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1965-02-23 第48回国会 衆議院 予算委員会第五分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年二月二十三日(火曜日)   午前十時十五分開議  出席分科員    主査 今松 治郎君       上林山榮吉君    正示啓次郎君       二階堂 進君    水田三喜男君      茜ケ久保重光君    片島  港君       中井徳次郎君    肥田 次郎君       堀  昌雄君    山口丈太郎君       山花 秀雄君  出席国務大臣         建 設 大 臣 小山 長規君  出席政府委員         建設事務官         (大臣官房会計         課長)     多治見高雄君         建設事務官         (計画局長)  志村 清一君         建設事務官         (都市局長)  鮎川 幸雄君         建 設 技 官         (河川局長)  上田  稔君         建 設 技 官         (道路局長) 尾之内由紀夫君         建 設 技 官         (住宅局長)  尚   明君         建 設 技 官         (営繕局長)  小場 晴夫君  分科員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   長岡  実君     ————————————— 二月二十三日  分科員中井徳次郎委員辞任につき、その補欠  として肥田次郎君が委員長指名分科員に選  任された。 同日  分科員肥田次郎委員辞任につき、その補欠と  して山口丈太郎君が委員長指名分科員に選  任された。 同日  分科員山口丈太郎委員辞任につき、その補欠  として茜ケ久保重光君が委員長指名分科員  に選任された。 同日  分科員茜ケ久保重光委員辞任につき、その補  欠として堀昌雄君が委員長指名分科員に選  任された。 同日  分科員堀昌雄委員辞任につき、その補欠とし  て中井徳次郎君が委員長指名分科員に選任  された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十年度一般会計予算建設省所管  昭和四十年度特別会計予算建設省所管      ————◇—————
  2. 今松治郎

    ○今松主査 これより会議を開きます。  昭和四十年度一般会計予算及び昭和四十年度特別会計予算中、建設省所管を議題といたします。  質疑に入るに先立ちまして、念のために申し上げます。質疑者が多数でございますので、質疑をされます方の持ち時間は、本務員は一時間程度兼務員または委員交代をして分科会員となられました方は三十分程度としていただきたいと存じます。  前会に引き続き、質疑を行ないます。肥田次郎君。
  3. 肥田次郎

    肥田分科員 時間が非常に窮屈なようでありますので、問題を限って質問いたしたいと思いますが、建設省、それから政府も同じような意見で、昭和四十五年度までに一世帯住宅、こういう考え方が常に明らかにされています。したがって、一世帯住宅と申しますると、これは相当な予算が必要であると同時に、この長期計画というものの中でこれを具体的に進めていかなければ、なかなかこれは実現不可能だ、こういうふうに思うわけですが、実際に一世帯住宅というこの住宅対策の中で、建設省考えておられる予算の具体的な組み方について説明を聞きたいと思います。
  4. 小山長規

    小山国務大臣 あと数字にわたって申し上げますけれども、一世帯住宅と申しますときには、四十五年度までに七百八十万戸、そのうちの政府施策住宅は三百万戸以上というふうに見ているわけであります。残りの四百五、六十万戸になりますか、その部分は、民間住宅の築造に期待をしているわけでありますが、それでは、それだけの期待ができるかといいますと、従来の実績からいいまして、それは可能である。どうして可能であるのかというと、従来の毎年度の達成率数字で見ますと、四十五年度までには四百数十万戸になる。では、どういう方策を講じておるのかといえば、一方において税法上の優遇措置を講じておる。この税法上の優遇措置などもありまして、住宅建設が進められておる点もあろうかと思うのでありますが、一方においては、民間に、家を持ちたいという欲望があり、それを達成するために、それぞれ貯蓄をしたり、あるいは勤労者退職金でつくったり、いろいろいたしておりまして、そういうことは可能である。それで、いままでの実績がどうであり、これからのおおよその伸び率はどうであるかというようなことを一応申し上げてみますと——ちょっと私では話がごたごたするかもしれませんから、住宅局長説明いたさせます。
  5. 尚明

    ○尚政府委員 いままでの政府施策住宅及び民間自力建設伸びの状況を申し上げますと、いずれも対前年比でございますが、たとえば三十九年は三十八年に対しまして、政府施策住宅、すなわち公営住宅改良住宅公庫住宅公団住宅、厚生年金住宅等合わせまして、三十九年は三十一万七千戸やりまして、これは前年に対して一〇・五%の増加でございます。それから民間自力建設は、同じく三十九年には五十四万戸と推定されておりまして、これが前年の三十八年に対しまして八%の増でございます。それから四十年度におきましては、政府施策住宅は三十四万一千戸と、ただいま計上しておりまして、これは前年の三十九年に対して七・六%の増加でございます。これは伸び率が幾らか落ちておりますが、本年は質の改善のほうにやや力が入っている点もあるので、少し下がっております。それから民間自力建設は五十八万戸でございまして、前年に対して七・四%増を見込んでおります。  以上のようにいたしまして、おおよそ政府施策住宅で九%ないし一〇%ずつ伸び、それから民間自力建設で七%ないし八%ずつ伸びてまいりますならば、七百八十万戸が達成せられるという傾向線計算いたしている次第でございます。  それから、過去の実績は、後ほど調べまして、終戦以来現在まで建てました数を申し上げます。
  6. 肥田次郎

    肥田分科員 まあ今日まで政府が建てた、あるいは民間で建てられた戸数というものは、大体数字も出ておりますから、それは承知しております。  さらにお伺いしたいのは、この住宅対策の中で、当面必要な住宅、これはどのくらいな数字を実際に考えておられるか。あなたのほうで考えておられる数字とわれわれのほうの数字相違がなければ、それでいいわけですが、これが一つです。それからもう一つは、災害あるいは古くなって倒壊する住宅の数、これはどのくらいな数字を読んでおられるか。それから、年間人口増に伴うところの住宅必要数が年々増大していきますが、それらの数字というものはどういうふうに考えておられるか。結局この三つ数字と、それから考えておられるところの、四十五年度までに七百八十万戸ができるという計算とが合うのかどうか。不慮の災害その他は別にして、そういう点について、数字的な説明を願いたいと思います。
  7. 尚明

    ○尚政府委員 お答えする前に、過去の実績をお話し申し上げますと、昭和二十年から昭和三十八年までに建設せられました全住宅は、九百十四万三千戸と計算されております。そのうち政府施策住宅が約三分の一の三百万九千戸、民間自力建設が六百十三万四千戸と推算されております。  それから御質問に対してお答え申し上げます。先ほど大臣が御説明申し上げましたように、住宅七カ年計画は、昭和三十九年から四十五年までの七年間に七百八十万戸の住宅建設し、一世帯住宅を実現するということになっております。その七百八十万戸の算出根拠を御説明申し上げます。その計算はこういうふうになっております。昭和三十六年の初めにおきまして、それまでの住宅統計あるいは国勢調査諸統計の結果、昭和三十六年度当初におきまして三百六万戸の住宅が不足いたしておりました。そして昭和三十六年から昭和四十五年までというと十カ年になるわけですが、その十カ年間に世帯がどれだけふえるかという推算を、これは経済企画庁の人口あるいは普通世帯数あるいは一世帯当たり人員がどれだけ減っていくかというような企画庁推算に基づきまして、結論といたしまして四百二十七万世帯ふえるという計算が出ております。それから、お尋ねのごとく、その間に老朽化あるいは災害あるいは建てかえというようなことがありまして数が減るわけでございますが、これがこの間の十年におきまして百人十一万戸と推算されます。これは十年間に百八十一万戸でございます。それから住宅にはどうしてもある程度あき家、つまり人間が常に動いておりますので、あき家が必要でございます。それが大体この四十五年には——今日でもあき家は約三十万くらい、常に一定の期間をとめたところではあるのでございますが、そのほかにさらに八十六万戸のあき家が必要であろうというふうに推算いたします。これは今日あるものと足しまして、おおむね五%ぐらいに相なるわけでございます。そこで、先ほどのをもう一回繰り返してみますと、三十六年当初において不足が三百六万一尺三十六年から四十五年までに世帯増加による需要増が四百二十七万戸、それからその間に滅失、建てかえ等が百八十一万戸、それから必要とせられるあき家が新たに八十六万戸、これを合計いたしますと、一千万戸になります。すなわち十年間に一千万戸になるわけでございまして、これから三十六年、三十七年、三十八年の三ヵ年に建てられました住宅二百二十万戸を差し引きまして、七百八十万戸が三十九年から四十五年までの間に必要である、こういう推算をいたした次第でございます。
  8. 肥田次郎

    肥田分科員 計画ですから、それは当然数字は合ってくると思います。これは皮肉じゃなしに……。ところが、現実にはそれがなかなかそうはいきませんね。ですから、住宅対策として、こういう数字が、政府の、建設省当局責任のある数字として発表されると、これに対して国民は大きな信頼をするわけです。実際に家ができるできないということは別にして、とにかくそれぞれの計画の中で、四十五年度までには一世帯住宅にはいれるのだ、こういうことになってくると、これは必ず実現しなければ、この責任が果たされないと思うので、これは将来のことにもなりますが、いまここで、私はこのことを強くどうこうという考え方は持っておりませんが、具体的に、これが民間に依存するのではなしに、政府自力計画の中に、これらが実現をされるような、そういう対策を講じていかなければ、この計画というものは途中でいつの間にやらつぶれてしまう、こういうおそれがあると思いまするので、特にこの点は要望しておきたいと思うのでございます。  それから、いまそういう計画がございますが、実際に土地取得に対して、住宅用宅地取得に対して、政府のほうではどのような考え方を持っておられるのか、これをひとつお伺いしたいと思うのであります。
  9. 小山長規

    小山国務大臣 住宅宅地につきましては、御承知のように、一つ住宅全団が宅地造成する場合がありまするし、それから住宅金融公庫地方公共団体その他に対して貸し付けを行なって、宅地造成資金貸し付けをする、そういう形で土地取得する場合、大体この二とおりあるわけでございます。四十年度の取得予定としましては、いま申し上げましたように、公庫のほうから融資します分で申し上げますと、三十九年度が四百万坪でありましたのが、四十年度は五百万坪の予定であります。それから造成のほうは、三十九年度の三百十五万坪に対しまして、四十年度は三百六十万坪、それから住宅公団のほうで申し上げますと、住宅用地は、継続部分が三十九年度の千二百二十五万坪に対して、四十年度は千七百二十五万坪、新規部分が三十九年度の四百万坪に対しまして四百五十万坪。それから工業用地は、継続部分が三十九年度の三百九十万坪に対しまして四百九十万坪、それから新規の分が百万坪。このほかに、研究学園都市の分として九百九十一万坪の債務負担行為があることになっておりますが、こういうふうに公庫公団資金宅地造成をやっておるわけであります。
  10. 肥田次郎

    肥田分科員 実は、三十分というように時間を制限されますと、もう問題の要点しか質問できないわけなんですが、そういう意味で、省略をして、次の質問に移りたいと思います。  いまおっしゃったように、とにかく一千万戸の住宅をつくろうということに対しては、土地取得が必要であるし、土地取得については、土地の選定ということも先決問題になります。この土地取得がなかなかむずかしいと思うのですが、それはさておきまして、こういう問題について、建設当局ではどういうふうにお考えになっておるか。要点をしぼってお伺いしますが、三十八年に新住宅市街地開発法ができました。それでこの住宅開発というものは、地方公共団体その他でさらに拍車をかけたことは事実であります。ところが公団あるいはその他でこういうふうに住宅開発をやっていきますと、その対象都市の近郊の農村対象に充てられるわけです。ここでどういう問題が起こってくるかと申しますと、宅地開発をやる場合には、とにかくいろいろな手段をもって土地先買いが始まります。それから具体的に開発当事者宅地収用が始まってまいります。この間にいろいろなことがあると思います。それは先買いをする者が収用法をちらちらして、おどしをかげながら、土地を個々に買いあさるということもあるでしょうし、それからまた、金をちらつかせて土地を安く買うということもあると思います。これはともかくとして、あとに起こった問題として、こういう問題が起こってくるのです。おのずから農村には農村固有生活環境というものがあります。その周囲が急速に宅地開発によって近代的な建築が並んで、生活様式も近代的なものに一変する。そうすると、当然その地域におけるところの生活形態が二つに分かれてくる。近代的なそういう生活を行なうところの新しい入居者、それから古くから土着しているところの、いわゆる土着の居住者、こういう者との間に、いろいろな生活環境変化が起こってくるのであります。特にここで問題になるのは、そういう地域宅地開発に充てられた場合に、農村の人はとにかく自分の先祖伝来土地を売って、そして売ったことですから、一時的な金が入ってまいります。けれどもその金が入ってきても、結局農民ですから、そう商売の道にたけておるわけではない。したがって、一時的に握った金も、つまらぬことに手を出したり、あるいはそれをねらっておるばくち打ちなんかがおって、いつの間にやら、それらのあくどい手合いに金を巻き上げられてしまう、こういうことが起きて、結局いろいろな面で大きな被害をその周辺が受けて、そうして結局新しく住宅開発が行なわれようとする場合に、今度は、もうそういう者が来てもらっちゃ困る、こういう運動が起こってくるのであります。いま私はそのいろいろな実情を、幾つかあるやつのほんの一部分だけ申し上げましたが、実際に住宅開発をやる際に、こういう問題をどう処理していったらいいのか、名案を持っておられるなら、これをお伺いしておきたい。これが一つであります。  それからもう一つは、これも時間がないので、はしょってさらっと質問するわけですが、農村のいわゆる山林原野あるいは果樹園、こうしたものが一括して住宅開発地域に包含されて収用されるような場合に、宅地のいわゆる買収価格と申しますか、この価格基準というものをどういうふうにお考えになっておるのか、この点を承りたいと思うのであります。  これも先走って、私のほうから問題を投げかけたいと思うのですが、大体宅地買収する場合に、先ほど申しましたように、安く買うのが本来の目的ですから、われわれも高く買いなさいということを言っておるわけではないのでありまして、要は農民農耕地として持っておるところの農地買収というものを、ただ単に土地を買うという一つの技術的な面だけで進めていくということについては、いささか問題があるのじゃないか。今日、住宅開発が至るところに行なわれるについては、この問題は必ず同じ条件でつきまとっていくと思いますので、そういう宅地買収におけるところの農山村の土地買収基準というものをどういうふうに考えておられるのか、承っておきたいと思います。
  11. 小山長規

    小山国務大臣 住宅団地が続々できるにあたりまして、周囲農村生活環境が一変し、またなれない金をつかんだために、かえって非常に家庭の乱れのもとになるという問題は、われわれも非常に憂慮しておるところでありますが、しかしそうかと申しまして、これだけの人口が集まっており、そうして住宅を必要とする人たちはたくさんおりまするし、その人たち個人個人住宅を求めることはなかなかむずかしい、またやろうとすれば非常に高い土地を買わなければならぬ。そのためには、安定した土地を供給してやることが、政府並びに地方公共団体責任でもあるということで、団地造成、一括して土地を買うということになるわけでありますが、その辺は一方においては住宅を急速につくって、しかも安く安定した価格で供給してやるという責任、一方においてはいままでと様相が変わってくる農村実情、これは非常に相矛盾した問題でありまして、非常な悩みでありますけれども、一口に申し上げまして、ごうごうというしっかりした対策はないわけであります。地方における市町村の当局、その他買収に当たる人たちのいろいろな指導によって、そういう悲惨な問題が最小限度にとどまるように期待申し上げる以外、いまのところ方法はないと申し上げてよかろうかと思います。まことに残念でありますけれども、そういう実情であります。  次に、住宅公団などが買いますときの基準については、一つ基準を持っておりまして、むやみやたらな方法でやっているわけじゃありません。土地評価方法は、まず相続税課税標準価格、それから固定資産税課税標準価格、これをまず柱にしまして、付近売買実例、この三つ実例をとりましてポイントにしまして、それを平均したものを基準価格とまずいたします。その基準価格から、特殊な費用を要するものがあれば、それを差し引いた額と、土地評価に関して精通した人たち鑑定価格というものを出してもらいまして、その平均したものを標準価格としてきめていく、こういうような一つのルールをもって基準価格を設定し、それで取引をしている、こういう実情であります。
  12. 肥田次郎

    肥田分科員 私が前段に申し上げたいろいろ起こる問題を、大臣地方まかせでは私はだめだと思うのです。これは地方まかせじゃ片づかないから、地方でますますその弊害がはなはだしくなってくるから、私はこうして直接大臣に申し上げておるのでありまして、地方まかせで片づくような問題なら、これは一時期を過ぎれば必ず解決される問題だと思っております。しかし、こういう問題はますますはなはだしくなっていく。それで、これを特に私は申し上げたわけです。  これも、時間がありませんので省略いたしますが、いま大臣がおっしゃった基準価格なんですが、これは私、いろいろ他の人にも話を持ちかけてみたのですが、やはりその程度しか話が出ません。話が進みません。そこで私は一つふしぎに思うのは、いささかこじつけ的なことにとられるかもわかりませんが、たとえば一例を河川や、それからいわゆる湖だとか、沼だとか、こういうものを含め、あるいは海を含め、これらに対しては漁業権というものが認められておって、そうしてこれに対しては、開発の際には、それぞれ相当な額の補償が行なわれております。これは、それをもとにして生計を営んでおったという、こういうものを含めて、事業的な性格のものに対する補償である、こういうふうに理解をしております。またいろいろと理由はあると思いますが、反面、農山村のいわゆる農地山林果樹園、こういうものが買収されるときの価格というものが、先ほど大臣の言われたような幾つかの条件の中から基準を割り出して、そしてそれによってきめていく、こう言われておるのですが、これもその程度だと思うのですが、しかし、農村の場合特に私は考慮しなければならないのはその点だと思うのです。御承知のように、今日農村形態が一変しつつあることは事実であります。しかし、農村においても、漁村においても、変わりはないことは、何千年来、父祖伝来の業のあとを継いできたのが特に特徴だと思うのです。この何千年来、いわゆる永久的な農耕に従事したものが、ただ単に土地価格にちょっと毛がはえた程度のもので土地売買をされる、こういう習慣ができてしまうと、根本的な、農山村の人々のいわゆる生活を高めていくということが不可能になると思うのです。ただ単に土地を手放して、あとは一介の日雇い労働者か何かに身を転落さしていく以外に方法はないのです。ですから、企業的な、あるいはその他のいろいろな指導はともかくとして、そういう土地評価に対して、農耕対象になっておったところの土地が、たとえば私は一つの例を聞いてみたんですが、ミカンの木が一本十五円くらいにしか評価に入っておらない。全体割り振ってみると、いわゆる果樹園に対する補償というものをずっと計算をしてみると、ミカンの木一本十五円くらいな割り当てにしかならない。こういうものが、いわゆる補償されたというふうな額だとお思いになるのかどうか、こういう点を私は特に疑問に思うので、お伺いしておるわけです。ですから、今日までそういうものが対象になっておらないとするならば、もっと明確な農山村の農耕地に対する価格基準、こういうものを将来私は新しく検討してもらう必要があるのじゃないか、こういうふうに思うわけですが、重ねてお伺いしておきたいと思います。
  13. 小山長規

    小山国務大臣 漁業の場合には、たしか漁業をやめるための補償は出しておると思いますが、こういう土地売買の場合には、農地の場合には、農地価格として買っておるわけじゃないのであります。付近売買実例を聞いてやりますから、したがって、付近住宅化されておれば、当然住宅的な価格が加味されます。したがって、農地ならば、たとえば反にせいぜい十五万とか二十万ということになるのでありましょうけれども、宅地的な価格が加味されると、とうていそんな数字にはなりませんから、みんな離農補償という形にはなりませんが、幾分それが加味された形になろうかと思います。また農地の場合に、全部を手離した場合には相当な数字になりますし、それから一部を手離した場合には、一部残った土地は相当に価格が上がりますから、その面でまた救われる面もある、こういうふうに思われるわけであります。
  14. 肥田次郎

    肥田分科員 その点では、大臣、やはり私は本質的にものの考え方が少し違っておるように思うのです。まず、一つの例を取り上げてみても、今日農地解放以後いろいろな形に変化はしておりますが、そういうことを一つ一つなにすると、また時間がかかるから省略をいたしますが、持っておる土地を売ってしまえば、どこかに新しく農地を求めていく以外に農地はないのです。この点では、いわゆる漁業権と同じ性格のものでございます。ですから、売買価格の中にはっきり含まれておるのだ、こういうことなら、これでそれは一つの理屈が立つと思います。けれども、それではなしに、大体平均してその土地価格というものは、そういう点についてはあまり差別をつけてありません、実際にいろいろな実例を見ても、差別がついていない、いわゆる土地としての値段相場がついておるということならば、そういう解釈は成り立つと思いますが、しかし土地としての相場というものは、固有土地価格なんですから、それと果樹園あるいは農地、そういうものが——農地というものは本来安いのだ、安いのだから、これだけの値段ならその中に含まれておるじゃないかということは、農家の土地というものに対する価格の本質的なものを議論していかなければならないと思うのですが、その点について、私は、全く考え方の根本的な相違がある、こういうふうに思います。
  15. 小山長規

    小山国務大臣 ただいまの答弁を訂正いたします。離作料は実際出しておるそうであります。なお詳しくは計画局長から申し上げます。
  16. 志村清一

    志村政府委員 農地買収する場合には、農地価格を支払うのは当然でありますが、そのほかに離作料の支払いを、通常生ずる損失として支払うのが通例でございます。たとえば一町歩やっておる方が、全部農地を公共の用に供したというような場合には、農業を廃止しなければならなくなるわけであります。そういたしますと、農業廃止の補償を当然考えるわけであります。また一町歩の方が五反歩に減ってしまったというと、規模が縮小されるわけでございます。そういたしますと、従来大きな耕うん機なり何なりを持って経営しておったけれども、その耕うん機が、一町歩の分が五反歩に減ってしまったために十分な効用を発揮できないという場合には、それに応ずる損失の補償をするというようなことを実際に行なっておるわけでございます。これらにつきましては、公共補償基準というのがございまして、これに基づいて、実施をいたしておる状況でございます。
  17. 肥田次郎

    肥田分科員 その離作補償というものが出ておるとこは、これは知っております。私が言っておるのは、明確にそういうものと土地価格というものとの区分が必要であろうということが一つ、それから農耕地買収する場合にいつも基準になるのは、いわゆる一反歩幾らだという査定基準というものが論議をされておるようですけれども、私はここに本質的な誤りがあると思う。これを改める必要があるのじゃないか、私が言っているのはこういうことなんです。ですから、土地価格にそういうふうな格差をつけておるということは、単にいままでの習慣的に、農地を保護するために農地価格は上げられない、こういうことで押えてきたのであります。実際には新しく入手をしようという場合には、そんなものじゃないのです。したがって、そういうものを明確に区分をして、そうして農地におけるところの価格基準というものを明確にして、土地買収に際してはいわゆる理由のない反対運動を防ぐことも、そうすればできるだろうし、それからさらに農民に対しても、具体的にそれに対するものの理解というものが深められていくだろう、こう思うのです。  それからもう一つ、これは重要な問題ですので、若干焼き直しになりますが、お伺いしておきたいのは、たまたま土地の査定なんです。実はこれは大臣のときではございませんが、お伺いしておきたい問題が一つあります。それは、こういうふうに土地の入手が非常に困難だということ、実際に土地開発しようと思えば土地価格は非常に高くつく、こういうことで幾多の例がありますが、それはともかくといたしまして、いま私が当面問題にしておるのは、一つ土地を想定しています。その想定したところの土地を中心にして問題を私は持ちかけておるのですが、国有地であるところの、いわゆる国の自衛隊の演習場、この演習場の土地より農地のほうが安いという論拠というのは、一体どういうふうに説明をされますか。これは一つの例を具体的に申し上げたほうがいいと思うのです。これは昨年問題になりましたが、大阪府の和泉市それから堺市にも一部かかる地域ですが、光明池の住宅団地というのを住宅公団がつくりました。この土地買収にあたって、信太山の演習場を二回にわたって買収をして、払い下げを受けて一おるのですが、これが、最初の場合には坪当たり四千百七十円で五万五千坪、その次には五千九十円で十五万五千坪、合計二十一万坪の土地買収されておる。この平均価格は大体四千八百四十九円、数字計算で間違っておるかしれませんが、そういう坪当たりの数字になります。この土地は高過ぎるということを、これは大阪の公団の支所で言っておる。演習場のことだからせい一ぱい千円ぐらいだ。四千円でも高過ぎるじゃないか。それを十五万坪を五千九十円で買っておる、これはほんとうに高過ぎる、こういうことが実はあったのです。しからばその際民間土地は一体幾らで買っておるのかと申しますと、民間土地は、驚くなかれ二千円から四千円で買っておる。最終的に全面買収という方式で四十万坪ほど収用をするということになっておるというのが、昨年の議事録に載っています。私が先ほど問題を持ちかけたのは一いわゆる土地価格についてはそれぞれの基準を設けてやっておる、こうおっしゃいますけれども、しかし現実に国有地であるところの、国の所有しておるところの演習場は、大体どこでも同じことなんですが、立ち木がなくて、住宅建設の場合には便利だということもありますが、そういう不毛の地が、農耕で営々として耕しておる土地よりもはるかに値段が高い。そうしていろんな意味で補償もされておるようだけれども、結局は二千円から四千円くらい——中には五千円、六千円というものもありますが、これは幾つかの会社が転売したために、しまいにはだんだん土地が高くなってきた。そういう事実はありますが、しかし、とにかく国の持っておる土地が民有の土地より値段が高い。しかも片一方は演習場、一方は農地山林、こういう一体土地評価というものが、はたして公正に行なわれておるのかどうか、こういう疑問がありますので、先ほどの話に引き続いて、これに対してひとつお答えをいただきたいと思います。
  18. 小山長規

    小山国務大臣 肥田先生から前もって御質問要領が参っておりましたので、調べてまいりましたから、お答え申し上げます。  信太山の公団取得地は総面積十六万九千七百坪でありますが、これをA地区、B地区、C地区に分けておりまして、A地区のほうは五万五千坪、これは三十七年の十月十五日に評価しておりますが、平均四千九百八円、B地区は一年おくれまして昭和三十八年の十二月一日、四万八千三百坪、この評価額は坪当たり五千九十円、前よりも二十円ばかり高いのであります。C地区は一年半ばかりおくれまして昭和四十年の二月一日、これは六万六千四百坪で五千五百十円、前よりも四百円ばかり高くなっております。こういうふうに評価したのでありますが、その評価基準は、先ほど申し上げました相続税価格あるいは固定資産税価格売買実例、こういうものを基準にしておりまして、A地区のほうの基準は六千八百九十六円と六千六百十二円、つまり実際買ったやつよりも二千円ばかり基準のほうが高いわけでありますが、そういうふうになっておりますし、B地区は平均が八千八百二十三円、これを先ほど申しましたように五千円で買っておるわけであります。C地区は七千百九十円でありましたのを五千五百十円で買っておるわけでありまして、したがって先ほど申しました基準よりも低いところに買収価格はなっておることを申し上げたわけであります。いまお話のありました二千円から四千円で買ったじゃないかというところは、信太山の演習地よりも四キロほど山奥の光明池というところの谷間の土地のようでありますが、これは同地区の売買実例その他は四千百円となっており、交通、地形からいいましても、光明池のほうは信太山よりもはるかに場所の悪いところであり、谷間であったのだろうと思いますが、これは売買実例によって二千円ないし四千円ということでありましたので、これを参考にして四千円で買った、こういうことになっております。
  19. 肥田次郎

    肥田分科員 いま大臣数字だけのことをお答えになりましたが、ここは私が子供のときからよく遊んだところですから、地形の点もよくわかっています。私いま申し上げたのは、昨年の四月に決算委員会で住宅公団の総裁の狭間さんが答弁されておる議事録を見て、私は言っておる。ですから、もしいま大臣の言われた数字と私がいま言ったことが違うのなら、昨年の議事録が誤っておるか、それから後の大臣への報告が誤って来ておるか、そのいずれかだと思うのですが、しかし、これはいいと思うのです。  私お伺いしたいのは、先ほどから言っておるように、信太山の演習場という国有地が、その公団総裁の報告によると、二十一万坪で、坪当たりの平均が四千八百四十九円になる。こういう土地の買い方を一方ではしておるのに、いま大臣がおっしゃったように、それから四キロほど離れておるというこの地域は、光明池という大きな池がある、地形としては非常にいい地域なんです。道路は南北東西ずっと周囲を円を描いたような形で府県が通っております。こういう地域ですから、ただ便利が悪いのは排水その他の点で問題が起きるだろう。雨が降れば洪水が起きるかもわからない。こういう問題が周辺から起こってきたので、若干の問題はあるようですけれども、便利のそう悪いところじゃない。住宅としてはいいところなんです。そういうところが二千円から四千円あるいは六千円ぐらいになっておるところもあるけれども、平均をして全面買収で四千百円で買収するんだと公団総裁は言っておる、こういうように話がつきましたと言っておる。ところが、国有地が四千八百円もするものをなぜ二十一万坪も買っておるのか、こういうところに価格基準がわれわれは理解できない、こういうことを申し上げておるのです。
  20. 小山長規

    小山国務大臣 この演習場は、たしか岡山の演習場と取りかえて民有地になっておると思うのです。個人の所有であったと思うのです。国のものを買ったわけではないようであります。それはそれとしまして、土地価格については、これは交通の利便あるいは道路の関係あるいは水路の関係、湿地帯であるか高地帯であるか、おのずからそこに価格相違がある、おのずからそこに売買実例というのが出てくると思うのです。民間で必要な人がじめじめしたところはいやだと言えば安いでありましょうし、高台であり、別に木を切らなくてもよろしいあるいは水路をつくらなくてもよろしいというところであれば多少は高くてもよろしい、こういうことが一つ売買実例になって、いまのような価格が出るのであろうと思うのでありまして、どららのほうが高いのか安いのかということは厳正な一つ基準によってやっておるわけでありますから、故意にそういうふうにしたものと私は考えていないわけであります。
  21. 肥田次郎

    肥田分科員 大臣が、これはあとで、なにでもけっこうなんですが、私は素朴な気持ちで住民の感情も含めてお伺いしておるのは、本質的には、問題はここにあるのです。国の土地が、住宅公団住宅用地として買う場合に、民間土地より高いという道理はないじゃないですか、こういうことなんです。少々の条件はあるとしても、本来演習地という、演習場という国有地が、民間が買い上げる土地よりも高いという道理はないじゃないか。もしここで言うことなら、私は時間をいただければ、その土地の周辺のいろんな転売をされて——光明池の団地については、五つの建設会社いわゆる土地会社がこれを転売して、そうして最終的に住宅公団が六番手で、五つの会社の手で転売されて、そして六つ目の段階で住宅公団に買われたのに、それでもなおかつ平均四千百円の全面買収だという。五人も転売をして、五つの会社が転売転売をやっておって、そうして住宅公団がそれを買い上げた。ここにも疑問はありますよ。法案が、まだ新市街地住宅法ができないのに四年も五年も前から土地を買いあさっておって、そして著名な東京の住宅会社が入って、五つの手を経て六つ目の段階で住宅公団に売り渡された。それでもなおかつ全面買収で四千百円だ。それを国が持っておる演習場が、演習場としてはほとんど使っておらない。こういうところがなぜ五千円以上もしなければならないのか。本来ならここは二千円でも千円でもいいんじゃないか。大阪支所でもここは千円ぐらいの土地ですといっておる。それをなぜ五千円も奮発して買われたのか。そういうのが土地買収価格基準と一体何の関係があるのかということを、私は説明を求めておるわけです。
  22. 小山長規

    小山国務大臣 いまおっしゃる意味がよくわからないのでありますが、国の土地だから高く買ったとか民間土地だから安く買ったとか、そういうことじゃないと思うのであります。つまり土地の利用価値といいますか、周囲売買実例あるいは先ほど申しますような固定資産税あるいは相続税評価がそうなっておる、これを基準にしてこういう数字を出しておる、こういうことなんであります。  もう一つ申し上げますと、国の土地であった部分もありますが、その一部は、御承知のように、岡山県の門拓農民との間に演習地の交換をやりました。その開拓農民から買っておるわけです。必ずしも、これは全部が国の土地を買ったわけではないわけであります。それで、おっしゃる意味が、国の土地だから安く買ってもよいじゃないかというふうに聞こえますけれども、買うときには、公団という一つの団体が買うわけでありますから、厳正な基準で買わなければおかしいじゃないかと思うわけです。
  23. 今松治郎

    ○今松主査 肥田君、だいぶ時間が超過いたしましたから結論をひとつ。
  24. 肥田次郎

    肥田分科員 私、なにはあとにします。しかし、大臣、それはそういう論理もありますよ。私は決してその論理を否定するわけではないのです。その開拓農民とのどうこうというのは、これは公団の総裁は答弁しておるのですからね。防衛庁の信太山の演習場を買いました、こう言っておるのですから。これはそういう点ではなお内容を調べる必要があると思いますが、それはともかくとして、大臣がいま単純に純理論的に言われた、買うものは相場で買うのがあたりまえなんだ、それはそのとおりだと思います。けれども、私が言っておるのは、全くそれとあべこべに国が持っておる、いわゆる国有財産というものが、しかも、これは軍隊の演習場であった、その土地が、これは、本来なら住宅公団にただで供与してもいいのですよ。供与してもいいようなものを——それから大阪支所は、これは千円くらいですと言っておる、その土地を五千円以上も出しておるわけです。この理屈は、大臣の言われるように、いわゆる価格基準に従って買収したのだ、そういうふうに思うと大臣はおっしゃるけれども、私は、それはちょっと少し考え方が違うと思う。
  25. 小山長規

    小山国務大臣 どうも私説明不足でありますが、演習地は買ったのじゃなくて出資を受けたわけですね。出資の評価をただいま申し上げたようにしてある。それから買ったのは民有地を買ったわけです。開拓農民に移管がえをされた民有地を買ったわけです。
  26. 肥田次郎

    肥田分科員 総裁の答弁には、いま私は、ここに記録を持ってきておりませんが、たしか二十一万坪に対して十三億幾らか支払いましたと書いてありますよ。それは誤りでですか。
  27. 小山長規

    小山国務大臣 局長から……。
  28. 志村清一

    志村政府委員 この信太山の演習地は防衛庁が使かったわけですが、これは先ほど御説明申し上げましたように、A、B、Cの三地区に分かれておりまして、このうちのA地区とC地区は防衛庁から一回大蔵省に返されまして、A、Cは公団に出資になったわけです。したがいまして、先ほど来申し上げました価格は出資の評価でございます。それからB地区は、防衛庁が岡山のほうに土地を求めるために現地の方と交換してB地区を一回民有地にし、それを公団が買い上げたわけであります。おそらく日本住宅公団の総裁は、それ全部を総称して、出資や何かも集めて買ったということばでおっしゃたのだと思いますけれども、詳しく言えば、出資部分と買った部分と両方あるわけでであります。
  29. 肥田次郎

    肥田分科員 きょうは公団を呼んでおるわけではないのでありますから——決算委員会で公団の総裁が答弁しておるのですよ。記録を読んでください。それから後にどういうふうに変わったか、これは知りません。けれども建設委員会と決算委員会で同じことを挾間公団総裁は言っておるのです。ですから私はそのほうへ信を置いておる。  それでは、少し時間を食うてまことに恐縮ですが、最後にひとつ大臣にお伺いしておきたいのです。信太山の演習場というものが、私の聞くところでは、大体百万坪ぐらいと思いますが、いろいろな地区に分けてあると思います。実際に演習に使用しているところ、実際にはその中に村落もありますし、それからいろいろな官公庁の使用している個所もある。全面的にこれは使用されておるわけじゃないのです。先ほどから私が言っておるように、住宅用宅地というものの買収が非常にむずかしい、特に価格の面でも高くつく、こういうことがある際に、最もいい道を求めるのは一体どこだろうか、どういう方面だろうかということになると、やはりこういうふうに、防衛庁が演習場を手放してもいい、こういう地域が現実にあるのですから、現実にこうして手放した実例もあるのですから、この地域をさらに住宅用地あるいは青少年のいろいろな施設、こういうもののために開放をする、出資でもいいのですよ、そういうことについて私は大臣の御協力がいただきたいと思うのです。特にこの点については、大阪府からもこの地域について、ぜひ払い下げてもらいたい、こういう陳情もきております。その点について、これは考え方ではなしに、もう現に実例があるのですから、住宅公団にある程度のものをいわゆる出資をしておる、あるいは売っておる、こういう事実があるのですから、こういう点について建設省として最良の処置というものは、私は、この地域住宅地として、あるいは青少年の施設の地として開放される、こういうことに御協力をいただけるのが当然だ、こう思うわけなんですが、ひとつお考えをいただきたいと思います。
  30. 小山長規

    小山国務大臣 もう当該の土地が演習地として使う見込みのない土地であり、そしてまだなお国有地として残っておるならば、いまおっしゃいましたような住宅地として使うがいいか、あるいは公園として使うがいいか、何かそういう有用な方向に使えるようにわれわれも協力したいと思います。
  31. 肥田次郎

    肥田分科員 特に、この住宅問題とからみ合わせて、まあ私あまりこまかく申し上げませんが、この大阪府が計画しておるのは、いま住宅公団が六十万坪の光明池団地、これ以外に約三百七十五万坪、大体最初の考え方は八百万坪というような考え方を持っておったようですが、これに対して三百七十五万坪で五万戸の住宅を建てる。したがって、一躍その地域に二十万近い人口がふえるわけです。それが信太山の演習場の周辺にできるわけです。どうしたって、これはいろいろな意味から、この地域、この演習場というものは周囲が市街と住宅に取り囲まれてしまう、こういう条件のところですから、ひとつ一段と力を入れていただきたい、こう思います。
  32. 小山長規

    小山国務大臣 承知しました。
  33. 今松治郎

  34. 山口丈太郎

    ○山口(丈)分科員 主として私は河川の改修、道路、それから多目的ダムの建設等に関連して、起きております問題について二、三お伺いしたいと思います。  その前に、大臣めたっに会えませんので、ひとつ所見をお伺いいたしたいと思います。  特に大阪、兵庫等の地域におきましては、大阪市、神戸及び阪神地区、こういう工業地域の発展に伴いまして、周辺に住宅団地がどんどん建設されておるということは御承知のとおりだと思います。大阪でも千里山団地あるいは池田五月ヶ丘団地などという大きな団地ができておるわけであります。たいへんけっこうでありますけれども、これを自治体側から見ますと、何ら事前に計画の相談もない、そして公営または私営の住宅地がどんどん開発されていく。そういたしますと、それに付随いたしまして、あるいは学校の増設、道路の建設あるいは上下水道、し尿、じんかい処理等々、非常に大きな負担がかかってくる。ところが一方、地方税収はその経費に伴わない。これらの郊外の衛星都市都市計画も立たないままに迷惑をこうむっておる、あるいは悲鳴をあげておるという形になっておる。これを何とか、もっと事前に政府において緻密な計画を立て、その当該自治体に対してこれを提示し、その計画に合わした都市計画をその当該地方自治体が立て得られるようにしてもらうこと、同時にこれらの施設に対しては地方自治体にあまり迷惑をかけない、いわば国なりがこれらの施設に対して一定の経費支出をして、地方都市の立ち行くようにしてほしい、こういう声が非常に強いのでありますけれども、大臣、いま質問にもありましたように、住宅公団その他の、公私を問わず住宅建設等がどんどん進められていくわけでございますが、いかがでしょう、国としてこれらに対して、この痛切な声に対して、もっと明確にひとつ計画をお立てになる必要があるのじゃないかと思います。これは将来のことにもなりましょうが、ひとつお答えを願いたい。
  35. 小山長規

    小山国務大臣 従来といえども、やはり団地をつくるにあたりましては地方自治体と密接な連絡をとっておったのでありますけれども、やはりいま方々からいろいろな苦情が出ておりますところを見ますと、まだ十分な連絡というところまではいってなかったのじゃないかというような反省をするわけであります。そこで、これからの団地は特に相当大規模なものになることでもありますから、四十年度からは地方計画に合わせて団地をひとつつくるように指導していきたい、こういうふうに思っておるわけです。
  36. 山口丈太郎

    ○山口(丈)分科員 いまの御答弁、たいへんけっこうなんです。したがいまして、少なくとも私はこれだけのことはもう少し力を入れてやってしかるべきではないかと思うのです。いわゆる上下水道の完備、並びにし尿、じんかい処理が一番問題なんであります。これは非常に経費がかかる。ですから、もう少し積極的に国の補助なり、あるいは起債をすればこれに対する利子補給をやるなり、もう少し積極的な面を出して、救済をしてやる必要があるのではないか。実際問題、どんどんふえますし、学校はどんどん増設しなければならぬ。学校といっても、小中学校はもとよりのこと、幼稚園に至るまで、その施設を拡充しなければならない。   〔主査退席、正示主査代理着席〕 ばく大な金だ。ところが税収は微々たるもので、とうていその経費をまかなえるような税収はない。これでは新興都市は悲鳴をあげざるを得ない。ですから、各般にわたってもう少し国が積極的な面を出すべきではないかと思うのですが、いかがでしょう。
  37. 小山長規

    小山国務大臣 いままでも、住宅公団を団地をつくります場合には、下水道、それから関連の街路は公団の仕事としてやっているはずだと思います。そういうふうにやっておると思いますが、ただ、市町村の負担がいろいろありますので、たとえば公団の場合には、学校の用地費は、公団で一応資金は出しておきまして、あとで補助金で返してもらうということをいままでやっておったわけでありますが、今度は、公庫公共団体貸し付ける場合にも、学校の部分だけは立てかえをしよう。資金立てかえをやるという制度を今度確立しまして、四十年度から発足することにいたしたわけであります。
  38. 山口丈太郎

    ○山口(丈)分科員 これは余談になるかもわかりませんが、たとえば高等学校を建設する。ところが、荒木文部大臣がその当時おっしゃったには、一銭でも地方住民に税外負担を割り当てて高等学校は建てませんと言って、りっぱな御返事なんですね。けれども、たとえば私の地方には、これは県の分校ができたわけですけれども、しかし、六割五分から七割まで住民が負担して、寄付をしてやらなければならぬ。実際できないです。御存じないらしい、地方のほうは。そういう実情なんです。けれども、これは文句を言っているわけじゃない。やはり農村の文化を高めていく、農村子弟の教養を高めていくには、どうしても地元に高等学校をつくらなければならぬ。そのためにわれわれは犠牲を払おうじゃないか、こう言って払っているわけです。ところが、今度はこういう矛盾になっている。そうやって高等学校をつくった。そうすると、周辺の都市からざあっと受験生がやってくる。そうすると、いなかでありますから、どうしても周囲の環境——私は、教育そのものの方針で、そのときの試験にいなかの学童が成績が悪いのだとは思っていないのです。やはり周囲の環境が、いわば都市の子供は早熟だ、いなかのほうは未熟なんです。そういう関係で、そのとき試験をやりますと、たちまち都市の子供に占領されてしまう。そうすると、地元では、寄付をして、何とか自分の子弟を一生懸命に通わせようとしているにかかわらず、試験をしたらば、その肝心の負担をしたところの子弟は全部落ちてしまう。全部とは言わぬけれども、落ちてしまって、何も負担をしていないところからどんどん出てきて、学校を占領してしまうというありさまです。これは、文教政策として、私はもっと改善してもらわなければならぬと思いますけれども、これは文句を言っているわけじゃない。だから間違わないようにしてもらいたい。そういうありさまですから、大臣いまおっしゃるように、いろいろここでは答弁があるのですが、実際問題として、し尿処理とかじんかいの処理とかいうことになりますと、御承知のとおり、いろいろの問題を起こしますし、非常な金がかかる。ところが、それはできない相談なんです。なかなかできない。そうして、し尿処理はせいと言われる、じんかいの処理はせいと言れる、学校は増設せいと言われると、どうにもこうにもやりきれたものではない。もう少し国が実質的に——大臣の意思が下部まで伝わっていないのかどうか知りませんけれども、これは全部の声です。ですから、もう少し何とか積極面を出してもらいたい。これをひとつお願いしたい。  それから、今度は地方道の改修についてであります。これはきのう中井委員が質問をされて、そうして地元負担金の不公平について質問があったようであります。私も、これも、いまのお話と同じように、痛感をするのです。たとえば大阪府と兵庫県の場合ですが、前は兵庫県はかなりの富裕県であった。ところが、いまは貧乏県に転落してしまった。ですから、県道一つ直すにしましても、大阪府が府道を直すのと兵庫県が県道を直すのと、境を接していて、大阪府はほとんど府の負担でやってしまう。ところが兵庫県のほうは、原則によると四分の一とかなんとかおしやっておりますけれども、そんなことではないんですね。少なくとも土地買収なんかいたしますと、地元のわれわれの町村では、実質的に五割ないし六割も負担しなければならない。これが現状です。ですから、どうにもこうにもやりきれぬですよ。ですから、これもやはり負担の公平の原則からいっても、もう少し国のほうで、そういうところには何とか処置できないものか、こう思うのですがいかがでしょうか。
  39. 小山長規

    小山国務大臣 実情はおっしゃるとおりなんでありますけれども、そうかといって、きのうも中井さんにお答えしましたように、補助率を上げれば、国の財政には限度がある現状においては、今度は改修の伸びが減ってくる、この悩みがあるわけなんです。で、いまわれわれが急いでおりますのは、何とかして四十三年までには、旧一級国道は全部、二級国道は少なくとも七四、五%まで舗装したい、主要県道も五〇%ぐらいまで舗装したい、こういうことで計画を立てて、いまやっておる最中であります。そういう意味で、いま定めてあります国の負担率と地方の負担率を、いまここで変えますことは、すべての計画が狂ってまいりますので、四十三年度まではこれで行かざるを得ない、こう考えております。
  40. 山口丈太郎

    ○山口(丈)分科員 私は、これも、大臣おっしゃるように、急にやるわけにはいかぬでしょうけれども、少なくとも、地方財政というものはもうはっきりわかるはずなんです。ところが、地方財政と、その府県が持っておるところの道路の延長、総距離、これらを対比して考えますれば、補助率というものはおのずから変えていくことができると私は思う。そういう基本的な線に立って、もう一ぺん再検討してほしい。そうでないと、あまりにも不公平で、貧乏県はますます貧乏になる。和歌山県もそのとおりだと思う。奈良でもそのとおりだ。税収が少ないのでどうにもならぬ。大阪に比べたら話にならぬ。こういうことでは困るので、やはり府県なり市町村なりの税収と道路の延長を対比して、そうして基準というものを一ぺんきめ直してほしい、こういうことをお願いしたいのです。  次に、今度は車両制限令と地方道路の改修についてでありますけれども、これは道路局長どうですか、主要地方道に対する予算が四百六十四億五千六百余万円計上されていると説明されておるわけでありますが、これは車両制限令との関連においても、この地方主要道の改修を急がなければならぬのですけれども、制限令は、適用をまた延長されたと聞いているのですけれども、これは何年まで延長されたのか、そうして主要県道の改修はその間に終わるという考えですか。どうですか、計画とマッチしているのですか。
  41. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 車両制限令は、昨年の七月三十一日で一応当初の期限は切れましたが、まだ十分整備は行なわれておりませんので、二ヵ年間延伸いたして四十一年七月三十一日までであります。それまでに残っております制限令にかかります区間が全体で約百三十五億ございます。これを四十年と四十一年で解決しようということで、そのうちの約半分を補助事業として、残りの約半分を県の単独事業としてやるようにただいま計画的に行なっております。
  42. 山口丈太郎

    ○山口(丈)分科員 これはぜひともその期間内にたびたび延長せぬでもできるようにひとつやってもらいたい。といいますのは、御承知のとおり、今日は農村ではだんだんと兼業農家がふえておる。これは農業だけでは生活ができない。それで若い者がどんどん経済圏へ通って、そして手っとり早く現金収入を得て、それと併算によって世帯を持つ。私はこれはいいことだと思っている。農林省と私はだいぶ考え方が違うのですけれども、何でも画一的にやるということはぼくはよくないと思う。ですから、ああいう阪神の背後地のような私どものようなところでは、第一に道路をよくしていただく。そうして交通機関を整備して、農村の子弟が農村から出ていかないようにするためには流通をよくするということ、これが第一の要件です。そうすれば、農林省が計画しているような集団農地もできるでしょうが、しかし、そういうことをせぬでおいて、農地をほうっておいて集約化しようという無理なことを考えるから、これはできる相談じゃない。ですから、政府がそういう計画をやろうと思えば、まず建設省がどうしても道路をつくって、そこへバスなり何なり交通機関を整備する、それで自然に離農の形をとれば専業農家がふえていく、こういう結果になると思う。そういうことをしないでおいてやるのだから、机の上の計画だと言われる。ですから、ぜひとも主要道路、特に都市の背後地と都市を結ぶ道路については積極的にひとつやっていただくようにお願いしたい。  そこで、今度はダムに移りますが、猪名川にダムを建設されるということをかねがね聞いておる。そこで本年度で大体これは調査は終わるのですか。
  43. 上田稔

    ○上田政府委員 お答え申し上げます。  猪名川の虫生ダムは、地元の先先方に非常に力を入れていただきまして、おかげでいろいろ調査もできなかった状態のところから少し進みまして、調査ができるようになってまいりました。目下予備調査をやっておるわけでございますが、三十九年度におきましても、いろいろ地質調査をやり、それから堰体の設計も進めておるわけでございますが、あるいは貯水池の水利なんか進めておるわけですが、まだ少し残りまして、四十年度の七、八月ごろまではかかるのじゃなかろうかというふうに考えております。
  44. 山口丈太郎

    ○山口(丈)分科員 これはそういたしますと、その調査がまだ予備調査であって本調査ではないのでしょうか、どうでしょうか。
  45. 上田稔

    ○上田政府委員 この予備調査といいまするものは、ダムがどういうふうにできるかということを調査するわけでございますが、それが済みますと、今度は実施調査という段階に入るわけでございます。実施調査といいますと、大体これは工事をやるということを前提にしてやる調査でございます。
  46. 山口丈太郎

    ○山口(丈)分科員 そうすると、その実施調査というのは、やはり四十年の後期から始められる、こういう見通しですか。
  47. 上田稔

    ○上田政府委員 実施調査と予備調査とは、予算の支出が違いまして、実施調査は四十一年度から実施をいたしたい、いまのところそういうふうに私どものほうでは考えております。
  48. 山口丈太郎

    ○山口(丈)分科員 そうすると、予備調査によって水没面積がほぼどのくらいか、あるいはその堤防の高さがどういうことになるか、こういうことはほぼ概略はわかるというところまで進められるわけでしょう。
  49. 上田稔

    ○上田政府委員 お答え申し上げます。  予備調査といたしましては、たとえば堰体の地質の調査というものも、まあある程度間隔をあけてやるわけであります。実施調査になりますと、今度はこのくらいの高さということを仮定いたしまして、そうして、それをもっと精細に調査をいたすわけでございます。たとえば断層があるかどうか。大きくやっておりますと、その間に断層があったりいたしますので、もっとそれをこまかくやりまして、実際にどういうふうになるかということを調査するわけでございます。
  50. 山口丈太郎

    ○山口(丈)分科員 建設する場合には、もちろん堤防を建設されるその地域の土質あるいは地質の硬軟、その他いろいろ適、不適の調査が大事だと思うのですけれども、私どもは、それと同時に、水没する面積がどのくらいになるか、堤防の高さがどのくらいになるか。これは多目的ダムですから、常時水没地域と出水時水没地域と二つに分けて考えられるのじゃないかと思いますが、そういうことのために、これは何かというと、やはり買収あるいは土地収用その他の補償問題等が非常に重要になってまいります。私は、これは私の住んでおるところであるものですから、極力協力を得て、円満にこれを進めたい、こういう考えで現地の調査にも非常に協力をしてもらって、調査員も地方の人に協力をし、地方もまたそれに協力をしてやっておるわけでありますけれども、しかし、やはり問題は、運用のいかんによっては、あるいは反対の期成同盟があるわけでありますから、それらの人々の感情を万一害するようなことがあっても、将来にわたって非常に困難性を増す。同時にその事業の進捗に対しても大きな影響を及ぼしますから、したがって、でき得る限り行動というものは陽性に出すということが必要だと思うのですが、それでお尋ねをしておるわけです。  そこで大臣にお尋ねいたしますが、これはあくまでも、どういう事情があっても建設省の直轄工事としてやるという御計画には変更はないかどうか、お尋ねします。
  51. 小山長規

    小山国務大臣 いま直轄工事にするか、水資源公団に委託するか、その点がまだきめかねておるところであります。
  52. 山口丈太郎

    ○山口(丈)分科員 これは大臣承知だと思うのですけれども、地方住民としては、建設省の直轄工事でやるのだという先入観が入っておるのですよ。ですから、これは水資源だとかなんとか変わってきますと、ダムの目的そのものに変更が生じるおそれがある、こういうようなことになりますと、また地方で非常に問題になるのじゃないかと思うのです。ですから、これはやはり当初の計画どおり、確固たる不動の計画といいますか、信念といいますか、それをまず明示していただかないと、われわれとしても困る。そういうあやふやな御答弁をいまいただこうとは私は思っていなかったのです。これはどうですか、ちょっと問題になると思うのですが。
  53. 上田稔

    ○上田政府委員 この猪名川の虫生ダムは、実は治水のダムとして最も必要なものでございます。しかし、この猪名川町を含めて阪神の外郭の地域といたしまして、都市用水といいますか、利水という問題も非常に大きな問題としてクローズアップをされておるわけでございます。先ほど先生がおっしゃいましたように、阪神間の外郭都市というのは非常に人口がふえてまいります。そして都市用水が非常に不足いたしまして、なかなかその施設が追っつかないという状態でございますので、どうしてもこのダムにも利水を入れていただかなくちゃいけないんじゃなかろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。したがいまして、これは淀川水系でございまして、水資源開発の指定河川になっておりますので、利水が入ると水資源開発公団で行なうというように約束をいたしておりますので、この辺、利水がどの程度に入るか、またそれをどういうふうに使うかということも、目下調査のうちに入っておるわけでございますが、それをきめましてからでないと、はっきり言えないんじゃなかろうか、こういうふうに考えております。
  54. 山口丈太郎

    ○山口(丈)分科員 これは局長たいへんなことになりますよ。いままでならずっと何をやっているのかなと地方の人が思っている時代に、予備調査を終わってしまった。ところが、御承知のとおりのような状態ですから、もう陽性に、腕章を巻いて、公然と測量その他の調査をやっている。地元もそれをほぼ了承してやっているわけですけれども、御承知のように事業主体がかわるということになりますと、これまた一もんちゃく起きます。事業主体をかえるということは容易なことじゃないと私は思っている。先ほども言ったように、私の住んでいる町でありますから、したがってでき得る限り円満に、そして住民がなにをしないように協力をして、この水資源を何とか有効に使用したい、このように考えて協力を、微力でありますが、やっておるわけですけれども、そういうぐあいに事業主体というものについてよほど考えていただかないと、それがあやふやになりますと困りますから、もしそういうようなことになりますならばなるで、やはり関係市町に対しても、当局を通じてでも十分に事前に事業主体の了解を取りつけてもらうようにお願いをしたいと思う。これをお願いしておきます。
  55. 上田稔

    ○上田政府委員 その点につきましては、地元の県並びに市町村のほうにも十分連絡をとりまして、事割に了解を得たい、こういうふうに考えております。
  56. 山口丈太郎

    ○山口(丈)分科員 次に、これに付随するものですけれども、大騒ぎを一ぺんまたやらかしかけて、私説得をしたわけですけれども、御承知のとおり、昔はこれは軍用道路であったわけで、いまも重要道路に指定してもらっておる県道ですけれども、昔は伊丹−篠山線、いまは川西−篠山線となっておる。こういうように道路の名前は変わっておりますけれども、同じところを通っておるわけです。これはいわば裏日本に通ずる最重要道路の一つであったことは、建設省も御承知のとおりだと思います。ところが、それと並行して池田、川西の一部を通りまして大阪府に入り、京都府に入っておる道路、これが二級国道に指定されてしまった。ところが実際には交通量などは半分ありません。この国道はどんどん改修してもらってけっこうです。取り消しては困るんで、けっこうなんですけれども、実質的の交通量からいいますと、この県道は指定された国道の三倍ないし四倍の交通量を持っています。   〔正示主査代理退席、主査着席〕これは事実なんです。ところがそこにダムができる。そうすると、どうしてもいまの道路を、そっちのほうに迂回するのではなくて、まっすぐにつけかえてもらいたいということで、前から計画があったわけでありますが、それらの計画はまだ進んでいませんか。
  57. 上田稔

    ○上田政府委員 お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたように、現在、ダムの湛水池の水利といいますか、そういう計画をやっておりますが、道路につきましては、それが具体的にどのルートということで現地に当てはめてはまだやっておりません。したがいまして、それじゃいま傾斜のどの辺を通るんだと言われると、まだちょっとそこまではさまっておりません。
  58. 山口丈太郎

    ○山口(丈)分科員 具体的にどの地域をどう通ってどういう道路になるということまではいっていないと思うのですけれども、ただ原則としてそれをつけかえて通すということには間違いないですか。
  59. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 ただいまの川西−篠山線は重要な路線でありまして、主要地方道になっております。二十九年から改良工事をやっておりますが、ただいまお話しのダムのつけかえの影響のある部分は、ダムの調査が終わりませんときまりません。したがいまして現在は影響のない区間だけを事業を促進しております。したがいまして、ダムの計画がきまりまして、それに影響がありますところは、ダムの関連事業として当然また道路改良も加えまして促進していく、こういうことになろうかと思います。
  60. 山口丈太郎

    ○山口(丈)分科員 これは局長にもお願いしておったのですが、こういういろいろの問題がありますので——道路の改修については最近非常に積極性を出していただいて、地方民も非常に喜んでおります。けれども、あのままでいきますと、十五、六年か二十年くらいしないと、あの三十キロのところは完成しません。そこでもう少し積極性を出して促進をしていただかないと、いまの事業主体等の問題がありますから、よけい困難になると困る。ひとつ、もう少し積極性を出してやっていただくようにお願いしたい。  もう一つ、お願いになるのですが、御承知のとおり、猪名川の改修の問題はずいぶん昔からやかましいのですけれども、尼崎地区においてはだいぶ改修になったわけですが、川西、伊丹、それから豊中、池田地区はだいぶ改修されましたけれども、まあ池田、ここらの地区の改修は微々たるもので、ほとんど進行していない。本年度はどのくらい予算をつけていただいておるかわかりますか。
  61. 上田稔

    ○上田政府委員 猪名川の改修工事につきましては、都市周辺の河川でございますし、その影響が非常に大きゅうございます。この促進ということは大いに考えなくちゃいけないということを、私どもも早くからやかましく言っておったわけでございまして、何ぶん猪名川本川と藻川と神崎川の合流点近くのところで、あれを一緒にするという、いわゆるショートカットといいますか、そういう案を立てておりまして、その工事が用地買収その他でなかなか難航いたしておりまして、いままであまり進まなかった。ところが、猪名川というのはずっと全川が非常に狭うございますので、下流からどうしてもやっていかなければいけないということになっておりますので、下流のほうからいまスタートしていかなければならない。ところが、この下流に難点があったということで非常に進捗が悪うございました。したがいまして、三十七年度なんかは二億程度でございましたが、ことし、三十九年度は四億の予算をつけて促進をさせております。四十年度におきましては、まだ予算がきまっておりませんが、私どもといたしましては、さらに促進をいたしたい、こういうふうに考えております。
  62. 山口丈太郎

    ○山口(丈)分科員 私は予算を自分のところへぶんどるとかなんとか、そういう我田引水で言うんじゃないんですが、実際問題としてあの猪名川のへりにあります工場ですね。猪名川の改修が完成しないと、工場の拡張または改良計画が立たない。それでやかましく言うておるわけです。どうしてもその地域だけでもこれは促進をしていただくということにしなければ、ほんとうにあの周辺の工場あるいは都市計画は立たない。ですから、改修に着工する前に、まず、いま道路なんかでも一部とられているようでありますけれども、予定土地の主要な周辺の施設をきちっとやる、次はそこへ建設を進めていく、こういうような予算の使い方でもやって、そしてその規模を明確に早く示してやるということが私は必要じゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  63. 上田稔

    ○上田政府委員 予定地の制限をいたしますと、そこに補償費の支出が非常にかかりますので、そういう関係で目下そういうことをいたしておりませんが、現在、来年度かかるところは、豊中市の部分が大きくショートカットする部分ができるわけでございます。その部分につきましては、もうすでに用地の範囲を示しまして、豊中市のほうでこれを現在折衝をしていただいております。ただしこれは予算は来年度になるのではないか、こういうふうに考えております。
  64. 山口丈太郎

    ○山口(丈)分科員 それは債務負担行為などのそういうようなもので処理するということは、事前処理はできないですか、おおよそのことでもやって。そういうことはできませんか。
  65. 上田稔

    ○上田政府委員 その概算がきまりまして、大体予算がきまりますれば、そういうことができるわけでございますが、まだそこまでいっておりませんので、それはできないわけであります。
  66. 山口丈太郎

    ○山口(丈)分科員 まだいろいろありますが、これはまたあとでお伺いするとして、先ほどから質問をいたしましたように、少なくとも京浜地区あるいは阪神地区、これが日本の代表的な人口集中地域だと私は思います。したがって、これらの代表的な人口集中地域に新しく団地計画等を立てられる場合には、ぜひとも大臣、先ほどからの答弁にもありましたように、もう少し積極的に当該自治団体に連絡をし、そういう公共施設、特にじんかい、し尿処理場の建設、あるいは上下水道等の建設、それから学校の増設または新築、こういうふうなものには、少なくとも人口がふえてくれば、何年かたてば、ある程度の税収を見込むことができるのも、また事実なんですから、したがってその過渡的な期間だけでも国がもう少し積極的に補助をし、あるいは負担を軽減するような処置を考えてもらいたい。第二番目には、そういうような背後地にある地域については、人口の集中を防ぐためにも、ぜひとも交通整備ということが必要であります。どうしても道路の早急な改良、拡張が必要だと私は思います。それがひいては政府の総合開発計画につながるのでありますから、したがって、ぜひともこれは考えて、それらの地域に対する道路交通網の拡充のために一般の御配慮を願いたい。第三番目には、これは私の選挙区にわたることでありますけれども、小河川の改修ですね。これは尼崎にもあるわけですけれども、本年度予算に多少の予算を組んで計上されて説明されておるようでありますけれども、小河川が、だんだん土地開発につれて周辺の事情が変わってまいるものでありますから、少しのはんらんがありましても、小山のごとき、たちまちにして水没、浸水する、こういうような事態が発生をいたしまして、そのために、たびたび災害に関してのいろいろの苦情が出てくるわけであります。したがって、これは都市の再開発とも関連のあることでありますけれども、これらに対してはひとつ十分の配慮をして促進をお願いしたい。  以上お願いをして、私の質問を終わりたいと思います。
  67. 今松治郎

    ○今松主査 それでは茜ケ久保重光君。
  68. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保分科員 端的にお尋ねしたいと思いますので、ひとつ答弁のほうも率直な御答弁をお願いしたいと思います。  ただいまから質問いたしますことは、一見地方的な問題のようでありますけれども、私はかなり重要な内容を包蔵しておると思うのであります。それは数年前に松永安左エ門とおっしゃる電力業界における最も先輩であり最も実力者である方が代表されておる産業計画会議といたっようなところで、東京都の工業用水を確保することを重点とされた、いわゆる沼田、ダム建設の問題があったわけです。当時、私建設委員会で、たしか中村建設大臣だと思いますが、いろいろな立場から追及をしたのでありますが、当時政府としては、言を左右とまでは申しませんけれども、かなりあいまいな態度であったのであります。小山大臣、どのように御理解していらっしゃるか存じませんけれども、当時の状態から今日の推移を見てみますと、当時道路局長などの言明によりますと、いわゆる国道十七号線の舗装についても、このダム問題が解決しなければできないのだ、したがって、かなり数億に上る予算があるけれども、実施できないのだということであったのでありますけれども、今日ダム関係にあります十七号線の舗装も終わったようですし、国鉄の複線化の工事も進んでおるようでございます。したがって、地元としては、一応沼田ダムの問題はこれで終止符を打ったのじゃないかという感じを持っておりますけれども、まだまだ大きな不安を持っておるわけであります。そういう観点で、後ほど指摘しますけれども、私は、沼田という一地方の問題であるけれども、これが建設予定され、計画が発表された当時の状況を勘案しますと、日本の政治、経済の基本に流れる思想的な立場から考えましても、かなり重要な問題を内包しておると信じますので、あえて質問するわけでありますが、この件に関して建設大臣は最近御承知になっておるかどうか。あるいは数年前のことでございますから、小山大臣とは直接関係はないけれども、おそらくまだ私は建設省内部あるいは電力関係の中にはかなり根強いものが残っておるというふうに感ずるのでありますが、これに対する大臣の御所見をちょっと最初に伺っておきたいと思います。
  69. 小山長規

    小山国務大臣 沼田ダムの地点は、首都圏の水の問題などからいいましても、あるいは利根川の治水の問題からいいましても、重要な地点であることは間違いないのであります。しかしそれではダムを建設する具体的計画があるのかといえばありません。将来首都圏の問題として、かりにここに何とかダムをつくりたいというような総合的な地域開発計画というものが成り立つというような時点が来ましたときには——むろんこのダムは、全国的な事例からいいましても、地元民の完全な了解がないとできるものではありません。そういう意味で、そういう計画をやらなければならぬという時点に来ましたときには、当然地元の県、市町村の方々と十分な事前の打ち合わせをして、荒手することに相なります。
  70. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保分科員 大臣の答弁をお聞きしまして、わかったようなわからないような気がするのでありますが、現在計画はないとおっしゃるけれども、首都圏のいわゆる水の関係でやはり将来起こるかもしれぬという余韻が残っておりますし、その場合にはもちろん地元や関係者の意見も徴するし、賛成に対しての努力をするとおっしゃるのであります。前段では現在そういう計画がないと否定されたのでありますが、後段を聞いておりますと、前段の否定がやや弱くなりまして、やはり私が先ほど指摘したように、建設省ないしは建設省を中心とした首都圏の工業用水の問題とか、飲料水ももちろん含みますが、また電力等の関係で、将来——これは一般的なことばでおっしゃったけれども、どうも地元がなお依然として不安を持っている、いわゆるそう遠くない将来に沼田ダムの問題がさらに再燃するという危険を、すでに大臣の御答弁から私は感じるのでありますが、その点ひとつもっと明確な御答弁をお願いしたいと思うのです。
  71. 小山長規

    小山国務大臣 明確に答弁申し上げますが、現在そういう計画は持っておりません。
  72. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保分科員 それで一応お答えとしてはたいへん明確な答弁でありますけれども、先ほども申しますように、首都圏との関連で、実は私ども最近、端的に申しますと、このダム関係のかなり重要な地位を持っていらっしゃる方、そして直接そうした仕事と関連のある方とお会いする機会があったのでございますが、いろいろなほかの話をしている途中で、やはり松永さんを頂点とした電力関係の日本の財閥と申しますか、そういった力のある方と関連して、建設省内部にも依然として沼田ダムの問題は残っているのだ、これはいま表面には出ていないけれども、とにかくそう遠くない将来にこの問題は必ず具体化してくるのだ、こういう話を聞いたわけなんです。いまその方の地位なり名前はここに申しませんけれども、これはかなりその道の権威者の方なんです。それも私が沼田ダムについて聞いたのではなくて、いろいろな話の中で出てきたことなんで、私は非常にその点心配したものですから、あえてきょう御質問するわけなんです。私が質問する大きな理由は、もちろん私の地元ということもありますけれども、沼田ダムは御承知のように規模が非常に大きいのでございまして、これができますと、沼田市は上と下に分かれておりますが、下の駅を中心にした約一千二百町歩の水田と、沼田市の何分の一かに当たる市街地と、それからまた付近農村はかなり水没するわけでございます。一千二百町歩に達する水田は、十万の人口を擁する利根、沼田地区の一つの宝庫でございまして、この水田が埋没しますと、利根、沼田地方では水田らしいものがほとんどなくなるわけです。したがって、農民としては非常にこれに対する強い態度があるわけでございますが、と同時に、その一千二百町歩に達する水田が埋没するということと、あるいは市街地の一部が埋没するということだけでなくて、このダムができますと、おそらく利根、沼田十万の人口を擁する地域はいろいろな意味で孤立してしまうと思うのです。孤立しまして、一千二百町歩の水田と直接関係のある者はもちろんでありますが、それ以外のいわゆる僻地の郡民の諸君も、おそらくあらゆる意味で生活の基盤を失うようなことになるのではないかと思うのであります。そこで地元でもかなり当時反対の気勢が強かったのでありますが、これは大臣にも御留意願いたいのは、反対は強かったのですが、一時土地ブローカーとかあるいは建設ブローカーとか、そういったかなり財力をバックにしたような諸君が入ってまいりまして、いわゆる利益誘導によって反対派の首領の諸君をかなり誘惑しまして、変な空気が出てまいりまして、混乱をした時期もあるわけでございます。先ほど土地買収の件もございましたけれども、そういうふうにいろいろな第三勢力が入りまして、かなり混乱をしたときがあったのでありますが、これは現在落ちついております。私がここで特に指摘したいのは、これは松永さんを中心とした電力資本家の諸君や、東京の首都圏に工場を有する独占資本の皆さん方は、どうも沼田ダム建設という計画の中に、現在の日本の強力な独占資本が発展するためには、一部の農民生活や将来やあるいは僻地の人たち生活など、かなりじゅうりんしてもあえてはばからぬといったような考え方があるかに私は感ずるのであります。どうも現在の、いわゆる戦前の力を回復してきた日本の独占資本ないしはそういったものを背景とした政治的な力が、いま言ったようなものを根底に持って事に当たろうとする機運が非常に強いと私は思う。私どももあえてダムの建設や電力の開発ないしは水利のいろいろの問題に一々反対するものではございません。これはやはり大きな見地から必要でもありますし、あるいは一部の犠牲をあえて忍んでやらなくちゃならぬこともあります。けれども、それはやはり国民全体が利益を受けるという立場からのものでありまして、沼田ダムの建設に対する最初の発表等から見ますと、一部には、電力資本家の電力需用に対する独占的な力の増大と、もう一つは、私が非常に遺憾に思うのは、建設大臣は首都圏整備委員長をお兼ねになっていると思うのでありますが、首都圏整備に対するいろいろな法律があって、東京を中心にあまり工場やなんか都内にはつくらないのだ、むしろこれは地方に分散をして、東京集中を排除するのだという一面がありながら、現実にはもうそれを無視して、どんどん東京にそうした工場が伸びている。そのために工業用水が不足する。一方では首都圏整備法というものがあって、首都圏の整備をするといいながら、それを無視してどんどん工場がふえていく。したがって、工業用水が不足する。そういうものを、今度はいわゆる沼田ダム的な構想をつくって、かなり大きな犠牲を払って東京の工業用水なんかの確保に資する。私はそこに政治の非常な矛盾があると思うのです。こういうところを政治的に解決しないでおいて、その犠牲を一部の国民に、一部の特に低開発地域における人たちに転嫁するということは、私は政治上絶対に許しがたいことだと思います。それは、私が先ほども言ったように、大臣も低開発県の出身であるから、おそらく個人としてはそういう気持ちがあると思うのです。そういうことで、私はここで、いまの大臣の目下そういう計画はありませんというおことばだけで、やはりそうでございますかと言って引き下がれない。そういうものを感じてまいりますし、それもあるから、先ほどの、いわゆるあとの御答弁の前の、しかし、まあダムというものは必要であるし、やはりそういう場合もある、そんな場合も、地元なんかの了解もとおっしゃった、そこにひっかかってくるわけでございます。  そこで、大臣は、目下そういう計画は絶対ないといった御答弁ではあったけれども、いま指摘したようなものが私は底に流れていると思う。したがって、やがてこれは出てくる問題じゃないか。そういう場合に、大臣としては、いま私が申し上げた幾分思想的な考え方のものも出しましたが、それに対する大臣のお考え方なり、そしてまた、そういうものが出てきた場合に対する、したがってその処置というものは、どういうふうになされる所存であるか、お伺いしたいと思います。
  73. 小山長規

    小山国務大臣 いま、沼田ダムは計画はありませんと申し上げましたが、同時に、いま茜ケ久保さんのおっしゃったような考え方を私は持っておるわけでございます。つまり、首都圏にこれだけの人間が入ってきて過密状態を呈してきておるということは、これは本来防がなければならぬことなのです。ですから、そこにいまおっしゃったような大きな発電所をつくって、さらに工場を膨張するような政策をとるべきではない。そのような膨大な国費を使うとするならば、せっかく新産都市だとか工業整備区域だとかいうようなものをつくっているわけですから、むしろそっちに投ずべきだと私は考えます。また、いまおっしゃったような千二百町歩にわたる水田が埋没するとか、あるいは土地の一部が埋没するとか、あるいはそのために市の背後地にある部分が分断されるとか、そういうたいへんな社会的な影響のある問題を一電力の問題として考えるということは、そのこと自体私は間違っておると思う。二十戸、三十戸という人たちがどこかに移転するという場合には、相当な補償をし、そうして生活の道を立ててあげるということはできますけれども、数百人あるいは千人とか、千戸になんなんとするような人たらをよそに移転をさせ、そうして生活の道を立ててやるということは、現在の日本の経済情勢のもとにおいてはこれは不可能に近いと思うのであります。だから、そういうことは考えること自体が無謀なんであって、むしろ電力を求めるとするならば、他に適地がありはしないか、まずそこから考えていくべきじゃないか、私はそういうふうに思っております。
  74. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保分科員 大臣の御答弁、私はまことにけっこうと思うのであります。これはまことに失礼な言い方でありますが、大臣も永久に大臣をしていらっしゃるわけではないのでございますが、たとえば小山大臣は、そういう非常に理解のある、しかも信念を持った対処をしていただく、これは私たちも同感であるし、非常に力強く感じます。しかし、私ども長い間の国会でいろいろと質疑を通じたりこういう討論を通じてやっておりますと、えてして大臣がおかわりになると、変わってくるのですね。これは大臣のそれぞれの所信なり方針がございますから、ある程度やむを得ぬと思うのですが、しかし、根幹的な問題は、やはり政治でありますから変わるべきではないと思うのであります。  そこで、これは、河川局長もかわりますけれども、河川局の中にやはり一つの流れがあると思うのです。数年前に河川局長にいろいろと質問し、あるいは追及した場合に、当時の河川局長の答弁ですと、かなり違いがあったわけです。否定をされる面もあるけれども、あえて否定をされない面もある。これは速記録を見ればわかりますけれども、同時に、先ほど指摘があったように、河川局長の答弁と道路局長の答弁がかみ合わない。というのは、河川局長は否定的な答弁をされるけれども、道路局長は、先ほど言ったように、数億の国道十七号線の舗装整備の予算を持っているけれども、沼田ダムの建設が表面に出ているし、決してそれはしないのだという保証はないのですね。実は、道路の舗装工事も見合わせているのだ、こういう答弁なんです。そうすると、同じ建設省の中でも、その担当部局によって違ってきたので問題になりますが、先ほど言ったように、またあなたも御承知のように、道路も舗装をほとんど完了しておりますし、国鉄もいわゆる線路移転の問題を一応たな上げして複線もしております。それで当面は、いま大臣のおっしゃった計画がないということで了承できないわけではございませんけれども、先ほど指摘したように、その道のかなりの権威者の口から、はっきりと、いわゆる業界にも、また、建設省内部にも、沼田ダムの問題は依然としてくすぶっていても、やりたいし、やる意思があるのだということを聞きますと、これは聞き捨てにならない。河川局長は、大臣の政治的な答弁以外に、具体的に金め計画についても御承知になっていると思うし、また、建設省以外の関係者のそういった面も御承知だと思うのだが、御承知になっている限りの資料を、口頭でけっこうですからお示し願いたい。
  75. 上田稔

    ○上田政府委員 沼田ダムにつきましてお答え申し上げる前に、利根川の問題でございますが、この利根川の治水という問題が非常な大問題でございます。この問題と沼田ダムの問題がやはりからみついてくるわけでございますが、沼田ダムをやるということも、これも大臣が言われましたように、非常に大きな地域の非常に広範囲の方々の利害関係に影響をする。そうして、利害といいますか、非常に生活が変わるということが起こらなければできないということになるのじゃなかろうかと思います。したがってこれも非常に大きな問題であります。この二つの問題を、それじゃ片方を立てるためにどうしてもやらなければならないかどうかということでございますが、この問題についていろいろそのほかの、大臣が言われましたように、ほかの方法でこれを何とかできないだろうかというようなことで、目下いろいろな検討をいたしておるわけでございます。  それで、いろいろな、たとえて申し上げますと、吾妻川というような川は、以前は毒水で、これはダムもできないというような状態でございましたが、しかし現在では、これを中和するというような方法考えて、あるいはダムができるんじゃなかろうかというような希望も出てきております。そしてまた、そういうようなことも、目下いろいろ水質を調査して、どういうふうに変化していっているかということを見て、そしていろいろな計画を立てようとしておるわけであります。  そういうふうなことで、いま沼田ダムに対して、これをダムをつくるんだという計画は、全然いまのところはございません。しかし大利根の治水ということは、これは非常に考えなくちゃいけない、こういうことでございます。
  76. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保分科員 私ども別に皆さんの御答弁を無理に勘ぐったりするわけではございません。しかしやっぱり、端的に申し上げて、先ほどから指摘しているように、かなりくすぶっていることは事実だと思うんです。それに対しては、やはりどうくすぶろうとも、治山治水の責任者である建設省が、一つの厳とした態度と方針をお持ちになれば、これはどんなにくすぶろうともくすぶるだけで済むわけでございます。  しかし、先ほどもちょっと指摘したように、実際にいって日本の政治の動き方もかなり独占資本というか、財閥というか、そういったような大きな力に左右されないとは残念ながら断言できないのです。したがって、私が特に指摘したそういった一つの大きな力のために、弱い部面がいままで犠牲にされてきている。しかし最近は、だいぶ国民の意識の向上と、いわゆる官側に対する依存の度がだいぶ変わってまいりましたから、また、われわれもそういう場合には、あらゆる犠牲を払ってそういった御所信に向かっては力を合わせますから、そう簡単にいくとは思いません。けれども、しかし、まだまだ日本の実態から言いますと、いま言った大きな力に簡単に押し流されるということもございますから、この点はひとつぜひ大臣は、いまのあなたの御所信と御答弁になったことを、私どもとしても期待するし、おそらくまたきょうの質問に対しては、関係者もかなり神経をとがらせておりますし、このことは、私は決して沼田ダムだけではなくて、そういった一つの政治の力の行き方に対する国民全体の問題だと思うんですよ。具体的には利根郡、沼田市の問題でありますけれども、その一つの方針というか、流れというものは、私はやはりこれは全般的なものだと思うんです。したがって、ぜひ建設大臣の御所信と御答弁をそのまま堅持して、大臣をあなた今後どのくらいおやりになるか知りませんけれども、その間にひとつ建設省内部にそういった所信を植えつけていただいて、ぜひあなたの、われわれの立場から考えても、すばらしい御所信を建設行政に徹底するようにお願いしたいと思うんですが、いかがでございましょう。
  77. 小山長規

    小山国務大臣 私がいま申し上げたようなことは、これは自由民主党自体の考え方だと思うんです。大きな犠牲を伴うような問題を軽々にはやらないというのが、わが党のものの考え方なんです。まず大きな犠牲が必要であるかどうかということを考え、同時に、それにかわるべき方法はないのか、これを考えてやるのが政治だと思います。これは一小山の信念ではなくして、これは自由民主党自体の考え方だと確信をいたしております。
  78. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保分科員 そういう答弁が出ますと、どうもまたすなおに引き下がれないのですが、しかし小山大臣の御人格を信頼して、きょうはこれ以上あまり申しませんけれども、自由民主党とおっしゃいますと、私もこれは疑問もありますし、実際の話としては、いろいろ言わなければならないことも出てきます。しかしきょうは、小山大臣の御所信を一応信頼して、沼田ダムのことは、現在行なう計画はない、したがって関係者は安心をしてその生業にいそしんでいい、こういうふうに理解をしていきたいと思うのですが、間違いございませんね。
  79. 小山長規

    小山国務大臣 そのとおり御理解の上、安心して生業にいそしんでいただくようお願い申し上げます。
  80. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保分科員 次に、河川局長にちょっとお伺いしたいのですが、ついでと言っては失礼ですが、神戸ダムはかなり進展しておるように伺っておりますが、神戸ダムの今日までの進捗状況、それから昭和四十年度の神戸ダムに対する具体的な御計画について、これは質問の中に関連しなかったのでありますが、ここにお持ちの資料の範囲でけっこうでありますから、ひとつお聞きしたいと思います。
  81. 上田稔

    ○上田政府委員 お答え申し上げます。  神戸ダムは来年度、昭和四十年度でございますが、四十年度から水資源開発公団のほうにおいてこのダムを建設していただくということにきめております。その予算はちょっといまはっきり覚えておりませんが、一億二千万円程度だったと思っておりますが、ちょっと数字が違うかもわかりません。
  82. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保分科員 それでいままでいわゆる土地買収なり、あるいは水没家屋なり、そういうものに対する処置などについて資料はございませんか。
  83. 上田稔

    ○上田政府委員 そういうものにつきましては、水資源開発公団でやっていただくということで、いままでのはそこにダムがつくれるかどうかという、いわゆる予備調査的なものを建設省が実施いたしたわけでございます。
  84. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保分科員 大体関係者の補償なり、あるいはその他のことはすべて完了して、四十年度から具体的な工事に着手するのだ、こういうように理解してよろしゅうございますか。
  85. 上田稔

    ○上田政府委員 そうではございません。これから関係者の方のいろいろ一筆調査なんかをいたしまして、そうして土地がどれだけかかり、あなたの土地は幾らでどうでございましょうかという交渉を今後していただくわけでございます。
  86. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保分科員 それなら四十年度というのはそういった具体的なダムの建設に入るのではなくして、ダムの建設のための、そういういわゆる土地買収に対する具体的な取りきめとか、そういうことをされるというふうに理解していいですか。私は、いまの話を、ダムの建設を四十年度でお始めになるというふうに理解したのですが、そうではなくて、それをするためのいわゆるそうした諸準備が四十年度から始まる、こういうのですか。
  87. 上田稔

    ○上田政府委員 そのとおりでございます。建設省としていろいろやりましたいままでの調査は、この地点では大体ダムはどのくらいの高さのダムができるであろうか、そうするとどういうふうな調節ができ、どういうふうな水が生み出せるであろうかというような調査をしたわけでございます。今度は実地調査ということになりますと、いままでボーリングもある程度は地質調査のときにやっております。しかし先ほど山口先生のときにお答えしたように、ダムをつくるときには、もっともっとボーリングもし、詳しく調べまして、そうして断層なんかがあるかどうか、もしあれば、それはどういうふうに走っておるか、その深さがどの程度のものであろうか。築造する場合にはどういうふうな影響があるか。そうすると、いままでアーチで考えておったのを重力で考えなければならないということもあるかもしれない。そういったような具体的な、詳細な調査を行ない、なおかつ、水没地をどういうふうにするか、あるいは上流の堆砂をどういうふうに考えるか、そうして余裕をどれだけとって買収をさしてもらうか、そういったような買収線をきめるとか、そういったことから始めていくわけです。
  88. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保分科員 それは大体局長からダムの高さ——あれは多目的ダムでこざいましたね、貯水する量ないしは完成年度ということについては、大体見通しはついておりますか。
  89. 上田稔

    ○上田政府委員 このダムにつきましては、水資源開発公団に移りますので、経済企画庁のほうにおきまして、利根川の利水に関する基本計画というものを立てるわけでございます。これがきまりまして、主務大臣はおそらく建設大臣になると思いますが、建設大臣が指定をされますと、建設大臣が実施方針というものをきめまして、それを公団に示すわけです。それに基づいて公団は実施計画というものをつくるわけです。その実施方針にいまの完成年次というようなものも入れ、それから湛水量、どういう利水に対しては幾らの湛水量をとれるか、あるいは総発電に対してはどれだけのものを考えるか、そういったようなことを、お話がつきましたらそういうことをきめるわけです。それまではいまのところ確定はいたしておりません。
  90. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保分科員 沼田ダムにつきましては、先ほど言ったように、大臣並びに建設省の御答弁で一応了解しますが、これは重大でありますから、もし不幸にしてそういうことになりますと、私どもはほんとうに命をかけて守らざるを得ないということになりますので、おそらく現地では思想や政党性をこえてそういうことになると思います。したがって、これはぜひだめ押しをするといいますか、そういうことのないようにひとつ御指導願いたいと思います。  神戸ダムについては私どももたびたび御相談も受けたし、いろいろな立場もございましたが、これは沼田と違ってダム建設の目標に向かってある程度協力する必要があるという観点から、これはあまり深入りせずにきた。しかし、きまった以上は地元も協力しましょうが、できるだけ水資源公団が実施するにしても、あるいは建設省指導をしていただいて、補償なりあるいはその移転にあたっては、万遺憾のない御処置を願いたいと思うのです。ややもすると、皆さん方の御意思と末端において住民と直接接触する諸君との中に、いろんな連絡の不十分と申しましょうか、あなた方の御意思がそのまま伝わっていかぬということがあるわけです。したがって、スムーズにいくべきことがかえって逆ということもございますから、私ども、そういう点においては、先ほど言ったように、あえて何も好んで反対するわけじゃありませんから、そういうことを十二分に水資源公団を通じて御指導願って、りっぱなダムができますように、しかもできたあとにおいて、その陰に泣く者がないように、自分の祖先の土地を捨ててもこの人たちも喜んでやっていけるという状態に、遺憾のない御指導を特に希望して私の質問を終わります。
  91. 今松治郎

    ○今松主査 堀昌雄君。
  92. 堀昌雄

    ○堀分科員 私は建設関係の問題で質疑をいたしますのは、国会議員を七年やっておりますがきょうが初めてでございます。こういう場違いの問題を取り上げるに至りましたのは、私なりに理解しがたい問題があるものですから、事案はきわめて具体的な事案でありますけれども、その事案の背景にありますものは、法律の問題を含めて検討を要する問題があると判断をいたしましたので、本日質疑をいたすわけであります。  問題は土地収用の問題でありますけれども、最初に事務当局にお答えいただいてけっこうです。  土地収用法というのは、昭和二十六年六月九日に立法をされておるわけですが、土地収用法が立法をされた当時にすでに有料の観光道路が日本にあったのかどうか、この点を最初に伺っておきたいと思います。
  93. 志村清一

    志村政府委員 道路運送法によります一般自動車道というものはあったように記憶いたしております。
  94. 堀昌雄

    ○堀分科員 いまの専用自動車道路ですが、公的なものは私はいま対象にしていない。私的な、どららかというと、営利を追求することをもって主たる目的である、それをただ道路という形で行なわれている。私は観光道路という表現をいたしましたけれども、そういうものがすでにあったかどうか。その専用自動車道というのは、公共体といいますか、地方自治体なり国なりが行なっておったものがあるかもしれませんが、いま私が申し上げるような意味の、たとえば芦有道路というのは、これは昭和三十二年に免許申請が出されているものでありますし、あるいは比叡山の有料道路のように山の中についているものとか、そういうもので特に私的なものがやっているというものを伺っておるのですが、二十六年当時すでにあったでしょうか。
  95. 志村清一

    志村政府委員 ただいまお話の私的道路というものは、道路運送法に規定している一般自動車道並びに専用自動車道というものであろうかと存じますが、道路運送法が昭和二十六年に制定されておりますので、土地収用法よりちょっと前に現在の道路運送法はでき上がっているわけでございます。
  96. 堀昌雄

    ○堀分科員 いまの法律は前にできているということになると、この土地収用法は、初めから公共性の問題については、国または地方自治体のような公共的なものが行なう道路も、私的な営利を目的とするものが行なう道路も、道路という名前がつけばひとしく公共性は同じだという考え方で立法されている、こういうように理解することになりますか。
  97. 志村清一

    志村政府委員 土地収用法におきましては、国あるいは地方公共団体、さらには政府機関というようなものが施行いたします公共事業と、それから私企業にかかります鉄道、電気、ガスといったような公益事業とが同様に収用権を認められているわけであります。お尋ねの一般自動車道も、これらの公益事業とみなされているわけでございますが、私企業が行なう公益事業でございましても、その事業の公共的性格と、それから料金の制限等、公益性を増進し、担保する手段が法律上定められているというようなことを通じまして、収用法においては一応収用対象になり得るというような定めがされているわけでございます。
  98. 堀昌雄

    ○堀分科員 憲法は二十九条でありますか、財産権の確認をして、ただ例外として公共のために使用する場合で、正当な補償があればこれを認めようということになっておる。私ども大体一つ考え方の基盤は、国その他公共的なものが使用することについては、どちらかというと、その例外もやむを得ないという側にふだんは立っているわけです。ただ、しかし、それは明らかに公共性があるということが前提でない限り、要するに私的な利益を追求するために、自分の土地がここにあるけれども、自分の土地には一切手を触れないで、その隣にある人の土地収用をかけて取ってもいいというような問題は、現在の憲法及び土地収用法では規定していないと思うのです。その点、一般論でありますが、どういうふうにお考えでありますか。
  99. 志村清一

    志村政府委員 ただいま企業者が自分の土地を持っておりまして、ところがその自分の土地は使わずに、隣の他人の土地をいわば収用対象にするということは可能かどうかという御質問かと思いますが、企業者が自分の持っておる土地を最大限利用すべきことは当然でございます。事業の性質によりまして、たまたまそばにあった他人の土地でありましても、技術的にその土地でなければ仕事が適正に行なわれにくいという場合には、隣接の土地収用も許される場合があろう、原則的にはそういうふうに考えております。
  100. 堀昌雄

    ○堀分科員 いまのお答えは、技術的に自分の土地を使うことは不可能であるということがまず第一で、隣の土地でなければならないという前提があれば、私もあなたの意見に同感をしたいと思います。  ところが、ここに程度の差があるわけです。この事案は、私は実地調査をしてきましたから、これは将来建設委員会に移して、今後さらに徹底的に調べさしていただきますけれども、自分の土地が十分使えて、現在はそこを使っていろいろやっておる、それができるにもかかわらず、そっちと隣とを比較してどっちが有利かというと、私の見た範囲ではほとんど甲乙つけがたいという条件があるにもかかわらず、自分の土地はおいでおいで、隣の土地のほうに収用をかけて、そこに自動車道路か何か、接続点と称するインターチェンジをそっち側につくって、六百六十円という価格収用の申請をして、その隣のところは一坪三万五千円で現在売っておる。当然インターチェンジを自分の中につくり得る土地を坪三万五千円で売って利益を得るために、人の土地を六百六十円で収用をかけるというあり方は、現地をごらんになれば、これがいかに不当な事実であるかということがおわかりになります。  私は事実、写真も全部持っておりますが、ここでお目にかけても、たくさんの方が見られませんからいま控えますけれども、これは私は一般論として、土地収用法の精神に欠けた収用のあり方ではないか、公共的なところならそういうことはしないと思う。国なり地方自治体がここに土地を持っておりまして、そうしてそこへインターチェンジをつくらなければならぬという必要があるならば、まず国なり地方自治体は自分の土地を使うことを最大限に考えるのが当然だと私は思います。しかし、その土地が使えないということですね、この土地ではうまくいかないというときに、初めてやむを得ず民間の人の所有している土地収用法によって収用させてもらいたい、その収用をする前に私は話し合いがあると思うのです。国なり地方自治体ならば、その土地をひとつ売ってくれませんか、適正な価格で売ってください、幾らで売ってくれますかという交渉が十分あって、そうしてしかも工事はどんどん進捗しておって、どうにもしかたがないというときがきて収用されるのが私は普通だと思うのです。あっちこっちにもう道路が全部できても、中に残っている例があるのです。目黒の白金台町のところに広い高速道や何かができて、迎賓館の前に一軒だけ家が依然として残っている。だれが見たってああいう土地に一軒だけ残っておるのは適当でないと思うのですが、そういうものすら、あれは東京都がやっておるのか、高速道路公団がやっておるのか知らぬけれども、収用されていない。まだ家が一軒だけぽつんと残っておるのです。広い道路の交差点になっておるその中に一軒だけ残っておる。少なくとも公共的なものが収用する場合には一般的にいってそういう事態が私は普通だと思うのですが、大臣いかがでしょうか。
  101. 小山長規

    小山国務大臣 いまのお話は一般論だと思います。一般論については、いま局長が答えたとおりだと思います。ただ、その内容、具体的な事例について言うならば、これはまだ訴訟の余地もありましょうし、(堀委員「一般論でいいのです」と呼ぶ)一般論ならば局長の答えたとおりだと思います。
  102. 堀昌雄

    ○堀分科員 もう一つ伺ったのは、一般論で私が言ったように、国や地方自治体のような公共的なところが収用するときは、まず十分話し合いをして、そうして結着がつかない、しかし、工事は進捗してくるからやむを得ず収用する、これが普通ではないか。まだ工事も何も始めていないのに、どんどん収用で取り上げて、全部取ってしまってから、今度は道をつけるというようなことは、公共的なところがやる場合には私はならないと思う。やはりある程度差し迫ってきて、話し合いをしながらなるのが、公共的な場合の一般論ではないのか。例外もあるかもしれないが、一般的にはそうではないのかということを一般論として伺っておるわけです。
  103. 小山長規

    小山国務大臣 いまそういうふうなやり方をしておるのは事実であります。はたしてそれがいいのかどうかという点については、私はまた別な考え方を持っております。というのは、ぽつぽつやっておりますと、結局はいわゆるごね得が生じます。そこで予算委員会その他でも問題になりますように、土地収用については、もうちょっと前もってやったらどうかというような議論が出てくるのは、そういう面があるからであって、一般論から申し上げると、いまやっておる慣行がはたしていいのかどうか、この点については私は異論を持っております。
  104. 堀昌雄

    ○堀分科員 私が言うのは、ごね得をすることを奨励しようという意味じゃないのです。それは収用する前に話し合いが十分行なわれるというのが原則ではないのか、話し合いもしないでいきなり、収用法がかけられる企業だから有無を言わせず収用で取ろうというようなやり方が、土地収用法として適当かどうなのかということですね。第  一にはそれは当事者同士の問題なんですからね。ところが、いまから私が議論したいのは、何ら十分な話し合いがなされていない、そうしていきなり収用をかけていくというこういうやり方は、収用法の精神は、そういうことまでも企業者に認めておるとは私思わないのです。その点はいかがかということを大臣にお聞きしておるのです。   〔主査退席、片島主査代理着席〕
  105. 小山長規

    小山国務大臣 その点は、おっしゃるとおり、当然前もってまず協議に入って、協議がととのわないときにやるのが、これは妥当な措置であります。
  106. 堀昌雄

    ○堀分科員 そこで原則として私の考え計画局長なり大臣が御同感ということでありますから、ひとつ具体的な事案に入ります。  具体的な事案と申しますのは、兵庫県に芦有開発という会社がございまして、この芦有開発という会社はういまの専用自動車道の申請をいたしまして、認定を受けて、実は道路ができたわけであります。その際、奥池という周辺地帯に何か道路の接続点というのですか、インターチェンジをつくるということになっておるらしいのであります。ところが、この事案は、その以前に、その周辺の土地の所有者であった人と芦屋市との間に実は所有権についての係争がありまして、その係争中に実はこの道路がしかれるというかっこうになってきたわけです。係争中に道路がしかれるということになっていろいろと係争をされたのでありますが、この所有者は、これは西宮市では最も素封家でありますところの辰馬という、現在の白鹿の社長でございます。辰馬一族というのは、御承知のように西宮では長く市長をした人もおりますし、各種の事業を西宮市で営んでおりまして、決してごね得でどうしようとか、そういうことをするタイプの人たちではないわけです。実はこの人たちのかなり先代が何かがそこでかんてん小屋をやっておって、すでに境界線がちゃんとあったにもかかわらず、何か芦屋市は、ここは自分たちの市の土地だと言って、一方的に土地の使用の宣言をしてきた。それまでは辰馬氏の所有であったので、その奥地の周辺を使うために、京阪神急行電鉄は毎年賃貸を申し入れて賃貸契約が行なわれておったという形の事実があるのが、突然として芦屋市が自分の土地だということで所有権を主張し、訴訟になったということです。訴訟をやっている最中に、芦屋市のほうが折れて、それではその土地はあなたの土地と認めましょう、しかし、この土地を芦有開発に売ってやってくれないかという話になったのですね。そこで辰馬家のほうでは、その所有権というものが確認をされれば売ることはけっこうですということで、これらの三万七千坪にわたる土地は、昭和三十五年の六月十五日に芦有開発に売り渡されておるわけです。ですから、芦有開発が持っておりました土地のさらにその横に、自分たちが三十五年六月十五日に売り渡しを受けた土地ができておるにもかかわらず、三十五年七月の二十一日に、今度はまた辰馬氏の所有しておる六千坪に対して、土地収用の申請を兵庫県にした、こういう事実なんです。すでに自分の土地があるにもかかわらず、自分の土地があり、さらに辰馬家から買った土地がある。そのまだ先にインターチェンジの申請をしてきた。三十五年の十二月の二十一日に兵庫県はその事業認定をして、処置がどんどん進んできた。ところが、辰馬家の人たちは、初めから何らの話し合いがなかったものだから、そういう収用されておるというような事実については全然わからなくて、昭和三十七年の五月六日に兵庫県知事から発翰番号土第一九七八号の一で、土地細目公告についての通知を受領して初めてその土地が、収用対象になって処置をされておったことを知ったということが、まず最初の発端ですね。  ここでわかることは、芦有開発が自分でそこの土地を買ったときに、さらにひとつそこも売ってくださいと話し合いが十分されておれば話は別だと思うのですが、話し合いもほとんどされていないために、そこが収用になったらどうこうすることなど予想もしないところが突然として収用された。おまけにこういう土地発翰番号で土地細目の公告がされておることがわかったあとでは、まずこれは県知事の認可事項でありますけれども、たしか県の事業の場合に、事業認定で収用が認定をされた公告をされた後、三週間以内か何かの間ならば、建設大臣に対してその事業認定に対して異議の申請ができる法律の定めがありますね。ちょっと私、条文がはっきりわかりませんが。……ところが。こういう事情なものだから、収用されておる事実も何もわからないので、まず建設大臣に認定の異議申請を申し立てることも、土地細目の公告通知でわかったのではもう処置ないわけですね。法律上のそういう便益は与えられないと同じ効果になってしまった。  そこで私は、この問題について、法律上当然地方自治体その他が処理をするならば、——そういう公告認定等は、収用の問題になっているのがわかっておるならば多少考える余地があると思うのです。これは、芦屋市のようなところはおそらく認定公告をするのだと思いますが、これはどこかでされていても、どこで収用が行なわれておるかを当事者が知らない場合は、事業認定がいつあったかなんということは、関係者の側では事実上知ることができないわけですね。そうすると、この法律の条文は、そういう救済事項を規定しておりながら、事実上はその救済を受ける者に対して十分の効力を発揮できないような部分があるんじゃないかと思うのですね。私は、事の当否の問題は次のときにでもやるといたしましても、法律上やはり救済の措置が講じられるように、こういう収用についての取り扱いについてはできるだけそういうことが行なわれるようにあるべきではないか。私も建設省の方をちょっと呼んでそういう問題を聞いてみましたところが、道路のようなものは非常にたくさんの所有者に関係するのでなかなかそれ全部を調べて所有者に一々通知することが非常に困難であるという話を聞いたのです。それは私も技術的な問題としてわかるのですが、六千坪もの土地収用するときに、道路なら普通千坪ぐらいかかるというのがあるかもしれませんが、長い道路でずっとそこを一人で持っておるというような例は比較的少ない。一般的には、所有者がたくさんあるから実はそういう問題を知らせることが困難だというのはわかるのです。しかし六千坪もの、インターチェンジとかあるいは駐車場にするとかいうような非常に広範囲な土地収用するときに、なおかつ当事者も知らないところで行なわれるというようなことは、私はこれはちょっと法律としても不備があるのではないか、そこらについては、もう少し収用される者の側の立場というものを救済する道が明らかになっていないと、せっかくのこの法律が生きて使えないのではないか、こういうふうに思うのですが、それについて大臣、ひとついかがでしょうか。
  107. 小山長規

    小山国務大臣 堀分科員のおっしゃるように、確かに法律は不特定多数といいますか、多数の人を相手に公告するのだという前提に立っております。いまの事案の場合は、所有者は一人なんですね。ですから、そういう場合には、確かに何らかの方法で本人に通知すべき手続があってしかるべきだと私も思います。ただ、現在の法律はそうなっていない。現在の法律は、公告をすればもうそれでよろしいのだ、こういうふうになっている点は、一人や二人の場合にはちょっとこれは無理な法律だというような気はいたします。
  108. 堀昌雄

    ○堀分科員 そこで私がちょっと申し上げておきたいのは、土地収用法のあり方として、これは非常に公共的の利益のために私権を押えることでありますから、それを公共的な公権力が押えるなら押えるについてだけの十分な手だてというものは、やはり国民の側に保障しておかなければならない。それがここで異議申請であり、訴訟によってもその権利を守ろうという法律のたてまえになっているわけです。ですから、これについては法律をどう書くかは別としても、個々の所有者が持っておる相当広範囲な土地収用する等の場合は、やはりこれは量が質に変化する問題だと思うのです。たとえば百坪、二百坪のものがずっとあるものを、これを一々認定の申請をして調査をするのは、これは本来ならそうあってしかるべきだと思いますけれども、なかな技術的にも労力の面でも無理があるかと思いますので、そこまでは私も申しませんけれども、ある広がりを持ったもの、特にインターチェンジであるとか路外駐車場であるとかいうような、面積を当然必要とするような収用対象になるような場合には、何らかの救済措置を土地収用法の中に書くべきではないのか。特にそのもう一つの問題というのは、さっき私が申し上げたように、公共性の問題というものの名前に隠れて、私的な利益が追求をされるような部分は、これは法律がちゃんとここに二十条に書いているわけなんですね。事業の認定の要件は、「建設大臣又は都道府県知事は、申請に係る事業が左の各号のすべてに該当するときは、事業の認定をすることができる。」ということで、その四号に「土地収用し、又は使用する公益上の必要があるものであること。」ということがはっきり書かれておりますね。この意味は、いま私が申し上げたように、自分の土地をそこに何万坪も持っておる人が、すぐその隣接したところに土地収用をかけて、そこにインターチェンジをつくるというような場合に、はたしてこれに該当するのかどうか。これは非常に抽象的に書いてありますから、土地収用または使用する公益上の必要というのは、こちらだってもちっともかまわないので、いま最初に言われたように地理を見ますと、実はそこのところの道は山の中でありますから、坂を上がってきまして、そして芦有開発の所有地にかかって、約百三十メートルぐらい平たんになる。それから今度は辰馬氏の所有のところにかかって、約百四十メートルぐらい平たんになっている。それからカーブをして曲がっておる。二十メートルぐらい、なるほど片方は長くて片方は短いのですけれども、約百二十メートルと百四十メートルぐらいは平たんになっている。現在はどういうことになっているかというと、自分たちの所有地側、芦有開発の所有地側が専用道路の横に約四十メートルぐらいの幅の、何といいますか、待避所みたいなかっこうのものをつくりまして、そこから下へ道路が出て、その周辺に行っているという実情になっているわけです。そのことは、現実にはその地域が使えるわけなんですね。インターチェンジとして十分技術的に使える。現在使っているのですから使える。使っておるし、いま使えるにもかかわらず、その自分の地域には全然触れないのです。そして人の地域だけで六千坪の収用の申請をされた。これはどういうことになっているかというと、その収用申請が六月六十円でされ、自分のところはいま宅地にしまして、坪三万五千円で全部売っているのです。そこにどういうものが公共的に建っているかというと、建っているのは、いま医療問題で一番問題になつておる一つの点なんですけれども、健康保険組合が余剰の資金をもって山の家をそこへ建てておる。健康保険の寮だけがいまそこへ建っておる。私はこれは実に重大な問題だと思うのです。公共の利益というのは、そういうことが公共の利益ではないのではないか。インターチェンジのために他人の土地収用して一坪三万五千円で売るために、六百六十円で土地収用の申請をかけるなどうというようなことは、これは私は、土地収用法というものの精神とは全然違うと思うのです。そこで、現在これは収用委員会にかかっておる段階でありますから、そのほうはそのほうとして別の問題でありますけれども、まず第一に、私はこの事案を見ながら、いかに土地収用法というものが乱用をされておるか、営利追求の手段に土地収用法が使われるなんということでは、これは国民の財産権は保障されないのではないか。これは私は土地収用法という法律にかかわる非常に重大な問題だと思っております。  時間がございませんから、あとは個々のこまかい問題につきましては、後日建設委員会において、県の側の立場もありましょうから、参考人にも御出席を願って、ひとつこの問題をつまびらかにしていきたいと思うのでありますが、いま申し上げた事実ですね、これは私が責任をもって申し上げたので、事実を曲げては一言も申し上げておりません。  そこで私は、本日この予算分科会で望みたいことは、こういうふうに土地収用法が営利目的に乱用されるおそれがあるということになるならば、この問題についてやはり何らかの措置が法律的にも考慮されてしかるべきではないのか。今後こういうことが起きないという保証は私はないと思うのです。そこでひとつこの有料観光道路のような、主として——これは芦屋から何も有馬に道がなくても、現在、これは三田に近いほうから回りましても、神戸から回りましても、りっぱな舗装道路がございまして、大阪から有馬に行くための所要時間あるいは神戸から有馬に行くための所要時間は、ほとんど変わらないのです。この道路ができた最大の目的は、その山の中をくずして土地をつくって、それを売ることによって——この六甲山系というのは、御承知のように非常にもろい山でありまして、あまり私どもさわってもらいたくないわけです。先般、実は甲山その他の国有林がありまして、これを一般の業者が払い下げを受けて、土地造成をしたいという問題がありました。私、これを予算委員会から大蔵委員会を通じまして、そういうことのために、あの阪神水害を再び繰り返すようなことがあってはならないというので、ずいぶんこれを問題にいたしまして、この問題は一応解決がつきましたけれども、非常にそういう不安定な山系であるのに、要するに利益を目的として、こういう道路ができておる。それだけならまだしも、土地収用法によって、そういう他人の土地収用することによって、自分たちの土地を有利に地価を上げていこうなんということであるのでは、私は土地収用法の精神に反するんじゃないかということで、ひとつ大臣にさっきの一点、非常に広い土地収用する場合には、事業認定後建設大臣に異議申請ができるだけの何らかの措置を、法律が認めている救済事項が発動できるような措置をひとつ考えるような法律の問題、もう一つは観光道路、そういう私的のために土地収用法が乱用できないような何らか歯どめの問題、これらについて、土地収用法についてひとつ法律自体として検討をお願いをいたしたいと思うのでありますが、いかがでございましょうか。
  109. 小山長規

    小山国務大臣 いまの事案は特別な事案だと思うのでありますが、ここに第二十条に書いてある認定の基準は、その事業そのものが公益性があるかどうか、たとえば自動車道路なら自動車道路をつくることに公益性があるかどうかということの判定をして、そうして事業認可を与えるわけですから、その事業認可を与えられた企業体が、こういうことをしてはいかぬ、ああいうことをしてはいかぬというところまでは、御承知のように、法律技術もなかなかそういうふうなところまでは書けないものでして、その点はこれを監督する側が気をつけていかなければならぬことであっても、法律上の問題にする、法律の規定でこれを書くことができるかどうかは、ちょっと私も従来の経験から徴して、どうかと思います。なお検討はいたしてみます。前におっしゃったほうの部分は、法律事項として書かなきゃならぬかどうか、これまた検討しますが、おっしゃるように、不特定多数の人を対象にしているものが、たまたまごく一人か二人の場合に一体どうするかという問題は、これは検討に値すると思います。この点も検討します。
  110. 堀昌雄

    ○堀分科員 実はいまお話しのように、事業認定というのは、道路と一緒にそういうものはくっついていますから、そうすると企業自体の公益性の問題というのは一つありますけれども、事業認定というのは、私はそうではないと思います。その企業自体は一つの専用道路としての道路の申請をすれば、これでまず免許がおりて、それで企業の公共性というか、公益性を認めたというので、自動車道やなんかも認定するのでしょうから、その点はいいのですが、その次に、事業認定は、県がしているのは個々にしているのです。まず前半で一回やって、後半で一回。その中に道路も入っているのですが、道路と同時に、インターチェンジやなんかも一緒にやっていますね。道路は問題ないと思うのですね。ただ、ここにインターチェンジをつくるという問題は、私はちょっと疑義があるのです。いま申し上げたように、何にもない山なんです。池が一つあるだけの何にもなかった当時に、そこにインターチェンジをつくるというのは、何かというと、そこを住宅地かなんかにするとかなんとかいうことでインターチェンジが必要になってくるんじゃないかと思うのです。そうすると、その裏側にあることは営利に連なっておるわけですから、その場合には、その自分の土地を使うのが原則であって、そういうことでないときにやむを得ずそうなるというなら話はわかるのですが、いまのようなことが行なわれているということになりますと——私は道路の問題はあんまりやかましく言っていないのです。道路をつくるぐらいのことは、人の土地をとるといったって知れておるのですが、一ヵ所で六千坪もとるということで私非常にひっかかっておるので、そういうような路外駐車場とか、あるいは専用自動車路の接続点とか、インターチェンジとかいうものについては、何か一項書いて、これらについては特に公共性のある場合においてのみ認めるというふうな何かにしてもらわないと、いまの場合、企業が公共性であればあとは何をやってもいいんだということがあっては法律上よくないと思いますので、そういう点も含めて、これは技術的な問題もありましょうから、ひとつ前向きの検討をお約束いただきたいと思います。どうぞひとつ答弁してください。
  111. 小山長規

    小山国務大臣 このインターチェンジも確かに公益事業の中に含めなければならぬ場合もある。いま堀委員が言われたような場合は、はたしてそれがそれに該当するかどうかという点、いまお話を聞いておりますと、どうも多少疑問なしとしない。だから、そういう問題も含めて改正をしなければならぬか、あるいは運用上できるか、この辺のところは検討してみます。
  112. 堀昌雄

    ○堀分科員 私が申し上げましたのは、普通の公共的なものについては私はいまここで触れる意思はないのです。インターチェンジであろうと何であろうと、それはほんとうの国なり地方自治体なりがやりますものは、公共性がないところでやることはないわけであります。ただ、そういう私的な観光道路的な、営利を目的とする企業体がする場合の、そういう特殊な広がりを持ったものを実施する場合のそれは、はたしてほんとうに公共性に必要なのかどうかという点は、これはやや違いますので、これは法律の事項は全部を一括して書いてありますから、その中で、しかしこういうものだけについてひとつ私権を十分守っていくための歯どめをどこかに考えていただきたい、こういうことでございますので、ひとつ御了解をいただきたいと思います。
  113. 小山長規

    小山国務大臣 それは、堀委員も御承知のように、法律に書きますと今度は逆の現象が起こる場合がありますから、そこで、御趣旨を体しながら、どういう方法でやればいいだろうかという検討をしたい、こう思っております。
  114. 片島港

    ○片島主査代理 この際暫時休憩いたします。    午後一時十四分休憩      ————◇—————   〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕