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1965-04-21 第48回国会 衆議院 本会議 第37号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年四月二十一日(水曜日)     —————————————  議事日程 第三十五号   昭和四十年四月二十一日    午後二時開議  第一 原子爆弾被爆者医療等に関する法律の   一部を改正する法律案内閣提出)  第二 結社の自由及び団結権保護に関する条   約(第八十七号)の締結について承認を求め   るの件  第三 公共企業体等労働関係法の一部を改正す   る法律案内閣提出)  第四 地方公営企業労働関係法の一部を改正す   る法律案内閣提出)  第五 国家公務員法の一部を改正する法律案   (内閣提出)  第六 地方公務員法の一部を改正する法律案   (内閣提出)     ————————————— ○本日の会議に付した案件  日程第一 原子爆弾被爆者医療等に関する法   律の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第二 結社の自由及び団結権保護に関す   る条約(第八十七号)の締結について承認を   求めるの件  日程第三 公共企業体等労働関係法の一部を改   正する法律案内閣提出)  日程第四 地方公営企業労働関係法の一部を改   正する法律案内閣提出)  日程第五 国家公務員法の一部を改正する法律   案(内閣提出)  日程第六 地方公務員法の一部を改正する法律   案(内閣提出)    午後二時五十五分開議
  2. 船田中

    議長船田中君) これより会議を開きます。      ————◇—————  日程第一 原子爆弾被爆者医療等に関する   法律の一部を改正する法律案内閣提出
  3. 船田中

    議長船田中君) 日程第一、原子爆弾被爆者医療等に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。
  4. 船田中

  5. 藤本孝雄

    藤本孝雄君 ただいま議題となりました原子爆弾被爆者医療等に関する法律の一部を改正する法律案について、社会労働委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  現在、医療手当支給限度額法律で定めておりますが、本案は、これを弾力的に運用するため、政令で定めようとするものであります。  本案は、去る三月二十四日本委員会付託となり、四月十五日の委員会において、質疑を終了し、採決の結果、本案修正議決すべきものと議決した次第であります。  なお、本案に対しては、本法の施行にあたり、今後一そう改善努力し、かつ国民健康保険などの財政上の負担が加重している実情にかんがみ、抜本的対策を検討する等の附帯決議を付することに決しました。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  6. 船田中

    議長船田中君) 採決いたします。  本案委員長報告修正であります。本案委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 船田中

    議長船田中君) 御異議なしと認めます。よって、本案委員長報告のとおり決しました。      ————◇—————  日程第二 結社の自由及び団結権保護に関する条約(第八十七号)の締結について承認を求めるの件  日程第三 公共企業体等労働関係法の一部を  改正する法律案内閣提出)  日程第四 地方公営企業労働関係法の一部を   改正する法律案内閣提出)  日程第五 国家公務員法の一部を改正する法   律案内閣提出)  日程第六 地方公務員法の一部を改正する法   律案内閣提出
  8. 船田中

    議長船田中君) 日程第二、結社の自由及び団結権保護に関する条約(第八十七号)の締結について承認を求めるの件、日程第三、公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律案日程第四、地方公営企業労働関係法の一部を改正する法律案日程第五、国家公務員法の一部を改正する法律案日程第六、地方公務員法の一部を改正する法律案、右五件を一括して議題といたします。
  9. 船田中

  10. 大橋武夫

    大橋武夫君 ただいま議題となりました五案件につきまして、国際労働条約第八十七号等特別委員会における審議経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、各案件要旨について申し上げます。  条約は、労働者及び使用者がみずから選択する団体を結成し、またはこれに加入する権利をいかなる差別もなしに有すること、労使団体がその規約及び規則を作成して完全な自由のもとにその代表者を選び、その管理及び活動を定め、並びにその計画を立案する権利を有すること、労使団体は、自由に連合及び総連合を設立することができること等、労使団体結社の自由についての諸原則規定し、これを保障しているのであります。本条約は、その批准登録された日の後十二カ月で効力を生ずることになっております。  次に、公労法地公労法の各一部を改正する法律案両案について、その要旨を申し上げます。  さきに述べました条約批准することとするに伴いまして、  第一に、職員でなければ組合員またはその役員となることができない旨の規定は、条約に定める無差別加入原則並びに代表者の自由な選出についての規定に抵触するので、これを削除することといたしております。  第二は、管理監督地位にある者及び機密事務を取り扱う者は労働組合を結成し、またはこれに加入することができない旨の規定も、この際、条約趣旨にかんがみ削除しようとするものであります。  第三は、争議行為を共謀、教唆、扇動することを禁止される者の範囲職員以外の組合員及び役員を加えようとするものであります。  第四に、職員労働組合業務にもっぱら従事することができないという原則規定するとともに、当局が相当と認めて許可した場合は、その者の職員としての在職期間を通じて三年をこえない範囲内において役員として組合業務にもっぱら従事することができることとし、さらにこの許可を受けた者は、その許可効力を有する間は休職者とし、その期間退職手当の算定の基礎となる勤続期間に算入されないことを規定しようとするものであります。  なお、この法律施行の日から二年間は、従前の例により在籍専従を認めることができることとしようとするものであります。  次に、国家公務員法の一部を改正する法律案について、その要旨を申し上げます。  まず第一に、新たに職員団体目的及び性格を明確にし、職員団結権については、条約趣旨にかんがみ、警察職員等団結を禁止される職員のうちから消防庁の職員を除くこと、及び管理もしくは監督地位にある職員または機密事務を取り扱う職員とこれらの職員以外の職員とは同一の職員団体を組織することができないこととするほか、登録制度との関係において、その身分について係争中の離職者等職員団体加入及び職員でない者の職員団体役員就任が否定されることのないよう改めようとするものであります。  第二に、職員団体登録制度及び職員団体交渉については、その手続及び要件等必要な事項を法定することとしようとするものであります。  第三に、在籍専従についてでありますが、さきに述べた公労法地公労法と同様の改正をしようとするものであります。  第四に、新たに内閣総理大臣中央人事行政機関の一とし、各行政機関が行なう人事管理に関する方針計画等に関しその統一保持上必要な総合調整を行なうこととするに伴い、総理府総務長官は国務大臣をもって充てること、総理府総務長官を一人増員することとし、その事務を担当する部局として総理府人事局を設置しようとするものであります。  第五に、国家公務員地方公務員及び公共企業体職員労働関係基本に関する事項を調査審議させるため、総理府公務員制度審議会を設置しようとするものであります。  次に、地方公務員法の一部を改正する法律案について、その要旨を申し上げます。  第一に、職員団体につきましては、その目的乃び性格登録交渉在籍専従等につき、さきに述べました国家公務員法の一部を改正する法律家に準じた改正をしようとするものであります。  なお、登録に関する事務は、人事委員会を置かない地方公共団体においては、公平委員会が行なうこととしようとするものであります。  第二に、職員の給与の支払いについての原則国家公務員の場合と同様のたてまえで、地方公務員法自体において規定しようとするものであります。  第三に、教育公務員特例法の一部を改正し、公立学校職員にかかる管理職員等範囲は、国立学校職員の例に準じ、人事委員会または公平委員会規則で定めることとしようとするものであります。  なお、四法案はいずれも公布の日から起算して九十日をこえない範囲内で政令で定める日から施行することといたしております。  以上各案件は一月二十二日に提出され、二月十二日本院において本特別委員会の設置を見、条約及び公労法地公労法の一部改正案の三件が付託となり、さらに二月十六日国家公務員法地方公務員法の一部改正案付託されたのであります。  本委員会においては、四月六日政府から各案件について提案理由説明を聴取し、四月十日、内閣総理大臣その他関係大臣の出席を求め、ILO案件解決への熱意、ドライヤー委員会提案による労使双方定期的会合、日教組と文部大臣との話し合いに関する問題、公務員労働基本権に関する問題等について質疑がなされたのでありますが、その詳細につきましては会議録に譲ることといたします。  四月十五日、条約承認、四法案はいずれも可決いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  11. 船田中

    議長船田中君) 日程第三ないし第六の四案に対しては、それぞれ三木武夫君外二十八名から成規により修正案提出されております。
  12. 船田中

    議長船田中君) この際、修正案趣旨弁明を許します。栗山礼行君。   〔栗山礼行登壇
  13. 栗山礼行

    栗山礼行君 私は、自由民主党日本社会党民主社会党の三党を代表し、ただいま議題となりました公共企業体等労働関係法地方公営企業労働関係法国家公務員法地方公務員法の各改正案に対する修正案について、一括してその趣旨弁明を行ないたいと存じます。(拍手)  昭和三十五年四月ILO案件が初めて国会提案されまして以来、今日まで実に五年、この間われわれの努力にもかかわらず本案件は六たび流産し、ドライヤー日調査団来日など幾多の紆余曲折を経て、今日ここに議長裁定に基づき各党意見一致してその円満な解決を見んとしていることは、まことに感慨無量なるものがございます。(拍手)  このたびの議長裁定案は、各党立場よりすれば多くの不満があるとはいえ、とにもかくにも最大の政治課題でありました八十七号条約批准がここに実現し、国内法改正に関する各党意見対立を当面凍結して、その疑義を第三者機関で再検討せしめることによって問題の建設的解決国会正常化をはかり得ましたことは、まことに貴重な成果というべきでございましょう。このことを通じて、われわれはようやくにしてILO当局に対し国際的責務を果たすと同時に、ドライヤー見解で戒められた諸点についてこれを回避し得ましたことは、まことに喜ばしき限りでございます。(拍手)  私は、ここに三党を代表し、このたびの議長の御努力を高く評価するとともに、事態収拾のために各党が示された公正なる態度に対し深い敬意を表するものでございます。(拍手)  さて、本修正案内容並びにこれを提出するに至った経緯と理由につきましては、すでに各党ともよく御承知のとおりでありますので、ここではその骨子を簡単に御説明申し上げたいと存じます。  すなわち、本修正案におきましては、  第一に、政府提案条約批准に伴う国内法改正法案は、内容的に多くの問題点が存在していることにかんがみ、この際それらの問題点については、第三者機関たる公務員制度審議会で慎重に御審議願い、その答申を得るまでの間、それらの諸条項につきましては、その施行を延期するとともに、答申が行なわれた場合は、これを尊重して所要改正を行なうことといたしたのであります。  第二に、その具体的措置といたしまして、各改正案施行期日規定にただし書きを設け、特定の規定施行については、別に政令で定める日から施行することといたしたのであります。同時に、その該当条文といたしましては、公労法第七条、地公労法第六条、国家公務員法第九節職員団体地方公務員法第八条、同じく第五十二条ないし第五十五条の二、附則第二十項、附則第三条の各条といたしたのであります。  以上が、修正案内容とその提案理由の概要でございます。何とぞ皆さま方の御賛同を衷心からお願い申し上げる次第でございます。(拍手)  この際、私は、過去五年間のILO審議あとを顧みまして、一言われわれの所見を申し述べておきたいと存じます。  すなわち、それは、かかる国際的責務を負い、かつは、わが国労働者労働基本権の根源に触れる重要法案につきましては、政府はもとより、各党は極力党利党略を排し、公正かつ妥当なる解決策を打ち出すべきであったと思うのであります。もし、法案提出者である政府が、かりにILO案件条約批准と直接抵触条項改正にしぼって提案したならば、今日のILOをめぐる紛糾は何ら生じ得なかったと信ずるのであります。(拍手)まさに、ILO問題は、このような出発点からのつまずきによって、文字どおり終日春を求めて春を見ずの経過をたどり、特にILO史上前例のない調査団来日調査を受け、かつは、国会審議の過程において幾たびか紛糾を重ね、この間国会権威を失墜せしめるなど、われわれはこの機会にひとしく猛反省を行なうべきであるとかたく信ずるのであります。  ILO問題は、この修正案の可決を通じて当面の解決を見たのでありますが、その本質的な解決は今後の公務員制度審議会審議に持ち越されることになったのであります。したがいまして、今後公務員制度審議会における本案件審議は、特に慎重かつ公正に行なわれなければならないと確信をいたすのであります。この見地に立って、この際すみやかに公務員制度審議会を発足させ、本件に関する諸問題を円満かつ公正に解決し、条約発効に支障を来たさざるよう各党の御協力を特に切望申し上げる次第であります。(拍手)  もしそれ、公務員制度審議会運営並びに審議が帯び党利党略によって行なわれることがあるといたしますならば、本日ここに三党一致修正案をもって事態収拾をはかることの意味が全く失われますことは言うまでもございません。われわれは、今回のILO審議を通じて学び取ったこれらのとうとい教訓を今後の国会運営に生かし、厳に国会権威を保持し、常にその機能を最大限に発揮して、もって全国民の負託にこたえねばならないと存ずるのであります。  ここにわれわれの見解を明らかにし、三党を代表しての私の提案趣旨説明といたす次第でありますが、最後に、重ねて、全会一致の御賛同を賜わりますよう切に要望し、私の趣旨弁明を終わる次第でございます。(拍手)     —————————————
  14. 船田中

    議長船田中君) これより討論に入ります。  五件及び四修正案に対する討論を一括して行ないます。順次これを許します。澁谷直藏君。   〔澁谷直藏登壇
  15. 澁谷直藏

    澁谷直藏君 ただいま議題となりました結社の自由及び団結権保護に関する条約(第八十七号)の締結について承認を求めるの件、及び公労法地公労法国公法地公法の各一部を改正する法律案、並びに自民社会民社党共同提出にかかる修正提案につき、自由民主党を代表して賛成討論を行ないます。  ILO八十七号条約批准の問題は、昭和三十二年以来約八年にわたる長年の懸案でありまして、その批准の達成は、すでにわが国ILOに対する国際的な公約であり、あとう限りすみやかな実現が待望されているところであります。  同条約は、ILOがその目的とする労働条件改善、平和の確立等のための不可欠の手段として重視している結社の自由の原則国際的規制のもとに確保しようとするものでありまして、数あるILO条約の中でも特に基本的な重要性を認められているものの一つであります。  わが国は、同条約姉妹関係にある九十八号条約については、すでに昭和二十八年に批准を了しているところでありまして、いまや、この八十七号条約についてもすみやかにその批准を行なうことが、わが国もまた国際労働憲章の精神を完全に実施するものであることを世界に顕示するゆえんであり、また、わが国における正常な労使慣行を確立する上からも、さらにまた、労働問題の分野におけるわが国国際的地位を高める上からもきわめて有意義であると信ずるものであります。  ところで、この条約批准承認案件につきましては、同時に公労法地公労法国家公務員法及び地方公務員法の一部を改正する法律案提出されております。これらの法案趣旨は、八十七号条約に抵触する国内法規定改正するとともに、労使関係の正常な運営を確保するため関係法律整備を行なうことにあるわけであります。しこうして、政府が前後七回にわたって国会関係案件提出を行ない、批准実現のための努力を傾注しているにもかかわらず、これまで同条約批准難航を続けた原因は、同条約そのもの批准の是非の問題ではなく、むしろこの批准に伴うこれらの法案の問題にあったことは周知のとおりであります。  わが党といたしましては、この八十七号条約批准にあたっては、国内法中同条約に抵触する規定改正することはもとより、同時に労使関係の正常な運営を確保するため関係法律について所要整備を行なうことが絶対に必要であるとかねてから確信いたしておるものであります。すなわち、わが国においては、広く民間一般労働分野では、すでに八十七号条約規定する結社の自由の原則は完全に確立されているのでありまして、今日同条約批准を行なうに際して問題となるのは、もっぱら国及び地方公共団体公務員並びに公共企業体職員労働関係分野に限られるのであります。しこうして、これらの者はいずれも勤労者としてその結社の自由を尊重されるべきことは当然でありますが、反面、公務員は憲法に明定するとおり全体の奉仕者として公共の利益のために勤務する者であり、公共企業体職員もまた、公務員ではありませんが、公務員に準ずる者としてきわめて高度の公共性を有する事業に従事するものであり、いずれもその本来の性格からして、その労使関係の正常な運営の確保が最大限に要請されるところであります。  しかるに、わが国労働運動は、戦後の二十年を通じて、その発展はきわめて顕著なものがありますが、何ぶんにもいまだその歴史が浅く、ややともすればいわゆる政治的偏向におちいり、民主的運営に欠けることとなりやすい傾向が残存し、特にこの傾向官公部門労働団体において著しいことは、遺憾ながら認めざるを得ない事実であります。  そもそも、目下八十七号条約との関連において改正を予定されておりまする現行公労法四条三項、地公労法五条三項等の規定も、当時、関係労働団体が外部の急進的勢力の支配のもとに、はなはだしい政治的偏向におちいった事態に対する当然の配慮から必要な措置として設けられたものでありまして、今日の情勢のもとにおいて新たに八十七号条約批准し、これらの規定改正するに際しましても、自由にして民主的な労働団体発展をはかるとともに、公務員及び公共企業体職員労使関係の正常な運営を確保するに必要な措置を講ずることが立法府の当然の責務であると確信するものであります。(拍手)  しかしながら、政府がまさにこのような趣旨から従来国会提案しておりました関係法案は、なおその内容をめぐって種々の問題があり、国会においても第四十三国会及び第四十六国会では延べ八十時間にも及んで詳細かつ慎重な審議が行なわれたのでありますが、なおその成立を見るに至らなかったところであります。もっとも、このような国会審議を通じて、八十七号条約批准に伴う国内法整備をめぐる諸問題が究明されたことは、一つの大きな収穫であったと考えられるのでありまして、政府が今回国会提出した法案は、従来の政府提出法案とは異なり、従来国会において論議された点や、さらにILOから勧告された点等を配慮して修正を加え、慎重に作成されたものであります。一部には、これらの法案をもってあたかも弾圧法規であるかのごとき言説をなす向きもあるのでありますが、かくのごときは事をしいるもはなはだしいものといわなければなりません。(拍手)  したがいまして、わが党といたしましては、これらの政府提出法案は、その内容において八十七号条約批准に伴う関係国内法整備目的とする法案として妥当なものであることを確信するものであります。(拍手)以上申し述べた趣旨に立脚して、八十七号条約承認と、関係国内法規一括成立は、わが自由民主党の不動の基本方針であります。しかしながら、この問題は何ぶんにも長年にわたり難航を重ねた懸案であり、今回の法案に対しましてもなお一部にこれを批判する向きがあることは事実であります。また、労使関係法規性格からして、できるだけ労使双方の納得が得られるよう、最大限努力を尽くすべきこともまた当然であるといわなければなりません。今回のILO特別委員会における採決の結果、与野党間の意見対立が強まりまして、数日間にわたっていわゆる国会空白状態を惹起したことは、まことに遺憾千万といわざるを得ないのであります。この行き詰まりを打開するため、議長あっせん案を中心として与野党意見一致を見るに至り、その結果、自民社会民社党共同提案により提出された修正案は、この段階においてこの窮状を打開するものとしては適切なものであると考えまして、賛意を表するものであります。ただし、さきにも述べたように、八十七号条約承認と、関係国内法一括成立はわが党の基本方針であります。したがって、一年後の八十七号条約効力発生と同時に、今回の修正により施行を延期された各条項効力を発生するように措置されることは、わが自由民主党全党あげての強い要望であります。(拍手)  私は、やがて設置される公務員制度審議会が、公正な立場に立って一年後の本条約発効までに所要措置を完了し、各法律が完全に施行されることを心から期待してやまないものであります。(拍手)  政府におかれては、長年にわたる本案件審議経過、及び右に述べたわが党の強い要請を十分考慮せられまして、万全の措置を講ぜられんことを強く要望し、討論を終わります。(拍手
  16. 船田中

    議長船田中君) 山田耻目君。   〔山田耻目君登壇
  17. 山田耻目

    山田耻目君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました結社の自由及び団結権保護に関する条約八十七号の批准承認並びに関連する公労法地公労法国公法地公法の四法案に対し、民社党の栗山礼行君より趣旨弁明のありました、自民社会民社三党による共同修正案の指摘する内容を含めて、賛成討論を行ないたいと存じます。(拍手)  日本ILOに復帰いたしましたのは一九五一年でございます。このときILOに加盟しておる多くの国々から手きびしい非難が繰り返され、再加盟も危ぶまれる状態にありました。当時日本政府を代表して三十四回総会に出席いたしておりました日本代表は、ILOの長老でありましたフランスの前総理ポールラマディエ氏の仲介の労を願い、その非難を押えたのであります。そのときラマディエ氏は、「われわれはこの放蕩むすこの帰宅を快く迎えようではないか、全く違った経験を経てきた日本が、最もよき経験として、その社会福祉を最もより高い段階に導くことにあるととを将来必ず認めるであろう、そのことを強く希望する。」という歴史的な発言を行なって、日本の再加盟が承認されたのであります。それ以来十四年、ILO条約中最大の基本条約といわれます八十七号条約批准をめぐって、国内労組より団結権侵害の提訴がなされ、結社の自由委員会より日本政府に対し十六回の批准勧告がなされ、政府は、これに対し批准約束すること十三回、国会に本条約及び関係法案提出をすること七回、その間ILO結成以来最初の結社の自由実情調査調停委員会の発動を見、ドライヤー来日、いわゆる河野・倉石、自民社会両党の合意案の作成など、幾多の変遷の歴史をたどってまいったのでございます。  しかし、本日ここに条約八十七号の批准承認にわが党は賛成をし、船田議長の裁定による条約と関連四法案の取り扱いについての三項目を支持し、これを基礎とする三党共同の修正案実現を見るに至りましたことは、世界における六十七番目の条約批准国としてまさにその歴史的な一瞬を画そうといたしております。(拍手)わが党として実に感慨無量のものがございます。  私は、最後に、自後の関係諸問題の取り扱いにつきまして、佐藤総理大臣に一言要望いたさなくてはなりません。  あなたは、本年一月来日いたしましたILO調査団ドライヤー委員長が示した提示案をお受けになりました。三点ございましたが、骨子となる部分は、労使間に内在する根強い不信感を除去することを先決とし、問題点を話し合うために定期的会談を開き、その結果を国会報告することを示唆されておるのであります。このことの推進と実行は、総理、あなたの責任において、あなたのイニシアチブにおいて措置するよう求められておるのでございます。あなたはそれもお受けになりました。  ドライヤー委員長のいう抽象的な表現による根強い不信感とは、一体いかなる原因による不信の感情を指摘しておるのでありましょうか。ドライヤー委員長のいう不信感とは、条約の精神に見合う必要適切な立法措置によらなければ解消することのできないものであるということを述べておるのでございます。彼はこの本質をよく承知していながらも、内政干渉にわたらないよう、きわめて控え目に勧告したものと判断しなくてはなりません。(拍手)  ドライヤー委員長の帰国後、政府並びに労働側は、定期的会談に至る事前の折衝を数回にわたって開かれたと承知いたしております。その内容は、第一に、日教組の中央交渉等の保証であり、第二に、国家公務員地方公務員公共企業体職員の団交権等労働基本権の保証であり、第三に、本国会でただいま可決されようとする国内法の取り扱いにあったと了解いたしております。この事前折衝の事実が具体的に証明しておりますように、内在する根強い不信感とは、日本の官公労働組合が当然保持すべき労働基本権が、いまの官公労働法体系の中では保障されていないというところに、権利の問題として意識した不信感の根源が存在するといわなければならないのでございます。(拍手)  したがって、以下、私は、わが党の国内法の取り扱いについての態度を明らかにしておきたいと存じます。  船田議長の二十日の三党に対する裁定によりますれば、国内法の取り扱いについては、第一に、「施行期日規定にただし書きをつける。ただし、第〇条の規定は、別に政令の定める日から施行する。」とあります。この点につきましては、裁定本文第三項にいう、「関連四法案中の問題点に関する条項は、公務員制度審議会答申を得るまでその施行を延期し、審議会の答申はこれを尊重して所要改正を行なうものとする。」とあることと関連して、三党とも前向きの姿勢で公務員制度審議会答申が、ILOの精神にのっとり、労使の信頼回復を根底として、早期に導き出されるための努力をし合うという趣旨のものと理解いたすわけでございます。(拍手)  次に、わが党が政府提案法案のうち、次の諸点について強く反対した理由を申し述べておきたいと存じます。  一つは、在籍専従制度の廃止についてであります。在籍専従制度につきましては、西欧においてもその例があり、しかも終身雇用制のわが国においては、一度離職をすればその後の復職はきわめて困難であり、企業別組合が通常のわが国労働組織において公務員並びに公共企業体職員にのみ在籍専従制度を禁止することは、明らかに組合の弱体化をねらう以外の何ものでもないではございませんか。  二つは、登録、非登録組合による差別扱いについてであります。本来登録の扱いは、法人格を取得することによる差別も、それ以外に他の目的を持つことも許されないことは明らかであります。ILO五十四次報告の中にもそのことは明確に指摘を受けておるところであり、交渉在籍専従について登録による差別をつけることは、本条約第二条並びに第七条に違反するものであると断ぜざるを得ないのであります。  三つは、登録職員団体の構成員並びに職員団体組合員範囲は、当然当該組合が自主的に判断すべきものであって、登録要件としてその構成員を制限したり、管理職の範囲を不当に拡大して、組合の分断、弱体化をはかることは、組合の自主制を害し、八十七号の精神に違反するものであって、これまた容認できないところでございます。(拍手)  四つは、交渉手続の制限や、チェックオフの禁止などは、本来労使双方の話し合い、協定において行なうべきものであり、法律で一方的に規制することは、国家権力の不当な介入といわざるを得ません。  以上、幾多の自由な組合活動を制限する法案提出を見たことは、きわめて遺憾であり、この点は、新しく発足する公務員制度審議会において、労働基本権前進の方向で検討されることを強く期待しつつ、討論を終わる次第であります。(拍手
  18. 船田中

    議長船田中君) これにて討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。  まず、日程第二につき採決いたします。  本件は委員長報告のとおり承認するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 船田中

    議長船田中君) 御異議なしと認めます。よって、本件は委員長報告のとおり承認するに決しました。(拍手)  次に、公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律案に対する三木武夫君外二十八名提出修正案につき採決いたします。  三木君外二十八名提出修正案賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  20. 船田中

    議長船田中君) 起立多数。よって、修正案は可決されました。  次に、ただいま修正議決した部分を除いたその他の原案につき採決いたします。  修正部分を除いたその他の原案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  21. 船田中

    議長船田中君) 起立多数。よって、修正部分を除いたその他の原案は可決されました。  次に、地方公営企業労働関係法の一部を改正する法律案に対する三木武夫君外二十八名提出修正案につき採決いたします。  三木君外二十八名提出修正案賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  22. 船田中

    議長船田中君) 起立多数。よって、修正案は可決されました。  次に、ただいま修正議決した部分を除いたその他の原案につき採決いたします。  修正部分を除いたその他の原案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  23. 船田中

    議長船田中君) 起立多数。よって、修正部分を除いたその他の原案は可決されました。  次に、国家公務員法の一部を改正する法律案に対する三木武夫君外二十八名提出修正案につき採決いたします。  三木君外二十八名提出修正案賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  24. 船田中

    議長船田中君) 起立多数。よって、修正案は可決されました。  次に、ただいま修正議決した部分を除いたその他の原案につき採決いたします。  修正部分を除いたその他の原案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  25. 船田中

    議長船田中君) 起立多数。よって、修正部分を除いたその他の原案は可決されました。  次に、地方公務員法の一部を改正する法律案に対する三木武夫君外二十八名提出修正案につき採決いたします。  三木君外二十八名提出修正案賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  26. 船田中

    議長船田中君) 起立多数。よって、修正案は可決されました。  次に、ただいま修正議決した部分を除いたその他の原案につき採決いたします。  修正部分を除いたその他の原案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  27. 船田中

    議長船田中君) 起立多数。よって、修正部分を除いたその他の原案は可決されました。   〔拍手〕      ————◇—————
  28. 船田中

    議長船田中君) 本日は、これにて散会いたします。    午後三時四十四分散会      ————◇—————  出席国務大臣         外 務 大 臣 椎名悦三郎君         厚 生 大 臣 神田  博君         労 働 大 臣 石田 博英君         自 治 大 臣 吉武 恵市君         国 務 大 臣 増原 恵吉君  出席政府委員         内閣法制次長  吉國 一郎君         内閣法制局第一         部長      関  道雄君      ————◇—————