませんけれども、ある広がりを持ったもの、特にインターチェンジであるとか路外駐車場であるとかいうような、面積を当然必要とするような
収用が
対象になるような場合には、何らかの救済措置を
土地収用法の中に書くべきではないのか。特にそのもう
一つの問題というのは、さっき私が申し上げたように、公共性の問題というものの名前に隠れて、私的な利益が追求をされるような
部分は、これは法律がちゃんとここに二十条に書いているわけなんですね。事業の認定の要件は、「
建設大臣又は都道府県知事は、申請に係る事業が左の各号のすべてに該当するときは、事業の認定をすることができる。」ということで、その四号に「
土地を
収用し、又は使用する公益上の必要があるものであること。」ということがはっきり書かれておりますね。この意味は、いま私が申し上げたように、自分の
土地をそこに何万坪も持っておる人が、すぐその隣接したところに
土地収用をかけて、そこにインターチェンジをつくるというような場合に、はたしてこれに該当するのかどうか。これは非常に抽象的に書いてありますから、
土地の
収用または使用する公益上の必要というのは、こちらだってもちっともかまわないので、いま最初に言われたように地理を見ますと、実はそこのところの道は山の中でありますから、坂を上がってきまして、そして芦有
開発の所有地にかかって、約百三十メートルぐらい平たんになる。それから今度は辰馬氏の所有のところにかかって、約百四十メートルぐらい平たんになっている。それからカーブをして曲がっておる。二十メートルぐらい、なるほど片方は長くて片方は短いのですけれども、約百二十メートルと百四十メートルぐらいは平たんになっている。現在はどういうことになっているかというと、自分たちの所有地側、芦有
開発の所有地側が専用道路の横に約四十メートルぐらいの幅の、何といいますか、待避所みたいなかっこうのものをつくりまして、そこから下へ道路が出て、その周辺に行っているという
実情になっているわけです。そのことは、現実にはその
地域が使えるわけなんですね。インターチェンジとして十分技術的に使える。現在使っているのですから使える。使っておるし、いま使えるにもかかわらず、その自分の
地域には全然触れないのです。そして人の
地域だけで六千坪の
収用の申請をされた。これはどういうことになっているかというと、その
収用申請が六月六十円でされ、自分のところはいま
宅地にしまして、坪三万五千円で全部売っているのです。そこにどういうものが公共的に建っているかというと、建っているのは、いま医療問題で一番問題になつておる
一つの点なんですけれども、健康保険組合が余剰の
資金をもって山の家をそこへ建てておる。健康保険の寮だけがいまそこへ建っておる。私はこれは実に重大な問題だと思うのです。公共の利益というのは、そういうことが公共の利益ではないのではないか。インターチェンジのために他人の
土地を
収用して一坪三万五千円で売るために、六百六十円で
土地収用の申請をかけるなどうというようなことは、これは私は、
土地収用法というものの精神とは全然違うと思うのです。そこで、現在これは
収用委員会にかかっておる段階でありますから、そのほうはそのほうとして別の問題でありますけれども、まず第一に、私はこの事案を見ながら、いかに
土地収用法というものが乱用をされておるか、営利追求の手段に
土地収用法が使われるなんということでは、これは国民の財産権は保障されないのではないか。これは私は
土地収用法という法律にかかわる非常に重大な問題だと思っております。
時間がございませんから、
あとは個々のこまかい問題につきましては、後日
建設委員会において、県の側の立場もありましょうから、参考人にも御出席を願って、ひとつこの問題をつまびらかにしていきたいと思うのでありますが、いま申し上げた事実ですね、これは私が
責任をもって申し上げたので、事実を曲げては一言も申し上げておりません。
そこで私は、本日この
予算分科会で望みたいことは、こういうふうに
土地収用法が営利目的に乱用されるおそれがあるということになるならば、この問題についてやはり何らかの措置が法律的にも考慮されてしかるべきではないのか。今後こういうことが起きないという保証は私はないと思うのです。そこでひとつこの有料観光道路のような、主として
——これは芦屋から何も有馬に道がなくても、現在、これは三田に近いほうから回りましても、神戸から回りましても、りっぱな舗装道路がございまして、大阪から有馬に行くための所要時間あるいは神戸から有馬に行くための所要時間は、ほとんど変わらないのです。この道路ができた最大の目的は、その山の中をくずして
土地をつくって、それを売ることによって
——この六甲山系というのは、御
承知のように非常にもろい山でありまして、あまり私どもさわってもらいたくないわけです。先般、実は甲山その他の国有林がありまして、これを一般の業者が払い下げを受けて、
土地造成をしたいという問題がありました。私、これを
予算委員会から大蔵委員会を通じまして、そういうことのために、あの阪神水害を再び繰り返すようなことがあってはならないというので、ずいぶんこれを問題にいたしまして、この問題は一応解決がつきましたけれども、非常にそういう不安定な山系であるのに、要するに利益を目的として、こういう道路ができておる。それだけならまだしも、
土地収用法によって、そういう他人の
土地を
収用することによって、自分たちの
土地を有利に地価を上げていこうなんということであるのでは、私は
土地収用法の精神に反するんじゃないかということで、ひとつ
大臣にさっきの一点、非常に広い
土地を
収用する場合には、事業認定後
建設大臣に異議申請ができるだけの何らかの措置を、法律が認めている救済事項が発動できるような措置をひとつ
考えるような法律の問題、もう
一つは観光道路、そういう私的のために
土地収用法が乱用できないような何らか歯どめの問題、これらについて、
土地収用法についてひとつ法律自体として検討をお願いをいたしたいと思うのでありますが、いかがでございましょうか。