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1965-01-30 第48回国会 衆議院 予算委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和三十九年十二月二十一日)( 月曜日)(午前零時現在)における本委員は、次 の通りである。    委員長 荒舩清十郎君    理事 青木  正君 理事 植木庚子郎君    理事 中曽根康弘君 理事 野田 卯一君    理事 松澤 雄藏君 理事 井手 以誠君    理事 川俣 清音君 理事 辻原 弘市君       相川 勝六君    赤澤 正道君       荒木萬壽夫君    井出一太郎君       井村 重雄君    稻葉  修君       今松 治郎君    江崎 真澄君       小川 半次君    上林榮吉君       仮谷 忠男君    川崎 秀二君       小坂善太郎君    重政 誠之君       正示啓次郎君    田澤 吉郎君       登坂重次郎君    灘尾 弘吉君       西村 直己君    古井 喜實君       古川 丈吉君    保科善四郎君       松野 頼三君    水田三喜男君       山本 勝市君    淡谷 悠藏君       石田 宥全君    石野 久男君       岡田 春夫君    加藤 清二君       五島 虎雄君    河野  密君       多賀谷真稔君    堂森 芳夫君       中井徳次郎君    山花 秀雄君       横路 節雄君    今澄  勇君       小平  忠君    永末 英一君       加藤  進君     ————————————— 一月二十五日  青木正君が議院において委員長選任された。 ————————————————————— 昭和四十年一月三十日(土曜日)    午前十時十四分開議  出席委員    委員長 青木  正君    理事 赤澤 正道君 理事 稻葉  修君    理事 小川 半次君 理事 二階堂 進君    理事 古川 丈吉君 理事 加藤 清二君    理事 川俣 清音君 理事 辻原 弘市君    理事 今澄  勇君       相川 勝六君    荒木萬壽夫君       荒舩清十郎君    井出一太郎君       今松 治郎君    植木庚子郎君       大橋 武夫君    上林榮吉君       仮谷 忠男君    川崎 秀二君       重政 誠之君    正示啓次郎君       田澤 吉郎君    登坂重次郎君       中曽根康弘君    中野 四郎君       灘尾 弘吉君    野田 卯一君       橋本龍太郎君    古井 喜實君       水田三喜男君    石田 宥全君       石橋 政嗣君    大原  亨君       小松  幹君    田中織之進君       高田 富之君    中井徳次郎君       中澤 茂一君    永井勝次郎君       野原  覺君    山花 秀雄君       横路 節雄君    佐々木良作君       永末 英一君    林  百郎君  出席国務大臣         内閣総理大臣  佐藤 榮作君         法 務 大 臣 高橋  等君         外 務 大 臣 椎名悦三郎君         大 蔵 大 臣 田中 角榮君         文 部 大 臣 愛知 揆一君         厚 生 大 臣 神田  博君         農 林 大 臣 赤城 宗徳君         通商産業大臣  櫻内 義雄君         運 輸 大 臣 松浦周太郎君         郵 政 大 臣 徳安 實藏君         労 働 大 臣 石田 博英君         建 設 大 臣 小山 長規君         自 治 大 臣 吉武 恵市君         国 務 大 臣 小泉 純也君         国 務 大 臣 河野 一郎君         国 務 大 臣 高橋  衛君         国 務 大 臣 増原 恵吉君  出席政府委員         内閣官房長官 橋本登美三郎君         内閣官房長官 竹下  登君         総理府総務長官 臼井 莊一君         総理府事務官         (経済企画庁調         整局長)    高島 節男君         大蔵事務官         (主計局長)  佐藤 一郎君         大蔵事務官         (主税局長)  泉 美之松君         大蔵事務官         (理財局長)  吉岡 英一君  委員外出席者         専  門  員 大沢  実君     ————————————— 一月十二日  委員淡谷悠藏君、岡田春夫君及び多賀谷真稔君  辞任につき、その補欠として大原亨君、高田富  之君及び小松幹君が議長指名委員選任さ  れた。 同月十六日  委員示啓次郎辞任につき、その補欠として  福永健司君が議長指名委員選任された。 同月二十日  委員井手以誠君石野久男君、五島虎雄君、河  野密君及び堂森芳夫辞任につき、その補欠と  して永井勝次郎君、中澤茂一君、楯兼次郎君、  田中織之進君及び石橋政嗣君議長指名で委  員に選任された。 同月二十一日  委員小平忠辞任につき、その補欠として佐々  木良作君が議長指名委員選任された。 同月二十二日  委員加藤進辞任につき、その補欠として林百  郎君が議長指名委員選任された。 同月二十五日  委員松澤雄藏君、山本勝市君及び保科善四郎君  辞任につき、その補欠として正示啓次郎君、二  階堂進君及び中野四郎君が議長指名委員に  選任された。 同月二十七日  委員楯次郎辞任につき、その補欠として野  原覺君が議長指名委員選任された。 同月二十八日  委員福永健司辞任につき、その補欠として大  橋武夫君が議長指名委員選任された。 同月三十日  委員松野頼三君辞任につき、その補欠として橋  本龍太郎君が議長指名委員選任された。 同日  委員橋本龍太郎辞任につき、その補欠として  松野頼三君が議長指名委員選任された。 同日  理事青木正君一月二十五日委員長就任につきそ  の補欠として古川丈吉君が理事に当選した。 同日  理事井手以誠君同月二十日委員辞任につきその  補欠として加藤清二君が理事に当選した。 同日  理事松澤雄藏君同月二十五日委員辞任につきそ  の補欠として二階堂進君が理事に当選した。 同日  理事植木庚子郎君、中曽根康弘君及び野田卯一  君同日理事辞任につきその補欠として赤澤正道  君、稻葉修君及び小川半次君が理事に当選し  た。 同日  委員今澄勇君が理事に当選した。 一月二十二日  昭和四十年度一般会計予算  昭和四十年度特別会計予算  昭和四十年度政府関係機関予算 は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事辞任補欠選任及び追加選任  公聴会開会承認要求に関する件  昭和四十年度一般会計予算  昭和四十年度特別会計予算  昭和四十年度政府関係機関予算      ————◇—————
  2. 青木正

    青木委員長 これより会議を開きます。  この際、一言ごあいさつ申し上げます。  今回、私、はからずも予算委員長の重責をになうことになりましたが、その任の重かつ大なることを痛感いたしておる次第であります。まことに微力ではございますが、誠心誠意最善を尽くす所存であります。幸いにして練達たんのうなる委員各位の御協力を賜わり、本委員会の円満なる運営をはかり、もって予算の慎重なる審議を通じ国政の審議に遺憾なきを期したいと存じます。何とぞよろしく御協力のほどお願いいたしまして、ごあいさつといたします。(拍手)      ————◇—————
  3. 青木正

    青木委員長 この際、理事辞任の件についておはかりいたしたいと存じます。  理事植木庚子郎君、中曽根康弘君及び野田卯一君よりそれぞれ理事辞任いたしたい旨の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 青木正

    青木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  つきましては、この際、ただいま辞任されました理事補欠選任並びに先般来委員異動等による理事の欠員の補欠選任を行ないたいと存じますが、これは委員長において指名することに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 青木正

    青木委員長 御異議なしと認めます。よって、委員長は、赤澤正道君、稻葉修君、小川半次君、二階堂進君、古川丈吉君及び加藤清二君をそれぞれ理事指名いたします。  なお、この際理事追加選任の件についておはかりいたします。  去る二十八日の議院運営委員会理事会の協議により、予算委員会理事の員数を一名増加し、これを民主社会党に割り当てる旨の決定がありました。  つきましては、当委員会といたしましてこの際理事を一名増加することとし、その選任については委員長において指名することにいたしたいと存じますが、これに御異議あませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 青木正

    青木委員長 御異議なしと認めます。よって、今澄勇君を理事指名いたします。      ————◇—————
  7. 青木正

    青木委員長 この際、政府並びに委員各位にお願い申し上げますが、委員会運営を円満にし、予算審議能率化をはかるため、従前同様、委員会開会時間並びに理事会申し合わせの時間を厳守いたしたいと思いますので、何ぶんの御協力をお願いいたします。  これより昭和四十年度一般会計予算昭和四十年度特別会計予算昭和四十年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、審議に入ります。
  8. 青木正

    青木委員長 この際、川俣清音君より議事進行について発言を求められておりますので、これを許します。川俣清音君。
  9. 川俣清音

    川俣委員 私は、予算委員会開会にあたりまして、三点を委員長並びに政府要望いたしておきたいと存じます。  第一点は、いま委員長就任あいさつにありましたように、本委員会が国権の最高機関予算委員会として、時間を厳守して快速に、しかも十分な審議を尽くしたいと思いますので、政府においては特にこの点に関心を持たれまするよう要望いたしたいと思います。  第二点は、予算案審議にあたりまして、この実行の裏づけとなります法律案が、予算審議に並行して提出されない向きがいままであったわけでございます。予算だけを早く上げましても、執行上の基礎になります法律案が未提出のままであるとか、あるいは審議にも入らない状態でありますと、予算審議をいかに進行いたしましても無意味でございますので、予算関係法律案はすみやかに提出されるよう特に御注意を申し上げたいと存じます。  なお、予算委員会議事を円滑に、しかも充実した審議をするためには、各委員から資料要求があるはずでございますが、この提出がおくれますと、また審議悪影響を与えまして、その責任は政府が負わなければならぬ結果に相なると存じまするので、この点について特に御注意を願いたいし、関係法律案の中ばかりでなくて、付属文書として地方財政計画委員会提出されなければなりませんが、これも二月の末あるいは三月に出るということでは、予算審議悪影響を与えますばかりでなく、地方議会審議を滞らせることにもなりますので、すみやかに地方財政計画に基づく計画書をお出し願いたいと思います。  以上三点を申し上げて注意を喚起して、議事協力いたしたいと思いますから、委員長並びに政府は善処せられんことを望みます。  この際政府の意見を……。
  10. 青木正

    青木委員長 委員長に対する要望は了承いたしました。  政府の見解につきまして、官房長官橋本登美三郎君。
  11. 橋本登美三郎

    橋本政府委員 ただいま川俣委員から御注意のありました時間の厳守につきましては、関係閣僚に十分に督促いたしまして、今後さようにいたしたいと存じます。  なお、資料提出並びに予算関係法案ですが、予算関係法案は、本国会におきましては七十七件を予定いたしております。そのうち本日までに提出済みのものが十四件、なお近日中に提出予定のものが七件、私のほうといたしましては、できるだけ早くということで関係閣僚にも督促をいたしておりますので、二月中旬までにはできるだけ全部の予算関係法案を出す予定にいたしております。その点御了承願います。  なお、資料提出につきましては、各委員からの御要望に応じて、直ちにすみやかに出すように善処いたす考えでありますから、御了承願います。
  12. 青木正

    青木委員長 各案の趣旨につきまして政府説明を求めます。大蔵大臣田中角榮君。
  13. 田中角榮

    田中国務大臣 昭和四十年度予算編成基本方針及びその大綱につきましては、先日、本会議におきまして御説明をいたしたのでございますが、予算委員会において本日から御審議をお願いするにあたり、あらためてその概要を御説明いたします。  昭和四十年度財政運営は、本格的な開放経済体制のもとで、通貨価値の維持と国際収支均衡確保しつつ、わが国経済長期にわたる安定成長をはかることを主眼といたしておるのであります。  このため、引き続き健全均衡財政を堅持しつつ、所得税及び法人税を中心として、大幅な減税を行なうとともに、現下の要請にこたえて、社会開発推進する諸施策を積極的に展開することを予算編成基本方針といたしております。  この基本方針に基づき編成せられました昭和四十年度一般会計予算総額は、三兆六千五百八十一億円でありまして、前年度当初予算に対して四千二十六億円、補正(第一号)後の予算に対して、三千百七十六億円の増加となっておるのであります。  また、財政投融資計画総額は、一兆六千二百六億円でありまして、前年度当初計画に対しまして、二千八百四億円の増加となっておるのであります。  まず、一般会計予算について申し上げます。  歳入のうち、租税及び印紙収入は、三兆二千八百七十七億円でありまして、前年度当初予算に対し三千八百三十四億円、補正(第一号)後予算に対し、三千百八十四億円の増加となっておるのであります。これは、現行税法を前提とする四十年度収入見込み額三兆三千六百九十億円から、税制改正による減収額八百十三億円を差し引いた額であります。  四十年度税制改正につきましては、最近の国民負担の状況及び経済情勢の推移に顧み、中小所得者重点を置いて所得税負担軽減いたしますとともに、企業体質改善国際競争力強化に資するため、企業課税軽減を行ないますほか、当面要請されている諸施策に対応する税制上の措置を講ずることとし、また、関税定率法等につきましても、所要の調整を行なうことといたしたのであります。これにより、一般会計における減収は、平年度千百五十一億円、初年度八百十三億円にのぼる次第であります。  租税及び印紙収入以外の歳入は、総額三千七億円でありまして、前年度当初予算に比べ、二百五十六億円の増加となっております。増加のおもな内訳は、日本専売公社納付金の増八十二億円、日本銀行納付金の増七十億円であります。  前年度剰余金の受け入れにつきましては、すでに総額六百九十七億円と確定いたしておりまして、前年度予算に比べ六十四億円の減少となっておるのであります。  次に、歳出のうち、おもな経費につき、その概要を申し上げます。  社会保障関係費といたしましては、総額五千百六十四億円を計上し、経済力と調和のとれた国民福祉向上に資することといたしております。  すなわち、生活保護費におきまして、生活扶助基準を一二%引き上げますほか、社会福祉費において、児童、老人、身体障害者及び母子保健対策等強化いたしますとともに、施設職員処遇改善をはかることとし、低所得者層等に対する施策の一そうの充実をはかっております。  社会保険費におきましては、国民健康保険世帯員に対する七割給付の着実な推進をはかりますほか、福祉年金につき、年金額引き上げ扶養義務者所得制限緩和等の大幅な改善を行なうことといたしました。また、医療保険につきましては、既定の方針に従い、財政再建対策を講じますとともに、この対策を円滑に遂行するため、政府管掌健康保険等について、特別の補助を行なうことといたしております。  文教及び科学振興費におきましては、総額四千七百五十七億円を計上して、次の世代をになう青少年の健全な育成と、経済社会近代化に即応した科学技術振興をはかることといたしております。  まず、義務教育につきましては、いわゆる改正標準法を着実に実施して、教職員定数充実教育水準向上に資するとともに、引き続き公立文教施設費増額して、教育環境の一そうの整備につとめることといたしておりますほか、義務教育教科書無償給与範囲拡大学校給食拡充僻地教育及び特殊教育振興遠距離通学者に対する通学費補助新設等、各般にわたり、きめこまやかに配慮いたしておるのであります。  また、大学入学志願者急増問題につきましては、国立大学における学部・学科等の大幅な拡充による入学定員増加にこれに即応した施設設備拡充等対策を講じますほか、私立学校振興会に対する財政投融資を大幅に増額する等、所要財政措置を講じたのであります。  科学技術振興費につきましては、原子力平和利用産業公害及び自然災害防止等重要研究重点を置いて、その積極的推進をはかっております。  恩給関係費といたしましては、千六百七十一億円を計上いたしております。  恩給につきましては、今回、民生安定の一環として、四十年十月から三カ年計画恩給年額の改定を実施することとし、約二〇%のベースの引き上げ公務扶助料の倍率の引き上げ及び傷病年金間差是正等を行なうことといたしております。  次に、地方交付税交付金といたしましては、国税三税の収入見込み額の二九・五%に相当する七千五百六十二億円を計上いたしております。  地方財政は、ここ数年来、地方税等の増収と財政健全化の諸施策にささえられて漸次好転し、その基盤も強固なものとなってきたのでありますが、最近、歳出面における人件費等義務的経費著増、税収の伸びの鈍化等により、ようやく悪化の傾向が見られるに至っております。  今後における地方財政運営は、歳入確保をはかりつつ、経費使用徹底的合理化を行なう等、地方団体自身財政健全化のための努力にまつべき点が多いのでありますが、国といたしましても、この際、交付税の率を〇・六%引き上げて、地方財政健全化を一そう推進することといたしております。  また、地方債におきましても相当な増額を行ない、生活環境施設整備産業基盤拡充等をはかることといたしております。  さらに、新産業都市建設及び工業整備特別地域整備のため、新たに特別の財政援助を行なうこととし、予算及び財政投融資重点的配分と相まって、地域開発推進をはかりますほか、離島、山村等開発地域につきましても特段配慮を加え、地域格差是正に努めることといたしました。  防衛関係予算につきましては、従来とも、第二次防衛力整備計画に沿った自主防衛力強化をはかってきたところでありますが、四十年度におきましても、他の重要施策との均衡を勘案しつつ、その整備充実をはかるとともに、基地対策強化につとめることとなし、防衛関係費として三千十四億円を計上いたしております。  公共投資につきましては、引き続き社会資本計画的に整備し、国力発展基盤充実するとともに、国土保全をはかる等のため、その拡充につとめることとし、公共事業関係費といたしまして、総額六千九百二十七億円を計上いたしております。  まず、治山治水対策につきましては、現行の十カ年計画にかえて、四十年度初年度とする総額一兆一千億円の治水事業五カ年計画及び総額千五百億円の治山事業五カ年計画をそれぞれ策定することとし、これによって国土保全を強力に推進すことといたしました。  また、道路整備につきましては、四十年度より創設する石油ガス税をも特定財源に加え、一般財源の大幅な増額とも合わせて、道路整備財源充実確保につとめますとともに、道路整備五カ年計画の着実な推進をはかることとしております。  さらに、港湾につきましても、最近における港湾貨物取り扱い量増大傾向に対処して、新たに四十年度初年度とする総額五千五百億円の港湾整備五カ年計画を策定し、事業の大幅な進捗を期しておりますほか、空港につきましても、将来の国際航空輸送増大に対処して、新東京国際空港建設するため、新たな公団の設立を予定いたしております。  なお、鉄道輸送力を増強し、安全輸送確保等をはかるため、日本国有鉄道日本鉄道建設公団設備投資を大幅に拡充いたしますとともに、旺盛な電話需要に対処して、日本電信電話公社電話建設を促進することとし、財政投融資等により、所要資金確保に努めることにいたしたのであります。  戦後二十年を経て、国民の衣食は著しく改善せられましたが、住宅及び生活環境施設については、なお一段と整備につとめなければなりません。このため、四十年度におきましては、予算及び財政投融資を大幅に増額し、その整備を積極的に推進することにいたしております。  まず、一般会計住宅対策費として、三百六十五億円を計上し、公営住宅建設戸数増加とその質の向上等をはかりますとともに、財政投融資計画においても、日本住宅公団住宅金融公庫等に対する財政資金投入民間資金の活用を積極的に行なうこととなし、政府施策住宅の大幅な拡充をはかることにいたしました。  なお、このほか四十年度から、主として都道府県単位に、住宅供給公社を発足させることを予定し、勤労者持ち家住宅建設にも資することといたしております。  生活環境施設につきましては、生活環境施設整備緊急措置法に基づく長期計画を策定し、上下水道、終末処理施設し尿処理施設等整備を促進いたしますほか、公害防止事業団新設する等、公害対策強化にも特段配慮を加えることといたしました。  貿易振興及び経済協力につきましては、財政投融資計画において、日本輸出入銀行に対し、千二百九億円にのぼる財政資金投入を行なって、輸出金融拡充円滑化をはかりますほか、税制面におきましても、法人税率引き下げ等企業課税軽減を行なうことにより、企業国際競争力強化に資することにいたしております。  一般会計におきましても、日本貿易振興会等による海外市場調査貿易あっせん等の諸施策を引き続き強化して、輸出市場拡大をはかりますほか、海外経済協力基金に対する追加出資等施策を通じ、経済協力の一そうの推進を期することといたしました。  また、貿易外収支改善に資するため、海運業再建整備外航船腹の大幅な拡充をはかりますほか、国際観光事業国際航空事業等につきましても、その態勢の強化と内容の充実を期することとして、所要措置を講ずることにいたしております。  中小企業につきましては、中小企業基本法の定める方向に沿い、設備近代化、構造の高度化、経営の協業化等推進して、他産業との格差是正し、もって国民経済均衡ある発展を期するため、財政税制金融の諸施策を総合的に推進することとしております。  まず、一般会計におきましては、中小企業対策費として二百十八億円を計上し、中小企業高度化資金融通特別会計への繰り入れを飛躍的に拡充するとともに、設備近代化補助金増額して、その高度化近代化を促進いたしますほか、小規模事業対策中小企業診断指導事業重点を置いて予算増額し、特に小規模事業につきましては、従来の諸施策のほか、小規模企業共済事業団新設特別小口保険制度の創設により、その対策積極的充実をはかっております。  また、税制面におきましては、中小企業負担軽減をはかるため、国税において、平年度二百三十八億円の減税を行ないますほか、財政投融資計画におきましても中小金融三機関の貸付枠を約二〇%拡大して、中小企業金融拡充円滑化に配意いたしました。  農林漁業につきましては、農業基本法林業基本法及び沿岸漁業等振興法の定める方向に沿いつつ、農業構造改善事業、農業基盤整備事業拡充、林業構造改善対策事業の新規着手、沿岸漁業構造改善対策事業推進等を中心として、予算及び財政投融資を大幅に拡充いたしております。  農業につきましては、立地に即した主産地の形成と生産基盤強化を通じ、生産の選択的拡大と生産性の向上、経営の近代化等のための施策を積極的に推進することといたしておりますが、特に、新たに農地管理事業団を設立し、自立経営農家の積極的な育成をはかることにいたしました。  なお、かねてより議論のありました農林漁業用揮発油税の減免問題につきましては、十分慎重に検討いたしましたが、税制調査会の答申におきましても、これを税制上の措置として解決いたしますことは、実行上種々難点があるほか、税務職員の増員の困難性の問題もあり、他の適切な措置を講ずべきであるとされておりますので、減免にかわる措置として、五十億円の予算をもって、農道整備、林道整備、漁港関連道整備及び農業改良資金助成の各事業を強力に推進することといたしております。  また、農林漁業金融公庫につきましては、その新規貸付計画額を千二百四十億円へと大幅に拡大いたしますとともに、農業近代化資金及び農業改良資金の新規融資ワクの拡大と相まって、農林漁業金融拡充円滑化に資することといたしました。  食糧管理特別会計への繰り入れにつきましては、調整資金の状況等を勘案し、一般会計から千九十六億円を繰り入れることといたしております。  産業投資特別会計への繰り入れば、百二十五億円でありまして、同特別会計におきましては、この繰り入れ額に、その保有している資金等を合わせ、これを財源として、日本輸出入銀行、農林漁業金融公庫、住宅金融公庫その他九機関に対し、総額五百五十七億円の出資を行なう予定となっております。  以上、主として一般会計予算について申し述べましたが、特別会計及び政府関係機関の予算につきましても、一般会計に準じ、経費及び資金の重点的配分と効率的使用につとめ、事業の円滑な遂行を期することといたしております。  財政投融資につきましては、以上のそれぞれの項目において御説明いたしておりますが、その原資としましては、出資原資として産業投資特別会計五百五十七億円、融資原資として、資金運用部資金一兆六百三十九億円及び簡保資金千百億円、合計一兆二千二百九十六億円の財政資金のほか、民間資金等の活用三千九百十億円を見込み、総額一兆六千二百六億円を予定いたしております。  運用計画の策定にあたりましては、住宅建設及び生活環境施設整備、農林漁業及び中小企業関係金融充実重点を置くとともに、輸出の振興及び道路、鉄道等社会資本強化等にも、特に配意をいたしました。  以上、昭和四十年度予算及び財政投融資計画につきまして、その概略を御説明いたしましたが、なお詳細にわたりましては、政府委員をして、補足説明いたさせます。  何とぞ、御審議の上、すみやかに御賛同いただきたいと存じます。
  14. 青木正

    青木委員長 引き続き、順次政府委員の補足説明を許します。主計局長佐藤一郎君。
  15. 佐藤一郎

    佐藤(一)政府委員 お手元に、御説明の文書にいたしましてお配りしてあると思います。  昭和四十年度予算編成にあたっては、財政の面からも経済安定成長確保するという要請にこたえて、健全均衡財政方針を堅持し、予算規模の圧縮につとめたのでありますが、他方、わが国経済社会の現状から見て、社会開発推進する重要諸施策を積極的に展開するため、財政需要は従来にも増して旺盛なものがあったのであります。  さらに、経済安定成長を前提とする以上、租税及び印紙収入増加にあまり多くを期待できなかったのでありますが、引き続き大幅な減税を実施することといたしましたので、さきに申し上げました事情ともあわせ、歳出予算につきましては、極力その重点化、効率化に配意することといたしました。  すなわち、非効率な補助金の整理合理化、欠員不補充措置の継続等によりまして、既定経費の節減につとめますほか、財政法の規定による前年度剰余金の国債費繰り入れを従来の二分の一から五分の一に切り下げ、また、産業投資特別会計出資につきましてもその削減をはかる等、いわば超均衡的な歳出につき再検討を加えることとして、限られた経常財源の範囲内における予算の合理化を  一段と推進することといたしました。  このようにして編成された昭和四十年度一般会計予算の規模は三兆六千五百八十一億円でありまして、その前年度当初予算に対する伸び率一二・四%は、三十八年度予算の一七・四%、三十九年度予算の一四・二%というそれぞれの前年度当初予算に対する伸び率を下回るのみならず、三十六、三十七年度予算における二四%台の伸び率の約半分にすぎないのであります。  さらに、その四十年度における国民所得の見込みに対する比率は一六・一%でありまして、過去における当初予算規模の国民所得の当初見込みに対する比率、三十七年度一七%、三十八年度一七・一%、三十九年度一六・四%と対比いたしましても、これをそれぞれ下回っておるのであります。  したがいまして、四十年度予算の規模は適度なものとなっており、経済安定成長に資することができるものと信ずるのでありますが、なおその運用にあたりましては、金融政策の適切な運営と相まって、経済の動向に配意しつつ、弾力的な執行につとめてまいりたいと存じます。  次に、一般会計歳出のうち、おもなものについて御説明申し上げます。  社会保障関係費といたしましては、五千百六十四億円を計上いたしております。その前年度当初予算に対する増加額は八百五十七億円、伸び率は一九・九%でありまして、一般会計予算額中に占める比率の一四・一%は、過去の最高となっております。  社会保障関係費につきましては、引き続く医療給付費の増高傾向に加えて、四十年一月から実施された医療費改定の平年度化及び国民健康保険における世帯員七割給付の平年度化等、医療費を中心として、経費のいわば当然増がきわめて大きくなっておりますが、社会保障制度の一そうの充実を期するため、各般にわたり、施策改善強化をはかることといたしております。  まず、生活保護費におきましては、生活扶助基準を二一%引き上げるとともに、教育扶助につきましても基準の改定を行ない、医療扶助、住宅扶助の増額と相まって、前年度当初予算に比べ百四十三億円増の千六十一億円を計上いたしております。  社会福祉費におきましては、児童、老人、身体障害者等施設収容者の飲食物費、日常諸費を増額して生活内容の向上を期しますとともに、施設職員の処遇の改善をはかりますほか、新たに、低所得階層の妊産婦、乳幼児に対し、ミルクの無償給付を開始する等、母子保健対策強化につとめることといたしております。  また、社会保険費におきましては、国民健康保険世帯員七割給付四カ年計画の第二年度として、その着実な実施をはかりますとともに、かねてより準備を進めていました厚生年金給付額の引き上げを四十年五月からと予定し、所要措置を講じております。このほか、国民年金につき、福祉年金額の引き上げ、重度精神薄弱者に対する障害年金の支給、本人及び扶養義務者所得制限緩和等、大幅な改善を行なうこととし、さらに、国民健康保険及び国民年金の事務費単価につきましても、これを大幅に引き上げることといたしております。  なお、さきに申し述べましたような著しい医療費増高傾向により、医療保険財政の健全性を維持することがきわめて困難となっている状況に顧み、その再建対策を講ずることとし、既定の方針に従い、被保険者薬剤費の一部自己負担、保険料算定基準についての総報酬制の採用等を見込みますとともに、これが円滑な実施に資するため、政府管掌健康保険事業等に対し、特別の補助を行なうこととしております。  以上により、社会保険費といたしましては、前年度当初予算千六百三十六億円に対し、四百五十九億円を増額して、二千九十五億円を計上しております。  保健衛生対策費におきましては、結核及び精神衛生対策、原爆被爆者対策、疾病予防対策等に重点を置いて予算増額し、施策充実を期しております。  また、失業対策費におきましても、失業対策事業の賃金日額を一一・九%引き上げて五百六十一円七十銭といたしますとともに、中高年齢失業者等に対する就職指導、職業訓練を引き続き推進する等、労働力の流動化と雇用対策強化につとめることとしております。  文教及び科学振興費としましては、前年度当初予算に比べ一五%、六百二十二億円増の四千七百五十七億円を計上いたしております。  まず、義務教育費国庫負担金におきましては、いわゆる改正標準法の着実な実施及び特殊学級の増設等により、小中学校における教職員定数充実を期しますほか、教材費単価の引き上げを行なって、教育内容の向上をはかっております。  文教施設費におきましても、学校統合、危険校舎改築等に重点を置いて、事業量の増加をはかりますとともに、補助単価、鉄筋比率につき所要改善を加えることとして、質・量両面にわたり教育環境整備につとめております。  教育振興助成費におきましては、義務教育教科書無償給与の範囲を小学校六年生までに拡大し、低所得階層の児童生徒の援助を強化する等、父兄負担軽減に配意いたしますほか、学校給食につきましても、生乳七十万石を取り入れることとして、その改善をはかっております。さらに、恵まれぬ児童に対しては、特殊教育及び僻地教育振興等をはかるとともに、遠距離通学者に対し通学費の補助を行なう市町村に、新たにその経費の一部を補助することとしております。  国立学校につきましては、国立学校特別会計への繰り入れを大幅に増額して、引き続き、教官研究費、学生経費充実をはかりますほか、特に、学部、学科等を積極的に拡充し、入学定員を三千三百九十四人増加いたしますとともに、これに即応した施設設備整備を行ない、昭和四十年度以降予想される大学入学志願者の急増に対処することといたしております。なお、大学入学志願者急増対策としましては、このほか、私立大学については、私立学校振興会に対する財政投融資を百十億円に増額し、公立大学については、地方債の大幅拡充をはかる等により、それぞれ施設設備充実を期することとしております。  科学技術振興につきましては、原子力研究所、原子燃料公社等、原子力研究施設の建設推進いたしますほか、産業公害防止、自然災害防止、宇宙開発、対ガン診療治療等、各分野にわたる重要研究重点をおいて、各省試験研究機関の整備強化につとめております。  次に、地方交付税交付金といたしましては、七千百六十二億円を計上しております。これは四十年度において、地方交付税の率が、国税三税の収入見込み額の二九・五%に引き上げられることになりましたので、その収入見込み額二兆四千百三十八億円の二九・五%に相当する額七千百二十一億円に、三十八年度の地方交付税の精算追加額四十一億円を加算したものであります。  また、新産業都市建設及び工業整備特別地域整備等を推進するため、新たに道県については起債充当率の引き上げと利子補給、市町村については補助率のかさ上げを行なうことといたしまして、予算及び財政投融資重点的配分と相まって、事業の円滑な進捗を期しております。  公共事業関係費といたしましては六千九百二十七億円を計上いたしております。その前年度当初予算に対する増加額は九百二十三億円、その伸び率は一五・四%となっております。特に、四十年度におきましては、新たに、治山、治水、港湾等につきまして、中期計画と調和をとりつつ、長期計画を策定し、事業重点的、計画的に促進することといたしました。  まず、治水対策につきましては、新たに四十年度初年度とする総額一兆一千億円の五カ年計画を策定するとともに、水系一貫管理を規定した新河川法に基づき、一級水系として、利根川、淀川等十五水系を指定することを予定しております。五カ年計画事業区分は、治水事業八千五百億円、災害関連及び地方単独事業等千五百億円、予備費千億円となっております。  次に、治山対策につきましては、治水対策と同じく、四十年度初年度とする総額千五百億円の新五カ年計画を策定し、事業の強力な推進をはかることとしており、その事業区分として、治山事業千三百億円、災害関連及び地方単独事業等五十億円、予備費百五十億円を予定いたしております。  以上のほか、災害復旧事業につきましても、その円滑な実施をはかることとし、これらの措置を通じて、国土保全に万全を期することとしております。  道路整備につきましては、総額四兆一千億円の道路整備五カ年計画の第二年度として、事業の着実な推進をはかることとし、道路整備財源充実強化につとめることといたしております。すなわち、従来からの揮発油税収入のほか、新たに石油ガス税一キログラム当たり十七円五十銭を設けて、その収入見込み額の二分の一に相当する四億円を国の特定財源に加えますとともに、一般財源を大幅に増額することとし、道路整備事業費として三千百七十億円を計上いたしております。  また、港湾整備につきましては、港湾貨物取り扱い量増大に対処して、新たに四十年度初年度とする総額五千五百億円の五カ年計画を策定し、主要外国貿易港湾、地方開発のための主要港湾、主要航路等に重点を置いて、事業の進捗を期することといたしております。五カ年計画事業区分は、港湾整備事業四千八百五十億円、地方単独事業六百五十億円でありますが、このほか、上屋、荷役機械等の機能施設整備事業が千億円ございますので、これをも合わせますと、全体計画額は六千五百億円と相なります。  さらに、漁港につきましては、第一種及び第二種漁港の補助率を限時的に引き上げて、事業の促進をはかりますほか、空港につきましては、新たに、公団を設立して、新東京国際空港建設に着手いたすますとともに、ローカル空港整備にも配意しております。  次に、住宅対策について申し上げます。  まず、一般会計住宅対策費といたしましては、前年度当初予算に対し二一・七%を増額して、三百六十五億円を計上し、公営住宅及び改良住宅六万九千五百戸を建設するとともに、建設単価、一戸当たり坪数、鉄筋高層化等の点につきましても、それぞれ改善を加えることとし、低家賃住宅の供給増大をはかることとしております。  また、財政投融資におきましても、住宅金融金庫及び日本住宅公団に対し、千二百五十四億円という巨額の財政資金投入するほか、五百四十億円にのぼる民間資金の積極的活用をはかることといたしております。これにより、特に分譲住宅建設戸数を大幅に増加し、住宅供給公社制度の創設ともあわせて、中堅勤労者向け持ち家住宅建設に資することとしております。  このほか、政府住宅施策といたしましては、厚生年金還元融資を通ずる住宅建設等がございますが、これらを合わせ、四十年度における政府施策住宅全体の建設戸数といたしましては、前年度に対し二万四千戸増の三十四万一千戸を予定いたしております。  なお、近来極度に不足している宅地につきましては、日本住宅公団等におきまして、その造成事業を大幅に拡充して、宅地供給の増大をはかることとしております。  生活環境施設建設を促進するため、今回、生活環境施設整備緊急措置法に基づき、昭和三十八年度初年度とする総額五千五百億円の生活環境施設整備五カ年計画を策定することとしております。その事業区分は、下水道三千三百億円、終末処理施設千百億円、し尿処理施設六百五十億円、ごみ処理施設四百五十億円となっております。  この五カ年計画に応じ、一般会計におきましては、下水道、終末処理施設、し尿処理施設に重点をおいて、環境衛生対策費及び公共事業関係費のうちの下水道事業費を合わせ、二百二十四億円の予算を計上するほか、現下の課題である公害対策につきましては、ばい煙規制の強化、大気汚染測定網の整備、公害防止研究の充実公害防止事業団新設等、格段の配慮を加えております。  また、財政投融資におきましても、地方債を大幅に増額して、上下水道、清掃施設を中心に、その積極的整備推進することとしております。  貿易振興及び経済協力費におきましては、前年度当初予算に比べ二六・四%増の百二十九億円を計上して、引き続き、日本貿易振興会等による貿易あっせん、海外市場調査、海外展示事業強化等をはかって、輸出の伸長を期しますほか、コロンボ・プランを中心とする技術協力拡充、日本青年海外協力隊の創設等により、対外経済協力を一そう推進することとしております。特に海外経済協力基金につきましては、一般会計において追加出資十億円を計上するとともに、新たに財政投融資を通ずる借り入れ金の道を開くことにより、同基金の一そうの活用をはかることといたしました。  また、貿易外収支改善のため、国際観光事業、国際航空事業に対し、所要の助成を行なって事業態勢の強化を期することといたしますほか、海運対策費といたしましては、百三十七億円を計上して、海運業再建整備、三国間輸送の助成等をはかりますとともに、財政投融資計画におきましても、四十年度の外航船舶建造量を百五十万総トンに拡充するための措置を講じております。  このほか、輸出金融につきましては、日本輸出入銀行の貸し付けワクを千九百四十五億円に拡大し、産業投資特別会計からの出資二百九十億円を含めて千二百九億円の財政資金投入することにより、船舶輸出、プラント輸出等を中心とする輸出金融等の円滑化に配意いたしております。  中小企業対策費といたしましては、前年度当初予算に比べ五十二億円、三一・六%増の二百十八億円を計上し、特に中小企業高度化近代化の促進、小規模事業対策強化重点を置いて、施策推進をはかっております。  まず、中小企業高度化近代化をはかるため、中小企業高度化資金融通特別会計への繰り入れを前年度四十四億円から六十七億円へと飛躍的に増額するとともに、貸し付け条件を大幅に改善して、工場等集団化、商業集団化等及び商工業協業化を推進するほか、設備近代化補助金五十億円を計上し、中小企業の生産性の向上を期することとしております。  小規模事業対策につきましては、引き続き経営指導事業等の強化につとめますほか、小規模企業者の相互扶助精神に基づき、小規模企業共済事業団新設するとともに、零細企業者の資金調達の円滑化をはかるため、特別小口保険制度を創設する等、施策の一そうの充実につとめることとしました。  中小企業金融につきましては、中小企業信用保険公庫融資基金へ六十億円を出資して、信用補完制度を質量ともに拡充いたしますとともに、財政投融資計画におきましても、国民金融公庫、中小企業金融公庫及び商工組合中央金庫の貸し付け規模を約二〇%拡大することとし、これに必要な資金の確保につとめております。  四十年度における農林関係予算総額は、三千七百億円でありまして、食糧管理特別会計への繰り入れ、災害復旧等事業費及び農業近代化助成資金への繰り入れを除いた実質予算規模を前年度当初予算と比較いたしますと、その伸びは三百七十三億円、一八・一%となり、相当な拡充がはかられております。  まず、農業基盤整備費につきましては、九百二十億円を計上して、圃場整備、農道整備、草地改良等を中心に生産基盤強化につとめますとともに、農業構造改善対策費につきましても、百六十億円を計上して、継続事業の進捗と四百五十地域における新規事業の着手をはかることといたしております。  さらに、自立経営を志向する農家の経営規模の拡大を助長するため、新たに農地管理事業団を設立することとし、四十年度においては、パイロット的に百市町村一千町歩において、農地取得のあっせん、長期低利資金の貸し付け等を行なうことを予定いたしております。  また、林業につきましては、林道事業の大幅な拡充をはかりますほか、四十年度から、九十二市町村において、新たに林業構造改善対策事業に着手することとし、漁業につきましても、漁港整備計画の着実な推進とあわせて、沿岸漁業構造改善対策事業、内水面漁業振興対策事業等の拡充につとめることといたしました。  農林漁業金融につきましては、農業近代化資金の新規融資枠を前年度の六百億円から七百億円へと増額して、系統資金の活用をはかりますほか、無利子の農業改良資金の新規融資枠を五十七億円に拡大いたしますとともに、農林漁業金融公庫の新規貸し付け計画額につきましても、前年度の千七十億円から千二百四十億円へと大幅に拡大して、所要資金確保につとめております。  食糧管理特別会計への繰り入れといたしましては、千九十六億円を計上しております。その内訳は、食糧管理勘定の損失見込み、調整資金の残等を勘案して、調整勘定へ繰り入れられる千五十五億円と、輸入飼料勘定の損失を補てんするため同勘定へ繰り入れられる四十一億円とであります。  産業投資特別会計への繰り入れは百二十五億円でありまして、前年度に比べ四百四十七億円の大幅減少となっておりますが、これは同会計がすでに保有している三百九十九億円の資金を全額産業投資支出に充てることとしていること及び住宅金融公庫ほか二機関につきまして、新たに利子補給の措置を講ずることといたしましたこと等によるものであります。  すなわち、住宅金融公庫、日本住宅公団及び農林漁業金融公庫につきましては、その資金コストを低減し、あわせてその運用原資を確保するため、従来、産業投資特別会計から出資を行なってきたのでありますが、その額は事業規模の拡大とともに年々膨大なものとなって参りました。しかしながら、このような超均衡的意味を持つ出資方式を続けていきますことは、経済安定成長下における今後の財源見通しからいっても、次第に困難となることは明らかでもありますので、予算の合理化、効率化をはかる見地から、これを再検討して、出資の削減をはかったものであります。  最後に、予備費につきましては、前年度予算に比べ二百億円を増額して、五百億円を計上しております。これは、最近における災害復旧事業その他に対する予備費の使用状況と予算規模等を勘案して増額したものであります。  以上であります。
  16. 青木正

  17. 泉美之松

    ○泉政府委員 昭和四十年度租税及び印紙収入予算の見積りにつきまして、大臣の御説明を補足して簡単に御説明申し上げます。  お手元に昭和四十年度租税及び印紙収入予算説明と申しますパンフレットを差し上げておりますので、このおもなる点につきましてかいつまんで御説明を申し上げたいと存じます。  まず三ページの表をお開き願いとうございます。ここに各税目別に三十九年度の当初予算及び補正後の予算の見積り、それから昭和四十年度現行法による場合の収入見込み額税制改正による減収額、そして改正後の収入見込み額三兆二千八百七十七億九百万円の金額が出ておるわけでございます。  まず第一の欄のところに、まん中よりちょっと下のところに合計がございますが、御承知のとおり昭和三十九年度租税及び印紙収入の当初予算の見積もり額は二兆九千四十二億七千三百万円であったのでございますが、補正予算で六百五十億五千万円を増額いたしまして、二兆九千六百九十三億二千三百万円と相なっておるわけでございます。これに対しまして、昭和四十年度におきましては、先ほど御説明がありましたとおり、現在の経済状況を反映いたしまして、自然増収にはあまり多きを期待できないのでございますが、三十九年度当初予算に対しまして、現行法におきまして四千六百四十七億円の自然増収を見込みました。補正予算に対しましては、三千九百九十七億円の自然増収見込みとなっております。この四千六百四十七億円の自然増収見込みにつきましては、三十九年度の当初予算の自然増収の見積もり額が六千八百二十六億円ございましたところから、やや少なくはないかといった御批判もあろうかと存じますが、これにつきましては、三十九年度の六千八百二十六億円のうちには、三十八年度中に生じました自然増収が二千二百五十億円ございます。それを差し引きいたしますと、三十九年度年度で見込みました自然増収の額は、四千五百七十七億円に相なるのでございます。これと対比いたしますと、四十年度におきましては、四千六百四十七億円の自然増収に、三十九年度税制改正の際の平年度化による減収が四百億円加わります。そこから三十九年度中に生じました自然増収六百五十億円を差し引きいたしますと四千三百九十七億円と相なるのでございます。若干、四十年度が少なくなっておりますが、これは御承知のとおりの現在の経済状況からいたしまして、あとで申し上げますように、四十年度中には経済成長率は名目一一%、実質七・五%と経済成長が見られるように見込まれておりますけれども、その経済成長による増収は、四十年度後半以降の分は四十一年度歳入にずれ込みますので、このような状況に相なるわけでございます。  なお、この自然増収は、各税目別に積み上げ計算をいたしてございます。その詳細は繁雑になりますので、省略させていただきますが、一ページの中ほどから二ページにかけてごく簡単に書いてございますので、この点を御説明申し上げますと、先ほど申し上げましたように、またあとで経済企画庁から御説明がございますように、四十年度におきましては、国民総生産が対前年度名目一一%、実質七・五%成長するものと想定いたして、諸種の経済指標が見込まれております。それを基礎といたしまして税収の見積もりをいたしております。まず、鉱工業生産は、対前年度一〇・五%と伸び率が三十九年度に比べましてやや鈍化する、卸売り物価指数はほぼ横ばいに推移する、消費者物価は四・五%上昇する、こういう前提のもとに収入を見込んでおるのでございます。  まず源泉所得税につきましては、給与所得は前年度に比べ、雇用約四%の増加、賃金水準は約九%の上昇を見込んで計算いたしております。そのほか、利子配当等の所得につきましては、最近の趨勢を勘案いたしまして見込んでございます。  次に申告所得税につきましては、営業所得は一一%程度増加するものと見込み、農業所得におきましては、最近における作況を勘案して見込んだ収穫量等を基礎にして約四%増加するものと見込んでおります。  次に、法人税につきましては、最近における経済指標の見通し等から見ました法人企業の生産量、販売価格、所得率の動向等を勘案いたして、申告所得は前年度に対し一二・八%程度増加するものとして計算してございます。  次に間接税につきましては、まず酒税におきましては、各酒類の最近の消費の動向を勘案して見込んだのでございますが、清酒につきましては、百二十六万キロリットル、すなわち六百九十九万石を見込んだのでございました。これは前年の消費実績見込みに対し七・五%の増加に相なっております。なお合成清酒は、七万キロリットル、四十万石、しょうちゅうは二十一万キロリットル、百十九万石と見込んでおりますが、この両酒類は、最近年々消費が減少いたしておりますので、合成清酒につきましては、三十九年度の消費実績見込みに対しまして九〇%、しょうちゅうにつきましては、同じく三十九年度の消費実績見込みに対して九五%に相なるものとして計算いたしております。反面、ビールにつきましては、最近良好な消費の状況が見られますので、二百三十二万キロリットル、すなわち千二百八十八万石と、前年の消費実績見込みに対して一六%増加するものと見込んで計上いたしました。  そのほか、砂糖消費税につきましては、砂糖が百七十六万トン、三十九年中の消費実績見込みに対して六・七%増加するものと見込みます。揮発油税につきましては、揮発油が千九十七万キロリットル、すなわち三十九年中の消費実績見込みに対しまして一四・五%上昇するものと見込んで計算いたしております。  物品税、入場税、その他の諸税、印紙収入につきましても、それぞれ最近における課税実績及び今後における消費の動向等を勘案して計算したのでございますが、物品税のうちおもなる品目について申し上げますと、まず小型乗用車につきましては、最近の自動車ブームを反映いたしまして、前年度実績に対し二二%上昇するものと見込んでおります。そのほか小型テレビにつきましては、昨年は御承知のとおりオリンピックの関係で相当売れ行きがよかったのでございます。その後減少いたしておりますので、前年に対し若干低下するものと見込んでおります。冷蔵庫及び写真機等につきましては、最近の消費状況から見まして、前年と同額を見込んで計上いたしております。  次に、関税につきましては、最近における輸入実績及び今後の輸入見込み等を勘案いたしまして、過去の課税実績から計算をいたしてございます。  このようにいたしまして四千六百四十七億円の自然増収を見込んだのでございますが、ここから減税をいたしたのでございます。  今回の減税の内容は、お手元の資料の二五ページから二八ページにかけて掲げてございますが、簡単に申し上げますと、今回の減税の要点は三つございます。  第一は所得税、特に中小所得者所得税負担軽減をはかった点でございます。この点につきましては、基礎控除、配偶者控除、扶養控除、給与所得控除、専従者控除など、諸控除を引き上げますとともに、医療費の控除限度を引き上げまして、平年度九百二十二億円、初年度八百二億円の減税を行なうことにいたしております。昨年、三十九年度所得税減税額が平年度七百三十七億円、初年度六百四十九億円でございましたのに比べまして、相当大幅な減税と相なっております。  第二点は、企業体質改善国際競争力強化に資するために法人税軽減をはかったことでございまして、これにつきましては、法人税率の三八%を三七%に引き下げました。また、特に中小法人の負担軽減をはかりますために年三百万円以下に適用されまする軽減税率三三%は二%引き下げまして一二%にいたしております。そのほか同族会社の留保所得課税の軽減をはかることにいたしまして、法人税におきまして平年度三百十四億円、初年度百八十四億円の減税をいたしてございます。  次に現下の経済情勢にかんがみまして、貯蓄の奨励及び資本市場の育成対策といたしまして、税制上特別の措置を講じております。すなわち、少額貯蓄の非課税限度を元本五十万円から百万円に引き上げますとともに、配当所得につきましては、確定申告を提出する必要のない限度といたしまして、一銘柄五万円以下の場合には確定申告の提出を要しないこととし、さらに一定限度以下の配当所得につきましては一五%の税率による源泉選択の道を開くことにいたしました。なお、利子及び配当につきましては、その源泉徴収税率が他の所得に比べましてやや低目でございますので、五%から一〇%に引き上げることにいたしております。  そのほか、揮発油税とのバランスからいたしまして、石油ガス税を創設することにいたしまして、その収入額の半分は、地方道路財源といたしまして地方団体に譲与することにいたしております。  このような減税及び新税の創設等を行ないました結果、平年度千百五十八億円、初年度八百二十億円の減税に相なるのでございます。  もう一度三ページの表にお返り願いまして、内国税におきまして八百二十億円の減税を行ないますが、関税におきまして七億九百万円の増収措置を講じますので、差し引き一般会計におきましては八百十二億八千五百万円の減収と相なることになっております。関税の七億九百万円の増収の内訳は、電子計算機の税率を引き上げることによる増収十二億円から二輪自動車、肥料の税率を軽減し、肥料製造用揮発油の関税の還付を行ない、そのほか化学品等に対する税率を軽減することによって、差し引き七億九百万円の増収と相なるものでございます。  このような減税を行ないました結果、国民所得に対する租税負担率は、昭和三十九年度当初予算におきましては二二・二%でございました。これが四十年度におきましては二二・一%と、わずかではございますが、〇・一%少なくなっております。  なお、間接税と直接税との割合から申しますれば、昭和四十年度におきましては、直接税の割合が五八・九%、間接税の割合が四一・一%と相なっております。三十九年度補正後に比べますと、直接税の割合が若干減少し、間接税の割合が若干ふえておるという結果に相なっておるわけでございます。  なお、所得税改正の結果、課税最低限は相当大幅に引き上げられるのでございまして、夫婦子供三人の標準世帯について申し上げますと、現在の課税最低限四十八万五千三百六十九円が、平年度におきましては五十六万四千二百四十五円と、約八万円引き上げられる結果に相なっております。  以上、簡単でございますが、租税及び印紙収入予算の見積もりの内訳につきまして御説明申し上げました。
  18. 青木正

    青木委員長 次に理財局長吉岡英一君。
  19. 吉岡英一

    ○吉岡政府委員 昭和四十年度財政投融資資金計画及び財政資金の対民間収支見込みについて補足説明を申し上げます。  お手元に配付いたしてあります昭和四十年度予算説明の六七ページをごらんになりながらお聞き取りを願いたいと存じます。  六七ページの右のほうの欄にI原資見込という表がございますが、それをごらん願いますと、その合計の数字のとおり、昭和四十年度財政投融資資金計画総額一兆六千二百六億円でありまして、三十九年度当初計画額一兆三千四百二億円と比較いたしますと、増加額二千八百四億円、増加率二〇・九%となっております。三十九年度の当初計画が三十八年度の当初計画に対して二〇・八%の増加率でありましたので、ここ二年間ほぼ同じ増加率ということに相なっておるわけであります。  原資ごとに御説明を申し上げます。  まず産投会計出資でありますが、一般会計の財源難等もあり、四十年度におきましては農林公庫住宅公庫、住宅公団等の特に低利資金を必要とする事業につきまして、出資方式を利子補給方式に切りかえることといたしました結果、三十九年度より二百五十五億円の減、五百五十七億円となっております。この出資をまかなう財源といたしまして、産投会計の資金三百九十八億円を全額繰り入れるとともに、一般会計から百二十五億円を繰り入れることといたしております。三十九年度計画におきましては、一般会計からの繰り入れば五百七十二億円でありましたので、これに比べますと、四十年度一般会計からの繰り入れば四百四十七億円の減少となっております。  次に、資金運用部資金につきましては、一兆六百三十九億円、三十九年度に比べ二千五百八十五億円の増加を見込んでおります。その大宗をなしますものは郵便貯金と厚生年金でありますが、郵便貯金につきましては、三十九年度に比べ千百億円の増の三千八百億円を見込んでおります。郵便貯金の増加は最近非常に好調でありまして、ただいまの状況が続きますと、三十九年度二千七百億円と見込みましたものが、おそらく三千五百億円に達すると思われます。したがいまして、四十年度の三千八百億円の増加見込みは十分達成し得る金額であると考えております。また、厚生年金につきましては、制度改正が四十年五月から実施されることを前提といたしまして、三十九年度に比べて千八十億円増の三千二百六十億円と見込んでおります。  次に、簡保の資金は、集中満期の関係がありまして、三十九年度に比べ四百億円の減、千百億円を見込んでおります。  次の公募債借入金等につきましては、三千九百十億円、三十九年度に比べて八百七十四億円の増加を見込んでおります。このうち国内民間資金は、政府保証債、公募地方債、借入金の三項目でありますが、合計三千二百六十億円でありまして、三十九年度に比べ増加額が七百六十億円、増加率三〇・四%を予定しております。これに対しまして、三十九年度のこの二項目の合計は二千五百億円でありまして、三十八年度に比べて増加額六百十八億円、増加率三二・八%であったのであります。  三十九年度財政投融資計画が、三十八年十二月に預金準備率の引き上げが行なわれて金融引き締めに入った情勢を背景として策定されたのに対しまして、四十年度財政投融資計画は、預金準備率の引き下げ、公定歩合の引き下げが行なわれました情勢を背景として策定されている点を考慮いたしますと、四十年度の七百六十億円の増加見込みは決して無理のない範囲のものと考えております。なお、この金額につきましては、一月十九日の金融機関資金審議会におきまして、関係各界からその消化に協力する旨の御了承を得ているところでありまして、これによって特に民間資金を圧迫するようなことはないと考えております。  なお、民間資金の内訳を申しますと、その主体をなします政府保証債の発行額は二千二百七十億円で、三十九年度当初計画千八百十億円に比べまして、四百六十億円の増加となっておりますが、そのうち新たに農林中金で百億円、厚生年金改正に伴う調整年金等で六十億円消化される予定でありまして、従来の消化先に期待しております増加額は、三百億円にとどまっております。三十九年度増加額四百七十八億円に比べまして、むしろ少額であるわけであります。  また、公募地方債は四百六十億円と、三十九年度に比べて百億円の増加となっておりますが、この増加額は、三十九年度増加額百億円と同額であります。  借入金につきましては、従来から住宅公団が生命保険から借り入れを行なっておりますが、これを四十年度四百三十億円と、三十九年度に比べて百億円増額いたしますとともに、今回新たに信託銀行からの借り入れを百億円予定いたしております。  次に、外貨債等につきましては、六百五十億円を計上しておりますが、外貨債は、三十九暦年中の発行実績が一億二千七百万ドルでありました外国市場の状況にかんがみまして、ほぼ三十九年度並みの一億三千万ドルの発行を予定いたしました。その半分の六千五百万ドルを産投国債、残りの半分の六千五百万ドルを政府保証外債に予定をいたしております。政府保証債につきましては、市場の状況から、現段階では、発行銘柄及び銘柄ごとの金額を確定することは困難でもありますし、また適当でもないと判断されますので、特定をいたしておりません。  また、世銀借款につきましては、すでに内諾を得ております一億五千万ドルの新規借款契約を予定しておりますが、これまた、その対象機関につきましては、現在世銀と交渉中であります。  以上の原資、合計いたしまして一兆六千二百六億円と相なっておるのでありますが、いずれも通常の原資を見込んだものでございまして、無理な金額ではないと考えております。  この原資をもちまして四十年度財政投融資の運用を行なうのでありますが、その運用につきましては、六七ページの下欄のIIの資金計画の表に、各対象機関ごとに資金別に数字が掲げてあります。これを一々御説明いたしますことは、繁雑でもありますし、先ほどの大臣の説明及び主計局長の補足説明と重複いたしますので、省略させていただきます。  ただ、一枚まくっていただきまして、六九ページの下のほうに、使途別分類表という表がございますが、その表について一言申し上げますと、使途別分類表の(1)から(6)までの項目、すなわち、住宅、生活環境整備、厚生福祉施設、文教施設、中小企業及び農林漁業と、いわゆる国民生活に最も密接な関係を持っております部門に対する投融資が、小計欄の右の端の数字のとおりに、三十九年度の六千八百十二億円に対しまして八千五百六十一億円と、増加額で千七百四十九億円、増加率で二五・七%となっておりまして、財政投融資全体の伸び率二〇・九%を上回る伸び率を示しておるのであります。その結果、この六項目の財政投融資全体に占める比重は、三十九年度の五〇・八%からさらに上昇をして、五二・八%となっております。これらに対しまして、次のページ、七〇ページの(11)の欄の基幹産業の数字をごらん願いますと、三十九年度の千九十七億円に対して千二百六十二億円、百六十五億円の増、一五%の増にとどまっております。要するに、財政投融資全体の傾向として、基幹産業的な部門の比重が減りまして、国民生活により密接な関係を持つ部門に比重が移りつつあるここ数年来の傾向を、さらに本年も強化しておるということが言えるかと思います。  以上、昭和四十年度財政投融資計画説明を終わります。  次に、国庫収支の見込みについて御説明をいたします。  お手元にあります非常に薄い二枚紙の「昭和四十年度予算に関する参考資料」という表をごらん願いたいと存じます。  四十年度の国庫度収支の見込みでございますが、合計欄の数字のとおり、千五百五十億円の散布超過と見込んでおります。これは、一般会計におきまして、前々年度剰余金の使用によりまして六百九十七億円の散布超過、食管会計におきまして食糧証券の発行超過によりまして二百十三億円の散布超過、資金運用部、産投会計におきまして、資金を全額取りくずして財政投原資に使用いたしますことによりまして三百九十八億円の散布超過が考えられております。さらに、日銀との収支調整あるいは各特別会計の収支を総合いたしまして二百四十二億円の散布超過、合計全体で千五百五十億円の散布超過を見込んでおる次第であります。外為資金につきましては昭和四十年度国際収支均衡するものと見込まれておりますので、円収支につきましてもこれに見合って収支均衡するものと見込んでおります。  以上申し上げましたこの見込みは、もちろん予算がそのとおり実行されることを前提として見込んだ数字でございます。  以上、説明を終わります。
  20. 青木正

    青木委員長 次に、経済企画庁調整局長高島節男君。
  21. 高島節男

    ○高島政府委員 予算の参考といたしまして、三十九年度経済情勢と四十年度経済運営の基本的な態度につきまして、いわゆる経済見通しと申しておりますが、概要を御説明申し上げます。  お手元にお配りしてございます「昭和四十年度経済見通しと経済運営の基本的態度」という印刷物がございますが、これに即しまして概略を御説明いたしてまいりたいと思います。  まず最初に、三十九年度経済情勢でございますが、御承知のとおり、政府は三十八年の末に国際収支改善と物価の安定をはかりますため経済を引き締め基調で運営するという方針を打ち出して、その線に沿って今日までまいりましたが、その効果は漸次経済各分野に浸透してまいりまして、国内経済は次第に落ちつきを取り戻しつつあり、また国際収支も非常に予想外の輸出の好調を主たる原因といたしまして改善の方向に向かってまいっております。  このような経済情勢の動きを反映いたしまして、三十九年度のわが国の経済の実績見込みについて概略申し上げてみますと、まず景気を一番端的にあらわします鉱工業の生産でございますが、これは前年度以来非常に高い水準でこの秋口まで進んでまいっております。引き締めが漸次きいてまいりまして、その効果がこの秋ごろから反映いたしてまいりまして、だいぶ伸び率が鈍化いたしてきているように見受けられますが、大体のところ、本年度が対三十八年度といたしまして一五%程度の増加という辺に落ちつくのではないかと見ております。  他方、こういった経済活動をささえております需要面から見てまいりますと、個人消費支出あるいは政府支出あるいは個人の住宅建設といったような面は引き続いて堅調な伸びを示してまいっておりますが、引き締め措置を反映いたしまして、在庫投資は前年度をむしろ下回る傾向を見せ始めております。問題になっておりました産業界の設備投資も、三十八年度上昇を続けてまいりましたが、三十九年度も上期中には相当まだ高い上昇率を示しておりましたが、最近に至りまして、この下期にかかりまして漸次鎮静化の傾向が見えてまいっておりますことは、機械受注の統計その他からも明らかになってまいっております。  引き締めの主体になりました貿易関係輸出入でございますが、まず、こういう国内の生産活動を反映いたしまして、輸入は予想いたしましたよりも相当高水準で進んでおりますが、やはり生産活動と同じく漸次鎮静化、落ちつきを見せてまいっております。大体六十六億五千万ドル程度で三十九年度の輸入がおさまるのではないかとこの計画では見ております。これに対します輸出は、海外環境が非常によかったこと、国内の産業に各種の合理化、設備投資の効果があがって競争力が強化されたこと、あるいは引き締めに伴います業界の輸出意欲の増進といったようないい材料が重なってまいりまして、対前年度二二%程度の大きな伸びを示し、六十八億ドルを突破する傾向を示しております。こういう情勢でございますので、貿易収支は年間で大体一億五千万ドルくらいの黒字におさまるかと思います。ただ、貿易外収支の赤字が逐年拡大いたしておりますので、五億ドル程度の赤字が本年度も出るかと思いますので、経常収支の赤字は避けられませんが、他方、資本取引のほうも若干の黒字が出てまいりますので、総合収支は年度間で大体均衡をとるところにおさまるのではないか、こういう三十九年度国際収支の見方をいたしております。  次に、問題の物価の動向でございますが、卸売り物価は、御承知のように、落ちついて推移をいたしております。これに対しまして、消費者物価は、三十八年の十月以降、生鮮魚介とか、冬物衣料というようなものが値下がりをいたしまして、それが主因となって落いついた動きを見せ出しております。しかしながら、その間にも住居費や雑費といったようなものの騰勢はじりじりと根強いものがございまして、そして三十九年にまいりまして秋口から野菜の値段が夏の干ばつや例年より早くまいりました秋冷等によって相当急騰をいたしました。これが原因となって、十一月、十二月には今後出回り期に入りますので生鮮食品の価格の下落も考えられておりますが、前年同期に比べますと相当高水準で推移するのではないかと思われます。このような事情のために、消費者物価全体といたしましては、三十八年度に対して四・八%程度の上昇になるものという見通しでございます。  このような経済情勢下で、三十九年度国民総生産は、資料の末尾にございますように、二十五兆三千六百億円という程度に達しまして、経済成長率は実質で九・四%、名目で一二・九%程度のところとなって年度を越える、こういうのが目下の情勢と呼応いたして把握しておるところであります。  次に、来年度予算と関連いたしまして、四十年度経済運営の基本的な態度はどうか、そしてその結果どの辺に経済が落ちついてまいるかということを御説明いたしてまいります。資料は、二ページからあとのところになるわけでございます。  まず、わが国をめぐります最近の国際情勢に相当いろいろなできごとが出てまいりまして、イギリスのポンド防衛措置、公定歩合を二%程度引き上げる、これに追随いたす形でアメリカでもあるいはカナダでも若干の金利の引き上げがございます。かなり世界経済はきびしい様相を呈してまいっております。したがって、経済成長の幅を決定いたします日本の国際収支の見通し、輸出の見通しを中心にいたしまして、楽観を許さない情勢になりつつあるかと存じます。また、国内的には、消費者物価は先ほど申し上げましたように騰勢気配をみせてまいっております。さらに若年労働者あるいは技能労働者を中心といたします労働力の需給の逼迫という非常に大きな構造変化が顕著になってまいっております。農業、中小企業というようないわゆる低生産性部門の近代化がおくれておりますこと、住宅生活環境施設の不足、あるいは地域格差の問題といった各種のいわゆる不均衡が生じてまいっております。したがいまして、四十年度経済運営にあたりましては、これらの内外の情勢を認識いたしまして、財政金融政策を中心として適切なその運用によって、いわゆる安定成長をはかっていこうという方向に進みまして、それによって国際収支均衡と消費者物価の安定に最大の努力を集中してまいりますとともに、経済各分野における質的な充実に意を用いまして、均衡のある発展と調和のとれた社会開発推進していくという基本的態度をとったことは、先ほど来の予算の御説明の中に詳細にあったとおりでございます。したがいまして、この運営の基本的態度といたしましても、三ページから四ページにかけまして、輸出の振興、物価の安定、続いて農業、中小企業近代化社会開発という四本の柱を打ち立てておりまして、ここに施策重点を置いて強力に推進してまいるという姿勢をとっているわけでございます。  このような経済運営の基本的な態度に基づきまして、四十年度におけるいわゆる望ましい経済成長の姿というものを想定してまいったのが、四ページの3以下にその内容が述べてございますが、国民総生産の規模は二十八兆一千六百億円ということでございまして、成長率は、先ほどお話しがございましたように、名目で一一%、実質で七・五%という程度のものに相なりまして、国民の各層に慎重かつ健全な態度が定着いたしてまいりまして、経済安定成長ラインに乗ってくるものであると強く期待をいたしておるわけでございます。  次に、各項目についての状況を若干御説明申し上げますと、まず個人消費支出でございますが、経済が安定的に安定成長ラインに乗ってまいりますならば、勤労所得をはじめといたします各種所得の伸びが全体として落ちついた推移を示してくることになる、そういう方向に政策としても努力してまいるということで、名目伸び率は大体一二、三%程度のところのものを考えております。  続いて、設備投資につきましては、最近鎮静化してまいったと申し上げましたが、一方農業、中小企業といったような生産性の低いところの分野を近代化してまいること、また、国際技術革新も日進月歩でございまして、国際競争力強化、あるいは、最近の特色でございます労働力のコストアップに対する、これを補う合理的な投資といったような各般の投資の必要も強く訴えられておるわけでございまして、したがって、最近の安定成長ラインに乗った経済運営から申しまして、企業及び金融機関は慎重かつ合理的な態度が期待される状況になってまいってもおりますので、投資規模全体といたしましては、資料にございますように、四兆九千億円程度というところをねらいまして、伸び率としては名目五、六%といったところにおきまってまいるのではないか、また、その程度のことが国際収支その他から考えても妥当である、こういうように判断いたした次第でございます。  在庫投資は、鉱工業生産のテンポがゆるやかに上がっていくという前提をとっておりまして、最近また一方に製品在庫が若干たまっておるということもございまして、原材料あるいは仕掛かり品といったような面は若干生産の上昇についてゆるく上がりますが、他方、製品在庫はゆるくはけていくという面も見まして、おおむね三十九年度の横ばいという計算をいたしております。  次に、財貨及びサービスの購入と申しております政府関係の支出でございますが、これは、先刻からもお話しがございました一般会計三兆六千五百億、財投一兆六千億という水準に合わせまして、地方の財政を入れて六兆三百億円という計数を出しております。名目伸び率は大体一〇%ということに相なっております。  個人住宅建設につきましては、三十九年度も相当高い伸びを示しましたが、引き続いて二〇%程度の大幅な増加が行なわれるというように期待いたしております。  以上を総合反映いたしまして、鉱工業生産が景気の一つの指標としてどうなるかということでございますが、五ページ以下にございますように、国内の需要が安定的な動きを示していく方向に経済がまいりますので、上昇テンポはこの第四・四半期から来年度第一・四半期あたりにかけてゆるやかになってまいりまして、結局三十九年度に比べて四十年度全体としては一〇・五%程度の上昇にとどまるものと考えております。農林水産業の面につきましては、引き続いて米の高水準の生産と、需要の強い畜産物、果実、野菜といったものの生産の順調な伸びが期待いたされますので、おおむね三%程度の増加が見込んでございます。  以上の国内経済運営のもとに、裏づけになります国際収支について六ページ以下に書いてございますが、まず輸出につきましては、先ほど申しましたような世界経済の情勢を反映いたしまして、ことしのように二二%も伸びるということは来年はとても期待できない、世界貿易の伸びの程度、それに対する日本の割り込み方を考えまして、大体一二・五%程度の伸びというように考えております。日本のそういう輸出の伸びの裏には、先進諸国間の激しい輸出競争等が当然予想されるという前提がついておるわけでございます。このような情勢のもとでわが国の輸出というものをさらに増大させていくということは、まことに容易でない点がございますが、政府、民間一致協力してやってまいれば、一二・五%、七十六億五千万ドルという程度の輸出目標の達成は決して不可能ではないというように考えているわけでございます。続いて輸入でございますが、これは鉱工業生産が一〇・五%程度のアップということと見合いにいたしまして、国内経済が比較的落ちついた推移をたどりますので、対前年度比一〇%程度の増加ということに見ておりまして、貿易収支では結局三億五千万ドルくらいの黒字が出てくるかと思います。ただ、貿易外の収支は六億ドル程度の赤字は避けられないという見通しでございます。経常収支全体としては、三十九年度より若干改善されて二億五千万ドル程度の赤字にとどまることになってまいるかと思います。こういう赤字を補う立場にございますいわゆる外資の導入、特に長期健全な外資の導入が期待されるわけでございますが、現在のところ、過去の借入金の返済もかさんでまいったりいたしておりまして、若干三十九年度を下回る二億五千万ドルくらいの長期資本の導入が考えられますので、したがいまして、国際収支全体といたしましては、結局収支とんとんというところにおさまる見通しといたしております。  最後に、物価の見通しでございますが、卸売り物価は、現在の基調をそう大きく変えず、ほぼ横ばいのペースでまいることといたしております。消費者物価につきましては、その先き行きはいろいろ楽観を許さない事情があるのでございますが、経済全体の運営安定成長の基本線を逸脱しないように慎重にやっていくということに加えまして、先般閣議決定になりました総合物価対策各項目の趣旨を体して各種の物価対策を強力に推進してまいるということによりまして、三十九年度に比べまして四・五%程度の上昇のところにおさめるよう努力を結集していく、こういう考え方に相なっております。  以上、簡単でございますが、四十年度経済見通しと経済運営の基本的態度につきまして御説明申し上げました次第でございます。
  22. 青木正

    青木委員長 以上をもちまして政府説明を終わりました。      ————◇—————
  23. 青木正

    青木委員長 この際公聴会の件についておはかりいたします。  御承知のとおり、総予算につきましては公聴会を開かなければならないことになっておりますので、この際昭和四十年度予算について議長に対し公聴会開会の承認要求をいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  24. 青木正

    青木委員長 御異議なしと認めます。  なお、公聴会の開会承認要求並びに公聴会の開会に関する諸般の手続につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、これについても御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 青木正

    青木委員長 御異議なしと認め、さように決定いたしました。      ————◇—————
  26. 青木正

    青木委員長 今後の委員会審査日程については本日委員会散会後の理事会において協議いたしますが、委員長といたしましては、次会は来たる二月一日午前十時より委員会開会し、昭和四十年度予算に対する総括質問に入りたいと思っておりますので、あらかじめ御了承を願います。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時五十一分散会