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石橋委員 私は総理にいま言ったような
質疑応答をよく聞いておいていただきたいと思うのです。
防衛庁長官はまだあんなことを言っていますけれ
ども、これは
責任が回避できる問題じゃないのです。明らかにこれは法廷で証人として述べておられるのですから、よもや間違いはないと私は思います。何度も申し上げるように、
長官決裁を得た業務
計画に基づいて行ない、統幕の
議長の
責任で行ない、
防衛庁設置法二十六条に根拠があるということをはっきり言っております。これは
責任のがれはできません。だから、出せる出せないという問題は、ほかの理由があったにしても、
政府が
責任を持てないというような理由でこの
提出を拒否するということは、これはできないことなんです。そのことを申し上げておきたいと思うのです。
また、この田中証言によりますと、非常に大切なことが述べられております。「
研究は極秘に行われたもので、かつての
国会での
政府答弁のような大学のゼミナールの答案を集めたようなものではない」と開き直っております。これは、統裁官としてその地位にあった者としてみれば当然のことばでしょう。冗談じゃない、われわれはそんなふまじめな
態度でやっているのじゃない、こういうせりふが出てくるだろうと思います。明らかに札幌地裁においてそのような証言が行なわれているのです。しかも、何か答案だけ書いて、そして五分冊にとじ込んで、そのままあとはお蔵入りのようなことをおっしゃいますが、そんなものじゃない。さらに田中氏はこう証言しております。
研究は六本木の統幕
事務局と市ケ谷の兵棋講堂で行なわれたもので、部隊と
想定した兵棋を動かして、こまを動かして指揮演習をする点は戦前の軍隊と変わりない、こう言っております。単に集まった
幕僚が
想定を書いたり、それに対して答解をしたり、そういう文章のものじゃないのです。五十三人の精鋭が——彼らに言わせると自分たちこそ一番精鋭だと言っておりますが、集まって、この場合はどうするかああするか、非常に真剣な論議をして、兵棋を動かしてやっているのだ。これは事実だと思うのです。兵棋というのはこまです。このような
研究を単なる頭のトレーニングというような形でごまかしてはならないと思うのです。しかも、
三矢研究の小
委員会で論議した中で明らかになったのですが、五分冊にわたって各答案を集めている。
政府の
文書によりますと、「
研究の過程において、与えられた
想定、
研究問題および
関係幕僚の作成した
答案等は、
研究終了後、五分冊にとじ込まれている。」、こういうふうに述べられておるのですが、その第一分冊というのは
研究全般の集約になっているのですよ。集約なんというのは、お互いの
幕僚が出しっぱなしの答案の中から出てまいりません。やっぱり
研究に参画した者の討議の中でしか出てこないのです。五分冊のうちの第一分冊は
研究の集約であるということ、このことも私から申し上げていることを裏づけておると思いますし、また、われわれが入手しました
内容を見ましても、「答解説明
資料」というのがあるのです。これも論議の集約の形になっております。こういう
意見があったがこの場合こういう
意見を採用した、こういう形がとられているのです。決して参加
幕僚のばらばらの
意見を答案に書かせて、それをかき集めたといったようなものではない。この点についてもひとつ総理の御認識をここで新たにしておいていただきたいと思う。要するに、
内容に入ります前に
最高の
責任者である総理にしっかりと頭に入れておいていただきたいのは以上の二つです。
三矢研究というのは単なる
研究ではなくて
防衛計画と密接なつながりを持っておるということ、それから、単なる
研究ではなくて、
政府が
責任を持てないと言って逃げられるようなインチキなものではないということ、このことだけはひとつ知っておいていただきたいのです。
そこで、しからばどういうことが検討されており、なぜそれがけしからぬと私たちが言うのか。先ほど申し上げたように、百歩譲って
政府の
立場から言っても、これはおかしいじゃないかということばが出てこなければならぬとなぜわれわれが言うのか、そういう角度で二つ三つの問題をあげてみたいと思うのです。
その一つは、
核兵器の持ち込みの問題なんです。これも先ほど申し上げました
防衛庁が出しておりますこの「
三矢研究について」というものによりますと、
三矢研究では「
政府の明確な
方針が打ち出されていることをよく認識し、その
判断を
最高の
政治判断に待つこととしている」、こう言っております。しかし、実際に
内容を読んでみますと、そうなっておらないのです。文章をそのまま読んだほうが正確だと思いますが、時間がありませんから要点だけにいたしますが、
佐藤内閣も、あるいはいままでの歴代内閣も、米軍の
核兵器の持ち込みは絶対許しませんと
国民に
公約しておられます。これはもうわれわれの耳にたこができるように聞いていることなんです。ところが、この
三矢研究なるものによりますと、まっこうからそういう
政府の
態度に挑戦をしておるのです。たとえば、「
状況下の
研究No12」というものの中にはこういうふうに出てきております。「
核兵器の持込みについては、きわめて重大な問題であり、即時報復優勢の堅持という見地からすれば、国内持込みが有利な条件となることは論をまたないであろう。従って持込みは将来真に
情勢上必要となった場合にはこれを認める肚を固めておく」とはっきり書いております。それから、同じく「
状況下の
研究No12」、これは「別紙第2」というところですが、「将来
核兵器の
日本国内持込みが、ただちに必要な
情勢となった場合は、持ち込まれた
核兵器の使用に関しては事前に必らず日米両国
政府の完全なる合意を必要とする条件のもとに承認する予定である。」、ほかにもまだ数カ所出ております。時間がありませんから全部読み上げませんけれ
ども、No12とNo12というほんのわずかの部分を読んだだけでも、数カ所にわたって、
核兵器の持ち込みは当然であり、これは承認すべきだという
態度を打ち出しているのです。これは
政府の基本政策に対する挑戦ではないのですか。何度も何度もいやというほど
核兵器の持ち込みは認めないとあれほど言い抜いておるにもかかわらず、最も優秀と称しておられる
幕僚の
諸君は、そういった
政府の
考え方はナンセンスだ、
核兵器の持ち込みは当然だと言っているのですよ。結局
核兵器があるかないかによって優勢、劣勢がきまる、それだけではなくて、抑止力として効果を持っているのだから当然入れるべきだ、こういう
態度を
三矢研究の中で打ち出しているのです。もし
政府の
公約が事実ならば、なぜこれに対して批判が出てまいりませんか。なぜ出てこないのですか。
研究だからかまわぬといって許される
内容のものですか、こう言って私たちは
お尋ねをしているわけです。その点についてまず総理の
見解をお聞きしたいと思います。