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1965-04-06 第48回国会 衆議院 本会議 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年四月六日(火曜日)     ―――――――――――――  議事日程 第二十六号   昭和四十年四月六日    午後二時開議  第一 沖繩及び小笠原諸島における施政権返還   に関する決議案坪川信三君外十名提出)          (委員会審査省略要求案件)  第二 北方領土返還に関する決議案坪川信三   君外十名提出)          (委員会審査省略要求案件)  第三 自治省設置法の一部を改正する法律案(  内閣提出)     ――――――――――――― ○本日の会議に付した案件  日程第一 沖繩及び小笠原諸島における施政権   返還に関する決議案坪川信三君外十名提   出)  日程第二 北方領土返還に関する決議案坪川   信三君外十名提出)  日程第三 自治省設置法の一部を改正する法律   案(内閣提出)  加工原料乳生産者補給金等暫定措置法案内閣   提出)及び牛乳法案芳賀貢君外十一名提   出)の趣旨説明及び質疑     午後二時八分開議
  2. 船田中

    議長船田中君) これより会議を開きます。      ――――◇―――――  日程第一 沖繩及び小笠原諸島における施政権返還に関する決議案坪川信三君外十名提出)(委員会審査省略要求案件
  3. 船田中

    議長船田中君) 日程第一は、提出者より委員会審査省略申し出があります。右申し出のとおり決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 船田中

    議長船田中君) 御異議なしと認めます。  日程第一、沖繩及び小笠原諸島における施政権返還に関する決議案議題といたします。     ―――――――――――――   沖繩及び小笠原諸島における施政権返還に関する決議案  右の議案を提出する。   昭和四十年三月三十一日       提出者        坪川 信三  小平 久雄        伊能繁次郎  金丸  信        草野一郎平  細田 吉藏        床次 德二  柳田 秀一         堂森 芳夫  中嶋 英夫        鈴木  一       賛成者        佐々木秀世 外二十八名     ―――――――――――――      沖繩及び小笠原諸島における施政権返還に関する決議案   沖繩及び小笠原諸島米国施政下に入つてすでに二十年の長期にわたろうとしている。この間、本院はこれまで四回にわたつて沖繩及び小笠原諸島施政権返還決議を行ない、沖繩立法院もまた十一回にわたり日米政府に対し「施政権返還祖国復帰要請決議」を行なつてきたが、いまなおその実現をみていないことは、はなはだいかんである。   よつて本院は、沖繩住民とすべての日本国民の強い願望にこたえ、これまでの決議を尊重し、この際、日本政府がすみやかに最善措置を講ずるよう強く要望する。   右決議する。     ―――――――――――――
  5. 船田中

    議長船田中君) 提出者趣旨弁明を許します。床次徳二君。   〔床次徳二登壇
  6. 床次徳二

    床次徳二君 ただいま議題となりました自由民主党日本社会党及び民主社会党の三党共同提案にかかる沖繩及び小笠原諸島施政権返還に関する決議案について、提案者代表し、その提案の理由を御説明いたします。  まず、決議文を朗読いたします。     沖繩及び小笠原諸島における施政権返還に関する決議案   沖繩及び小笠原諸島米国施政下に入つてすでに二十年の長期にわたろうとしている、この間、本院はこれまで四回にわたつて沖繩及び小笠原諸島施政権返還決議を行ない、沖繩立法院もまた十一回にわたり日米政府に対し「施政権返還祖国復帰要請決議」を行なつてきたが、いまなおその実現をみていないことは、はなはだいかんである。   よつて本院は、沖繩住民とすべての日本国民の強い願望にこたえ、これまでの決議を尊重し、この際、日本政府がすみやかに最善措置を講ずるよう強く要望する。   右決議する。   〔拍手〕 以上であります。  沖繩及び小笠原諸島施政権の可及的すみやかなる復帰は、九十万沖繩同胞悲願であり、また、小笠原島民願望でもあり、わが国民がこぞって熱望しているところであります。しかるに、沖繩及び小笠原諸島わが国より分離せられ、米国施政下に入ってからすでに二十年の長きを経過しようとしています。その間、われわれ国民は、沖繩及び小笠原同胞とともに、常にひとしくその祖国復帰施政権返還を念願し、その実現につとめてまいったのであります。すなわち、本院におきましては、すでに過去四回にわたり沖繩及び小笠原諸島復帰につき決議を行ない、政府に善処を要望いたしました。また、沖繩におきましても、立法院はすでに十一回にわたって祖国復帰決議を行ない、日米両国政府に対しその実現要請してまいっております。しかるに、政府努力にもかかわらず、いまだにその返還実現しないことはまことに遺憾であります。わが国は、敗戦の惨禍より復興し、いまや著しい繁栄への道をたどっているのに反し、沖繩及び小笠原諸島は、依然として米国施政下にあって、祖国から分離せられたままであります。その状況は著しく改善せられ、民生向上したとはいいながら、本土生活水準に比較すると、まだほど遠い感があります。のみならず、その同胞の心境を察しますに、いよいよ衷心から同情の念を禁じ得ぬものがあります。われわれは、沖繩及び小笠原諸島が完全に日本復帰し、特に沖繩に関しては、名実ともにひとしく日本人としての生活ができ、喜びも悲しみも分かち合える日が一日も早く来ることを切望するものであります。(拍手)  もとより、沖繩及び小笠原諸島は、極東における緊張を緩和し、平和を確保する安全保障上の目的のため、米国施政権を保持しているのでありますが、数次にわたる日米交渉の結果、ただにわが国がその潜在主権を有することが明らかにせられたのみならず、すでに昭和三十二年六月には、岸総理大臣及びアイゼンハワー大統領共同声明において、さらに昭和三十六年六月には、池田総理大臣ケネディ大統領による日米共同声明において、また、これに伴う昭和三十七年三月のケネディ大統領声明においで、さらに近くは、本年一月の佐藤総理大臣ジョンソン大統領日米共同声明において、米国も、わが国民及び沖繩住民の熱烈なる願望に対する十分の理解を示し、これらがわが領土の一部であることを認め、極東における自由世界安全保障上の利益がこの希望実現を許す日を待望していると述べているのであります。このことは沖繩に対する米国施政の前進を意味し、また、その返還への道が一歩開かれたものとして歓迎せられているところであります。  また、米国は、その施政にあたりましても、沖繩住民民生安定、福祉向上のため、相当規模経済援助を続け、沖繩本土復帰した場合において、いわゆる本土県並み水準に達していることを期待し、努力しているのであります。これに対して、わが国は、母国としての立場から、経済教育医療技術等援助を通じて協力を続けてまいっています。ちなみに、沖繩に対するわが国からの財政援助額を見てみますと、一昨年の十億円から、昨年は二十億円に、さらに本年度は三十億円を支出することになり、飛躍的な増加となっています。しかし、本土並み生活を確保するためには、われわれ同胞として、なおなすべきことがきわめて多いのでありまして、その責任のいよいよ大なるものを感ずるのであります。  この日米協力体制は、昨年発足した日米協議委員会及び日米琉技術委員会の場において次第に成果をあげ、いまやその運営も円滑化しつつあります。本年一月の佐藤ジョンソン会談成果として、その共同声明に見られるとおりであり、さらに、今後は、沖繩に対する経済援助の問題にとどまらず、引き続き、沖繩住民福祉向上をはかるために、日米両国協力し得る他の問題についても協議し得るよう日米協議委員会機能拡大せられることになり、先般その公文書が交換され、今後は具体的内容の検討が行なわれていくものと思われますが、その改正趣旨を十分に活用せられ、でき得る限り国民の要望にこたえられたいのであります。  現地沖繩におきましては、昨年交代したワトソン新高等弁務官は、よく島民の意向を尊重し、著しい改善を行ない、立法院及び琉球政府主席もこれに協力し、それぞれ自治権拡充民生向上等のため一そうの努力を払いつつあることは、まことに同慶にたえぬところでありますが、今後の成果について、現地住民とともに、われわれ母国同胞としても大いに期待したいと存ずる次第であります。  現下の極東情勢は、著しく不安定かつ複雑であります。沖繩は、わが国の平和と安全、ひいては極東の平和と安全のため、きわめて重要な地位を占めていることは明らかなことでありますが、しかしながら、それなるがゆえに、沖繩及び小笠原諸島がそのままいつまでも米国施政下にあってよろしいというものではありません。いかに友好親善関係にありましょうとも、長期にわたって同胞が異民族統治下にあることがいかなるものであるかは、いまさら申し上げるまでもありません。米国は、極東における自由世界安全保障上の利益がこの希望実現を許す日を待望すると、一応その返還について同意を与えているのであります。しかし、可及的早い機会にこの沖繩日本返還されることこそが、われわれ国民の、そしてまた沖繩島民の強い願望であります。この一億同胞復帰願望を一日もすみやかに実現することこそ、さらに一そう極東の平和と安全を確保するゆえんであります。  もちろん、この希望実現するまでの間は、可及的に、住民自治権を、あるいは立法に、あるいは司法に、行政に、それぞれ拡大するとともに、教育改善に、社会保障充実に、産業拡充等民生の安定と福祉向上のためあらゆる努力をするとともに、他面において、日米経済援助拡大につとめつつ、一日もすみやかに本土並み沖繩実現すべきであります。  かかる意味において、今回の佐藤ジョンソン共同声明による日米協議委員会機能拡大に伴い、いよいよ同委員会積極的活動を期待するところが大であります。政府においても、特にその意のあるところに従って、すみやかなる復帰に対し万全の措置を講ずべきであります。かくしてこそ初めて沖繩同胞の熱望と国民悲願にこたえることができるとともに、真の日米両国友好親善を確保することができるのであります。ここに、政府に対して格段の努力を要望する次第であります。  なお、小笠原諸島については、特に今回の共同声明により、米国が旧小笠原島民代表墓参をも好意的に検討することに同意し、それがすでに実施されようとしていることは、まことに喜ばしいことであります。しかし、郷土を追われて二十年、いまだに帰島を許されぬ島民の心情は、察するに余りがあります。その帰島の実現とともに、その復帰返還についても、政府最善措置をとられんことを強く要望するものであります。  以上の趣旨によりまして、ここに本決議案提案いたしました次第であります。何とぞ、満場の諸君の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)     ―――――――――――――
  7. 船田中

    議長船田中君) 討論の通告があります。順次これを許します。西岡武夫君。   〔西岡武夫登壇
  8. 西岡武夫

    西岡武夫君 私は、自由民主党代表いたしまして、沖繩及び小笠原諸島における施政権返還決議案に対し、賛成の意を表するものであります。(拍手)  沖繩小笠原諸島施政権がすみやかに母国日本復帰することは、九十六万沖繩同胞並びに小笠原島民の長年にわたる強い願望であり、かつまた、本土国民総意であります。沖繩小笠原諸島米国施政下に入ってからすでに二十年の長きに及んでおります。しかるに、いまなおその返還実現を見ないことは、まことに遺憾であります。  沖繩及び小笠原諸島施政権返還については、高度の政治問題としてすでに昭和三十二年六月の岸総理大臣アイゼンハワー大統領会談において、日本国民の強い希望が強調されており、また、昭和三十六年六月の池田総理大臣ケネディ大統領会談においても、同様の主張が行なわれているのであります。米国は、これに対し、わが国がこれら諸島に対して潜在主権を有することを認めるとともに、極東における自由世界安全保障上の利益がこの希望実現を許す日を待望していると表明しております。さらに、それが実現するまでの間においても、沖繩住民安寧福祉向上するために、一そうの努力を払う旨述べられているのであります。また、本年一月に行なわれた佐藤総理大臣ジョンソン大統領会談においては、佐藤総理大臣は、これら諸島施政権ができるだけ早い機会日本返還されるようにとの要請を表明したのに対し、ジョンソン大統領は、日本政府及び国民願望に対して深い理解を示したのであります。  しかしながら、われわれは、これをもって満足するものでは断じてないのであります。(拍手)言うまでもなく、沖繩住民日本国民であり、私ども同胞として、一日もすみやかに母国日本復帰する日を衷心より待望しております。ところが、不幸にして極東政治情勢はますます緊張の度を加え、自由世界における安全保障上の利益が、いまだ好むと好まざるとにかかわらず、沖繩及び小笠原諸島母国日本復帰せしめる段階に至っていないことは、まことに残念にたえません。さき大戦により多数の犠牲者を出し、そのほとんどが灰じんに帰した沖繩を思うとき、また、二十年の長きにわたって母国を離れている沖繩同胞を思うとき、心痛むものがあります。私どもは、世界平和と安全のために沖繩及び小笠原諸島が重要な役割を果たしていることについて、十分な理解を有するものであります。しかし、そのことが施政権返還実現をおくらせてよいというものではないと確信いたします。(拍手)  自由民主党は、国民総意に基づき、今後さらに政府を鞭撻し、施政権返還実現努力するの強い決意をここに表明するものであります。(拍手)さらにまた、その復帰を見るまでの間においても、沖繩住民安寧福祉向上については、瞬時といえども、これを軽視することは許されない問題であることを銘記しなければなりません。  昭和三十六年の池田総理大臣ケネディ大統領による共同声明を契機として、米国側においても、プライス法改正を行なう等、逐次沖繩援助を強化しております。わが国もまた、昭和三十七年以降、年々援助額を増加し、昭和三十九年度において約二十億円、昭和四十年度においては約三十億円が、沖繩産業開発社会福祉医療教育技術援助等の分野に支出されることになったことは、われわれの決意を具体化したものであります。  しかしながら、沖繩現状を見るとき、教育及び民生福祉等水準において、本土同胞と比較して、いまなおかなりの隔たりがあることは事実であります。私どもとしては、沖繩住民の所得が増加するとともに、社会保障制度社会施設が設備され、また、教育充実がはかられる等により、沖繩住民生活が安定し、日々の生活において本土同胞と何ら劣ることのないよう、一そうの努力を重ねる必要があることを痛感するものであります。  幸い、本年一月の佐藤総理大臣ジョンソン大統領会談において、昨年発足した沖繩に関する日米協議委員会が、今後は、経済援助の問題にとどまらず、沖繩住民安寧福祉向上をはかるため、日米両国協力し得るすべての問題について協議し得るよう、その機能拡大されることになったのは、時宜を得た処置であり、今後は、同委員会沖繩住民の幸福のために適切に運営され、力強くその効果をあげていくことを期待してやみません。(拍手)  二十年の長きにわたり、みずからの墳墓の島を離れて、いまだにその島に帰ることが許されていない旧小笠原島民に対しては、衷心より同情を禁じ得ないものがあります。この問題については、日米首脳者会談の結果、長年の希望がいれられて、近く元住民代表による墓参が行なわれようとしていることは、まことに喜ばしいことでありますが、さらに前進し、島民の皆さんが自由にふるさとの島に帰ることの許される日が、一日も早く実現することを念願してやみません。  最後に、私は、沖繩小笠原諸島施政権返還は、われわれ国民の重大なる責務であることを自覚し、かつまた、わが自由民主党は、その目的達成に全力を傾ける決意をここに披瀝し、決議案賛成の意を表する次第であります。(拍手
  9. 船田中

    議長船田中君) 川崎寛治君。   〔川崎寛治登壇
  10. 川崎寛治

    川崎寛治君 私は、日本社会党代表いたしまして、ただいま議題となりました決議案に対し、賛成討論を行なわんとするものであります。(拍手)  太平洋戦争末期、わずか三カ月の沖繩戦に、二十万近くの犠牲者を生み、しかも、その半数近くは非戦闘員沖繩県民であったということを忘れることはできません。戦後日本奇跡的復興につけても、本土が戦場にならなかった幸福をいまさらのように思うのでありますが、それは、ある意味沖繩同胞犠牲の上において、みずからは最大の不幸を免れたと言えましょう。  しかるに、沖繩立法院の十一回にも及ぶ決議文に見られますとおり、沖繩百万同胞は、平和条約第三条によって、祖国から分離され、米国施政下に置かれることに強烈に反対の意思表明をしたにもかかわらず、米国統治下に置かれ、軍事基地の運命を背負わされたのであります。  日本社会党は、昨年の十月には中村高一氏を、この二月には佐々木委員長を団長とする大規模沖繩調査団を派遣いたしました。派遣団現地をつぶさに視察し、各階層の方々ともひざをつき合わせて話し合い、沖繩同胞の置かれているきびしい現実と悲痛な祖国復帰願いを受けとめてまいったのであります。私はこの二度の派遣団事務局長として参加いたしました。昨年の十月には、わが党の大原、卜部代議士とともに国会議員としては初めて沖繩最北端辺戸岬に立って、目と鼻の鹿児島の最南端の与論島の灯をながめ、分断されている民族の悲劇に悲憤の涙を流したのであります。(拍手)  一九六二年のケネディ政策発表以後、日本政府からの経済援助費はいささかの増額を見ましたが、本土各県と比較いたしますならば、全く比較になりません。また、自治権拡大もいまだ道遠いといわざるを得ないのであります。県民生活の根幹である電力も水も米軍に押えられています。言論、結社の自由もありません。限りなく続発する米軍関係の事件にいたしましても、みずからの裁判を受ける権利はなく、さらには、社会保障制度すら皆無にひとしい状況にあります。また、基幹産業である糖業本土政府貿易自由化政策のために大きな打撃を受け、農民は不安におののいているのであります。  二月、私たち沖繩にいますとき、ライシャワー米国大使沖繩をたずね、自由と平和の名のもとに沖繩県民の価値ある犠牲を説かれたのでありますが、さきに述べました沖繩のきびしい現状が価値ある犠牲の代償にほかならないのであります。沖繩県民日本国民であります。沖繩日本領土の一部であります。すべて国民は法のもとに平等であると憲法第十四条はうたっているにもかかわらず、百万同胞は、この長い二十年間大きな差別を受けてまいりました。そして、その差別はいつ果てるとも知れないのであります。  これはすべて平和条約第三条に基づく米国施政権の行使にあります。第二次世界大戦後二十年、沖繩のような例を世界のどこに見ることができましょうか。(拍手)外国の学者も、平和条約第三条を怪物と評しているではありませんか。今日、日本国際法学者の多くは、この第三条は無効であるという説をとっています。いまや沖繩信託統治制度のもとに置かれないことは一〇〇%確実であります。国連憲章第七十六条の信託統治制度基本目的に照らしてみても、また、国連加盟国になった地域には信託統治制度は適用しないという第七十八条から見ても、平和条約第三条に基づく米国沖繩支配法的根拠はすでに失われているといわざるを得ないのであります。(拍手)わが党は、それゆえに、この問題を国連に提訴することをすでに政府に申し入れているところであります。  去る一月の佐藤ジョンソン会談には国民は大きな期待をかけました。しかし、残念ながら、日米共同声明は、施政権返還の日が遠いことを思わせるにとどまったのであります。訪米の成果について佐藤総理三木自民党幹事長がわが党幹部に語ったところによれば、日米協議委員会機能機構拡大で、米国側と今後施政権返還や主席公選問題などを話し合えるようになったとのことでありましたが、去る四月二日、すなわち、この返還決議案上程予定が突如延期された日、書き改められました日米協議委員会に関する交換公文を見ますと、それらの問題は高度の政治問題とのゆえに、完全にはずされてしまっているではありませんか。残念しごくといわざるを得ないのであります。(拍手)  沖繩問題基本は、多少の自治権拡大にあるのではなく、まさにいつ返還されるかの一点にあります。それに触れないような自主外交には、沖繩同胞はもちろん、われわれも失望を感じないわけにはまいりません。軍事基地は戦争を前提として成り立っています。その基地一般住民が雑居している危険性を見詰めなければなりません。沖繩を単なる後方基地でなく、発進基地として北ベトナムへの爆撃が繰り返されている今日、鉄の暴風が再び沖繩を見舞うとき、沖繩同胞の生命の安全をどうするのか、第二のひめゆりの塔、健児の塔を建てるつもりなのでありましょうか。沖繩施政権返還極東緊張の緩和に果たす意義について、いまこそ真剣に検討すべきときであります。そしてベトナム戦乱平和解決のために、日本政府は直ちに行動を起こすべきときであります。沖繩犠牲にすることなく、まさに日本の一部として考えることが、今日の緊急の課題ではありませんでしょうか。(拍手)二十年に及び米国支配から一日も早く脱却させて、祖国のふところに抱きかかえたいということは、日本国民悲願であります。そしてそれはまさに政党の党派を超越した民族課題にほかなりません。(拍手)  本院は、これまで四回、沖繩小笠原返還決議を行ない、政府最善措置を要求してまいりましたが、いまだその実現を見ないことははなはだ遺憾であります。国会みずからもこの点については重大な責任があることを反省すべきではないでしょうか。わが党はそれゆえに、国会沖繩対策特別委員会を設置すべきであることを提案いたしておるところであります。  ことしは、まさに沖繩小笠原米国占領支配下に入ってからまる二十年目であります。施政権返還への具体的措置をとられることを強く政府要請し、最後に、この本会議場沖繩百万同胞代表を迎えることのできる日の一日も早からんことを念願しつつ、私の賛成討論を終わります。(拍手
  11. 船田中

    議長船田中君) 受田新吉君   〔受田新吉登壇
  12. 受田新吉

    受田新吉君 私は、民主社会党代表いたしまして、ただいま議題となりました沖繩及び小笠原諸島返還に関する決議案に対し、賛成討論を行なわんとするものであります。(拍手)  すでにこの種の決議が行なわれること実に五回に及んでおります。私は、まず冒頭に、この決議案国会に出された一片の紙切れではなく、決議案の一字一字にこもる沖繩小笠原住民の切実な願い政府が胸に深く刻み込み、これの実現に誠意ある努力を傾注されるよう強く切望いたしてやみません。(拍手)  昨年わが党の調査団沖繩を訪れ、ひなびた農家を突然に訪問いたしましたとき、そこの老人と老婆は破れた畳に額をぴったりとつけて、沖繩を一日も早く日本に返してくださいと、われわれに強く訴えたのでありました。深深と頭を下げたその背中のまろみに、われわれは沖繩住民の苦悩と悲願をしみじみと実感せずにはおられなかったのであります。(拍手)いま沖繩子供たちは、君は何国人かと問われて、日本人だとはっきり言い切る子供がきわめて少ないという事実に、われわれはりつ然とするのであります。  戦後二十年にわたるアメリカの支配は、沖繩小笠原日本の国土であり、そこに住む人々はまぎれもない日本人でありながら、そこでのドル経済住民自治権の喪失、そしてアメリカ的エリートの養成と基地特有の各種の弊害は、徐々に沖繩小笠原日本のそれではなく、アメリカの沖繩、アメリカの日本人に変えつつあることをわれわれは真剣に考え、反省しなければならないと存じます。すなわち、この事実は施政権返還が将来に延びれば延びるほど、その時点における施政権返還が実質的意味を持たなくなる危険が進行していることを、われわれにきびしく教えているのであります。  沖繩日本本土の一部であると確認いたしました一九六二年のケネディ大統領沖繩新政策は、その後のキャラウェー施政によりまして、自治権までも破壊され、今日その精神と施策は沖繩において明らかな後退を続けている事実に、沖繩住民はいま表現し尽くせない不満を抱いているというのであります。それゆえにこそ住民たちは、本年一月の佐藤ジョンソン会談にすこぶる大きな期待を寄せ、この会談を通じて、自分たち日本復帰する具体的スケジュールや自治権の保障が日米間で前進的に討議され得るであろうと、そのことを強く念願しておったのであります。しかるに、共同声明にうたわれた沖繩小笠原問題は、単にケネディ声明を確認した抽象的文言の羅列にとどまり、沖繩住民の期待を完全に裏切ったのであります。佐藤総理は、かつて沖繩施政権返還米国にはっきり要求すると公言されましたけれども、この約束はついに、最近の不渡り手形の激増の渦巻きの中の一片の手形に終わったのであります。(拍手)唯一の前進と思われた日米協議委員会機能拡大も、肝心の施政権あるいは自治権をあくまでもタブーとするという期待はずれの結果に終わらんとしていることは、周知のとおりであります。  一体、佐藤総理沖繩小笠原の立場を自分たち自身の問題として考えようとされておるのでありましょうか。敗戦に伴う終戦処理を二十年もの長きにわたって沖繩小笠原住民のみに押しつけ、自分たちだけは本土にあって、経済成長や生活向上を享受して、それではたしてよいと考えておられるのでありましょうか。苦しみをともに、楽しみをともに分かち合う政治こそ、いわゆる国民政治のほんとうの姿ではありませんでしょうか。東洋の聖人の残した政治家への偉大な教訓の中に、「天下の憂いに先立って憂え、天下の楽しみにおくれて楽しむ」という名言があります。先憂後楽の実践を、身をもって後世に示すべきときではありますまいか。私は、この際に、このような政府のゆがんだ政治姿勢に強く反省を求めたいと存じます。(拍手)  さらに、この共同声明に対する失望とともに、昨年来の焦点であった住民の自治の拡大が、その後も何ら前進せず、主席の公選等、住民自治を保障するところの基本的問題が、ワトソン施政後もことごとく解決を見ないままに放置されているという現実に対しましては、沖繩住民は同様に強いふんまんを示していることも忘れてはならない事実であります。加えて、沖繩基幹産業である砂糖とパインの二大産業が自由化の脅威にさらされ、深刻な経済不安に直面し、日本政府に対して親身の協力を求めていることも、われわれとして真剣に取り組まなければならない重大な問題であります。(拍手)  このように政治に行き詰まり、経済に行き詰まって希望を失いつつある沖繩に対して、日本政府は一体何をやってきたと言い得るのでありましょう。わずかばかりの予算の増額をもって事足れりとする今日の政府の態度は、青春を戦火の中に散らしていった沖繩の女子青年学徒の菩提塔であるひめゆりの塔に背を向けた冷酷者の態度というべきではないでしょうか。(拍手)今日の沖繩小笠原の地位を、ただ単に国際情勢のやむを得ざる結果として容認するのには、あまりにもむざんな現状であり、不合理な現象であります。われわれは少数の犠牲において、多数が生き延びる政治は、決して民主政治ではないことをここに断言いたします。  いまや沖繩小笠原返還要求は、日本国民すべての願いであり、すべての政党、団体の切願であります。甲子園の選抜野球大会や国体に出場する沖繩代表の青少年チームの行進にあたって、ひときわ高く鳴りやまぬ拍手のあらしを私も身をもって体験いたしました。このことは、単に沖繩同胞への同情だけでなく、相済まぬ気持ち、晴れて日本人たるの日を祝福することに対する協力決意の表現であり、深い誓いと激励の国民規模に立つ意思表示であることを確信しております。  私は、政府が上述のような本決議案の意義と背景を真剣に理解され、この決議趣旨を実践するために、さらに強力に対米交渉を展開するとともに、待望の祖国完全復帰のすみやかな実現のために全力を尽くすべきことを要望いたしますとともに、わが民社党もまた党をあげてこれが実現のために協力を宣言いたしまして、党代表賛成討論といたします。(拍手
  13. 船田中

    議長船田中君) これにて討論は終局いたしました。  採決いたします。  本案を可決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 船田中

    議長船田中君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。  この際、内閣総理大臣から発言を求められております。これを許します。内閣総理大臣佐藤榮作君。   〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇
  15. 佐藤榮作

    内閣総理大臣(佐藤榮作君) 沖繩及び小笠原諸島施政権の早期返還に対する国民の強い願望は、政府としてもあらゆる機会に米側に申し入れてきており、先般の訪米に際しても、ジョンソン大統領に対し特に申し入れたところであります。これに対し米側も十分の理解を示したことは、共同声明によって御承知のとおりであります。政府は、今後も、本決議趣旨に従い、施政権返還の早期実現のため一そう努力していく所存であります。(拍手)      ――――◇―――――  日程第二 北方領土返還に関する決議案(坪   川信三君外十名提出)           (委員会審査省略要求案件
  16. 船田中

    議長船田中君) 日程第二は、提出者より委員会審査省略申し出があります。右申し出のとおり決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 船田中

    議長船田中君) 御異議なしと認めます。  日程第二、北方領土返還に関する決議案議題といたします。     ―――――――――――――   北方領土返還に関する決議案  右の議案を提出する。   昭和四十年三月三十一日       提出者        坪川 信三  小平 久雄        伊能繁次郎  金丸  信        草野一郎平  細田 吉藏        柳田 秀一  堂森 芳夫        中嶋 英夫  泊谷 裕夫        鈴木  一         賛成者        佐々木秀世 外二十六名     ―――――――――――――  北方領土返還に関する決議   北海道の一部である歯舞群島、色丹島およびわが国固有の領土であるその他の北方領土は、ソ連によつて占有され、未解決のまま現在に至つている。   政府は、すみやかにソ連邦政府との間に領土問題を含む平和条約締結に関する交渉を開始し、これら諸島わが国復帰せしめるよう最善努力を払い、わが国民の総意にこたえるべきである。   右決議する。     ―――――――――――――
  18. 船田中

    議長船田中君) 提出者趣旨弁明を許します。泊谷裕夫君。   〔泊谷裕夫君登壇
  19. 泊谷裕夫

    ○泊谷裕夫君 私は、ただいま上程されました自由民主党日本社会党及び民主社会党の三党共同提案による北方領土返還に関する決議案趣旨弁明を行ないます。(拍手)  まず最初に、決議案文の朗読をいたします。     北方領土返還に関する決議案   北海道の一部である歯舞群島、色丹島およびわが国固有の領土であるその他の北方領土は、ソ連によって占有され、未解決のまま現在に至つている。   政府は、すみやかにソ連邦政府との間に領土問題を含む平和条約締結に関する交渉を開始し、これら諸島わが国復帰せしめるよう最善努力を払い、わが国民の総意にこたえるべきである。   右決議する。   〔拍手〕  今回上程いたしました決議案は、昭和二十六年三月三十一日、第十回国会決議をして以来、過去数回可決を見ました決議案とその趣旨を同じゅうするものであります。  御承知のごとく、ことしは、はや戦後二十年を数え、サンフランシスコ平和条約発効後十四年、日ソ共同宣言が成立してから九年目を迎えようとしております。文字どおり、もはや戦後ではありません。しかるに、今日なお日ソ両国間には平和条約がいまだに締結されずにおります。このため、日ソ両国の全面的な経済の発展、北洋及び近海漁業の安定などの懸案について、長期協定を締結することができないという影響を与えております。また、戦後二十年を経ましても、わが国を取り巻く国際環境は依然として緊張を続けており、わが国の国際的地位はなお安定しないままであります。しかしながら、近年日ソ両国人民の協力により、両国間の友好は急速に深まりつつあります。いまこそ、政府は本件解決に全力を注ぐべきときと思います。  もともと、北方領土わが国本来の固有の領土であります。決して侵略的行為によってこれを取得したものではありません。この事実は、数多くの歴史的文書、地理的背景、過去の行政実績からも明白であります。択捉、国後両島以南の諸島は、有史以来かつて一度も、いかなる外国の主権のもとにあった事実はなく、また、日本人以外、いかなる外国人も定住したことのない、日本固有の領土であります。このことは、一八五五年の日魯条約によって確認されておるとおりであります。さらに、得撫島以北の千島諸島についても、一八七五年の樺太千島交換条約によって取得したものでありまして、全千島列島は、ともに侵略による併合とは全く関係のない、わが国本来の固有の領土であり、当然日本に帰属すべきものであることは言をまたないのであります。(拍手)  しかるに、ソ連邦政府は、現在に至ってもなお昭和二十年二月、米英ソ三国間で結ばれましたヤルタ協定を根拠に千島列島を領有しております。しかし、このヤルタ協定は、あくまでも米英ソ三国間のみの秘密協定であって、わが国がこれに拘束される何らの法的根拠もないことは、国際法上明らかなところであります。(拍手)さらに、第二次大戦中に成立を見ました大西洋憲章及びカイロ宣言においては、大戦終結後の事後処理の基本原則として、非併合、無賠償、領土拡大の原則を宣言しております。この両宣言の内容、精神からしましても、ソ連邦政府が北方領土を領有する根拠は全く見出すことができません。(拍手)  以上述べました法的根拠、歴史的事実に基づいて、日本固有の北方領土返還は、わが国国民の念願であり、また、千島列島を地理的、行政的にその一部とする北海道民六百万のひたすらこいねがう千島返還の心情もここにあるのであります。千島列島に生をうけ、これらの地を祖先伝来のふるさとの地として生業をなしてきたにもかかわらず、終戦と同時に北海道に移住するのやむなきに至った者が多くを数えております。彼らは戦後二十年の今日もなお、祖先伝来の地、千島の故郷へ帰ることを生涯のただ一つの希望としております。われわれは同じ日本国民として、彼らの悲願を無為に聞き捨てることはできないのであります。  しかし、昭和三十五年一月に送られましたグロムイコ覚え書き、あるいは昨年夏、社会党使節団が訪ソした際明らかにされましたフルシチョフ声明などが指摘するとおり、北方領土返還は、また極東はじめアジア諸情勢、とりわけ平和維持の問題ともからんで、きわめて実現の容易ならざる  ことは御承知のとおりであります。ソ連邦政府は、北方領土経済的にたいした価値がない、だが軍事的には重要であるということを指摘しております。これは今日北方領土問題の持つ性格をいみじくも表現しておるものであると申せましょう。しかも、このことは、領土問題解決の重要なかぎであり、真剣に検討を加えなければならない点でありましょう。しかるに、問題解決の核心を避け、いたずらに反ソ感情をあおることによって北方領土が返ってくるがごとく説く者ありとすれば、それは国民の間に無責任な幻想を振りまくものといわざるを得ないのであります。  このような情勢のもとで、日ソ両国の関係をさらに安定させ、極東における国際緊張の緩和に貢献するただ一つの現実的な方策は、昨年訪ソした社会党使節団とソ連共産党との共同声明にもあるように、北方領土問題について、平和共存の前進と、日ソ両国が隣国にふさわしい友好関係をあらゆる分野で前進させるその過程の中で両国に新しい接近を生み、平和条約締結を可能とする条件をつくらなければならないと述べてあるように、両国間の友好親善、平和共存を推進すべきであります。そのことが、平和的に話し合いを通じて領土問題を解決し、平和条約締結への道であります。各政党の間には、日本のとるべき外交方針について意見を異にしている向きもありますが、政府わが国の平和と安定とのために具体的な方策をとるときには、社会党においてもこれを支持することにやぶさかでないのであります。われわれは、政府が平和共存の原則に基づく日ソ関係の安定と発展のために積極的な方策を進めるならば、喜んでこれを支持するでありましょう。  われわれは、北方領土問題について、以上述べましたような立場から、ソ連邦政府と直ちに交渉を開始し、平和条約を締結し、さらにこれとあわせて、北方領土問題を、大西洋憲章、カイロ宣言に明記する領土拡大の原則に基づいて、第二次大戦連合国各政府に訴えることを強く要望する次第であります。このような現実的かつ合理的措置をとることによって、日ソ両国の間の諸懸案も円満に解決され、両国の関係も安定し、ますます緊密の度を加えることになるのであります。お互いに隣国であり、今後も永久に隣同士として交際していかねばならぬわが国とソ連邦とのために、ともに必要かつ好ましいことであります。このわが国国民の念願を十分理解されて、切に政府の御努力を望んでやみません。  何とぞ各位の熱意を込めての御賛成をお願いいたしまして、本決議案趣旨弁明を終わります。(拍手)     ―――――――――――――
  20. 船田中

    議長船田中君) 討論の通告があります。これを許します。佐藤孝行君。   〔佐藤孝行君登壇
  21. 佐藤孝行

    佐藤孝行君 ただいま上程されました自民、社会、民社三党共同提案にかかる北方領土返還に関する決議案につき、私は、自由民主党代表して、賛成討論をなさんとするものであります。(拍手)  北方領土問題に関しましては、本院において、すでに過去四回にわたり今回と同様な趣旨決議が行なわれ、国民の強い願望政府努力にもかかわらず、いまなおこれが実現を見るに至っていないことは、全国民のひとしく失望と遺憾にたえないところでございます。  先ほど提案理由の中にもありましたごとく、歯舞群島及び色丹島は、地理的にも行政的にも古くから北海道の一部であり、同様に国後、択捉の両島もまたわが国固有の領土であることは疑うことなき明瞭な事実でございます。わが国は、敗戦の結果、不幸にしてサンフランシスコ平和条約の規定に従い、北海道、本州、四国、九州以外の領土を放棄することになりました。しかしながら、決してわが国古来からの固有の領土までも放棄したものではありません。歯舞群島及び色丹島は、サンフランシスコ平和条約によってわが国が放棄するに至った千島列島にすら含まれているものでないことは、同条約会議における各国全権の発言、さらには同条約に署名を拒否し、現在占領を続けているソ連みずからも、その後の日ソ共同宣言でこれらの諸島わが国に引き渡すことを約束している点から見ても、一点疑う余地のない明瞭な事実でございます。(拍手)  しかるに、敗戦直後、ソ連軍が突如としてこれらの諸島を占領し、島民のすべてを島外に退去さして、ソ連の管轄下に編入してしまったのであります。主権の及ぶ範囲を四大島とその付属の島に制限された狭い国土に九千余万という膨大な人口をかかえるわが国としては、国民の生存と経済の自立にとって貴重な両島を失うことは、何事にもかえがたい損失であると同時に、これを不当に占拠することを黙過し、その返還の主張を怠ることは、道義的にも、また国民感情の上からも、断じて許すべからざるところであります。(拍手)ことに、これらの諸島は、豊富な水産資源獲得の有数の根拠地であり、これを失うことによってこうむる北海道の零細な漁民並びにわが国経済的損失は、はかり知れないものがあるのであります。さらに、私は、これら諸島を地理的、行政的にその一部とする北海道五百万道民のひたすらこいねがう諸島返還の心情については、終戦後数年を経ずして、これら北方領土返還要求期成同盟が結成せられ、これを通じて五百万道民が一丸となってこれが実現への努力を休むことなく中央に訴え続けてきている実情を見るにつけ、感無量なるものがあるのであります。これら諸島の数多い住民たちが、いまなお肉親の骨の埋もれるかの地に帰って生業を続けることをただ一つの希望として、生活と戦いながらその日のくるのを一日千秋の思いで待ちわびつつ発する悲痛な叫びを、私どもは無為に聞き捨てることはできないと思うものでございます。  にもかかわらず、ソ連は、昭和二十年二月、米英ソ三国間で秘密裏に結んだいわゆるヤルタ協定を引き合いに出し、この協定によって樺太及び千島列島はソ連に引き渡されたものと称し、わが国固有の領土である国後、択捉の両島の返還にも応じようとしないばかりか、日ソ共同宣言で明確に日本に引き渡すことを約束している歯舞群島及び色丹島についてすら、安保条約が存続する限りその返還を認めないという新しい条件を持ち出すなど、大国ソ連の態度とも思われず、まことに言語道断といわなければなりません。(拍手)ソ連のいうヤルタ協定は、あくまで米英ソ三国間にかわされた秘密協定であって、わが国はこれに何ら関与せず、また、受諾もしていないので、これに拘束される理由も、何らの法的根拠もないごとは明らかであります。いずれの点からするも、われわれは断じてかくのごときソ連の主張を認めるわけにはまいりません。同時に、日ソ共同宣言に違反するばかりか、内政干渉のそしりさえ免れない不当な詭弁といわざるを得ないと思うのでございます。(拍手)  この際、サンフランシスコ平和条約によってわが国が一応領土権を放棄した得撫島以北の千島列島並びに南樺太について、わが党の見解を明確にしておきたいと存じます。  得撫島以北の千島列島及び南樺太は、サンフランシスコ平和条約にいういわゆる戦争やどん欲によってわが国領土に併合されたものではございません。わが国が無条件降伏の結果として、同条約の二条に基づきその領土権を放棄する約束をいたしましたが、しかし、この約束は、あくまでも同条約の当事国に対してのみなされたものであって、ソ連に対して領土放棄をしたものでないことは、万人の知るところでございます。その最終的帰属は、将来関係国間において国際的に定めるべき性質のものであって、サンフランシスコ平和条約に調印していないソ連が、一方的にこれに基づく権利を主張し得ないことは当然であり、わが国に関する限りにおいては、ソ連がこれらの地域を不当に占領し、支配しているといっても過言ではないと思うのでございます。(拍手)したがって、もし将来この問題について国際的会議を開かれる場合があるとすれば、わが国は、これらの地域に対する領土返還を求める権利を留保するものであるということを、ここに宣明いたしたいと存じます。(拍手)  以上、いずれの諸点からするも、そしてまた、大西洋憲章及びカイロ宣言で宣明されている領土拡大の原則から見ても、これら日本固有の北方領土をソ連が一方的に実力をもって領有占拠する理由は何一つ見出せないのであります。したがって、ソ連が歯舞、色丹、国後、択促等を、戦後二十年を経た今日、なお事実上その支配下に置くのは、不当な占拠以外の何ものでもなく、すみやかにこれらの島々をわれわれ日本返還することを強く要望するものであります。(拍手)  現在、すでに日ソ両国間は、日ソ共同宣言によって戦争状態の終了を見、正常な国交も回復されているのでありますが、領土問題のみが解決されなかったため、日ソ平和条約が締結されなかったのは、まことに遺憾であるといわなければなりません。われわれは、ソ連がこれらわが国固有の北方領土返還に応ずるならば、直ちに日ソ間の平和条約を締結することを心から要望するものであります。(拍手)  この際、政府は、日ソ共同宣言を忠実に守り、相互の主権尊重と内政不干渉の原則のもとに、両国の平和と友好及び協力関係の増進につとめつつ、領土問題を含む平和条約の締結に関する交渉をすみかに開始するため、あらゆる可能な手段を尽くすべきであると考えるのでございます。  また、なつかしい故郷の成り行きを思い、これら諸島への復帰を待ち望む多数の引き揚げ者及び固有の領土回復を悲願とする日本国民の要望にこたえ、これに対する深い理解同情の上に、過去の行きがかりを捨てて、これら諸島返還の一日も早い実現のため、誠意ある解決を示されるよう、特にソ連政府に対し、強く訴えるものであります。(拍手)  わが政府もまた、かつてこれら諸島住民悲願の声として、全国民一丸となっての強力なる国民世論を背景として、わが国固有の領土である歯舞、色丹、国後、択捉などの北方領土に対する正当な権利をあくまでも主張し、これが返還のすみやかなる実現によって日本領土本来の姿に回復され、もって、日本国民総意にこたえられるよう最善努力を払わんことを強く要望しつつ、日本固有の北方領土返還に関する決議案に対しまして、私の賛成討論を終わります。(拍手
  22. 船田中

    議長船田中君) これにて討論は終局いたしました。  採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  23. 船田中

    議長船田中君) 起立多数。よって、本案は可決いたしました。  この際、内閣総理大臣から発言を求められております。これを許します。内閣総理大臣佐藤榮作君。   〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇
  24. 佐藤榮作

    内閣総理大臣(佐藤榮作君) ただいまの御決議に対して政府の所信を申し述べます。  ソ連との平和条約の締結につきましては、わが国北方領土の問題をめぐって、国後、択捉両島を固有の領土としてその返還を主張するわが方と、領土問題は解決済みとするソ連の主張とが根本的に対立しているため、いまだ実現の運びに至っていないことは、御承知のとおりであります。  政府としては、領土問題に関するソ連の主張が、法的見地からも、また、歴史的事実に徴しても、とうてい容認し得ないものであることを、ソ連に対し、これまであらゆる機会をとらえて指摘するとともに、その再考を促し、わが国固有の領土ができ得る限り早期に返還されることを求めてきました。先般、コスイギン・ソ連首相との間に日ソ関係全般にわたる問題についての書簡交換を行なった際にも、私は、北方領土問題が、国際紛争の平和的解決にあたって順守されるべき諸原則によって解決され、日ソ平和条約が締結されることにより、両国間の善隣友好関係が安定した基礎の上に置かれる日の近からんことを強く希望しておいた次第であります。また、北方領土問題に関するわが国の主張が正当なものであることについては、国際的な支持と理解を得ることにもつとめてまいりました。  何ぶんにも領土問題は、子々孫々にまつわる重大な問題でありますので、ソ連との交渉に際して、いたずらにあせって悔いを千載に残すごときことがあってはならないのであります。そのためにも、政府としては、領土問題に対する国論を統一し、挙国一致体制のもとに、忍耐強くわがほうの立場の正当性を主張し、ソ連政府の説得に成功するまで努力を傾けていきたい所存であります。(拍手)      ――――◇―――――  日程第三 自治省一設置法の一部を改正する法   律案(内閣提出
  25. 船田中

    議長船田中君) 日程第三、自治省設置法の一部を改正する法律案議題といたします。     ―――――――――――――
  26. 船田中

    議長船田中君) 委員長の報告を求めます。内閣委員長河本敏夫君。     ―――――――――――――   〔報告書は本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――   〔河本敏夫君登壇
  27. 河本敏夫

    ○河本敏夫君 ただいま議題となりました自治省設置法の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本案は、自治省の職員を在外公館の要員として外務省に移しかえるため、定員一人を減員しようとするものであります。  本案は、二月八日本委員会に付託となり、二月九日政府より提案理由の説明を聴取し、四月二日、質疑を終了し、討論もなく、採決の結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ―――――――――――――
  28. 船田中

    議長船田中君) 採決いたします。  本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 船田中

    議長船田中君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。      ――――◇―――――  加工原料乳生産者補給金等暫定措置法案内閣提出)及び牛乳法案(芳賀貴君外十一名提出)の趣旨説明
  30. 船田中

    議長船田中君) 議院運営委員会の決定により、内閣提出加工原料乳生産者補給金等暫定措置法案、及び芳賀貢君外十一名提出牛乳法案趣旨の説明を順次求めます。農林大臣赤城宗徳君。   〔国務大臣赤城宗徳君登壇
  31. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 加工原料乳生産者補給金等暫定措置法案について、その提案理由を御説明します。  近年におけるわが国の酪農の発展はまことに目ざましいものがありますが、わが国経済の高度成長、開放経済体制の進展、農業全体の構造変化等、酪農を取り巻く諸情勢は急速な変化を示しつつあります。また、酪農自体としても、その経営規模は漸次拡大しつつあるとはいえ、なお一般に零細であり、飼料自給度も低く、全体として生産性、収益性は低い状態にあります。また、生乳の流通加工におきましても、生乳取引の公正と安定の確保、集乳路線の整備、乳業の合理化等数多くの解決しなければならない問題をかかえている状況にあります。さらに、最近におきましては、生乳生産量の伸び率が鈍化しており、今後予想される牛乳、乳製品の需要の増大を考慮するとき、これからの需給の逼迫が懸念されております。  これらの諸情勢にかんがみ、一、今後とも増大が予想される需要に対応して可能な限り生乳の国内自給をはかるよう生産の安定的拡大につとめること、二、乳牛飼養規模拡大等を通じて酪農経営の生産性の向上を促進すること、三、牛乳、乳製品の需給の安定並びにその処理、加工、流通を通ずる合理化を推進すること、を施策の基本方針としております。また、これが実施にあたっては、需要の急速な増大が予測され、同時に、生産者にとっても相対的に有利な飲用乳の比率を高めるよう配慮してまいるべきものと考えております。  以上の基本方針を具体化する施策の一環として、生乳生産者に対する加工原料乳についての補給金の交付の措置、主要な乳製品について畜産振興事業団が行なう一元的輸入による需給安定の措置並びに同事業団が行なう乳製品の買い入れ、売り渡しに関する業務を改善整備するための措置を暫定的に講ずることとし、ここに加工原料乳生産者補給金等暫定措置法案提出した次第であります。  以下、この法律案の内容につきまして御説明いたします。  その第一は、加工原料乳生産者に対する補給金の交付の措置であります。  畜産振興事業団による乳製品の需給操作を通じて加工原料乳の価格安定をはかることをその骨子とする現行の畜産物の価格安定等に関する法律による価格安定措置につきましては、最近における生乳生産の動向と乳製品の需給実勢から見て運用上の困難が予想されるところであります。今般酪農経営の安定向上及び牛乳、乳製品の需給の安定をはかるためには、価格安定制度の改善強化を緊要とするゆえんであります。特に、加工原料乳につきましては、乳製品の国内価格が国際価格に比して一般に割り高な水準にありながら、原料乳に支払い得る乳価はなおその再生産を確保するに困難な水準であることから考えて、財政上の援助が必要であります。特に、加工原料乳の主要な生産地帯の多くは、今後とも酪農を基幹作目として農業の発展をはかっていくことを必要とする地帯であります。また、これらの地帯は、今後とも急速な需要の増大が予測される飲用乳の将来における供給源として期待される地帯であることも配慮されねばならないところであります。  かかる観点から、現在その乳価形成が不明確な生乳取引を用途別価格による取引に改め、加工原料乳につき生乳生産者に対して補給金の交付を行なうこととしております。これが実施の方法といたしましては、畜産振興事業団が、都道府県知事の指定を受けた生乳生産者団体に、生産者から委託を受けて販売した加工原料乳の数量に応じて補給金を交付し、その生産者団体は、生乳販売代金に交付された補給金を加算して、生産者に対してその生乳委託販売数量に応じて支払うことといたしております。  補給金は、主要な加工原料乳地域の生乳の再生産を確保することを旨として定められる保証価格と乳製品の実勢価格を基準として定められる加工原料乳の基準取引価格との差額とし、補給金の交付の対象となる数量には、限度を定めることとしております。  第二は、加工原料乳に対する補給金制度及び乳製品の価格安定制度の適正な運営を確保するため、畜産振興事業団が、主要な乳製品の輸入を一元的に行ない、乳製品の需給及び価格の安定をはかることといたしております。  第三は、右の制度と関連いたしまして、乳製品の消費の安定に資するような一定の水準での価格の安定を確保するため、畜産振興事業団が行なう乳製品の買い入れ及び売り渡しに関する特例措置を定めたことでございます。  なお、この法律案は、今後における酪農及び乳業の合理化の進展と酪農経営にとって価格条件の有利な飲用乳の比率が高まっていくことも期待されますので、昭和四十一年度以降当分の間の暫定措置を定めるものとし、これに伴い現行の畜産物の価格安定等に関する法律の規定の適用について必要な特例を設けてございます。  以上が、加工原料乳生産者補給金等暫定措置法案趣旨でございます。(拍手)     ―――――――――――――
  32. 船田中

    議長船田中君) 提出者芳賀貢君。   〔芳賀貢登壇
  33. 芳賀貢

    芳賀貢君 牛乳法案につきまして、提出者代表してその趣旨を御説明申し上げます。  最近におけるわが国の農業は、高度成長政策に災いされて、農業基本法に掲げる生産性の向上と所得の確保は単なる題目にとどまり、農業就業入口の都市への大量流出、兼業農家の急増等によって農業生産は停滞し、国民食糧の供給に不安を生じ、今後の農業発展に対し、まことに憂慮すべき事態に立ち至っていることは御承知のとおりであります。  この際、酪農の現況について申し上げますと、昭和三十年の乳牛の頭数は四十二万一千頭であったのが、三十九年には百二十三万八千頭と、十年間に三倍に増加し、今では四十万戸の酪農家が平均三頭の乳牛を飼育しており、したがって、牛乳の生産についても、昭和三十年には年産百万トンであったのが、三十九年には三百四万トンと、生産量も三倍に躍進しているのであります。また、これに対して、飲用牛乳及び乳製品の国民消費は毎年二二%ないし一五%と順調に伸長を示しておるのであります。  かかる生産と消費の動向にもかかわらず、酪農政策については、今日、多くの矛盾と欠陥が起伏しているのであります。  最近、政府は、社会開発の推進によってひずみ是正をはかり、明るい農村を建設すると宣伝してはおりますが、依然として貿易自由化を促進し、食糧自給体制を放棄し、安上がり農政を強行しておりますことは、各方面から指摘されているところであり、まさに自民党政府に農政なしの感を禁じ得ないのであります。(拍手)  しかして、政府は、ここ数年来、農業基本法にのっとり、畜産、果樹等の成長部門に対して選択的拡大の路線を推進してまいりましたが、この施策と並行して実行されるべき飼料資源の開発及び流通管理対策、あるいは牛乳、乳製品の生産と価格及び流通対策が、独占的な乳業資本または飼料会社の利益本位に進められているため、酪農民の適正な労働報酬すら確保されず、毎年のように生産者と乳業者の間に乳価問題をめぐって紛争を生起させ、結局、生産者には低乳価をしい、消費者には生産者乳価の三倍にものぼる高乳価を押しつけているという矛盾をもたらし、いまや、酪農民は政府に対し強い不信の念すら抱いているのであります。  まさに農民不在ともいうべき政府の農政に対して、わが日本社会党の酪農政策の基本方針を申し上げまするならば、すなわち、わが国の食糧自給体制を確立し、食生活の消費構造の質的向上をはかるため、農業発展長期計画に基づいて、牛乳、乳製品の生産を確保し、酪農の発展と農民所得の増大を期することとし、国の責任によって、草地の開発造成を行なって、自給飼料の増産等、生産条件を整備し、酪農経営の近代化、共同化を促進するとともに、牛乳の生産、加工、流通、価格、消費等の対策については国の管理を強め、特に、価格対策、流通対策については抜本的な改革を行なうこととし、この基本方針に基づく重要な柱として今回牛乳法案提出いたした次第であります。  したがって、本法案の目的といたしますところは、牛乳及び乳製品の生産の確保、価格の安定、消費の増進等をはかるとともに、酪農及びその関連産業の健全な発達と農家所得の向上を促進し、あわせて国民生活改善に資するため、生乳についての交付金の交付、牛乳及び乳製品の販売に関する基準価格の設定、乳製品の政府の買い入れ及び売り渡し、学校給食用牛乳及び母子保健牛乳の給付等の措置を講じようとするものであります。  以上が、本法案を提出した理由であります。  次に、法案の内容について申し上げます。  第一に、農林大臣は、毎五カ年を一期とする牛乳等長期需給計画を定め、これに基づき、牛乳等年度需給計画を定めて公表することとしております。  年度計画の内容は、生乳の生産数量、飲用牛乳、乳製品の需給数量、政府の買い入れ及び売り渡し見込み数量及び生乳の遠距離輸送に関する事項等であります。  第二に、農林大臣は、牛乳年度の開始前に、一、生乳の保証価格、二、生乳の販売基準価格、三、飲用牛乳の販売基準価格、四、飲用牛乳の小売り基準価格、五、指定乳製品の販売基準価格を定めて告示することといたしております。  まず、一の生乳の保証価格は、食管法に基づく生産者米価と同様に、生産費・所得補償方式によって算定された生乳の生産者価格であり、同時に、政府の保証価格であります。また、保証価格は、一物一価の原則により、全国同一価格をたてまえといたしております。  二の、生乳販売基準価格は、農業パリティ指数、物価及び消費者の家計費等を参酌して定めることとし、この価格は、生産者団体が乳業者に生乳を売り渡す場合の最低販売価格のことであります。  三の、飲用牛乳の販売基準価格は、生乳の販売基準価格に飲用牛乳の製造及び販売に要する標準的な費用を加えたもので、卸販売価格のことであります。  四の、飲用牛乳の小売り基準価格は、飲用牛乳の販売基準価格に小売り販売に要する標準的な費用を加えたもので、飲用牛乳の消費者価格のことであります。  五の、指定乳製品の販売基準価格は、生乳の販売基準価格に乳製品の製造及び販売に要する標準的な費用を加えたもので、乳製品の卸売り価格のことであります。  第三は、生産者団体による生乳の一元集荷多元販売についてであります。  生乳の生産者が構成員となっている農業協同組合または農業協同組合連合会は、生乳生産者団体として、生産者から生乳の販売の委託を受けて、生乳の一元集荷と販売の事業を行なうとともに、全国を区域とする農業協同組合連合会は指定生乳生産者団体として、政府からの交付金を生産者に交付する業務を行なうことといたしたのであります。  第四は、生産者に対する交付金の交付についてであります。  まず、生乳の保証価格から生乳の販売基準価格を控除した額が交付金の基礎となるのであります。政府は、生産者団体が一元集荷して乳業者に販売した生乳の総数量に対し交付金を交付するものとし、その場合の指定生産者団体は、農林大臣が指定した全国を区域とする農業協同組合連合会とし、交付金は農協系統を経由して生産者に交付することといたしたのであります。  第五は、指定乳製品の政府買い入れ及び売り渡しについてであります。  政府は、乳製品の需給及び価格の安定をはかるため、指定乳製品を生産者団体または乳業者からの申し込みを受けて買い入れるものとし、買い入れ価格は、販売基準価格によることといたしたのであります。  次に、政府が買い入れまたは輸入した乳製品の売り渡しについては、その時価が販売基準価格の水準に安定するようにつとめることといたしております。  第六は、乳製品の輸入についてであります。  政府は、牛乳等年度需給計画に基づいて需給上必要な乳製品を輸入するものとし、輸入については、政府がこれを行なうことといたしております。  第七は、学校給食用牛乳の無償給付と、母子保健牛乳の給与についてであります。  わが日本社会党は、すでに第四十六回国会において学校給食法の一部改正案、及び学校給食牛乳の供給に関する特別措置法案を提出し、今国会において、目下継続審議中でありますが、両法案の趣旨は、義務教育諸学校の児童、生徒に対し、牛乳の学校給食を無償で給与することとし、これが実施に必要な措置を内容としたものであります。したがって、本法案においても、学校給食牛乳を無償で給付する旨を明らかにいたしたのであります。また、妊産婦及び乳幼児の健康の保持増進をはかるため、母子に対して牛乳、乳製品の摂取に必要な費用の全部または一部を国が負担する旨を明らかにいたしたのであります。  第八は、牛乳審議会の設置についてであります。  審議会は、農林大臣の諮問に応じ、牛乳等需給計画、生乳の保証価格、飲用牛乳及び乳製品の販売基準価格その他重要事項を調査審議し、あわせて農林大臣に対し建議するものといたしております。  第九は、生乳の遠距離輸送に関する施策についてであります。  政府は、牛乳等年度需給計画に基づき、牛乳の流通の円滑化をはかるため、牛乳の遠距離輸送に必要な牛乳専用貨車または牛乳専用船を建造して、これを指定生産者団体に無償貸し付けを行ない、公共的な牛乳の輸送が期せられるようにいたしたのであります。  第十に、政府は、生乳の価格安定をはかるため、生産者団体の飲用牛乳または乳製品の製造施設等について経費の一部を補助することができることとし、また、乳業者に対しても、それらの製造施設に要する資金の融通、あっせんを行なうものといたしたのであります。  第十一に、農林大臣または都道府県知事は、飲用牛乳または乳製品の製造または販売業者に対し、流通経費の低減をはかるため、経営の改善、合理化等に関し、必要な勧告を行なうことができるものといたしたのであります。  第十二は、交付金の対象となる生乳の集荷及び販売の適正を期するため、指定生産者団体及び乳業者は、農林省令で定めるところに従い帳簿を備えつけること、農林大臣または都道府県知事が必要とする報告、または立ち入り検査に応ずる義務を明示いたしたのであります。  第十三は、附則におきまして、農林省設置法、酪農振興法、畜産物価格安定法についての改正及び諸規定の整備を行なうことといたしております。なお、この法律の業務及び会計については、牛乳管理特別会計によることとし、別に定める法律案提出することにいたしたのであります。  以上、牛乳法案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手)      ――――◇―――――  加工原料乳生産者補給金等暫定措置法案(内   閣提出)及び牛乳法案芳賀貢君外十一名   提出)の趣旨説明に対する質疑
  34. 船田中

    議長船田中君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。これを許します。松浦定義君。   〔松浦定義君登壇
  35. 松浦定義

    ○松浦定義君 私は、日本社会党代表し、ただいま説明のありました加工原料乳生産者補給金等暫定措置法案に対し、社会党提案による牛乳法案と対比いたしまして、佐藤総理をはじめ、関係各大臣に対し、本法案の要点につき、順次お尋ねをいたします。  まず、佐藤総理の酪農に対する基本的態度についてであります。  政府は、農業基本法に基づき、酪農を選択的拡大生産の中心に置いて奨励してきたが、最近の酪農生産の状況を見るに、生産者乳価の不安定、えさ代の値上がり等のため、酪農民の経営はきわめて苦しく、牛乳生産の伸びが鈍化するという傾向があらわれている。特に、生産者乳価が大幅に値下げをされた昭和三十七年末の影響を受けて、三十八年には乳牛の屠殺数は前年より五〇%もふえ、三十九年もこの傾向が続いている。また、牛乳生産の伸び率は、従来、年率一五%で伸びていたものが、三十九年八月以降は一〇%を割っている。このままでは酪農生産の発展をはかることはきわめて困難であり、われわれは、牛乳について国が長期及び各年度ごとの需給計画を明確に定め、米に準じた価格支持制度を確立し、需給と価格の安定をはかることが必要である。しかるに、政府提案の本法案では、価格保証の対象は加工原料乳だけに限られ、飲用原料乳に対する対策は全く放置されている。また、牛乳、乳製品の需給計画に関する規定もなく、補給金の財源を乳製品の輸入差益金に依存するというたてまえから、乳製品輸入が無計画に行なわれることは、実質的な乳製品の輸入自由化であり、これこそ酪農民不在の悪名を残す佐藤農政といわざるを得ないのであります。  政府は、このような不安を除くためにも、牛乳、乳製品の需給計画を定めて、乳製品輸入はその計画のもとに行ない、輸入自由化をしないことを明らかにすべきであります。また、価格支持は、全牛乳を対象として、酪農の発展をはかることが農業基本法の目的ではなかったのか。池田前内閣経済的な失政としての農業のひずみ是正の中心課題である酪農政策について、総理の責任ある御答弁をお願いいたしたいのであります。  次に、赤城農相にお尋ねいたします。  第一に、農林省はわが国の酪農は市乳中心に伸ばすという方針を明らかにしているが、この法案が加工原料乳だけを対象とし、市乳については何らの対策を講じようとしないのは、農林省の市乳化の方針と矛盾するのではないか、この点を明らかにしてほしい。  第二は、保証価格については、主要な加工原料乳地帯の生産費等を中心にきめるとしているが、この場合、従来の農林省の乳価等安定要領によって行なわれるならば、現在の実勢価格よりも著しく低い価格になることが予想される。その結果、現行の全国的な乳価水準を引き下げる作用を果たすおそれが強い。これでは酪農民の経営を一そう苦しくする結果となる。現在、酪農民の単価、時間当たりの労働報酬は、水田農家の三分の一であります。これがさらに苦しくなったのでは、選択的拡大どころか、縮小減退、さらに壊滅の道に通ずるものである。政府はこの際、米と同様に、生産費・所得補償方式によって価格を保証すべきだと考えるが、この点を明確にしていただきたいと思います。  第三に、牛乳は、消費の順調な伸びによって、本年度は深刻な不足状態にあります。関東、関西方面では激しい集乳合戦が行なわれておる。それにもかかわらず、乳業メーカーは、昨年十月値下げしたままの低乳価を生産者に要求しており、生産者乳価は、単に需給関係によってのみきまるものではなく、力の強い大企業によって力の弱い生産者の価格が不当に安く押えられるという傾向を強めているのであります。これに対しては、生産者団体による一元集荷、共同販売の体制を強め、対等な取引ができるよう育て指導することが重要であります。この法案では、生乳生産者団体の指定が複数になる場合も考えられ、乳業メーカー別の集乳地盤が温存されるおそれが強い。また、現状では、牛乳の需給調整機能は、その大部分が独占的な乳業メーカーに握られており、保証対象数量の決定が適正に行なわれるかどうかに疑問があるのであります。われわれは、生産者団体の共販体制を育成し、牛乳の取引を適正化するために、生乳生産者団体の指定を一本化して、完全なる一元集荷の体制をとらせるとともに、国が生産者団体の牛乳調整工場並びにクーラーステーション施設等々に助成をする。乳製品の買い上げは生産者団体を優先させ、あくまで弱い立場にある生産農民の側に立って育成指導をはかるべきだと考えるが、大臣の御所見を承りたいのであります。  第四には、乳製品の安定指標価格が、国際価格を考慮して、現行の畜産物価格安定法の安定上位価格よりも低くきめられ、今後これが大幅に引き下げられていくのではないかという点を、生産農民は最も不安に感じているのであります。もしそのようなことになれば、それに伴って基準取引価格の引き下げ、さらに保証価格の引き下げにつながるおそれが強いのであります。このような生産農民の不安を取り除くために、政府は酪農生産対策を強化して、わが国の酪農が真に国際的競争にたえ得るものとなるまでは、国際価格の影響を国内価格に及ぼすがごときことは絶対しないということをこの際明確に示すべきであると思うが、農林大臣の責任ある御答弁をお願いしたいのであります。  次に、田中大蔵大臣にお尋ねいたします。  補給金の財源は、酪農生産の発展のために一般会計からの交付金を主体とすべきであり、かりに、乳製品輸入差益金を中心にすれば、輸入を増大させて国内生産を圧迫することは火を見るより明らかであります。したがって、政府は、酪農民の生産費を補償するに足る予算を計上すべきであると考えるが、この点はどうか。聞くところによると、大蔵省関係者は、第二食管となるおそれがあるとして補給金制度には反対の意向であったとのことでありますが、この制度が実施された場合はどの程度の財政負担となるのか。かりに年間五十億ないし百億前後の政府支出が生ずるとしても、現在米に対する食管の一割にも満たない金額であり、第二食管となるとしても、制度的な問題であって、金額としては問題ではないと考える。将来を期待される佐藤内閣の実力者である田中大蔵大臣の手腕と力量によれば、米に次ぐ牛乳に対し、特別管理制度を設けるくらいの勇断があってしかるべきだと思うが、どうか。  さらに、生産者団体の牛乳調整工場への助成、あるいは学校給食用牛乳、母子保健牛乳への助成等の大幅増額を行なう考えがあるかどうかをお聞かせ願いたいのであります。  次に、文部大臣にお尋ねいたします。  現行の学校給食用牛乳の大部分が輸入脱脂粉乳に依存しておる。すなわち、戦後の混乱期におけるMSA協定によるアメリカの余剰農産物を受け入れ、今日依然として実施を強行しておるが、給食用として、学校並びに取り扱い機関である給食協会の運営等、改善の必要があると思う。文部省は、この際一日も早く余剰農産物、すなわちアメリカにおける家畜の用に供する等の脱脂粉乳の輸入を大幅に制限し、国内生産なま牛乳に切りかえるべきであると思うが、文部大臣の決意のほどをお伺いいたしたいのであります。  次に、通産大臣にお尋ねいたします。  乳製品輸入は畜産振興事業団に一元化するとしながら、例外規定で事業団以外にもこれを認め得る道が開かれておる。これは国内の乳製品市況に悪影響を及ぼす原因となることは明らかでありますので、輸入は完全に一元化し、計画的に行なうべきであると考えるが、通産省としての見解を明らかにしていただきたいのであります。  最後に、いま一点だけ、運輸大臣並びに農林大臣にお尋ねいたします。  牛乳の生産者手取り額は、小売り価格の三分の一であり、欧米諸国の五割、六割に比べて著しく低い価格であります。この原因を除くためには、流通の合理化を進めなければならない。さらに、中間経費を節減するため、特に遠距離生乳輸送のため、国が牛乳専用船並びに牛乳輸送貨車を持ち、生産者団体に安く貸与するなど、抜本的な対策が必要であると思う。運輸大臣はこれらについて何らかの方策ありやいなや、お尋ねいたします。  さらに、販売店の経営改善、合理化を指導するなど、強力な施策を行ない、生産者手取りを高めるとともに、消費者価格の安定をはかることこそ政府責任である、農林大臣の決意のほどを承りたい。  以上、各大臣の責任と誠意ある御答弁を期待いたしまして、質問を終わります。(拍手)   〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇
  36. 佐藤榮作

    内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。  酪農は、申すまでもなく、現在の農政上の重要な問題であります。また同時に、国民の食生活改善の上から見ましても、牛乳、乳製品、これはもっと豊富、安定に供給されることが望ましいのであります。かような見地に立ちまして、この酪農については、特別に政府援助、また保護したい、かような気持ちでやってまいりました。が、ただいままでのところ、御指摘のような幾多のわれわれの期待に沿わない面が出てきた、こういうことはまことに残念に思います。しかしながら、将来はともかくとして、ただいまはできるだけこれに国際競争力を与えるように、また、自立できるように保護すべき段階にあります。しかし、一面、供給の豊富であること、また安定をはかること、同時にまた、価格等の安定をはかる意味からも、輸入はときにやらなければならない、かように思います。これは消費者保護の立場でございます。しかしながら、酪農の状況が今日のような育成の段階にあるこの際でありますので、輸入いたしましても、いわゆる貿易の自由化などはいたすつもりはございません。したがいまして、政府の方針を信頼されて、そして酪農産業の育成強化に協力していただきたいと思います。(拍手)   〔国務大臣赤城宗徳君登壇
  37. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 本法案は、御説明申し上げましたように、酪農経営の安定的発展、牛乳、乳製品の安定的価格、これをねらいといたしておるのでございます。そこで、価格水準が比較的低位に予想されておりまする加工原料乳につきまして全国的にそれぞれの販売数量に応じて財政上の援助を行なう、こういうたてまえでございます。  そこで、財政上の援助でございますが、その財源として、乳製品の輸入が財源になっているのじゃないかという御指摘でございます。確かに輸入乳製品を事業団によって一手に輸入することにいたしますが、それは乳製品の需給の安定と価格の安定をねらいとしたものでございまして、補給金の財源といたしましては差益金は第二義的なものでございます。  そこで、この加工原料乳について価格の支持をするのでございますけれども、飲用乳についてはどうかということでございます。飲用乳の需要は相当伸びる予想でもございまするし、飲用乳につきましては生産も比較的有利でございます。でありますので、私どもは、飲用乳化を促進し、飲用乳の比率を高める、こういうことにはつとめますけれども、この法案は、先ほど申し上げましたように、価格の点において比較的低位の加工原料乳の不足払いによりまして生産者の安定と価格の安定をはかろうということでございますが、同時に、この法案によりまして用途別取引の実現につとめますので、飲用乳地帯におきましてもこの恩恵をこうむる、こういうことに相なることは必至でございます。  それから、保証価格の算定標準を、米の価格のように、生産費・所得補償方式で算定すべきではないかというお尋ねでございます。現在、御承知のように、酪農は成長過程にありますけれども、酪農あるいは乳業の合理化が十分であるとは申し上げられません。そういうような状況でありますので、生乳の需給及び価格の安定を保つためには、私どもの考えておりまするように、保証価格の価格水準といたしましては、主要加工原料乳地帯におきまする乳業生産費を補償する、それを旨として定めるということが適当であり、生産費・所得補償方式でやることは、現時点においては適当でない、こういうふうに考えます。  それから、生産者団体が、その段階におきまして乳価をプールして支払いをするということが適当でありますが、そのために集乳路線を一本化するといいますか、路線を合理化するということは、御指摘のように必要でございますので、その点は、もちろん、御指摘のようにいたすつもりでございます。  指定乳製品の安定指標価格が国際価格を基準として考えるのではないか、こういうことでございますけれども、それはそういうことではございません。国際価格を基準として考えると非常に低位になる、酪農農民あるいは乳価を低位に持っていくための考え方をしておるのではないか、こういうことでございますけれども、これは逆でございます。私ども、混合乳価で販売されている、流通されている現在、これを用途別に取引をしまして、加工原料乳を不足払いによりまして価格を支持していく、こういうことでございますので、むしろ国際価格の波を遮断して、防波堤としての役割りを果たさせよう、こういうふうに考えておるわけでございます。  最後に、流通対策で、輸送の面に相当考慮を払うべきではないか、こういうことでございます。特に遠距離輸送等についての考慮を払えということでございます。これにつきましては、相当これの対策を講じて輸送の面を円滑にいたしたい。あるいはまた、小売り販売の合理化をはかるべきである、こういうことも御指摘のとおりに、私どもは小売り販売の合理化をはかっていきたい、こういうふうに考えております。(拍手)   〔国務大臣田中角榮君登壇
  38. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) 第一点は、酪農振興のため補給金財源として、輸入差益金のみではなく、一般会計を主にして負担すべきである、こういうことでございます。御承知のとおり、本法の二十一条に基づきまして、補給金の財源といたしましては、輸入差益金のみに依存をいたすものではなく、予算の範囲内におきまして、畜産振興事業団に対する補給金の財源としては一般会計からも負担する、こういう道を開いているわけでございます。五十億も一体出すか、こういうことでございますが、五十億とか三十億とか、そういう金額で申し上げるよりも、予算の範囲内で可能な限り最大の努力を続けてまいりたい、こう考えるわけでございます。  また、食管特別会計のように特別管理勘定の制度を設けてはどうかということでございますが、畜産事業団には、この補給金の交付及び乳製品の輸入に関する業務につきましては特別の勘定を設けて、他の業務とは区分をいたしておるわけでございます。  それから第二点は、酪農振興をはかるために調整工場の問題、学校給食の問題、また、生活保護世帯等の問題につきましても将来大いにやるかということでございますが、御承知の四十年度の予算を見ていただいてもわかるとおり、学校給食につきましても七十万石に増加をいたしておりますし、また、生活保護世帯等の妊産婦や乳幼児につきましても新しく補助の道を開いておるわけでありまして、今後も酪農振興対策につきましては十分な配慮を続けてまいりたいと思います。(拍手)   〔国務大臣櫻内義雄君登壇
  39. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) お尋ねの、本事業団が一元的に乳製品の輸入を行なうのは、国内需給及び価格の安定の見地からであって、もし指定乳製品の需給や価格の安定に悪影響を及ぼさない場合に、政令によって例外的に事業団以外のものが輸入することを認めることは別に差しつかえないと思います。(拍手)   〔国務大臣松浦周太郎君登壇
  40. 松浦周太郎

    ○国務大臣(松浦周太郎君) 牛乳の生産価格が消費価格の三分の一になっている、したがって、この流通及び消費価格のことについて考えはどうだ、抜本的な方策はないかということでありますが、大体いま農林大臣がお答えになりましたが、私の担当する遠距離輸送の問題についてお答えいたしたいと思います。  北海道及び東北地方は、夏季においては現地において過剰傾向になっておりますことは言うまでもありません。これを移出することを検討いたしておりましたが、三十九年度に冷蔵庫による試験輸送を行なったのでございます。本年度からは本格的に輸送を実行することにいたしまして、この輸送は冷蔵車を充当し、毎日二車程度を計画しております。その期間は五月から九月までと一応予定いたしております。貨車は最も性能の高い冷蔵車を使用することといたしておりますが、当面の計画している貨車数から見れば、特に専用車を用いる必要はない、現在の状況において十分円滑な輸送はできると考えております。  なお、本年は、このほかに、国鉄では冷蔵コンテナを作成することにしておりまして、さしあたり旭川-隅田の間を運行することになっておりますから、途中における東北地方もこれに便乗することは可能であります。これによる生乳の輸送も計画しております。今後の需要いかんによっては来年度以降もコンテナの貨車の増配をいたしたい、かように考えております。  また、輸送船をつくってそれを無償で貸したらどうだ、こういうことでございますが、船で牛乳を運ぶことにつきましては、いろいろ研究いたしましたけれども、一カ所に何百トンも牛乳を集めるということは時間がかかるし、また船足がおそいので質が低下いたしますというような関係で、これは一時見合わせておりますが、無償云々という問題は運賃につながる問題であると思いますから、これは今後運賃を改定する場合に、このなま牛乳の貨物等級を下げるということによって調整していきたい、かように考えております。(拍手)   〔国務大臣愛知揆一君登壇
  41. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 学童給食については、現に国産なま牛乳を大幅に使用することにいたしております。三十八年度が二十五万石、四十年度は七十万石というようになっております。その反面、米国から輸入の脱脂粉乳は漸次減少いたしております。三十八年度が七万トンでありましたのを、四十年度には四万五千トンに減らす方針でございます。今後できるだけすみやかに、かつ、大幅に国産なま牛乳を学童給食に用いることにいたしたいと思います。(拍手
  42. 船田中

    議長船田中君) これにて質疑は終了いたしました。      ――――◇―――――
  43. 船田中

    議長船田中君) 本日は、これにて散会いたします。    午後四時十一分散会      ――――◇―――――  出席国務大臣         内閣総理大臣  佐藤 榮作君         外 務 大 臣 椎名悦三郎君         大 蔵 大 臣 田中 角榮君         文 部 大 臣 愛知 揆一君         農 林 大 臣 赤城 宗徳君         通商産業大臣  櫻内 義雄君         運 輸 大 臣 松浦周太郎君         自 治 大 臣 吉武 恵市君  出席政府委員       内閣法制局第四部長 田中 康民君         総理府総務長官 臼井 莊一君      ――――◇―――――