運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1965-02-12 第48回国会 衆議院 本会議 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年二月十二日(金曜日)     —————————————  議事日程 第五号   昭和四十年二月十二日     午後二時開議  第一 特別委員会設置の件  第二 裁判官訴追委員予備員辞職の件  第三 裁判官訴追委員予備員選挙  第四 国土総合開発審議会委員選挙  第五 東北開発審議会委員選挙  第六 九州地方開発審議会委員選挙  第七 北陸地方開発審議会委員選挙  第八 豪雪地帯対策審議会委員選挙  第九 離島振興対策審議会委員選挙  第十 国土開発縦貫自動車道建設審議会委員の   選挙  第十一 首都圏整備審議会委員選挙  第十二 湿田単作地域農業改良促進対策審議会   委員選挙  第十三 積雪寒冷単作地帯振興対策審議会委員   の選挙  第十四 運輸審議会委員任命につき同意を求め   るの件  第十五 昭和三十九年産米穀についての所得税   の臨時特例に関する法律案内閣提出、参議   院送付)  第十六 昭和三十九年度衆議院予備金支出の件  (承諾を求めるの件)     …………………………………  一 国務大臣演説農業基本法に基づく昭和   三十九年度年次報告及び昭和四十年度農業施   策について)     ————————————— ○本日の会議に付した案件  日税第一 特別委員会設置の件  日程第二 裁判官訴追委員予備員辞職の件  日程第三 裁判官訴追委員予備員選挙  日程第四 国土総合開発審議会委員選挙  日程第五 東北開発審議会委員選挙  日程第六 九州地方開発審議会委員選挙  日程第七 北陸地方開発審議会委員選挙  日程第八 豪雪地帯対策審議会委員選挙  日程第九 離島振興対策審議会委員選挙  日程第十 国土開発縦貫自動車道建設審議会委   員の選挙  日程第十一 首都圏整備審議会委員選挙  日程第十二 湿田単作地域農業改良促進対策審   議会委員選挙  日程第十三 積雪寒冷単作地帯振興対策審議会   委員選挙  日程第十四 運輸審議会委員任命につき同意を   求めるの件  日程第十五 昭和三十九年産米穀についての所   得税臨時特例に関する法律案内閣提出、   参議院送付)  日程第十六 昭和三十九年度衆議院予備金支出   の件(承諾を求めるの件)  赤城農林大臣農業基本法に基づく昭和三十九   年度年次報告及び昭和四十年度農業施策につ   いての演説及び質疑    午後二時六分開議
  2. 船田中

    議長船田中君) これより会議を開きます。      ————◇—————  日程第一 特別委員会設置の件
  3. 船田中

    議長船田中君) 日程第一、特別委員会設置の件につきおはかりいたします。  結社の自由及び団結権の保護に関する条約(第八十七号)の締結について承認を求めるの件、公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律案地方公営企業労働関係法の一部を改正する法律案等関連法律案を審査するため委員三十人よりなる国際労働条約第八十七号等特別委員会を設置いたしたいと存じます。これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立
  4. 船田中

    議長船田中君) 起立多数。よって、そのとおり決しました。  ただいま議決せられました特別委員会委員は追って指名いたします。      ————◇—————  日程第二 裁判官訴追委員予備員辞職の件
  5. 船田中

    議長船田中君) 日程第二につきおはかりいたします。  裁判官訴追委員予備員加藤清二君から予備員を辞職いたしたいとの申し出があります。右申し出を許可するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 船田中

    議長船田中君) 御異議なしと認めます。よって、許可するに決しました。      ————◇—————  日程第三 裁判官訴追委員予備員選挙
  7. 船田中

    議長船田中君) 日程第三、裁判官訴追委員予備員選挙を行ないます。
  8. 海部俊樹

    海部俊樹君 裁判官訴追委員予備員選挙は、その手続を省略して、議長において指名せられ、その職務を行なう順序については議長において定められんことを望みます。
  9. 船田中

    議長船田中君) 海部俊樹君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 船田中

  11. 船田中

    議長船田中君) 日程第四ないし第十三に掲げました各種委員選挙を行ないます。
  12. 海部俊樹

    海部俊樹君 各種委員選挙は、いずれもその手続を省略して、議長において指名せられんことを望みます。
  13. 船田中

    議長船田中君) 海部俊樹君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 船田中

    議長船田中君) 御異議なしと認めます。よって、動議のごとく決しました。  議長は、国土総合開発審議会委員田村元君を指名いたします。  次に、東北開発審議会委員志賀健次郎君を指名いたします。  次に、九州地方開発審議会委員相川勝六君を指名いたします。  次に、北陸地方開発審議会委員に       福田  一君    堂森 芳夫君を指名いたします。  次に、豪雪地帯対策審議会委員に       木村 武雄君    福田  一君を指名いたします。  次に、離島振興対策審議会委員村山達雄君を指名いたします。  次に、国土開発縦貫自動車道建設審議会委員加藤清二君を指名いたします。  次に、首都圏整備審議会委員荒舩清十郎君を指名いたします。  次に、湿田単作地域農業改良促進対策審議会委員中山榮一君を指名いたします。  次に、積雪寒冷単作地帯振興対策審議会委員に       坂田 英一君    千葉 七郎君を指名いたします。      ————◇—————  日程第十四 運輸審議会委員任命につき同意   を求めるの件
  15. 船田中

    議長船田中君) 日程第十四につきおはかりいたします。  内閣から、運輸審議会委員菊川孝夫君を任命したいので、本院の同意を得たいとの申し出があります。右申し出のとおり同意を与えるに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 船田中

    議長船田中君) 御異議なしと認めます。よって、同意を与えるに決しました。      ————◇—————  日程第十五 昭和三十九年産米穀についての所得税臨時特例に関する法律案内閣提出参議院送付
  17. 船田中

    議長船田中君) 日程第十五、昭和三十九年産米穀についての所得税臨時特例に関する法律案議題といたします。     —————————————
  18. 船田中

  19. 吉田重延

    吉田重延君 ただいま議題となりました昭和三十九年産米穀についての所得税臨時特例に関する法律案につきまして、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  この法律案は、昭和三十九年産米穀の集荷に資するため、生産者が同年産米穀を、事前売り渡し申し込み制度に基づいて政府に対して売り渡した場合、同年分の所得税について、その売り渡し時期の区分に応じ、玄米換算百五十キログラム当たり、すなわち一石当たり千七百円ないし千百円を非課税とする措置を講じようとするものであります。  本案は、さきに参議院を通過して本院に送付されたものでありますが、参議院におきましては、本案の題名を、「昭和三十九年産米穀についての所得税及び法人税臨時特例に関する法律案」と改めた上、農業生産法人法人税についても、この臨時特例措置を適用することとする旨の修正が行なわれました。  本案につきましては、提案理由説明並び参議院における修正趣旨説明を聴取した後、審議の結果、去る十日、質疑を終了し、直ちに採決いたしましたところ、全会一致をもって参議院送付案のとおり可決いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  20. 船田中

    議長船田中君) 採決いたします。  本案委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  21. 船田中

    議長船田中君) 御異議なしと認めます。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  日程第十六 昭和三十九年度衆議院予備金支出の件(承諾を求めるの件)
  22. 船田中

    議長船田中君) 日程第十六、昭和三十九年度衆議院予備金支出の件を議題といたします。     —————————————
  23. 船田中

  24. 小平久雄

    小平久雄君 ただいま議題に供せられました昭和三十九年度衆議院予備金支出の件について御報告申し上げます。  今回御承諾をお願いいたしますのは、昭和三十八年十二月二十日から昭和三十九年十二月二十日までの間に本院で支出した予備金七百万円であります。その所属年度全額昭和三十九年度分でありまして、使途は、すべて在職中なくなられました議員の遺族に贈った弔慰金であります。  これらの支出については、そのつど議院運営委員会承認を経たものでありますから、御承諾くださいますようお願いいたします。(拍手)     —————————————
  25. 船田中

    議長船田中君) 採決いたします。  本件は承諾を与えるに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  26. 船田中

    議長船田中君) 御異議なしと認めます。よって、承諾を与えるに決しました。      ————◇—————  国務大臣演説農業基本法に基づく昭和三十九年度年次報告及び昭和四十年度農業施策について)
  27. 船田中

    議長船田中君) 赤城農林大臣から、農業基本法に基づく昭和三十九年度年次報告及び昭和四十年度農業施策について発言を求められております。これを許します。農林大臣赤城宗徳君。   〔国務大臣赤城宗徳登壇
  28. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 先般国会に提出いたしました昭和三十九年度農業動向に関する年次報告及び昭和四十年度において講じようとする農業施策について、その概要を御説明いたします。  申すまでもなく、これらの報告及び文書は、農業基本法に基づいて政府国会に提出いたすものであります。  まず、昭和三十九年度農業動向に関する年次報告について申し上げます。  この年次報告は、「第一部 農業動向」と、「第二部 農業に関して講じた施策」に分かれております。「第一部 農業動向」におきましては、農業基本法趣旨に沿い、他産業と比較した農業生産性及び他産業従事者と比較した農業従事者生活水準動向に焦点を置き、これに関連する農業動向を、三十八年度を中心として、できる限り最近に及んで明らかにいたしております。  その概要を申し上げます。  農業生産は、三十八年には、気象災害などもあって、前年に比べ二%ほど減少いたしましたが、三十九年には、前年に比べ相当増加したものと思われます。  農業生産性及び農業従事者生活水準につきましては、まず、就業者一人当たり実質国民所得農業と非農業生産性を比較いたしますと、三十八年度には農業は非農業の二九%であり、前年度と同程度であります。なお、専業的農家と思われる経営耕地一町五反以上の農家を取り上げて農業の非農業に対する比較生産性を見ますと、おおむね四〇ないし五〇%と、やや高い水準になっております。  次に、世帯員一人当たり家計費農家勤労者世帯生活水準を比較いたしますと、農家は全国の勤労者世帯の七七%となっており、前年度に比べて、数字としてはごくわずか改善されておりますが、おおむね横ばいと申してよかろうと存じます。なお、専業的農家所得及び家計費水準について、生活環境の類似した地方小都市町村在住勤労者世帯と比較いたしますと、世帯員一人当たりにいたしまして、経営耕地一町五反以上層ではおおむね九割に相当いたしております。  三十八年度において、農業と非農業との生産性格差がほぼ現状を維持いたしました背景としては、農業労働力減少が五%に及んだというように、従前にも増して激しかったことや、農産物価格上昇が他物価に比べて大きかったことによる面が大きいものと考えられます。したがって、格差是正が本格化したとはまだ言いがたい状況であります。さらに、農家生活向上は、兼業所得増加に負うところが大きく、三十八年度には、農家所得の中で農外所得の占める比率は五一%に達しております。  農業に専念する上層農家では、引き続き経営改善が行なわれ、生産性生活水準もかなり高くなっております。農家経済調査によれば、農業所得の高い農家が年々着実に増加を続けております。しかし、他方、農業経営発展を困難としている種々の事情が見られることも事実であります。農業労働力減少に加えて、生産性の低い第二種兼業農家が総農家数の四二%を占めること、冬作の作付面積が相当減少していることなど、今後の農業生産が順当に行なわれることについては、必ずしも楽観を許さないものがあると考えられます。  さらに、わが国農業をめぐる国際情勢を見ますと、開放経済体制への移行に伴って、今後農産物輸入数量制限の撤廃、輸入ワク増大、関税の引き下げ、国際商品協定締結等国際的要請が漸次強まるものと思われます。  したがって、今後、国民食糧の安定的な供給及び農業と他産業との格差是正をはかり、わが国農業国際競争力を強化いたしますために、農業生産増大生産性向上をはかるとともに、零細経営を特徴とするわが国農業構造改善を進めることを根幹として農業近代化を一そう強力に推進しなければならないと考えるのであります。なかんずく、生産性が高く、農業で自立できる農家農村の中核としてできる限り数多く育成するよう、農業経営改善拡大を積極的に進めるための諸条件を整えるとともに、兼業農家を含めて農業の協業化を助長し、生産性向上生産維持増強をはかる必要があると存じます。  以上が第一部の概要であります。  次に、「第二部 農業に関して講じた施策」について申し上げます。  これは、第一部と同様、三十八年度を中心として、できる限り最近に及んで、政府農業に関して講じた施策を、農業基本法第二条に掲げる施策全般にわたり、農業動向との関連及び施策実績等にも言及して記述したものであります。  次に、「昭和四十年度において講じようとする農業施策」について、その概要を申し述べます。  この文書は、年次報告にかかる農業動向を考慮して、四十年度において政府が講じようとする農業施策を明らかにしたものであります。  最近における農業動向は、ただいま御説明したとおりでありますが、このような動向に対処いたしまして農業近代化を促進することは、わが国経済の均衡のとれた発展をはかる上できわめて重要な課題であります。政府といたしましては、農業基本法の定める施策を着実に具体化することを基本的な態度として農業施策を講ずることといたしております。  四十年度において講じようとする農業施策の重点といたしまして、まず第一は、農業生産基盤整備農業技術開発改良及び普及により、農業生産性向上と総生産維持増大をはかることであります。  労働力減少に対処し、機械化の推進などにより農業生産の基礎を固めるため、圃場整備農道整備基幹かんがい排水施設整備の諸事業を強力に推進することといたしております。特に農道整備につきましては、従来から実施している事業を拡充実施するほか、新たに地域農業振興をはかり、あわせて農村環境整備に資する観点から、農林漁業用揮発油税財源身がわり事業として、農業用道路整備を大規模に推進することといたしております。また、農業生産選択的拡大農業経営規模拡大に資するよう、開拓、干拓草地改良等事業を拡充するとともに、八郎潟干拓地わが国農業モデルたるにふさわしい新農村を建設する構想のもとに、八郎潟農村建設事業団を設立して所要の事業を行なわせることといたしております。さらに、新しい技術開発をはかるため、国及び都道府県等試験研究機関における試験研究を一そう充実するとともに、普及事業を強化し、農家の要望にこたえ、普及指導体制確立をはかることといたしております。  第二は、農産物需要動向に即応して農業生産選択的拡大をはかることであります。  畜産につきましては、新たに国営草地改良事業及び農地開発機械公団による共同利用模範牧場設置事業の実施をはかる等、飼料自給基盤確立につとめることとあわせて、乳牛を大規模育成するため、国の種畜牧場活用地方公共団体等による育成事業充実等によって多頭飼養を推進し、生産性の高い酪農経営育成をはかってまいることといたしております。また、野菜の安定的供給経営の安定をはかるため、指定産地制度及び生産安定事業を拡充強化するほか、合理的な果樹園経営育成養蚕経営近代化等の諸施策を充実することといたしております。このほか、米麦その他の主要農作物について集団栽培方式普及、高性能の機械導入等により経営近代化生産性向上をはかることといたしております。  第三は、農業経営規模拡大等を進め、農業構造改善をはかることであります。  生産性が高く、農業所得水準も高い自立経営農家育成するためには、自立経営を目ざす農家経営耕地規模拡大がはかられることが重要でありますので、農地取得あっせん取得資金貸し付け農地売買等業務を行なう農地管理事業団を設立して、移動する農地経営規模拡大方向づける事業に着手することといたしました。この事業団は、当面農業近代化の機運の高まっている市町村からパイロット的に事業を展開することとし、四十年度には百市町村において農地取得あっせん及び長期低利取得資金貸し付け業務を実施することといたしております。このほか、農業経営規模拡大に資するため、農用地の整備開発国有林野活用、協業の助長等施策を講ずることといたしております。また、農業構造改善事業につきましては、事業に新たに着手する地域数を拡充するとともに、地域の実情に即して事業が円滑に実施され、事業成果確保されるよう措置することといたしております。さらに、農業近代化のにない手たるべき農業後継者育成確保等の諸施策を強化することといたしております。  第四は、農産物価格安定、流通改善及び農業所得確保をはかることであります。  米麦その他重要農産物につきましては、引き続き価格の安定と農業所得確保をはかるとともに、需要の伸びに対して生産適応体制のおくれている畜産物青果物等について、生産安定的増大流通合理化施策を拡充強化することといたしております。特に、酪農につきましては、牛乳、乳製品の需給の安定及び酪農経営安定向上をはかる観点に立ち、飲用乳の比重を高めるよう考慮して、国内産牛乳による学校給食計画的増大をはかるとともに、生乳の価格安定制度改善のための調査検討を行なうことといたしました。また、生鮮食料品流通機構につきましても、中央卸売市場整備生鮮食料品総合小売市場設置等、その改善合理化をはかってまいることといたしております。  第五は、以上の施策関連して、農業金融改善拡充するとともに、農業改良資金の拡充をはかることであります。  農業近代化に必要な長期低利資金の円滑かつ十分な供給を行なうため、農林漁業金融公庫資金及び農業近代化資金融資ワクを大幅に拡充するとともに、資金融通が円滑かつ迅速に行なわれるよう貸し付け手続等改善をはかることといたしております。また、無利子で貸し付けを行なう農業改良資金貸し付けワクについても一そう増額することといたしました。  なお、この文書においては、農林省所管事項にとどまらず、各省所管事項を含め、農業に関する施策全般にわたって記述しております。  以上、年次報告及び四十年度農業施策について、その概要を御説明した次第であります。(拍手)      ————◇—————  国務大臣演説農業基本法に基づく昭和三十九年度年次報告及び昭和四十年度農業施策について)に対する質疑
  29. 船田中

    議長船田中君) ただいまの発言に対して質疑の通告があります。これを許します。東海林稔君。   〔東海林稔登壇
  30. 東海林稔

    東海林稔君 私は、日本社会党を代表して、ただいま赤城農林大臣から説明のありました昭和三十九年度農業動向に関する年次報告及び昭和四十年度において講じようとする農業施策に関し、特に重要と思われる数点について、佐藤総理並びに関係大臣に質問いたします。  ある新聞は、今回の年次報告を批評して、これはグリーンレポートではなくてグレーレポート灰色報告であると書いてありますが、私もこれを通読して全く同じ感を抱くものであります。報告の全体を通じて、どこにも明るい展望を思わせるものはなく、出かせぎや兼業農家の著しい増加後継者確保難農業従事者女性化老齢化等、みな一様に今日のわが国農業の衰退と農民の苦悩とをはっきりとあらわしているのであります。しかるに、一方、四十年度において講じようとする施策には、このような農業危機に対処する何ら見るべき施策が見当たらないのでありまして、全く遺憾といわざるを得ません。  あらためて申すまでもなく、池田内閣以来自民党農政根幹をなしておるのは、三十六年に制定された農業基本法であります。基本法は、その冒頭に、国の農業に関する政策目標として、農業生産性を高めて、農業と他産業との生産性格差是正すること、及び農業従事者と他産業従事者所得格差をなくして均衡する生活を営めるようにすることの二つを掲げておるのでありますが、この目標は当然のことであり、われわれも異論を差しはさむものではありません。しかしながら、この目標達成のための施策についての政府基本法の考え方には、根本的な誤り欠陥があるのでありまして、それが今日の農業危機をもたらした一番のもとであり、今回の年次報告は、明らかにこのことを立証していると思うのであります。(拍手)  まず、農業と非農業との生産性格差について見るに、三十八年度は一応横ばいでありますが、その背景には、ただいまも説明のありましたように、一カ年に五%という農業労働力の急激な減少と、農産物価格上昇が他物価よりも大きかったことなどがあるのでありまして、趨勢的には格差是正方向には進んでいないこと、さらに、総生産が七年ぶりに減少したことが報告されているのであります。また、農業従事者と他産業従事者所得格差も、これまた全体としてはほぼ横ばいでありますが、これは農業所得の中で兼業収入が大きく伸びた結果、ようやく横ばい状態を持続しているのでありまして、もっぱら農業収入に依存する専業農家だけについて見ますれば、格差はむしろ増大いたしているのであります。(拍手)このように、従来の政府施策は、結果として基本法目標とは反対の方向を招いていることをこの年次報告は告白いたしているのであります。(拍手基本法制定にあたって、われわれは、政府自民党案に反対してその誤り欠陥を指摘するとともに、国内食糧自給度向上農民人間性尊重基本とするわが党独自の法案を提案して対決したことは周知のとおりであります。  政府基本法で最重点施策としてあげている一つは、構造面での自立農家育成であり、他の一つは、生産面でのいわゆる選択的拡大方向であります。農業近代化のために経営規模拡大する方向誤りではないのでありますが、政府基本法が中小農の首切り法と批判されたように、何ら将来に対する保障のないまま中小農を他産業に追い出すことによって農地を集積し、自立農家育成をはかろうとした考え方は根本的に誤りであり、われわれの主張したように、農用地の積極的拡大経営の共同化等を総合的に推進するのでなければ、経営拡大は期し得ないことが明白となりつつあるのであります。(拍手)また、選択的拡大として、国民生活向上に伴う食糧需要の変化に対応ずるために、畜産、果実、蔬菜等の生産を必要かつ有利として、これらの主産地形成による生産増大を指導したのでありますが、これまたわれわれが指摘したとおり、これらの生産物の価格支持制度の不備と、生産費中に大きなウエートを占める農用資材の管理価格の規制を怠ったため、生産増大しながらも経営は何ら安定せず、所期の成果をあげ得ないのであります。  このようにして、いまや若い農村青年はあすへの希望を失い、学校卒業とともに大部分は都会に走り、ために農業後継者確保にすら悩む現状となったのであります。年次報告によりますと、全農家中、後継者の在宅するもの五四%、このうち、農業に従事しているものはわずかに三九%、すなわち全農家の二一%にすぎないのであります。この一事をもってしましても、いまやわが国が重大な危機に直面していることは議論の余地のないところと信じます。かくて、農政の大転換を要求する声は、いまや一般の世論となっているのであります。  そこで、まず第一に佐藤総理にお尋ねいたします。  総理は、このような農業の危機を直視するとともに、従来の農民不在とも申すべき農政の誤りを率直に反省して、この際、農業基本法を根本から再検討し、農政の大転換をはかる意思なきや、総理の農業危機に対する認識と、佐藤農政の基本方針を明らかにしていただきたいのであります。(拍手)  質問の第二として、構造政策について三点、農林大臣にお尋ねいたします。  その一つは、年次報告で最も顕著な傾向として報告されている兼業化についてであります。年次報告によれば、農業人口の流出に比べて農家戸数の減少は微弱であり、一面、専業、兼業別戸数は大きく変化いたしまして、昭和三十五年二月当時、おのおの三分の一程度であったのが、三十八年十二月末には専業農家二四%、第一種兼業農家三四%、第二種兼業農家四二%と、急激に兼業化が進み、その結果として、農家所得も半分以上が農外所得であることを報告しています。なぜこのように急激に兼業化が進んでいるのでありましょうか。理由は明白であります。農業だけでは食っていけないし、といって、離農して転職しようにも安定した就業の保証がないからであります。報告によれば、三十八年度就業者一人当たり実質国民所得は、製造業で四十一万八千円、非農業全体では約四十万三千円に対し、農業は約十一万七千円で、その水準は他産業の三分の一にも満たないし、その格差も縮小の傾向にはないことを報告は述べているのであります。一方、転職について見るに、三十八年中に農家世帯員で他産業へ就職した者は九十三万四千人でありますが、このうち、いわゆる新卒者が五八%を占め、実際の農業就業者からの転職は二七%の二十四万七千人であり、反面、農家世帯員で他の職にあった者が離職して帰村した者の数が二十二万八千人となっております。このことは、農業者の転職が容易でないこと、また、転職してもその多くは社外工、臨時工等で待遇も低く、地位も不安定のために永続しないことを物語っているのであります。かくて農民は、政府の指導や方針にかかわりなく、みずから生きるために兼業化の道を選んでいるのであります。  年次報告は、兼業化をめぐる問題点として、第一に、農業産業として確立する立場からして好ましくない、第二に、農業経営発展が阻害される、第三に、地域社会としての農村の維持が困難となる、の三点をあげ、さらに、兼業化の問題は農業政策上も無視し得なくなったと述べているのであります。しかし、残念なことには、これに対する今後の具体的施策を示唆するものは何ら明らかにされておりません。赤城農相はこの問題をどのように考えておられるのでありましょうか。私は、わが国農業地域的相違性の大きい点から、経営形態も地域の実情に即応して多様的であってしかるべきであるとの立場から、たとえば、都市近郊等で農地少なく、農地価格の高い地帯では、資本的集約経営にあわせて兼業農をも一つの永続的な経営形態と認め、積極的にその安定方策を講ずべきであるとの私見を持っているのでありますが、この点も含めて、農林大臣の兼業化についての御見解を承りたいのであります。  その二は、政府昭和四十年度に講じようとする農業施策の中で最重要施策の一つとして宣伝し、ただいまも農林大臣から説明のありました農地管理事業団についてお尋ねします。  説明によれば、その目的は農地の移動を円滑にし、しかも、これを経営規模拡大に結びつけて、自立農家育成に資せんとするもののごとくであります。ところで、年次報告によれば、三十八年中の農地の移動は、自作地だけで七万一千町歩にのぼるのでありますが、問題は、これが政府の望むような自立経営層の手に集中していない点にあります。なぜ自立経営育成に結びつかないのか。これまた理由は明白であります。農地価格の高騰、農業諸経費の増大農産物価格不安定の状況のもとでは、基本的に農家経営面積を拡大する条件がないからであります。特に、問題なのは、農地価格が高過ぎることであって、いかに年利三分、三十年償還という融資の道を開いても、価格自体が採算に合わないほど高過ぎる現状では、借金して農地を購入することは、負担を重くしてますます経営を引き合わぬものとするだけであります。この点、年次報告は、農地を取得する者は主として財産保持的な考え方に基づいていることを指摘するとともに、さらに「専業農家が適正な家族労働報酬をえ、しかも採算にのる農業経営を行うとすれば、現在の地価水準による農地取得は決して有利とはいえない。」と、正直にしるしているのであります。また、現に政府基本法具体化の中心事業として進めている構造改善事業について見ても、実際の計画は、政府の意図に反して、中小農を整理してその農地を自立農家に集めるような計画は、中途で挫折した千葉県豊住地区以外には全く例がないのであります。このように経営改善のための基本的諸条件の改善を伴わない政府の自立農家育成中心とする構造改善構想は、いまや全く破綻し、その誤りがきわめて明瞭になったのであります。にもかかわらず、依然としてこれにこだわるとしか考えられないこの農地管理事業団構想は、根本に疑問があり、かりにつくってみても、実効ありとはとうてい考えられないのであります。政府は、昭和三十七年河野農相のときに、やはり農地移動を円滑にするためとして、農業協同組合に農地信託を行なわせる制度を設けたのでありますが、これに基づいて規約改正した農協の数は七千三百以上に達しながら、その実績は約二カ年間でわずかに六十五件、面積三十町歩足らずでありまして、当初われわれが指摘したとおり、全く問題にならないのであります。私は、今回の農地管理事業団構想もこれに近い結果に終わるのではないかと考えるのでありますが、農林大臣の所見をあらためて承りたいのであります。(拍手)  次に、その三としてお尋ねしたいことは、共同化推進についての政府の方針であります。政府基本法では共同化のことばすら敬遠して、協業という新語を使い、自立経営を補充するものとして協業を位置づけており、また、実際の指導面でも、従来はこれが推進には消積的態度をとってきたのであります。そして昨年の年次報告でも、協業化は停滞の現象が見られると述べていたのでありますが、今回の報告では反対に増加の傾向にあることを認めざるを得なくなったのであります。このこともわれわれ社会党の主張したとおりに事態は進んでおるのであります。多額の農地購入資金を投ずることなく、しかも経営拡大を可能にするのは共同化であり、最近愛知県西三河地区等で兼業農家による共同作業が稲作の生産を高めている事例等は、十分注目すべきことと思うのであります。そこで、この際政府も共同化を構造政策の中心に置きかえ、積極的に推進する考えなきや、お尋ねします。(拍手)  質問の第三としては、政府選択的拡大の第一に掲げている畜産振興にとってきわめて重要な飼料対策について、農林大臣及び大蔵大臣にお尋ねします。  選択的拡大を進める上での必要条件として、われわれ社会党は、生産所得補償方式による価格支持制度の確立と、生産費低下のための主要農業用資材の管理価格規制を主張してきたことは、さきにも触れたとおりでありますが、農業用資材の中でも特に飼料の消費は年々急増して、いまや肥料を上回って、年間二千億以上の巨額に達しているのでありまして、これが価格並びに流通対策の重要なことは多言を要しないところであります。ところで、四十年度の飼料対策を見まするに、まことにお粗末でございまして、現在の逼迫した飼料情勢に対処する施策としては、きわめて不十分と思うのであります。  そこで私は、率直に一、二お伺いしたいのでありますが、まず第一に、流通飼料対策としては、輸入飼料にあわせて国内産の麦類、米ぬか、ふすま等、こういう流通飼料を政府管理の対象とし、もって需給の計画化と価格の安定をはかることが必要であると考えるのでありますが、この点についての御見解、あわせて最近の飼料価格の高騰と供給不安に対する対策について、農林大臣及び大蔵大臣の答弁をいただきたいのであります。  その二として、年次報告によれば、麦類を中心とする冬作物の不作付地が実に百五十九万町歩にものぼることを報告されておりますが、これこそ麦類転作を奨励した政府農政の失敗を示すものであり、麦類の輸入の増大、飼料の輸入依存度の増大が結果としてあらわれておるのであります。そしてこのことは、海外における飼料価格の高騰が、わが国の畜産の将来に大きな不安を投げかけ、一方、国際収支にも響いておるのであります。この際、これが対策について、農林大臣の見解をお尋ねいたします。  その三としては、政府管理ふすまの払い下げ価格についてであります。昨年も政府は管理ふすまの価格引き上げをはかり、予算に計上したのでありますが、私ども社会党の強い反対にあいまして実行を差し控えたのであります。しかるに今回政府は、四十年度予算案に再び管理ふすまを一袋十七円引き上げる予算を組んでおります。私は、何ゆえ政府がこのような愚かなことを繰り返そうとするのか、理解に苦しむものであります。(拍手)この際、前年度同様、予算はともかく、実行上での引き上げはいたさないことを明言してほしいのありますが、農林大臣と大蔵大臣の責任ある答弁を要求いたします。  最後に、具体的な問題について重ねて佐藤総理にお尋ねいたします。  総理は、就任直後の所信表明においても、さらにまた今次国会の所信表明においても、ともに高度成長政策のひずみで一番現在苦しい立場にある中小企業と農業に対する対策を、当面の重点施策とするお考えであることを言明せられたのであります。  しかるに、昭和四十年度の農林予算を見るに、総予算に対する比率は一〇%一でありまして、前年度当初予算の一〇%三、補正後予算の一〇%四に比べかえって低下しておるのであります。これでは総理の所信表明にも反するばかりでなく、重大な危機に直面しておる農業農民を救うことはとうていできないことは明らかであり、遺憾にたえないところであります。かけ声だけでは政策は進みません。この際やらなければならないことは、先にも申したとおり、まず従来の大企業奉仕のために農村を低賃金労働力供給源とするような、農民無視の考え方を根本的に改め、佐藤首相がしばしば強調されておるような人間尊重の政治の立場に立って、農民の人間性を回復するための新しい農政を確立することと、これが裏づけとしての農業予算の大幅増額とであります。総理は、はたしてこの程度の予算で、現在の農業の危機を打開し、農民に働く明るいあすへの希望を与えることができるとお考えなんでありましょうか。私は、総理から、かりにも財源の関係上思うにまかせないというような通り一ぺんの御返事を承ろうとは思いません。ほんとうにこれでいいのだという確信がおありならば、その確信のほどを承りたいし、もしそうでないならば、近く補正予算で大幅に増額することをここで明言していただいて、全国の農民諸君にも、またわれわれにも安心さしていただきたいのであります。総理の明確な御答弁を期待いたしまして、以上で私の質問を終わります。(拍手)   〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇
  31. 佐藤榮作

    内閣総理大臣(佐藤榮作君) 政府は、御承知のように、経済発展の過程において取り残された、かように考えられるあるいは農業、中小企業、これらと真剣に取り組んで、まず格差是正をするという経済問題と真剣に取り組んでおりますが、この格差是正は、農家農業生産性向上さすことと同時に、また農家の方々の生活向上、そういう二面を持っておると思います。先ほどお話がありましたごとく、農業基本法の示すところでは、大体において、その格差は、所得の面においても、生活水準においても、三十五年以来横ばいの状況を続けておる。ただいまなおたいへんな格差のあることを数字が示しておるのであります。  私どもは、この立場に立ち、また同時に、国民食糧安定的供給、これを確保する、こういう見地に立ちまして、今日農業基本法は大事だ、この線によって農家生産性、同時にまた、所得改善に努力していく、かようにつとめておるわけであります。ただいま農業基本法を改正するというような考え方はもちろん持っておりません。ただ、この機会に御理解をいただきたいことは、農業近代化といい、あるいはまた、農業の構造改善といい、いずれも短期間にはよくなし遂げ得るものではございません。これは長期的観点に立って、また、政府と国民と努力して初めて成果を生むものだと思います。われわれは、この農業基本法が示す基本的方針を堅持し、そうして協力のもとにこれが日興達成を念願しておる、かような考え方でございます。  また、第二といたしまして、四十年度予算はいかにも不足ではないか、かように仰せでございますが、御承知のように、食管会計だとか、あるいは近代化助成資金、あるいは災業復旧など非常な変動しやすいものを除いて、そうして予算を対比してみますると、前年度と四十年度では約六・七に対して七%の状況でございますので、五十歩百歩だとは言われるが、とにかく増加しておることは、これは御承知のとおりでございます。今日この状況のもとにおいてわれわれが重点施策を遂行していく、かような立場で今回の予算を編成し、ただいま指摘されるような農業近代化なり、あるいは構造改善なり、あるいはまた畜産奨励なり、それぞれの改善計画に対しては、私は、今回の予算は十分だと、かように考えておる次第でございます。(拍手)   〔国務大臣赤城宗徳登壇
  32. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 報告書にも申し上げましたように、また、いま御指摘のように、兼業農家が非常に多くなっている、ことに農業を従とする第二種兼業農家が四二%も占めておる、これに対してどういう対策を持っているかということでございます。  所得あるいは生活水準の点におきましては、兼業農家専業農家よりもいいというようなことにはなっておりますけれども、農業そのものからいいまするならば、いまもお話がありましたように、農業生産の上から見ましても、あるいは土地の利用が有効的でない、あるいは地域社会においても、世帯主といいますか、青壮年が他の産業に従事しているために、思わしくない現象が出ております。そういうことでありますので、本来的に農業面から考えまするならば、専業的農業として立っていけるような方向へ持っていくのが必要な政策であると思います。そこで、兼業農家のうちでも、外へ出ていったほうがいいというような場合、ただし職業の安定化を得られない、こういう面のものもあると思います。そういう面につきましては、職業の安定を得られるような、あるいは訓練をするような方法をして、離農が円滑に行なわれるような指示をしていくことが必要であると思います。  一方、農業として残ろう、しかし、農業としてやっていく生産手段である土地が非常に少ないというようなものにつきましては、いまお話がありまするように、私は、ことばにとらわれないで、協業とか共同化とかいうことばにとらわれないで、やはり大型機械等を中心として共同化を進めていく、こういうことが必要であろうと思いますので、そういう予算面の措置もとっておる次第でございます。  第二に、農地管理事業団、この見通しといいますか、せっかくつくっても、それだけの効果を発揮しないではなかろうか、こういうような御指摘でございます。報告書にも申し上げましたように、生産性につきましても、他産業と一般的に比較しますならば、農業のほうが二九%でございます。しかし、専業農家の面で比較いたしますと四〇%から五〇%になっています。また、所得の面につきましても、一般は七七%でありますが、一町五反以上の農家で、比較のしかたにもよりますが、これは九〇%にもなっておるということでございますので、やはり農地経営面積の拡大、大きいほうがより望ましいことであることは言うをまちません。そういう面におきまして、いまもお話がありましたように、六万町歩からの土地が移動しております。その土地の移動は必ずしも経営規模拡大に寄与していない、こういうことでありますので、農地管理事業団が介在いたしまして、それを経営規模拡大方向方向づけていくということが、これは一つの構造改善事業だと思います。いまお話しのように、いままでの構造改善、土地改良あるいは主産地形成という構造改善事業は思わしくないじゃないか。思わしくない面をだんだん改めて、いい方向へ進めておりますけれども、それと伴って、農地経営規模拡大していくということも、これは構造改善の一つの大きな目標でなければならぬと思います。そういう面におきまして、農地管理事業団がその方向へ進めていくということが必要でありますし、もう一つは、いまの兼業農家の問題の共同化でございます、私は、共同化による経営規模拡大ということもあり得るし、それが必要だ。構造改善事業として取り入れるか取り入れないかということの御指摘でございますが、これは農地管理事業団による経営規模拡大とともに、共同による経営拡大ということが必要であると思いますので、それは進めていくつもりでございます。  輸入飼料と国内のえさとを一緒にして、これを国家管理というような方向へ持っていったらどうかという御提案でございます。私どもは、これを全部国家管理にするというようなことは、いま考えておりません。  同時に、御指摘がありましたように、不作地が百六十万町歩も出ておりますので、この不作地をそのまま放てきしておくというのはけしからぬじゃないかということでございます。私どもも、この不作地が出ておることはまことに困ったことだと思います。そこで、緊急飼料作物の増産のために、あるいは乾草等の生産推進事業のためにこの不作地を極力活用していくという方途を持っておりますので、そういう進め方をいたしたいと思います。  それから、先ほどの一般の飼料とともに国家管理をしたらどうかということでございますが、これはいまそれを考えておりません。輸入飼料につきましては、政府がこれを管理しておるわけでございます。でございますので、輸入飼料の面から申し上げますならば、売却の量を四十年度には相当増加しよう、たとえば、ふすま等におきましては三十九年度と同じでございますが、大麦等につきましては、三十五万トンから四十万トン、トウモロコシもその対象に加えて、全体としては、三十九年度に百四十九万トンの政府管理の輸入飼料を、四十年度に百七十七万トンまでふやしていこう、こういうことと、また、トウモロコシ等につきまして、これは輸入でございますので、需給面、あるいはいま行なわれておるような港湾スト等もございますので、これが十分に入らないということでは困りますので点十五万トンほどを調整保管するという新しい方法もとっております。  それから、政府管理の飼料の値段を十七円ほど予算で上げて、来年度は六百三十四円にするというようなことはけしからぬじゃないかというような御指摘でございます。これは民間の一般ふすまが相当値上がりしておりますので、政府の売却との間の価格差があまりあるということになりましては、需給上片寄るというような傾向が非常に憂えられるのであります。その値上がり率は二%程度でありますので、一般の飼料のほうを刺激する、あるいは農家の負担を相当増大するというふうには考えられませんので、飼料全体の価格政策からいいまして、やむを得ないものだ、こういうふうに考えております。(拍手)   〔国務大臣田中角榮君登壇
  33. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) 購入飼料のうち、ふすま、トウモロコシ等については、その全量を国が管理すべきだというお話でございましたが、ただいま農林大臣からお答えしたとおりでございます。ただ、トウモロコシについて食管でこれを管理するということについては、適当でないという考えでございます。しかし、異常な需給の逼迫等に対処いたしますためには、四十年度におきまして新たに政府が十五万トンの調整保管を行なうことにいたしておりますので、需給の安定は確保できるという考えでございます。  第二点の、ふすまの払い下げ価格の十七円値上げを見込んだ問題でございますが、この点につきましても、農林大臣から申されましたが、裸三十キログラム当たり十七円を値上げして、六百三十四円とすることを予定いたしておるわけでございます。これは民間の一般ふすまとの価格差が著しく大きくなることによる流通上の摩擦等を考慮したものでございます。この程度の値上げであれば、流通市場中に占める政府売り渡しふすまの比率等から見まして、一般の飼料価格に大きな影響を及ぼすとは考えられませず、また、畜産振興上の障害もないものと考えておるのであります。(拍手
  34. 船田中

    議長船田中君) これにて質疑は終了いたしました。      ————◇—————
  35. 船田中

    議長船田中君) 本日は、これにて散会いたします。    午後三時二分散会      ————◇—————  出席国務大臣         内閣総理大臣  佐藤 榮作君         大 蔵 大 臣 田中 角榮君         農 林 大 臣 赤城 宗徳君         運 輸 大 臣 松浦周太郎君         労 働 大 臣 石田 博英君         建 設 大 臣 小山 長規君  出席政府委員         内閣法制局第四         部長      田中 康民君      ————◇—————