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1965-03-11 第48回国会 衆議院 本会議 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年三月十一日(木曜日)     —————————————  議事日程 第十四号   昭和四十年三月十一日    午後一時開議  第一 漁港法の一部を改正する法律案内閣提   出)  第二 森林開発公団法の一部を改正する法律案   (内閣提出)  第三 物品税法の一部を改正する法律案内閣   提出)  第四 相続税法の一部を改正する法律案内閣   提出)     ————————————— ○本日の会議に付した案件  原子爆弾被爆者医療等に関する法律の一部を   改正する法律案内閣提出)の趣旨説明及び   質疑  財政法の一部を改正する法律案内閣提出)の   趣旨説明及び質疑  日程第一 漁港法の一部を改正する法律案(内   閣提出)  日程第二 森林開発公団法の一部を改正する法   律案内閣提出)  日程第三 物品税法の一部を改正する法律案(   内閣提出)  日程第四 相続税法の一部を改正する法律案(   内閣提出)    午後一時二十一分開議
  2. 田中伊三次

    ○副議長田中伊三次君) これより会議を開きます。      ————◇—————  原子爆弾被爆者医療等に関する法律の一部   を改正する法律案内閣提出)の趣旨説明
  3. 田中伊三次

    ○副議長田中伊三次君) 議院運営委員会の決定により、内閣提出原子爆弾被爆者医療等に関する法律の一部を改正する法律案趣旨説明を求めます。厚生大臣神田博君。   〔国務大臣神田博登壇
  4. 神田博

    国務大臣神田博君) 原子爆弾被爆者医療等に関する法律の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。  昭和二十年八月広島市及び長崎市に投下されました原子爆弾被爆者につきましては、原子爆弾被爆者医療等に関する法律によりまして、健康診断医療給付等を行ない、被爆者健康回復、保持をはかってきたところでありますが、被爆者が現在なお置かれている健康上の特別な状態にかんがみ、来年度においては、健康診断強化医療拡充、病床の増加福祉施設整備等、大幅な改善をはかる考えであり、この法律案はその一環として、医療手当支給額増額をはかろうとするものであります。  すなわち、現行法では月額最高二千円とされているのでありますが、これを月額最高三千円に増額することとし、現在支給限度額法律により定められているのを改め、これを弾力的に運用するために、支給額について政令で定めることとしたのであります。  以上をもってこの法律案趣旨説明を終わります。(拍手)      ————◇—————  原子爆弾被爆者医療等に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
  5. 田中伊三次

    ○副議長田中伊三次君) ただいまの趣旨説明に対して質疑通告があります。これを許します。八木昇君。   〔八木昇登壇
  6. 八木昇

    八木昇君 私は、日本社会党を代表いたしまして、原子爆弾被爆者医療等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、若干の質問をいたすものであります。(拍手)  質問の第一点は、一昨年十二月の東京地裁判決、いわゆる古関判決についてであります。  この判決理由は、その骨子を要約いたしますると、次の三点となるのであります。  すなわち、第一は、広島長崎のごとき無防備都市に対するアメリカ原爆投下は、当時の国際法に違反する戦闘行為であって、日本国米国に対し賠償を請求する当然の権利がある。  第二は、しかしながら、日本国は、サンフランシスコ平和条約において、米国に対する一切の請求権を放棄しておる。したがって、問題は、原爆被爆者個人が、アメリカまたは日本国内裁判所救済を求めることができるかどうかということにかかってくるわけである。しかしながら、これはいずれもできない。なぜならば、原爆を投下したものはアメリカであって日本ではないから、日本裁判所の問題とはならない。一方、アメリカにおいては、主権免責、すなわち、国家はその公務員の犯した不法行為については賠償責任を負わないこととなっておるからであるというのであります。  第三に、したがって、被爆者賠償請求問題は、裁判所ではいかんともなしがたいものであって、これは国会及び内閣の問題である。国家はみずからの権限と責任において開始した戦争によって国民の多くの人々に被害を与えたが、原爆被害はその最大なるものである。したがって、現存する原爆医療法程度のものでは被害者に対する救済策にはならない。戦後十数年を経て、高度の経済成長を遂げたわが国において、国家財政上、原爆被害者救済が不可能であるとはとうてい考えられない。われわれは、この訴訟を見るにつけても、政治の貧困を嘆かざるを得ない。  以上が古関判決の要旨でございまして、政府の非を激しくなじっておるわけであります。(拍手)  そこで、佐藤総理にお伺いをいたしますが、人間尊重総理政治のモットーとされるというのでございますが、この判決をどのように受けとめておられるかということであります。この判決を全くそのとおりだとお考えであるとするならば、それこそ、もっと本腰を据えて、政府被爆者救護に取り組まなければなりません。もし別のお考えがあるとするならば、その考えをこの際明らかにせられたいのであります。(拍手)  質問の第二の点は、昨年の第四十六回国会における衆参両院の本会議決議についてであります。  この決議の題名は、御承知のように、「原爆被爆者援護強化に関する決議」となっておるのでありますが、その骨子は「昭和三十二年に原爆医療法の制定を見たが、これでは原爆被害者に対する施策としては、なお十分とは認めがたい。よって、政府は、すみやかにその援護措置拡充強化し、もって生活の安定を図るよう努めるべきである。右決議する。」となっておるのであります。すなわち、この決議は、衆参両院満場一致意思として、政府に対し、被爆者に対する援護措置強化を求めたものであります。  しかるに、今回のこの医療法改正案内容を見ますと、改正点はわずか一点でありまして、医療手当を月二千円から三千円に改めるというだけのものでありまして、ほかには何にもないのであります。仄聞するところによりますと、被爆者援護にはたいした金もかからないけれども、原爆被爆者援護を充実すれば、原爆以外の他の戦争犠牲者対策影響するところが大であるからして、大蔵省方面がなかなか渋いといわれておる。そうだとするならば、これは全く主客転倒考え方であると思うのであります。(拍手政府農地補償在外資産補償をやろうとしておるのであります。私は、他の戦争犠牲者は少々がまんしてもらってでも、原爆被害者対策こそは他に優先すべきであると考えるのであります。(拍手原爆医療法をなぜ援護法にすることができないのであるか、その理由がわからない。その隘路は一体何であるかについて、総理及び大蔵大臣よりお答えをいただきたいのであります。(拍手)  質問の第三点は、原爆者援護のための具体的な問題についてであります。  まず、認定被爆者に対する医療手当を五千円に引き上げてもらいたい。わが党提案のごとく所得制限を行ないますならば、わずか千数百名余り対象となるのであって、わずかの予算で済むのであります。  次に、被爆者一般に対し、労働能力の著しい減耗や原爆症への絶えざる不安、遺伝のおそれ、結婚難など、その置かれておる心身の特別の状態に対して、健康手当二千円を出してもらいたい。これも所得制限をすれば、対象者は五万二千名余りにすぎないのでありまして、予算はわずかでいいのであります。  次に、被爆者が死亡した場合、弔慰料として三万円を出してもらいたい。戦死者に対しては一時金二十万円と遺族年金支給されております。しかも、本年は終戦二十周年記念だというので、政府特別弔慰金三万円を四十一万人に対して支給することとしておるのでございまするが、原爆死亡者は何ら顧みられていないのであります。当初は、厚生省も何がしかの葬祭料を出すことを考えていたようでありまするが、これが立ち消えになったようであります。一体その理由は何であるか、ひとつ御説明をいただきたい。原爆死亡者が、わずか三万円の弔慰金支給を受けたからといって、軍人軍属でもないのに優遇され過ぎるといってこれを非難する国民がおるとは思われません。これらの点について、厚生大臣から御答弁をいただきたいと思うのであります。  右の三点につきましては、これくらいのことは政府がやろうと思いさえすれば、いとも簡単にできることだと思うのでありまするが、ひとつ考えを述べていただきたいと思うのであります。  質問の第四点は、原爆実態調査についてであります。  大体、原爆が落とされてから二十年もたったいまごろになって、原爆実態調査費三千七百九十三万円が初めて予算化されたということ自体、まことにけしからぬ話でございまするが、ともかく、これは一歩前進であると私も考えます。ところで、政府がこれからの調査原爆問題のあと始末という感覚でやってもらっては困るのであります。これからが、ほんとう意味では原爆調査始まりだという立場で、真剣に取り組んでもらいたいのであります。  実は、過般、被爆者を中心とする巡礼団アメリカを訪れました際に、国連ウ・タント事務総長に会って、原爆実態調査国連としてやってもらいたいと申し入れたのでございまするが、その際、総長は、「日本政府より申し入れがあれば、国連原子力委員会に持ち込みたい」と答えておるのであります。政府は、ほんとう原爆調査に真剣なる熱意を持っておるとするなら、このような申し入れ国連にすべきであると考えますし、また、今次調査の結果は、当然国連舞台に持ち出すべきものであると考えるのでありまするが、総理の見解を伺いたいのであります。(拍手)  次に、GHQの指令によって行なわれた昭和二十五年国勢調査に基づく原爆被爆者調査原票ABCCにあるはずでございますが、この際、政府は、当然の権利としてこれを取り寄せる要求をなすべきであると考えます。この点につきましては、外務大臣より御答弁をいただきたい。  なお、今回の調査に当たる調査委員会構成、人選などについての厚生大臣のお考えをこの際承っておきたいのであります。  最後質問は、沖繩在住被爆者対策についてであります。  この件については、沖繩厚生省から調査団を派遣すること、あるいは患者を内地に迎えて、旅費や治療費日本政府が負担すること等についてほぼ話し合いがまとまり、近くアメリカ民政府との間に協定が結ばれると聞いておるのでありますが、これではなお不十分でございます。沖繩現地で療養する者についても、何らかの措置をすべきであります。結核や、らいについては、沖繩立法院が法制化し、日本政府がこれに医療援助をするという形がとられておるのでありまするから、原爆症患者についても、何らかこのような方法がとり得るはずと考えるのであります。この点、担当大臣から答弁いただきたいのであります。  以上、要するに、政府の今日までの原爆対策は、もろもろのおもんぱかりからであろうと思いまするが、国の施政の片すみで、消極的に、申しわけ的に行なわれてきたといわざるを得ません。核拡散のおそれのなお強い今日の世界情勢のもとで、私は、原水爆兵器の絶滅を念願する日本国民の強い意思を国の内外に示すという意味においても、特に原爆被爆者援護措置は、至れり尽くせりの措置がなされてしかるべきだと考えるのであります。政府の勇断を最後に求めまして、私の質問を終わる次第であります。(拍手)   〔内閣総理大臣佐藤榮作登壇
  7. 佐藤榮作

    内閣総理大臣佐藤榮作君) いわゆる古関判決についてでございますが、この原子爆弾投下法律問題につきましては、いろいろの学者から各様の意見が述べられておることは、私も承知しております。しかし、問題は、これは判決でございますので、この機会に判決を批判することは適当でない、かように考えますので、私の考え方は差し控えさせていただきます。ただ、判決がどうあろうとも、この気の毒な被爆者に対する国の援護、これは万全を期さなければならないと思いますし、また、衆参両院におきましての決議の御趣旨もございますので、そういう意味におきましても、来年度はさらにその内容を充実していきたい、かように考えております。  次に、この調査の問題でございますが、これからが始まりだ、過去の実態調査で終わりということにしては困るというお話がございました。もちろんそのとおりでありまして、社会科学あるいは医学の面等から、専門学者の協力を得まして、そうして健康面、また生活面から、総合的な実態調査を進めてまいる、かような考え方でございます。そうして今後の施策の充実をはかって、万遺漏なきを期してまいりたい、かように考えます。  最後に、原爆による放射能影響、これにつきましては、各方面科学者調査によりまして、そのつど国連放射能影響科学委員会、こういうものには報告いたしております。したがいまして、ただいま御提案になりましたような、政府から正式に原爆実態調査国連に頼んではどうか、こういうお話でございますが、ただいまのところ、この連絡で私どもは十分ではないか、かように考えますので、ただいますぐ国連へその調査を依頼する、かような処置はとらないつもりでございます。(拍手)   〔国務大臣田中角榮登壇
  8. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 私からお答えをいたします第一点は、現在の医療手当生活保護的なものを含めたものにすべきではないかということでございます。  昭和四十年度におきましては、特別被爆者範囲拡大健康診断拡充医療手当増額等措置を講じまして、原爆障害対策費総額において、三十九年度より二億九千六百万円を増額しまして、十六億七百万円を計上いたしておるわけでございます。原爆による被害者に対して、生活保護的なものも加味してということでございますが、本件につきましては、生活保護法制度がありますので、当然これによるべきものだと考えておるのであります。  第二点は、被爆者の総数が四千余人の少数でありますから、もっと手当の額を引き上げても、財政的に困難ではないじゃないかということでございます。  御承知のとおり、原爆医療手当につきましては、三十五年に創設したわけでございますが、三十五年は六百万円でございました。三十六年には一億四千万円、三十七年にも一億四千六百万円、それから三十八年には一億六千万円、三十九年に二億円、四十年に二億二千万円余、このように相当大幅な増額をいたしておりまして、現在の段階ではこの程度だと思いますので、事情十分御了承の上、御納得賜わりたいと思います。(拍手)   〔国務大臣神田博登壇
  9. 神田博

    国務大臣神田博君) お答え申し上げます。  衆参両院における原爆被爆者援護強化に関する決議に対する政府考え方が十分でないというような御趣旨でございましたが、衆参両院決議もありましたので、その御趣旨に沿って、被爆者対策につきましては前向きの方向に進めております。  四十年度における改善施策は、健康管理強化特別被爆者範囲拡大医療手当増額及び所得制限の緩和、福祉施設整備拡充等をはかっております。  第二の、医療手当を五千円にすべきではないかということにつきましては、大蔵大臣から答弁がございましたので省きます。  次に、原爆被爆者全員に対して二千円の健康手当支給すべきではないかということでございますが、原爆被爆者のみに対し金銭を支給することは、一般戦災者との均衡上困難でありますので、御了承願います。  次は、原爆被爆者が死亡した場合に弔慰金支給すべきではないかということでございますが、これも、原爆被爆者死亡者弔慰金支給することは、一般戦災により多数の方々が死亡しておりますので、これとの均衡考えますと適当でないと考えております。  現在計画中の実態調査には、医師ばかりでなく社会学者等も加えて実施すべきではないかということでございますが、これは御趣旨のとおりでございますので、できるだけ広い範囲内で人を集めまして、権威ある委員会をつくってやっていきたい、かように考えております。  なお、沖繩に居住する被爆者の問題についてでございますが、現地本土から医師を派遣して健康診断を行ない、発見された沖繩在住被爆患者本土の病院で治療することについては、現在交渉中でありますことは御承知のとおりでございまして、近く実現の見込みでございます。なお、沖繩在住者に対して現行法律をそのまま実施することには困難があるので、なお検討させていただきたいと思います。  原爆症によって死亡した被爆者遺族葬祭料支給する考えはないかということでございますが、現行法では、生存者である原爆被爆者の身体的社会的の特殊性から、これに対して医療健康管理措置を行なうことを趣旨としておりまして、死亡者にそのようなことをすることは困難である、こういうことでございます。(拍手)   〔国務大臣椎名悦三郎登壇
  10. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 私に対する御質問は、ABCCに、去る二十五年にGHQの指示によって調査したときの原票があるはずだが、これを日本政府提出させる、べきではないかという御趣旨でございます。御指摘の点は十分検討いたしまして、そのように取り扱うようにしたいと思います。(拍手
  11. 田中伊三次

    ○副議長田中伊三次君) 大蔵大臣から、答弁を追加したいとの申し出があります。これを許します。大蔵大臣田中角榮君。   〔国務大臣田中角榮登壇
  12. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 第二問の医療手当の額は、その対象人員が四千人余でありますから、大幅に引き上げても、財政的にさしたる困難はない、こういうことで、大幅引き上げの御要求があったわけでございます。  本件に対する私の先ほどの答弁の中で、数字に間違いがございましたので、追加して御答弁を申し上げるとともに、この数字の訂正もお願いしたいと思います。  医療手当は、原爆被爆者特殊性を考慮するものとして昭和三十五年度に創設せられたものでございますが、そのたてまえは、原爆症患者医療効果の促進をはかることを目的としておりまして、生活の保障を行なうものではないということでございまして、その増額についてはおのずから制約があるわけでございます。  このような関係で、この金額は創設以来据え置かれてまいったわけでございますが、四十年度からは、諸般の事情の変化をも十分考え、その趣旨に従いまして、現行定額に対し許される限りの再検討を行ないまして、一挙に五割の増額をいたしたものでございます。  その金額は先ほど申し上げましたが、金額を訂正いたします。三十五年度は六百万円、三十六年度は一千四百四十万円余、三十七年度も千四百万円、三十八年度は一千六百万円、三十九年度は二千万円、四十年度は二千二百三十九万九千円でございます。  政府としましては、以上のようなたてまえのもので、できる限りの努力を払ったのでございまして、よく事情を御理解の上、御納得いただきたいと思います。(拍手
  13. 田中伊三次

    ○副議長田中伊三次君) これにて質疑を終了いたしました。      ————◇—————  財政法の一部を改正する法律案内閣提出)の趣旨説明
  14. 田中伊三次

    ○副議長田中伊三次君) 次に、内閣提出財政法の一部を改正する法律案趣旨説明を求めます。大蔵大臣田中角榮君。   〔国務大臣田中角榮登壇
  15. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 財政法の一部を改正する法律案趣旨を御説明申し上げます。  この法律案は、国の財政の効率的な運営をはかるため、財政法第六条に規定する公債または借り入れ金償還財源決算上の剰余金を繰り入れる措置について特例を設けることとし、あわせて財政制度審議会構成について所要改正を行なうことを内容とするものであります。  以下、その改正の要点につきまして御説明申し上げたいと存じます。  まず、財政法第六条の規定によりますと、前々年度歳入歳出決算上の剰余金の二分の一以上を公債または借り入れ金償還財源に繰り入れなければならないことになっておるのでありますが、本規定が設けられました終戦直後と異なり、現在では、国債残高が相対的に大きく減少しておりますこと、及び決算上の剰余金の二分の一以上を常に国債償還費として固定化してしまうことは一般会計財源配分制約が大きいこと等の事情を考慮いたしまして、来年度予算におきましては、暫定的な特例措置として、国債償還財源への繰り入れ率を「二分の一を下らない率」から「五分の一を下らない率」に変更し、財政運営全般効率化をはかることといたしたのであります。また、国債整理基金の現況より見まして、この程度の変更であるならば、今後二年間程度国債償還には支障がないと認められますので、本特例措置を二カ年度間に限り行なうこととした次第であります。  次に、財政制度審議会につきましては、国の予算決算及び会計制度に関する重要な事項を調査審議することになっておるのでありますが、今後、前に申し述べました剰余金の処理の問題を含め、財政会計制度全般にわたって本格的な検討を進め、また、臨時行政調査会の答申に述べられてあります諸問題等を専門的に調査審議するために、広く有識者の参加を得ることができますよう、委員を増員するとともに、所要規定整備を行なうこととしておるのであります。  以上、財政法の一部を改正する法律案趣旨について御説明申し上げた次第であります。(拍手)      ————◇—————  財政法の一部を改正する法律案内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
  16. 田中伊三次

    ○副議長田中伊三次君) ただいまの趣旨説明に対して質疑通告があります。これを許します。平岡忠次郎君。   〔平岡忠次郎登壇
  17. 平岡忠次郎

    平岡忠次郎君 ただいま提案説明のありました財政法の一部改正法案は、暫定的な特例措置として、昭和三十八年度以降二カ年度に限って歳入歳出決算上の剰余金のうち、国債償還財源への繰り入れ率を二分の一を下らない率から五分の一を下らない率に変更して、あわせて財政制度審議会委員増加をはかるべしというものであって、政府はさりげなくこれを提案していますが、四十年度予算においては、歳入見積もり目一ぱいに見込み、本格的公債発行の前夜に追い込まれている政府放漫財政政策断層面として、われわれはこれを重視せざるを得ません。  以下、日本社会党を代表して、私は、首相並びに関係閣僚に対し、財政法改正法案に関し、政府財政施策につき質疑を行なわんとするものであります。(拍手)  質問の第一は、財源不足に追い込まれた政府のとったびほう策がこの改定案でなかったのかどうかという点についてであります。  国債整理基金特別会計については、もともと前々年度剰余金の半分を機械的に国債償還費に充てることには批判がないわけではない。しかし、財政法でこれを規定したのは、第四条並びに第五条の公債発行制限規定と関連し、均衡財政を堅持するための裏づけとしてであります。四千四百億円の国債残高をなおかかえておる今日の現状から見ても、かつは、今後内国債を絶対に出さないという決意があるのならともかくとして、四十一年度から公債発行に火がつきそうな形勢から見ても、むしろ国債残高に応じての比率償還制などの活用も検討してしかるべきであるのに、目先の財源捻出に一時のびほう策をとらんとするのは問題であるといわなければなりません。(拍手)  そもそも、四十年度予算編成は、財源にこと欠くところから、一般会計に計上すべき支出を、財政投融資計画のほうに回すというからくりで成り立っておるところに一大特色がございます。高度経済成長政策から安定成長への切りかえの時期に際会して、四十年度の税の自然増収は四千六百四十七億円と大激減、結局、四十年度の前年度比較歳入増加額は四千二十六億円にとどまった。一方、高度成長政策という列車の速度はいまだに惰性が強く、財政支出のブレーキがよくききかねていること、この辺に予算編成上の無理が伏在するのであります。  大蔵省は、事情を次のように説明している。その説明によると、四十年度の使途特定増経費、すなわち、地方交付税など法定経費で千二、三百億円、当然増経費、すなわち、社会保障、公務員人件費、食管補てん費などで千八百億円、計約三千億円が黙っていても食われ、増加財源四千億円のうち、政策財源は一千億円にすぎない。しかも、道路など、一連の長期計画の年次割りに基づく計画増経費が八百億円をこえるものと見込まれますので、純粋の新規政策に回せる金はほとんどないということになる。  こうした情勢から、大蔵省としては、財源対策に非常手段をとらざるを得ない羽目に追いやられた。そして、やり玉に上げられたのが産業投資特別会計国債整理基金特別会計への一般会計からの繰り入れ金であります。政府は、産投会計への繰り入れ金を百二十五億円に減らし、三十九年度に比べ四百四十七億円を浮かす手段に出た。また、ここに問題の国債整理基金は、財政法規定による二分の一の繰り入れから一挙に五分の一に落とし、すなわち、三百二十五億円たるべきものを百三十億円にまで削り、百九十五億円をひねり出して、両者合わせて六百四十二億円の財源一般会計において浮かし、これを政策財源に充てることにしたわけであります。  これによってこれを見れば、まさに財源捻出の手品の種に産投と減債基金が用いられたわけであります。予算編成についての政府の七転八倒の大無理がインフレ財政の波頭となって財政法の岸べにまで押し寄せ、今回の改正提案となったわけであります。憂慮すべきは、手品まがいのことをせざるを得ざるほど政府財源難が深刻になっている事実であり、一方に高度成長政策の惰性を断ち切れず、政府予算編成を全くゆがめてしまっている点であります。赤字公債はすでに戸口にたたずんでいる。そうして、まさに戸をたたかんとしている。私は、まさしく高度経済成長政策の破綻の一つのあらわれとこれを見るが、首相はどうお考えになっておるか、お伺いいたします。(拍手)  質問の第二は、財政法のなしくずし的改定を企図する政府の目的意識的改正かどうかという点であります。  減債基金制度は、昭和二十一年の財政法改正にあたって、財政公開の原則、赤字公債禁止の原則等と並んで、最も基本的な原則として打ち立てられたものであり、軽々にそのつど主義で扱わるべきものではございません。政府は、赤字公債発行の展望に立って、つとに財政法のなしくずし的改正を企図しており、今回の改正はその第一着手であるとも伝えられているが、はたして政府はそのような意図であるのかどうか。財政憲法たる財政法について、その一部改正案が、しかくどろなわ的に出された背景に、政府の赤字公債発行の企図があるのではないのかどうか、この際大蔵大臣から明らかにせられたいのであります。  次に、私は、予算編成上の無視し得ない他のゆがみについても、なお当然政府にただす権利があると存じます。  質問の一は、産投会計繰り入れの大削減についてであります。  政府の今回とった産投会計繰り入れの大削減は、ここ数年来強まっていた財投計画への一般会計の肩がわり傾向を決定的なものにしました。一般会計は消費的経費を主体として、投資的経費は民間資金の活用により財政投融資計画に移すという考え方が明確に打ち出されてきたのであります。一般会計からの繰り入れ減少に見合う分は、公募債、借入金の増額、あるいは縁故債、生保資金の活用等となって、間接的に、また直接的に民間資金にはね返るわけであります。今後、投資的経費は民間資金の吸い上げに転化される傾向に進むと私どもは解釈しているが、大蔵大臣は、これを憂慮に値するとお考えにならないのかどうか、御見解をお示し願いたいのであります。  質問の二は、利子補給導入の拡大化的傾向についてであります。  無利子の産投出資資金の削減による政府関係金融機関の資金コスト上昇をカバーするため、利子補給が広範に導入されたことは重要なことであります。利子補給は、これまで計画造船と中小企業近代化資金等について行なわれていたが、これはあくまで例外とされていたものであります。しかし、四十年度では、農林漁業金融公庫、住宅金融公庫、日本住宅公団に対して利子補給が拡大されました。すなわち、右の三機関に対する産業投資特別会計からの出資額を前年度比較三百八十九億円も減額したため、四十年度の三機関コスト高借入金は、資金運用部資金、簡保資金及び公募債を通じて計六百八十三億円にもなるので、資金コストを下げるためのものとして、三機関に対して十億円強の利子補給が計上されているわけであります。  一般会計の側に立てば、わずか十億円の利子補給で三百八十九億円もの原資が浮くのであるから、利子補給の道は、この一例をもってしても財政膨張への安易な道であることは明白であり、大蔵省は、従来財政の邪道として利子補給の拡大化に強く反対していたが、背に腹はかえられず、ついに踏み切ってしまった。  右のごとく、利子補給という安易な道は、ややもすると財政の膨張を来たすおそれがあり、それ自体が不健全であること、また、利子補給は、支出額に比べ、総じて六、七十倍の資金を動員できるため、早くから最後の切り札とされながら、非常に警戒されていたこと、この制度を一たん採用すれば、雪だるま式にふえる性質のものであること、さらに、利子補給が資金運用部資金などを対象にしている間はまだ問題は少ないが、民間資金に多額を期待して財政資金が利子補給をすることになると、民間金融が財政に従属するという形にもなりかねないことになります。四十年度予算編成において、かくのごとき危険な道に踏み込んだ政府の企図は糾弾されなければなりません。大蔵大臣から見解をお述べになっていただきたい。  質問の三は、政府提案予算案の審議期間中に、野党の意見をその予算案に盛り込み得る余地を規定上設ける必要があると思うが、政府の所見はどうか。  現状、日本社会党は、千二百万人から政策支持を受けている。民主社会党、日本共産党もまたかなりの支持層がある。しかるに、予算案の審議中に野党側が百万べんの大議論を展開しても、そして、その中で傾聴さるべき意見がよしあっても、当年度予算の上に何ら考慮され得ないことは、不合理であります。たとえば、農業用ガソリン問題、医療問題等は、現状では、その年の予算には生かされがたくなり、不得要領のまま翌年の議論にまた持ち越されてしまって、ついに終局がない。  そこで、当年度の予備費を概念上これを二つに分ける。予備費の全額をかりに一千億円とし、うち五百億円を野党意見を裏づけるための予算予備費とし、他の五百億円を通常の行政予備費とする。論議の結果、四百五十億円について野党の意見に政府が合意して、これが予算に盛られることになったら、予算予備費は発展的に解消する。残額五十億円は行政予備費につけ加えられて、いわゆる予備費は、最終的に五百五十億円と決定される。かくすれば、国民の声を反映する野党意見が、翌年度を待たず、当年度予算にインスタントに生かされるのであるけれども、このような主張は、政府においてこれを認め、検討すべきだと思うが、将来、財政法の根本的改定にあたって考慮の用意ありやいなや、多数党の党首でもある総理大臣より御答弁をお願いしたいのであります。  なお、これと関連して、同じ理由から、シャドーキャビネット用予算は、英国同様に野党のために考慮されてしかるべしと思うが、これまた首相より御答弁をいただきたいのであります。  総じて、昭和四十年度予算は、ひずみ是正予算と銘打ちながら、その内実は、矛盾拡大の膨張予算であります。すなわち、その規模は、一般会計財政投融資額の合計で五兆二千七百八十億円であり、これと対照される三十九年度金額は四兆五千九百五十六億円であるから、四十年度政府財政規模は、三十九年度に比べ一四・八%の増加となっており、政府経済成長率、名目一一%、実質七・五%を大きく上回る膨張予算であります。のみならず、公募債、借入金の増加率は二八・八%の高率となり、さらに、利子補給の新設等で、総体的に借金財政となっていることが特徴であります。(拍手)  減債基金の繰り入れ率変更に関する財政法改正案は、まさに政府の経済政策、財政金融政策の破綻を示す数多くの赤信号の一つであり、やがて赤字公債発行にまで進展する危険をはらむものと把握すべきであります。  私は、高度成長政策の破綻がいかに深刻に財政危機に及んでいるかをここに国民の前に明らかにし、政府にその施策の反省を促しつつ、私の質問を終わることにいたします。(拍手)   〔内閣総理大臣佐藤榮作登壇
  18. 佐藤榮作

    内閣総理大臣佐藤榮作君) 財政法改正提案いたしまして御審議を願っておるのでありますが、その提案趣旨説明にもありましたように、今回のこれは、国債が、二十二年当時とは事が変わっているし、また、予算の編成上から見ましてもいわゆる健全性を阻害しない、かような立場に立って今回の御審議をお願いいたしておるのであります。  また、これを、高度経済成長の破綻ではないか、かように仰せられるのでありますが、その御意見は御意見として伺いますが、あの提案趣旨説明のとおりでございますので、これは当たらない、かように私は考えます。  また、政府は、予算提出いたしまして御審議を願っております。現段階におきまして最も妥当な予算を作成いたしまして、そうして御審議を願ったのであります。この予備費もまたさような意味でこれを計上いたしたのであります。お説のような予算予備費というようなものを考えるというわけにはまいりません。予算提案政府権利予算提出権との関連におきましても、このことは守っていかなければならないと思います。  しからば、与党あるいは野党の方々の耳をかすべき御意見、これが修正権、いわゆる予算の修正は可能なのかどうなのか、かような立場に立って考えてみますると、現行制度の上におきましても予算の修正権はある、かように私どもは考えております。もちろん、今日まで、与党はこの点で野党と意見を異にいたしますので、多数の原理によって予算の成立をしておりますが、いわゆる理論的に、制度として修正権を否認しておるものではない、かようにお考えをいただきたいと思います。  また、シャドーキャビネットという例を引き合いに出されまして、英国流の予算をつくれ、かように仰せられますが、英国のシャドーキャビネットにいたしましても、シャドーキャビネット用予算制度がある、かようには私伺っておりません。この点は勉強不足かもわかりませんが、お答えしておきます。(拍手)   〔国務大臣田中角榮登壇
  19. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 今般御審議をいただく財政法改正点は二点でありまして、その中で問題にせられておるものは、前段の第一点でございます。それは、剰余金の二分の一を国債整理基金に繰り入れなければならないというのを、二カ年間に限って五分の一にする、こういうことだけでございます。一体、二分の一ということと、五分の一ということに際して、財源が全然なくなったから赤字公債でも発行しようという前段の体制として五分の一にしたのだ、こういうことでございますが、率直に申し上げまして、いまも総理が申されましたが、無制限に国債整理基金に繰り入れを必要とするわけではございません。国債の残高が多くなる場合に、この国債償還に必要な財源を繰り入れるという財源確保のためと、もう一つは、財源一般会計財源として余った場合、これをたな上げをするという立場でこの制度がつくられたことは御承知のとおりでございます。ところが、この制度をつくりました昭和二十二年当時は、一般会計の規模と借り入れ金を含む国債の割合は一体どの程度だといいますと、一・四六%でございました。それが三十八年には〇・二一%になっておるのであります。しかも、国債の現在高に対するその年度の繰り入れ額というものの割合を見ますと、昭和の初年、昭和二年は二・九五%でございました。ところが、昭和四十年度現行繰り入れ率二分の一を使いますと、八・三九ということになるのであります。それを五分の一に少なくしましても三・三六、こういうことで、先進諸国に比べましても、国債残高の非常に少ない日本としては、このような制度をそのまま使うことは、これは健全ではなく超健全ということでございます。現在どうかといいますと、皆さん御指摘になるとおり、いろいろな歳出の要求もあるわけでありまして、財源の効率的運用という面から見ましても、二年間五分の一にしていただく、こういうことで、ひとつ十分御理解をいただきたいと思います。要らないところに——まあ要らないところというわけじゃありませんが、少なくともいますぐ使わないところに全部たな上げをしておいて、そして財源がないから中小企業も農村政策もできないというならば責めらるべきでありますが、必要な財源に対して十分確保をして諸般の施策を行なうというのでありますから、政府が当然とるべき姿勢であると思います。(拍手)  それから、政府本件を契機にして赤字公債というものにつながるのではないかという御指摘でございますが、内国債の発行に対しても非常に慎重な態度をとっておることは御承知のとおりであります。もちろん、赤字公債などの考えは全く持っておりません。  それから、一般会計から産投会計へ繰り入れておりました原資を削減して利子補給の制度を使ったことは憂慮すべきことである、不健全財政につながるものだということでございますが、御承知のとおり、いままででも利子補給の制度はとっておったわけでございます。しかし、利子補給というものが安易に流れると、将来の負担が非常に大きくなりますので、その政策効果を十分考えて利子補給制度をとったことは御承知のとおりであります。でありますから、農業問題及び天災融資法による利子補給というようなものに限っておったわけであります。また、その当時は、政府が企図したものよりも高度の成長を続けましたために、税収における自然増収が十分確保されたわけであります。でありますから、一%の農業の金融に対して利下げを行なうという場合に、これに対する原資を何十億、何百億と、こういう繰り入れの方針をとってまいったわけでありますが、これも、あり余るような状態のときは、そういう方法も、健全の名において、ある意味における超健全の施策がとられたわけでありますが、だんだん安定成長になって、乏しい、限られた財政の中で、より効率的な財政運営を行なおうとすれば、このような措置を導入することも正しいことであります。しかも、一般会計と合わせて財政投融資の中で、国民の蓄積資本である民間資金の導入が行なわれ、バランスある投資が行なわれるということも、ある意味において正しいことだと考えます。しかし、これを無制限に利子補給制度拡大していくということは、将来の国民に対する負担を大きくすることでありますから、かかるものに対しましては、政策効果を十分見きわめて、慎重な態度をとるべきだと考えております。(拍手)  それから、野党用の財源を設けよということでございますが、これは、内閣予算編成権との問題もございまして、非常にむずかしいと思います。しかも、総理が申されたとおり、国会は与野党を含めて修正権をお持ちであるわけでありますので、現在の状態において、予備費を千億に増して、その半分を野党用、修正用ということは、法律趣旨から考えてもできにくいことだと思います。  それから、最後に一点申し上げますが、このような利子補給の制度をつくったり、また財政法の繰り入れ限度額を低くすることは、これは赤字政策につながると言いますが、これは全く逆であります。日本の経済発展が非常にたくましく行なわれまして、その過程において健全財政政策がとられてきましたために、現在の時点において償還しなければならない国債の残高は非常に少なかったということは、経常収入をもってまかなってきた、いわゆる高度成長の過程において健全財政が維持されたという証左でありまして、この事実を十分御理解、評価のほどを願います。(拍手
  20. 田中伊三次

    ○副議長田中伊三次君) これにて質疑は終了いたしました。      ————◇—————  日程第一 漁港法の一部を改正する法律案   (内閣提出)  日程第二 森林開発公団法の一部を改正する   法律案内閣提出
  21. 田中伊三次

    ○副議長田中伊三次君) 日程第一、漁港法の一部を改正する法律案日程第二、森林開発公団法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。
  22. 田中伊三次

    ○副議長田中伊三次君) 委員長の報告を求めます。農林水産委員会理事本名武君。     —————————————   〔報告書は本号末尾に掲載〕     —————————————   〔本名武君登壇
  23. 本名武

    ○本名武君 ただいま議題となりました二法案に対する農林水産委員会における審査の経過及び結果について御報告申し上げます。  まず、内閣提出漁港法の一部を改正する法律案について申し上げます。  御承知のとおり、漁港法は、昭和二十五年に制定され、自来、水産業の生産、流通の基盤である漁港を全国にわたって計画的に整備して、わが国水産業の発展に寄与しているのであります。  今回の改正点は、漁港のうち、主として沿岸漁業の根拠地である、比較的小規模な第一種漁港または第二種漁港の整備を促進するとともに、沿岸漁業の構造改善に資するため、これらの漁港の修築事業に対する国の補助割合を、昭和四十年度から当分の間、従来の百分の四十から百分の五十に引き上げようとするものであります。  本案は、内閣から去る二月十日提出、付託され、同月十六日提案理由説明を聴取し、三月二日及び三月九日質疑を行ない、同日、質疑を終了し、採決の結果、多数をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。  次に、内閣提出森林開発公団法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本案は、地勢等の地理的条件がきわめて悪く、かつ、豊富な森林資源の開発が十分行なわれていない特定の地域内において、その地域の林道網の枢要部分であり、かつ、林業以外の産業振興の見地からも、必要相当と認められる林道の開設を森林開発公団に行なわせることとして提案されたものでありまして、そのおもな内容は、同公団の事業範囲拡大、監事権限に関する規定整備、及び事業範囲拡大に伴う地方公共団体の同公団への寄付金の禁止等であります。  本案は、内閣から去る二月十日提出され、農林委員会におきましては、同月十六日提案理由説明を聴取し、同月十八日以降数回にわたり質疑を行ない、その間、参考人から意見の聴取を行なうなど、慎重審査の末、三月十日、質疑を終了し、直ちに採決の結果、多数をもって原案どおり可決すべきものと決した次第であります。  なお、本案に対し、政府は林道網の整備拡充に関する法制上、財政上必要な措置を講ずること等を内容とする附帯決議が付されましたことを申し添えて、以上、報告を終わります。(拍手)     —————————————
  24. 田中伊三次

    ○副議長田中伊三次君) これより採決に入ります。  まず、日程第一につき採決いたします。  本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  25. 田中伊三次

    ○副議長田中伊三次君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。  次に、日程第二につき採決いたします。  本案は委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  26. 田中伊三次

    ○副議長田中伊三次君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  日程第三 物品税法の一部を改正する法律案   (内閣提出)  日程第四 相続税法の一部を改正する法律案   (内閣提出
  27. 田中伊三次

    ○副議長田中伊三次君) 日程第三、物品税法の一部を改正する法律案日程第四、相続税法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。
  28. 田中伊三次

    ○副議長田中伊三次君) 委員長の報告を求めます。大蔵委員会理事金子一平君。     —————————————   〔報告書は本号末尾に掲載〕     —————————————   〔金子一平君登壇
  29. 金子一平

    ○金子一平君 ただいま議題となりました二法律案につきまして、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、物品税法の一部を改正する法律案について申し上げます。  物品税の課税物品のうち、小型乗用自動車、カラーフィルム、小型レコード及びカラーテレビジョン受像機の四品目につきましては、昭和三十七年度における物品税法改正の際、国際競争力の培養の見地から、本年三月三十一日までの三年間に限り、暫定的に軽減税率を適用することとされたものでありますが、この法律案は、その適用期限の到来に際し、直ちに二〇%の基本税率を適用することにいたしますと、税負担の急激な変化を来たし、国際競争力の点からしても適当ではないと考えられますので、これを緩和するため、税率を漸次段階的に引き上げつつ二年後に基本税率に戻すよう措置しようとするものであります。  すなわち、このような見地から、小型乗用自動車につきましては、四十年度二八%、四十一年度一八%、その他の三物品につきましては四十年度一三%、四十一年度一六%の軽減税率による経過措置を講ずることといたしております。  本案につきましては、審議の後、昨三月十日、質疑を終了し、討論に入りましたところ、日本社会党を代表して堀昌雄君より反対の旨の意見が述べられました。次いで、採決いたしましたところ、多数をもって原案のとおり可決となりました。  次に、相続税法の一部を改正する法律案について申し上げます。  この法律案は、今次の税制改正の一環として、相続人の取得する生命保険金の非課税限度額を引き上げるとともに、贈与税の申告書の提出期限を所得税の確定申告書の提出期限まで延長する等、所要規定整備をはかろうとするものであります。  すなわち、第一に、相続人の取得する生命保険金の非課税限度額を現行の五十万円から百万円に引き上げるとともに、損害保険契約に基づく死亡保険金を生命保険金に準じて取り扱うことといたしております。  第二に、贈与税の申告書の提出期限は、現行二月末日となっておりますが、納税者の便宜等を考慮して、これを所得税の確定申告書の提出期限である三月十五日まで延長することといたしております。  以上がこの法案の内容でありますが、本案は、審議の後、昨三月十日、質疑を終了し、採決いたしましたところ、全会一致をもって原案のとおり可決となりました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  30. 田中伊三次

    ○副議長田中伊三次君) 両案中、日程第三につき討論の通告があります。これを許します。藤田高敏君。   〔藤田高敏君登壇
  31. 藤田高敏

    ○藤田高敏君 私は、日本社会党を代表して、ただいま大蔵常任委員会理事から報告のありました物品税法の一部を改正する法律案について、反対討論を行なうものであります。(拍手)  まず、その反対理由の第一は、今国会提案をされている所得税法、法人税法及び租税特別措置法等々一連の税制改正の方向と内容は、資本家や大資産家擁護、優遇の税制改正であり、このことは、勤労大衆にとっては、逆に苛斂誅求の、物価騰貴にさえ追いつけない税制改正であります。(拍手)このことは、大資本あって大衆無視の態度でありまして、物品税を減税しようとしない政府の怠慢を強く責めなければならないからであります。(拍手)  ちなみに、その内容の二、三を指摘するなれば、まず第一に、所得税を減税のあり方に問題点を見出すことができるのであります。すなわち、その所得税は、納税人員において、ここ二年来、毎年二百万人程度増加さし、しかも、その総所得税収中に占める年間所得百万円以下の階層は、九二%にも及んでいるのであります。そして特に問題点となるのは、標準世帯五人家族における課税最低額五十四万四千二百五十九円は、大蔵省のマーケットバスケット方式による資料によりましても、そのエンゲル係数は四六・五六%であり、これは一日の食費わずか百六十七円、一食五十円のラーメン一ぱいの生活費にしか匹敵しない貧弱なものであります。これでは、かわいい子供にさえ毎日牛乳一本、なま卵の一個さえせ食べさすことのできない食費構成になっておるのでありまして、まさに最低生活費を侵害している驚くべき勤労所得税といわなければなりません。(拍手)  また、その第二の問題として、租税特別措置法による利子分離課税をあげることができるのであります。これを卑近な計算によってみますと、サラリーマンの課税所得が百万円の場合は、その所得税は約二十万円であるにもかかわらず、利子分離課税の場合はその半分で済むのであります。これがさらに一億円の預金者で年利息五分五厘で五百五十万の利子所得者を例にとりますと、分離課税によりわずか五十五万しか所得税がかかりませんが、サラリーマンの場合には総合累進課税となり、約二百万の所得税を納めなければなりません。何と矛盾に満ちた税制でありましょうか。(拍手)まさに驚くべき高額所得者擁護の税制改正といわなければなりません。  いま一つ、今次税制改正の最大の改悪点といわれている配当分離課税について、これまた身近な例をあげてみますと、勤労所得者は汗水流して働いた標準世帯五人に対し、五十四万程度の収入に税金をかけられているにもかかわらず、片や、寝ていても配当所得だけで生活をする者にとっては、百八十一万九千三百四十円までは無税となっており、そればかりでなく、選択制度の新設によって、ごく部分的条件を除けば、何億何千万の配当所得があろうとも、一五%かっきりの源泉徴収だけで、総合累進課税からははずされる仕組みになっており、日本税制始まって以来の改悪といわれるゆえんも、ここにあるのであります。(拍手)  また、税制調査会の答申を逆にねじ曲げた点においても、戦後最悪の税制改正といわなければなりません。  かかる全体的な税制改正の中にあって、いま討議されている物品税四品目を除く、たばこ、砂糖、電気ガス税等、国民生活に直結している間接税はどうなっているでありましょうか。これら間接税は、直接税に比べて国民の抵抗は少なく、かつ負担感の鈍い、そして取りやすいという性格を持つ間接税の弱みを巧みに利用して、今次改正では間接税に関する限りは全く触れていないのであります。したがって、私が反対をする第二の具体的理由は、百万長者であろうと、生活保護世帯であろうと、所得税のかからない低所得者であろうとも、同率同額の税金のかかる逆進性の強い間接税に対しては、ここ三、四年来の物価高騰に見合うものさえ全く黙殺してしまって、何らの軽減措置さえも講じない政府の片手落ち不均衡政策が、どうしても納得できないからであります。(拍手)  直接税の対象者は、その立場の相違によってそれぞれの不満はあろうとも、相対的に減税の対象になっていますが、所得税の課税水準にさえ達しない低所得者層以下の者は、減税の恩典には全く浴さないのみか、物価高騰からくる生活の重圧と不合理、不公平な税制改正を通じて、国民の所得格差とその矛盾はますます拡大されているのであります。(拍手)池田内閣から佐藤内閣に引き継がれた表看板政策には、所得格差の是正ということがその中心になっていたのではなかったのか。かかる矛盾拡大政治が、佐藤内閣の一枚看板ともいうべき人間尊重政治といえるのか。私は、この法律案審議を通して、佐藤総理政府に対して強く反省を求めるものであります。(拍手)  次に、私の反対する第三の理由は、物品税それ自体の改正内容に非常な不合理があるからであります。それは、いみじくも、税制調査会の答申においても、今次改正の小型乗用車、カラーフィルム、小型レコード、カラーテレビ受像機の四品目は、ここ三年来の暫定軽減措置をとってきた目的がほぼ達成されているので、期限到来を待ってもとに返すべきだと指摘しているのであります。昨年の物品税改正時におけるステレオ装置、自動車用クーラー、ルームクーラーと、今回の改正品目合わせて七品目は、百品目以上にも及ぶ他の物品税対象品目に比較すれば、高額所得者層を対象とした軽減措置であり、また企業利潤擁護の産業政策から出た対策であって、大多数の勤労国民にはまだまだ縁遠い品物ばかりであります。(拍手)これらの物品にかかる軽減措置をとるのであれば、それ以前の政策配慮として、国民生活にもっともっと密着している消耗品的性格としてのマッチであるとか、清涼飲料水、ジュース、化粧品やあるいはたばこ入れ、灰皿、掛け時計のごとき物品に税金をかけていること自体ナンセンスと目されるこれらの物品については、物品税を当然廃止すべきであります。(拍手)また、消費生活の多様化によって普及しつつある電気、ガス、石油ストーブ、扇風機等こそ、昨年と今回の改正品目に先行して基本税率の軽減と廃止をしてこそ、物品税本来の目的に合致するものといわなければなりません。(拍手)  最後に、反対する第四の理由として、今次改正によってこれら四品目に軽減措置をとろうとする政府のその理由がきわめて薄弱であるからであります。すなわち、政府は、その改正理由として、貿易の自由化と国際競争力の強化によりどころを求めておるのであります。このことについては、これまた先に触れた税制調査会の答申にも逆行するものであり、その改正を容認しなければならない積極的理由が全然ないのであります。たとえば、これら四品目について特別措置が講じられた昭和三十六年当時と三十九年の対比におけるこれら物品の価格と生産高の推移を見ても、あまりにも明瞭であります。価格はいずれも低下しておりますし、生産高においては、小型乗用者は二・三倍に、カラーフィルムは二倍に、小型レコードは三倍、カラーテレビに至っては十九倍にも達しているのであります。このような実態から見ましても、貿易の自由化に名をかりてこれらの生産企業にのみ優遇措置をとることは、他の物品税との均衡を失することを含めて、その根拠はきわめて薄弱であり、不合理そのものであります。(拍手)  貿易自由化に対処する基本政策は、小手先細工ともいうべき物品税の手直しにあるのではなく、自由化をするのか、それともしないのか、するとすればいつからやれるのか、それ自体が中心になるべきであります。昨年通常国会における通産大臣の答弁では、自動車の自由化はおそくとも本年、四十年三月までには行なうと言明しているにもかかわらず、現内閣はいまだこれを実行していない。かかる優柔不断な態度に終始する現内閣に、はたして貿易の自由化を口にする資格があるかどうかさえ疑問を持つものであります。(拍手)自民党政府の政策方針は、半ば思いつきと、さか立ちしているうらみさえあるといわざるを得ないのであります。(拍手)  最後に、私は、あえて自動車税について付言いたしますと、物品税では軽減を行ない、片や、今国会提案されている地方税法の一部改正では自動車税の引き上げを断行しようとしているのでありまして、その政策の基本をいずれに置いているのか、これまたはなはだ理解に苦しむところであります。  以上、指摘いたしましたように、今回の物品税改正理由とその根拠は、全く薄弱、かつ不均衡と矛盾に満ちたものであり、労働者、農民大衆の立場に立つわが党としては断じて容認できません。したがって私は、政府に対し、すみやかに一般生活必需品の物品税を撤廃すべきであることを強く要求いたしまして、私の反対討論を終わるものであります。(拍手
  32. 田中伊三次

    ○副議長田中伊三次君) これにて討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。  まず、日程第三につき採決いたします。  本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  33. 田中伊三次

    ○副議長田中伊三次君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。  次に、日程第四につき採決いたします。  本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  34. 田中伊三次

    ○副議長田中伊三次君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————
  35. 田中伊三次

    ○副議長田中伊三次君) 本日は、これにて散会いたします。    午後二時三十八分散会      ————◇—————  出席国務大臣         内閣総理大臣  佐藤 榮作君         外 務 大 臣 椎名悦三郎君         大 蔵 大 臣 田中 角榮君         厚 生 大 臣 神田  博君  出席政府委員         内閣官房長官 橋本登美三郎君         内閣法制局長官 高辻 正巳君       厚生省公衆衛生局長 若松 栄一君         農林政務次官  舘林三喜男君      ————◇—————