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1965-05-13 第48回国会 衆議院 法務委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年五月十三日(木曜日)    午前十時五十一分開議  出席委員    委員長 濱田 幸雄君    理事 上村千一郎君 理事 大竹 太郎君    理事 小島 徹三君 理事 坂本 泰良君    理事 細迫 兼光君 理事 横山 利秋君       唐澤 俊樹君    木村武千代君       小金 義照君    千葉 三郎君       馬場 元治君    濱野 清吾君       神近 市子君    長谷川正三君       志賀 義雄君  出席政府委員         法務政務次官  大坪 保雄君         検     事         (刑事局長)  津田  實君  委員外出席者         議     員 田中 武夫君         検     事         (刑事局参事         官)      大堀 誠一君         専  門  員 高橋 勝好君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  会社更生法の一部を改正する法律案田中武夫  君外二十二名提出衆法第二四号)  経済関係罰則整備に関する法律を廃止する法  律案内閣提出第一二八号)      ————◇—————
  2. 濱田幸雄

    濱田委員長 これより会議を開きます。  田中武夫君外二十二名提出にかかる会社更生法  の一部を改正する法律案議題といたします。
  3. 濱田幸雄

    濱田委員長 まず提案者より趣旨説明を求めます。田中武夫君。
  4. 田中武夫

    田中(武)議員 社会党提出会社更生法の一部を改正する法律案について、提案者を代表して提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。  御承知のごとく会社更生法は、株式会社の持つ社会的、経済的価値重要性にかんがみ、窮境にあるが、再建の見込みのあるものについて、直ちにこれを破産、解体せしめることなく、その事業維持更生をはかろうとするもので、昭和二十七年に制定された法律であります。会社更生法による更生手続開始申請件数並びに更生手続開始決定件数は、統計の整備されている昭和三十二年以降今日まで、それぞれ五百九十二件、百八十件でありますが、ここ二、三年来著しい増加傾向を示し、特に昨年は申し立て件数開始決定件数ともに飛躍的に増加し、それぞれ百七十二件、四十七件にのぼっております。  言うまでもなく会社更生法は、会社事業維持更生をはかるため、株主、債権者等利害関係人利害を公平、迅速に調整するものでありますが、更生手続の結果として、経済力の弱い中小企業下請企業である債権者に深刻かつ多大の犠牲を押しつけておりますことは、現行会社更生法の制度上回避し得ないところであります。しかも会社更生法は、その性格上経済不況期に最も多く活用されるものであり、これら債権者のこうむる影響は、二重の意味においてきわめて重大であります。特に最近の経済情勢は、誤った高度経済成長政策の結果、ほとんど毎月企業倒産の記録が更新され、さきには東京発動機日本特殊鋼サンウエーブ等、近くは山陽特殊鋼のごとく、相当規模企業まで相次いで倒産する深刻な事態が生じており、そうでなくても苦境に立たされている中小企業下請企業は、まさに危機に直面しております。こうした情勢の中で会社更生法不合理性はますます拡大されているのであります。  すなわち、これら中小企業下請企業に対しては、たとえ株式会社であっても、現実問題として、更生手続費用の予納、管財人の選任、更生計画樹立困難性等理由から、会社更生法適用されることきわめてまれであり、会社更生法によって保護されるのは相当規模企業や大企業に限定されるのが実情であります。この結果、大企業会社更生法によって再建の方途が講じられ、ときには会社更生法を悪用し、これに便乗することによって計画倒産さえ可能であり、そういう事例も多いのであります。このような場合、大口債権者である銀行系列親企業等は、事前に相談を受け、被害を最少限度に食い止めているにもかかわらず、無担保債権者である中小企業、特に下請企業は、その従属的関係から平素不利益をしいられ、その上、全く知らないうちに一片の通知もなく更生手続開始申し立てが行なわれ、はなはだしい場合は申し立ての当日まで納品を余儀なくされ、しかも下請代金更生債権として凍結されてしまうのであります。言うまでもなく、下請企業には、更生手続の終結まで下請代金の回収を待つ余裕があるはずはなく、金融機関からの約手買い戻し請求に応ずる力もないのでありまして、結局、何ら自己責任によらずして自滅の道をたどる以外に方法がないのであります。  しかるに会社更生法は、こうした点について、単に形式的公平を考えるにとどまり、経済実態に即応した実質的公平については何等の配慮もいたしていないのであります。つまり、会社更生法は、下請企業犠牲において大企業を更生せしめる機能を果たしており、子の犠牲によって親を助ける法律となっているのであります。このような会社更生法の欠陥に対しては、すでに法律制定直後である昭和二十八、九年の不況期にも強い改正意見がありましたが、最近ますます顕著に露呈されている。その不合理性は、もはや見のがすことのできないものがあります。  もとよりわれわれは、会社更生法経済実態に立脚した合理的な姿で機能せしめるためには、会社更生法あり方全般にわたり根本的検討が必要であると考えるものであります。しかし、当面最も緊急の課題である下請企業について保護措置を講じ、あわせて労働者利益保護等をはかることが、まずもって必要であると考え、ここに本改正案提出した次第であります。  次に、改正案内容を御説明申し上、げます。  その第一点は、更生手続開始申立書下請事業者意見添付させるとともに、裁判所に対し、下請事業者意見の陳述を求めることを義務づけることであります。すなわち、会社更生法適用下請事業者の存立にかかわる重大な問題でありますので、親企業の一存で決定させることなく、下請事業者意見を十分反映させようとするものであります。  第二点は、裁判所は、更生手続開始申し立て会社使用人の不当な人員整理目的とするものであるときは、これを棄却しなければならないことであります。会社更生法適用は、ともすれば従業員人員整理のための一方法として利用される危険があるので、現行法をさらに明確にし、これを防止しようとするものであります。  第三点は、裁判所は、保全処分にあたり、会社使用人給料、その預金及び下請事業者に対する下請代金の支払いを禁止してはならないことであり、第四点は、更生手続開始申し立ての日前六ヵ月間及び当該申し立ての日から更生手続開始までの間に、会社下請事業者から受領した給付にかかる下請代金及び会社使用人給料は、いずれも共益債権とするとともに、会社使用人退職金は、更生手続開始前に退職したときは退職当時の給料の六倍に相当する額まで、また更生手続開始後に退職したときも、共益債権となる退職手当の額が退職当時の給料の六倍に満たない場合は、更生手続開始前の在職期間にかかる退職手当の額をそれぞれ共益債権とすることであります。これらの点は、本改正案の中心をなすものであり、保全処分に制約を課することによって、下請事業者連鎖倒産を防止するとともに、下請代金労働者の賃金、退職金について、共益債権とされる範囲を現行法より一段と拡大し、下請事業者労働者利益を保護しようとするものであります。  第五点は、過怠更生罪の新設であります。御承知通り破産法には過怠破産罪規定がありますが、会社更生法にはこのような規定は設けられておりません。しかし、明らかに経営者過怠により企業危機におとし入れ、関連下請事業者労働者に多大の犠牲と損失を与えた場合、これを放任することは社会正義に反すると思うのであります。かような見地から当該経営者社会的責任を追及するとともに、会社更生法悪用による経営責任の回避を防止し、あわせて一般経営者倫理感責任感を自覚せしめる意味において、過怠更生罪を設けたのであります。  以上、簡単に提案理由及び改正要旨を御説明申し上げましたが、親会社会社更生法適用の陰に泣く多くの中小下請事業者を救うために、何とぞ十分御審議の上、すみやかに御賛同くださるようお願い申し上げ、提案説明を終わります。どうぞよろしく。
  5. 濱田幸雄

    濱田委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  本案に対する質疑は後日に行なうことといたします。      ————◇—————
  6. 濱田幸雄

    濱田委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  先ほどの理事会決定に基づきまして、ただいま審査中の経済関係罰則整備に関する法律を廃止する法律案について、参考人出頭を求めその意見を聴取することとし、日時及び人選等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 濱田幸雄

    濱田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  8. 濱田幸雄

    濱田委員長 それでは、速記を始めてください。      ————◇—————
  9. 濱田幸雄

    濱田委員長 この際、法務行政及び検察行政について刑事局長より発言を求められております。これを許します。津田刑事局長
  10. 津田實

    津田政府委員 先般、志賀委員から広布産業関係につきまして御質問がございました。その点につきましてただいままでにわかっておることを申し上げます。  東京地方検察庁におきましては、昨年十二月十日広布産業株式会社及び同社代表取締役佐々木環から岡林和夫外三名に対しまして詐欺罪等告訴を受理いたしております。  告訴事実の要旨は、岡林は外三名と共謀の上、昭和三十八年十月下旬ごろ告訴人に対しまして、右岡林代表取締役をしております東洋殖産株式会社所有にかかる茨城県下の土地約三十四万坪につきまして、近く十三、四億で国に買収されることになっている旨虚偽の事実を申し述べ、その売り渡しを申し込み、その旨誤信した告訴人をして七億五千万円で買い取ることを承知させ、同年十一月五日ごろ、その土地売買代金の内金として六千五百万円を騙取。  次は、岡林外一名は、それぞれ単独または共謀の上、同年十一月下旬から昭和三十九年三月下旬にかけまして、数回にわたり告訴人またはその妻から、国による買収を促進するに必要な経費等の名目で三千二百万円を騙取した。  それから岡林はほか三名と共謀の上、昭和三十九年一月三十日ごろ、右土地について広布産業株式会社のために出された所有権移転登記をかってに抹消しようと考え、同社名儀委任状を偽造して登記官吏に対してこれを行使し、売買契約解除による右登記の抹消を求める旨虚偽申し立てをして、登記官吏をして登記簿原本にその旨の不実の記載をせしめたというのでありますが、右事件につきましては、同検察庁におきまして目下鋭意調査中でございます。
  11. 志賀義雄

    志賀(義)委員 その調査につきまして、その検察庁の受理された告訴状の中には、ある官庁である公職の人が介在しているというようなことは記載ございませんか、これが一点でございます。それからなお、それに関する証拠書類もあわせて提出されておるかどうか、この二点について御調査の結果をお知らせ願いたいと思います。
  12. 津田實

    津田政府委員 告訴状はなお詳細に記述されておりますし、先般お話のような上申書というようなものもあるようではありますけれども、その内容につきましては、ただいまのところちょっと申し上げることを差し控えたいと思います。ただ、そのほかに添付書類というようなものもあるようでございます。添付書類と申しますか、添付証拠と申しますか、そういうものもあるようでございますが、その内容につきましてはもちろんいま承知いたしておりません。
  13. 志賀義雄

    志賀(義)委員 きょうはそれだけでございますけれども、これはどうせ検察庁でおやりになれば、ある官庁のある部屋を舞台にある公職の人が介在しておるというようなことが多分告訴状に出ていると思いますが、そういう点もこれから検察庁はどういうふうにおやりになるのか。それと相まちながら、私どもは検察の活動を妨害するつもりはごうもございません、激励をすることもあるし、正しくやっていただくこともございます。そういう点については公正に御答弁を願いたいということだけで、きょうは私は別に質問はいたしません。
  14. 津田實

    津田政府委員 なお、先般お尋ね内山観光バス、三多摩タクシー業者の問題につきまして簡単に申し上げたいと思います。  小菅刑務所におきましては、収容者に対する職業訓練目的といたしまして法務部内の自動車整備作業をいたしておるわけでありますが、部内だけでは作業に余力がありますので、弥生ヂーゼル工業株式会社清明デーゼル整備工業株式会社というような会社から、作業に必要な部品の提供を受けまして、中古自動車分解整備、加工、修繕作業を行なっております。現在は清明ヂーゼルのほうとは契約解除になっておりまして、弥生ヂーゼル工業だけが契約の対象になっておるわけであります。内山観光バス整備は、この契約に基づきまして昨年六月十五日、弥生ヂーゼル工業から受注したものと考えられるのでありますが、右のバス整備に関する契約内容は、昨年の七月四日から七月八日にいずれも自動車車体検査証有効期間が満了するバス十九台について車検を受けるための整備を七月三日までに完成するという内容であります。小菅刑務所におきましては、契約どおり整備いたしまして七月四日から八日までの間に車体検査有効期間の更新の手続を完了して、弥生ヂーゼル工業に引き渡したものであります。  以上のように小菅刑務所といたしましては、直接内山観光から受注したわけでない関係でありますので、その会社労働争議については全く知らなかったものであり、十九台の自動車とも車体検査証有効期間満了日が切迫しておりますため、車体検査のための整備ということについては何らの不審がなかったものであります。なお、三十九年の六月下旬ごろ、内山観光労働総会広報車小菅刑務所に来訪いたしまして、その労働組合員と思われる者が、内山観光バス刑務所整備所にきているかどうかを係官に尋ねた事実がありますが、工場に入っている旨を回答したら、そのまま引き揚げて行ったという事実があります。  それから三多摩タクシー業者退職関係でありますが、これは簡単に申し上げますと、直接運転手から退職制裁金を取っているという事実はありません。ただ、東京乗用旅客自動車協会多摩支部業者によって構成されておりますこの三多摩支部におきましては、理事会決定によりまして、支部加入業者に雇用されていた運転手退職後六カ月を経過しないうちに、他の支部加入者運転手として採用した場合は、関係業者の間の了解があった場合を除いて、新たに当該運転手を雇用するに至った業者は、以前これを雇用していた業者に十万円を支払うという取りきめをしたというような事実があるようでありまして、この取りきめは本年の六月末まで有効ということになっているようでありますが、取りきめに基づいて現実に金員の授受がなされた事実はない模様であります。  以上でございます。      ————◇—————
  15. 濱田幸雄

    濱田委員長 次に、経済関係罰則整備に関する法律を廃止する法律案議題といたします。  質疑を続行いたします。横山利秋君。
  16. 横山利秋

    横山委員 最初に、政務次官に法案を提出された気持ちをお伺いしたいのでありますが、この経済関係罰則整備に関する法律は、今日までこの種の機関に勤務する者を公務員に準ずるものとみなし、わいろを取ってはいかぬということをきめたのであります。きめたものが年々歳々ここはよろしい、ここはよろしいといってはずれていって、また今回幾つかの金融機関、主として金融機関がはずれるわけでありますが、きわめて常識的な質問をするわけでありますが、きのうまではこういうことをしてはならぬ、これは犯罪になるといっておった事柄が、同じ事実がきょうから犯罪にならぬのだ、やってもよろしいとは言わぬけれども、犯罪にならぬのだということになると思うのであります。その事実行為については、これは犯罪になるならぬ以前の問題として道義的に許さるべきことではないと私は思うのでありますが、この法律改正して、きのうまで職務に関して銭をもらってはいかぬといっておったのが、きょうから銭をもらっても罪にならぬのだということが、どうにも私には納得しがたい問題を感ずるのであります。あなたはどうお考でございましょうか。きわめて平凡な質問であります。
  17. 大坪保雄

    大坪政府委員 お尋ね経済罰則関係法律というのは、当時の社会情勢に基づいてやむを得ざるものとして最小限度規制を種目を限っていたしたようなことでございまして、その法律制定の基礎となるべき社会情勢に大きな変革がございますれば、さような国民に対する規制はなるべくすみやかに排除したほうがよろしいということは、これは申すまでもないことでございます。ただ、ただいま横山さんからお話のございますように、時々一つ一つはずしていくというようなやり方ということについては、抽象的に見ますれば、いささか不適当でないかと思われる筋合いもないわけではございませんけれども、従来この経済罰則からはずされていった業種、業態というものは、社会性の強さと申しましょうか、そういうものの厚薄によって処置いたしてまっておるようなことでございます。今回原則として三つの会社等を除いて全般的にこの罰則適用を廃止いたそうといたしましたのは、さような社会情勢の変化があって、今日これ以上そういう罰則を残しておくということが必ずしも適当でない、こう考えたからのことであることは十分御了解のいただける点であろうと存じます。なるほど、人間の気持ちとして申しますれば、きのうまである事柄一つ法律に触れた、ところがきょうはそのことが触れないということは、いかにも異様な感じがいたすわけでございますけれども、適時適切にすみやかに、国民を覊束するような法制が必要性をなくす、ないしは必要性を非常に希薄にしたというような場合には、はずしていくのが適当であろうと存ずる次第でございまして、さような観点に立っていまこれを廃止いたしたい、こう決意いたしたようなことでございます。
  18. 横山利秋

    横山委員 農林中金は今度はずれるわけですね。たとえばいただきました資料の経済罰則整備に関する法律違反事件、まあ偶然にも二五ページを開きまして、係争中のものを読みますと、被告人農林中金貸し付け係であった者であるけれども、ある協同組合責任者が「かねて同組合より申込中のプロパー融資の借入につき便宜な取扱を受けたい意図の下にその対償として供与するものであることの情を知りながら、現金五万円を貰い受け、もって自己職務に関し賄賂を収受したものである。」このこと自身、これはいま最高裁に係属中のものでありますが、偶然にもこの例を引くわけでありますが、このこと自身はいつまでたってもいかぬことだということはすなおに理解できるわけであります。これは結審がどうなるかわかりませんけれども、少なくとも事実であるとするならば、いかぬことだ。ところが、これからは五万円もらってもいい、罪にならぬ、こういうことになるわけですね。
  19. 大坪保雄

    大坪政府委員 農林中金については今回罰則適用を除外することになりますから、さようになるわけでございます。ただ従来これを存置して、いまのような罰則に触れるような事例も生じたのでありますが、全般的に戦時中に経済統制を強めておった時代でございますし、その理由がまだそう希薄になっていなかった時代に犯した罪でございますから、今日以後はそういうように五万円もらってやっていいのだというように安易に考えていくことは適当でないと、思いますけれども、それを罰則をもって臨んでいくほどの必要性も今日以後においてはないのでないか、こういう考えに基づくものでございます。
  20. 横山利秋

    横山委員 なるほど農林中金は、大正十二年八百万円の資本金総額中、政府出資は五百万円、過半数をこえておった、三十七年八月三十一日では、三十二億円の資本金総額のうちで政府出資はゼロである、だから政府関係機関ではないのである。したがって、「特別ノ法令ニ依リ設立セラレタル会社、鉄道」云々、「当然ニ独占トルベキ事業営ミハ臨時物資需給調整法其ノ他経済統制目的トスル法令云々に該当しないところになった。したがって、この人のように五万円をもらっても今後罪にはならぬ。こういう理屈は何としても庶民的に私は説得力がないと思うのであります。農林中金といえども、なるほど政府出資はなくなったかもしれぬけれども、政府の援助はあらゆる手によって行なわれておるわけでありますから、その辺はかりに、例でありますが五万円をもらう、自分職務に関して便宜をはかった、自分の金でもない金を出して、それでお礼に五万円をもらう、五万円が悪くなければ十万円、十万円が悪くなければ百万円もらうということがこれから違法ではないということが、私はしろうとかもしれませんが、納得できない。この罰則適用除外になることによって、本人はあくまで法律的な訴追を受けないものであるかどうか、ひとつ刑事局長に伺いたい。
  21. 津田實

    津田政府委員 もちろんただいま仰せになったことはごもっともな点が多々ございますので、ただいま御引用になりました事件にあがっておる例が決していいものではないわけでありますし、将来ともこの事柄が全然差しつかえないことであるというふうにはもちろん考えないわけであります。しかしながら、全般的に見ました場合に、一昨年金融機関がこの経済罰則から削除されまして、一般銀行につきましては、いまの該当のような事例の場合におきましては、不正の請託を受けていない限りはまずならない場合が多いわけです。そうすると、一般銀行について収賄にならないという事項につきまして、農林中金なるがゆえにそれを収賄罪に問うということは、その均衡上いかがなものであろうかということが今回の問題になったわけであります。  そこで、したがいまして、今回のそのほかの信用金庫の問題にいたしましても同じことでありまして、やはり貸し付けを受けるとかなんとかいうことによって、その当該職員にわいろ的な金品を贈与するということはよくないことであることは間違いないのでありますけれども、それは刑罰をもって臨むのではなくて、むしろ社会的なる当該機関内の秩序として、当該機関内の制裁にゆだねる程度でよろしいのではないかというような考え方になってくると思います。  今回の廃止につきましても、この附則にありますように、将来とも刑罰をもってさような綱紀を正さなければならないという、ものにつきましては、これを残したわけでありますが、その他のものにつきましては、必ずしも好ましいことではないものもあるかもしれないが、これは一般の標準に従いまして刑罰は科さない。あるいは社会的制裁、あるい当該部内の綱紀として制裁をしてもらうという程度にとどめるのが、全般的の均衡から相当であるというふうに考えまして、こういう結論になったわけでございます。
  22. 横山利秋

    横山委員 均衡論で、ほかの銀行がもう落ちておるからこれらも落とすということは、一応納得ができます。しかし、あなたも、そのこと自身がいいことだとは思わないというお考えのようであります。そうだとするならば、ほかの銀行を落としたことに実は間違いがあるのではないかということのほうが正当な論議だと私は思う。問題は、あなた方の説の一部の中に、出資がないから——たとえば農林中金を例にとってみれば、政府出資があったときと政府出資のないときとは違うという、出資だけが一つの議論の焦点になっておるとするならば、これはいかがなものかと思う。銀行は、なるほど政府出資していないけれども、ばく大な財政投融資が行なわれておるわけであります。たとえば中小企業に対する融資にしたところが、ほとんどの市中銀行相互銀行でもそうでありますが、代理貸しをやっておるわけであります。中小企業政府資金の代理貸しをやり、国民金融公庫の代理店としての政府の金を貸しておるわけです。政府の金を貸しておる中で贈賄が起こったとしたならば、やはりあなたの立論の趣旨というものはおかしくなりはせぬかと思うわけです。問題は、政府と全く縁のないところで、純民間金融としてやられたことについては、そうまで政府の手は伸びぬ、政府関係したことではない。むしろ国民関係したことではないと言い得られるかもしれませんけれども、出資のみならず、融資という意味において政府の金が現に流れており、それによって直接間接に収賄なり贈賄が起こっておるとするならば、あなたの理論というものはあいまいなことになってくるのじゃないか、こう思いますが、どうですか。
  23. 津田實

    津田政府委員 ただいま御指摘の点はごもっともでございます。問題は、どの限度を刑罰規定で縛り、どの限度を自主的非難あるいは社会的非難でとどめるかということの問題であろうと思うのであります。そこで、現在の企業におきましては、銀行あるいはその他の金融機関のみならず、その他の業種におきましても、たとえば問題になりました独占的事業——電気事業、ガス事業あるいは地方鉄道というようなものにつきましても、免許を受けて独占的にやっておるわけでありますので、そういうものにつきましては、政府から投融資というものがかりになされないといたしましても、やはり相当の地位を保障されておるといえるわけであります。したがいまして、それらのものが職務に関してわいろを取るというようなことは好ましくないことであるのみならず、社会的には大きく非難されるべき事柄であるわけでありますけれども、それらの点につきましては、刑罰まででやるほどのことはないという評価になっておるということと比較いたしまして、どの辺に均衡を求めるかということであります。金融機関につきましては、なるほど大きな経済的あるいは社会的な意義を持っておる機関であることはもちろん間違いはありませんし、また、免許を受けてやっておるものが大部分であるわけでありますから、そういう意味におきまして、やはり相当の規制を加えるべきだということも確かに考えられるわけであります。したがいまして、今回これを一たん廃止をいたしますが、金融機関全般の問題につきましては、さらに別途の立法等の措置を考慮するということをいま検討中でございます。関係機関と検討することにいたしておりますが、もちろん今国会には間に合いませんですけれども、そういう有力な意見がございまして、今回は一応これで整理をするが、かつてはずしたところの銀行等の問題を含めましてその問題を十分検討し、適当な措置をとろうというふうにせっかく努力中でございます。金融機関につきましてはいまそういう考えで進んでおりますが、その他の機関についても、さらに同種同程度のものについてどうするかという問題は、なお十分研究をいたしたいというふうに考えておるわけであります。
  24. 横山利秋

    横山委員 ごもっともなことだと思うのです。私は、この経済罰則が——私も大蔵委員をやっておるのでありますから金融専門でありますけれども、この経済罰則の法案がこの国会に出てきましたのは、簡単にいえば、銀行を落としたから不均衡だから、残したやつもこの際落とそうではないかという、それだけの議論でこの法案ができたのではないかと思うのであります。私ども金融を担当いたしております国会議員としては、絶えず金融機関の不正なり金融機関の汚職についていまいましく思っておるわけであります。しかもここ数年来、金融の引き締めが強化されるにしたがいまして、銀行よさようなら、証券よこんにちは、と言っておったときと逆転をしておりまして、いま銀行貸し付け係は料理屋の床柱を占領する時代となった。かてて加えて、いまあらゆるマスコミが声をそろえて、銀行の不正貸し出しあるいは野方図もない問題を取り上げ、ひいては、いま吹原問題で天下の耳目を聳動をさせ、まことに金融のあり方については全国民のひんしゅくを買っておるときであります。そのときに単なる均衡論だけで、本委員会が世間の目をおおうて、この経済罰則の法案を、銀行が落ちたからこっちも落とせということだけで、心にじくじたるものがないであろうか。御提案なさる政府としても時期を誤った。こういう金融問題が起こったということは、あなたのほうとしては偶然ではあろう。偶然ではあろうと思うけれども、時期を誤った。もしかりに、吹原問題を含めて、この法案をジャーナリズムが宣伝し議論をしますれば、おそらくや、法務省は一体何を考えておるんだ、いまこれほど金融の問題がやかましい、不正融資や吹原問題がやかましい、山陽特殊鋼に対する融資がやかましいときに、片方で、そういうことをやってもこれからは罪にならぬぞということで、国会で議論をし、政府が提案していることに世間は何と思うであろうか、こう私は痛感するわけであります。いま刑事局長が、当面しておるそういう吹原問題なり金融機関の問題については別途考えたいとおっしゃるのは、また時宜を得たことで、やらざるを得ないだろう、ここまで政治的になってくれば。そうだとすれば、この話はよけいにおかしくなる。きのうまでは罪であった、きょうからは無罪になる、あしたまた罪にしてやる、こういう妙なことが起こりはしないかと私は危惧するわけであります。政務次官の御意見を伺いたい。
  25. 大坪保雄

    大坪政府委員 もともと感じとして、横山さんのお話しになるような感じを国民も持つだろうと思います。しかしながら、経済のことは、私どもの立場からいたしますと、これは本来自由であるのが適切だと思うわけであります。それをあえて統制をいたしましたのは、戦争という国家の存立を賭しての大事件が起こった。その戦争遂行のためにやむを得ざる措置として統制のことが行なわれたわけであります。経済統制は、国民の素朴な感情からしますとまことにそぐわないものが多いわけでございます。これは私どもの立場、特に経済の自由主義ということをたてまえとしておる者等からいたしますと、そういう感じがいたすわけでございます。その法律制定の最大の原因がなくなったわけでありますし、秩序も社会的に一般に回復してきたし、経済界における秩序も回復してきたのでございますから、あとはそれぞれ各国民の良識なり、企業についていえば、企業内の自主的な規制によって措置していくことが適切ではないだろうか、こういう考え方から経済罰則を順次廃止していく。その廃止の段階において、ただいま刑事局長が申しておりますように、銀行に対する罰則規定というものを除いたわけでございまして、そういたしますと、同じ金融機関ということで、商工中金と対立はいたしますけれども、農林中金に対して政府出資というものがない。社会性の点については商工中金と比重は変わらぬ重要度がある、重い比重があると思います。思いますけれども、政府出資がないというようなことがございまして、では他の一般市中銀行と変わらないということになるのじゃないかという均衡論に到達したわけでございます。もう今日の段階——たとえば吹原事件が起こって銀行が醜態をさらしたとか、あるいは山陽特殊鋼についての非常にルーズな金融の措置が講ぜられたとかいうことについて、私どもも現在の銀行業界のあり方に非常に批判的な気持ちを持つものではございますけれども、もう今日この段階まで社会秩序が落ちついてまいった時期においては、それぞれ自主的にひとつ良識を持ってみずから規制する方途に出られてけっこうでないか。たまたま吹原産業のような銀行の醜態が起こりましたけれども、それはそれとして社会の批判も強くございますし、したがいまして、銀行業者内部の自省、反省ということも強く行なわれるだろう、こういうように思うわけでございます。それを戦時中この法律を制定した当時のような立場で罰則を強化していくということは、もう今日の時代では適当でないだろう、こういうことが基本になっているわけでございます。私どもの考え方はそこにあるわけでございます。
  26. 横山利秋

    横山委員 私の質問にまともにあなたは答えていらっしやらないようですが、私の言うのは、きのうまで罪であった、きょうから無罪にする、またあしたこれを罪にする可能性があるということを感ずるというのです。刑事局長意見とあなたの意見と違うかもしれぬけれども、私はいまの金融機関の状況はなっておらぬと思っているわけです。あなたは、それは適当にそっちのほうでうまくやってもらわなければ困る、行政指導でやらせる。こういうのですけれども、あなたも大蔵にいらしたと思うのですけれども、少なくとも金融機関の検査というものは、私は、かつて銀行検査官を検査する検査官をつくれと言ったことがある。なぜかといいますと、銀行の検査というものは、かりに内部で悪いことがあったにしたところで、預金者のためにこれを公表しないということになっているわけです。しかも昔、戦前のように取りつけ騒ぎはもはやない時代になっている。それは銀行というものが預金者のためであるということで、悪いやつがおって銀行検査官が剔決したところでこれを外に公表しない。何とかして世間の目をかすめてうまくまとめてしまおう、そういうことのために銀行はあぐらをかいてしまっている。いま新聞でちらほらする金融機関のことだけでも枚挙にいとまない。あれはまさに氷山の一角であって、私は預金者のために銀行の不正事項をもっともっと公表しろ、そうしなければほんとうの銀行の体質改善ができないとすら考えておる。なるほど世間は平穏無事だけれども、平穏無事の陰にこういうような山陽特殊鋼やあるいは吹原事件のようなことが発覚をして、そしてなおかつあなたのほうはのんべんだらりとして、そちらのほうでうまくやってくれ、こういうつもりでありましょう。いま全国民が、吹原なり山陽特殊鋼なり、この設備投資、驚くべき融資競争あるいは預金集め競争、それによって生じております過当競争なりあるいは不正事項について、政府がいま何もしないということはあり得ないことだと考えておる。だから私は、いま刑事局長がおっしゃるように、この際金融機関について全般的に考え直すべきときであるし、それは何らかの措置をもってなされなければならなくなるだろう、そう思うのは当然だと思っておる。そうだとすれば、かりにそれを百歩も千歩も譲って、そういう何かの措置をやらないにしても、逆にいまそういうことを無罪にするというようなことは全く時宜に適せざることだ、そういうことが私の言いたいところなんです。いまこれをやらなければならないという積極的な理由がないではないか。ただ銀行が落ちたからこっちも落とそうじゃないかという均衡論だけではないか。そういうようなことがいまなくなってきたから、もうこれをなくしても問題はないのだというならわかる。そういうものが続出しておるではないか。これは国会で大問題になっておるじゃないか。そのときに単なる均衡論で、これは罪にせぬということは、私は、いまの時宜に適せざるものである。法務省としても、これを提出されたときには、まだ社会の指弾を受けない、このような状態でないときだったから、均衡論ならば恕すべき点もあるだろうが、いまとなっては、これは学識経験者なりだれかに聞いてごらんなさい、少しでもあったほうがいいぞ、何を法務省は寝とぼけておるか。一方で吹原の問題をやっておって、私どもが森脇を呼ぼうと言ったら、さっと森脇をかすめていっちゃって、自分のところで調べておる。そして一方では、そういうことは罪にせぬ、そんなばかなことがありますか。どうですか、私の言うことがわかるでしょう。あなたは心中じくじたるものがないですか。
  27. 大坪保雄

    大坪政府委員 結局、同じ答えになると思いますが、いま横山さんのお話のところは、一般市中銀行のことを特に強調しておいでになる。現在醜態をさらしておるのもそうでございます。農林中金だけが非常によくてというように私ども考えていないわけでありますけれども、市中銀行がはずれておりますし、それとの均衡もやはり考えなければいかぬ。そして先ほど刑事局長がお答え申しましたように、金融機関全般について、それは歩調をそろえて検討し直すとすれば検討し直さなければならぬというふうに考えます。私どもは、決して農林中金や信用金庫等をはずしたから、そこに従事しておる人たちはちっともかまわない、どんどん不正融資をしてもよろしいという考え方ではもちろんないのでありますが、良識を持ってそこはやってくださるものと——金融機関でごさいますから、そうしてまた、これに対してはほかにいろいろ制約がございますから、そういう制約等もあって、ここで刑罰をもってあくまでも臨むという規制のしかたはそれほど必要ではない、こういう考えでございます。繰り返すようでございますが、一般市中銀行等と歩調を合わせて、なお措置すべき必要があれば措置をするように検討はいたさなければならぬと考えております。
  28. 横山利秋

    横山委員 納得できないですね。どうお考えでありますか知りませんけれども、大坪さんは答弁をしながらたばこをもじもじやっていたが、自分で言ったことが自分で納得できないのじゃないか。私もこの法案が出たときには、法務省から説明を受けたときには、ああそうかという気持ちがせぬでもなかったのですよ、単なる均衡論で。しかしわれわれ国会議員の職務としても、法務省としても、吹原事件に相当努力をなさっておる立場の者として、いまこれをとにかくどうしても通さなければならぬという積極的な意欲を欠いておるのじゃないか。もし欠いておるとするならば、これは考え直してほしいと思うのです。それでもなおかつ、横山君よ、これはどうしても通してもらわなければならぬのだ、通してもらわなければ世のこの種の問題について公平が期せられぬ、この人が無実の罪に泣いておるからこうやってもらわなければいかぬぞ、現に今度落ちるところでは何の事故もいまない、今後事故がなくなる保障はかくかくである、行政措置においてはかくかくのことが講じてあるから、そのようなことは実際ないのであるから何ら心配してくれるな。あるいはこの前落とした銀行が悪いのだ、残っておったら事故がないのだ、そういうことであれば、これはまた理屈がおかしくなってくるけれども、私は、その点についてどうもあなた方の説得力のある御説明を伺っておらぬのであります。刑事局長にもう一ぺん聞きますけれども、先ほどあなたのおっしゃった、とにかくこのまま今日の状況からいって金融機関に対して何らかの考慮をせざるを得ないという感覚はまさに国民の感覚と一緒だと私は思うのであります。どういう方向でそれをやろうとお考えになっておるのか、その点を伺いたい。
  29. 津田實

    津田政府委員 一昨年、金融緊急措置令に関する金融機関経済関係罰則整備に関する法律から落ちました。その当時まで金融機関という形で入っておりましたのは、金融緊急措置令による仕事をやる機関であるからという意味におきまして銀行はここに入っておったわけであります。金融緊急措置令のうちで融資統制というものは一昨年まで行なわれてきたわけでございますので、その関係におきまして、銀行というものはえりを正した仕事をしてもらわなければならぬという意味におきまして、ここに入っておったわけであります。ところが、一昨年融資統制がなくなりまして、金融緊急措置令がなくなると同時に銀行はそれで自動的にはずれてしまった、こういう経過でございます。ところが、農林中金の場合は別でございまして、これは第二条の特別の法令により設立された会社に準ずるものという範疇に入っておるわけであります。その特別の法令により設立された会社に準ずるものというのは、いまの国の出資でありますとか、その他の関係が少なくとも政府機関と同じようなことになっておるから、政府職員と同じようにえりを正した仕事をしてもらいたいという意味において、この特別の法令により設立された会社というものの職員のわいろ罪を規定しておるというふうに考えられるわけであります。ところが農林中金につきましては、これはもちろん現在でも特別法によって設立されてはおるのでありますけれども、その内容は、一般の民間の機関とほとんど違わないような内容になってきておりますから、これは一応民間機関並みに考えたらどうか、こういうことになったわけであります。銀行をはずしました理由農林中金をはずす理由とは、そこで違っておるわけであります。銀行にいたしましても、経済関係罰則整備法につながっておりますが、単に金融緊急措置令の関係だけからつながっておるのでありまして、銀行本来の業務の特質からつながっておったわけではないわけであります。  そこで将来の問題として考えますのは、金融機関一般の共通点から、金融機関のあり方としてかくかくでなければならぬ、それに対しましてはある種の事項については罰則をもっても規制をしなければならぬというものが、金融機関共通の点にあるかどうかという問題になります。これは、今日いろいろな問題から金融機関のいろいろな問題が世間の注視の焦点になっておるわけでございますので、そういう点を十分考えまして、金融機関としてえりを正すべき事項はどこか、それについては罰則をもっても臨まなければならぬかどうかということを考えたいという意味で、その際はあらためて農林中金がそこで金融機関として問題になってくる、こういう意味でございます。したがいまして、銀行がはずれた意味農林中金がはずれる意味とは、意味が違っておるわけなのでございます。したがって、この事項そのものは経済関係罰則整備法の本来の目的ではなく、経済関係罰則整備法は、経済統制をやったり、そういう国家的な国の施策に関する仕事を営むがゆえに厳重な刑罰をもって臨んでおるということでありますが、その性格がなくなれば一応それははずしてしまい、今度は金融機関金融機関としてまた必要な部分について考慮するというのが事の順序であろうというふうに考えておる次第でございます。
  30. 横山利秋

    横山委員 何か聞いておると理路整然のように見えますけれども、この五十二件の違反事件をずっと見ていきますと、金融機関関係にしても農林中金関係にしてもそうでありますが、結局、専務なりあるいは担当者なりが、自分の金でもない、税金であるか、あるいは政府出資したものであるか、あるいは政府融資した財政投融資であるか、あるいは一般預金者の金であるか、とにかく自分の金でもないものを、えらいいばってお前に貸してやるというて、これを見ますと、信用金庫ですね、五百万を貸し付けて、そして幾らかもらったということについては、みんな一緒なんですよ。たまたまその金が政府の金であるか、政府財政投融資としてもらってきたものであるか、あるいは一般預金者の金であるかの違いはある。違いはあるけれども、金に色はついていませんから、本人が犯した罪についてはいかぬことですよ。政府の金だから有罪だ、国民一般の預金であるから無罪だ、そういう理屈はどうにも私は納得できぬ。だから、あなたの言うように、無罪なら全部無罪、有罪なら全部有罪だということのほうが私は正しいと思う。  そこで、いまのお話のように、金融機関全般について何かの方途を考えるということがいまの原則的な政府考えであるとするならば、何を好んで、いまその考えに逆行する——一ぺんこれだけ無罪にしておりますが、これから落ちる無罪の事案というものは、将来考えられるものの中に絶対包含されない、それとこれとは事案が違うんだというふうに言い切られるなら、私も、そうか、そんならしかたがないと言いますけれども、いまの落ちる諸問題と今後考えられるべき諸問題とは同じことなんです。ですから、きのうまで有罪、きょうは無罪、あさっては有罪、こういうことになるんじゃないか。それでは国民が法に対する信頼感というものを失うじゃないか。だから、いまのところは、しばらくこれはこのまま待ったほうがいいじゃないか。もう少し政府考えが固まるまで、しばらくこの問題はあたたためておいたほうがいいんじゃないか。決して私は無理に言うわけじゃない。あなた方のお話がどうもやはり落ちつきが悪いものですから、どうせやるんだったら、その考えがあるんだったら、その考えがはっきり固まるまで、しばらくこれは待っておいたほうがいいんじゃないか、おすすめしたいわけです。新聞やラジオ、テレビでこの問題が議論になってごらんなさい、何と言うでしょう。片一方で法務省は、吹原事件について全責任を持ってやれることはやるんだ、経済事犯は追及するんだ——この間検事正会同か何かでそう言っていますね。このごろ悪質な銀行の貸し付がある、断固として追及する、こう言って全国の検事正か何かに訓辞なさったばかりじゃありませんか。そのあとで、こういうことはこれから無罪にするということは何たる矛盾撞着もはなはだしいことか、こう思うのです。えらいくどく食い下がりますけれども、ほんとうに政務次官としても、天地神明に誓って、これは全く時宜に適しているのだ、どうしてもいまこの法案を通してくれ、こうおっしゃるのですか。どうですか。
  31. 大坪保雄

    大坪政府委員 何事につけても万全ということは必ずしもあり得ない。髪の毛程度の寸分の間違いもないというようなことは、私ども人間わざとしてはできないことでございます。しかしながら、本法案を提出いたすにつきましては、政府部内で十分検討いたして提出いたしたわけでございます。でありますから、提出いたしました法務省としては、ぜひひとつこれは会期中に御審議を慎重にしていただいてお通し願いたいと思うわけでございます。自信があるかないかということは、私どもは、これですべて万全を期するというほどの確信があるわけではございませんけれども、現状においては、やはりこれを残しておくということがかえっておかしくないか、こういう考え方に基づいたわけでございます。吹原事件のごときはもちろん法案を提出した後のことでございまして、それを知らなかったのは不明であると言われれば不明でございますけれども、国会に提出いたしました以上は、どうかひとつ御審議は十分にしていただきますが、お通し願いたい、これが私どもの偽らざる心持ちでございます。
  32. 横山利秋

    横山委員 出した以上はというと、あなた方が継続審議すれぱしょうがないけれども、われわれとしては出した以上は撤回するわけにいかぬ、こういうところが偽らざるところじゃないかと思うのでありまして、私は実はいろいろこまかいことを聞こうと思っておりましたけれども、やはりこの法案審議にあたって、余分なことを聞くと、問題の焦点が、私が言いたいことがずれてしまいますから、この問題だけ私は政府側に、また与党側の皆さんにもお考えを願いたい。私は決してこの問題を無理やりどうするこうするというつもりは毛頭ございません。けれども法務委員として、しかもあしたまたこれに関連して吹原のことについて御質問をしたいとみんなが待機しておるときに、これはこれでいいじゃないかという気持ちは、どうも心情として落ちつきが悪いのであります。あなたのほうとしては、おれのほうとしては法の均衡論でこれを落とす。あとこういうことによって問題が起こるか起こらぬかは法務省の問題じゃない。大蔵省の銀行行政の問題だというて、おれは知らぬと言ってしまえるものなら、ここへ大蔵大臣を呼んで、そしてこういうことについてあなたは賛成であるか、吹原や山陽特殊鋼や、法務大臣が検事正会同で、最近の銀行の貸し出しで、経済事犯が多いのはけしからぬ、こう言っておりながら、法律上はパーにしちゃうという、あとはあなたの責任だ、おれは知らぬと言っているが、あなたはこれから絶対こういうようなことはないと言えるかと、銀行行政について聞かなければならぬ。そちらのほうが、法務大臣と大蔵大臣との間にきっちり打ち合わせができておって、そしてもうこれを落としても問題はないというふうにおっしゃるならば、これもまたいたし方がないけれども、どうにもこの点については私には納得ができないのであります。これ以上あなたのほうからもし補足説明でもなさるべきことがあるならば承りたいと思います。なければこまかい質問をしたいと思いますが、そうすると問題がそれますので、しちくどく言ったわけでありますが、私の質問意見を含めて、終わりたいと思います。
  33. 大坪保雄

    大坪政府委員 もちろん先刻も申しましたように、政府部内では十分協議を遂げたものでございまして、法務省がこういう法案を提出しているが、あとは大蔵省が措置すればいいとか、大蔵省は違った考えを持っているということは、現段階ではあり得ないと存じております。そういうように政府部内でよく協議を遂げた結果の提案でございますから、そこはひとつ十分お含みおきいただきたいと思います。
  34. 横山利秋

    横山委員 その提案をなさるときには大蔵省と十分御相談をなさったと思う。しかし、このように山陽特殊鋼や吹原とか、いろいろな意味で、その後予算委員会から法務委員会、大蔵委員会から内閣委員会、あらゆるところで銀行行政その他金融機関の不正な状況がいま天下の世論になっておるときであります。したがって、私の言いたいことは、この状況のもとにおいてなおかつこの法案を通したほうがいいという政治的判断であろうか、大蔵省もまたこの点について、前に法案提出のときに約束したことであるから通してくれと言うであろうか。きのうまでは有罪、きょうは無罪、あしたは有罪というようなぐあいの結果にならぬようにしなければならぬと思います。この点は謙虚にもう一度お考えになったらどうか、こう言っておるわけであります。
  35. 濱田幸雄

    濱田委員長 坂本泰良君。
  36. 坂本泰良

    ○坂本委員 私も、いろいろ資料をもらっております点については次会に譲りたいですが、まず第一に、提案理由の説明を見ますと、ただいまの横山委員の根本問題の点に関連するかと思いますが、最初に、「この法律案は、最近の経済事情等にかんがみ、経済関係罰則整備に関する法律を廃止しようとするものであります」こうある。「経済事情等にかんがみ、」こういうことがありますし、その裏には、「戦後における経済情勢及び社会情勢の激変に伴い、」こういうようにありますし、なお二枚目の最初に「わが国の経済情勢及び社会情勢は、」云々、こういうことがありますが、この経済事情こういう点について、法務当局はいかなるお考えを持っておられるか。どういう理由等によって経済事情という点を判断し、価値づけておられるか、その点を承りたい。
  37. 津田實

    津田政府委員 この提案理由の説明で申し上げております内容は、もちろんこの経済関係罰則整備に関する法律に関連して申し上げておるわけでございますが、御承知のとおりこの法律昭和十九年に制定されたものでありまして、その当時は、もちろん戦争目的達成のための経済統制を中心に考えて、その経済統制の円滑な遂行をはかるためということであったわけであります。ところが、戦後になりまして、昭和二十二年、つまり戦後経済情勢及び社会情勢は一変いたしたわけでありますが、同じく経済統制ということはどうしてもある期間続けなければならないというわが国の情勢でございました。それで、その意味において経済統制を戦前よりもあるいは戦中よりもさらに強くやらなければならぬ面も出てまいったわけであります。そういう意味におきましてこの法律を活用いたしまして今日に至った、こういうことであります。ところが、やはり中心は経済統制ということの確保ということにあるわけでありますが、経済統制ということは、先ほど政務次官から申し上げましたように、自由経済から見れば、やはり何らかの拘束を国民に感じさせるわけでありますから、自由経済から見れば好ましい方向ではないという意味におきまして、経済統制が逐次なくなってくるということに今日なってまいりまして、今日の経済の成長ということによりまして、もはや経済統制経済統制というものは、いわゆる国民を拘束する意味経済統制というものはほとんど必要なくなったというような時代になったということが、経済情勢の変遷ということでございます。  社会情勢のほうにつきましては、これはやはり経済に関連があるわけであるわけでありますが、たとえば地方鉄道とか軌道とかいうものの運輸面において占める地位というのが非常に低くなってまいりまして、むしろバス事業とかあるいは貨物自動車運送というようなものが輸送面の非常に大きな部面を占めてまいったわけです。そういう意味におきまして、やはりそういうような情勢はその面で一変もしてまいっておりますし、また電気事業、ガス事業等につきましても、独占事業ではありますけれども、サービス事業というようなかっこうになってきたものでありますから、そういう意味におきまして、経済に関連ある社会情勢というものもやはり非常に変わってきたというようなことを考えまして、かような理由考えられるということを表現したものでございます。
  38. 坂本泰良

    ○坂本委員 まだお聞きしたいことがありますが、そこでそういうお考えのもとに立てば、昭和二十二年の十二月の法律第二百四十二号による大幅の改正了解つくと思うのです。ところがその後、数次にわたって一部改正を経ているわけなんですが、大体これは何回ぐらい一部改正がありましたか。ここにある改正の経過というものを見ると大体わかるのですが、改正になった年度がまちまちのようでありますが、この一部改正は数回行なわれておる。したがって、その内容、これは総括的な内容でけっこうでありますが、その内容と回数を御説明願いたいと思います。
  39. 津田實

    津田政府委員 お手元に差し上げてございます「経済関係罰則整備に関する法律改正経過」というものを御参照いただけるとけっこうでございますが、制定後二十回の改正がございます。そこでその改正のうち、昭和二十二年の先ほど申し上げましたのは、戦後に合わせるための非常に大きな改正ということになっておるわけでございますが、その他の点におきましてはおおむね別表の各機関の改廃あるいは新設等によりまして、別表中からこれを削除したり挿入したりするという改正がほとんど全部でございます。
  40. 坂本泰良

    ○坂本委員 この中に廃止と削除とありますね、二つに分かれるわけですが、この廃止の場合と削除の場合はその意味が違うようですが、その点いかがですか。たとえばこの表を見ますと、廃止の場合は、十三ページの別表甲号の住宅営団のところは、住宅営団法を廃止する等の法律昭和二十四年十二月一日法律第二百三十一号によるとありますし、削除の場合は、その次の帝都高速度交通営団ですが、削除の場合は、単にその法律の号があげてあるだけなんです。その点がちょっとわからないのです。
  41. 津田實

    津田政府委員 ただいまお示しの別表二の十三ページにありますものにつきまして申し上げますと、住宅営団そのものは、住宅営団法を廃止する等の法律によりまして、昭和二十四年十二月一日廃止になった。しかしながら、そのときに経済罰則整備に関するこの法律は手当てをいたしませんで、現在六法全書にも住宅営団というものが方々の表に載っておるわけでございます。ところが二の帝都高速度交通営団のほうは、法律によりまして、昭和二十六年の法律第百三十六号によりまして経済関係罰則整備に関する法律の附則から削除いたしまして現在ない。現在別表甲号のところは削除という表示になっている、その違いでございます。したがいまして、実質はそういう団体そのものがなくなたっということが住宅営団の場合であり、帝都高速度交通営団というものは存続はしておるけれども、この経済罰則整備法によって規制する団体ではなくなったというような形になるのが大部分でございます。
  42. 坂本泰良

    ○坂本委員 さてもう一つ。十五ページの一番最後の行、「日本通運株式会社−六削除(昭二四、十二、七法二四二)」とあって、下のほうに「日本航空株式会社」とありまして、これはワクで囲ってある。これが(昭二八・八・一法一五四)となっている。そうして最後の二十三ページに(注)として、ワクで囲ってあるのは現存するものを表わす、マルかっこ印は廃止のものを表わす。こうありますが、この日本通運株式会社の下の日本航空株式会社、これは残っている、こういう意味ですね。
  43. 津田實

    津田政府委員 これは乙号表の六号でありますが、日本通運株式会社が最初からございまして、それが昭和二十四年法律第二百四十二号によりまして削除になった。六号はいわゆるあき家になっておったわけでございます。そこで今度は新たに日本航空株式会社がこの別表に入れる必要が生じましたので、その六号の削除のところを利用して、日本航空株式会社法律第百五十四号によって挿入をした、こういう立法技術だけの問題でございます。
  44. 坂本泰良

    ○坂本委員 そこでお伺いしたいのですが、二十回改正になっておるとおっしゃるのですが、昭和二十二年の分は、これは戦後の最初の改正で、戦争が終わったから廃止がたくさんあった、そのように了解できますが、その後の十九回の、いわゆる削除の改正と思うのですが、これはやはりただいま局長の仰せられた経済統制を続ける必要がないから改正をし、削除をしたあるいは廃止をした、こういうふうになるわけですか。
  45. 津田實

    津田政府委員 その改廃の理由はいろいろございますが、さような団体がなくなったという意味において削除という改正をする場合がございます。それからさような団体ではあるが性格が変わったから統制関係なくなったので削除するという場合もあります。それからまた、団体を設立する法律がございますが、その中に罰則を入れたからもう必要がなくなったから削除するというようなものもございます。先ほどお話になりました帝都高速度交通営団につきましては、営団法の中に罰則を挿入いたしましたので、経済罰則整備法のほうでは必要がないという意味で削除した例の一つでございます。
  46. 坂本泰良

    ○坂本委員 そこで、どうも全般的の了解が私できないからお聞きしたいわけですが、この参照条文の最初の経済関係罰則整備に関する法律、これに別表甲号と別表乙号とありますが、これについて削除または廃止になった、いま例をあげられましたような理由が全部にあるだろうと思うのですが、それは簡単にずっとわかりませんか。
  47. 津田實

    津田政府委員 別表甲号につきましてまず申し上げます。  住宅営団は廃止になりました。帝都高速度交通営団は削除になりました。それから農地開発営団は廃止になりました。それから地方食糧営団は廃止になりました。それから交易営団は廃止になりました。それから恩給金庫は削除になりました。それから庶民金庫は削除になりました。復興金融金庫は廃止になりました。九号の日本銀行だけ現在残っておるわけです。実質的に現在生きているのは日本銀行だけです。  それから乙号表の一号の日本勧業銀行は廃止になりました。北海道拓殖銀行も廃止になりました。日本興業銀行も廃止であります。それから日本製鉄株式会社は削除になりました。東北興業株式会社は削除、日本通運株式会社は削除になりましたが、そのあとにしばらくおきまして、六号に日本航空株式会社が入っております。それから七番目の帝国燃料興業株式会社は廃止になり、八番目の日本発送電株式会社は削除になり、そのあとに農業共済基金及び農業共済基金法第三十五条第一項の規定による委託を受け農業共済基金の業務を行なう金融機関というのが入りまして、そのあとへ国際電信電話株式会社が入ったわけであります。それから九号の帝国鉱業開発株式会社は現在生きております。それから十号の帝国石油株式会社は削除になり、そのあとへ間をおきまして電源開発株式会社が入って、これは現在生きておる。それから十一の森林法による森林組合及び森林組合連合会は、森林法によって旧法廃止になりました。それから漁業法による水産組合及び水産組合連合会は廃止。馬匹組合法による馬匹組合及び馬匹組合連合会は廃止。牧野法による牧野組合、廃止。酪農業調整法による製酪業組合、廃止。それから十六号の貸家組合法による貸家組合連合会、貸室組合及び貸室組合連合会は生きておるます。十七の農林中央金庫、生きております。十八の商工組合中央金庫も生きております。十九の産業組合法による産業組合及び産業組合連合会は廃止になりました。それから十九の二の信用金庫法による信用金庫及び信用金庫連合会、それから十九の三の労働金庫法による労働金庫及び労働金庫連合会、これはいずれも現在生きております。それから二十の市街地信用組合法による市街地信用組合は、中小企業協同組合法による信用協同組合及び同法第七十七条第一項第一号の事業を行なう協同組合連合会になりまして、さらにそれが中小企業協同組合法による信用協同組合及び同法九条の九第一項第一号の事業を行なう協同組合連合会になりまして、現存しております。それから二十一の農業団体監査連合会は廃止。二十二の市町村農業会、道府県農業会(東京都農業会を含む)及び全国農業会は廃止。二十三の漁業会、製造業会、道府県水産業会(東京都水産業会を含む)及び中央水産業会は廃止。それから別表甲号及び前各号に掲ぐるものを除くのほか金融緊急措置令に規定する金融機関(郵便官署を除く)、これは昭和三十八年削除。それから前各号に掲ぐるものを除くのほか昭和二十二年農林省令第二十八号鮮魚介配給規則による公認出荷機関及び公認荷受機関、これは廃止。二十六号、前各号に掲ぐるものを除くのほか昭和二十二年農林省令第六十二号加工水産物配給規則による公認出荷機関及び公認荷受機関、廃止。二十七、前各号に換ぐるものを除くのほか昭和二十二年農林省令第六十三号蔬菜及び漬物配給規則による公認出荷機関及び公認荷受機関、廃止。前各号に掲ぐるものを除くのほか昭和二十二年法律第二十二号(臨時物資需給調整法の一部を改正する法律)附則第二項に基づき経済安定本部総務長官の指定したる産業団体、廃止。電気事業法による許可を受け同法第一条第一号または第二号に掲ぐる事業を営む者、これは後に公益事業令による許可を受けて電気事業を営む者となり、これは現在は削除になっておりますが、ただこの削除の法律はまだこれを施行する政令が公布されておりませんので、まだ未施行になっております。でありますから、現在削除は未施行であり、現在では公益事業令による許可を受け電気事業を営む者というのが残っておるわけであります。それからその次の三十の、地方鉄道法第十二条の規定による免許を受け地方鉄道業を営む者、これは生きておる。それから軌道法第三条の規定による特許を受け運輸事業を営む者、これも生きておる。それから三十二として、特別鉱害復旧公社というのがありましたが、これは削除になりました。  以上でございます。
  48. 坂本泰良

    ○坂本委員 それで、関連しますから伺っておきますが、簡単に申しますと、残っておる分がだいぶんあるようですが、それを今度の法案で削除し、なお三団体についてはこの法律案の附則で存続、こういうことになるのですね。そうしますと、結局残りますのは四つと聞きますが、そのほかのはどういうふうになりますか。
  49. 津田實

    津田政府委員 今回の廃止法律が施行になりますと、実質的に残るものはどうかということになるわけでございますが、これは別表の甲号中の日本銀行、これは現在日本銀行法で公務員とみなされておりますので、これは現在といたしましては経済関係罰則整備に関する法律とダブっておるわけであります。これはこの法律を廃止いたしましても何ら影響はないわけであります。  それからその次に、この廃止法難の附則で手当てをいたしまする日本航空株式会社、それから電源開発株式会社と商工組合中央金庫、この三つは、その法律の中に涜職に対する規定が新たに挿入されるわけでございますが、これは実質的に残るわけであります。その他の分は全部廃止の効果が及ぶということになるわけであります。
  50. 坂本泰良

    ○坂本委員 そこでお聞きしたいのは、商工組合中央金庫は残り、農林中央金庫、信用金庫法による信用金庫及び信用金庫連合会、これは廃止、十七と十九の二と十九の三、それから十六ですか、こういうのは全部廃止になって、商工組合中央金庫だけ附則をつけて実質上廃止しない。これは何か理由がありますか。
  51. 津田實

    津田政府委員 商工組合中央金庫は昭和十一年に設立されたものでありまして、政府が資本金の一部を出資いたしまして、重要な国策事業の経営を行なってきたわけでございます。ところが現在におきましても、この政府出資の度合いは相当の大幅なものがございまして、これに対しましてはやはり政府機関と同じような規制を行なう必要があるという意味におきまして、この涜職規定を設けるということになっておるわけであります。これに反しまして農林中央金庫のほうは政府出資がもうなくなりまして、通常の民間機関とほとんど違わないような状態になりましたので、商工組合中央金庫と農林中央金庫の間にそのような差が生じてくるわけでございます。
  52. 坂本泰良

    ○坂本委員 そういたしますと、附則で残します三団体は政府出資のものがあるから残す、こういう意味ですか。
  53. 津田實

    津田政府委員 おもな理由はそうでございます。
  54. 坂本泰良

    ○坂本委員 おもな理由はそうでしょうが、ほかに理由は何ですか。
  55. 津田實

    津田政府委員 政府の監督その他がございまして、その政府の監督の度合い等から考えまして、政府機関と同じように規制をする必要があると考えるものにつきましてこの涜職規定を残すということにいたしたわけであります。
  56. 坂本泰良

    ○坂本委員 そういたしますと、そこでもとに帰るわけですが、経済統制がもう必要ない、自由経済だというので削除し、廃止する、こういうようなことだけでは一部削除、廃止等の理由にはならないように思うのですが、その点いかがですか。
  57. 津田實

    津田政府委員 もともとこの経済関係罰則整備に関する法律は、戦前はもちろん経済統制ですけれども、戦後におきましても、戦後経営に必要な経済統制遂行のためにこの法律を存続している理由があるわけであります。したがいまして、経済統制がほとんどなくなりました今日におきましては、もはや経済統制を主たる理由として必要とされたこの立法は必要なくなった、こういうことでございます。
  58. 坂本泰良

    ○坂本委員 そういたしますと、結局三団体残すというのは先ほどお聞きしましたけれども、政府投資があるからということだけになるわけじゃないのですか。
  59. 津田實

    津田政府委員 この三団体自体は、従来も経済統制的なことをやったものもあるわけでありますけれども、今日におきましては、その面ではなくて、むしろ政府機関類似の機関であるという意味において、そこの役職員は政府職員と同じく規制を受ける、こういうことであります。
  60. 坂本泰良

    ○坂本委員 そこで次に一枚目の裏の終わりから三行目に、「また、戦後においては、主としてわが国の再建に必要な経済秩序の維持等に資することにあったのであります。」「再建に必要な経済秩序の維持」、これがやはりこの戦時中の統制罰則を残しておく重要な理由になっていた、こういうふうに了解していいですか。
  61. 津田實

    津田政府委員 そうでございます。
  62. 坂本泰良

    ○坂本委員 そこで次は二枚目の裏になりますけれども、三団体に対しては、「いずれも政府から相当額の出資を受けて重要な国の施策に関する業務を行なうもの」これがいまの表、政府投資等でわかるわけでありますが、「高度の国家的または公益的性格を有するものであります。」こういうことがありますが、これはどういう意味ですか。
  63. 津田實

    津田政府委員 この日本航空株式会社にいたしましても電源開発、商工中央金庫にいたしましても、政府が膨大な出資をいたしておりますゆえんのものは、本来いえば政府事業としてもやるべきものであるが、しかしながら、必ずしも政府事業本来のものとしてやることは適切でないので、株式会社なり別個の法人として行なっておるということでありますから、そのやっている事業そのものは国として取り上げてやってもよろしい、またやらなければならない事業である、そういう意味のことをここで申しておるわけであります。
  64. 坂本泰良

    ○坂本委員 そこで「この三団体とその組織及び機能において類似すると認められる各種の会社等については、現にこの法律とは別に、それぞれの関係法律中において、その役職員にかかる贈収賄罪規定を設けている」こうありますが、これは抽象的で私わからぬわけですが、具体的にいかなる団体が、この三団体とその組織及び機能において類似するものがあるかというのですが、たとえばどういうものが、大体幾つぐらいあるかということがわかりましたら、お願いいたします。
  65. 津田實

    津田政府委員 大体同じようなものといたしましては、東北開発株式会社、石油資源開発株式会社、それから北海道地下資源開発株式会社、日本航空機製造株式会社などであります。
  66. 坂本泰良

    ○坂本委員 大体わかりました。  それで、ついでに資料の問題ですが、「経済関係罰則整備に関する法律違反関係統計資料」がございますが、この一ページの「違反事件の受理及び処理状況」を見ますと、受理件数と、それから処理は起訴と不起訴となっておりますが、この処理の起訴と不起訴を合わせても受理件数より少ないところがあるのですね。たとえば、三十二年の受理件数は百三十件。処理件数は、起訴が四十八件、不起訴が四十二件ですから九十件になる。受理件数が百三十件で処理件数が九十件ですと、あとの四十件はどういうようになっておりますか。
  67. 津田實

    津田政府委員 これは年度受理で、一月から十二月までに受理した数をこの受理件数に掲げておるわけであります。そういたしますと、年度の終わり近くなって受理いたしますと、その年度では処理できないわけで、翌年に繰り越しになってまいりますので、その分は翌年度に計上される、こういうことでございます。
  68. 坂本泰良

    ○坂本委員 そこで、受理件数昭和二十一年からずっと見ますと、三十八年にはずっと減っておりますね。これは別表甲、乙が削除または廃止されたから件数が減ったのかどうか、この点いかがですか。
  69. 津田實

    津田政府委員 原因ははっきりつかめないのですが、一つは、適用する団体が削除になりましたから減るということはもちろんであります。それからもう一つは、やはり逐次経済統制がなくなってまいりましたので、条文上はあっても、実際問題としてはさような事件が起こらない。経済統制がある間には贈収賄というものがあって、何か職務についていろいろなことを請託するということがあったかもしれませんが、だんだんそれが必要なくなってきたということにおいて事件数が少なくなったということもございましょう。おそらく後者のほうが多いのではないかと思います。
  70. 坂本泰良

    ○坂本委員 そうしますと、昭和二十二年に大幅な削除をやったわけですね。そうして二十三年は減って、二十四年がずっとふえまして倍ぐらいになっている。二十五年にはまた多くて、二十六年がずっと下りまして、それから三十一年、三十二年、三十三年はふえておりますが、また半分ぐらいに減っておりますね。これは統計上から考えて何か理由がありますか。
  71. 津田實

    津田政府委員 御承知のように、二十二年ごろは非常に経済統制が強力に行なわれておりました。ことに食糧関係経済統制が非常に行なわれておりますし、金融関係につきましても、金融緊急措置令が施行になった直後でありますので、それに違反する事犯がある。それが二十三年ないし二十四年にずっとまたがってきておるということでありますが、もう二十六年ごろになりますと、これは平和条約が結ばれる直前の状態になってきておりますので、もはや経済統制も非常に緩和されてきたというようなことから減っておるもの、というふうに考えております。
  72. 坂本泰良

    ○坂本委員 次に、2の「違反事件の第一審裁判結果」のところですが、これを見ますと、五年以下の懲役が一で、三年が一、二年以上が三となっておりまして、それから懲役の執行猶予に付された者が——ほとんど執行猶予になっておりまして、執行猶予にならないのが、ちょっと私計算しましたら三件か四件しかないと思うのですが、そういうふうに見て間違いないと思うがどうかということと、五年以下が一名、三年が一名、これは執行猶予ですね。もちろん五年は執行猶予はつきませんから、この五年以下とありますが何年かがわからないのです。もちろんこれは司法統計年報でとられたようですが、その点はわかりませんか。
  73. 津田實

    津田政府委員 確かに御指摘の昭和三十年、五年以下というのがございまして、執行猶予に付された数と小計とが同数になっておりますが、これは司法統計年報をそのまま写したものと思いますけれども、これはなお調査いたしてみます。
  74. 坂本泰良

    ○坂本委員 次の表の「略式裁判事件」ですね、この表の右から七行目の「略式不能又は不相当」という欄が、三十年が一、三十一年が四、三十三年が一となっていますが、この「略式不能又は不相当」というのはどういう意味でしょう。
  75. 津田實

    津田政府委員 これは略式の送達ができなかったもの、略式命令では相当でない、公判で審理をする必要があると裁判所の判断したものの両者であると思います。
  76. 坂本泰良

    ○坂本委員 一番最後の裁判については、ここに資料をいただいておりますから、本日はこの程度にして次回に譲っていただきたいと思います。
  77. 濱田幸雄

    濱田委員長 本日の議事はこの程度にとどめます。  次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十九分散会