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1965-05-07 第48回国会 衆議院 本会議 第41号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年五月七日(金曜日)     —————————————  議事日程 第三十九号   昭和四十年五月七日    午後二時開議  第一 産炭地域振興臨時措置法の一部を改正す   る法律案内閣提出)  第二 厚生省設置法の一部を改正する法律案   (内閣提出)     ————————————— ○本日の会議に付した案件  法務委員長選挙  日程第一 産炭地域振興臨時措置法の一部を改   正する法律案内閣提出)  日程第二 厚生省設置法の一部を改正する法律   案(内閣提出)  建設省設置法の一部を改正する法律案内閣提   出)  消防法及び消防組織法の一部を改正する法律案   (内閣提出参議院送付)  厚生年金保険法の一部を改正する法律案内閣   提出)  船員保険法の一部を改正する法律案内閣提   出)  私的独占禁止及び公正取引確保に関する法   律の一部を改正する法律案内閣提出)  臼井総理府総務長官観光基本法に基づく昭和   三十九年度年次報告及び昭和四十年度観光政   策についての発言及び質疑    午後二時二十五分開議
  2. 船田中

    議長船田中君) これより会議を開きます。      ————◇—————  法務委員長選挙
  3. 船田中

    議長船田中君) 法務委員長が欠けておりますので、この際、法務委員長選挙を行ないます。
  4. 海部俊樹

    海部俊樹君 法務委員長選挙は、その手続を省略して、議長において指名されんことを望みます。
  5. 船田中

    議長船田中君) 海部俊樹君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 船田中

    議長船田中君) 御異議なしと認めます。よって、動議のごとく決しました。  議長は、法務委員長濱田幸雄君を指名いたします。   〔拍手〕      ————◇—————  日程第一 産炭地域振興臨時措置法の一部を改正する法律案内閣提出
  7. 船田中

    議長船田中君) 日程第一、産炭地域振興臨時措置法の一部を改正する法律案議題といたします。
  8. 船田中

  9. 壽原正一

    壽原正一君 ただいま議題となりました産炭地域振興臨時措置法の一部を改正する法律案について、石炭対策特別委員会における審査経過並びに結果を御報告いたします。  本案は、産炭地域における産業基盤及び生活基盤整備等産炭地域振興上必要な公共事業促進をはかるため、国が産炭地域地方公共団体に対して財政上の援助を行なうことを定めるものであり、そのおもな内容は次のとおりであります。  第一は、道県に対する援助措置として、関係道県特定公共事業について通常の負担額以上の負担をした場合、地方債利子補給を行なうこと、第二は、市町村に対する援助措置として、関係市町村特定公共事業について標準財政規模の百分の十以上負担した場合、国の負担割合最高二割五分増し限度で引き上げることとし、特に疲弊の著しい六条地域市町村については、百分の六以上負担した場合、最高一割五分増し限度で引き上げる方式をも認めること等であります。  本案は、去る二月十二日本委員会付託され、二月十七日櫻内通産大臣より提案理由説明を聴取し、自来、慎重審議を行ないましたところ、四月三十日その一部について内閣修正が行なわれ、同日、採決の結果、本案全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。  なお、本案に対し、産炭地域地方公共団体負担の軽減、文教対策充実等内容とする附帯決議を付することに決しました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  10. 船田中

    議長船田中君) 採決いたします。  本案委員長報告可決であります。本案委員長報告のとおり決するに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  11. 船田中

    議長船田中君) 起立多数。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  日程第二 厚生省設置法の一部を改正する法   律案内閣提出)  建設省設置法の一部を改正する法律案内閣   提出
  12. 海部俊樹

    海部俊樹君 議事日程追加緊急動議提出いたします。  すなわち、この際、日程第二とともに、内閣提出建設省設置法の一部を改正する法律案を追加して両案を一括議題となし、委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  13. 船田中

    議長船田中君) 海部俊樹君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 船田中

    議長船田中君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  日程第二、厚生省設置法の一部を改正する法律案建設省設置法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。
  15. 船田中

    議長船田中君) 委員長報告を求めます。内閣委員長河本敏夫君。   〔河本敏夫登壇
  16. 河本敏夫

    河本敏夫君 ただいま議題となりました二法案につきまして、内閣委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、厚生省設置法の一部を改正する法律案は、公衆衛生局所掌事務のうち、国民厚生運動に関する事務国立公園局の、衛生検査技師に関する事務医務局所掌とし、社会局所掌事務のうち、精神薄弱者福祉法施行に関する事務児童家庭局所掌とすること、本省の附属機関として、伝染病予防調査会及び公害審議会設置すること、職員の定員を百二十二人増員することなどであります。  本案は、二月十五日本委員会付託、二月十八日政府より提案理由説明を聴取し、慎重審議を行ない、四月三十日、質疑を終了しましたところ、施行期日を「公布の日」に改める旨の自民社会党共同提案にかかる修正案佐々木委員外一名より提出され、趣旨説明の後、討論もなく、直ちに採決の結果、本案全会一致をもって修正案のとおり修正議決すべきものと決定いたしました。  次に、建設省設置法の一部を改正する法律案は、計画局宅地部を新設すること、地方建設局分掌事務範囲を大幅に拡大するとともに、計画部を新設し、企画室を廃止することなどであります。  本案は、一月二十九日本委員会付託、二月四日政府より提案理由説明を聴取し、慎重審議を行なってまいりましたところ、本日、自由民主党八田委員より、地方建設局に委譲する事務のうち、補助金等の配分に関する事務を除く旨の修正案提出趣旨説明がなされ、その後質疑を終了し、続いて討論に入り、日本社会党を代表して村山委員より反対の意見が、民主社会党を代表して受田委員より賛成意見がそれぞれ述べられ、採決の結果、本案は多数をもって修正案のとおり修正議決すべきものと決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  17. 船田中

    議長船田中君) これより採決に入ります。  まず、日程第二につき採決いたします。  本案委員長報告修正であります。本案委員長報告のとおり決するに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  18. 船田中

    議長船田中君) 起立多数。よって、本案委員長報告のとおり決しました。  次に、建設省設置法の、一部を改正する法律案につき採決いたします。  本案委員長報告修正であります。本案委員長報告のとおり決するに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  19. 船田中

    議長船田中君) 起立多数。よって、本案委員長報告のとおり決しました。      ————◇—————  消防法及び消防組織法の一部を改正する法律   案(内閣提出参議院送付
  20. 海部俊樹

    海部俊樹君 議事日程追加緊急動議提出いたします。  すなわち、この際、内閣提出参議院送付消防法及び消防組織法の一部を改正する法律案議題となし、委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  21. 船田中

    議長船田中君) 海部俊樹君の動議に御異議ありませんか。   (「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  22. 船田中

    議長船田中君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  消防法及び消防組織法の一部を改正する法律案議題といたします。
  23. 船田中

  24. 中馬辰猪

    中馬辰猪君 ただいま議題となりました消防法及び消防組織法の一部を改正する法律案につきまして、地方行政委員会における審査経過及び結果を御報告申し上げます。  本案は、火災をはじめ各種災害現状に対処するため、第一に、一定危険物施設に対し、施設保安員設置予防規程の作成、自衛消防組織設置を義務づけるなど、危険物に関する規制強化をはかること、第二に、消防用設備等の工事に関し、消防設備士制度を設けること、第三に、地震、台風、水火災等非常事態の場合に、消防庁長官は、当該都道府県知事から要請があり、かつ、必要と認めたときは、他の都道府県知事に対し、災害が発生した市町村消防の応援のため、必要な措置を求めることができるものとすること等を内容とするものであります。  本案は、参議院先議のため、三月一日本委員会に予備付託され、四月九日本付託となり、同月十三日自治大臣より提案理由説明を聴取し、以来、熱心に審査を進めてまいりました。本五月七日、本案に対する質疑を終了し、討論を省略して採決を行ないましたところ、本案全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本案に対し、自民社会、民社の三党共同提案により、自治体消防科学化促進防災体制整備強化市町村消防充実強化とその財政措置非常勤消防団員処遇改善液化石油ガスに対する保安規制及び消防設備士業務範囲明確化内容とする附帯決議を付することに決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  25. 船田中

    議長船田中君) 採決いたします。  本案委員長報告可決であります。本案委員長報告のとおり決するに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  26. 船田中

    議長船田中君) 起立多数。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  厚生年金保険法の一部を改正する法律案(内   閣提出)  船員保険法の一部を改正する法律案内閣提  出)
  27. 海部俊樹

    海部俊樹君 議事日程追加緊急動議提出いたします。  すなわち、この際、内閣提出厚生年金保険法の一部を改正する法律案船員保険法の一部を改正する法律案、右両案を一括議題となし、委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  28. 船田中

    議長船田中君) 海部俊樹君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 船田中

    議長船田中君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  厚生年金保険法の一部を改正する法律案船員保険法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。
  30. 船田中

  31. 松澤雄藏

    松澤雄藏君 ただいま議題となりました二法案について、社会労働委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、厚生年金保険法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本案は、近年における経済の成長及びこれに伴う生活水準の大幅な上昇等にかんがみまして、労働者の老後の生活を保障するに足る老齢年金平均月額一万円にしようとするもので、そのおもなる要旨は、  第一に、基本年金額定額部分現行月額二千円から五千円に引き上げるとともに、報酬比例部分算定基礎となる係数を千分の六から千分の十に引き上げることであります。  第二に、老齢年金受給資格期間を満たしている被保険者が六十五歳に達した場合は、在職中でも老齢年金の八割相当額支給することであります。  第三に、障害年金は、一級障害年金基本年金額の百分の百二十五、三級障害年金を百分の七十五にそれぞれ引き上げるほか、月額五千円の最低保障を設けるとともに、障害手当金を百分の百五十に引き上げることであります。  第四に、遺族年金の妻についての年齢制限及び若年停止を廃止するとともに、月額五千円の最低保障を設けることであります。  第五に、標準報酬月額七千円から六万円までの二十三等級にいたしますとともに、保険料率は、当分の間、一般男子及び任意継続保険者については千分の五十八、女子については千分の四十四、坑内夫については千分の七十二といたすことであります。  第六に、既裁定年金については、今回の改正方式を適用いたし、改正後の計算例によって年金額を大幅に引き上げることであります。  第七に、厚生年金老齢年金及び通算老齢年金のうち報酬比例部分については、民間職域において設立されたいわゆる企業年金一定の要件を備えるものについては、申請により、厚生年金基金を設け、その代行給付を行なう道を開くとともに、厚生年金基金厚生年金基金中途脱退者にかかる年金給付を共同して行なうため、厚生年金基金連合会を設立することができることといたすことなどであります。  次に、船員保険法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本案は、職務外の事由による年金部門給付について、厚生年金保険法改正とほぼ同趣旨改正を行なうとともに、船員保険固有の問題として、職務上の障害年金受給者障害程度が軽減し、障害年金受給権がなくなった場合は、新たに障害差額一時金を支給することとし、また、船舶内における療養の給付制限を大幅に緩和することなどであります。  厚生年金保険法の一部を改正する法律案は二月十二日、船員保険法の一部を改正する法律案は昨年の十二月二十一日、それぞれ本委員会付託せられ、熱心なる質疑応答が行なわれ、かくて、本日の委員会において質疑を終了いたした次第であります。  そこで、委員長の発議により、厚生年金保険法の一部を改正する法律案に対しては、保険給付費国庫負担率を百分の十五から百分の二十に引き上げるとともに、一般男子保険料率を千分の五十八から千分の五十五に引き下げ、女子坑内夫任意継続保険者等保険料率についても、それぞれ引き下げるほか、女子に対する脱退手当金支給年金額調整厚生年金基金の設立の際の労働組合の同意及び施行期日等について、また、船員保険法の一部を改正する法律案に対しては、保険給付国庫負担率を五分の一から四分の一に引き上げるとともに、年金額調整女子に対する脱退手当金支給及び施行期日等について、それぞれ修正案提出され、採決の結果、両案はいずれも修正議決すべきものと議決した次第であります。  なお、両案に対し附帯決議を付することに決しました。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  32. 船田中

    議長船田中君) 両案を一括して採決いたします。  両案の委員長報告はいずれも修正であります。両案を委員長報告のとおり決するに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  33. 船田中

    議長船田中君) 起立多数。よって、両案とも委員長報告のとおり決しました。      ————◇—————  私的独占禁止及び公正取引確保に関する   法律の一部を改正する法律案内閣提出
  34. 海部俊樹

    海部俊樹君 議事日程追加緊急動議提出いたします。  すなわち、この際、内閣提出私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律案議題となし、委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  35. 船田中

    議長船田中君) 海部俊樹君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  36. 船田中

    議長船田中君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。
  37. 船田中

  38. 内田常雄

    内田常雄君 ただいま議題となりました私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、商工委員会における審査経過並びに結果を御報告いたします。  本案は、最近における会社規模の拡大に伴い、会社株式保有及び役員兼任制限に関する規定を整備するとともに、公正取引委員会事務局機構拡充をはかるものでありまして、そのおもな内容は次のとおりであります。  第一は、株式所有報告書提出義務を有する事業会社の総資産及び役員兼任について届け出義務を有する会社の総資産を、一億円をこえる現行法のたてまえから、五億円をこえるときに改めること、第二は、公正取引委員会事務局地方支分部局として、仙台地方事務所を新設し、公正取引委員会事務局定員を十一人増員して二百七十七人に改めること等であります。  本案は、去る二月十日本委員会付託され、二月十六日臼井総理府総務長官より提案理由説明を聴取し、自来、慎重審議を行ない、本日、質疑を終了いたしましたところ、浦野幸男君外二名より、本案に対し、施行の日を公布の日からとすべき旨の三党共同提案にかかる修正案提出され、採決の結果、本案全会一致をもって修正議決すべきものと決した次第であります。  なお、本案に対しましては、公正取引委員会機構拡充を要望する附帯決議を付することに決しました。  以上、御報告いたします。(拍手
  39. 船田中

    議長船田中君) 採決いたします。  本案委員長報告修正であります。本案委員長報告のとおり決するに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  40. 船田中

    議長船田中君) 起立多数。よって、本案委員長報告のとおり決しました。      ————◇—————  臼井総理府総務長官観光基本法に基づく昭和三十九年度年次報告及び昭和四十年度観光政策についての発言
  41. 船田中

    議長船田中君) 総理府総務長官から、観光基本法に基づく昭和三十九年度年次報告及び昭和四十年度観光政策について発言を求められております。これを許します。総理府総務長官臼井莊一君。   〔政府委員臼井莊一君登壇
  42. 臼井莊一

    政府委員臼井莊一君) 昭和三十九年度観光状況等に関する年次報告及び昭和四十年度において講じようとする観光に関する政策について御説明いたします。  この報告及び政策は、観光基本法第五条の規定に基づき、政府が毎年国会に提出する文書であり、今回は第二回目のものであります。  前者の観光状況等に関する年次報告内容は、さらに「総説」、「第一部」、「第二部」に分けられておりますが、「総説」におきましては、戦後二十年を迎え、国際親善の増進、国際収支改善国民生活の緊張の緩和等国民経済発展国民生活安定向上に寄与するものとして、新たに政策的意義を持つに至った観光の当面する諸問題について概説したもので、本年度新たに加えられたものであります。「第一部 観光状況」は、国際観光及び国民観光旅行等に関する一般的状況を明らかにしたものであり、「第二部 観光に関して講じた施策」は、昭和三十九年度を中心に政府が講じた観光に関する諸政策について述べたものであります。  これらの内容を要約いたしますと、国際観光につきましては、わが国に来訪する外国人は年々着実に増大しており、昭和三十年当時には約十万三千人であったものが、三十九年には三・四倍の三十五万三千人に達しております。このうち、観光を目的とするものについてのみ見ますと、三十年には約二万五千人であったものが、七・三倍の十八万二千人と著しく伸びております。また、三十九年のオリンピック東京大会開催時に来日した外国人は約五万声千人で、当初の予想を下回ったのでありますが、これは一般観光客オリンピックラッシュを予想して意識的に来日を延期するなどの心理的な要因によるところが大きかったものと考えられます。なお、わが国に来訪する外国人地域的に見ますと、昭和三十八年には、アメリカから過半数に当たる五八%、次いでアジア、太平洋地域から二〇%、ソ連、東欧を除くヨーロッパ地域から一四%となっております。世界の観光客の送り出し市場として、アメリカと並び高い位置を占めるヨーロッパ諸国からの観光客がこの程度にとどまっていることは、今後ヨーロッパからの観光客誘致に力を注ぐ必要があることを示しております。  一方、日本銀行の為替統計による海外旅行収支について見ますと、昭和三十年当時には受け取り千四百万ドル、支払い八百万ドル、計二千二百万ドルであったものが、三十九年には受け取り七千九百万ドル、支払い九千三百万ドル、計一億七千二百万ドルを、七・八倍もの規模に達しております。しかしながら、海外旅行収支じりは、三十八年の業務渡航自由化、三十九年の観光渡航自由化の影響もあり、国際通貨基金で行なっておりますいわゆるIMF方式によれば、三十八年千二百万ドル、三十九年千六百万ドルの支払い超過となっております。海外旅行収支改善をはかるためには、国民海外渡航制限することも一つの方法として考えられますが、これはOECDへの加盟等により、先進諸国の仲間入りをし、今後ますます国際的活動を期待されているわが国現状を考えますと、適当ではないと思われますので、今後は従来にも増して、外客誘致に努力し、外貨収入増大をはかっていく必要があると考えられます。  外客誘致をはかるためには、国際観光地及び国際観光ルート総合的形成等施策により、わが国観光水準を高めることが必要であり、また、これと並んで海外観光宣伝広報活動強化や、外客受け入れのための諸施設整備等、諸般の施策を講ずる必要があります。  次に、国民観光旅行について見ますと、経済発展に伴う国民生活向上等によって観光旅行者は年々増加しております。ことに国民宿舎やユースホステルの利用者がふえていることから見ましても、観光旅行大衆に浸透しつつあることがうかがえるのでありますが、また一方では、自家用車や航空機、ホテルなどを利用する者も増加しており、デラックス化の傾向も見えております。  しかし、このように国民観光旅行発展するにつれ、観光資源破壊等をはじめとするいろいろの問題が生じております。  まず第一に、観光資源破壊であります。観光地における森林の過度の伐採や、観光地の景観に合致しないホテル遊園地造成等による風致破壊は大きな問題となっております。また、観光客自体による樹木の棄損、汚物の放棄、放歌喧騒等観光地の機能を著しくそこなうものであることは言うまでもありません。これらの問題については、政府及び民間が一体となって風致保存措置観光道徳についての啓蒙運動等を早急に進める必要があります。  また、第二には、特定観光地観光客が過度に集中することによる弊害があげられます。これについては、道路、駐車場等公共施設公共性を持った宿泊施設を整備して観光客受け入れ態勢を整えるとともに、未開発地域を開発して観光客誘致することも検討する必要があります。これと並んで観光施設効率的利用、投資の効率化をはかる見地から、オフシーズン対策を講ずることも検討する必要があります。  第三の問題としてあげられるのは、観光旅行増大デラックス化の反面、これから取り残された人々が存在していることであります。この対策としては、今後、所得格差是正等一般的施策を進めるほか、低廉な宿泊施設整備等により、大衆旅行容易化をはかる方策も検討する必要があります。  なお、この連休には、異常な気候のせいもあって、登山者の中に特に多くの遭難者が出たのでありますが、このような災害を防止するため、山岳、海浜等観光地及び交通機関において危難防止対策をさらに強化する必要があることについても述べております。  以上をもって昭和三十九年度観光状況等に関する年次報告についての説明を終わります。  次に、昭和四十年度において講じようとする観光に関する政策について簡単に御説明いたします。  この政策は、ただいま説明いたしました観光状況等を考慮し、観光政策審議会の意見を聞いて作成したものであります。  まず、国際観光の面については、海外広報宣伝活動の強化、国際会議誘致のための諸施策の推進等により、極力外人来訪客の増加をはかっていくこととしております。  また、これと並んで国際観光地及び国際観光ルートの整備をはじめ、外人来訪客向けの諸施設及びサービス機関の充実をはかり、わが国観光が十分に外国人に満足してもらえるよう諸般の対策を進めていく考えであります。  また、最近の国際観光においては、若年齢層や低所得者の簡易な旅行増大する傾向にありますので、わが国においても、このような世界的風潮に沿い、ユースホステルあるいは低廉な中級ホテル整備等により、幅の広い外国人旅行者を誘致するよう努力することとしております。  次に、国民観光につきましては、特に観光資源の保護をはかるとともに、国民大衆が容易に利用できる清潔で低廉な宿泊施設の整備を積極的に推進し、国民観光の健全化をはかっていくこととしております。  また、すぐれた観光資源に恵まれながら観光地としては比較的未開発な地域についても、それぞれの特色を生かした観光地発展するよう育成し、これにより地域格差の是正をはかるとともに、特定観光地への観光旅行者の過度の集中を緩和していく方針であります。  以上をもちまして昭和三十九年度観光状況等に関する年次報告及び昭和四十年度において講じようとする観光に関する政策についての御説明を終わります。(拍手)      ————◇—————  観光基本法に基づく昭和三十九年度年次報告及び昭和四十年度観光政策についての発言に対する質疑
  43. 船田中

    議長船田中君) ただいまの発言に対して質疑の通告があります。これを許します。野間千代三君。   〔野間千代三君登壇
  44. 野間千代三

    ○野間千代三君 私は、日本社会党を代表して、ただいま説明のありました昭和三十九年度の観光状況等に関する年次報告昭和四十年度において講じようとする観光に関する政策について、佐藤総理をはじめ関係大臣に質問をいたしたいと存じます。  第四十三回国会において成立した観光基本法は、その前文において明らかなように、観光の向かうべき新たな道を明らかにし、その政策の目標を示すものとして制定されたもので、観光政策の目標は、国際社会の相互理解の増進を念願として、国民をして健康で文化的な生活を享受しようとするものであります。  ところで、政府においては、はたしてこの観光立国の高い宣言に対して真に理解を持っておられるのかどうか。ただいま年次報告説明を聞いた限りにおいては、遺憾ながら疑いを持たざるを得ないのであります。このように年次報告が平板で、関係各省の報告書類の寄せ集めで、したがって残念ながらお粗末であると断ぜざるを得ないのは、ただに観光政策の貧困ということに限られた問題ではないのではないか。観光政策が目標としている国際社会の相互理解、すなわち、平和外交に対する無関心、国民生活の安定に対する不熱心、そういう政府の姿勢そのものに真の原因があるのではないかと私は思うのであります。(拍手)  そこで、私がまず第一に総理にお尋ねをしたいのは、観光基本法の目標を実現するためには、世界のすべての人々をして、たずねてみたい意欲を抱かしめるに足る平和な豊潤な国家を創設することが緊急な要務であろうと思うのでありますが、今日のわが国の政治情勢は決して諸国民をして観光に来訪せしめるに足る平和な国情にはなっていないのではないかということであります。  すなわち、日韓両国の国民大多数が反対している日韓会談の成り行きをはじめ、アメリカのベトナム侵略への政府の盲目的な追随外交、日中国交関係も、総理のしばしば言明しておられた経済外交そのものすらとんざしている実情にあります。そして、国内には激しい物価騰貴からの生活不安、はては四十分おきに一人の国民の生命を失うという交通戦争、まさに何の観光ぞやといわねばなりません。(拍手)首相は、国会をはじめ、あらゆる機会に、私は平和を心から願っておると、何回とも知らず述べておられます。しかし、政治は宗教ではありません。祈って待つものではありません。平和外交あるいは日中、日朝間の善隣外交等の推進、そして国内経済の安定についてどのように考えておられるのか、具体的な施策をお尋ねしなければなりません。  第二の質問は、観光事業そのものの持っている国の経済に与える重要性についてであります。  昭和三十九年度の世界の貿易の総額は千五百八十四億ドルで、そのうち観光による輸入の総合計は百億ドルに達しております。品目別貿易高の実に第一位にあって、この見えざる貿易は、各国の国際収支の動向に重要な地位を占めつつあります。イタリアのごときは、観光収入七億四千八百万ドル、その他スイス、オーストリア、スペイン等の諸国においても、それぞれ輸出産業中の一位ないし二位を占めておる現況にあります。ところが、わが国においては、ただいま御説明のありましたとおり、その受け取り額は七千万ドルにすぎません。しかも一千六百十六万ドルの赤字を出すありさまでありまして、政府の発表した通商白書をして、わが国経常収支の悪化は、貿易外収支赤字幅の拡大によるところきわめて大きく、経常収支の均衡確保のため、運輸、観光などを中心とする貿易外収支の改善がきわめて緊要であると嘆かしめておるのであります。政府は中期経済計画で一九六八年一億八百万ドルの収入を予想しておりますけれども、かかる実情に対する首相並びに関係大臣の所見を伺いたい。  これに関連して外客誘致の問題でありますが、国際連合経済社会理事会でも検討されました出入国手続の簡素化についてであります。  わが国の繁雑な旅券、査証、通関等これら出入国の手続の簡素化について検討さるべきであると考えますけれども、関係大臣の所見を伺いたいと存じます。  第三に、観光資源の保護助成と積極的な開発についてであります。  わが国は、恵まれた自然と、歴史によって洗練された伝統によって多くの観光資源を有しておるのでありますが、こうした資源の管理、保護、修理、開発に対して、政府の四十年度予算としては合計してただの二十三億七千三百三十六万円にしかすぎません。加えて産業開発との不調和、観光諸団体への指導不足等から、あたら日本の明媚な天然資源は無秩序、低俗化、荒廃にまかされ、多くの国宝等もまた、政府補助の不足から、たとえば東大寺の屋根のごときは、関係者の努力にもかかわらず、雨漏りの窮状にあるといわれております。  運輸大臣は、総合的な観光政策の確立と観光資源開発について、文部大臣は、国宝建造物その他資源の保全について、建設大臣は、観光と産業開発の調和について、それぞれの対策をいかに考えておられるか伺いたいと存じます。  第四の問題は、国民旅行の助成策であります。  年次報告によると、国民消費構造の中の教養娯楽費の占める割合が向上し、文化的支出のウエートは大きくなったと説明しております。国民生活白書もまた、余暇瞬間に対する家計費の支出が一九%に達したと手放しで喜んでおるのでありますけれども、はたしてそれをそのまま国民生活の豊潤化と受け取っていいものかどうか。生活白書はこのようにレジャー、消費の増加を報ずる反面、日本の生活水準は主要七カ国の平均の三七%程度にしかすぎない、カロリー摂取量は西欧諸国の七割程度、南アフリカの水準にも達しないと報告しておるのであります。  すなわち、日本のレジャーは、喧騒と公害の都市から、あるいは労働と緊張の職場から逃避して一時の刺激を求めるいわゆる日本型レジャーではないでありましょうか。余暇を楽しんでおるのは実は一つかみの有産階級にしかすぎないと思います。国民大衆をして正しいレジャーに指向するためには、人間形成に寄与することのできる余暇と労働との有機的な結合をはかる労働政策こそ政府に強く望まなければならないと思います。政府の方策は、その点についてどのように考えておられるか。西欧諸国では、有給の旅行休暇制が実施され、また、政府出資による旅行金庫法が制定されておるのでありますけれども、旅館、ホテルの従業員の労働条件改善とあわせて、これらに対する関係大臣の所見を伺いたいと思います。  第五の問題は、修学旅行の問題であります。  修学旅行は、児童生徒の国土への愛情の育成を通じて、その国をとうとぶ人格陶冶の機会であって、真の愛国心は中教審の期待される人間像などによってつくられるものではありません。しかるに、今日の修学旅行の実態は、交通事故、食中毒、すし詰の旅館、疲労と心労の連続であります。かつまた、最もそれを必要とする僻陬地学校においては、対策のないままに修学旅行すらできない実情であります。また、要保護児童に対する補助もまた少額に過ぎると思いますが、修学旅行のあり方とその補助の方策をどのように考えておられるか。  私は、基本的には義務教育学校における修学旅行は、教育の重要な一環として、交通宿泊費などその基本部分はこれを国庫負担とすべきであると考えるのでありますが、文部大臣並びに大蔵大臣の考えを伺いたいと存じます。(拍手)  第六に、観光総合行政機関の確立による観光政策強化の問題であります。  今日、観光関係の行政は、運輸、厚生、文部、建設、農林、外務、通産、経企庁、総理府等政府機関のすべてに散在をしている実態で、おそらく、一つの書類の決裁を求めていくならば、一つの観光ルートになるでありましょう。観光行政強化のため、これが整理統合をはかる必要があると考えますけれども、関係大臣の所見を伺いたいと思います。  最後に、国際会議誘致招聘の問題であります。  観光平和立国を宣言したわが国が、国際社会の相互親善の増進のために、国際的な諸会議誘致してわが国施設を活用することは、国民のひとしく希望するところではないかと思います。との問題についての政府の所見を伺いたいと思います。  私は、日本の政府は、平和のために戦う権利と義務があると考え、観光政策もその重要な施策の一つであることを政府に反省を促し、政府の善処を求めて、以上、質問を終わりたいと存じます。(拍手)   〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇
  45. 佐藤榮作

    内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。  観光基本法の前文をよく読んでいらっしゃるようでありますから、私もその前文のとおりだ、御指摘になったとおり、いわゆる国際平和、そのシンボルが国際観光である、かように考えております。豆とに、御承知のように、機会あるごとに私は申しておりますが、われわれは自由を守り、平和に徹する、連れこそわが国の基本的な態度である。この意味において、国際観光が国際平和のシンボルである、こういう意味においての私どもの重大なる使命があるのだ、かように私は思っております。(拍手)御指摘のとおりであります。これは、今日は、ただ単に、景観、景色だけを見るというような時代でないことも、これまた御指摘のとおりでありまして、政治につながり、同時に、経済につながる、このことを見のがすことはできません。したがいまして、わが国経済が非常な発展を来たした。その意味においての、いわゆる観光客もずいぶんこの経済事情に促されて日本に来ておる。また、日本の経済ばかりじゃなく、政治のあり方につきましても多大の関心を持っておる。  そこで、御指摘のように、日韓交渉が妥結する、そういう意味におきましては、特にまた関心を深めてくるし、また、ベトナム問題について日本が平和を愛好し、平和でありたいという意味で、不拡大をすでに声明しておる、そういう立場におきましても、これまた関心を呼んでおると思います。また、日中、日韓等の関係におきましても、同様なことがいえるだろう。在来の方針におきまして、日本がいわゆる平和、親善の関係を持続していこうということにつきましては、これまた観光の面でも関心を呼んでおることだと私は思います。また、国内の物価問題等におきましても、御指摘のとおり、経済が安定し、物価が安定すること、それこそ観光客誘致上の大きな仕事でもあるだろう、かように思いますので、私は、いわゆる観光ということは、各面にわたってわれわれが意を用いて初めて満足を与えることができるんだ、かように思うわけでございます。  その他のお尋ねに対しましては、それぞれ関係大臣から説明いたします。(拍手)   〔国務大臣松浦周太郎君登壇
  46. 松浦周太郎

    ○国務大臣(松浦周太郎君) お答え申し上げます。  私に対しましては、まず第一に、観光資源の開発について、あるいは保全についての対策についてでございますが、観光資源の保全は、観光地の美化とともに観光の健全化のため、万全の配慮を要する問題であります。運輸省といたしましても、総理府、大蔵省、厚生省、建設省、文部省等関係各省と協力いたしまして、広範な国民運動を展開する等、促進に努力いたしておるのでございます。  それから、労働大臣が、港湾労働法の採決の関係でただいま参議院におりますので、この労働関係につきましては、先ほどお問いがありましたが、この問題はわれわれのほうと協力いたしておりますから、かわってお答え申し上げます。  国民の健康及び福祉の増進の見地から国民大衆旅行の意義は大きいものと考えるのでございますが、これが促進のためには、基本的には休暇が必要である、またお金が必要である、あるいは施設宿泊施設が充足されなければならない、あるいは交通施設が、これも確保されなければならないのであります。政府といたしましては、当面の関係の労使の自主的な努力によりまして、労働者及びその家族の旅行を安易にするための措置を講じられることを期待するとともに、労働基準法で保障されている年次有給休暇制度がその本旨に従って完全に利用されるよう指導を進めております。また、労働者の健康及び福祉の増進をはかってまいりたいと考えておる次第でございます。  それから、観光の一元化についていろいろの御説がございましたが、ごもっともでございます。現在、観光行政の所管は各省にわたっておりますが、総理府の審議室において各省の連絡調整を行なっておるほか、総理府に設けられている観光政策審議会において観光に関する重要事項について調査審議を行ない、観光行政の総合調整をはかる体制がとられております。この機構の一元化については、関係各省とも協議を行ない、慎重に検討いたしたいと思っております。(拍手)   〔国務大臣田中角榮君登壇
  47. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) 私からお答えするものは三点であります。  その一つは、貿易外収支の改善のため観光振興に努力をせよということでございますが、御説のとおりでございます。渡航の自由化を行なってから、ずっと実績を見てまいりますと、日本人が出ることが多く、入ることが少ないという結果、観光収支におきましては千数百万ドルの赤字ということになっておりますが、御承知の経常収支のバランスをはかるためにも、貿易外収支の中で特に観光収入の増大をはかるべく努力をしなければならぬということで、諸般の施策を進めておるわけであります。  第二点は、出入国の簡素化の問題でございますが、税関等につきましても整備を行ない、近代化を行ないまして、あのオリンピックの大きな人員につきましても非常にスムーズにさばかれましたことは、出入国が簡素化をされ十分整備をされておるという事実を証明しておるわけでございます。  それから国際会議誘致でございますが、国際会議誘致しますと、財政支出も当然あるわけでございますが、しかし、大きな意味で、国際会議誘致することが日本のためにもプラスになるということで、できるだけ誘致をするように政府としても努力いたしております。そのおもなものとしては、昨年IMF及び世銀の東京総会等が行なわれ、近く会計検査官会議等が東京において行なわれるという事実で御承知をいただきたいと思います。  最後に、義務教育費の国庫負担の原則に伴いまして、義務教育期間中の学童の修学旅行の費用は全額国庫負担にすべきであるという御議論でございますが、これはもう教育費国庫負担法の規定に基づきまして、教職員の給与とか教材とか、こういうものについては二分の一の国庫負担を行なっておりますし、特に要保護世帯の児童につきましては多額の補助をいたしておるわけでありまして、学童全部が修学旅行する費用を全額国庫負担すべきだという考えはありません。(拍手)   〔国務大臣小山長規君登壇
  48. 小山長規

    ○国務大臣(小山長規君) 建設省所管のダムあるいは道路、こういうものが産業開発と同時に観光資源の開発にも役立っておる面があるのでありますけれども、一方において、この道路やダムを建設することによって観光資源を害する面が出てまいります。そこで、われわれのほうとしましては、従来、たとえば道路をつくるにいたしましても、景観や風致に害がないように、その通路を考えたり、あるいは施工のほうを考えたりしてまいったのでありますが、今後も観光資源の開発に協力する意味において、さらに一そうそういう趣旨を重視してまいりたい、こう考えておるわけであります。(拍手)   〔国務大臣椎名悦三郎君登壇
  49. 椎名悦三郎

    ○国務大臣(椎名悦三郎君) 先進園に比べて日本の出入国の旅券の手続が複雑である、これは観光上非常に妨害になるから簡素化すべきでないかという御質問でございましたが、まことに御指摘のとおりでございます。外務省といたしましては、これを簡素化して先進国並みにいたしたいと考えておったのでありますが、関係省庁との十分な検討協議を遂げる時間がございませんので、やむを得ず今回は見送ったような次第でございます。なるべく早い機会に改正法、案を国会に提出したいと考えておる次第であります。(拍手)   〔国務大臣愛知揆一君登壇
  50. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 第一に、修学旅行は教育課程の中に位置づけられております重要な教育活動でございますから、今後も一そうこの改善、充実をはかってまいりたい、この点につきましては全く御同感でありますが、特に御指摘がございましたが、僻地学校の問題、たとえば、二十五人未満の僻地学校の児童生徒が修学旅行をいたします場合に団体割引を適用するようにというようなことにつきましても、国鉄側に善処方をお願いをして、これは近く解決を見るものと信じておるわけでございます。  それから要保護家庭の問題でございますが、最近の調査によりますと、要保護者が三%、準要保護が七%、計一〇%でございますが、これに対して現に市町村が修学旅行費を援助しておりますものが平均して約一〇%、都道府県の中には格差がございますが、こうした補助に対して国が二分の一の補助をいたしておりますが、この交付についでは弾力性を十分持たせて運営いたしております。かような状態でございますから、修学旅行に対する要保護あるいは準要保護の生徒児童に対する援助率一〇%というものは妥当であって、貧困家庭の児童生徒の修学旅行は支障なく実施されておる、かように考えております。  第三に、義務教育の修学旅行の全額をすべて国庫負担せよという御意見でございますが、これはただいま大蔵大臣が申しましたとおり、私もそこまでは考えておりません。  それから第四に、国宝や重要文化財、史跡、名勝、天然記念物、こうした文化財の保存について十分の力を入れるべきである。これも御趣旨はごもっともでございます。いろいろの点でくふうをし、年次計画を立ててやっておりますけれども、いまだ十分とは申せませんので、今後とも積極的な意欲を持って努力を新たにしてまいりたい、かように考えております。(拍手
  51. 船田中

    議長船田中君) これにて質疑は終了いたしました。      ————◇—————
  52. 船田中

    議長船田中君) 本日は、これにて散会いたします。    午後三時二十二分散会      ————◇—————  出席国務大臣         内閣総理大臣  佐藤 榮作君         外 務 大 臣 椎名悦三郎君         大 蔵 大 臣 田中 角榮君         文 部 大 臣 愛知 揆一君         厚 生 大 臣 神田  博君         通商産業大臣  櫻内 義雄君         運 輸 大 臣 松浦周太郎君         建 設 大 臣 小山 長規君         自 治 大 臣 吉武 恵市君  出席政府委員         内閣法制局長官 高辻 正巳君         総理府総務長官 臼井 莊一君         運輸省観光局長 増川 遼三君      ————◇—————