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1965-02-19 第48回国会 衆議院 本会議 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年二月十九日(金曜日)     —————————————  議事日程 第七号   昭和四十年二月十九日     午後二時開議  第一 製造たばこ定価決定又は改定に関す   る法律の一部を改正する法律案内閣提出)     …………………………………  一 新産業都市建設及び工業整備特別地域整備   のための国の財政上の特別措置に関する法律   案(内閣提出)の趣旨説明  二 治山治水緊急措置法の一部を改正する法律   案(内閣提出)の趣旨説明     ————————————— ○本日の会議に付した案件  原子力委員会委員任命につき同意を求めるの件  文化財保護委員会委員任命につき同意を求める   の件  日程第一 製造たばこ定価決定又は改定に   関する法律の一部を改正する法律案内閣提   出)  新産業都市建設及び工業整備特別地域整備のた   めの国の財政上の特別措置に関する法律案   (内閣提出)の趣旨説明及び質疑  治山治水緊急措置法の一部を改正する法律案   (内閣提出)の趣旨説明及び質疑    午後二時六分開議
  2. 船田中

    議長船田中君) これより会議を開きます。      ————◇—————  原子力委員会委員任命につき同意を求めるの   件
  3. 船田中

    議長船田中君) おはかりいたします。  内閣から、原子力委員会委員青木均一君、武藤俊之助君、西村熊雄君を任命したいので、本院の同意を得たいとの申し出があります。右申し出のとおり同意を与えるに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  4. 船田中

    議長船田中君) 起立多数。よって、同意を与えるに決しました。      ————◇—————  文化財保護委員会委員任命につき同意を求め   るの件
  5. 船田中

    議長船田中君) 次に、文化財保護委員会委員石田茂作君、細川護立君を任命したいので、本院の同意を得たいとの申し出があります。右申し出のとおり同意を与えるに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 船田中

    議長船田中君) 御異議なしと認めます。よって、同意を与えるに決しました。      ————◇—————  日程第一 製造たばこ定価決定又は改定   に関する法律の一部を改正する法律案(内   閣提出)
  7. 船田中

    議長船田中君) 日程第一、製造たばこ定価決定又は改定に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。
  8. 船田中

  9. 吉田重延

    吉田重延君 ただいま議題となりました製造たばこ定価決定又は改定に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、大蔵委員会における審議経過並びに結果を御報告申し上げます。  この法律案は、最近におけるフィルターつき紙巻きたばこに対する需要増大に対処し、現在、日本専売公社試製販売中のフィルターつき紙巻きたばこ、ロング・サイズの「ホープ」、「とうきょう64」及び「ひびき」の三銘柄をさらに継続して販売するため、製造たばこ最高価格を定めている価格表にこれらの銘柄を追加するとともに、最近著しく需要の減少しているパイプたばこ「日光」、葉巻きたばこ「アストリア」及び刻みたばこ「富貴煙」の販売を廃止することとして、同価格表からこれらを削除しようとするものであります。  本案につきましては、慎重審議の後、昨十八日、質疑を終了し、直ちに採決いたしましたところ、全会一致をもって原案のとおり可決いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  10. 船田中

    議長船田中君) 採決いたします。  本案委員長報告は可決であります。本案委員長報告のとおり決するに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  11. 船田中

    議長船田中君) 起立多数。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  新産業都市建設及び工業整備特別地域整備の   ための国の財政上の特別措置に関する法律   案(内閣提出)の趣旨説明
  12. 船田中

  13. 吉武恵市

    国務大臣吉武恵市君) 新産業都市建設及び工業整備特別地域整備のための国の財政上の特別措置に関する法律案について、その趣旨を御説明いたします。  御承知のとおり、地域格差是正対策の一環として、さきに新産業都市建設促進法及び工業整備特別地域整備促進法が制定され、これらの二つの法律に基づく基本計画は、それぞれ昨年末及び今春に内閣総理大臣承認を受け、または、近く受けるものと予想され、いよいよ具体的に計画実施する段階となった次第でございますが、これらに要する事業費は、関係十九地区、二十道県を通じ昭和五十年度までに総額六兆三千億に及び、これに伴う関係地方公共団体財政負担は膨大となることが予想されるのであります。これらの公共投資を集中的かつ短期間に行なうことに伴い、地方負担が急激に増大し、しかも、これらの対象地域における関係地方公共団体財政力も十分でない事情を勘案いたしますると、これらの地方負担に対し、国が国家的見地に立って財政上の特別措置を講ずる必要があるのであります。  よって、今回この法律により、可及的に必要な援助措置を定め、もって新産業都市建設並びに工業整備特別地域整備促進に資することといたしたい所存であります。  次に、本法律案内容の要旨につきまして御説明いたします。  第一は、地方債利子補給であります。  国は、都道府県に対して、新産業都市建設基本計画または工業整備特別地域整備基本計画に基づいて行なわれる国の直轄事業または国庫補助事業のうち、住宅道路港湾等、基幹的な施設整備にかかる事業に要する経費について、その都道府県通常負担額をこえる負担額を支出するため、その財源に充てるものとして発行を許可された地方債に対し、その利子支払い額の一部を補給することといたしました。この利子補給は、地方債利子支払い額のうち、年利三分五厘をこえる部分を、年利八分までを限度として補給することといたしました。  なお、そのために増加を要する地方債については、別途地方債計画に特掲いたすことといたしたのであります。  第二は、国の負担割合特例であります。  新産業都市建設基本計画または工業整備特別地域整備基本計画に基づいて行なわれる市町村にかかる国の直轄事業または国庫補助事業のうち、住宅道路港湾下水道教育施設及び厚生施設等、基幹的な施設整備にかかる事業について、市町村に対する国の負担割合引き上げることといたしました。その引き上げ方法は、ただいま申し上げました事業に要する経費を支出するため、関係市町村負担額が標準的な負担額を超過する場合におきまして、当該市町村財政力を勘案しつつ、当該超過額に応じて、国の負担割合最高二割五分を限度として、逐次引き上げることといたしました。この場合におきまして、関係市町村負担割合が百分の二十未満となるときは、最低百分の二十は市町村負担することとなるように、国の負担割合を定めることといたしております。  なお、関係市町村のうち、財政再建団体であるものに対する国の負担割合は、地方財政再建促進特別措置法の規定による国の負担割合と、この法律による国の負担割合とを比較いたしまして、いずれか高い国の負担割合によることとし、また北海道区域における関係市町村に対する国の負担割合は、北海道以外の区域における通常の国の負担割合を先ほど申し上げました方法によって引き上げた国の負担割合と、現行の北海道区域における国の負担割合とを比較して、いずれか高い国の負担割合によることといたしました。  第三は、これらの措置適用期間であります。  地方債利子補給は、昭和四十年度から昭和五十年度までの各年度において起こされた地方債について、昭和四十年度から昭和五十五年度までの各年度において支払われまする利子について行なうこととし、国の負担割合特例は、昭和四十年度から昭和五十年度までの各年度において行なわれる事業について行なうことといたしました。  なお、これらの諸措置とあわせて、後進地域開発に関する公共事業に係る国の負担割合特例に関する法律の一部を改正して、新たに、空港及び農地にかかる事業を同法の対象事業に加える等、関係法律に所要の改正を行なうことといたしました。  以上が、新産業都市建設及び工業整備特別地域整備のための国の財政上の特別措置に関する法律案趣旨でございます。(拍手)      ————◇—————  新産業都市建設及び工業整備特別地域整備の   ための国の財政上の特別措置に関する法律   案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
  14. 船田中

    議長船田中君) ただいまの趣旨説明に対して質疑の通告があります。これを許します。細谷治嘉君。   〔細谷治嘉登壇
  15. 細谷治嘉

    細谷治嘉君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま提案されました新産業都市建設及び工業整備特別地域整備のための国の財政上の特別措置に関する法律案につき、佐藤総理並びに関係大臣に対し、若干の質問をいたしたいと思います。(拍手)  全国十三地区の新産業都市建設協議会から提出されました基本計画は、昨年十二月十五日、地方産業開発審議会承認され、十二月二十五日、閣議決定を見たのでありますが、公共的施設概略経費は、四兆三千億円の巨額に達しております。さらに、六つ工業整備特別地域基本計画も、去る二月二日、地方産業開発審議会承認されました。その概略経費は、二兆円に達しており、新産業都市のそれを合算いたしますと、実に六兆三千億円となります。  基本計画内容を見ますと、住宅及び住宅用地、水道及び下水道教育厚生施設等、いわゆる福祉施設については、当初の計画に比し若干進歩のあとが見受けられますが、計画の主体は、依然として産業基盤工業開発に置かれており、その実施計画の前期に集中し、福祉施設は、ただ単に計画中に数字を置いたかのごとき感がきわめて強く、総理の公約である社会開発は二義的だと考えられるのであります。  具体的に数字を比較いたしますと、三十八年七月各地区提出の当初計画に比し、基本計画では、工業用地において三万一千九百三十ヘクタールの減少、工業出荷額は、四十五年度において一兆五千余億円減っておる反面、事業費は逆に一兆四千五百億円の増加と相なっております。すなわち、出荷額が当初より三二%減じ、これに対する設備費を除外しながら、なおかつ、事業費は五〇%以上著しく増加し、中期経済計画から見ましても、背伸びといえるのであります。しかも、工業用地は、資金的裏づけのある造成計画ではなく、土地利用計画に基づく数字が多いので、取得はきわめて困難と予想され、地価の著しい騰貴を招き、事業費増大は必至と考えられるのであります。  さらに、基本計画においては、工場用地計画供給一万五千九百六十ヘクタール、三十五年から四十五年までの雇用増加は百五十五万五千人となっており、かりに十万坪の工場としても、約五百三十が誘致され、一工場平均新規雇用は三千人という勘定になります。ところが、三十五年から三十九年十月までの実績は、一万坪以上の工場がわずか百四十五にすぎず、実現の可能性はきわめて薄いと考えざるを得ません。かつて指定にあたり、世紀の陳情合戦が展開されたとき、十三地区のうち、現実に工場がいくのは数地区にすぎぬといわれたのでありますが、事実はそれを証明しておるといえるのでございます。  さらに、昭和四十年度地方財政計画によりますと、国、県、市町村を通じての投資的経費は一兆五千億円となっており、基本計画年間平均五千七百億円程度を消化するには、その四割近くを投入せねばならぬことになります。全国の一割程度にすぎぬ地域にこのような投資を行なうことは、極端なアンバランスを生むことになります。  そこで、次の諸点について質問をいたします。  まず第一に、全国十三の新産業都市建設地区六つ工特地区指定したことは誤りでなかったか、また、これら十九の地区企業誘致される可能性があるのか、このような基本計画が一体実現できるのか、地価対策公害対策をどう進める方針なのか、昭和四十五年及び五十年度における工業製品需給計画のバランスはどうなっておるのか等々につきまして、具体的に総理大臣企画庁長官並びに関係大臣からお答え願いたいのであります。  次に、このような基本計画が、今日の地方財政実情から見てはたして可能かどうかという点であります。すでに、ある地区年平均事業費がその県の年間予算額とほぼひとしく、現実不可能だと指摘されており、また、十三地区中最も有望だといわれております岡山県の有力都市が、巨額の負債を負って再建法準用団体に転落したことは周知の事実でございます。  総事業費中の国、道県市町村及びその他の負担区分は一様ではありませんが、かりに従来のベースで想定いたしますと、市町村負担分は少なくとも二割五分程度考えられます。したがいまして、年間平均おおよそ一千億円と見積もられます。一方、関係二百六十三市町村歳入総額は約一千二百七十億円程度でありまして、実に七割七分程度相当するのであります。  さらに、地区内某市を例にとって、基本計画に基づいて事業内容を勘案しつつ試算いたしますと、ほぼ税収入額交付税の合計に匹敵する負担が新しく起こることになるのであります。このことは、現在の補助率をもってしては計画遂行が全く不可能なことを物語っております。まして、関係市町村の約三割七分、地区によりましては四割四分が実質単年度赤字団体である現況から、もはや論議の余地がないといわざるを得ません。それゆえにこそ、地方産業開発審議会は、計画承認にあたり、地方財政に対し特別措置を講ずべきことを要請したのでございます。  ところが、今回政府が提出いたしました法律案は、都道府県に対しましては、国の直轄事業または限られた補助事業に対し、通常負担額をこえる部分につき起債充当率引き上げ利子補給を、また市町村に対しては、標準的な負担額をこえる部分に対し二割五分を限度として補助率引き上げるという、きわめて糊塗的な内容でございます。いま、ある指定地域について現状から試算してみますと、実際の負担額は標準に対し六割程度にすぎず、ほとんどの市町村適用除外と相なる見込みでございます。  自治省によりますと、全国的に約一五%の引き上げ率となるといいますが、かりにそのとおりといたしましても、補助額はわずかに十五億円程度にすぎず、まさに焼け石に水の感があるのであります。このことは明らかに審議会の意見を無視したものであり、他方においては三十七年の国会附帯決議及び第四十六国会における工特法成立のときの附帯決議を無視したものと申さなければなりません。(拍手)これらの点につきまして、総理大蔵大臣自治大臣考えを率直にお伺いいたします。  なお、これと関連いたしまして、全く同じ内容法律案が、産炭地域振興臨時措置法の一部を改正する法律案として提案されていますが、わずかの公共的施設にすら負担をし得ないほどに、極度に陥没しておる産炭地市町村財政事情を認識せざる内容と申せるのであります。第二次石炭鉱業調査団は、産炭地域振興をはかるにあたって特に留意すべきことは、「産炭地域振興対策が、新産業都市建設、低開発地域工業開発等他地域開発政策と比べ、急激に落ち込んだその経済水準を回復して前述のようなコミュニティの崩壊をくいとめなければならないという特殊な緊急性をもつている」と答申いたしまして、産炭地振興優先性を認めておるのでありますが、この精神を踏みにじるものといえるのであります。この点に関し、総理並びに大蔵、通産両大臣のお考えを伺いたいのであります。  第三は、新産業都市建設及び工特地域整備基本的あり方の問題であります。さき通常国会工特法が成立いたしました際、「地方産業開発については、速やかに本法並びに新産業都市建設促進法等関連法をあわせ根本的に再検討すること。」が附帯条件の第一にあげられているにもかかわらず、政府はこれに何ら触れていないことは、国会の軽視であり、まことに遺憾に存じます。(拍手)  前内閣以来とり続けられた高度経済成長政策は、必然的に大企業を中心とする膨大な設備投資を生み、その産業基盤造成のために、地方公共団体もまた公共の名のもとにこれにかなり出され、地域住民は、交通難公害に泣き、労働者産業災害に脅かされておるのであります。新産都市建設工特法推進は、このような状態に一そう拍車をかけるものと憂慮されております。住民生活の安定、環境整備政治土台であることは論をまちません。この意味で、今日までの政治はさか立ちをしていたということができます。地域開発はなるほどけっこうでありますが、肝心の国民福祉を犠牲にし、地方財政に不可能を押しつけ、財界の音頭で開発ブームに酔うことは、厳に反省されなければなりません。(拍手佐藤総理は、就任にあたり社会開発推進を公約したのでございますが、これをまず実行に移し、その土台の上に立って初めて産業開発を取り上げるべきだと考えます。  この観点に立ち、国会附帯決議の線に沿って、これら二法律並びに基本計画を根本的に再検討する御意思があるかどうか、総理並びに関係大臣にお伺いいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)   〔内閣総理大臣佐藤榮作登壇
  16. 佐藤榮作

    内閣総理大臣佐藤榮作君) お答えいたします。  新産業都市建設、及び工業整備特別地域整備、この法律でただいま基本計画を立てまして、そしてその具体化をはかりつつありますが、その全貌につきましては、細谷君がただいまお話しのごとく、六兆三千億というたいへん巨額の金でございます。いかにも大きい金でございますが、御承知のように、これは国、地方並びに民間、この三者が負担するものでありますし、また、昭和五十年までという十年間のものでございます。ただいま御指摘になりました中期経済計画あるいは地方財政計画等から見ましても、この程度のものはこなし得る、かように私どもは確信をいたしておる次第でございます。  また、十九地区、これはいかにも多いのではないか、あるいはまた、御趣旨では、あるいは少ないのではないか、かような意味のようにもとれる御議論でございましたが、御承知のように、過密都市対策、同時にまた、地方都市との地域格差をなくするその対策として、それぞれの政策をとっておるのでありまして、十九地域、これはまずまず適当な数ではないか、かように私は考えます。  また、この基本計画を立てます際には、もちろん、地元において過大な計画を立てないように、また実施可能なように、また、産業が重なり合わないように、かような立場に立ちまして十分基本計画を審査するのでありまして、ただいまのような御心配の点はないと思います。ただ、私が申し上げたいのは、この基本計画実施するにあたりましても、長期的観点に立って見ていただきたい。しばしば工業立地等はそのときの景気変動の要因に左右されることが多い、かように考えますので、長期的観点に立ってこれを見ていただきたい、そうしてこの開発計画を進めていきたい、私はかように考えます。  また、産炭地振興についてお触れになりましたが、産炭地の場合でも、この工業都市をつくるという観点においては他の地域と同じでありますので、同様の措置をとる。ただ、御指摘のように産炭地域におきましては、たいへん疲弊しておる自治体もあるのでありますから、そういうところに対しましては、特別に在来から行なっております交付税、これの交付によりましてそれらを補っていきたい、かように考えます。また、産炭地振興そのものは、この促進法によるばかりではなく、その他の産炭地振興事業団の融資であるとか、あるいは土地造成による工場誘致等の施策をあわせ行なって、この産炭地振興には特別のくふうをする考えでございます。  最後に、ただいまのこの二法を改正する意思はないか、また、基本計画について再考したらどうかというお話でございますが、ただいま新産業都市については、御指摘のように、基本計画は樹立いたしました。また、その後の工業整備特別地域につきましては、ただいまちょうど審査中でござざいます。私は、そういうような、まだ実施もしないうちからただいまの法律を改正するとか、かような考え方は持っておりません。ただいまの実情に即してこれを実施に移してみて、そうして実施経過においてただいま御指摘のような点が出てくれば、さらにくふうするという、これが当然のことではないか、かように考えます。(拍手)   〔国務大臣吉武恵市登壇
  17. 吉武恵市

    国務大臣吉武恵市君) 細谷さんのお尋ねの第一点は、今度の新産業都市及び工業整備特別地域に対する負担相当大きいではないか、今日地方財政の状況から見て、はたしてこれが負担し切れるかどうかというお尋ねでございます。ただいま総理からもお答えがございましたように、新産業都市工業整備特別地域の両方合わせて六兆三千億でございますが、これは五十年度までの十年間における国と地方民間との全体の計画でございまして、これを各年次に割って計画が立てられるわけでございます。まだ各年度割り計画まではいっておりませんが、それに従いまして地方負担が出てくると思います。そこで、この新産業都市にいたしましても、工業整備特別地域にいたしましても、普通のいわゆる公共投資、これは普通の公共投資として施行されるわけでございまして、今回のこの新産業都市なり工業整備につきまして、それ以上の超過した部分について、それは地方負担では無理であろうということで、特別の財政措置を講ずるわけでございます。そこで、府県の行ないます公共事業につきましては、この法案にございまするように、起債を普通以上に四十億上積みを来年度はいたしまして、その利子補給をする、市町村分は、財政補助といたしまして、来年度の分を四十一年度精算払いとして、先ほど申し上げましたような趣旨に沿うて援助をするということになっております。先ほど細谷さんは十五億というふうに見込まれておりますが、まだ私のほうは来年度事業計画がはっきりいたしませんので、幾らになるということはわかりませんが、これらの措置によって私はまかなっていけるものを考えております。  第二に、岡山水島地区の新産業都市については、地方相当赤字が出ておるがというお話でございますが、実はそのとおりでございます。これは早くから先行投資が過大に行なわれましたために、相当赤字が出ておるわけでございまして、これらにつきましては、私どもといたしましては、特別の赤字再建団体としての指導なり援助をしていきたいと考えておる次第でございます。  次に、新産都市及び工業整備特別地域に対する計画企業基盤整備に重きを置かれて、住民福祉についてはあまりやらないじゃないかというお話でございますが、今回のこの計画は、産業基盤の点と同時に、住民福祉につきましては、住宅でありまするとか、環境衛生であるとか、あるいは教育施設厚生施設は、保育所から幼稚園の点までも考慮に入れて計画が立てられておるのでございます。  以上、お答えを申し上げます。(拍手)   〔国務大臣高橋衛登壇
  18. 高橋衛

    国務大臣高橋衛君) お答え申し上げます。  工場誘致決定したものがここ二、三年間に百四十二工場であることは、御指摘のとおりでございます。しかしながら、御承知のとおり、昨年の暮れにようやく新産業都市建設地域については基本計画承認したばかりでございまするし、また、工特地域につきましては、先般審議会から答申があったばかりでございます。したがって、これから具体的な先行投資計画を定め、着々と事業実施することによりまして、工場誘致も十分見込みどおりいけるものと政府としては考えておる次第でございます。  自余の点につきましては、それぞれ御答弁がございましたので、省略いたします。(拍手)   〔国務大臣田中角榮君登壇
  19. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) 私がお答えすべきものは二点でございます。  その一点の、事業費計画どおり確保できるかということにつきましては、ただいま自治大臣お答えをしたことで足ると思いますが、要約して申し上げますと、新産業都市工特地域地方団体は、産業立地条件的に見ますと、非常に恵まれた団体でございます。でございますから、建設事業の進捗によりまして将来財政力が豊かになってくるということは期待できるわけでございます。  なお、十九カ所に及ぶ六兆三千億余の事業費というのは、これは公共投資だけではなく、国、地方公共団体及び民間投資を合わせて想定して数字でございます。これら事業の進捗の計画をうまくやれば、この資金は十分確保していけると思いますし、また確保しなければならないと考えておるわけであります。これが事業進捗のために、今年度の予算におきましても、新産業都市等調整費の増額を行ないましたり、地方債計画にある地方開発事業債の増発を行なったり、港湾整備事業債等の増額、地域開発金融における開銀及び北東公庫等の融資ワクの大幅増大等によって対処いたしておるわけであります。  第二点は、産炭地振興の問題でありますが、産炭地振興の重要性を十分認識いたしまして、産炭地振興実施計画を策定いたしました。道路港湾等産業基盤整備を積極的に推進いたしまして、この地域に鉱工業の急速かつ計画的な発展を企図いたしておるわけであります。  なお、産炭地事業団の事業費につきましては、四十年度六十八億円の事業費決定いたしておりまして、三十九年度の五十二億円に比べ大幅な増額をはかっておるわけでございます。(拍手)   〔国務大臣櫻内義雄君登壇
  20. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) 産炭地域に対する新産業都市と同様な特別対策を立てまして別途御提案申し上げておりますその趣旨につきましては、先ほど佐藤総理からお答えを申し上げたとおりでございます。私といたしましては、責任者として産炭地振興に万全を尽くすことは当然でございます。(拍手
  21. 船田中

    議長船田中君) これにて質疑は終了いたしました。      ————◇—————  治山治水緊急措置法の一部を改正する法律案   (内閣提出)の趣旨説明
  22. 船田中

    議長船田中君) 次に、内閣提出治山治水緊急措置法の一部を改正する法律案趣旨説明を求めます。建設大臣小山長規君。   〔国務大臣小山長規君登壇
  23. 小山長規

    国務大臣(小山長規君) 治山治水緊急措置法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  現行の治山治水緊急措置法は、昭和三十五年に制定されたものでありまして、政府におきましては、同法に基づき、治山事業及び治水事業の両事業につき、それぞれ昭和三十五年度を初年度とする前期五カ年計画及び昭和四十年度を初年度とする後期五カ年計画からなる十カ年計画を策定し、これにより治山治水事業推進して、今日まで相当の実績をあげてまいりましたことは御承知のとおりであります。  しかしながら、予想を上回る激甚な災害の発生、目ざましい経済の成長等に伴いまして計画事業の大幅な繰り上げ実施計画事業の緊急施行等の必要が生じ、このため、前期五カ年間の実績事業費計画額を大きく超過し、現行計画をもってしては新たに必要となった事業はもちろん、既定の計画事業も十分には実施できないことが明らかになってまいりました、さらに、近年国土の利用開発が著しく進展し、被災のおそれのある人口、資産が急速な膨張を続け、また、各種用水需要が急激に増大している事態に即応いたしまして、治山治水事業を強力に推進することが緊要となってまいったのであります。  ここにおいて、政府といたしましては、以上の情勢に対処するため現行十カ年計画を廃止し、新たに昭和四十年度を初度年とする治山事業五カ年計画及び治水事業五カ年計画を策定し、治山治水事業を緊急かつ計画的に実施して国土の保全と開発をはかるため、治山治水緊急措置法の一部を改正する法律案を提出いたした次第であります。  この法律案の要旨は、ただいま申し上げましたとおり、現行の治山事業十カ年計画及び治水事業十カ年計画を廃止して、新たに昭和四十年度を初年度とする治山事業五カ年計画及び治水事業五カ年計画を策定することとし、これに伴い、国有林野事業特別会計法及び治水特別会計法の所要の改正をすることといたしたものであります。  以上が、この法律案趣旨であります。(拍手)      ————◇—————  治山治水緊急措置法の一部を改正する法律案   (内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
  24. 船田中

    議長船田中君) ただいまの趣旨説明に対して質疑の通告があります。これを許します。金丸徳重君。   〔金丸徳重君登壇
  25. 金丸徳重

    ○金丸徳重君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま提案されました治山治水緊急措置法の一部を改正する法律案につき、首相並びに関係閣僚に若干の質問をいたしたいと存じます。(拍手)  去る三十四年、岸内閣当時制定せられました本法は、当時頻発しました狩野川台風はじめ伊勢湾台風等による大惨害によりまして、はしなくも暴露せられた国土保全政策の一大欠陥に緊急対処せんといたしたものであったことは申すまでもありません。すなわち、戦中、戦後を通じて長い聞捨ておかれた山地、渓谷地帯、海岸地帯等の弱点をつかれて、思いもかけないほどの惨害をこうむったのに対し、世論きゅう然としてこれが緊急にしてかつ強力なる対策を求めたからにほかならなかったのであります。したがいまして、本法は、名は緊急措置法ではありまするが、実態は国土保全の根本法であり、しかも、その実施が緊急かつ強力でなければならないという意味において、一そうその重要性を持ったものであります。本法によって策定された治山治水十カ年計画もまたその趣旨に沿って、当然に恒久的、総合的なる国土保全の基本計画でなければならなかったのでありますが、当時、相次いで起こりました風水害等の対策に忙殺されてその機を逸し、当面を糊塗するおざなりの案で出発せざるを得なかったことは、われわれの深く遺憾といたしたところであります。その意味におきまして、本法の改正は、第一に、この立法の趣旨と沿革にかんがみ、制定後五年にわたる調査と経験の上に立って、今度こそ真に国土安定への巨歩を進むべき決意と用意がなければならなかったのであります。池田内閣の高度成長政策の強行によりまして、国土安定、国土開発の上に多くのひずみが生じてまいった今日におきましては、一そう真剣にかつ早急に計画の立て直しをすることがその内容とされなければならないものと信じます。  以上のような見地に立ちまして、まず総理大臣にお伺いいたします。  総理は、その組閣の第一声において、人間尊重、社会開発をうたい、高度成長政策によるひずみの是正を当面の急務とせられたのでありますが、人間尊重も社会開発も、国土の安定、国土の普遍的開発がその基礎的条件となるべきことは申すまでもありません。また、国土そのものの上に絶えず災害の心配があるような中からは、経済のひずみの是正も、民生の向上も、しょせん砂の上の楼閣にすぎないことは申すまでもありません。(拍手)ところが、過日の施政方針演説において示された国土保全に関する総理の見解は、わずかに一行にも足らないものであり、その声もまた、まことにかぼそく聞こえたのであります。この重要問題に処する、あらためての決意というものは何らうかがい知ることができなかったのであります。  建設当局がとりまとめておるところの治水対策費の合計は八兆六千億の巨額にも達しております。また、農林当局が集計するところの治山費も。大づかみにいって二兆以上が想定せられておるのでありますが、これに対して、中期経済計画において治山治水に割り当てられたるものは、その中のわずかに九千億にすぎません。われわれは、新五カ年計画に盛った一兆二千八百億円の数字さえも少なきに失すると考えていたのでありますが、総理は、はたしてこれで満足しておられるのでありましょうか、お伺いいたしたい第一点でございます。  第二点といたしましては、治山治水の一貫性についてであります。  いままでわが国の国土保全政策は、河川法、砂防法、森林法の三本の柱を主軸として推進せられてきたのでありますが、この三法とも相互に脈絡なく、また森林法といい、河川法と申せ、森林経営や河水利用に重点が置かれて、国土保全という大事な目的はいつの間にか第二義的に押しやられておるのであります。この長い間続いてきた前近代的な弊害から脱却することは、わが国の国土政策の根本課題でありまして、この問題解決のためには、内閣の首班たる首相の勇気ある決断と指導力が必要とされていたところであります。佐藤総理は、治山治水五カ年計画策定という、まことに絶好な機会をとらえて、この大事な問題解決に踏み出される御意思ありやいなや。以下関係閣僚にお伺いいたす具体的な問題と合わせお聞き取りの上で、御所信のほどをお聞かせいただきたいのでございます。(拍手)  そこで、建設大臣にまずお伺いいたすのでありますが、本法案提出にあたりまして、大臣は、新五カ年計画の策定を機会に、本法に恒久的生命を吹き込んで、国土保全、国土開発の上に一大時期を画されるお考えがなかったのかどうか。元来、わが国の治山治水対策は、建設、農林両省に分かれ、中央、地方の分担も複雑でありまして、事業遂行に一貫性を欠くばかりでなく、とかく財政上の制約に災いされて、その日暮らしのびほう策におちいらざるを得なかったのであります。このことは、大事な国土が、いつになっても安定し得ない大きな原因の一つでもあったのであります。したがいまして、治山治水の総合法とも申すべき本法の改正を企図せられるにあたりましては、まず、この根本的問題から取り組まなければならなかったのでありますが、改正案のいずこにも、それらしい意欲が盛られておりません。今日ただいまの時点において、いたずらに字句の修正などに満足しておるときではないと思うのでありますが、いかがなものでありましょう。大臣の御所見を伺いたいのでございます。  第二点としては、昨年も、新河川法審議の過程において、建設当局は、国内の重要水系百本程度を一級河川に指定する考えある旨を明らかにいたしておりました。しかるに、今回提案された案によりますれば、わずかに十五水系のみその対象となっておるのでありますが、これは、一体いかなるお考えに出たことでありましょうか。百水系程度が対象になるとされるならば、まずこれを国民の前に提示し、国民に希望と張り合いを持たせつつ、あわせてその協力を得る態度をとるこそ賢明であり、親切であり、また、本法の趣旨にも沿うゆえんと思うのですが、いかがなものでありましょう。財政上あるいはその他の都合などによって、とりあえず十五水系を指定するとするならば、残りは一体いつどういう形でお示し願えるのか。  これに関連して、さらに一点お尋ねいたしたいことは、従来から、わが国の治水対策には二つの大きな欠陥がございました。すなわち、その一つは、財政上の都合によって、災害が出てから、たいへんな金をかけてこれが対策を講じるということであります。口さがない人は、これを一文惜しみの百損などと酷評いたしております。また、もう一つの欠陥は、治水の重点が、大河川もしくは利用価値多い河川あるいは地域に偏重せられて、中小の河川や奥地、渓谷または当面利用度の低い地域などは顧みられなかったことでありまして、このために、一たび集中豪雨でもありますと、ほっておかれた名もなき小河川が荒れ狂って、流域住民の生命財産の上に思いもかけない惨害を及ぼし、さらに、下流の大河川にまでおそるべき災害を及ぼした例が枚挙にいとまないほどであります。  したがいまして、治水対策の完ぺきを期そうとしますならば、まずこれらの欠陥を除去してかからなければならないのでありまして、新河川法が水系一貫主義を採用したことに国民が多くの期待を持ったのもまたこのゆえでありますが、新五カ年計画においては、はたしてどういう現実性を持って国民におこたえになるお見込みなりや、承りたいのであります。  また、国内には、災害常襲地帯とも申すべき不幸なる地域が少なくありません。地況や海流の状況などから、わずかの気象異変でもたちまち災害に見舞われるというような、いわば国土の病弱地点であります。この弱点をほったらかしておくととが国土開発のひずみを大ならしめる原因にもなるのでありまして、新河川法審議の際にもこの点が強く主張せられ、新五カ年計画の際にはこれをはっきり打ち出すことが約束されていたのでありますが、この点いかなる措置を講じられておりまするか、明瞭にお答えを願いたいと思います。  なお、災害常襲地帯に関連をいたしまして、特に顕著なる例は、いわゆる天井川であります。すなわち、上流における山腹または渓谷の手当て不十分のために、砂れきや泥土の流出はなはだしく、ために河床が上がってしまって、堤防は、天井どころか、雲にも届くようなありさまとなって、交通は阻害され、風致は台なしになり、災害時において両岸住民を脅かすはもちろんでありますが、平常時においてさえ、伏流水が日夜にわたって付近の農地や宅地に浸出いたし、その惨状実に見るに忍びないものがあるのであります。最近、公害ということばがしきりに各所に用いられるのでありますが、天井川の被害のごときは、その公害の最も大きなものと数えてよろしいのではないかと思うのであります。このような状態というものは、砂防対策に遺憾がなく、被害地の復旧工事がすみやかに行なわれていさえするならば、起こるべき現象ではありません。しかも、これが国内のそちこちに存在し、なお発達しつつあるというようなことは、まさに治水対策の不在を雄弁に証拠立てているものといわなければなりません。新五カ年計画は、第一に、この種天井川の解消に乗り出すべきではないかと思うのでありますが、建設大臣考えを明瞭にお答えいただきたいと思います。  次に、農林大臣にお伺いいたしますが、端的に申しまして、わが国の山は、はたして安定の方向へ向かっているのでありましょうか。戦争中、また戦後のある期間を通じまして、山は捨ておかれ、いな、積極的に荒らされさえもしたことは、いなみがたき事実でございます。最近、水資源開発等に刺激されて、副次的に山に関心が注がれるようになったのでありますが、一般的に申して、労力や資材の不足に災いされて、わが国の山は荒廃の方向へと、残念ながら、進んでいるやに心配されるのでありますが、いかがでありましょう。ことに、ここ数年来、一そう顕著になってまいりました農村の人口減少は、山地地帯の人手不足をますますひどいものとし、山を守るために山に残る青年のごときは、全く影をひそめるに至っておるのであります。国破れて山河ありとは、昔の詩人の衷情でありますが、いまや、わが国は、山河荒れて国土を守る人なしとまでいわなければならないと思っております。(拍手)  このような事態に処して、治山の責任をとられる農林大臣は、いかなる所懐を持っておられまするか、新五カ年計画の中に盛り込まれている程度対策で、はたしてよしとされておるのでありましょうか。また、労力不足などの新事態に処して、抜本的、画期的なる方策を必要といたしますが、その具体策についてお答えをいただきたいと思います。  次に、自治大臣お尋ねいたしますが、わが地方自治体の中には、僻地、荒れ地をかかえて、これが改善策を講じようにも、財政難のためにどうにもいたし方がないようなところが少なくありません。地域格差のひどくなるゆえんでもあるのでありますが、こうしたところは、また、えてして災害に弱いのであります。世に、泣きつらにハチという言いぐさがあるのでありますが、まさに悪循環を繰り返しつつ、貧困自治体は、ますます貧困への道をたどっていかなければなりません。もとより、これが改善救済策といたしましては、平衡交付金や特別交付税の制度はあるのでありますが、一たび悪循環におちいったこの事態は、通常対策をもってしては解決さるべきものとも思われません。ことに、治山治水五カ年計画においては、地方団体施行分として千三百億が予定されておるのでありますが、こうした地方に、はたして負担能力ありとお考えになっておられるのでありましょうか。この事業は、従来、とかくに軽視されていたところの僻地や山間部の小河川を対象とさるべきものと信じますがゆえに、こうした地域を擁する地方自治体が、財源なきのゆえをもって、せっかくの計画を高ねの花に終わらせることのないように、あらかじめ特別の対策を練っておかなければなりません。自治大臣は、計画の策定にあたって、地方自治体の実態を把握しながら、どの程度計画に参画なさっておられるのか、また、特別の財政措置につきましていかなる用意をお持ちになっておりまするか、お示しが願いたいのであります。  最後に、大蔵大臣にお伺いいたしますが、私が大蔵大臣への質問を最後にいたしましたのは、究極するところ、この問題は、大蔵大臣の特別財源措置をわずらわさなければならないと思ったからであります。時間がきておりますので結論だけを申し上げるのでありますが、災害国日本で国土の安定をはかるためには、豊富にしてかつ恒久的なる財源的措置を必要とすることは申し上げるまでもありません。これがために、公債発行論なども根強く行なわれておるところでありますが、私は、これについて一つの考えを持っております。  さきに、大蔵省の発表するところによりますと、わが国主要会社の使うところの交際費は、一年に四千五百億円にもなんなんとしておるそうであります。このような巨額の交際費を使うわが国産業経済のあり方の中には年額、一千億や二千億の公債に応募する余裕は、十分にあるのではないかとにらんだのでありますが、いかがなものでありましょうか。道は近きにありなどということばを思い出しながら、会社交際費から治山治水公債へ応募され、それで、料理屋などではなしに、山や川が安定して、そこから公災——公の災害が救われるということにでもなれば、まことに一策ではないかと思うであります。(拍手)  あえて大蔵大臣の勇気ある英断を期待いたしまして、私の質問を終わることといたします。(拍手)   〔内閣総理大臣佐藤榮作登壇
  26. 佐藤榮作

    内閣総理大臣佐藤榮作君) お答えいたします。  人間尊重、あるいは社会開発ということばを引き合いに出されましたが、人間尊重は、申すまでもなく、国民の生命並びに財産の保全をはかるということ、これが基本でございます。同時に、われわれの政治もそこにあるわけであります。今回の河川法の改正は、かような意味をも持ちまして、いわゆる新治水事業五カ年計画なるものを立てたわけでございます。ただいま金丸君の御説明をいろいろ聞きましたが、私も、その考え方について、ことに御出身地が御出身地でありますだけに、よく事情がおわかりのようにお見受けいたしたのであります。いずれにいたしましても、国土保全の基盤の上で均衡のとれた国土開発をするということが、われわれの社会開発のねらいでもあります。ただいまのような御趣旨によりまして一そう万全を期してまいりたいと思います。  今回の河川法は、お話のうちにもありましたが、水系一貫管理の見地に立ちましてのいわゆる総合的な施策、同時にまた、画期的な治山治水事業の長期計画を立てる、かような意味合いにおきまして、私は、これは非常に革新的な計画だと、かように考えますので、この線に沿いまして、一そう国土開発、また国土保全、かような意味においての災害の防除等を確保して、もって総合開発を期したい、かように考えます。(拍手)   〔国務大臣小山長規君登壇
  27. 小山長規

    国務大臣(小山長規君) お答えいたします。  本法改正にあたって、恒久的使命を与える考えはなかったかということでありますが、私どもは、御承知のように、重要水系についてはおおむね十二カ年、その他の水系についてはおおむね十五カ年で治水事業を完成するという長期計画を持っておりますことは、御承知のとおりであります、その一環としてこの新五カ年計画法律をつくったのでありまして、御趣旨に沿っておると考えるものであります。  なお、一級水系を四十年度では十五本にとどめたのはどういうことであるかということでありますが、この点は、御承知のように、一級水系を選ぶことによりまして生じますところの国の負担増加、この負担増加に伴うところの財政能力という問題、もう一つは、建設大臣に事務が移管されることに伴いますところのその行政運用の能力の問題、これをも考えまして、昭和四十年度では十五水系ときめたわけであります。しかしながら、私どもの新五カ年計画におきましては、おおむね百水系というものは重要水系として事業計画を立案する所存なのであります。  なお、災害常襲地帯については特別の考慮を払うかということでありますが、これは、計画立案については十分に考慮いたします。  天井川対策については、河川の改修とあわせまして砂防事業推進することによってこれを解決したいと考えるものであります。(拍手)   〔国務大臣赤城宗徳君登壇
  28. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) お答えいたします。  山が荒れてくるということは、御同様、国土保全上憂うべきことでございます。そのために治山事業には力を入れておるのでございますが、治山事業は、国土保全の総合的立場から、治水事業と十分調整の上計画実施しておる次第でございます。昭和四十年度の予算は、新五カ年計画の第一年目といたしまして十分この要請にこたえ得ると考えております。具体的施設といたしましては、荒廃地の早期復旧、予防治山事業、地すべり防止事業を重点として実施するほかに、保安林の整備を積極的に推進する等によりまして、国土保全の万全を期したいと考えております。(拍手)   〔国務大臣吉武恵市登壇
  29. 吉武恵市

    国務大臣吉武恵市君) お答えをいたします。  治山治水計画において、今日地方地域格差のひどいときに地方負担ができるかどうかというお尋ねでございますが。来年度の分につきましては、治山治水合わせまして地方負担が約四百七十億程度と見込まれておりますが、これは来年度地方財政計画におきまして、地方交付税起債によってまかなうように措置いたしております。(拍手)   〔国務大臣田中角榮君登壇
  30. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) 国土保全、水源涵養その他に対して事業遂行上必要な財源を確保することに対しては、積極的な姿勢をとっておるわけであります。今回御審議をいただいております治山治水一兆二千八百七十億円の案は、御承知のとおり、中期経済計画の中の数字とも符合いたしておりますし、これからの五カ年間のこの種計画としては、相当大きいものであると考えておるわけであります。  今度の治山治水の五カ年計画は、歴史の上でも非常に大きな一つの革命的なものであることは、御承知のとおりであります。第一は、明治二十九年に河川法が制定せられたとき、第二は、戦後、治水十カ年計画が初めてできまして、特別会計制度を設置したことであります。第三は、新河川法の改正と治山治水五カ年計画の策定という、治山治水の歴史の上で大きな段階を画したということは、御承知のとおりであります。  これが年次計画の遂行に必要な財源は、交際費に税金をかけるとか、公債を発行するとか、いろいろな御提案がございましたが、かかることをしなくとも、十分確保してまいります。(拍手
  31. 船田中

    議長船田中君) これにて質疑は終了いたしました。      ————◇—————
  32. 船田中

    議長船田中君) 本日は、これにて散会いたします。    午後三時十七分散会      ————◇—————  出席国務大臣        内閣総理大臣  佐藤 榮作君        大 蔵 大 臣 田中 角榮君        文 部 大 臣 愛知 揆一君        農 林 大 臣 赤城 宗徳君         通商産業大臣  櫻内 義雄君         建 設 大 臣 小山 長規君         自 治 大 臣 吉武 恵市君         国 務 大 臣 高橋  衛君  出席政府委員         内閣法制局長官 高辻 正巳君         自治省財政局長 柴田  護君      ————◇—————