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三木(喜)
分科員 なぜこれを延ばされたかということが大体これでわかりましたが、どうか、そういう慎重な
考えに立たれることと、なおもう
一つは、これを国会を通して法律として改めるというならば、あの期待される人間像のように、多くの人の
意見を一ぺん徴してみるという手だてをして、一ぺんにそういうものに飛んでいただかないようにしていただきたいと思うのです。もちろんいまおっしゃったように、いろいろな点は
昭和三十九年の三月十五日からこちら、あの問題があってからこちら、
ほんとうに少年を保護中心主義でやっていくか、刑罰主義でやっていくかという、あなた方の主張と、最高裁、家裁なんかの主張とが対立していったということもよく知っております。しかしながら、そういう
態度をとっていただかなければならないという根拠は、
一つには一年たった今日、各地で集団的に学校では非行事件が起こってきたときに、これは退学さしたらいいんだというような学校の
態度があちこちに出ております。私は学校の
態度を非難するのではございません。また、そういうことをした子供たちも気の毒な立場にあります。環境は劣悪なるままにほっておかれて顧みられないというような状況を思いましたときには、同情するところは多いと思いますけれ
ども、一挙に退学ということで世間にそれをほうり出してしまったら、まただれかがそれを引き受けて、その犯罪を犯すような子供を見ていかなければならぬ。これは学校としても十分
考えなければならない点だと思うのですが、そういう気風を私は生むと思うのです。それで、いま大臣がおっしゃったように、十八歳の根拠なんかも四つほどあげられておりましたが、これなんかも、私たちはその立場はわかりますけれ
ども、しかしそれでいいというものではございません。なぜかといいますと、法務省は何としても再犯を防ぐところの少年院の手入れを先にしてみて、そうして世の中に犯罪が少なくなってくれば、そういう心配はないのですから、さらにまたこの
連絡協調、これが不備な点もございますし、現行
制度の運用が十分でないということを私は各地で聞いてまいりました。これは反省して
連絡協調をしっかりとっていけば、まだまだ救う面があるという反省の上に立ったことばがありましたから、私はそのように申し上げるわけでございます。
そこで、次に、あなた方は環境をよくするよくするとおっしゃっておりますけれ
ども、こういうような雑誌が市中にはんらんしておるわけです。内容はどんなものかといいますと、女体のあからさまな暴露的な記事ないしは写真、絵、それが主体。犯罪と結合さした記事が必ずこの中に載っております。集団犯罪、それから閨房的なもの、これは極端に言いますと、またいろいろな規制をされるところのマスコミ
方面からの反撃がありますけれ
ども、しかしこれらも頭ごなしに取り締まるよりも、もう少し目を通していただいて、そうして相談をしていくかっこうで環境浄化をしてもらわなければならぬと思います。これをひとつ見てください。どの絵でも見てください。こういうようなのをごらんになったことがありますか。私は嘆かわしい点がたくさんあると思うのです。こういう出版とかあるいは文筆家に対して圧力をかけるという気持ちは全然ございませんけれ
ども、こんなところをほっておいて、法律だけを強くし、あるいは取り締まりをきつくしてみたって、これではザルに水を入れたようなもので、子供たちをだんだんと、萎靡沈滞するといいますか、元気をなくし、ひねくれさしてしまう以外の何ものでもありませんので、どうかその点を十分
考えて少年法の問題には取り組んでもらいたいと思うのです。
それからもう一点、せっかく
防衛庁からもおいでいただいておりますので、自衛隊内で差別事件があったことについて、
人権擁護委員会に訴え出ている問題についてお伺いしたいと思うのです。
事件は、御存じのように、陸上自衛隊姫路駐とん部隊のA一尉で、富士自衛隊学校で、上官から部下の前で屈辱的な差別的なことばを受けた。物品持ち出し業者にからむ黒いうわさがあって、進物を受けなかった反感がそれにからんでおる。A一尉の奥さんのB子さんは、自分がいては主人の出世の妨げになるということで、二児を置いて単身郷里に帰ってしまった。人事官に訴えて出ておるけれ
ども、もみ消された。富士自衛隊に姫路自衛隊から問い合わせをしたけれ
ども、事実はないという。訴えを受けたところの
人権擁護委員会は、この事件を非常に重視して、A一尉が左官になる前で非常に大切なときであるということと、もう
一つは、原因は汚職のにおいがするということで、根が深いということで徹底的に調べようとしておるわけです。そこでA一尉は、隊内で処置しょうとしたけれ
ども、これが果たされなかったので、妻や子供がかわいそうだという立場から、そうして自衛隊の中にこんなことがあり得べきことではない、また、
日本の国にこういう差別がいつまでも温存しておくべきでないということで、あえて提訴しておるのであります。奥さんは、私は涙で身を引く、公務員の世界がこんなものであるかということを見せつけられて、たいへんな思いをしておる。
こういうようなことが事件のあらましでございますけれ
ども、私はこのことでことさらに自衛隊を誹謗してここで取り上げよう、こういう
考え方はございません。ただどこであろうと、こういうことがもみ消されてしまうということ、弱い者がそのまま泣き寝入りしなければならないということは、たいへんなことだと思いますので、きょうは
防衛庁のほうからも来ていただいて、そういう事実について調査されたかどうか。それから法務省として、これは
人権擁護委員会に訴えられておりますから、どういうように処置をされようとしておるか。あるいはそういう訴えを聞かれたかどうか、そういう点についてお二方からお聞きしたいと思います。